革共同通信・第9号

2008年5月20日発行

橋下改革に反撃はじまる

本当に人件費が高いのか?大阪府の職員給与は全国42位、橋下の知事報酬は全国1位

4月11日、大阪府の橋下知事は、「改革プロジェクト・チーム=PT)」案を発表した。08年度1100億円、9年間で6500億円の歳出削減をうちだした。
まっさきに槍玉にあげられているのが、人件費だ。市町村長との意見交換会で、「橋下改革が地方行政を破壊する」という追及に、橋下は「地方公務員の人件費は高すぎる」と話をすりかえ、涙まで流して見せた。

高卒・初任給14万2800円

人件費が高いというのは大ウソだ。大阪府の職員給与額は、全国で42位。初任給は大卒で17万6800円、高卒は14万2800円だ。これを10〜20%カットするという。高卒では12万円台になってしまう。

月140万円!

知事の報酬は月額140万円を超え、全国で一番高い。しかも橋下には高額のタレント収入まで入ってくる。橋下よ、「痛みを分けあう」というなら、労働者と同じ10%カットの初任給、16万円弱でやったらどうだ。

大阪府は債務超過ではない 破産もしていない!

橋下は「大阪府は破産会社と同じ」を最大のキャッチフレーズにしている。そして「賃金カットだ。府民もがまんしろ」と犠牲をおしつける。

「破産会社と同じ」はデマ

大変な財政危機は確かだが、債務超過ではない。【表1】民間会社でもこれは破産ではない。
【表2】のように、ひとりあたりの地方債残高では大阪より島根県の方がはるかに多い。しかし誰も島根県を「破産・倒産」とはいわない。

デマを扇動する橋下

橋下のブレーン・上山信一(大阪府特別顧問・慶大教授・経営コンサルタント)は、ことさらに危機をあおる橋下のやり方を次のように解説する。
「橋下さんは『財政破綻』という軸で改革を進めない限り、みんなが納得して動き出すことはないと一瞬にして見ぬいた」(読売5/10)。橋下とはそういうデマゴーグだということだ。

誰が財政危機をつくったのか? 国の三位一体改革だ

@今の財政危機は、国が押しつけてきたものだ。三位一体改革のもとで、歳入は1897 億円も減ってしまった。【表3】
Aバブル崩壊後、国によって建設事業が府に押しつけられた。当然それらの事業は失敗した。それが府の「赤字」を雪だるまのように拡大している。【表4】
B大企業減税が大きな原因だ。労働者の賃下げ・リストラで、大企業の営業利益はこの7年間で1・7倍にもなっている。これらは労働者の賃下げ・リストラによるものだ。大企業はまったく「痛みを分かちあって」いない。これらのどこが「今の借金は有権者の責任」なのか!

橋下の狙いは何か?人民の生存権をうばい、資本家・大企業を太らす大悪政

全世界で吹きあれている新自由主義改革、その日本版である小泉改革、骨太方針、三位一体改革を、大阪でやるということだ。

新自由主義改革とは

深刻な経済危機の中で、労働者階級の闘い・権利・団結を徹底的に破壊し、搾取と収奪を徹底的に強化し、資本家・大企業の支配と収益を回復しようとする支配階級の側からしかけられた階級戦争だ。

三位一体改革とは

新自由主義改革そのものであり、地方自治体の解体と道州制の導入をねらう、9条改悪と並ぶ改憲攻撃の柱だ。
財政危機を逆手にとって、国が地方自治体への財政支出を極限的に縮小し、地方自治体を財政的に追い込み、戦後の地方自治制度、社会保障制度を解体する。もって、国は軍事・外交・治安・通貨などに特化し、道州は資本家・大企業のための産業振興や公共事業を担い、300ぐらいに減らされた基礎自治体である市に福祉や教育を全部押しつける、という国家大改造だ。

橋下改革の中身は

ブレーンの上山の手法からわかるように、府民・労働者人民のために福祉・医療・教育などの公共サービスをおこなうことを全面的に否定し、企業経営・企業改革のやり方を導入し、大阪府を丸ごと「株式会社」のようなものにつくりかえてしまうということだ。
@そのために、「財政再建」と「生産性」を基準にして、外部メンバー―つまり資本家とその手先だ.による「行政評価」で、公共サービスをどんどんカットしていく。
A公共サービスを大幅カットするとともに、資本家・大企業の営利の手段に変えてしまう。
B公共施設、道路、公園、公営住宅などのインフラを、資本家・大企業に大安売りで売り飛ばす。
C職員の大幅な削減と賃下げをおこない、パートなどの非正規職におきかえ、外注化を徹底的に進める。
D「財政再建」と「生産性」の最大の阻害要因であるとして、労働組合をはじめとする労働者階級の闘いと団結を破壊する。
橋下改革が強行されていくとき、資本家・大企業だけが肥え太り、労働者人民は、より悲惨な状態に落としこめられる。

大阪府民900万人の怒りで橋下をぶっとばせ!

上山によれば、支配階級は大阪の人民支配の難しさを指して「難治の土地」といっているそうだ。そして「橋下改革によって『難治の土地』が動き出した」と見ている。橋下改革は支配階級が大阪にしかけてきた階級戦争だ。
新自由主義改革を打ち破る大反乱を大阪からつくり出し、日本と世界の労働者階級のたたかいと連帯しよう。

あらゆる所から反撃がはじまる

PT案が発表される4 月に入って、たたかいの輪は急速にひろがっている。【表5】
府民の生活に根ざして、あらゆるところから橋下改革に反対するネットワークがつくられつつある。

自治体労働者・教育労働者の決起を

今さかんに宣伝されている公務員にたいするバッシングは、何をねらっているのか。「労働者が賃金を取り過ぎていることがいっさいの元凶」というデマを流して、すべての労働者の賃下げ・リストラを強行しようとするものだ。 だからこそ、自治体労働者は全人民の切実な要求をみずからの課題としてたちあがろう。そうすれば、橋下府政を打倒することができる。

橋下改革反対1万人の御堂筋デモ

府庁へ行こう。橋下に抗議・弾劾し、府民とともにたたかう労働者を激励しよう。
4月30日に行われた「大阪の文化の未来を考えるシンポジウム」で、「好きやねんドーンセンターの会」の方が「5月23日にパレードを予定している。これを橋下改革反対の御堂筋パレードにしよう」という提案をされた。
大賛成だ。橋下改革反対の共同行動を実現しよう。1万人の御堂筋パレードを実現しよう。

【表1】債務超過ではない

●地方債残高  5兆2486億円
●資産     6兆8427億円 (07年3月31日現在)

【表2】 府県民1人当たりの地方債残高ランキング(06年度)

●1位 島根県140万3407円
●41位 大阪府 49万6296円

【表3】03 〜07年の府の歳入

●国から大阪府への交付税    5154億円減
●収入             3257億円増
●歳入の合計          1897億円減

【表4】野放図な事業と府の負担

●りんくうタウン        2593億円
●箕面森町(水と緑の健康都市)  750億円
●泉佐野コスモポリタン      202.1億円
●彩都、安威川ダム、槙尾川ダム・・・

【表5】

●「好きやねんドーンセンターの会」  2月9日に結成。同29日に200人で府庁への昼休みマーチにたちあがる。
●「大阪府の博物館を支援する会」   4月8日1万人以上の署名を提出。13日には200人の参加でシンポジウムを開催。
●歯科医師会 短期間で40万人を超える署名を集める。
●「障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議」などの「障害者」も立ちあがる
●「大阪の高校生に笑顔をくださいの会」 高校生もメッセージや署名を集める。
●「大阪センチュリー楽団存続を訴える署名」 4月中に10 万人分をこえる。
●「府立弥生文化博物館を守る市民の会」 10万人署名運動を開始。
●「『精神医療オンブズマン制度』存続をもとめる署名」
●「『ワッハ上方』移転反対署名」 2万人分を提出。
●臨海スポーツセンターをまもろうと、スケートの高橋大輔選手たちがイベントをおこなうなど、スポーツ界も。
●「府PTA協議会」  200万人の署名を集めて「35人学級の廃止」撤回を求める方針。…などほか多数。

2〜3面

新たな共同のたたかいの一歩を築く

「9条改憲阻止! 戦争と格差・貧困を押しつけるG8サミット反対! 5・3共同行動」

初夏を思わせる天候の中、幅広い潮流の人たち280人が改憲阻止・サミット反対の思いで集い、新たな共同のたたかいの一歩を築いた意義ある集会とデモとなりました。
集会は、本山美彦(大阪産業大学経済学部教授・京大名誉教授)さんのサミットをテーマにした講演をメインに、洞爺湖サミット現地闘争への熱い訴え。
カンパアピールと休憩をはさんで趙博さんのミニライブとヒートアップ。
  さらに、画期的勝利をかちとった名古屋高裁でのイラク派兵違憲判決の報告が、自衛隊イラク派兵差止訴訟の会代表の池住さんからありました。
各団体からのアピールと盛りだくさんでしたが、時間の長さを感じさせない密度の濃い内容でした。

グローバリズムとサミットの正体あばく本山講演

講演は「G8サミットをめぐって」と題するもので、一言でいえば経済的、金融論的側面からサミット=帝国主義強盗会議の本質を批判する内容でした。
今日世界の帝国主義を震撼させているサブプライムローン問題、エコビジネス問題(ガソリン代替エネルギー、排出権取引等々)にかんして、「体制に屈しない」自身の立脚点を明らかにしつつユーモアを交えながらのお話でした。
グローバリズムの名のもとにくりひろげられるファンドによる果てしない利潤拡大欲求は、帝国主義金融資本の寄生性、腐朽性が極限まで行き着いた先であることが明らかにされました。私たち労働者階級とは相いれない帝国主義・支配階級の利害追求と衝突の会議であるサミットを批判し、暴露する中身をつくっていく上で重要な視点を示唆しているものだと思いました。

自衛隊イラク派兵差止訴訟の会代表の池住さんも報告

名古屋高裁判決の画期性(イラク派兵違憲判決・確定)もさることながら、この確定判決が各地の基地闘争、さらには9条改憲阻止にとっての「大きなくさび」であり「大きな武器」となっていくという訴えは、展望を与えてくれました。
最後に、「小異を残して大同につく」ということが主催者からの問題提起でも、後の発言の中でも使われていました。まさに色あいの違う人びとがこぞって「改憲阻止・サミット反対」のたたかいをおしすすめていくためにはどうしたらいいのか、何が求められているのかを真剣に考え大きな潮流にしていくことが大きな鍵であることを、あらためて痛感します。世界の労働者とともに一体となって帝国主義支配階級を震撼させるたたかいをつくりだしていこう。(労働者通信員KS )

5・3憲法・サミット集会の成功をふまえ7月北海道現地闘争へ

「5・3集会」の成功は、9条改憲阻止の会を中心とした統一戦線政策の発展としてかちとられ、憲法闘争をたたかう労働者人民の総結集をめざすとりくみが大きく前進した。
「9条の会」がよびかけた各地の国際集会には、主催者の予想を超える3万人が結集し、9条改憲反対の声が改憲勢力を圧倒している。
ただ、改憲に反対する人びとのG8サミット闘争への決起は、ようやく始まったばかりだ。新自由主義とグローバリズムとのたたかいこそが、憲法闘争の核心につながっているということを、もっともっと宣伝していかなければならない。
6・25京都闘争(円山公園)を頂点とする5〜6月の大臣会合とのたたかいが第一の山場であり、これに全力で結集しよう。
5月環境相会合( 神戸)は、二酸化炭素排出量規制を議題としながら、実質的には地球環境の破壊をきそいあう暗闘の場となるものだ。
6月財務相会合(大阪)は、金融危機をめぐる米帝と他帝の対立と金融資本による世界の食い荒らし、格差・貧困の拡大をもたらすものだ。外相会合( 京都)は、対テロ戦争の継続とイラン・シリア・北朝鮮への戦争どう喝の場となるにちがいない。 新たな貧困に怒る労働者は6・12扇町公園に集まろう。石油のための戦争に怒る全人民は6・25円山公園に集まろう。そして、大挙、7・5〜7を頂点に、北海道・洞爺湖闘争を最大の決戦としてたたかおう。
すでに、道警・警察庁と自衛隊、海上保安庁を総動員した厳戒体制が敷かれ、海外の活動家の来日が阻止され、道内の宿泊施設や公園等の使用が禁圧されている。これをうち破って現地闘争を準備・実現していくことは、日本の労働者階級の責務だ。
現地でたたかう仲間たちは、破防法型の予防弾圧をはねのけ、キャンプ地確保のために奮闘している。韓国のたたかう労働者・農民や、サミット粉砕実力闘争をたたかってきた欧・米・加の人民が渡日の準備を進めている。
全世界のたたかう人民と連帯して、帝国主義戦争をぶっとめる実力闘争をきりひらこう!

改憲阻止闘争の展望をひらく4・17イラク派兵違憲判決

4月17日、名古屋高裁は、イラクにおける航空自衛隊の空輸活動が、憲法9条違反の武力行使であると認定し、バグダッドを「戦闘地域」と認定して空自の活動をイラク特措法にも違反していると断じた。加えて、平和的生存権を憲法条文での個別の権利規定をこえた原理的な国民の権利として認めた(5月2日確定)。
この勝利は、日本帝国主義のイラク侵略戦争参戦への反撃であるとともに、福田政権がねらう自衛隊海外派兵恒久法阻止の突破口であり、改憲阻止闘争の展望を切りひらくものである。

判決のポイント

第一に、イラクでは、「アメリカ軍を中心とする多国籍軍は、ファルージャ、バグダッド、ラマディ等の各都市において、多数の兵員を動員して、時に強力な爆弾、化学兵器、残虐兵器等を用い、あるいは戦闘機で激しい空爆を繰り返すなどして、武装勢力の掃討作戦を繰り返し行い」(判決文より引用・以下同様)、また「(武装勢力は)アメリカ軍の駐留に反対する等の一定の政治的な目的を有していることが認められ、千人、万人単位の人員を擁し、しかもその数は年々増えており、相応の兵力を保持して、組織的かつ計画的に多国籍軍に抗戦し」ており、「したがって…多国籍軍の活動は、単なる治安活動の域を超えたものであって」、「国際的な武力紛争が行われているものである」とイラクの現実を認定した。
第二に、航空自衛隊の輸送活動は、バグダッドでの米軍・多国籍軍による武装勢力にたいする掃討作戦の戦闘要員の輸送を行っている事実を確認した。
「(航空自衛隊が使用しているC−130H輸送機は)アメリカ軍が開発したパラシュート部隊のための輸送機であり」、「平成18年7月ころ以降バグダッド空港への空輸活動を行い、現在に至るまで、アメリカが空挺部隊輸送用に開発したC−130H輸送機により、週4回から5回、定期的にアリ・アルサレム空港からバグダッド空港へ武装した多国籍軍の兵員を輸送していること…アメリカ軍はこの輸送時期と重なる平成18年8月頃バグダッドにアメリカ兵を増派し、同年末こそから、バグダッドにおける掃討作戦を一層強化していること…バグダッドでの掃討作戦等の武力行使に関与しない者に限定して輸送している形跡はない」。
「多国籍軍との密接な連携の下で、多国籍軍と武装勢力との間で戦闘行為がなされている地域と地理的に近接した場所において、対武装勢力の戦闘要員を含むと推認される多国籍軍の武装兵員を定期的かつ確実に輸送していることができ、現代戦における輸送等の補給活動もまた戦闘行為の重要な要素であるといえることを考慮すれば…多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っている」。
「他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力行使を行ったと評価を受けざるを得ない行動である」。
第三に、「現在イラクにおいて行われている航空自衛隊の空輸活動は、政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合であっても、武力行使を禁止したイラク特措法2条2項、活動領域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」と結論づけた。
第四に、「9条に違反するような国の行為、すなわち戦争の遂行などによって個人の生命、自由が侵害される場合や、戦争への加担・協力を強制される場合には、その違憲行為の差し止め請求や損害賠償請求」ができるとした。

判決の意義と闘いの展望

アメリカ帝国主義はイラク侵略戦争をますます拡大する以外にない。そして日本帝国主義はそこにどんどん参戦していくしかない。だから、日本帝国主義は、憲法9条をはや破棄したい。しかし、それがなかなかできないため、ペテンとごまかしで乗り切っている。
しかし、このような乗り切り的なやり方は、もはや、裁判所といえども許容できない。日本帝国主義の死活をかけた国策が、その支配の機関である裁判所において、違憲かつ違法などと認定されることの危機の深さは尋常ではない。それゆえ、軍部も思わず「そんなの関係ない」(田母神空自幕僚長)といいはなつしかなかった。
この判決から、イラク反戦闘争と改憲阻止闘争の展望をつかむことができる。
@イラク戦争は、帝国主義による不正義の侵略戦争である。それゆえに、アメリカ帝国主義のイラク侵略戦争は敗勢にあり、そのために、ますます凶暴化して、手当たり次第に虐殺する掃討作戦にのめり込んでいる。
このイラク侵略戦争の現実が、イラク人民の闘いによって告発されている。帝国主義の側の最大の弱点は、このイラク侵略戦争の現実を正面から肯定することができないことにある。
労働者階級はここをつかんで離さないことだ。イラク人民の闘いと告発に向き合い、連帯し、イラク侵略戦争の現実を徹底的に暴き、断罪しよう。
A航空自衛隊の空輸活動が、この不正義の侵略戦争の中で、イラク人民の大虐殺の掃討作戦を行っている米軍・多国籍軍の武装要員を戦闘地域に送り届けるという軍事行動を行っている重大な事実である。
われわれはこの事実を曖昧にしてはならない。われわれが現に今、イラク人民を虐殺する侵略戦争に加担させられている事実を声を大にして告発し、全人民に問う必要がある。 B日本帝国主義は、いよいよ自衛隊海外派兵恒久法から9条改憲に突き進む以外ない。しかし、それは容易ではない。
なぜなら、改憲とは、イラク侵略戦争の現実、自衛隊が米軍の掃討作戦を担っている事実を、労働者人民をして承認させるという問題だからだ。改憲とは、まちがっても、「自衛隊は今さらなくすこともできないから認めるだけだ」といったことではない。
だから、また、改憲反対ということも、「平和を謳っている憲法だから守ろう」という次元にとどまることはできない。
現に今、自衛隊がイラクで米軍を支援する形で行っている掃討作戦を、是とするか否か、アメリカ帝国主義の世界戦争政策とそのための米軍の世界的大再編の計画を、日米安保同盟政策のさらなる強化と一体化をもって、沖縄をさらに犠牲にして、日本帝国主義が深々と担っていくことを認めるのかどうかである。
問題はこのようにつきだされている。
イラク人民・被抑圧人民のたたかいと告発を受けとめ、帝国主義の侵略戦争の現実と真っ正面から徹底的に対決してたたかおう。そのとき、改憲阻止闘争は、階級的労働運動を再生し、それを土台として、プロレタリア革命をひきよせる巨大な内乱に発展するであろう。

「絶対許さない。事故がゼロになるまで」民営化・格差社会を問う!ノーモアJR尼崎事故!命と安全を守れ!4・20尼崎集会

あの4・25尼崎事故から3年目、今年も尼崎現地で集会と犠牲者への追悼・JR西日本への抗議のデモがたたかわれた。事故現場近くの尼崎市立小田公民館に、東京からの仲間も加え、尼崎・関西各地で神戸・新大阪ハンストなど国鉄闘争を今春たたかった労働者・市民200人が結集した。 

事故が多発する西日本保線現場

集会は鉄建公団訴訟原告団で兵庫常駐の大串さんの司会で進められた。野坂さん(闘う国鉄闘争を支援する京都の会)の挨拶のあと、「民営化・格差社会と安全問題」と題してジャーナリストの安田浩一さんによる講演を受けた。彼は、JR西日本の安全基本計画の土台となっている安全性向上計画を鋭く批判し、要員削減の問題に手をつけない「安全ミーティング」をくり返しているゴマカシを暴露した。いまJR西日本内で、保線でのケーブル火災、踏切事故が広島・西明石・天王寺等で多発している。そうした諸事実を指摘し、JRの変わらぬ金儲け主義の外注・下請け化が原因で、これこそ安全性向上計画の正体だと批判した。そして、労働組合の闘いなしに安全はないとつよく訴えた。

駅務3分の2が契約社員

その後、4・25事故遺族からのビデオメッセージが流された。「殺人者は許せない。娘は無残な顔にされ殺された。JRを絶対に許さない。50年、100年たっても事故がゼロになるまで」の声を参加者はしっかり受けとめた。
続いて現場の労働者からの「安全基本計画と職場実態」の報告で、駅務では2/3が契約社員におきかわった現実とそれにたいするたたかいが訴えられた。

1047名と安全問題を両輪に

そして、鉄建公団訴訟原告団長の酒井さんは、3・13東京高裁判決を弾劾し、6月2日の葛西(JR東海会長)証人尋問の行動、民営化1047名問題と安全問題を両輪にしてたたおうと訴えた。
集会アッピールを採択し、200人の参加者は事故現場までのデモ行進に出た。今も傷跡が生なましい事故現場のマンション前の献花台で、107人の犠牲者に「二度と尼崎事故をくりかえさない、民営化反対」を固く誓った。(労働通信員K)

「尼崎市の非道に一石を投じようと負けん気でストに入った」武庫川ユニオン市役所分会 女性派遣労働者のたたかい

直雇用かちとる! 4月14日職場復帰

3月3日から無期限ストをたたかっていた武庫川ユニオン尼崎市役所分会の5人の派遣労働者は、求めていた直雇用を実現し、4月14日に43日ぶりに完全に職場復帰した。4月7日の二回目の「競争入札」が不調におわり、11日の団交で臨時職員としての直雇用を市役所当局が表明し、14日からの勤務についた。彼女たちは、臨時職員の待遇改善と雇用の安定を実現するべく、新たなたたかいに入っている。
5月1日、尼崎地区労のメーデーは、市役所分会の闘争報告集会としても行われ、労働福祉会館大ホールに、ともにたたかった仲間が集まった。関西合同労組も阪神地域の職場、地域の仲間が参加した。
その集会で市役所分会分会長の本郷さんは、たたかいをふりかえって、「何も行動しなければ、このまま入札になって、条件が下がり、最悪の場合は失業。あっさりと引き下がりたくない。結果はどうであれ、行動をおこすことによって、尼崎市の非道なやりかたに一石を投じようと、負けん気ではじめた」―ここに、派遣労働者の腹の底からの怒りが述べられている。

住民票の入力業務も外注化し、違法な偽装請負に走った白井尼崎市政

尼崎市は住民票の入力業務を01年1月から民間委託してきた。その後の競争入札の結果、委託労働者の賃金は低下し続けた。白井市長は、住民票の入力という重要な業務を、「財政危機突破」を口実に安上がりな委託に投げたのである。その実態は、尼崎市管理職が労務指揮をおこなう違法偽装請負であることが07年に告発された。兵庫労働局も是正指導に入った。同時に武庫川ユニオンの分会がつくられ、当初から直雇用を求めて交渉をおこなってきたが、当局は拒否し続けた。
07年10月の団交で「直雇用はできない。4年間は随意契約で雇用安定をはかる」と回答。その後も市役所分会は直雇用を求めた。その中で当局は、2月19日に「次年度は競争入札で行く」と団交確認を反古にする回答をおこなってきた。その理由は、「業者が賃金改善しようとしたから」である。彼女たちの平均年収は、150万たらず―7年間も働き続けてこの状態である。「せめて少しの賃上げを」と入札価格の底上げをもとめた。これを白井尼崎市政はけったのである。怒りに火がついた。

「派遣労働者全体の闘いとなっている」

尼崎白井市政は、財政危機突破を口実に、学校給食や保育所の民営化、プールの閉鎖、老人無料パス廃止、市施設の売却など阪神間のトップに立って、まるごと民営化をおし進める新自由主義市長である。そのキーワードが「財政改善と競争入札=公正入札」だった。その結果は、入札でワーキングプア状態になる労働者が出てもそんなの関係ない.市長に転落したのである。 分会の掲げたスローガンが、「自治体からワーキングプアをなくすために」だった。こうした一連の市の非道な外注化、民営化への怒りが、5人の女性派遣労働者に無期限ストを決意させたのである。このたたかいに全国のユニオン、派遣労働者の共感がひろがった。全国から続々と支援カンパ、檄、市役所への抗議が届けられた。武庫川ユニオンのFAXがパンクしたほどである。
彼女たちは、このたたかいを「自分たちだけの問題ではない。派遣労働者の皆のたたかい。良い結果が届けられるように」とたたかい続けた。このたたいは、派遣法改正・撤廃の流れを一挙にすすめるたたかいともなったのである。「派遣労働者の『三井三池』」の様相を示しはじめたのである。

テントろう城から地区労、全国の支援の急速な拡大―自治労の支援決定

3月3日のストライキ突入とともに、市役所横の橘公園にテントがつくられ、4月9日の閉鎖まで闘いの拠点となった。 24時間の泊まりこみ体制がおこなわれた。市役所の東側は、組合旗や全国からの檄でとりまかれたテントと、公園に林立する組合旗―まさに「聖地」となってこの闘争を牽引し続けた。彼女たちは、毎日、このテントに出勤し、座り込み、市内への街宣に出撃した。このテントが支援共闘の仲間の枠を超えた交流の場となっていた。
このストとテントろう城の闘争形態は、今後のこうした非正規雇用労働者のたたかいの一つの方向を示した。
さらに、このたたかいの勝利にとって、ひとつ重要なことは、尼崎地区労、自治労兵庫県本部の闘いである。尼崎地区や兵庫県下では震災以後、ここ数年〈正規・非正規の壁〉をこえた非正規雇用問題が熱心にとりくまれてきた。自治体の偽装請負問題も、2年まえに県本部のテーマにしてきた。この蓄積のうえで、今回のたたかいがなされたのである。2回おこなわれた橘公園でのストライキ支援・市役所包囲デモは、「自治労県本部、武庫川ユニオン、尼崎市職労、尼崎地区労、支援する全国の仲間一同」の主催でとりくまれたのである。こういう中で、全国ユニオンの支援の上で、自治労本部も動かし全国支援決定を取りつけ、全国の自治体職場から大量の檄、カンパ、抗議が尼崎現地に続々とよせられたのである。
また、このたたかいは、全港湾、関西生コン、港合同など関西での国鉄闘争支援陣形、戦闘的労働組合運動の中にもちこまれ現地への動員が実現された。このたたかいは、新自由主義政策―非正規雇用化と対決するたたかいとしてひとつの典型を示したたたかいだった。
武庫川ユニオン市役所分会の43日間の闘いは、歴史的勝利のうちに一旦終了したが、貴重で豊かな教訓をわれわれに知らせてくれている。
08春闘の最中で、それを象徴する闘いであったように思う。このたたかいに学んでさらに非正規雇用労働者の逆襲.を組織しよう。
今回の報告はその一部に過ぎない。(労働通信員M)

4面

大阪港南の闘い(下) 寄稿 雑賀 一喜

 

1930年代半ば、日共・全協の敗北を乗りこえて進もうとする大阪港南の労働運動を描いた雑賀さんの寄稿の最終回です。このたたかいの総括と教訓が提起されています。(編集委員会)

燎原(りょうげん)の火のように全国に広がる

右派幹部の足下から上がった戦線統一の狼煙(のろし)は大きな反響を巻き起こし、文字通り燎原の火のように、またたく間に全国に広がっていきました。
とりわけ「合法左翼」と言われた労働組合は、この機をとらえて軍部独裁に抗して、「反ファッショ全合同」を実現しようと積極的に呼応しました。東京の城南地方労働者協議会(市従など4千数百人)は、「大阪港南に学ぶ運動」を立ち上げ、そのメッセージ全文を紹介した合同促進協の機関紙『統一戦線』号外のパンフレットも作成されました。全日本交通労働総連盟(東交など約1万8000人)は「反ファッショ組合を含む全線的統一」の方針を決定しました。全評(注4)の大会は「反ファッショ統一戦線」を決議しました。
職場大衆の決起にあわてふためいた全労・総同盟の幹部のなかには、統制違反と圧迫する動きもありました。しかし職場から湧き上がった合同を求める熱烈な声の前に、次第に姿勢を改めざるを得なくなりました。
一方、全評は全労に加入するかたちで全合同を実現する方針を決め、全労もこれに同意しました。しかし反共主義で固まった西尾ら総同盟幹部は、「合法左翼」の合流には頑強に反対しました。最後には全労幹部が妥協して、全評の加入を認めず、全労・総同盟の合同で結着しました。こうして、36年1月15日、9万5000人の組合員を擁する戦前最大のナショナルセンター全日本労働総同盟(「全総」と略す)が誕生し、闘う労働者の悲願である労働戦線統一の巨歩が踏み出されたのです。
しかし合同促進協がめざした全合同は、実現の一歩手前で挫折し、盛り上がった下からの統一への圧力が上からの合同にそらされてしまったのです。ただ、港南の合同運動を背景に、全評系も含む関西地方の政治戦線の全的統一が実現しました。
大阪港南の工場街から巻き起こった合同運動は、現実の階級情勢に具体的にどのような影響を与えたのでしょうか。
第一に、労働者大衆の意識を活性化させ、労働組合の結成が相次ぎました。
1936年973組合、42万589人を数えましたが、これは戦前のピークをなすものです。組織労働者が前年にくらべて、約1万2000人も急増したのです。
第二に、無産政党(労働者、農民、都市下層民衆の政党)が大躍進しました。36年2月の総選挙で、社会大衆党(注5)から18人が当選し(大阪は4人全員当選)、左翼系無所属の四人と合わせて計22人が当選したのです。四年前の前回の総選挙では5人にすぎず、飛躍的前進をかちとったわけです。

労働者階級自己解放の思想を貫徹

この港南の合同運動について、総括したいと思います。
第一に、職場労働者の現実の闘いの必要性から発した戦線統一を求める運動が、大きな衝撃力を持って全国に波及し、上部組織の大ボスどもをも突き動かして反ファッショ全合同の実現一歩手前にまで迫り、関西ではついにそれを達成したことのもつ意味です。
これはまさに、「下が革命化したら、上も変らざるを得ない」典型的な見本です。戦時下という情況下で、自主的な運動を組織し、階級情勢を揺り動かす原動力となったことは驚嘆すべき快挙であり、大きな勇気を与えてくれるものです。
第二に、それを可能にした職場における日々の地道な活動です。「自主化」を合言葉に、すべて自分たちの判断と責任ですすめた運動のあり方は、特殊なものではなく、きわめて原則的な闘い方と言うべきです。
戦時下においてこそ、労働強化と生活悪化にあえぐ労働者の切実な欲求を扇動をつうじて要求に組織し、自主的な闘いによって具体的な成果を挙げていく原則的な闘いが求められていたのです。
そして行動に参加した労働者は、自らの闘いであると認識することで成長していきました。戦前日本の左翼は、運動の主役であるはずの労働者大衆を闘いの主役として組織することに失敗し、労働者大衆は客体にとどまり、持っている革命的エネルギーを十分に発揮することができませんでした。
そのようななかで、大阪港南の運動こそ、マルクス主義の核心である労働者階級自己解放の思想を実践的に貫徹し、萌芽的に階級形成をなしとげた唯一の実例と言えましょう。
第三に、労働運動の中核をなす職場幹部たちに、「自主的な」闘いの方向性を示し、そのための雰囲気づくりをし、仕向けていった二人の共産主義者の果した役割です。
党が存在しないに等しい情況に置かれたとき、党員としてまず何をなすべきでしょうか。遠回りのように見えても、まず党再建の基盤となる労働運動を下から創り上げていくことから始まるのです。しかも破産した全協の再建ではなく、「自主化」の活動をとおして、既成の合法組合の戦闘化と未組織労働者の組織化という柔軟な発想でそれを追求していったところに成功の因がありました。
党組織壊滅の下で党再建をめざす共産主義者の活動のあり方について、港南の運動は見事にその典型を示していると言えます。
注4 全評 日本労働組合全国評議会の略称。合法左翼。1万5千人。
注5 社会大衆党32年合法無産政党が合同した唯一の無産政党。

石川さん逮捕45周年弾劾5・23決起へ

狭山第3次再審闘争の勝利を

狭山弁護団は、06年5月23日第3次再審請求書を東京高裁に提出した。その内容は、筆跡・足跡・スコップ・目撃証人・万年筆などの「証拠」の矛盾を暴露し、確定判決のデッチあげを暴き、再審開始以外ありえないというものである。
弁護団は本年3月30日、確定判決の有罪認定をくつがえす「犯行現場が虚偽架空」「逆さ吊りはなかった」という「新証拠と補充書」を提出している。さらに5月、追加「新証拠・補充書」を提出予定だ。だが07年5月に交代した東京高裁、門野博裁判長は名張事件の再審開始を取り消し、棄却した裁判官である。
門野裁判長はどのような新証拠がでてきても「自白」があれば有罪、「重大犯罪について(やってもいないのに)進んで自白することは考えられない」とうそぶく極反動裁判官である。
この門野裁判長を、たたかう部落大衆を先頭に全人民の力で打倒しよう。そして第3次再審闘争に勝利しよう。東京高裁・高検への「証拠開示」要請行動をつよめ、5月狭山統一行動をたたかおう。
●5月21日 東京高 裁・検察への要請行動
●5月24日17〜19時 大阪・梅田で街頭宣伝(関西労組交流センター)