8・6ヒロシマから9月沖縄県知事選へ
戦時独裁へ進む高市政権
国論二分攻撃を人民の力で倒せ
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| 右翼の妨害はねのけ、25000人が国会周辺で行動(7月19日 東京) |
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| JR大阪駅東南広場(人民広場)に何重もの人が(7月19日) |
2月18日召集の第221回特別国会は、7月末まで数々の悪法をろくな審議もせずに成立させた。とりわけ皇室典範改訂、国旗損壊罪新設、副首都法、情報の国家一元管理をめざす国家情報局設置に向かう動きは、戦時独裁政治の先駆けとなるものに他ならない。他方で軍事費は5年間43兆円をさらに増額させ、武器輸出で稼ぐ。総選挙で「悲願」の「食料品消費税ゼロ」は何の進展もナシ。物価高対策は何一つせず、「強い日本(経済)を作る」骨太方針は、2040年までに軍需・ITを軸に17分野で370兆円を投資する。しかし経済は回復せずインフレは昂進し、円安は進む。もはや「この国は破滅寸前」そのものである。
そのため7月会期末には「初の女性首相・高市」幻想が吹き飛び、若者・無党派層の支持が激減。各種世論調査では支持率が40%を切り、支持・不支持が逆転も。しかしその原因を問われると「わからない」とし、今後もこの方針を貫徹するという。
核武装・憲法改悪許すな 9月沖縄県知事選勝利!
内閣改造後の戦略課題は、引き続きの「国論2分」攻撃である。それは非核三原則撤廃・核武装と、9条への自衛隊書き込み=憲法改悪以外ない。党内支持基盤の弱さの突破を、極右方針(改憲・核武装)の旗振りと、反中国感情をあおり、「決断する政治家・高市」の演出で狙う。この凶暴さを前に、自民党非主流派や野党は闘う前から腰砕けだ。
しかし春からの「ペンライトデモ」は7月19日には全国270会場になった。中には半年に100回も行動した地域も。この行動が支持率急落になったのだ。「高市人気」の一方で首長選挙で自民は、4月東京練馬区・6月杉並区、7月埼玉・東松山市と連敗中だ。その天王山が9月沖縄県知事選だ。
基地を沖縄だけに押しつけ、今また日米軍が琉球弧を制圧し、九州・西日本に拡大することに、怒りが充満している。核武装に向けた高市による8・6ヒロシマの蹂躙を許すな。9月沖縄県知事選勝利へ全国で総決起しよう。
NO WAR! 憲法変えるな
大阪駅前に750人
7・19大阪
7月19日、大阪駅前の人民広場で「NO WAR! 憲法変えるな! 自由を守れ! 民主主義を守れ」のペンライト集会がおこなわれた。750人が人民広場と歩道橋を埋め尽くし、「戦争反対」「憲法守れ」「暮らしを守れ」「人権守れ」「主権者は私たち」とコールして高市政権に抗議した。主催は、おおさか総がかり行動実行委員会。この日は46都道府県270会場で「19行動」がおこなわれた。
司会者は「戦後最低最悪の高市政権。この国の主権者としてもう黙ってはいられない、そんな思いでここに集まっている」と発言。つづいて5人がリレースピーチで熱弁を振るった。
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| 空港と港湾の軍事利用絶対反対をかかげ訴える豊中市民(右側)と木村真豊中市議(左)(7月19日 大阪市) |
「空港と港湾の軍事基地をストップ」として木村真・豊中市議(写真右)
「大阪国際空港(伊丹空港)・神戸空港・関西国際空港、港としては姫路港・堺泉北港の3空港と2港湾を軍事利用したいと国からもちかけられている。特定利用空港・港湾というが、民間の空港・港湾を軍事利用することを高市政権が急加速させている。日本列島総軍事要塞化の一環だ。
政治の最重要課題は絶対に戦争をしたらあかんということ。ところが高市は、戦争をする前提で長期戦に勝ち抜くと言っている。現在、近畿で唯一指定されているのが和歌山の南紀白浜空港。昨年10月にF15戦闘機が南紀白浜空港に飛んできた。四国沖での艦船攻撃訓練に参加した後で、本来の所属である小松基地に戻ろうとしたら、想定としては小松基地が敵の攻撃を受けて破壊されて着陸できないということで南紀白浜空港に降りてきたということ。明確に戦争を想定した訓練のために使うというのが特定利用空港・港湾です。地元の伊丹空港の準軍事空港化を絶対に許さないためにあらゆる方法で対抗していきたい」
「都構想について」藤永のぶよさん(おおさか市民ネットワーク)
「高市のアクセル役で戦争の道をひた走る維新。低レベルやけど独裁だから目が離せない。こりもせず3度目の住民投票をする。この立派な大阪市を解体して何の力もない自治体にする。さすがに二重行政の無駄は言えないから今度は餌として副首都を出してきてる。大阪市は3400億円の貯金がある。(大阪市が廃止されたら)この貯金とか税収とか地方交付税をみんな大阪府が持っていく。今しなければいけないことは貯金3400億円は物価高に苦しんでいる市民に回せ。地方交付税268億円は高すぎる国民健康保険に回せ。お金の使い方をまちごうてる。投資するんだったら市民のために投資せい。
夢洲にカジノやて。副首都の目玉が博打場。こんなひどい自治体は国内でも世界でもありません。吉村は知事辞めてどこかに消えてなくなれ。国会でヘラヘラするな。カジノから子どもたちを守るのは大人の責任です」
環境問題に取り組んでいる女性
「戦争と環境破壊は切り離せないもの。米国・イスラエルによるイランへの攻撃で、電気代が上がっている。ホルムズ海峡が封鎖され、政府は火力発電を稼働させるという時代に逆行するようなことをおこなっている。本当に必要なのは、争いの火種になる化石燃料からの脱却だ。原発も反対。小泉大臣は非核三原則を見直す発言をした。この原則を簡単に緩めたらいけない。政治を変えなければいけない」
デモが2回目の女性
「高市によるひどい選挙がおこなわれた時、私は韓国にいた。韓国に住みながら日本がどんどんひどくなっていくことに耐えられなくて。韓国の人は自分のことを本当にはっきり言う。韓国で声を上げる姿を見て、私は恥ずかしくて日本に帰って来た。
長年政権についている自民党に私たちの生活のことがわかるわけないんですよ。私は政治に詳しくはありません。でも今おかしいと感じている人がいるならばできることをやって下さい。政治の話がタブーなんて国は、先進国とは言えません。権力者は自ら譲歩することは一度もなかった。だから私たち市民が声を上げて変えてきた歴史しかないのです」と新鮮な発言。
「皇室典範改悪」について 平井美津子さん(元中学校教師)
「今回の改悪では、女性の天皇は断固認めないと宣言した。戦後離脱した11の宮家から養子をつれてくる。11宮家は枝分かれした時は6百年前です。6百年前の親戚というのは赤の他人。そんな人物を養子にさせて生まれた男子を天皇にする。それは今の天皇とは無関係でしょ。
直近の子に継がせる、どこが悪いんですか。家を継ぐというのは今はないが、財産を引き継ぐのは男も女も関係ないですよね。こんな事をして憲法に違反している。憲法1条に天皇は国民統合の象徴であって国民の総意にもとづくと書いてあるが、男が種馬みたいに扱われて、女が子どもを産む機械のように扱われる皇室が、私たちの総意に基づくはずがない。私たちは前近代的な家父長制から自由になったのに、それに縛られきっている皇室が何で私たちの象徴なんですか。改悪に賛成したのは自民、維新、国民、公明、参政であり万死に値する。許すわけにはいかない」
2面
8・6シリーズ B
ヒロシマ圧殺を許さない
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| 8・6平和の夕べのチラシから |
3年連続規制強化
広島市は5月11日、平和記念公園(中区)で8月6日におこなわれる平和記念式典の概要を発表した。入場規制エリアは、3年続けて原爆ドーム周辺を含む公園全体を対象にするという。当日午前5時に規制を始め、公園内にいる人たちを園外に追い出す。その後午前6時に5カ所の入り口を開き、手荷物検査を実施する。「静かに」と言いながら、拡声器や音の出るものだけでなく、プラカードや旗、ゼッケンまで持ち込みを禁止し、従わなければ退去を命じる。9時まで規制するという。
法的根拠なし
市の市民活動推進課は規制に関し「安心、安全で円滑な式典の挙行に必要な措置」と説明している。だが公園からの退去などを市民に強制できる根拠はない。市当局者ですら、手荷物検査や禁止行為による退去命令に「法的根拠はない」と断言している。「あくまでご協力いただくもの」と言いながら、鞄の中身まで調べ、金属探知機まで使い、液体は飲ませる。そこで当局が認めたものだけ検査済みのテープを手首に巻いて公園内に入れる。
右翼を使嗾
毎年8月6日の平和公園内でおこなわれてきたさまざまな反戦・反核の集会やアピールをつぶしたい右翼による妨害と、それを使嗾する広島市、国家権力によりこの規制は2019年から始まった。規制が始まる数年前から、日本会議の別動隊「静かな8・6を願う広島市民の会」が、公園内の集会に「静かな式典」を口実に暴力的に襲い掛かってきた。そして2024年8月6日、広島市はこの「衝突事故」を口実に「安全のため」だとして、平和公園における市民のあらゆる表現活動を全面禁止した。
弾圧は空洞化
2024年も25年も規制時間前から公園内にいた人を、権力は追い出すことができなかった。公園内で複数の集会が勝ち取られた。検問で腕に巻かれたテープを破る人も続出したが、市も警察も対応できなかった。24年には強化された規制のため周辺に人があふれたが、「被爆者・遺族席」は空席が500を超えた。25年には多くの市民が戦争反対を訴えるものを持ち込み、アピール行動している。ダイインもおこなわれた。弾圧は打ち破られたのだ。
高市によるヒロシマ圧殺を許さない
1950年、GHQによるプレスコードを打ち破り、朝鮮侵略反対、核兵器を使用するなの声を上げた。
1971年、4月の天皇来広を軸にした被爆者英霊化の攻撃に対して、大反撃がさく裂した。現役首相として初めて平和記念式典にやってきた佐藤はゲリラ戦とデモに直撃された。激しく迫る被爆者青年同盟のデモ弾圧の警官がピストルを落とすという状況の中、人々の怒りの手が佐藤の襟首をつかんだ。佐藤はほうほうの体で逃げ出した。
こうしたたたかいを通して、被爆者解放、反戦、反核のヒロシマはたたかい取られてきたのだ。核武装と戦争に突き進む高市によるヒロシマつぶしを許してはならない。8月6日広島に結集しよう。(堀井健二)
3面
極反動・独裁狙う高市政権
経済無策・軍事偏重は破産する
白石充
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| 大阪駅前にNO WORと日中不戦の横断幕(7月19日) |
国会は7月25日まで延長され、政府・与党は最終日に副首都法案を参院で僅差で可決した。
国会軽視・暴論強行で支持率急落
戦後最多の衆院議席を獲得したことを背景に、強引な運営で予算や国論二分の諸法案や反動諸法案を強行した。歴代首相と比しても、半分以下の国会審議出席・記者会見で国会軽視の独裁的傾向が強い。また、野党の無力化、翼賛化を示して余りあるものであった。
だが7月下旬、内閣支持率は大幅に下落し、官邸は躍起となっている。肝いり法案を強行する一方で物価高対策はなおざりで、「寝てません」とアピールする姿勢には不安や「周りの意見を聞かない」などの声が与党・政権の周辺からも聞こえる。国のトップが「働け、働け」とは労働強化と過労死を招くものではないか。消費税減税の公約は「国民会議」に丸投げしたままで、財界やマスコミなどに「消費税減税反対」の声をあげさせて、公約放棄を可とするものだ。
副首都法案は、自民・維新の連立合意の優先事項だが、問題点が多大である。
@防災や首都一極集中の是正が眼目だが、首都機能が損壊した際の代替として構想されているが、大阪ありきである。すでに数十年以内に高い確率で予測される南海トラフ地震(東南海地震)で大阪は浸水5メートルと予測されている。代替構想が防災観点から言ってもなりたたないのだ。
明治国家へ逆行の皇室典範改悪
7月17日、「皇室典範改正法」「再審−刑事訴訟法改正」が可決成立したが、いずれも政権の反動性を示すものである。国会議員定数削減法は反対が多く、今国会での成立を断念した。
「皇室典範改正」について。「皇室典範改正」のポイントは、@旧宮家の男系男子の皇族への養子制度、A女性皇族の結婚後の皇籍維持の2点であるが、最大の眼目は男系男子血統の維持である。女性初の首相が女性天皇の実現を阻むのに全力を挙げた。高市の反動性はよりあらわとなった。
この過程で与野党いずれもが、天皇制に屈服していることが明白となった。女性天皇を主張する共産党は、いつから天皇制容認へ趣旨がえしたのか。上皇・上皇后や天皇・皇后が「憲法を守る」とかいって、その人柄が良い・悪いとは関係なく、天皇制そのものが平等に反し、身分差別を助長し、人権を無視するものである。支配階級は天皇制の維持に汲々としているが、天皇制はフェードアウトするのを待つのではなく、人民の意志と力で廃止すべきものであることが明らかとなった。
また、高市肝いりの国旗損壊処罰法は憲法違反の悪法である。立法事実もないし、罪刑法定主義にもとるし、思想を裁くものであり許されない。米国では連邦最高裁で2度にわたり、刑罰を伴う国旗保護法制を違憲と判断した。
「国民投票法改正」は、全く不十分だ。現状では、インターネットの有料広告規制や国民投票運動の資金規制について後回しで、投票の直前まで資金力のある団体・政党・個人が宣伝のやりたい放題であり、「改正」は改憲のステップを作るためのものに他ならない。
「再審法見直し−改正刑事訴訟法」は、冤罪で苦しむ多くの人と支援者の声に答えるものになっていない。第一に、検察の証拠全面開示が義務付けられなくなり、かえって証拠開示の範囲が狭くなった。また、開示された証拠の目的外使用の罰則付きの禁止というとんでもないものになっている。第二に、再審開始決定に対する検察の抗告が全面禁止ではなく、原則禁止とされ、抜け道がつくられていることである。冤罪被害者や多くの法曹関係者からも抗議の声が上がっている。
全情報を国家機関が統制
ほかにも、改正個人情報保護法が7月10日、参院で可決・成立した。個人情報を扱う国や自治体・企業などによる個人情報を扱うルールが大幅に緩和されている。個人データ収集の原則としての本人同意義務が緩和され、AI(人工知能)モデルや統計情報を作成する目的に限り、同意を不要とする「特例」を新たに設けた。
データを外部に提供する際、提供元がデータ内の氏名を匿名化することも求められていない。情報を漏洩させた場合の本人への通知義務も緩和される。
個人情報保護法に違反した場合のペナルティーが米国やEUに比しても格段に軽いものになっている。例えば、EUは2023年にメタに12億ユーロの制裁金を課した(不服申し立て)。2019年メタがアメリカのFTC(アメリカ連邦取引委員会)・司法省に50億ドルの和解金を支払ったが、日本ではない。
また、高市は裁量労働制の見直しを指示しており、「人手不足」を口実に労働時間規制の緩和が政府サイドで始まっている。裁量労働制とは実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ決めた時間を「働いた」とみなす制度。裁量労働制の適用対象の拡大は長時間労働を助長し、時代に逆行するもので過労死や過労自死を招くものだ。日弁連はこの制度を「定額働かせ放題」と呼んでいる。絶対に阻止しなければならない。
また高市は公設秘書の関与が取り沙汰される「中傷動画」や仮想通貨「サナエトークン」をめぐる疑惑について否定する秘書の陳述書を衆院へ国会閉会間際に提出したが、秘書本人出席は拒否したままで国会軽視だ。
戦争国家への道を急ぐ安保防衛政策
高市政権のもとで5月27日に国家情報局設置法が創られ、戦争への総動員体制の動きが急ピッチで進んでいる。政府与党はこれをステップに有識者会議をたちあげスパイ防止法制定ををもくろんでいる。
6月8日、安保3文書改定に向けた政府の有識者会議が第2回目の会合。6月9日、自民党総務会では安保3文書改定に関する政府への提言を了承した。その内容は、@5年以内の防衛費の対GDP比3%を例示。A非核三原則や原潜保有についてふれず(高市首相は核を「持ち込ませず」の見直しが持論であり、小泉防衛相は原潜保有を検討すべきと発言している)。BAI(人工知能)や大量の無人機を活用した新しい戦い方について提起。C反撃能力(敵基地攻撃能力)と太平洋防衛強化を訴え。D少なくとも年単位の継戦能力の確保が必要。E整備工場の国有化を例示(2027年にも政府は防衛装備品の生産工場の国有化法を出す準備をしている。有事に弾薬などの増産を国が関与して、平時から維持するため)、などである。関連して、2026年末までに予定する安保3文書の改定にあわせ、新たな「防衛生産、技術基盤戦略」を策定すると、小泉防衛相は7月20日イギリスでの講演で明らかにした。
沖縄・南西諸島はじめ、西日本・全土を戦争体制へと組み込む動きが急だ。
武器輸出についても安倍政権の武器輸出3原則の撤廃につづき26年4月高市政権は防衛装備品移転5類型を撤廃し、堰を切って武器輸出へ突き進んでいる。すでに殺傷能力のある武器輸出が進んでいる。オーストラリアへ「もがみ型」護衛艦改良型を売る契約を結んだ。中古自衛艦のフィリピンやインドネシアへの輸出も進んでいる。日本・イギリス・イタリアの3カ国の戦闘機共同開発が始動している。航空自衛隊の航空宇宙自衛隊への改組や幹部自衛官の職称を旧日本軍と同じように変更した。
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| 2月から100回のスタンディング(7月25日 川西市) |
高市積極財政の破産は不可避=経済無策
高市政権の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」では、2040年までに戦略17分野を対象に官民で370兆円超を投資する計画を掲げる。市場は、この「積極財政」に不安を感じ、警鐘を鳴らしている。長期金利が上昇し、円安はすすみ、国債は下がった。
この間、取り沙汰されているように、安倍政権の時のクールジャパン構想で創られた官民ファンドはその多くが大幅赤字で解散が迫られている。同じ道をたどるつもりか。
高市積極財政は、ある程度のインフレを許容し、経済を過熱気味にして潜在する成長率を高めようと狙うが、局面は変わって、低金利・低インフレも今は昔。
アベノミクスを引き継ぐようなリフレ=高圧経済戦略、日銀やGPIF(年金積立金管理運用独立法人)が大量に国債を買えばいいではないかという思惑が見えるが、うまくいかないのではないか。
骨太方針でも、原発稼働推進・リプレースや新型原発推進、核融合へ食指を伸ばすなど、東電福島第1原発事故の教訓・反省は全くない。
AI(人工知能)バブルとデータセンターがアメリカを中心に過熱し、テック右派が世の中、地球環境を破壊しようとするのを推進するものだ。
「年内改憲発議」掲げる高市を打倒しよう
自民党支持の低落に続いて、高市の支持率も大幅低下した。この間、高市の戦争政治に対する危機感から国会前で万を超える人民決起が続いている。総選挙の争点隠しとして自民党の掲げた消費税減税(食料品減税)は、「国民会議」に丸投げで、財界やマスコミ・各方面から「消費税減税反対」の声を上げさせて、進展はない。
9月沖縄県知事選を皮切りに、事態は秋から冬へ、「年内改憲発議」を掲げる高市政権打倒へ打って出る時だ。
4面
焦点
核不拡散条約の再検討会議が3たび決裂
「核なき世界」を実現するために
5月22日(日本時間23日)、核不拡散条約(NPT)の第11回再検討会議が閉会した。再検討はまたも「成果文書」を採択できなかった。成果文書の不採択は、これで3回連続になった。ますますNPTの存在意義はうすれていく。「核なき世界」は遠のいていく。核不拡散条約の現状を確認しておきたい。
(1)核兵器をめぐる世界の状況
この地球上には約1万2千発の核弾頭が存在し、約1万発が実戦配備されている。米国とロシアが、この90%以上を保持している。今日、9カ国が核兵器を保有している。それは米国、ロシア、英国、フランス、中国、インド、パキスタン、イスラエル、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の国々だ。
2022年2月、ロシアはウクライナに侵攻を開始した。ロシアのプーチン大統領は、核兵器の使用をほのめかして、ウクライナを恫喝している。2025〜26年に、米国とイスラエルはイランの核施設をたびたび攻撃した。また、米国のトランプ大統領は「地下核実験を再開する」と述べている。
欧州では、米国の「核の傘」にたよることはできなくなった。この情況で、フランスと英国は「核弾頭を増強する」と表明している。中国は質・量ともに核兵器の「近代化」をすすめている。こうして、核兵器保有国(9カ国)は、核兵器に依存する政策を強めている。
日本はどうか。1967年12月、佐藤栄作首相(当時)が「非核三原則」(持たず、造らず、持ち込ませず)を表明した。また、日本政府は1969年頃に「政策的に核兵器を保有しない」方針を決断している。こうして、政府は非核三原則を国是にして、NPTに署名し(1970年2月)、批准した(76年6月)。
高市早苗首相は、軍事的な意味で強国を追求している。高市政権は「非核三原則」を撤廃し、核武装をもくろんでいる。高市は原子力潜水艦の保有にも言及している。
(2)核不拡散条約の問題点
核不拡散条約
核不拡散条約(NPT)は1968年に成立し、70年に発効。NPTの締約国は、現在191カ国・地域。ただし、朝鮮は2003年に脱退を通告している。1967年1月1日時点で、核兵器を保有している国は、米国、ロシア、英国、フランス、中国の5カ国だった。NPTはこの5カ国を「核兵器国」と定義しており、核兵器の保有を認めている。
1970年以降、インド、パキスタン、イスラエル、朝鮮は、秘密裏に核兵器を開発・保持している。当然、これらの国はNPTに参加していない。
「核兵器国」(5カ国)だけが核兵器を独占して、これ以外の国は核兵器を持たせない。NPTはこんな不公平な条約なのだ。NPTのもとに国際原子力機関(IAEA)をおいて、核を管理し、核査察をおこなっている。
また、「核の平和利用」つまり原子力発電は、すべての国に認められている。「非核兵器国」のなかで、日本だけがウラン濃縮と使用済み核燃料の再処理、この2つの施設を持っている。
こうして、NPTは「核軍縮」「核不拡散」「原子力発電の推進」を3本柱にしている。今年の再検討会議において、米国代表は「核不拡散の条約であり、軍縮をする条約ではない」と発言した。このように、「核軍縮」は形骸化しており、「核不拡散」に重心が移っているのだ。
NPT再検討会議は約5年ごとに開かれている。全会一致の原則によって、成果文書が採択されてきた。2010年の再検討会議で「行動計画」が採択された。しかし2015年、22年、26年、3回連続で成果文書が採択できなくなっている。
第11回再検討会議(2026年)
第11回再検討会議について検討する。米国は「イランは核兵器を開発、取得してはならない」と主張し、イランの核保有を問題にした。ロシアは「欧州の核共有は直接的な脅威だ」と発言して、EUを批判した。中国は「日本が核武装を狙っている。監視を強化するべきだ」と日本の軍事大国化を非難した。
日本は「戦争で核攻撃を受けた唯一の国」として、国際的にアピールしてきた。今回、高市首相は参加していない。高市は会議にメッセージを送っているが、「核兵器を廃絶する」という熱意は感じられない。中国の指摘にたいして、日本政府は無視している。
今回の再検討会議では、イランの核問題が最大の対立点であった。米国の主張にたいして、当然にもイランは受け入れられない。ロシアと中国はイランを支持した。また、ウクライナのザポリージャ原発問題や、「核兵器のいかなる使用も、人道上の壊滅的な結末をもたらす」との表現においても、意見の対立があった。
イランの核問題は、長い歴史をもっている。イスラム革命(1979年)以後、イランは核兵器保有を検討してきた。その理由はアメリカとイスラエルの存在にある。イスラエルは核武装して、イランを敵視している。2009年、オバマ米大統領(当時)がプラハで「核兵器なき世界」を訴えた(オバマ演説)。オバマの目的は、イランと北朝鮮の核兵器開発を阻止するためであった。
NPTにおいて、「核兵器国」(5カ国)だけが核兵器の保有を認められている。イランの核問題は、NPT体制の根本的な矛盾からきている。この矛盾があるかぎり、「非核兵器国」の核兵器保有問題は、けっして解消されることはない。
今回の再検討会議では、「核兵器国」(5カ国)は自国の核政策を正当化することだけを主張した。核軍縮を実現するために、歩み寄ることはなかった。
核抑止論
抑止論とは「軍事力を強化すれば、相手は反撃を恐れるから、この国に攻めてこれなくなる」という、なんとも陳腐な考えだ。だから、権力者は「平和を実現するために、軍事力を強化する」と主張する。抑止論を主張すれば、無際限に軍事を拡大できる。抑止論は、このための「神話」として利用されている。
日本政府は、「国家防衛戦略」のなかで「万が一、抑止が破れた」場合といって、この場合も想定している。政府は抑止力をたかめても、戦争になると言っているのだ。つまり、「戦争している状態」=「抑止が破れた状態」であるから、ここで抑止論は破綻している。
「核抑止論」は、この考えに依拠している。核抑止論は「核武装すれば、相手国は核で反撃されることになるから、もはや核保有国は攻撃されることはなくなる」という。核兵器保有国が圧倒的に少数で、核兵器保有国と非保有国の紛争であれば、この理屈も成り立つかもしれない。しかし、すべての国が核武装すれば「世界は平和になる」のだろうか。そんなことはない。だから、核抑止論はまちがっている。
核兵器保有国(9カ国)は核抑止論を主張している。核抑止論は核兵器の保有を合理化するための装置になっている。これを論理的に反論しても、為政者は聞く耳を持たない。反核運動によって、政治体制をかえる。これが必要なのだ。
核不拡散条約(NPT)が存在することによって、「核兵器国」(5カ国)は核兵器の保有を保障されている。このNPT体制によって、核抑止論が成り立っている。
日本政府はNPTを批准している。政府は米国の「核の傘」で守られていると認識しており、核抑止論にたっている。だから、日本政府の発する「核兵器なき世界」は、無内容になってしまう。
高市早苗首相は「非核三原則」を撤廃し、核武装をもくろんでいる。政府の本心を読み取って、参政党などは核武装論を主張している。「核兵器は安くつく」という暴論も発せられている。
(3)核兵器禁止条約
核兵器禁止条約(TPNW)は、被爆者運動と世界の反核市民運動によってつくりあげられた。その前文には「核兵器の使用によって被害をうけた(広島・長崎の)ヒバクシャ、核兵器の実験で被害をうけた被爆者、これらの人たちは容認し難い苦しみをうけている。このことに留意し」と書かれている。
核兵器禁止条約は2017年7月に採択された。署名国は95カ国・地域、批准国は74カ国(国連加盟国は193カ国・地域)になっている(2025年)。核兵器保有国(9カ国)は核兵器禁止条約に署名していない。核兵器禁止条約は原発を認めている。これらが今後の課題になっている。
(4)「核なき世界」の実現
今回の再検討会議でも、広島・長崎から被爆者が参加し、「核なき世界」を訴えた。今年8月、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は70年をむかえる。この間、広島・長崎の被爆者は「核なき世界」を実現するために、さまざまな行動をおこなってきた。被爆者は日本政府に「核兵器禁止条約を批准せよ」と訴えているが、政府はこの声を無視し続けている。
「核なき世界」を実現するためには、どうすればよいのだろうか。核兵器保有国(9カ国)に核兵器禁止条約の批准を強制していく。このためには、政治をかえる反核運動が必要だ。
核と人類は共存できない。この思想に確信をもって、原発に反対し、あらゆる核政策に反対し、「核なき世界」を実現しよう。日本から、この声をあげていこう。(寺田理)
5面
沖縄日誌6月
日米共同訓練に反対
宮古島にオスプレイ飛来
6月5日 2024年6月、名護市安和の安和桟橋前の路上で、ダンプカーに衝突された40代の警備員男性が死亡し、70代女性が骨折などの重傷を負った事故を巡り、県警は5日、負傷した女性を重過失致死容疑で書類送検した。ダンプを運転していた男性は自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)容疑、誘導していた別の警備員男性は、業務上過失致死傷容疑で書類送検された。
事故発生から2年を要している、重傷を負った歩行者が送検されるのは異例である。女性は「事故は沖縄防衛局による強引な工事推進方針に起因する」「安全性を無視して危険なダンプ2台出しによって起こったもの」とコメント。(オール沖縄会議は20日、記者会見を開き書類送検に抗議)
9日 那覇地裁で、宮古島陸自司令恫喝国賠訴訟の第1回口頭弁論が開かれた。2025年8月、抗議活動の市民に、陸自宮古島駐屯地のトップだった当時の比嘉隼人司令が市民を恫喝した問題で、市民2人が比嘉氏や国に損害賠償などを求めた訴訟。〈ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会〉共同代表の清水早子さんが意見陳述した。
同日那覇市で学習会が開かれ、市民80人が参加。訴訟報告がおこなわれ、今後の取り組について意見交換した。
12日 宮古島の陸自司令恫喝で、市民が元司令を強要の疑いで刑事告発した問題について、那覇地裁は元司令を不起訴とした。清水早子共同代表は不起訴処分に「到底納得できない」と話した。
14日 9月13日投開票の知事選に向けて、玉城デニー氏を支える選挙母体〈県民と歩む会〉がキックオフ集会を開いた。玉城デニー氏は「継続というより前進。今やっていることを皆と一緒に前進させる」と語った。「県民と歩む会」は玉城氏を支援する市民団体や政党・団体などで構成する。
16日 3月の辺野古沖の転覆事故から3カ月となったこの日、ヘリ基地反対協のメンバー9人が瀬嵩の浜を訪れ慰霊した。重ねて置かれた石の上に花を手向けた後、現場海域に向かい手を合わせながら頭を下げた。
17日 名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は辺野古東側の大浦湾の新たな区域で、埋め立て土砂の投入を始めた。新たに着手したのは、昨年11月に埋め立てを始めた隣の海域。軟弱地盤の広がる海域ではない。
23日 戦後81年の「慰霊の日」を迎えたこの日、県内各地で追悼式がおこなわれた。平和記念公園では「沖縄全戦没者追悼式」(県・県議会主催)が開かれた。玉城デニー知事は「沖縄から世界平和に貢献する必要性」を訴えた。高市首相の「南西諸島の防衛力強化を進める」発言に抗議の声が上がり退場者が出る事態となった。
29日 日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン26」で陸自のV22オスプレイが宮古島に初めて飛来した。宮古空港では反対する市民が「戦争訓練するな」と抗議の声を上げた。
同日、陸自のオスプレイは石垣空港にも飛来した、市民はフェンス越しに抗議した。
20日に始まった「レゾリュート・ドラゴン26」に沖縄各地で抗議行動が取組まれた。沖縄島には陸自オスプレイが米軍普天間飛行場に初めて飛来した。22日うるま市ではホワイトビーチ前で94人が抗議集会。
宮古島では21日、平良西里で30人が集会とデモ。27日には県外からも含めて30人が駐屯地前で抗議行動。
石垣島では26日、真栄里で20人が抗議行動。(杉山)
豊中で大阪空港軍事利用反対の運動始まる(詳報次号)
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| 7月20日、空港騒音直下の豊中市に100人の市民が集まった |
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| 100人が集まった大阪市内集会でも先頭で奮闘(7月26日) |
本の紹介
生活が防衛の名で押しつぶされ全国に拡大
『南西諸島の軍事化』
池尾靖志著 地平社刊 2400円+税
「防衛の空白地帯」
本書が問いかけるのは、地域住民の生活保障が、なぜ国家安全保障の枠組みにおいて周縁化されてきたのかという問題である。南西諸島、とりわけ与那国島・石垣島・宮古島などは「防衛の空白地帯」とされ、自衛隊配備の必要性が繰り返し主張されてきた。しかし、そこに暮らす住民にとっての安全とは、生業である農業や漁業、観光業を支える生活基盤の安定や水資源や医療体制の確保といった、日常に根ざしたものであるはずだ。
国家が強調する脅威や抑止の論理の中で、こうした生活保障は、安全保障政策の対象としては扱われてこなかった。その結果、地域住民の生活世界は不可視化され、軍事化を正当化する言説の周縁へと追いやられてきた。本書は全6章および終章から構成され、各章は南西諸島を起点とつつ、日本の安全保障政策がいかに形成され、社会に受容され、また批判や抵抗がいかに社会の中に位置付けられてきたかを、異なる分析レベルから検討する。
本書の分析は、特定の一時点における調査結果に依拠するものではない。著者は南西諸島をめぐる軍事化の進行について、高江のヘリパット建設阻止行動を起点として、長期にわたって現地での出来事を追ってきた。その過程で、行政資料、議会記録、新聞報道、市民運動の記録など継続的に収集してきた。また、住民説明会、抗議行動、意見交換の場に立ち合い、そこで交わされる言葉や沈黙・対立を観察してきた。本書はこうした継続的な関与を通じて蓄積された記録と資料に基づき、南西諸島における安全保障化の過程を描き出している。
さて本書の核心である南西諸島への自衛隊配備については、第二次世界大戦末期の沖縄戦で、住民を巻き込む地上戦がおこなわれ、県民の4人に1人が犠牲になった。戦後、沖縄は日本本土から切り離され、米軍統治下で大規模な基地が建設され米軍支配を強要された。1972年の復帰後も在日米軍基地の約7割が沖縄に集中し、基地問題は地域社会に深く根を下ろしている。一部の米軍基地は自衛隊へ移管されたが、地上戦を経験した沖縄では、自衛隊の存在を容易に受け入れることは出来なかった。
先島諸島は、冷戦期には防衛政策の周縁に位置付けられていた。このような状況は、後に「防衛の空白地帯」と言われた。冷戦終結は、南西諸島の戦略的重要性を再定義する契機となり、1997年4月に改訂された「日米防衛協力のための指針=ガイドライン」や、2004年12月の「防衛計画の大綱」において、防衛の空白地帯という言説が広く用いられるようになった。これはそこに生きる人々の現実を不可視化し、軍事的配備を正当化するレトリックとして機能した。
その後、2010年の中国漁船衝突事件や2012年の尖閣諸島国有化を契機に中国との緊張が高まる中で、防衛省は与那国島への沿岸監視部隊配備を進め、2016年の与那国島駐屯地開設を波切りに、2019年には宮古島、奄美大島、2023年には石垣島へと展開を拡大した。こうして形成された自衛隊の「南西シフト」は、地域の生活基盤が脆弱なまま軍事化が進行するという構造を生み出している。
生活と軍事を考察
池尾さんの分析は単に軍事面にとどまらず、人々の生活全般との関係まで考察している点が他の軍事評論家と違う。これらの島々では、人口減少や高齢化が進み、医療、交通インフラの脆弱さが深刻化している。定期航路や航空路線の減便によって生活の利便性も低下している。若者の流出と自治体財政の逼迫は地域の存在を揺るがしているが、地域振興と安全保障の名の下に進む基地整備が、そうした生活基盤の課題を覆い隠してきた。さらに注目すべきは、この動きが南西諸島に限らず全国化しつつある点である。馬毛島では、米海兵隊艦載機の離発着訓練施設に加え、陸海空の自衛隊三軍種が集う大規模拠点の建設が進行中である。佐賀空港にはオスプレイが配備され、九州各地でもミサイル部隊の展開や弾薬庫建設が進む。とりわけ弾薬庫建設は祝園などに広がりつつあり、その武器・弾薬が神戸から運ばれる。「防衛の空白地帯」論を起点とした南西諸島の軍事化は、全国的な軍事インフラ整備へと接続しつつある。
全国各地で進められている基地や弾薬庫の実態を知ると同時に、そこで暮らしている住民の生活のことも知る必要があると思う。病院もスーパーもなくなるのに、数百憶円の軍事施設はどんどん造られる地方が至る所にある。これが国民を守る防衛ということかと大いに考えさせられる良い本だ。軍事化が進む神戸で9月13日、池尾さんの講演会がある。ぜひ聞いてみたい。(永良部謙)
6面
大阪で新たに180人が審査請求
生活保護廃止の人も審査請求を
7月20日〈引き下げアカン! 大阪の会(生活保護基準引き下げ違憲訴訟を支える大阪の会)〉の第12回定期総会が、大阪市内でおこなわれた。主催は引き下げアカン! 大阪の会。翌21日には、国の再減額は許せないと原告以外の生活保護利用者180人が大阪府庁に審査請求を提出した。
木下秀雄代表が開会あいさつし「2014年12月に提訴した裁判は、25年6月27日最高裁で勝訴した。目的を少し発展させながら会としては引き続き活動を続けようと考えている。厚労省による半分に値切った額での追加給付が始まっている。全国で生活保護を利用している人は2百万人、現在利用していない人が百万人いる。この3百万人に追加給付として現金が支給される。しかし追加給付を受けた人はまだ6万人。追加給付のことを皆に知らせる必要がある。7月の原告交流合宿には、最高裁勝訴判決をうけて日本の運動を知りたいと、韓国から支援者含めて3人が参加した。10月には韓国で貧困と闘う連帯の集会が開かれる。日本から元原告と支援者・弁護士らが参加する」と話した。
和田信也弁護士は、追加給付に対して審査請求(福祉事務所の処分に対する不服申立)を提起した。
最高裁判決を骨抜き
私たちは最高裁で勝訴が確定したが、国の対応は最高裁判決をないがしろにするものだ。3つの問題がある。@引き下げの2分の1しか返さない。A原告と原告以外を分断する仕組み−生活保護利用者は、憲法に基づいて平等に扱われる。ところが裁判をした人には差額を全額支払う、裁判をしなかった人には2分の1しか支払わないという不公平な取り扱い。B保護廃止世帯を切り捨てる「申告制」−保護廃止世帯に対しては追加給付のことは言わない。自ら生活保護を受けていたから探してくださいと当時の福祉事務所に申告しなければ国は支払わない。これらの不当な対応の意味するものは、国には自らの違法行為を認めて謝罪し、誤りを根本から正そうという姿勢がないことだ。
審査請求をする意味と3つの鉄則
これに対する審査請求をおこなう大きな意味は3つある。1つは、過去の違法行為に対する正当な償いが踏みにじられたことに私たちの怒りを示す。2つめは、不当な減額は許さない、私たちの権利を勝ち取るという戦う意思。3つめは、違法行為をしたときには、人々は権利を守るために立ち上がるという姿勢を示すことで、将来違法行為や不当な扱いをさせないという抑止になる。また、国が不当なことをしていることを皆さんに知らせる意味もある。
審査請求をどうすればいいのか。3つの鉄則がある。@大阪府知事宛に大阪府庁に出す。A期限は、追加給付の決定を受けた日から3カ月以内。B書式は、支援の会(いのちのとりで裁判全国アクション)で作っているし、ホームページで取ることができる。審査請求をする際は、支援団体に相談を。審査請求の提出後は、大阪府による審理がおこなわれる。審査請求をした人でないと裁判はできない。審査請求と裁判は別物。結果の通知を受けて裁判をするしないを決める。前回審査請求をした人は1万人を超えている。その内の1割にあたる1000人が原告となって裁判をした。
2013年〜2015年に引き下げられた生活扶助費は様々な他の生活保護に関する計算の基礎になっている。各種の加算や期末一時扶助など。結果として2026年3月まで生活保護を受けていた人全員が追加給付の対象となる。国の対応に怒っているということを示すために多くの人が審査請求をして欲しい。
生活保護廃止世帯について
過去に生活保護を利用していたが現在は利用していない人は、自ら申告しないと追加給付がもらえないことは大きな問題だ。国は8月から申請を受け付ける。当時保護費を受け取っていた所へ申告する。当時東京だったら東京の福祉事務所へ。様々なことを書いて出さねばならない。
@生活保護を受けていた期間と世帯構成、A当時の居所、B加算等の申出−障害者加算、母子加算など。これに加えてC顔写真付きの本人確認書類、D世帯全員の戸籍謄本の写し、E振込口座の預金通帳の写しまたはキャッシュカードの写し、F調査するのでその同意書など。
これらを福祉事務所が調べるのではなく、違法な引き下げにより保護費を減らされた側がお金を払って書類を入手して申告しろと国は言う。不当な扱い、まるで嫌がらせのようなことをやめるように支援団体が国に話しているところだ。
生活保護廃止の人も審査請求を
国は保護廃止の人は審査請求はできないとしているが、弁護団は保護廃止世帯も審査請求できると考えている。国は、廃止世帯は今生活保護を受けているわけではない。追加給付は生活保護費の支給ではないから審査請求はできないという理屈。しかし弁護団は、過去の違法な生活保護費を遅れて払っているのであって生活保護の支給決定と同視できる。生活保護の支給と同じような行政処分であって審査請求できると考えている。保護廃止の人も審査請求をぜひして欲しい。
質疑応答では200人くらい回って、審査請求の話をしているという発言もあった。
私たちも多くの人に知らせ、1万人の審査請求を実現していきたい。(後藤愛)
通信KOSUGI(21)
100回目を迎えた「慰安婦」問題解決 水曜行動in新宿
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| 新宿の行動に100人が(7月15日) |
日本軍「慰安婦」問題解決にむけて、毎月第3水曜日におこなわれている「水曜行動in新宿」が7月15日で百回目を迎えたとのことで参加した。主催は、戦時性暴力問題連絡協議会。
神奈川からも毎回参加しており、また地元でも「慰安婦」問題での例会や駅頭アピール行動をおこなっている。
この「水曜行動」、通常は昼の行動だが、百回目のこの日は夕方18時半からとあって、急造ステージ周辺に常に百人ほど、のべで150人以上の市民が見守っていた。
7・15行動in新宿に集った人々
主催者あいさつでは、日本軍「慰安婦」被害者であったそれぞれのサバイバーの声が世界を動かしたこと、「慰安婦」問題の解決は、被害者の名誉を回復させることであり、そして現在の性暴力を克服する道でもあることである。私たち自身の手でこの社会を変えようと呼びかけがなされた。
司会が韓国・大邱からの〈挺身隊ハルモニと共にする市民の会〉連帯メッセージを読み上げた。
最初の発言は「日本軍『慰安婦』問題は私たちの問題」と題して、お茶の水女子大学教授の申h榮さん。
「慰安婦」問題は過去の問題ではなく今の問題であること、サバイバーの声を聞き国境を越えた市民連帯が社会を動かしてきたこと、政治が声を消そうとしても、記憶は消せない、声は生き続け、聞くことで時代を超える私たちの問題だと訴え、囲んでいた多くの市民から大きな拍手を受けていた。
12人のサバイバー
この後、各国被害者12人がそれぞれ取り組んで来た方がたから紹介された。
最初に〈日本軍『慰安婦』問題解決全国行動〉共同代表の梁澄子さんが韓国の金学順さんのことをスピーチ。いうまでもなく金学順さんは、1991年8月14日の記者会見で、自ら元「慰安婦」として名乗り出たサバイバー。「慰安婦」としての性被害について初めて訴え出た女性とされ、同被害を訴える女性が相次ぐきっかけとなった。
次に中国海南島の被害者・陳金玉さん、台湾のイアン・アパイさん、中国・万愛花さんが紹介された。
万愛花さんは、中国山西省で村の抗日活動に参加、15歳で共産党に入党。党の伝達するメッセージや抗日の歌をすべて覚えて、村から村へ情報を伝える任務。万愛花さんは1943年に日本軍に3度捕まり、拷問を受け輪姦された。しかしどんなに拷問されても同志の名前を一人も言わなかった。これが万愛花さんの大きな誇りだと。訪日して被害を証言されるときにも、「自分がもし一人でも名前を言っていたら、こうして皆さんの前に立って、皆さんと会うことはできなかったでしょう」という闘士だった。
そしてフィリピンのエステリータさん、インドネシア南スラウェシ島のチンダさん、東ティモールのイネスさん、在日の宋神道さんについての報告。
さらに1992年に東京の「日本の戦後補償に関する国際公聴会」に出席し、自身の被害体験を語ったオランダ人被害者のオハーンさん、日本人の城田すず子さん、 朝鮮民主主義人民共和国の朴永心さん、沖縄の裴奉奇さんと、被害者が次々と紹介された。
最後に紹介されたペ・ポンギさんの存在が確認されたのは、1991年の金学順さんの告発より16年も前のこと、「寝ていればバナナが落ちて来る」と騙されて「慰安婦」にされ渡嘉敷島に配置となり、戦後になって強制追放されることを逃れるため沖縄にいる経過を「嘆願書」を入管に出して特別永住資格を取って、その苦しかった個人史が明らかとなったのだ。
被害者12人それぞれの個人史、それぞれの発言が胸に沁み、心が揺さぶられたものだった。
最後のコール、「日本政府はサバイバーの声を聞け」「心からの謝罪と賠償を」「あきらめないぞ!」
夕方の新宿駅南口ひろば、耳を傾ける参加者の熱気も高く、大きな意義ある集会となった。(神奈川・深津利樹)
7面
原発つづけるための乾式貯蔵 NO!
10・18高浜全国集会へ
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| 乾式貯蔵NO(横断幕)の上で発言する政党議員(7月19日) |
(1)
日本原燃は、青森県六ヶ所再処理工場の耐震設計などの説明を先延ばしにしてきたが、6月8日にやっと、一通りの説明を終えたと発表、規制委の事務局は「規制庁としては異論はなかったが、まだまだ確認すべきことは残っている」とコメントした。
そもそも、福井県若狭にある高浜、大飯、美浜原発内で、関電が計画している乾式貯蔵について福井県としては、「日本原燃の説明終了を待って、判断する」としてきた。6月8日をもって、「説明は終わった」と言い直して、6月議会で福井県としての乾式貯蔵受け入れを表明するのではないかと、一気に緊張が高まった。
なお、この6月8日というのも曲者で、6月議会に間に合わすための、やっつけ仕事で、説明を「終了」したという仮象をつくるためのこじつけであり、再処理工場の完成のメドがたったわけでもなく、依然として、解決不能な課題が山積しており、再処理工場の完成は見通せないのである。
老朽原発うごかすな!実行委員会は6月22日、福井県議会に陳情書を提出し、7月16日には高浜町長、おおい町長、美浜町長に申し入れをおこなった。
高浜町議会は、早々と6月16日原子力対策特別委員会(原特委)で、乾式貯蔵施設の建設推進を決定し7月6日に西嶋町長にこれを申し入れている。
美浜町議会原子力発電所特別委員会も6月22日「美浜原発における使用済み核燃料の乾式貯蔵施設の建設計画」を容認し、町長が意見を求めた場合はこれを伝えるとしている。おおい町の場合は、まだ、規制委員会の認可が出ていないため認可がでたら検討するとしている。
最大の焦点であった福井県知事は、今議会では何らかの態度表明はしないとした。乾式貯蔵をめぐる危機的状況は、ひとまず跳ね返した。
(2)
その中で、青森県の宮下知事の動向が焦点化している。
むつ市の中間貯蔵施設への搬入(26年度に60トン搬入の予定)を六ヶ所再処理工場の完成遅れを理由に、「認めない」と表明。搬入再開の条件として、国や、日本原燃に対して、信頼できる新たな工程表の提示を求めている。
六ヶ所再処理工場は26年度中の完成の「予定」であるが、難問が山積し、28回目の延期が言われている。その中で、受け入れる側の青森県知事が、このように対応しているのである。それに対して、福井県知事が、いかに厚顔無恥とはいえ、「六ヶ所は完成する。六ヶ所が使用済み核燃料を受け入れる」とはいえない。
結局、6月福井県議会では、六ヶ所再処理工場の受け入れが不透明ということで、福井県としての判断を打ち出せなかったのである。
(3)
乾式貯蔵は、原発の運転延長のための重大な攻撃である。逆に、乾式貯蔵を止めれば、原発の運転をストップさせることができる。
いま全国の原発で、使用済み核燃料を保管しているプールが満杯になりつつある。プールが満杯になれば、運転したくても原発を運転できなくなる。
日本の核政策は、高速増殖炉=もんじゅと六ヶ所再処理工場を柱にしてきた。ところが、もんじゅは廃炉に追い込まれ、六ヶ所再処理工場のメドが立たない中で、増え続ける使用済み核燃問題にぶつかっている。数年の単位でプールは満杯になろうしている。そのためにプールに空きを作ることに必死になっている。使用済み核燃料は、当初は高温、高レベルの放射能のため、プールで冷やし続けるしかない。
一定温度が下がった使用済み核燃料をプールから乾式に移し、プールに空きを作ろうというのである。もしこれを許せば、10年単位で運転期間を増やすことができるのである。
特に関西電力にとっては死活的である。1996年、当時の福井県知事との間で、使用済み核燃料は全て県外へ搬出すると約束したのである。六ヶ所再処理工場への搬出を念頭においたものである。
乾式貯蔵は、原発を動かすためのものである。昨年、「11・30原発をつづけるための乾式貯蔵NO!全国集会」は、このことを全国に提起し、乾式貯蔵に対する全国的な高揚を作り出してきた。
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| 御堂筋をデモ行進(6月7日 大阪市) |
(4)
今秋から冬にかけて、さらに激しくたたかい抜こう。乾式貯蔵をめぐって、若狭一帯、関西一帯で大きなうねりをつくりだそう。
老朽原発うごかすな!実行委員会は、10月18日、関電高浜原発がある福井県高浜町において、「原発つづけるための乾式貯蔵 NO!全国集会」を開催する。
この夏〜秋〜冬、高浜町、おおい町、美浜町、若狭一帯で公開質問やひろく住民の方々や、関西・全国にひろげ、乾式貯蔵反対の大きな渦をつくりだしていこう。さらに六ヶ所再処理工場の動きや、福井県、各町当局の動き、そして関西電力の動きにたいしても果敢にたたかおう。
10・18には全力で高浜町に結集しよう。(仰木明)
映画評
『わたしの聖なるインド』
監督:ノウシーン・ハーン 2023年
2019年12月、インドのモディ政権は、市民権改正法(宗教的少数派の難民に市民権を認める法律だが、イスラム教徒は対象外にされた)を制定した。この法律はイスラム教徒だけが排除されており、イスラム教徒は怒りの声をあげた。ニューデリー南部のシャヒーン・バーグで、この法律に反対する座り込み(シャヒーン・バーグ抗議運動)がはじまった。この地域はイスラム教徒が多く住んでいる。ムスリム女性が闘いの中心をになった。
闘いはジャミア・ミリア・イスラミア大学からはじまった。12月13日、警官がイスラミア大学構内に乱入し、学生を襲撃した。この事件は、負傷者が2百人にのぼり、多くの学生が逮捕された。映画は、このシーンからはじまる。
2020年3月24日、警官隊が暴力的に排除して、この闘いはおわった。このドキュメンタリー映画は約100日間にわたるシャヒーン・バーグ抗議運動を密着取材し、ムスリム女性たちの闘いを生き生きと伝えている。映画の原題は「わたしたちの理想とするインド」であり、インドを改革していく闘いの意思を込めている。インドでは上映されていない。監督のノウシーン・ハーンさんは、ムスリム女性だ。
シャヒーン・バーグ抗議運動
シャヒーン・バーグ抗議運動について、年表を示す。
◇2019年12月12日 市民権改正法が成立。
◇2019年12月13日 デリー南部ジャミア・ミリア・イスラミア大学で学生による市民権改正法反対運動が起こる。
◇2019年12月15日 シャヒーン・バーグで抗議運動が起こる。
◇2020年2月8日 デリー首都圏議会選挙が行われる。
◇2020年2月23日 デリー北東部で市民権改正法反対運動参加者とイスラム教徒を標的にして、暴動が発生した。
◇2020年3月24日 警官隊がコロナウィルスによるパンデミックを理由として都市封鎖をおこなった。これにより、抗議運動は強制的に終了させられた。
インドでは女性の社会進出が遅れている。しかし、この映画を見れば、ムスリム女性たちが抗議活動に積極的に動いていることが理解できる。
インド人民党の支配
インド人民党はヒンドゥー至上主義政党だ。モディが政権を握っている。インドは14億人を抱えており、80%がヒンドゥー教徒だ。イスラム教徒が14%、キリスト教徒は2・3%、シーク教徒1・7%、これ以外に仏教徒、ジャイナ教徒などが住んでいる。
モディ政権は新自由主義政策をとっており、コンピューター産業などが発展している。国内政治ではヒンドゥー至上主義をとっており、これにたいする反対運動が起きている。シャヒーン・バーグ抗議運動は百日間で終わった。しかし、世代、文化、宗教をこえた闘いは継続され、全国にひろがっている。
高市首相がインドを訪問
今年7月、高市早苗首相はインドを訪問し、モディ首相と首脳会談をおこなった。2020年、インドは中国と戦争をおこなっている。モディと高市の思惑は、対中国にたいして協力しあうことで、一致している。インドのレアアース埋蔵量は7・7%(2024年時点)で世界第3位だ。日本はこれをねらっている。
6月7日、「ゴキブリ人民党」がデモをおこなった。モディ政権は国内問題で破綻するだろう。『わたしたちの聖なるインド』は、これを予感する映画であった。(鹿田研三)
8面
新自由主義から「暗黒啓蒙」へ
トランプ政権を支える思想
高橋哲哉さんが講演
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| 参加の聴衆 |
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| 高橋哲也さん |
7月19日、〈第16回「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会〉(主催:同実行委員会)が、大阪市内「エルおおさか」でおこなわれた。
高橋哲哉さん(東京大学名誉教授)が〈新自由主義から「暗黒啓蒙」へ−民主主義の危機に向き合う〉というテーマで講演した。講演に先だって、高橋さんは次のように述べた。
「世界は、いま未曽有の反動期をむかえている。世界中で、強者の「力による支配」がまかり通っている。米国トランプ政権は戦争の火付け役になっている。高市早苗政権はこの米国に自発的追従をおこなっている。このままでは、民主主義を否定する「暗黒啓蒙」の時代になってしまう。この動きを止めなければならない。はじめに、この時代認識を共有しておきたい」
以下、高橋哲哉さんの講演要旨を紹介する。文責・本紙編集委員会。
今日の世界
第2次世界大戦後、再び国家間戦争を繰り返さないために、生き延びた人たちが米国を中心に国際連合をつくった。このなかで、とりわけ人権と「法の支配」をうちだした。1990年代に国際法が整備されていった。
1989〜1991年にかけて、東欧の社会主義国とソ連邦があいついで崩壊した。東西「冷戦」が終わった。これは戦後体制のおおきな転換点だった。
日本政府は、今まで事あるごとに「法の支配」を言ってきた。今日、ルビオ米国務長官は「国際刑事裁判所(ICC)を解体する」と言っている。さて、日本政府はどういう態度をとるのだろうか。
第2次トランプ政権が成立し、世界は大きな激動期をむかえている。このままでは民主主義を否定する「暗黒啓蒙」の時代になってしまう。
米国トランプ政権の思想状況と高市政権の動きは、つながっている。このことについて考えていきたい。
第2次トランプ政権を支える保守思想
トランプ政権を支える思想は何なのか。「新反動主義」「暗黒啓蒙」「テクノファシズム」など、さまざまな言葉でいいあらわされている。しかし、ぴったり表す言葉は、まだ定まっていない。
ピーター・ティールは「テクノ・リバタリアン」と言っている。カーティス・ヤーヴィンは「暗黒啓蒙」を提唱している。パトリック・デニーンは「国民保守主義」を主張している。
ピーター・ティールは、米国データ解析会社「パランティア・テクノロジーズ」の会長だ。「パランティア・テクノロジーズ」はAIシステムをあつかう企業で、CIAと契約することによって成長してきた。今日、この企業は米国の軍事部門と深く結びついている。
日本政府(防衛省)は「パランティア・テクノロジーズ」の軍事用AIシステムを導入しようとしている。こうして、自衛隊はますます米軍と一体化していく。同時に、自衛隊の情報が米国に筒抜けになり、米軍との一体化から抜けられなくなっていく。
ピーター・ティールは「テクノ・リバタリアン」を主張する。「自由至上主義」であり、「個人の自由」は「資本の自由」を意味している。これは新自由主義の極北の思想だ。ピーター・ティールは「民主主義は資本の自由に弊害をもたらす。民主主義はいらない」と言っている。
カーティス・ヤーヴィンは、もともとブロガーだった。現在、第2次トランプ政権の思想を支える人物になっている。「暗黒啓蒙」は、もともと政治思想の概念であり、18〜19世紀に西欧で進展した啓蒙思想、つまり人権・平和・民主主義を否定する考え方だ。
カーティス・ヤーヴィンは「ネオ君主制」を唱える。ここでいう君主は昔のような君主でなく、ハイテク企業のCEO(最高経営責任者)が君主なのだ。彼は国家も企業とみなしている。トランプがおこなっていることをみれば、このことがよくわかる。
パトリック・デニーンは伝統、家族、宗教、地域共同体などを賛美している。この思想は宗教保守派の思想的基盤になっている。
高市政権の動き
今年3月5日に、高市首相は首相官邸で「パランティア・テクノロジーズ」会長のピーター・ティールと会っている。ここで何が話し合われたのだろうか。
高市は「当時、韓国併合条約は国際的に認められていた」と述べている。高市は朝鮮の植民地支配を反省していない。
高市政権は「台湾有事」を口実にして、対中国政策の緊張をあおっている。「台湾有事は日本有事」、これは高市個人の認識でもあるが、じつは日本政府の立脚点でもあるのだ。2015年に安保法制が成立してから、日本政府はこの立場をつらぬいてきた。この時点から、日本政府と中国政府の認識は、まっこうから対立している。
日中共同声明(1972年9月)の前文第3項には「日本国政府は、この中華人民共和国の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8条に基づく立場を堅持する」と書かれている。ここで「十分理解し、尊重し」と書かれているように、日本政府は中華人民共和国の立場を承認していない。承認しているかのようにみせかけて、じつは承認していない。ここに「すきま」がある。これは、どうしてなのだろうか。
日米安保条約(第8条、極東条項)があるからだ。日本政府は、日米安全保障条約を優先している。この日米安保条約をなくさないかぎり、日本の対中国戦争政策は変わらない。日米安保をなくし、日中関係を再設定する必要がある。
台湾人民の自己決定権
アイデンティティーに関するアンケート調査で、台湾に住む63%の人びとが「わたしは台湾人」と答えている。32%が「台湾人であり中国人」と回答しており、あわせて95%の人びとが「わたしは台湾人」だと考えている。また、独立に関するアンケート調査では、「ずっと今のままがよい」が34%でいちばん多く、「現状を維持しつつ、後に決める」が26パーセント、「台湾独立」は22%で、この順になっている。
台湾のことは、台湾に住む人びとが決める。台湾人民の「自己決定権」を重視するべきだ。日本政府や米国政府が決めることではない。
戦後、日本の左派知識人は中国にたいする思想的遠慮があって、少数民族や香港にたいする政策などについて、じゅうぶんな批判をおこなってこなかった。わたしは、中国にたいする日本の戦争責任を問いつつ、同時に中国にたいする批判もおこなうべきだと考えている。
わたしたちがよって立つ立場は人権、平和、民主主義。これを破壊する「暗黒啓蒙」とたたかい、現代の政治潮流を止めなければならない。
(闘争案内)
「国旗損壊罪」を無効化しよう・総括と展望討論集会
とき:8月6日(木)午後7時
ところ:文京区民センター3A
主催:「国旗等損壊罪」反対連絡会
連絡先:080―1702―1057
ヒロシマ〜平和の夕べ〜
とき:8月6日(木)午後1時
ところ:広島RCC文化センター
主催:8・6ヒロシマ平和の夕べ
南太平洋から仏核実験ヒバクシャの訴え
とき:8月10日(月)午後1時半〜4時
ところ:大阪市立総合生涯学習センター
主催:チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西
西浦昭英さん講演会〜普天間基地をすぐ返せ!辺野古埋め立て今すぐやめろ!〜
講演:「沖縄の米軍基地と非暴力運動」
とき:8月11日(火休)午後6時半〜8時半
ところ:西区民センター第4会議室(大阪市西区)
主催:STOP!辺野古新基地建設!大阪アクション
特定利用空港問題学習会
講師:あわはら富夫さん
とき:8月15日(土)午後2時
ところ:神戸市中央区文化センター 1103・1104号室
主催:神戸港の軍事使用を許さない会 憲法を生かす会ひょうごネット
生きる私たちの集い
◇LIVE DANNY JIN ほか
とき:8月16日(日)午後1時半〜5時
ところ:守口市立図書館4F円形ホール
主催:生きる私たちの会
〈大阪市廃止をとめよう市民ネット〉スタートアップ集会
とき:8月17日(月)午後6時半
ところ:大阪市立 住まい情報センター
主催:大阪市廃止をとめよう市民ネット
強引に弾薬庫増設工事が始まって1年・抗議集会
とき:8月18日(火)午前9時
ところ:祝園弾薬庫・北門前
呼びかけ:ほうそのネット
※送迎あり→08時20分「近鉄・新祝園駅」西側集合、08時30分出発
玉城デニー知事応援集会inおおさか
講演:「終わらない戦後処理と新たな戦前」具志堅隆松さん
とき:8月23日(日)午後2時
ところ:大阪市 西区民センターホール
主催:8・23応援集会実行委
カンパのお願い
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口座番号 00970―9―151298
加入者名 前進社関西支社
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