未来・第34号


            未来第34号目次(2009年6月2日発行)

 1面  改憲阻止へ!全国から結集しよう
     憲法第9条改定を許さない
     6・14全国集会(東京・社会文化会館)

     海賊対処法を廃案に

     第2回派遣切り相談村・関西(5・30〜31)
     「シェルターからぬけ出したい」
     「仕事を」など深刻な相談多数

 2面  5・22関西国鉄集会
     「納得いく解決まで」国労闘争団が決意

     新誘導路の7月前倒し供用阻止!
     市東さんの農地守れ!
     7・5三里塚現地闘争へ

     春闘要求でスト 三組合員の解雇撤回を
     5・19 関西合同労組・春闘交流集会

     「権力に売られたケンカは必ず勝つ」
     5・23兵庫狭山集会

 3面  裁判員制度を廃止へ 5・20銀座デモ

     プルサーマル計画を中止せよ
     MOX燃料搬入阻止たたかう
     5・27伊方原発

     民族差別・排外主義との闘いの報告と交流
     入管問題を考える09関西集会

 4面  日米軍事一体化で変貌する自衛隊

 5面  オバマ演説と金正日政権の核実験

 6面  追悼 川村賢市さん
     戦争の時代に川村さんの遺志をついで進む
     ―反戦自衛官 小多基実夫

     改悪入管法を廃案へ

     (投稿)

 

改憲阻止へ!全国から結集しよう
憲法第9条改定を許さない
6・14全国集会(東京・社会文化会館)

6・14集会実行委員会事務局からのお願いが発せられました。事務局の了承を得て、6・14サイトより転載させていただきました。海賊対処法案阻止の連日の国会座り込みを闘いつつ、6・14全国集会の準備と組織化が進められています。この奮闘にこたえ、呼びかけ人の申し込み、賛同金の協力を行なうとともに、6月14日には全国から東京に集まり、改憲の動きを迎え撃とうではありませんか。【編集委員会】

実行委員会事務局からのお願い

本年度「憲法第9条改定を許さない6・14全国集会」は、いよいよあと2週間後に迫りました。国民投票法に基づく「憲法審査会」については、野党の抵抗によって、今国会での始動は見送られる見通しですが、来年には改憲のための「国民投票法」が否応なく施行されます。また任期満了か解散かは別としても総選挙は行われ、その結果は国会における「改憲」の動きにも重要な影響をもたらします。
こうした事態を迎え撃つためにも、本年の取組みが重要なものであるのは言うまでもありません。5月24日に東京で行われた第3回目の実行委員会は、基本プログラムを討議・確認し、スローガンについて討議をして、その準備を着々と進めています。
この集会とデモ行進には、憲法9条の改定に反対するお一人ひとりの個人が、如何なる組織や団体に属している、いないに関わらず、自分自身の意志と決意に基づいて参加していただくものです。このことは、「呼びかけ人が参加者であり主催者である」ということでもあります。また、数えれば本年は4回目の取組みであるものの、毎年新たに実行委員会を作り、新たな体制のもとで開催されるものです。
すなわちこの集会の呼びかけ人は、毎年新たに募集されるものです。慣れてしまったということもありますが、昨年の呼びかけ人が自動的に今年も登録される、ということはありません。どうかこの旨ご理解をいただき、郵送、FAX、メール等の方法で呼びかけ人登録の手続きをお願い申し上げます。本ホームページをご覧の方は、上記の「呼びかけ人申込み」をクリックしてフォームからお申し込みください。
なおこの集会とデモ行進の財政も、皆様お一人ひとりの浄財によっておりますので、賛同金(1口千円です)についてのご協力をも切にお願い申し上げる次第です。
 2009年5月31日(文責:事務局 淵上)

連絡先・賛同金振込先

 

住所:〒160‐0004 東京都新宿区四谷4‐23 第1富士川ビル302号気付
 電話・FAX:03‐3356‐9932
 Eメール:info@614jikkou.com
 賛同金振替口座(郵便局):001504‐4‐742044 9条改憲阻止の会

6・14集会 要項

 

6月14日(日) 午後1時〜4時 午後4時半デモ出発
 東京・社会文化会館 三宅坂ホール(地下鉄永田町駅・国会議事堂前駅より徒歩)
 主な内容:憲法9条改定と国民投票への問題提起/沖縄から/派遣村から/日の丸・君が代強制と闘う教育現場から/ほか

海自P3Cのソマリア沖派兵(5月28日)を弾劾する

海賊対処法を廃案に

連日 国会前すわりこみ

衆議院第二議員会館前(5月27日)

5月27日から29日まで、連日、朝10時から国会前ですわりこみがおこなわれた。「自衛隊はソマリアから撤退せよ」「海賊対処法案の参院通過阻止」のたたかいとして、9条改憲阻止の会がよびかけた。
27日は、参議院本会議で海賊対処法案の趣旨説明と質疑がおこなわれ、28日には、厚木基地から哨戒機P3Cが派兵され、参院外交防衛委員会で法案審議が始まるという緊迫した状況のなかで3日間をたたかいぬいた。
政府与党は、6月3日に会期末を迎える国会を60日以上延長して、今国会での成立をはかろうと狙っている。全国で、自衛隊は撤退せよ、海賊対処法案阻止の大きなうねりをおこしていこう。廃案においこもう。

第2回派遣切り相談村・関西(5・30〜31)
「シェルターからぬけ出したい」
「仕事を」など深刻な相談多数

5月30〜31日、大阪市役所南プロムナードと中之島公園一帯で、相談と炊出しが行なわれ、スタッフ、ボランティアなど約50人が参加した。
前回(2月28日〜3月1日 ユニオン会館で開催)の教訓から、生活相談、女性労働相談もつくられ、相談と炊き出しなど6つのテントが開設された。今回は、大阪労働者弁護団からも弁護士派遣の協力がえられた。
初日は8時から準備、9時に開村式。相談は10時から19時までおこなわれた。マスコミも多数取材に訪れた。大阪西区川口のユニオン会館(関生会館)では電話相談も行なわれた。テレビも昼間のニュースで報道した。

大阪市役所前のテントで相談(5月30日)

深刻さが増している

46歳の男性「支援センターにいたが、そこも3カ月で追い出された。毎日100人近くが並ぶシェルター暮らし。眠れない。住民票もないからハローワークも受け付けてくれない」。
派遣労働者35歳男性「登録派遣だったが、全く仕事が無くなり、所持金も尽きた。阪急イングスの下で2週間近く寝ている。ビラをみてきた」。
2月の相談より深刻さが増している。青年層が新たに野宿者となるなど、労働者を生存の危機が襲っている。月曜日に直ちに生活保護申請や医療相談をする必要のある人も出ており、相談村は6月4日に生活保護の申請説明会を行なうことをその場で決めた。
29日、政府が発表した4月失業率5%、有効求人倍率が0・5以下、非正規雇用労働者21万人解雇(昨年10月〜6月)の数字は現実を示していない。さらに悪化している。景気はひと段落という報道の裏で、排除される労働者が大量に作りだされている。恐慌の現実はさらに進んでいるのだ。生活保護・居宅保護の大幅拡充、本格的失業対策、仕事保障の要求実現が切実に求められている。
炊き出し(カレーライス配食)は11時と17時におこなわれ、初日は200食以上が相談者、野宿者にわたった。

旧来の労働組合運動を超えて

この取り組みは、連帯ユニオン関生支部、港合同、釜ケ崎地域合同労組、関西合同労組、管理職ユニオン・関西、派遣パートユニオン・関西、釜ケ崎パトロールの会など非正規雇用問題にこの間取組んできた関西の労組と野宿者支援グループによるものだ(支援「NPO非正規労働者のための協働センター」)。
この取り組みは、失業労働者、非正規雇用労働者の組織化、「今こそ貧困・生活確保・仕事よこせ」の運動をめざし、恐慌時代、旧来の企業別労働組合運動が無力となる中で、それを超えていく〈反貧困と労働運動〉の合流の始まりであり、新たなユニオン運動の胎動を確実に示している。(労働通信員K 5月30日 記)

2面

5・22関西国鉄集会
「納得いく解決まで」国労闘争団が決意

壇上の闘争団ととともに「団結がんばろう」のこぶし(大阪市立浪速区民センター:5月22日夜)
鉄道運輸機構にたいする抗議行動(5月22日午後新大阪駅前)

5月22日、大阪市立浪速区民センターで「3・25不当判決弾劾! 最高裁は不当解雇を認めよ!国鉄1047名闘争の解雇撤回を求める関西集会」が開かれた。この日は、集会に先立って主催団体である闘う闘争団と国鉄闘争を支援する関西共闘会議(準備会)の参加団体と国労闘争団の仲間が参加して、神戸市内1カ所、大阪市内3カ所で国鉄闘争への支援を呼びかける宣伝活動が行なわれた。
集会では、鉄建公団訴訟原告団からの報告と提起として、国労熊本闘争団代表の牛島時彦さんから、今年3月25日の鉄建公団訴訟東京高裁判決の内容とそれに対する評価が報告された。
牛島さんは、まず3・25高裁判決が「地裁の難波判決よりも一歩後退した不当判決である」と断罪した。そのうえで、「不当労働行為の所在について、組合間の採用率の差だけでなく、国鉄幹部の発言や現場管理者の言動をていねいに認め、明確な『不当労働行為意志』を認定し、国鉄闘争がまさに国家的不当労働行為として行なわれたことが明らかになった」ことや「鉄道運輸機構裁判で東京地裁民事19部の中西裁判長がだした『時効による権利消滅』という判決が誤りであることをはっきりさせた」ことなどを評価した。
そして今後の闘争方針として、第一に、原告側が4月7日に最高裁に上告したことを報告し、03年12月2日の最高裁判決で「JRに法的責任なし」の判断を下したことにたいする責任追及を行なっていく決意を明らかにした。第二に、裁判闘争とともに、「解雇撤回・JR復帰」の旗を掲げて、今日の労働者への解雇攻撃とのたたかいとの共闘を追求し、大衆闘争の強化で政府・国交省・鉄道運輸機構を追い込んでいこうと訴えた。
つづいて発言にたった国労鳥栖闘争団と国労佐賀闘争団の仲間は、鉄建公団訴訟に参加したことによって、所属する闘争団のなかで少数派となったが、「解雇撤回・JR復帰」の「信念をつらぬいてきたたかってきたことが正しかった」と闘争勝利への確信を語った。また、国労熊本闘争団とその家族会の仲間は、「納得のいく解決をかちとるまでたたかいつづける」と固い決意を明らかにした。

新誘導路の7月前倒し供用阻止!
市東さんの農地守れ!
7・5三里塚現地闘争へ

三里塚芝山連合空港反対同盟が、7・5三里塚現地闘争を呼びかけました。これにこたえ、新誘導路の供用攻撃と対決し、市東さんの農地を守るため、全国からの結集を訴えます。以下に反対同盟の招請文を掲載します。【編集委員会】

反対同盟は、北延伸滑走路10月供用前倒し攻撃に連なる新誘導路の7月前倒し供用攻撃と対決するため、7月5日に三里塚現地闘争を行なうことを決定しました。場所は東峰十字路北側開拓道路、時間は午後1時30分からです。多くの労農学の参加をお願いします。
国土交通省と成田空港会社は、4月22日、東峰部落に対して、北延伸滑走路の10月末供用開始、新誘導路の7月供用開始そしてホールディングベイと称する待機スペースと空港内B誘導路の5月7日供用開始を一方的に通告してきました。
5月12日と19日には「電波機能テスト」と称するジャンボ機の新誘導路テスト走行を強行し、5月20日には、森中小三郎成田空港会社社長が国土交通省と千葉県に対して、北延伸滑走路の供用を10月22日にすることを通告しました。地元自治体は「供用開始は歓迎する」と地元農民、周辺住民の健康と生活を無視し、空港利権を追い求める姿勢を露骨にしています。
攻撃の背景にあるのは、成田のハブ空港からの陥落、羽田の第4滑走路の開業(2010年10月予定)などに焦る空港会社と地元経済界の私利私欲です。
7・5現地闘争を、従来を一回りも二回りも上回る力強い闘いとして成功させたいと考えます。6・25天神峰現闘本部裁判、7月21日、27日の市東さんの裁判も一体の闘いとして取り組みたいと思います。大結集よろしくお願いします。

◇7月5日(日) 午後1時30分
◇東峰十字路北側 開拓道路
◇敷地内デモ
《会場への行き方》
 成田駅からタクシーで「東峰十字路」まで 約2500円

春闘要求でスト 三組合員の解雇撤回を
5・19 関西合同労組・春闘交流集会

10分会から現状と課題が報告された(5月19日)

09春闘も終盤戦の5月19日、関西合同労組は春闘交流集会を神戸市中央区ポートアイランドで開催、平日の昼間にもかかわらず、10分会20名の組合員が参加しました。
この交流集会は、春闘や争議を闘う各分会が、それぞれの現状を報告しあい、交流し、今後の闘いの支援を訴える場として設定されました。職種も職場も違い日ごろ顔を合わせることが少ない地域合同労組にとっては、節目節目でこのような交流を行なうことが不可欠です。
今回の集会の一番大きなテーマは、A分会が春闘要求の会社回答に誠意がないとしてストライキを設定して闘うことへの支援要請と、解雇撤回闘争を闘う争議分会への激励と支援要請でした。
委員長のあいさつの後、各分会から春闘の団交や現状、そして課題などが報告されました。
この集会の1週間前に職場で同僚との暴力事件をでっち上げられて不当解雇されたB分会のKさん、会社責任の労災にあって組合に加入し追及したら解雇されたC分会のOさん、そして不当解雇を争うD分会のKUさんが闘争の現状を報告、闘う決意を表明し支援を訴えました。
KさんとOさんの場合は、関西合同労組に加入し闘っていることが解雇の真の理由であり、組合つぶしの攻撃です。宣伝カーによる抗議行動や裁判闘争(Kさんは解雇された翌日に本人裁判で仮処分を申立て)で闘っています。KUさんの闘いに対して、会社近くの駅でのビラまきが提案され大阪の組合員が参加しておこなうことを申し出るなど、今後三人の解雇撤回のために協力して闘うことを全体で確認しました。
Kさんは、この集会の3日後の5月22日、国鉄1047名解雇撤回の闘争団の一日行動と集会にも参加して、国鉄労働者と連帯して闘う決意を固めています。
集会の後、全員でポートアイランドのコンテナバース(海上コンテナの積み降ろし基地)の出口前に移動し、横断幕や赤旗をかかげての集会と海上コンテナ輸送の運転手へのビラまきをおこないました。
マイクで港湾労働者に、争議支援を訴え、ともに闘おうと呼びかけました。最後にシュプレヒコールをあげて、この日の行動を終えました。(投稿:関西合同労組・E)

「権力に売られたケンカは必ず勝つ」
5・23兵庫狭山集会

5月23日、神戸市兵庫区で「石川一雄さん不当逮捕46カ年糾弾、狭山闘争勝利」兵庫県集会が開かれました。
部落解放同盟全国連からの基調報告で、「革共同は(全国連を)『糾弾主義』と批判するが、全国連から部落差別にたいする糾弾をとったら全国連ではなくなるし、それは解放運動ではない」と前置きして、東京高裁・門野裁判長の再審棄却策動をうち破って狭山第三次再審闘争に勝利しようと力強く訴えられました。
石川一雄さんからのメッセージが読み上げられ、青年たちを中心に狭山紙芝居の上演の後、北浦裕樹久・全国連奈良古市支部書記長から「わたしと狭山」と題しての講演がありました。
北浦さんは、高校の教師から「お前ら、部落に住んでいるというだけで、なにもしてないのに殺人犯にされる。国家権力にケンカを売られてるんや。どないすんねん」と言われたことなどをきっかけに学校で解放運動に参加したこと、村のなかで子供会を中心に解放運動を闘ってきたことを熱く語りました。特に、奈良の全国連以外の「部落解放運動」勢力が狭山闘争の「さ」の字も言わなくなってしまった状況下で、実力闘争として取り組まれている子どもたちの狭山集団登校が持っている意義について強調しました。(兵庫・通信員K)

3面

裁判員制度を廃止へ 5・20銀座デモ

裁判員制度が強行実施される前日の5月20日、「みんなでつぶそう! 裁判員制度 銀座デモ」がおこなわれた。主催は「裁判員制度はいらない!大運動」だ。
さあ銀座デモに出発だ(5月20日日比谷公園霞門)
午後7時から、デモの出発点である日比谷公園霞門において、出発前うちあわせということで、事務局の武内更一弁護士から、「85パーセントがやりたくないと言っている。実施反対という人が、『読売』アンケートでも62パーセントを超えている。国に代わって、人を裁くことの重さ。そこをわかって皆、拒否している。多くの民衆と連帯して、この天下の悪法=強制裁判動員法の廃止を要求して闘いつづけよう」と訴えがなされた。
呼びかけ人の高山俊吉弁護士は、「この5年間、たたかってきた。この制度がどんなに悪制度なのかを明らかにしてきた。圧倒的多数の国民が納得していないという状況になっている。国会で全政党が賛成しても、国民はついていかない。裁判員制度が始まったら『もうしかたがない』と言うのを、国は待っていた。そうなるだろうと。ところが、そうならずに今日を迎えた。国民の最後の審判は『裁判員制度やめろ』だ」と檄をとばす。
目の前にある日弁連、法務省にシュプレヒコールをたたきつけ、直ちにデモに出た。
デモ隊は東京地裁前を経て、新橋、銀座とすすみ、最後は650人にふくらんだ。
有罪となれば死刑や無期懲役になるような重大裁判を、数日の法廷で終わらせ、刑罰を決定するという裁判員制度による裁判は、もはや裁判とはいえない。まるで即決裁判だ。
被告人とされた人の、裁判を受ける権利や防御権の侵害・否定だ。刑事裁判の原則である、無罪推定の原則、予断排除、当事者対等の原則(注)、充分な弁護を受ける権利が破壊される。えん罪がつぎつぎと生み出される危険性が高い。
国家権力の行使に国民を義務として動員するのは、徴兵制と同じだ。「犯罪者」を裁くという行為に労働者人民を動員し、階級的な意識を解体し、国家にとりこもうとするものだ。裁判員制度は廃止しかない。
注:刑事訴訟法においては、検察官と被告人は対等の当事者であるとされ、当事者双方に主張を述べる機会を公平に与えなければならないとされる。

プルサーマル計画を中止せよ
MOX燃料搬入阻止たたかう
5・27伊方原発

5月24日、愛媛県八幡浜市内で行われた、伊方原発におけるプルサーマル計画の中止を求める集会に参加しました。浜岡、玄海に続いて、MOX燃料が26日にも伊方原発へ搬入されようととしているなかで、伊方原発反対八西連絡協議会・近藤誠さんの力強い発言を聞いて、私たちはまだ、だんぜん闘えると思いました。
近藤さんは「私たち地域住民にとって、現在の伊方原発の運転こそが危険極まりないものであることをまず強くうったえたい」「資源とエネルギーの浪費社会から脱皮し、人が人らしく生きていくことの出来る社会の実現に向かって、闘い、行動することだ」と集会で発言されています。はっきりいって、電気など足りています。
「リサイクル」路線からいっても、これほどのコストと危険をともなうプルサーマル計画は、説明がつきません。政府は、これまで溜め込んだプルトニウムを燃やす必要があるのだ。国際社会から向けられる、核兵器保持の疑いをそらすために。それがこの無謀なプルサーマル計画の目的なのだと確信します。
26日搬入予定は、何かトラブルがあって27日搬入となりました。私たちはMOX燃料が到着する日には、どうしても原発ゲート前で抗議行動をしたかったのです。
原発を見下ろす県道から弾劾(5月27日)
原発専用埠頭に入港するパシフィック・ヘロン号(5月27日午前10時過ぎ)
「八幡浜・原発から子供を守る女の会」代表の斉間淳子さんに、27日の搬入に対し抗議に行くと連絡すると、近藤さんと2人だけでも行動するつもりだったとの返事。さすがだ。これで百人力だ。私たち松山から駆けつける4人はポンコツの軽四に乗り込み、再び伊方原発へ向かいました。
到着すると、報道陣が大勢つめかけています。私たちが到着してまもなく、埠頭の先に浮かんでいたブイが、小船によってするすると引き開けられて、いよいよ輸送船が入って来るのだとわかりました。まだ見えぬ輸送船の周辺に浮かぶ何十隻もの護衛船。ゲート近くで抗議行動をしているのは私たち6人、このものものしさはいったい何なのでしょう。
輸送船が入ってくると同時に、近藤さん、斉間さんの渾身のアピール。私たちは、埠頭から遠く隔てられた県道のガードレールから、原発と港を見下ろし、「プルサーマル計画中止しろ!」「世界中のどこでもプルサーマルはやめろ!」と思いをこめてシュプレヒコールを繰り返した。新聞は、「大きな混乱なく粛々と搬入作業云々・・・」と書いただろうが、無力感も敗北感もない。
次は、原子炉にあの燃料を入れさせないよう行動をしていこう。近藤さんのいうとおり、最後の一人になっても異議をあげ続け、国策をひっくり返してやりたいと思います。(投稿・青ウミガメ)

民族差別・排外主義との闘いの報告と交流
入管問題を考える09関西集会

5月17日、京都大学法経4番教室において、「入管問題を考える 09関西集会」が開催されました。
改悪入管法が国会で審議に入っている中で開催されたこの日の集会では、改悪入管法を廃案に追い込もうという固い決意と、在日滞日外国人への差別・抑圧・排外主義攻撃との実践的闘いや、日本の戦争責任を厳しく問う問題提起が行われました。

熱心に聞き入る参加者(5月17日京都大学)

在日のたたかい

集会は冒頭、在日研究フォーラムの李相泰さんからの連帯のあいさつを受け、続いて在日朝鮮人学生から、入管法・入管特例法改悪によって朝鮮籍の人びとへの再入国許可を認めない攻撃が加えられようとしていることが弾劾され、それは在日朝鮮人運動や民族教育に対する相次ぐ弾圧を法制度上整備することだと訴えられました。
在日外国人への無年金と闘う在日朝鮮人「障害者」から、最高裁で敗訴したが国連人権規約委員会に訴えて闘う取り組みが話されました。
強制立ち退き攻撃と闘ってきたウトロの支援運動から、ウトロの歴史と敗訴の中で、立ち退くのではなく新たなウトロの街づくりを国際世論に訴えて進めていることが話されました。
不二越訴訟を闘う方から、強制連行された少女たちは「勤労挺身隊」という名前で呼ばれたことから日本軍「慰安婦」と誤解され差別と排除を受けてきたが、その一切の原因は日本にあり、彼女たちが生きているうちに日本政府に謝罪させ、責任者を処罰しなければならないと訴えられました。

日本軍「慰安婦」問題

続いて、3月8日にソウルで行われた「戦争と女性人権博物館」建設起工式のビデオが上映され、京都の地で日本軍「慰安婦」問題を取り組む方から2004年以来の取り組みが報告されました。
国連や国会を舞台にして日本軍「慰安婦」問題を取り組まれてきた龍谷大学の戸塚悦朗氏による講演では、国連世界人権宣言の意義が述べられ、そして日本軍「慰安婦」問題解決のための立法措置について話されました。日本政府は謝罪できないのではなく謝罪したくないのだと述べられ、「政権交代」できれば解決できるがそれは市民の力によると結ばれました。

難民からの訴え

休憩を挟んで2つめの講演は難民問題についてでした。難民の方から具体的資料をまじえて日本の難民制度がいかにひどい代物であるかが報告されました。そして内戦の中、身の危険にさらされ日本に来られた難民の方からの実体験が話されました。

入管法 改悪阻止

辺野古基地建設反対の取り組みのアピールに続き、主催者から以下の問題提起が行われました。
@戦争責任を果たそうとしないことが民族差別を生み出している根拠。加害の事実を教科書にも載せないことがアジアへの偏見と蔑視を生み出している。
A在日・滞日外国人、難民問題は「戦争と貧困」が生み出したものだ。具体的取り組みと共に新自由主義に反対していこう。
B「50年後に一千万人の移民受け入れ構想」は、少子化・人口減少を生み出した新自由主義をあらためるのではなく、不足する労働力を外国人で補おうとするもの。そのために外国人管理の強化が必要となり「在留カード」など入管法改悪が企まれている。外登法体制が指紋闘争でガタガタとなり、もはや自治体に任せられなくなって、入管局が直接管理しようとしている。廃案に追い込もう。 C来年の改憲攻撃を許すな。
D今日参加した多くの若い学生の皆さんは、今日の集会で学んだことをこれからの人生に生かして欲しい。できれば具体的取り組みに参加してほしいと結ばれました。
この日の集会の参加者は200人でしたが、大勢の学生が参加し熱心にメモを取り聞き入っている姿が印象的でした。(佐渡耕助)
〔6面に関連記事〕

4面

日米軍事一体化で変貌する自衛隊

3月14日の海上自衛隊400人のソマリア沖派兵、4月13日の米軍再編グアム協定国会承認の強行。5月の陸海空3軍自衛隊のソマリア派兵。そして今国会では海賊対処法案の成立が狙われている。
4月の金正日政権のロケット発射に対しては臨戦態勢を全土に敷き、イージス艦を展開、PAC3(地対空誘導ミサイル)移動配備などMD(ミサイル防衛)を発動。全国の自治体では非常事態体制がとられた。

自民党提言で「敵基地攻撃」うちだす

こうした中で、自民党国防部会は、5月26日、年末の防衛計画大綱改定にむけて提言をまとめ、「弾道ミサイルの脅威」にたいして、「北朝鮮の策源地を攻撃する」という敵基地攻撃をうちだし、そのために海上発射型巡航ミサイルを導入すべきとした。
MDでは、自前の早期警戒衛星開発やPAC3より広い空域での迎撃が可能な「THAAD」(高高度地域防衛)システムの導入を提言。
集団的自衛権にについては、@公海上での米軍艦艇防護、A米国を狙った弾道ミサイルの迎撃、B駆けつけ警護、C他国部隊の後方支援の4類型について踏み込む必要を打ち出した。
武器輸出3原則では、最先端の兵器を装備するため3原則を見直し、米国以外の企業との共同開発を解禁すべきとした。
そして、2010年に新安保共同宣言を策定すると打ち出した。
もはやアメリカに求められて派兵するといった次元ではなく、アメリカと肩を並べて侵略戦争を遂行する国になるということだ。
日本の敵基地攻撃については、米国防総省高官が、これまでの〈日本は盾、米国は矛〉という役割を変えることは理解するとコメントしている。まさに、自衛隊が「専守防衛」の建前をかなぐり捨て、攻撃し侵略する軍隊に変貌するという決定的な事態なのだ。

米軍再編(トランスフォーメーション)と日米軍事一体化

米帝の「長期にわたる戦争」
70年代をとおして、米帝の世界支配は大きく揺らいだ。71年金ドル兌換停止、72年ニクソン訪中、73年オイルショック、74―75年世界同時不況、75年ベトナム解放闘争勝利、米帝の敗北、79年イラン革命などは、米帝による戦後世界支配の崩壊開始を告げ知らせる弔鐘であった。
80年代、レーガンが登場すると、対ソ軍拡路線の推進、ヨーロッパ諸国への軍事重圧、リビア、レバノンへの侵略、パレスチナ解放闘争圧殺、イラン・イラク戦争への介入を推し進めた。この過程は、欧州帝国主義と日帝にたいしての、米帝利害防衛への一方的強要の過程でもあった。ソ連にたいしては、世界戦争にも等しい軍事重圧を加え続け、ついに崩壊に追い込んだ。
90年代にはいってからも米帝は、91年湾岸戦争、ユーゴ内戦への介入、NATOによる侵略、パレスチナ解放闘争の圧殺などをくりかえしてきた。
01年アフガニスタン侵略戦争、03年イラク侵略戦争と拡大していくなかで、06年にQDRが発表された。このなかで「米国は、長期にわたる戦争(a long war)のなかにある国家である」と規定した。「現在、闘いの中心はイラクとアフガニスタンだが、われわれは長年にわたって地球上でわが国およびその利益を防衛するために準備を整えていく必要がある」と述べている。
後進国半植民地諸国(いわゆる途上国)人民のたたかいを「テロ」とののしり、朝鮮民主主義人民共和国やイランを「圧制(だから民主化のために戦争をしかける)」と攻撃し、中国やロシアを「敵対国」と暗示し、次々と戦争をしかけていく。イラク、アフガニスタンで泥沼化している侵略戦争を地球規模の戦争「グローバルウォー」に拡大、永続化するというのだ。
こうしたなかで、日帝自衛隊はこの「長期にわたる戦争」に米帝とともに深々とのめりこんでいくのである。01年、インド洋への海上自衛隊派兵(補給艦と護衛艦)によるアフガニスタン侵略参戦、03年航空自衛隊イラク派兵、04年陸上自衛隊イラク派兵、09年陸海空3軍自衛隊のソマリア派兵。
特に、哨戒機P3Cのソマリア派兵は、アラビア海からパキスタン、アフガニスタンにいたるまでを哨戒対象とすることになり、海賊対策を口実にしたアフガニスタン侵略戦争への本格的参戦である。また、P3C防衛を口実に派兵された陸自の中央即応連隊は、日本版海兵隊として昨年編成された部隊であり、初の海外派兵だ。

日米安保の変容
米軍トランスフォーメーションがはじめて対外的に打ち出されたのは、03年1月のブッシュ演説であった。それは米国へのいかなる脅威に対しても、先制的に十分な攻撃を行うことのできる軍隊に、米軍とその同盟軍とを抜本的に変革するというものである。そのために地球全体をカバーする監視機能や情報収集能力や地球上のあらゆる場所に迅速に展開する機動力を強化し、米軍に対する同盟国の全面的支援を確保することをめざすとしている。米軍は陸・海・空・海兵の4軍の統合をさらに進化させ、それに対応して同盟軍の側にも同様の変革を迫っていくというものである。
米帝の「テロとの戦い」と米軍トランスフォーメーションは、90年代から進行していた日米安保同盟の変容をさらに大きくすすめた。01年9月、アフガニスタン空爆開始を目前にした21日の早朝、横須賀を母港とする米空母・キティホークが出動したが、その際、海上自衛隊護衛艦「しらね」と「あまぎり」が、超法規的に横須賀から外洋まで伴走した。これは現行の日米安保条約をこえて、「テロとの戦い」に自衛隊が実戦的に参加していく大きな転機となった。元法務大臣の後藤田正晴は、このとき新聞で「日米安保は軍事同盟だが、米軍が行動するのは極東地域をこえたアフガニスタンでしょ。なんで安保条約の対象になるのか。周辺事態法でもインド洋は対象になりえない」と述べていた。それから8年を経た今日、インド洋をこえて、アフリカのソマリア沖まで自衛隊3軍が軍事行動を展開するまでになっている。

「憲法虐殺の3日間」
2005年10月、「憲法虐殺の3日間」(前田哲男)ともいうべき事態が生じた。それは10月27日「米原子力空母の横須賀母港化」の発表、翌28日「自民党新憲法草案」発表、そして29日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)での『日米同盟―未来のための変革と再編』(以下『同盟変革』)の発表である。とりわけ最後の『同盟変革』の内容は従来の日米安保を根本的に転換するものであった。
第一に、現行の日米安保条約の地理的制限を取り払った。日米安保条約はその第6条で「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する」(極東条項)としてその適用範囲を極東地域に制限していた。ところが、『同盟変革』では、日米同盟は「世界における課題に対処する」として極東条項を撤廃し、自衛隊が世界中で米軍とともに軍事行動を行うことをうたっているのである。
第二は、日米の軍事的一体化を明確に打ち出した。情報の共有、共同訓練の拡大、訓練施設・地域の相互使用の拡大や、緊急時の日本国内の港湾・空港の使用などを、政府間で部隊戦術レベルにいたるまで協議・調整ができるようにしたのである。ここに米帝の先制攻撃戦略にもとづく軍事同盟が締結され、日本帝国主義は、自衛隊を米軍の同盟軍として、世界中どこでも軍事出動させることを約束したのである。
第三に、こうした国家の基本政策の変更を意味する重大事項を、国会の審議も承認もなしに当時の2プラス2(ライス国務長官、ラムズフェルド国防長官、町村外相、大野防衛庁長官)の枠組みで決定したのである。まさにクーデターとしかいいようのない事態だ。

MD体制と沖縄基地の強化
日米軍事一体化は、ひとつには、今回発動された「ミサイル防衛(MD)」に典型である。ミサイル防衛システムは、ミサイル発射を早期に検知するセンサーシステムの下にはじめて成り立つ。最新の電子機器を装備したイージス艦はその象徴である。またXバンドレーダーが青森県車力に配備され米軍の通信システムと一体化。さらに07年からは、首都圏の入間(埼玉)、霞ヶ浦(茨城)、習志野(千葉)、武山(神奈川)から、東海・近畿、全国へと地対空誘導ミサイルPAC3配備がすすめられている。こうして米軍と一体で、米本土に向かう「ミサイル」を、日本周辺で情報収集し、迎撃・撃墜する態勢づくりがすすんでいる。
いまひとつは、在日米軍の再編である。陸・海・空・海兵からなる米4軍は統合軍の責任区域があり、日本・アジア・太平洋は太平洋軍に属する。イラク占領の主力は中央軍で、あと北方軍・南方軍・欧州軍が北米・南米・欧州を責任区域としている。米軍再編でこの太平洋軍の再編がすすむ。既にフィリピンやヨーロッパの主要基地が撤去され、韓国の基地も縮小される中で、日本の首都圏に米軍の司令部が集中している。
横須賀は在日米海軍司令部があり、第七艦隊の母港でもある。米第五空軍司令部は横田にあり、三沢・嘉手納と一体で展開している。米陸軍の第一軍団前方司令部を座間に設置し、沖縄海兵隊と連動させる。米4軍の一体的運用が太平洋からインド洋まで行われる。
あわせて、陸自中央即応集団(4200人)の形成である。これは海外派兵専門部隊であり、文字通りの“日本の海兵隊”である。
米軍再編の要は沖縄―グアムの米軍基地再編・強化である。沖縄の名護市辺野古に巨大新基地を建設し、グアムに新たな海兵隊基地をつくり、米軍のアジア展開の最重要拠点とするものだ。オバマが発表したアフガニスタン新戦略の戦略拠点になることはまちがいない。

「専守防衛」の破棄と戦時法の完成

こうした日米安保の質的転換と日米軍事一体化(自衛隊の米軍戦略への組み込み)の急速な進展を、日本帝国主義はただ単に受動的に容認してきたわけではない。
第一に、91年湾岸戦争に際して、海上自衛隊の掃海艇をペルシャ湾に派遣して以降、92年のカンボジアPKO部隊派兵から、モザンビーク・ゴラン高原・東チモールと、毎年海外派兵を行い、いまや海外派兵は自衛隊の通常任務になった観がある。とりわけ、01年に海上自衛隊をインド洋に派兵、洋上給油を開始、03年に航空自衛隊を、04年に陸上自衛隊をあいついでイラクに派兵したことは自衛隊の意識を転換させた。
自衛隊の、戦う軍隊への改編は、装備の面でも急速に進んだ。長距離航行可能な対潜哨戒機P3Cや空中給油機の配備、電子戦時代の最新鋭艦としての6隻のイージス艦配備。補給艦(8100トン「とわだ」など)や、強襲揚陸艦「おおすみ」(8900トン)などの大型艦につづき、航空母艦「ひゅうが」が就航した。これまで米第7艦隊の護衛機能としてのみ形成されてきた海上自衛隊が、独自の艦隊形成の中軸として航空母艦や敵地上陸用の艦船を手にしたのだ。ミサイル防衛(MD)については既にみたとおりである。
イージス艦やPAC3の配備、日本版海兵隊=陸自中央即応集団の形成、そしてインド洋やアフリカ沖に展開する3軍自衛隊が1000人。今や自衛隊は世界有数の実戦力を持つ軍隊に変貌を遂げようとしている。
第二に、日帝は周辺事態法(99年)、武力攻撃事態法(03年)、を次々と立法化し、有事関連7法(04年)をもって戦時法制を完成させた。当時、やりのこしたのは、徴兵制と軍事法廷設置だけだといわれた。こうして憲法9条をなきものにする法整備が終了した05年に、憲法9条2項を破棄し、「自衛軍」の創設を盛り込んだ、自民党の新憲法草案が発表されたのである。いまや日帝は、9条改憲をもって戦争国家への最後の留め金を外そうとしているのだ。

6・14全国集会へ

たたかうアジア人民と連帯し、改憲阻止・日本帝国主義打倒につきすすもう。米軍再編・沖縄基地強化粉砕、自衛隊3軍はソマリア沖インド洋から撤退せよ。海賊対処法案を廃案に追い込み、麻生政権打倒をめざして6月国会闘争に決起しよう。
改憲攻撃の軸は、憲法9条2項の解体による自衛軍創設だ。
「憲法第9条改定を許さない6・14全国集会」(社会文化会館:千代田区永田町)に全国から結集しよう。 (島田健一)

5面

オバマ演説と金正日政権の核実験

安保理決議案―武力行使容認も

朝鮮民主主義人民共和国の金正日政権が、5月25日、「地下核実験を成功裏に実施した」と発表した。
これにたいして、米日両政府やマスコミが一斉に非難し、「ミサイルで敵基地攻撃を」(中谷元・元防衛庁長官)という発言がなされるとともに、米日が提出した国連安保理決議案では、公海上での強制的な貨物検査や北朝鮮との幅広い金融取引・援助の禁止などをもりこむとともに、北朝鮮船舶などの検査の際、「必要ならあらゆる手段の行使を許可する」との表現で武力行使を容認する条項が盛り込まれようとしている。
北朝鮮の核実験を口実に米日が一体となって軍事行動を起こそうとしている。
アメリカの先制核攻撃態勢こそ元凶
核兵器は、人類とは絶対に相容れない反人民的な兵器であり、われわれは金正日政権の核実験を徹底的に弾劾する。
しかし、アメリカは、@5千発以上の核弾頭を実戦配備し、AMD(ミサイル防衛)によってロシア、中国にたいして圧倒的な軍事的優位を確立し、B統合核作戦ドクトリン(05年)で、〈敵を脅して、米国の核使用の意図と能力を誇示するとき〉〈地下深くにある敵の大量破壊兵器施設や敵司令部を攻撃するとき〉などのケースを例示して核兵器使用を明記し、実際に核兵器で先制的に攻撃する態勢をとり、C北朝鮮とイランの20数カ所の戦略拠点をステルス爆撃機B2や巡航ミサイルで同時に核攻撃するという想定の指揮所演習を行ない(05年)、D日米合意文書(05年)で、このような先制核攻撃態勢の下での日米軍事一体化を公然と確認し、E米軍再編で東アジア地域に戦略ミサイル原潜、攻撃型原潜、核搭載爆撃機を集中させて、核攻撃能力を格段に強化し、F今年2〜3月には日米・米韓で合同演習をおこない、核攻撃能力を持つ米軍のステルス爆撃機B2が参加、北朝鮮にたいする核戦争恫喝を行なっている。
このようなアメリカや日本に、金正日政権の核実験を非難する資格は全くない。米日の軍事同盟が、明白な政権転覆の企図を持って、金正日政権に軍事重圧と経済封鎖を行なっていること―このことが、金正日政権を追い詰め、冒険主義的な対応に走らせているのだ。

「核テロ対策」打ち出したオバマ演説

4月5日、オバマ大統領がプラハで演説し、「核テロ対策」を打ち出した。
マスコミはこの演説を「核廃絶へ具体的な目標示す」(朝日)と持ち上げ、共産党も「オバマ演説を歓迎する」(志位)という姿勢だ。こうした中で、反核運動の中でもオバマ演説を評価する向きが生まれている。
しかし、演説を読めば、「核廃絶」などでは全くない。・アメリカの先制核攻撃態勢が核戦争危機の元凶をなしていることについては一切顧みず、・「テロリスト」「反米国家」への核の拡散が脅威だとし、北朝鮮やイランの核開発の阻止に全力あげ、新たな核保有国の登場を力尽くで阻止し、・ロシアを「核兵器削減交渉」に引き込み、中国を封じ込め、EUや日本の対米対抗を抑えこみ、・もって米ロによる核独占体制を立て直すとともに、・アメリカの世界支配の危機の打開をかけて、先制核攻撃態勢を柱とした世界規模の「テロとの闘い」=侵略戦争を遂行するというものだ。

北朝鮮やイランに「処罰」を言明
オバマ演説は、具体的には、アメリカの未臨界核実験は規制されないCTBT(包括的核実験禁止条約)や、カットオフ条約(核兵器用の核分裂性物質の生産を検証可能な方法で禁止する)の新設、インドやイスラエルの核武装は問わないが、北朝鮮やイランの違反は問題にするNPT(核拡散防止条約)の強化、国際燃料銀行の新設などを打ち出した。
その狙いは、CTBTやNPTの恣意的な運用で、北朝鮮やイランを追い詰め、違反や脱退を口実に侵略戦争を発動するということだ。
演説では、北朝鮮やイランを名指しして、核に手を出すなら「処罰」すると言明している。「処罰」とは、上述の統合核作戦ドクトリンで例示され、指揮所演習で行なわれたような先制核攻撃を発動するという意味だ。

「オバマ演説は不快」(ロシアの軍事評論家)
オバマ演説は、さらに、ロシアに核兵器削減交渉をせまり、アメリカの軍事的優位を加速することを狙っている。 そもそも核兵器削減交渉というが、それぞれ4〜5千発の核弾頭をもっているアメリカとロシアが、それを2千発ずつにするからといって、核戦争の危機を減殺したり、核廃絶に近づいたりするようなものでは全くない。 しかも、これは、ロシアに屈服をせまるものだ。「通常兵器の近代化が遅れるロシアにとって軍事大国の地位を維持するには核兵器の放棄は受け入れられない」(ロシアの軍事評論家)。
さらにアメリカは、イランの脅威を口実に2011年までに、ポーランドにMD、チェコにレーダー管制施設の建設を進めている(注)が、これもロシアの核の無力化が狙いだ。
注:国内で反対運動が盛り上がり、建設合意の批准案をチェコ政府が撤回(3月)したため、建設計画はストップしたまま。

通常兵器による侵略戦争激化
アメリカは、先制核攻撃態勢で軍事的優位を強めると同時に、通常兵器による侵略戦争も激化させるということだ。
新QDR(2010年更新予定、前回は06年)では、「国家間の伝統的戦闘での戦略的技術的優位を維持するとともに、(対テロ・ゲリラなどの)不規則戦闘の能力も機能化する方途を追求する」(4月23日、米国防副長官)という。
「核兵器のない世界」の欺瞞
オバマ演説の「核兵器を使用した国として行動を起こす道義的責任」や「核兵器のない世界を模索する」というフレーズは全くの欺瞞だ。「道義的責任」とは、原爆を投下した責任について言及したもでのも、ましてや謝罪したものではない。 「動議的責任」にかかる「行動」とは、核が「テロリスト」にわたるのを阻止することだ。
「核兵器のない世界」とは、北朝鮮やイランに核開発を止めさせ、新たな核保有国の登場を阻止するための方便にすぎない。

核と人類は共存できない

金正日政権が核実験を強行した狙いは、@米日軍事同盟による核攻撃態勢にたいして、核武装で対抗し、A核カードを使って、NPT体制の二重基準の矛盾を突いて、帝国主義と駆け引きをして、Bスターリン主義体制の護持と権力の継承をはかる、ということだ。 上述したように、東アジアの戦争危機の元凶は米日軍事同盟による戦争政策にある。われわれは、帝国主義による金正日政権への非難・攻撃に与することはできない。

皆殺しの思想
しかし、帝国主義の軍事重圧にたいして、核兵器をもって対抗する行為は、全く反人民的だ。
核兵器は、相手国の労働者人民を皆殺しにすることを厭わない戦略思想に貫かれている。それは、帝国主義が、第二次世界大戦の過程で互いに死闘する中で、ゲルニカ、重慶から広島へと不可避に行きついたものだ。
金正日政権は、朝鮮人民の民族解放闘争に敵対する反人民的な体制であり、それゆえ、体制を護持するために、核武装に走り、帝国主義との駆け引きで延命をはかろうとするのだ。
しかし、それは、結局は帝国主義の餌食にされ、帝国主義の侵略戦争に棹さすものにしかならない。

朝鮮人民と連帯して
米日軍事同盟による北朝鮮攻撃の激しさに比して、日本人民の反撃が充分なしえていない。この現実こそが分断体制の下で闘う朝鮮人民にたいして困難を強いている。
いまこそ、沖縄米軍基地撤去を要とした日米安保体制粉砕の闘い、9条問題を核心とした改憲阻止の闘い、8・6ヒロシマをはじめとする反戦反核の闘い、そして反貧困の闘いを前進させよう。

6面

追悼 川村賢市さん
戦争の時代に川村さんの遺志をついで進む
―反戦自衛官 小多基実夫

4月30日早朝、全日本建設運輸連帯労働組合の川村賢市さんが急逝されました。享年61歳でした。
突然の訃報に驚きを禁じ得ません。謹んで川村賢市さんのご冥福をお祈り申し上げます。
反戦運動と労働運動に生涯をささげられた川村さん。イラク戦争に自衛隊派兵が開始されて以降、派兵される自衛官とその家族に心を寄せ、連帯と交流を目指して奔走されました。わたしとの出会いもそういう中でのことです。
イラク派兵反対の本人訴訟(ゼニカネ訴訟)を起こされたころ、私がかかわっていた『反軍通信』のインタビューをお願いしたのがきっかけでした。川村さんは「反戦兵士と連帯する会」、「とめよう戦争! 家族と元自衛官連絡会」に即座に入会してくださいました。以来「現役・退役の自衛官や家族の中に反戦運動を育てよう」と、ともに闘ってきました。
今年に入ってからは、ソマリア沖への派兵や陸自のアフガニスタン派兵が画策される中、より直接的に自衛官とその家族を支え、救援する運動が必要だ、という川村さんの強い想いに突き動かされて、一緒に「元自衛官連絡会」という新しい運動を立ちあげました。
「元自衛官連絡会」は『平和のための自衛官しんぶん』をたちあげ、「元自衛官による自衛官悩みごと相談センター」を開設しました。4月には新しい仲間を迎えて、いよいよこれからという時であっただけに川村さんの無念を想うと残念でなりません。
川村さんが最も強調され、また私もまったくそのとおりだと考えたことは、自衛隊内部に反戦の仲間をつくるという事、実際に戦争に行かされる人の側から反戦のうねりを作り出していこうということでした。そのために、自衛官の存在と生活をまずわれわれが認めて、そして一緒に闘うということでした。川村さんが種を播きやっと芽が出たばかりのこの運動を、自衛官と労働者市民がひとつになってたたかい、海外派兵を阻止する本当の力になる運動へと立派に育て上げたいと思います。川村さんがこの運動で実現しようとされていたのは、兵士相互の団結、家族の団結、兵士と労働者市民の団結という3つの団結です。そのために、自衛官に対しては「言いたいことを言う、そして言えるようにするための運動をわれわれ労働者と一緒に作り上げていこう」と。そして労働運動、反戦運動に対しては、「運動をやっている人ほど自衛官を蔑視する傾向がある。『われわれは正しくて、自衛官は敵や』というのは、相手を獲得するというよりも喧嘩してやってつける姿勢。運動は温もりを持ってやらないとあかん」と。さらに自衛官の家族についても「自衛隊が上から組織するのとは別に、家族が自主的に『家族会』とか『地域の連絡会』のようなものをつくって、そこで労働者と一体化していく、そこから戦争反対の声を上げていこう」と提起されました。
川村さんはとことん現場密着の人でした。ですから「労働者が現場から強い者にNOと言える体質を作ることが大事で、そこから社会運動などにも行動が広がっていく」という自ら切り開いてこられた労働運動の確信と教訓を兵士運動にも適用しようとされました。私たちが、基地に申し入れに行った際、マイクで基地内の一般自衛官に呼び掛けた時、川村さんは、自衛官が入隊時に強要される「宣誓」を引き合いに出して呼びかけられたことがありました。曰く、「宣誓では、憲法と法律を守り一致団結せよ、となっている。だから平和憲法を守るために団結して闘う権利=団結権は自衛官にも認められている」のだと。
自衛隊法第64条「団体の結成等の禁止」によってすべての団結が禁止されていると単純に理解し、それ以上深く考えたことのなかった私には、これは驚きでした。
現にそこで生活し戦争に投入される兵士の目線で問題を考え、なんとかして一般兵士に闘いの武器を届けたいという川村さんの執念が、弾圧法規である自衛隊法すら兵士決起のための武器にしてしまったのです。
自衛官という職業についても、「不況になったら入隊希望者が増えるというのは、自衛隊を職業としてみているということであり、自衛官の実態は労働者だ」と明言されました。法律の解釈に人間を当てはめて判断するのでなく、具体的に生きている人間の思いやその生活実態からの判断を重視された。
そういう川村さんとここまで一緒に来ることができたことを誇りに思います。本格的な海外出兵が始まりつつある自衛隊の中に、川村さんの「プロ野球選手会も頑張っているけど、消防も自衛官もだれでも労働組合をつくってしまえばいい。名前は必ずしも労働組合と名乗らなくてもいい。団結することが大切なのだから名前なんか『仲良しグループ』でも何でもいいから、団結するための団体を作ろう」という言葉を広めていきたい。
川村賢市さん、どうかこれからも私たちの運動を見守ってください。

改悪入管法を廃案へ

3月6日に国会上程された入管法(及び入管特例法と住民基本台帳法)改悪案に対して、3月以降、東京を始め全国で反対運動が巻き起こっている。
国会での院内集会が何度ももたれ、在日朝鮮人団体や外国人労働者支援団体、キリスト教団などが反対運動に立ち上がっている。5月24日には銀座デモが行われ、99年以来の大きな反対運動の盛り上がりを見せている。
しかし民主党は、「特別永住者証明書の常時携帯義務」を、法案から削除するのみで自公と妥協し、採決に応じようとしている。刑事罰制度も、行政や学校や企業の入管局への通報義務も、自治体ではなく入管局が発行し一元管理することも、オーバースティの人々に「在留カード」が発行されず生活と生命が脅かされることも黙認しようとしている。
あくまでも廃案をめざして闘おう。とりわけ民主党への波状的な要請・請願を繰り広げて、採決を許さない声をたたきつけよう。

(投稿)

新型インフルエンザで、神戸の町は戒厳令状態ですね。マスク着用率は85%位、マスクをせざる者は非国民といった視線を浴びます。しかしマスクをかけても予防の効用はありません。
米政府が公開している「PandemicFlu.gov」によると、サージカルマスクなど医療用マスクは「マスクをしている人のつばなどが飛散しないようにするが、空気中の微粒子を吸い込むことを防ぐためではない」と一般のマスクの効用を否定している。
「米政府でさえ」否定しているマスクを右へならえで皆が掛けている日本の光景は、異様です。
しかしマスクの副作用は息苦しいことくらいですみますが、恐ろしいのはタミフル万能キャンペーンです。タミフル服用中の10代患者が錯乱し、飛び降りて亡くなってしまった事件はもう皆忘れてしまったのでしょうか。
タミフルの効用は、飲まない場合に比べて一日早く治るといった程度のもの。予防のためにまで服用したりしていては、耐性菌発生の危険が増すだけです。
日本は国民こぞって、タミフル耐性高毒性新型インフルエンザの発生実験をしているようなものです。 5月23日 (神戸市R 看護師)