革共同通信・第20号

2008年11月4日発行

反貧困のうねり 垣根こえて広がる

反貧困世直しイッキ!大集会 10・19明治公園

「小さな違いにこだわって負け続けるのはもうたくさんだ。垣根をこえて仲間を増やそう。一人ひとりがもう一歩踏み出そう。そして社会を変え政治を変えよう」(集会宣言・湯浅誠さん)「お金や尊厳、未来など奪われたものを取り戻すため、力を合わせよう」(雨宮処凛さん) 
19日、東京・明治公園で「反貧困・世直しイッキ!大集会」が開催され、約2千人が集まった。
「STAND UP」の文字で闘う意志を力強くアピール(10月19日東京・明治公園)
主催の反貧困ネットワークは、昨年10月、貧困問題の解決をめざして結成されたものだ。この集会は、7月12日福岡および13日埼玉を出発した東西ふたつのルートの「反貧困2008全国キャラバン」のゴールとして設定されたものだ。
全体集会の間に、労働・子ども・社会保障・女性・ホームレス・居住・食の危機・多重債務・死刑廃止などの分科会がもたれた。会場には若者はもちろん「障害者」や高齢者も多かった。太鼓などの鳴り物と、ビートの利いたサウンドカーに合わせて「しごとをよこせ!」「カネをよこせ!」などと叫びながら、宮下公園まで行進した。

フリーター全般労組 麻生邸拝見「リアリティー・ツアー」 10・26渋谷

警察が3人を不当逮捕

フリーター全般労組が、26日渋谷での「麻生太郎邸拝見『リアリティ・ツアー』」と「麻生太郎首相への団体交渉」申し入れを行おうと呼びかけた。 これは、金持ちだけが優遇され、労働者の生活がどんどん破壊される中で、62億円の豪邸に住み、格差社会の頂点にいる麻生首相に直接、格差と貧困の問題を「説明」し、「政策変更」を訴えようというものだ。
「リアリティ・ツアー」の参加者に襲いかかる警察(10月18日渋谷)
当日は、約50人が渋谷・ハチ公前から麻生邸にむかった。
参加者たちが道玄坂下にさしかかったとき、警察が突如参加者の中へ突入した。3人の参加者を羽交い締めにし、路上に組み伏せ、連れ去ったのだ。(以上、フリーター全般労組「抗議声明」より)
格差社会を問い、その頂点にいる者に直接ものを言おうとした瞬間、国家暴力が発動された。この格差社会が何によって支えられているのか、国家が何のためにあるのかを見せつけた瞬間だ。3人をただちに釈放せよ。

京品ホテル労組が職場占拠・自主営業中

「31日の引き渡し期限には強制執行がなくてほっとしている。しかし4日以降、何が起こるか分からない」(東京ユニオン京品支部書記長 31日会見)
組合員の皆さんの緊張した状況、不安と希望が交錯した気持ちがひしひしと伝わる。
強制執行がいつ行なわれるかもしれない状況で、労働者の武器が自主営業だ。自主営業をやりぬいて資本と闘っていく力は労働者の団結だ。

京浜ホテル前で解雇撤回を訴える組合員

労働者切り捨てる債権回収

京品ホテルの労働者は、今年5月、突然ホテル閉鎖と全員解雇を通告された。ホテル経営は黒字だったが、バブル期の多角経営の失敗で小林社長がつくった60億円の債務があった。そこに目をつけたのが、リーマンブラザーズの子会社でハゲタカファンドのサンライズ社だ。サ社は、分散していた債権を安く買い集めて一本化し、路線価で50億円は下らない一等地を手に入れようとした。小林社長は、土地売却益で債務を整理しようとした。さらにリ社の破綻があり、サ社も民事再生法の適用を申請し、債権処理が加速した。小林社長の事業失敗のツケとハゲタカファンドの債権回収の中で、労働者の生活が犠牲にされようとしているのだ。
こんなやり方には納得できない。10月20日の廃業と解雇強行に、組合員約60人は裁判所に地位保全の仮処分を申請するとともに、職場を占拠し自主営業に突入した。恐慌下の労働者の反撃のはじまりだ。支援を集中しよう。
激励メール先:keihinhotel@uguisu.club.ne.jp

反戦・反貧困・反差別共同行動 10・19京都

昨年の10・21に続き、「'08このままでええの!?日本と世界 10・19反戦・反貧困・反差別共同行動in京都」が、京都円山野音に850人を集め成功した。
メインゲストの佐高信氏が、小泉と竹中をユーモアと毒舌でメッタ切り。麻生はもっと悪いと鋭く指摘。政権交代ではなく社会変革をと訴えた。
佐高信氏の「毒舌」に盛り上がる会場(10月19日京都・円山野外音楽堂)
労働争議、在日コリアン運動、沖縄・辺野古闘争、「障害者」運動などを担う仲間から力強い報告が行なわれた。趙博さんのライブをはじめ、アトラクションは会場を大いに盛りあげた。 円山公園から四条河原町を通るデモは、大きな注目を浴び、途中から加わる人で膨れあがった。

郵政の非正規労働者が労働組合を結成 10・29神戸

「組合など関係ない、何もしてくれない、と思っていた自分が、組合を作ってよかったと思った」(書記長の吉實さん)。
29日、神戸市内の郵便局で働く非正規労働者が、「日本郵便非正規ユニオン」を結成し、総会を開催した。
結成したユニオンの仲間全員が登壇(10月29日神戸勤労会館)
28歳の委員長・福田さんは、組合結成の経過をこう語る。今年8月、集配課長から、8時間労働を6時間にするという労働条件の変更をいわれた。従わなければ雇い止めもあるとの恫喝で、実質、賃金の25%カットだ。仲間と相談して、個人加盟の武庫川ユニオンに入って団体交渉を行い、労働条件変更は撤回させた。
この闘いを一局にとどめることなく、「全国の郵便局で21万人の非正規労働者が劣悪な労働条件で働いている。その人たちと非正規ユニオンを結成して団結を強めていきたい」という思いを込めて、組合名を変えて出発することになった。
郵政民営化体制を揺さぶり、数万を組織する運動の始まりだ。

反貧困全国キャラバンin大阪 10・16大阪

大阪の御堂筋をデモする反貧困全国キャラバン(10月18日)

16日、会場のエルおおさかには、350人をこえる人が集まり、外まであふれた。
母子家庭当事者、生活保護受給者が、深刻な現実を訴えた。教育現場から、所得格差が学力格差となっている実態が明らかにされた。「障害者」からは、「障害者自立支援法」で生活が破壊されたと報告された。福祉・行政の労働者は、人員不足と強労働で福祉政策が機能しないと訴えた。
松下PDP偽装請負訴訟原告の吉岡力さんや、「名ばかり管理職」から「ホームレス」になった労働者、派遣労働者などから厳しい実態が報告された。
生田武志氏の総括講演は、もはや「自己責任」などではない、社会構造が貧困をつくりだしているという点を鋭く突きだした。
2面

米欧で労働者の闘いひろがる

ウォール街ではなく 労働者を救え!

国際金融恐慌の中で、労働者が立ちあがっている。

◆◆アメリカ◆◆

イラク戦争反対を闘う労働者たちが、資本家救済のための公的資金投入に反対して、行動を呼びかけている。
9月25日、ウォール街で千人規模の抗議行動が行われ、10月16日には5千人にふくれあがった。24日から全米統一行動が呼びかけられ、11月14、15日にはワシントン行動が提起されている。
金融資本の牙城・ウオール街を行進するデモ隊。労働者の要求は全世界共通だ!(9月25日ニューヨーク)
「ウォール街の犯罪者を刑務所へ」「社会主義が資本主義を救う」「ウォール街ではなく労働者を救え」「金融クズ商品はお前らのもの、お前らが持っていろ」「貧者の血を富者の財産に当てるな」などのスローガンをかかげ、下記の要求を突きつけている。

アメリカ労働者の要求
・住宅差押えと追い出しの即時停止を
・教育、健康保険とすべての社会福祉事業の予算削減反対
・一時解雇をするな、失業手当を増やせ
・公共サービス(電気ガス水道)の供給停止をするな
・学生、貧困労働者に債務救済を
・企業年金を保護しろ
・生活賃金での仕事を

◆◆ドイツ◆◆

ドイツでは、27日、「カジノを閉めろ」「博打うちに支払わせろ」「資本市場に統制を」と叫んで反戦団体の活動家がハンブルグ証券取引所に突入。「資本市場を武装解除せよ」の幕を垂らしてビラを数分間投げ込む行動に起ちあがった。

◆◆スペイン◆◆

大量の解雇に怒って立ち上がったスペインの労働者(10月29日スペイン・バルセロナ)

スペインでは、日産の現地子会社による1680人解雇に反対して、29日、バルセロナでデモが行われた。労働者たちのプラカードには、「松本(社長)は人殺し経営者だ、お前が出て行け」「カルロス・ゴーン=ビン・ラーディン。直接の犠牲者1680人、間接の犠牲者5千人」と。

◆◆イタリア◆◆

教育労働者と学生、保護者ら80万人がデモに起ち上がった(10月30日イタリア・ローマ)

イタリアでは、ベルルスコーニ政権が8万7400人の教員と4万4500人の学校職員の削減等の合理化案を打ち出している。この教育改革法案の成立に抗議して、10月30日、教育労働者と学生、保護者ら80万人がローマでデモに起ちあがった。

10・24国鉄集会  闘う闘争団と支援が結集

10月24日、鉄道運輸機構・東京高等裁判所・国土交通省への申し入れ行動と、日比谷野外音楽堂での国鉄大集会に参加しました。

朝から申し入れ行動

鉄道運輸機構前では、激しい雨の中、闘争団から、22年間、全国の支援のおかげで、49人の仲間の死を乗り越え、満身創痍の中から新たな局面を切り開いてきたこと、「納得の行く解決を」と闘争団家族から機構に対し厳しい追及があったことが報告されました。
裁判所前では、九州闘争団から、「神戸に常駐して6年、月2回の三宮駅でのビラまき、2/14〜16の48時間ハンガーストライキでつかんだことは、労働者は決して冷めていない、行動すれば必ず力となる、大衆行動の力で、交渉の場に引きずり出そう」と力強い発言がありました。
国交省前では、支援を含めて300人くらいに膨れ上がり、首都圏連絡会の村中さんが檄を飛ばしました。

野音からあふれる

夕方の集会では、雨があがり、仕事を終えた労働組合員が続々と結集しました。野音は満杯になり、会場に入れない組合員が、外での集会参加となりました(主催者発表1万1200人)。
会場には入りきれない1万1200名が結集した国鉄集会(10月24日東京・日比谷野外音楽堂)
鎌田慧さんが、国鉄闘争が日本の民衆運動にとって決定的な位置にあること、日本の労働運動を何とかしたい、反転攻勢の闘いが必要と訴えていたことが印象的でした。
酒井団長からは、解決のテーブルは動く状況になく、動くとしても来年3月の判決後になるだろうとの見通しが語られました。
博多闘争団家族会の会長は、夫・妻・子供巻き込んだ22年の闘い、夫・生活・子供のことを考えると夜も眠れない日々であったが、全国の仲間の支援がここまで敵を追い詰めてきた、なんとしても納得のいく解決をと訴えました。

解雇撤回・原職復帰をつらぬいて

国労本部は、4党合意で闘争団を切り捨て、何度も国鉄闘争をつぶそうとした。その国労本部の裏切りを吹き飛ばして、鉄建公団訴訟で突破口を切り開いたのが、闘う闘争団だ。だからこそ、その思いにこたえ、これだけの国労組合員や支援の労働組合員が全国から駆けつけて来たのだと思います。
裁判ひとつとっても、地位確認を争う原告団と、金銭解決のみ求める原告団とがあり、解決といっても一筋縄にいかない。解雇撤回・原職復帰をかかげながら、次の闘いにつなげるような「納得の行く解決」(闘争団・家族会)をどう追求していくのか。それは、大衆闘争・職場闘争のうねりを巻き起こし、全国で闘う労働組合運動の反転攻勢をどう作り出していくかということと一体であると思います。
ある闘争団員は、「私は解雇撤回・原職復帰を求めているが、金銭解決にどっと行ってしまうかもしれない」と話していました。22年の苦闘を思えば、4党合意を粉砕して鉄建公団訴訟に発展させた闘いを、「リセット」して「訴訟参加」とウソぶき、わずかな金銭和解で闘争終結ねらう国労本部の屈服和解路線を許さず、解雇撤回・原職復帰にトコトン執着し、1047名連絡会の団結を取りもどし、「納得のいく解決」めざし闘いぬくことが重要だとあらためて痛感しました。(関西合同労組・K)

橋下は子どもの敵 教育の敵!  学テ結果を公表するな

橋下の暴挙・暴言

教育をめぐる橋下大阪府知事の暴挙・暴言がくり返されている。
第二京阪道建設で保育園児の叫び声を無視して野菜畑を強制撤去し(16日)、私学高校生との懇談(23日)の場で生徒たちに「保護されるのは義務教育まで。・・・高校は誰でも入れる仕組みになっていない」と言い放った。そして、26日の府民討論会では、会場からの抗議の声に「ああいう教師たちがいるから大阪の教育はダメになっていく。みなさんで1割のダメ教師を排除してください」と暴言を吐いた。

教育への不当介入

最大の暴挙は、府教委でさえ反対した学力テスト結果の公表だ。
各地で橋下につづく動きが出ている。秋田では、教育委員会に圧力をかけるだけでなく、教委権限を無視して知事の責任で公表すると言い、県立中学2校が独自に結果をHP上に公開した。茨城や鳥取でも知事が公表の圧力をかけ、鳥取の平井知事は公開すれば予算優遇するとまで言い、県教委は、来年度以降の学校別データの開示までを容認している。
この動きは、教育への行政の不当介入であり、競争原理で教育を破壊するものであり、これが全国化すれば矛盾は極限化していくだろう。

学テに法的根拠なし

教育労働者は、学テ実施に反対して闘ってきた。そもそも学力テストは文科省が行う行政調査であり、教育活動ではない。実施主体は教委であるが、教職員や学校が教育を阻害する調査に協力しなければならない確かな法的根拠などない。保護者や生徒には参加を拒否する権利がある。 60年代の闘い引きつぎ、09年度実施強行に対しては、参加・協力拒否で闘おう。
3面

インド洋派兵延長法案を廃案へ  国会闘争に立ち上がろう

再び極右の突出 −田母神(たもがみ)論文

空幕長・田母神が、「わが国が侵略国家とは濡れ衣」なる論文を出して更迭された。国土交通相・中山暴言につづいて、麻生政権下で噴き出した極右の側からの突出だ。

麻生のイデオロギーそのものだ

「政府見解に反する」というが、安倍も麻生も辞任した中山もまったく同じだ。政府・自民党・財界が推進する、靖国、「つくる会」教科書、日の丸・君が代、改憲を貫くイデオロギーそのものだ。
どんなに黒を白と強弁しても日本帝国主義の侵略と戦争の事実を消すことはできない。日本軍「慰安婦」とされた女性たちをはじめとするアジア人民の告発の前では、絶対に通用しない。このアジア人民の告発を受けとめて日本の労働者人民が闘ってきていることに、田母神は強い打撃をうけている。

「人類史は弱肉強食」のデタラメ

問題は、田母神が「人類史は弱肉強食の歴史、支配・被支配は戦争によってのみ解決する」といい、欧米対日本という、帝国主義国家同士の争いが歴史の中心であるかのように描き、アジア侵略戦争と日米戦争を合理化していることだ。
さらに重大なのは、彼がその論理を現代にも適用していることだ。アメリカ帝国主義の世界支配・グローバリズムの崩壊、資本主義そのものの終焉という危機を前に、アメリカにこれ以上しがみついていっても国家破産、アメリカに刃向かおうものなら即破産という日本帝国主義の閉塞状況を嘆きながら、改憲による侵略国家の復活を叫んでいる。
日本帝国主義はこの論理で、イラクやアフガニスタンに自衛隊を派兵しているのだ。

軍部独走のはじまり

「政治が何もしていないかのように言うなら2・26事件(1936年)と変わらない」。田母神問題についての農水相・石破の発言だが、これは的を射ている。
田母神のイデオロギーは支配階級共通のものだ。しかし、今日の政治危機の中で、このイデオロギーが貫徹できない。国民投票法で改憲の枠組みは作ったものの、安倍、福田と2つの政権が崩壊し、麻生も解散に踏み切れずに、同じ道をたどりつつある。
戦争と貧困にたいする労働者人民の怒りと闘いが日に日に高まってきているからだ。
この事態の前に極右の側が焦りと苛立ちを募らせている。崩壊する自民党政治を極右の側から突きやぶって強権体制に転換しようという衝動なのだ。そういう軍部の暴走が始まっている。 だから田母神の更迭で終わりにはできない。

労働者階級の歴史観を鮮明に

「これまでのあらゆる社会の歴史は階級闘争の歴史である」(マルクス『共産党宣言』)。
これに対して支配階級は、国家対国家の争いを歴史の総括軸にする。
しかし、現代の国家とは資本家階級の支配する国家であり、現代の戦争とは、資本家階級同士のつぶし合いと帝国主義国による侵略戦争だ。田母神ら支配階級は、階級闘争に恐怖し、国家を歴史の総括軸に押し出すことで、労働者階級を、資本家階級の戦争に動員しようとしている。
こういう歴史を終わらせるために、労働者階級は、いまこそ全世界規模で立ちあがり、階級闘争に決着をつけてやろう。

田母神(たもがみ)論文の要旨

▼日本は、朝鮮や中国に一方的に軍を進めたことはない。国際法上合法的に権益を得て、それを守るために軍を配置した。それにたいして国民党や共産党がテロ行為をくり返した。
▼当時の列強もみな侵略をやっていたのだから、日本だけが侵略国家と言われる筋合いはない。日本は穏健な植民統治で、それまでの圧政から解放し、生活も向上した。
▼人類の歴史は、強者が弱者を支配してきた。支配と被支配は戦争でのみ解決されてきた。
▼日本が、白人の支配にたいして、日露戦争、大東亜戦争、日米戦争と戦ったから、アジアやアフリカが白人支配から解放され、現在の人種平等の世界がきた。
▼東京裁判によるマインドコントロールで、自衛隊は、領域警備も武器使用も攻撃兵器も集団的自衛権も禁止され、がんじがらめで動けない。
▼今日本はアメリカのシステムで改革され、伝統文化が破壊されていっている。
▼日米関係は必要なときに助け合う親子関係のようであることが望ましい。親に頼り切っている関係を改善する必要がある。
▼大東亜戦争で日本の侵略がアジア諸国に苦しみを与えたと思っている人が多いが、多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価している。
▼輝かしい日本の歴史を取り戻さなければ、国家は衰退する。

空爆をやめろ!空爆支援のインド洋派兵延長法案阻止!

インド洋への海上自衛隊派兵を1年延長する法案(新テロ特措法改正案)は、米軍によるアフガニスタンとイラクでの空爆を支援するものだ。
海上自衛隊は、米空母リンカーンや空母トルーマンを中心とした空母打撃群に給油している。リンカーンの艦載機は、アフガニスタンとイラクへの攻撃飛行を7100回、うち爆撃飛行を約2300回行なっているという。(08年4月末〜9月初め)
この一回一回の爆撃で、無数の人間の命が抹殺されているのだ。
「反政府勢力が意図的に民間人を巻き込んでいる」「米軍は民間人の犠牲者を最小限に抑えようとしている」(麻生)
人が生活しているところに、何千回もの爆撃を行ないながら、「犠牲を抑えようとしている」とはなんという言い草だ。
「反政府勢力」「テロリスト」が元凶であるかのようにいっているが、いったい誰が「民間人」で、誰が「テロリスト」なのか。イラク人民・アフガニスタン人民は、帝国主義の軍事占領と植民地的支配に、武装して抵抗をしている。
もちろん人民内部に厳しい対立・矛盾もあるが、それは人民自身の力で解決できることなのだ。

戦争の泥沼的拡大と革命的情勢の接近

新大統領がオバマであろうがマケインになろうが、アメリカは、アフガニスタンに米軍を増派する。さらにシリアやパキスタンにも攻撃を拡大している。
アメリカ帝国主義は、中東、アジア、世界を支配するために、イラクとアフガニスタンで侵略戦争を強行した。それは、帝国主義世界体制の崩壊・終焉を食い止めようとするものであり、アメリカ帝国主義自身の存亡をかけた世界的規模での戦争だ。
この戦争によって、アメリカ帝国主義は本当の終わりに突き進んでいる。イラクでは米軍駐留の地位協定が結べず、その法的根拠が喪失しようとしている。マレン統合参謀本部議長は、「アフガンでは勝利していると確信できない」と9月に発言している。
グローバリズムの破綻と、イラク・アフガニスタンでの敗勢は、世界を支配し続けてきたアメリカ帝国主義をついに倒すときがきたと、全世界の人民に新たな決起をうながしている。

自民と反動を競う民主「対決路線」

民主党が「対決路線」に転換したという。その中身は、好戦性で自民党と競うということだ。
政府は、アフガニスタンで地上戦を展開している「国際治安支援部隊(ISAF)」への陸上自衛隊の派兵には、さしあたり慎重姿勢のポーズをとっている。ところが20日の衆院特別委員会で、民主党・直嶋は、「国連決議があれば海外での武力行使は可能」という小沢の持論に踏まえ、「民主党が政権を取れば、そういう(国連決議で海外での武力行使を可能とするため、政府の現在の憲法解釈を変更し、法整備を行なう)方針で作業に着手する」と明言したのだ。 単なる政権交代が何をもたらすかは明らかだ。労働者人民の力で、自民も民主もうち破り、労働者人民自身がとって代わるための新しい運動をつくっていくことが必要だ。

NAAの提訴を弾劾  反対同盟が記者会見−三里塚

10月29日、三里塚芝山連合空港反対同盟は、市東孝雄さんにたいする空港会社の新たな提訴を弾劾する記者会見を、市東さんの畑で行った。
市東さんと反対同盟の決意にこたえ、「市東さんの農地を守れ」の大運動をつくろう。
以下に反対同盟が発した声明を掲載する。

声明

10月17日、成田空港会社は千葉地裁に対して市東孝雄さんの農地2ヵ所の明け渡し請求を不当に提起した。この提訴は、欠陥空港の象徴である「へ」の字誘導路を直線化するために、農地法で農地を公用収用するという前代未聞の暴挙である。
わが三里塚芝山連合空港反対同盟は、満身の怒りを込めて弾劾し、不屈の決意を明らかにした市東孝雄さんとともに、なにがなんでもこの攻撃を粉砕する決意である。
明け渡し対象の農地は、いずれも市東家が親子代々耕作してきた農地である。戦後農地改革で解放されるべき農地でありながら、手続きが適正になされず、賃借地とされた。この農地を空港会社(旧・空港公団)は耕作者の市東東市さん(当時)に無断で取得(1988年)、数々の農地法違反を重ねた上に突然、解約を申し入れてきた。
解約手続きにあたって千葉県知事は、空港会社の違法性と明け渡し対象地の位置の特定という前提的事実を精査することなく、不当にこれを許可したが、これが今回の不当提訴の根拠となった。
この攻撃は「賃貸借契約の解約」の形をとっているものの、紛れもなく空港用地の強制収用攻撃である。成田空港をめぐっては事業認定がとっくに失効しており、空港会社が用地を取得する道は闘いによって閉ざされた。用地取得の方途を失った空港会社は、農地と農民の権利を守るために制定された農地法を違法に使って、農地を取り上げる暴挙に踏みきったのである。
こうした前代未聞の暴挙は、戦後の農地改革をひきつぎ農民の権利を保障するものとして制定された農地法の解体攻撃と一体である。農業切り捨て・農地破壊と改憲の先取り攻撃そのものであり、反対同盟は全国の農民・労働者・人民の最先頭で闘うものである。
市東さんの農地とともに、天神峰現闘本部建物を断固として守り抜き、42年間不屈の空港絶対反対闘争の勝利へ前進する。
以上、声明する。 2008年10月29日 三里塚芝山連合空港反対同盟
4面

10・26狭山中央闘争に参加して

26日、東京・星陵会館で部落解放同盟全国連合会主催の「寺尾差別判決34ヵ年糾弾! 門野裁判長打倒・第3次再審闘争勝利!10・26狭山中央闘争」に参加してきた。
集会は、全国から全国連各支部や共闘各団体・個人あわせて250人の結集で、差別徹底糾弾のあふれんばかりの熱気のなかでおこなわれた。
同日、革共同・安田派が「東日本解放共闘」を僭称し、分裂集会を行っていた。この部落解放運動にたいする襲撃にも等しい、また全国連の狭山闘争にたいする対抗・敵対のためにのみある集会にたいして、「差別を許してなるものか」と、各発言者の徹底した糾弾がたたきつけられた。
私にとっても、あらためて労働者の解放という課題の中でしめている狭山闘争・部落解放闘争の重要な位置を再確認する決定的集会となった。

具体的な証拠開示要求を糾弾闘争として

集会は、『差別裁判打ち砕こう』斉唱のあと、狭山闘争本部小森事務局長の「権力・麻生政権の差別と革共同・安田派による差別との両方の差別とたたかいぬき、狭山闘争に勝利しよう」という主催者あいさつではじまった。そして三里塚決戦勝利関西実行委員会の松原事務局次長や、同和住宅家賃値上げ反対運動を支える会の連帯のあいさつ、各団体からのメッセージの紹介、全国連の青年による石川一雄さんの10・31アピールの読み上げと続き、井橋中央執行委員より、この間の要請行動の報告やこれからの具体的取り組みが報告された。
その中で井橋中執は、布川事件に関連して「再審開始決定は門野以前の裁判官がきめていた。門野はこれをひっくり返そうとしたが失敗して、再審開始決定を出さざるを得なかったのだ」、だから門野裁判長に再審決定をださせるために「具体的な証拠開示要求を糾弾闘争としてやろう」と訴えた。

中田書記長が鮮明な基調

基調報告にたった中央本部中田書記長は「門野裁判長に対して幻想を持ってはいけない。再審を開始せよ、そうでなければ辞任せよ、のたたかいでなくてはいけない」と当面する狭山闘争の方針を明確にさし示し、また、「狭山闘争こそは、部落解放闘争の生命線、その勝利のために戦前の高松差別裁判糾弾闘争をこえるような糾弾闘争をやろう。全国行進で権力中枢に攻めのぼるたたかいをやろう」と訴えた。
また革共同・安田派が「東日本解放共闘」をかたって分裂集会を行っていることに対して、「『共闘』ではなく革共同中央の方針としておこなっている。断じて許せない。また『階級裁判』という言葉をつかって、差別糾弾のたたかいをなくそうとしている。広島差別事件では『差別か差別でないかは革共同がきめる』と言いきった。差別を否定した革共同はますます差別者集団へと転落していく」と断罪し、「革共同への差別糾弾をやりながら、反戦・反差別の大きなうねりをつくっていこう」と訴えた。
さらに、河内合同労組の闘争報告や、広島、長野からの報告、住宅闘争の報告、そして婦人部、青年部の決意を受けて集会は終了。荊冠旗を先頭に、東京高裁に向けたデモをやりぬいた。

労働者の魂をゆさぶられた

私は、翌日の東京高裁要請行動と国土交通省行動には参加できなかったのが心残りだったが、全国連と部落大衆の訴えに、何よりも石川一雄さんの声になんとしてもこたえきらなくてはいけないとあらためて思った。10・26の中田書記長の基調報告や、河内合同労組のたたかいの報告は、私の中にある(きっとある)「労働者の魂」をはげしく揺さぶるものとなった。
「労働者の団結で」と言って部落差別を居直るのではなく、差別徹底糾弾のたたかいとして、あらたな狭山11万人集会(注)を私たちの手で実現しなくてはならないと思った。(関西・TS)
注:1974年9月26日、東京高裁公判での石川一雄氏の意見陳述に呼応して、「死刑判決策動粉砕、無実の石川氏奪還」をかかげた11万人の集会が、東京・日比谷公園で行われた。

「障害者自立支援法」の廃止もとめ6500人が結集 10月31日 東京・日比谷野外音楽堂

10月31日、東京日比谷野外音楽堂は「障害者」の怒りで埋めつくされた。6500人の「障害者」や福祉労働者が、「もうやめようよ、障害者自立支援法」集会に集まった。野外音楽堂は歩くのも難しいほど文字通り満杯になり、入りきれない人が外にあふれた。
この集会は一昨年・昨年と続けられてきたが、今年は「障害者」の怒りがストレートに表現されるという点で画期的なものだった。集会タイトルも中身も「自立支援法の廃止」を求めるものとなり、「障害者」の怒りが完全に解き放たれた。
「障害者自立支援法」の廃止を求めて6500人が全国から結集(10月31日東京・日比谷野外音楽堂)
各政党議員も参加し、自民公明両党も発言したが、逆にいかにひどい法律なのかを自己暴露してしまった。
集会のメインは、全国の「障害者」の発言で、北海道から沖縄まで、文字通り怒りを解き放つ発言が続いた。さまざまな立場からの発言があり、自立支援法の下では生きることも困難になっている現状を暴露した。みんな口々にこんなひどい法律は廃止しかないと述べた。
またこの日、全国で30人の「障害者」が自立支援法の1割負担は違憲であるとして、一斉に訴訟に踏み切った。その原告の一人の方も登壇し、発言した。
自立支援法では、重度の障害者ほど多くの金を支払わないといけないが重度の人は働くことができない。金を払えなければ介護は受けられないという根本的な矛盾がある。「障害者」の発言はそのことを糾弾するものだった。とくに今年の各発言は、重石が取れたようにストレートに怒りを表現するものが多かった。集会自体が「もうやめようよ」と法の廃止を求めるものだということが大きい。
法は来年、施行3年後の見直しが行われるが、あれこれのびほう策ではなく、自立支援法を廃止して新しい制度を作るしかないという発言だった。
そもそも、福祉を「国が保障するもの」から「金で買うもの」にしてしまった契約制度こそが根本の問題だ。自立支援法は廃止し、地域生活を保障する措置制度を求めていこう。

新たなうねりと結合し

反貧困の闘いでもそうだが、政党・党派とはまったく無関係なところから民衆が怒りの決起を始めている。政党・党派が置いてけぼりにされている情勢なのだ。古い型にはめた民衆観ではまったく闘えない情勢だ。それどころか民衆から見放されて屑箱行きになるしかない。そのことに気がついた者がようやく情勢に間に合ったといえる。
新たなうねりとなって決起を開始した民衆の怒りにおいてけぼりにされないように、僕らも怒りを解き放つことだ。僕らは間に合った。民衆から信頼されるようになるのはまったくこれからの課題だ。(GT)

映画案内 第七芸術劇場

『We 命尽きるまで』

(2007年・日本・101分)監督・企画・製作・構成:藤山顕一郎
あの闘士たちが今、「憲法九条改憲阻止!」の一念で集まった07年6・15、東京・日比谷野外音楽堂に集まった1200人のシュプレヒコール。それは、60年・70年の全学連・全共闘・学生運動OBたちの「九条改憲阻止」の一念で、党派を超えて集まった熱い叫びだった。全員個人参加の賛同人のなかには、山本義隆、秋田明大、大口昭彦、塩見孝也らの名もあった。

国会前の連続座り込み行動

始まりは、07年3月20日からの、国会前での「ハンガーストライキ・座り込み行動」であった。30日の連続行動には、山本、塩見、三上治、成島忠夫らも姿を見せた。そして、あの47年前の樺美智子さんが命を落としたその日、すでに定年を迎えた人々も含め、40年ぶりに各界・各層、全国から、この国が再び戦争をしようとしていることを止めようと日比谷野音に集まった。

自分の生き方の問い直しを迫るドキュメンタリー

2010年の改憲の国民投票にそなえ、闘い続ける元闘士たち。残された人生を子や孫のため、そして志半ばにして逝った幾多の同志へのために。それは同じ時代を生きてきた人たちの人生と重なる。これからの生き方を模索する若い世代にも繋がり、改めて自身の生き方の問い直しを迫るドキュメンタリーである。映像は、1960年代の貴重な映像もちりばめられ、燃え尽きぬ炎を映し出す。彼らの闘いが、いま、さまざまな世代に・分野に広がり始めている。全国にさきがけ、大阪で上映される、必見の映画である。
【料金】一 般 1500円  大学生 1300円 中・高・シニア 1000円 前売 1000円
【上映日程】11/8(土)〜14(金) 連日 午前11時〜 【第七藝術劇場】大阪市淀川区十三本町1―7―27サンポードシティ6F
(阪急梅田駅より電車で5分/十三駅下車西口より3分)
06―6302―2073 http://www.nanagei.com/