革共同通信・第23号

2008年12月16日発行

非正規労働者の支援・防衛へ

違法・無法な雇止め 派遣切り

1000人規模の正社員削減をすすめている日本IBMの労組(JMIUアイビーエム支部)が、3日記者会見をひらき、退職強要の実態を報告した。
会社は、成績のわるい「ボトムテン」(下位10%)の労働者を、10月から何回も個室によびつけ、あげく「48時間以内に退職届けを出さなければ解雇」と恫喝したという。
労組は「このままでは死者がでる」と訴えた。労組への加入が相次ぎ、抗議の団交が続いている。

「派遣切りホットライン」―全国ユニオン

全国ユニオンが、12・4日比谷集会をまえに、全国で11月末の2日間、「派遣切りホットライン」を行なった。そこには472件の相談が寄せられた。
「今の派遣先(自動車部品製造)に約4年派遣されている。3月までの契約があるが、11月27日に『12月でやめてほしい』といわれた。会社の寮(レオパレス、家賃4万8千円天引き)もでていかなくてはいけない。そんなに急に言われても、郷里に帰っても住むところがない。手取り10万以下だったから、貯金もない。市役所に相談したが生活保護もダメといわれた。もうパニック状態。」(50才男性・栃木県)寄せられた声のひとつである。相談は全世代に及び、とりわけ30〜50代が60%を占め、20代も31件。解雇と雇止めが348件で70%以上になる。
労働契約法(17条で解雇濫用を禁止、ただし罰則規定なし)にさえ完全に違反した途中契約解除や雇止め、「派遣切り」、「請負切り」が、不況を口実に全国にふきあれている。

来春までに10万人単位の解雇

連合が、先月実施した調査(1363組合)によると、この9月からの3ヶ月間で、3社に1社が「雇用調整」を行なったといい、その半分が製造業で、あとは飲食・宿泊、サービスとなっている。今後も40%以上の会社がリストラを計画しているという。
11月末に、厚生労働省が行った非正規雇用調整の企業聞き取り調査でも、10月から来年3月まで非正規雇用労働者の解雇の実施済みないし実施予定が、477件3万67人。ユニオン調査では3万2358人、日ごとに増えている。
数字に出ない中小零細、「正社員切り」、内定取消し、そして倒産・破産(急増している)なども含めると、10万人単位の解雇が労働者を襲うことになる。

「労働者が生きるには派遣法は死ななければならない」

兵庫県下では、阪神大震災時の解雇規模を上回る(神戸新聞)といわれている。
なぜ、このような無茶苦茶なリストラが、一気に、いとも簡単に行なわれているのか。

労働法の85年転換

85年、労働者派遣法が成立し、労基法改悪=男女雇用機会均等法が制定され、職業訓練法も改悪された。「労働法の85年転換」であり、そしてその後の規制緩和の名での改悪の歴史である。それが「究極の労働力商品」=「日雇い派遣」を生み、今日のような非正規雇用労働者の大量の解雇を可能にするシステムと土壌をつくりだしたのだ。
これがいま、眼前で進行する、残酷で野放図な「雇用調整」を可能にした。
経団連の御手洗会長は、これを「苦渋の選択」と呼んだ。労働者を死に追いやって、資本は生き残るということだ。これが新自由主義とグローバリゼーションの正体なのである。

闘う側の反省

「労働法の85年転換」を許した労働組合、闘う側の強烈な反省が求められる。89年に結成した連合は、「正社員の雇用確保」の名のもと、賃下げ・リストラをのみ、非正規雇用労働者の大量導入をゆるしてきた。このことが正に問題なのである。
「派遣切り」とともに、正社員「削減」も容赦なく行われている。いまこそ闘う側の反省をもって、非正規・正規の差別分断をのりこえ、労働者全体の総決起を実現しよう。
「労働者が生きるためには、現行派遣法は死ななければならない!」(派遣切りホットライン)―まさにそうだ。派遣法を廃止させよう。

非正規労働者の決起はじまる

12・4日比谷集会には、「僕らにも新年を」「派遣を切るな」と2千人の非正規雇用労働者、労働組合が決起した。(右記事参照)
奈良・森精機、栃木いすゞ、大分キヤノンと、労働組合に結集した非正規雇用労働者のストライキ、団交申入れ、裁判など、様々な闘いが続々と開始された。京品ホテル労働者の職場占拠・自主営業の闘いも続いている。
このような闘いをもっと拡大しよう。そして究極の姿にまで行き着いた派遣法の完全廃止を実現しよう。85年以来の労働法制の全面改悪によって奪われた権利をうばいかえそう。

「非常時」の闘いを

年末から09年春闘へ、労働組合や闘う団体は、95年阪神大震災被災地支援並みの緊急体制をつくろう。労組や団体の枠をこえ、被解雇労働者の闘争支援、生活防衛の闘いを取りくもう。「解雇撤回」「寮からの追い出し阻止」のために、あらゆる闘いにたちあがろう。団結と知恵と力と物資を闘う労働者へ送ろう。労働局、自治体にたいする行政交渉も行おう。
経団連・政府が、「非常時」「不況脱出を目指しあらゆる努力」(12日 麻生首相)というなら、労働者側も、「非常時の体制」と「非常時の闘い」に入ろう。
年末から、09春闘を前倒しにして、労働者・民衆の熱く暖かい力で、非正規雇用の仲間たちをつつめ。   (労働通信員K)

緊急相談窓口を設置

電話 06−6572−0130
078−652−8847
FAX 078−652−8848
関西合同労組が緊急相談窓口を設置しました。相談が続々と寄せられています。
(なお、各地の労働組合が、リストラ相談をやっています。ネット等でさがせます。)

給油法延長法案の再議決・成立を弾劾する

政府与党は、11日の参議院外交防衛委員会と翌12日午前の参議院本会議での否決を受けて、12日午後の衆議院本会議でインド洋給油法延長法案を再議決し、成立を強行した。 この採決日程は、自民党と民主党が取り引きし、急きょ行なわれたものだ。
採決の情報が入り、全国から抗議の人びとが駆けつけてきた。この間、数カ月にわたって、くり返し国会前の座り込みを行ない、運動を牽引してきた「9条改憲阻止の会」をはじめとする様々なグループが集まった。採決強行を徹底弾劾するとともに、ソマリア沖派兵、アフガニスタン地上部隊派兵、派兵恒久法などの侵略戦争拡大と改憲攻撃にたいして、さらに大きな反対行動をおこそうと決意した。

給油法延長法案の衆議院での再議決に怒りの拳(12月12日午後1時55分頃 国会前)

「派遣社員はモノじゃない」12・4 日比谷集会

12月4日夜、東京・日比谷野外音楽堂で、「派遣法の抜本改正をめざす日比谷集会」が開催され、2千人以上が集まった。
作家の雨宮処凛さんらが呼びかけ、全国ユニオン・全労協・全労連・全日建・全港湾・国労・動労千葉・中小民間などの労働組合が、垣根を越えて結集した。目下、“派遣切り”との闘いの焦点となっている、いすゞ自動車・大分キヤノン・パナソニック・阪急TS添乗員・グッドウィルなどの非正規の労働者が、「派遣社員はモノじゃない」という看板を手に登壇した。集会後、参加者は国会請願デモを行った。

われわれ派遣社員は「モノではない」と登壇した非正規労働者(12月4日東京・日比谷野外音楽堂)

2面

’08もんじゅを廃炉へ!全国集会

2月運転再開阻止をめざし千人がデモー12・6

「もんじゅ」(写真奥)をにらむ白木海岸で抗議集会(12月6日敦賀市)

12月6日、福井県敦賀市白木海岸で、高速増殖炉もんじゅの来年2月運転再開を阻止する行動が行なわれた。
午前中、白木海岸で集会を行い、もんじゅ正門まで850人がデモ。正門前で座り込みを行ない、日本原子力研究開発機構(旧動燃)にたいし、抗議の申し入れ行動を行なった。
午後の敦賀市内での集会では、京都大学の元教官の小林圭二さんが講演し、全国各地の反原発団体から報告と決意が表明された。ナトリウム漏れ事故から13年、注入燃料プルトニウムの劣化、安全点検も不備で、もんじゅは今もボロボロであることがはっきりした。
集会のあと、再度、千人にふくれあがった隊列で市内デモを行なった。(通信員SR)

米軍移転訓練 小松基地に抗議の声 12・1

12月1日から5日まで、青森県三沢基地の第35戦闘航空団から約80人の米兵とF16戦闘機6機が参加して、日本海上空の訓練空域で、小松基地のF15戦闘機と要撃訓練を行いました。
訓練初日の1日、午前7時30分から小松基地正門前で石川県平和運動センター主催の抗議闘争が約100人で行われ、私も参加しました。

朝鮮半島攻撃の要

米軍は小松基地を、朝鮮半島への攻撃の要と位置づけています。 去る11月18日からおこなわれた、航空自衛隊那覇基地と原子力空母ジョージ・ワシントンとの共同訓練にも、小松基地のF15が参加しています。
小松基地に配備されている主力戦闘機F15は制空戦闘、対地・対艦攻撃、偵察にも使える多目的型に進化しています。武器、弾薬、燃料を満載して、朝鮮半島を攻撃して帰投できる能力を備えているのです。

田母神と小松基地

この小松基地で、64人の幹部が「真の近現代史観(侵略戦争を賛美する歴史観)」というテーマで懸賞論文を執筆していることが発覚しました。小松基地にある第6航空団司令を以前にやっていたのが、航空幕僚長を更迭された田母神です。
田母神は「我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者」「穏健な植民地統治」「五族協和を唱え・・・仲良く暮らす」「我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣」などという、とんでもない歴史観を満展開させています。
経済危機と政治危機を突破するために、自衛隊内、特に朝鮮半島攻撃最前線部隊の小松基地に、極右が公然と登場したのです。「5・15事件」「2・26事件」を想起させる事件です。
小松基地周辺住民2千人余が、12月24日に第5次爆音訴訟を提訴します。騒音に苦しむ基地周辺住民の怒りを共有し、米軍移転訓練を阻止しよう。    (通信員 HS)

(投稿)

「医療観察法」廃止 全国集会に参加して

11月24日、東京・南部労政会館にて、「医療観察法をなくす会」などが主催する、「心神喪失等医療観察法の廃止を求める集会」が開かれました。全国各地から「精神障害者」、精神科医、弁護士、学者や多数の労働者など120人が参加しました。
05年に施行された医療観察法は、2010年に法に定められた見直しを迎えます。政府が改悪をねらうのに対して、法の廃止を求めるための集会でした。

保安処分そのもの

医療観察法は、傷害・殺人・放火などの刑事事件を起こして「心神喪失」「心神耗弱」を理由に刑事責任能力がないとされた人を、精神病院に併設された特殊病棟=保安処分病棟に収容するという法律です。全治1週間というかすり傷を負わせた場合でも適用となります。「事件を起こした『精神障害者』は、再び犯罪をおかすかもしれないから予防的に収容する」という保安処分そのものの法です。
01年に起きた池田小事件を口実に、当時の小泉首相が扇動し、「『精神障害者』は凶悪犯罪をくり返すから隔離収容せよ」という大キャンペーンの中で審議され、成立させられました。
国会審議では、論争としては反対派が完勝しました。推進派の論理は破綻したにもかかわらず、法案は自公の数の力で強行可決されました。労働者人民の反対運動が部分的にしか起きなかったことが法制定を許してしまったのです。

薬ももらえず

集会では、医療観察法で収容された本人とその母親、別の当該の母親からの発言がありました。
一人の方は、北海道の人ですが、東京の国立武蔵病院に収容されたものの、この法の適用は必要ないとして解放されました。ところが病院の門前に放り出され、所持金もなく、途方にくれました。なんとか東京の弁護士と連絡がつき、帰ることができたそうです。
もう一人の方は、駐車の仕方をめぐるトラブルでけんかになったというものですが、「健常者」なら説諭ですむような「事件ならざる事件」です。拘置所に収容されていた20日余りの間と鑑定入院の約2ヶ月間に、薬をまともにもらえず、症状がきわめて悪くなり苦しんだそうです。 もし私が薬をもらえなかったらと想うと、その苦痛はたとえようのないものだったでしょう。

国際条約を拠りどころにするのでなく

その後、各地から参加した「精神障害者」や弁護士、医師たちが発言しました。肥前精神医療センターの自殺事件を糾弾するアピールもありました。(注)
集会のメインのひとつとして、「障害者権利条約」の制定に加わったアメリカの方が「国際条約からして『精神障害者』の拘禁は不当なものだ」という発言をされました。「国際条約では、強制医療は拷問に当たるから禁止されている。医療観察法も国際条約が禁じている拷問に当たる」というものでした。国際基準からすれば日本の精神医療は拷問をくり返していることになるということでした。
しかし、発言の中では触れられませんでしたが、その条約には「合理的配慮」という問題があります。「合理的配慮」の名の下に「受忍すべき差別がある」とされているのです。「合理的」な差別は我慢しなければならないというのです。我慢させられる人にとってはたまりません。
このような限界性のある条約を拠りどころとするのではなく、人間としての権利を根拠にしないと、本当に医療観察法をなくしたり、差別を許さないということにはならないと思いました。(MT) (注)昨年12月、国立病院機構肥前精神医療センター(佐賀県)の医療観察法病棟の患者が、横浜の元自宅近くまで逃げて自殺した事件。衝動的ではなく絶望の果ての自殺であることがうかがえ、この法のもとで行われている「精神医療」が精神的拷問であることを示している。詳しくは「保安処分病棟に反対する有志連絡会」の冊子『肥前精神医療センター自殺事件を問う』をご覧ください。ご注文は郵便振替でお願いします。一冊500円です。
口座番号:00960―1―140519
加入者名:共生舎

(おしらせ)08年「三里塚団結野菜市」

新鮮な無農薬・有機野菜を三里塚から直送

農業を守るべき農地法によって農地を強奪しようという無法に対し、「畑をつくることが私の実力闘争」とたたかいぬく市東孝雄さん。今年も団結野菜市に集まろう。
▽とき/12月27日(土)朝8:00〜
▽ところ/日本キリスト教団明石教会(JR・山陽電鉄「明石」駅より南東へ徒歩7分、国道2号線沿い・関電西側)
▽注文・問合せ/三里塚決戦勝利関西実行委員会 電話・FAX 0799−72−5242(12/20締切)

阪神淡路大震災14周年 被災地総行動

阪神淡路大震災14周年の集会が、「生きる権利をとりもどそう」をかかげておこなわれます。
貧困や格差、非正規・派遣労働者へのリストラ、中小零細企業の倒産、「障害者」・高齢者の医療・福祉の破壊などが全面化しています。14年前に阪神・淡路地域が経験した、大震災による地方的な失業・貧困とは比べものにならない大失業と貧困が、全国的に襲いかかっています。
案内状では、「生きるために助けあってきた共闘の力が、いまこそ求められています。全国の労働者、失業者、住民は力をあわせ大不況時代を生きのび、生存権としての社会保障制度、年金・医療、労働保険、介護・福祉、公営住宅や公的扶助(生活保護など)切り捨てを許さず、たたかいましょう。同和住宅の家賃値上げに反対してたたかう住民を励まし助けあって、差押さえや追いだしを止めるための集会でもあります。居住権についての講演をうけ、寸劇などをまじえ、みんながつくるみんなの集会にしましょう」と呼びかけられています。(通信員M)

仕事をよこせ! 家賃値上げをやめろ! 助けあい、たたかおう ― 震災14周年 被災地反失業総行動集会

▽と き /1月12日(月・休)午後1時30分〜
▽ところ/ 新長田勤労市民センター(JR・地下鉄「新長田」駅下車すぐ 大丸・ジョイプラ3階)
▽主な内容/講演 家正治さん(神戸外国語大学名誉教授)、寸劇「名月高取山」、フリートーク、他
▽参加費/無料
▽主 催/ 被災地反失業総行動参加団体連絡会(電話 078−652−8847)

3面

門真三中(大阪府)の不起立教員への処分許すな 2・1 憲法集会を成功させよう

来年2月1日に、大阪・守口市で、土井たか子さんと北村小夜さんの講演を中心とする『輝け憲法! 許すな「日の丸・君が代」強制! 2・1大集会』が開かれる。
今年3月、門真三中卒業式での「君が代」不起立に対する、『産経新聞』による反動的大キャンペーンと右翼の攻撃があり、教育委員会は処分策動を強めている。こうした反動をはね返し、闘う陣形は大きく広がりつつある。闘う労働者・人民の一大共同闘争として開かれる2・1憲法集会の成功のために、全力で奮闘しよう。

産経新聞の悪質なキャンペーン(左は08年3月27日、右は08年4月2日)

「日の丸・君が代」強制と憲法破壊

今年3月、門真三中の卒業式では、数年にわたる平和教育の実践の帰結として、教職員・生徒のほぼ全員が「君が代」不起立を行った。 これに対して『産経新聞』が一大キャンペーンを行い、右翼が大量のFAXや電話を学校に集中し、街宣車で威圧を加えてきた。門真市教育委員会は、教職員に対して処分のための事情聴取を執拗にくり返してきた。 しかし門真三中の仲間は、この攻撃をはね返し、12月に至るも処分を許していない。
さらに、学力テストの公開・私学助成のカットなど、教育破壊をくりかえす橋下大阪府知事・府教委が直接呼び出しをかけてきたが、大衆的反撃でこれをも頓挫させている。
この過程をともに闘ってきた門真・守口の市会議員や教育関係者が、処分を許さず09年も引き続き闘おうと、広く関西の仲間に呼びかけ、2・1集会が企画された。
よびかけ・賛同には、地元門真・守口の市議や教育労働者を先頭に、京都・大阪・奈良・兵庫の憲法闘争を闘う仲間、各地の議員やキリスト教関係者、闘う労働組合・部落解放闘争団体・住民団体が呼応し、憲法を武器に「日の丸・君が代」強制をはねのける一大共同行動となろうとしている。
昨年成立した国民投票法が2010年5月に施行されるのを前に、社会の全分野で進む憲法破壊にたいして、違いをのりこえ共同闘争をつくろうという労働者・人民の願いが、このような広範な陣形に結実したのだ。

全分野にわかる憲法停止

自衛隊海外派兵の恒常化(9条の否定)、健康で文化的な生活を保障した25条の否定である障害者自立支援法や後期高齢者医療制度、また派遣労働者の大量解雇や就職内定者の取り消しなど、勤労の権利(27条)の否定、さらにはビラまき有罪判決、「日の丸・君が代」強制・処分攻撃など、今日の改憲攻撃は、社会の全分野において憲法停止ともいうべき形で進んでいる。

自衛軍の新設

憲法改悪の動きは、01年9・11以降のアメリカ帝国主義による「対テロ戦争」「長期にわたる戦争」戦略として、米軍再編によるPAC3の全国配備や米原子力空母の横須賀母港化などの日米軍事一体化と連動している。 とりわけ沖縄では、辺野古新基地建設がねらわれ、日米軍事訓練は常態化し、憲法9条=平和に生きる権利が否定されている。
また自衛隊海外派兵は91年以降1年の休みもなく行われてきた。
この中から05年には、第9条を安全保障の条項に変え、戦争放棄を破棄し、自衛軍を新設する自民党新憲法草案が作られた。
また自衛隊内部には独自の国軍化を志向する勢力が急増し、それが今回の田母神「決起」となった。1930年代、政党政治の破壊から軍部主導の国家総力戦体制構築にいたった帝国陸軍の道を、彼らは追求しているのだ。

大量首切り

また経済分野においても、日本帝国主義独自の東アジア経済圏の構築がままならず、国際的争闘戦の激化で小泉政権以降は新自由主義攻撃を一気におし進め、社会全体に急速に格差・貧困をつくりだしている。
その上に、9月アメリカ発の金融恐慌が日本の実体経済を直撃し、自動車・電機をはじめとする大資本は延命のため、来年3月までに数十万の労働者の首切りを行おうとしている。 人間が人間らしく生きるという憲法で保障された権利が、資本の論理で公々然と否定されようとしているのだ。

「貧困と戦争」をうち破る改憲阻止の大闘争を

こうして貧困と戦争を労働者・人民に強制し、支配の危機を突破せんとする日本帝国主義にとって最大のネックになっているのが、憲法9条と労働者・人民の闘いの存在だ。06年に教育基本法を改悪し、07年には憲法改悪のための国民投票法を制定したが、改憲突撃政権であった安倍政権が07年参議院選挙で大敗し、いまや支配階級は政治においても経済においても出口なしの危機にある。
麻生政権がわずか2カ月で崩壊の危機に直面したのは、5年をこえる小泉政治(「自民党をぶっこわす」聖域なき構造改革)の行き詰まりと、安倍・福田と続く政権放棄の構造が、麻生にも重くのしかかっているからだ。
それは、帝国主義の戦後発展の条件が完全に失われ、独自の国家戦略を持たない日本帝国主義が完全に行き詰まったもので、旧来の自民党(派閥交代)的政権交代、また民主党への政権交代でも突破できるものではない。
このような帝国主義の支配の危機に対し、求められているのは、帝国主義の救済ではなく打倒だ。「貧困と戦争」を強制することなしには延命できない帝国主義の政治支配を食いやぶる、「仕事をよこせ、戦争をやめろ」と要求する直接的大衆行動をまきおこそう。

全分野で広がる闘い

95年の日経連報告と01年以降の小泉構造改革にたいし、既成政党・労働組合は屈服を重ねてきた(とりわけ製造業の大組合が自己の雇用と引きかえに派遣を認めた事の罪は大きい)が、これをもうち破る闘いがいま確実に進行している。
また、自立支援法にたいする「障害者」の闘いは3年にわたり、自・公政権を追いつめている。
沖縄における07年9・29の11万決起は、辺野古新基地建設・自公県政に大きく立ちはだかっている。岩国の闘いも同様だ。 このうねりが、今や派遣労働者や、自民党に裏切り続けられてきた全国の農民・漁民に広がろうとしている。
改憲攻撃の激化にたいしても、広範な労働者・人民の決起が続いている。百万人署名運動の10年にわたる運動の継続と、「小異を残して大同につく」という共闘原則は、人民の共感をつくりだしてきた。そして貧困と闘う仲間が、違いをのりこえ垣根を低くしともに闘おうと共同闘争を呼びかけている。改憲阻止の共同闘争=統一戦線への希求はかつてなく高まっている。
イラク反戦・教育基本法闘争・障害者自支援法反対闘争、そして反貧困の闘いの中で、憲法闘争はますます重要になってきている。
現憲法にある否定的側面(天皇条項や国民条項など)は、日本帝国主義を打ち倒す民衆の闘いのうねりの中で突破されなくてはならない。
2・1集会を、新たな憲法闘争を切りひらく歴史的出発点にしよう。 この憲法闘争と戦闘的労働運動が結合するとき、闘いは政府を揺るがすだろう。     (島田健一)

輝け憲法!許すな「日の丸・君が代」強制!2・1大集会(集会要綱)

日時:09年2月1日(日) 午後1時半開始
場所:大阪府・守口文化センター大ホール(京阪電鉄・守口市駅すぐそば)
プログラム:
 ◎講演・土井たか子(社民党元党首・憲法学者)
    ・北村小夜(「障害児を普通学級へ・全国連絡会」世話人)
 ◎門真三中「君が代」不起立の報告
 ◎反戦・労働歌ミニライブ/ビデオ上映
呼びかけ:小川登(9条改憲阻止の会・関西代表)、梶原義行(百万人署名運動兵庫県連絡会世話人)、佐藤三郎(憲法の改悪に反対する元教職員ひょうごネットワーク共同代表)、重藤英一(門真市中学校教諭)、戸田ひさよし(門真市議会議員)、仲尾宏(京都造形芸術大学客員教授)、平井文則(日本キリスト教団牧師)、藤原好雄(百万人署名運動奈良県連絡会世話人)、三浦たけお(守口市議会議員)、宮川謙二(「日の丸・君が代」被処分者)、村山盛忠(日本キリスト教団牧師)、9条改憲阻止の会・関西、連帯ユニオン(近畿地本、関西地区生コン支部、近畿地区トラック支部)、守口門真教育を考える会
賛同(順不同):辻元清美(衆議院議員) 服部良一(山内徳信参議院議員秘書) 中西とも子(箕面市議会議員) 小西弘泰(高槻市議会議員・医師) 山下けいき(茨木市議会議員) 田中直子(「日の丸・君が代」処分とたたかう大阪教育労働者の会) 全国金属機械労働組合港合同 関西合同労働組合 部落解放同盟全国連合会 とめよう戦争への道!百万人署名運動関西連絡会 ほか多数
主催:2・1大集会実行委員会(連絡先:大阪府守口市西郷通2−11−15 三浦事務所気付)

星野文昭さんを自由に ―第2次再審勝利へ―11・29全国集会

29日、東京・四谷区民ホールに全国から440人が集まりました。
集会に参加したすべての人が星野さんの奪還を誓った(11月29日東京)
7月の最高裁特別抗告棄却を弾劾し、来春第2次再審請求を行うとの報告が、再審弁護団からありました。
獄中の星野文昭さんから「再審・釈放と、獄中・家族と、全ての労働者人民の解放のために、新たなる決意と体制を固め共に闘いましょう。」としめくくる決意のメッセージがよせられました。
全国再審連絡会議に集う全国の仲間とともに、星野さん奪還の闘いを広げよう。そのためにも星野カレンダーを多くの人々に持ち込もう。獄中の星野さんに年賀状を出そう。
宛先:〒779―3133
徳島市入田町大久200−1

4面

搾取か収奪か 掛川論文(本紙21〜22号)への意見

掛川氏は、「〈生産資本から架空貨幣資本に基軸が移行した〉と概念規定を行うことは、現象に振り回され過ぎだと言えよう」「究極的には剰余労働をどれだけ搾取したかによってその存在は規定されている」と、HT通信員の説を批判されています。
しかし、私は、現下の状況は「生産資本から架空貨幣資本に基軸が移行した」と捉える方が正しいと思います。なぜなら、それが資本主義の発展が最後的に行き詰まった、崩壊直前の状態であると思うからです。
だから逆に「新たな信用資本主義」などと新段階的に言うのも間違っていると思っています。

架空の貨幣資本とは

この論争の前提になる架空性・架空貨幣資本について、少し述べたいと思います。

1、消費税の詐欺的手法

まず消費税。販売価格(生産価格)100円のものを105円で売って5円の税金をとるというものですが、この5円に相当する価値はまったく創られていないのですから、架空そのものです。
にもかかわらず政府は、収入に対応した高額所得者の所得税や法人税を減らして、大衆収奪である消費税の増税で埋めているのですから、増税の根拠を現実・実体から架空話につまり詐欺的手法に、政府自身が転換していると言えるのではないでしょうか。

株の額面と時価

次に株。会社を設立し、100円の株を発行して資本金100円を得て事業を始めた。業績がよく高配当したため、額面100円の株券が500円で取り引きされるようになったとすると、500マイナス100、つまり400円に相当する価値はどこにあるのですか。
額面の100円分は会社の機械などに対応していますが、400円はまったくの架空です。そして経済界・社会は 株価の上がり下がりに一喜一憂しています。今回の金融危機でも、所有証券の評価額が下がって倒産したという例も生じています。架空が現実資本(実体経済)の生死を握っているのではないでしょうか。

実体のない国債

国債。政府が国債を発行して得たお金は、公務員の賃金などに使われてなくなっているのに、買った国債を担保にすれば、お金を借りることができます。
利子を無視すれば、最初に持っていた100円は国債を買ってなくなったはずなのに、しかも現実にも政府によって使われてしまったのに、再度借りた100円が手元にあるのです。この後の100円は何一つ実体とは対応していず、架空そのものです。
日本の国と地方の長期債務残高は、GDPの約1・5倍の800兆円と言われています。国債と地方債だけで、すでに架空が実体生産をこえているのです。世界の金融資産の合計は、GDPの約3・5倍と言われています。

2、架空の貨幣資本の利潤の源泉

ところでこの膨大な架空の貨幣資本は、どこから利潤を得ているのでしょうか。

搾取後の労賃から収奪

投機的儲けはすべて再投資に回され、収入としては使われないで、産業資本の利潤から得た利子分だけを貨幣資本家が収入としているのなら、確かに生産資本が軸と言えるでしょう。
しかし、今回の金融危機の発端になったサブプライムローンは、低所得の労働者の給料から払われています。つまり、搾取後の労賃から収奪しているのです。最初にあげた消費税も同じく、搾取後の労賃から収奪しているのです。もともと税金は搾取ではなく収奪です。

さらに略奪

さらに、対応する価値としては創られていない投機的儲けも、収入として使われています。
株価が400円から500円に上がって100円儲かったとして、この100円で買うものはどこにあるのかです。400円から500円の上昇は、単なる架空資本(擬制資本)の名目的上昇なので、対応するモノはどこにも創られていません。にもかかわらず、資本主義ではお金があれば買えるのです。だから本来買うべき人は買えなくなります。
これは搾取ではありません。貨幣資本が、架空資本での儲けを使って、現実の価値を略奪しているのです。

3、ヘゲモニーは貨幣資本

つまり現在の(架空の)貨幣資本は、産業資本から利子をとるだけではなく、すべての人びとから収奪も略奪もしているのです。
もちろん、産業資本が、膨大にふくれ上がった貨幣資本に利子を払うために、労働者の労賃を切り下げたりクビ切りしたりしますが、これ自身、貨幣資本が産業資本の利潤をこえて利子をとろうとするからです。ヘゲモニーが、明らかに貨幣資本の方に移動しているのです。

不安定雇用

もし産業資本の方にヘゲモニーがあるなら、「今は利潤がでないから利子は払えない」と言えるじゃないですか。そんなことをしたら即倒産です。
だから、生産過程の合理性を無視した人員削減や高給の熟練工が低賃金の派遣やアルバイトに置き換えられることが、蔓延しているのです。それだけではなく、食料品の偽装が後を絶たないのも、原因は同じであり、偽装は明らかに詐欺的収奪・略奪です。

反貧困のたたかいが、警察による少年射殺をきっかけに、ゼネストと市街戦に発展(12月12日ギリシャ・アテネ市内)

恐慌対策も架空資本へ

さらに、今回の金融危機の対策として、日米欧の各国は、膨大なカネを銀行や証券、保険に投入しました。それだけのカネが出せるのなら、もともとの原因である個人のサブプライムローンの焦げつきを、国が肩代りすれば済んだのではないかと思います。そうすれば、ローンを払えなくなった人が住む家をとりあげられることはなかったのです。
つまり政府の対策自身が、実体ではなく架空の方でしか考えられていないのです。しかも、架空での対策は、実体での対策の数倍のお金を必要とするのにです。
石油価格が高騰したのは投機マネーのせいであり、日々テレビで放映される為替変動も貿易とは無関係に投機マネーが動かしており、現在の世界経済状況は、「架空貨幣資本に基軸が移行した」状態です。

4.資本主義の拡大再生産の行きづまり

理論的には、利子は利潤から支払われるので、利潤の方が大きいです。だから、本来なら、貨幣資本家は株主として産業資本家に投資します。
貨幣資本が投機に走るということは、利潤の分け前である配当や利子が期待できなくなって、利子率の低下と買いの殺到で値上がりする株や土地などの売買差額で儲けを出そうとするからです。
つまり、投機の全盛は、資本主義の発展・拡大再生産が行き詰まったことの資本家的表現なのです。それは同時に、失業資本つまり投資先のない架空貨幣資本が、膨大に膨れ上がっていることの表現でもあるのです。

搾取も収奪も

これを労働者人民に引きつけて言えば、搾取の上に収奪もされるということです。
ここ10年ほど「格差」が問題になっていますが、搾取の上に収奪もされるようになったから(そしてそれをテコに更に搾取も強化されたから)格差が生じているのです。消費税も赤字国債もない、収奪があまり問題にならなかった以前は、「総中流化」でした。
「架空貨幣資本に基軸が移行した」と捉えることは、帝国主義・資本主義がついに終わりを迎えたということを、理論的により鮮明にすることではないでしょうか。
「搾取か収奪か」から「労働運動か民族解放闘争か」と二律背反的に問題をたてることは間違っていると思います。それぞれが一対一的に対応するとは思いませんが、それはともかく、搾取の上に収奪・略奪もされているのですから、労働運動も民族解放闘争もどちらも必要なのではないでしょうか。     (松崎五郎)

■編集委員会から

恐慌への突入という問題をどのようにとらえるかをめぐって、論議が始まっています。本紙18号にHT論文が掲載され、それにたいする批判として本紙21号・22号に掛川論文が出されました。さらに掛川論文にたいして、今号に松崎論文が寄せられました。
この論争を、マルクスのマルクス主義の復権と現代帝国主義論の深化・再確立のための論議として積極的に推進したいと考えます。
また、実践的なテーマから理論問題まで、機関紙上で公然と論争する作風を蘇らせたいと考えています。それは、硬直し閉塞し思考を停止させた安田派的な組織から、党内民主主義を回復し、反スターリン主義を再生するたたかいとなるからです。
党の内外からの論戦への参加を呼びかけます。

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(おしらせ)〜年末年始の発行について〜

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