未来・第420号


            未来第420号目次(2025年8月21日発行)

 1面  自公政権を分裂・瓦解へ
     差別排外主義を粉砕しよう
     今夏今秋反原発・反基地闘争へ

 2面  The END 自民党政治
     国会議員会館行動 6百人
     7月19日

     学研都市にミサイル弾薬庫!
     黙って見過ごしてよいの?
     「アクション2025」発足集会
     8月2日東京

 3面  <投稿>
     <関生弾圧を許さない東海の会>第7回総会に60人が結集
     弾圧にデジタルデータがどのようにつかわれたのかを検証
     8月3日 名古屋

 4面  被爆80年のヒロシマ平和の夕べ
     ーー核兵器と原発の廃絶をーー
     落合 薫

 5面  投稿 宮古島紀行(中)
     進む最前線での基地強化
     西川雄二

 6面  STOP!辺野古新基地建設!大阪アクション
     緊迫した辺野古!現地報告
     8月3日大阪

     映画評
     『黒川の女たち』
     監督・松原文枝 語り・大竹しのぶ

 7面  投稿
     差別排外主義と対決を(下)
     都議選を闘いぬいて
     新川幸雄(「視覚障害」の活動家)

     天笠啓祐著
     『フッ素の社会史』を読んで

     重ねて夏期特別カンパのお願い

 8面  参院選総括
     「失われた30年」の失政で自民敗北
     外国人排斥・排外主義推進の参政党

                 

自公政権を分裂・瓦解へ
差別排外主義を粉砕しよう
今夏今秋反原発・反基地闘争へ

関電本店に向け抗議のシュプレヒコールをくりかえす参加者(8月2日 大阪市)

参議院での自公過半数割れから1カ月。その後も激震が続いている。自民党の「石破おろし」は政権政党の分裂の危機を示している。参政党の排外主義鼓吹とスパイ防止法制定への暴走はナチスの道だ。この激流に立憲民主党など中間主義既成政党はなす術もない。我々は排外主義者=参政党粉砕と、原発新増設粉砕、全国基地闘争の三大闘争で労働者階級の怒りを解き放ち、自公政権打倒のうねりをつくりだしていこう。(8面に関連記事)
8月2日の夕刻、「原発増設をゆるすな! 緊急行動」が大阪市内の関電本店前でたたかわれ、約300人が関電本店前を埋め尽くした。主催は、老朽原発うごかすな! 実行委員会。
関西電力は、7月22日、美浜原発(福井県美浜町)敷地内に原発新増設(リプレース)するために、地質調査を原発内外で再開することを公表し、県と美浜町に正式に申し入れた。
関電は、2010年から、美浜原発での地質調査をはじめたが、2011年東電福島第1原発事故を受けて、調査を中断していた。その調査を再開し、新増設に向かって突進しようとしているのである。絶対に許してはならない。
関電本店前には「原発増設ゆるすな!」「やめろ! 美浜での地質調査」の鮮やかなバナーがかかげられ、定刻に近づくと共に続々と人々が結集し、約300人が関電本店前を埋め尽くした。参加は関西一円のみならず、北陸、東海、四国からも多くの人々がかけつけた。

「いいかげんにしろ」

中嶌哲演さん










西山直洋さん










木原壯林さん

冒頭、関電に対する申し入れ書(7月30日付)が、主催者からの基調提案として読み上げられた。
その後、リレートーク。福井県明通寺住職・中嶌哲演さんは、「関電はいいかげんにしろ!」と怒りをたたきつけた。奈良、四国、名古屋、岐阜、滋賀、兵庫などから発言。
福井から発言した敦賀市在住の〈オール福井反原発連絡会〉山本雅彦さんは、これまでの関電の「調査」などのやり方や都合の悪いことに対しては「隠す、デタラメを並べる」などの対応を真っ向から批判し、今回の地質調査については、少なくとも調査は関電がおこなうのではなく、第三者がおこなうべきだと述べた。
労働者の立場から発言したおおさかユニオンネットワーク・西山直洋さんは、「今日はあえて言います。(問題は)関電労組です」と発言し、労使一体で原発を推し進めようとする労働組合を厳しく批判した。
カンパが訴えられ、約10万4000円のカンパがよせられた。

原発を運転する権利?

司会が重大な報告をした。「先日名古屋高裁金沢支部で、老朽美浜原発3号機運転禁止仮処分抗告審第4回審尋がおこなわれ参加した。その中で、関電がとんでもない発言をしている」とのべ、関電は「原発を運転することは、本来行使できる権利であり、自由である」「抗告人(住民側)は被害者ではないのであり、被害をいうのであれば、被害を実証するのは抗告人側だ」と主張したという。これまでの原発裁判でのなかで勝ち取ってきた、原発の安全性の証明は、第一義的に電力会社にあるという原理・原則を180度くつがえすものであり、電力会社がいままで言いたかったことを関電が率先して本音を展開しているのであり許すことはできない。真っ向から、おごり高ぶった関電を糾弾・打倒しなければならないと訴えた。

関電本店前を300人が取り囲んだ(8月2日 大阪市)

原発増設反対のたたかいをさらに大きく

集会の最後に〈老朽原発うごかすな! 実行委員会〉木原壯林さんが発言。「本日は、緊急の行動にこれだけの人々が結集し大成功した。5万、10万の人々が、関電本店前を十重二重に埋め尽くせば、原発をとめることができる。がんばろう。老朽原発うごかすな実行委員会は、2百数十団体、8百名を超える賛同人で発足した。いま原発をめぐる新たな状況の中で、拡充・強化がとわれている。実行委員会のアップデートをおこなう。この秋呼びかけたいので、その節は大挙集まってほしい。本日を突破口に、老朽原発うごかすな!原発増設反対のたたかいをさらに大きく展開しましょう」と締めくくった。

7・30関電原子力事業本部への緊急抗議行動

美浜現地で抗議(7月30日)

8月2日の関電本店前緊急行動にさきがけて、7月30日「原発増設をゆるすな! 緊急行動」が美浜町の関電原子力事業本部に対しておこなわれた。この夏一番の酷暑であったが、関西や福井・若狭などから、関電に対する怒りに燃えた人びとが80人以上集まり事業本部前を埋め尽くした。老朽原発うごかすな! 実行委員会が申し入れをおこない、美浜町役場までの町内デモを展開した。美浜町役場前で「美浜町は地質調査を認めるな」「原発に頼らない町づくりを進めよう」と訴えた。

新増設を絶対に阻止

今後、地質調査をおこなったうえで、原子力規制委員会に申請するすることになるが、仮に全ての手続きがスムーズに進んだとしても、実際に増設炉の運転までは20年以上かかるといわれている。しかも、原発1基に、1兆円から2兆円の巨額の費用がかかる。
20年後を展望したとき、はたして原発をめぐる状況がどうなっているのか。紆余曲折をへながらも、自然エネルギーの流れが強まっていることは明らかであり、原子力が20年後も進められることはないだろう。そういう流れに逆らって、原発に固執するのは、やはり「核」へのこだわりがあるからだろう。
原発増設問題は、反原発闘争の大きな決定的なたたかいになる。逆に言えば関電にとって今後も原発に依存しようとするならば、新増設はいまが最後の機会である。
なお、美浜町の町長は地質調査受け入れを表明した。町の住民の願いとは真逆の選択をおこない、あくまで原発にしがみつこうとす美浜町長をゆるしてはならない。
反原発闘争は新たな攻防局面に入った。原発新増設を絶対に阻止しよう。

2面

The END 自民党政治
国会議員会館行動 6百人
7月19日

参院選最終日に国会前にかけつけた人々

7月19日午後、東京・衆議院第2議員会館前を中心に、『9条生かして世界平和を実現させよう! デマ・ヘイトを許さない! TheEND自民党政治7・19国会議員会館前行動』がおこなわれ、暑い中、約6百人の労働者・市民が集まった。主催は、戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会、9条改憲NO! 全国市民アクション。
投票日前日でありながらかけつけた社民党・大椿ゆうこ参院議員の発言。
「今までとはステージが違う。本来であれば物価高についての政策論争、戦後補償・平和・憲法についての議論が闘わされるべきだが、参政党が『日本人ファースト』と言い、各党が同じようなことを言いだしている。外国人を叩けば票になる流れがある。絶対に差別を許さない」。さらに立憲民主党、日本共産党からメッセージが寄せられた。
韓国の団体からもメッセージが届いた。「敵対と戦争を終わらせたい。朝鮮半島の平和協定と日本の9条護憲で東アジアの平和を築こう」。
環境アクティビスト・黒部睦さんの発言につづきJAL争議団が発言。「戦争をする国づくりをおこなう権力がJAL解雇の背後にいる。解雇通知は国が選任した管財人から送られた。人員削減の超過達成があったことについてはJAL側は反論していない。解雇するのは会社にとって都合がいいから」「ヒトラーが権力を握って最初にやったのは労働組合への解散命令。(民間航空で)自衛隊のチャーターフライトが増えた。(これから民間航空会社で)米軍の輸送資格を取る動きが出てくる。(敵性国家≠ゥら)『日の丸をつけていたら敵』と見做されたら、国際線は運行できない。今でさえ、ウクライナ上空を通れなくてヨーロッパ便が遠回りしている。労使を巻き込んで『空港を軍事に利用するな』と国に突きつけていきたい」
憲法共同センターが行動提起。「8月19日の行動を18時半から今日と同じところでおこなう。9月19日安保関連法が可決されて10年なので大きく構えて国会正門前を中心に、18時半から19時45分まで行う。7月24日18時から有楽町イトシア前でウィメンズアクション、7月30日18時から新宿駅東南口で総がかり署名街宣、8月22日も新宿駅東南口で署名街宣。パレスチナの平和を求めて7月21日、イスラエル大使館前行動がおこなわれる。」

学研都市にミサイル弾薬庫!
黙って見過ごしてよいの?
「アクション2025」発足集会
8月2日東京

6月15日の学習会で訴える呉羽真弓さん(京都府精華町)

8月2日、都内で「大軍拡と基地強化にNO! アクション2025」発足集会がひらかれ、多くの市民が集まった。呼びかけは、立川自衛隊監視テント村など4団体。
集会のメイン講演は、京都府木津町議会議員・木津川市議会議員を計3期12年務めた〈京都・祝園ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワーク〉共同代表の呉羽真弓さん。

住民ネット結成

「昨年3月20日に『住民ネットワーク』が結成された。きっかけは2023年末に共同通信が報じた『敵基地攻撃能力や継戦能力の保有に伴い、ミサイルや弾薬の保管場所の確保のため、祝園分屯地を整備』『陸自だけでなく、海自の弾薬も保管できるよう方針を固めた』という記事。精華町の結成集会には200人の会場に250人が集まった。2014年6月の木津川市議会に『憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認に反対の意見書』を提出、提案説明で二人の言葉を引用した。一人目は元防衛庁官僚で新潟県加茂市長の小池清彦さん。『集団的自衛権の行使にひとたび道をひらいたら、拡大を防ぐ手立てを失う』『集団的自衛権の問題は日本の将来に関わる話、声を上げることは今を生きる者の責任だ』。もう一人は元自民党幹事長の野中広務さん。『今ほど、私の人生を通じて憲法が問題になった時期はない。憲法は解釈で決定すべきものではない。政権が、中国や韓国、北朝鮮の近くて遠い国との関係改善の先頭に立たないと日本の平和はない。想像以上に人口の減少、特に地方の減少が深刻になっている、そのときに集団的自衛権の行使容認で若い人たちが戦闘地域に出ていく。若い人たちが死ぬ。自衛隊志願者がいなくなる。そうなったら徴兵制が出てくる。戦争に参加したわずかな生き残りの私たちは、大変な思いをした。それ以上の犠牲者が出る可能性を考えてもらわないと困る』。10年前の2人の言葉は今を、そして日本の行方を言い得ていると、突き刺さる。祝園弾薬庫が1960年に米軍から自衛隊に移管されるのに際して、精華町長と防衛庁大阪建設部長、陸上自衛隊中部方面幕僚長との間に交わされた確認書では『これ以上の拡大はしない』『核兵器は貯蔵しない』『貯蔵量を増加させるときには事前協議する』『次の人々に合意内容を引き継ぐ』となっている(最近になって精華町長が『法的拘束力はない』と言い出している)。防衛省近畿中部防衛局に説明会の申し入れや質問(文書回答を求める)をしている。今年2月に『今後さらなる増設計画はあるか』と質問して『現時点で確たることは言えない』と回答されているが、この前に8棟増やすことがすでにわかっていて、さらにいきなり6棟プラスされることが分かった」

行動提起

参加した各団体から、様々な行動提起がなされた。
8月17日、文京シビックセンターでおこなわれる「トランプの創る世界にNOを! 8・17集会」(実行委主催)、8月30日に東京・練馬区役所20階・交流会場でおこなわれる「勝手に煽るな! 防災に名を借りた戦争訓練―防災・『避難』・治安出動―」(主催/米軍、自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する実行委員会)、9月13日13時半から文京シビックセンターでおこなわれる「大軍拡と基地強化にNO! 軍事費GDP比3・5%〜5%への引き上げを許すな! 9・13概算要求分析会」(主催/アクション2025)、等。

3面

<投稿>
<関生弾圧を許さない東海の会>第7回総会に60人が結集
弾圧にデジタルデータがどのようにつかわれたのかを検証
8月3日 名古屋

<関生弾圧を許さない東海の会>第7回総会にかけつけた人々
写真提供:愛知連帯ユニオン)

名古屋市熱田区の労働会館本館で、13時30分から〈関生弾圧を許さない東海の会〉第7回総会がおこなわれました。
最初に石田共同代表が挨拶、今回の総会の第2部で関生弾圧にデジタルデータがどのように使われたのか検証することを紹介、また、冤罪の福井事件等がそうであるように、関生弾圧でも無罪を勝ち取った組合員も警察や検察に人生が無茶苦茶にされたことを考えたいと発言しました。

全国の支援からメッセージ

関生弾圧を許さない東京の会、静岡の会、奈良の会、北海道の会からメッセージが寄せられ、京滋実行委員会の小山さんが会場に来て発言、6年間の裁判闘争を振り返りつつ、本年8月30日に湖東記念病院事件の井戸謙一弁護士を講師として司法の反動化と冤罪を考える集会を持つことが紹介されました。

地道な活動の成果とそれを支える人たち

続いてこの1年の活動報告を植木事務局次長がおこないました。「昨年の総会は東京新聞の望月衣塑子記者を招いておこなったが、弾圧当初は暴力的な団体の事件のように報道されていたものが、マスコミの中でもこの弾圧はおかしいのではないかという報道が増えてきた」「昨年11月には被弾圧当該と弁護士で京都事件についてのシンポを開催したが、今年の3月の関生支部組合員との交流会は京都事件無罪判決の報告会とすることができた」と運動の成果が述べられました。
柿山事務局長からは、今後も運営会議と街頭宣伝を定例化、学習交流会を開催、裁判の傍聴支援、ニュースの発行やホームページでの発信、全国の支援やこの地域の団体との連携を強めること等、この弾圧に対して関生支部を最後まで支えていく方針が提起されました。
会計の牧野さんからは「この間、病に倒れて集会に参加できなくなったが、関生と東海の会の真直ぐに闘う姿勢に敬意を表します」という手紙と共に会費とカンパが送られてきたことが報告され、小さな規模の財政だが会場費・会費・カンパをきちんと集めて必要な活動をおこなえるようにしたいとの提起があり、これに応えて、多くの会費の納入とカンパが寄せられました。
集会決議が名古屋ふれあいユニオンの森さんから読み上げられ、集会決議と報告が拍手で確認されました。

関生弾圧とサイバー防御関連法

第2部は、企画「関西生コン弾圧とサイバー防御法・刑事デジタル法」。
まず、関生弾圧国賠訴訟の原告で、Xバンドレーダー基地反対・白バス事件の国賠訴訟原告でもある西山直洋支部執行委員が弾圧の実際を語りました。Yahoo!のメーリングリストは全て任意提出され、捜索令状の押収目録にはパソコンが全て含まれ、警察はサイバー班を連れてオートロックを簡単に解除して入ってくる。逮捕されると20年前とは違って指紋だけでなく掌紋も取り、顔写真は後に顔認証システムで使えるように様々な角度から撮影され、知らずに認めてしまう人はDNAまで採取される。私は和歌山事件では不起訴に、大津事件では無罪になったが、警察に押収されたものは抹消しましたという書類が返って来ても本当かどうか解らない。日頃から権力の弾圧に備えて、どのデジタルツールを使用するか、考える必要がある、としました。
次に、関生弾圧の殆どの事件に関わった三輪晃義弁護士が、「大阪ストライキ事件」「大津コンプライアンス事件」「加茂生コン事件」のそれぞれについて、共謀の立証にグループLINEや通話履歴がどのように裁判で使われたのかの説明がありました。裁判の証人尋問で、警察官が「組合員のスマートフォン(iPhone)を押収すると警察内でスマホを解析パソコンとケーブルで繋いで、解析ツールをワンクリックしたら、電話帳、通話履歴、SMS(ショートメッセージ)、メモ、ブックマーク、カレンダー、画像・動画、Safari閲覧履歴、LINEの友達・LINEグループ・LINEメッセージが自動的にExcel形式で出力される。解析パソコンから捜査課のパソコンにデータを移し、警察官が不要と考えるデータを省いたうえで、印字して書証を作成する」と証言したことが紹介されました。警察のストーリーにそって立証をおこなうのに「スマホは宝物のような存在」と指摘しました。
続いて、〈東海の会〉共同代表である中谷雄二弁護士が戦前の特高警察の解体が不完全に終わって戦後の警察の民主化が崩壊、市町村警察から都道府県警察へ、さらに実質的に国家警察の復活に向かう流れの中で、2022年警察法改正では、国家公安委員会と警察庁の所掌事務に「重大サイバー事案」に対処する事務を付加されたことを指摘しました。そして、本年5月16日に成立した能動的サイバー防御法とデジタル刑事訴訟法の問題を具体的に解説しました。

産別労組再建こそが関生支部の回答

質疑を受けて第2部が終了した後、関生支部の山本智執行委員が、自らの取り調べ動画が上映された国賠訴訟を解説、違法な組合脱退慫慂をする検事に対して143回黙秘を通告、組合を信じて残っている人間を裏切らないことを決意したことを語りました。「10月31日の国賠訴訟で賠償を勝ち取り、11月18日の大津1次事件控訴審で無罪を勝ち取りたいが、産業別労働組合を再建することこそが本当の回答。関生弾圧を労組への最後の弾圧にすることは私たちだけではできない。みんなの力を借りて、また、国際的な連帯で、このような弾圧ができない仕組みを作り上げていきたい」と語りました。
最後に共同代表の熊沢誠名誉教授が、「今日は色々勉強になったが、労組が共謀するのは当たり前で主な争点ではない。権力はアウト業者対策や非組合員へのピケットについては絶対に認めない立場。11月18日の大津事件の判決に向かっては、アウト業者対策としてのコンプライアンス活動は産業別労働組合の正当な組合活動だという点をはっきりさせて闘って欲しい」と持論を語りました。
第7回総会を終えて8年目を迎えた〈東海の会〉。地道な活動とそれを支え続ける人たちによって大弾圧に無罪の風穴を開ける一助を担っています。なお、同日18時からおこなわれた〈ガザ緊急アクション名古屋〉の集会・デモには10数名の総会出席者が参加し、猛暑の中、丸1日奮闘しました。
(愛知連帯ユニオン)

4面

被爆80年のヒロシマ平和の夕べ
ーー核兵器と原発の廃絶をーー
落合薫

会場いっぱいの280人が参加(8月6日 広島市)

被爆80年の今年、8月6日の「ヒロシマ平和の夕べ」には全国の賛同者・参加者が詰めかけた。その数、280人(別室、ズームを含む)。コロナ以降で最大の結集であった。司会の河野美代子さんは、いつ核兵器が使われるかもしれないという世界情勢と新増設を含めた原発全面推進に国策を転じた自公政権に対する危機感に満ちた「あいさつ」をおこなった。満場の参加者は耳をそばだてて講演に聞き入った。

在韓被爆者救援と豊永恵三郎さん

被爆の実情を語る豊永恵三郎さん

平和講演の最初は豊永恵三郎さんであった。前半で彼自身の被爆体験、後半では在外被爆者の救援に係った経験である。彼の家族の被爆体験はすさまじい。父が死去していて、母と弟の3人家族であった。9歳だった彼は、爆心から10q離れた鍼灸院に治療のため通っていたので直撃はまぬかれたが、母と弟はひどい症状で、発見するまで2日かかってようやく救出。それからの年月は、3人とも被爆者として病苦と差別と闘いながら、困難な生活の中で被爆を語る活動などに係っていく。被爆の症状に苦しみながらも、母は95歳まで、弟は88歳まで存命であった。豊永さん自身は教育労働者として活動しながら、やがて在外被爆者の救援活動に参加していく。
最初は、孫振斗さんの救援であった。戦後韓国に帰国していたのを「密入国」して国の援護を求めた。最終的には最高裁で勝訴、被爆者健康手帳の交付を勝ち取った。続いて2700人いた三菱重工の朝鮮人徴用工である。帰国すれば援護を受けられない状態にあったのを裁判で争い、高裁・最高裁で勝利した。さらに韓国に帰ると手当が打ち切りになる状況を争い、在外被爆者が帰国しても手当をもらえるようにした。「在外被爆者」とは在韓被爆者を中心に、移民・移住でブラジルやアメリカに居住する人たちをも含める。被爆者援護法は、国外居住者や政府の線引きで人々を対象から外していた。それをひとつずつの裁判で突き崩していったのである。豊永さんが係わった在外被爆者裁判は配布された資料によれば、42件、その大部分で勝訴している。被爆者としての自己解放的な闘いであると同時に、国際主義と国際連帯があふれる闘いである。

原水爆禁止の原点 第五福竜丸

第五福竜丸展示館のスライドが示された
ゴミの島に棄てられていた第五福竜丸の保存運動を伝えるスライド

2番目の平和講演は、第五福竜丸展示館の学芸員の市田真理さんによるものであった。福竜丸展示館を訪れたことがない私は、「東京都立」という名称から、自治体が一方的に設立したものと考えていたが、講演でそれが間違いであることを教えられた。第五福竜丸は被ばく後一時、東京水産大学の練習船として使われた後、ゴミとして捨てられていた。それが、「原爆ドームを守った私たちの力でこの船を守ろう」という10年間の保存運動の結果、展示館に収容され、来年は開館50年になるという。その背後には、米・英・ソ連の核兵器開発・核実験の強行と競争があり、マーシャル群島の住民と漁業者が強制移住させられたり、被ばくを強制させられた歴史がある。1954年内に日本の漁船だけで、少なくとも992隻の船が魚を「汚染魚」として廃棄させられている。
これを契機に始まった原水爆禁止運動は年内に全国各地で署名が集められ、当時の日本の人口8千万人のうち3200万筆の署名が集められた。この署名は杉並の主婦が、一斉に署名をはじめ全国に広がったと言われる。しかし事実は、書式も趣旨も異なる種々の署名が全国で集められている。杉並は最初でもなかった。被爆後1年もせずに原爆症でなくなった第五福竜丸の無線長・久保山愛吉さんの辞世の句「原水爆の犠牲者は私を最後にしてほしい」という言葉が原水爆禁止運動の中に刻まれた。被団協(日本原水爆被害者団体協議会)も、この運動の中で1956年に結成されている。またこの年に、被爆者補償が始まっている。われわれは8・6と8・9と並んで3・1ビキニデーをも、反核運動の軸に据えて闘わなければならない。

青木理・小山美砂さんの反核対談

久しぶりに人前で話をする青木理さん。左は対談相手の小山美砂さん。(8月6日 広島市)

竹本信也さんの心に沁みる歌の演奏と司会の河野さんによる参加者紹介に続き、最後に青木理さんの「『核の抑止力、核政策』を問う」と題する講演が始まった。
硬骨のジャーナリストである青木さんは対談形式の講演を希望し、対談相手に小山美砂さんを選んだ。小山さんは、毎日新聞で「黒い雨」訴訟の連続企画を担当し、今はフリーとなって取材を続けている。著書『「黒い雨』訴訟(集英社新書)』のオビでは「なぜ、被爆者たちは切り捨てられたのか−。」と問題を投げかけている。
青木さんは始めに、テレビ出演は「謹慎中」であると断ったうえで、核問題の関心は2002年から2006年に通信社の特派員として韓国を取材した時、朝鮮民主主義人民共和国(以下DPRKと略す)にとって「貧者の兵器」として体制を守るという面があることに直面したと語り始めた。「根本的に誤っており、認めることはできないが…」ということを導入に現在の核危機状況に話が及んだ。
そもそもNPT(核拡散防止)体制とは、米露英仏中の5大国は核を持ってよいがそれ以外はダメというもので、その前提は5大国が核軍縮に努めることと、それ以外の国には核の「平和利用」は認めるということなのに、現実は、「核を脅しに使う」ことがまかり通っている。その例として、 ウクライナに軍事侵攻したロシアが「核を使う」と脅し、米国がイスラエルとともに、イランの核施設を空爆するといったことが起こっている。イスラエルはNPT条約に入っていないのに、イランはNPT条約に入っているという矛盾、不平等がある。このように、米・露・中国が核増強に走っていることがDPRKの理屈に力を与えている。金正恩は、「核保有していないと核大国にやられてしまう」と思っているだろう。以上のように、NPT体制は不十分であるうえに、それによって保たれてきたものさえ失われつつある。現に、韓国の世論調査でも核武装論が増えつつある。大国の手前勝手な振る舞いによって核武装が拡大しつつある。
青木さんは日本自身の問題として2点の事実を挙げて警鐘を乱打した。1点目は、最近、米軍と自衛隊の机上演習に際し、自衛隊の制服の最高幹部が米軍の核の脅しを使ってくれと強く要請して実際におこなわれた。もう1点は、オバマが広島に来て、さらに「核なき世界」演説でノーベル平和賞を受賞したうえで、政権末期に核の先制不使用宣言を出せないか政権内で検討したとき、「日本が反対している」として反対する意見が出てストップした事実がある。以上の2件で、核による脅しや報復を意味する「核抑止」を強く求めているのが日本であることを鋭く暴いた。
そして青木さんは今年の平和記念式典での首相あいさつで、石破首相の「あいさつ」が、「歴代の首相のようなコピペでなく、自分の言葉で語ってよかった」と言われているが、首相は別のところでは「核共有」を望む発言をしており、認められないと述べた。われわれは石破首相が「核共有」どころか、「核抑止」論者であり、日本の独自的核武装さえ狙っていることを暴露しなければならない。
青木さんはさらに、今次参議院選挙で、「核武装は安上がり」発言した候補者が当選したことに言及し、それを断罪したうえで、しかしその政党に投票した40歳代から50歳代の人々が、就職氷河時代を経て、将来不安、現在への不満、展望のなさに苦しんでいることに目を向けなくてはいけないと述べた。欧州や米国のトランプの登場に見られる排外主義が極度のポピュリズムと結びついて、「移民によって職を奪われる」「給与水準が下がるのではないか」という煽動に曝されている。しかし現実には、この国は難民に冷たいが、一方外国人労働者は、もはやそれなしには社会がなりたたない現実がある。安倍政権が彼らを受け入れたのに、彼らを「移民」と認めず、劣悪な労働条件と家族の帯同を許さないなど、労働力とだけ見て基本的人権は与えていない。欧州と比べてさえその点で前進していないのに、バックラッシュだけ進んでいる。
南太平洋のビキニ環礁までマグロを求めて操業し被爆。南太平洋では約1000隻の漁船が被爆した
最後に小山さんの「私たちはどんな社会を目指すべきか」という問いに、青木さんは、「失われた30年間ジャーナリズムで食ってきた」自分に引き付け、平野啓一郎氏との対談で出た話として、「私たちは恥の世代」と後世に語られるかも知れないですね、と述べた。その例として、原爆・原発でこれだけ事故が起きている国はないという事実を挙げた。さらに「個人的にどう生きてはいけないか」という質問に、「メディアやジャーナリズムが健全で、自由、闊達にものが言えるように機能している国は健全だが、その息の根が止まっている国はダメです」として、新聞が音を立てて崩れている。その例として、能登大地震の報道がうすっぺらなのは、地方の駐在記者がいなくなっているからであること、外国特派員もどんどん削減されていることを挙げた。一言で「シュリンクして(縮みあがって)いる」。紙は減ってもデジタルは増えない。そして「公共財」であるジャーナリズムがシュリンクすると社会の健全性が失われることを強調して、講演を締めた。
予定を30分以上オーバーしたが、熱のこもった講演であった。青木さんが対談相手の小山さんをジャーナリストの後輩として配慮していることがにじみ出ていた。しかも被爆者をはじめ広島市民と全参加者に配慮の行き届いた講演であった。

5面

投稿 宮古島紀行(中)
進む最前線での基地強化
西川雄二

空自・宮古島分屯基地レーダーの隣に展開するPAC3ミサイル
株式会社エム・シー・シー宮古島受信所

千代田駐屯地(=陸自宮古島駐屯地)を見た後、航空自衛隊宮古島分屯基地(通称野原基地)に向かう。大きなレーダー群が、平坦な宮古島の最高地点、野原岳に並んでいる。重機が入って、なにやら工事をしているのが見えるが、2年前に来た時はそこにも別のレーダー群があった。そこが更地になって、新たな設備が造られている。これも戦争準備だ。
またレーダーの隣には、PAC3が展開しているのが見えた。PAC3は2023年、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が「軍事偵察衛星」を打ち上げる際に「ミサイル防衛」(破壊措置準備命令がだされた)と称して、宮古島に配備されたものだ。これみよがしに展開しているが、台風が来た時はなぜか展開が解かれた。敵は台風が来た時に、ミサイルを撃てばいいのである。野原はさとうきび畑が広がる中、道路が縦横に走っている。その道路をあちこち移動して、PAC3がよく写る場所から写真を撮影した。
野原基地を回り込んで、北側にあるお店で宮古そばの昼食をとった後、案内してもらったのは「怪しいアンテナ群」である。野原基地からさほど離れていない、宮古島砂川上区地区に昨年、突如建設された施設だ。フェンスで囲まれた入口には「株式会社エム・シー・シー宮古島受信所」と書かれている。セキュリティ会社とつながった監視カメラも設置されている。通信アンテナが入っているであろう白いドームは、全部で5基もある。
ここで「株式会社エム・シー・シー」について、そのHPにはいきなり「防衛における衛星通信 激変する世界情勢を受けて防衛の強化が求められています」「国内、海外のさまざまな国防任務を支援。当社は、すでにスーパーバンドのXバンド・トランスポンダを利用して、艦船、航空機、地上移動体などと基地との、あるいは移動体間での、デジタル衛星通信ネットワーク構築を支援しています。」と書かれており、まごうかたなき防衛産業、というより、防衛省・自衛隊に対する衛星通信サービスの提供をしている、防衛省・自衛隊そのものの「民間企業」である。ところが「民間企業」であるがゆえに、何に使うか分からない施設を、なんの説明もなく作ることができるのだ(一応エム・シー・シーは「軍事施設ではない」と地元に説明しているらしい)。なお、エム・シー・シーは本社所在地こそ東京都港区新橋六丁目17番21号住友不動産御成門駅前ビル9階と公表しているものの、宮古島受信所を始め、どこに受信所や施設を保有しているのかは明らかにしていない。
宮古島にはこのほか、準天頂衛星の追跡管制局がある。追跡管制局があるのは、常陸太田、種子島、沖縄島、久米島、宮古島、石垣島と、なぜか南の島に集中しているが、これは日本版GPSを運用するための衛星システムで、巡航ミサイルを撃つのに必要な測位システムだ。準天頂衛星は内閣府や国土交通省、JAXAが予算や運営を管理しているが、これも準軍事施設だろう。なお追跡管制局には2基のドームがあり、建設にはNECがかかわっている。
現在、千代田と野原を結ぶNTT回線の更新工事がおこなわれている。老朽化対策でNTTが独自に行っている事業なのであろうが、自衛隊の基地を結ぶ回線が強化され、セキュリティも向上することは間違いない。軍事において通信や電磁波、宇宙といった領域が重要視され、電子戦、サイバー部隊、宇宙軍などの言葉が飛び交う中で、エム・シー・シーやNEC、NTTといった情報通信産業が軍事産業として立ち現れている。また予算も「防衛予算」ではなく内閣府や国土交通省、さらには民間の事業として支出され、できる施設も一見、軍事とは関係がないように見える。こうした「隠れ軍事費」「隠れ軍事施設」にも、私たちは注意を払わなければならない。
平坦で川がない宮古島には、農業や生活のための水を地下水に頼っている。水を通さない壁を地下につくり、地下水を蓄える「地下ダム」が、宮古島には3カ所あるが、そのうちの一カ所が、エム・シー・シー宮古島受信所のすぐ隣にある。さとうきび畑に囲まれて、傾斜がついた石積みの壁と、排水のためのトンネルが見える。(つづく)

6面

STOP!辺野古新基地建設!大阪アクション
緊迫した辺野古!現地報告
8月3日大阪

緊迫した辺野古現地の報告を受けた(8月3日 大阪市)

8月3日、大阪市内で、「緊迫した辺野古!現地報告」集会がひらかれた。主催は、STOP! 辺野古新基地建設! 大阪アクション。宮崎史朗さん(全港湾建設支部)が、「辺野古ゲート前から」と題して現地報告をおこなった。その後、参加3団体からアピールがあった。
今年1月、サンドコンパクション船6隻が大浦湾にやってきた。沖縄防衛局(日本政府)は大浦湾の軟弱地盤に7万1千本の砂杭をうちこみ、地盤を固める工事を始めている。工事は4年以上に及ぶ。

辺野古の状況

宮崎さんは辺野古での抗議行動の状況について、「工事用ゲート前での闘い」と「海上の闘い」にわけて、最新の状況を報告した。
工事用ゲートから、1日に4百〜5百台くらいの工事用車両が入っている。おもに埋め立て用の土を運んでくる。3回(9、12、15時)だけゲートが開けられ、これに合わせて搬入阻止行動がおこなわれている。
本部町の宇和桟橋と塩川地区、宮城島から埋め立て土が運び出されている。辺野古の闘いと連携して、ここでも阻止行動が闘われている。
海上では、軟弱地盤の海底に砂を敷き詰めるトレミー船、A護岸建設用のスパッド台船、砕石投下用のランプウェイ台船などにたいして、カヌー隊が阻止行動をおこなっている。サンドコンパクション船は砂を入れるケーシングパイプを支えるリーダーが3本1組で海面から70メートルの高さで垂直に立っている。そのため、サンドコンパクション船は重心が高く、非常に不安定。台風を避けるため、6月に避難しており、大浦湾から姿を消している。
また、住民訴訟(@知事の承認撤回にたいする国交相の取り消し判決の取消訴訟、A知事の設計変更申請不承認の取り消し裁決の取消訴訟、B設計変更承認代執行の取消訴訟)がおこなわれている。宮崎さんは「司法は公有水面法にもとづいて、しっかり実質審議をおこなうべきだ」と述べた。
宮崎さんは「大浦湾に断層がはしり、地球環境が新基地建設に抗議している。このまま工事を続けることができるのか。政府の側が厳しい局面にたたされている」と語った。

これからの闘い

宮崎さんは参議院選挙について次のように述べた。「オール沖縄が擁立した高良さちかさんが約3万3千票の差をつけて当選した。自民党票のかなりの部分は和田知久(参政党)に流れ、このような結果になった。本土≠ナは沖縄の基地問題は選挙の争点にならなかった」。
日本政府は、米軍基地を沖縄に集中的に押し付けている。このことは、政府をしてこのようにさせている人民の側の責任でもある。現在、自衛隊の南西諸島シフトが推し進められ、敵基地攻撃のための戦争態勢がつくられている。この攻撃と闘うことによって、沖縄県民の闘いに連帯していこう。

新宿アクション 8月2日

新宿アクション 8月2日

8月2日、新宿駅南口で毎月恒例の〈辺野古に新基地は作らせない!! 新宿南口 連続辺野古ブルーアクション〉(呼びかけ:沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)がおこなわれ、暑い中、多くの市民が集まって、辺野古基地建設の不当性、沖縄・琉球諸島での戦争準備、排外主義勢力の抬頭の危機を訴えた。

映画評
『黒川の女たち』
監督・松原文枝 語り・大竹しのぶ

1929年に世界恐慌がおこり、日本でも農村部がおおきな打撃をこうむった。こういうなかで、日本政府は1932年に「満洲国」をでっちあげ、困窮する農民を満洲に送り出していった。これは疲弊する農村救済と「満洲国」の軍事拠点化という2つの目的をもっていた。つまり、満洲移民の目的は開拓であったが、政府は予備兵として位置づけていた。
移住する土地は無人の地ではなかった。満洲に住む農民を追い出し、かれらの土地を奪い取った。現在、イスラエルがパレスチナで同じことをおこなっている。イスラエルは入植植民地化していった歴史を学んでいる。
1932年から45年まで、27万人の農民が満洲に開拓移民している。長野県は分村移民を積極的に推進しており、移民者のなかで長野県出身者が圧倒的に多い。岐阜県白川郷黒川村(当時)では、1941年から44年にかけて、652人(129世帯)の住民が中国東北部・満洲(吉林省松原市陶頼昭)に分村移民している。
1945年8月9日、ソ連軍は満洲に侵攻を開始する。この時、関東軍は住民を見捨て、撤退していった。この混乱のなかで、住民の集団自決が起きている。黒川村の指導部(男性たち)は、生き残り策としてソ連軍に助けを求めた。その条件に、ソ連の将校に若い女性を「性接待」に差し出したのだ。こうして、18才以上の未婚女性15人が選ばれた。うち、4人はここで亡くなっている。
1946年9月、黒川開拓団(451人)が日本に帰ってくる。以降、「性接待」の事実は隠されてきた。1982年3月に、現地で亡くなった4人を追悼する「乙女の碑」が黒川地区に建立されるが、説明文はなかった。
2013年11月、満蒙開拓平和記念館(長野県阿智村)で「語り部の会」がおこなわれた時、当事者の2人、佐藤ハルエさん(2024年1月死去)と安江善子さん(2016年1月死去)が自己の体験を証言した。こうして、「性接待」がおこなわれたことが、はじめて公になった。なお、満洲開拓団で「性接待」がおこなわれたことは、月刊誌「宝石」に匿名で語られていた(1983年)。
以後、佐藤さん、安江さんをはじめとする当事者の女性たちは、事実をあきらかにすることを願い、藤井弘之さん(黒川開拓団遺族会・会長)とともに行動する。2018年11月に、「乙女の碑」の隣に碑文が建てられた。この碑文には、黒川開拓団でおきた歴史的事実がしっかりと書きこまれている。

「あったことはなかったことにできない」

この映画は、満洲移民の歴史、当事者による性接待の証言、碑文が建てられるまでのいきさつなど、ていねいに描かれている。当事者たちは「おきた事実を隠蔽して、なかったことにされてはたまらない」と語る。この血叫びが胸をうつ。
日本は侵略戦争の総括をしっかりおこなわず、戦争責任者をあいまいにしたまま、今日に至っている。岸信介は満洲国の中心人物だった。こんな人物が戦後、首相になっている。黒川開拓団の歴史は、戦後日本の縮図なのだ。当事者の証言によって、隠された歴史が明らかにされていった。この意義は大きい。
戦後80年。歴史修正主義者が跋扈しているなかで、侵略の歴史がなかったことにされようとしている。今日、日本政府は戦争の道に邁進している。侵略戦争の歴史を繰り返させてはならない。(鹿田研三)

7面

投稿
差別排外主義と対決を(下)
都議選を闘いぬいて
新川幸雄(「視覚障害」の活動家)

「日本人ファースト」という、外国人や在日の人たちへの差別・排外主義丸出しのヘイトスピーチをし、このほかにも「終末期医療は保険適用から外すべき」などと主張し、「障害者はさっさと死ね」と言わんばかりの主張を繰り返したのである。また、人権も一切カットし、天皇制を軸に据えた「創憲」なるものを唱え、それに支持を求めたのである。
当然そのような演説に抗議する多くのマイノリティーの人たちや女性たちが集まったが、しかし私が考えるに、最近では、「先にヘイトスピーチがあって、次の段階としてポグロムが来る」のではない。一気に恐ろしい事態が進むのである。「火は燃え盛る前の小さな炎の内に消し止めなければ、一気に膨れ上がり、風を呼び、消し止めるには大きな犠牲を覚悟しなければならないことになる」。対処が遅れたならば、自警団が至る所にでき、差別・排外主義が吹き荒れる時代が来るのである。すでに、世界では、深刻な戦争が火を吹いており、トランプが登場するや、日本でもこのような事態になっているのである。今回の参議院選挙の分析をしっかりとやり、次に来るであろう衆議院選挙の対策や、マイノリティーの立場に連携しようとする人たちの組織化など、今からしっかり開始しなければならない。手を緩めずにがんばろう。

「お前は日本人か?反日日本人を追い出せ! 15円50銭といってみろ」などという言い方は二度と許すことができない。このような行為に接した在日の方や日本に訪れている外国の方からは「恐怖を感じた。私たちを狙い撃ちにしている」などの声が寄せられている。こいつらが、国会で「法案提出権」も持つに至っている。練馬・国分寺・本郷などでは、抗議する女性の首を絞める、突き飛ばすなどの暴力行為までおこなったのである。
この参政党には、保守党や埼玉県蕨市でクルド人の方々を根も葉もない言いがかりをつけて苦しめている奴らも吸い寄せられて、非常に危険な状態にまでなっているのである。差別・排外主義を根絶し、共に生きる豊かな社会を築こう。

天笠啓祐著
『フッ素の社会史』を読んで

今、子ども達は、夏休み。14歳のころ、7月中に宿題を済ませて、祖父母と故郷の北海道へ帰った。日々祖父母との暮らしの中で、「人は死んだら、どこへゆくのか?」という問題にとらわれた。
私事はともかく、ノーベル平和賞を受賞した被団協は、8月6日を前に、原水禁、原水協との連帯で、この日を迎えるという新聞報道を見た。その前に、アメリカ大統領トランプは、イランの核施設にバンカーバスターを何発も打ち込み、「広島、長崎をひきあいに出してはいけないが、イランとイスラエル戦争をはやく停戦にすることが必要だと考えたのだ」と語ったという。大江健三郎は、『ヒロシマ・ノート』でも高名だが、このトランプの発言を聞かずに逝ってしまった。核戦争の時代をニュークリア・ウィンターという。冷房が要らなくなるくらい寒気を催す恐ろしい夏。
戦争をやめさせるための原子爆弾という宿題が、突然、切り裂くように頭の中をめぐり始める。かつて、オゾンホール問題とは何かを尋ねて、東京たんぽぽ舎の扉を叩いた。そして、湾岸戦争が起こった。そして、東電福島原子力大事故が起こる。いまは東京にいないが、『フッ素の社会史』という新しい本を開いて、フッ素原因のオゾンホールという問題が、代替フロンによる温室効果ガス問題に移行しているだけと知る。
実に、ジャーナリストとしては、禁欲的に事実だけを綴ってゆく驚くべき書籍だった。怪しげな預言書とは全く趣を異にする。わずか200頁もない。
私の青春の死後の問題は、地球生態系のフロン系ガス汚染の問題に現実化していた。著者の執筆以外の仕事は、『市民バイオテクノロジー情報室代表』、『日本消費者連盟顧問』、『遺伝子組み換え食品いらない! キャンペーン共同代表』と巻末に紹介されている。
日米の学者が、「死の商人」というテーマを描くとき、必ず現れるマンハッタンプロジェクトを支えたアメリカの財閥たちが、フッ素という元素を元手に、またまた巨大な富を獲得したが、あの安倍政権が、経済成長を期して、「健康長寿社会が創造する健康・医療関連産業」の市場規模を拡大するために、規制緩和を実施した。それで、歯の健康が大事とはいえ、フッ素の使用は、百害あって一利なしと反対する現場の養護教員たちは弾圧された。
なんのためか、危険なフッ素が、歯磨き粉から原爆原発から、半導体から、軍事用食品から農産物生産などなど、すべてにわたって、必要だからだった。いま、日本政府はPFOA、PFOS、PFHxSの3種類しか規制していない。1万種以上あるとされているPFASのどれがどれほど有害で、どのような問題があるのか、まだその全容も分かっていない。
経済成長の幻想を説く帝国主義者が、人々の命をこそ土台から、子どもの健康から危うくしている張本人なのだということに思い至る。許せない。(南方史郎)

 

重ねて夏期特別カンパのお願い

猛暑の中、参議院選挙や排外主義潮流と闘いぬいてきたすべての仲間の皆さん。少数与党に転落し、分裂の危機にある自民党打倒のため奮闘するすべての仲間の皆さん。
『未来』紙・未来派は、皆さんと共に自公政権を倒し参政党=排外主義と対決し、人民の新たな闘いの砦を築くために今年後半奮闘することを決意します。一つは反戦・反基地(=沖縄)闘争であり、今一つは反原発闘争です。と同時に参議院選後も続く排外主義との対決を一体で闘います。
今秋この三大闘争を作り出すため、通例夏期カンパの上に闘いの拠点=未来社の改造・改装と宣伝・扇動の変革のため、200万円カンパを訴えます。秋口までにこの事業を成し遂げれば、秋季闘争の高揚は必至です。1口1万円、数口、十口のカンパをお願いします。

夏期カンパは未来社改装の特別カンパを

郵便振替
  口座番号 00970―9―151298
加入者名 前進社関西支社

郵送 〒532―0002
大阪市淀川区東三国6―23―16

8面

参院選総括
「失われた30年」の失政で自民敗北
外国人排斥・排外主義推進の参政党

T 自民下野を促進し、排外主義潮流との対決を

れいわ新選組の街頭演説には数千人が集まった(7月12日 名古屋)

自民下野と分裂・分解の危機

7月参議院選は、昨秋衆議院選以来の自公過半数割れ情勢をさらに促進し、石破退陣から自民党分裂・分解につき進もうとしている。日本資本主義の危機は、「失われた30年」で賃金は上がらず、GDPは世界5位・1人当たりは38位と没落の一途をつき進んでいる。昨年来のコメ騒動が家計を直撃し、現役世代には賃金・年金・将来設計が立たず、その失政・矛盾の原因を外国人に求める(日本人ファースト)参政党ら排外主義派が躍進した。
自民党内の分岐は、「石破おろし」となって渦巻いているが、他方で安倍派の責任を問う声も強く、さらに岩盤右派は石破を媚中として攻撃したが、佐藤正久・杉田水脈ら極右派は枕をそろえて落選した。農政はこれまでの減反政策を誤りと認めた。選択的夫婦別姓を容認する経団連など主流派と岩盤右派の分岐・対立は、自民党分裂の危機すら見せている。当面の乗り切り策として総裁選前倒しと連立の組み換え(大連立=石破・野田、小連立=維新)が目論まれているが、それで突破できるほど自民党支配の危機は浅くはない。
55年体制崩壊以降も、自社さ、自公の組み合わせと、安倍路線突破で、短期日のうちに細川政権・民主党政権から政権を奪還し、安倍一強(2012年体制)に至った。しかしその間の溜まりにたまった矛盾が昨年衆議院選、今回参議院選として爆発した。世界的な新自由主義・グローバリズムの破綻を、特殊日本的には小泉構造改革・「自民党をぶっ壊す」や、安倍のアベノミクス・トリクルダウン、国政選挙5連勝で野党に打ち勝ち、2012年体制が盤石かに思えた。しかしその間にもモリカケ桜・政治腐敗(裏金問題)は続き、株価は上がっても実体経済は不調のままで、トリクルダウンは起こらず、失われた10年は20年、30年と続き、少子高齢化は止まらず、そしてもはやこの国の経済再生は不可能なところまで来てしまったのだ。このことに起因する政治危機が簡単に突破できる訳がない。

日本にもポピュリズム政党が登場

この世界的な旧支配体制の危機をついて、ヨーロッパ各国の極右に起源を持つポピュリズム政党が生まれた。日本でも2019年にれいわ新選組(名前は保守だが、社会の根本的変革を求める左派)、20年に参政党(当初は反ワクチン・反マスク、陰謀論のキワモノ政党)と西欧各国に続いてポピュリズム政党が誕生し、今回参院選では既成政党の得票を上回る中規模政党に成長した。れいわは21年の200万票から24年380万票に成長し、全国組織の日本共産党を抜いた。第二保守で立憲民主党の少数分派だった国民民主党は「手取りを増やす」で4倍増、今回参議院選比例では野党第一党になった。また22年参議院選では反ワクチン・陰謀論の参政党が、今回は排外主義の旗振り役となり14議席、比例では野党第2党の得票を得た。
2024年総選挙・25年都議選・25年参議院選と3つの国政選挙・準国政選挙でこの傾向がさらに大きく進んだ。特に生活苦は外国人のせいとする参政党が、2010年代からの在特会らがまき散らし水面下で渦巻いていた排外主義に火をつけ、れいわ新選組が主張していた減税・生活支援金給付、消費税廃止・積極財政方針を横取りし、政界再編の主導勢力に登場した。一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだった維新は、15年たっても変わらぬ大阪の現実を前に、一気に勢いを喪失した。

U 排外主義潮流の一挙的析出

排外主義との全面対決を

今次参議院選の最大の総括軸は、生活苦の原因を外国人とする排外主義潮流が一気に表面化し、自民党右派の一部も食い、多数の支持を得て、選挙後もその勢いが止まってないことだ。自民党右派・極右派の佐藤・杉田・和田・長尾らは落選したが、かわって田母神直系の参政党・「さや」が東京2位で当選し、同じく極右=保守党の北村晴男が高得票を得た。自公の敗北、立憲・共産の後退と、れいわの伸び悩み(失速)の最大要因は、「失われた30年」の原因を外国人に求める排外主義と正面対決ができなかったことにある。この勝利に味をしめた参政党は、選挙中にも「スパイ防止法」の制定を叫び、「大東亜戦争正当化=靖国神社参拝」の歴史修正主義を前面に開陳し、核武装にまで言及した。
そしてこの主張を、24年都知事選、11月兵庫県知事選などで影響力を拡大したSNS駆使と街頭制圧戦でさらに展開している。兵庫ではN国・立花のフェイク・デマとの闘いに苦闘したが、1年の激戦で立花落選・N国崩壊前夜を実現した。斎藤知事も落城寸前だ。この粘り強い市民の闘いに学んでいかなくてはならない。

トランプ以降の現代世界

ポピュリズム政党の登場は、2016年トランプ登場で世界的耳目を集めた。トランプはアメリカの衰退=新自由主義の行き詰まりに対し、「強いアメリカ」をラストベルトで叫び、排外主義(メキシコ移民に壁など)をあおりまくった。そしてイーロンマスクなどのネット戦略と結合し、共和党の再編を実現し、2024年にはアメリカ正統派リベラル勢力=民主党カマラ・ハリスに勝利した。
西欧極右の台頭も同時に進行した。フランスはルペンが親子2代にわたり政治勢力を拡大した。イギリスではEU離脱・ブレグジットの独立党、ドイツでは「ドイツのための選択肢」(AfD)が急激に勢力を伸ばしている。オランダ・ベルギー・北欧もそれぞれの出自を持った勢力が新自由主義の行き詰まりの中で台頭している。しかしながら急速に浸透するもハンガリー以外では政権を取れていないのが現状だ。 
日本でも各種勢力が登場したが、24年都知事選の石丸現象はわずか1年で消滅した。24年11月兵庫県知事選での2馬力選挙・街頭制圧・ネット駆使のN国・斎藤連合には、極右派(統一教会、各地のヘイト)の全国動員で知事選に勝利したが、あまりもの無法ぶり・デマ・フェイクは批判が集まり、N国・立花は25年参院選で惨敗した。
しかしながら、彼らの街頭制圧+ネット駆使、外国人多数居住地域で街頭演説〜目に見える化運動は、群馬、埼玉、茨城などで高得票し、同様の手口を駆使しようとしている。この排外主義者どもを許してはならない。

ヘイト発言防衛のため徒党をくむ参政党(7月12日 大阪)

V 排外主義粉砕、反戦・反基地、反原発の三大闘争の高揚を

未曽有の危機にある支配階級・政治委員会は、連立の組み換えと排外主義の鼓吹でこの危機を突破しようとしている。同時に軍事大国化を貫き、軍需産業・原発産業を経済再生の軸に据えようとしている。
電力資本と政府は、2011年3・11の東電福島第一原発事故など抹消し、老朽原発再稼働の上に原発新増設の道に踏み切った。この電力資本の「今だけ金だけ自分だけ」「わが亡き後に洪水は来たれ」という強欲資本主義には人類史をかけた「天罰」が下るだろう。原発依存社会、原発を必要とする社会の仕組みを変えていこう。
2022年12月閣議決定によりこの国の軍事戦略が転換された。先制攻撃・軍事大国化の道は経済的破綻でも止めることはない。年間9兆円弱の軍事予算を半分でも民生に回せば、人民の生活苦は改善する。それをせずトランプ要請下にさらに軍事費を拡大すれば、今回の人民反乱=与党過半数割れをはるかに超える事態が到来するだろう。
今回選挙は排外主義=参政党が票をかすめ取ったが、ガザ=パレスチナ連帯をはじめ国際主義的連帯のもと、排外主義を打倒して進む人民は、帝国主義の搾取・差別・抑圧そのものを打破する闘いへ進むだろう。沖縄最前線基地化、九州全域での基地強化、日米軍事演習の強化、関西=祝園弾薬庫大増設を労働者階級は許しはしない。今夏・今秋の反戦・反基地、反原発の闘いのうねりと、排外主義粉砕の闘いの合流で、また左派政党の中で苦闘する人々と連帯し、人民の新たな闘いの陣地を築いていこう。