長射程ミサイル配備反対10・19祝園へ
危機深める自民党を分裂・下野へ
排外主義潮流を粉砕・打倒しよう
祝園弾薬庫の増設工事がはじまった
8月18日、陸上自衛隊・祝園分屯地で新たな弾薬庫(ミサイル弾薬庫)の建設工事がはじまった。正門から工事車両が出入りしているが、工事の様子はわからない。この工事は2027年度末までおこなわれる。何としても長射程ミサイル弾薬庫の建設を阻止しよう。
祝園弾薬庫には、長射程の敵地攻撃ミサイル(12式地対艦ミサイル能力向上型、トマホークなど)の弾頭が貯蔵される。しかし、防衛省は詳細を市民に明らかにしていない。ここに貯蔵されるミサイルの弾頭は、ミサイル発射基地やイージス艦などに運ばれる。戦争になれば、ミサイル発射基地や弾薬庫など兵站基地がまっさきに攻撃される。これはウクライナ戦争をみれば、よくわかることだ。
自衛隊の「南西シフト」のなかで、祝園弾薬庫とともに、海自阪神基地が重要になっている。高速道路を使えば、約1時間で祝園から神戸港につく。ミサイル弾頭は祝園弾薬庫から阪神基地までトラックで運ばれ、南西諸島の自衛隊基地で運用される。
2026年度に、阪神基地に海上輸送群がつくられることになっている。大阪と神戸の住民にとっても、他人ごとではない。
基地周辺住民は、今まで自衛隊との共存を容認してきた。それは「専守防衛」のもとで、侵略戦争はしないという前提にたっていた。2022年12月、岸田文雄政権が「安保3文書」を改定したことによって、「専守防衛」は取りはずされてしまった。ついに、自衛隊の戦略が「専守防衛」から「敵地攻撃」に変わってしまった。われわれは、このことをしっかりと確認しておこう。
基地周辺に住む住民は、将来にわたる平和な生活を確保できなくなってしまった。弾薬庫に反対しなければ、平和的生存権は維持できなくなった。こうして、住民は認識を新たにし、新たな反基地闘争に立ちあがろうとしている。
10・18〜19闘争へ
10月19日に、京都府精華町の祝園現地で全国闘争が準備されている。闘いは正念場に入った。この集会を闘いとり、反対運動を大きく盛り上げていこう。また、前日10月18日には〈戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク〉の主催で、全国交流集会が京都市内でひらかれる。
〇10・19祝園全国集会
「私たちは二度と戦争をしたくない!平和でこそ文化は香り立つ!祝園全国集会」(主催:10・19祝園全国集会実行委員会)
日時:10月19日(日)11時〜15時
場所:けいはんな記念公園(精華町)
集会内容
第1部 コンサート 11時〜13時
第2部 長射程ミサイルの配備に反対する全国リレートーク 13時〜15時
集会後デモ 15時半〜16時
集会賛同(団体:一口2000円、個人:一口1000円)
〇10・18全国交流集会
日時:10月18日(土)14時〜16時半
場所:和牛会館(京都市烏丸御池)
9・7反原発伊丹集会
840人が今秋闘争へ決意
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| 久方ぶりに1階満杯、2階にも市民がかけつけた。9月第一週、840人の結集で秋の闘争をけん引する決起となった(9月7日伊丹市) |
9月7日、兵庫県伊丹市で「さようなら原発1000人集会〜原発vs食・農・平和〜」がひらかれ、猛暑のなか840人が参加し会場は満席。
エネルギー政策での地域主権へ
冒頭、司会あいさつに続いて、主催者からの基調的提起として、集会実行委員会を代表して末田一秀さんが「最近の原発を巡る状況」と題する話をした。
原発運転期間の延長、規制委員会所管から経済産業省所管へ、60年超え運転もありうる。岸田政権による原発回帰、新規建設も。石破首相は、かつて「・・・核の潜在的抑止力を持ち続けるためにも、原発をやめるべきとは思いません」と言っていた(2011年SAPIO10月5日号)。
さらに、発電量の目標値設定の無意味、新増設後の稼働には、20年は最低かかる、美浜新増設問題の調査開始宣言の意味不明、原子力事業からの撤退を決めた企業は2020年までに20社、プルトニウム余剰を生む再処理工場のフル稼働はありえない、自然エネルギーへの変換目標は、欧州各国の実績を下回る、成長産業である再エネ関連を維持拡大することに日本は失敗、脱炭素電源オークションなど経産省が原子力産業を支える。政策策定過程は問題だらけ、2022年6月17日最高裁判決で、東電福島第一原発事故の責任を否定、EUなど48カ国が批准している環境権の実効的保障のための条約を日本政府は批准していない、など原子力事業の不備を簡明に指摘。最後に、エネルギー政策を地域主権にし、温暖化対策、雇用創出、産業育成による低炭素型の地域循環型の社会再生を訴えた。
対談
第2部・青木理さん、藤原辰史さんの対談。フリージャーナリストの西谷文和さんがコーディネートした。
前半は、「原発と戦争」が主題。原子力開発のプロセスは歴史的に、ウラン原爆、プルトニウム精製、原子力潜水艦、軽水炉型原発による原子力発電と展開した。戦争が植民地獲得のため仕掛けられ、ウラン採掘など被ばくさせながら採掘した。ナミビアなど。モンゴルでは、地下4百メートルもウランを求めて掘り進んでいたなど西谷さんが問題提起。
青木さんは、福島の被災地・飯舘村を取材、執筆を一段落し、明年、刊行する。飯舘村の102歳の老人は、全村避難を拒否して自死し、その方の弟さんが硫黄島で20歳で玉砕、戦死していた。二人とも、国策で犠牲になった。飯舘村は、被ばくさえしなければ、ほとんど、食と農で、自活できる豊かで美しい村だった。
京大教授の藤原辰史さんは、「青酸ガスで、殺傷兵器をつくった。その余りで、害虫駆除の農薬を開発して成功したという関係は、農業と戦争が創り上げてしまうものだが、巨大科学が大資本化して20世紀、DUAL USE(軍事・民生両用)といわれる商品を編み出す。戦車は、米国が農業用トラクターにキャタピラをつけたものだし、ドイツが開発した空気中の窒素を化学肥料にしたものを日本窒素は、工業化するため、昭和電工を創る。稲妻のギザギザは、神社にかけられている御幣だが、窒素を雨とともに降らせる豊饒の印の雷のジグザグだったという。そして、日本窒素は、爆薬の大企業となり、満州を植民地として、農業生産させ、爆弾で進軍しては、農薬と銃砲でコメの生産をさせた。台湾も同様、朝鮮チッソは、アジア最大の工場となっていた。水俣病の原因会社だった。
ジャーナリズムの現在
こうした情報は、なかなか一般の人々に伝わりませんが、ジャーナリズムで活躍された青木さん如何ですか?
インターネットなども基地間の通信手段として発達しましたし、実は、朝日新聞なども戦時販売部数を拡大していったわけです。かたほうに言論弾圧など日常的になりますが、その実、販売部数は伸びたのです。そして、戦争をあおり、美化する論調になってゆくわけです。戦後の例として、原発反対派のために、プロレスラーだった政治家に応援を依頼しますが、別の候補(賛成派)はこちらにも頼みますと。反対派は150万円でしたが、賛成派は1億円だったそうです。こうした、大金は、原発立地の住民の人間関係をずたずたに引き裂きます。東電原因の事故ですが、住民の土地に、はぎ取った放射能まみれの土がつまったフレコンバッグを置かせてもらう時に、地主たちやその親せきなどが、大変な争いを起こすことがあった。こうしたことをとやかくいうことはできません。都市にいる人間は、加害者なのですから。こうしたことが、福島県一帯で起きてしまうことになったのです。高齢化や少子化、過疎化などの問題の上に、様々な分断が発生してしまいます。巨大なシステムがそうしている。
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| 原発VS食・農・平和をテーマに西谷、藤原、青木の3氏が大いに語った(9月7日 伊丹市) |
人と自然を分断する原発
ここで藤原さんは「土とは?」を問います。土と植物や食べるものとは、切れ目なく連続循環していて、食べるときに違和感など持ちません。疑問の余地のないものなのです。藤井一至(かずみち)は、百万年、千万年かかってできるものが土なのだと教えてくれます。私も島根県出身ですが、岐阜羽島に来たとき岐阜羽島にきた都会人は、ここには何もないと言いました。土も田も畑もあるのに・・・。原子力村という言い方はよくない。「ムラ」には悪い意味はない。小出裕章さんのように、原子力マフィアと呼ぶべきでしょう。村には村の価値というものがあるんです。それをずたずたにするから、原子力は悪いのです。猪瀬浩平というひとは、原発を追い出しても、村の分断は続いたと言っています。人と自然の関係を切断するからです。原子力村などというのは、村に失礼なのです。
今こそ原発廃絶へ
西谷さんは、原発は二酸化炭素を出さないからいいというが、原発で生産する電力は、全エネルギーの30パーセントにすぎず、あとは、海に捨てているが、それで海水温が7〜8度あがる。F35が一機飛べば、8千リットル、戦艦が動けば、12000トンの油を消費するわけです。原発と戦争、核のゴミ、地球温暖化は、人間と自然を引き裂きながら、またひと続きのものでしょう。
こうして、原発と戦争をめぐる対話の時間はあっという間に過ぎ、後半は、またそれぞれのキャリアに立って尽きぬことのない対談になった。(次号につづく)
2面
子どもの権利は私たちには適用されないのですか〜入管庁による子どもと親の強制送還を今すぐやめてください
院内集会に参加して
8月27日、参議院議員会館で、表題の緊急集会がひらかれた。〈反貧困ネットワーク〉と〈仮放免高校生奨学金プロジェクト〉が主催。
今年の5月23日、入管庁は、「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を打ち出した。約7万人いる非正規滞在者の中でも強制送還を拒否する「送還忌避者」約3千人を5年半かけて半減させるという目標を掲げています。
そしてそれ以降、連日にわたって「強制送還」の知らせが反貧困ネットワークに伝えられているのです。
6月中旬のある日、仮放免の高校生から「父に退去強制の令状が出ている。どうしたらよいかわからない」「入管への出頭期間が3カ月から1カ月に短縮されました」という連絡が入った。ほかの高校生も両親に退去命令が出されていました。それも「8月上旬に退去するように」という書類付きです。
また7月23日、仮放免状態で難民申請中の家族全員が、突然強制送還されました。家族の中には日本生まれの子ども含まれていました。親が入管に収監されると同時に、留守番していた子どものところに、入管職員が現れ、拘束・連行し、送還しました。
長男によると、「トルコの空港に着いた直後に、父は警察に逮捕されました」とあります。
親が送還されれば家族が引き裂かれるだけでなく、子どもの生活基盤が崩れ、進学どころではなくなってしまいます。
難民申請中の子どもを送還することも、親だけを送還することも、「親と引き離されない権利」「国外に連れ去られない権利」「難民の子どもが護られ、支援を受けられる権利」「教育を受ける権利」といった子どもの権利条約を侵害することです。
このような状況下で持たれた緊急の入管庁との交渉が始まろうとしたとき、入管庁の職員がマイクを取って、「この場に来たからと言って、送還を免れられると思ってはならない。送還の決定が出た者には粛々と送還を執行する」と言い放ったのです。なんという開き直りか。
そして「ゼロプラン」以降の送還者の数すら明らかにしようとしないのです。自分がおこなっていることのやましさを感じているからこそ、胸を張って仕事の内容を言うことができないのです。こんな奴らに、私たちは「故郷から逃げてきた外国の人たち」の生殺与奪の権力を握らせてしまっているのです。そして、この入管の動きと呼応するかのように、参政党をはじめとする排外主義者のせん動が活発化してきているのです。なんとしても「ゼロプラン」なる絶滅計画をやめさせなければなりません。反貧困ネットワークの呼びかけに応えて、抗議の声をあげよう。そして、送還の攻撃が迫っている方々に、力の限りの支援を注ぎ込もう!(新川幸雄)
大阪 NO HATE街宣
8月31日JR大阪駅北
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| アピールする尾辻かな子衆院議員(8月31日 大阪) |
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| めいめいが心のこもったメッセージボードかかげる |
8月31日18時、〈大阪から差別に抗う市民有志〉の呼びかけで、「大阪NO HATE街宣」がJR大阪駅御堂筋北口でおこなわれ500人が集った。この間レイシストが選挙の名前でヘイトクライムをまき散らしてきたことに対する大衆的反撃としてこの行動がなされた。
18時前からJR大阪駅北には市民が、それぞれのメッセージを手に集まってきた。これに対し旭日旗などを掲げた右翼が妨害を加えてきたが、大衆的反撃で追放された。特にN党の先兵で、6月尼崎での「私人逮捕」の先頭に立ったシローには激しい弾劾がくり返された。リレースピーチでは尾辻かな子衆議院議員、大椿ゆうこ前参議院議員らがヘイトを激しく弾劾した。東京から山添拓参院議員らも参加していた。
3面
転載
日米軍事演習「レゾリュート・ドラゴン25」の中止を求めます
2025年9月11日から25日にかけて、日本各地、とりわけ沖縄県内において実施されようとしている日米共同実動軍事演習「レゾリュート・ドラゴン25」は、「台湾有事」を念頭に置いた実戦訓練であり、地域住民の生命、生活、平和に重大な脅威をもたらすものです。
本演習では、与那国島への高機動ロケット砲システム「ハイマース」や、米海兵隊の輸送機MV−22オスプレイ運用と陸自オスプレイの全国への展開、石垣島への無人地対艦ミサイルシステム「NMESIS」、対空短距離兵器「MADIS」の戦闘訓練、さらには宮古島では12式地対艦ミサイルの輸送訓練、うるま市ホワイトビーチにおける無人艇「ALPV」の展開など、最新兵器の実戦運用を目的とした軍事演習が行われます。沖縄以外においても、日米オスプレイやCH47ほか、多数のヘリを展開しての負傷者輸送訓練、兵站訓練(補給品の空中投下訓練)、対艦戦闘訓練、上陸戦闘訓練などを計画。北海道では、九州・沖縄のミサイル部隊を束ねる第2特科団と米軍とが共同で実弾射撃訓練を、また遠征前進基地作戦の中核部隊である第12海兵沿岸連隊と陸自12式地対艦ミサイル部隊とが指揮機関訓練をするなど、一層具体的な戦闘を想定した、米軍指揮下での日米が一体となる共同訓練が行われます。
中でも、山口県の岩国基地において国内初となる米軍中距離ミサイル発射装置「タイフォン」の展開は重大なエスカレートです。「タイフォン」の展開を認めれば、米軍中距離ミサイルの日本配備に道を開くことになりかねません。日米核抑止が強化されるもとでの核搭載可能≠ネ中距離ミサイル配備は、米軍による日本−アジアでのミサイル戦争態勢の本格化であり、唯一の戦争被爆国において許されることではありません。
また、嘉手納基地における米軍無人偵察機の「無期限展開」、海上保安庁による無人機の追加配備など、軍事的緊張の増大は日々現実のものとなっています。九州・西日本、そして全国で戦争体制づくりがすすめられ、このままでは「日本列島が米軍の捨て石」にされる危険性を否定できません。「備え(軍備)すれば憂い増す」ことになるのです。
こうした動きは、「住民の安全」や「地域の民意」を顧みることなく進められており、過去の戦争の記憶と向き合ってきた沖縄県民をはじめとする全国民の平和への切実な願いを踏みにじるものです。「抑止力」の強化や兵器の無人化によって命と生活の損失は軽減されるものではありません。歴史が証明する通り、真っ先に命が奪われるのはそこに暮らす住民です。
「戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク」は、本演習に全国各地で反対の声を上げる市民と連帯し、以下のことを強く求めます。
一、日米両政府は日米共同軍事演習「レゾリュート・ドラゴン25」を即刻中止すること。
一、沖縄をはじめ全国各地へのミサイル配備、無人兵器・偵察機の展開を直ちに見直し撤回すること。
一、岩国基地での米軍中距離ミサイルシステム「タイフォン」の展開を撤回させること。
一、全国各地でのオスプレイの運用を中止すること。
一、地域住民の声を真摯に受け止め軍事強化ではなく平和外交と対話を優先する政策転換を行うこと。
私たちは「もの言わぬ民は滅びる」の言葉を胸に、いのちと平和と未来を守るため、声を上げ続けます。
2025年8月29日
戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク
書評
『従属の代償』
布施祐仁著 講談社現代新書
安全保障を専門に20年以上研究して来たジャーナリスト・布施祐仁さんは言う。「今ほど戦争の危機を感じる時はありません。物凄いスピードで自衛隊の軍備増強と米軍との一体化が進んでいます。政府が戦後の安全保障政策の大転換と認めるような政策を矢継ぎ早に進めるのは、米国に見捨てられるかもしれないという不安が見え隠れします。しかし、このまま米軍と軍事的に一体化する道を突き進んで行って良いのでしょうか」と。
進む「南西シフト」と先制攻撃
この本で印象に残ったことですが、第一は「南西の壁」。石垣島に2023年3月陸上自衛隊の新駐屯地が開設された。他に奄美大島、沖縄島、宮古島などの南西諸島に地対艦ミサイル部隊を配備すれば、中国の侵攻部隊を乗せた艦艇の接近を阻むことができる。ミサイルの壁で中国の侵攻をブロックすることから、「南西の壁」と名付けられたという。しかし当初は南西諸島の防衛が目的であった「南西の壁」が、今は米国の巨大な渦に飲み込まれ、さらに台湾有事で米軍が有利に戦うため、かつ自衛隊が独自軍隊としての機能を持つ盾に変質してしまった。
次に第2章の中距離ミサイルがもたらす危機とは、現代の戦争では20世紀と違い戦車や軍艦の直接的対峙・激突ではなく、ミサイルとドローンの撃ち合いが圧倒的に多い。この場合、敵から出来るだけ遠くから、先に発射することが有利である。日本も12式地対艦誘導弾を南西諸島に配備している。これまでは中国軍の太平洋進行を阻止する海峡封鎖を狙う目的だが、射程1000キロの改良型ミサイルなら中国本土に届く。京都・祝園に貯蔵され、熊本・健軍に配備される12式改良型は中国本土に届く。これは完全に防衛ではなく攻撃兵器だろう。逆に敵からみたら一番の攻撃目標となる。
米中避戦の道と石橋湛山
第六章、米中避戦の道では、台湾有事で米国本土が戦場になる可能性は低いので、米国は戦争に勝てば良いと考えている。しかし日本は列島が戦場となり、甚大な被害が発生する。日本国民の生命と安全を第一に考えるなら、戦争は絶対に起こしてはならない。最後に石橋湛山ついて書いている。湛山は戦前、東洋経済新報社の記者として、植民地放棄論、小日本主義を唱えた人物だ。彼は日本が植民地を拡張していけば、いずれ米国と衝突するのは避けられず、それは日本の国益に反する。植民地など持たずアジア諸国とも米国とも友好関係を維持し、貿易を促進した方が日本の利益になる。大日本主義の幻想を捨てて、小日本主義でやっていくべきだ、と訴えた。歴史は湛山が予想したとおりになった。軍国主義の時代に湛山のような人がいたことに感心したが、自民党に今こそそのような政治家が必要なのではないか。
布施さんは長く日本の軍事について研究して来た方だけに様々な角度から指摘している事に納得できた。特に「南西の壁」という言葉は初めてなので印象に残った。本のタイトル通り日本は戦後80年、日米安保条約の下で米軍に基地を提供し、思いやり予算を支出しながら経済発展を成し遂げてきた。しかし最近ではアメリカの経済力低下に伴い、日本の軍事費増強の圧力が強まっている。そしてこの「従属の代償」として、米中戦争の最前線に立たされることになるだろう。いやその中から「自立」し、独自の軍事力を持つべきという勢力が台頭してくるのは自明の理だ。アメリカ軍はウクライナ戦争で分かるように武器は給与するが、グアム島辺りに撤退する可能性が高い。そうではなく、これまでとは違う「専守防衛」に基づく、日本が自立した防衛政策を確立するよう布施さんは述べている。今後の日本の在り方を考えるうえで参考にしてください。(大北健三)
4面
塩川三十二「新しい共産主義のために」(『展望』32号)を読んで(下)
大谷美芳
・中国とベトナムで革命が変質 マルクス・レーニン主義と国際共産主義運動が破綻
中国の文化大革命は社会主義革命であった。しかし、破綻した。官僚制の即時廃止はできない、労働者階級が官僚を統制して管理を学び、やがて官僚に取って代わって自主的大衆的に管理する、そういう持久的な階級闘争を組織しなくてはならなかった。しかし、それができなかった。生産と社会が崩壊し、それを官僚が再建した(「改革開放」)。
1989年天安門事件で官僚制国家資本主義が確立した。中国革命はブルジョア革命に終わり資本主義化した。ベトナムが続いた(1986年「ドイモイ=刷新」)。「帝国主義から社会主義への過渡期」における「民族解放・社会主義革命」、この展望が崩れた。マルクス・レーニン主義と国際共産主義運動は破綻した(プロレタリア階級は最後の勝利までは敗北の連続)。
・21世紀はグローバリズム 先発資本主義・帝国主義の「北」で体制的危機
こうして民族解放・社会主義が後発資本主義へ転化した。そこから、アジアを中心にグローバリズム、資本主義の世界化と世界の資本主義化が始まり、21世紀へ至った。
「南北関係」は、かっては帝国主義と植民地、「北」=工業と「南」=資源の関係であった。しかし、「北」は脱工業と金融化・情報化、「南」は脱資源と工業化。「北」による資本輸出=資本主義の「移植」を、「南」が2つの型の国家資本主義(韓国・台湾式「開発独裁」と中国・ベトナム式官僚制国家資本主義)によって、資本主義の「内在的発展」へ転化した。アジアで拡大し(ASEANとインド)、中東とアフリカが続く。「グローバル・サウス」。
「南北関係」は、「南」の後発資本主義の、「北」の先発資本主義に対する不均等発展へ転化した。その上に、「南」に登場した後発帝国主義=中国(+「北」の最後尾のロシア)による、「北」の先発帝国主義=米国(+従属的同盟の西欧・日本)に対する覇権闘争が勃発している。
「北」における金融化・情報化と工業的空洞化は、資本主義・帝国主義の「寄生性・腐朽性」である。工場労働が縮小し、エッセンシャル・ワーク、とりわけケア・ワークが拡大し、階級支配がケインズ主義とブルジョア民主主義の「包摂」から、新自由主義の「差別・分断」へ転化し、労働者階級が「没落」している(日本における差別的な非正規雇用による「アンダー・クラス」など)。革命は前途遼遠だが、体制的危機である。
(5)結論と補遺
米国のトランプ主義は、「差別・分断」をテコに「没落」する労働者階級を対中国および対移民の排外主義に動員している。現代のファシズム、早くも登場した予防反革命である(中国と移民がナチスにおけるソ連とユダヤ人)。
塩川論文は、「階級形成の在り方を体現する新しい共産主義こそトランプ打倒の捷径」と言うが抽象的。組合主義的団結が排外主義へ転化され動員されている。社会主義(「ルネサンス」されたそれ)の「外部注入」が必要である。
現代世界論の眼目は中国論(ソ連論)、資本主義・帝国主義と規定しないと、現代世界を正しく認識できない。20世紀のマルクス・レーニン主義と国際共産主義運動の破綻を深く総括できない。21世紀に社会主義を「ルネサンス」できない。
「反帝反スタ」はそう規定するのを拒否する。それでは「新しい共産主義」はない。
・「二元論」という「反帝反スタ」批判について
塩川さんは、帝国主義に「一元的に闘うべきところを分散してしまう危惧」と受け取っていますが、もう少し深い意味です。スターリン主義は社会体制となった。唯物史観の、原始共産制→奴隷制→封建制→資本主義→共産主義の中に位置づけなくてはならない。
資本主義の内在的矛盾の展開から、しかも、そこからのみ、社会革命で共産主義(その低い段階の社会主義)が出現する。では、なぜスターリン主義を打倒して共産主義(社会主義)社会を実現できるのですか? それは、スターリン主義が資本主義である(一元論)、別の社会(二元論)ではない、こういうことではないのですか?
ヨーロッパ中心史観からすると、奴隷制や封建制に特殊な「アジア的様式」が存在した。資本主義にも、特殊な様式の官僚制国家資本主義が出現したということである。
・連合赤軍事件と「対革マル戦争」について
中国文化大革命と毛沢東思想は、官僚制国家資本主義に対する社会主義革命を実行しようとし、20世紀の国際共産主義運動とマルクス・レーニン主義の最高到達点でした。しかし、最後は、「二段階連続革命」にある「主観的能動性」が「私心と闘う」といった観念論の主観主義に転化し、内部の分裂と対立で悲惨に破綻した。
カンボジア・ポルポト政権や日本の連合赤軍事件はそれに通じている。赤軍派の路線はファシズムに先制する「前段階武装蜂起」、これは最後には、連合赤軍で「共産主義化」(文革の「私心と闘う」)という観念論の主観主義に転化した。中核派の「先制的内戦戦略」に基づく「対革マル戦争=革命戦争」も、同質の観念論と主観主義ではないのですか。
20世紀における国際共産主義運動とマルクス・レーニン主義の破綻を、身をもって経験することになった。それを21世紀における「ルネサンス」に転化したい。(おわり)
追悼 岩田吾郎さん
10・19祝園は目前だ ともに闘おう
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| 『人民新聞』の旗を持ちデモ行進する岩田五郎さん(6月8日 大阪市内) |
岩田吾郎さんが6月28日私たちの目の前から消え、はや2カ月が過ぎた。その直前の6月8日にはうつぼ公園での反原発集会=御堂筋デモに参加し、6月15日には祝園現地行動にマイクロバスで一緒に参加した。秋の集会・行動に向かっての論議を始めたたばかりだった。その直後の28日、和歌山県警から登山途中の滑落死と思われるとの電話がかかってきた。数年前阪急電車で偶然ハイキング帰りの岩田さんと会い、趣味で六甲山に登ると聞いた。無粋・無趣味の私にとって、ブントのカッコよさを思ったものである。
岩田さんとはそんなに長い付き合いではなかったが、私の兄貴分であった故・吉岡史朗さんを通じて知り合い、ここ数年は9条改憲阻止共同行動=憲法改悪に反対する市民フォーラムが毎月おこなう街頭宣伝とミーティングで同席してきた。また関西=大阪規模の各種行動には、岩田さんは『人民新聞』の旗を持ち、『未来』の旗を持つ私たちとも近くで行動する仲だった。それ以上の個人的付き合いは無かったが、生まれが1950年で、69年3月に高校を卒業した同級生であり、私は田舎の育ち、彼はシティボーイであったわけだ。ヘルメットの色は違い、ブントの分岐の中でどのような道を歩んだかは聞くこともなかったが、重信房子さんを慕っているなど時代感は共有できた。
ミーティングでは対立というほどではないが、私と彼の意見はかなり相違した。私の方は、情勢に合わせた各種行動を組むにあたっての運動・組織方針を提起・論議したが、岩田さんはブント特有の世界情勢から始まっての日本革命の戦略の提起が大半だったと思う。そして彼は新左翼領域の各派の話・党派隊列の再建の話となり、私は社民やれいわも入れての大衆運動の再建という点で、噛み合う面とかみ合わない面があった。
ただロシアのウクライナ侵略戦争をめぐってはブント系の論者と再建協(『未来』派)とのシンポジウム開催となった。本来は事前討論、各種提起、質疑応答、総括的提起を纏めるべきだったが、4人の論者・主催者ともある種の力量不足か「言いっぱなし」の面があったと思う。それでも報告を記事に纏めると、ひとつの「実績」となり後に残った。その際の1人の論者が今回原稿を寄せてくれている元ブント・赤軍派の大谷美芳さんで、60年代末からのブントの苦闘を今日的にとらえ返せる人物と会えたのは私にとっても幸甚であった。
今一つは70年安保闘争の記録映画『怒りをうたえ』の関西上映会。また『人民新聞』に集う若い世代との交流。前者は「本多延嘉50年の集い」につながったが、後者は「一国主義」(とよく批判された)の私にとっては、理解しようと努力しているが、なかなか壁は厚かった。
さいごに「WEB リベラシオン社」については、いろいろ意見はあるようだが、誰かがこの種の仕事を担い一次資料を残さないと、左翼運動は「敗北後」に勝利した権力の情報操作にあうと思う。ブントの記録集ではあるが、革共同(『前進』・『未来』)についても取り上げてくれた。古典的文献としては70年代の『荊冠』に関心を示し、PDF化してくれた。
未来社改装・図書館建設にあたっては、文献選定の一役を担ってもらう予定だったが、それを待たずに逝かれたのは残念である。2年前から祝園闘争を気にかけ、『人民新聞』と『未来』の旗を競おうと言ってきたのに、その初めての全国闘争=10・19を共に闘えないのは残念至極である。今秋闘争の高揚を、吉岡さんやブントの諸氏とともに雲の上から見守っていてください。大久保一彦(『未来』編集委員会)
5面
大谷美芳さんの批判に応えて(下)
塩川三十二
大谷美芳さんの「塩川三十二『新しい共産主義のために』」(『展望』32号)を読んで」は、当該論文に対する丁寧な批判である。旧共産同系の人からの綱領・路線討論として対応したい。対カクマル戦争や、現代の反戦闘争、統一戦線論など実践的な点で多くの一致、ないし学ぶべき点がある大谷さんである。新たな実践的模索につながることを願いつつ。
以下論述の決まり。大谷さんが挙げている塩川論文(これしか読んでいないようですが)をAとする。『未来』415号(2025・6・5付)所載の「トランプの正体を暴く」をBとする。『未来』418号(2025・7・17付)所載「トランプのイラン核攻撃を弾劾する」をCとする。「400号記念論文の各種補足論考(補1〜補4まである)」をDとする。
そのうえで大谷原論文が『未来』に掲載されることを前提に、同論文の章分けが( )付き数字で示されていることに鑑み、本論考では、〇付き数字で対応した章別をあらわす。
リード部分で、以下の2点の批判がおこなわれている。全体に係る論点であろう。
(1)中国も帝国主義戦争と批判するべき、
(2)アメリカ帝国主義の危機は「南北関係」の中で見るべき。結局は「反帝・反スタ」の批判になるという。
これへのコメント
(1) 中国の体制が「帝国主義」であるという点と、その中国がおこなう戦争が帝国主義戦争であるという点が合わせて述べられていると思う。
(2) 危機を外部関係で見て、国内階級関係で見ないのは転倒していると思う。
@ 「日本・米国と中国の戦争 中国も帝国主義戦争…」という章題
日帝の突出による「新たな沖縄戦」という理解にまったく同感である。そのうえで、「中国の側からも帝国主義戦争」であり、台湾の「統一」は併合であるとする。「前進」の「米日の中国侵略戦争」論は、「人民の正当な感情と矛盾する」としている。この部分は大賛成である。
中国人民と台湾人民を主体として措定する展開がまったくないことに疑問を感じる。「世界戦争→世界革命」という旧ブント的ナデギリではないですか。革命は「プロレタリア世界革命」も含め1国の権力を倒すことから始まります。そのため、各国の階級関係に具体的に踏まえた「帝国主義戦争を内乱へ」の展開が必要です。
A 「アメリカ帝国主義の衰退と危機…」という章題
要するに、「南北関係」の中で「国際的に見なくてはならない」という主張です。
A論文の第4章の中の「米帝の衰退と世界支配の崩壊」のところを丁寧に引用してくれている。しかし米帝の金融資本主義化や情報産業化は「資本主義の必然」と見るとしています。そのうえで工業の「南北逆転」が米帝危機をもたらしているとします。
確かに米帝の衰退と危機はA論文だけでは不十分です。D論文では「核心=階級支配の破綻」の節で、それを補い、生産過程における労働者支配の崩壊について叙述しています。そのうえでDの「補4・米帝1極支配の最終的崩壊」の論考で、大谷さんが問題にする国際関係・「南北関係」に踏まえて米帝危機の具体的発現形態を問題にしています。ここでは特に経済関係に力点を置きました。そのうえでもとにかえって、米国が南北戦争以来の内乱に突入していることを論じています。政治・文化・思想を含めた危機です。結局、危機の要因はあくまで国内要因に求めるべきだとおもいます。危機が国際的普遍性・波及性を持つことを認めることにやぶさかではありませんが。
B 「かつてのソ連も現在の中国も官僚制国家資本主義…」という章題
A論文で49年中国革命を「農民革命」と言い切ったことに激烈な反応を招いてしまいました。では工業はどうなんだ、労働者はどうなんだという気持ちはわかります。それについては、D論文の「補3・中国スターリン主義と台湾問題」の第3節「中国革命と第2革命の展望」で触れました。要は、経済的管制高地(重化学工業と鉱山)は、軍事的接収で奪取したことにあります。旧満洲については日本の軍隊と官僚に対し、新疆ウイグル地区では国民党と結託した旧ソ連の官僚に抑えられていたからです。ここから、国有企業は官製企業、工会(労働組合)は官製組合として出発しました。この変革に中国共産党が失敗した結果です。
大谷さんは、「反帝・反スタ」は「生産関係の批判が欠落」と言ってます。「農民革命」と規定したことからそうなったのだと思いますが、たぶん「補」は読んでおられないと思うので、「生産関係の批判がない」ということに対する回答になればと思っています。
C 「…『南』の民族解放・社会主義が後発資本主義・帝国主義へ転化」という章題。
「マルクス・レーニン主義」とか「国際共産主義運動」と言っているのが、スターリン主義の党や体制を含むのかどうかよくわかりません。しかし大谷さんが中国の文化大革命を「社会主義革命」と高く評価していることはよくわかりました。それが裏切られた思いが強いから、現在の中国やベトナムを「官僚制国家資本主義」=「スターリン主義」と規定しているのだと思います。
われわれの観点で言えば、「文化大革命」やその前の「人民公社・大躍進」もスターリン主義官僚支配階級内部の権力闘争です。毛沢東の主観的意図は別として、しょせんはそれ以上でも、以下でもないと思います。ただ中国革命が「過渡期の疎外形態」となったのは日本の階級闘争の責任が大いにあります。ここでこそ、1国主義ではなく国際主義、世界革命の観点に立つべきだと思います。詳しくは別途展開を待つ。
D 「結論と補遺」の章題
トランプ主義を「労働者階級を排外主義に動員している」というのは大賛成です。
しかし「組合主義的団結が排外主義へ転化され動員されている」という理解は?です。
アメリカの労働者は組合とは関係なく団結しているし、ストライキも組合はほとんど組織してはいません。D文書の「補1」を読んでください。
結論として、「スターリン主義は資本主義である」という一元論はやはり納得できません。まずひとたびは革命を目ざし、その端緒はつかんだ人民、次にその結果がなぜ変質したのか、結果として現在の階級関係。すべての面で単純に資本主義とはいいがたいと思います。ロシアと違い、生産手段の私的所有もありません。
補4・米帝1極支配の最終的崩壊
1 トランプ関税戦争の断末魔性
米経済のクラッシュは昨年からすでに始まっている。その中でトランプの関税戦争は世界経済を世界恐慌に導く。
トランプ自身が、GAFAなどの一部大企業の利害に直接対応して右往左往しているだけで、米製造業の復活など到底できない。
パウエル連銀議長を解任して、為替操作でドル安に誘導するなど、米帝1極支配の下での1985年のプラザ合意の時のようには今は簡単にできない。
結局は、米経済自体がハイパーインフレに陥るだけで、米労働者人民自身が塗炭の困窮に陥る。
トランプの大統領就任100日目に際し、トランプの「相互関税」の宣言と部分的発動によって、米経済自身が国債・債権(株価)・ドルのトリプル安に陥っている。米国債10年物は年金利3・89%が4・51%に急騰(価格は急落)、株式市場は約12%下落(S&P500が4月2日から4月8日にかけて)、ドルインデックス(高いほどドル高)は4月11日前日の100を割り込み、99・21と3年ぶりの安値を付けた(エコノミスト4月29日、5月6日合併号)。とくに「基軸通貨」ドルの下落率は歴代最大で、マイナス10%に近い。バイデン時代にはわずかだが上がっているので、すべてを前任者のせいにするトランプの逃げ口上は通用しない(日経2025・4・28)。
消費財については、生産が中国に集中している、低価格の靴・衣料・玩具・電子機器などは商品不足に陥り、入手できない。逆に、豚肉や大豆など米国→中国への輸出がストップし、米国内では値下がりしているが買い手がない状態(Record China 2025・4・28)。
米EV大手テスラは、CEOであるイーロン・マスクの独極右AfD支持発言での不買運動や中国での販売減で、4月22日に発表した1〜3月期決算は営業利益が前年同期比66%減の3億9900万ドルとなり、マスクはトランプ政権の閣僚を辞任することに追い込まれた(日経2025・4・24)。
2 米帝1極支配の構造
政治経済的には米帝1極支配は次のような構造を持っていた。
ソ連崩壊後の米帝単独支配は中東全域の政治軍事支配を基礎にしていた。
エネルギー源の石油を米系中心のセブンシスターズが握っていた独占が1970年代に崩れた後も、世界の石油市場にドル取引を強制することによって世界の貿易・金融取引をドルで制圧し続けた。産油国はこれによって原油を売って得た資金でアメリカの国債を買うか、米銀に預金することになった。
これによって、米国は金との兌換性を失ったドルをただ印刷するだけで金融・貿易面での覇権を維持し続けることができた。米帝はこの独占を維持するために、原油取引をドル以外でおこなうとするイラクのサダム・フセイン、リビアのカダフィなどを文字通り抹殺してきた。現在イランを主要な敵国としているのもそのためである。
2003年から米国がイラクに戦争を仕掛けたのはサダム=フセイン大統領が00年秋に原油輸出の決済をユーロ建てにすると宣言し、「原油決済通貨はドル」というペトロ(石油)ダラー体制に挑戦状を突きつけたからである。2011年にリビアのカダフィー大佐が殺害されたのも同じ理由からである。(つづく)
6面
投稿
沖縄スケッチ ヤンバル便り(第2回)
辺野古レポート(新基地建設阻止闘争現状)
2025年8月15日 名護市在住 島袋利久
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| 追悼1カ年で供えられた花(6月28日 名護市) |
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| メッセージを掲げる県民(6月28日 名護市) |
琉球セメント安和桟橋から辺野古新基地建設の埋め立て土砂搬出が開始されて7年目になります。しかし、本来ならば辺野古工事に関する港湾使用は名護市内の安和ではなく本部町の塩川桟橋を使用することが決められていましたが、台風により塩川桟橋が崩壊してしまい復旧までに暫定的に琉球セメント専用の安和桟橋を一時的に使用することになっていました。それは、国と沖縄県との港湾使用の留意事項では決められていました。しかし、塩川桟橋(土砂搬出専用)が修復しても、沖縄県が「安和桟橋の目的外使用」は「留意事項違反」であると行政指導してきたにも拘らず安倍政権は県の指導を無視して7年間以上無視して今日に至っています。
安和、塩川での抗議活動は本部島ぐるみをはじめ、県内各地の島ぐるみ会議や市民団体及び個人が参加し、時には県外、国外からの応援もあります。月〜金(土曜もたまにあり)朝6時から夜8時まで交代で抗議活動を根気よく続けています。
ダンプカーは土砂採取場から国道を通り、信号を右折して桟橋に入るルートだけだったが、ダンプは裏道から回り、信号を直進で来るルートも増え、更に入口を通り越して名護市内まで行き、大回りをして戻って左折で入ってくる変則的なこともする。更に、一度の青信号で3方向から3台入るようになりました。私たちは危険な運転を止めるように訴えましたが聞き入れられませんでした。一方、出口では本来1列で出すところ、ダンプを2列に並ばせ交互に出すようになりました。2024年になるとダンプの運行会社と警備会社が変わりました。それまでは暗黙の了解のもと、現場では「1横断1台出し」が破られることが増え更に、歩行者の隙をついて2台連続してダンプを出すことが増えてきました。本部島ぐるみ会議は2台出しは危険なので防衛職員と警備員に抗議しましたが、改められずに、むしろ誘導する警備員にとって、2台出しすることが「仕事が出来る」証として自慢する運転手もいました。このような沖縄防衛局の強引なダンプの搬入搬出のスピードアップにより残念なことに2024月6月28日、警備員さんと抗議中のA子さんがダンプカーに7メートル〜8メートルも引きずられ警備員さんは死亡、A子さんは瀕死の重体を負う事故が発生してしまいました。
現場で牛歩による抗議活動をしている仲間達は事故以前から危険だから何度も何度も防衛職員と警備員に対して、強引な2台出しは止めて欲しいと訴えてきました。
まさに、そのようなときにダンプの乗り入れ部に警備員と市民が立っていたにも関わらず、誘導されるまま確認を怠ってダンプを発進させてしまった結果、死亡重大事故が発生したのです。職員と警備員に対して、強引な2台出しは止めて欲しいと訴えてきました。
A子さんは大腿骨と骨盤骨折を負い大量の出血で命が危険でした。しかし、駆け付けた警察はダンプの運転手を過失致死傷害事件として事情聴取も逮捕もしませんでした。更に、事故の現場検証さえもせずに現場の血だまりをホースで流して証拠を隠滅してしまいました。そして、現場責任者の防衛局責任者は何も無かった様に構内に待機させていたダンプを、事故現場を通らせて仕事を続行させました。
沖縄県警は事故から1年経過してもダンプの運転手とA子さんに事情聴取もしていません。
玉城デニー知事は事故の原因究明と安全対策がなされない限り安和桟橋でのダンプの搬出搬入を停止するように防衛局長に強く要請しました。しかし、県と事業者の間で安全策が確認されるまで作業は再開しないと言う県の指導を無視して国と防衛局は一方的に2024年8月22日に運転再開を強行したのです。
その日から、防衛局と沖縄県警は機動隊と警備員を大動員して通路付近にオレンジネットでバリケード張り、抗議する市民を暴力的に締め出し、市民の通行を長時間にわたって止め、歩道を封鎖し、土砂を積んだダンプを通しました。
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| 威圧に来た右翼街宣車(6月28日 名護市) |
自作自演の「暴行転倒事件」
このような状況の中、2024年9月26日に自作自演の「暴行転倒事件」が起こりました。
私たちは早速仲間達と共に抗議と不当逮捕されたMさんの奪還行動を開始しました。名護警察署前で毎日抗議集会を開き「不当逮捕糾弾、仲間を返せ、警察の弾圧を許さないぞー」とシュプレヒコールを叩きつけました。そして、ついに3日後の午後5時過ぎにMさんを奪還しました。
拍手で迎えられたMさんは「でっち上げ不当逮捕を完黙で闘い自由の身になった」と元気な声で我々を慰労してくれました。
我々はMさんを囲み警察署前で勝利報告集会をしました。Mさんはでっち上げ逮捕により3泊4日留置され不起訴になりましたが、被った損害も大きく名誉棄損も甚だしいと訴えました。しかし、警察は虚偽の暴行事件の被害届を出した防衛局員にはお咎め無しでした。
その後「転び」防衛職員はしばらく安和桟橋に出張っていましたが表面には出てこなくなり姿を隠しました。我等は塩川に異動したと聞き、塩川桟橋の抗議活動に赴き「転び防衛職員」を発見しました。この卑劣な職員に対してでっち上げ「転び公務執行妨害」の口実を与えない為にカメラを構え糾弾しました。さすがに彼はバツが悪そうにその場から離れて身を隠してしまいましたが未だに防衛職員は反省も謝罪もしていません・
※Mさんは『75時間2分 獄中記〈安和桟橋冤罪事件〉 名護署にて』の手作りパンフを作成しました。表紙には「辺野古新基地反対者のみ」所持可と書かれています。
後記には「今回の私の体験はなかなか普通には得られないことだと思うので、実際そうなった場合に備えて情報を提供することが必要だと考えこれを作成しました」と書かれています。紙面の関係上ぜんぶは紹介出来ませんが、逮捕された時の心構えなどが書かれています。その1では「逮捕されたら慌てない。冷静に。貴方は悪くない。悪いのは国家権力。怒りを忘れない。弱気にならない」その7では「得難い体験なので、それを楽しむ余裕を持つ」とし。以上私の体験が役立つ機会が訪れないことを望みます。と結んでいます。
自民党がデマ宣伝
政府自民党は死亡重大事故の責任を被害者に負わせ。工事を強行しています。
沖縄県議会、沖縄自民党・無所属の会は沖縄県警および沖縄防衛局が6月28日に発生した「死亡重大事故」の原因が究明されていないにも関わらず自民党の機関紙特別号に「本事件は、作業を妨害する者が、警備員の制止を聞かず、進行中のトラックの前方車道上に出たことに起因したもの」とデマ宣伝を垂れ流しました。
このような悪意に満ちたデマ宣伝に対して、2025年4月4日本部島ぐるみ会議は沖縄自民党に機関紙について4項目の申し入れをしました。
しかし残念ながら明快な解答は得られず今日に至っています。
6・28安和桟橋死傷事件追悼、抗議1カ年集会
当日集会を開催するにあたって参加者全員が事故で亡くなられた警備員さんの冥福を祈る黙祷を捧げました。次に、一人ひとりが献花台にお花を添えました。
集会は本部島ぐるみと平和市民連絡会の共催で開かれ、司会は平和市民の岡本由希子さんがしました。そして、重傷を負いリハビリに励むA子さんのためにマイクリレーをしました。三宅俊司弁護士は「沖縄県警は事件から1年経過してもA子さんとダンプ運転手の事情聴取すらもしない。事故加害者側からの賠償手続きが開始されていない、任意保険による賠償窓口が設定されず、治療費についても、被害者自ら、自賠保険に対して、「被害者請求」を繰り返さなければならない。沖縄県警は一体何をしているのか、国に遠慮しているのか、全く責任を果たしていない」と報告されました。
A子さんは全身の三分の一の血液を失い10時間の大手術に耐え、危篤状態を脱し奇跡的に回復を果たしました。しかし、後遺症が残る現状です。集会ではA子さんのメッセージをお姉さんが読み上げました。
〈6・28集会にお集まりのみなさんへ〉
1年前の6月28日の安和桟橋での件では大変ご心配をおかけしました。皆さんの励ましのおかげで、今では杖を使って歩けるようになりました。6月28日の時点では死ぬか生きるかの境目だったそうです。でも私は帰ってきました。この命は私だけのものではありません。皆さんの魂のこもった命なのです。今、ひめゆり平和祈念資料館の説明書について「歴史の書き換え」などと自民党の西田議員が持論を展開しています。これは西田議員が憲法を変えるという政治的な目的に沿うように都合よく歴史をねじ曲げ、沖縄戦の実相をゆがめようとしていることです。絶対に許せません。このような動きを容認する石破自民党政権も同じように許すことが出来ません。
私は生まれ変わった自分をふるいたたせて、二度と戦争をさせないために、一日も早く元気になって皆さんと共に現場に戻って頑張っていきたいと思います。
安和での死傷事故は防衛局による安全性を無視して工事を急がせた危険なダンプ2台出しによって起こったものです。亡くなられた警備員さんのご冥福を祈ります。
今回の件では多くの方々から物心両面から色々お世話になりました。本当にありがとうございました。
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| 「命どぅ宝」の横断幕(6月28日 名護市) |
最後に平和市民連絡会の北上田さんが防衛省と土砂運搬業者は塩川から鉱山の港まで、地下トンネルをつくる申請を昨年11月に県に出していると報告しました。
石破自公政権は辺野古新基地建設反対の抗議運動に手を焼いて、地下トンネルまで掘って土砂搬出を企てるとは全く呆れて言葉を失います。石破は沖縄に対してやりたい放題、し放題ですが我々は諦めずに寡黙に抵抗していきます。
隠し持つ事故の映像を公表せよ
2025年1月31日A子さんは沖縄防衛局に対して「6月28日、死亡、傷害事故を安和桟橋に設置してあるカメラから写された映像の開示要求をしました。しかし、防衛局は映像の「不存在」を理由に不開示を決定しました。三宅俊司弁護士は「防衛局は自分たちで県議会などに見せておきながら持っていないというのはどういうことなのか」と疑問を呈した。防衛局は「不存在」と回答したことに「個別の請求について応えることは控える」としている。マスコミ報道によると「不可解なのは、防衛局が事故後、県や県議会に機材を持ち込んで見せてきた事故当時の映像を不存在にしたことだ。(2025・6・28琉球新報)
このような不誠実な国に対して、重傷を負ったA子さんは2025年6月29日、安和桟橋の「死傷事故」の映像を沖縄防衛局が開示しないのは違法だとして国に対して不開示決定を取り消し、開示を求める訴訟を提訴しました。(つづく、3回連載)
7面
転載
9・28 反戦・平和・入管闘争集会
開催の呼びかけ
入管闘争市民連合が9・28集会を呼びかけたので紹介します
入管闘争市民連合の構成団体、会員のみなさんに呼びかけます! 戦後80年を迎えた今年、日本社会は一体どこへ、向かっているのでしょうか。日本は、第二次世界大戦までの度重なる戦争によって侵略を進めたアジアにおいて、そして、国内においても多くの犠牲を出したという過去と向き合うことなく、今、再び、他民族を差別し排斥する社会排外主義に流されています。 この度の参議院選挙では、自民党が「違法外国人ゼロ」という公約を掲げ、参政党が「日本人ファースト」というスローガンの下で「移民受け入れより、国民の就労と所得上昇を促進」と主張し、国民民主党は、「外国人に対する過度な優遇を見直す」と述べるなど、外国人差別と排外主義を競い合うような状況が生まれました。そして、排外主義を掲げた参政党と国民民主党が躍進するという、恐るべき結果になりました。
物価高の下で実質賃金は上がらない中でつのる市民の不満を、排外主義の方向で組織した政党が勢力を伸ばしたのです。排外主義は、戦争への道につながります。今、日本社会は極めて危険な歴史の岐路にあります。
この排外主義の震源地の一つが入管です。5月、法務省入管庁は、「国民の安全・安心のためのゼロプラン」を打ち出しました。「昨今、ルールを守らない外国人に係る報道がなされるなど国民の間で不安が高まっている状況を受け」、「誤用・濫用的な難民認定申請を繰り返している者を含め、ルールを守らない外国人を速やかに我が国から退去させるための対応策をまとめ」たなどと、あたかも「国民」の世論でもって、この人権侵害の政策が打ち出されたかのように宣伝し、非正規滞在者等の「ルールを守らない外国人」を「我が国の安全・安心を脅かす外国人」として描き出しました。この入管の排外主義キャンペーンは、自民党の「違法外国人ゼロ」という公約につながっただけではなく、参議院選挙の排外主義キャンペーンの源になったのです。
入管は、設立以来一貫して、民族差別と排外主義に基づく外国人に対する管理を行ってきました。かつて、入管の幹部が述べた(外国人は)「煮て食おうが焼いて食おうが自由」という言葉はその象徴です。こうした入管の民族差別と外国人に対する人権侵害が常態化する制度の下で、2021年3月6日、名古屋入管収容中に亡くなったのがウィシュマ・サンダマリさんです。ウィシュマさんは長期収容によるストレスなどから、食べられず、飲めない、食べても、飲んでも吐いてしまう状況の中で、飢餓状態に陥りましたが、本人がいくら求めても点滴を打たず、入院もさせませんでした。その結果、ウィシュマさんは亡くなりました。これは、不作為による殺人です。しかし、入管はウィシュマさん死亡の責任を否定し、入管の幹部・職員は、誰も起訴されず、懲戒処分も受けていません。在留資格のない外国人を日本から排除し、強制送還に応じさせるためには、その命も健康も顧みないという姿勢がそこにはあります。入管はウィシュマさんの事件について反省しているポーズを取りつつ、その実、何も反省せず、責任を取りません。それどころか、今回、「不当滞在者ゼロプラン」を打ち出し、排外主義キャンペーンを行うと共に、難民申請者や裁判中の仮放免者の強制送還を強行しています。入管は、何も反省せず、それどころか、排外主義の方向の下で、外国人の排除に邁進しています。
日本は過去、軍国主義のもと、中国、朝鮮をはじめとしたアジアを植民地化すべく侵略し、民族差別と抑圧を強い、多くの人々の命を奪いました。これは、日本の原罪としてあり、日本社会はその反省の下で、絶対に侵略も戦争も民族差別もしないという誓いを打ち立てなければなりません。しかし、現実の日本社会においては、原罪意識は忘れられ、再び排外主義をはびこらせ、戦争への道を進もうとしています。法務省・入管が排外主義の震源地となり、与党を始めとした政党が排外主義を振りまく中で、私たち、日本社会に生きる者は、こうした流れに抗していかなければなりません。入管の民族差別、外国人への人権侵害との闘いは、排外主義を食い止めていく闘いでもあります。他民族を差別、抑圧し、銃を向け、侵略戦争を行ったという過去の歴史を絶対に繰り返さないために、入管による外国人への人権侵害と闘い、入管による排外主義キャンペーンとも闘う必要があります。
本集会は、現在の入管の問題と闘いの方向を明らかにしつつ、戦後80年を迎えた日本社会において、社会排外主義の蔓延に歯止めをかけることができるように、この運動の新たな起点としたいと考えます。
入管闘争市民連合の構成団体、会員のみなさん。ぜひ、共に集会を作り上げていきましょう。
反戦・平和・入管闘争集会
とき:9月28日(日)午後1時半〜4時半
ところ:[東京]文京区民センター[名古屋]名古屋市立東生涯学習センター
[大阪]東大阪市・中鴻池市民プラザ(中鴻池リージョンセンター)
主催:入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合
連載 私が推す労働運動関係のほん
大庭伸介
B『囚われの女たち』山代巴著(径書房)
中国侵略戦争が始まって9年、太平洋戦争突入の1年前、京浜工業地帯の軍需工場で働く青年労働者が100人以上も検挙された。既に共産党が壊滅し合法的労働運動も姿を消していたなかで、2人の共産主義者が愛を育みつつ闘いの途を模索。厳しい監視と制約のもと、共に働く若い労働者の素朴な疑問に答え、社会の矛盾にたいする関心を呼び覚ましていく過程が感動的に描かれている。
〈新たな戦前〉を迎えた今、労働者をオルグ(即自的労働者を向自的労働者に)するうえで、この上ない見本となる自伝的大河小説。
C『企業の塀をこえて 港合同の地域闘争』大和田幸治著(星雲社)
かつて労働運動の世界で「西高東低」と言われた時期があった。大阪の中小企業に働く労働者たちが地域で連帯して、経営者や背景資本(大資本や銀行)・ガードマン・日本共産党の攻撃と妨害に抗して闘い抜き勝利した記録。
当事者たちが生き生きと語る闘いの内実は、読む者に勇気を与え、教訓に満ちている。とりわけ巻末の〈港合同(活動の心得)〉は、労働運動の真髄を集約した必読の内容。
8面
万博工事未払い追及全国集会
国と維新は責任とれ
8月23日大阪
8月23日大阪市内で「万博工事未払い追及全国集会」があり300人を超える人が詰めかけた。万博海外パビリオンで、元請け企業や上位の下請け企業が建設代金を支払わず、下位の下請け企業に対する多額の未払いが発生。被害者とその家族の命や生活が追いつめられており、中小事業者が連鎖倒産する危機にある。大阪府や国による立て替え払いや無利子の緊急融資などの救済措置と悪質企業を逃がさず支払わせることが早急に必要なことが明らかにされた。
未払い被害者の訴え
Aさん(アンゴラ館)「吉村知事、万博協会は、業者が足りないので協力して下さいと、公式な要請も出されている。未払いの問題が起きたら民民の問題だと、関係ないという態度を続けている。仲間たちから毎日のように金を払って欲しい、マンションから追い出されるから助けてほしいと電話がかかってくる。4カ月も未払い。苛酷な中で仕事をしてきたのに、理不尽であり、救済を求めて活動している」
Bさん(マルタ館)「私たちは長い間苦しい思いをしてきている。契約は民間同士の問題かも知れないが、未払いをめぐるトラブルはもう民間同士の話ではない。国をあげての国家プロジェクトで、これだけの未払いが発生することはあってはならない。社会的、国際的に大きな問題。残された時間は少ない。いつ会社が倒産するかわからない。売れる物は全て売った。私も車を売った。残っているものは自分の命しかないと思う。一刻も早い解決を」と訴えた。
未払い被害の実態西谷文和さん(フリージャーナリスト)
8月20日の時点で未払いは10カ国ではないか。アンゴラ、マルタ、中国、ネパール、アメリカ、セルビア、インド、ドイツ、ポーランド、ルーマニア。愛知万博や東京オリンピックでは未払いはゼロ。
未払いは2パターンある。1つはアンゴラのパターン。アンゴラは払っているが途中にとんでもない業者がいて持ち逃げした。一六八建設。会社は大阪の鶴見区にある。行ってきたが誰もいない。名古屋から大阪に本社を移していて、万博の中抜きを狙ったのだろう。こんな業者が入ること自体万博協会のガバナンスのなさ。2つ目は、GLイベンツという元請け会社がいちゃもんをつけて払わない。隣の咲洲に事務所があり2回直撃(抗議行動)した。7月10日には従業員がいたが8月1日以降夜逃げ状態。この会社のやり口は、ルーマニア館なら4億で下請けに出し、2億は払う。出来上がったら壁の色が気にくわんとか言って払わない。そんなやり口で4つ被害がある。GLイベンツは、本社が仏なので10月13日万博が終わったら逃げようと思っているのではないか。だから勝負はあと2カ月。絶対に逃がさない。同社は来年の名古屋アジア大会で特命随意契約を630億円で受けている。
最大の問題は吉村知事。吉村と万博協会が去年の9、10月頃にもう間に合わないから助けて下さいと中小企業に頭を下げに行っている。大屋根リングや日本館などは、税金で払うからゼネコンは受けたが、リングの内側は外国パビリオンで、ゴミの島でズブズブだからゼネコンは逃げた。だから感謝しないといけないのに恩を仇で返している。万博協会に電話をしても「民民の問題です」と話も聞かず電話を切る。吉村は「寄り添う」と言いながら見殺しにする態度。被害者たちは、土地を売ったり、家を売ったり、大学生の長男をやめさせ働かせたりしている。彼らを救うためには今月、来月が勝負です。世論を盛り上げて「民民ではない。ちゃんと払わんといかん」という話をしないといけない。
工期は短く万博に間に合わせるために、過労死寸前まで働かされた。工事中労働者が指を切った、高い所から落ちた、肺炎になったなどの話を聞く。労働者は泊まり込んで昼夜問わず働き、3月の日勤が27日、夜勤が24日という労基法違反がおこなわれていた。労働者の所に監視カメラをつけ見張られていたという証言もある。何から何まで無茶苦茶なことをやっているので責任をとらせないといけない。吉村知事に「未払いは助けなあかん」と政治判断させる。
参加した国会議員や地方議員、大阪府交野市長などが発言。会場意見交換が活発におこなわれた後、支援カンパが被害者の方に手渡された。被害者たちは、「万博工事未払い問題被害者の会」を結成して闘っている。被害者は700〜1000人、家族を含めると2千〜3千人にのぼる。共に闘い労働者の命と生活を守ろう。
兵庫県庁弾圧 Aさんは無罪
9・29 第3回公判へ
4月10日、3人の若者が、斎藤元彦兵庫県知事に辞職を求める行動をおこなった。3人は誰でも入れる県庁2号館の知事室前で辞職を求める行動をおこない、3分1秒で自発的に6階から退去した。
ところが、1時間後、JR元町付近でAさん、Bさんが逮捕、さらに18日にはCさんが逮捕された。そして、Aさんは「建造物侵入」で起訴された。
9月1日の第2回公判では第1回公判での裁判所・裁判官の不当な訴訟指揮に対する抗議から始まった。当初裁判官は前回に続く強権的言動をなしたが、弁護人・被告の丁寧な無実の論証を聞くにつれ、態度を変えざるをえなかった。
法廷では2つの映像が流された。1つは数十人の斎藤応援団(通称「斎藤マダム」)が県庁内で「斎藤さん頑張って」と示威行動をおこない、これに斎藤知事が感謝するという映像だ。今一つは失職後の斎藤に、高校生が県庁内で手紙を渡すシーンである。斎藤はこれで勇気づけられ再出馬に踏み切ったと言われている。いずれも県庁の建物内での政治的行動で、前者は数十人が声をあげるというのに(本会議傍聴時にも激励・拍手を繰り返す)何の咎めも受けていないが、3人のように反対の市民には逮捕・起訴がなされたのだ。
この鮮やかな対比に、検察官は積極的な起訴状朗読ができず、何が犯罪要件かを全く論述できなかった。もし3人の逮捕・Aさんの起訴が正当とするなら斎藤マダムも高校生も起訴され裁判になるわけで、起訴そのものが無理筋であることが判明し、法廷は爆笑に包まれた。それに対し裁判官が制止することもなかった。
9月29日の第3回公判で裁判は結審し、年内にも判決となる。13時45分抽選の神戸地裁へ。Aさんの無罪を獲得し、斎藤県政の無法ぶりを満天下に示そう。そして斎藤知事の退陣を実現していこう。
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| 弁護士・救援会の事務局・被告からていねいな報告がされた公判後の報告会(9月7日 神戸市) |
兵庫県警公安3課が生活保護利用者を不当逮捕
兵庫県知事選不正選挙の立花・折田・斎藤らを逮捕しないのに、兵庫県警は生活保護利用者Dさんを不当逮捕する暴挙をおこなった。7月29日兵庫県警公安3課は、生活保護利用者を詐欺容疑で逮捕するとともに、県下3カ所を不当捜索し、無関係な資料・USBなどを不当に押収した。Dさんはクーラーのない公営住宅に住んでいたが、この猛暑のなか近くに住むクーラーのあるパートナー宅に出入りしていた。これをもって居住実態がなく2カ月分の家賃を詐取したとして、不当逮捕し20日近くの勾留をおこなったのだ。あまりもの不当性にDさんはハンスト型の抗議行動をおこない、県警公安3課はろくな捜査もできずDさんを処分保留で釈放せざるをえなかった。
立花・斎藤の捜査をせず、県庁「不法侵入」でAさんを逮捕し、「詐欺罪」でDさんを逮捕した兵庫県警を徹底弾劾しよう。
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