未来・第45号


            未来第45号目次(2009年11月17日発行)

 1面  沖縄の思いはひとつ
     米軍基地はいらない 11・8県民大会

 2面  東京・名古屋・大阪
     沖縄と同時行動 11・8

     11・8県民大会の主な発言(要旨)

     米軍 県民大会を挑発
     海兵隊が上陸訓練 11・8

     11・13日米会談
     沖縄県民の意思 米日帝を圧倒

 3面  自立支援法廃止 確約かちとる
     10・30 日比谷公園に1万人

     1047名問題の解決もとめ 54日間フルマラソン

     闘争団・家族が多数参加
     11・1団結まつり(大阪)

     このままでは戦前にもどる
     門真三中(大阪)処分 地裁に提訴 11・2

 4面  JP労組下で全国初の労働委員会闘争
     10・25 郵政労働者集会 神戸

     ますます厳しくなる現場に怒り
     10・1 近畿支社門前闘争

     住まいの貧困に取り組みを
     9・13集会(東京)

 5面  検察は証拠を開示せよ
     10・25狭山集会
     来年2月へ 4か月決戦に立て

     私たちには時間がない 早く解決を
     「慰安婦」問題 院内集会 10・28

     ごまめのエッセー 戦争つづけながらノーベル平和賞とは

 6面  11・12三里塚現闘本部裁判 抗議の中 結審強行

     派兵は絶対ダメだ
     服部良一さん アフガニスタン報告

     冬期カンパのお願い

       

沖縄の思いはひとつ
米軍基地はいらない 11・8 県民大会

会場を埋めつくしあふれる2万1千人の参加者(8日 宜野湾市 海浜公園 野外劇場)(写真はパノラマ合成)

開会1時間前に会場に着いたが、すでに参加者が列をなし、周辺の道にあふれている。天気予報は曇りだが、日が差してとても暑い。
会場中央前列には、ヘリ基地反対協の安次富さんや嘉陽宗義さん(87歳、通称「嘉陽のおじい」)など辺野古の人たちがいる。伊江島の旗がある。宮古、八重山からの参加者の姿も。
集会が始まる頃には通路も埋まって身動きが取れない。第2会場の多目的広場でもたくさんの人がスピーカーに集中している。

鳩山の公約違反に怒り
集会の発言では、鳩山政権が県外移設の公約を貫かないことにたいする弾劾が相次いだ。
松沢神奈川県知事が、訪米先でおこなった「普天間飛行場は辺野古へ」という、県民大会前日の発言は、とりわけ怒りをあびた。松沢とともに訪米した仲井真沖縄県知事にも弾劾の声があがった。
最高潮に達したのは、キャンプシュワブのゲート前でピースキャンドルを続ける渡具知武清さんと家族が発言したときだ。長男の武龍君(12歳)が「鳩山首相、約束を守らなくていいんですか」と訴えたとき、会場は万雷の拍手に包まれた。〔発言要旨別掲〕
一方、嘉手納統合案を持論とする国民新党の下地幹郎衆議院議員には会場の各所から怒号が飛び、2分半で発言を切り上げた。
集会途中、前岩国市長・井原さんの参加が司会から紹介され、井原さんが立ちあがって応えた。また県外からの参加者も立ちあがるように促され、「9条改憲阻止の会」、「辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動」、「関西合同労組」の人びとも呼びかけに応えた。広島・電車内被爆者の米澤鐵志さんの顔も見えた。

会場中央最前列に陣取る安次富浩さん(前列右から3人目)と嘉陽宗義さん(同4人目)ら辺野古の人たち(8日)

オバマ来日 日米会談を直撃
沖縄県民は、8日午後2時から、宜野湾市海浜公園野外劇場で、辺野古への新基地建設と普天間基地の県内移設に反対する県民大会を開催した。2万1千人が集った。宜野湾市は、米軍普天間基地をかかえる地元だ。
自民党、公明党は大会の実行委員会に入らなかったが、保守を自認する翁長那覇市長は参加し発言。創価学会の青年や婦人の旗もあり、超党派の県民大会となった。〔発言要旨は2面〕
参加者の思いは一つ。沖縄の思いは一つ。普天間にも辺野古にも嘉手納にも米軍基地はいらない。フィリピンでもエクアドルでもスペインでも米軍基地は撤去された。沖縄でもかならず米軍基地撤去を実現する。沖縄の未来は沖縄県民のものだ―こういうことだ。
オバマ来日・日米首脳会談を見すえて開催された県民大会は、米政府が、自民党政権との「合意」を盾に、辺野古への新基地建設をごり押ししようとしてきたことにたいして、先の総選挙で自民党国会議員を沖縄から全滅させた沖縄県民が、再度その意志をはっきりとしめすものなった。(外岡裕孝) 〔2面に関連記事〕
発言する渡具知武清さん(左)と長男の武龍君。名護市瀬嵩在住。移設の賛否を問う97年の市民投票前には、生まれたばかりの武龍君を抱いて夫婦で街頭に立った。渡具知さん家族は、キャンプシュワブのゲート前で、6年前から毎週土曜夕方、ろうそくをともして平和を訴える行動を重ねている。(8日)

約束を守らなくていいんですか

大人になると、約束を守らなくていいんですか。(基地を)造らないと決めたのに、なぜ今も造ることになっているのですか。
鳩山総理、「基地を造らない」はとても大切な約束です。約束は必ず守ってください。海を、未来を壊さないでください。(渡具知武龍君)

子の未来のため あきらめられない

13年前、やっとこの子をさずかった矢先に、辺野古が移設先の指名を受けた。この子の未来のために、基地はいらないと運動を始めた。名護市民投票は、基地はいらないという名護市民の純粋な思いだった。しかし計画は撤回どころか拡大し、今や大浦湾も埋め立てる巨大な軍事基地建設計画になっている。
いくら声を上げても無視される現状だが、子どもたちの未来のため、あきらめることはできなかった。辺野古の海にクイ1本うたせていない。基地建設は何も始まっていない。基地で豊かな町づくりはできない。沖縄のどこにも軍事基地はいらない。大切な人を守るために新基地建設はとんでもない。基地撤去しかない。(渡具知武清さん)

2面

東京・名古屋・大阪
沖縄と同時行動 11・8

沖縄県民大会と同じ8日午後2時に、東京・名古屋・大阪でも行動がとり組まれた。

沖縄現地とつながり歓声

東京では、「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」の主催で、銀座デモが行われた。集会開始時刻が近づくにつれ、参加者がふくれあがっていった。集会の途中、沖縄現地と音声でつながり、「会場は立錐の余地なく埋まっている。人がどんどん参加している」と宜野湾市の会場の様子が伝わったとき、拍手と歓声があがった。
デモは、ジュゴンの形の大風船を掲げたり、さまざまな衣装で、「普天間基地を即時閉鎖せよ」「辺野古への新基地建設を断念せよ」と訴えた。
デモ終了後、全体で米大使館まで移動し、38団体が申し入れを行った。申し入れのために大使館玄関に向かうと、警察が妨害し人数を制限。大使館は、当局ではなく警備員が対応する不誠実さ。参加者の怒りが噴出した。


(写真上)東京・銀座を400人がデモ(8日)/(写真下)ジュゴンの着ぐるみを先頭に200人がデモ(8日 大阪駅付近)

本土こそ問われている

大阪でも、「辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動」が呼びかけ、「普天間基地撤去 辺野古新基地建設反対大阪アクション」が開催された。大阪市・中之島公園でおこなわれた集会では、主催者として大阪行動代表の松本亜季さんが発言。「沖縄の民意は示されている。沖縄の人たちがなぜ何度も基地反対の県民大会を開かなければならないのか考えるべきだ。いま本土の民意こそ問われている」と鋭く問題を提起した。
集会には沖縄と連帯する運動団体が顔をそろえており、約1時間にわたって、各団体から発言がおこわれた。
3時からデモ。御堂筋を北上して米領事館で抗議のシュプレヒコール。沿道の注目をあびながら大阪駅前までデモ行進した。
名古屋市の栄では、「辺野古支援・あいち」が呼びかける「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する11・8名古屋行動」が行なわれた。

11・8県民大会の主な発言(要旨)


県民の気持ち踏みにじる発言
神奈川県知事が、「普天間飛行場は辺野古に移すべきだ」と、県民の気持ちを踏みにじる発言をした。この時期に米国でそのような発言をするのは絶対に許されない。鳩山政権は腰がすわっていない。米国の恫喝に新政権が恐れをなせば政権交代の意味はなくなる。この大会を機に、断固として県内移設を認めず、普天間撤去を確実なものにしよう。(玉城義和 県議会副議長)

沖縄の未来は私たち県民のもの
宜野湾市では今も住宅地や市街地の上を米軍機が低空で飛び交い、常に墜落事故がおきうる状況が続いている。世界のどこに、これほど長期間、外国の軍隊が駐留し、駐留先の国民に被害を与え続けている地域があろうか。沖縄の未来は私たち県民のものだ。新基地を断念させ、普天間を閉鎖させよう。(伊波洋一 宜野湾市長)

県民の心は一つ
沖縄の米軍基地は県民が望んで造られたものではない。にもかかわらず基地をはさんで左右で闘争してきた。県民の心は今、基地整理縮小で一つになれる。名護市長選挙の結果を見てという(鳩山総理の)主張は言語道断だ。名護市民に何度踏み絵を踏ませるのか。これ以上、沖縄の人びとを対立させないでほしい。私は保守系の政治家だが、保守・革新の枠を飛び越えて一歩を踏み出した。それぞれが立場を乗り越えて頑張ろう。(翁長雄志 那覇市長)

県民の自決権考えるとき
自公政権は政権を失う土壇場で普天間の撤去をグアム協定に切り替えた。これは新たな琉球処分だ。民主党がもしこれを追認するならば同罪だ。新たな琉球処分を許すことはできない。日米地位協定は、まるで沖縄には人間が住んでいない、これぐらい屈辱的な条約だ。しかし日本政府はそれを全部許してきた。県民の自決権を考えるときに来ている。(喜納昌吉 民主党県連代表)

なぜウチナーンチュだけ安保の犠牲に
私たち県民は、首相や防衛相や外務相がなんと言おうが、世界一危険な普天間飛行場をジュゴンのすむ美ら海・辺野古に移すことを認めない。なぜ戦後64年間、ウチナーンチュだけが、この国の安全保障の負担や犠牲を強いられなければならないのか。もう我慢の限界、県民の怒りは爆発寸前だ。辺野古への新基地建設も嘉手納への統合も認めない。(照屋寛徳 社民党県連委員長)

米軍 県民大会を挑発
海兵隊が上陸訓練 11・8

8日9時前に辺野古に着いた。座り込みのテントに挨拶をして、付近で会話をしていた。すると9時半過ぎ、沖合に船が見える。双眼鏡で監視している人が「揚陸艦のようだ」。緊張が走る。ヘリコプター2機も揚陸艦の付近を旋回している。この揚陸艦はいったん大浦湾沖に遠ざかった。しばらくして同じ場所に別の揚陸艦が。間違いなく海兵隊が上陸訓練を行なおうとしている。これが県民大会にたいする米軍の回答か。各地の仲間やマスコミに電話をする。
私は、10時半頃、県民大会に向かうためやむなく現場を離れた。
報道などによれば、その後、午後0時半頃、沖の揚陸艦から8艇のゴムボート出てきた。先に8人が泳いで浜に近づき、その後、米兵50〜60人が一斉に上陸、カービン銃を構えながら林の中を進軍した。

辺野古沖に現れた揚陸艦(8日9時半すぎ)

蹂躙くりかえす

米軍は、この間、県民の思いを踏みにじる動きをくり返している。8月30日の総選挙の直後、9月1〜2日には辺野古漁港で、迷彩服とカービン銃で武装した海兵隊が行進。10月22日には、大浦湾でパラシュート降下訓練。県民大会直前にホワイトビーチに原子力潜水艦が入港、県民大会の最中に出港していった。(外岡裕孝)

11・13 日米会談
沖縄県民の意思 米日帝を圧倒

移設先 言及できず

日米首脳会談が13日、首相官邸で行われた。 鳩山とオバマは、最大の懸案であった普天間基地の「移設先」について、具体的に言及できなかった。8日の県民大会に2万1千人が集まった沖縄県民の「県内移設反対」の強固な意志の前に、日米帝国主義が圧倒されているのだ。

年内決着ねらう
会談では、新たに設置することが決まった閣僚級の作業部会で「早期解決」を行うことが確認された。その時期は年内ともいわれている。日米双方が「辺野古移設」で「解決」をはかろうとしていることは明白だ。沖縄県民のたたかいと連帯し、米軍基地の無条件撤去のたたかいを全国に拡大しよう。

アフガン侵略で一致

鳩山は、「日本外交にとって日米同盟がすべての礎」と日米同盟を最重要視する姿勢をうち出し、アフガニスタン政策や核政策において米政府との「一致」を強調した。
アフガニスタン南部で米軍は、7月下旬から「タリバン掃討作戦」を大々的に展開している。実際に行われているのは、住民の無差別殺戮だ。これにたいする抵抗も激しくたたかわれている。米軍を中心に外国部隊の死者が急増している。
日本政府は、アフガニスタンへ「民生支援」名目で5年間で50億ドル(約4500億円)の支出を決定した(10日)。これは、破綻をきたしているアメリカのアフガニスタン占領政策と、汚職と腐敗にまみれたカルザイ政権への財政援助にほかならない。アフガニスタン人民の窮状を何一つ打開するものではない。

核廃絶と正反対の合意

「核兵器のない世界」にむけた日米共同声明は、その前提条件として、「日米並びにその他の米国の同盟国の安全保障をいかなる形でも損なわない」ことが明記された。これは日米双方が「核の傘」維持に協力していくということで、「核兵器廃絶」とは正反対のしろものである。
さらに来年1月に東京で、アジア諸国を対象とした「核安全保障会議の準備会合」を開催すると発表された。日本政府が、国際政治の場で米帝の核戦略に積極的にくみするものだ。

日米同盟再構築協議を開始

会談では、来年が安保改定50年にあたることに踏まえ、1年をかけて、日米同盟の再構築の協議をはじめることで合意。米日双方から軍事同盟の強化をはかろうというのだ。
全世界人民と連帯し、日米同盟による侵略と戦争を粉砕しよう。
〔アフガニスタン問題の関連記事6面〕

3面

自立支援法廃止 確約かちとる
10・30 日比谷公園に1万人

長妻厚労省にたいして、プログラムと一緒に配られた「さよなら!障害者自立支援法」「新法を!」と大書された黄色いカードを示す参加者(10月30日 日比谷野外音楽堂)

「3年も続いてきた悪夢がようやく終わる。今日の澄みわった空のようだ」。壇上に立った障害者自立支援法訴訟の原告のひとりはそう語った。
10月30日、東京・日比谷野外音楽堂を埋めつくし、さらに外にあふれた1万人の参加者は、ついに障害者自立支援法を葬り去る歴史的な場面を迎えた。開会宣言の正午には、すでに野外音楽堂は満杯で、第2会場へ誘導される混雑ぶりであった。
平日にもかかわらず全国から参集した人びとの思いは、希代の悪法=障害者自立支援法の廃止を確認し、自分たちの新法をかちとることにある。
障害者自立支援法にたいする全国集会は今年で4回目。今回の集会名称は「さよなら! 障害者自立支援法」。昨年は「もうやめようよ、自立支援法」、さらにその前は「一から見直せ、自立支援法」。「見直せ」から「やめよう」、そしてついに「さよなら」と、障害者自立支援法にたいするたたかいは、確実に前進し敵を追い詰めてきた。

「障害者」の尊厳を否定
来賓として登壇した長妻厚生労働大臣は、「重い負担と苦しみを与え、尊厳を傷つけた」と述べ、「廃止を決断した」と明言した。
障害者自立支援法は、「障害者」の尊厳を否定してきた。車イスで生活すること、普通に道や自宅の中を通行することが、まるで有料道路を通行するかのように応益負担を強いられてきた。いわば「障害者」であることに罰金を払い続けなければならないという法律なのだ。
一般就労がいちばん偉く、「障害者」の活動はそこに至る準備でしかないという「一般就労至上主義」の価値観。この「一般就労至上主義」にもとづく障害者自立支援法は、「障害者」の存在を、否定すべき罪であるかのように言いなし、差別イデオロギーを振りまいてきた。「障害」の有無に関わらず、平等に地域で生活するという考え方を否定し、歴史を数十年も逆行させたのが障害者自立支援法であった。

介護保険も廃止へ
廃止が約束されたとはいえ、障害者自立支援法に替わる新法制定はこれからである。現実には、まだ応益負担の制度が続いている。たたかいはいよいよこれからだ。
新法をどう作るかという討論では、そもそも生存権が契約制度に置き換えられているのが間違いだという視点から、介護保険制度も見直す必要があるという認識が示された。ついに介護保険制度の見直し・廃止も、こうしたレベルの集会で公然と語られ始めたのである。

階級攻防の最前線
障害者自立支援法とのたたかいは、階級攻防の最前線を形成してきた。「障害者」団体、福祉労働者、「反貧困」などの広範な分野の連帯・団結が急速に広がっている。その力が政権交代を生み出した力であり、厚労大臣に廃止を約束させた力である。われわれもこのたたかいの一翼を担ってきた。
悪法・圧政に虐げられた人びとの怒りの決起は、階級闘争に他ならない。
私は福祉労働者であり、「健常者」である。部落問題が一般民の課題であるのと同様、「障害者」問題は、「健常者」の課題である。障害者自立支援法とのたたかいは、「健常者」たる私自身の階級的自己解放の課題でありたたかいである。(BN)

運動の力で具体的解決せまる

「さよなら障害者自立支援法」集会(10月30日)に参加しました。
印象に残ったことのひとつは、議員を交えたシンポジウムでした。
国会の全政党によびかけ、自公は欠席、国民新党はあいさつのみ。シンポには民主・社民・共産の3人の議員が登壇。運動側の4人とともに討論を行いました。議員ということで、当初、国会情勢を聞く程度のつもりでしたが、聞いていて非常に重要と感じました。
3人の議員はいずれも、障害者自立支援法の審議過程で反対の論陣を張っており、いわば運動と共闘してきた議員たちです。シンポは、満杯の日比谷野音の「障害者」の前で、その議員たちに「私たちの思いを反映した新法をつくれ」と迫るものでした。
象徴的だったのは、運動の側のコーディネーターが、「ここまできたら(障害者自立支援法の)介護保険との統合はもはやない、ということでよろしいですよね」と迫ったのにたいし、民主党の議員は「私としてはもちろんそのつもりだが、党としてはまだ一致できてない。その方向で頑張る」という答え。
具体的な解決・前進を突きつけ、実現を迫る。新政権下でのたたかい方を示すようなシンポでした。
集会全体が、「自分たちの力で新法を」という熱意にあふれたものでした。運動の力が一切を決するのです。(YH)

1047名問題の解決もとめ 54日間フルマラソン

国鉄分割・民営化(JR発足)強行から23年目をむかえ、1047名問題の早期解決を求め、北見闘争団の中野勇人さんが、「国会前54日間 連続フルマラソン」を1日、スタートさせた。
たたかい半ばで亡くなった仲間54人の鎮魂と無念の思いをのせ、54日間、国会前を連日フルマラソンする。国会の外周1・3キロを毎日32周まわる。雨が降ろうが、雪になろうが、12月24日まで続けるという。突入宣言文で中野さんは、「この行動は自身が倒れるか、政府が解決の決断をする以外、中断はない」と言っている。
毎朝9時、衆院第2議員会館前スタート。午後2時〜3時ころまで。

ゼッケンでアピールしながら走る北見闘争団・中野さん(5日国会近く)

闘争団・家族が多数参加
11・1団結まつり(大阪)

「今こそチャンス! 行動する秋! 戦争と貧困をなくす! 11・1団結まつり」が、大阪・扇町公園で、3500人が参加して開催された。
戦争と貧困をなくすというテーマの下、国労闘争団、パナソニックPDP偽装請負訴訟原告の吉岡さんをはじめ、偽装請負や違法派遣とたたかう若者、争議当事者、労働組合、さらに、辺野古新基地建設やイラク・アフガン戦争に反対するグループ、日本軍「慰安婦」問題に取り組む人びとがアピールをおこない、模擬店をとおして交流をふかめた。
国労闘争団は、鉄建公団訴訟原告団の酒井さん、佐久間さん、北海道、九州の闘争団・家族が多数参加した。
闘争団の仲間は、政権交代という新しい情勢の中、自らのたたたかいに確信をもち、「解雇撤回・JR復帰」にむかって行動することを、現場の国労組合員とともに確認した。(国労組合員T)

このままでは戦前にもどる
門真三中(大阪)処分 地裁に提訴 11・2

卒業式の「君が代」斉唱時に起立しなかったことなどを理由に、訓告処分を受けた門真市立第三中学校(大阪府)の教員・川口さんが、処分の取り消しと、府と市に慰謝料を求める訴えを大阪地裁に起こした。
提訴後、地裁内で記者会見をおこなった。川口さんをはじめ、代理人弁護士3人、処分をただす会代表の三浦たけおさん(守口市議)も同席、支援者約15人が見守った。
川口さんは、卒業式で「君が代」斉唱時に教職員・生徒が着席するのは大阪府下ではよくあること。これまで特に問題視されてこなかった。にもかかわらず、今回、処分が強行されたのは危険な流れだ。学校への「君が代」の押し付けは軍国主義化の表れと、現場の教員はみな感じている。このままでは戦前の教育に戻ってしまう。単に自分だけの問題ではないと思い提訴したと語った。

提訴後の記者会見。左から2人目が当該の川口さん(2日 大阪地裁)

右翼キャンペーンと執拗な事情聴取

この不当処分は、昨年3月13日の卒業式で「君が代」斉唱時に卒業生の大半が着席、担任団の教職員も全員着席したことにたいしてだされたもの。卒業式直後から産経新聞(3・27)と週刊新潮(4・10)が「偏向教育」キャンペーンをはり、教育委員会は何度も事情聴取をくりかえし処分を準備してきた。
8度にわたる執拗な「事情聴取」に抗議し拒否した川口さんと、その責任を問われた学校長には訓告処分、そのほかの担任団7人に口頭厳重注意処分がくだされた。
この処分をひきがねに、大阪府下では、今年の春、担任団全員が不起立だった学校で、教職員への事情聴取が強行され、職務命令も出ていないなかでの不起立にたいして、3校42人に厳重注意処分が出されている。

裁判闘争に注目を

第1回口頭弁論は、年末か年明けにおこなわれる。裁判闘争とあわせて、広範な支援の陣形をつくりだそう。

◇問い合わせ先:―子どもの人権を守ろう― 門真三中への「君が代」処分をただす会
電話 090−1915−2037
E-Mail:kadoma3tadasukai@yahoo.co.jp

4面

JP労組下で全国初の労働委員会闘争
10・25 郵政労働者集会 神戸

「郵便事業(加古川支店)事件 県労働委員会の勝利命令を求める集会」が、10月25日、神戸市勤労会館で開催された。

分会の労働者たちが司会・発言
集会は、証人や補佐人となって労働委員会闘争を担った加古川分会の労働者たちが司会を行い、またそれぞれ労働委員会での証言や職場でのたたかいを報告した。支部や加古川分会の中で反対を受けた当該たちの、孤立した苦闘が率直に出された。また、支店長の横暴なやり方や不当な処分にたいする怒りも表明された。労働委員会闘争がはじまる中で、支店長の横暴を暴く証言が、職場の仲間からよせられたことなど、たたかいが前進したことに、労働委員会闘争をやりきってよかったと勝利感が語られた。

労働委員会の活用を
大阪労働者弁護団の永嶋靖久弁護士が講演。
永嶋弁護士は、団結する権利を実力でかちとってきた労働運動の歴史を踏まえつつ、新自由主義の流れの中で、労働委員会を裁判所のような機関へと反動化させる逆流が起こっていると指摘。労働委員会に過度に期待するのではなく、あくまでも職場闘争を軸にたたかい、労働委員会はその一環として位置づけるべき。その上で、大いに労働委員会を活用して、勝利命令の実績を重ね、労働委員会の反動化を防ぐ必要があると訴えた。

19世紀以来の労働運動史から労働委員会闘争の位置を説いた永嶋弁護士の講演(10月25日 神戸市内)

会場から次々発言
48人の参加者の半数以上が現場でたたかう郵政労働者だ。会場からは、それぞれの実践に踏まえて、現場の抱える課題と展望が発言された。酒井裁判当該の酒井浩二さんからも連帯あいさつがあった。
集会のまとめで、前JPU加古川分会長の江渡績さんが発言〔一部要旨別掲〕。郵政民営化と軌を一にして職場にかけれた梅澤支店長の攻撃に立ち向かい、郵政職場で全国初となる労働委員会闘争をたたかってきた経過と意義を展開。郵政労働者が抱える課題に踏み込みながら、JP労組解体と労働運動再生の展望を提起した。

集会まとめ 江渡さん
JP労組解体と労働運動再生の展望

〔前半略〕日本郵政は、95年日経連報告を地でいく、日本最大のワーキングプア創出企業だ。とくに郵便事業会社では非正規社員が6割以上。現場から見た民営化とは、商品のノルマ販売の強制と、度を超した経費削減であり、非正規社員への潜在的な犯罪者扱い、能力給拡大やスキル評価による過酷な労務管理の緻密化だ。正規雇用・非正規雇用の分断、数少ない正社員への採用枠を使った非正規雇用同士の競争と分断が煽られている。
正規雇用と非正規雇用との「身分」の違いを乗りこえる道は、まず、正規雇用労働者の労働組合が、「当り前の労働運動」を目指すことであり、そして「独自の要求」を掲げた非正規雇用労働者のたたかいが必要だ。われわれがいま手本とすべきは広島電鉄労組のたたかいだ。

正規雇用の労働条件低下いとわず非常勤の本務化を
JP労組内のたたかいは可能か? 加古川の労働委員会闘争はその可能性を示した。JP労組は結集軸を与えないことを方針化しているが、「労働組合」を名乗ることで起こる矛盾によって、絶えず股裂きになる。だから、非正規雇用労働者との共同闘争が統制処分にまで至ったとき、JP労組の解体が展望できる。
民営化を乗り越えた各地の不屈のたたかいをつなげた組織をたちあげよう。「民営化・分社化反対! 生産性労働運動反対!」を掲げて全国大会代議員選挙にとり組もう。非常勤本務化闘争を、正規雇用労働者の労働条件低下も厭わず取り組むべきだ。

ますます厳しくなる現場に怒り
10・1 近畿支社門前闘争

10月1日夕方、「人事交流=強制配転に反対する近畿郵政労働者の会」(以下、「反対する会」)の主催で、郵政民営化2年を弾劾する行動が、郵便事業株式会社近畿支社の門前でおこなわれた。
大阪、京都、兵庫、奈良の各支店で働く郵政労働者と、関西合同労組の仲間が参加。退勤時の労働者が注目する中、民営化とたたかう決意をみなぎらせシュプレヒコール。
続いて集会に入り、まず司会のあいさつ。基調報告が「反対する会」の仲間からおこなわれ、政権交代は人民の怒りが土台であり、われわれ労働者の声と行動にかかっていると訴えた。

民営化見直しでも労働強化は改善なし

――郵政民営化見直しも、どのブルジョアジーが利権をものにするのかという問題で、労働強化はいっさい変わらない。
現場は、事細かく労務管理が強められ、管理者が毎日のように労働者に暴言をはくという強権的な支配下にある。22万人とも言われる非正規雇用の労働者にたいしては、些細なことを口実に賃下げが行われている。非正規であっても、年賀状のノルマが9千枚とか1万2千枚と設定されている地域もある。ノルマ達成のため休日出勤も強制されている。この状況が、民営化見直しで改善されるものではない。われわれ労働者が職場で声をあげて運動をつくり、この状況うち破ろう――と訴えた。

JPEXへの統合破綻で雇用不安

関合労・関西トランスポート分会の仲間から ――戦略的事業として取りざたされたJPEXへのゆうパック業務移管のとん挫は、民営化そのものの破綻だ。しかし、民営化見直しを言っているのは亀井静香だ。いったいJP労組はどうしたのか。下請けや非正規職には、JPEXへの統合破綻によって雇用不安が襲いかかっている。労働組合こそ、JPEXへの統合破綻をついて民営化粉砕の運動をつくろう――というアピールが発せられた。
さらに民営化後初の労働委員会闘争にたちあがったJP労組加古川分会の仲間から報告があった。
民営化から2年、現場はますます厳しくなっているが、逆に労働者の怒りも大きくなりつつある。その一端を近畿支社に知らしめるとともに、結集した労働者が、それぞれの職場でたたかう決意を新たにした。

郵便事業会社近畿支社にむかって訴える郵政労働者(10月1日 大阪)

住まいの問題に取り組みを
9・13集会(東京)

9月13日、全国追い出し屋対策会議、賃貸住宅トラブルネットワーク、住まいの貧困に取り組むネットワークの3団体による「9・13 安心できる賃貸住宅の実現を求める市民集会 ―住まいを奪う追い出し屋に法規制を!」が東京・千代田区の主婦会館プラザエフで91人が参加して行われた。
多くの参加者の発言や「住宅セーフティネットの論点」と題する神戸大学大学院の平山洋介教授の基調講演があったが、これらの発言や講演は私の従来の住宅問題に対する認識を一変させるものだった。今後、派遣法抜本改正や失業の問題とならんで住まいの問題にも同じように積極的に取り組んでいくことが必要であることを痛感した。以下、各発言や基調講演を聞いた私の報告と感想をお伝えする。

安心できる住まいを奪い返す

集会冒頭、主催者を代表してNPO法人もやい代表理事の稲葉氏が「私たちの思いとしては、安心できる賃貸住宅を奪い返す、取り返すという思いで、この会議に臨ませていただいている」とあいさつした。
基調講演は、日本の住宅政策を根本から批判する内容だった。ヨーロッパなどでは職を失ったからといって住まいまで失うことはないという。
戦後、日本政府は住宅政策を一応社会福祉政策の中に位置づけ、住宅金融公庫を使って莫大な資金を投入して中間層を対象に持家取得を奨励してきた。しかし、そういう政策を行う一方で、貧しい人びとに対する住宅保障としての公営住宅建設にはほとんど金を使ってこなかった。低家賃の公営住宅は、1970年代の初頭から減り続けており、現在ほとんど建設されていない。それどころか、老朽化を理由に、どんどん取り壊されている。
1995年、国は住宅政策を社会福祉政策として位置づけることをやめ、住宅政策を市場に委ねる方針に転換した。新自由主義の導入である。これによって民間の銀行は巨大な住宅ローンのマーケットを獲得した。
さらに、2000年、定期借家法が制定された。定期借家法は契約期限が到来したら賃貸契約を解除できるというものである。従来、借家人の権利は借地借家法で守られ、家賃の支払いが多少遅れても簡単に退去させることはできなかった。しかし、この定期借家法によってそれが可能になったのである。定期借家法とは借家人追い出し法である。
平山教授は、「これによって賃貸住宅に対する投資と利回りの計算が初めて可能になった」と指摘した。

空いてるじゃん住まわせてよ

東京都足立区の花畑団地住宅(UR=旧住宅公団)では、全2700戸のうち1000戸がずっと空屋になっている。そのため今年2月、住まいの貧困に取り組むネットワークは、ネットカフェ難民や路上生活者たちと「空いているじゃん、住まわせてよ」と現地で集会をしたことが報告された。
年末・年始、多くの派遣労働者が首を切られ、契約が切れたからと会社の寮を追い出され、路上に放り出された。この冷酷な現状は何も変わっていない。住まいの問題にさらに取り組み、失業すると同時に住まいを失う理不尽な現状を変えていこう。(東京・川田広志)

5面

検察は証拠を開示せよ
来年2月へ 4か月決戦に立て
10・25 狭山集会

1963年の事件発生から46年、1977年の第一次再審請求から32年。1994年に仮出獄を果たしたとはいえ、濡れ衣を着せられてきた無実の石川一雄さんにとって、大きな人生の転機となりうるときが訪れています。
東京高裁の門野裁判長は、狭山担当のために名古屋高裁から赴任してきた裁判官。来年2月退官が決まっています。
門野裁判長の要請で、9月10日に、裁判長、弁護団、検察の三者協議が行なわれ、弁護団の証拠開示の要求にたいして、裁判長は、「10月末までに回答せよ」と検察に指示。その結果を踏まえて、次回の三者協議を12月に行なうと確認されているのです。
こうした情勢の中、10月25日、東京・社会文化会館で、「寺尾判決35ヵ年糾弾! 狭山第3次再審闘争勝利! 全国総決起集会」(主催 部落解放同盟全国連合会)が開催され、私も参加して来ました。

証拠開示要求の大運動を

石川さんから、「再審決定が出るまでは決して気を緩めてはならないと自分を戒めている」「何故、私が犯人にされたのかを明確にするためにも、裁判長に証拠開示と事実調べを求める」とメッセージが寄せられました。
三里塚決戦勝利関西実行委員会の山本善偉さんらが連帯の挨拶。
全国連書記長の中田さんは基調報告で、「三者協議がおこなわれたことを狭山再審闘争勝利への歴史的なチャンスとし、証拠開示要求の大運動を」と呼びかけました。
証拠開示要求とは、検察が隠している証拠を開示させることです。存在するはずなのに検察が隠している、無実の証拠があるのです。たとえば、確定判決において「殺害現場」とされている「雑木林」でのルミノール反応(血液反応)報告書などです。
そして、基調報告では、検察による証拠隠しと門野裁判長による退官前棄却決定を許さない力は大衆運動であり、来年2月へ、4カ月間決戦に立ち上がろうと呼びかけられました。
具体的には、検察にたいする証拠開示要求の、電話とはがきによる大衆的な取り組みです。まだ始まったばかりですが、はがきは数千枚規模で届き、抗議電話も検察をして特別な体制を取らざるをえない状況に追い込んでいると言います。
基調報告の後、全国連の青年部結成大会を成功させた青年らの発言、長野や広島からは、結婚差別に対する糾弾闘争などの報告、関東、中四国、福岡 関西などからの決意表明がありました。
集会後、1時間のデモを行いました。

電話とはがきの嵐を

私が、裁判において、検察側証拠資料のすべてが開示されるわけではないということを知ったのは、この狭山事件でした。それからずっと疑問を持っていましたが、足利事件などの例を見るまでもなく、弁護側が要求する証拠は当然開示すべきです。それをしないのは証拠がすべて開示されれば、石川さんの無実を証明するものが出てくるからです。全国連の要請に応え、電話、はがきを使って、検察にたいして証拠開示を要求しましょう。(足立 貞次)

◆電話・はがき要請先
 東京高等検察庁 狭山担当検事
 ○電 話 03−3592−5611
 ○はがき 東京都千代田区霞が関1−1−1
  ※はがき見本は全国連ウェブサイトからダウンロードできます。
  http://www.zenkokuren.org/

私たちには時間がない 早く解決を
「慰安婦」問題 院内集会 10・28

10月28日、衆院第2議員会館で、日本軍「慰安婦」問題の立法解決を求める院内集会が開催された。集会は、「慰安婦」被害者と、韓国・台湾・フィリピンなどの支援団体、意見書採択運動を進めてきた全国の運動団体の連携によるもの。14人の国会議員をはじめ、議員秘書や、地方議会で意見書を可決させた地方議員などが参加した。

ハルモニが訴え

韓国の「慰安婦」被害者である李容洙(イ・ヨンス)ハルモニは、「私たちには時間がない。早く解決を」と訴えた。
韓国挺身隊問題対策協議会の尹美香(ユン・ミヒャン)共同代表は、「事前に日本大使館に正当な手続きを踏んだにもかかわらず非礼にも門前払いされた。野党時代は強く申し入れていたが、与党になった途端、弱くなったのを何度も見てきた。これまで立法案を民主党・社民党・共産党の共同で提出してきたのだから、口先だけではないことを信じたい」と訴えた。
台湾の支援団体から報告、関東各地で意見書採択を実現した議員のアピール、国会議員の決意表明があり、宝塚・箕面・京田辺・生駒・泉南市議会で意見書採択に尽力した関西ネットワークから8人が登壇、120万署名運動などが訴えられた。

意見書採択運動と120万署名運動を

1991年に金学順(キム・ハクスン)さんが「慰安婦」被害者であることを名乗り出られてから18年。日本政府は一貫して国家責任を否定し賠償も拒否し続けてきた。しかし、被害者の血を吐くような証言や隠し続けてきた証拠が発覚する中で、かろうじて「道義的責任」は認めたが(93年河野官房長官談話)、国家責任や国家賠償を隠蔽し被害者を分断するために「国民基金」での決着を図ろうとしてきた。
しかし、「慰安婦」被害者と支援団体は、あくまでも「真相究明・謝罪・国家賠償・責任者処罰・歴史教育実現」を要求し、国連での取り組みから世界各国での国会決議を実現させ、国際的世論を形成して日本政府を追いつめてきた。
これに応えて始まった地方議会での意見書採択の取り組みは、宝塚(兵庫県)を皮切りに、清瀬(東京都)・札幌・福岡・箕面(大阪府)・三鷹(東京都)・小金井(東京都)・京田辺(京都府)・生駒(奈良県)・泉南(大阪府)・国分寺(東京都)の各地で採択され、運動がつくられてきた。
こうした中、政権交代という情勢を迎え、これまで民主党を中心に7度にわたり提出されてきた立法解決のための法案を、民主党政権が提出・採決するように求めて、院内集会は持たれた。野党時代は提出してたのに政権を取った途端に反故にするのは許されないという決意が、国会議員に厳しく伝えられた。
今後、さらに地方議会での意見書採択の運動を押し進め、呼びかけられている120万署名運動を推進して、圧力を強めて立法解決に持ち込まなくてはならない。

「在特会」と警察が一体

この時、「在特会」は「慰安婦」問題をねらって、妨害と敵対を強めている。意見書を採択した自治体を、「申し入れ」「街宣」と称して攻撃し、宝塚市では、議員個人への攻撃も始めている。
大阪駅前での「水曜デモ」(注)には、11月4日、制服警官を引き連れて、下劣な差別暴言を叫んで妨害。これに参加者が抗議すると、今度は警察が前に出て、「水曜デモ」にたいして、「無許可の宣伝活動は止めろ」と弾圧してきた。「在特会」と警察が一体となっているのだ。

同時証言集会へ

11月28日には大阪、29日には京都で、姜日出(カン・イルチュル)ハルモニをお招きして、「日本軍『慰安婦』被害者の声に応え、今こそ立法解決を! 同時証言集会」が呼びかけられている。「在特会」の妨害をはね返し、多くの参加を訴える。(関西N)

注:
日本軍「慰安婦」被害者のハルモニたちが、ソウルの日本大使館前で続けてきた集会形式の日本政府への抗議行動。1992年1月8日、宮沢首相(当時)の訪韓を機にはじまった。その名が示すように毎週水曜日に実施される。ほぼ休むことなく続けられ、900回に迫っている。これに学んで日本でもとり組まれている。

来日するカン・イルチュル ハルモニ(写真左、同時証言集会を案内する主催者のチラシから)

ごまめのエッセー
戦争つづけながらノーベル平和賞とは

先日、母を看取りました。母を送ることは、母の人生だけでなく、自分の人生とその最後についても、深く気づかされます。そして、戦争とその犠牲の中にあった母の青春を思うとき、世界中の一人ひとりの人生が、せめて戦争で中断されることなく、笑顔でまっとうできる社会にならねばと強く思いました。

自国の核廃絶から
省みて、いま世界は一体どちらの方向を向いているでしょうか。
アフガニスタン、イラク戦争は泥沼化しています。ガザもしかり。イラクの破壊と惨状は目をおおうばかりです。アメリカ兵1万人の死者にたいして、イラクの民間人の死者は100万人超。500万人もの難民も。さらに再建という名目で、侵略した国から搾取をするという戦争犯罪をアメリカは犯しています。
オバマ大統領がノーベル平和賞をもらうそうですが、いま世界で一番大量に核兵器を持っているのはアメリカです。まずは自国の核廃絶から着手すべきでしょう。もちろん「通常兵器」(劣化ウラン含む)使用と軍隊の削減、戦地からの撤退もです。「核の先制攻撃」も取り下げ、世界の米軍基地を撤退すべきです。
自国が侵略戦争をつづけながら「ノーベル平和賞」とは、その価値は未だし。自国の現実と平和賞との矛盾に鋭く言及し、その解決に言行一致を見せてこそ、受賞に値するでしょう。
これからの戦争は、核を抜きにしては語れません。それは即、地球単位の人類の存亡にも関わることがらです。いまこそ、戦争でなく確実に平和へと、180度の方向転換をすべき時にきています。(冨田 幸乃 アーティスト)

6面

11・12 三里塚現闘本部裁判
抗議の中 結審強行

12日、千葉地裁で開かれた天神峰現闘本部裁判で、仲戸川裁判長は、ごうごうたる抗議と非難のなか、結審を強行した。

仲戸川裁判長を忌避

公判闘争に先立ち、午前9時から、千葉市・中央公園で決起集会。
鈴木謙太郎さんの司会。反対同盟と弁護団が、仲戸川裁判長の常軌を逸した訴訟指揮にたいし、裁判長の忌避を申し立てた(11月10日)が、申し立てて3時間もたたないうちに、仲戸川裁判長自身による却下の決定書が送られてきたと、司会が報告。参加者は怒りに震えて市内デモにうって出た。

決起集会で決意を述べる北原事務局長(12日 千葉市内)

2時間半におよぶ最終弁論

10時半に開廷。仲戸川裁判長に、弁護団と傍聴席が弾劾の集中砲火。さらに、空港会社(NAA)が10月29日に突如、「訴状の訂正」を申し立て、これを仲戸川裁判長が簡単に受け入れた問題も追及。違法・脱法の訴訟指揮の連発だ。まさに仲戸川は裁判官を騙った「権力の犬」だ。法廷は怒りで騒然、裁判長もこれを抑えることができない。
そして北原さんが最終弁論。裁判長に立ち向かい、「心の底からこみ上げる怒りを抑えることができない。反対同盟は仲戸川裁判長を公正な裁判官であるとは、到底、認められない」「反対同盟はいかなる判決でも微動だにしない。だが、仲戸川裁判長による常軌を逸した審理は許されない。反対同盟は、その不当を明らかにして、徹底的にたたかう」と戦闘宣言をたたきつけた。さらに弁護団が次々と陳述を行い、裁判の不当性を断罪した。

理は我々にある

場所を移して、記者会見と総括集会。事務局次長の萩原進さんがまとめの発言で、「われわれの正義の主張を全面展開し、仲戸川の悪行をとことん引き出した。どんな判決が出てもわれわれは驚かない。理はわれわれにある」と、勝利感に満ちて総括。国家権力の不正義性と暴力性を満天下に暴き、三里塚決戦の展望を切り開くたたかいとなった。
来年2月25日の判決にむかって、裁判闘争と現地闘争、全国での三里塚闘争の拡大に全力をあげよう。

派兵は絶対ダメだ
服部良一さん アフガニスタン報告

10月29日、「9条改憲阻止の会」が「アフガニスタン訪問報告・院内集会」を衆議院第一議員会館で開催しました。報告者の服部良一さん(社民党衆院議員)は、10月上旬の4日間、アフガニスタンを訪問しました。以下、服部さんのお話(要旨)を紹介します。〔文責、見出しは編集委員会〕

現地の写真やビデオをつかって報告する服部さん(10月29日 衆院第一議員会館)

まずアメリカの軍事行動ありき

◇OEF
現在アフガニスタンに展開している外国軍は、まずアメリカが行ったOEF(不朽の自由作戦)がある。アメリカが中心で、「報復戦争」「集団的自衛権の行使」と称して継続している戦争だ。

◇ISAF
これとは別にISAF(国際治安支援部隊)がいる。これは国連決議にもとづくNATO主導の治安維持部隊だ。当初はカブールに限定した活動だったが、その後、全土に活動範囲を広げ、これに米軍が合流し、ISAFとOEFの見分けがつかなくなっている。

◇PRT
PRT(地方復興チーム)が県単位にある。文民と軍隊が一体で復興作戦を行うとして農業支援とか学校を作ったりしているが、しょせんは軍隊と一緒の行動で、軍事行動と区別がつかない。26カ所で行われている。日本も1カ所で外務省職員4人がいる。

◇UNAMA
国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)がある。普通は国連が音頭をとり、指揮系統も国連にあるが、アフガニスタンの場合、まずアメリカの軍事行動ありきで、戦争をやりつつ「復興支援」をやっている。軍隊が主導なので民衆の反発が大きい。「復興支援」そのものが破綻しているという印象だ。

復興資金 腐敗の温床

私たちが訪問したとき、カルザイ政権の不正選挙が問題になっていた。不正への抗議が武装デモになろうとしていた。カルザイ政権の不正・汚職は深刻だ。
約380億ドルもの復興資金が外国から流れ(米1位、日本2位)、この金を軍閥・政治関係者がピンハネ、支援側企業にもキックバック、政府が使えるのは60億ドルといわれている。

派兵反対を貫く

各省の大臣にも会ったが、彼らからインド洋上での給油の話は一言も出なかった。続けてほしいとの意見もなかった。
日本の与党内では、「国内治安が悪いため継続・事前承認つきの新法案」という意見や、北沢防衛大臣の「ソマリア沖に移動」という発言もある。来年1月に自衛隊が戻ってきて、そのままになるのかどうか注目し、自衛隊の海外派遣反対を貫いていく必要がある。

医療・教育と難民

同行した阿部知子さん(社民党衆院議員)は医者なので、子どもの病院・産科の病院に行った。インドがつくったガンジー病院は国立で水・電気はあるが、地域にある保健所の分娩室には水も電気もない。水を何とかしないといけない。
教育の問題、難民の帰還問題(新たな難民がキャンプで厳しい生活をしている)、職業訓練は行われているが雇用がないのが問題だ。

何のための戦争か

「何のための戦争か」と、アメリカの国民も疑問を抱き始めている。
タリバンと言っても何がタリバンか判らない。元々のタリバンもいるが、アメリカの空爆の犠牲になった人が抵抗運動をやっている。「テロリストを叩く」というが、やればやるほど抵抗運動が大きくなっている。
アメリカの増派が問題になっているが、アフガン戦争・イラク戦争を総括すべき時期にきていると思う。

C130派兵ねらう

イラク空輸問題で違憲判決が出たが、裁判での(国・防衛省の)書面は真っ黒。ところが新政権の情報開示で、C130が米軍の兵員と物資を運んでいたことが明らかになった。
いま外務省の一部に、C130をアフガニスタンに出して空輸活動を、という意見が出ている。米兵と米軍物資を運び、米軍の「対テロ」戦争に協力することになる。これはアフガニスタンでもやってはいけない。

冬期カンパのおねがい

皆さん、カンパを訴えます。
労働者人民の怒りと切実な要求によって自民党支配が倒れました。そしてブルジョア政党のひとつであった民主党が、新自由主義政策の転換を公約に掲げて政権につきました。民主党は労働者人民の切実な要求に縛られている。しかし、帝国主義的支配の根幹を譲ることはできない。深刻な矛盾です。
この矛盾をついて、経済的課題から沖縄米軍基地撤去にいたるすべての切実な要求を掲げ、公約の実現をどんどん迫り、そこで階級的激突を拡大させていくことです。この闘いが、民主党の矛盾を激成させ、帝国主義の打つ手を出し尽くさせることになります。
こういう過程を経ることによってのみ、30年代階級闘争の敗北、80年代階級攻防の困難を乗り越えることができると考えます。
同時に、国際共産主義運動がなぜスターリン主義に変質したのか、どういう壁があり、どこで飛躍できなかったのかという主客にわたる総括と、総括の中からの共産主義の実践的な復権という未完の作業を、一体で推しすすめる必要があります。
労働者細胞と『未来』『展望』という機関紙誌の力で、かならず21世紀革命の組織者に飛躍します。共に創造しましょう。そのためのカンパをお願いします。

《カンパ送り先》
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