1面
総選挙で独裁権狙う高市を倒せ
軍事大国化・スパイ防止法粉砕
有事法制反対・反原発候補の当選を
高市首相が1月23日に衆議院の解散を強行し、27日公示、2月8日投開票となった。解散から投票までわずか16日間という戦後最短の解散・総選挙である。昨年末までは「解散は考えていない」とし、通常国会召集を1月23日に設定した高市。しかし1月3日トランプのベネズエラ侵攻を機に、自己の統一教会疑惑、維新の国保詐欺が通常国会で大問題になることを見込み、通常国会冒頭の解散を1人で決断した。記者会見では「高市信任」を求める選挙とし、その後は安保3文書改定、スパイ防止法制定などの全権委任=独裁権を求めるとした。
解散決断の最大の原因は、世界帝国主義の争闘の中で、米帝・トランプが4月中国訪問で中国・ロシアとの協商に入り、西半球はアメリカ支配、ユーラシアは中国主導のG2体制に踏み込むことを決断したことにある。昨年首相に就任しトランプと米空母上でピョンピョン飛び跳ねた高市だが、「台湾有事」答弁はトランプに支持されず、年末にはさらなる米帝追従を迫られた。3月アメリカ訪問を前に解散総選挙で高市一強体制を構築しないと、経済破綻・物価高による人民反乱に挟撃され、高市内閣も日本帝国主義が崩壊的危機に至ることを察知しての先制的・クーデタ解散に他ならない。
立憲民主党の歴史的転向
この高市の解散強行に驚き慌てたのは立憲民主党に他ならない。一昨年総選挙では「野党第一党」として裏金自民に怒る得票・議席を得たもののその後1年は何もせず眠ったまま。結果参議院選では選択肢にも上らず、国民民主党・参政党と並ぶ得票数。このままでは消滅の危機感が全党を覆い、同じく衆議院選・参議院選で惨敗した公明党の誘いに応え、選挙協力を越えて、安保法制違憲と原発ゼロをかなぐり捨てて一気に新党結成=中道改革連合の結成を選択した。
昨年末には立憲民主党の創設者=枝野幸男が「安保法制に違憲部分はない」と述べ、2015年安保闘争を闘った市民から厳しい批判がなされた。しかし高市解散=立憲消滅の危機には、これらの市民をかなぐり捨てて、安保法制を制定した自民党の連立党=公明党との合流に走ったわけだ。立憲支持者の一部には中道の中でも闘えるとの声もあるが、こういうのを詭弁と言い「転向」と言うのだ。
戦前1930年代、満州事変から始まる中国侵略戦争を「事変」と呼び、当時の天皇や軍部の中にも反対や不拡大方針があったが、あれよと言う間に戦争が拡大され、誰も止められなかった。この歴史の教訓が今問われているのだ。
台湾有事発言以降深刻な支配階級の危機
高市をクーデタ的解散に追い込んだものは、対中国関係の悪化による資本家・自民党の危機感にある。関経連やニトリの社長など中国と深い関係にある資本家たち・自民党の議員の中には高市の早期退陣を求める声もある。この党内反対派を高支持率で押さえ込むだけでなく、総選挙で高市派を形成し(プラス参政党)、安保法制前倒し改正・スパイ防止法制定をしないと戦争国家化はできないのだ。
また生活苦・物価高からくる人民の反乱を前に、全党派が消費税廃止・減税に言及するまでに至っている。これを先延ばしする政党には痛打が下るだろう。軍需産業だけ成長させ、国有化すらさせる(戦前の工廠)高市経済安保などうまくいくはずがない。昨年来、沖縄・九州・西日本を先頭に新たな反戦・反基地闘争に立ち上がり始めた労働者・市民が、この経済的困苦と戦争攻撃が一体のものであると捉えるとき、政権を揺るがす決起となっていくだろう。
有事法制反対・原発反対
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| 国会開会日に、解散に抗議して集会(1月23日 尼崎市) |
れいわ新選組の・大石あきこ(大阪5区)、つじ恵(愛知15区)、長谷川ういこ(兵庫8区)、社民党の大椿ゆうこ(比例東京)、オール沖縄の候補らに高市批判の声を集中し当選をかちとっていこう。とりわけれいわ新選組は山本太郎代表がこの10年の議員・政治家生活で体を壊してしまい存亡の危機にある。しかし19年の結党以前から反原発の山本太郎と歩み、結党後は「障害者」の議席を確保したうえ、400万人近くの支持を得ている。いま途絶えさせるわけにはいかない。党首討論で激しく高市と立ち向かう大石あきこ共同代表を先頭に、弁護士歴40年のつじ惠、NHK討論でも奮闘した長谷川ういこ、大阪の労働運動から参議院議員になった大椿ゆうこ、オール沖縄の候補らの勝利は、高市の暴虐を止める橋頭保となる。有事法制反対・原発反対の候補の当選のために全力を尽くそう。
柏崎刈羽原発再稼働できず
新潟県民の東京電力への不信感を無視して、花角英世・新潟県知事は、柏崎刈羽原発の「地元同意」をおこない、1月21日、東京電力は柏崎刈羽原発6号機を14年ぶりに再起動させた。午後7時2分、制御棒を26本づつ引き抜く作業が始まり午後8時28分、原子炉は「臨界」に。ところが、22日午前0時28分、3回目(53〜78本)の作業中に警報がなり状況は改善されなかった。そのため東電は原子炉を停止することを決定。午後11時56分、制御棒の挿入開始。23日、午前1時37分、原子炉は冷温停止状態に。
当初予定の「1月20日再稼働」の検査中の制御棒の警報が鳴らず、20日の再稼働は延期され、21日の再稼働も停止となった。東京電力は安全性を無視し、原発再稼働を急いだため今回の事態がおきた。
東電福島第一原発事故の原因は、今も解明されておらず東京電力に原発を運転する「適格性」はない。浜岡原発のデータねつ造といい、柏崎刈羽原発の再稼働失敗といい原発への信頼は地に落ちた。原発を推進する政府(資源エネルギー庁)の責任は大きい。東京電力と政府・資源エネルギー庁に怒りの声を。
2面
「しょうがいしゃ2025大フォーラム」報告(上)
関東「障害者」解放委員会 前田昇
昨年10月25日に、東京のくにたち福祉会館と群馬の会場をZOOMで結んでおこなわれたこの集会は、呼びかけの中で、次のようなスローガンを掲げた。「分けない社会を実現しよう!排斥に断固反対 殺されてたまるか!しょうがいしゃ権利条約の実現が世界を変える」。このようなスローガンが出てきた背景について、基調報告などを聞いて私なりにまとめると、次のような状況がある。
2022年ロシアのウクライナ侵略は、各国の軍事力増強に拍車をかけ、社会保障の削減が進められている。アメリカでは、貧困者向けの医療扶助制度であるメディケイドの予算が削減されたが、これは、しょうがいしゃの介助制度も支えているものだ。イギリスでは、しょうがいしゃへの福祉手当にかかわる予算を、政府が削減しようとして、反対する勢力との闘いがおこなわれた。ドイツでは、介護保険制度の改悪により、介護対象を縮減しようとする動きが続いている。
日本では、毎年軍事予算が1兆円規模で増額される一方、政府の社会保障にかかわる報酬が削減される中で、介護や医療などをおこなう事業者が大きな打撃を受けている。「東京商工リサーチの調査によると、全国の訪問介護事業者の倒産件数は25年1〜11月で85件となり、3年連続で過去最多」(毎日新聞2026年1月13日)。2024年の医療機関倒産も、70数件に及び、休廃業も含めると7百件を超える医療機関がなくなっていると言われる。しょうがいしゃ関係では、生活介護事業者の70・5%、グループホームの86・9%が減収に陥っているとの〈きょうされん〉の調査が発表されている。
いのちの切り捨て政策も、世界的にますます進んでいる。ベネルクス3国やスイス・スペイン・カナダ、アメリカやオーストラリアの一部の州などでおこなわれている、本人の意思に基づく「積極的安楽死」について、イギリスやフランスの下院で法律が通過したのも昨年である。日本では、2024年の衆議院選挙において、国民民主党が社会保障削減の意図をもって「尊厳死」の法制化を掲げ、25年の参議院選挙では、国民民主に加え、日本維新の会が「社会保険料を下げる改革提言」の中で、「尊厳死法の制定」を掲げ、参政党は「終末期の延命措置医療費の全額自己負担化」を掲げるなど、いのちの切り捨てが政治課題として突き出されてきている。
直面する重大課題
集会では、しょうがいしゃが直面する重大課題、優生主義や排外主義の強まりについての危機感とこれと闘う決意が述べられた。ここでは、紹介しきれないので、いくつかに絞って紹介する。
前参議院議員の舩後靖彦さんは、人工呼吸器と胃ろうを使い、24時間介助をうけて生活している立場から、「京都ALS殺人事件」を肯定する世論について、「難病患者や重度しょうがいしゃに介助や支援を受けて『生きたい』と言いにくくさせ、生きづらくさせる社会的圧力が形成されることを強く危惧」すると語り、国民民主や維新、参政党の主張について、「『生きる権利』よりも『死ぬ権利』を優先し、社会の効率化のために命の価値に優劣をつけ、線引きをおこなう、まさに優生思想が席巻する社会に傾斜していくことになります」と警告した。
「尊厳死・安楽死」に反対してきた京都の日本自立生活センターから3人が発言し、「京都ALS殺人」を肯定する考えは、亡くなられた方が抱えていた社会的に改善すべき問題=「同性介助ができないほど、慢性的な介助者不足がずっと続いてしまっている社会構造や制度の不備」を不問に付し、「社会はどうにもならないものだと、改善の可能性を放棄するということになる」と指摘した。
神戸市の自立生活センターリングリングの代表は、ガザでの大虐殺を弾劾しつつ、「ガザは場所としては遠いですが、ここでおこなわれた虐殺は、私たちしょうがいしゃにとって、まったく他人事ではありません。パレスチナ人の命が、理不尽に軽く扱われるのと同じように、私たちしょうがいしゃの命は、軽く扱われ続けているからです」と語り、着床前診断や出生前診断で、生まれることそのものを否定する事態が進んでいることを指摘した。しかも、それがビジネスとして進められている資本主義の恐ろしさを語った。「排除っていうのは本当にとどめを知らないですね。着床前診断も最初の対象は重篤なしょうがいしゃでした。でもそれがどんどん拡大していきました。やっぱりその最初の一歩を許してはダメなんだろうなと思います。社会から不都合な重度のしょうがいしゃを消す。そしたら次は軽度のしょうがいしゃも消す。次はボーダーラインの人も消す。次は健常者で、はみ出す人も消す。最後まで安全な人なんて一人もいないんだと思います。」「私たちの日常の中には、もうすでに分離教育だったりとか施設だったりとか、バリアだらけの建物だったりとか、使えない公共交通機関だったりとか、至る所にしょうがいしゃ排除があります。だからこそ、その日常にある小さな排除を見逃さずに身近にある差別や抑圧を止める行動、それが本当にその命の排除、命を切ってしまうことをさせないということにつながる行動なんだと思います」、「言うまでもなく排除されているのはしょうがいしゃだけではありません。世の中からしょうがいしゃ差別だけがなくなるということはなくて、おそらく差別がなくなるっていう時には、全ての差別がなくなるんだと思います。なので、全ての排除に反対の声を上げていくっていうことが本当に大事なことなんだろうなと思っています」と発言した。(つづく)
沖縄日誌12月
続く苦闘の沖縄
基地強化と選挙ラッシュ
12月4日 陸自与那国駐屯地で2026年度に新編成する「対空電子戦部隊」に関する住民説明会が、与那国町で開かれた。電子部隊員30人を新たに配備するとし、駐屯地の隊員は合わせて260人体制になる。参加した百人の住民からは「他国から攻撃されたらどうなるのか」「いつまでこの島に住み続けられるのか」などの有事を懸念する声が上がった。
6日 名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前で「第54回県民大行動」が開催され、市民560人が参加。大浦湾側の土砂投入が始まって以降初めての大行動。市民は抗議活動などについて報告し、「代執行を止めるぞ」などシュプレヒコールを上げた。
10日 石垣市議会で、陸自石垣駐屯地に2026年度に「電子戦部隊」を70人配備することを明らかにした。現在の隊員数と合わせて650人体制になる。
13日 辺野古新基地建設で、政府が辺野古側の土砂投入を始めて14日で7年となる。ヘリ基地反対協・海上チームの25人は海上で抗議行動を実施し工事の中止を訴えた。
14日 南城市長選が告示された。座波一氏(自民、公明、国民民主推薦)と前県議の大城憲幸氏が立候補。古謝前市長は出馬せず。
大城氏は、政党や組織、団体に頼らない選挙戦を掲げ、オール沖縄や政党の支援は受けていない。
玉城デニー知事は告示日に大城事務所を訪れ、激励の「ため書き」を渡し「勝手連」として応援する立場をとった。
15日 北大東村は、北大東島で航空自衛隊が予定するレーダー部隊配備に向け、防衛局と村有地の賃貸契約を結んだ。隊庁舎の整備やレーダー設置を予定しており、隊員は30人程が配備される。
19日 大浦湾側の軟弱地盤の砂ぐいを打ち込む工事が再開された。6月以降半年ぶりである。防衛局は今年1月から軟弱地盤の改良工事を始めた。7万1千本のくいを打ち込む計画で、そのうち砂ぐいは4万7千本を予定。これまで投打された砂ぐいは2900本にとどまる。
21日 南城市長選が投開票されて、大城憲幸氏が当選した。座波一氏に3431票差の勝利であった。玉城デニー知事を支援するオール沖縄が大城氏の支持に動いたと思われる。
25日 玉城デニー知事は報道各社のインタビューに、来年秋の知事選についてこたえた。玉城知事の2期目の任期は来年9月29日、オール沖縄は現段階で玉城氏以外の候補を予定していない。玉城氏は3期目に向け「やりたいことはいっぱいある」と出馬に意欲を示した。「全県的な選挙においては、辺野古新基地建設問題など米軍基地を多く抱えるがゆえの課題が選挙の争点になることははっきりしている」と強調した。
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| おながクミコさんの出発式 |
辺野古問題では、渡具知武豊氏は「再編交付金を受け取っていることが、移設を容認していることではない」と語った。翁長久美子氏は辺野古新基地建設に反対する立場で「稲嶺前市長の姿勢を引き継ぎ、海にも陸にも新たな基地は造らせないという思いを持ち続けている」「市長権限で辺野古を止めることができる」と決意を述べた。
2026年、名護市長選と知事選に勝利しよう。(G)
3面
米国家安全保障戦略批判
〜侵略と虐殺の教典・2025NSS〜
塩川三十二
2025年12月5日、トランプ政権下で初めての「国家安全保障戦略」(NSS)が発表された。1カ月もたたない2026年1月2日未明(現地時間)、米軍によるベネズエラに対する大規模空爆と陸軍特殊部隊デルタ・フォースによるニコラス・マドゥロ大統領夫妻の拘束・拉致がおこなわれた。トランプは国際法など私には関係がないとうそぶいた。米NSSの本質がここにはっきりと表れている。
米1極覇権の崩壊の結果
トランプの合言葉は、「すべては取引(Deal)」「自国ファースト」「力こそ正義」だという。一見するとこれはトランプの個性のように見える。しかしNSSで強調している「アメリカ・ファースト」(米国第1)を含めて、それは米帝国主義の1極覇権が破産し、崩壊した結果である。NSSではそれが、「米国がアトラス(ギリシャ神話で、世界の西の果てで天空をその肩と両腕で支えている神)のように世界秩序全体を支える時代は終わった」という宣言に示されている。
具体的には、「あらゆる行動において、我々はアメリカを第1に置いている」と「まえがき」で強調し、「第W章 戦略」では、「国家利益の優先性」を実現するための「現実主義的外交政策」を掲げる。その下で、「勢力均衡」「自国の労働者重視」「能力と実力主義」を掲げる。
そのためにNSSが終始強調しているのが、民主党バイデン政権の4年間に対する批判である。いわく、米国のエリート層が、国益に関係がない国際的負担を背負い続けたとして、1月7日には計66の国際機関や条約からの脱退を米政府に指示した。「米国の優位性の基盤である中産階級と産業基盤を空洞化させた」という。ここでも反民主党、反エリートを強調し、「中産階級」と名づける白人労働者層を排外主義で動員することに注力しているのである。
自国利益最優先のドンロー主義
ドンロー主義とは、NSSで言う「モンロー主義のトランプ補則」(Trump Corollary to Monroe Doctrine)を意味する。米第5代大統領ジェイムズ・モンロー(在任1817〜1826年)の提唱したモンロー主義にトランプ流の補正を加えたという意味で、トランプのファーストネームドナルドとモンローの姓を組み合わせたものである。モンローは19世紀前半の米大統領で、ヨーロッパの国家と資本から新興の米及び南北アメリカ大陸を守るためヨーロッパの侵出を阻止する政策を駆使した。
トランプがNSSで打ち出した政策はそれとは異なり、次の2点で構成されている。
第1に、過去の対中国政策を「間違い」と認め、中国・ロシアとの共存を重視する。ただし中国の南北アメリカへの侵出は阻止する。
第2は、米帝の負担に「ただ乗り」しているとして、欧州諸国を断罪し厳しく対処する。「文明としての欧州は死んだ」とまで言っている。
アジア(インド・太平洋、中東、東南アジア、日本・韓国)への外交政策はペンディングし、利用できるものは利用するが、深入りしない。
西半球は略奪・蹂躙
NSSでは、「長年の放置でこの地域における米国の優位が脅威にさらされている」として、この地域で米国の利益に沿う政府・政党・運動を奨励する。軍事プレゼンスの再考、例えば海と航路の統制、国境警備の強化として、この地域の国々に「米国主導の世界に生きるのかどうかを突きつける」と言っている。
そして軍事侵攻したベネズエラについては、「米国が運営する」「我々が非常にもうかるやり方で再建する」と言っている。さらにベネズエラへの攻撃の後、キューバ、コロンビア、メキシコ、さらにデンマークの自治領グリーンランドなどにも軍事介入する可能性をちらつかせている。つまりトランプの目的は、NSSの第U章によれば、西半球全体を米国の思い通りにすることにある。
アフリカについても、従来の「リベラルなイデオロギーを提供するための援助」中心から、潜在的経済力を活用することに重点を移すという。原子力エネルギーや液化天然ガスへの投資を中心に、資源略奪に重点を置くとの宣言である。
様変わりしたこのようなNSS方針によって、米国内ではまず第1に関税戦争による物価高騰で労働者人民は塗炭の苦しみに陥っている。オバマケアによる貧困層の健康保険への補助金をトランプが打ち切ることに対しては、補助金支給を延長する法案が米上下両院で、共和党の一部議員の賛成で通過している。今秋も予定されている米中間選挙ではトランプの敗退が確実視されている。それに対して、現在のトランプの思惑は、米社会と世界を後戻りできない「トランプ・ワールド」に変えてしまおうとするものである。
中国は競争相手、軍事は日・韓にやらせる
「第W章 戦略3」では、冒頭に30年間にわたる対中国政策の誤りとして、中国に市場を開放し、「ルールに基づく国際秩序に組み込める」と考えたことが誤っていた、としたうえで、中国の経済的台頭に対峙し、勝つ方針が必要とする。台湾についてはその重要性は「価値観に基づく大義ではなく、地理的要衝及び海上輸送量による」と割り切っている。「軍事的抑止」については米国が台湾を守るために軍事介入する選択肢は否定し、「同盟国がより多く負担しなければならない」としている。南中国海の攻防についても、中国の名前すら挙げず、航行権の確保のためにはインド・日本の動員だけを挙げている。
トランプが高市の「台湾有事は日本の存立危機事態」の発言に当初、静観を決め込み、出した結論が、「日本との強固な同盟関係を維持しつつ、中国とも良好な関係を築く」)(トランプ声明)ことであった。
大軍拡に突き進む日帝・高市政権は、いよいよ米国抜きにでもこの大軍拡路線を堅持し、究極的には独自的核武装まで突き進むのかどうかが問われている。軍事的競争でも、経済的競争でもいずれにせよ、高市に勝ち目はなく、労働者人民に加重な負担を強制することだけに帰結する。トランプ・高市をともに打倒する闘いを。
名護市長選(1月25日)敗北
9月県知事選勝利へ全力を
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1月25日投開票の名護市長選は政府直結の現職・渡具知武豊候補が、挑戦者・翁長久美子市議をこれまで以上の差で降した。オール沖縄はこの間後退を強いられてきたが、今回その上に立憲民主党安住幹事長が、選挙期間中に辺野古新基地建設容認発言をしたことが大きい。
9月には玉城デニー知事の3選を目指した県知事選がおこなわれる。安住基地容認発言には立憲沖縄県連は直ちに抗議声明を出したが、基地反対陣形の再強化が問われる。
(闘争案内)
都教委包囲・首都圏ネット2・7総決起集会
講師:大内裕和さん(武蔵大学教授)
とき:2月7日(土)午後6時
ところ:文京区民センター3A
主催:都教委包囲・首都圏ネット
武器としての国際人権
講師:藤田早苗さん 「世界から見た日本のヒューマンライツ」
とき:2月7日(土)午後6時半
ところ:ドーンセンター大会議室1(大阪市中央区)
主催:藤田早苗講演会実行委員会
許すな!大軍拡と排外主義 止めよう!生活破壊と戦争への道〜
2・11建国記念の日反対!戦争NO!「日の丸・君が代」強制反対!〜
とき:2月11日(水・休)午後1時半
ところ:天王寺区民センター・ホール(大阪市)
主催:「日の丸・君が代」強制反対大阪ネット
都労委命令とJAL闘争勝利をめざす決起集会
とき:2月13日(金)午後6時15分〜7時45分
ところ:文京区民センター3A
主催:JAL被解雇者労働組合(JHU)
JAL争議支援全国ネットワーク
核問題特別委員会 公開講演会
講演:鴨下全生さん(福島原発被害東京訴訟原告)
津久井進さん(原発賠償ひょうご訴訟弁護団長)
とき:2月21日(土)午後2時〜4時半
ところ:大阪クリスチャンセンター1階大ホール
主催:大阪教区核問題特別委員会
第10回狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西
とき:2月23日(月休)午後1時
※午後4時半 パレード(JR新今宮駅近くまで)
ところ:西成区民センターホール(大阪市西成区)
主催:狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西実行委員会
ウクライナ侵略4年 ロシア総領事館前抗議行動
とき:2月24日(火)正午〜午後0時40分
ところ:ロシア領事館(大阪府豊中市)
呼びかけ:「しないさせない!戦争協力」関西ネットワークなど5団体
賛同:おおさか総がかり行動実行委員会
4面
破産した万博から維新壊滅へ(上)
総選挙・市長・知事選で都構想狙う
剛田力
T万博を総括する
万博運営成功の必要条件
万博協会石毛博行事務総長は万博運営の成功の必要条件として、「第1に大きな事故を起こさないこと、第2に(運営の)収支で赤字にならないこと、第3にできるだけ多くの人に来ていただくこと」の3つを挙げた。「これらを全て満たせた」と語っている。吉村は大成功とはしゃぎ、マスコミは「両手を挙げ、万々歳、大成功」という論で持ち上げている。「逆風を跳ね返して盛況のうちに終わった」というが、「成功」といえるほど多額の建設費に見合ったリターンや未来に残るレガシーがあったのか。
入場者数が大成功なのか
万博協会による昨年10月14日発表速報値は、約2558万人。暫定チケット販売枚数は、約2207万枚。目標の2820万人に届かない。1970年の大阪万博は6422万人でその半数にも及ばない。さすがにこれで「大成功」を連呼するのは、あつかましい。入場券の販売枚数は2225万1054枚で、目標の2300万枚には届かなかった。販売された入場券の8・8%にあたる195万枚が未使用だった。未使用だったのは大半が東京など大阪以外に拠点を持つ企業の購入分。
当初350万人と計画していた海外客は、ふたを開けてみれば半分以下で終わった。関西以外からの来場者も、目標に達していない。穴を埋めたのは大阪府民。当初665万人と計画していた大阪からの来場者数は、1千万人を超え、全入場者数の4割を占めた。居住地別の人口1万人あたり来場者数を見ると、府県別では大阪府が12685人と最も多く、次いで奈良県が約半分の6503人、兵庫県5886人、京都府4527人が続く。関西以外の平均は594人であり、実態は文字通りの「大阪」万博だった。
運営費収支は320億〜370億円の黒字になる見通しだという。しかしあくまで「運営費」であり、建設費2350億円、機運醸成費などは支出には含まれていない。さらにインフラ構築費の1・5兆円などは収支外となっている。
マスコミが大宣伝
もちろん、実際に万博に行った個人が「楽しかった」などと肯定するのは当然ありうる。一定数の来場者があったのも事実である。財界は7百万枚の前売券購入を実現するため、関西経済連合会の会長企業が20万枚、副会長企業が15万枚などと、なりふりかまわず企業にチケット購入を割り振った。関西では万博開催中、NHKも民放も毎日朝昼晩欠かさず、万博のポジティブなニュースを流し続けた。万博協会はメディアセンターやイベント業務をテレビ局や広告代理店などに発注している。テレビ局および大手広告代理店のグループ企業が関与した万博関連契約額の合計は150億円超にのぼる。こうして、会期終盤はポジティブな報道ばかりになった。口コミですら機運醸成のため仕掛けたという。
パビリオンのキャパシティ
数字上の「成功」を謳うために入場させるだけさせても、そもそも吸収できるキャパシティはなかった。チケットを買うにも、予約が煩雑、チケットは購入できても来場予約ができない「死に券」も発生。サイトへの不正アクセスによる第三者への譲渡問題なども起きた。
リピーター以外は楽しめない。パビリオン入館は7日前、3日前、当日予約も全く取れない人が続出。予約なしで見られるパビリオンも数時間待ち。「並ばない万博」なのに、入場するだけで1時間並び、熱中症が心配だ。大屋根リングの下はぐったりして寝込んだり座り込んだりしている者だらけ。一部だけが楽しめて、子どもや高齢者に優しくない。「いのち輝く」どころか、輝き(太陽)が命を消耗させ枯渇させてく。パビリオンなどに収容できる以上の人数を入れているのだ。会場面積155haは、ドバイ万博(438ha)と比べると約3分の1強しかない。パビリオンのキャパシティから考えて、人を入れすぎている。
U死者が出なかった奇跡
会場では、引き続き爆発する恐れがある濃度のメタンガスが検出され爆発事故の危険性もあった。「ウォータープラザ」の海水からは指針値の約20倍のレジオネラ属菌が検出され、水上ショーが一時中止になった。
木が倒れる危険性から「文明の森」は立ち入り禁止。ユスリカの大量発生。万博EVバス事故。「3台に1台は問題がある」今年1月28日、EVMJは国交省からの指摘を受け、制動装置(ブレーキホース)の不具合に関するリコールを届け出た。今後は制動装置に関して運行事業者からの不具合の申し出があった場合、無償で対応するという。EVバスの所有元である大阪メトロは、EVMJに送り返しての再点検をしないとしている。
地下鉄中央線コスモスクエア駅と大阪港駅間で期間中の8月13日の21時28分ごろから停電が発生。翌8月14日の朝5時25分にようやく運転を再開。中央線が運転見合わせとなった時点で約3万人もの来場者がまだ万博会場内にいたという。来場者は会場内に足止めされ、夜を明かさざるを得なくなった人も多数発生した。転倒し、右足の骨が折れる重傷を負った人もあった。「右足関節骨折」で全治3カ月の重傷。協会は運転見合わせ後に生じた救急搬送は36件あったと公表したが、「大きな事故は起きていない」と言っている。
中央線では4月22日、車両故障による運転見合わせがあり、夢洲駅に約4千人が滞留する事態となった。万博協会が事態をつかんだのは遅延発生から約30分もたってからだった。危機管理がなってないことを露呈したがこの教訓は生かされなかった。
中央線は大きな負荷、車両や設備が悲鳴を上げていた。中央線以外に鉄道を整備できなかったためだ。
「開催中の半年間に大地震は来ない」という人命軽視で強行された。軟弱地盤のためカジノ・IRのエリアは杭を打って地盤改良をするのに対して、万博のエリアは基礎工事をしない。豆腐のような軟弱地盤上に杭打ち基礎工事なしにパビリオンが建てられる。地震が起きた際に液状化して倒壊するリスクも当然あった。当然、甚大な被害が出る恐れはあった。
8月13日の事態は、南海トラフ地震が起きた際、数万人規模の来場者が夢洲から脱出できない事態が起こることに警鐘を鳴らした。地震がなかったのは本当に幸運だった。
アクセスは極めて限られていた。水上ルートは準備が間に合わなかった。十三からの船便が実験段階で終わってしまった。堺からは料金が高すぎて乗る人がいない。定期船は、同社など3事業者が計4航路を運航した。会期前半は利用が低迷し、大阪府などが6月、事業者の負担になっているとして桟橋使用料の引き下げを求めたが、万博協会は応じなかった。桟橋使用料が未払いになっている。
吉村が自慢した空飛ぶクルマも来場者が利用するどころか、デモ飛行のみで終わってしまった。
ちなみに開催期間の万博関連の救急車出動回数は1112回、うち熱中症が123件、同期間にUSJでは190回19件(『人民新聞』調べ)であった。
「お金と準備と安全、全部ダメ」と総括される。
V未払い
「いのち輝く未来社会のデザイン」はまったく空々しい。建設工事費未払い問題は「命より金」万博であったことを示している。開幕後もパビリオンの一部が完成しないほど工期は遅れ、中小下請け業者に無理な工期での建設を押し付けた。海外パビリオン建設を巡る工事費の未払い問題が発生した。未払いが発生しているのは11カ国(アンゴラ、インド、ウズベキスタン、セルビア、タイ、中国、ドイツ、米国、ポーランド、マルタ、ルーマニア)のパビリオン建設工事費。建設会社38社が未払いを訴えており、被害額は10億円を超えているという。開催間もない5月には〈万博工事未払い問題被害者の会〉が結成された。
資材の高騰や人手不足などで海外パビリオンの建設は遅れに遅れ、工期の短さを理由に大手ゼネコンが工事を引き受けなかった。いずれのケースでも、実際に未払いの被害を受けたのは、3次や4次などの下位請負で工事に携わっていた零細・中小企業だ。
〈被害者の会〉では、国や大阪府、万博協会にとりあえず未払い建設費の建て替えを求めているが、現在まで支払われていない。吉村は、未払い問題は「『民民』の問題」と繰り返し、全く責任を取らない。被害者の会は「万博は国家事業なのだから、『民民』の問題ではない」と追及している。大阪・関西万博は準備期間が4年しかなかった。さらに、能登半島地震があったが、延期せずに突っ走った。吉村は「絶対に成功させる」と言って押しつけた。吉村は責任をとれ。
立憲や共産など野党4会派は12月15日、万博のパビリオン建設で工事代金の「未払い」を訴える業者から万博協会が債権を買い取り、代理での取り立てを可能にする議員立法を衆議院に提出した。しかし年明けの通常国会は何もせずに解散した。
このうち、四つのパビリオンの元請けとなり、下請け業者から未払いを訴えられているのが、外資系イベント企業の日本法人、フランスに本社を置くGLイベンツ。いずれも東京地裁で訴訟になっているが、GLイベンツは逃げ回り、支払いに応じない。同社は、今年のアジア・パラ大会(愛知・名古屋大会)でも競技会場の設営などを担うことになっている。
GL社はアジア大会で、随意契約締結に必要な22億円の協賛金を支払い、630億円の業務を受注。この協賛金を理由にGL社は「資力がない」と主張している。大会組織委員会が契約を続行しているが理解に苦しむ。(つづく)
5面
〈お便り〉
玄海原発で不当判決
裁判所が国の僕に
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| 判決後の抗議集会(1月20日 福岡) |
九州電力玄海3・4号機(佐賀県玄海町)の設置変更許可の取り消しと運転差し止めを求めた裁判。
1月20日、控訴審判決で福岡高裁(久留島群一裁判長)は市民の申立を退ける不当判決を言い渡しました。主文「棄却・・」だけゴニョゴニョとつぶやいてそそくさと逃げ去る裁判官の背中に「理由をいえ」「恥知らず」「(事故に)責任が取れるのか」と怒りの言葉が投げつけられました。
闘いの始まりは、2006年2月「プルサーマルは慎重に」と言い続けてきた古川康佐賀県知事(当時)が唐突に「安全宣言」を発表したことでした。3月には「住民の了解は得られた」として二階経済産業大臣を迎えて、事前了解を強行。
この事態に市民は何度も議論をして住民投票を決意。県内各地に出かけて座談会を開き、県民投票条例制定を求める49609筆(法定数14000)の署名を県議会に提出。しかし翌年2月、県議会はあっさり否決。理由は「住民投票は議会の存在を否定する」「間接民主主義からの逸脱」「プルサーマルは議会が慎重に審議して判断する」というものでした。
2009年12月玄海3号機で日本初のプルサーマルが強行されました。
ここにいたって、2010年8月プルトニウム混合燃料(MOX)の使用差し止めを求めて原告130人で提訴。福島原発事故につながる東日本大震災のテレビニュースが流れたのはその翌年(2011年)第2回裁判期日の入廷中のことでした(『そいぎ』bQ参照)。
「原発裁判は『国や強大な権力には勝てない』と言われてきました。しかし、福井地裁、大津地裁、広島高裁、大阪地裁などで住民は次々と勝利を重ねてきました(注1)本日の判決はその流れに逆行するものであり、司法の責任放棄と言わざるを得ません。司法は本来、『国民の権利を守る最後の砦』であるべき存在です。しかし本日の判決は住民の命を守る切実な声に耳を傾けず、東京電力福島第一原発事故の甚大な犠牲から真摯に学ぶ姿勢を欠き、安全神話の維持を最優先したものと言わざるを得ません。このような判決に対し、私たちは断固として抗議します(『控訴人団声明』)」
(注1:福島原発事故以前は志賀原発を止めた井戸裁判長、以後に大飯原発の樋口裁判長などによる判決)
弁護団もこの裁判所の判決を「科学の放棄」「安全性の否定」「思考の停止」と厳しく指摘しています。原発の建屋の爆発で、奇跡的に東日本壊滅を免れた福島原発事故はいまだに「原子力緊急事態宣言」を解除することができず15年経っても「日本の法令を守るなら放射線管理区域に指定して、人々の立ち入りを禁じなければならないほどの汚染地に百万人単位の人たちが捨てられた(小出裕章:元京都大学原子炉実験所)」状態になっています。ウラン燃料を燃やす設計で作られた圧力容器にプルトニウムを使用することの危険性、40年を超える老朽原発、地震は起こらないと言われていた熊本での大地震、24年の能登半島地震では志賀原発の揺れが耐震設計基準を上回っていたという事実、実態を無視した空想的避難計画、柏崎刈羽原発の事故続発のさなかの再稼働、中部電力による浜岡原発の基準地震動データの捏造と内部告発されるまで7年間も捏造を放置していた原子力規制委員会の無能力・無責任、機能マヒの現実。国と九電はこれらの疑問と市民の不安に何一つ答えてはいません。法の正義を公平公正に判断すべき裁判所(審判)が主権者(市民)に背を向け国の僕となっている姿が浮き彫りにされています。それは「控訴人らは、他にも種々の主張をするが、本件の結論は、左右されない」(判決骨子・まとめ)という言葉に象徴されています。これまで原発運転差し止めなどの決定・判決は9回。建設予定の原発が住民運動で止められたのは50を数えています。
住民運動の重要性がますます明らかになっています。判決後の報告集会では尽きぬ怒りと燃え上がる闘いの炎のなかで、玄海原発3・4号機不当判決! 地震動過小評価・司法が容認! 原発は人災、司法も加担! 核の代償を次の世代に背負わせるのか! とシュプレヒコール。最高裁への上告は他の原発訴訟関係者とも協議・検討の上決定するとのことです。(立花宗夫)
通信KOSUGI
韓国の旅、「光州518」を見学
日本軍「慰安婦」問題を取り組む神奈川の人たちとの「韓国の運動を学ぶ旅」の2日目(11月3日)。
光州松汀駅で専用バスに乗る。あの「光州518」、当時学生としてたたかった方が待っていてくれた。
光州518とは
2024年12月に尹錫悦大統領が戒厳令を発したとき、誰もが思ったのが「光州事件」であった。その時を思い、光州を始め全国各地からただちに国会に来た市民も多かったという。
光州事件は1980年5月18日、光州の学生・市民が、全斗煥国軍保安司令官によって出された非常戒厳令の全国拡大に反対し、民主化を求めて武装蜂起し、戒厳軍の発砲などで虐殺された事件。18日から27日まで、「死者165人、行方不明者84人、負傷者5817人」とされているが実際の数はその何倍とも言われている。当時「事件は北朝鮮の扇動による暴動」とされ、金大中氏に死刑判決。
この事件は韓国での民主主義の分岐点となり、1987年の「6月民主抗争」の原動力となった。
1997年に国の記念日となり、その後、事件関係者を民主化有功者とする法律が制定された。
1 全南大学校
最初に訪れたこの大学校、80年5月18日0時をもって適用された非常戒厳措置の全国拡大によって、戒厳軍が最初に進駐し、学生たちを弾圧したところだった。
全南大学校には1960年代からの民衆の運動の歴史、80年5・18関連の生々しい写真がいっぱいだった。5月18日に逮捕された金大中氏が夫人にあてた手紙も展示されている。
2 国立5・18民主墓地
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| 国立5・18民主墓地・遺影奉安所 |
10日間に散った120余りの烈士たちの死骸は、綿布とビニールでぐるぐる巻きにされたまま清掃車と手押車に積まれて望月洞の市立墓地に葬られた。1997年に国立5・18民主墓地が完成されると、英霊たちは恥辱の17年を後にして、新しい墓地に移葬されて初めて目をつぶることができた。(それまで烈士たちは、「北の手先」「アカ」として、放置されていた)
国立5・18民主墓地は、5月抗争を記憶するための象徴的な空間で、歴史教育の場として活用されている。
参拝広場には、地上40mの「5・18民主抗戦追慕塔」などがあった。
◇ユン・サンウォンとパク・ギスンの墓
5・18から2年経った82年2月、望月洞墓地で市民軍のリーダーであり、最後のたたかいで射殺されたユン・サンウォンと同志でもあったパク・ギスンの霊魂結婚式がおこなわれた。
2人の魂の結婚式を記念した祝歌「ニムのための行進曲」は、尹錫悦の戒厳令を倒した運動を始め韓国での民主運動の多くの現場で歌われている。
◇ムン・ジェハクの墓
ノーベル文学賞作家ハンガンの『少年が来る』のモデルになった高校1年生のムン・ジェハク。事件で先に友人を亡くし道庁に立てこもり、説得に来た母に対し「友人が殺されたのにどうして家に帰れるのか」と言って帰宅を拒み、道庁で命を落とした。
3 全日ビルディング245
地方紙「全南日報」のビルディング。このビルが戒厳軍のターゲットとなった。245個の弾痕が残っている。戒厳軍によるヘリコプターからの射撃であり、これは完全な無差別の虐殺でしかない
4 旧・全羅南道庁舎
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| 旧・全羅道庁舎跡 |
5・18当時、全羅南道の道庁前は、市民たちの集会の場であったこともあり、抗争2日目の5月19日以降は戒厳軍の蛮行に怒った10万人以上もの市民たちが連日押し寄せて抗議のデモ隊を形成し、戒厳軍兵士と対峙していた。さらに21日午前には、戒厳軍に殺害された市民2人の遺体がリヤカーでここ錦南路に運ばれてきたことで、市民たちの怒りはますます白熱した。
そして21日午後1時。スピーカーから大韓民国国歌が流れる中、この直前に起きたデモ隊の装甲車突進を契機に、戒厳軍がデモ隊へ向けて集団発砲を開始。戒厳軍の凶弾により、次々と錦南路の路上に倒れゆく人々。これらを助けようと果敢に駆け寄った人もまた、近隣のビル屋上からの射撃の餌食となった。
この集団発砲によるデモ隊側の死者は54人、負傷者は5百人あまり。(つづく/神奈川・深津利樹)
6面
投稿
長生炭鉱の「水非常」を知るつどいに参加しました
12月13日、長生炭鉱の「水非常」を知るつどいが大阪市内でひらかれた。講演の内容を紹介する。講演したのは、〈長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会〉代表の井上洋子さん。「水非常」とは水没事故を指す炭鉱用語。山口県宇部市の長生炭鉱は、1914年に開鉱した海底炭鉱だった。1922年に海底水没が起きて操業が一度ストップしたが、1932年に再開された。
国策による人災
戦争に向かって突き進む中、国策で増産を強いられた長生炭鉱では、多数の朝鮮半島出身者が働いていた。長生炭鉱は生産量第4位と宇部地域では中規模炭鉱だったが、1939年から1941年にかけて、1600人以上の朝鮮半島出身者を動員する計画があった。これは当時、生産量1位だった沖の山炭鉱(5百人)の、実に3倍もの人数だった。人命より採炭を優先させた。
強制連行、強制労働
なぜこんなに多くの朝鮮人労働者を必要としていたのか。それは常に淡水や海水が染み出ている、空気が薄く劣悪な閉鎖環境での労働を嫌う日本人が多かったからだ。それゆえ朝鮮炭鉱とも呼ばれるほど、多くの朝鮮人達が動員された。労働者たちは二交代制で宿舎は高い塀で囲まれ見張りもいる、まさに自由を奪われた状況下で、労働を強いられていた。
長生炭鉱の事故は1942年に起きた。犠牲者の7割強の136人は朝鮮半島出身だった(沖縄出身者5人)。
事故後の現場
1942年2月3日午前、本坑道の坑口から約1100m地点で異常出水が始まり、坑道全体が水であふれかえった。遺体は収容されないまま、事故直後に「二次被害を防ぐ」という名目で坑口が塞がれてしまった。一帯はやがて雑木林となり、海面から排気・排水用の円筒「ピーヤ」が2本突き出ているだけ。坑口の場所は分からなくなっていった。長生炭鉱自体も1945年に閉山。その後は情報が統制されたこともあり、人々に語られることがほとんどないまま、時間だけが過ぎていった。かろうじて長生炭鉱があった床波海岸に突き出ている「ピーヤ」だけが、事故当時を偲ばせる姿であり続けていた。
刻む会の活動
刻む会は1991年に設立された。刻む会は犠牲者やその遺族を探し始め、同時に地域への周知や調査にも着手した。毎年、犠牲者の遺族を招いて追悼式を営み、2013年には追悼碑を建立。2014年に遺骨収容を目指して再出発した。日本政府に働きかけてきたが、政府は「戦没者にあたらない」として腰が重いままだった。「それなら自分たちで遺骨を見つけて国を動かそうと決意した」。クラウドファンディングで資金を集めて調査を開始、24年に坑口を見つけ、25年8月にダイバーが人骨を収容した。韓国でも関心が高まっている。11月には、日韓の超党派国会議員の合同総会で、人骨のDNA型データを共有して身元確認に向けて両国会が積極的に関与することが表明された。さらに、韓国政府の行政安全省の幹部が現地を視察した。
日本政府は
民間企業の事故とはいえ、戦時下の国策によって労働を強いられたゆえの犠牲なのだから、政府が資金援助すべきではないか。戦時中に日本の民間企業に徴用された朝鮮半島出身者の遺骨の調査や返還については、2004年12月の日韓首脳会談の場で、廬武鉉大統領(当時)からの要請を受けた小泉純一郎総理(当時)が、人道的観点から可能な限り進めるとの方針を説明。対応にあたる厚生労働省の人道調査室には、毎年約1千万円の予算が計上されている。しかし人道調査室はこれまで、調査をするのは寺院などに安置されている「見える遺骨」であって、見つかっていない「見えない遺骨」は対象外であるから、財政支援をする状況にはないと支出を拒否してきた。日本政府はずっと、見て見ぬふりをしてきたのだ。しかし2025年4月、大椿ゆうこ参議院議員(当時)が決算委員会の場で長生炭鉱について質問したところ、石破茂首相は「国としてどのような支援ができるか、政府の中で検討したい」と答えた。
しかし厚生労働省は「安全性の懸念が払拭できず、今後の潜水調査の財政支援を進める状況になっていない」と言い、外務省は「韓国政府と意思疎通」「関係省庁と連携」することを明言したものの、具体的な進め方についての言及はしない。
発掘された犠牲者の遺骨とみられる骨は即日、DNA鑑定のために山口県警へ引き渡された。10月には警察庁に、刻む会保有のDNAデータ31件が提出された。しかし、鑑定が一切おこなわれない状況が続いた。
加害の歴史に向き合う
「遺骨の返還は、日本の加害の歴史に向き合うことだ。この遺骨は誰なのか、なぜ日本に来てこんな死に方をしたのか。この悲劇を通して、在日コリアンの側に寄り添う日本人が増えてほしい」、「戦時中、日本のインフラは動員された人たちの血と涙と骨で造られた。皆さんの周りにも、そんな現場は一杯あると思う。掘り起こして伝えていってほしい」と井上さんは訴える。
今後の方針
12・23政府交渉では政府側は、DNA鑑定はまだ実施していないとした一方、早期実現に向けて韓国政府と緊密な意思疎通をおこなっているなどと説明。引き続きDNAによる身元調査を求めていく。「遺骨収集プロジェクト」として2月6日〜11日世界のダイバーによって坑内の集中調査をおこなう。84周年追悼式(2025・2・7)を日韓市民の決起集会にする。第4次クラウドファンディングを成功させる。(一読者)
〈昭和100年〉を撃つ!@
デマと排外主義は戦争の始まり
今年は昭和と改元されてから百年目に当たる。高市内閣とマスメディアは誇らしげにキャンペーンを繰り広げるだろう。
安倍内閣のころからテレビのBS7チャンネルテレビが「昭和は輝いていた」というタイトルで、歌謡番組を放送している。私は新聞のテレビ案内の欄でこれを見たとき、一瞬わが眼を疑った。
日本は1931年の「満州事変」から45年の敗戦に至るまで、中国をはじめアジアの民衆を2千万人も殺害している。そして376万4549人(関連死を含まず)の日本人が戦争で死んでいる(国立社会保障・人口問題研究所調べ)。これほど膨大な数の人間を国家の意思で殺した「昭和」が「輝いていた」とする神経を疑わざるを得ない。
「満州事変」自体、日本が経営する南満州鉄道を日本の陸軍が満州軍閥の張作霖を殺すために爆破しておきながら「現地の匪賊の仕業だ」というデマをとばして始まった事実が、
すでに明らかになっている。
映画監督で「無法松の一生」のシナリオも書いた伊丹万作は、敗戦の翌年つぎのように書いている。「多くの人が今度の戦争はだまされていたという。『だまされていた』といって平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによってだまされ始めているにちがいないのである」(『映画春秋』1946年8月号)。
「ウソつきは泥棒の始まり」という格言があるが、「デマと排外主義は戦争の始まり」である。「外国人による犯罪が増えて日本の治安が脅かされている」と街頭演説やSNSで喚き立てる参政党が、国会や地方議会で急速に議席を伸ばしている。それにつられて、少数の野党を除くほとんどの政党が外国人対策の強化を主張しだした。
高市首相が何の根拠も示さず「奈良公園の鹿を外国人が蹴った」と公言し、「台湾有事は日本国家の存立危機」と戦争をあおっている。その高市内閣の支持率が高く、逆にその発言を招いた野党議員の質問に、多くの国民が批判の矛先を向けているという!
伊丹万作の警告をあざ笑うかのように、デマとそれに追随する風潮が、社会全体に広がっている。
さて、では私たちはどうすべきか。こんな状況を呈している今だからこそ、百年を迎えた「昭和」という時代を、つぶさに振り返ってみることが求められているのではないだろうか。
「まず国民全体がだまされたということの意味を本当に理解し、だまされるような脆弱な自分というものを解剖し、分析し、徹底的に自己を改造する努力を始めることである」という伊丹万作の苦言をかみしめつつ、私の個人的体験を踏まえながら、「昭和」の断面を深堀りしてみたいと思う。
大庭伸介
〈考察〉
手話「君が代」
昨年11月、デフリンピック(注1)が東京などで開催された。開会式では、歌手一青窈によって国歌「君が代」が歌われ、そのそばでろう者が手話で表現した。さらにメダルを獲ったろう者が手話で君が代を表現した(音楽が聞こえないので手話通訳者がやるのを見て真似る)
12月4日、障害者フォーラム(注2)において全日本ろうあ連盟は、デフリンピックの報告とともに、国歌「君が代」斉唱は手話でおこなったが、政府が公式に決めたものでないため、国に作成するよう要望しているとアピールした。さらに12月12日、参議院予算委員会で沖縄出身の今井絵理子議員(注3)が「君が代」の手話制定を訴えた。
国に対して「君が代」手話制定をこい願う必要があるのか。国家統制を願っているのか。おぞましいことだ。
天皇制反対、「君が代」斉唱反対を闘う教育労働者の闘いを思うと、このような天皇制うあ連盟(注4)をどうしても許すことができない。
天皇制反対、基地建設反対、反原発を闘う人民とともに高市政権打倒へともに闘おう。
〈注〉(1)1924年パリで始まった。日本は1965年ワシントン大会に初参加。
(2)障害者フォーラム:JDF全国フォーラム。障害者権利をめぐる世界の動向と国内課題〜次世代への取り組み。
(3)今井絵理子:息子がろう者で、プロレスラー。
(4)全日本ろうあ連盟:1947年結成。皇族・佳子は2021年から非常勤嘱託として勤務。1972年、第22回全国ろうあ者大会(大阪、常陸宮夫妻列席)に対して関西障害者解放委員会が天皇制反対を訴えてきた。
(大見成子)
7面
中部電力 基準地震動データねつ造
昨年2月、規制委員会に公益通報が
寺田理
中部電力は浜岡原発(静岡県御前崎市)3・4号機の再稼働をめざしている。中部電力は新規制基準の適合性審査で「基準地震動」そのものを捏造していた。1月5日、中部電力はこの事実を明らかにした。7日、原子力規制委員会は「審査そのものをやりなおす必要がある」として、審査を停止する方針を決めた。現在、規制委は「再稼働審査を不許可にする」ことも検討している。規制委は審査をやり直すのではなく、浜岡原発の設置許可を取り消すべきだ。
この事実がどうして判明したのか。規制委が不正を見抜いたのではない。2025年2月に、公益通報制度にもとづく情報提供が外部から規制委にあった。中部電力が規制委の依頼をうけて調査した結果、この事実が発覚した。情報提供がなかったら、捏造事件は発覚しなかった。ここに深刻な問題がはらまれている。
「基準地震動」について
原発の「基準地震動」は、活断層など周辺の地盤データをもとにして、施設内で想定される「最大の揺れ」を計算している。これをもとにして、耐震設計をおこなう。規制委や第3者機関がおこなうのではなく、原発を所有する発電会社がこの作業をおこなっている。
電力会社は基準地震動をできるだけ小さくして、建設コストを抑えたい。営利企業であれば、このように考える。浜岡原発では、防波堤のかさ上げ高をできるだけ低くおさえたかった。
安全対策は企業の良心にまかせて、政府は責任をとらない構造になっている。この方式をとるかぎり、企業の利潤が優先され、原発の安全は軽視される。活断層の調査も同じやり方をしている。
中部電力は、どういうことをおこなったのだろうか。発電会社はひとつの地震ごとに20通りの揺れを試算して、その中から平均的な揺れを「代表波」にえらび、これを「基準地震動」にしている。中部電力は数千の計算結果から、都合のよい「代表波」を選定していた。もっともらしく見えるようにして、他の19の地震動も恣意的に選んでいた。つまり、基準地震動を捏造していた。
2019年1月におこなわれた審査会合では、中部電力は20のデータから基準地震動を決めたかのように報告していた。また、中部電力は住民たちによる運転差し止め訴訟においても、この捏造したデータを証拠に使用していた。中部電力は自作自演をおこなっていたのだ。
浜岡原発の審査において、規制委は「おおむね妥当」と判断していた(2023年9月)。規制委は、作成された基準地震動の評価結果と説明資料のみで判断している。規制委は安全性を軽視して、政府の原発積極活用方針にさおさしている。
浜岡原発の基準地震動は、1号機から4号機周辺が最大加速度1200ガル、5号機周辺が最大加速度2094ガルとなっている。どの原発でも基準地震動は1000ガル程度になっており、かなり低く設定されている。ちなみに、最近では東北地方太平洋沖地震(2011年)で2933ガル、能登半島地震(2024年)で2828ガルを記録している。基準地震動の算出方法は科学的根拠が明確でないところもあり、問題点が指摘されている。シミュレーションは企業まかせになっており、第三者が立ち入って検討していない。多かれ少なかれ、基準地震動は業者の都合に合わせて作られている。これが現状なのだ。
浜岡原発について
中部電力の浜岡原発は、静岡県御前崎の先端にある。原発は1〜5号機まで造られている。1・2号機は2009年に運転を終了し、解体作業をすすめている。当面、中部電力は3・4号機の再稼働をめざしており、審査を申請している(2014年2月に4号機、15年6月に3号機)。いずれも沸騰水型軽水炉(BWR−5改良型)で、出力は3号機110万kW、4号機113・7万kWだ。
浜岡原発は南海トラフ地震の想定震源域のなかにある。南海トラフ地震は100〜200年の周期でおきている。1944年と46年に、2つの昭和南海地震が発生した。現在、「いつ地震がおきても不思議ではない」状態にある。だから浜岡原発では、他の原発より厳しい「地震と津波」対策が求められてきた。
東京電力福島第一原発事故を教訓にして、浜岡原発では1・6qにわたって防波堤が建設された。2012年に完成した時、防波堤の高さは18mだった。その後、予想津波が高くなり、防波堤は22mになり、現在では28mの高さになっている。はたして、防波堤は津波の圧力に耐えられるのであろうか。こうして、浜岡原発に投じた安全対策費だけでも4千億円に膨らんでいる。この地域は原発立地不適格なのであり、浜岡原発は廃炉にすべきだ。
中部電力は、他の電力会社にくらべて火力発電を強化してきた。総発電量にしめる原子力発電の割合は小さく、約20%程度だ。原発なしでも十分にやっていける。中部電力が原発再稼働を急ぐ理由は、原発を稼働させれば1年間で2500億円の収支改善効果がある事と、安全対策に投資した費用を早く回収したい。いずれも企業の金儲けにかかわることだ。
もうひとつ、経産省から再稼働を求める圧力がある。政府は第7次エネルギー基本計画で原子力発電を現在の9・4%(24年度)から20%に倍増させようとしている。
浜岡原発をめぐっては、2025年11月にも不正事件が報道されている。安全対策工事が変更されているにも関わらず、社内の正式な手続きをへないで、工事(2013〜19年で20件)を発注していた。2019年に原子力部門がこれを把握していたが、昨年9月まで取締役会に報告していなかった。取引先から工事費用の清算手続きの要請を受けて、原子力部門の幹部が会社に報告して、これが明らかになった。中部電力は原発を動かす企業として、その適格性が問われている。
通報を隠蔽した規制委
中部電力によるデータ捏造をかばい、発覚を遅らせた原子力規制委員会を追及しよう。
そもそも規制委員会への外部からの通報は2025年の2月にあった。ところが、規制委はこれを公表せず、中部電力へも知らせず、中部電力の社長が知ったのは12月初めという。つまり、規制委員会はこのような重大な通報を10カ月にわたって隠しとおしたのである。この期間に何があったのか。北海道の泊原発、新潟の柏崎刈羽原発が激しい攻防を経て、再稼働へのレールが敷かれた時期だ。
もし25年2月の時点で、あるいはすみやかに、この通報が公表されていたら、泊や柏崎刈羽の再稼働など吹き飛んでいたであろう。
解体して出直しを
規制委は電力会社が用いた過去の地震観測記録や地質データなど、基準地震動の算出に用いた基礎データをすべて開示させて、第三者機関によって検証するべきだ。
もはや原発の安全性は保たれなくなった。中部電力の体制では原発の安全稼働は不可能だ。中部電力に原発を運転する資格はない。中部電力は、浜岡原発の3〜5号機を廃炉にするべきだ。
日本列島は地震の多発地帯にあり、原発の安全対策に膨大な経費が必要になっている。もはや一企業で原発を稼働させることは不可能。この意味で、今回の中部電力による捏造事件は、一企業の問題ではない。
原子力規制委員会のあり方も根本的に問われている。今回のような捏造を見抜けないのでは、規制委員会の存在意義はない。それどころか、隠蔽していたのだからことは深刻だ。こういう重大な問題を隠蔽するような規制委員会が、真の意味で「規制」などしないだろうしできるわけがない。
いったん、すべての原発を停止し、出直した規制委による本来の審査をいちからやり直すべきである。データ捏造を擁護するような規制委は解体するしかない。
政府(経産省)は福島第一原発事故以降も原子力政策を反省することなく、原発を積極推進している。高市早苗首相は今回の捏造問題について沈黙している。安全性を無視して、原発再稼働を推し進めている。政府は中部電力だけの問題にして、原発政策に影響がでないようにするだろう。このことを許してはならない。
浜岡原発データ捏造事件が発覚してから、原発の安全性問題が再びクローズアップしている。これを衆議院選挙の争点におしあげて高市政権を打倒しよう。
8面
〈投稿〉
新年に想う(下)
ひそかに、新興イスラエルに、核武装が提供されていた。また被害者として日本被団協の方々が言う「私たちのようなめに、世界のどんなひとも決して、今後ともふたたびあわせたくない」という熱い祈りの言葉に対して、アイゼンハワーの前任者トルーマンは、こう「アメリカ国民に告ぐ」を発していた。
長崎原爆投下のまさにその日のラジオ放送で、神について言及していることです。核兵器の危険性を喚起した後で、原爆の正当化として、「原爆の使用は、神から与えられた責任である」といっています。さらに彼は、「我々はこの新しい力がまちがって使われないように、そして人類へ貢献するように管理しなくてはいけない。これは大変な責任を伴う仕事です。そしてわれわれは、この責任が、敵国ではなくわれわれにまかされたことを神に感謝するとともに、神がその使用と目的において、我々をただしく導いてくださるようにいのります」と続けます。(これが、IAEAという組織の使命なのでしょう。筆者注)。アイゼンハワーはこのような国民感情を上手に汲み取り、さらに強化したといえるでしょう。(『なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識』(宮本ゆき著 P106)。
世界の原発の歴史に刻まれる大事故をおこしたチェルノブイリ原発が、ウクライナとの戦争で、ウクライナへの攻撃の手段にされている。また、ヨーロッパ最大のザポリージャなどウクライナの原発は、ドローンなどの無人攻撃機で種々の攻撃をされ、停電があいついだ。石油や石炭、天然ガス、木材などのエネルギー資材、さらにインフラがねらわれる。
また、パレスチナの人々が住むところでも、教育・医療・病院・援護施設などの公共施設も、ドローン攻撃がされている。さらに、飲み水などに係る水源を爆薬などで汚染している。(PFAS−フロン公害)。非人道的な破壊攻撃で、ドローンや劣化ウランなどが使われ、ジェノサイド攻撃をしている。イランでは、米国が核開発施設にバンカーバスターを何発もうちこんだ。米軍は公表しないが劣化ウラン弾使用の可能性がたかい。
ソヴィエト=ワルシャワ体制を解体しつつ、ロシア正教に復帰した帝国が、ウクライナ原子力発電所を攻撃する現実は、常軌を逸している反動攻勢。
核兵器が、帝国の専横をささえており、老朽原発をかたづけられもしない、貧しい日本帝国主義は、老朽原発と使用済み核燃料、有事攻撃対象になる原子力発電関連施設のラッシュの断末魔に追い込まれてゆく。軍事基地と原発は、事故の危険度から考えれば距離が近く共存できない。(東電福島第一原発事故における米軍「トモダチ作戦」、軍事基地、原発への同時ミサイル攻撃など)。(南方史郎)
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