革共同通信・第24号


                           革協同通信第24号目次(2009年1月6日発行)

 1面  仕事をよこせ!衣食住を保障せよ!私たちは人間だ モノじゃない
     「貧困と戦争」といかにたたかうか
     イスラエルは殺りくをやめろ

 2面  新自由主義による教育じゅうりん許さない 改憲とたたかう2・1集会へ
     これが首切りの実態だ

 3面  派遣切りにあった労働者の憤りの声

 4面  海上自衛隊のソマリア派兵を止めよう
     梶原義行さん(百万人署名運動兵庫県連絡会世話人)に聞く

 

仕事をよこせ!衣食住を保障せよ!私たちは人間だ モノじゃない

31日〜5日、日比谷公園に「派遣村」開設

「仕事と住まいを奪われた人に温かいものを提供したい。ここは命を支える村。不況になったとたんに職を奪い住を奪う、こんなの刑事犯罪だ。派遣労働者が切られて空き家だらけなのに路上生活者が増えているという世の中はおかしい。この怒りを訴えていこう」(派遣村村長・湯浅誠さん)
派遣切りなどで困窮する労働者の年越しを支えようと、派遣ユニオンや反貧困ネットなどが中心となり、連合・全労連・全労協なども突き動かして、「年越し派遣村」が12月31日〜1月5日に東京・日比谷公園に開設された。
派遣村を日比谷に開設する意図は、「派遣解禁がひきおこした必然の事態。その厚労省から見えるこの場で実行する」(実行委)ということだ。
派遣村では、炊きだしや労働・生活相談、イベントなどを行なっている。200人分のテント・炊き出しが準備されていたが、入村者は500人を超えた。

派遣村が政府を動かす

収容能力を越えたため、派遣村は厚労省にたいして強い要請を行なった。これにたいして政府は、2日夜から厚労省講堂を宿泊のために開放した。運動の力で政府を動かした。

1月4日派遣村の集会

5日以降もかちとる

さらに5日以降はどうなるのかという交渉が厚労省にたいして行われた。その結果、「当面の間、厚労省と東京都とで500人分の住と食を保障する」という厚労省の回答をかちとった。この勝利を、湯浅さんは、「みなさんの協力だけでなく、みなさんの存在じたいが世の中を動かしたのです」と述べ、「根本的には、労働者をモノとして切り捨てる今の世の中のあり方を変えていくしかありません」と、さらなる闘いを訴えた。

「貧困と戦争」といかにたたかうか

「貧困と戦争」とのたたかいが全世界人民のテーマに

06年12月の住宅ローン専門銀行破綻からはじまったサブプライムローン危機は、同年7月末から8月にかけて相つぐヘッジファンドの破綻へと進んだ。そして、ついに08年9月に米証券大手・リーマンブラザーズが経営破綻し、世界的な株価の大暴落を引き起こした。
その後も危機は急速に進行し、わずか3ヶ月で米ビッグ3の経営破綻にまで行きついている。いまわれわれの眼前で進行している世界恐慌は、90年代以降、グローバリゼーションという資本の新たな運動の下で延命を続けていた帝国主義世界体制に深刻な破局が訪れつつあることを示している。
帝国主義は、グローバリゼーションの進展のもとで、世界を絶え間ない戦火の中におとしいれ、あらゆる地域の人民から収奪と略奪をほしいままにしてきた。
そのことが今、地球上のすべての人民を共通するテーマで結びつけつつある。それは「貧困と戦争」とのたたかいである。

新たな大衆運動のはじまり

日本国内においても、従来の政治的な枠組みを超えた新たな大衆運動がわき起こりつつある。
06年には「障害者」自立支援法反対闘争や教育基本法改悪反対闘争が予想を超える規模で闘われた。07年には教科書検定をめぐって9月に沖縄で12万人が決起し、つづいて岩国でも米軍機移転に反対する大規模な大衆闘争が闘われた。そして昨年のG8サミット反対闘争や反貧困運動の全国的なひろがりなどである。
これまでの“保守”や“革新”といった枠ではくくりきれない広さと深さをもった運動が登場している。そのことを象徴する決定的な事件が、07年7月の参院選における自民党の大敗であった。
いまや戦後日本社会の政治的経済的基盤は崩壊を開始している。新たな大衆運動は、日本帝国主義の足下における「貧困と戦争」にたいするたたかいの台頭である。だからこそ日本の社会体制を根底的に変革する強力な欲求とエネルギーを内包しているのである。

深刻化する「すべり台社会」

所得が「最低生活費」以下の貧困世帯は、07年推計で785万2千世帯、人口にして1千万人をはるかに突破している。また勤労世帯で、その所得が「最低生活費」の1・4倍以下のワーキングプア世帯は、07年推計で581万4千世帯にのぼっている。(後藤道夫『貧困研究vol.1』明石書店2008)
貧困層は97年から02年の5年間で急増している。「最低生活費」以下の貧困世帯で70・2%、ワーキングプア世帯で48・5%という急激な伸び率である。97〜98年のアジア通貨危機による不況への突入の中で、「雇用破壊」といわれた資本攻勢によって労働者階級がこうむったダメージの深刻さを示している。さらに注目すべきことは、02〜07年のいわゆる「景気回復期」でも貧困層が増加し続けていることである。これこそは今日の日本社会が、一度貧困層に転落するとそこから「這い上がる」ことはほとんど不可能な「すべり台社会」となっている証拠である。
昨年6〜8月の労働力調査によれば、非正規雇用労働者は全体の33・4%である。女性だけに限ると53・1%である。資本家階級は、非正規雇用労働者から搾り取るだけでなく、労働者の3分の1をも占める非正規雇用労働者の存在を口実にして、正規雇用労働者の労働条件を切り下げる攻撃を執拗に追求している。正規雇用といってもいわゆる「名ばかり管理職」などの違法な雇用形態が横行し、低賃金の上に超長時間労働と時間外賃金の未払いが常態化している。こうした現実が、全勤労者世帯のうち16・3%〜19・0%(07年推計値)をワーキングプア世帯が占めるという深刻な事態を生み出しているのである。
いまやこうした貧困の急増とのたたかいが、日本の労働者階級にとって最優先すべき課題となっていることは明らかである。それは、労働法制の改悪に反対し、社会保障制度(年金・医療、労働保険、介護・福祉)や公的扶助(生活保護)の解体を許さず、その拡充を求めるたたかいである。
そして何よりも、「すべり台社会」における貧困の根源となっている非正規雇用化に対する反撃を組織していくことである。

いかに変革していくか

95年に日経連が発表した『新時代の日本的経営』は、労働者全体の9割を非正規雇用化するというものであり、今日にいたる本格的な非正規雇用化の出発点であった。
これに対して連合がとった方針は、「組合員の雇用の確保」を名目に、大規模な非正規雇用化を積極的に受け入れるというものであった。これは正社員が自分たちの雇用を確保するために、同じ職場の非正規雇用労働者に3分の1以下の賃金で働くことを強制するという反労働者的方針であった。これが職場における正規・非正規の労働者間の分断・対立・反目を促進し、深刻な職場の団結破壊を進行させていったのである。
この現状をいかに変革していくのか。

非正規労働者の組織化

第一に、職場における労働者の団結の回復をかけて、非正規雇用労働者のたたかいを組織しよう。
同じ職場で働いていても雇用形態が違うだけで、労働者間の団結は著しく困難になる。ましてや雇用関係が違うとなると、「同じ仲間」として認識されることはほとんどなくなってしまう。非正規雇用労働者たちが、職場のなかで自分たちの処遇の不当性を告発し、労働者としての権利を行使することは、この分断を打ち破る決定的な力となる。

労働運動の主力部隊

第二に、戦闘的労働運動の再生をかけて、非正規雇用労働者のたたかいを組織しよう。 総評の最盛期であった50年代後半から60年代初期にかけて、労働運動を先頭で牽引していたのは炭鉱や鉄鋼の労働者たちであった。 しかし、資本の合理化攻撃のなかで炭鉱は次つぎと閉山へと追い込まれ、鉄鋼もオートメーション化が進行し、かつて坑道の中や溶鉱炉で煤まみれ、油まみれになって働いていた労働者たちは一掃されてしまった。
かつて炭鉱や製鋼所で働いていたのと同年代の青年層が、現在では非正規雇用労働者、派遣労働者として不安定な就労を強制させられているのである。まさに非正規雇用労働者の組織化とは、労働運動の主力部隊を再び戦列に呼び戻すことなのである。

地域における組織化

第三に、創意工夫をこらして地域における組織化にとりくもう。
かつて地区労がめざした、地域に幾層にも網の目をかけた労働者全体の組織化の手法を研究し、実践に移そう。阪神大震災被災地闘争や地域医療の経験や教訓、部落解放闘争や「障害者」解放闘争、入管闘争、女性解放闘争で切り開いてきた地域での実践を生かしていこう。外国人労働者の権利を守るたたかいを重視しよう。

具体的な要求で党派の枠こえて

第四に、職場で非正規雇用労働者への均等待遇の諸要求や、地域における社会保障の諸要求など、個別具体的な要求で一致した運動を、党派や団体の枠をこえてつくりだしていこう。
地方行政レベルから国政レベルにいたる政策要求運動を射程に入れた全国的な大衆運動を形成することである。ここでも介護保険ネットワーク運動や被災地闘争、住宅闘争などの教訓を再検証しなければならない。
このようにして、地域の組織化と職場・生産点の組織化を一体化して進める方法を編み出していこう。あらゆる工場の中に入り込み、地域の中に根を張り、全国各地で職場・生産点にプロレタリア革命の拠点をつくりだそう。

イスラエルは殺りくをやめろ

「想像を絶する大量の死と破壊」(12/27ガザ発)

空前の大虐殺が行われている。
イスラエル軍が、昨年12月27日から、封鎖したパレスチナ・ガザ地区たいして、大規模な空爆を加えている。さらに、1月3日から、戦車や歩兵が、ガザ地区に侵攻している。パレスチナ人民を閉じ込めてなぶり殺しにしようとしている。
サファ・ジューデー氏(ジャーナリスト)がガザから発信しているメールの翻訳が、「パレスチナ情報センター」のサイトに掲載されている。まさに想像を絶する虐殺と破壊が行なわれている。絶対に許せない。その要約から一部転載する。
 ・・・・・・ 爆撃を受けた場所には、死体の山ができていた。何人かまだ生きている若者がいる。手を上げる者、頭をもたげる者。でも、彼らもまもなく死んだはずだ。全身が焼けただれ、大半が手足を失っていた。腸がはみ出して垂れ下がっている者もいた。全員がおびただしい血の海に転がっていた。
私の家の前で、ミサイルが、若者たちの集まっている中に撃ち込まれた。帰宅するためにバスを待っているところだった。7人が死んだ。4人は学生で、3人は近所の子供。レイエス家の少年たちで、とても仲のいい3人だった。
帰宅中の3人の女の子が、警備隊司令本部の前を通りかかった時、ミサイルが撃ち込まれた。少女たちの体はバラバラに引きちぎられ、通りの端から端まで飛び散った。 空爆のあった場所で、大勢の人が死体の間を歩き、自分の家族を見つけてショックに襲われている。通りにも死体や腕や脚が散らばっている。靴をはいている足、はいていない足。
病院と死体安置所は満杯状態で、遺体を家族が取り巻いて、顔にキスしたり、すがったりしている。年配の男たちが地べたに膝をつき、泣いている。
 ・・・・・・ これを座視できるか。全世界の人民が、パレスチナ人民の叫びにこたえ、連帯行動を開始している。日本帝国主義も重大な共犯者だ。日本人民も立ちあがろう。

イスラエルの空爆直後のガザ(08年12月27日)

アメリカとイスラエルの犯罪

ライス米国務長官は、「ガザにおける停戦違反と暴力再燃は、ハマスに責任がある」などと、ハマスを非難したが、盗人猛々しいにもほどがある。
今回のイスラエルの行為は、ハマスの攻撃に対する反撃などというレベルでは全くない。
そもそもハマス(イスラム抵抗運動)は、2000年以降の第二次インティファーダ(民衆蜂起)によって押し上げられてきたものだ。06年1月のパレスチナ評議会選挙ではアメリカやイスラエルの激しい干渉と介入にもかかわらずハマスが圧勝している。ところが、アメリカとイスラエルはこの事実を認めず、妨害と破壊をくり返してきた。
とりわけ、この1年以上にわたって、イスラエルはガザを封鎖し続けて、食糧も水も電気も欠乏する状態にたたき込んできた。兵糧攻めでパレスチナ人民を屈服させようとしてきた。それ自体が許せない戦争行為だ。それでもパレスチナ人民は不屈だった。
そこで、イスラエルは、ハマスとの停戦が成立した6カ月の間、アメリカの了承のもと、エジプトやヨルダンの政府と協議しながら、今回の作戦を準備してきたのだ。

中東支配の破綻と中東大戦争

アメリカとイスラエルは、長らくパレスチナ解放闘争の主流をなしてきたファタハ(パレスチナ解放運動)を屈服させることで、パレスチナ人民の抵抗を抑え込もうとしてきた。
ファタハ指導部は、イスラエルによるパレスチナ人民の土地の略奪と占領を容認し、難民の帰還権を放棄し、ヨルダン川西岸地区とガザ地区に押し込められた暫定自治政府の権力と利権に取り込まれて腐敗していった。さらに、ファタハは、アメリカとイスラエルの意を受けて、パレスチナ人民の抵抗とハマスの闘いを攻撃した。だからファタハはパレスチナ人民の支持を失っている。こうして、ファタハを使ってのパレスチナ人民の抵抗圧殺の策動は破綻した。
それとあいまって、イスラエルの危機は深まっている。イスラエルはレバノンに侵攻したが、ヒズボラ(シーア派武装組織)に撃退された。エジプトやヨルダンではパレスチナ人民の抵抗闘争に連帯する運動が台頭し、イスラエルの中でもストライキが頻発し、矛盾が高まっている。イランも反イスラエルを強め、そしてイラクでは米軍の占領が深刻な敗勢に陥っている。
反イスラエル・反米のうねりに包囲され、イスラエルは国家崩壊の危機に直面している。そうした中で、イスラエルの支配層内部で分裂が起き、 総選挙を1ヶ月後にひかえた今、強硬手段にうったえてきたのである。
これらの事態が、世界恐慌の始まりとグローバリズムの大崩壊の中で起こっている。
アメリカとイスラエルは、力ずくでハマスを解体し、パレスチナ人民の抵抗と中東人民の闘いを圧殺する中東大戦争に踏み出す以外になくなったのだ。

イズラエルのテルアビブでも1万5000人が抗議行動
全米で数万人が抗議行動(写真は12月30日アメリカのワシントン・ホワイトハウス前で抗議に立ち上がった人々)

問題の根本は何か

イスラエルとは、アメリカ帝国主義が、石油支配・世界支配をねらって、パレスチナ・中東人民の民族解放闘争を圧殺するために打ち込んだクサビである。パレスチナ人民の土地を略奪し、パレスチナ人民を追放・抹殺し続けることで成立している軍事国家だ。
それゆえにパレスチナ人民の要求と闘いは、帝国主義による中東支配の現実の全体を転覆するまでやむことはない。イスラエル軍のガザ侵攻にたいして、不屈のインティファーダとゲリラ戦にたちあがるだろう。
ただちにパレスチナ連帯行動にたちあがろう。

■抗議の嵐を!

○駐日イスラエル大使館 広報室 文化部
Fax:03‐3264‐0792
・在日イスラエル特命全権大使 ニシム・ベンシ
・イスラエル大統領 シモン・ペレス
○駐日アメリカ大使館 Fax:03‐3505‐1862
・駐日米国大使 トーマス・シーファー
○イスラエル大使館 広報報道室
 information@tky.mfa.gov.il


2面

新自由主義による教育じゅうりん許さない 改憲とたたかう仲間は2・1集会へ

新勤評訴訟への反動判決

昨年12月25日、大阪地裁で新勤評反対訴訟の判決公判が開かれた。
判決は、現職教員について棄却、退職者については却下という反動判決だ。大阪府教育委員会の答弁書そのままに、評価育成システムを肯定して、教育委員会の裁量権を全面的に認める内容だ。
法廷と報告集会に結集した原告と支援2百人は、直ちに控訴して徹底的に闘いつづけることを確認した。

改憲先取りに対決

この裁判闘争は、原告団105人、新勤評にかかわる他の2件の訴訟を含め158人で闘われている。学校現場での自己申告票不提出の闘いを基礎にして、東京「君が代」強制反対の各種訴訟と相呼応しながら、改悪教育基本法実施攻撃と改憲先取り攻撃にまっこうから対決してきた。
裁判の攻防のなかでも、教育破壊と「不当な支配」の実情を訴え、府教委を追いつめてきた。法律論争では改悪教基法が一つの壁になったといえるが、教育条理に踏まえた原告側の主張は、府教委を圧倒するものだった。そのことが、現場での攻防をここまで支えてもきた。提出拒否をさらに拡大し、控訴審に訴えていこう。

闘いはこれから

自己申告票提出拒否の問題では、中学、高校の2人の教育労働者による人権救済申し立てについて、昨年11月、大阪弁護士会が府教委に改善の勧告を出し、ILO・ユネスコ合同専門家委員会は10月に日本の教員査定制度の改善を勧告している。 あらゆる意味で、闘いはこれからだ。

橋下の「ダメ教師」排除との闘い

大阪の新勤評制度は、自己申告票を提出しなければ、それだけで業績評価がゼロとされ、能力評価もゼロ扱いになり、昇級が止められるという全国に例のないものだ。
財政再建を理由とした賃金切り下げのなか、この査定でさらに大幅カットを受けることを辞さず、闘う教育労働者は千人規模で提出拒否をつづけ、システムの撤廃を要求してきた。
「学力日本一」をめざす橋下府政は、教員評価の徹底と「ダメ教師」排除を叫び、藤原府教委顧問や陰山教育委員を招請して点取り教育に特化させようとしている。
橋下の政策を許せば、教育そのものがさらにゆがめられるだろう。新勤評制度との闘いは、教職員の協働と団結を守り、子どもたちを守るための決定的な闘いである。そして橋下府政との最大の対決点となっている。

「日の丸」強制と学力教師が一体

犬山市教育委員会は、学力テストに反対してきた委員長を解任し(昨年12月22日)、学テ実施に舵を切ろうとしている。大阪から始まった学テ結果公表の流れも、鳥取県の公開条例制定(同18日)で加速しかねない状況だ。
学習指導要領の見直しでは、教科書が一気に分厚くなるなど、国をあげた学力競争が加熱しかねない。そういうなかで、ひそかに「伝統文化の尊重」や秩序・規範意識の強化も随所に盛り込まれ、「日の丸・君が代」の強制が強まろうとしている。 これとの闘いは、不起立を自己目的化して「自己解放」にしてしまう安田派では闘えない。

府教委通知撤回署名が2345筆

08年春の闘いで決定的な地平を切り開いた門真(大阪府)市立第三中学の卒業式問題では、府教委の呼び出しで懲戒処分方針が明確になった。
闘う教育労働者は不当な事情聴取を拒否して闘いぬいている。処分反対の署名が2345筆提出されるなど、支援の陣形が2・1集会(4面の要項参照)への取り組みのなかで大きく広がっている。昨年4月以降、7波にわたる教育委員会抗議行動が取り組まれてきた。
3年間の教育実践とその結果としての卒業生の意志表示を踏みにじらせてはならない。

新自由主義による教育じゅうりん許すな

イタリアやドイツでは、教育政策をめぐって大闘争がくり広げられている。教育が、新自由主義政策との最大の激突点となっているからだ。
予算カット、人員カットで公教育を解体し、子どもの教育を親の自己責任に帰し、競争原理をむき出しにして学力競争をあおる政策に、世界の教育労働者と学生、人民が怒っている。

分断をつくる手口

橋下との闘いも同じだ。「日の丸・君が代」闘争でも評価制度でも、学テ結果公表問題でも、問題は、教育労働者の闘いが、橋下流のポピュリズム(大衆迎合主義)の手口で一般府民の要求と分断・対立させられようとしていることにある。
新自由主義の価値観では、「子どものテスト結果を知る権利」「通学する学校を選択する権利」を歓迎し、「自分の子どもだけが競争に勝ち抜くこと」を望むことになっていく。しかし、これは決して保護者・府民の本当の要求ではない。
安田派は、プロレタリア独裁の理念をねじ曲げて、全府民に労働者の利害を刻印・強制しようとする。しかし、マルクス主義が提起する労働者階級の闘いは、支配階級にたいする全人民の利害を引き受け、その先頭で闘うものだ。

保護者・府民の要求と労働者の闘いを一つに

昨年12月21日、西区民センターで、上述の新勤評反対訴訟の判決直前集会が開かれ、約300人が参加した。
橋下の「学校を卒業したら競争にさらされる。これでNo.1になれるというものを見つけてください」という発言にたいして、民間で働く保護者(橋下の開いた府民討論会でも意見表明をした)が、「誰が競争をあおっているのか。民間でも仕事を助け合ってやっているから成り立っている。橋下こそ世間知らずだ。こういう大事な価値観を教えてほしい」と訴えた。子どもの成長を踏みにじるのが橋下改革だという点で、教育労働者の闘いとつながっていこうという提起だ。
集会では、賃下げ攻撃を受けている外国人講師、年度末で解雇を通告されて闘っている非常勤(実際には何十年も継続雇用されてきた)補助員の非正規雇用労働者や、府下115団体で要望書を提出した「障害」のある子どもを考える会の代表が、原告とともに発言した。

教基法闘争の地平広げて憲法闘争へ

教育闘争は、新自由主義との闘いだ。それは同時に改憲攻撃との闘いでもある。国家と個人の関係を大転換させて、新自由主義の価値観を全面化させ、同時にそれを国家主義的に統合しようとするのが今日の改憲攻撃の本質だ。
9条改悪を最大の焦点としつつ、全生活領域が憲法決戦に糾合されていくのであり、改悪教基法も、改憲なしには未完成なのだ。
06年教基法闘争の地平をさらに拡大させて闘おう。経済恐慌のもとで雇用と住居を失っている非正規雇用労働者の問題も、労働権、生存権を中心に憲法の存在意義を問うテーマだ。9条問題をはじめ、帝国主義による憲法空文化の現実と徹底対決していくなかで、戦争か革命かという問題が突きつけられてくるのだ。
改悪教基法との闘いに敵対・逃亡した安田派は、道州制攻撃と裁判員制度反対だけに憲法問題をずらしてきたが、『前進』09年新年号論文でも戦争問題が完全に蒸発して「攻めの改憲阻止決戦」に中身がない。これでは道州制等と闘うこともできはしない。
すべての闘う労働者人民は、2・1集会に総結集しよう。

これが首切りの実態だ(内定取り消し、会社倒産による首切り、中小零細企業などは含んでいない)

社名 人数 対象
トヨタ自動車 5800人 期間工
トヨタ自動車九州 1000人 派遣
日産自動車 2050人 派遣・期間工
日産ディーゼル 200人 派遣・期間工
ホンダ 1210人 期間工
マツダ 1300人 派遣
三菱自動車 1100人 派遣・期間工
三菱ふそう 500人 派遣・期間工
三菱マテリアル 300人 派遣
スズキ 960人 派遣
いすゞ 850人 派遣・期間工
ダイハツ 600人 派遣・期間工
富士重工業 800人 派遣・期間工
日野自動車 700人 期間工
いすゞエンジン製造北海道 200人 派遣
関東自動車工業 450人 期間工
デンソー 600人 期間工
富士通テン 100人 派遣
森精機製作所 300人 派遣
田中精密工業 72人 派遣
曙ブレーキ工業 495人 派遣
KYB 1200人 派遣
宮崎部品 50人 派遣
熊本部品 67人 派遣
ヤマハ発動機 500人 派遣ほか
日立金属 1000人 派遣ほか
日本特殊陶業 140人 派遣ほか
日立建機 900人 派遣ほか
コマツ 1000人 派遣ほか
リケン 170人 派遣ほか
ヤマハ 750人 派遣・期間工
大分キャノン 1200人 派遣ほか
東芝 480人 派遣
三洋電機 200人 派遣
シャープ 680人 派遣
シャープ米子 45人 派遣
富士電機HD 2000人 派遣ほか
富士通ME 400人 派遣ほか
ハリソン東芝ライティング 370人 派遣
岩崎電気 150人 派遣
TDK 1000人 派遣
村田製作所 800人 派遣
岡山村田製作所 200人 派遣
イビデン 1000人 派遣ほか
アルプス電気 400人 派遣ほか
NECセミC九州・山口 230人 派遣ほか
日立プラズマディスプレイ 250人 派遣
エム・シー・エス 1000人 派遣・期間工
THK 100人 派遣
日研総業 600人 期間工
コバレンM新潟 185人 派遣
新潟ポリマー 150人 派遣
トヨタ紡織九州 100人 派遣
旭化成 50人 派遣
ヨロズ 160人 派遣ほか
YKKAP 1000人 派遣ほか
ルネサステクノロジ 1000人 派遣
図書印刷 400人 派遣ほか
石屋製菓 75人 派遣
東海パルプ 50人 正社員
三井住友建設 250人 正社員
若築建設 100人 正社員
大豊建設 150人 正社員
日本IBM 1000人 正社員
パナソニック 1030人 正社員
ソニー 1万6000人 正社員ほか(世界)
ローム 1000人 正社員ほか
沖電気工業 300人 正社員
富士ゼロックス 1250人 正社員
パイオニアディスプレイP 279人 正社員
コロンビアミュージック 70人 正社員ほか
日興コーディアル証券 1000人 正社員
野村HD 数十人 正社員
ロプロ 170人 正社員
大京 450人 正社員
ルック 150人 正社員
学研 100人 正社員
プロパスト 90人 正社員ほか
ウライ 30人 正社員
クリード 100人 正社員
田崎真珠 450人 正社員
GDH 50人 正社員ほか
アイディーユー 30人 正社員
レナウン 300人 正社員
トラスティックスHD 150人 正社員
キリンヤクルトNS 100人 正社員
三越 100人 正社員
西友 350人 正社員
J・フロント 1000人 正社員
スペースワールド 60人 正社員
ラディアHD(旧グッドウィル) 1120人 正社員

3面

派遣切りにあった労働者の憤りの声

炊き出しが行なわれている大阪・扇町公園で、派遣切りにあった労働者(42歳・男性)に話を聞いた。最初は話すことなんかないよといっていたが、同じような境遇の仲間とたき火を囲んでいるうちに、次第にうっ憤を晴らすように事情を話してくれた。(3日)
 ・・・・・・ 滋賀のダイハツの下請けで12月まで1年働いていた。タントの扉をつくっていた。夏までは残業が夜中の12時までという日もざらだった。サブプライムとかが問題になって10月からぱたりと仕事がなくなった。
12月10日頃、突然、15日で終わりだといわれた。ウソだろといった。ダイハツから派遣会社には1カ月前に通告されているかもしれないが、自分が聞いたのは数日前だ。契約の期限でもないよ。みんな文句言ったけど、派遣会社の人も、うちも困っているんだで終わり。さんざんこき使っておいて不況だからってクビだ。
人間はモノじゃないんだ。
17日に寮を出て、大阪に来た。最初はビジネスホテルに泊まったりしてたけど、お金がなくなるから、28日からは夜歩いて、昼ベンチとかに座ってた。
同じ世代の人間とかに会いたくないから人目も避けていた。親にも言えない。九州にいるけど。九州では、大手に10年以上勤めていた。結婚もして子供もいるし、家も建てた。でもいまは離婚して家もない。
いまは今日明日どうするかしか、考えられない。炊き出しの話も知らなかった。1日にたまたま近くのベンチにいたら声をかけられた。ここにこれてよかった。感謝している。派遣で切られた人は情報もないし、うしろめたくて人の集まるところに行かない。行く当てもなく町の中をさまよっていると思う。何とかして欲しい。
 ・・・・・・ 膨大な労働者が寒天の路上に放り出されている。@その命をささえる緊急の闘いを全力で支援しよう。A解雇された労働者に街頭宣伝などあらゆる方法で情報を提供しよう。B行政にたいして衣食住と仕事を保障させる闘いを組織しよう。

4面

海上自衛隊のソマリア派兵を止めよう

「海賊対策」口実にソマリア沖(インド洋)への派兵ねらう

政府は、アフリカのソマリア周辺海域に、海賊対策を口実として、海上自衛隊を派兵しようとしている。
概要は、@ソマリア周辺海域で海賊被害が多発している。A日本の民間船舶を警備する。Bひとまず自衛隊法に基づく海上警備行動を発令する。Cさらに、外国船舶をも警備対象にし、武器使用も認める新法を制定する。D新法は、期限を設けない一般法とする―というものだ。

インド洋への派兵

このねらいは、インド洋に自衛隊を派兵することにある。下の地図を見れば一目瞭然。ソマリア周辺海域とはインド洋であり、アフガニスタンやイラクを攻撃している米軍艦船がいる海域だ。
「中国の艦船も(12月)26日に出発する。日本も急がねばならない」(河村官房長官・12月25日 記者会見)。ここには、大国間の軍事外交の論理、資源・勢力圏をめぐる争いの論理が働いている。
そして現在の給油法のような時限立法ではなく、恒久法としての制定をねらっている。
さらに、派兵の対象が海上自衛隊だけなのかどうかも曖昧だ。

「海賊多発」のペテン

そもそも「海賊被害が多発」は誇大表現だ。外務省ホームページのデータ〔下表〕でも、東南アジアや他の地域に比して、ソマリア周辺海域だけが多発しているとはいえない。

グローバリゼーションによる略奪こそが原因

そもそも、「海賊」とは誰なのか。それは、帝国主義のグローバリゼーションによって、土地も家も海も奪われ、社会を破壊された人民である。止むに止まれずうばわれたものを取り返すささやかな行為として「海賊」を行っているのだ。
問われるべきは、グローバリゼーションによる略奪である。

田母神の論理と同じ

「蒋介石国民党が日本人にたいして暴行や略奪を繰り返した。日本政府は、辛抱強く和平を追求したが、度重なる挑発に我慢できず、日中戦争に引きずり込まれた」(昨年11月発表・田母神論文の一部要旨)。田母神は白を黒と言いくるめる論理で、侵略戦争を肯定した。
いま政府が進めている派兵の論理はこれと同じだ。帝国主義自身が原因を作りながら、その責任についてはまったく不問に付す一方で、「海賊」を非難し、口実にして、侵略戦争にのめり込んでいこうとしている。
全力を挙げて派兵阻止と新法の制定粉砕に立ちあがろう。

梶原義行さん(百万人署名運動兵庫県連絡会世話人)に聞く

―兵庫県連絡会結成10周年の11・24集会はどうでしたか
寒い雨の日で心配でしたが、会場をあふれる165人が集まりました。兵庫で百万人署名運動を始めて10年、何度も集会をしてきましたが、1、2の結集だったと思います。
― 成功の要因は?
手前味噌かも知れませんが、何といっても10年間の運動の継続だと思います。毎月の定例会は百回をこえ、街頭署名は千回をこすと思います。百万という名は兵庫の平和運動には定着しています。継続は力なりです。この中でつながった、普段はさまざまな運動をしている人々が集まりました。「反貧困・護憲」を掲げる総選挙予定候補者、社民党の市会議員、共産党系の大衆運動のリーダー、国労闘争団の仲間、芸術家や年輩の在日の方、そして街頭署名活動でつながった人も集まってくれ、本当に運動の広がりを実感できました。

署名を集める梶原さん(08年夏 JR垂水駅前で)

―沖縄の知花さんのお話はいかがでしたか
知花昌一さんは全国の百万人署名運動のよびかけ人でもあり、何度もお話を聞いているのですが、今回は「沖縄から見た憲法9条」で話していただきました。沖縄というと基地があることが当たり前のように考えますが、これはおかしな事です。「平和憲法のある本土に復帰すれば、基地もなくなり平和に生活できると思ってきたが、いまだに沖縄は憲法の枠外におかれている。『守る』べきものを取り返しながら闘う。」という訴えは参加者に感銘を与えたと思います。
― 纐纈(こうけつ)さんの講演はどうでしたか
実は纐纈さんと知花さんは07年夏に、私が司会をした百万人署名運動全国合宿(京都)の講師でした。この集会はその続きという面もありました。纐纈さんの講演は難しく思われがちですが、日米軍事一体化や田母神の反動的役割を実にわかりやすく話してくれました。大学の先生で聴衆を眠らせない術も心得ておられ、最後に「日本国憲法第1章 天皇」の克服の道も示してくれました。お二人の話をつうじて、今日まで「頑固に護憲」を守ってきた人々が、これからが自分たちの出番だと思えたのではないでしょうか。
― 最近は署名の集まりが悪いと言われていますが
たしかに、最初の日米安保ガイドライン反対署名に比べたら遅い歩みです。改憲阻止の署名なのになぜという焦りもあります。10年前に比べて左右を問わず社会運動がアクティヴでなくなったのもあると思います。また「改憲の気運が薄れた」との報道(12/12朝日)もありますが、田母神問題を見ると改憲気運は鋭くなっています。また格差・貧困問題が戦争を引き寄せると思います。本当に大地に根ざした運動が必要です。
― 労働組合などへの働きかけはどうですか
労働組合が改憲反対で立ち上がることが事態を変えます。そのため護憲を取り組んできた労働組合・団体まわりも毎月行っています。兵庫には農村部の市町村も多く、被差別部落も多数あります。そこの自治労や解放同盟を訪ねるとたいてい協力してくれます。あまり大きくない労働組合などから百名規模の署名が送られてきます。街頭署名と賛同会員の集める署名と労組・団体署名が3分の1づつで、凸凹はありますが、毎月必ず署名が寄せられます。
― 署名運動へのこだわりは何でしょう
署名は人と人との出会いです。人と人とのつながりがあらゆる運動のベースで、署名を通じて人々とつながることです。ベースがしっかりしてないといい運動はできません。節目の集会・デモ行進・国会行動などで改憲阻止をアピールしますが、それらを結ぶ血管・血液が署名宣伝活動だと思います。
兵庫の署名は(昨年)11月で1万5千筆をこえ、全国では約30万筆集まっています。できるだけ早く兵庫で2万を突破し、国民投票法が施行され改憲の発議が可能になる2010年の5月までには、兵庫の成人人口約4百万人の1%=4万筆を目指したいと思います。
― 09年にかける思いをお聞かせ下さい
2010年には改憲の発議が可能になります。この1年が勝負です。本当に大きな運動が必要です。門真市(大阪府)での「君が代」不起立をめぐる攻防を軸に、土井たか子さんを呼ぶ大集会が企画され、私もよびかけ人になりました。私は土井さんの地元(兵庫県西宮市)で土井さんの護憲にかける思いと重なる組合運動をしてきました。百万人署名運動や連帯労組と土井さんがつながることは大きなことです。ここから改憲阻止の大運動が広がると思います。これを読まれた皆さんも、本当に改憲と戦争をとめるため、旧来の枠をこえて、社会の全運動の中に飛び込んでいってくれたらと思います。

(編集委員会からお知らせ)

新しい紙名が『未来』に決定しました。ロゴデザインを募集します

本紙の新しい紙名について、多数のご応募ありがとうございました。『進撃』と『未来』がほぼ同数でトップに並び、『インタナショナル』も多数いただきました。 革共同再建協議会での検討の結果、最終的に『未来』に決定しました。
「共産主義者は、労働者階級の直接当面する目的と利害を実現するためにたたかうが、現在の運動の中にあって、同時に運動の未来を代表する」(マルクス・エンゲルス『共産党宣言』)というように、マルクスは「未来」という言葉に共産主義の意味をこめていました。
2月3日発行号から紙名を『未来』に変更します。
さらに、『未来』のロゴデザインを募集します。これも時間をかけて検討したいと考えます。ふるってご応募ください。(編集委員会)