革共同再建協議会は何をめざすのか
9・6革共同政治集会へ
全国の同志のみなさん。すべてのたたかう仲間のみなさん。革共同再建協議会は、来る9月6日、尼崎市立労働福祉会館(兵庫県)において革共同政治集会を開催します。
この集会において、次の3点にわたって、私たちの立場とその目指すものを提起します。
日帝ゆさぶる巨大な〈流れ〉
第一に、今日の衆議院解散・総選挙情勢に見られる日本帝国主義の政治危機を革命的共産主義者としてどのようにとらえ、いかにたたかうのかということです。
8月30日に行われる総選挙の結果が民主党を中心とする「政権交代」となることは不可避となっています。
この日本帝国主義の政治危機は、アメリカ帝国主義のグローバリゼーションの矛盾の爆発の中で進行しています。直接には、この政治危機は、小泉政権による新自由主義改革に対する怒りが爆発し、自民党の大敗をもたらした07年参院選に端を発しています。
そこで生み出された〈流れ〉は、わずか2年間のうちに安倍、福田、麻生と3つの政権を葬りながら、なおとどまるところを知りません。この〈流れ〉を総選挙の結果生み出されるであろう民主党を中心とする政権が「吸収」することは不可能です。むしろ「政権交代」を通してさらに大きなエネルギーを得て、その〈流れ〉を加速しそうな勢いです。
現実への肉薄
革命的共産主義者の任務は、いま私たちの眼前で進行している戦後史を画する階級情勢の流動化に対して、そのあるがままの現実に肉薄することを通して、それが何を産み出し、どこに向かおうとしているのかをつかみ取ることです。
その実践上の指針となるのはマルクスの次の言葉です。
「人間はいつでも自分に解決できる課題だけを自分に提起する。というのはもっとよく考察してみるとつねにわかることなのだが、課題そのものが生じるのは、その解決の物質的諸条件がすでに存在しているか、あるいは少なくともそうした諸条件ができつつある場合だけだからである。」(『経済学批判』序言より)
いいかえれば、階級闘争のさまざまな場面における実践を通して獲得された認識を土台とすることによって、現存する社会の根底的な変革をめざす新たな革命的実践へと踏み出すことが可能となるのであり、またそうしなければならないのです。
革命的共産主義運動の再生・創造
第二に、このような歴史的な使命に応えうる革命的共産主義運動を再生・創造するための課題を明確にすることです。
革命的共産主義運動の再生・創造のためには、安田派との対決をさけて通ることはできません。大衆闘争と統一戦線への敵対と破壊を深める安田派をすべてのたたかう人民の怒りで包囲し、打倒しなければなりません。
安田派の綱領は「革命運動=労働組合運動=動労千葉労働運動」であり、「党=労働組合=動労千葉」であるという極めて偏狭な組合主義の綱領です。それは実践的には革命運動からの全面的な召還へと帰結しています。安田派中央はこうした自己の転向・召還を合理化するために、「労働運動で革命を」とか「世界は革命情勢」などという荒唐無稽なスローガンを乱発してエセ左翼性を演出しているのです。また彼らは、自分たち以外のほとんどすべての団体や個人に対して、「体制内派」「四者四団体派」「塩川一派」とレッテルをはり、一見すると攻撃的に「党派闘争」をしかけているように見えます。しかしそれは、自分たちの転向や召還を指弾されないための「必死の牽制」にすぎません。
すでに心ある人びとが安田派の本質的な脆弱性を喝破して、彼らに敢然と立ち向かっています。わたしたちは、大衆闘争のあらゆる場面で安田派の敵対・妨害とたたかい、これを粉砕します。
国際共産主義運動の検証と継承
その上でこんにち最も深刻な問題は、ソ連崩壊後のマルクス主義の「崩壊」的状況です。なによりも革共同がその50年にわたる歴史の中で、いまだにスターリン主義を乗り越えることができていないということです。官僚主義的な硬直化と権威主義の横行、政治局の私党グループ連合体への変質、党内反対派に対する手段を選ばぬ排除と粛清、こうした中で党内民主主義の絞殺が進行し、安田派にゆきついたことをきびしくとらえ返さなくてはなりません。
200有余年におよぶ国際的な社会主義・共産主義運動の歴史を検証し、その積極的な財産を継承する立場に立って、ロシア革命とスターリン主義の発生についても世界プロレタリアートの貴重な歴史的教訓として徹底的に研究しなおさなければなりません。
改憲阻止・日米同盟粉砕へ
第三に、憲法改悪攻撃との対決を軸とする、当面する政治決戦をいかにたたかうのかということです。
日米両政府は、来年2010年の日米安保条約締結50周年を機に新たな日米安保共同宣言を行おうとしています。その内容が単なる日米同盟の意義の再確認にとどまるものではないことは明らかです。今年6月9日に自民党・国防部会が提出した「提言・新防衛計画の大綱について」では、「基本的防衛政策」の筆頭に「憲法改正」を掲げました。さらに7月29日には政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・勝俣恒久東京電力会長)の報告書原案で、集団的自衛権の行使を勧告していることが明らかとなっています。
こうした一連の動向は、米・日帝国主義が憲法9条を改悪し、集団的自衛権の行使に踏み込む意志を固めたことを示しています。まさに容易ならぬ事態です。
改憲阻止を訴え国会周辺をデモ(6月14日) |
これに抗する力を日本の民衆は獲得することができるのでしょうか。その答えは、最初に述べた日帝の政治危機の基底に存在する〈流れ〉を構成している個々の要素を分析し、その相互の結びつきを解明することによって得られると考えます。
一つには、新自由主義改革による農民・農村、地方の切り捨て政策の進行によって、「地方の崩壊」ともいうべき事態が進行していることです。
また、この年末年始の「派遣切り」に象徴される非正規雇用問題の深刻化です。
さらに、「障害者自立支援法」などに見られるように「社会的弱者」へ犠牲の集中です。
そして、在日米軍再編と日米軍事一体化の進行の下で、基地・演習場周辺の住民への重圧がその限界を超えています。
こうした中で、三里塚闘争(成田空港反対闘争)が1971年強制代執行以来の重大な決戦を迎えていること、沖縄・辺野古の米軍新基地建設や岩国の米軍機移転問題が重大局面に突入していることの意義は強調してもしすぎることはありません。
また年越し派遣村の総括の中から既存の労働運動の枠組みを超えた新たな運動体の創造が模索されていることは注目すべき事態です。 すべての仲間のみなさん。同志のみなさん。いま私たちに必要なのは、労働の現場や地域に深く根ざした実践と同時に、広汎な政治的統一戦線による大胆な政治行動です。革共同再建協議会は、9条改憲阻止・日米軍事同盟粉砕を軸にすべての左翼勢力の結集を呼びかけます。9・6革共同政治集会に結集しよう。
2面
市東さんの農地を守ろう!成田・関西両空港の軍事使用を許すな!9・27三里塚関西集会へ
・10・11三里塚全国集会に総結集しよう!
・暫定滑走路「北延伸」を供用させるな! 第3の誘導路計画粉砕!
・関西空港・大阪湾ベイエリアを侵略拠点にさせない!
・日米軍事一体化、自衛隊の海外派兵、9条改憲を阻止しよう!
三里塚決戦勝利関西実行委員会から、「9・27三里塚関西集会への賛同と参加のお願い」が発出されたので、掲載します。(編集委員会)
「9・27三里塚関西集会」への賛同と参加のお願い
たたかう仲間のみなさん。日米両政府による、米軍再編・軍事一体化、自衛隊の海外派兵と、9条改憲の動きが急速に進められています。衆院解散・総選挙による「政権交代の流れ」にかかわりなく、これらの動向は変わらず進められています。アジア人民への戦争と虐殺、65年前の敗戦、ヒロシマ・ナガサキの惨禍の歴史が消し去られようとし、ソマリアに武装した自衛隊が出兵。米軍とともにアフガニスタンへ侵攻も想定されています。
そして、「軍事空港反対」をかかげ44年にわたって闘いぬかれている三里塚に、いま再び襲いかかかろうとしています。成田空港と関西空港、大阪湾の軍事使用に道を開き、民衆の反戦と抵抗をつぶそうというのです。
米軍再編と戦争を進める日米両政府に対し、「反戦の砦」三里塚闘争が大きく立ちはだかっています。それゆえに政府は、総力をあげ三里塚闘争の解体、農民追い出しにかかってきています。「土地収用法」が失効し、強権による農地強奪が破綻したいま、なりふりかまわず、ほんらい農地と耕作者を守るべき農地法によって市東孝雄さんの農地取り上げが強行されようとしています。暫定滑走路「北延伸」部分の10月に前倒し使用開始、第3の誘導路計画によって市東さんの生活、農業を破壊し、天神峰から叩き出そうというやり口です。これを許して、反戦・平和、民衆の生活と権利は守れません。10・11三里塚全国集会に一人でも多く集まり、三里塚闘争を再び三たび大高揚させましょう。
一方で、朝鮮民主主義人民共和国の「脅威」をあおり叫ぶことを通して、実際の戦争に踏み込もうという動きが強められています。関西空港と大阪湾ベイエリアは、その重要な拠点とされ、関西空港の軍事使用がねらわれていることも明らかです。40年近く関西新空港反対運動を進めてきた湾岸住民をはじめ私たちは、このような差別・排外主義、日本の戦争政策を許すことはできません。
すべてのみなさん。以上の趣旨から下記要項の「9・27三里塚関西集会」を、三里塚芝山連合空港反対同盟との共催によって開催いたします。集会の成功に向け万障繰り合わせ、ご賛同と参集を心から訴えます。
2009年8月 三里塚決戦勝利関西実行委員会
三里塚をデモ行進する関西実行委の隊列(7月5日) |
市東さんの農地を守ろう! 成田・関西両空港の軍事使用を許すな!9・27三里塚関西集会要項
◆と き:9月27日(日) 午後1時半〜4時半
◆ところ:大阪市立中央会館・ホール(大阪市中央区島之内2ー12ー31)
◆主な内容
□講演「米軍再編と日米安保体制50年を問う」
吉沢 弘志さん(パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会、埼玉大講師)
□特別報告@ 三里塚芝山連合空港反対同盟
□特別報告A 永井満さん(関西実行委員会代表世話人)
*三里塚写真展も同時実施します。
*集会後、ナンバまでデモ
◇参加・資料代カンパ 1000円
主催:三里塚決戦勝利関西実行委員会 三里塚芝山連合空港反対同盟
闘いのないところに福祉はない
障害低料三種郵便 詐欺事件
「障害低料第三種郵便」制度が悪用され、ダイレクトメール業者に利用されていた事件が発覚した。そこには厚生労働省が、民主党議員を「障害者自立支援法」賛成に抱き込むための策謀があったと報じられている。
福祉予算を毎年2200億円削減するという小泉「改革」の中で、「障害者自立支援法」は作られた。それまでは当然にも無料で行われていた「障害者」介助を一割負担とし、飯を食い、水を飲み、排泄する、地域の中での社会活動を行うなど生きるために必要な活動に金を取るというむき出しの差別攻撃だ。
「凛の会」(現・白山会)が、実態はないのに、民主党最高顧問・石井一議員の「口きき」によって、「障害者」団体だとでっち上げ認定された。「凛の会」会長・倉沢邦夫は、石井一の秘書をしていた人物だ。偽造された証明書をもとに、「障害者」団体を名乗るかたちで、商用のダイレクトメールが大量に発送され続けた。
物増を要求されている郵便事業会社は、ニセの障害低料第三種郵便であることを知りつつ、見かけ上の通数を増やすために黙認したのではないか。
「障害低料郵便」利用者に締め付け
この事件の一方の当事者である郵便事業会社は、自らの腐敗を謝罪するのではなく、開き直り、おかどちがいにも「障害低料郵便」利用者に対する締め付けを始めた。
「障害低料郵便」制度そのものが不当な利得であるかのように報じられ、あたかも「障害者」が不当に優遇されているかのごとく、「逆差別」キャンペーンがなされている。
「障害低料第三種郵便」は、50グラムまで一通8円という低料金であるために、「障害者」解放団体が交流紙を発行し、支援・共闘の呼びかけや御礼をするのに使ってきた。発行回数の条件など、単会ではなかなか利用しにくい制度だから、いくつもの単会が寄って「障害者定期刊行物協会」が各地に作られている。私たちとは直接の接点のないところでも、「障害者」が地域で生きていくための運動が無数に存在している。
「障害者」のほとんどは、生活保護かそれ以下の、月収6万6千円とか8万円という低収入で生活している。かく言う私自身も安い家賃を除くと月収7万円だ。
社会の中で生きていくとは、ただ、飯を食って寝ているだけではない。他の人と交通するための発信が不可欠なのだ。その手段のうちの一つとして、一通8円の郵便は不当な利得と言えるだろうか。
「8割購入の条件」廃止を
「視覚障害者」用の点字郵便が第4種郵便として無料になっているのに比して、利益をほとんど生まない「障害者」郵便が、営利を目的とした新聞などと同じ第三種に入れられたことがそもそもの間違いなのだ。
第三種郵便なので一回に500部以上発行で8割以上売り上げていないといけないという制限がある。他の「障害者」団体とのニュース交換や、一カ所で一定部数をまとめて購入してもらうことで、その条件をクリアしているところが多い。
ところが、いま郵便会社がそのやり方を認めないと締め付けている。
これに対して、各地の「障害者定期刊行物協会」が集まり、厚生労働省、総務省、日本郵便株式会社に対して、交渉を申し入れている。交渉の中身は、ニュース交換などを認めさせるにとどまらず、そもそも8割購入という条件の廃止を求めるものだ。第4種に移行させることも検討される。
闘いのないところに福祉はない。私たちもこの闘いに加わっていこう。(通信員T)
(お願い)夏期特別カンパをお願いします
《カンパ送り先》
◎郵便振替の場合
口座番号:00970―9―151298 加入者名:前進社関西支社
◎現金書留の場合
〒532―0002 大阪市淀川区東三国6―23―16 前進社関西支社
3面
米澤鐵志さん講演会 8・6ヒロシマへ青年の取り組み(7・12神戸)
7月12日、神戸市内で、「ききたい つなげたい 8・6ヒロシマを」と題する講演集会がひらかれ約60人が参加した。
この集会は、日ごろから反戦・平和のための活動に取り組む青年たちが、関西合同労組の青年部を中心に、5月から実行委員会をつくり、議論を重ね、開催に至ったものだ。
「被爆体験を語り、二度と戦争を起こさせないことが私の終世の役割」と語る米澤さん(12日神戸) |
8・6とは何かをつかみ直したい
集会冒頭に「ヒロシマ・ナガサキ」というドキュメンタリー映画の一部が上映された。
主催者から、「憲法改悪が狙われ、戦争にむかっている状況のなかで、多くの若者が、1945年8月6日に何があったのかと問われても何も知らないという現実がある。このままでいいのか。私たち自身がもう一度8・6とは何かをつかみなおし、広く訴えていかなければという思いで、この集会を企画しました」とあいさつ。
このあと、電車内被爆者である米澤鐵志さんによる講演「私の被爆体験〜二度と戦争をくり返さないために〜 」があった。
生々しい被爆体験
米澤さんのお話は、「欲しがりません勝つまでは」という標語の下で強要された窮乏が、特に疎開先での子供にとってどれほど絶えがたいものであったのかということから始まった。
そして8月6日の被爆。米澤さんの記憶に鮮明に残っているがゆえに、まさに阿鼻叫喚の地獄図として生々しく迫ってくる内容だった。
戦争が終わったことを喜んだのもつかの間、原爆症に苦しんだこと。放射能の恐ろしさ、被爆者に対する差別と偏見。それらに立ち向かい生きぬいて来た体験が語られた。
朝鮮人被爆者の問題
朝鮮人被爆者の問題は、絶対に忘れてはいけないことと強調された。
被爆者の中で亡くなった人の割合は、日本人が3割なのに比べて朝鮮人は6割と倍である〔注〕。それは、日本政府の差別政策により、疎開もさせてもらえず、広島市内に多くの朝鮮人が暮らしていたからであり、被爆後も他に行くところがないために、放射能うず巻く広島にとどまって生活せざるを得なかったからである。米澤さんの友達だった朝鮮人の児童も、ほとんどが消息もわからず、おそらく被爆死したのではないかとのことである。
政府の戦争責任
さらにもう一点、戦争責任の問題についても訴えられた。
いまや“南京大虐殺はなかった”“軍隊慰安婦もなかった”“沖縄の集団自決もなかった”ということまで言っている者がいることを、絶対に許してはいけない。私より少し年上の人間は、それらはすべて事実であることを知っている。しかし、日本政府は本当に謝罪したことなど、一度もない。この責任をきちんと政府に取らせなければならないと、講演は締めくくられた。
アジア人民に向き合って
このあと、質疑応答のなかで、学生時代から現在まで、米澤さんがどのような活動をされてきたのかが語られた。
アジアからの留学生達に被爆体験を語った際、一人の中国人留学生から「あなたは被爆して気の毒だとは思うが、あの原爆のおかげでアジアの民衆は救われたのだ」とつきつけられた。
米澤さんは「原爆投下を肯定はできない」と一旦は反論したが、しかし日本がアジア民衆に対して行ったこと、その告発に対して応えていかなければといけないと思いいたった。その頃から、被爆体験を語る時には、日本の戦争責任をとらせるということも、はっきりと語っていかなければいけないと思うようになったという。
もっと大きなうねりにできる
会場からは、「米澤さんのような被爆体験者や、軍隊慰安婦とされた人びと、基地建設や教科書改ざんとたたかう沖縄の人びとなど、戦争体験者が声をあげ闘っている限り、私たちは負けていないと思う。戦争に向けた動きは進んでいるが、憲法もまだ変えさせていない。こうした闘いと、若い世代も含めてつながっていくことでもっともっと大きなうねりにできる」という意見が述べられ、参加者全体の思いとなった。 (労働者通信員 N)
〔注〕当時の広島市の人口は推定35万人、うち朝鮮人は5万人。被爆により約14万人、うち朝鮮人は3万人が死亡した。
米澤さんのお話から〔一部要旨 文責・編集委員会〕
母と、満員の路面電車の中で閃光を浴び、爆風で吹き飛ばされた。
目にした惨状は忘れられない。大勢が、半そでシャツの腕のところで火傷し、剥けた皮膚が手の先の爪で止まり、垂れ下がった両手を差し出していた。水を求めて次々と川に入り、そのまま倒れ、流されていく。肉が破れ、骨が出たり、飛び出した目玉を手でおさえているおばあさんもいた。
私は、のどが渇くが、激しい嘔吐で水が飲めなかった。40度の高熱と嘔吐が続き、頭の毛が全部ぬけた。水を飲んだ母親は9月1日に死んだ。母の乳を飲んでいた妹も10月19日に亡くなった。私だけ奇跡的に助かり、10月の末頃から何とか学校に行けるようになった。頭の毛は1年間生えなかった。
『はだしのゲン』英訳版が完成
原爆の非人道性を告発し生きる希望えがく
『はだしのゲン』英訳版の全10巻が完成し、被爆64周年を前にした7月26日、広島市内で「世界に飛びたて、はだしのゲン」出版激励会が開かれた。
翻訳者の人たち(後方)と、原作者の中沢啓治さん(手前右)(7月26日広島市内) |
プロジェクト・ゲンは、翻訳版を手がけようと1976年に東京で創設されたボランティアグループ。その後、各国語版の翻訳がすすめられ、現在、全10巻が翻訳出版されているのはロシア語、朝鮮語、スペイン語、タイ語、フランス語、そして今回、英訳版が完成した。
出版途中のものはトルコ語、オランダ語、イタリア語、ドイツ語、ウクライナ語など8か国語、準備中の中国語、フィリピン語などを含めると18か国語に達している。
「世界中の人びとがぜひ読むべき」
『はだしのゲン』は読んだ人も多く、その大半の人が「原爆、平和について考えさせられ、大きな影響を受けた」と言っている。原爆で家族を失い、戦争に激しい憤りをもち、同時につらい境遇にめげずに生きるゲンと、その時代が生き生きと描かれている。
当時の社会、風俗、子どもたちの様子。原爆の非人道性を暴き、軍国主義、差別を告発し、生きる希望を示す文芸作品でもある。
翻訳にたずさわることになった各国の人たちは、「世界中の人びとが、ぜひ読むべきという想いでかかわった」と話していた。ロシア語訳を手がけた二ーナさんは、チェルノブイリ近くの村に住んでいた。「ヒロシマ・ナガサキとチェルノブイリは1本の鎖の輪」と言う。
呼びかけ人の一人、河野美代子さんは「田母神が、8・6ヒロシマで核武装を言おうとしている。憲法はどうなるのか。そういうときに、新たに出版される。子ども時代、中沢さんとは隣街どおし。さよなら三角、またきて四角、四角はとうふ・・・などと歌った歌が、どんなふうに翻訳されているのか・・・。中沢さん、よくゲンを描いてくださいました」と、あいさつをのべた。
英訳版全10巻は、LastGasp社刊。日本語版は汐文社、中公文庫から出ている。 (三木谷)
4面
21世紀革命の展望
ウイグル人民の解放闘争と中国人民の連帯決起
ウイグル弾圧ゆるすな ウイグル人の決起支持
7月上旬、ウイグル人がデモを行ない、それを中国当局が弾圧し、多数のウイグル人が虐殺される事件が起こった。さらに、漢族住民によるウイグル人襲撃に発展した。中国政府によるウイグル人民への弾圧を弾劾し、ウイグル人の決起を支持する立場を鮮明にするとともに、この事態の経過と本質について明らかにしたい。
事件の経過
【7月5日】
ウイグル自治区の区都ウルムチで、数千人のウイグル人がデモ。
これに対し中国政府は治安部隊を投入して鎮圧。
【7月6日】
ウイグル自治区当局は、この事件で死者140人、負傷者828人、拘束者数百人と発表。
中国政府は、「世界ウイグル会議がインターネットを通じて暴動を扇動した」と非難。
世界ウイグル会議は、「1万人の平和的なデモにたいして、軍と武装警察官の弾圧によって、死者は500〜600人。1000人以上が負傷した」と発表。
香港の人権団体「中国人権民主化情報センター」は、「カシュガル、ホータン、イリ、アクスの4地区にも3万人を超える軍と武装警察が投入された」と発表。
【7月7日】
鉄パイプ、棍棒、刀、ナイフ、斧、鉄棒などで武装した漢族住民1万人以上が、ウイグル人への報復を叫んでウルムチでデモ。暴徒と化し、ウイグル人の商店やモスクなどを襲撃。600〜800人の死者。
5日から7日までに1434人を拘束とウイグル公安当局が発表。
【7月8日】
漢族の襲撃と公安当局の弾圧から逃れるため、ウイグル人住民がウルムチから脱出を開始。
孟建柱公安部長(公安相)が、ウルムチに現地入りし弾圧の陣頭指揮。
ウイグル人居住区では、治安部隊が家に押し入り、若い男がいれば片っ端から拘束。また刑の免除や減刑と引き換えに「自首と密告」を呼びかけ、逃亡を続ける者やかくまう者は厳罰に処するとの緊急通告を発出。
国際電話やインターネットの接続が完全に遮断された。
カザフスタンやキルギスなど中央アジア諸国からの入国を制限。
イタリア訪問中の胡錦濤国家主席が、G8サミットをキャンセルして帰国。 同日夜、共産党政治局常務委員会を開催し、「新彊での社会全体の安定維持は、当面、最重要で差し迫った任務」であるとして、「暴動」を画策・組織した「犯罪」勢力を徹底摘発し、断固として安定維持をはかると宣言。
【7月9日】
これを受けて、9日午後から10日未明にかけて200人拘束の報道。
ウイグル人「容疑者」の検挙、拘束を強化する一方で、漢族による7日の襲撃への処罰は見送られている。ウイグル人は不公平感を募らせている。
武装警察と対峙するウイグル人民(7月7日ウルムチ市内) |
広東省韶関市郊外にある香港系玩具メーカー「韶関旭日国際有限公司」(従業員約1万8千人、うち約800人がウイグル人)工場の元従業員が、再雇用を断られた。これに腹を立て、インターネットに「工場でウイグル人6人が少女2人をレイプした」と差別的で排外主義的な虚偽の書き込みをした。
これを見た漢族の労働者が6月26日にウイグル人労働者の宿舎を襲い、乱闘となりウイグル人の2人が死亡、100人以上が負傷した。
この事件を知ったウイグル人が、ウルムチをはじめとした各都市で漢族の差別排外主義に抗議してデモをおこなった。それに対して、中国政府が軍と武装警察を投入し弾圧した。これが事件の発端とされている。
スターリン主義体制の根幹なす同化・抹殺政策
西部大開発と格差
今回の事件の根底には、第一に、「西部大開発」によってウイグル人と漢族との経済格差がひろがっていることがある。
石油や希少金属など資源開発のための国家による投資、外資系企業の優遇政策でウイグル自治区は年率10%の経済成長をとげてきた。
しかし雇用されるのはほとんど漢族であり、ウイグル人は大学を卒業しても、5%しか仕事がない。これは中国政府と外資による資源の略奪でしかない。その上、開発のために土地が略奪され続けているのだ。
同化と抹殺
第二に、ウイグル人にたいする同化政策がある。
役所の公用語が事実上漢語とされ、高等教育も漢語に統一され、ウイグル語をはじめとした民族言語の抹殺がはかられている。
さらにウイグル人をはじめ少数民族が中国本土に出て行くことをなかば強制され、逆に多くの漢人がウイグル地域に移住してきた。かつてはウイグル自治区の人口比の10%に満たなかった漢族が文革以降増え続け、「改革開放」後に急増。最近では漢族51%、ウイグル人47%、その他の少数民族2%という比率になったといわれる。200万余の人口を持つウルムチでは漢族が90%を占めているという。
6月26日に広東省で虐殺されたウイグル人労働者は、やむを得ず出稼ぎに行かされた若者だといわれている。
また18歳から25歳までの若いウイグル人女性も06年から11年までの5年間に毎年8万人、計40万人が強制移送させられる計画がある。カシュガル地方政府は今年6月から女性が結婚届を出すためには、少なくとも2年間は他の土地で働かないと届けが出せないと布告した。結婚適齢期の女性を少なくすることによってウイグル人同士の結婚を阻害している。民族浄化政策である。
イスラム教弾圧
第三には、イスラム教への弾圧が強化されていることである。
モスクには、「18歳以下と学生は禁止」「公務員は禁止」「年金生活者は禁止」の看板が掲げられている。断食には省政府が食物を配給して妨害しているといわれる。民族の宗教、文化、言語、そして民族そのものの抹殺がすすんでいるのである。
中国スターリン主義の根幹ゆるがす
中国人民の連帯決起
ウイグル自治区での弾圧と漢族の襲撃に対して、世界ウイグル会議の抗議をはじめ、オランダでは6日午後、在オランダ中国大使館前で、150人を超える抗議デモが行われ、まもなく暴動に発展したという。ウイグル人2800人が 暮らすオーストラリアのシドニーでは150人がデモをおこない、中国領事館に抗議した。アメリカでもワシントンでウイグル人による抗議デモがおこなわれた。トルコやカザフスタンでもテュリュク系人民の抗議集会がおこなわれている。
中国国内でも弾圧を公然と批判する動きが起こり始めた。
張輝氏(中国の民主・人権状況の促進を目指す民間団体〔北京〕の代表)は、暴動の真相や犠牲者の死因を調査するため、当局を排除した「独立調査委員会」の設置を求め、「(中国政府が非難する)民族分裂勢力の範囲を明確にせよ」と訴えている。
孫文広・元山東大学教授は、胡錦濤国家主席宛の「7・5事件の再評価を」との書簡を公開した。
北京中央民族大学のウイグル人の副教授が拘束されたことに対して、王力雄氏ら158人の作家や知識人が、「少数民族に対する政策の過ちをみとめるよう」要求する声明を発表し、これに賛同する署名が次々と集まっている。
さらにインターネット上では多くの民主活動家の政府批判が発表されている。厳しい言論統制の下でこうした政府批判が公然となされるのは、新たな動きであり、中国人民のスターリン主義に対する怒りが広まっていることがわかる。
中国社会の崩壊と弾圧
今年の10月、中国政府は革命60周年記念を大々的に祝おうとしてる。
しかしグローバリズムの波に乗って「改革開放」を強行してきた中国スターリン主義は、いまや修復不可能な社会の崩壊を生み出してしまっている。民族問題、三農問題(農業・農民・農村)、農民工問題、労働問題、都市問題、環境問題、8000万の共産党員による底知れない党と国家官僚の腐敗、それと結びついた新たな富裕層の目を覆うばかりの横暴、こうした問題がスターリン主義のイデオロギー支配を解体し、強権的弾圧しか方途をなくしているのである。
これを食い破って中国の労働者階級をはじめとした勤労諸階級とチベットやウイグル・モンゴルなどの諸民族の巨大な革命的エネルギーが爆発しようとしている。
東トルキスタン独立運動
他方、中国周辺では、「東トルキスタン独立運動」などの民族解放運動がひろがっている。
モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタンの8カ国と国境を接しているウイグル自治区は、アメリカをはじめとする帝国主義諸国やロシアの侵略と闘う中央アジアのムスリム諸民族の運動の影響を強く受け、それらの運動に影響を与えざるを得ない。
以上の@中国国内でのチベットやウイグル・モンゴルなどの諸民族の決起、A中国の労働者階級の決起、B中央アジアのムスリム諸民族の決起という事態は、中国スターリン主義体制の根幹を突き崩し、帝国主義グローバリズムの崩壊を促進し、21世紀世界革命の新たな展望を突きだす根底性と大きさを持っている。
日本右翼の排外主義的利用ゆるすな
最後に、日本の右翼がこれらの運動を利用しようとしていることに注意を払わなければならない。
右翼の論客・櫻井よしこや自民党の太田誠一などが、中国に対する排外主義を煽ることを目的として、「日本ウイグル協会」などに取り入ろうとしている。
7月12日の渋谷、19日の大阪中之島でのウイグル人弾圧抗議の集会では、「南京大虐殺はなかった」の横断幕が掲げられ、「日章旗を持って参加しろ」の呼びかけがおこなわれている。第二次世界大戦でのアジア侵略が「アジア解放の聖戦」の名の下におこなわれたことを正当化し、日本帝国主義のアジア再侵略を煽ろうとするキャンペーンである。
こうした動きを粉砕し、アジア・アフリカをはじめとする在日外国人労働者人民との結合を通して、労働者階級と被抑圧民族の国際連帯を築き上げよう。 (中国問題研究会)
5面
改憲派・新自由主義派を落とし自公政権打倒へ
自民党支配を終わらせよう
麻生政権が衆議院を解散し、総選挙に突入した。今回の総選挙は、小泉政権以降の市場原理主義・構造改革路線の全面破綻を突きつけるとともに、戦後の自民党支配を崩壊させる歴史的事態の到来にほかならない。
すべての労働者人民は、改憲派・新自由主義派を落とし、自公政権打倒の政治行動・投票行動にたちあがろう。
小泉改革と改憲路線の全面破綻
この1年の麻生政権の混迷と破産は、小泉構造改革路線=新自由主義と改憲路線の行きづまりにほかならない。
小泉は、90年代以降の日本帝国主義の「失われた10年」を取りもどすため、旧来の政治支配体制を作りかえようと「自民党をぶっ壊す」として登場してきた。
しかし経世会=竹下派的な利益誘導政治は解体したものの、新たな政治支配体制を築くことはできなかった。経済的には市場原理主義を全面的に導入し、民営化路線を強行してきたが、そんなもので経済再建などありようもなく、格差・貧困を人民に強制した。小泉政権の5年半は、弱肉強食の資本の論理の強制でしかなかった。
これにたいし07年参議院員選挙で労働者・農民の大反乱が起こった。憲法改悪に突き進む小泉後継の安倍政権が倒れ、続く「ねじれ国会」で福田が逃亡し、麻生政権には世界恐慌が直撃した。
麻生は解散にあたり新自由主義路線の破産を自認したが、それに変わる新たな政治路線や政治支配を示しえていない。戦後50数年にわたる自民党支配・ブルジョア独裁の破綻が、政治・経済・社会の全分野にわたって露呈した。この破綻を拡大し、資本家階級と政治委員会の退場を強制する国家権力の打倒に向かって突き進まなくてはならない。
大敗にうちのめされ、記者会見で頭を下げる自民党都連会長の石原伸晃(13日自民党本部) |
自民党の破産と新たな統治形態の未形成
自民党支配の歴史的破産は確実だが、それでは民主党は新たな社会の構造・統治形態を示すことができるのか。それは全くのノーである。
民主党は自民党に対抗し、帝国主義社民=連合幹部を補完勢力とするもうひとつのブルジョア政党だ。小泉構造改革に怒る労働者・人民が、小選挙区制下の野党第一党=民主党を押し上げているだけで、彼らの「脱官僚」や「地方分権」が、日本帝国主義の破綻を突破するものにはならない。彼らは、帝国主義争闘戦の激化の中で、早晩、「国民生活が第一」「友愛」などの民主的装いをかなぐり捨て、人民に襲いかかってくるだろう。「政権交代」はその一過程でしかない。
またこの期にうごめく橋下大阪府知事らも、小泉と同様のポピュリズムで、小泉構造改革の亜流でしかない。橋下らをパートナーとする日本経団連・御手洗らの道州制提言も破産は必至だ。プロレタリアートの背骨を叩き折る階級決戦のないまま、統治形態の変更など不可能なのだ。
1930年代を上回る危機
今日の日本帝国主義の危機は、1930年代の世界恐慌に対して「持たざる国」として突っ込んだ以上の危機にある。
30年代の支配階級は、世界恐慌の到来に対し、政党政治では危機を突破できず、軍事ボナパルティズムへの転換と中国・アジアへの侵略拡大に突き進んだ。
しかし敗戦帝国主義である今日の支配階級には戦前ほどの密集した事態突破力はない。そのため、このような支配の危機の裂け目から極右・排外主義潮流(在特会や日本会議や田母神など)が蠢動を始めた。
支配階級の危機感、自衛隊のアフガニスタン侵略への本格参戦、これらと排外主義勢力の街頭行動との結合を許してはならない。
労働者人民の行動を
帝国主義の支配の危機を促進し、闘うあらゆる勢力と大胆な大衆行動・共同行動を積みかさね、労働運動の再生と生活支援との協同事業推進の中に団結をとりもどそう。2010年改憲・安保・参議院選挙の過程に新たな政治勢力を登場させなくてはならない。
民主党は、「現実路線」と称してマニフェストの書き替えを始めた。またアメリカ帝国主義も民主党の安保・防衛政策にたいする転換圧力を強めている。また民主党内の改憲派=前原らを許してはならない。
今こそ総選挙で、新自由主義・改憲派をたたきおとし、自公政権を打倒しよう。さらに、労働者人民の行動を選挙だけに委ねてはならない。大衆行動を発展させよう。(島田健一)
(投稿)東京都議会議員選挙の結果について
東京都議会議員選挙が、7月12日投開票されました。自民党が48から38議席に減り、民主党が34議席から54議席に大幅増になりました。公明党が、23議席の現状維持になりました。日本共産党が、13議席から8議席に減り、生活者ネットワークが、4議席から2議席に減りました。
民主党は、オリンピック誘致と新銀行東京の設立に賛成したことを隠蔽してきました。都議会民主党が新銀行東京の経営責任の追及や築地市場の移転反対の姿勢に転換したのは、東京の住民からの相当な批判から追い詰められた反映です。
住民は、石原慎太郎都知事の悪政を進めている張本人の自民党や公明党に批判を下したのです。千代田区や中央区など定数1の選挙区で、民主党の候補者が自民党の長年の議席確保を阻止しました。
日本共産党は、自民党と公明党への批判が住民の批判に応えていないために議席の増加に繋がりませんでした。生活者ネットワークは、民主党の議席の増加で減りましたが世田谷区と北多摩2(国立市、国分寺市)で議席を確保しました。
今回の選挙の結果は、@オリンピックの誘致の多額の税金の使われ方への不安や、A新銀行東京の膨大な債権による経営の責任、B築地市場の移転反対が住民の批判になっています。住民が、自民党・公明党による東京都政からの改革を求めているのです。
民主党が、石原都知事との対決姿勢を保てないことや低所得者に冷たい態度で臨めば、石原都知事と対抗できない民主党に住民は批判を強めるでしょう。
都議選の結果は、安田派の「労働組合の団結で革命しよう」、「体制内労働組合の打倒」のスローガンが東京の住民から敬遠されていることを示し、東京の戦闘的労働運動の再建が問われていることを示唆しているのです。(7月18日 新橋一郎 大阪 民間労働者)
6面
沖縄連帯と反貧困かかげ衆議院選挙に立つ 服部良一さん(社民党 比例・近畿ブロックに聞く |
服部良一さんのプロフィール1950年、福岡県八女市生まれ。69年京都大法学部入学。73年大学を中退し、大阪の機械メーカーに就職。会社の倒産では労働組合の委員長として再建闘争を主導。平和運動では、沖縄基地問題・靖国参拝違憲訴訟などに取り組む。07年参議院選立候補、惜敗。その後、社民党・山内徳信参議院議員の公設秘書として、国会と全国を東奔西走 。趣味は自宅の庭で営む家庭菜園、自転車。 |
―05年8月の小泉郵政解散から4年。民衆の支持を急速に失った麻生自・公政権が、衆議院を解散しました。服部さんは、比例・近畿(社民党)の予定候補として奔走されています。
郵政解散で300議席以上を得て以降の自・公政権は、新自由主義をおしすすめ、格差・貧困をさらに拡大し、弱者をいじめぬく世襲政権でした。長きにわたる自民党支配の政治に対し、本当に溜まりに溜まった怒りが都議選で爆発し、衆議院選挙でもさらに怒りは拡大すると思います。
自民党政権を倒す千載一遇のチャンスです。 政権が交代すれば、民衆の生活を防衛する制度設計が可能になります。
また護憲と反戦・平和では民主党を監視する必要もあります。ぜひとも勝利をつかみたいと思います。
―服部さんが衆議院選挙に出馬するきっかけはどういうことでしょうか。
私は1969年に大学に入学しますが、大学を中退して大阪の民間企業で働きながら、労働運動や市民運動に取り組んできました。会社の倒産も経験し、労働組合の委員長として再建にも奔走してきました。55歳で退職し、その後“おっさんフリーター”もやりました。その中で若者が一日に三つも仕事をかけ持ちしなくては生きていけない実態も見てきました。
こんな社会ではいけないと怒りを覚えました。
また長年取り組んできた沖縄の基地問題も全く解決していません。
普天間基地の撤去は進まないばかりか、辺野古沖に新基地が建設されようとしています。社会を改革していこうとすると、結局のところ国の政治とぶつかります。
07年の参議院選挙に立候補しましたが、その後、沖縄の山内徳信参議院議員の秘書になり、沖縄教科書問題、辺野古基地・グアム協定など多忙を極めました。
国会での質問を作ったり、また派遣村の課題に取り組んだり、政治の最前線で動いてきたなという思いです。
そして政権交代が現実味を帯びる中、交代した政権の「品質保証」としての社民党の役割の重要性を改めて感じています。比例・近畿の立候補を決意し、近畿一円を走り回っています。
―服部さんは山内徳信さんの秘書になる以前から、沖縄の闘いに取り組んでこられました。
大学をやめて大阪市内に住み、沖縄や在日など被差別の問題、平和運動などをやってきました。
とりわけ、今は沖縄・読谷村にお住まいで、当時関西在住の彫刻家・金城実さんと出会い、全国・世界をめぐる彫刻展キャラバンの事務局長として奔走しました。
また「沖縄とともに基地撤去をめざす関西連絡会」や「大江健三郎・岩波書店沖縄裁判連絡会」の運動や、日米地位協定の問題、米軍人による事件被害者を支える運動など取り組んできました。
―都議選での自民大敗をうけて、政権交代が現実味を帯びてきましたが、政権が変わると、政治はどうなるのでしょうか。
ひとつは、今日の派遣村に見られる雇用や賃金や居住の問題、また障害者自立支援法や後期高齢者医療制度などの福祉切り捨ての問題を、より厳しくただしていくということです。実際、07年以降は、参議院では、これらの問題で政府・与党案を否決し、その問題性をうきぼりにしてきました。
しかしそれにとどま らず、年金や雇用保険・生活保護などの問題は、根本の所で見直していく必要があります。
セーフティネットを整備し、無年金者を無くし年金制度を検証していくなど、制度そのものを変更していくことが必要です。これは政権交代がないとなかなか難しいです。
もう一つは、沖縄の基地問題です。政権交代になったら沖縄の基地はどうなるのか。
その一つの例がグアム協定の問題です。沖縄の海兵隊8000人をグアムに移すのですが、そのかわり辺野古に新たな基地を作る、またグアム基地の建設・移転費用(総額約6100億円)を日本政府が負担するというものです。
これを今年2月クリントン米国務長官と中曽根外相の間で、いきなり調印しました。この条約は国会で承認されるわけですが、参議院は民主党・社民党など野党多数で否決しました。この意味は大きいと思います。(衆議院では可決。よって自然成立。)衆議院で与野党逆転し政権交代すれば、この条約は否定される可能性がある訳です。
あと外交密約などの文書を開示すれば、これまでの歴代政権の 暗部も浮き彫りになると思います。
―しかし民主党には前原のような改憲論者もいます。鳩山代表も「非核三原則の見直し」などを言っています。
鳩山代表の発言は重大な問題です。私の後援会ニュースにもありますが、08年3月、鳩山さんは幹事長時代に自身も出席して「日米地位協定改定野党三党合意」を調印しました。自民党はずっと改定を無視してきたわけですが、沖縄の粘り強い闘いによって民主党を動かしたのです。これを守らせなければなりません。
しかし日米密約の問題でも民主党が選挙のマニュフェストを作成する段階で“ブレ”が目立ってきています。非常に残念です。
議会内だけでは民主党主導になりますので、院外の大衆運動の力と一体となって、生活破壊や憲法改悪・自衛隊海外派兵などを止めていく必要があります。政権交代しても民主党が心変わりしないように、監視と働き かけを強めていく、これが社民党の役割ではないかと思います。
―政権交代が現実味をおびていますが、選挙戦での抱負をお聞かせ下さい。
現在の選挙制度では、選挙区(小選挙区)と比例区(ブロックごと)の2票の投票ができます。私の立候補は「比例・近畿ブロック」で、ここでは政党名を書きます。
前回の選挙では、この比例近畿に土井たか子さんがたち、得票は2議席に少し足らず、選挙区で惜敗した大阪10区の辻元清美さんが比例復活しました。
今回辻元さんが 選挙区で当選し、比例近畿で2名分の得票があれば、社民党は近畿で3議席確保できます。
この力は、反戦・平和や福祉切り捨てと闘ううえで大きな力となります。社民党に対してはいろいろ批判的な意見もありますが、民主党一人勝ちになれば危険です。ぜひとも社民党を押し上げてください。
私は近畿一円をかけめぐりますので、出会ったら声をかけてください。選挙区では辻元清美さんをはじめ社民党の候補者に、比例区では「社民党」とお願いします。ともにがんばりましょう。(9/5掲載)
(投稿)書評『金融危機の資本論』
本山美彦・萱野稔人 著 青土社 08年
アメリカの対日経済政策を批判し続けてきた経済学者で京大名誉教授の本山美彦氏と、政治思想が専門の哲学者で雨宮処凛さんとの共著もあるロスジェネ世代の論客の萱野稔人氏との対談です。
ブレトンウッズ体制、BIS規制、オフバランス、CDOと聞いて、「何それ?」と思う方、ぜひお読みください。ちんぷんかんぷんと思えた金融の姿が、闇夜が明けるように見えてきます。
対談本ですので難解な表現はありませんし、註も豊富についています。
「そんなことくらいは知っているよ」とおっしゃる方、ぜひお読みください。金融と政治・外交の関係がはっきりと再構築されるでしょう。本書は断片としての知識ではなく、社会の構造を見るという立場で貫かれています。
ニクソン・ショックから2008年の金融危機にいたるまでの流れが、一つ一つの概念を明確に説明しながら語られています。(徴兵制廃止、銀行統廃合、談合摘発強化、ライブドア事件、ロシア天然ガス・・・これらを一つの流れのなかに位置づけて理解できます)
金融が現代世界において無視できないものである以上、それについての十分な理解なしに世界情勢の分析はあり得ないでしょう。
1400円と新書の倍の値段ですが、その価値は十分あります。
著者たちの反米的スタンス(二人の立ち位置は異なりますが)は、『未来』の読者諸兄にはお気に召さないでしょう。特に資本主義の行方について書かれた最終章は、納得できないものです。
しかし、まずはこの本でしっかり学んでおきましょう。社会が大きく変化したいま、昔のままの知識でマルクスを読んでも、現実から遊離した観念的な学習となります。現代社会をしっかりと捉えた上でマルクスに立ち返ってこそ、マルクスを21世紀に生かすことができるのです。 (神戸R)