革共同通信・第22号

2008年12月2日発行

給油新法延長法案を廃案へ 自衛隊はインド洋からもどれ

政府は、国会の会期を12月25日まで延長した。「インド洋での米軍等への軍事支援、給油をやめろ」「税金を戦争に使うな」「自衛隊を海外派兵するな」という根強い世論を背景に、給油新法の延長はしている。給油新法の延長を廃案にたたき込み、麻生政権を打倒しよう。

迷走する麻生政権

麻生政権は、発足後2か月で、はやくも末期的な危機に突入している。
もともと福田内閣の低迷を、麻生の顔に変えて何とか総選挙につなごうとした悪あがきだった。ところが、そこへ、アメリカ発の世界金融危機、同時大不況がおこり、日本帝国主義の実体経済を直撃した。麻生政権は労働者人民の生活苦と怒りの声に包囲され、迷走している。

給付金でなく仕事を

自動車メーカー7社は、派遣や期間雇用の労働者8100人の首切りを開始した。これを含め、来年3月までに全業種で3万人を超える非正規雇用労働者が解雇・雇い止めされようとしている。
労働者は「仕事がない、お金がない」と怒っている。中小零細も深刻な危機に直面している。仕事がなくなった、自己破産しかない、店を閉めなければならないというような状況が起こっている。金融機関は貸さない、貸しはがしである。
選挙目当ての定額給付金が、何の足しにもならないのは明らかだ。破産争議をたたかっている労働者たちは、「働きつづけられる仕事、職場を求めているんだ」と言っている。

反動性を露呈する麻生

麻生は、記者会見で第2次補正予算について問われ、「第1次補正で大企業の方々は納得している」とこたえた。労働者人民の生活などまったく関心がないことを暴露した。それほどあけすけに大資本の利害擁護、労働者人民無視の政権だ。

麻生は田母神と同じ

「集団的自衛権の行使」にむけ、憲法解釈の変更に言及し、給油新法の延長では、国会会期を延長し、衆議院での再議決を辞さず、成立を強行しようとしている。「日本が侵略国家というのは濡れ衣」「憲法9条は変えるべき」という田母神(航空幕僚長・当時)の国会での発言にもまったく静観している。侵略戦争を反省しないという点で、麻生と田母神は同根の主張なのだ。
労働者人民の力で給油新法延長を阻止し、自衛隊をインド洋から引き戻そう。麻生政権を倒そう。

沖縄から見る 米軍と自衛隊そして9条  知花昌一さんの講演から

講演する知花昌一さん(11月24日芦屋市)

激化する共同訓練

11月に入って沖縄では米原潜が頻繁に入港、原子力空母ジョージ・ワシントンも加わって自衛隊との共同訓練がおこなわれている。海上自衛隊の艦船十数隻、航空自衛隊の戦闘機も数十機が参加している。本土の新聞ではあまり報道もないが、沖縄の新聞は連日大きく書いている。その前には、韓国軍と共同演習があった。
原潜は通告もなく入港し、沖縄県民は怒っている。今回の訓練を米軍は「日米軍事同盟の変革」と言っている。彼らが「変革」を言うほど、これまでになかったことをやっている。どんどんすすんでいる。田母神の発言も、こういうことに裏打ちされてのことではないか。
訓練で原潜が出す音波などで、辺野古のジュゴンも逃げている。

沖縄は9条の枠外

私たちにとって憲法9条は非常に複雑な想いがある。憲法がつくられたときも、安保条約締結のときも、沖縄は「日本」ではなかった。私たちが知らないところで憲法がつくられ、その恩恵、効果も受けることはなかった。しかも日米安保の重荷を背負わされた。それを考えざるを得ない。しかも9条がありながら、戦争体制が着々とすすめられている。

「9条を変えるな」とは

私たちは「憲法を守る」と言い、私も呼びかけ人である百万人署名運動は「9条を変えるな」と言っているが、そう言うとき「守るべき実態」は何か。
やはり「憲法9条」は守らないといけない。でも「守る」と言う前提には、「ある」ということがある。9条には「軍事力は持たない。交戦権は認めない」とうたわれているが、実態は形骸化されようとしている。
沖縄から見れば、守るだけではすまない。ないものねだりだったかも知れないが、いちばん憲法9条を求めてきたのは沖縄ではなかったか。72年に本土復帰したときも、そういう想いだった。ところが、9条は沖縄にもたらされなかった。米軍基地がいっぱいあり生活を圧迫し、ベトナムからアフガニスタン、イラク、世界に米軍が出撃していっている。9条の中味がなくされている。
それでも9条が果たしてきた役割は大きい。いま、もう一度見直し、その中味に近づけていく、そういうたたかいをやらなくてはならない。「守る」ということは、私は必要だと思う。「守る」べきものをとり返しながら。方法は、いろいろある。小さなたたかいでも繰り返していく。

最後に勝利できる

たいてい、たたかいは負けつづけている。沖縄もその連続だ。私の住む読谷からでも辺野古や北部・高江まで行くのは大変。困難であり、負けながら小さな勝利を積み重ねていく。踏みとどまり、めげずにやっていくのが私たち民衆のたたかいだ。最後は私たちは勝利できる。
(11月24日、兵庫県芦屋市でおこなわれた「9条改憲阻止の集い」〔下記事参照〕での報告要旨。文責本紙)

9条改憲阻止のつどい〔兵庫〕 知花さん・纐纈さんをむかえて 田母神発言を徹底批判

165人が集まった「11・24改憲阻止の集い」(芦屋市)

「田母神論文は稚拙だが、看過できない。言っていることは自衛隊を国防軍にせよ、ということ」「改憲阻止を私たちの答えにしよう」。
11月24日、「―いまに問う、9条改憲と日本の軍事体制―改憲阻止の集い」が兵庫県・芦屋市で開かれた。「とめよう戦争への道!百万人署名運動・兵庫県連絡会」がよびかけ、91人16団体が賛同。様々な場所で改憲阻止をかかげ行動する人たち165人が幅広く集まり盛会だった。
「沖縄からみる憲法9条」について、知花昌一さん(沖縄・読谷村議)が発言(上記参照)。
纐纈厚さん(山口大学教授)は、田母神論文を徹底批判。日米軍事一体化と自衛隊の国防軍への動機を明らかにし、「人権も含め9条を第1条にするような憲法にしたい。そのためには、いま9条を変えさせない広範なとりくみが必要。確信をもって『左』から、あらゆる形で9条改憲阻止にとりくもう」と明解に話した。
田母神の国会参考人招致の際、傍聴にかけつけた女性は、「開き直っている。野党の追及も核心に迫れていない。私たち自身の行動が大事」と訴えた。
まとめは、「9条を変えるな!派兵恒久法反対!百万人署名が、30万筆へあと一歩。過去の署名運動に学び、みんなで広げていこう」とよびかけた。
 (投稿・山岸)

「もんじゅ」を廃炉へ!2月運転再開阻止 12・6集会

相次ぐ故障

95年12月8日、高速増殖炉「もんじゅ」が、ナトリウム火災事故を引きおこした。当時の動燃(動力炉・核燃料開発事業団)は解体され、現在は原子力機構(日本原子力研究開発機構)に再編されている。この原子力機構は、管理能力も点検能力もない旧動燃の体質を引きついでいる。
昨年10月、原子力機構は、国の安全総点検で指摘された事項への対応はすべて終了したとの報告書を提出した。ところがそれ以降もナトリウム漏洩検知器の誤警報が続発、今年9月には点検を終えた検知器が誤警報を発し、10月運転再開は不可能となった。燃料のプルトニウムも劣化し、新しい燃料を製造しなければならなくなっているが、原子力機構は、来年2月に運転を再開するとしている。

1995年に大事故を起こし、以降停止したままの高速増殖炉「もんじゅ」

世界の趨勢は高速増殖炉から撤退

「もんじゅ」は原型炉と呼ばれる。実用化までには臨界実験にはじまり、実験炉、原型炉、実証炉、実用炉と段階を踏まなければならず、見通しはたっていない。各国とも実用にはいたらず、先に開発をはじめた国から順に撤退している。 唯一稼働しているのは、インドの実験炉FBTRだけだが
、これは純然たる核兵器製造用だ。
各国が撤退した理由は、技術的に困難であり、あまりにも危険だということ、経済的に成り立たないことにある。それでもなお、高速増殖炉を推進するのは、軍事目的以外にはありえないのだ。

2秒の遅れで炉心溶融

1951年に世界ではじめて原子力発電を行なったアメリカの高速増殖炉EBR―1は、55年に暴走事故を起こした。わずか2秒の停止操作の遅れで炉心の40〜50%が溶融してしまった。
66年には、同じくアメリカの高速増殖炉=フェルミ炉で炉心溶融事故が発生した。高速増殖炉の核分裂連鎖反応のスピードは軽水炉の250倍も早く、したがって暴走の早さも250倍になる。

ナトリウム使用の危険性

冷却材にナトリウムを使うことが、「もんじゅ」の構造をむずかしく、複雑にしている。ナトリウムを使うことで、危険性は、化学的な危険、物理的な危険、放射能の危険と多方面におよぶ。
ナトリウムは、化学的な活性が強いため、自然界に単体の金属としては存在していない。水に触れると爆発的に反応する。
「もんじゅ」のナトリウムは、二次冷却系でも摂氏500度を越えるが、200度以上のナトリウムが空気中に漏れると燃えて火災をおこす。ナトリウムの漏洩による火災事故は、アメリカを除いても138件確認されている。

プルトニウム1グラムは2400万人の致死量

「もんじゅ」に使われるプルトニウム1グラムは、(25歳の喫煙男性に100%の確率で致死的な肺がんを引きおこす量に換算して)2400万人分の致死量に相当する(アメリカの医学・物理学者、ゴフマン博士)。
これが1トンも使われる。漏れを完全に防ぐことなど不可能だ。

直下に活断層

配管が薄く長く蛇行している「もんじゅ」は、構造上、地震に非常に弱い。
国は、「活断層の上には原発は建てない」といってきたが、原子力機構は、新たに2本の活断層の存在を認めた。白木―丹生断層は直下1キロ、C断層は直下5キロを横切っている。「原発震災・総被曝」の危機だ。

改憲は核武装への道

「もんじゅ」の目的は、核兵器に転用するプルトニウム製造にある。
内閣府などの報告によれば、日本はすでに約45トンのプルトニウムを保有している。これは、長崎に投下された原爆に換算すると5600発以上になる。しかも直ちに原爆材料となる兵器級プルトニウム(純度93%以上)も、文科省の発表で36キロも製造している。

「憲法上、核兵器の保有も使用も可能」

「自衛のための必要最小限の範囲を超えないならば、憲法上、核兵器を保有することも使用することも可能である」。1957年、当時の岸首相が国会でこう答弁した。これは、日本政府が今も変えていない公式見解である。「非核三原則」は、さしあたりの政策にすぎないというのだ。
改憲は戦争にむけた大攻撃であり、日本の核武装へ一気に道を開くものだ。改憲阻止、核武装阻止と一体で「もんじゅ」を廃炉に追い込もう。

2面

橋下府政による教職員攻撃をはねかえそう

橋下大阪府知事は、10月26日と11月24日に、「大阪の教育を考える府民討論会」を開催した。
会場前で、橋下改革に反対する教育労働者らがビラをまき、右翼が橋下支持のマイク宣伝をするなか、とくに第一回討論会は、会場内が闘う教育労働者たちと橋下との直接対決の場となった。

「ダメ教師を排除」とあおる

参加した教育労働者らが「予算を増やせ」「『クソ教育委員会』発言を撤回しろ」など、橋下の改革攻撃に批判をあびせたのに対して、橋下は「こういう教員に子どもたちを任せられない」「こういう教員が現場で暴れている」などと一般府民に教員攻撃をあおり、日教組攻撃をした中山成彬発言を支持して、「ああいう教師たちがいるから大阪の教育はダメになっていく。みなさんで1割のどうしようもないダメ教師を排除してください」(10月26日)と言い放った。
これこそ橋下流ポピュリズムの手口だ。場内はヤジと拍手が交錯して、闘う労働者と、橋下支持層の府民との対立の様相となった。
一般府民と府職員や教職員との間に分断をつくりだし、公務員と労働組合への攻撃に大衆を取り込もうとする新自由主義者のねらいを許さず、教育をめぐる労働者の闘いと府民の要求を一つにして闘わなければならない。

「泣きっ面」の橋下大阪府知事

選別と競争の教育

討論会では、財政再建よりも教育のあり方がテーマとされた。
学力テスト結果の公表などで、競争をあおって「学力日本一」をめざす橋下の教育論は、子どもたちのための教育論議ではない。
「総合的な人間力を」と発言した教員や、「競争では夢は育たない」「府は条件整備にもっと金をかけるべき」と発言した保護者など、教育について真剣に考えた意見にたいして、橋下は「人間力などどうでもいい」と一方的に切りすて、「できる子は競争に参加させる。できない子は救います」と、選別教育の推進を断言した。そして、教育委員に抜擢した陰山(立命館大教授)に、持論の反復学習論をしゃべらせた。

不起立の拡大を

討論は、まったく噛み合わないものだった。橋下と労働者、府民の間に議論の余地はない。闘いによって橋下をうち倒していかなければならない。
第18回全国産業教育フェア大阪大会(11月2日)で橋下は、全国の職業高校生を前に、「国歌斉唱時は(声が小さく)残念だった。社会を意識するためには国旗や国歌を意識しなければならない」「いろいろな意見はあるが、それは大人になって議論すればいい」と訓辞した。大人になるまで何も考えず、「君が代」を大声で歌えということだ。
府教委は、この橋下の意向にそって、門真市で「君が代」不起立に懲戒処分の策動を強めている。闘う教育労働者にたいする事情聴取の呼び出しが、8度にもわたっている。
石原都政のもとで不屈に闘う教育労働者と連帯して、2月1日の憲法・「日の丸・君が代」大集会(守口市)を大成功させよう。不起立の拡大を軸に、09年卒業式闘争に起ちあがろう。

不当処分・不当労働行為を労働委員会に提訴 −兵庫・加古川郵便局

民営化後はじめての労働委員会闘争

10月10日、兵庫県加古川郵便局のJP労組加古川分会教宣部長・江渡積(えどいさお)さんが、雇用主である郵便事業会社を相手取り労働委員会提訴を行いました。
江渡さんは前JPU(旧全逓)加古川分会長でしたが、JPUが全郵政と合併するにあたり、分会長は支部執行委員の中から任命するという口実ではずされました。
文字通りの御用二組である全郵政にJPU(旧全逓)が迎合するかたちで労働組合の合併が行われ、新組合であるJP労組では分会長の任命制や、支部執行委員候補から左派系の者を名指しで排除することが行われました。

不当処分・不当労働行為

この加古川郵便局事案とは、@分会員への挑発を繰り返して行ったあげくの処分と、A20年間、発行され続けてきた分会機関紙『躍動』に対して、梅澤支店長が中身について干渉した不当労働行為事件です。
分会掲示板への掲示を禁止したばかりか、梅澤支店長への批判や当局施策への批判を書き続けるなら分会事務所・分会掲示板の便宜供与をやめて取り上げるという「最後通告」を行ってきたのです。

全国で読まれる『躍動』

加古川分会機関紙『躍動』は関西のみならず全国の左派系の支部・分会・活動家に読まれており、闘いの指針となっている存在です。JP労組の労使協調路線の中、原則的労働運動を貫いている『躍動』は、活動家にとっては他に代えがたいものです。 その発行停止かという事態に、関西各地から郵政内外の11人の代理人・補佐人が集まりました。不当処分に対しては第三者機関に提訴して闘うという左派の伝統的方針でもあります。
労働委員会の初めての実質的調査である第二回調査が11月10日に行われました。調査は非公開ということで中身を書けませんが、委員会としては和解を勧めたいようです。



原則的労働運動を貫いている『躍動』
労働委員会への申し立てを伝える490号

分会員の怒り

争われているのは「ワンフロアー化」という失敗した合理化についての組合員の不満・怒りが爆発したことに対する処分であり、分会員の怒りを表現した分会機関紙『躍動』に対する攻撃です。
「ワンフロアー化」とは、一階と二階に分かれていた集配課(配達を担当する部署)を一階に集中したものです。半分の狭さとなったため仕事がきわめてやりづらくなり、組合員の怒りが噴出しました。その怒った組合員をさらに挑発して処分を乱発したのです。
江渡さんは分会内で協議を続け、分会員の怒りを代表し、このたび個人提訴として郵便事業会社の不当労働行為に対する提訴を行いました。江渡さんは「挑発を繰り返したあげくの処分を許せない。『躍動』はライフワークのひとつです。それをかくも踏みにじった輩を私は絶対許すことは出来ない。形式は個人申立てだが、内実はJP労組加古川分会―JP労組はりま東支部による申立てにほかなりません」と述べています。
注目と支援をお願いします。支援カンパのご協力もあわせてお願いします。
◆労働委員会の次回第3回調査日は12月12日(金)10時半より。第4回調査日は1月16日(金)10時半より。場所はいずれも県庁3号館8階兵庫県労働委員会です。 (通信員MT)

国労臨大闘争弾圧裁判(松崎被告) 7被告との弁論の併合を申立

11月17日、東京地裁において、5・27国労臨大闘争弾圧の松崎被告の公判が行われました。前回9月の公判で、職権による弁論分離決定(本年5月、松崎被告と他の7人の被告を別々に審理することを決めた)を行った裁判官にたいする忌避申立を行って以降、初めての公判でした。
今回の公判では、被告・弁護側から、分離された弁論を統一公判に戻すことを求める、「弁論併合の申立」が行われました。

裁判官忌避を却下

忌避申立は、最高裁まで争いましたが、不当にも却下されました。今回の公判は、弁護人から、予断を排してあたるよう、改めて裁判官の姿勢を糾すことから始まりました。
そして、松崎被告の意見陳述。弁論分離決定を行った植村裁判長は、最高裁から本裁判闘争を破壊するために送り込まれた極悪の治安判事であると弾劾。そのうえで、弁論分離は7被告・裁判所・権力が結託しておこなった、5・27裁判破壊であると断罪。7被告に「反省して1日も早くもどってもらいたい」として、裁判所に弁論の併合を求めました。

弁護団 弁論分離を弾劾

続いて、弁護団から併合の申立として、弁論分離の不当性・併合の必要性について、詳細に述べられました。その要旨は、〈今回の裁判所の職権による弁論分離決定は、合理的理由がなく、裁判官の職権の濫用である。被告人の防御権の侵害であり許されない。集団的労働事件という本件の性格から、併合審理が不可欠である。今回の分離決定は、裁判所が強い予断を持っていることを伺わせる。〉といったものでした。
5人の弁護人から、併合されるべき理由が詳細に述べられた後、弁護団長の佐藤昭夫さんから、「弁論分離決定は、団結権破壊の弾圧への荷担である」という弾劾がなされました。そして、この裁判の支援陣形である「許さない会」においても、8被告全員の無罪獲得にむけて、「敵を見失ってはならない(弁論分離は敵を利するもの)」として、公判の統一にむけた働きかけがなされていることなどが明らかにされました。

7被告は2月に立証終了

また今回の公判の中で、7被告の公判では、被告人が本件事実関係について一切語らないという方針に転換したことから、7被告の弁護側立証が来年2月にも終了予定であることが明らかにされました。弁論が分離されたままでは、1つの「事件」でありながら、松崎被告の弁護側立証の最中に、7被告の判決が出されるという可能性すらあります。
刑事弾圧との闘いにおいて、統一公判は大原則です。ビラまき説得活動という、労働組合運動の活動にかけられた政治弾圧では、なおさらそうです。あくまで8被告全員の無罪をかちとるために、弁論分離をゆるさず、裁判支援を強めよう。国鉄1047名闘争の勝利のためにも、「許さない会」の陣形を支え、発展させていこう。

3面

日米合同軍事演習反対!600人が集会・デモ−−11・22あいば野(滋賀県)

11月22日、日米合同軍事演習反対・あいば野集会が、沖縄と全国、そして韓国の反基地闘争と連帯し、派兵と改憲に反対して、600人の参加で勝ちとられた。

9条破棄し日米一体の侵略戦争が狙い

11月28日から12月17日まで、陸上自衛隊あいば野演習場で、日米合同軍事演習が強行されている。あいば野での日米合同軍事演習は、06年2月〜3月以来、2年9ヵ月ぶり、9回目のものになる。
今回の合同軍事演習には、山口の陸上自衛隊第17普通科連隊200人と在沖縄米軍第31海兵機動展開隊約220人が参加している。
また、来年度末までに「無人偵察機隊(仮称)」が新たに編成され、あいば野(陸自今津駐屯地)に配備されようとしている。これはいよいよ日米一体となっていつでも実戦参加できるようにするものであり、憲法9条改悪の先取りである。
この間の田母神(前航空幕僚長)の論文や国会発言で、改憲を主張し、自衛隊を国防軍にしようという動きと相まった重大な攻撃である。

統一行動の成功

これまでの、あいば野現地集会は、共産党系、平和フォーラム系、市民運動系、新左翼系などの集会が、別々に催されていた。しかし、来年のPAC3導入攻撃に対する危機感から、たたかう勢力が団結していこうという意向の中で、今回の集会は、平和フォーラム系と市民運動系が共催して行われた。
正式団体名は、「フォーラム平和関西ブロック」と「あいば野に平和を!近畿ネットワーク」の2者の共催となり、司会も発言もそれぞれから2人ずつ交互に発言した。
司会は、滋賀県教組委員長の大谷氏と京都の自立労連の服部氏。集会は最初に、趙博さんのミニコンサートから始まった。 主催者挨拶は、フォーラム平和関西ブロック議長・富永氏と、あいば野に平和を!近畿ネットワーク代表・野坂氏。
決意表明は、滋賀県民運動センターの木戸氏、アジア共同行動の山本氏、きょうと教組の今井氏、しないさせない戦争協力関西ネットの服部良一氏、兵庫の原和美氏、大阪平和人権センターの仁井氏が発言。
決議文は、平和と民主主義を守る全国交歓会・滋賀の中川氏が読み上げ、採択。
団結ガンバローとデモ行進説明の後、高島市内のデモにうって出た。

「日米共同演習反対」を訴え、自衛隊のあいばの基地がある高島市街でデモ行進(11月22日)

冬期特別カンパのお願い

私たちは、腐敗と党内抑圧を深める与田を打倒する06年3・14決起を闘い抜きました。しかし党中央は、深く自己批判してそれを党の変革への契機とするのではなく、より一層のスターリン主義的官僚組織への変質と、革共同が築きあげてきた綱領と思想を変質させ、「動労千葉労働運動への特化」と「7月テーゼ」に代表される差別主義・排外主義と組合主義の党へ変質させる安田・清水体制へと純化していきました。
私たちは2年に及ぶ党内闘争を闘いぬき、昨年11月、関西地方委員会を確立し、今年6月には全国の同志と共に再建協議会を結成して革共同の奪還と再生の闘いに立ち上がりました。
08年前半、私たちは、「貧困と戦争」に反対する広範な人々の粘り強い闘いに学び、連帯しながら、7月には「洞爺湖サミット」現地闘争を闘い抜きました。ここでの貴重な経験をも糧としながら、新自由主義とグローバリゼーションに対する認識と分析を通して、現代帝国主義論の深化の作業を進めています。
さらに、なぜ今日の安田派のようなものを党内から生み出すに至ったのかの痛苦な反省を通して、革共同の歴史の全面的な総括の作業を深めています。
世界金融危機が進行し、貧困と格差と戦争が全世界を覆い、プロレタリア革命がいよいよ問われる時代の到来の今こそ、時代を的確につかみ、労働者階級人民と生き生きと呼吸し闘いぬく党の建設が求められています。そして、労働運動を土台に、改憲決戦に全力をあげなければなりません。
いま安田派は、労働運動、政治闘争、差別・抑圧との闘いなどのあらゆる領域で、敵対と破壊を深めています。こうした安田派を打倒することは急務です。
以上のような闘いの前進をとおして、ともにプロレタリア革命を闘い取りましょう。再建協議会へのカンパを心よりお願いします。

《カンパ送り先》

◎郵便振替の場合 口座番号:00970―9―151298 加入者名:前進社関西支社
◎現金書留の場合 〒532―0002 大阪市淀川区東三国6―23―16 前進社関西支社

4面

大恐慌への突入をどうとらえるか 本紙18号HT通信員の論文への意見(下)

変動相場制の導入とより激烈な恐慌の準備

以上の視点に踏まえて、80〜90年代の金融・財政政策を跡付けていくことが必要なのではないかと考える。
ヘッジ・ファンドなど実体経済の数倍に膨れた投機資金の存在を現代帝国主義論にいかに位置づけるか、金融・証券が一体化している状態で「金融資本」の実体がいかなる変容を受けているのか、さらには、長年にわたる財政政策の発動によって米帝国家財政のほぼ半分近くを軍事費が占め、国民の2人に1人が何らかの形で軍事産業に関わっていると言われる問題、米軍の巨大さそれ自体が自己運動して政治経済過程に及ぼす反作用の大きさ(イラクでの戦費負担が恐慌の大きな一因となっている点など)―いくつも大きなテーマが存在するが、われわれがこうした理論的諸課題を解明するうえで、繰り返しになるが、恐慌が原論的な形で展開するのを帝国主義が何とか阻止するために、変動為替相場制を導入し、金融・財政政策を人為的に操作することを通して、さらなる膨大な投機をもたらし、激烈な恐慌を準備した、という枠組みで整理すべきだろうと思う。
こういう観点からみて、「架空の貨幣資本」という概念規定はかなりあいまいな規定だと思われる。

賃労働と資本の極限的対立というテーマが後景化

一つに、恐慌が提起する最大の問題=賃労働と資本の極限的対立というテーマが後景化する危惧を抱く。
資本は社会的労働時間を抽象化した価値の運動体であり、価値の増殖はあくまでも剰余労働の搾取に実体的根拠がある。日帝の場合はやはり自動車・鉄鋼・電機・化学であろう。基軸帝国主義=米帝が没落して基幹産業がボロボロとなり、軍事・通信・金融・エネルギーなどかろうじて優位性を誇る産業部門で徹底攻勢をかけてきたことは事実だが、これをもって〈生産資本から架空貨幣資本へと基軸が移行した〉と概念規定を行うことは、現象に振り回されすぎだと言えよう。「カネがカネを生む」かに見える貨幣資本といえども、資本の蓄積が価値の増殖を意味する以上、究極的には剰余労働をどれだけ搾取したかによってその存在は規定されている。だから信用の崩壊、恐慌という形で最後は決済される。現在の投機資金といえども、収奪を基軸として自己運動していると見るのは行き過ぎであろう。資本の増殖は労働の搾取にもっとも依拠しているのだから、「架空」すなわち投機資金に基軸があるとすると、恐慌を契機に極限化する労働過程をめぐる賃労働と資本の死闘が位置づかなくなる、ということである。
(資本による収奪という問題は、農業・農民問題、民族解放・革命戦争を位置づけるうえで重要な規定だが、「貨幣資本による収奪」が帝の基軸だということは、理論的には現代革命の基軸は労働運動ではなく民族解放運動だということになってしまうのである。)

<分裂・ブロック化から世界戦争へ>のシェーマがあいまいに

恐慌が提起するもう一つの重要な課題は、過剰資本は自らのはけ口を求めて限られた世界市場を相互に分割し、究極的には戦争によって、敵対資本を物理的に破壊することで過剰資本を処理するということである。現在の世界恐慌は、帝国主義の世界的分裂・ブロック化から世界戦争へと至る過程の始まりであり、「連帯し侵略戦争を内乱へ」という戦略的総路線こそが恐慌にたいするわれわれの最大の実践的結論でなくてはならないのである。HT氏の恐慌論ではこの点の認識が弱くなる気がする。
資本価値の全般的破壊ということは、信用の崩壊にともなって通貨が暴落すなわちインフレとなり、投機資金が消滅し、金融機関が軒並み破綻し、巨大資本の倒産・再編が相次ぎ、労働者が路頭に放り出されるということである。おそらくドル暴落にまで至るだろうが、そうすると各国政府も国債発行が不可能となり、自治体どころか国家そのものが「財政再建団体」化する。公務員の給与は遅配、母子家庭や生活保護世帯への支給は滞り、年金生活者の手取りは激減する。生産縮小に伴って派遣労働者は軒並み解雇され、かろうじてクビがつながった正社員にも合理化の嵐が吹き荒れる。誰もが社会を呪い、一握りの資産家にたいする憎悪をつのらせ、自然発生的なストライキ・暴動・内乱が各地で勃発するだろう。これにたいして失業者の大群を軍隊に吸収し、朝鮮・中国への侵略戦争に駆り立てていく動きがいよいよ本格化するだろう。
こうした時代、労働者が自主的な組織を維持していることそれ自体がソビエトの萌芽となりうる。まさに革命情勢が到来しつつある。30年代の教訓に踏まえ、資本はありとあらゆる労働者組織の存在を許さず、体制内労働運動ですらもはや存続を許さない組織絶滅型の資本攻勢を労働者にしかけてくるだろう。世界恐慌がわれわれに課している実践的・理論的責務は重大である。  (掛川徹)

投稿

(1)「このまま終わりたない」という野宿者とともに

「このままで終わりたない」。以前海岸の公園にまだテント村があったとき、野宿者のおじさんから、そう言われた。
でも、最近そんな状況の人が激増している・・・。野宿生活から生活保護をうけて簡易宿泊所へ。そしてまた野宿へ。大阪西成・釜ケ崎から神戸へ、また釜ケ崎へ。住む場所、形がコロコロ変わる。しばらくすると、また出会う。以前よりもずっとみすぼらしい姿で、何か病気でも・・・と思うような姿で出会う。
「おっちゃん、どうしてたん?」「ああ、ちょっと別荘に行っとってん」。そんな話のやりとりを、道端や公園でかわす。あまり多くを話さないし、こちらもつっこんで聞けない。
最近は若い人も増えてきた。仕事に疲れ、途方にくれてダンボールにくるまっている。話しかけると、はじめは顔をこわばらせるが、ぼつぼつ話しだす。「家は近くにあるが、事情があって帰れない」。いちいち話していると、ガードが固くなってなかなか話さなくなる。そのうち、プッツリ出会えなくなる。
そんなことの繰り返しで何年か過ぎた。「仲間のおっちゃん」としてつき合いたいが、「続き」がなかなかできそうにない。ある日、突然に風のうわさで「あのおっちゃん、病院に入ってんで・・・」とか、「朝になったら冷とうなっとったわ」という。なんとも寂しい、やりきれない気持になる。
「あのおっちゃんは、回りの人のこと、いろいろ心配してたんや」と、そばにいた若い方のおっちゃんが言う。「歳、なんぼや言うてた?」「70くらいや言うてた」。私とあんまり変わらない。前に道で会ったとき「いま帰りか」と話しかけてきていた。荒塵集めの自転車に乗って、えっちらおっちら漕いで、角を曲がっていった。「あんなに元気やったのになー」と胸がふさぐ。 誰にも見とられんと、朝になったら冷とうなっとった。「このまま終わりたない」と、あのおっちゃんも思っとったんやろ。でも、これが野宿者の悲しい現実だ。
夜の街、そんなおっちゃんらが百人は下らない。それも「夜回り」で限られた時間に出会った仲間の集計だ。そんなおっちゃんをカモにする連中がウロウロしている。「腹いっぱい飯を食わしたる」という手配師だ。高額のピンハネをする。おっちゃんらは、それを「現金仕事」と言う。おっちゃんらは、そう易々とその手にはかからない。でも、背に腹は代えられない。何も食わんとは何日も過ごせないのだから。
アルミ缶集めをする。夏前には、キロ160円もしたのに、いまは100円を切る。今年の冬はとびっきり厳しくなりそうだ。おっちゃんらと話していたら、腹の立つことがいっぱいだ。それを、どうすることもできない自分がいる。
つまらないグチを長々とゴメンなさい。「匿名で」ということで書いたら、こんな文章になってしまいました。出口は、読んだ人が考えてくださいね。私は、終わりに言いたい。「間口の狭いロードーウンドーなんか、するなー」。  (匿名)

(2)本当に革命をやるという意志が伝わってくる新聞になった

わたしは30年来の読者だが、この1年間、新聞が新しく『革共同通信』になって、大変読みやすくなったと喜んでいる。従来の『前進』は、どうしても違和感を覚えざるを得なかった。革命党の機関紙がどうあるべきかについて、ずっと疑問を抱いてきた。

誰に向かって?労働者に向かって?

これまで「労働者に向かって」、と言いながら、実際には十分な学校教育を受け、文章を読むことに慣れている人間を念頭において書かれていたように思われてならなかった。さらに付け加えれば、「難しい表現の内容でも、暇を持て余していてじっくり時間をかけて読んでくれれば理解できる。それが当然。時間が割けないのは本人の怠慢である」かのごとく考えているかのように感じられた。
しかし、現実の労働者は、貧しければ貧しいほど長時間労働を強いられている。ろくに寝る時間さえもない。毎日忙しくて、時間がない。やっていることが単純であればあるほどそうである。毎日くたびれ切っている。食うために、自分の健康と引き換えに無理を重ねながら働き続けている。

どうあるべきか?簡潔に、わかりやすく

長々と難しく書かれても、じっくりと読んでいる暇なんかない。簡潔に、わかりやすくなければ、読んでいられない。読む気さえ起こらない。
書く人間が、本質を理解しているならば、平易な言葉で表現することができるはずだ。理解が深ければ深いほど、平易な言葉で表現できるはずだ。

何のために?革命を実行するために

労働者は、自分たちの生活と境遇に怒りをもっている。しかし、時間に追いまくられ、日々の生活で目一杯だ。どうしらいいかについて考えている余裕がない。どうすれば自分たちが抱える問題を解決することができるのか?これについて答えるのが革命党の機関紙の役目だと考える。
マスコミは、ソ連の崩壊、「東側諸国」の破産を根拠に、マルクス主義を歪曲した上で、それは過去の遺物であり、その理論は現在の社会ではもはや通用しない、と大声で叫び回っている。しかし、いまや資本主義経済制度も、その破産が誰の目にも劇的に、日々明らかになりつつある。
マスコミがいくらふれ回っても、マルクス主義は決して死んではいない。マルクス主義とは、まず何よりもこの腐敗した現在の世界について、「このままでいいのか?」と問いかけるものであると思う。
「われわれは、どうしたらいいのか?」について、真剣に追求するとき、初めてマルクス主義は答えを教えてくれるものだと思う。
機関紙は、自分たちが抱える問題を解決する道筋を示してくれる最も直接的な手段と思う。
本当に革命を成し遂げなければならない、という意思が、新しくなった新聞=『革共同通信』からは、伝わってくる。自分は何のために生きているのかを考えるとき、微力ではあるが、自分もそのために貢献できればと考える。(元自衛官 TG生)