未来・第429号


            未来第429号目次(2026年1月1日発行)

 1面〜3面  2026年『未来』新年アピールT 25年総括(上)
     軍事大国化、生活破壊へ突進
     反戦・反基地、反原発、生活防衛の共同闘争

 4〜5面  2026年『未来』新年アピールU 情勢・高市政権論(上)
     大軍拡・大衆収奪の高市打倒
     戦争挑発と危機あおりを許すな

 6面  通信KOSUGI
     韓国の旅、初日は韓神大学校、民主化運動家の碑、金福童平和センターを見学

     沖縄日誌11月
     1月名護市長選迫る
     自衛隊強化との攻防

 7面  スパイ防止法で永嶋弁護士が講演
     外国との戦争想定し監視・規制
     12月13日大阪

 8面  投稿
     2025岩国行動に行ってきた!
     米極東戦略の要・岩国基地

     (闘争案内)

     カンパのお願い

           

(1〜3面)

2026年『未来』新年アピールT 25年総括(上)
軍事大国化、生活破壊へ突進
反戦・反基地、反原発、生活防衛の共同闘争

「ミサイルいらない!軍拡より生活」をかかげ10・19祝園現地闘争に2700人が参加した(10月19日 京都府精華町)

はじめに

 

高市首相の台湾有事発言は、歴代内閣のあいまい答弁・政府官僚の答弁書を超えて、高支持率にある高市首相が自らの中国敵視・日中平和友好条約否認・歴史修正主義思想の一端をはしなくも表明したものである。自民党が24年衆議院選・25年参議院選で敗北し、連立政権・少数与党であることを突破するため、高支持率を背景に自民党の極右的再編もかけて、「台湾有事=日本有事」とした中国敵視・戦争宣言を許してはならない。
 高市政権は歴史的に見て、2015年安保法制制定・集団的自衛権容認から、22年安保3文書閣議決定・軍事費GDP比2%=5年で43兆円路線を、2年前倒しで遂行する超反動内閣に他ならない。高市の狙いは、安倍晋三の後継者として、スタンド・オフ・ミサイル装備=敵基地先制攻撃を受け継ぎ、戦後憲法下の専守防衛原則を最終的に解体することにある。その上で高市内閣の積極財政・経済対策にある「強い日本経済」論は、軍需産業を軸に国を富ませるという戦前日本型の「富国強兵」路線に他ならない。
2024年・25年選挙の自民党の敗北は、30年にわたる経済失政が物価高騰として労働者・人民の日常生活を直撃し、日本帝国主義の衰退・消滅過程を実感させたことへの人民の絶望的な反応である。GDPは1人当たり世界32位に落ち込み、もはや先進国とは言えない。青年層には経済的にも政治的にも未来がない時代と映り、近隣の中国・韓国・台湾に経済=社会生活的に追い抜かれ、今や日本はアジアの「二等国」でしかない。そのルサンチマンを参政党に代表される排外主義・日本人ファーストに掬い取られ、自民党の惨敗となった。それをさらに進めるものが高市の中国主敵・中国憎しの「台湾有事=日本の存立危機事態」発言に他ならない。
 第一の貿易相手国で多数の生産拠点を持つ中国に対し、主流派ブルジョアジー(経団連主流や三木谷楽天会長など)や、保守反動・右翼分子でも、冷静に考えれば14億人の人口を持つ中国との関係は「戦略的互恵関係」である(自民党・財界主流)。また「中国が日本に攻めてくることはない」(ホリエモン)。田母神俊雄元空幕長ですら「ここ2・3年に中国が台湾侵攻することはない」と言い、「盟友関係」のアメリカ大統領・トランプも中国とは友好的ディール関係をと言う始末である。一人高市とその取り巻き=櫻井よしこや河野克俊元統合幕僚長ら自衛隊幹部・軍需産業経営者らが、75%の支持率の上に、クーデター的に国内世論の右翼的再編を狙って暗躍している。そのため「非核三原則見直し」への言及、殺傷武器輸出解禁=防衛装備品輸出規制撤廃、官邸幹部の「日本は核武装すべき」(12月18日)などの発言が析出している。

 高市の首相就任で日本階級闘争は全く新たな局面に突入した。主体的には2015年安保法制闘争の高揚と、それ以降の運動の形骸化=野党の衰退が続いたが、これを乗り越える新たな運動がここ2年で復活しつつある。沖縄では自衛隊南西シフトにより自衛隊基地が次々と完成。ミサイルの配備、辺野古新基地建設が続いている。立憲民主党を先頭とする野党の果てしない屈伏はついに「安保法制に違憲部分はない」と立憲民主党創設者が転向を表明した。しかし闘いの最前線=沖縄では、2023年6月23日慰霊の日にあたり「このままでは沖縄は再び戦場にされかねない」との危機感が一気に噴き出し、11・23全国連帯県民大会から新たな闘いが模索され、与那国・石垣・宮古・沖縄島うるま市で基地建設に反対の新たな闘いが始まった。沖縄についで、新基地建設の進む九州各地で、佐賀オスプレイ基地化、宮崎新田原F35B配備、大分敷戸弾薬庫増設、鹿児島馬毛島全島基地化などに対し粘り強い闘いが続いている。そして2024年8月に〈戦争とめよう! 沖縄・西日本ネットワーク〉が結成され、九州・中国の呉・大分・鹿児島などで連帯集会が継続的に開かれ、25年6月には東京で対政府交渉がひらかれた。全国各地の弾薬庫建設・長射程ミサイル配備に対しては、24年5月から京都府南部・京阪奈丘陵の祝園で闘争が始まった。25年10・19祝園には2700人、11・9熊本健軍に1200人と広範な市民の決起が始まった。大分、岩国、呉、神戸港、舞鶴、三菱小牧、富士、横田、横須賀など全国の反戦・反基地・軍事大国化阻止の闘いの連携が強まった(10・18京都交流集会など)。これは2015年闘争以降の闘いの形骸化の中で、基地=戦場にされる地域からの反撃として、戦争をさせない=先制攻撃をさせず戦争の犠牲にもならない闘いとして、高市内閣の戦争攻撃=富国強兵策と真っ向から対決し発展するだろう。

(T)安保・沖縄・反原発闘争で高市政権を打倒する

(1)戦争に反対する新たな闘いが始まった

 

10・19祝園闘争は全国各地から2700人が結集し、90万円を超す会場カンパが集まるなど、この間の反基地闘争の新たな地平を切り開いた。地元京都府精華町・木津川市などのほうそのネットと、沖西ネットが中軸となって、京都各地・関西各地・全国の仲間が集い、2022年12月安保3文書の閣議決定以降の戦争体制構築攻撃に対する最大規模の反撃となった。
集会準備は7月21日の第1回実行委に関西全域から70人が京都市内に集まり始まった。ちょうど排外主義旋風の吹き荒れた参議院選挙翌日、選挙での敗北を乗り越える10・19祝園闘争が参加者の胸中にみなぎった。1年以上にわたる何回もの地元での学習会の上に、8月末にも工事着工が言われる中で、初の大規模集会である。論議の中では地域住民の組織化と無縁のところで、弾薬庫撤去などの空論的スローガンは排された。同じく地域からの運動の積み上げと無縁の組合旗や政党旗の林立=左翼の存在証明的あり方も排された。そして今そこにある「長射程ミサイルの配備」への怒りと、「平和であってこそ関西学研都市に文化が香る」との思いを込めた集会・ピースパレードが企画された。
わが未来派は24年5月の現地学習会に参加から始め、24年8月には地元木津川市の8月平和企画に参加し、東京ドーム100個分の弾薬庫を一周し、祝園弾薬庫正面で駐屯地司令あてに申し入れをおこなった。秋には大阪の各地で学習会をおこない、現地行動にもその都度参加。また九州・中国地方の全国交流集会にも代表を派遣した。25年10・19に向けては、これまでの闘いを集約したパンフレットを発行し、祝園のミサイル・弾薬が沖縄に運ばれる中継拠点となる神戸で学習会を開催した。
10・19当日には、関西全域の仲間が党派・運動体を超えて3000人規模の集会の準備を担い、また地域の仲間は大阪市内、京橋、高槻、神戸などからバス・マイクロバスに乗り現地に向かった。こうして沖西ネットの運動と祝園現地の取り組みと、関西各地の運動が一つに結合したのだ。
 10・19祝園現地集会とそれに先立つ10・18交流会(京都市内)は、これまでの全国各地の行動を一堂に結集させ、日本第二の都市圏である関西と沖縄・九州各地などの闘いが合流し、初めて3000人近くの行動となった。10・18京都交流集会、10・19祝園現地闘争の集会発言などは、『未来』425号を参照してほしい。
おりしも自民党総裁選を制した高市が、公明の与党離脱から維新との連立で10月21日に政権を発足させるが、その最大の施策=強い国日本を作る=軍事大国化攻撃の前に、全国基地闘争が立ち上がった。まだ数は数千人規模だが、この数が万を超え、数万・数十万となる時、高市戦争遂行政権に立ちはだかる人民の闘いの砦になり、屈伏激しい野党に対する強い刺激となり、憲法9条破壊・核武装・専守防衛をなきものにする攻撃への「反ファシズム統一戦線」になるだろう。

(2)11・9熊本に1200人、神戸、大分、呉、舞鶴など全国で新たな闘い

   

10・19の高揚を受け、11月9日には熊本市健軍駐屯地近隣の商店街内で1200人の集会が開かれた。熊本は明治以来九州の中央に位置する軍都。西部方面総監部のある健軍駐屯地に、12式地対艦能力向上型ミサイル(射程1000キロ)が26年3月までに設置されようとしている。敵基地先制攻撃のこのミサイルが発射されれば、当然にも反撃ミサイルの飛来は必至だ。このため熊本県庁や健軍駐屯地司令部では地下化工事が始まっている。長射程ミサイル設置と地下化工事を知った周辺住民は、11月9日に駐屯地近くの健軍商店街で工事説明会を求める集会をおこなった。集会には地元商店街の人々や保育所関係者・高校生などが「司令部は地下化されるのに、商店街は逃げる所がない」と次々と発言。地元選出の衆議院議員である木原稔官房長官に説明会開催を求めたが、内閣の要である木原官房長官は無視のままだ。これに抗議して、11月24日にも沖縄や全国からも熊本に集まり、長射程ミサイルの配備反対を訴えた。
 10・19過程で祝園のミサイルが車で1時間の神戸港(海上自衛隊阪神基地隊)から沖縄に運ばれる情報を得た兵庫県民は10・19に大型バスなどで60人が祝園に結集した。とともに高市内閣と維新の連立政策協定に、「次世代動力の潜水艦建造」が入っていることを知り、潜水艦建造の造船所は神戸の三菱・川重にしかないため、「神戸で原潜建造!」への危機感が広がった。25年3月に「非核神戸方式50年全国集会」を開いているさなか、アメリカ政府は「核の非存在を証明しないと入港できない」を打ち崩すため、小型木造船を証明書なしで入港させた。いつまでも関西・西日本有数の天然の良港=神戸港を米艦船が使えないことにいら立つ米政府は、26年3月までにも大型船を入港させようとしている。祝園ミサイル・弾薬の運搬中継地、原子力潜水艦建造計画、非核神戸方式破壊という、神戸港の軍事使用に大きな危機感が広がり、12月14日には70人で討論集会が開かれ、10・19祝園に結集した京都・大阪の仲間も多数参加。更に米軍退役軍人たちと交流のあるグループも参加した。運動の拠点シアトルは神戸の姉妹都市で民主社会主義者が市長を務める。原潜建造については「非核三原則見直し」や「核兵器所有を求める政府高官発言」などと、原発再稼働で膨大なプルトニウムをため込んできたことと併せ、絶対に認めてはならない。原潜建造反対と非核神戸方式守れ、沖縄にミサイル運ぶなと国際連帯の広がりは、これまでの市民運動・社会運動を超える運動として発展していくだろう。
 大分敷戸弾薬庫反対の闘い、広大な面積を持つ旧新日鉄跡地を自衛隊呉基地と連結させ「戦艦大和」を造った帝国海軍並みの巨大軍港にする攻撃も進んでいる。そしてトマホークミサイルを京都府舞鶴港に移送し、イージス艦に配備する攻撃も26年5月を区切りに進んでいる。
全国各地で進むこの攻撃に、地元住民の決起と全国的連携、さらには巨大都市圏住民の決起を実現するとき、それは地域住民運動を超えて、高市内閣の戦争攻撃・軍事大国化・軍需産業の育成を打ち破る政治闘争として発展するだろう。

(3)軍事大国化目指す日本の現段階 安保3文書批判

 

10・19を先端とする関西・西日本における反基地闘争を2025年総括の基軸の据えるのは、主体的根拠だけでなく、日本帝国主義の安保・防衛政策の根幹にかかわる問題がそこにあるからである。日本帝国主義政治委員会は、2022年12月16日閣議決定の安保3文書をもって、旧来の自衛隊の基本戦略(専守防衛)から全面的に転換した。1970年の『防衛白書』においては「わが国に対する侵略があった場合に、国の固有の権利である自衛権の発動により、戦略守勢に徹し、わが国の独立と平和を守るためのものである」「専守防衛は、憲法を守り、国土防衛に徹するという考えである」と記している。そして当時は「仮想敵国」としてソ連をすえ、ソ連脅威論に立ち、北海道に陸上自衛隊4個師団を配備していた。91年にソ連が崩壊すると「北朝鮮脅威論」に転換。その後97年に日米ガイドラインが見直され有事法制が整備されていく。ついで2018年の19年版『防衛白書』では中国脅威論に変わる。中国をにらんで自衛隊は「南西シフト」に転換し、南西諸島に次々と新基地を建設していく。これ以降の過程で22年12月に岸田政権は、国家安全保障戦略を改訂し閣議決定する。併せて防衛計画の大綱にかわり「国家防衛戦略」、中期防にかわり「防衛力整備計画」を策定し、この3文書がこれ以降の基本文書となる。安倍晋三首相はその退陣直前に「敵基地攻撃能力」に言及し、護衛艦「いずも」の空母化、スタンドオフ・ミサイルの保有にも言及している。これらを踏まえて安保3文書策定では5年間43兆円、GDP比2%の軍事予算を策定した。ここに「専守防衛」の概念は全面破棄され、敵基地先制攻撃のためのミサイル保持と、そのための予算措置がとられる。この3文書を2年間前倒しで実現するとしたのが、25年10月21日に就任した高市首相である。
 安保3文書は反撃能力というが、それは敵基地だけでなく政治・軍事中枢や兵站面への攻撃も含む。そのため日本列島を縦断して1000キロの射程を持つ「12式地対艦誘導弾能力向上型」を熊本健軍駐屯地から順次配備していく。祝園の14棟の弾薬庫増設も12式ミサイル能力向上型配備のためである。また海自護衛艦からの「艦発型」、航空機からの「空発型」も配備される。この長射程ミサイルは移動可能で、発射の後には直ちに移動し、司令部は地下化されていくが、周辺住民は飛来ミサイルの脅威にさらされるわけだ。
 3文書改定と5年で43兆円の予算がついて以来、日本の軍事産業の全面拡大と軍産学複合体化が急速に進んでいる。「強い日本経済」をめざす高市内閣でも軍需産業振興は最大課題で、三菱重工・IHI・川崎重工などが受注を始め、株価は爆上がりだ。また武器輸出三原則の撤廃、防衛装備庁の研究に大学が参加など、産業界(軍需産業)と防衛省・大学の連携として急速に進んでいる。大学や日本学術会議はこれまで軍事研究はしないことが原則だったのに、これを破って軍事研究・航空宇宙産業(ロケット技術)の研究が活発に展開されている。24年大学法の改悪による「儲かる大学」では軍需産業関係者が大学運用に関わり、「国際卓越大学」構想も理系重視=軍事科学優先として惜しみなく予算が注ぎ込まれ、大学の再編が急速に進んでいる。武器輸出については「もがみ」型護衛艦のオーストラリア輸出に始まり、次期戦闘機の英・日・伊共同開発も進められている。更に非核三原則の見直し、原子力潜水艦の建造となれば、「憲法9条」「専守防衛」は「絵にかいた餅」になってしまう。
 安保3文書と、高市の「強い日本経済」は、戦後日本の社会構造を根本から変え、戦前型「富国強兵」への道で、衰滅する日本が地獄に落ちる道である。我々労働者階級・人民はこれを拒否し、帝国主義を打倒しない限り生きていけない時代が本格的に始まろうとしているのだ。

(4)原発再稼働・新増設反対 26年、運動の飛躍を

 

脱原発・老朽原発再稼働反対の闘いは25年中、激しく粘り強く闘い抜かれてきた。2011年3・11東電福島第一原発事故から時間をおかず成立した安倍内閣時代には、まだ「将来的には原発を減らしていく」の考えがあったが、事故後10年の22年8月に岸田内閣は原発の新増設を打ち出した(8・24GX実行会議)。その後政府・電力会社は原発規制を環境庁から経産省主導に変え、40年ルールの改悪、GX脱炭素電源法を成立させ、原発依存社会に向かって第7次エネルギー基本計画を打ち出した。日本社会全体が衰退する中でエネルギー消費量は減るのに、AIや大型電算機に莫大なエネルギーがいると、原発推進のために新たな舵を切った。さすがに3・11事故の張本人である東京電力は再稼働を言えなかったが、高市内閣になってついに花角新潟県知事が再稼働同意を表明した。
 裁判所も22年6月の最高裁判決で「福島原発過酷事故に国の責任がない」とする判決を出して以降、各地の差し止め裁判や、福島などから避難した人々の損害賠償や救援を求める裁判においても、不当判決が続いている。
東電福島第一原発事故から15年。「核・原発と人類は共存できない」「原発は人類が制御できないプラント」としてきたすべての人々は、今こそ電力会社と国家が結託したこの原発政策にNO! を突き付け、原発なしでも社会は自然エネルギーだけでも成り立つことを基礎に、各地の再稼働策と対決し、反原発運動を再構築していこう。

(U)物価高騰・生活苦から、人間的社会を取り戻そう

(1)生活破壊強める自民党政治

 

24年総選挙での自民党敗北は、日本経済が停滞し労働者の賃金が上昇しない「失われた30年」の上に、コメをはじめ、食料品、飲料、野菜などを始め全製品の物価の高騰が市民生活を直撃したことへの怒りの爆発だ。生まれてからこの方好況を経験したことがない世代が、物価高騰の中で反乱を開始した。選挙では自民党以外全政党が消費税廃止・引き下げを言い、現金給付を望んだ。手取りが増えることが希望となった。
25年参議院選ではこの日本社会の沈没ぶりを外国人のせいにして、「日本人ファースト」の排外主義を鼓吹する政党が躍進した。日本より経済的困窮が数年先に進むアメリカ・ニューヨークでは、生活防衛のため、交通・住宅・教育の無償化と、富裕層からの収奪を訴えるマムダニが市長に当選した。移民社会のアメリカでは外国人のせいにするのではなく、富裕層からの収奪と社会的インフラの無料化=社会主義を求める訴えが人心を捉えた。
 経済大国・ジャパンアズNO1と言われた1980年代。帝国主義の争闘と協商=ジャパンバッシングは、85年プラザ合意から一気に進んだ。90年にはバブルが崩壊し、好調だった日本経済は自動車産業以外急速に没落していく。賃金は上昇せず、支配階級の延命をかけた消費税導入が経済動向・市民生活にさらに追い打ちをかけた。そこから失われた10年が20年・30年と続く。いったんはデフレ下で賃金・物価とも上がらず我慢できたが、ここ数年は急速な円安で、輸入品の高騰から物価高・インフレ基調になった。24年総選挙・25年参議院選では自民党の一部も含め全政党が消費税廃止に言及せざるをえず、格差・分断・貧困の拡大に反乱がおこった。
 この過程で資本家階級は、総額人件費を抑え内部留保を蓄え、労働運動を弾圧し、社会福祉を削減し延命してきた。西欧諸国は曲がりなりにも賃金が上昇したのに、日本だけ30年間賃金が下がりっぱなしなのだ。一億総中流・分厚い中間層などというのは夢のまた夢で、非正規雇用が拡大し「下流社会」が形成され、結婚はできず、子どもも産めない社会が現出した。アベノミクスが言う「トリクルダウン」は嘘八百で、この虚偽事実さえ総括できない政治家がまた首相になったのだ。
そのうえで昨年来のコメをはじめとする高物価は全世代を直撃し、その生活苦とネット世界の急進展のなか、デマゴーグが輩出し即物的右派ポピュリズムが一気に浸透した。
 政治的分野においては、小泉以降の政治は、リーマンショック後の混迷を保守のプリンスにして新自由主義を推進する安倍晋三が、「新保守主義と新自由主義」で長期政権を維持するが、新たな政治モデル=「美しい国日本」を作ることはできなかった。また一度は政権交代を実現した民主党・立憲民主党を軸とする野党は、政権交代に対する資本家・官僚・既存勢力・アメリカ政府の圧力に抗するができず自滅した。また2015年には安保法制を巡り一定の左派大衆運動を構築したが、野党共闘は後退し分散・多党化時代に突入した。
 これらの最終的分岐・激突が2024年・25年の政治的激突となり、自民党は少数与党になり、右派ポピュリズムが席巻し、日本型リベラルは立憲民主党を先頭に自ら中道化・保守派を宣言し、対抗力を失い存在感を急速に失っていった。

(2)富国強兵の高市打倒へ

 

ここに至って政治経済の全分野でGDP2%・5年間43兆円=戦争国家化と軍需産業育成が社会を制圧しようとしている。これに抗して長期にわたる経済的困窮への生活防衛闘争と沖縄と全国各地の反基地闘争が一体的に前進することが人民の希望だ。この力が経済生活にも及び、戦争と生活破壊と対決する運動となることの中に、消費税廃止、富裕層からの収奪、交通・居住・教育など社会的インフラの無償化を実現し、共産党・社民党・れいわ新選組などの政党と繋がり、地域主権などとも結合し新たな社会主義の展望を立てるとき、新たな政治勢力として登場することが可能なのではないか。

(V)労働運動再生・賃金大幅アップ・関生弾圧粉砕

 

戦後左派運動の基底となった総評型労働運動は、87年国鉄分割・民営化で大きく後退し、代わる連合は労働運動の形を取りながら、絶えず労働代官としての役割を果たしてきた。とりわけ民間労組における資本の手先ぶりは旧民社・同盟系以来続く反共主義を基軸としており、これが今日の国民民主党的あり方を規定している。連合芳野友子会長は選択的夫婦別姓などではまだ高市の先兵となってないが、玉木雄一郎国民民主党党首は、立憲民主党より自民党に親近感を示すなど、翼賛化が激しい。また電力総連の原発推進は断罪以外ない。これらの労組幹部・議員との対決を強めていこう。
 この中でも苦吟してきたのは地域合同労組・ユニオン運動や関西生コン支部に代表される労働運動である。関生労働運動は2018年以来戦後最大規模の激しい弾圧を受けてきたが、2025年2・26湯川裕司委員長への無罪判決を始め、いくつかの勝利をつかみ潮目を変えつつあり、新たな労働運動を目指して奮闘している。この弾圧を粉砕しその中から新たな労働運動を創り出していく闘いに引き続き連帯し決起していこう。
地域ユニオンの苦闘とともに、この生活苦の中で賃金引上げ、最低賃金1500円を目指す闘いは、必ず社会的支持を獲得していく。また非正規雇用労働者の闘い、女性労働者の闘い、さらには無権利状態を強制される外国人労働者、学生アルバイトの闘いなども、万博関連事業で未払い賃金などをあらゆる人々と連携し追及していくとき、必ず社会を揺るがし勝利していくだろう。
 また生活保護利用者に対し保護費を引き下げた攻撃が違法であると認定され、6・27最高裁判決が下された。にもかかわらず厚生労働省は引き下げ分を全利用者にさかのぼり支給するのではなく、新たな基準を作り引き下げようとしている。許してはならない。
全社会において、生きるための闘いを前進させないと労働者階級・人民は、帝国主義とその政治権力=高市政権によって殺されていく。この腐敗した社会を打倒し、すべての人々が安心して暮らせる社会をめざし、帝国主義支配階級と闘い抜いていこう。(つづく)

25年総括(下)の目次
W 新次元に入った排外主義との闘い
X 戦争に反対する国際主義的連帯闘争
Y 青年・学生・女性を先頭に社会主義をめざす闘い
Z 共闘の拡大と地区党を軸とした未来派の闘い



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4〜5面

2026年『未来』新年アピールU 情勢・高市政権論(上)
大軍拡・大衆収奪の高市打倒
戦争挑発と危機あおりを許すな

 

高市政権は労働者人民にとって強敵ではないが、難敵である。政権基盤の弱さを、自ら危機をつくり出し、それを糧として延命を図っている。「ファシスト」とか「極右ポピュリスト」と呼ぶだけではすまない。議会勢力の集合だけでは勝てない。困窮にあえぐ労働者人民の胸を打つ闘いを、社会の底の底から組織することである。米帝1極支配とともに新自由主義とグローバリゼーションの時代は終わった。今こそ社会主義の旗を掲げ、社会的・国際的連帯の道を切り開こう。パレスチナ解放とウクライナの勝利のために。

第1章 「存立危機事態」と大軍拡

@「台湾危機=存立危機事態」?

 

はじめは11月7日の衆院予算委員会での岡田克也との次のやり取りから始まった。
(岡田)「副総裁の麻生と元総裁の安倍は『中国が台湾に侵攻した場合、日本政府が存立危機事態と判断する可能性が高い』と発言しているが、どういう場合に存立危機事態と判断するのか」
(高市)「やはり戦艦を使ってですね、そして、武力の行使を伴うものであれば、これはどう考えても、存立危機事態になるケースであると、私は考えます」
2015年に存立危機事態を定めた戦争法を成立させた安倍首相(当時)は、当時の国会答弁で、ホルムズ海峡が封鎖された場合は日本に輸入する原油の大部分がここを通過するので、存立危機事態となる。しかしマラッカ海峡や台湾海峡が封鎖されても迂回することができるので存立危機事態とはならないと、答弁している。また存立危機事態として、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」を挙げている。
 岡田は、台湾への直接攻撃の場合ではなく、バシー海峡(台湾とフィリピンの間の海峡)封鎖の例を挙げて質問している。台湾は国際法的に国とは言えず、また封鎖にしても台湾および日本に対する脅威と認知する可能性が高い台湾海峡ではなく、バシー海峡を挙げた。高市に、「存立危機事態とはならない」と答えさせるためである。ところが高市は、そんな岡田のおもんばかりをあっさり無視して、戦艦で封鎖すれば存立危機事態になると答弁した。これは、二重の意味で従来の政府解釈を踏み越え、重大な危機をもたらしている。
 従来から安倍や麻生は「台湾危機は存立危機事態」と言い募ってきた。しかしこれは2人とも現役首相を退いた後の個人的で非公式の場の発言である。しかし高市は、現役首相として国会質疑の場というもっとも公式の場で発言したのである。また安倍は、台湾危機を言う場合も、それに米軍が介入して、中国と交戦状態となり、米軍(米艦船や米軍基地)が攻撃されたときは、「密接な関係にある国への攻撃」だから存立危機事態となると、条件を入れていた。今回も岡田質問では米軍が介入することも例示している。しかし高市は米軍が介入するかどうかにかかわらず、日本政府単独で存立危機を認定し、武力発動するとしたのである。トランプが「中国を挑発しないでくれ」と電話で言ってくるほど現状破壊的であった。その後のやり取りを含め、日本・中国・米国の政府の発信には、台湾人民を尊重し、その自己決定権を重んじる態度がまったくない。とくに日本政府は、台湾を最初に植民地化し、50年間も支配してきた贖罪の立場がまったくない。その意味でも不当かつ危険な挑発行為なのである。

A首相就任後の大軍拡

 

高市政権が発足した10月21日以降の1カ月をとっても「大軍拡攻撃」が相次いだ。
10・21所信表明で、軍事費のGDP比2%への引き上げと防衛3文書改定前倒しを表明
10・24防衛省は3文書改定に向けた「防衛力変革推進本部会議」を開催
10・24防衛力移転3原則中の5類型を撤廃し殺傷兵器も輸出可とする検討を開始 10・28日米首脳会談で高市首相が「防衛力強化」を表明
11・05高市首相は衆院本会議でスパイ防止法の検討を進めると発言
11・07衆院予算委で「台湾有事=存立危機事態」発言
11・11衆院予算委で防衛3文書改定について非核3原則を明言せず
11・20自民党が防衛3文書改定前倒しに向けた議論を開始
以上に見られる、大軍拡のポイントは以下の点である。

第1に、防衛費大増強、GDP比2%への引きあげを2年前倒しして2025年度とした
第2に、2022年12月に岸田政権が定めた防衛3文書の改定を2026年までにおこなう
第3に、長射程ミサイルの全土配備、弾薬庫・配備場所の指定と、移動・配備のための特定港湾・空港の指定
第4に、南西地域戦略に基づき琉球諸島の軍事要塞化、先島諸島の住民12万人の避難計画など机上の空論
第5に原潜開発、非核3原則の廃棄と核武装論の台頭
第6に、防衛装備移転(輸出)5類型の廃棄と本格的軍産学複合体の形成
以上のうち第5点について、従来は、原潜開発は技術的には核武装に直結しないと思われてきたが、新しい知見として、原潜は一般に90%以上に濃縮した兵器級のウランを燃料にする。原子炉のサイズを小さくし燃料交換もせずに済ませるためである。以上から濃縮ウランを自力で製造するか、入手すれば核兵器を製造することができることが分かる(地平2026年1月号、松久保肇「原子力潜水艦保有検討」)。

第2章 高市=極右ポピュリズム

@高市登場の歴史的背景

 

特筆すべきは従来の自民党の支持基盤となってきた旧中間層的部分が崩壊していることである。最近の2つの国政選挙である第50回衆議院選挙(2024年10月27日)、第27回参議院選挙(2025年7月20日)、とくに参議院選挙では次の現象が目立った。
第1に自民党の最大の伝統的支持基盤である農協(組合員数1000万人)がまったくふるわなかったことである。すでに2008年民主党大勝の時に農協票は自民党を離れていた。今次参議院選挙ではそれがもっと大規模で現れ、農村部で自民党の裏金議員は壊滅した。農民に対する何の考慮もなく、とにかく米価を下げることだけを強調する小泉農政に対する批判はすさまじく、10月の自民党総裁選では「小泉だけには入れるな」とのゲキが飛んだ。議員票ではトップを取った小泉が党員票で高市に敗北したのはそのあらわれである。
 第2は医師会票である。日本医師会は会員数18万人程度であるが、医療・介護・看護・その他の医療従事者と、底辺が大きく、参議院東京選挙区で武見敬三元厚生労働相は5選を重ねてきた。ところが今回の参議院では東京選挙区定数7人のところ、10位で、最下位当選から16万票もの差で敗北した。診療費・薬価など切り下げに次ぐ切り下げで、積年の怒り、恨みが代表的人格である武見に向かったのである。
第3は、自衛隊・「防衛族」である。現役自衛隊員22万人、OBで構成される隊友会20万人、家族を含めると自衛隊・防衛族は100万人を超える有権者を擁する。ところが今回の参議院選挙では「組織内候補」と目される「ヒゲの隊長」こと佐藤正久・自民党幹事長代理が全国比例区次点13万票足らずで落選した。現役自衛隊員や隊友会会員は減少していない。前のめりに戦争を煽る佐藤に対する自衛隊員(現役、退役を問わず)の危機感が表れたのである。戦争をわが身の問題ととらえる気持ちが一番強いのが自衛隊員である。いざ実戦となったとき、このような隊員を投入することはどんな司令官でもためらわざるをえない。
 このような旧中間層に代わる新中間層についていえば、1970年代以降この層はまともに形成されなかった。1990年代から2000年代のバブル崩壊後の就職氷河期世代とそれに続くZ世代では、都市生活でSNSなどを駆使する一方で、政治的・社会的凝縮力はいまだ形成されていない。非体制派的右翼は参政党などにからめ取られている。このような情勢で、高市が自民党総裁選で勝利したのである。

A安倍継承、しかし安倍より強硬

 

自民党内基盤が弱い高市(派閥に属さず、総裁選では議員票で第3位)は自民党の伝統的右翼バネを利かせ、宗教右派の一部に依拠し、維新などの取り込みに注力するほかない。
 高市が安倍の継承であり、安倍と一体であったことは次の事実に示されている。2人は国会議員初当選同期で、最初に〈日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会〉で出会っている(自民党議員69人で結成、安倍が事務局長、高市が幹事長代理)。この議連は「自虐史観反対」を唱え教科書から日本軍軍隊「慰安婦」問題を削除させることに注力した。次に両者は、2020年〈創生『日本』〉創立で出会う。この派閥横断的グループは、会長・安倍、副会長は高市、古屋、下村、菅、世耕で、スローガンは、「戦後レジームからの脱却」「真・保守主義」であり、掲げた目的は「憲法改正」「自分の国は自分で守る防衛力の強化」であった。
 自らの派閥はもちろん、グループすらもたない高市は安倍とは異なり、より強硬路線をとらざるをえない。新自由主義の最終局面で右翼路線を掲げた安倍とは自民党自身の立ち位置が違う。連立相手が公明から維新に代わってより脆弱な態勢になったこともある。安倍の時のように世界と米国が、安倍の大胆な金融・財政政策を容認し、円安を容認、歓迎するような世界ではなくなっている。安部と同じ「強い日本」を掲げても意味がまったく変わるのである。麻生以外の党内のバックがなく、官僚・財界に太いパイプを持たない高市は、まさに「兵站が弱いのに戦線を広げすぎた旧日本軍」に酷似する(中野晃一、週刊金曜日2025・11・28号)。
 原発と核武装、外国人排斥とスパイ防止法経済安全保障担当相、科学技術担当相、総務相などの閣僚経験を通じて高市の主要な関心はこの2点に集中している。
原発と核武装、核政策に関して、高市は宇宙政策・科学技術政策担当大臣として、核融合炉と量子コンピュータの開発に注力していた。高市は科学技術万能主義で、展望や危険性があるかないかを度外視して飛びつくところがあり、その点単なる保守反動ではない。核融合炉については放射性廃棄物が出ないで多くのエネルギーを引き出せると聞いて飛びついている。実験室的に可能性が証明されたとして、果たして実証や営業段階で通用するものであろうか?一番の疑問は、投入するエネルギーが膨大なものになることが予測されるのに対して、引き出せるエネルギーがそれに見合うものであろうか? 事故は本当にありえないか? である。そのような検討抜きにすでに巨費を投じているのは許しがたい。
 高市が首相になって早くも柏崎刈羽原発と北海道の泊原発の再稼働を両知事が承認した。たんなる規制委の承認や第7次エネルギー基本計画によるものではない。現に高市は経済安全保障担当大臣だった時代に「特定重要鉱物」(レアメタル)に濃縮ウランを指定し、その入手と確保に全力を挙げることを指示している(高市早苗、日本を守る 強く豊かに)。ご丁寧に濃縮ウランは世界市場でロシアが圧倒的に市場制圧していることを示す表を掲げてである。手に入るならどこからでも、アメリカが売ってくれなければロシアからでも買うぞというシグナルとしか思えない。
首相になった高市は、原子力潜水艦の開発・建造にゴーを出し、非核3原則の再検討を打ちだした。「持ち込まず」を解禁すれば次に「つくる」「保有する」、それも日本自身が、と行くに決まっている。唯一の戦争被爆国としての誓いを守ることなどどこかに行っているのだ。
 スパイ防止法について、参政党がすでに法案を提出し、自民と維新は連立合意確認書で、「インテリジェンス・スパイ防止関係法制(基本法、外国代理人登録法及びロビー活動法)について令和7年に検討を開始し、速やかに法案を策定し成立させる」としている。法案は戦前の治安維持法と軍機保護法を合わせたような内容になると考えられる。高市の総務相時代の行動からすれば、言論・出版の自由を封殺し、全国民を、外国人は余計に相互監視に追い込むものとなるであろう。1985年に議員提案でスパイ防止法が国会に提出されたときには、反対運動が高揚し多くの自民党議員さえ反対に回って葬られた。「不平不満はスパイの餌、おしゃべりは国の敵」と言った時代の到来を阻止しよう。国家情報局の設置を許すな。

第3章 超インフレ目前のサナエノミクス

@軍事突出の25年度補正予算

 

12月16日に成立した25年度補正予算は超インフレ加速、軍事突出予算である。総額18兆3034億円はコロナ禍以降で過去最大、25年度の国債発行総額は189・5兆円と24年度の180・8兆円を上回る。債務残高はGDP比250%に達している。このまま 推移すれば日本国債への信認は喪失し、国家的破産に陥るであろう。すでに日本国債の格付けは(最上はAAAのうち)Aクラスに落ち込み、G7内ではイタリアに次いで低い水準である。
 最大の問題は軍事費の突出である。「防衛力強化」に1・1兆円をあげ、当初予算と合わせた25年度の防衛費は11兆円を超えた。27年度にGDP比2%という目標を2年前倒しで達成するという高市の方針のためである。「はじめに金額ありき」どころではない。金額に牽引された軍事予算である。次はGDP比3・5%へ、さらに5%になることが目に見えている。概要では防衛費以外に外交力の強化などに5560億円、危機管理・成長投資に6兆4330億円を充てている。いずれも純軍事費というべき項目である。
  「生活の安全保障・物価高対応」の項目に8兆9041億円を充てている。お米券や電子クーポンなどの配布、子ども1人当たり2万円給付、電気・ガス代支援などの項目である。いずれも前内閣が枠組をつくり、野党との一定の調整で決まったもので、一時的な支出である。今年度の国債の追加発行が12・7兆円もあり、物価上昇効果ではこの方が大きく、差し引きなんら生活援助にもならず、労働者人民の困窮は強まるばかりである。

A最大問題は労働者人民の困苦

 

日本経済は本格的インフレに移行しつつある。食料品を中心に、物価は3年半にわたり2%以上あがり続けている。ペットボトル飲料のコカ・コーラ(500ml)は2022年9月以前は140円だったが、22年10月に160円、24年10月に180円に値上がりした。吉野家の牛丼は380円が408円に、キューピーのマヨネーズは350円が517円に上がる。
 最大の問題は米価である。農林水産省が5年に1度発表する農林業センサスの11月28日発表された速報値によれば、基幹的農業従事者は102・1万人で2020年の前回調査より25・1%減った。平均年齢は約68歳である。この間3回のセンサスに見られる特徴は70〜79歳の層が一番多く、2番目が50〜69 歳の層、3番目が80歳以上、4番目が40〜49歳の層、一番少ないのが39歳以下の層である。
政府は、石破―小泉農水相の下では、売価値下げを合言葉に「コメ増産」を図ったが、高市―鈴木憲和農水相の下では「需要に応じた 生産」に転換し、米価は市場に任せる路線を取っている。何よりも農民・農業政策が無策である。このままでは離農が増え数年後には本当のコメ不足が到来する。これにたいし、自民党が掲げる農業政策は農地集約化、ブランド化で高価格の野菜・果樹・酪農製品を輸出することである。
高市農政(そんなものがあるとして)は、貧困な消費者(労働者人民)と家族農業に従事する普通の農家の双方が苦しむ道だ。

B軍事ケインズ主義は破綻の道

 

「軍事ケインズ主義」とは「直接的な戦争を含め、景気や経済を調整する目的で多大な軍費を投入する政策。戦争を頻繁に行うことを公共政策の要とし、武器や軍需品に巨額の支出を行い、巨大な常備軍を持つことによって豊かな資本主義社会を永久に持続させられるとの主張」(ウィキペディア)。高市の経済政策は典型的な軍事ケインズ主義である。
 高市の「責任ある積極財政」は次の3本柱から成り立っている。
財政規律を無視した積極財政
金融ジャブジャブのリフレ志向
「17分野の重点投資」という成長戦略。軍事産業を成長産業に挙げるデタラメ
このような経済政策の帰結はアベノミクスに表れている。サナエノミクスはその矛盾を拡大するものである。まず経済成長はしない。実質賃金は下がり続ける。利益を得るのは一部の輸出大企業と投資家(投機家)のみである。その打開をかけてさらに輪をかけた財政と金融の拡大を、しかも軍事によってなそうとしているのである。
歴史的教訓を挙げよう。一般に言われるケインズ政策とは、恐慌ないし不況を克服するため財政・金融政策を景気対策のために膨張させること、とくに前大戦間時代に金本位制を離脱して管理通貨制に移行することによってそれをおこなった人物が米国のみならず日・独にもいた。
 高橋是清は、米ニューディールに先駆けて景気対策として金融・財政政策を駆使した蔵相・首相である。彼は財政を大膨張させてその任に応えたが、軍部台頭に伴いそれを軍費大拡張に結び付けようとすることに抵抗し、むしろ金融引き締めを図ったため、1936年2・26事件で暗殺された。
ドイツではヒャルマル・シャハトという人物が財界を代表してヒットラー内閣に入り経済相・戦争経済全権などを担う。彼はナチ党に入党したが、最後まで大企業が戦争経済に完全に組み込まれることには抵抗し、軍事財政の膨張にも反対した。ユダヤ人虐殺にも反対し、すべての地位を失った。
 高橋とシャハトの教訓は、軍事経済にいったん手を染めたら引き返すことが困難であることである。全人格をかけてそれを阻止しようとした人物はテロで殺されるか、粛清された。財政と金融の大膨張はその危険をはらむということである。(つづく)

次号内容
第4章 極右は世界的に退潮
第5章 いまこそ社会主義を
*社会主義を掲げるアメリカ人民
*社会運動・社会主義を目指す欧州
*新自由主義と極右ポピュリズムにNOを



6面

通信KOSUGI
韓国の旅、初日は韓神大学校、民主化運動家の碑、金福童平和センターを見学

尹美香さんから熱心な説明を受ける

日本軍「慰安婦」問題を取り組む神奈川の人たちとの「韓国の運動を学ぶ旅」は11月2日から始まった。
金浦空港から専用バスで向かったのはソウルの南、烏山市にある韓神大学校だった。 この大学校には、今回の旅のテーマである「光州5・18事件を学ぶ」ことの関連として韓国民主化闘争の記念碑があり、また日本軍「慰安婦」問題を世界に発信してきた金福童記念館が設置してある。
烈士:柳東雲の碑 光州事件の1980年当時、韓神大学校神学科2年生
 着いてすぐ尹美香金福童平和センター共同代表に迎えていただいた。
ミヒャンさんは、もちろん前の正義連(旧挺対協)の理事長であり、日本軍「慰安婦」問題での活躍はいうまでもない。当初から「慰安婦」問題に深くかかわり1992年には金福童ハルモニから聞き取りなどをしてきた。そして挺対協−正義連の最先頭でたたかった。が、しかしそのために右翼反動派からむちゃくちゃな攻撃を集中され困難な状況に追い込まれてしまった。・・・「慰安婦」ハルモニへの支援金を着服し、娘を留学させ、夫に仕事を与え、家を5軒も買い・・・、「ハルモニたちに物乞いをさせて私腹を肥やしてきた悪党」など、吐き気を催す見出しが各新聞紙面を埋め尽くした。そんな攻撃のなか「記者たちが怖い」と言っていたハルモニたちの憩いの場所「平和の家」の孫英美所長は自ら命を絶った。
 日本の各報道もそんなデタラメをそのまま流していた。こんな攻撃が続いたが、本人はもちろん、みんなの必死のたたかいによって、裁判でも当然ながら、ほとんどが無罪となった。しかしそれでも、今もなお後遺症が大きく残っているのだ。
ミヒャンさんは、ご自身もおられたこの大学校の貴重な韓神民族民主烈士の碑などを熱烈に説明された。一つの例として、光州民主化運動に積極的に参加し、戒厳軍によって一度拘束され、激しい拷問を受け、解放後も、「私はこの病んだ歴史のために、一握りの灰になります。名もなき川に浮かべてください」という言葉を残し、全羅南道庁に入って最後まで抗争を続け、5月27日未明戒厳軍の銃弾を腹部に受け死亡。
1986年5月27日、韓神大学校のキャンパスに、全国で初となる5・18民主化運動犠牲者の追慕碑が建立され、毎年5月18日前後に柳東雲烈士を追悼する行事がおこなわれる。慰霊碑建立時、警察が撤去しようとしたが、学生が夜通し守ったという歴史をもつ。

金福童平和センター

金福童平和センター
 

そしてやはりこの大学校内にある金福童平和センターは昨年11月に建てられたものだ。
 日本軍「慰安婦」被害者だった金福童ハルモニは、その苦しみと怒りを噛みしめ、そこから平和の道を切り開く人権活動家になった方だ。「ナビ(蝶)基金」を設立し、コンゴ・ウガンダ・ナイジェリア・シリアなどの紛争地で性暴力被害に苦しむ女性や、ベトナム戦争時、韓国軍による性暴力被害に遭った女性たちを支援。さらに朝鮮学校の子どもたちを支援しようと「金福童の希望」基金を設立し、亡くなられる直前まで大阪朝鮮学校などを訪れ子どもたちを励ました。
 そして金福童さんは、2015年の安倍とパク・クネ両政権による日韓「合意」に対して、「お金で歴史を売った」と抗議し、当時の韓国政権を提訴するなど先頭でたたかった。
この日の夕方、近くの光明駅からKTXに乗り、光州松汀駅に向かった。
(つづく/神奈川・深津利樹)

沖縄日誌11月
1月名護市長選迫る
自衛隊強化との攻防

11月1日 名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前で「第53回県民大行動」が開催され、市民468人が参加。新基地建設反対の抗議の声を上げた。各地域の島ぐるみ会議の代表者や県選出の国会議員が、日ごろの抗議活動や出来事などを報告。安和事故公判の様子も報告された。
同日 宮古島市で、「久松島民祭」が開催され、陸自宮古島駐屯地が装甲車などを展示した。〈ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会〉などが抗議行動をおこなった。
2日 石垣市で、「第61回石垣島まつり2025」の市民パレードがあり、陸自石垣駐屯地の隊員60人が参加。迷彩服が少なく融和ムードを演出したが、市民からは「自衛隊を見て沖縄戦を思い出す。参加してほしくない」との声が上がった。
10日 南城市議選の投開票がおこなわれ、市長のセクハラ問題で不信任に賛成の議員が18人(定数20)当選した。市長の失職が確実になった。
13日 県環境科学センターは、3月25日台湾でジュゴンが定置網にかかり、海に放された。4月29日久米島でジュゴンが確認された。同センターは画像を比較し同一個体と判断した。ジュゴンが台湾と久米島を移動する行動生態の貴重な例である。
18日 南城市議会は、市長の不信任決議案を賛成多数(賛成17、反対1、退席2)で可決した。市長の失職が確定し、市長選が12月21日(14日告示)投開票される。市長選には、座波一氏(自民、公明、国民民主推薦)と前県議の大城憲幸氏が出馬表明、古謝前市長の出馬が注目される。
23日 与那国町で、小泉防衛相は上地常夫町長と面会し、自衛隊の防衛力や日米同盟強化の重要性を強調し、ミサイル部隊配備計画への理解を求めた。また、小泉防衛相は陸自石垣駐屯地を訪問、ミサイル部隊を視察した。
25日 名護市辺野古の新基地建設で、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の砂ぐいを打ち込む大型作業船3隻が大浦湾で確認された。ヘリ基地反対協海上行動チームは船やカヌーに乗り抗議した。作業船は6月上旬以降大浦湾から離れていた。10月に1隻が湾内で確認されたが、くい打ち作業は実施されず、船は数日で同湾を離れた。くい打ち作業とは別に、大浦湾では埋立て用の土砂が投入されようとしている。
政府は、来年1月25日投開票の名護市長選を見据え、可能な場所から工事を進め、工事の進展を誇示する狙いだ。市長選には現職の渡具知武豊氏と翁長久美子氏(共産、立民、社民、社大推薦)が立候補の予定、公明党は渡具知氏の事務所開きで「全力で応援する」と表明。
28日 名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は、辺野古東側の大浦湾の新たな区域で埋め立て土砂の投入を始めた。大浦湾側での本格的な埋め立て作業ははじめて。今回の投入区域は軟弱地盤が広がる海域とは別。地盤改良工事の砂ぐいの打ち込みは約半年止まり作業の遅れが指摘されている。
ヘリ基地反対協海上行動チームは海上で抗議の声を上げた。チームのメンバーは大浦湾上から、土砂が遠くで投入される様子に「新基地反対の意思表示を続けることが大切だ、今後も抗議行動を続ける」と誓った。
玉城デニー知事は「政府は技術的にも完成が困難であることが明確になりつつある辺野古移設計画を断念してほしい」と訴えた。(杉山)

7面

スパイ防止法で永嶋弁護士が講演
外国との戦争想定し監視・規制
12月13日大阪

高市政権への危機感から会場いっぱいの人が参加(12月13日大阪市)
 

「スパイ防止法とは何か」と題した集会が12月13日、講師に永嶋靖久弁護士を迎えて大阪でひらかれ90人が参加した。主催はとめよう改憲! おおさかネットワーク、共催は共謀罪に反対する市民連絡会・関西。

日本が二度と侵略戦争をやってはいけない

 

主催者あいさつで共同代表の山本健治さんが発言。1943年生まれで戦争の記憶はほとんどないが、大阪市内で城東線や砲兵工廠の残骸を見て学校へ通った。われわれの基本は平和があたりまえだった。過去の歴史を知らない世代が戦争を美化し、高市が経済を活性化させるための第一として防衛費増額を出してきた。名だたる軍需産業が元気をとりもどしている。その中でスパイ防止法。いくつもそいういう法律はある。テレビ・映画の中で戦争を半分美化し、それらが侵略の先兵、謀略活動をやってきた。日本国内でスパイ学校をつくるとも言っている。スパイ防止法を阻止し、改憲絶対阻止する。ロシアのウクライナ侵略抗議を2022年2月以降、毎月やってきた。世界から侵略をなくす。日本が二度と侵略戦争をやってはいけない。危機感は共有されていると思う。

講演の全体像

 

永嶋さんの講演はレジュメと映像を駆使しておこなわれた。レジュメの項目は以下の通り。
@スパイ防止法についての動きはどうなっているのか
Aインテリジェンスとは何か
Bインテリジェンス機関とはどういうものか
C外国代理人登録法とは何か
Dロビー活動規制法とは何か
Eスパイ防止法とは何か
F国民民主党、インテリジェンスに係る態勢整備推進法案
G情報機関・日本版FARA・ロビー活動規制法・スパイ防止法はどんな意味があるか
H中国に対する戦争準備はどのように進んでいるか
I防衛産業の熱波
J高市首相の「台湾有事即日本有事」論は破綻している
K今こそ問わなければならない「集団的自衛権の行使」
であるが、その要旨を紹介する。
 世界中のスパイ防止法を整理して考え、治安維持法を勉強した。スパイ防止法をめぐる動きはどうなっているか。参院選でスパイ防止法が各政党の公約になった。以後の動きは早い。自民・維新の連立合意書では「国難突破」のためとして今年中に「スパイ防止法」関連基本法や外国代理人登録法を成立させ、2026年に国家情報局を発足し、情報要員養成機関をつくるとしている。自民党提言では法整備の念頭に外国不正干渉防止法(日本版FARA、米国、フランスの先行事例)を参考にという。日経新聞も旗を振っている。
 国民民主党のインテリジェンス法は、法案の全体像を「拉致、大川原化工機冤罪事件」をなくすためとしている。連合に話を通しているかもしれないし、この柱だけで法律をつくられたら通ってしまうかもしれないと危機感をもって語った。

インテリジェンスとはなにか

 

次に、「インテリジェンスとはなにか」として、元防衛省情報分析官の書を引用して「情報」の二つの意味としてインテリジェンスとインフォーメーションの区別を示した。これは米軍用語にある。

情報機関とはなにか

 

情報機関の新設はなぜ、誰が必要としているのか。
アメリカの情報機関CIAやイギリスの情報機関SIS(昔のMI6)あるいはドイツの連邦憲法擁護庁や連邦情報庁、イスラエルのモサドやシャバクなどをあげた。日本では内閣情報調査室や警察庁、防衛省の情報本部がある。
12月4日の記事では「国家情報局が来年発足、スパイ対策念頭」とある。
今までは安保法制で国家安全保障局があった。これを変更して国家情報局と国家安全保障局をつくるという。国家安全保障局に提供する情報を収集・分析するのが国家情報局で、レベルをあげるということだ。
なぜ、日本にCIAがなかったか。戦後のあいだ、日本社会が必要としてなかったからだ。 20世紀初頭、MI6を必要としていた大英帝国は世界を植民地支配していた。覇権が移った後、アメリカがCIAをつくった。

ロビー活動規制法

 

諸外国ではロビー活動を規制する法律がある。2010年以降、導入する国が増えた。OECD38カ国中、21カ国が導入。ロビー活動とは何か、個人・団体が政治的に影響を与えようとするもの。だが、この規制には大きな問題がある。
 高市は8月22日の日経新聞インタビューで、「特定秘密保護法や重要経済安保情報保護・活用法の整備で情報保全措置は強化された。次は外国勢力によるスパイ活動を規制、監視し必要があれば逮捕が可能となる法律を」といっている。そこでは「日本は外国で日本人がスパイ容疑で逮捕されても釈放要求することしかできない。・・外国政府勢力に対するスパイ活動を・・。対象は外国人のため、憲法の通信の秘密は対象外」と。外国人に人権保障は及ばないといっている。包括的にスパイ行為を禁止する法律がない。次は外国勢力によるスパイ活動を規制・監視する法律が必要だといっている。かつての戦前・戦中の政府の帝国議会議事録の「国防保安法」をめぐる政府答弁を引用して、要するに今の政府方針に反対するものは外国の手先だとするのと同じだと喝破した。

スパイ防止法とはなにか

 

戦前、1941年に治安維持法が全面改悪され、国体変革と私有財産否定の思想を全面的に取り締まったが、昔の「アカ、非国民」から戦後の「過激派、暴力団」、そして次は「外国人、外国勢力」へと弾圧の対象にするというものだ。
戦前は侵略戦争、外国との戦争だったが、戦後は破防法はあっても戦争の想定は少なかった。2025年、外国との戦争を想定したものとなっている。
諸法のトータルな網羅的・包括的盗聴システムをつくって、政府へ反対するものをピックアップして摘発するものである。
目的は@邦人保護、A外国勢力への抑止、としている。そして包括的にスパイ行為を禁止する法律がない。国家安全保障法につづいてスパイ活動を規制、監視する法理が必要としている。
 アメリカでの例として、内部情報漏洩の情報を伝えるウェブサイト・ウィキリークスのアサンジによる暴露や元NSA(アメリカ国家安全保障局)アナリストのスノーデンの暴露があげられる。
これらはアメリカが極秘に情報を網羅的に収集していたことを暴露するものだった。アムネスティはアサンジの米国への身柄引き渡しについて「戦争犯罪、国際法違反」として2024年2・13声明を発表した。

質疑応答

 

質疑応答では、@労働運動の国境を超えた連帯が今のような点でひっかけられる可能性はどうか。Aマイナンバーをめぐって日本人と外国人の違いでいうとスパイ防止法との関係はどうなるか。BSNSを使って平和運動をよびかけしている。トランプや高市反対をやっている。それが収集されて規制がありうるのか。Cスパイ防止法じゃなくてスパイを育成する中身が入っているらしいが、どうか。D憲法の「通信の秘密」との関係で法律のほうが憲法を阻害するのではないか。諸外国は「通信の秘密を守る」という規定をどう守っているのか。
 これに対して、条文が未定で、外国での適用例がないのでむつかしい。しかし、「国境超えた連帯をしたらあかん」という方向。所属する国家よりも上の連帯は、ありえないものとしている。ロシアでは国際NGOと連絡とったらアウト。
メール・チャット等々の情報を全部とっていくシステム。サーバー全体をとって調べていく。国民民主党の案は「どうチェックするか、民主的に」というが、そうではなく、法システム自体がおかしい。ここから攻めることが出来なければだめだ。 
憲法の人権保障が今では「テロリストに及ばない」という流れになっているのが、「外国勢力に及ばない」となる。奥平さんの『危機の憲法学』という書では、憲法に規範としての意味があるのかと問いかけて、規範としては「死んでいる」。それを「市民の抵抗の哲理」でたたかうと。裁判所が憲法の9条判断をしない(「統治行為論」)ように政治家の制約になっていない現状に対決していかなくてはと回答した。
 講演の後、@南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会、A緊急・議員定数削減に反対する豊中市民連合、B極右高市政権に反対する行動からアピールがあった。
最後にまとめとして、とめよう改憲ネット事務局の家門和宏さんが、単純に「スパイ防止法」だけじゃない、戦争するための法体系をつくろうとしている。高市のもと大軍拡が進まんとしている。1月召集の国会にむかって声を上げていく。ウクライナ侵略戦争4カ年、2・24ロシア領事館抗議行動に起とうとよびかけた。

8面

投稿
2025岩国行動に行ってきた!
米極東戦略の要・岩国基地

岩国基地ゲート前までデモ 行進

12月13〜15日に岩国市でおこなわれた「2025岩国行動」。2006年に始まって、20回目となるこの行動に参加した。

岩国・労働者反戦交流集会

 

13日土曜日の15時から岩国福祉会館で「岩国・労働者反戦交流集会」が開始されるのだが、大阪から同乗させてもらった車がアクシデントに見舞われ、1時間ほど遅刻して会場に到着した。基調報告などはすでに終わり、最低賃金がどうたら…という話になっていた。その後、今年9月の日米共同訓練「レゾリュートドラゴン25」で日米両軍の司令官の会見場面や、同じく9月に25年ぶりに岩国基地でおこなわれたFCLP(米空母艦載機着陸訓練)についての報道動画が上映された。また「高市首相の『台湾有事は存立危機事態』『非核三原則見直し』発言に抗議する」特別決議案が読み上げられ、採択された。まとめとして、闘う労働組合が岩国行動に参加する意義や、労働者の反戦闘争が今こそ重要になっていること、情勢は厳しいが旗を降ろさないという発言で締めくくられた。

反基地交流会

 

「労働者反戦交流集会」の後、17時半から「反基地交流会」がひらかれた。サード反対韓国ソソン里平和活動家の金永宰さんが、韓国で起こった尹錫悦による不法非常戒厳から1年経過しての反社会差別勢力との闘いや、現在のサード基地の現状を報告した。
続いて沖縄・辺野古新基地建設反対闘争からカヌー隊の金治明さんが、現在の辺野古の様子を10分ぐらいビデオで流しながら報告された。
〈ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会〉清水早子さんは、8月に起こった自衛隊宮古島駐屯地司令からの恫喝事件、宮古島の運動を名指しし、沖縄の反戦運動を「妨害行為」とした防衛大臣発言、「自衛隊差別」に反対する県議会の決議など、運動にかけられてきた攻撃について語られた。
岩国の〈愛宕山を守る会〉岡村寛さんは、25年ぶりにおこなわれたFCLPで、市に1千件にものぼる苦情が寄せられ、市長も声を上げざるを得なくなったことを報告した。
呉の新田秀樹さんは、日鉄呉製鋼所跡地に自衛隊施設を建設する計画と、それに抗議する集会を12月20日におこなう報告をされた。
〈オスプレイストップ! 9条実施アクション佐賀〉豊島耕一さんから、工事ゲート前の座り込み抗議行動の報告があった。「反基地交流会」終了後、場所を変えて飲食をしながら交流を深めた。

岩国国際連帯集会

 

翌14日は9時半から、「岩国国際連帯集会」がおこなわれた。この日、70年代に在日米軍の岩国の部隊が模擬水爆を使った核爆弾投下訓練をおこなっていたことが報道され、記事を掲載している中国新聞と山口新聞が会場で披露されていた。基調報告では、基地の拡張、強化と高市政権の日米軍事同盟の強化、大軍拡に対抗して、岩国での闘いと全国で高揚する米軍基地、自衛隊基地に反対する闘いを結合させること、労働運動の中で岩国行動を組織し、労働者の中に差別と排外主義が持ち込まれる戦争動員に反撃すること、アジア太平洋地域の民衆との共同闘争で、日米のアジア支配に抵抗する国際連帯行動として闘い抜くことが提起された。
その後、海外からの発言として米国、レジスト(アメリカが主導する戦争に反対するネットワーク)のカーリーさん、韓国のソソン里、金永宰さんの報告があり、台湾労働人権協会から岩国行動に送られた連帯メッセージが読み上げられた。在日本朝鮮人総聯合会山口県本部委員長、李秀副さんからの連帯メッセージが読み上げられ、清水早子さんの宮古島アピール、金治明さんの辺野古アピールが続いた。元岩国市議の田村順玄さんはFCLP訓練に対し、岩国市が明確に反対を打ち出していることを報告した。〈若狭の原発を考える会〉、〈レジスト・アジア太平洋日本支部〉、〈AWC Youth〉より連帯発言。
まとめとしてAWC日本連共同代表の瀧川順朗さんが、集会結集やアピールへのお礼と、アメリカがもはや自分で戦争をするのではなく、韓国・日本などに戦争をさせようとしていることが浮き彫りになっていると発言した。
集会終了後、岩国市庁舎前広場に移動してミニ集会をひらき、そこから岩国基地ゲート前までデモをおこなった。ミニ集会では地元、関東、関西、沖縄、フィリピン他からのあいさつがあり、13時からデモに出発。「岩国基地はいらない」「FCLPをやめろ」「岩国にミサイルはいらない」などのコールの他、「守ろう愛宕山」の歌も歌いながらのデモである。米軍住宅フェンス前では「US troops OUT!」などの英語のコールもおこない、ゲート前では激しい抗議にもなった。およそ1時間余りのデモを貫徹。

岡村寛さんの話

岡村寛さん
 

通常の「岩国行動」はここまでだが、今回はこの後オプション企画として福祉会館に戻り「愛宕山を守る会」の岡村寛さんからお話を聞く催しがあった(写真右)。岡村さんは愛宕山の牛野谷住民自治会で自治会長だった人。愛宕山には愛宕神社という神社があり、牛野谷の住民がそこをお守りしていた。その山を削って岩国基地の沖合展開(騒音軽減という岩国市民の悲願に答えるふりをした基地強化)をおこない、跡地に米軍の住宅を作る計画に地元は反対した。今も「1の日行動」として、毎月3回、遷座した神社の広場や集会場で集まりがもたれている。岡村さんは日米地位協定の問題や、岩国市の行政の問題について2時間ほど語られた。

フィールドワーク

 

翌125日の午前中もオプション企画のフィールドワークがおこなわれ、岩国基地の滑走路北側から基地を眺め、南側の広い米軍住宅、その住宅と基地を結ぶ専用の道路橋「フリーダムブリッジ」、滑走路に併設された軍港(オスプレイなどが荷揚げされた)、愛宕山を削った跡地に建てられた「愛宕スポーツコンプレックス/絆スタジアム」(写真左)や岩国医療センター、遠くから眺めるだけであるが「愛宕山ヒルズ」と呼ばれる米軍住宅、米兵が起こした事故現場などを見て回った。(西川雄二)

(闘争案内)

2026 元旦行動 とき:1月1日(木)午前10時
ところ:大阪府警本部前
主催:労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会

武器をイスラエルに送るな 安保理決議反対 米領事館前抗議行動
とき:1月9日(金)正午〜午後1時
ところ:米領事館前(大阪市北区)
主催:ひとりから私から行動を平和市民アクション/関西ガザ緊急アクション

世界の核惨事と放射能ヒバク〜隠されたヒバクの恐ろしさ〜
とき:1月17日(土)午後2時半〜4時半
ところ:大阪市北区・国労大阪会館1Fホール
主催:脱原発政策実現ネットワーク関西・福井ブロック

関西ガザ緊急アクション講演会〜ガザ虐殺は私たちに何をつきつけているのか?〜
講演:役重善洋 「対イスラエルBDS(ボイコット・資本引揚げ・制裁)運動の現状と課題」
とき:1月18日(日)午後2時〜4時半
ところ:PLP会館4階・中会議室
主催:関西ガザ緊急アクション

玄海原発控訴審判決 福岡高裁
とき:1月20日(火)
午後2時半 行政訴訟(国)判決
午後2時45分 全基差止(九電)判決
午後3時 記者会見・報告集会(福岡県弁護士会館302・303会議室)

都教委包囲・首都圏ネット 2・7総決起集会
講師:大内裕和さん(武蔵大学教授)
とき:2月7日(土)午後6時
ところ:文京区民センター3A
主催:都教委包囲・首都圏ネット

武器としての国際人権
とき:2月7日(土)午後6時半
ところ:ドーンセンター大会議室1(大阪市中央区)
主催:藤田早苗講演会実行委員会

許すな!大軍拡と排外主義 止めよう!生活破壊と戦争への道
講師:小西誠さん(軍事ジャーナリスト)
とき:2月11日(水・休)午後1時半
ところ:天王寺区民センター(大阪市)
主催:「日の丸・君が代」強制反対大阪ネット



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