未来・第27号


                           未来第27号目次(2009年2月17日発行)
 1面  改憲阻止へ共同行動はじまる 2・1憲法集会(大阪・守口)
     新軍事協定に反対 名護新基地建設阻止 クリントン来日
     三里塚農地死守裁判(第1回弁論)空港会社の違法あばき追いつめる

 2面  門真三中の不起立で闘う教育労働者の訴え
     連帯アピール 「9条改憲阻止の会・京都」共同代表 仲尾宏さん
     開会あいさつ 三浦たけおさん(守口市議)

 3面  非正規雇用労働者を守れ(09春闘)「雇用も賃金も」の闘いで
     関西生コン支部への不当弾圧を弾劾する(2/12)

 4面  投稿「『貧困と戦争』といかにたたかうか」(本紙24号)を読んで
     書評 『戦後労働運動史 奈良市地域の職場の闘いを中心として』藤原好雄著
     
 

改憲阻止へ共同行動はじまる 2・1憲法集会(大阪・守口)

《輝け憲法! 許すな「日の丸・君が代」強制! 2・1大集会》が、大阪・守口市の会場で開催された。会場を一杯に埋め尽くす480人が集まった。 北村小夜さんの講演、土井たか子さんと服部良一さんの対談、門真三中の当該教育労働者の発言など、時間を短く感じさせ、感動的な集会として勝ちとられた。

480名が集まり、北村小夜さんの講演に全体が集中する<2月1日大阪府・守口市立文化センター大ホール> /td>

昨年3月の不起立からはじまる

2・1集会にむかうたたかいは、昨年3月の大阪・門真(かどま)の中学の卒業式で、教職員・生徒が一人を除き、全員が不起立したことに始まる。 産経新聞の大キャンペーンから、右翼の威迫、教育委員会の処分策動とあらゆる反動が密集する中で、これらをはねのけた当該のたたかいを、大きな輪で包もうと、地元守口・門真と大阪・関西の各界・各層の呼びかけで集会が企画された。
右翼の妨害はねのけ
右翼勢力はこの日も15団体が18台の街宣車をつらねて、会場周辺を大音量で徘徊し威圧を加えてきた。
これに対し集会実行委員会は、会場外に、集会呼びかけ団体の全日建連帯労組の組合員40人が陣どり、会場内にもスタッフを随所に配置した。
はじめに『戦争案内』というビデオの導入部分が上映され、続いて主催者を代表して、守口市会議員の三浦たけおさんがあいさつ。市場万能主義が教職員・生徒の思想・信条を奪い、憲法改悪もねらわれている、こうした動きに対決していこうと訴えた。(2面に要旨)

唱歌にこめられた侵略思想のすりこみ

最初の講演は、戦前は軍国少女として育ち、戦後は「障害児」の教育に携わってきた、北村小夜さんから。
集会で講演された北村小夜さん

北村さんは、たかが「歌と旗」というけれど、戦前の教育では修身と音楽が一体となって、忠君愛国の精神がすり込まれた。音楽は修身=道徳にさきだち、小学1年生から毎日毎日空気のようにすり込まれていった。
その代表的な歌としての「我は海の子」「蛍の光」などの歌詞を紹介しながら、「我は海の子白波の・・・」という歌詞が、7番では、「・・・いで軍艦に乗り組みて、我は護らん海の国」となり、「蛍の光」も、最後は、千島も沖縄も樺太もアリューシャンも「やしまのうち」とする歌詞となる、侵略と国土防衛の歌であったと話され、「歌と旗」の強制をはねかえすねばり強い抵抗を改めてよびかけた。
当該の発言に共感
続いて、今回の闘いの当該である門真三中の教育労働者(2面に要旨)と、急きょ参加した枚方の教育労働者から発言がなされた。

ソマリア派兵に警鐘

後半は、守口のストリートミュージシャン宮下賢一さんの「山谷ブルース」はじめ力強いミニライブから始まった。
つぎに呼びかけ団体の「9条改憲阻止の会・関西」の仲尾宏さん(京都造形芸術大学客員教授)が憲法改悪との闘いを訴え、全日建連帯労組関西生コン支部の垣沼陽介書記長は、「派遣切り」との闘いと沖縄教科書闘争との連帯を訴えた。
つづいて、土井たか子元社民党党首と服部良一さん(山内徳信参議院議員秘書)の対談「いま憲法があぶない」が行われた。
集会で対談する土井さんと服部さん

対談は、服部さんが土井さんに質問する形式ですすんだ。土井さんは、ほとんど論議・論戦がなされぬ、翼賛化した国会の状況を、怒りを込めて叱りつけた。
ついで、自衛隊のソマリア沖派兵が取り上げられた。麻生政権が低支持率ながら、国会・国民の陰に隠れて、論議も法律もないまま内閣の強権で派兵を強行しようとしていることに警鐘を乱打した。
さらに集団的自衛権・田母神問題に言及し、最後に憲法99条=天皇・国務大臣・国会議員・裁判官・公務員の憲法遵守義務に注意を喚起した。公務員・国家権力に恣意的な専制行為をさせないため、縛りをかけるための憲法であることをはっきりさせ、あらゆる分野で憲法が破壊されている現状を許さない共同の闘いが訴えられた。
また同日、高槻市で集会を行っている辻元清美衆議院議員のメッセージが紹介された。
こうして、全参加者・全発言者が一体となり、「日の丸・君が代」の強制、憲法改悪と闘う共同の輪を広げようという、高揚感に満ちあふれた集会となった。
最後に、門真市議の戸田ひさよしさんからまとめ(別掲)がおこなわれ、3時間にわたる集会をおえた。

橋下と対決し改憲阻止へ

2・1集会は、門真処分攻撃を許さない関西の闘う仲間が総結集する画期的集会となった。
地元からは2人の市議を先頭に、教職員・保護者・生徒・市民が多数参加した。教育現場からは、組合の枠を越えて、大阪はじめ奈良・兵庫など関西各地から多くの教育関係者が集まった。また労働組合も全日建連帯労組関西生コン支部を先頭に、全国金属機械労組港合同、関西合同労組などが取り組み、部落解放同盟全国連も門真に隣接する寝屋川市・大東市はじめ、各地から多数が参加した。
さらに、憲法改悪反対や反戦の闘いにとりくんでいるさまざまな仲間が集まった。みな、門真三中の闘いに思いをよせ、あるいは支援をしてきた人たちだ。
当該の奮闘と広範な決起
2・1集会の成功は、当該の奮闘のうえに、処分を許さない地元や教育現場の人びとの動き、これに応えた労働組合・部落解放運動などの取り組み、そして広範な統一戦線を求める人びとや政治団体の役割が結合するとき、労働者人民に勇気を与え社会をゆり動かす、巨大な力になることをしめした。
大阪では、いま橋下知事が「高支持率」を背景にデマゴギッシュな手法で、学力テストの公開・私学助成のカット・スーパーエリート校作りなど、新自由主義の手法による教育破壊をくり返している。
門真の処分を許さず、職場・地域に密着し、労働組合と大衆的統一行動の力で、橋下の教育破壊を許さない大きな運動を作りだしていこう。

新軍事協定に反対 名護新基地建設阻止 クリントン来日

日米軍事一体化を加速

クリントン国務長官が16日から18日まで来日し、日米会談を行なおうとしている。その目的は、@米帝の侵略戦争への日帝の参戦を拡大することであり、そのために、A日米同盟の強化を確認し、B米軍再編と日米の軍事一体化を推進することだ。とりわけ、C「沖縄駐留米海兵隊のグアム移転に関する協定」を締結するとともに、D沖縄県名護市辺野古への新基地建設をおし進めようとしている。

グアム移転に新事実

6日の衆院予算委員会での防衛省・高見沢防衛政策局長の答弁によれば、グアムのアンダーセン空軍基地と、アプラ港での基地の増強を日本政府が担うという。アンダーセン空軍基地は、航空戦闘部隊の基地だ。アプラ港も、高速輸送艇や強襲揚陸艦の基地だ。
06年日米合意で、海兵隊のグアム移転費用の約6割、61億ドルを日本が負担すると取り決めているが、その中身について、日本政府は、住宅や学校の建設と説明してきた。しかし、実は、グアムを、ハワイ、沖縄と並ぶハブ基地として増強する米の計画を、日本が担うものだったのだ。 日米会談と「協定」締結に反対しよう。

三里塚農地死守裁判(第1回弁論)空港会社の違法あばき追いつめる

2月3日、農地死守裁判の第1回弁論が、千葉地裁で開かれた。150人が傍聴・支援にかけつけた。午前9時から千葉市中央公園で総決起集会とデモが行なわれ、裁判は11時に始まった。傍聴に入りきれない人で、法廷前があふれた。

市東さんの意見陳述で圧倒

裁判では10分を越える意見陳述をし、裁判後の集会でアピールされる市東孝雄さん

裁判では、まず、市東孝雄さんが、意見陳述を10分以上にわたって行ない、裁判官や空港会社側代理人を圧倒した。
三里塚の大地に屹立して国家権力と対峙する市東さんの陳述は、全人民の魂を揺さぶる迫力だ。絶対に勝利できると確信した。

弁護団の追及に会社側が立ち往生

弁護団からは、「堂本千葉県知事による違法な決定を根拠に行なわれた提訴は裁判の体をなさないので、直ちに却下されるべきだ」という弁論が行なわれた。さらに、「賃貸契約解除というが、いつ・どういう形で空港会社と市東さんとの間で契約が行なわれたか示せ」という核心をつく求釈明が行なわれた。
堂本知事の決定が違法な上に、旧地主からの買収時期を偽っているのだから、会社側代理人はこれに答えられない。うろたえる会社側代理人にたいして、傍聴席からも「答えろ」の声があがる。すると裁判長は、この窮地を収拾しようと、反対同盟員の萩原富夫さんを退廷にするという強権的な訴訟指揮を行なった。傍聴席から怒りの声が激しくあがる。国家権力と空港会社の破たん性と脆弱さが露わになった瞬間だった。

裁判闘争から3・29へ

閉廷後、弁護士会館で記者会見と報告集会が行なわれた。
反対同盟の萩原進事務局次長から、「裁判闘争を徹底的に闘いぬいて、3・29全国集会の大結集をかちとろう」と力強い提起が行なわれた。

(市東さんの意見陳述・要旨)

@この裁判は、千葉県の不当な決定に基づく不当な提訴であり、ただちに却下すべきだ。
A土地収用法で取れなかった農地を、農地法で取り上げることはできない。そもそも、違法を重ねてきた空港会社が、私に対して明け渡しを要求する資格はない。
B私の畑のために、暫定滑走路の誘導路が「へ」の字に曲がっており、だから畑を取り上げて誘導路を直線にするというが、身勝手で本末転倒な話だ。完成の見通しの立たない平行滑走路を、無理に作ったのは空港公団だ。地域の住民を苦しめる欠陥空港こそ、農地にもどすべきだ。
C私は代々守ってきたこの畑で野菜を作り続けることに生きがいを感じている。農地は単なる土地ではない。長い年月をかけて、有機の土、完全無農薬の畑につくりあげてきた。祖父から親子3代にわたって精魂込めたこの土地こそ、私の畑だ。
私が畑を守る理由はこればかりではない。国と空港会社が、力ずくで取り上げようとしていることが問題だ。政府は「強制的手段を放棄する」と約束し、空港会社の社長は「謝罪」文を書いて頭をさげた。だが、40年間、農家を虫けらのように扱った空港建設は、今もまったく変わらない。法律も民主主義もない。あるのは強権とカネの力だ。このやり方は絶対に受け入れることができない。
だからここに住むし、この畑を耕すのだ。私の畑は「この農地」でなくてはならない。
D裁判所による強制執行に対して、品川のホテルの従業員が身体を張って闘う姿に共感を感じた。労働者の職場、農民にとっての農地― これが守られないで、どうして社会が成り立つか。農地は私たちの命だ。
E行政による一片の決定が何なのか。誠実に働こうとするものが私は正しいと思う。私は正々堂々と自分の農地を守る。一歩も引かず闘う。

『展望 The Perspective』第4号を発刊(2月15日)

本号は、改憲阻止決戦方針を全面的に提起。革共同の理論と運動を自己検証する論文など掲載。
主な内容は
世界恐慌情勢と革命的共産主義者の任務
革共同の再生奪還のために
安田派を解体し、再建協議会の組織的大前進を
戦前・日共「多数派」分派の今日的意味
A5版 168頁 定価1000円(本体1000円+税)

(おしらせ)《タイトル「未来」のロゴを募集》

本紙の題字のロゴマークを募集しています。現在、2つの案が寄せられています。

2面

門真三中の不起立で闘う教育労働者の訴え

昨年3月の卒業式で、僕たち門真三中の3年生担任の職員は、「日の丸・君が代」の強制に着席をして抗議をしました。子どもたちも、1人をのぞいて全員が座りました。
しかし、その2週間後、産経新聞による「門真三中の偏向教育」というキャンペーンが始まり、学校に数百本の抗議の電話やファックスが押し寄せてきました。その次に教育委員会の事情聴取が始まりました。僕はそれに抗議して事情聴取を拒否しています。府教委は確実に僕を処分しようとしていますが、けっして後ろに下がらずにがんばっていきたいと思います。
心を支配する『心のノート』
いま文科省は日本中の子どもたちのもとに『心のノート』というのを送りつけています。この『心のノート』は子どもたちに「行儀よくしていますか?」と語りかけて、たえず子どもの心の中に入っていこうします。
僕はこれを読んでいて怖くなりました。その声が心の中にできあがってくるのです。
次には「あなたはクラスの中で感謝していますか?」「自分の町の人に感謝していますか?」と感謝という言葉がよく出てきます。だんだんその範囲を広げていって、最後は「日本はすばらしい国。あなたは日本人ですよ」となっていきます。そのあとに、「国のために命を捧げよう」となるのです。戦前と全く一緒です。
「日の丸・君が代」強制のあとにはこれが来るんです。僕らはこんな教育はできません。だから「日の丸・君が代」強制に反対でがんばっているのです。
子どもたちの共同性
僕がものすごく好きな本で、「はせがわくんきらいや」という絵本があります。この本は、作者の長谷川集平さんの小さいときの話です。長谷川さんは、森永ヒ素ミルク中毒事件で体に「障害」を持ちました。
「はせがわくんきらいや」というのは、はせがわくんの周りの子どもたちの言葉です。たとえばソフトボールを一緒にやってもはせがわくんと同じチームになると負けてしまう。面白くない。だから「はせがわくんきらい」なんです。でも「だいきらい」と言いながら、子どもたちはずっと長谷川君のそばを離れません。たまには「はせがわくん、だいじょうぶか」と優しい言葉を投げかけます。それは同情ではありません。子どもたちは、はせがわくんをちゃんと自分と同じ尊い命を持った1人の人間としてみているんです。
僕は子どもたちを30年間見てきましたが、こういう共同性を子どもは持っています。ただ、それをずたずたにしていく社会条件がたくさんあります。教育もその責任があります。だから僕たちは、子どもたちの共同性を取り戻し、育てていく教育をやっていかないといけないと思います。
『心のノート』はそれとは全く違います。それがつくる共同性とは、日本人は他の民族よりも優秀だと植え付けて、「障害者」を排除し、いろんな差別を植え付ける、偽の共同性です。僕らはこういう教育は絶対に担いたくない、そういう思いで反対しています。
僕はこれからも卒業式、入学式の不起立を貫きます。また立ってはいても、歌わないで抵抗している人もたくさんいます。いろんな立場で抵抗している人たちと手をつないでいきたいと思っています。

連帯アピール 「9条改憲阻止の会・京都」共同代表 仲尾宏さん

古い友人が、教え子から年賀状をもらいました。「憲法改正問題が焦点になる中、先生がどういう行動をされるのか注目しています」という趣旨のことが書いてありました。
その友人は、大変ショックを受けました。学生は鋭い。大人になっても鋭い。そういうことを私たちにふれて回わりました。
そこから、(07年の)5月3日、中之島公園(大阪市)で、130人の集会がもたれました。秋には、京都・円山公園で1200人の集会とデモになりました。中心メンバーは、反戦青年委員会ならぬ反戦老人クラブです。これが東京にまで広がって、毎年6・15の前後に集会をやるようになっています。
このように、何気ない一言が、人を動かし、大きなうねりになるということを痛感させてくれました。
憲法問題と「日の丸・君が代」問題は一体です。憲法問題は、来年が山場です。闘いましょう。

開会あいさつ 三浦たけおさん(守口市議)

開会の挨拶をする守口市議三浦たけおさん

21世紀は、夢と希望の持てる社会にと考えてきましたが、市場万能主義が猛威を振るい、巨大な政治・経済・軍事力を背景にした価値観が強制されようとしています。
この潮流に対して、公正・連帯・個人の尊厳、貧困・抑圧・偏見からの解放が対置されなければなりません。効率性最優先の考えが、人々の生命と安全を脅かし、社会の礎の憲法すら改悪しようとしています。この攻撃が教育界では思想・信条の自由を奪う「国旗・国歌」の強制となってきています。卒業式での自らの意思での不起立を、(教師の)指導があったとし、権力的処分が行われようとしています。
これを許さず、だれもが憲法の理念が実現でき、福祉・医療・教育・公共サービスが行き届き、子ども・働く者・老人が尊ばれる社会を実現していくことが、輝け憲法の実践ではないかと考えます。

集会のまとめ 戸田ひさよしさん(門真市議)

集会のまとめの発言をする戸田ひさよし門真市議

「日の丸・君が代」・天皇制、これは暴力の脅迫・威迫なしには存在しえない。
右翼が15団体、車両18台きています。「この集会はけしからん」と大音響で威迫しています。しかし右翼の暴力があるから集会ができないのかと言えば、ちゃんとやりきっている。やりきった力は何か。
ひとつは、右翼の暴力・威迫に決して屈しないというわれわれの心意気と決意です。
それと実力部隊です。私の所属する労働組合、連帯ユニオンの選りすぐりの精鋭部隊、右翼にもヤクザにも機動隊にもひるまない部隊を用意したからです。 卒業式のシーズンになります。橋下が、「君が代」に反対するのは非国民だと言うでしょう。それを真っ向から打ち破っていこう。憲法が嫌なら知事を辞めろという闘いを進めて行こう。

3面

非正規雇用労働者を守れ(09春闘)「雇用も賃金も」の闘いで

ストなしのベア要求は空論

09春闘が始まった。昨秋以来の世界恐慌のもと、日本の独占資本は率先して非正規雇用労働者を切り捨て、正社員の人員削減も始めている。雇用不安をつくりだし、賃上げどころか、ワークシェアリングという形式で大幅な賃下げ攻撃を準備している。
これに対して、連合高木執行部は「賃金より雇用をといって雇用が守られたためしがない」という、これまでの連合の主張の誤り・裏切りを認め、今回は「雇用も賃金も」と言って、昨春闘の倍以上のベア要求を、物価上昇分として出している。さらに非正規雇用労働者支援も唱えているが、連合が連合である限り、これらはすべてアドバルーンに終わることになるだろう。
連合こそが、95年日経連路線を容認し、コスト引き下げと調整弁の役割を非正規雇用労働者に押しつけて、組織を維持しようとしてきたのだ。現下の派遣切り横行の責任の一半は連合幹部にある。また、春闘ストライキの復権なしで、ベア実現など勝ち取れない経済情勢であるにもかかわらず、連合幹部はあえてこれを打ち出している。それほどまでに組合員の怒りと要求が大きいということだ。現場組合員の下からの闘いがなければ、連合幹部たちは経済のデフレ化を理由に引っ込めるか、景気回復した暁に実現をという空手形で引っ込めることになるにちがいない。
われわれ闘う労働者は、この連合要求を一歩も値引きさせず、逆に下から押し上げてスト権をうちたて、労働者の実力で雇用と賃上げをたたかい取らねばならない。
連合は、この09春闘で必ず歴史的分岐を引き起こしていくにちがいない。すでにNTT労組やJP労組、三菱自動車労組はベア要求を断念し、トヨタも一時金で減額要求を出している。09春闘を、20年間の連合路線の歴史的転換点にしていこう。

賃上げ拒否を宣言 09年版 経団連・経労委報告

昨年12月発表の日本経団連の経営労働委員会報告は、「企業の減益傾向が一層強まる中、ベースアップは困難」だと、雇用優先を口実に賃上げを拒否し、内部留保の存在や労働分配率の低下を理由にした賃上げ要求を拒否している。また、非正規雇用の均等待遇について、「企業の人事管理の実態に合わせ、適切に対応することが望ましい」と、「均等」より企業の「実態」を優先すると言う。
批判が集中している大量の派遣切りについては沈黙し、派遣法改定について「制度改正が過度に雇用の機会を減少させていないか・・・見極めていく」と、他人事のように言い抜けている。
現下の恐慌がブルジョアジー自身の責任であることを顧みず、それを理由にした派遣労働者切りの責任を、まだ成立もしていない派遣法改定にすりかえようとしているのだ。

正規・非正規の壁をうち破ろう

09春闘の最大の課題は、非正規雇用労働者問題だ。この問題をぬきに連合の賃上げ闘争もない。すべての労働組合は、この春闘で職場に広範にひろがってきた「非正規雇用労働者の雇用」と「まともな労働条件」を要求し、闘わなければならない。切り捨て自由のワーキング・プア労働者の犠牲を認めて、正社員層の個別利害だけで要求していけば、経営危機の論理の前に必ず賃下げ・人員削減に応じていくことになる。
昨年末以来の「派遣村」の取り組みや非正規雇用労働者と支援組合による争議のなかでいくつかの成果が勝ち取られ、展望はこじ開けられている。政府も経団連も追いつめられ、派遣法の規制強化を口にせざるをえなくなっている。行政の窓口も失業・住居喪失労働者への支援策を受け入れざるをえなくなっている。
問題は、その最大の責任者である大資本だ。派遣法の撤廃と非正規雇用労働者の大幅時給アップを勝ちとり、派遣労働者の09年問題(*)をめぐる解雇を許さず、偽装請負(**)の根絶と正社員化を認めさせよう。この闘いに全労働組合が取り組み、非正規雇用労働者の組織率を一気に引き上げ、労働運動の高揚を切りひらいて反撃にうって出よう。
労働者派遣法改定をめぐって、30日以下の短期派遣の原則禁止化が法案となっているが、許せないことに、派遣を利用してきた企業の間で、この法改定に備え、例えば31日間の契約を結んでそのうち30日分を休日扱いにし、実質的に日雇いを行うという脱法行為がすでに準備されているという(NHK報道)。
大手派遣業グッドウィルの身売りでは、仲介のファンドが380億円も中抜きするなど、非正規雇用労働者が二重三重に食い物にされている。絶対に許してはならない。
(注) * 07年の労働者派遣法改悪で契約年限が1年から3年に延長され、継続するには正社員化を派遣先企業が申し出なければならなくなったが、それを避けて契約の一斉打ち切りが3月末から始まろうとしている問題。
** 請負や派遣の場合、業務の指揮監督を請負企業・派遣元が行わなければならないが、これを派遣先企業が行う違法行為をいう。労働安全問題などの問題が生じる。

非正規雇用の問題は全労働者の課題

09年問題が焦点化する3月を前に、一部の企業が千人規模で派遣労働者等を正社員化すると報道されている。ワールドやユニクロがそれぞれ5千人を正社員化するというが、極一部であり、全体像はつかめていない。
これらの企業が本来の正社員の賃金体系をそのまま適用するとは考えにくい。一定の調整がはかられるとしても、正社員の間に業績給等による大幅な格差づけが導入されたうえで一つの賃金体系に統合されるか、格差の激しい複線型の賃金体系となる可能性が大きいだろう。賃金体系全体の激変につながりかねず、これまで正社員であった労働者への新たな攻撃をもたらす問題だ。
すべての労働組合は、非正規雇用労働者への不当な切り捨てや安易な請負への切り替えを許さず、同時に、非正規雇用賃金の正社員賃金への引き上げを自分自身の課題として要求していかなければならない。
以上はほんの一例であるが、非正規雇用労働者への犠牲転嫁を許せば、必ず労働者全体への攻撃を引き出すことになる。非正規雇用への均等待遇を勝ちとる闘いなしにベア実現はない。この課題を09春闘の正面課題にすえて闘おう。 (関西労働者組織委員会)

連合主要単産の要求額
  JAM   4500円
  私鉄総連   7000円
  自動車総連   4000円
  電機連合   4500円
  電力総連   4000円
  UIゼンセン   5000円
  JR連合   4500円

関西生コン支部への不当弾圧を弾劾する(2/12)

全日建連帯労組関西地区生コン支部の執行委員と組合員の5人の仲間に対して、12日、大阪府警が「威力業務妨害」をデッチあげ、不当逮捕を行なうとともに、組合事務所への不当捜索を行なった。
 これは正当な組合活動にたいする不当弾圧であり、絶対に許せない。関西生コン支部への激励、大阪府警への抗議を集中しよう。  一日も早く逮捕された仲間を奪還するために、ともに闘おう。
抗議先:大阪府警察本部 06(6943)1234(代) 激励先:生コン支部 TEL06(6583)5546 FAX06(6582)6547 E-mail:web@rentai-union.com

集会のお知らせ 武庫川ユニオン尼崎市役所闘争勝利報告集会

◆とき:3月3日(火)18時半 ◆ところ:尼崎労働福祉会館・中ホール(阪神 尼崎駅 北西7分) 昨年3月3日から1カ月にわたるストライキを闘いぬき、競争入札・解雇攻撃をはねかえしてきた武庫川ユニオン尼崎市役所分会の派遣労働者の仲間は、09年1月9日、「4月1日より市民課で嘱託職員として雇用する」との勝利を実現しました。
この1年の闘いを総括し、市行政がワーキングプアーを作っている現実を弾劾し、労働者派遣法の抜本改正を求める報告集会が、開かれます。闘う仲間の結集を呼びかけます。  (関西合同労組・M)

4面

投稿「『貧困と戦争』といかにたたかうか」(本紙24号)を読んで

05年の自立支援法との闘いをつかんでほしい

『革共同通信』24号の1面・3面に掲載の『「貧困と戦争」といかにたたかうか』の、2つめの小見出し「新たな大衆運動のはじまり」のところで、「従来の政治的な枠組を超えた新たな大衆運動がわき起こりつつある。」として、「06年には『障害者』自立支援法反対闘争・・・」とありますが、実際に自立支援法の成立とたたかった「障害者」の多くの実感としては、最大のたたかいの高揚は「05年」という認識だと思います。
『通信』24号の文章では、あの05年の8ヵ月のたたかいがなかったようにされているようで、「障害者」運動にはあまり関心を持たれていないのかな、とすごく寂しいです。
新聞は知らない人びとに知ってもらう役目があります。時には階級闘争の教科書にもなります。正確なことを皆さんに知ってもらうためにも、06年となっている障害者自立支援法とのたたかいを、05年に訂正していただきたいです。

厚労省前で徹夜の抗議

それまでの支援費制度(これ自身、問題の大きなもの)が財政破綻し、応能負担から応益負担へ、一律一割負担で重度「障害者」ほど負担が大きくなる自立支援法が05年2月に国会上程され、即刻1200人が厚労省前に集まり、抗議行動をしました。その後150人が泊まり込み、みぞれ降る中、抗議行動は夜を徹して行われ、翌日には1000人の大デモを行いました。
2005年2月16日 国会上程の翌日に雨中の抗議行動
5月の審議入りと共に、「怒っているぞ!障害者きりすて・全国ネットワーク」や「全国青い芝の会」などは、法案成立絶対阻止のために、国会前で徹夜で座り込みを始めました。毎週100人前後が座り込み、他団体の国会デモとも交歓しました。これらの実力行動は、JD(日本障害者協議会)やDPI(障害者インターナショナル)などに所属する「障害者」の共感を呼び、JD、DPIなどの既成指導部をも突き動かしました。7月会期切れ前には、1000人規模の座り込みが何度も実現し、傍聴、議員回り、議員学習会なども同時に行われ、まさに国会の内外で「自立支援法の成立を許さない」の熱風が吹き、時間切れにより廃案へと追い込みました。本当に嬉しかったです。
秋の臨時国会でも内外のたたかいは続きました。しかし郵政選挙で勢いを得た自民党は、会期末10月に採決を強行しました。あの悔しさ、厚労相・尾辻、小泉の所業は忘れません。
06年に入り、一割負担の通知が届き始めて、親による「障害児」殺し、心中が急増し、怒りもピークに達し、それらが契機となって06年10・31の1万5千人の大結集が実現していったのは確かですが、05年のたたかい抜きに、それらはあり得なかったのではないかと思います。
詳しくは、怒りネットのHPをご覧ください。     (YT) 『革共同通信』24号(09年1月6日付)掲載の論文にたいし、「障害者」自立支援法に反対してたたかう「障害者」の方から、意見がよせられました。私たちは、この意見を受けとめ、「障害者」解放運動の現場に肉迫していく決意です。(編集委員会)

オートメーション化の現実を訴えたい

『「貧困と戦争」といかにたたかうか』(本紙24号)の文言について、細かいことになりますが、誤解を招くおそれがあると思ったので、一言のべます。
「・・・資本の合理化攻撃のなかで炭鉱は次つぎと閉山へと追い込まれ、鉄鋼もオートメーション化が進行し、かつて坑道の中や溶鉱炉で煤まみれ、油まみれになって働いていた労働者たちは一掃されてしまった」とありますが、これだと、製造業の現場は機械化によってほとんど人手が必要なく、現場労働者は極少数化したような印象を受けます。

鉄筋の製造現場で

僕は人材派遣を手がけている会社の正社員で、自分でもピンチヒッターで鉄筋の製造現場に行くことがあるのですが、製造ラインがどんなに自動化され大規模化しても、例えば圧延・切断・結束された製品を整理するには玉掛け資格を有する労働者が多数必要です。
そういう作業の現場は、近隣住民との関係で外に騒音を出すことができないので、ろくに風が通らない環境で、すさまじい高温の中で一日中作業します。
また、鉄筋というのは数ヶ月寝かせて安定させてから出荷しなければいけないそうで、高く積みあがった製品の山をくり返しくり返し積み替える(配替えといいます)ためにも、本来であれば多くの人手が必要です(今次大恐慌情勢の前に次々やめて、全然補充されていません)。
僕の年下の上司(30代半ば)は、高校時代にスポーツをやっていて体力的にはかなりのものでしたが、それでも体を壊しています。

すさまじい労働強化

僕の知る限りでは、オートメーション化は、本来であれば100人でやるべき仕事を50人でもできるようにして人件費を削減したが、現場の労働者にとっては、以前であれば1人あたり100やればよかった仕事を150やらされている、というのが実際のところだと思います。少々乱暴な言い方ですが。
そのうえで非正規雇用化が労働運動・労働組合運動の組織化に困難をもたらしていることを言いたいのであろう本文の意図は正しいと思います。(水木亮)

書評 『戦後労働運動史 奈良市地域の職場の闘いを中心として』 藤原好雄 著

現在形の実践の書

本冊子は、1945〜1967年までの、奈良市地域、そこの全電通職場における、藤原さん自身の労働組合運動の闘いの記録です。
しかし、本書の意義は、時代をこえ、地域をこえ、個人の経験をこえて、労働組合運動を闘う上での普遍的なテーマが、藤原さんの経験を通して具体的に語られている事です。単に回顧談ではなく、現在形の実践の書として述べられているのです。
ここに語られていることは、わたしも、断片的には何度か聞いた事はありますが、この様に小冊子にまとめられると、その人と時代が生き生きと伝わってきます。
私は、小説でも、ルポでも、歴史書でも、そこには「その時代と人間」が語られていなければならないと思っています。本冊子は、まさに「藤原好雄とその時代」の闘いの記録といえます。

在日朝鮮人の闘いをベースに

本書の内容的な特徴をいくつか記しておきます。
@藤原さんは、在日朝鮮人の闘いをベースにすえて、戦後労働運動を語っています。また、在日朝鮮人の解放のために、常に活動されています。藤原さんの日朝関係史は、近代以降の侵略の歴史だけではなく、奈良時代以前からの交流の歴史として、一体的にとらえられています。ここが、藤原さんの闘いの原点になっているのです。
A部落解放運動における支部作りの闘い。
B女性労働者の労働条件の獲得が、職場闘争を強くすると指摘しています。
C8・6ヒロシマの闘いについての指摘。
D職場での反戦・政治闘争の重要性。
E労働組合は、役員の闘いではなく、職場大衆の闘いを基盤にする事。
F地域闘争との連結の重要性、など。
藤原さんは、「人民に奉仕する事がわたしの生涯のテーマ」と述べて、この書物を締められています。ここにあげた具体的な活動と闘いが、この言葉のなかに裏打ちされているのです。
藤原さんは、言葉だけの人ではなく、何よりも実践する人です。在日朝鮮人の方々からも信頼されているのは、まさにこの点からであると思うのです。

本冊子に学び実践へ

この『未来』を読まれている方は気づいていることだと思いますが、本書は安田派の「階級的労働運動路線」を具体的に撃つものになっています。
ここに語られている、職場での実践の教訓は重要です。私たちこそが、本書から学び、実践していく必要があるのです。
すでに労働組合運動を闘っている人びと、これから労働組合運動を始めようとしている労働者、何よりも青年・学生には、この小冊子は必読の書物です。本冊子がまさに闘いの道標になる事でしょう。
まさに、世界同時恐慌―大量首切りの時代に突入しているとき、この小冊子がタイムリーに出版されたことを、労働者階級の一人として喜ぶとともに、一人でも多くの人が本書をひもとく事をすすめます。(佐保川富雄)

『戦後労働運動史 奈良市地域の職場の闘いを中心として』藤原好雄著

発行:とめよう戦争への道!百万人署名運動・関西連絡会 頒価:300円