未来・第433号


            未来第433号目次(2026年3月5日発行)

 1面  高市内閣の改憲・軍拡許すな
     反戦・反基地・反原発闘争の高揚へ

 2面  軍事大国化につき進む高市政権
     敵基地攻撃の長射程ミサイル配備

 3面  福島第一原発事故から15年
     反戦闘争と反核闘争を一体で

 4面  〈投稿〉
     沖縄振興策・米軍再編交付金と名護市長選(上)
     名護市在住 島袋利久

 5面  名護市長選 結果を考える
     基地容認しないの声過半

 6面  〈本の紹介〉
     『労働組合とは何か』
     木下武夫著 岩波新書 2021年

    〈昭和100年〉を撃つ!B
     昭和天皇ヒロヒトの正体を暴く

 7面  通信KOSUGIO
     これが韓国の運動の強さか!
     民主化運動記念館を訪ねて

     映画評
     『日記 父と母へ』
     監督:メーサーロシュ・マールタ 1990年  

 8面  戦争・改憲推進の大阪維新
     都構想と一体で解体へ

     〈投稿〉
     『福音派 終末論に引き裂かれるアメリカ社会』(加藤喜之・著)を読む(下)

           

1面

高市内閣の改憲・軍拡許すな
反戦・反基地・反原発闘争の高揚へ

狭山再審・再審法改正へ集会

(2月23日大阪市
詳報次号)

2月8日投開票の衆議院選で、広告会社と組んだ高市は「30秒動画」を1億6千万回再生させ、単独で3分の2を超す議席を獲得し、維新との連立のもと第2次政権を発足させた。20日には施政方針演説をおこなったが、維新と併せ4分の3議席を得ながら、内政・外交の困難から、絶対多数ながら熱気もない。それは真珠湾型奇襲にはミッドウェイ(大増税)が待っており、また小選挙区制のもと絶対得票率は25%程度に過ぎないからだ。高市か野田・斉藤のどちらを選ぶかと迫る大統領選型選挙で、市民にじっくり考える時間を与えず、「旋風」(押し活選挙)で4人に一人の支持で勝利しただけだ。
もちろん野党第一党だった立憲民主党の体たらくは目に余るものがある。安保法制・原発という基本的立場を放棄し「真ん中」(中道)にすり寄る姿は、これまでの支持者も一気に離反した。また戦争国家化に抗する戦略的方針や運動を持たなかった左派・リベラルも大きく後退した。

経済第一を謳いながら国防国家を目指す

「失われた30年」「賃金下落」「生活苦」からの脱却を、高市は「日本列島を、強く豊かに」でかすめ取ったわけだが、それでは高市に任せれば貧困から脱却できるであろうか。高市も自民党も議席数ほどの自信はなく、この冷めた高市支持は慎重を期した施政方針演説に表れている。
施政方針演説で高市は本来の憲法改悪・軍事大国化に全面言及するのではなく、A経済力に演説の半分以上を割いている。すなわち「悲願」と言った食料品消費税減税はやらないという方針のもと(国民会議)、いかに支持をペテン的につなぎとめるかを苦心した作文を演説した。
経済再生のためには「責任ある積極財政」と言うが、その投資先はエネルギー・資源・国土強靭・半導体・造船などすべて経済安保・軍事強化に関する分野だけだ。教育や医療・福祉、民生に戦略的に投資するなどは一言もない。危機管理投資では、エネルギー、脱炭素・GXと原発回帰を隠さない。更に国土強靭化や食糧安保を謳い、農業もスマート農業技術開発など、全分野において大資本の参入による再編を狙っている。最後の中小企業への言及、手取りの増加などは付け足しに過ぎない。
そしてこの膨大な言及は、いずれも後半のD防衛力、E情報力、G治安・安全の確保に繋がっている。全体で「高度国防国家」「富国強兵」を目指す意図だ。結語として憲法改悪と皇室典範改正に言及し「目指すべき国家像」を示したわけだ。

3月日米会談、4月米中会談で反動性強化する高市

この施政方針は、内政においては半年のうちに「経済回復」がなければ失望を産むだろう。しかし高市は軍事外交路線とからめ、「高度国防国家建設」を指針としてくる。
軍事外交路線では「日米同盟第一」と言いながら、他方で「インド太平洋戦略」をうたい、米中2強体制、トランプのディールの前に戦々恐々としている。
トランプは「偉大なアメリカ再建(MAGA)、西半球」路線のもと、日本帝国主義の屈伏を激しく強要してくる。軍事費のGDP比3・5%要求を飲むなら、防衛増税は避けられない。ただでさえ消費減税をかわそうとしているのに、ここで大増税となれば、今回の支持層は吹き飛ぶだろう。それでも「日本列島を、強く豊かに」で大再編していく。

憲法改悪・戦争国家化反対・軍事費増税反対
反戦・反基地・反原発の闘いを

広大な舞鶴湾。左が西舞鶴、右が東舞鶴。民家の近くの半島・小島に弾薬庫が次々に作られる(五老岳より)
トマホーク配備反対!5・31舞鶴逃走へ、フィールドワークと実行委(2月22日舞鶴市内/詳報次号)

今回の野党惨敗の中で、改めてこの国の階級闘争を、現場から反戦・反基地・反原発・生活防衛の旗を掲げて大再編していかなくてはならないことが鮮明になった。昨年夏の参政党の「日本人ファースト」なる排外主義に対決できず彼らの躍進を許した地点で、立憲・共産・れいわなどの今回の敗北は用意されていた。その上に安保法制・原発の容認は人民離反の最終的引き金となった。
だとするなら左派の再建の道はあまりにも明らかだ。排外主義・ナショナリズムの鼓吹には国際主義の旗を掲げて闘うことだ。生活苦から来る減税要求をいったん飲むかの想定をした高市には、現実の裏切りへの反乱をたたきつける必要がある。
そして施政方針の結論=軍事大国化・憲法改悪=高度国防国家建設に対しては、軍拡反対・大増税反対・武器輸出反対の主張を強め、9条改憲阻止の旗を高く掲げて闘う必要がある。戦争問題は主要テーマでないという間違った見解があるが、大軍拡は大増税となって人民を塗炭の苦しみに追い込む。戦争と増税が一体で襲いかかってくるのだ。
「沖縄を再び戦場にするな」「戦争とめよう!沖縄・西日本ネットワーク」を先頭とする人民の闘いは、昨年10・19祝園闘争から、敵基地攻撃の長射程ミサイル配備反対!と、殺すことも殺されることも反対という普遍的反戦闘争の位置を獲得しつつある。
射程1000qの12式ミサイル能力向上型配備反対の熊本・健軍駐屯地包囲行動は、2月23日、再び1200人の決起となった。2月22日には舞鶴トマホーク配備反対の運動が始まった。3月11日は福島第一原発事故から15年になる。原発事故も、アジア太平洋侵略戦争も15年たてば80年たてば無かったことにする為政者・権力者の策謀は、人類の英知の中で必ず破綻する。
戦争と貧困に反対する社会運動・政治運動を、現場からボトムアップで作り直していこう。そうすれば未来は我々のものである。

2面

軍事大国化につき進む高市政権
敵基地攻撃の長射程ミサイル配備

2月18日、第2次高市早苗政権が発足した。2月におこなわれた衆議院選挙に大勝し、この政権はますます軍拡に邁進し、戦争態勢の構築を推し進めている。
いきづまる資本主義体制のなかで、極右ポピュリズム政権の誕生は象徴的な意味合いを持っている。日本資本主義は今までどおりの体制が維持できなくなっている。
高市政権が誕生して4カ月。国会内で反原発勢力は大幅に減少している。しかし、闘う人民にとって革命情勢が到来している。高市内閣を打倒して、戦争を阻止する。このような情況をつくりだそう。

長射程ミサイル配備反対掲げ2700人が祝園へ(25年10月19日 京都府精華町・けいはんな記念公園)

T 「安保・防衛政策」の動き

「安保・防衛政策」の動き

第1次高市政権は10月21日に発足した。その前後から、政府の安保・防衛政策がおおきく変動している。その動きを簡単に振り返っておこう。
◇「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」報告書
2025年9月19日に、「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」の報告書が出された。このなかで、6項目の提言がおこなわれている。そこで、@無人機の導入、A長射程ミサイル垂直装置(VLS)搭載潜水艦の保有、その動力に原子力も検討する、B軍事産業を強化するために「国営工廠」を設立する、C武器輸出要件を撤廃する、D防衛費を増加する、などがあげられている。

◇連立政権合意書
2025年10月20日、自民党と日本維新の会の間で、12項目の「連立政権合意書」が結ばれた。この合意書の「外交・安全保障」において、次のような事項が合意されている。@安保3文書を前倒しで改定する、A敵基地攻撃能力を持つ長射程ミサイルなどの整備と進展をおこなう、B長距離・長期間の移動や潜航を可能とする次世代の動力を利用した潜水艦を保有する、C武器輸出3原則の運用指針を見直し、「5類型」を撤廃する、D防衛産業にかかわる国営工廠および国有施設の民間操業に関する施策を推進する、E自衛官の処遇改善を含む人的基盤の抜本的強化をおこなう。
◇日本成長戦略本部
2025年11月4日、「日本成長戦略本部」が発足した。高市政権は17の戦略分野を重視している。先端科学技術(AI・半導体、量子技術、造船、核融合、航空・宇宙、重要鉱物・素材、航空・宇宙、創薬・先端医療)、資源・エネルギー・GX、防災・国土強靭化、防衛産業、情報通信などだ。このなかに防衛産業がはいっている。
◇「存立危機事態」発言
2025年11月7日、高市首相は国会で次のような答弁をした。「戦艦を使って、武力の行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になりうるケースだ」。中国政府から抗議がおこった。高市首相は「発言は従来の政府解釈を変えるものではない。米軍が中国軍から武力攻撃を受けた場合に存立危機事態になりうる」と釈明している。政府は存立危機事態を「密接な関係にある国(米国)の艦船が攻撃された場合」と定義している。
2014年7月、安倍晋三首相(当時)は「存立危機事態になれば、集団的自衛権は行使できる」として、憲法を解釈しなおした。これはあくまでも政府のペテン的な解釈であり、このような憲法解釈は成り立たない。2015年9月、安倍政権は人民の反対を押し切って、安保関連法制を国会で強行成立させた。
高市答弁では、「米軍が攻撃された場合」が明示的に述べられていない。高市は台湾に住む人びとの生活を考えて、このような発言をおこなったのではない。「台湾が攻撃された場合に、日本は存立危機事態になる」と発言している。日本単独でも中国を攻撃する。これが高市の頭の中にあり、高市は戦争をやろうとしている。
◇所信表明演説
昨年10月24日、高市首相が所信表明演説をおこなった。このなかで高市は「安倍政権2・0」政策を展開した。外交・安全保障において、@軍事費の対GDP(国内総生産)比2%を今年度中に前倒しして達成、A「安保3文書」を26年度に改定、B軍事生産基盤・技術基盤を強化、C自衛官の処遇改善、などを約束した。
今年2月20日におこなった施政方針演説では、高市政権は「防衛力の抜本的強化」を強調している。

U 高市政権の戦争政策

資本主義がいきづまっている。新自由主義が破産し、これに代わる新たな制度も見えない。日本資本主義は国際競争力をなくし、支配階級はあらたな利潤の源泉をもとめて、軍事国家化につき進んでいる。
1930年代と同じような情勢になっている。世界でファシズム体制がつくられていった。1868年以降、日本資本主義は戦争をおこない、戦争に勝つことによって、国内の戦争体制を作りあげていった。では、高市政権は何をおこなおうとしているのか。
◇軍事費(防衛費)を増額
補正予算によって、高市政権は対GDP比2%を今年度中に達成する。軍事費は11兆円になる。高市政権は、新たに対GDP比で3・0〜5・0%に軍事費を拡大しようとしている。これをおこなうために、社会保障費や養育費を削減する。軍事費をふやすために、所得税の増税が検討されている。人びとの生活を犠牲にして、国家予算を軍事費にまわす。 ◇「安保3文書」改定
高市首相は「安保3文書」を2026年度中に改定する。その中身は、@防衛費の新たなGDP比を定める、A非核3原則を見直す、B無人機による新しい闘い方を強調する、C継続戦闘能力を強化する、D原子力潜水艦の保有を検討する、E戦略物質の供給網を強化する、F武器輸出3原則を緩和する、など。
◇敵基地攻撃能力をもつ長射程ミサイルを配備
12式地対艦誘導弾能力向上型が、今年3月に健軍駐屯地(熊本県)に先行配備される。来年度以降に、湯布院駐屯地(大分県)にも配備される。将来的には勝連分屯地(沖縄県)も検討している。
新たな長射程ミサイル(高速滑空弾、極超音速ミサイルなど)を開発する。さらに、長射程ミサイルを搭載した攻撃型潜水艦も検討されている。こうして、専守防衛の国是はすてさり、自衛隊は侵略軍隊に変わっていく。
◇「非核三原則(持たず、作らず、持ち込ませず)」見直し
高市は、非核三原則の「持ち込ませず」をなくしたい。高市の狙いは核武装なのだ。高市は核共有を言いながら、日本独自の核保有を狙っている。
しかし、アメリカの原子力空母が日本に寄港する時に、核兵器は搭載されている。核は持ち込まれている。日本政府は「米国側から事前協議がないので、核の持ち込みはない」と言ってきている。高市政権は、この点を問題にするべきではないのか。
広島と長崎の被爆者は「世界から核を廃絶する」運動をおこなってきた。非核三原則をなくそうとする高市政権にたいして、被爆者は怒りを表明している。核兵器禁止条約を批准しない日本政府を糾弾している。
◇原子力潜水艦の保有
原子力潜水艦の保有は、安倍政権の時代から検討されてきた。高市政権になってから、この議論が大きくなった。原子力潜水艦と核保有はセットになっている。高市政権は核武装を狙っている。
原発は核兵器を持つためにおこなわれている。日本政府は原発を動かすことによって、潜在的核武装能力を保持している。このために、高市政権は原発推進政策を推し進めている。
◇「武器輸出三原則」を撤廃
高市政権は武器・兵器を自由に輸出できるようにしたい。そのために、武器輸出を制限している「5類型」(救難、輸送、警戒、監視、掃海)がじゃまになっている。これをなくそうとしている。
現在の「武器輸出三原則」においては、同盟国や同志国との共同開発・生産であれば、殺傷能力のある兵器であっても、相手国に輸出が認められている。この「抜け穴」を利用して、オーストラリアに「もがみ」型フリゲート艦(FFM)を輸出する。3隻は日本で、8隻はオーストラリアで建造する。また、政府はフィリピンやインドネシアにたいして、兵器の輸出を持ちかけている。
すでに「死の商人」は復活している。日本資本主義は軍需産業で生き延びようとしている。こうして、軍需産業の利益のために、戦争が必要になってくる。 ◇軍需産業を経済政策の柱に
高市政権が重点投資対象に選定した「17分野」は、ほとんどが軍事にかかわっている。高市政権は軍需産業を経済政策の柱に位置づけ、軍需産業の強化をめざしている。
◇警察国家化
戦争を準備するとともに、国内を戦争できる態勢に変えていこうとしている。スパイ防止法はこのために必要なのだ。また、スパイをとりしまるために「国家情報局」を創設しようとしている。高市は「日本国国章損壊罪」制定を言っている。警察国家化が狙われている。
◇愛国主義、天皇制イデオロギー
外国人に関わる制度の「適正化」を進める。外国人政策では、高市政権は排外主義をあおっている。施政方針演説で、高市政権は皇室典範の改定を主張している。天皇制ナショナリズムを復活させようとしている。

V 政府の戦争を止める

昨年2月、〈戦争とめよう!沖縄・西日本ネットワーク〉がつくられた。共同代表の具志堅隆松さんは「わたしたちが主権者なのであり、わたしたちは政府の方針に従わされる存在ではない。戦争をしたくない。わたしたちが政府に抗議行動をして、この政府の戦争を止めるのだ」と語っている。
同ネットワークでは「長射程ミサイルの配備に反対」、「わたしたちは再び加害者にならない」、「知り、つながり、行動する」、これが合言葉になっている。人民の力によって、政府の戦争を止めよう。
全国各地で自衛隊基地が強化され、市民の怒りが巻き起こっている。健軍駐屯地(熊本県)では、長射程ミサイルの配備に住民が反対している。昨年10月、京都府祝園弾薬庫に反対する10・19集会には2700人が集まった。闘いの機運はもりあがっている。
高市首相は「強気でおしていけば、なんでもできる」と思っている。高市は右翼性を打ち出すことによって、男社会の政治のなかを勝ち抜いてきた。人民の声を聞かないで、この「強さ」をアピールするしかない。高市政権を人民の力で打倒しよう。(寺田理)

3面

福島第一原発事故から15年
反戦闘争と反核闘争を一体で

原発廃絶の闘いは続く
(25年11月30日 福井県高浜町)

2026年3月11日、東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から15年。福島原発事故は、人びとの記憶から消えかけている。被害当事者はけっして忘れることはできない。現在も、福島県内外に約23700人(25年11月1日現在)が避難しているとされているが、実態はさらに多い。
福島原発事故から11年目の2022年12月、岸田文雄首相(当時)は「原発を維持し、新増設をおこなう」政策に転換した。こうして、政府は第7次エネルギー基本計画(25年2月)で、原発を「最大限活用する」方針を打ち出した。
この2月9日、原発事故はなかったかのように、東京電力は福島原発事故後はじめて柏崎刈羽原発を再稼働させた。反原発の闘いが求められている。

福島の現状

原発事故から15年がたち、あたかも廃炉作業がすすみ、復興が進んでいるかのように報道されている。福島の被害地はどうなっているのだろうか。昨秋、飯舘村の山でとれた松茸は食品基準値(1sあたり100ベクレル)の100〜400倍に汚染されていた。
大熊町では、商店街があった一帯はUR都市機構が土地を取得して、大きな多目的施設が建設されている。
しかし、住民は30%程度しか帰還していない(飯舘村25%、浪江町11%、大熊町8%、双葉町3%)。旧住民は戻らないで、新住民が移り住んでいる。帰還した人たちも、その生活はけっして15年前に戻れない。

福島第一原発の今

福島第一原発では、廃炉作業がおこなわれている。現在、事故をおこした1〜4号機はカバーですっぽり覆われており、かつての惨状は見えなくなっている。今年6月頃から、2号機のプール内にある使用済み核燃料が取り出されるという。この作業が終わってから、1号機の使用済み核燃料が取り出される。
廃炉工程において、最大の難関は燃料デブリ(約880トン)の取り出しだ。2024年9月に東電は取り出しに成功し、約0・7g(大きさ約9ミリ)のデブリを取り出した。25年4月にも少量を取り出している。
これらは「廃炉作業が順調に進んでいる」という、東電のキャンペーンに過ぎない。取り出し工事の工法でさえ、まだ決まっていない。東電の「廃炉中長期実行プラン」(24年11月)は「絵にかいた餅」であり、実現不可能だ。

ALPS処理汚染水

放射能汚染水を太平洋に投棄することについて、地元の漁師は容認していない。漁師や住民の反対をおしきって、2023年8月から東京電力はALPS処理汚染水の海洋投棄を強行している。その量は、2025年12月末までに約13万3300立方メートルになった。
ALPS処理汚染水は直接に核燃料に触れた核汚染水であり、長期的な生態系への影響はまったく分かっていない。核汚染の影響が出てきたら、その時に対処方法を考える。このようなやり方は許されない。

中間貯蔵施設にある汚染土

中間貯蔵施設の汚染土は1400万立方メートルにのぼる。この汚染土は2045年までにすべて県外に持ち出すことになっている。
政府は除染と汚染土の「再生利用」をセットに考えている。現在、政府(環境省)は汚染土の「再生利用」キャンペーンをおこなっている。1sあたり8000ベクレル以下の汚染土を「復興再生土」と呼んで、全国の道路など公共事業に使おうとしている。
クリアランス・レベル(1sあたり100ベクレル)は守られていない。8000ベクレルから100ベクレルになるのに、約190年もかかる。政府はこれを「復興ビジネス」にしようとしている。とんでもないことだ。

311子ども甲状腺がん裁判

県民健康調査は、甲状腺がんを見つけるためにおこなっている。昨年7月、福島県の「県民健康調査」甲状腺検査評価部会は、新たな「部会まとめ」を発表した。ここで「放射線の影響は考えにくい」と結論しており、今までの主張を追認している。県民健康調査において、子ども約38万人(事故当時18才以下)のうち、407人に甲状腺がんが見つかっている。甲状腺検査評価部会はこの事実を謙虚に受け止めるべきだ。
Aさんは小学校6年のとき福島原発事故にあい、高校2年生の時に甲状腺がんが見つかった。Aさんは医師から「この大きさになるには10年以上かかる。がんは原発事故以前にできたもの」と説明されていた。
Aさんは「311子ども甲状腺がん裁判」で、次のように陳述している。「1回目の検査の時は、がんどころか、結節もありませんでした。わずか2年で1pのがんができたのです。しかも、リンパ節転移や静脈浸潤がありました」。
甲状腺がんは「過剰診断(潜在がん)論」で説明されている。これは「潜在がんは進行しないので、そのまま放置しておいても大丈夫。この潜在がんを見つけて、不必要な手術している」というもの。Aさんの証言にあるように、甲状腺がんは潜在がんではない。

原発事故避難者訴訟

2022年6月17日、最高裁は「国に責任はない」との判断を示した。以降、原発避難者訴訟では「国の責任を認めない」判決が定着している。
ひとたび原発が事故をおこしたら、どのような事態になるのか。チェルノブイリ原発事故と東京電力福島第一原発事故は、おおきな犠牲のうえに指し示している。
科学技術は事故を教訓にして改良を積み重ねてきた。しかし、原発は事故をおこしてはならないから、技術として発展することができない。
福島第一原発事故は、地震と津波による原発震災という問題を突き出した。日本列島は地震の巣のなかにある。17カ所に原発敷地がつくられている。このうち、女川(2回)、志賀(2回)、柏崎刈羽(1回)、福島第一(1回)の4カ所で、基準地震動をこえる地震が今までに6回もおきている。
この事実を真摯に受け止めるべきだ。これを教訓にするならば、原発は即時に停止し、廃炉にする以外にない。

イノベーション・コースト構想

政府と福島県は「福島イノベーション・コースト構想」をかかげ、原発過酷事故被害者をおきざり、見捨てて「産業復興」などと言っている。廃炉ビジネスと軍需のための最先端産業をここに誘致する計画だ。南相馬市には、航空宇宙産業やロボット産業が進出している。
浪江町に「福島国際研究教育機構(エフレイ)」がつくられる。ここでは廃炉ビジネスのために、さまざまな研究がおこなわれる。500人の研究者を集める方針だ。
こうして、高市政権の構想する「福島の復興」は、被害者を見殺しにした軍需産業の街づくりであり、軍需にかかわる最先端技術の育成だ。

反原発の闘い

チェルノブイリ原発事故が起きてから、原子力発電は衰退してきた。だが、地球温暖化対策にからめて、原発推進国で「原子力ルネサンス」がキャンペーンされている。「発電時に二酸化炭素を出さない原子力発電」を推しだしている。
福島第一原発事故当時、世界で432基の原発が営業運転されていた。現在、これが417基に減っている。中国は17基(2011年当時)から56基(24年12月)に増加させているが、世界的には原発は減少している。計画中の原発は、中国(36基)、ロシア(14基)、インド(12基)などだ。
太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーが安くなり、発電としての原発は魅力をなくしている。むしろ、原発は軍事目的としてつくられている。 日本政府は「潜在的核武装」を「国是」にしている。高市政権は、ますます原発を推進するだろう。人民が抱いている矛盾は、原発推進勢力(政府、電力会社)に「原発依存をやめろ」と要請せざるをえないことだ。政府や東京電力に頼るのではなく、人民の力で決められない。この現実を変えるにはどうすればよいのだろうか。
原発をなくす闘いは、政府を変える闘いのなかで実現できる。反戦闘争と反核闘争を一体にして、福島第一原発事故を繰り返さないために、反原発闘争を推し進めていこう。
福島原発事故は「核と人類は共存できない」「地震列島に原発を建てることはできない」、このことを教えている。福島原発事故から15年。この2月9日に東電は柏崎刈羽原発を起動させ、原発運転を再開した。こうして、政府と東電は福島原発事故を忘れたことにして、原発を推進している。
また、中部電力は浜岡原発で基準地震動のデータを捏造していた。この1月に、その事実が発覚した。電力会社は安全性を考慮することなく、原発を動かそうとしている。今、人民の闘いが求められている。

4面

〈投稿〉
沖縄振興策・米軍再編交付金と名護市長選(上)
名護市在住 島袋利久

翁長クミコ候補の出発式(1月18日 名護市)

名護市長選挙、過去最低の投票率

2026月1月18日告示、25日投票日の名護市長選挙は3選を目指す渡具知武豊(64才)と名護市議3期15年の翁長久美子(69才)の一騎打ちになりました。なんと、25日投票締め切りの午後8時の開票と当時に渡具知武豊氏の当選確実が出ました。
渡具知武豊2万9票。翁長久美子1万543票。渡具知氏は翁長氏に9466票の大差で当選を果たしました。2022年市長選は渡具知氏VSオール沖縄・岸本洋平氏の時は渡具知1万9524票対岸本1万4439票で、5085票差で渡具知氏が当選しました。今回、投票率は前回の68・32%から7・57%下がり60・75%で過去最低でした。
その内訳は、前回より渡具知氏は485票の伸びで、オール沖縄は3896票減り敗北しました。名護市長選挙は3連敗になり、沖縄11市、那覇、浦添、沖縄、宜野湾、南城、うるま、豊見城、糸満、石垣、宮古島、名護市とオール沖縄の市長はゼロになりました。
昨年の参院選で高良さちかさんが当選し、その勢いに乗りオール沖縄の復活を期待しましたが、大差での敗北は決してオール沖縄勢力が善戦したとはいえぬ結果になりました。

名護市民の選択

現職の渡具知氏は自民、公明、国民、維新推薦。翁長氏は立憲、社民、共産、社大党の推薦を受けたオール沖縄の候補者です。大きな政策の違いは辺野古新基地反対。米軍再編交付金の活用や制度の是非について意見が分かれました。渡具知氏は2018年の市長選挙から一貫して「辺野古新基地建設」問題ついて賛否を表明せず、その結果「国がお金をくれるならば断る理由がないと」年間15億円の再編交付金を受け取っています。その再編交付金を原資に3つの無償化=保育、学校給食、子ども医療に活用しました。国からお金を受け取ることが基地建設に賛成・容認と受け止められることは事実です。しかし、渡具知氏は8年間も否定しています。
翁長久美子さんは再編交付金制度について、「市長の国への協力度で配分され、地方自治に反する」として反対しています。ちなみに、稲嶺進元名護市長は2期8年、辺野古新基地反対で当選しました。そして、稲嶺進元市長は政府からの「再編交付金」を打ち切られましたが、自主財源で2期8年間、市政を担って来た実績がありました。渡具知氏は再編交付金制度について「国の判断で交付されている。反対でも賛成でもない」と辺野古新基地問題から目を背け事実上、基地容認をすることにより再編交付金を得ています。基地容認を明言すると市民や公明党の票が逃げてしまうから曖昧な政治姿勢を貫いてきました。
渡具知氏は2期8年の実績=3つの無償化を前面に押し上げて平和や基地問題よりも生活を打ち出し、国からの財源を得て「公約の9割を実現または着手した」と実行力をアピールしました。それは、辺野古新基地建設に協力する見返りに国が市に支払う再編交付金で実施する「子育て、給食、医療の3つの無償化」の継続を名護市民に約束し、「交付金に反対する翁長久美子氏が当選すれば継続が困難になる」と市民を利益誘導し再編交付金の受け取りを基地問題から引き離し訴えました。
自公政権は2018年から2024年までの7年間に渡具知市政に交付した再編交付金は約119億2千万円になります。更に、「防衛施設周辺補助事業」を充て実現した新たなゴミ処理施設などもあります。なぜ、ゴミ処理場建設に「防衛予算」を当てるのか疑問です。
辺野古米軍基地建設と沖縄振興予算を連動させる「リンク論」は、政府が辺野古移設(普天間飛行場の代替施設)の受け入れと引き換えに、有利な経済振興策を提示する構造を示す。政府は公式には関連を否定しつつも、実質的には辺野古新基地反対派の知事に対して振興予算の減額や見直しを示唆し「アメとムチ」として活用して来た事実がある。
例えば2014年辺野古埋め立てを承認した仲井真知事に対して政府は沖縄振興として3501億円の交付金を計上しました。
2010年稲嶺名護市長が誕生すると「再編交付金」を停止し、2014年の市長選に自公推薦の末松文信氏が敗れると久辺3区(辺野古、久志、豊原)に市の頭越しに直接補助金を交付する枠組みを新設してお金をばらまきました。名護市には55区の行政区がありますが、基地建設当該地域である久辺3区を懐柔するために「補助金」を交付し始めたのです。
その後、辺野古新基地反対の翁長知事、玉城知事が誕生し、2025年には沖縄振興資金は何と2684億円と政府は毎年減額し、仲井真知事からの「沖縄振興策」資金から数えると814億円を減らしました。沖縄県、名護市は政府の「アメとムチ」による恣意的扱いによる兵糧攻めにあい屈服を迫られてきたのです。しかし、玉城デニー知事は沖縄の「民意、自治、尊厳を守る」と訴えて闘ってオール沖縄をまとめて来ました。
2023年自公政権は「沖縄振興特定事業推進費市町村補助金」制度を新設し、沖縄県、玉城知事の頭越しに直接市町村に「補助金」を分配するシステムを作りました。41市長村長会は振興特定推進費を獲得するために首相官邸に赴き沖縄選出の自民党国会議員の立ち会いのもとで交渉をしている有様です。自民公明党議員が得意げに良く言う「政府と太いパイプがある」とはこのようなものです。自公政権は、このように「振興予算」をエサにして沖縄をコントロールして沖縄県民が選出した知事が持つ地方自治権を侵害しているのです。

[注]米軍再編交付金は2007年度に制定された「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法」に基づき在日米軍再編に伴い施設建設や機能強化の影響を受ける自治体へ国から支給されるお金です。公共施設整備、生活利便性向上、産業振興事業に活用され施設整備計画(辺野古新基地建設等)の進展や協力度に応じて交付期間・額が決定されます。出来高払いで政府が名護市の基地建設推進に協力度が高いと認めれば金額も多額になり増えます。

自公政権は辺野古新基地建設に反対しない=事実上の容認、推進の渡具知市長に年平均、約18億円相当のお金を振舞い地元の反対の声を抑え込み、辺野古新基地建設を推進しているのです。逆に言えば渡具知市長は政府からの再編交付金及び補助金が無ければ「公約」の3つの無償化などの市政の運営をもできないことを証明しています。
ちなみに、名護市議会一般質問の時、オール沖縄市議による市長への基地問題に関する質問の回答に窮した時に市長は必ず「休憩」を取り常時、渡具知市長の席後方にいる政府総務省から派遣された職員、山仲祐美(東大卒の官僚)が市長に回答する内容を伝え渡具知氏はその指導助言に従い質問に応える場面が多々あります。
ぜひ名護市議会を傍聴し、この事実を確認してもらえれば理解できるはずです。渡具知氏が政治判断を議場にて政府総務省からの官僚(随時2年半で交代)の意見に従い答弁する姿を見れば、渡具知氏は政府に指導されている「傀儡」市長である事をリアルに確認できます。おそらく日本全国の市議会内での一般質問ではあり得ない光景です。まるで、防衛省の隠れ出先機関の名護支局としてあるようなものです。

「基地反対か振興策か」名護市民の混乱と分断の30年

米軍普天間飛行場の移設問題が起きた1997年普天間移設に伴う名護市東海岸の海上ヘリ基地建設の賛否を問う市民投票で反対数が過半数を占め民意が示された。しかし、当時の比嘉鉄也市長が3日後に首相官邸に赴き「10年間で1000億円の北部振興策」を取り付け基地建設を受け入れ市長を辞任してしまった。
翌1998年の市長選では比嘉市長から後継指名を受けた岸本建男助役が市長選に立候補し移設反対を掲げる玉木県議を破り市長に就任しました。そして、岸本市長は1999年12月に7件の条件を付けて移設を受け入れました。そして、政府は10年間で1000億円の北部振興策を開始しました。
同事業の期限が切れた2010年の市長選では当時の鳩山民主党政権が普天間移設は「最低でも県外、国外」と公約を上げたことを背景に稲嶺進氏は「海にも陸にも基地は造らせない」と公約を掲げ辺野古新基地建設反対を訴え当選しました。しかし、民主党政権は辺野古移設容認に代わりそれまで市に支払ってきた「北部振興策再編交付金」を停止しました。
2013年11月25日石破茂幹事長は沖縄選出国会議員の西銘恒三郎、島尻安伊子、国場幸之助、宮崎政久、比嘉奈津美を自民党本部に呼び出つけ、5人の国会議員を後ろに従え「辺野古移設反対」の公約を破棄させました。巷では「平成の琉球処分」と言われ、ウチナンチューは新聞紙上の5人のうなだれている写真を見て誇りを傷付けられたものでした。しかし、5人の自民党議員は民主党政権が「辺野古容認」に代わり対抗するために「辺野古反対の公約」を掲げ当選したのですが、自公政権の辺野古新基地建設容認・推進の立場でしたので先祖返りしただけです。
2026年2月衆院選では沖縄全4区で島尻安伊子、国場幸之助、西銘恒三郎、宮崎政久氏は堂々と辺野古推進を公約に挙げ「見事」に当選しました。ちなみに、県選出の辺野古反対のオール沖縄勢は4選挙区で全て敗退したことは衆知の事実です。(衆院選の分析は別稿で)
2013年12月の5人の公約破りに雪崩を打って沖縄自民党は辺野古容認になりました。
極めつけは仲井真弘多沖縄県知事が辺野古推進に大きく舵を切り、わざわざ仲井真知事は化病を使い、車椅子に乗り安倍晋三首相を官邸に訪ね「辺野古埋立て承認」を伝えに行きました。
仲井真氏は「辺野古埋め立て承認と引き換えに安倍晋三から、毎年3000億円の沖縄振興予算を約束され「有史以来の振興予算、これで良い正月を迎えられる、140万県民を代表して感謝する」とはしゃぐ姿にウチナンチューのプライドが傷付けられました。
翁長雄志当時那覇市長は「仲井真さんにこの選挙でやめてもらいましょう、あの人に良い正月を迎えさせることはできません」と県民に訴え見事、10万票の大差で仲井真氏を沖縄県知事から引き落としウチナンチューの誇りを回復させました。
安倍はこの時に沖縄振興策でウチナンチューの心を買収することはできなかったのです。
2014年の名護市長選では、政権に復帰した自民党が市政の奪還を目指して大物国会議員を名護に入れ、大型振興策をアピールし、当時の石破茂幹事長は500億円の「名護振興基金構想」を打ち出しました。さすがに露骨に「札束」で名護市民をひれ伏せさせようとする「ヤマト政権」に対して名護市民は誇りを持ち、怒りを爆発させ稲嶺進市長を再選させたのです。
それでも安倍自公政権は執拗に名護市民を切り崩し、分断をはかり続けました。
2015年には久辺3区(辺野古、豊原、久志人口2000人弱)を対象に補助金を市の頭越しに直接交付する制度を創設し「お金」をばらまいています。
最近の久辺3区での主な米軍再編交付金関連事業は地域コミュニティ、行事運営、公民館修膳、カメラ設置約25億円。辺野古漁港多目的運動広場整備約7・1億円。辺野古地区市道整備約3・3億円。久志区防災機能強化整備2・7億円。(名護市公表資料より)
2016年9月8日、「日米地位協定の見直し及び基地の整理縮小に関する県民投票」では「基地の整理縮小と日米地位協定の見直しの賛成票は48万2538、反対票は4万6232票で89・09%が賛成しました。
2019年2月24日「辺野古新基地建設の是非を問う県民投票」で新基地反対が71・74%を占め、辺野古NOの民意が改めて示されました。

狙われた辺野古(海兵隊キャンプ・シュワブを誘致)

辺野古部落の入口に「WELCOME APPLETOWN」と書かれた約10メートルの鉄塔が立っています。そこにはアップルタウンの由来が簡単に書かれています。
1957年辺野古は将来の展望に立ち、地域開発を進めるためと市計画委員会を設置して現在のこの地区の宅地造成をした。この事業は辺野古の知恵と団結、そして、米軍、特に米民政府と土地課長アップル中佐が造成事業に理解を示し、重機等の貸付におしみなく協力してくれたことにより実現した。この功績を讃え「アップルタウン」と命名したとあります。
1950年代は米軍による「銃剣とブルドーザー」で県民の土地が力ずくで取り上げられた時期で、「島ぐるみ」の闘いで沖縄人は土地取り上げに激しく抵抗していた頃です。
辺野古区の歴代の有力者である区長、行政委員長等は「基地建設に反対しても土地を取られて基地を造られてしまうのならば、条件を出して利益に変える方が得策」だとして、基地を受け入れました。
こうしてできたキャンプ・シュワブは、地元民が誘致し建設された沖縄では唯一の米軍基地なのです。
1956年11月辺野古区長ら5人の「土地委員会」は米軍の極東ラジオ放送を通じてキャンプ・シュワブ基地建設のために「米軍による土地接収に賛成する」と声明を発表しました。この放送は「島ぐるみ闘争」の闘いに分断と不信感を持ち込むことになり、これに憂慮した琉球立法議員団は「土地四原則貫徹運動」に水を差すとして辺野古の「土地委員会」に面談を求め「米軍との契約を止めるように」と説得しに来ましたが、「土地委員会」は面談を拒否し、議員団を門前払いにして米軍に土地を提供しました。
1959年9月3日、アメリカから海兵隊員2千人がキャンプ・シュワブに駐屯してくるのを辺野古区民は幟を上げて大歓迎したと「辺野古区史」に書かれています。同10月、辺野古弾薬庫と海兵隊基地が完成しました。
1964年ベトナム戦争が激しくなり辺野古社交街は米兵があふれ町では肩と肩がぶつかるほどに2千人のアメリカ兵達で混雑していた。この頃の有名なエピソードを一つ紹介します。アメリカ兵専用のAサインバーでは「大きなバケツにドル札をボンボン踏みつけていっぱいにするんだ。金庫なんかに入れている暇がないほど一晩で儲かった」と言われていました。「基地が出来れば町は繁盛する」と誘致派の住民は言っています。辺野古には「イタリアンレストラン」という食堂があります。この店はかつてのAサインバーでした。食堂のカウンターの後ろに1ドル札がたくさん貼られています。よく見ると名前が書かれています。なぜか?若き兵士が戦地に行きまた戻ってくると念じた「お守り」なのでしょう。しかし、米兵は戻ることなく1ドル札を手にすることが出来なかったのです。このような死地に行かせられる兵隊の心情を考えることなく、「あの頃は儲かった。もう一度あの頃の様に辺野古に繁栄を」と戦争のための新基地を推進する事は人間の命を軽視することになります。

辺野古の住民支配

辺野古区の最高決定機関は区民大会ではなく行政委員会です。行政委員会は旧住民、区長、班長、軍用地主、議員、青年、婦人、老人会長及び学識経験者(役員手当あり)18人で構成されています。それ以外の住民は50年辺野古に住んでいても「寄留民」として扱われ区の決定機関から排除されます。辺野古区には年間2億円の軍用地料が入ります。その分収金の配分を寄留民に奪われないように旧住民が独占体制を維持しています。
辺野古区は「入り会地」を軍用地として提供する際に、一部の土地を各世帯の人数に応じて分筆しました。このため、当時の住民は軍用地料の恩恵を受けましたが、新住民=寄留民として排除され恩恵から外されています。この矛盾が辺野古基地問題に有形無形に区内で起きています。
辺野古区では毎年4月に住民大会が開かれますが、事前に議題は行政委員会によって決められ質問は原則無し、議案書は受付時に渡されますが持ち帰りは不可。大会時間2時間程度だけ見ることが出来ます。大会が終ると出口でお米5キロ配布されます。
行政委員会の委員になれる資格は辺野古選出議員、区長、班長(10人)青年、婦人、老人会。内輪で推薦し持ち回り、議題を提起するには各班で議論しますが、区にとって都合の悪い議案は却下され大衆討議にはならない。その為に、敢えて行政委員の意見に反対などせずに周囲と協調することになります。区民大会は行政委員会からの決定事項を承認する場なのです。(つづく)

5面

名護市長選 結果を考える
基地容認しないの声過半

▼1月25日 任期満了に伴う名護市長選挙が投開票され、渡具知武豊さん(自民、公明、国民民主、維新推薦)が3期目の当選を果たした。翁長久美子さん(共産、立民、社民、社大推薦)と伊波勝也さんは敗れた。
渡具知さんは、三つの無償化の継続や物価高対策の商品券配布などを訴え、あらゆる財源を活用するとし米軍再編交付金も財源の一つとする姿勢を示した。翁長久美子さんは米軍再編交付金に頼らない財源の活用を訴えたが届かなかった。
翁長久美子さんの選挙戦は、1月12日の総決起大会から本格的に始動した。名護市大北で開かれた大会には玉城デニー知事はじめ多くの市民が結集した。翁長さんは「財源の確保を明確にし、辺野古新基地に体を張って止めていく」と訴えた。玉城知事は「翁長さんを次のリーダーに」と訴えた。
渡具知さんの決起大会は15日に、公明、国民民主の代表も参加。17日には維新が渡具知さんを推薦。

▼18日の告示日に渡具知さん、翁長さん、伊波さんの3人が立候補。選挙戦は渡具知さんと翁長さんの事実上の一騎打ちに。25日の投開票に向けて各陣営が活性化。
翁長さんは、市内の大北交差点で出発式を開き「辺野古新基地建設には明確に反対し、米軍再編交付金に頼らない財政づくりを目指す。全力で市民のための政治、市民が望む政治を必ず実現する」と訴えた。

▼22日から「三日攻防」に突入。翁長さんは朝から市内各地を巡り、街頭に立ち、住民やドライバーに手を振って「初めての女性市長に押し上げてほしい」とマイクに力を込めた。午前には辺野古の街頭で「子どもたちに基地の負担を背負わせてはならない」と訴えた。

▼24日の選挙戦最終日。翁長さんは市内の白銀橋交差点で打ち上げ式を開いた。イメージカラーのピンク色の鉢巻きや上着をつけた支援者らで交差点の四隅が埋まった。翁長さんや玉城デニー知事が登壇すると大きな拍手が湧いた。翁長さんが「子どもたちの未来に基地はいらない」と訴えると指笛が鳴り響いた。翁長さんは支援者と握手を交わし「必勝、必勝、久美子」のコールに見送られ、最後の訴えに繰り出した。

翁長候補を応援する玉城知事
▼25日の投開票で、渡具知さんが当選、翁長さんは敗北した。しかし、新基地建設反対を訴えた翁長さんに投票した1万543人の市民の声がある。秋の知事選に向けその声は、玉城デニー知事の勝利に結実するであろう。
琉球新報の市長選出口調査では、辺野古移設を容認するかとの問いでは「どちらかといえば」を含め「容認しない」が過半数を占めた。移設反対の玉城知事を「支持する」と回答したのは「どちらかといえば」を含め6割近くを占めた。名護市民の民意が知事選に届くことを祈る。(D)

6面

〈本の紹介〉
『労働組合とは何か』
木下武夫著 岩波新書 2021年

この書は帯に「労働組合は死んだ。だが、その再生こそ民主主義再建には必要だ。必読の書」とある。
「はじめに」で、著者は「今の日本では、多くの人にとって労働組合は縁遠いものだろう。貧しく不安定な生活を抱えている人びとに、労働組合は役に立っていない。現状はそうでも、苦しい状況を乗り越えていく力になるのは、労働組合をおいて他にない。ところが、多くの人は、生活が苦しいのは政治のせいであり、政治さえ変えればよくなると思っている。しかし労働者の働き方を変えられるのは、政治でも、官僚でも、裁判官でも、警察でもないのだ」と断言する。
「労働者の働き方は国家の権力が決定するのではない。労使が交渉し、対立し、そして妥結する。そこで重要なのは、この勝負を決めるのは労使の実力にかかっているということだ。日本では労働組合の力は極端に弱い。それではなぜ弱いのか。実力の弱さの根源には、そもそも日本の労働組合が『本当の労働組合』ではなかったことにある。この本では、この『本当の労働組合』とそれを形成するエネルギーをユニオニズムと呼ぼう」。
実は「本当の労働組合」の「種」は、戦前の日本に持ち込まれていた。だが、その花を咲かせることはできなかった。ではどうすればよいのか。日本的雇用慣行に代わる新しい働き方と暮らし方を構築することが急がれていると。
本書の構成は三つの柱に分かれている。第一は、労働組合の理論を歴史のなかからつかみ取る課題だ。まずは「本当の労働組合」がどのように生まれてきたのか。その歴史をたどる必要がある。第二は、ユニオニズムの理論をつかみとる課題である。第三は、「労働組合の未来を構築していくこと」である。どのようにして「本当の労働組合」を創るのか。その創り方について検討していく。
日本でユニオニズムの花を咲かせることは想像を絶するほどの難事業だ。その歴史的な挑戦のための手引書である、と述べる。
内容的には、労働組合の遠祖・中世のギルドの原理からルーツを探る。「職人組合から労働組合へ」たどり、職業別労働組合の時代として、初期労働組合の形成を主にイギリスを例にしてたどっていく。
第3章では、「労働組合とは何か。この問いには、職業別労働組合の歴史をふまえてこそ答えることができる。職業別組合は『本当の労働組合』だからだ」として、労働組合の機能を分析していく。歴史編ではイギリス、アメリカの歴史をたどって閉鎖的職業別労働組合から全階層の労働組合への発展をたどる。
第6章「分析」では、産業化の新しい段階と産業別労働組合について検討する。
第7章では、日本の企業別労働組合の歴史をたどる。それは、@〈戦前第一期〉「渡り職工」と横断的労働市場、A戦前第二期。戦前期労働運動の高揚と弾圧、B戦前三期・日本的労使関係の戦前期形成、C戦後第一期・「労働運動の高揚と日本的労使関係の形成(1945〜60年)、D戦後第二期・企業主義的統合と労使協調の労働組合(60〜75年)、E戦後第三期・労戦統一と総評解散(75〜90年)、F戦後第四期・戦後労働運動の危機とユニオニズムの創造(90年〜)。
8章で、「日本でユニオニズムを創れるのか」として、分析をおこなう。1897年「労働組合会議」による職業別組合を日本に移植する試みは挫折、戦前期日本で産業別労働組合を確立する運動は1921年の川崎・三菱造船争議で敗北。戦後、全自による産業別労働組合をめざす志は1953年日産争議で敗北したが、それが不可能ではないことを、関西生コン労働運動と弾圧との攻防をたどって展開する。関生運動を知る視点にもなる。また、ゼネラル・ユニオン(一般労働組合)による労働運動の再生にも言及している。
著者は、「労働運動の研究と運動現場をつなぐような立場から書いた。労働運動再生のツールを提供するとして議論の一助としてほしい」という。

労働運動と党

関西生コン労働運動と共産党との関係を例にして、党の介入を非難している。
『レッド』(大庭伸介著、社会評論社、2024年)では、「あとがき」で「党が労働運動をはじめとする社会運動にたいして独善主義、主観主義的な『上から目線』で、セクト的『指導』を免れませんでした」として、「党の現実の闘いと関連させて〈党〉のあり方について真剣に考えて見る必要があるとおもいます」と述べている。党の必要性の上に立って、どう闘いぬくのかを考えなければならない。(原田治)

〈昭和100年〉を撃つ!B
昭和天皇ヒロヒトの正体を暴く

「昭和」を語るうえで絶対に欠かせない人物がいる。昭和天皇裕仁その人である。多くの人は彼について、生物の研究にいそしみ大の相撲ファンであったというイメージを抱いているのではないだろうか。
しかし、それは彼のプライベートの一面にすぎず、虚像であり擬態である。
1945年8月15日まで彼は「大元帥陛下」であった。戦前の彼の写真はほとんど軍服姿である。旧日本軍には陸軍と海軍を統括する機関が存在せず、戦時には天皇に直属する統合作戦本部として大本営が設けられた。平時において陸・海両軍の情報を把握していたのは、大元帥陛下・天皇のみであった。
「帷幄上奏」というシステムがあった。軍機・軍令に関し、陸軍参謀総長と海軍軍令部総長および陸・海軍大臣のみが天皇に上奏することができ、天皇の裁可を得てから内閣総理大臣に報告すればよかった。つまり軍事作戦や軍の編成・配置などは、すべて天皇の承認のもとにおこなわれた。天皇は上奏された内容に不同意であれば、裁可せずに握りつぶした。これは制度上そうであったというにとどまらず、実際にそのようにとりおこなわれたのである。
以下、かなり以前に本紙に記したことをもう一度書く。その典型的実例が、ガダルカナル島の攻防をめぐる天皇の言動である。この島に日本軍が飛行場を築こうとしたが、上陸した米軍によって破壊されてしまった。地上戦において初めて米軍に敗北を喫した陸軍参謀本部は大混乱に陥った。あくまでも残存兵力で死力を尽くして戦い抜くか、それとも撤退するかをめぐって収拾がつかず、天皇の裁可を仰いだのだ。
天皇は同島の戦略的重要性を強調し、断固として死守すべきと参謀本部を叱咤激励した。米軍に制空・制海権が握られているなかで、兵員や武器・弾薬・食糧の輸送・上陸が強行されたが、結果は明らかであった。捕虜になった兵士を除く大半の兵士が餓死した。彼らは戦友の腐乱した死体にたかるウジや、衰弱した自分の体にたかるウジまで口にした。これは運よく捕虜になった総評オルグの先輩から聞いた話だ。私の長兄も餓死したひとりである。
45年7月26日、ベルリン郊外のポツダムで米・英・中国による対日戦争の終結に関する共同宣言が発せられた。しかし天皇は敵に大きな打撃を加えることが先決だと主張し、政府は交渉に応じようとしなかった。日本の首脳部がこだわっていた「国体の護持」が保障されるという感触を得て、ようやく8月14日にポツダム宣言を受諾した。
この間に広島・長崎に原爆が投下され、沖縄が鉄の暴風≠ノさらされ、その他の都市への空爆や艦砲射撃が続行された。人びとの命より天皇制の存続が優先されたのである。
にもかかわらず、日本人のほとんどは、こうした客観的事実に向き合おうとしていない。なぜだろうか。
人民解放を唱え、社会主義革命をめざす〈左翼〉は、この歴史的事実をどこまで真剣に、粘り強く、わかりやすい言葉で多くの人びとに訴え続けてきたか、大いに疑問である。
高市内閣は本気で戦争をやろうとしている。戦争に突入するためには、国民の圧倒的支持が欠かせない。その核となりうるのは天皇以外に考えられない。平成天皇も現天皇も即位に際し、「昭和天皇を範とする」と公言している。
戦争に反対するすべての良心派、とりわけ〈左翼〉は、いま改めて昭和天皇の犯罪的行為を満天下に明らかにする努力が求められている。
大庭伸介

(闘争案内)

とめよう原発!3・7全国集会〜フクシマ原発事故から15年〜
とき:3月7日(土)午後1時 ※午後2時半 パレード出発
ところ:代々木公園B地区(ケヤキ並木・野外ステージ)
主催:3・7脱原発全国集会実行委員会

バイバイ原発 3・7 きょうと
とき:3月7日(土)午後2時
ところ:円山公園音楽堂
主催:バイバイ原発きょうと実行委員会

さよなら原発関西アクション2026
とき:3月8日(日)午後2時 ※デモ出発 午後3時50分
ところ:中之島公園女性像前
主催:さよなら原発関西アクション実行委員会



7面

通信KOSUGIO
これが韓国の運動の強さか!
民主化運動記念館を訪ねて

5・18民主化運動記念館(光州市)

光州・民主化運動記録館

日本軍「慰安婦」問題を取り組む神奈川の人たちとの「韓国の運動を学ぶ旅」、前回、「光州518」見学として、全南大学校〜国立5・18民主墓地〜全日ビルディング245〜旧・全羅南道庁舎を報告したが、今回は光州での最後の見学地「民主化運動記念館」。
光州市は2011年に5・18の記録物がユネスコ世界記録遺産に登載され4年目にして、登載当時に提出した記録と各種資料を一堂に集めて記録館を開館した。 
各種の資料8万余点を原型どおり保存し、同時に一般人に公開するためのもの。銃弾が貫いたガラス窓はそのまま展示。
1階には当時の戒厳軍の蛮行を記録した映像や写真類が。厚いガラスに覆われた床の下にはコムシン(ゴム製の履物)や運動靴、血に染まった靴など。
5月21日午後、戒厳軍の集団発砲時に主人を失った履物を形象化したもの。市民がにぎり飯を作る時に使ったアルマイトの大きなボウルが、ひしゃげた形のまま置かれていた。 6階には 5・18民主化運動時の惨状を知らせるのに大きな役割を果たしたユン・ゴンヒ元カトリック光州大教区長(90)の昔の執務室が復元されている。
盛りだくさんだった光州の見学はここで終わり、11時21分発のKTXで、一路ソウルへ。

ソウル・民主化運動記念館

訪問したのが昨年2025年11月、その年の6月10日に開館したばかりの記念館。
1976年に建てられた「治安本部対共分室」。
1987年には朴鐘哲拷問致死事件が起きたところ。水拷問で殺害された。
建物自体が、過酷な取り調べをするためにつくられており、それをそのまま利用して記念館が作られた。
M1(常設展示・特別展示)、M2(旧治安本部 対共分室)、E(教育棟)がある。M1は「歴史と向き合う低い視線」という意味がこめられた。
M2は「国家暴力の実態とその現場を様々な展示物やメディアを通して見つめ直す」と。正門から連行されたとき外からは突然、姿が消える構造。また、螺旋階段があって「調査室のある5階としか繋がっていない。目隠しされたまま連れていかれると何階へ向かっているのかを察することはできない。鉄の階段に響く音は恐怖を増幅させ、円形の階段は空間感覚を失わせた」という。
朴鐘哲拷問死。服を脱がし手足をタオルで縛り、2人で右腕と左腕を固め、別の一人が両足を抱え、頭を浴槽の水に数回浸けた。何回もの水責めの際に浴槽の縁で胸部を圧迫され窒息した。
拷問死の状況が次第に明らかになって学生市民・野党や在野の金大中氏らが激しく批判し、警察発表に信頼性がないとして真相究明のため国政調査権発動の決議案を提出する。
2月7日全国で追悼集会が開かれる。釜山でのデモを主導した弁護士時代の盧武鉉と文在寅を含む798人が警察に連行される。
その後もソウルを中心に抗議デモがおこなわれ、かねてからの大統領直選制改憲運動と相まって全国に拡大。「4・13護憲措置」により一旦は小康化したが、5月18日に事件の真相が暴露されたことで再び活性化した。
6月9日、翌日に控えた「拷問致死隠蔽糾弾及び憲法改正国民大会」の決起集会に参加した延世大生の李韓烈がデモ中に戦闘警察が水平に発射した催涙弾を頭部に受け、7月5日に死亡。
韓国の民主化運動、1980年「光州518」から、1987年朴鐘哲の水拷問による殺害と、決起集会での李韓烈の催涙弾の水平撃ちによる殺害というまったく痛ましい犠牲もあって、この国の民主化運動がさらに拡大高揚し、6月29日ついに「民主化宣言」が勝ち取られたのであった。

87年6月民主抗争 李韓烈記念館(光州市)

「日本人も民主化闘争をやりなさい」

韓国でのそれぞれの運動、そしてそれらを記憶する記念館、記録館などが光州やソウルを始め、それぞれに多数あって、全国から学生をはじめ、多くの人々がいつも訪れている。
それに対して、この日本、例えば「安保沖縄闘争記念館」とか「2015年戦争法反対記念館」があって学生市民が訪れているということは聞いたことがない。
初めて韓国に行って私が「市民運動をやっています」と自己紹介したとき、それに答えて、「日本人も民主化闘争をやりなさい」と言われた。確かに「そうだ」「これが韓国の民衆運動の強さか」と改めて思った旅であった。(つづく/神奈川・深津利樹)

映画評
『日記 父と母へ』
監督:メーサーロシュ・マールタ 1990年

メーサーロシュ・マールタは、『日記 子どもたちへ』(1983年)、『日記 愛する人たちへ』(1987年)、『日記 父と母へ』(1990年)の三部作をつくっている。これらは、メーサーロシュ・マールタの自伝的な内容になっている。
メーサーロシュ・マールタは、1931年にハンガリーのブダペストで生まれた。母は画家で、父は彫刻家であった。1936年、一家はソ連邦(当時)のキルギスに移住している。1942年に母は亡くなった。父はスターリン主義に批判的だった。父はKGBに逮捕され、45年に処刑された。父と母への想いが、この映画タイトルにこめられている。
メーサーロシュはソ連に留学しているが、スターリン主義にたいして批判的だ。「日記 子どもたちへ」は第2次大戦直後を扱っており、主人公のユリ(メーサーロシュ・マールタの分身)はソ連に批判的な人物として描かれている。すでに共産党(勤労者党)官僚は特権階級になっており、接取した邸宅に住んで、市民とはかけ離れた生活をしている。ヤーノシュと名のる男性(ソ連の傀儡政権に抵抗している人物)に父の姿をみて、ユリは彼にあこがれている。
第3作の『日記 父と母へ』は1990年の作品で、東欧がすでに崩壊し、ソ連邦が解体する直前につくられている。この映画は、1946年のハンガリー蜂起が直接のテーマになっている。

ハンガリー蜂起

1953年にスターリンが死亡し、56年にフルシチョフが「スターリン批判」をおこなう。映画は56年10月23日から始まる。ブダペストの市民が街頭に繰り出している。広場に集まり、スターリンの銅像を引きずりおろす。ソ連軍の戦車がやってくる。この時、ソ連軍は撤退する。しかし、11月4日、ブダペストに侵攻し、市街を砲撃する。
ハンガリー蜂起はだんだん制圧されていく。57年のメーデーには、カーダールが「ソ連とともに進む」ことを演説している。ストライキをしていた労働組合評議会も弾圧されていく。58年6月、労働組合を指導していたヤーノシュがKGBに逮捕され、裁判にかけられ、絞首刑にされる。映画は、ここで終わる。

抵抗する人びと

56年当時、ユリはソ連で映画を学んでおり、12月に帰国した。ユリはレジスタンスの側に立っている。しかし、ブダペストの市民は、ユリに懐疑的な眼をむけている。
映画では、さまざまな人間模様が描かれている。スターリン主義に抵抗し、民族主義をかかげる人たち。労働組合のストライキ。ソ連の戦車に火炎瓶を投げる若者。共産党(ソ連)につく人たち。共産党から裏切られる人。社会主義に幻滅してウィーンに逃げる人たち、ハンガリーに残る人。
1956年12月31日、大みそかの夜に仮装パーティーがおこなわれる。さまざまな立場の人たちが対立をわすれて、ひと時を楽しく過ごす。このシーンだけはメーサーロシュが願いを込めて創りだしたシーンなのだ。

2026年の現実

現在、ハンガリーでは右翼オルバーン政権が権力をにぎっており、ロシアを支持している。ロシアはウクライナで市民を虐殺している。ウクライナでは市民がハンガリー市民と同じように抵抗をしている。資本主義に対して、スターリン主義に対して、人々のレジスタンスは続いている。ハンガリー蜂起で社会主義をめざした人たちの想いは、いまだ達成されていない。(鹿田研三)

8面

戦争・改憲推進の大阪維新
都構想と一体で解体へ

日本維新の会は、高市自民と連立を組み与党となり、現在は閣外協力だが次の内閣改造では閣内協力すると高市と合意した。維新は今回の衆議院選挙で議席は34から36議席に2議席増えた(1議席は自民からもらった)が得票数は比例で約16万票、小選挙区で約230万票(4割)減らした。吉村維新代表(大阪府知事)は高市自民との連立合意書に「副首都構想」を入れ込み、衆院選に便乗し大阪府知事・市長のダブル選をしかけたがすでに失敗状態。極右高市自民の戦争推進・改憲のアクセルの役割を果たしている維新は、高市自民と共に倒さなければいけない。

ゾンビ都構想反対で行動(2月17日 大阪市)

大阪ダブル選は無効票の山

吉村知事は、維新の国保逃れ問題隠蔽のために、突然「もうやらない」と言っていた「大阪都構想」の是非を3度問うとのダブル選をしかけて来た。「都構想」はすでに2015年と2020年、2度の住民投票で否決され決着済みだ。しかも、辞職から告示までに1週間しかない選挙日程とした。この民意を愚弄し、税金28億円ムダ遣いの選挙に批判が集中した。主要政党は候補を立てなかった。
維新内部からも反対され、吉村の一人芝居となったダブル選の投票結果は、前代未聞の無効票の山となった。知事選は投票率56・43%で白票を含めた無効票は41万6783票で、投票総数の10・29%。市長選は投票率55・47%で同じく無効票は17万620票で投票総数の13・77%。吉村知事約302万票・横山市長約83万票で当選したが、有権者の4割の得票しかなく「都構想」は拒否されたも同然だ。しかし吉村知事は「一定の信を得た」と強弁し府と市で法定協議会を設置し、都構想の具体的な制度設計を進め、来年4月8日までの任期中に住民投票すると表明。2月15日、維新の常任役員会で吉村は、都構想が住民投票で可決された場合副首都化のために国政復帰する意向を示唆した。
都構想は、大阪市を廃止し財源を大阪府に差し出して、知事という「1人の指揮官」に権限を集中し、夢洲カジノなどを中心とした都市づくりをおこなうのが狙い。大阪市民・府民は3度持ち出された都構想やカジノに怒っている。都構想を粉砕しカジノを止めよう。

軍需産業を成長戦略に

高市自維政権は、戦争する国造りと新たに軍需産業を成長戦略に据えた。「危機管理・成長投資」と称して重点17分野に「官民連携」で資金を投じる。そのひとつが軍需産業。危機管理とは、いざという時つまり戦争に備えること。日経新聞によれば、危機管理投資の組織のトップは従来の警察庁ではなく防衛省から指名する。「危機管理投資:経済安全保障」「危機管理投資:エネルギー・資源安全保障、脱炭素・GX」などと頭に「危機管理投資」がつけられている。「責任ある積極財政」とは武器生産やその研究開発に多額の税金を投入するということだ。

戦争する態勢づくり

高市政権は、軍事費をGDP比2%にする目標を前倒しして25年度の軍事費を11兆円に増額した。安保3文書改定以降4年間(23〜26年度)で敵基地攻撃の長射程ミサイルに7・3兆円かけて大量のミサイルを開発・配備。2月には小型攻撃用ドローンのオーストラリア製を約310機、約37億円で購入。政府は沿岸を防衛する「シールド構想」を打ちだし来年度予算案に攻撃型ドローン数千機を初めて購入する予算1千億円超を計上。しかしドローン戦の本格的な訓練には広い土地が必要であり、国内の演習場では訓練できない。敵のドローンには電磁波を放って攻撃するが、その訓練も周辺の民間人のスマホやテレビを故障させる恐れがあるので、防衛省では運用計画はなくハリボテ構想と呼ばれている(2/12朝日新聞)。実情に合ってなくてもお構いなしにむだな兵器購入だ。
連立合意書に「国営工廠の促進」があり、戦争になった時、弾薬の安定供給を図るため軍需工場を国有化し運営は民間企業に委託し、弾薬を生産することも検討している。また武器輸出規制の5類型「救難、輸送、警戒、監視、掃海」を撤廃し、殺傷武器の輸出解禁をしようとしている。
しかし軍需産業を経済成長の柱に据え、戦争態勢をつくるほど愚かなことはない。軍需産業を儲けさせるだけで経済成長はせず、人民の生活は破壊される。維新は医療費年間4兆円以上削減を公約にしているように医療・福祉・社会保障はどんどん削られる。

国家情報局創設・スパイ防止法・憲法改悪

国家情報局や対外情報庁、情報要員(スパイ)養成機関を創設する。スパイ防止法を成立させ、市民を監視し国策に反対する者は弾圧する政策を推進しようとしている。スパイ防止法は、参政党・神谷代表が昨年7月街頭演説で、公務員を対象に「極端な思想の人は辞めてもらわないといけない。これを洗い出すのがスパイ防止法です」と言ったように、市民を対象にするものだ。
維新の公約は、憲法9条2項を削除し、集団的自衛権行使を全面容認し「専守防衛」を「積極防衛」に転換する。国防軍及び軍人の地位の明記。専守防衛の国是を捨て自衛隊を戦争をする軍隊に変えようとしている。緊急事態条項の創設も含めて改憲を狙っている。(花本香)

〈投稿〉
『福音派 終末論に引き裂かれるアメリカ社会』(加藤喜之・著)を読む(下)

(承前)パレスチナの現在の悲劇を考えるにあたって、イスラエルのネタ二エフ首相、アメリカのトランプ大統領が、公然と国際法を真摯に顧みず、休戦中でありながら、パレスチナの人々、とりわけ罪のないこどもたちや諸外国の医療従事者、食糧支援団体、ジャーナリストの人々まで、攻撃し、殺害するのは、国際政治或いは、第2次国連、人道主義の枠を踏み越えて、宗教的実存、狂信的超人に至るイスラエル人無答責、さらに帝国主義的侵略者の米大統領。結局、シオニズムのイスラエルとキリスト教福音派の野合の背景をさぐりたい。この書物の前書きで、「福音派(Evangelikals)という名称は、救い主イエスの到来を意味するギリシャ語の「良い知らせ(エヴァンゲリオン)」、すなわち「福音」に由来する。この用語は、16世紀の宗教改革以降、ローマカトリックと区別されるプロテスタント教徒を表す一般的な呼称として使われてきた。しかし「本書で扱う福音派は、アメリカの歴史のなかで独自の発展を遂げた特殊な宗教集団を指す」ので、参考までに本文の引用をしておく。「 」内、引用。

 

「トランプ大統領の決断(米大使館のエルサレム移転)は、イスラエル国家を支援するロビー団体に歓迎されたし、後押しも受けていた。が実際の政策決定には、トランプ周辺のユダヤ人と福音派の複雑な関係がからみあう」。いずれ、ユダヤ・キリスト教の白人支配のナショナリズム勢力の力の政治ではないかと決めつけようとしても、それでは、オバマ大統領の場合は、どうなのか?
「宗派間で争う時代は遠い過去になっていた。カトリック教徒のポール・ワイリヤックが原理主義的なバプティストのジェリー・ファルウェルとともにモラル・マジョリティ運動を牽引した1980年代以降、二つの群れの協力を止めるものはなにもなかった。とくに社会問題では、カトリックが思想的にリードし、福音派が大衆運動で擁護するという図式ができあがっていた。オバマ政権時における『マンハッタン宣言』は、代表的なものだろう。「結局のところ、終末論を信奉する福音派にとって、政治による中東和平など眼中にない。神の終末の計画は、イスラエルの地、とくにエルサレムを中心としたヨルダン川西岸地区を中心に成就することが決まっており、それを妨げるものは何であってもゆるされないからだ。トランプ大統領は、こうした福音派の傾向をよく知っていたがゆえに、政治利用することに余念がなかったのだろう。だが、それ以上に福音派の傾向をよく心得ているのは、ネタニヤフのようなイスラエルの政治家たちであり、エクシュタインらユダヤ教シオニストである。そして、犠牲になるのは、いつもこの地域の平和であり、多くのパレスチナ人だ」。さらに、中絶禁止運動や同性愛禁止運動なども、現状が描かれている。「半世紀近くの月日は、米国の宗教事情を大きく変えてしまった。80年代にはまだ辛うじて成立していた白人プロテスタント文化を中心とした合衆国はもはや存在しないのだ」。「米国文化のキリスト教化をめざす福音派と、リベラルで進歩主義的なカウンターカルチャー勢との対立は先鋭化し、結果、米国社会の分断や分極化は深まるばかりだ。(略)その意味で、福音派の影響力は形を変えながらも、米国の社会構造の中に持続的な痕跡を残し続けており、リベラルな民主主義への挑戦は、まさに終わりなき戦いとなっている」。(南方史郎)

(闘争案内)
原発事故から15年 追悼と東電抗議
とき:3月11日(水)午後6時45分〜8時
ところ:東京電力本店前
主催:経産省前テントひろば/たんぽぽ舎

「3・11」から15年 原発とめようスタンディング
とき:3月11日(水)午後5時〜6時
ところ:大阪駅前・人民広場
主催:とめよう原発!!関西ネットワーク

港神戸を戦争に使うな!3・15布施祐仁講演会
とき:3月15日(日)午後2時
ところ:神戸市教育会館6Fホール
主催:3・15布施祐仁講演会実行委員会