未来・第439号


            未来第439号目次(2026年6月4日発行)

 1面  5・31舞鶴ヒューマンチェーンから6・7反原発へ
     自民・維新の戦争国家化にそう反撃を

 2面  「都構想・法定協」設置異議あり!5・12市民のつどい
     3回目の都構想(大阪市廃止)許さない

 3面  高市政権 大軍拡と武器輸出
     「死の商人」国家への道

 4面〜5面  <投稿>
     普天間返還合意30年
     辺野古新基地完成後も普天間返還ならず(上)
     2026年5月21日 名護市在住 島袋利久

 6面  沖縄日誌4月 9月は県知事選
     女子高校生と船長の死を悼む

     東西で沖縄行動
     5・16
     5・17    

     生活保護基準引き下げ違憲訴訟
     いのちのとりで裁判 第二ラウンドへ
     大阪の原告が審査請求一斉提出行動

 7面  通信KOSUGI
     2年間に12回の火災、安全対策工事は欠陥
     首都圏唯一の老朽原発・東海第二

     5・24山崎雅弘講演会 芦屋「9条の会」
     動乱の時代をどう生きるか    

 8面  投稿
     冤罪・狭山事件63年
     東京高裁は再審開始を
     5・22狭山事件の再審を求める市民集会
     小山一彦

     書評
     『イランとアメリカ、そしてイスラエル〜「ガザ以降」の中東〜』
     高橋和夫 朝日選書 2026年3月30日刊

           

5・31舞鶴ヒューマンチェーンから6・7反原発へ
自民・維新の戦争国家化に総反撃を

Xバンドレーダー基地撤去で現地闘争(5月24日 京丹後市/詳報次号)

5月連休過程も含め「外交得点」の上に反動攻勢を高市が繰り広げている。しかしホルムズ海峡=原油・ナフサ危機は臨界点寸前で、併せて景気対策・物価高騰にも打つ手がない。現代の大政翼賛会である「国力研究会」を300人を超す衆参議員で作ったが、かえって「非高市派」の侵入を許し、政権基盤が安定したわけではない。夏までの食品消費税ゼロも「カラ手形」でしかなく、支持率は毎日新聞が50%を記録した。
この危機を突破するのが「1年内の憲法改正発議」だ。更にスパイ防止法、国旗損壊罪、武器輸出解禁=軍需経済へののめりこみ、打ち続く日米共同演習、特定空港・港湾の指定拡大=全土基地化と、公明党の政権離脱以降は強権政治に歯止めが利かなくなったことを満天下に示しつつある。 これに対し労働者・市民は3・19日米会談での自衛隊派兵不可能の事実と、憲法の果たす役割に確信を深め、改憲阻止・9条護持の運動的決起が急速に拡大しつつある。あれほど9条護持は「保守的」「お花畑」と批判したマスコミも、デモカレンダーと「デモのある日々」を推奨するありさまだ。しかしこの根底には沖縄・南西諸島(琉球弧)を先頭にし、熊本健軍基地の長射程ミサイル反対運動を初めとする九州・西日本各地の反基地運動が、5・31舞鶴ヒューマンチェーンへの結集を通じて、高市戦争政権との対決を強め新たな地平を切り開きつつあることには触れない。

沖縄の闘い圧殺に全体重

その中で政権が全体重をかけて攻撃を集中しているのは沖縄の反基地闘争だ。3月16日の辺野古海難事故を奇禍として、高市政権・右翼・ネトウヨ・反動マスコミは一体となって反戦・反基地闘争に攻撃を集中し、5月22日にはかの不倫自認大臣=松本文科大臣が「教育基本法違反」を宣明した。多発する米軍性犯罪は追及せず放置し、日米地位協定変更を求める要求を一顧だにしない政権が、高校生の死亡を契機に沖縄の平和への願い・平和教育を教育基本法違反とした。これは9月知事選をも射程に入れた沖縄の平和教育に対する政治介入で、まさにダブルスタンダードである。
更に5月17日からの宮古島日米共同演習、6月の日米共同実働訓練レゾリュートドラゴン26を強行し、6月23日の慰霊の日を前に沖縄を軍事的に制圧しようとしている。81年前、沖縄県民の4人に1人を殺したのは日本軍と米軍ではなかったのか。宮古島・八重山諸島などの避難訓練は全く非現実的で、81年前に避難する対馬丸の子どもたちは何人殺されたのだ。今再び沖縄を戦場にしようとする高市政権の攻撃が許されていいはずはない。
レゾリュートドラゴンは、ここ数年の南西諸島の最前線基地化実現のあと、沖縄・九州・西日本を具体的に臨戦態勢におかんとするものだ。これに気づいた労働者人民は、南西諸島の島々の運動を先頭に、九州・中国・四国と関西一帯が5・31舞鶴に集まりヒューマンチェーンをおこなった。戦争に向かう軍事大国化と、平和を求めるヒューマンチェーンとどちらに正義があるかはあまりにも明らかではないか。9月沖縄県知事選に向かって関西では8・23集会成功のため6月初めに実行委が開かれる。沖縄現地と連帯し、3カ月間の知事選勝利のうねりを創り出していこう。

スパイ防止法・国旗損壊罪、対立陣営へのネット攻撃

高市政権の攻撃はこれにとどまらない。既に暴露されていることだが高市は昨年自民党総裁選・今年の衆議院選で、かのN国党の立花孝志並みのデマキャンペーンを対立陣営、敵対政党等におこなった。自らは金に物言わせたSNS攻撃を繰り返し、敵対陣営にはスパイ防止法=国家安全保障局で監視し、隙あらば弾圧攻撃。5月27日には国家情報会議設置法案を強行成立させた。更に非国民をあぶりだせと国旗損壊罪を制定し、あらゆる反政府的な反天皇制的言動を取り締まる。そこには基準がなく(立法事実がない)、最後は戦前のように「お子様ランチ・日の丸弁当」まで取り締まり、社会の気孔をふさぐことになる。

維新の27年4月大阪市消滅投票許すな

この自民党=高市政権を助ける相棒が大阪維新だ。彼らは大阪以外に拡大できず消滅の危機にある。これを突破せんと「戦時下の副首都」を高市に売り込み、3度めの大阪都構想に最後の決戦をかけてきた。維新内部でも「勝つまでじゃんけん」には批判が多いが、吉村代表は党と自己の延命をかけて27年4月の統一地方選と一体での大阪市消滅住民投票を決めた。よろしい、維新の死に水を取ってやろう。大阪市北区につぎ維新支持の高い西区補選では、163票差ですれすれの勝利。都構想と維新を最終的に葬り去る10カ月決戦に、すべての人々は決起しよう。

労働者・人民の決起が未来を変える

高市の戦争・生活破壊政治に、労働者階級は我慢の限界だ。5・31舞鶴ヒューマンチェーンのように地域に密着した反戦・反基地闘争と、戦争政治・生活破壊に苦しむ人民が結合するなら、高市政権は打倒できる。5・31に決起したすべての人々は、地域の中に分け入り、苦闘せる労働者階級と結合していこう。総選挙とその後に示された野党の体たらく(離党続出・党中央の独裁的支配など)は、単なる批判で済まされず、彼らの腐敗は作り変えるしかない。高市打倒運動は政党的つくりかえも課題にしないと成功しない。脱原発の闘いも6・7原発のない明日を! 集会を機に、新たな段階に入る。今こそ軍事大国化・差別排外主義との闘い、生活破壊との闘いに総決起し、高市打倒の人民決起を創り出そう。

2面

「都構想・法定協」設置異議あり!5・12市民のつどい
3回目の都構想(大阪市廃止)許さない

鶴見区民ホール前での訴え(4月18日 大阪市)

5月12日、大阪市内で「『都構想・法定協』設置 異議あり!5・12市民のつどい」がひらかれ会場満杯の122人が参加し、熱気溢れる集会となった。
3度目の都構想(大阪市廃止)阻止をめざし新たな闘いに打って出ることが確認された。主催は〈市民の力で政治を変えよう! 大阪アピール〉〈市民のための政治を求める大阪市・市民連合〉の2団体。
主催団体あいさつは梅田章二さん。「住民の意思が政治を決定するしくみが住民投票であり、第1回目で否決された。本当はこれで終わり。3度やるというのは民主主義を踏みにじる大暴挙。私たちは怒りをもって都構想に反対していかなければならない」と発言した。
市議・府議の報告と問題提起
◇大阪市議会・井上ひろしさん(共産党)
自維政権ができたが、大阪の自民議員は批判的。都構想を巡ってあれほど対立してきた自民と維新が連立を組むというのは矛盾をはらんでいる。法定協議会が設置されてしまえば、設計図をつくるのは職員。維新の人たちがつくるのではない。維新はバラ色に描くだけ。住民サービスをよくするためでも何でもない。橋下知事(当時)が「権限と財源をむしり取る」と言ったように集権の仕組みをつくる。分権ではなく集権です。大阪市廃止の狙いは何も変わっていない。特別区にする数字を変えるくらい。最初は5区、2番目は4区、今度は3区ですかね。
今日これだけの人が集まってびっくりしましたけど、市民の中には怒りが渦巻いている。5月29日まで議会が開かれる。第1に、法定協議会の設置を許さない。1、2回目と違う所は議案に「特別区」という言葉が限りなく少ない。その代わり「副首都」という言葉でごまかしている。もう1つの焦点は物価高対策。26年度予算の中には大阪市としての物価高対策は皆無に等しい。その一方で財政調整基金(不測の事態に備えた自治体の貯金)は3千億円超え。2番目に多いのは横浜市で5百億円。大阪市が6倍もあるのは、コロナ禍の時に財政調整基金を使わなかったから。また国からのコロナ対策費もまともに使わず積み立てたから。そのため大阪はコロナの死者が東京よりも突出し全国一だった。物価高対策もやらずに何で住民投票なのか。大阪市を廃止している場合かよ。皆さんと力を合わせてうち破る。

◇大阪府議会・野々上愛さん(民主ネット) 府議会は、市議会と違って3月法定協の議論をして、継続審議となった。今回副首都構想の推進という大きな表題をつけて予算とか議案が提案された。副首都といっても3度目の都構想、大阪市廃止・特別区設置の住民投票の中身になっている。
3億7千万円副首都構想推進の予算で、うち3億4千万円がほぼ法定協関係。副首都推進局の職員の増員府市合わせて6億円。特に問題の大きいのが情報発信費で府市合わせて9千万円。これは法定協議会による協定書ができあがる前の副首都構想の宣伝費用。維新の副首都のイメージ戦略のために、高額な費用が確保されようとしている。副首都推進局の増員の予算は通っていないのに4月1日から増員されて準備が始まっている。
副首都法案が国会に上程されてもいないのに、大阪府では副首都機能のバックアップ体制の検討に2700万。どういった副首都庁舎を造っていくかということで、建設費用ではなく、床面積や機能を計算するためにだけ2700万円を計上している。大阪府の副首都設置業務会議というのが断続的におこなわれていて、副首都推進局の職員が働いている。国会で審議させるための副首都法案を維新がつくる。その下敷きを、大阪府市の職員がつくっている。大阪府市の副首都推進局の職員が維新のシンクタンクと化している。
法定協設置は継続審議になったが、6月の冒頭にそのまま強行採決することができると維新議員は発言した。6月3日定例会の初日強行採決が現実味を帯びてきた。

維新タウンミーティングの内容・感想
夢洲カジノを止める府民の会事務局長・山川さんは「市議団はタウンミーティング(TM)を開いたが、これは市民の意見を聞きましたよというアリバイだった。TMは城東区から始まったが反対意見を多く聞いた。マスコミを遮断する、インターネット配信もしない、アーカイブもない。最後のほうでは私服警官らしい人がいて、維新の支持者を動員してどんどんしゃべらしていく。一番慎重であったはずの竹下幹事長が、一番最後終わってからどう言ったか。『多くの人は法定協の中身を知りたい。メリット、デメリットを教えて欲しいと聞いてくるので、早く設計図をつくって欲しい声だと思っている』」
大阪憲法集会デモ出発時に都構想反対を訴える市民グループ(5月3日 大阪市)

賛同団体の自己紹介
◇大阪をモニタリングする市民の会
西区で市議補選をやっている。3人出馬で維新・栗田さんと自民・花岡さんの戦いに。3度目の都構想をやらせて下さいと市議団がまだ決めていないのにはっきり言っている。票がどれくらい出るか世論調査をかねてやっていると思う。都構想反対の花岡さん応援のため、XやSNSの拡散お願いします。

◇どないする大阪の未来ネット
第1、第2の住民投票の時も活動させていただいた。毎月1回運営委員会の前には街宣活動をやっている。維新がどれだけウソをつき、どれだけ酷いことをやっているのか学習会をやっている。

◇三都近畿れいわボランティア集団
私たちは差別や戦争、核兵器に反対し、平和で公正な社会をめざす一市民の集まりです。維新TM会場には都構想反対の街宣を24カ所全部でやり抜いてきた。5月11日からは毎月曜日、梅田阪急前で都構想反対のキラキラ街宣をやっています。

◇戦争・差別に反対! 生活・命を守る会
維新以来どれだけ大阪の生活がひどくなったか。介護の現場は特にひどいです。東成区のタウンミーティングに車椅子の障害者と一緒に参加した。彼が「都構想が実現したら、私の生活はどうなるのか」と質問したら、維新の議員は「わかりません」と答えた。彼は「くだらん!」と言った。私は車椅子を押して「都構想反対」と何度も叫んで出ていった。維新を絶対に潰さなければならない。彼らは関西財界の手先です。

◇カジノはいらん! 住吉の会
3回目の住民投票を絶対に許したらいかんと思っています。カジノあかんの住民投票の署名運動関わった人間が集まっている。6月13日都構想の学習会を住吉区で開催します。 会場からの発言・討論では、「堺市は都構想でどういう影響を受けるのか」という質問があった。もし大阪市が廃止され特別区になった場合、周辺10市は、幾つかの特別区に分割する場合は住民投票が必要だが、市丸ごと1つの特別区にする場合は議会の議決だけでできる(大都市法13条)という回答があった。都構想は周辺自治体にも影響を及ぼす問題だとわかった。

行動提起

大阪市・市民連合事務局の馬場徳夫さんが行動提起。大阪市廃止のための「法定協議会」の設置条例の議決をおこなわないことを要請する集会決議を採択し、府市の議員団会派へ送ることを決めた。大阪市議会開会日の5月15日12時より大阪市役所周辺で「都構想反対・法定協設置反対」のアピール行動、5月27日市議会強行採決に対する反対行動、6月3日府議会への反対行動、街頭宣伝・チラシ配布活動を無数に広げる、学習会・討論会の開催などが提起された。全力で闘おう。(花本香)

(闘争案内)

宮古島の軍事要塞化と自衛官恫喝事件
報告:清水早子さん(ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会共同代表)
とき:6月5日(金)午後6時〜8時  
ところ:ローズWAM501・502(茨木市)
呼びかけ:北民連/サポートユニオンwith YOU/南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会

京大闘争1969
講演:渡辺恭彦(大阪産業大学教員)「京大1969年・以前以後」
上田実(元吉田寮生・元京都大学新聞社)「1960年から1978年までの        京都大学の学生自治」
当事者からの証言:赤松英一(元京大生・ワインブドウ栽培家)
とき:6月6日(土)午後2時〜4時50分
ところ:エルおおさか709号室
主催:10・8山ア博昭プロジェクト関西運営委員会

原発のない明日を!全国集会inおおさか
とき:6月7日(日)午後1時 ※デモ出発 午後2時半
ところ:うつぼ公園(大阪市西区)
主催:老朽原発うごかすな!実行委員会



3面

高市政権 大軍拡と武器輸出
「死の商人」国家への道

武器輸出国への転換

高市政権の大軍拡への動きが激しい。その中で武器輸出も時代を画するものとなっている。
戦後、しばらくは日本は武器輸出をおこなっていた。60年代から猟銃や弾薬などの輸出は活発におこなわれてきた。日本の武器輸出入に大きな影響を与えたのが日米間の協定で、1956年「日米防衛特許協定」締結。これはあくまでアメリカの軍事技術の秘密保持が最大の目的。
60年代以降、政府方針としてブレーキをかけるようになった。1967年佐藤内閣が「共産圏や紛争当事国への武器輸出を禁止」と表明(武器輸出三原則)。
1976年には三木内閣が武器の事実上全面禁輸を表明した。背景にはベトナム反戦闘争などの空前の爆発に対して対応せざるを得なかったことがある。
80年代には、@対アメリカへの武器技術供与には積極的に応じるとともに、A「武器輸出三原則」を堅持した厳格な輸出規制の二本立てであった。中曽根内閣は、1983年、米国向け武器技術の供与を解禁。「対米武器技術供与についての内閣官房長官談話」で、アメリカ向け武器技術供与は例外として位置づけた。90年代には弾道ミサイル防衛(BMD)共同開発へ拡大。中曽根内閣は軍需産業が本格的に起動する時代と一致する。
宮沢内閣は「武器輸出をするほど落ちぶれてはいない」と答弁したが、80年代に、武器生産と武器輸出が日米安保体制によって担保されるという実態は突破されてきた。自衛隊装備の国産化が急速に進んだ。アメリカ技術のライセンス生産から国産化率が高くなる。日本独自の技術を生み出していく。ココム(対共産圏輸出統制)違反・外為法違反摘発などが頻発する。
2000年代から新たな武器輸出の段階を迎えた。川崎重工がメッサーシュミットと共同開発したユーロコプターBK117など各種の武器・兵器が輸出されている。
2004年、小泉内閣が日米ミサイルの共同開発を禁輸の例外に。
2011年、民主党・野田政権が武器輸出の禁止・例外をくずす先鞭をつける。2014年安倍内閣が「武器輸出三原則」を撤廃し、「防衛装備移転三原則」を策定する閣議決定をおこなった。
2000年代にアメリカ以外の国・地域への武器輸出事例が目立ってくる。インドネシア、スリランカ、バングラデシュ、パラオ、フィリピン、マレーシア、ジプチへ巡視艇などが輸出された。 
岸田政権は第三国へ事実上の武器輸出解禁をした。近年急浮上してきたのが武器の国際共同開発(日・英・伊三国の次期戦闘機開発や弾道ミサイル用の迎撃ミサイルSM3ブロックAなど)。日米二国間軍事同盟を基軸としながら、多国間同盟、同盟の多極化が進んでいる。武器輸出規制緩和と同時に武器輸出先の多地域化へ軍需産業界の強い要請で武器市場の拡大を図ろうとしている。2023年パトリオットミサイルのアメリカへの逆輸出決定。アメリカ以外の国からのライセンス生産も増えている。
政府は安保3文書などをテコに武器輸出・武器生産に拍車をかけようとしている。
今回、高市内閣が2026年4月「防衛装備移転三原則」と運用指針を改定した。輸出を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」に限定する「5類型」を撤廃し、殺傷力のある武器輸出を解禁した。

高市政権の動向

日本は「対中脅威」を口実にフィリピンを同志国と選定し武器輸出先としている。23年岸田・マルコス会談でレーダーを無償供与し、共同訓練の協定を調印。
25年8月オーストラリアへの「もがみ」型護衛艦能力向上型の輸出が決定し、23年6月防衛生産基盤強化法は立憲民主党も賛成して、軍需産業に国のテコ入れを強化し、同法に基づいて設置された「防衛装備移転円滑化基金」には年4百億円が積まれ、1600億円が積み上げられている。この基金から軍需産業に支出されようとしている。小泉防衛相はフィリピンを訪問して、海自の中古護衛艦「あぶくま」型の早期供与へ協議することで一致。中古武器を無償や安価で供与できるように自衛隊法改悪案が来年通常国会に出される見込みだ。財政危機・インフレで生活苦が増しているのに軍事費のみが例外的に突出して増額されている。防衛省の有識者会議が原子力潜水艦保有を提言。
世界の武器輸出が大幅に増加し、軍拡と戦争の時代に入ったかのようである。ウクライナ戦争やイラン戦争など、大国が率先して軍事力を背景にして戦後体制を突き崩そうとしている。その一角に高市政権は割り込もうとしているのだ。新たな戦争の時代に対決していかなくてはならない。
高市は軍需産業の育成を経済成長戦略の重要な柱に据えている。三菱重工や川崎重工など軍需産業は防衛予算アップで大増益だ。日本版FMS(有償軍事援助)の創設も画策(FMSとはアメリカ・ペンタゴンが実施している対外軍事援助プログラムのこと。輸出入の窓口が武器メーカーではなく政府が窓口で輸出入の機会を増大。メーカーはリスクを負わず儲けは確実に得る)。「死の商人」国家への道を阻止しよう。「死の商人」とは第一次大戦で戦車や潜水艦、航空機、毒ガスなどの新しい兵器群が登場し巨額の利益を得た武器製造業者に対して批判的視点から用いられるようになった。

軍産学複合体

日本もアメリカのように軍産学複合体の形成が進んでいる。防衛装備庁が安全保障技術研究推進制度を2015年に発足させ、研究予算の獲得をエサに大学で軍事研究に参加する例が散見される。軍産共同と軍学共同から軍産学共同体へという道だ。 日本学術会議は2017年3月「軍事的安全保障研究に関する声明」で軍事研究への協力を改めて拒否したが、デュアルユースを名目に民生品と軍需品の区別がないなどといって軍事研究への参加を居直る例が見られる。何をもたらすのか。科学技術者は注意深く検討する必要がある。ドイツのフリッツ・ハーバーは空気中の窒素からアンモニアを合成するハーバー・ボッシュ法で有名だが、それを買われて第一次大戦では各種毒ガス使用の指導的立場だった。
人工知能(AI)の米・アンソロピック社が米軍の軍事使用に反対したが、軍用兵器に転用される例は幾多もある。

どうやって止めるか

武器輸出三原則は憲法前文の平和主義と9条に拠り所を求めると推察されるが、武器輸出禁止法案は1972年と82年、公明党、日本共産党がそれぞれ国会提起したが廃案となった。反戦・平和運動こそが拠り所だ。憲法の「戦力を持たない」という9条の戦争放棄は、踏みにじられている。基地撤去と共に武器輸出反対闘争を。戦争をしたがる政府は倒すしかない。(大倉洋)

(闘争案内)

「辺野古唯一」はウソだ!普天間基地を返せ6月アクション
とき:6月13日(土)午後3時 ※デモ出発 午後4時
ところ:JR新宿駅東口(旧新宿アルタ前広場)
主催:辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会(埋めるな! 連)

司法の崩壊止めよう!最高裁共同行動〜人権を守れ!三権分立を守れ!「6・17判決」を正せ!〜
とき:6月15日(月)午前11時半 プレ集会 
正午〜午後1時 リレースピーチとヒューマン・チェーン
ところ:最高裁正門周辺
主催:6・17最高裁共同行動実行委員会2026

第10回人権問題シンポジウム(連帯ユニオン人権部主催)
講師:藤田早苗さん 「武器としての国際人権〜思いやりと人権は別物〜」
とき:6月20日(土)午後6時半〜8時半 
ところ:エルおおさか南館大ホール
主催:連帯ユニオン人権部

関生京都事件高裁公判 集会&グルグルデモ
とき:7月3日(金) 
午後0時半 前段集会 西天満若松浜公園
午後1時半 開廷
午後4時 デモ 主 催:

日本の植民地支配と台湾の近現代史
講演:駒込武さん(京都大学大学院教育学研究科教授)
とき:7月4日(土)午後2時 
ところ:国労大阪会館3F・大会議室
主催:南京の記憶をつなぐ2026

第16回「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会
講演:高橋哲哉さん(東京大学名誉教授)
とき:7月19日(日)午前10時〜午後4時半
ところ:エルおおさか大会議室
主催:「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会実行委員会

ヘイト訴訟(被告:添田詩織泉南市議)控訴審・判決
とき:7月29日(水)午後2時
ところ:大阪高裁

判決前集会(原発賠償関西訴訟)
とき:8月1日(土)午後 
ところ:エルおおさか708
主催:KANSAIサポーターズ
共催:原発賠償関西訴訟原告団・弁護団



4面〜5面

  <投稿>
普天間返還合意30年
辺野古新基地完成後も普天間返還ならず(上)
2026年5月21日 名護市在住 島袋利久

米軍基地被害と危険を負わされ、放置された宜野湾市民

1996年日米両政府が普天間飛行場の返還合意をしてから、4月12日で30年になりました。歴代の宜野湾市長及び県知事は県外移設を強く求めて来ましたが、自公政権は普天間基地の危険性除去は「辺野古移設が唯一の解決策」だとして、沖縄の民意を蔑ろにして埋め立て工事を強行して来ました。しかし、大浦湾側のマヨネーズ状の軟弱地盤の改良工事は難航しています。昨年6月から11月末まで「台風対策、機器のメンテナンス」と称して約6カ月間もサンド・コンパクション船(杭打ち専用工事船)6隻は大浦湾の埋め立て海域から姿を消し改良地盤工事は停止しました。そして、軟弱地盤のある海域でボーリング調査をしている有様です。
このように移設工事の完成の目途が立たずに工期は長引き沖縄の過重な基地負担の軽減は見通せない状況です。更に、最悪なのは、2026年2月14日米政府監査院(GAO)は辺野古新基地が完成しても「滑走路が短く」普天間基地の返還はできないと公式文書で表明しました。
このように日米両政府は沖縄人民、宜野湾市民を騙し続け、この30年間も「世界一危険な普天間基地の一日も早い危険性除去は辺野古移設が唯一の解決方法だ」と繰り返して来ました。
安倍政権以来沖縄の民意を蔑ろにした基地建設工事の強行は許されるべきではありません。
もはや日本政府が進める辺野古新基地建設をする根拠も大義名分もなくなりました。
高市自維政権は直ちに辺野古新基地建設は中止し、無条件で普天間基地の即時閉鎖、撤去、返還をすべしです。しかし、小泉防衛相は「滑走路が短いので完成しても普天間は返還しない」という米政府監査院の公式見解を米政府に糾すことなく「辺野古への移設完了後も返還されないという状況は想定していないと」繰り返し否定しています。
このような普天間基地返還を巡る状況の中でイハ洋一後援会は普天間基地を見渡せる宜野湾市嘉数高台展望台にて「声明文」を発表し、集会と学習会の開催を呼びかけました。

呼びかけ文

今も、基地は居座り続け爆音は止まず、私たちの日常は常に墜落の恐怖と隣り合わせです。
私たちは、基地のない沖縄の未来を諦めない。
今すぐ普天間基地を閉鎖し、静かで平和な日常を取り戻しましょう! そこで節目となる4月12日10時に嘉数高台公園にて声明文を読み上げ、30年経ってもなお返還されない現実を変える、日米両政府へメッセージを出します。その後、11時に嘉数公民館2階で勉強会を開きますのでご案内いたします。
主催 イハ洋一後援会(元宜野湾市長)

▼ この呼びかけに応えて、「普天間爆音訴訟団」、「有機フッ素化合物汚染から市民の生命を守る連絡会」、「#コドソラ」、「宜野湾ちゅら水会」等の団体個人が嘉数高台に集まり、普天間基地を見下ろす展望台にて声明を日米政府に発する集会が持たれました。司会は桃原功前市議が務め、主催者挨拶があり、伊波洋一参議院議員から「声明文」が読み上げられました。
続いて普天間基地に隣接する地域に住む小学生の母親たちが結成した#コドソラの与那城千恵美代表と宮城智子さんが発言しました。@米軍機は学校の上空を飛ばない。A夜は静かに寝かせてほしい。BPFAS汚染がないか地域の土壌を調べて欲しいと訴えました。
次に〈有機フッ素化合物から市民の生命を守る連絡会〉高橋年男さんがマイクを持ちました。 最後に桃原功さんが集会のまとめ、団結ガンバローで締め括りました。
嘉数高台の展望台には約80人が集まり、「オスプレイ配備反対、普天間基地の閉鎖撤去、市街地の飛行訓練をやめよ、PFAS汚染から命を守ろう! ノーフライトゾ―ン」等のノボリ旗を持ち、参加者は集会に集中した熱気ある集会でした。
集会終了後近くの嘉数公民館に移動し学習会が開かれ質疑応答及び「今後の闘いのあり方」について議論が沸騰し、予定時間を遥かにオーバーしてしまいました。
※紙面の都合により各人の発言内容の詳細は割愛させてもらいます。内容は「声明文」と類似している箇所が多くありますので声明文を深く読んでください。

声明文
普天間返還合意から満30年にあたって

2026年4月12日  参議院議員 伊波洋一

本日は、1996年4月12日に宜野湾市民が求めてきた普天間飛行場の全面返還を「今後5〜7年以内に、十分な代替施設が完成した後、普天間飛行場を返還する」と当時の橋本龍太郎総理とウオルター・モンデール駐日米国大使が日米合意してから満30年になりました。直後の4月15日に「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」中間報告としてその他の事項とともに公表されました。
普天間飛行場は米軍が日本本土攻撃のために沖縄戦中から建設した爆撃機飛行場であり、当時の宜野湾村役場や国民学校のあった多くの主要集落を破壊し、圧し潰して建設したもので、多くが民有地です。沖縄戦での占領以来、米軍基地のまま続いています。かつての基地内集落は周辺に集落をつくっており、全面返還合意により跡地利用での集落再建も含めて、宜野湾市、沖縄県、国の三者による跡地利用計画策定の取り組みは2002年から始まっています。
1996年12月2日のSACO最終報告は普天間飛行場の全面返還(481ヘクタール)、米軍北部訓練場の過半約4千ヘクタ―ルを含めた11施設(計約5千ヘクタール)のうち4449ヘクタールが返還済みです。普天間飛行場と那覇港湾施設、キャンプ桑江が残っています。
普天間飛行場は「世界一危険な飛行場」として日米両政府が全面返還を合意しながら、30年も「危険性」の放置が続いています。その危険性に一番晒されているのは、普天間第二小学校の児童生徒です。2700メートル滑走路の北東端から900メートルまでの墜落可能性が高い危険地帯に設定されたクリアゾーンにすっぽり入っているからです。普天間飛行場の両端に設定される危険クリアゾーンに市立小学校や地区公民館、保育所、児童施設、医療施設などが18カ所、住宅が約800戸あり、住民3600人余が居住しています。米連邦航空法は米国軍隊が運用する軍事飛行場について厳格な安全基準を規定しており、クリアゾーン内には一切の建築物が禁じられています。
普天間飛行場で繰り返される離発着訓練にはドラム缶数百本分の航空燃料を積む嘉手納基地の空中給油機も参加しており、万が一に墜落事故がおきれば甚大な児童への被害が予想され、被害を起させないために日米両政府による運用基準違反を厳しく非難していきましょう。
2004年8月13日にはCH53D大型ヘリコプターが市内の沖縄国際大学本館ビルに墜落・炎上して本館ビルを大破させました。機体及びビルコンクリートの飛散により周辺住宅地域にも甚大な被害をもたらしました。ヘリ乗員3名の負傷以外に大学関係者等の人的被害はなかったのは奇跡的といえます。
沖国大本館への墜落事故以降、市民は米ヘリ墜落を日常的に恐れるようになりました。復帰以来、2023年までの普天間所属機の事故は固定翼機15件、ヘリ事故等123件の計138件です。2016年12月13日には名護市東海岸にMV22オスプレイが墜落し大破しました。
2017年10月11日、東村高江に大型ヘリCH53Eヘリが不時着炎上しました。同年12月6日には同大型ヘリの部品が緑ヶ丘保育園に落下し、その1週間後の12月13日には同大型ヘリの脱出窓が普天間第二小学校の体育授業中に児童の間に落下しました。宜野湾市の普天間飛行場周辺の児童は日常的に米軍機からの落下物や墜落の危険に晒され続けられているのです。
30年前と比較すると中型ヘリ2個中隊(24機)が2012〜13年にMVオスプレイ2個中隊に替わり、周辺地域だけでなく沖縄県内各地で甚大な騒音・震動被害をもたらすようになっています。これ以上、普天間飛行場の危険性と航空機騒音・振動被害は放置できません。
2025年度一年間の普天間飛行場への市民の苦情は初めて1千件を越え1134件となりました。その最大の原因は、日本政府が普天間飛行場を日米共同訓練や共同演習に使用してジェット戦闘機の頻繁な離発着や嘉手納基地所属機の台湾有事を想定した緊急避難訓練を行っているからです。
「辺野古が唯一」「一日も早い危険性の除去」として進める辺野古新基地建設を理由に、日米両政府は普天間の危険性を放置し続けているのです。危険性の放置に反対する市民の大きな声を日米政府に対して挙げましょう。
2005年には在沖海兵隊のグアム移転も合意され、グアムではアンダーセン空軍基地内に普天間基地のオスプレイ部隊とヘリ部隊の格納庫と整備施設も2024年までに出来上がっています。在沖米海兵隊を移転するためにグアム島内にはキャンプ・ブラズ海兵隊基地が新設され司令部施設や兵舎、医療施設、教育施設、家族住宅等に加えて必要な訓練施設も日本政府が約3500億円を財政負担し建設されています。1日も早く、普天間飛行場の危険性をなくすために、普天間飛行場の飛行部隊を国外・県外に移動させることを日本政府に求めていきましょう。
以上、1996年4月12日の日米政府の普天間飛行場全面返還から満30年にあたり、普天間飛行場を閉鎖して危険性を無くすことを強く求めるとともに、新たな辺野古新基地建設を直ちに中止することを日米政府に求めます。

伊波洋一参院議員が声明文を読み上げ参加者一同で確認し、日米政府に届けることになりました。

大浦湾から見た工事の進行(2026年5月)

普天間返還合意に至る歴史的経過(辺野古移設問題の原点)

◇1995年9月 米兵3人による少女暴行事件。10月21日「県民大会」8万5千人、全島10万人が集まる。
◇11月 日米両政府が「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」設置
◇1996年4月12日 橋本首相とモンデール駐日米国大使が普天間飛行場全面返還で合意。
◇1日 SACO中間報告で今後5年〜7年以内に十分な代替施説が完成した後、普天間飛行場を返還に合意。
◇28日 名護市の島袋里奈さん(20才)が元海兵隊員、ケネス・フランクリンにレイプされた後にナイフで刺し殺され、雑木林に死体を遺棄される。
◇6月16日 島袋里奈さん追悼名護市民集会(追悼集会実行委員長稲嶺進市長)
◇19日 元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会(参加者6万5千人)
◇12月 SACO最終報告で海上施設を沖縄本島東海岸に建設すると公表。
◇1997年11月 海上ヘリポート政府基本案が県及び名護市に提示される。
海上ヘリ基地反対の市民投票で名護市民が過半数を示した。しかし3日後比嘉哲也名護市長が首相官邸に赴き10年間で北部振興策1千億円と引き換えに基地を受け入れ辞任してしまう。
◇1998年2月 大田知事が海上ヘリポート案に反対表明。
◇1999年12月 岸本名護市長が使用期限を15年とする条件付きで代替施設を受け入れる。
◇2004年4月 那覇防衛施設局(当時)が名護市辺野古沖でのボーリング調査を開始。ヘリポート阻止「命を守る会」が座り込みを開始。カヌー隊が結成され海上阻止行動が始まる。
◇2005年9月 沖縄防衛局は辺野古沖(滑走路2400メートル案)を阻止行動により断念。
◇2006年5月 日米安全保障委員会(2プラス2)で辺野古沿岸案へのX型受け入れを合意。
◇11月 X字案に反対を公約に上げた仲井真弘多氏が知事に初当選する。
◇2009年9月 普天間飛行場の「最低でも県外」移設を掲げた民主党の鳩山政権が発足。
◇2010年5月 鳩山首相が仲井真県知事に県外移設を断念する意向を伝達。辺野古容認。
◇2012年   普天間飛行場にオスプレイ配備される。普天間基地ゲート前阻止行動開始。
◇2013年1月 県内41市町村、市町村議会議長等がオスプレイ配備撤回と普天間飛行場の閉鎖・撤去、県内移設の断念を求める「建白書」を安倍首相に手渡すために都内で集会とデモをする。銀座沿道からは右翼が暴言を吐き沖縄を侮辱した。オール沖縄の始まり。
◇11月 県選出の自民党議員(島尻安伊子、西銘恒三郎、国場幸之助、宮崎政久、比嘉奈津美、5人が自民党本部で石破茂幹事長と会談し、「辺野古移設反対」の公約を破り、容認、になり、沖縄自民党も一挙に推進になる。
◇12月27日 安倍は仲井真知事に対して沖縄振興策「3300億円以上と5年以内の普天間基地の閉鎖状態」を約束した。仲井真は「有史以来の金額だ、これで良い正月が迎えられる」と大はしゃぎして「辺野古埋め立て」を承認する。安倍は「やれる事はすべてやる!」と言う。当然何もしなかった。
◇2014年11月 辺野古移設阻止の公約を掲げた翁長雄志(那覇市長)が県知事に当選。
◇2015年10月 翁長知事が仲井真前知事の埋め立て承認を取り消す。
◇2017年2月 沖縄防衛局がキャンプ・シュワブ沿岸での埋め立て本体工事に着手。
◇2018年9月 翁長知事の死去に伴う知事選で、翁長知事の意思を継いだ玉城デニー(前衆院議員)初当選。
◇2019年2月 辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票で、埋め立て「反対」が総数の70%を超える。
◇12月 大浦湾に広がるマヨネーズ状の軟弱地盤をめぐり、有識者でつくる「技術検討委員会」が新基地建設の総工費を9300億円、事業完了に12年かかると報告した。
◇2020年4月 大浦湾の軟弱地盤改良工事の設計変更の承認申請を県に提出。
◇2021年11月 県が沖縄防衛局から提出された変更承認申請に対し、不承認処分。
◇2022年4月 国が不承認を取り消し、県に対して、承認するように是正指示。その後県は国を提訴する。 
◇2023年12月 福岡高裁那覇支部が知事に設計変更の承認を命じる判決。その後、斉藤鉄夫(公明党)国土交通相が知事権限を奪い「代執行」する。 
◇2025年1月 軟弱地盤整備のために杭打ち作業を開始。
◇11月 大浦湾側で埋め立て用土砂の投入開始。
◇2026年4月12日 普天間基地返還合意から30年

日米安保体制により沖縄を犠牲にした事件・事故及び性暴力の多発

1995年に米兵3人による女子小学生暴行事件が発生しました。この集団暴行事件に対して米軍は「日米地位協定」を盾に少女暴行犯人の引き渡しを拒否しました。また、日本政府も犯人の引き渡しの要求をしませんでした。沖縄人民は1972年5月15日「本土復帰」後もアメリカにより軍事占領されています。このように憲法の上にある「日米地位協定」によって、ウチナンチューの生命と財産及び人権は無視されて来ました。そしてついに積年の怒り、悲しみと米軍、日本政府による軍事植民地支配に怒りを爆発させたのです。
1995年10月21日「米軍人による少女暴行事件を糾弾し、日米地位協定の見直しを要求する県民大会」サブスローガンに「基地の整理縮小を促進せよ・米軍人の綱紀粛正し犯罪を根絶せよ・日米地位協定を早急に見直せ・被害者に対する謝罪と完全補償を早期に実現せよ」が上がりました。県民大会は離島をふくめ沖縄戦後最大の8万5千人、全島で10万人が結集しました。
人口比率で換算すれば首都圏の人口の150〜200万人に匹敵します。
大会の冒頭に大田昌秀知事は「行政を預かるものとして、本来一番に守るべき幼い少女の尊厳を守れなかった事を心から詫びたい」と謝罪しました。
普天間高校3年生の仲村清子さんは「私は戦争が嫌いです。だから人を殺すための道具が自分の周りにあるのも嫌いです。次の世代を担う私達高校生や大学生、若者一人一人が本当に嫌いだということを口に出していくことが大事だと思います。私たち、若い世代に新しいスタートをさせてほしい。沖縄を本当の意味で平和な島にして欲しいと願います。その為に私も一歩一歩行動していきたい。私たちに静かな沖縄を返して下さい。軍隊のない、悲劇のない、平和な島を返して下さい」と大会参加者に切実に訴えました。県民大会は反基地、反米感情が爆発し、怒りと悲しみの坩堝になりました。
この全島あげた怒りの県民大会は日米安保体制の根幹を揺り動かし、慌てた日米両政府は在沖米軍基地の維持が困難になる事を恐れ、沖縄人民の怒りを鎮静化させる為に「普天間飛行場を3年〜7年以内に閉鎖・返還すると合意」しました。
宜野湾市民、沖縄人民はその報道に歓喜しましたが、橋本首相は3日後に「普天間飛行場の返還条件として沖縄東海岸に代替施設完成後に返還する」と前言を修正しました。
日米両政府は「沖縄行動委員会(SACO)」を立ち上げ、米軍基地の整理縮小を約束しましたが、アメリカは普天間基地等11カ所の基地を返還する代わりに全ての代替施設を条件としました。アメリカの要求は11カ所の老朽化した基地を新しく建設し、基地の機能強化拡大を日本国民の税金で賄い基地の新規移転をすることでした。それは、日米安保条約によりアメリカが「施設」を要求すれば、日本政府はその「施設」を調達し提供する義務があるからです。歴代の自民党政権はウチナンチューの生活、生命、人権、財産よりもアメリカ最優先の追従政治を続けています。最も残念なことはこのような沖縄の現実に無関心でいる圧倒的なヤマトンチューがいることです。知らない事は罪ではありませんが「無関心、無感動」が沖縄を犠牲にしている事です。

普天間返還合意の経過

1995年、米兵による少女暴行事件が発生。この米兵による犯罪に対して「基地があるが故の起きた事件」としてあり、その根本的な原因を断つために必然的に米軍基地撤去、閉鎖の声が上がりました。そして、沖縄人民の「米軍基地返還」を求める運動が高まりました。
1996年4月12日に橋本首相とモンデール駐日大使が普天間の全面返還を発表した。当初は5〜7年の返還を約束しました。
自公政権は1999年辺野古移設を閣議決定。2006年に辺野古沿岸案のX字型、長さ1800メートル2本の滑走路建設が決まったが、地元の反発は激しく計画は停滞した。この事態が動いたのは2013年12月、仲井真弘多知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認をしてからだ。しかしその後「辺野古移設反対」を掲げ当選した翁長雄志知事が誕生しました。そして2015年、翁長知事は「埋め立て承認を取り消し」自公政府と県の法廷闘争に突入しました。
2018年8月、志半ばで翁長知事が亡くなりました。その後の県知事選挙で、ウチナンチューは翁長知事の遺志を継いだ玉城デニー知事を誕生させました。
玉城知事が大浦湾の軟弱地盤の改良工事の設計変更を不承認したことに対して、福岡高裁那覇支部は2023年に承認を命じ、その後斉藤鉄夫(公明党)国土交通大臣が代執行を強行する。(つづく)

6面

 沖縄日誌4月
     9月は県知事選
     女子高校生と船長の死を悼む

4月1日 オール沖縄会議は辺野古沖の転覆事故を受け、抗議活動の際に拡声器の使用を控えるなど喪に服した活動を5月6日まで継続すると決めた。大型連休明けまでは、辺野古のゲート前や安和、塩川などでの抗議において、喪章を付け、拡声器を使わない形で活動を続ける方針。また、4月と5月の第1土曜日の「県民大行動」も中止としている。
2日 ヘリ基地反対協はホームページで「辺野古沖での船舶転覆事故に対する謝罪と対応について」とした声明を発表した。ヘリ基地反対協は、事故の責任団体として、事故の原因究明に全面協力するとしている。遺族への謝罪と償いに全力注ぐとした。
また、第11管区海上保安本部は2日までに、「平和丸」「不屈」の2隻を押収し、「平和丸」の船長や船員らへの事情聴取を実施した。業務上過失往来危険や業務上過失死傷の容疑の立件に向けた捜査を進めている。さらに、「不屈」を含め海上運送法に基づく業務登録をしていなかったことから、同法違反も視野に、容疑者の特定や安全管理体制などの実態解明を目指している。
8日 国会前で開かれた「平和憲法を守るための緊急アクション」に連帯する集会が沖縄県内各地でおこなわれた。那覇の県民広場では280人がスタンディング。呼びかけ人は30代の会社員女性。仕事帰りの会社員など若い世代が参加した。 沖縄市では、胡屋十字路に130人がペンライトなどを手に「戦争反対」「憲法守れ」など訴えた。
宮古島市では、平良西里のショッピング前で〈ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会〉が「沖縄戦をくり返すな!」の横断幕を広げ、「平和憲法を守ろう」と訴えた。
12日 日米両政府が米軍普天間飛行場の返還に合意してから30年になる。1996年4月12日「世界一危険な飛行場」と称され普天間飛行場は全面返還が合意された。合意内容は「5年ないし7年以内に全面返還される」であった。しかし、いまだ返還のめどはたっていない。政府は「普天間の返還は辺野古移設が唯一の解決策だ」と述べ、辺野古新基地建設を進めている。ただ軟弱地盤改良工事など今後何年かかるかわからない。
21日 玉城デニー知事は、辺野古沖の転覆事故を受け、追悼のために、事故海域を望む瀬嵩の海浜を訪れ、献花した。事故後、知事が現場を訪れるのは初めて。
25日 玉城デニー知事は、8月27日告示、9月13日投開票の知事選に向け、立候補を表明した。自身3期目の当選が「沖縄が真に豊かさを実感できる島になる」とした。「辺野古反対を争点に普天間飛行場の危険性除去」を訴えた。
海辺に手向けられた花
27日 キャンプ・シュワブゲート前では「サイレント抗議集会」が続いている。カヌー隊として海上行動をしてきた人は「事故を受け海での活動はできないが、工事を遅らせたいとの思いでプラカードを掲げ立っている」と話した。また、辺野古漁港近くの「浜テント」には献花台が設置され、二人を悼み手を合わせる人の姿が連日見られる。
28日 国土交通省は辺野古沖の転覆事故を受け、船舶で人を運ぶ事業には、海上運送法に基づく登録の必要性を周知した。観光やイベントのほか、作業員や関係者を運ぶ場合なども同法の手続きが必要だと説明。小型船も対象で、有償か無償かは問わない。(杉山)

東西で沖縄行動
     5・16
     5・17

(原宿参宮橋で沖縄連帯行動(5月16日)

5月16日、東京・参宮橋(原宿駅前)で「沖縄『復帰』54年を問う集会&デモ『米軍普天間基地を即時全面返還せよ』」がおこなわれ、180人が参加した。主催は、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック。
デモ前の発言では、1997年12月の普天間基地内の土地をめぐる沖縄県収用委員会第10回審理での地主の宮城正雄さんの沖縄戦での悲惨な体験とその後の苦しい暮らし、金城馨さん(嘉手納基地の地主で普天間地主の代理人)の沖縄を出て運動を進めてきた思いや沖縄に帰れない現実などの陳述が紹介された。
デモは原宿駅前から明治通りに向かい、旧宮下公園の周りを一周。沿道では外国人観光客を中心に多くの人が。

大阪駅前で宮古島演習弾劾(5月17日)

5月17日から、宮古島をはじめ南の島々を戦場にする陸上総隊演習がおこなわれた。現地の闘いに呼応し、JR大阪駅前で抗議スタンディングアピールに50人ほどが参加し、抗議の声を上げた。

 生活保護基準引き下げ違憲訴訟
     いのちのとりで裁判 第二ラウンドへ
     大阪の原告が審査請求一斉提出行動

5月13日、生活保護基準引き下げ違憲訴訟で大阪の原告20人が、最高裁判決を愚弄する再減額は許せないと大阪府庁で知事宛に審査請求一斉提出行動をした。1万件の審査請求をめざしており、大阪の原告が全国で初めて。
それに先立ち、大阪府庁近くの国民会館で集会がおこなわれた。木下秀雄さん(引き下げアカン! 大阪の会代表)が挨拶し「1週間前、韓国の運動団体と社会保障学会の招きで、小久保哲郎弁護士らと韓国に行った。韓国の運動団体の方から、日本で生活保護問題に勝訴したことに大変励まされた。大きな審査請求運動・第2ラウンドをやることに韓国からも応援すると言われた。長生きをして闘いましょう」。

国の対応策の問題点

小久保弁護士が発言。昨年6月27日の最高裁判決は、「デフレ調整」の違法性を認め、保護費減額処分の取り消しを命じた歴史的判決であると述べ、それに対する国の対応策の問題点を3つ指摘した。
@違法行政に対する真摯な反省と謝罪がない。お詫びはしたが、追加給付が必要になったことについて原告にではなく、広く国民の皆さまにお詫びするというもの。生活保護利用者に被害を与えたことに謝罪がない。
A違法とされた「デフレ調整」(マイナス4・78%)に代えて別の理由(下位10%の最貧困層の消費水準との比較)を蒸し返した再減額決定(マイナス2・49%)によって補償額を半分に値切った。
B原告には「特別給付金」(贈与)を出して原告以外と分断していること。
解決が遅れた中で、すでに4分の1以上(27%)の原告が補償を受けることなく死亡している。最大時1022人の原告のうち274人(うち最高裁判決後21人)が死亡している。

第2ラウンドの闘いに向けた再度の1万件審査請求運動

処分取り消し訴訟を提起するには、原則として審査請求を先におこなう必要がある。原告・非原告問わず、再減額された特例基準に基づく追加給付決定は違法または不当であるとして取り消しを求める。
全国初の申立となる大阪では31人の最終原告のうち20人が申立。大阪では原告53人であったが、堰さん始め16人が亡くなった。続いて神奈川県(5月28日)、石川県(6月上旬)、北海道がおこなう予定。

全国一斉保護費追加給付相談ホットラインの開催

5月14日、10時〜18時、全国18会場でおこなう。国は、保護廃止された者については、申し出を必要とし、7月頃からラジオ・新聞広告などでの本格的広報を始めるとしているが、相当数の「救済漏れ」が生じる可能性が大。ホットラインを踏まえて、生活保護利用当事者の声を聴き、国への要望をおこないたい。

原告の発言

新垣さん「謝罪すらできず自分の謝りを認めることができない厚労省には失望した。最高裁判決による差額の返還を求めたい」。小寺さん「今年82才。先の時代に生活保護を受けて幸せになれる、ゆとりがある生活ができるような世の中になるよう願いを込めて頑張っていきたい」。山内さん「僕らの権利を認めて欲しい。社会的貧困がいかに命を縮めているか考えて欲しい」。(写真左3人が原告)
原告以外の生活保護利用者も審査請求をしよう。原告以外の一斉申立日は追って決まる。

7面

通信KOSUGI
     2年間に12回の火災、安全対策工事は欠陥
     首都圏唯一の老朽原発・東海第二

日本原電前でアクション(5月14日)

5月の駅頭署名、「東海第二原発廃炉へ署名」が42筆

5月はじめの脱原発駅頭署名は、天候もよく、11人が集まっていた。応援も1人。14時開始だが、その時点で5筆の署名が集まっていた。
開始前、署名板を持って立っていただけで通行の5人から署名をもらった。これは幸先がいいと思ったら、今度は制服警官が2人来た。何でも「音楽がうるさいと通行の方から連絡がありまして、一応お知らせします」と、ていねいなお願いだけだった。
この日のチラシは「311子ども甲状腺がん裁判」のこと、そしてもちろん、首都圏唯一の老朽原発=東海第二について。
マイクリレーでも「軟弱地盤に致命的な欠陥工事!」と強く訴えた。もう一枚のチラシは「6月15日の最高裁包囲行動」のチラシ、休憩を入れて1時間30分、130枚ほど配布した。
この日の署名、「東海第二原発廃炉」が42筆、久しぶりに40筆を超えた。一緒にやった「ALPS処理汚染水の海洋投棄停止署名」は9筆。署名数やチラシ受け取りも増えていると実感できた。

東海第二原発がある東海村は文字どおりの「原子力ムラ」

東海第二原発がある茨城県東海村には、原子力科学研究所・核燃料サイクル工学研究所・三菱原子燃料・原子燃料工業東海事業所・核物質管理センターなど18以上もの核関連施設がある。
1999年9月30日臨界事故が起こって多量の中性子線を浴びた2人が死亡しており、1名が重傷、そして667人の被ばく者を出したジェー・シー・オー核燃料施設も「事後処理」を続けている。まさに文字どおりの原子力ムラである。
東海再処理工場には、360m ものガラス固化されていない液体状の「高レベル放射性廃液」があり、これの危険性は原発の比ではない。
この内のどこかで過酷事故が起こって他の施設に連鎖したらどうなるのか。

東海第二原発の再稼働をあきらめない日本原電はとんでもない会社だ

2024年11月、日本原電は敦賀2号機での地質調査データを書き換え、さすがの原子力規制委も「新基準に適合しない」とした。敦賀2号機は廃炉しかないことは明らかだ。
そしてこの原電、東海第二原発においても2023年6月に安全対策工事の要である防潮堤工事で致命的欠陥が内部告発によって明らかとなった。南側の防潮堤基礎工事での「鉄筋コンクリートの未充填」や「鉄筋の変形」、さらに北側工事での「鉄筋が地下の岩盤の定められている位置まで届いていない」など。「安全対策」という工事でのこんな欠陥を起こしている。
また何度も火災事故を起こしている。22年〜24年に11回もの火災を起こし、昨年2月に中央制御室で火を出し、さらに5月に原子炉建屋地下にある溶接用ケーブルでまた火災を起こした。
そもそもこの原発、軟弱地盤の上に建っているのだ。当初から危険極まりない。あきれはてるしかない。原電に原発を動かす能力はない。

日本原電は水戸地裁での運転差し止め判決を認め、廃炉事業に専念せよ

そして避難計画がまったくなっていない。事故が起こって30q圏内に住む92万人もの人々をどう避難させるのか。そして首都圏に住む膨大な住民はどこに行けばいいのか。5時間で放射能が神奈川まで飛んで来るのだ。しかし、茨城県は「最大17万人の避難」でいいとしている。
「避難計画が不備である」としての水戸地裁での運転差し止め判決を日本原電は認めるしかない。差し止め訴訟控訴審、次回は6月19日東京高裁だ。
さらに浜岡原発でも問題になった「基準地震動」について、控訴審で原告側が「敷地地震観測データ」をすべて開示するよう求めたところ、原電は頑なにこれを拒否した。何か後ろめたいことがあるのではないか。
5月9日の読売新聞に、「原電、来夏に新経営計画/次世代炉開発を強化」とした村松社長からの取材記事。「将来ビジョン」で、小型モジュール炉(SMR)や、高速炉など次世代原子炉の技術開発の強化を盛り込んでいる。さらに敦賀3、4号機の新増設をおこなうと、とんでもないことだ。
毎月第1水曜におこなわれている日本原電前での抗議行動で、参加者は、こうした原電に対して「再稼働を断念し、廃炉事業に専念しろ」と呼びかけている。(神奈川・深津利樹)

5・24山崎雅弘講演会 芦屋「9条の会」
     動乱の時代をどう生きるか 

紛争史研究家・山崎雅弘さんが講演(5月24日)

5月24日、芦屋9条の会21周年記念のつどいがあり、山崎雅弘さんを講師に『動乱の時代をどう生きるか』が開催され135人が集まった。主催者挨拶の後、さっそく講演に。山崎さんは、「動乱の時代をどう生きるか?〜戦争の歴史から考える」と題して、「戦史紛争研究家がよく講演を依頼されるのは、今の時代が戦争に近づいているのでは」と言い、以下4点に分けて語った。

 

1.今までの常識が通用しない「動乱期」に突入した日本と世界

社会のシステムは、構成員が法律や規範を守ることを前提に設計されているが、歴史をふりかえると、法律や規範を守らない構成員が増えた時、国や世界は動乱期に突入する。動乱期には、政治的な力や物理的な力、倫理や公正さを無視する精神的な力などの力が国や世界を支配する。民主主義の根幹である選挙でも、政治的な力や金銭的な力を持つ集団は、ネットの影響力を悪用して、自分たちに都合のいいウソを社会に広め、対立勢力の信用を貶めて勝利する。典型的には兵庫県知事選でのN党立花だが、アメリカのトランプ大統領も、日本の高市首相も、大統領選や衆議院選挙でこうした手法を使い、莫大な金をネット工作につぎ込んで勝利した。常識や良識が通用しない社会、力を持つ者は法律や規範を破っても処罰されない社会は、文明の進歩に逆行する野蛮な時代への回帰を意味する。

2.2020年代に大きく下がった「戦争を始めるハードル」

2022年にロシアのプーチン大統領が始めたウクライナへの侵略戦争、2023年にイスラエルのネタニヤフ首相が「ハマスへの報復」で始めたガサのパレスチナ人に対する無差別殺戮、2025年と2026年にトランプ大統領がネタニヤフと共に始めたイランへの大規模攻撃は、これまで国際紛争の抑止力として機能してきた国連の憲章や理念を完全に無視する形で実行された。戦争を始めるハードルが大きく下がった。

3.「軍備を強化すれば抑止力となり安全になる」という説明の落とし穴

軍備を強化すれば、仮想敵国に攻撃を思い留まらせる「抑止力」となり、平和が維持できるという考え方は、歴史を見れば間違いだと分かる。戦前の日本は、この考えに基づいて軍事費が異常に膨張した予算を組んだが、それによって自国の軍事力を過信し、中国との小規模な紛争を外交交渉でなく武力で解決する方針をとった。その結果、局地紛争が日中全面戦争にエスカレートし、日本は自ら戦争を引き寄せ自滅した。

4.戦時に何が起きるかは平時の政府を見れば予測できる

平時に国民生活に関心を持ち、その向上を図ろうとする政府は、戦時にも国民生活を守ることを判断の基準とする。平時において国民を「政府に従う手駒」のような存在と見なし、暮らしの向上に予算を投じない政府は、戦時には国民を「守る対象」と見なさず、より国の統治機構と国家体制を守るための献身と犠牲を国民に要求する。
というようなことを簡潔に分かりやすく講演。多くの参加者が納得の様子だった。(大北健三)

8面

投稿
     冤罪・狭山事件63年
     東京高裁は再審開始を
     5・22狭山事件の再審を求める市民集会
     小山一彦

東京神田一ツ橋ホール満杯の熱気あふれる集会(5月22日)

日本教育会館一ツ橋ホールのロビーまで一杯の参加者が溢れる熱気に満ちた集会でした。先ず、ジンタらムータのミニコンサートから始まりました。怒りと闘いの演奏が特徴的なバンドです。
開会あいさつを西島部落解放同盟中央本部委員長がし、石川さんのいない63年目の5・23闘争を重く受け止めて全力で第4次再審請求を闘う檄を飛ばした。
政党挨拶は、有田芳生参議院議員が、生前の石川さんと会った時の実感を、「狭山は明らかな差別裁判、32年間の獄中生活を強制し、裁判がさらに32年間もおこなわれていない。狭山へのみんなの思いは決して風化していない。今月26日火曜日から本会議、水曜日は法務委員会、再審法は重要審議なので、必ず高市首相が出席する。法制審の検察の抗告原則禁止を議連案への全面禁止にさせるために、また、証拠品の目録さえ出さない検察の横暴を今、変えさせるために議員として頑張ってゆく決意ですので、ぜひ皆さん世論をつくって欲しいです」と石川さんへの心のこもったアピールでした。
つづいて石川早智子さんは、一雄さんの無罪をかちとる日々を振り返り、一つ一つの短歌に込められた強い信念を運動の導きとして、前田巌新裁判長にたいして、裁判を開かせるために訴え続ける決意を語った。
最大の拍手が会場からなされた。
今年の夏、公開予定の『うそがほんとに ほんとがうそに』。金聖雄監督が石川さんと袴田さん家族を描いた新作の試写会。素晴らしいタッチ。監督は「石川さんとの約束どおり無罪をかちとるまで撮影を続けたい」と語り、ロビーで「ぜひ尼崎で映画会してください」に、にこやかに返答。
基調提案は、片岡副委員長が「一点、希望がある。弁護団の粘り強い訴えにたいして7月に前田裁判長は約1時間の説明会を了解した」「確かにその直後に検察側も裁判長に説明を求めるだろうけれど、長い再審闘争の中では決定的な情勢です。早智子さんを支えつつ、再審法の国会闘争もやりながら、この夏を共に闘いましょう」。
これを受けて、冤罪被害者の連帯アピールはいっそう熱を帯び、足利事件の菅家利和さんは、「石川さんは私の兄貴だった、本当に世話になった、何としても無罪をかちとるために自分は最後まで闘う。再審法改正を実現することが大切。検察官横川を絶対許さない、本人が私に謝罪してこない! こんな検察の在り方をかえさせ、国家の罪を認めさせるには、今の再審法改正の闘いにかかっていると思う」。東住吉事件(大阪)の青木惠子さん、湖東記念病院事件(滋賀)の西山美香さん、日野町事件(滋賀)冤罪被害者故阪原弘さんの長男・阪原弘次さんが石川さんの無罪をかちとるためにつくす決意を新たに示した。
特別報告は「再審法改正の現在地」。鴨志田由美弁護士が30分にわたって訴えた。「ポイントは、誤解を恐れずに言わせてもらいますが、この国会で再審法改正を通すこと、それが流れたら、5年先いや、ほぼ永遠に論議されないと感じているので、議員立法案を対置するのではなく、自民党内のこの間の徹底議論の結果を堅持して、1ミリでもいい内容にするために法制審案を粘り強く修正していく闘い方が必要。国会に傍聴にきて一緒になって最後の闘いをお願いします」と訴えた。会場の熱気で終了時間は大幅に延長され、神田児童公園まで、亡き石川さんが鶯となって見守る中、意気軒高とデモをおこない、早智子さんに署名をお渡ししてエールを交わし、尼崎での草の根運動を誓い、お別れしました。
演壇に勢ぞろいの発言者たち(5月22日)

(報告記事の訂正)

『未来』438号6面の「4・23大分地裁判決を弾劾」する報告で、しょうがいしゃ差別解消法8条2項に触れた個所で、誤って裁判所の主張と書きましたが、判決文では、被告(JR九州)の主張でした。その点、大きな誤りでした。が、この被告の主張を採用したのは裁判官の意思で、それ自体はしょうがいしゃとして、わたくしには容認できません。またJR九州の無人化容認も許せないことを追記しておきます。 鷹林茂男

書評
『イランとアメリカ、そしてイスラエル〜「ガザ以降」の中東〜』
     高橋和夫 朝日選書 2026年3月30日刊

イランへの熱い思い

本書にはイラン(文化・言語、何よりも人民)への思い入れがあふれています。その典型がイランの社会的政治的「国是」というべき次の標語です。「パレスチナ人の土地を奪って作った国家の存在を認めるわけにはいかない」。
国として、社会全体としてこの立場を貫いているのはイランだけです。イスラム世界を決起させ、被抑圧民族全体を世界革命の主体とする立場です。1975年ベトナム、2021年アフガニスタンを超え、米帝の世界支配を崩壊させるカギがここにあります。

イラン=ペルシアの歴史

高橋さんから、イラン・ペルシアの歴史(文化・言語・民族)を学ぶことができます。
?アケメネス朝がBC6世紀に世界帝国を建設、バビロニア王国を滅ぼしたとき、虐殺と略奪を禁じ、ユダヤ人など捕囚となった諸民族を解放し、信教の自由を認めた。
?7世紀にアラブに、13世紀にモンゴルに、19世紀末から英・露帝国主義に、戦後は米帝国主義にと、幾度も征服、抑圧されたが、民族と言語、文化を守り抜いた。
?1905年「立憲革命」、1951年「モサデク革命」、1979年「イスラム革命」と、20世紀に3度も革命をやりとげた。

中東大再編の新たな展望

アメリカとイスラエルのパレスチナへの抑圧と虐殺に世界的な反撃が始まっている。高橋さんによれば、はじめ欧米諸国はイスラエルの「自衛権」を言い立てて擁護した。それに対して、南アフリカ共和国は第三世界の代表との自負をもって、2023年12月末にイスラエルを国際司法裁判所に提訴している。
米国とイスラエルは、経済的・軍事的メリットを餌に、中東・イスラム圏諸国とイスラエルに、個別的「国交正常化条約」を結ばせる方針を採ってきた(これを「アブラハム合意」という)。2020年にUAE(アラブ首長国連邦)とバーレーンが参加し、スーダンとモロッコが続いた。ところが「アラブの盟主」とされるサウジアラビアのところで、この流れはぴたりと止まった。「アラブの裏切り者」の汚名を浴びることにどの国も耐えられないからです。トランプとネタニヤフは、この難局打開のために軍事的冒険主義に走った。これが新たな中東大再編と米帝・イスラエルの危機と敗勢を作り出した。2026年2月15日アフガニスタンのタリバン政権が、「米国がイランを攻撃した場合、イランを支援する用意がある」と公式に表明しました(日経2026・2・16)。民族・宗派・過去の対立を超えて、イラン支持に向かっているのです。
また、イランと米国の交渉を仲介する国が表れました。パキスタン・トルコ・サウジアラビア・エジプトの4カ国はみな米軍基地を国内に認めている。しかし米帝・米軍一辺倒では中東・イスラム圏の国としてもはや存立できません。サウジアラビアは、「イラン攻撃の作戦に自国内の基地を使うことは認めない」と表明しました。
欧米やアジアで、イラン攻撃に反対し、自国に設置された米軍基地の使用を認めない動きがようやく始まりつつあります。もっとも遅れた日本は最大の出撃基地になり、米国・米軍の侵略加担国になっています。高橋さんから学びイラン侵略戦争に反対を。(四宮勲)

(お知らせ)

『未来』紙代値上げのお知らせ
7月より一部300円となります