革共同通信・第17号

2008年9月16日発行

9・25横須賀現地へ ―自治体労働者のアピール

全国の仲間・地域住民とともにたたかう

住民投票否決に7・19全国集会で反撃

原子力空母ジョージ・ワシントンは、この一隻だけで、ベトナム戦争時の全展開戦力をはるかに凌ぐ能力を持っています。こんなものが東京湾の入り口である横須賀を母港にしようとしています。
これにたいして、横須賀市民は2度にわたり署名を集め、住民投票を請求しました。しかし、2度とも市議会によって否決されました。横須賀市民の65%が配備に反対、74%が住民投票をやるべきとしている(アンケート結果)にもかかわらずです。
このような事態にたいする強い怒りと危機感から、7月19日「原子力空母の横須賀母港化を許さない全国集会」には1万5千人が大結集しました。

自治労本部に抗し反戦の再生を

私たち自治体労働者も、全国の仲間とともにこの取り組みを重視してきました。
自治労本部は、8月自治労全国大会で「3単組の組織統合」を提案し、たたかう「自治労の旗」を最終的に投げ捨てようとしてきました。
しかし全国のたたかう仲間は、反対の発言でこたえました。「21世紀宣言路線」に抗して、反行革・反戦平和を取り組み、改憲を阻止するたたかいを再生するため、全国で自治体労働者が奮闘しています。

沖縄と全国の反基地闘争との連帯

これらはまた沖縄をはじめとする反基地闘争と連帯する取り組みとしてあります。
横須賀基地に在籍するアメリカ第7艦隊空母部隊は、沖縄から出撃する海兵隊の上陸作戦と連携して、空母艦載機によって幾度となく反複攻撃を行う部隊です。アジアから中東への侵略作戦の基軸となっています。
この空母を、通常型から原子力型に転換する意図は、侵略戦争遂行能力の飛躍的な強化を図るためです。
これらを許せば、朝鮮・中国、アジア・中東にたいする侵略拠点としての日本の位置が飛躍的に拡大します。またこれは、改憲攻撃にほかなりません。

自治体労働者こそ住民とともに

ジョージ・ワシントンは、「浮かぶ原子炉」です。もし原子炉事故ともなれば、首都圏は壊滅します。安全だといいながら、横須賀や佐世保で米潜水艦が放射能漏れ事故を起こしています。
ジョージ・ワシントンは、5月に火災事故を起こしています。そのため、当初の8月入港を断念しました。にもかかわらず、何の根拠もなく、「原子力施設には問題がないから」として、入港しようとしています。全く許せません。
自治体労働者こそ、この攻撃に対し、地域住民とともに、たたかいの先頭に立たなければなりません。
仲間のみなさん。「現地闘争本部」は、20日からの座り込みと25日の再度の全国大集会を呼びかけています。ジョージ・ワシントンの横須賀入港を阻止するため、現地闘争をたたかおう。
(自治体労働者GZ)

福田辞任・総選挙情勢にあたって―改憲派・新自由主義派の議員・候補者をたたき落とそう!

福田辞任から一気に臨時国会(24日開会)冒頭の衆議院解散につき進んでいる。この事態を労働者階級はどうつかみ、いかにたちむかうか?

なぜ福田辞任か?

最大の問題は、給油新法(新対テロ特措法=インド洋での海上自衛隊の給油活動の根拠法)の期限(期限は来年1月15日)の延長問題だ。この問題をめぐって、一方で、アメリカから延長を求める強い要求がある。他方で、昨年参院選での自公大敗による「ねじれ国会」の現実がある。
この危機の中で、福田・自民党は、民主党との大連立構想(07年11月)や民主党切り崩し工作(08年8月)など、あの手この手を尽くしてきた。それも不調に終わり、1月に続いて、再度の「衆議院再議決」も検討された。が、公明党が難色をしめし、臨時国会会期でも折り合えず、それも頓挫した。
こうして、福田辞任で別の「総選挙の顔」を立て、解散・総選挙という自滅的な賭けに出たのである。

給油問題の大きさ

インド洋での海自・給油活動問題で、実に安倍、福田とふたつの政権が飛んだ。それほどの大問題なのだ。
もともと、戦後日本の政治危機はつねに日米関係をめぐって発生してきた。しかし、いまやアメリカが、「長期にわたる戦争」への突入を宣言し、これを軸に世界支配の暴力的な破壊と再編に突き進んでいる。ここで日本が、日米同盟からずり落ちる事態になれば、それは体制崩壊に直結する。

7月参院選の結果の重大性

07年7月参院選での労働者人民の反乱が、自公政権をしめあげている。民主党をも縛っている。
小泉構造改革の結果にたいする農民・漁民、地方の人民、高齢者、青年労働者、連合下の組織労働者というあらゆる階層の大反乱である。この20年来、最大級の地殻変動だ。

自民党を壊したが新たな体制をつくれない危機

「自民党をぶっこわす」―この小泉のフレーズには二つの面があった。労働者人民の怒りをそらすデマゴギーの面と、支配階級内の権力構造を組み替えるという面である。
小泉は、調整と妥協を旨とする伝統的な自民党政治を破壊し、ブルジョアジー直属の経済諮問会議によるトップダウンで、政府の政策を決定するシステムに転換をはかった。
なぜなら、小泉構造改革が、戦後的な階級関係を暴力的に破壊する攻撃であり、そのためには、まず、戦後的な関係に規定されてきた自民党自身を壊さないとできないからだ。
小泉はここに踏み切った。福田もこの延長線上にあるのだが動揺的だ。
つまり、自民党政治を壊し、自ら階級決戦に突入したのに、その攻撃をやり遂げる政治体制をつくれず、反乱・反撃の大きさに動揺している―これが今の政治危機である。

1930年代ドイツ

30年代ドイツで同じことが起こっていた。
階級協調を基本とするミュラー政権が、29年世界恐慌の中で、資本家と労働者の両方から見放され、崩壊していく。その後を襲うブリューニング、パーペン、シュライヒャーの 各政権は、階級協調から強権的な政策に転換し、議会無視で法案を成立させ、国会を繰り返し解散した。
しかし、そういうやり方は、階級闘争の激化を招くだけだった。大衆意識が左右に分岐し、選挙では、共産党とナチスが躍進した。
結局、ブルジョアジーは、この危機の打開を、デマゴギーとテロリズムを武器に台頭するナチスに託すしかなくなった。その後ドイツがたどった道は周知の通りである。

自民も民主も瓦解する

「自民党をぶっこわす」―この小泉のフレーズには二つの面があった。労働者人民の怒りをそらすデマゴギーの面と、支配階級内の権力構造を組み替えるという面である。
小泉は、調整と妥協を旨とする伝統的な自民党政治を破壊し、ブルジョアジー直属の経済諮問会議によるトップダウンで、政府の政策を決定するシステムに転換をはかった。
なぜなら、小泉構造改革が、戦後的な階級関係を暴力的に破壊する攻撃であり、そのためには、まず、戦後的な関係に規定されてきた自民党自身を壊さないとできないからだ。
小泉はここに踏み切った。福田もこの延長線上にあるのだが動揺的だ。
つまり、自民党政治を壊し、自ら階級決戦に突入したのに、その攻撃をやり遂げる政治体制をつくれず、反乱・反撃の大きさに動揺している―これが今の政治危機である。

1930年代ドイツ

30年代ドイツで同じことが起こっていた。
階級協調を基本とするミュラー政権が、29年世界恐慌の中で、資本家と労働者の両方から見放され、崩壊していく。その後を襲うブリューニング、パーペン、シュライヒャーの 各政権は、階級協調から強権的な政策に転換し、議会無視で法案を成立させ、国会を繰り返し解散した。
しかし、そういうやり方は、階級闘争の激化を招くだけだった。大衆意識が左右に分岐し、選挙では、共産党とナチスが躍進した。
結局、ブルジョアジーは、この危機の打開を、デマゴギーとテロリズムを武器に台頭するナチスに託すしかなくなった。その後ドイツがたどった道は周知の通りである。
自民党の総裁選が大宣伝されているが、総裁選は自民党の崩壊を促進するだろう。自民だけではない。民主も分解する。問題は、その危機と混乱の中から何が出てくるかだ。

50億円資産の麻生

麻生が優勢だという。麻生は吉田茂の孫、総資産50億円の特権階級そのものだ。炭鉱経営などで、韓国・朝鮮人と被差別部落の人びとをはじめ、労働者人民の生き血をすすってのし上がってきた一族だ。麻生が繰り返す差別発言は、この一族の歴史的な体質なのだ。

民主党も分解必至

民主党は、自民党よりもむしろ構造改革に積極的で、海外派兵も改憲も賛成だ。にもかかわらず7月参院選で押しあげられたため、労働者人民の怒りによって縛られている。
しかしごまかしは続かない。内外の危機と労働者人民の怒りに挟撃されて、民主党もまた分解は必至である。

「第三の勢力」

「現状のような自民党でも民主党でもない第三の勢力が出てくるという期待」を小泉の秘書であった飯島が語っている。小泉が小池を推すと表明した。
「第三の勢力」とは、強権的なボナパルティズムなのか、ナチスのようなファシストなのか。いずれにせよ、デマゴギーとテロリズムに訴えて、危機突破をはかろうとする反動が、密集してくることは間違いない。

4.労働者はどうたたかうか

@解散総選挙は、当面する最大の決戦場である。労働者階級の選挙方針は、すべての改憲派・新自由主義派をたたき落とすことだ。昨年7月参院選以上の打撃と危機を資本家階級に強制しよう。
A同時に、この情勢を、労働者と農民・漁民の組織的な闘いに発展させることである。
民主党の分解は同時に連合の破産と大流動だ。改憲派・新自由主義派が、人民の決起で打倒されていく。
その流れがどのように発展していくかだ。カクマル松崎が狙う〈JR総連を軸とした労働運動の再編〉なる策動を許してはならない。
連合の大流動に対応した新しい陣形をつくろう。既存の枠組みや歴史的な党派関係にとらわれずに、職場・現場での闘いを軸に、下から広く結びつこう。
Bそれらを改憲阻止の大きな力に育てていこう。改憲阻止のたたかいが日米矛盾をいっそう激化させ、日本帝国主義をもっとも追い詰める。07〜08年の政治危機が示すとおりである。改憲阻止こそ労働者人民がもっとも広くもっとも深く結合できるテーマだ。

2面

9・29 東京都教委包囲行動

「危険を恐れたら、もっと大きな危険がくる。ストライキを含めた闘いを」

「日の丸・君が代強制反対!」シュプレヒコールは、都庁から高層ビル街に広がっていく。8月29日午後3時からの「都教委包囲首都圏ネットワーク」の呼びかける東京都教育委員会包囲行動には220人が結集した。

闘う教育労働者の解雇をねらう

都教委は、7月15日、「分限事由に該当する可能性がある教職員に対する対応指針」を発出した。都教委に屈しない教育労働者、心身に不調を抱える教育労働者などを、問答無用で解雇する姿勢を明らかにした。
とりわけ、「君が代」不起立の教育労働者たちに、都教委が強制する研修の中で、この「分限指針」を突きつけているのだ。分限事由の例として、「職務命令に違反する、職務命令を拒否する」、「研修の成果が上がらない」、「過去に非違行為を行い、懲戒処分を受けたにもかかわらず、再び非違行為を行い」などを上げている。
根津さん、河原井さんたちを解雇し、教育労働者全体の屈服を狙っているのだ。
闘う教育労働者たちは、こんな脅しには屈服しない。根津さんはこの日も「分限指針」を徹底追及する公開質問状と撤回要請書を都教委に突きつけた。
また、「被処分者の会」から発言した教育労働者は、「危険を恐れていたら、もっと大きな危険がくる。多くの方と連帯しつつ、ストライキも含めた闘いが必要だ」と語った。

石原を倒す怒りと情熱

この日の行動には、闘う教育労働者と共に、共謀罪と闘う人びと、有害物質で汚染された土地への築地市場の移転を強行しようとする石原都政に反対する人びとなど、さまざまな運動を行っている人びとが結集した。都庁前の集会に引き続き、教育委員会のあるフロアーに要請書を持ってつめかけ、怒りの声を突きつけた。
03年の「日の丸・君が代」を強制する「10・23通達」、06年の職員会議の採決禁止、そして今回の「分限指針」と、極右・石原による民主主義破壊攻撃はとどまるところを知らない。しかし、労働者・民衆の不屈の情熱は、必ず極右・石原の野望を焼き尽くすだろう。そうした熱さを感じさせる行動だった。
   (通信員OX)

「もう一度、学ぶのをあきらめるのは悔しい」-夜間中学への就学援助費カット(大阪府)に怒り

9月7日、大阪北区民センター大ホールで「近畿夜間中学校生徒会連合会」の生徒集会が行われた。生徒357人、教育労働者117人をはじめ多数の参加。会場は、「橋下知事、就学援助廃止反対の声を聞け」という怒りであふれた。
公立の夜間中学(夜中)は、現在、大阪府には11校、約1300人が通っている。戦争・貧困・差別などのために、学校に行けなかった人が、学習する権利を取りもどしてたたかっている。

就学援助費カット

橋下府知事は、08年度の夜中への就学援助費を10%カットした。09年度以降は、補食費を含めて全廃するとしている。
両方を合わせても、2300万円ほど、府にとってはわずかな額だ。しかし、夜中生徒にとっては「青空から落ちてきた雷のよう」であり、「多くの仲間が、もう一度、学びをあきらめる悔しさを味わうこと」(集会決議)になるのだ。
守口三中の夜中では在校生徒184人中110人が就学援助をうけている。わずかな収入、ぎりぎりの生活の中で通学している多くの人が通えなくなる。

3万5千こえる署名

夜中の生徒たちは、就学援助削減反対の街頭活動や集会を積み上げてきた。署名は3万5千筆を超えている。 さらに「生徒会連合会は、ここであきらめることなく、来年度予算での就学援助費、補食費の廃止を許さず、財源が確保されるよう最後まで行動して行くことを決議」した。
このたたかいに学び、連帯するたたかいが必要だ。

橋下の教育破壊

橋下は、「道州制実現、大阪府解体」とくり返し強調している。政府の進める新自由主義攻撃の忠実な実行役として、大企業の利益だけを追求している。
そして教育は、橋下との攻防の大きな焦点だ。橋下は、次のような攻撃をかけてきている。
@全国学力テストの結果を公表するよう市町村教委に強要する。公表しない「くそ教委」には「予算に差をつける」と放言。A同じく「公表しないなら府は義務教育からひく」。B「夜スペ」を導入した東京都杉並区立和田中学の藤原元校長を府の特別顧問に登用する。C「不適格教員は分限免職にする」とくり返す、などなど。
その行きつく先は、義務教育も民間資本に売り飛ばして、府が金を出すのは金持ちのための超エリート校だけにするというものだ。
Dこれらと一体で、「日の丸・君が代」強制のための職務命令が、大阪府下では初めて出された。
橋下の攻撃は、権力・資本の危機を背景に、一段と激しさを増してくるだろう。橋下打倒の共同戦線の確立が急務である。(通信員R)

トラックパレードに参加(8/23)

600台のトレーラーヘッドが数珠繋ぎになってパレード

8月23日、神戸・大阪両港の海上コンテナ輸送業界や全港湾、建交労などの主催で、燃料サーチャージを訴えるトラックパレードを行った。関西合同労組の分会が参加した。
600台のトレーラーヘッドが集まり、パレードが始まって1時間でようやく少しずつ動き出し、道路はトレーラーヘッドで大渋滞となった。
漁業組合、タクシー業界、フェリー業界が同じように戦後初の一斉行動にでている。阪神高速の値上げ(距離単位の料金制度)はストップできたという。
運輸労働者のストライキがこんな規模でできたらどんなにすごいか。運輸労働者の力を取りもどそう!
(関西合同労働組合B)
※燃料サーチャージ:燃料代の高騰の利用料への上乗せ。航空運輸業には認められているが、陸上・海上運輸業には認められてない。

社保庁の民営化反対!一人の首切りも許すな

10月1日から、政府管掌健康保険(中小企業の従業員などが加入)が社会保険庁から切り離されて、全国健康保険協会(協会けんぽ)に移行する。2010年1月には日本年金機構が発足し、再編・民営化される計画となっている。
業務は基本的に何もかわらない。公務員という存在をなくし、民間資本に業務を投げ出すことが再編の内容だ。年金・健保という労働者から集めた資金を、資本が収奪するということだ。

6千人以上のリストラ

最大の問題は、この攻撃が首切り・リストラであり、労組つぶしだということだ。
現在1万7千人強の常勤職員、1万人強の非常勤職員をそれぞれ1500人、4800人も削減する。すでに全国24ヶ所にあった電話相談業務の拠点が3ヶ所のコールセンターに集約され、400人以上の非常勤職員の雇用が奪われた。

国鉄分割民営化と同じ手口

手口も悪辣だ。「年金破綻」を労働者や労組のせいにして連日キャンペーンが行われている。「やみ専従」問題がこれでもかとばかり繰り返されている。 そして一度でも処分されたことのある労働者は再雇用しないという、選別採用・分限免職だ。
国鉄の分割民営化でとられた手法だが、大反撃を受けて電電や郵政ではやることができなかった。それをいま強行しようとしている。
一人の首切りも許してはならない。社保庁の内外から反撃にたちあがろう。

5・27国労臨大闘争弾圧裁判弁論分離決定を追及

9月2日、東京地裁において、5・27臨大闘争弾圧裁判の松崎被告の公判が行われた。5月12日に植村裁判長が、不当にも職権による弁論分離を強行して以降、6月6日、7月18日に続く、再開第3回めの公判であった。

職権分離弾劾の意見陳述

6月・7月の公判では、松崎被告と弁護団は、裁判長交代にともなう更新手続きには入らず、職権による分離決定の不当性を弾劾してきた。今回も、その続きである。
今回の公判は、職権分離を弾劾する佐藤弁護団長の意見陳述の続き(前回公判で時間切れで中途打ち切りとなった)から始まった。
佐藤弁護団長は、5・27臨大闘争弾圧の背景事情(4党合意に基づき、国労本部が闘う闘争団の処分をねらうに至った経緯等々)を全面的に明らかにしたうえで、@本件起訴における検察官による事実のねつ造、A本件起訴の客観的役割、について述べた。
@については、有形力の行使と団結権行使の判断についての最高裁判例をひきながら、本件が団結権行使の正当な組合活動であったことを明らかにした。
またAについては、「中核派による暴力的介入」と描き出して起訴することで、国鉄闘争勢力内に分断を持ち込み、闘争を破壊することがねらいであることを明らかにした。
引き続き松崎被告からも意見陳述がなされ、各弁護士も補足的に、弁論分離の誤りについて追及した。

不誠実な裁判官の忌避を申立

そして一瀬弁護士が追及に立った。8月1日に行われた7被告の公判では、被告人らが公判でも黙秘する方針であることが明らかとなった。そうすると7被告の公判は来年9月にも判決という流れが予想され、更新手続きだけで7回廷ぐらいを考えている松崎被告の公判の途中で7被告の判決が出るということにもなりかねない。
しかし裁判長は「現時点でお答えするだけのものはない」の一点張り。弁護団から激しい追及が続いた。
それでもなお不誠実な態度に終始する裁判官に対して、裁判官忌避の申立がたたきつけられた。理由は、・弁論分離が恣意的に行われたこと、・裁判の合一確定の要請を十分に考えない訴訟指揮、などである。
裁判官は20分ほどの休廷の後、「簡易却下」(忌避申立にたいして、申し立てられた裁判官自ら「申立には理由がない」として却下すること)もできず、忌避申立の書面の提出期限を確認し、閉廷となった。松崎被告と弁護団による裁判官忌避申立が、あまりにも正当なものであることを裏付けたようなものだ。裁判所は誠実に対応せよ。

8被告の無罪戦取を

裁判所による弁論分離の暴挙を許さず、8被告の無罪にむけて、5・27臨大闘争弾圧裁判の支援を広げよう。激動する国鉄闘争の現情勢の下で、政府・JR資本による団結破壊を許さず、解雇撤回・原職復帰の大原則をつらぬいて闘おう。

3面

シリーズ10・5三里塚へ(第3回)「法を犯しているのは政府・NAAだ!」(反対同盟・市東さん)

3本のうち1本だけ

成田空港は、当初の計画では、3本の滑走路を建設することになっていた。しかし、反対同盟農民の農地死守のたたかいが空港の完成を阻んでいる。
できたのは「4千m滑走路」1本だけだ。残りの2本のうち、「平行滑走路」は計画よりはるかに短い「暫定滑走路」の状態、さらに「横風滑走路」にいたってはまったくとん挫してしまっている。
政府とNAA(成田空港会社)は、この状態を何とか打開しようとして、この間、暫定滑走路を北に延伸する工事を強行している。

市東さんの農地が「く」の字を強制

今年の7月末、「成田は“欠陥空港”。滑走路を延長してもA380(エアバス最新鋭機)は飛べない」(『週刊・東洋経済』誌)という記事が掲載された。「土地買収が不完全なことから一部誘導路が『く』の字型に曲がっていて、その部分では誘導路と滑走路が接近、安全性が確保できない」という。
市東さんの農地と天神峰現闘本部が立ちはだかって、誘導路の「く」の字を強制しているのだ。これを打開しなければ、滑走路を延ばす工事を進めても意味がないのだ。
ここから、政府とNAAは、市東さんの農地と天神峰現闘本部の強奪に躍起となっている。今秋の三里塚闘争の最大の攻防がここにある。

デタラメな提訴を乱発

現在、市東さんの耕作地をめぐる2つの裁判と、天神峰現闘本部裁判の、あわせて3つの裁判が焦点化している。追いつめられたNAAがデタラメな民事訴訟を乱発したのだ。それは、支配階級みずから法秩序を逸脱する行為で、まったく破産的だ。
(1)伝家の宝刀である土地収用法によっても取り上げることができなかった農地、家屋である。89年に収用法の適用期限が消滅し、93年に政府もこれを認めた。任意による買収以外に取得する手立てはない。
(2)市東さんの農地は、親子3代、90年にわたって、耕作を続けてきた農地であり、耕作権は揺らぐものではない。現闘本部も同様に、反対同盟の地上権が確定している。
(3)にもかかわらずNAAが、次のような攻撃をかけてきた。
@公団(現NAA)は、市東さんの農地の地主から、耕作者である市東さんの同意もなく、まったく秘密裏に、土地を買収していた。このことを、04年、突如、市東さんに通告し、「買収したので明け渡せ」と要求。市東さんがこれを当然拒否すると、NAAは、農地の耕作権解除を申請。千葉県農業委員会が農地法の対象地からの解除を決定。この決定にたいする取り消し請求が裁判で争われている。
Aさらに、NAAは、市東さんの農地の一部を「不法耕作」だとデッチあげて、その「明け渡し」を求めている。

国家の暴力性が引き出されてきた

9月1日に開かれた第8回「不法耕作」デッチあげ裁判で、市東孝雄さんは、「いったい、どこが不法だと言うのでしょうか。無断で土地を売買し、地代を騙し取り、『不法耕作』の言いがかりで土地を取り上げる。法を犯しているのは誰だ!と私は叫びたい」と堂々と陳述し、この裁判の「即刻、却下」を求めた。
まさに、違法を通り越して、空港建設のためには何でもありの脱法・無法のオンパレードである。しかも、裁判所が、「中立」の幻想をかなぐり捨てて、国家権力の機関としての姿をむき出しにした強権的な訴訟指揮をしている。
農業よりも空港が大事、農民の生きる権利よりも国策が大事とするあり方が、農民と農業を守る農地法の廃止へと進み、憲法改悪、戦争と軍事大国化へと突き進んでいる。

三里塚の地に3千人の大隊列を

「三里塚の地に3千人の大隊列を! 10・5三里塚に全国から総決起されるよう訴えます」という「招請状」が反対同盟から発出された。これに応えよう。
現地調査、援農、写真展、産直運動など、あらゆる手立てをつくして、三里塚を訴え、新たな三里塚結集運動をつくりだそう。

 自衛隊・伊丹駐屯地に抗議申し入れ行動 

元自衛官と「とめよう戦争への道!百万人署名運動・兵庫連絡会」、「同・関西連絡会」の3団体が第三師団に空自の輸送活動を弾劾する申し入れを行う。

8月31日、自衛隊伊丹千僧駐屯地の第3師団にたいして、「とめよう戦争への道!百万人署名運動・兵庫県連絡会」、「同・関西連絡会」、「とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会」の3団体8人で、定例の申し入れ行動を行いました。
インド洋での多国籍軍にたいする海自の給油活動、イラクでの米軍にたいする空自の輸送活動を弾劾し、即時撤退を要求しました。また、米軍再編にともなう自衛隊再編・日米軍事一体化に反対と訴えました。さらに、自衛隊内の「いじめ」は自衛隊の海外派兵と実戦化に原因があると弾劾しました。海上自衛艦「さわぎり」乗組員の自死をめぐる裁判では、逆転勝利判決がだされています。
元自衛官が隊員の仲間に聞こえるようにマイクを握りしめて訴えました。これに真剣に耳を傾ける若い自衛官の姿が印象的でした。
自衛隊への申し入れ行動は、派兵が恒常化する中で、ますます重要だと思います。
    (通信員T)

'08このままでええの?! 日本と世界 10・19反戦・反貧困・反差別共同行動in京都

改憲阻止の 統一戦線の形成

昨年、国際反戦デーである10月21日に、「反戦共同行動in京都」が開催された。京都円山公園野外音楽堂に1200人もの人びとが集まり、近年にない大集会と四条河原町デモが行われた。われわれもこの一翼をになった。
昨年は安倍政権によって改憲に向けての動きが急を告げる中で、危機感を持った多くの人びとが、この行動をともにになった。戦争反対と9条改憲阻止に向けて、人民が主体的かつ大衆的な規模で決起した、本来の意味での統一戦線が動き出した。

反戦と反貧困・反差別の結合

憲法改悪にむけて、昨年5月に国民投票法が強行成立させられた。しかしその後の7月参院選で人民の大反撃にあい、自民党は大敗し、安倍は打倒された。それゆえ、本来なら衆参両院に設置され始動しているはずの(改憲案を煮詰める)憲法審査会はいまだ設置すらされていない。
こうした事態のなかで、戦争反対と改憲阻止のたたかいをさらに攻勢的にすすめるため、〈戦争につながる貧困と差別〉に反対するたたかいを進めようと、今年は集会名を「反戦・反貧困・反差別共同行動in京都」とした。10月19日(日)に、昨年をうわまわる行動を実現しようと、より幅広い陣形の形成と多くの結集をめざして準備されている。
われわれもこの行動に賛同し、共同行動の成功にむけて奮闘しよう。

サミット闘争陣形の発展

自民党がいよいよ瓦解しようとしている。その危機と混乱の中から、より強権的な勢力が台頭してくることは間違いない。同時に民主党の解体と連合の大流動も必至である。
JR総連・カクマル松崎がこの情勢を、左翼的な人士などをも巻き込みながら、ファシスト的に簒奪しようとしている。「(JR総連を中心に)統一戦線的なゆるやかな運動体(をめざす)」として、労働運動の戦闘的階級的発展を阻止し、改憲・新自由主義翼賛運動に引き込もうと策動している。
このような情勢のもとで、戦争反対・改憲阻止のたたかいをいっそう強力におしすすめていくためにも、7月サミット闘争を北海道現地のキャンプ地で最後までたたかいぬいた勢力の陣形を発展させる必要がある。
「私たちが発言し、行動しない限りは、社会や政治はかわりません。いや私たちの力だけが世の中を変えることが出来るのです。今年はもっと新しい仲間を誘ってみませんか。この暗い世の中と世界をふきとばすために、次の世代をになう人びとの明るい未来のために、私たち自身の力を出し合いましょう。だれのいのちを奪うことも許さず、生存をおびやかす政治を追放し、あらゆる社会的不正と虚偽の根源を見抜き、人間らしい社会をつくりだすため手と手をとりあいましょう。」(10・19共同行動ビラより)

「障害者自立支援法」撤廃にはずみつけよう

関東「障害者」解放委員会/関西「障害者」解放委員会

「障害者自立支援法」は来年、法施行当初から予定されていた3年めの見直しをむかえ、通常国会に見直しの法案が上程される。それにむけてこの秋、厚生労働省案が示され、これをめぐる闘いが本格的に始まろうとしている。
また生活保護に対しても、病気の人が通院する交通費のうちきりや、他人介護料(「重度障害者」の介助費用をその人の生活保護費に上乗せする制度)の「不正受給」を口実とした組織犯罪対策法による不当弾圧などの攻撃がかけられている。
この中で今年も、「自立支援法」が成立した10月31日に日比谷公園で大集会が呼びかけられている。すでに全国各地で応益負担(受けた利益に応じて支払う制度)に対する行政不服審査が申立られており、その却下を受けて、生存権を問う全国一斉応益負担違憲訴訟が提訴されようとしている。現代の朝日訴訟(革共同通信15号参照)とも言うべきものだ。
今こそ「障害者」と労働者の団結で自立支援法を撤廃に追いこもう。

「自立支援法」の問題点

「自立支援法」は「障害者」の生活と生存を奪う悪法だ。2006年4月に部分施行され10月に全面施行された。最終的目標は「障害者」介助の介護保険への統合だ。
同法によって、利用者には原則1割の自己負担を課す応益負担が導入された。「障害者」の所得となっている障害基礎年金は、1級でも月約8万円、2級では約6万円だ。ここからさらに1割の利用料をとりあげることは「障害者」の生存を脅かすものだ。
そして24時間介助が必要な「障害者」にも、1日数時間分までしか国が補助金を出さない、国庫負担基準が設けられた。またホームヘルプやガイドヘルプの支給量を低く制限する障害程度区分認定制度も導入された。さらに「障害者」が選んだ人が介助者になれた自薦制度が使えなくなり、ヘルパー資格制度が義務づけられた。通所授産施設やグループホーム、入所施設では、月額制だった報酬支払いが日額制になって運営危機におちいる所が続出した(「障害者」が病気などで休んだり入院したりすると費用が支払われない制度)。「精神障害者」に対しては精神病院の病棟を転換した施設に収容したことで退院したことにしてしまおうとする「退院支援施設」の新設など、問題点をあげればきりがない。
とくに応益負担の導入は重大である。多くの介助を必要とする「重度障害者」ほど、多くの自己負担が課せられる。しかし「重度障害者」ほど就労が困難であり収入は少ない。そして払えなければ介助が受けられないという本質的な矛盾がある。「障害者」が働く作業所では、安い工賃を高い利用料が上回る構造を作り出してしまった。むしろ「働いて自立して介護費用を払え」という国の根本的主張の中に、今日の新自由主義の福祉解体の思想が現れているというべきである。福祉は廃止し「介助は金で買え」という攻撃だ。

地域自立生活を保障する措置制度を

こうした数えきれないほどの問題点の根本原因は、契約制度の導入にある。政府は「措置から契約へ」をかかげ、国が責任をもつ公的保障制度だった措置制度を廃止した。03年に介助を「サービス商品」として売買する契約制度である支援費制度(06年に「自立支援法」)に転換したのだ。
これによって福祉は「国家が保障するもの」から、「自己責任」で「買うもの」へと変貌した。それは、「福祉国家」というあり方の廃止という、新自由主義攻撃そのものである。
必要なのは、「自立支援法」を撤廃し、国が責任をもつ公的保障制度として「障害者」の介助制度を実現させることである。「契約から措置へ」を求めて闘おう。
措置制度と言えば施設隔離という印象が強く、地域自立生活運動を求める「障害者」団体からは、今も「契約から措置へ」という声はまだまだ弱い。かわりに支援費制度の復活や差別禁止法制定を求める声が強い。
しかし「働いて費用を支払え」という思想を許しておいて、問題は解決しない。「施設から地域へ」をかかげた70年以降の地域自立生活運動のなかで「障害者」は措置制度のもとでも「全身性障害者介護人派遣制度」という評価できる介助制度をかちとってきた。これは措置制度を地域生活を保障するものへと変革してきた闘いの獲得物だった。
私たちが求める「契約から措置へ」の転換は、同時に措置制度の「施設から地域へ」の転換と一体だ。「障害者」の施設隔離ではなく、「全身性障害者介護人派遣制度」のような地域自立生活を保障する制度への拡充だ。
すべての「障害者」が地域で安心して生活できる介助制度を実現しよう

今秋闘争の高揚を

法施行後も「自立支援法」に対する闘いは全国各地で休みなく展開されてきた。06年、法施行1年目の10・31には日比谷公園に1万5千人が集まった。与党は、この抗議の声におされる形で低所得者に対する減免措置などの特別対策をうちだした。07年10・30日比谷集会には6500人が結集した。与党は12月に減免措置を拡大することなどを内容とした緊急措置をうちだした。「障害者」の闘いはこの2年半も法のストレートな施行をはばみつづけているのである。こうした「障害者」の「生きさせろ」の闘いは帝国主義を打倒するまで止まないものだ。「『社会保障拡充運動』は労働者の闘う道ではない」という安田派には、「障害者」の今日を生きるための闘いに革命を実現する力が宿っていることが理解できない。差別糾弾を否定する安田派を許すな。
今秋「自立支援法」撤廃闘争の大爆発をかちとろう。憲法9条とともに25条の生存権をかけて改憲阻止を闘おう。10・31日比谷集会に結集しよう。

書評 「ルポ/貧困大国アメリカ」堤未果著(岩波新書) 新自由主義がもたらすアメリカの悲劇

地域での「新書を読む会」の2回めで取り上げ、学習中である。今の社会を読み説くのに、ひとつの格好の書である。

新自由主義による二極化

新自由主義と市場原理によって、富めるものと富まざるものという二極化する社会、そこでの人々の悲惨を明らかにしている。
アメリカは、80年代、レーガンの登場とともに大企業の競争力を高め経済を上向かせようとし、規制を撤廃・緩和し、法人税を下げ、労働者側に厳しい政策を許し、あらゆる分野での社会保障を削減した。
書き出しでは、話題のサブプライムローンが低所得者向けということで始められたが、いずれ破綻すべき筋書きにあることは分かるが、その手口が、だましに似た手口であることも明らかにされる。

低所得者を食い物に

この書で表されている悲惨は、貧困を食い物にして、人々を地獄の底まで叩き落すという、すさまじい社会現象である。
まず、肥満児として現れる。それは食料交換クーポンを手に入れて、低栄養、高カロリーのジャンクフードばかりを食べざるを得ない貧困層に顕著である。 また、ハリケーン・カトリーナは、防災への公共投資を怠った人災であることも明らかにされる。
日本でも話題になっている医療については、無保険者があたりまえになり、医療費の高騰で破産する家族が続出している。病院までもが、採算がとれないことによる閉鎖に追い込まれ、医者、看護師さえも職を失うことになってる。
最後に、この書の出色は、学資ローンを返済できなくて募兵に応じる、さらに、戦闘地域における若者の苦悩を描いているところだ。物資輸送のための軍事会社や、兵士を雇い派遣する会社が繁栄しているということである。
貧困層に突きつけられているのは、貧困にあえぎ生きるすべを失うか、戦争を選んで、とりあえずは生きるか、の選択を迫られるという悲惨である。

突きつけられる課題

新自由主義が貧困・格差と戦争をもたらすものになっていることを現実のアメリカ社会に見ることが出来る。
そして著者は、日本がアメリカの後を追うように進んでいるといい、この現実を「変えられないのでは」という恐怖に口をつぐんでは、絶望の始まりであり、口を開き、あきらめなければ次世代に手わたせるものは限りなく貴いとしている。
さて、その課題がいま、私たちに突きつけられていると、私は見ておきたいと思うのである。   (杉原 栄)