沖縄、中居=フジ、大阪検事正
相次ぐ女性への性暴力許さない
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威容を誇る大阪地検。800人の部下を持つトップ・北川健太郎検事正が性加害で逮捕・起訴された(大阪地検HPより) |
没落帝国主義として腐敗・腐朽が社会全体をむしばみ、「底が抜けた」日本社会。とりわけ女性差別事件の頻発と居直りは、その末期症状性を示している。タレント中居正広とフジテレビ事件は、ジャニーズ事件・松本人志事件がありながら、何一つ反省していない典型だ。沖縄米軍が幾度となく女性差別を働いても自公政権は及び腰。テレビ局・芸能界で、検察庁で、国政政党・日本維新で頻発する女性差別。今こそこの腐りきった社会・男たちを断罪し、民主主義と人権の横溢する社会へこの国を変えていこう。
検事正による性加害事件
2018年9月、大阪地検のトップ北川健太郎検事正(当時)が部下の女性検事に性的暴行を加えた事件が起きた。北川被告は自身の検事正就任祝賀会終了後、酒に酔った女性が帰ろうとして乗ったタクシーに北川被告がむりやり乗り込んで自分の宿舎に連れこみ、暴行に至ったものだ。女性はタクシーの中で「帰りたい」と何度も訴えたが、北川被告は聞き入れなかった。女性はその後意識を失っていたが気が付くと暴行を受けていた。加害者は「これでお前も私のものだ」と言い放ったという。翌日、酒席に同席した同僚は女性が急に酔ってしまったと話していた。
一年後の9月、口止めを要求する書面が、北川被告から女性に渡された。「このことを口外すると検察の組織が持たない」「口外されると自分は自殺する」などと女性を脅迫したという。当時北川被告は800人の検察組織を率いる検事正であり、圧倒的な社会的地位を持っていた。さらに女性はその頃は検察の組織は守らなければならないものだと固く信じていたので、組織を守るため告発することができなかった。しかし女性が受けた心の傷はPTSDとして女性を苦しめ、これまで使命感を持って働いていた検事の仕事を休職せざるをえなくなった。同年11月、夫とともに損害賠償を各500万円ずつ計1000万円を加害者北川に請求、するとすぐに支払われた。その際、女性は北川被告と和解はしておらず、あくまでも1000万円は損害賠償の一部である。
2024年、ついに女性は北川被告にお金を突き返して被害を申告、同6月、準強制性交の疑いで北川被告は逮捕された。10月の初公判では「公訴事実を認め争わない」と言っていたにもかかわらず、同年12月一転無罪を主張したものである。北川被告は「女性が抵抗できなかったという認識はなく、同意があったと思っていた」「検察庁に迷惑をかけたくないとの思いから争わない方針にしたが、間違っていたと考えなおし無罪を主張するに至った」と弁護士を通して言っている。
これに対し女性は「無罪を主張していることを知り、絶句し泣き崩れた。どうすれば無罪判決を得やすいか熟知した検察のトップが、主張を二転三転させて『同意があったと思っていた』という姑息な主張で無罪を争うことが、(被害者を)どれほどの恐怖や絶望に陥れるのか」と涙ながらに、しかし、しっかりとした口調で記者会見した。さらに被害を申告後、北川被告の元秘書役であった副検事が捜査の進捗状況を北川容疑者に報告したり、「PTSDは詐病である」「性行為に同意があった」などと職場で言いふらしていることが分かり、被害者はさらなる被害に苦しんでいる。
検事ですらたった一人で苦しみ、ついに告訴するまでに6年の時間を要している。検事ならばこその苦労もあるだろうが、女性が性被害を訴えるためにどれほどの勇気と覚悟が必要かがよくわかる。一時は告発をあきらめていた当該検事が、事件を葬り去ることなく立ち上がったその様は多くの女性を力づけているだろう。
「性被害は黙って忘れてしまうことが一番良い。そうすれば今まで通りの生活ができる。二次被害もない」という言説が被害女性を苦しめる。しかしその沈黙により傷は心の中で大きく開いていく。犯罪が検証され、加害者の心からの謝罪を受け取り、今後再発しないという安心感を得て初めて、癒しと「赦し」の段階に入っていけるのだ。検証と謝罪要求の過程は長く苦しいが、その先頭に立っている被害検事に心からのエールと支援を送らなければならない。
滋賀医大学生性加害事件
2022年3月、滋賀医大の3人の学生が女子学生に性的暴行、動画を撮影した。同年6月強制性交罪で3人は起訴され、大津地裁において2023年主犯Aは実刑判決、控訴するも棄却され最高裁で実刑が確定した。B、Cは地裁において実刑判決、高裁で逆転無罪となった。暴行については争っておらず、女性の同意の有無が問われた。Aは退学となっているが、B、Cは大学から処分を受けていない。
ここで問題なのは「刑法改正以前の犯罪なので無罪になった」と誤った言説が広がったことだ。2023年に刑法が改正され、刑法177条の「強制性交等罪」は「不同意性交等罪」へ名称が変更された。しばしば処罰対象が拡大したかのような誤解があるが、犯罪が成立するための基準を細かく規定しただけで、処罰対象は拡大していない。つまり昔は裁けなかったものが、今ようやく裁けるようになったわけではないのだ。今も昔も性犯罪は性犯罪だ。法務省は「2023年刑法改正前のこれらの罪によって本来処罰されるべき行為が的確に処罰されるようになり、その意味で性犯罪に対する処罰が強化されると考えられます」と発表している。,br>
刑法が改正される前にあった今回の犯罪の場合、当時規定されていなかった「撮影罪」が無実になったのだと考えるむきもあったが、全くの間違いである。
B、CはAと同様に「いやだ」と拒否する女性を後ろから抱きかかえるなどして暴行に及び、それを撮影した。被害女性は当時の様子を正確には覚えておらず、友人や警察に被害を語る時、いくつか記憶が欠落していたことが「自分に都合が悪いことは語っていないのではないか。同意の可能性がある」と判断された。暴力の被害者の記憶が欠落することは今や常識である。また、被害者が性被害そのものよりも動画の拡散を心配しているように見えることが「動画の拡散を心配しているのであり、性交には同意の可能性がある」と大阪高裁ではなってしまった。動画の拡散により女性は何度もレイプされるのだ。動画を最も恐れるのは当たり前ではないか。今回の判決が古い女性観、価値観でおこなわれたことは明らかである。
岸和田市長性暴行事件
大阪維新の会・永野耕平岸和田市長が、性暴力事件を起こし、昨年12月市議会で不信任となったことをうけ、加害者である市長が市議会を解散した事件である。断っておくがこの事件は性加害事件である。永野市長は「女性とは不倫関係であり和解した」と主張しているが、和解調書では異例の前文が付き「被告は優越的な立場にあって、両者の間には社会的な上下関係がおのずと形成されていたと認めるのが相当である」とあり、女性が拒みにくい関係を市長が強要したと読み取れる。また女性は弁護士を通じて、裁判を続ける選択肢もあったが「心身共にボロボロです」と渋々和解に応じたことを吐露している。性加害者から見れば、双方が同意した男女の関係であっても、女性としては経済的な力関係、社会的な強制力で断れない、継続的なレイプ関係が続くことがある。永野は市長であり市では絶対的な権力者。3期続けた府議会議員の息子、地元の経済的な有力者の跡継ぎだ。このような関係を強要しておきながら、「和解金を支払ったからすでに終わった」と開き直り、まして記者会見では妻まで同席させて「夫は大事な家族」と言わしめるなど、絵にかいたようなモラハラDV夫だ。「党から除名されれば市長を辞任する」と本人は語っていたが、維新は除名せず離党でお茶を濁した。まさに「また維新か」と人々の怒りを買っている。
SACHICO存続の危機に
大阪府では性暴力の被害者を支援しているワンストップセンターSACHICO(サチコ)が存続の危機にある。国や大阪府からの補助金不足、医療体制の維持が限界などの理由で今年3月で民間病院から撤退を余儀なくされている。ワンストップセンターが必要な理由は、性被害を受けた女性の多くは絶望し、早く忘れようと数々の被害の証拠を捨ててしまい裁判に不利になるからだ。また一刻も早いアフターピル、心のケアなど様々な支援が必要なので1カ所ですべてが解決できることが重要なのだ。しかし存続を求める請願は、府議会で維新、公明、自民で不採択となった。
女性たちのたたかい
こうした激しい性暴力の連続に女性たちはいつまでも黙ってはいない。そもそも被害者が性被害を告発し、たとえ苦しくても裁判に訴えていることそのものが決起なのだ。12月13日は「マイボディ、マイチョイス」を掲げた女性たちが全国でデモをした。大阪でも御堂筋を歩いて注目を浴びた。また滋賀医大の学生が無罪になった12月23日、フラワーデモの呼びかけでSNSによりわずか1日で300人の女性が結集、性被害の被害者が次々とマイクを握って決意を語った。
#MeToo WithYou
岡田恵子
2面
米兵による少女暴行事件
抗議と再発防止を!
12・22県民大会報告(下)
島袋利久
最後に
2023年12月28日に自公政権は、辺野古埋め立て工事設計変更申請の玉城デニー知事による不承認を覆すため、防衛局が私人に成り済まし「行政不服審査法」を使い斉藤鉄夫(公明党)国土交通相に是正の指示を求め、県知事権限を奪う辺野古埋め立ての「代執行」を宣言しました。そして沖縄の民意を踏みにじり2024年1月10日大浦湾埋め立て工事を強行しました。しかし、2014年7月の工事開始から10年経過しても埋め立て工事は全体の17%弱です。更に軟弱地盤を整備したとしても政府試算で12年かかるとされています。そして、軟弱地盤工事の砂撒き工事を暮れが押し迫った12月28日にアリバイ的に2時間して年内着工を演出しました。しかし完成のめどは立っていません。これらの理不尽なことを強行できるのはやはり沖縄県議会でオール沖縄20議席、自公維新28議席と大きく「勝利」したことにも起因しています。
さて、この自公維新の勝利をもたらした原因はどこにあるだろうか。冒頭にも紹介したように6月県議会選挙の前後に少女、女性暴行事件の長期の隠ぺいにより有権者は基地か経済などの選択になりました。そして県民は全体的に経済効果を選択したことになります。しかし、米兵等による一連のレイプ事件が6月16日の投票前に報道されていたら沖縄県民はどのような選択をしたでしょうか。明確に言える事は、自公の議席が大幅に減少したのは確実です。
また、少女暴行事件が起こり県議会は直ちに抗議、再発防止の決議と意見書が可決されました。その県議会決議を受けて沖縄41市町村議会が決議と意見書を可決し、玉城デニー知事は訪米しアメリカ政府に県議会決議を手渡し抗議しました。このように沖縄の世論は高まっていました。
女団協は7月13日に県議会へ県民大会の開催を要請しましたが、自公維新は県民大会を開くことに反対すれば10月衆議員選挙に影響がでると党利党略を優先させその回答を伸ばし、衆院選が終わるまで態度を留保しました。
自公勢力は衆議院選挙でも基地があるが故の米兵による性暴力事件を「米軍による暴行事件は許せない」とポーズを取り、選挙の争点から外し「沖縄経済振興」を表面に据えました。そして、玉城県政では政府から沖縄予算が削られる、自民、公明は「政府との太いパイプがあるから沖縄予算の増額が見込まれる」と誘導し、結果小選挙区で自公2対オール沖縄2となり全国の自公の議席減少に比較すれば一定の勝利を導きました。
そして、衆院選終了後に「県議会決議と意見書を可決したから議会として意思表示はすでにしているから県民大会に参画する必要はない」。「少女暴行事件はオール沖縄に政治的に利用される」等の理由をつけ女団協が提起した、沖縄県民を代表する県議会が中心になる超党派の県民大会の開催要求を蹴ったのです。12月22日の「少女暴行事件に抗議し再発防止を求める県民大会」はこのような経過で開催されたのです。実に、事件発覚から約6カ月後に。
自公勢力は声を上げて「少女暴行事件に対する抗議大会の開催に反対する事はできず、オール沖縄に政治的に利用される」と言い県民の分断を図ったが、この手法は今回始まったわけではありません。1952年4月28日サンフランシスコ条約により沖縄はアメリカの異民族支配に置かれました。この沖縄の「屈辱の日」、2016年4月28日、島袋里奈さん(20)が米軍軍属に強姦殺人、死体遺棄されました。自公はこの事件に抗議する県民大会も「オール沖縄に政治利用される」と不参加でした。自公抜きでも、2016年6月19日「元海兵隊による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し海兵隊の撤退を求める県民大会」に6万5千人が結集し、「海兵隊の撤退と日米地位協定の改定」を求めました。沖縄自民党、公明等はウチナンチューの生命と財産、人権よりも、「日米軍事同盟」を最優先し、沖縄をアメリカの支配下に置く「売国奴」だ。(おわり)
沖縄日誌12月
12・22県民大会開催
辺野古土砂投入から6年
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1・1辺野古行動(名護市) |
12月2日 沖縄防衛局は、6月に名護市安和で発生した死傷事故を受け中止していた本部港塩川地区からの土砂搬出を、5カ月ぶりに再開した。事故原因の解明や安全対策がなされていない中での再開に、市民は「辺野古の海に土砂を入れるな」と抗議の声を上げた。
6日 辺野古新基地建設で、海底に砂などの杭を打ち込む地盤改良船が中城湾港に入港、4日の金武湾沖停泊に次ぎ2隻目。年内に地盤を固める工事に着手する見込み。
7日 名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前で「第46回県民大行動」が開催され市民700人が参加。集会では、新基地建設や米兵による少女暴行事件に抗議した。うるま市島ぐるみの代表は、うるま市宮城島からの土砂搬出について「風光明媚な山を壊している」と怒りの声を上げた。
13日 2023年12月に発生した米兵少女誘拐暴行事件の判決公判が那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)で開かれ、米空軍兵長の被告に懲役5年(求刑懲役7年)を言い渡した。被告の無罪主張に裁判長は「犯情は重く、到底実刑を免れない」と述べた。(被告の福岡高裁那覇支部への即日控訴が19日に判明)
14日 中谷元・防衛相は在沖海兵隊のグアム移転計画について、先遣隊100名の移転が始まったと発表。米海兵隊のグアム移転は2006年の日米両政府で14年までに8千人を移転させることで合意していた。合意以降、海兵隊が国外へ移転するのは初めて。この間、計画が見直され、12年に在沖海兵隊1万9千人のうち9千人を国外に移転させる。グアムに4千人、それ以外をハワイなどに移すことで再合意。沖縄には1万人が残るとした。
同日 辺野古新基地建設で土砂投入から6年を迎えた。ヘリ基地反対協は海上で抗議行動。船やカヌー計14隻に乗り「土砂を投入するな」などシュプレヒコールを上げ抗議。
22日 沖縄市で「米兵による少女暴行事件に対する抗議と再発を求める県民大会」(同大会実行委員会主催)が開かれ、2500人が参加。会場の市民会館大ホールに入りきれない人がロビーにあふれた。少女暴行事件をめぐっては、県議会を含む県内全41市町村議会が抗議決議を可決した。県民大会には148の団体が参加や賛同を表明。この集会のサテライト(中継)に名護市で88人、石垣市で50人、宮古島市で40人が詰めかけた。また、東京で400人、大阪で百人が県民大会に合わせ集会を開いた。
県民大会には玉城デニー知事も参加、「人権が尊重されるよう声を上げていこう」と訴えた。若者代表の女性は「自分の青春を基地があるからとの理由で奪われなければならないのか」と訴えた。自身も13歳の時、2016年米軍属女性暴行殺人事件に抗議する大会に参加。繰り返される事件に「これで最後の大会にしたい」と語気を強めた。
28日 沖縄防衛局は、辺野古新基地建設で大浦湾側の軟弱地盤の改良工事に着手した。今後、約7万1千本の杭を打ち込み地盤を固める。今回は海底のヘドロが舞い上がらないようにするため砂をまいた。設計変更の「代執行」からまる1年、順調に進んでも完成は33年ごろ、米軍の移設完了は36年以降になる見込み。
3面
袴田事件の勝利に学び、狭山事件の再審・無罪を
昨年9月26日、静岡地裁(国井恒志裁判長)は静岡こがね味噌製造専務一家殺害事件の被告とされた袴田巌さんに無罪の判決を下し、検察の控訴断念(10・9)を経て無罪が確定しました。
1966年の事件発生から58年、袴田さんは88歳。弟に寄り添い人生のすべてをかけて共に闘った姉のひで子さんは91歳となっています。袴田さんは長期にわたる拘禁生活と死刑の恐怖にさらされ続けたことによる拘禁症にさいなまれながらも、「無罪確定」=死刑台からの生還という唯物論的現実に身を置くことによって徐々に回復の兆しが見られています。袴田事件再審・勝利の喜びをかみしめつつ、その意義と地平を学ぶことによって狭山事件の再審をかちとり「見えない手錠」を外す闘いの指針を探りたいと思います。
以下、9月26日の静岡地裁行動(集会・弁護団報告・日弁連再審法改正集会)での感想をふまえ、狭山事件再審勝利につなげる論議のたたき台として考えてみたいと思います。
闘いの主体について
闘いの主体(冤罪被害者・弁護団・支援、三者一体の陣形)について。
@当事者である袴田さん(姉弟)はもちろんのこととして「ボクシング協会がいなかったら勝利はなかった」とひで子さんが言うほどボクシング協会自ら当事者として闘っています。
警察の犯人でっち上げのイメージ操作としての「ボクサー崩れ」という差別と偏見のレッテル貼りに、他人ごとでなく自分たちの誇りと尊厳をかけて闘い抜いています。袴田さんは「崩れ」どころか日本フェザー級6位のランキングを獲得、KO負けは一度もなし、年間19試合の最多戦績(日本記録)は今も破られていません。元東洋太平洋王者の新田渉世さん(57)の「(ボクサーは)拳で人を傷つけることができるからこそ、暴力を危険視し、強く否定する心が育つ」という言葉はその矜持を示しています。
A袴田弁護団の事務局長の小川英世さんによれば「捜査機関による証拠捏造」を提起した時、誰一人賛成する者はいなかった。そこから弁護団のなかでガチの討論を積み重ねて弁護団の方針として練り上げてきたと言います。また弁護団は証拠の評価・検証、方針の練り上げなどを支援の人も交えておこなっています。
さらに弁護団は裁判の節目節目で公開の記者会見をおこないマスコミを通して事件の真相と裁判の焦点を解説、社会に伝える努力をするとともに参加者との質疑応答を通して相互に理解を深めることをしています。
B支援団体の一つで、警察の捏造を暴く独自の「味噌漬け実験」をおこなった〈袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会〉事務局長は狭山事件の現地調査に行ったとき、石川さん宅の復元された鴨居(万年筆が発見された)を見て、「警察が証拠を捏造することがある」と知ったこと。5点の衣類の写真(カラー)が証拠開示されたとき、その赤味をみて捏造を確信したと言います。多くの支援団体が結成され、釈放された袴田さんの毎日のお散歩(パトロール)の同行。YouTubeでの発信。とりわけ司法関係者だけでなく、袴田さんと同じく犯人視報道をされた長野県・松本サリン事件被害者の河野義之さんや茨城県・布川事件で再審無罪となった故・桜井昌司さん、14年に袴田さんの再審開始決定を出した静岡地裁の元裁判長・村山浩昭弁護士など、さまざまな講師を招いた月1回の公開学習「袴田事件がわかる会」が84回もひらかれています。このような「冤罪被害者」「弁護団」「支援団体」の三者一体となった多種多様な取り組みによってマスコミ(中日新聞・静岡新聞)に袴田事件や再審法の記事が出ない日がないほど取り上げられ、袴田さんは、街でおなじみの人になり「応援しているよ」「いつまでもお元気で」などの温かい言葉を受けるようになったということです。
袴田弁護団の小川英世事務局長は「弁護団は全くのボランティアで、交通費も出ない。裁判などの記録を謄写するのもすべて自腹で・・それでも仕事にやりがいがありました」「私が事務局長としてやってきたことの中で、誇れることの一つは、支援者との緊密な協力です。支援者にも弁護団会議に出席を求め、資料も共有しています。味噌漬け実験や録音テープを聞いて文字を起こす作業などで強力なサポートを受けているのです」。
また若手弁護士の角替清美さんは「袴田事件の支援集会があって出かけました。当時、熊本典道さんがカミングアウトした・・小川弁護士が講演されていましたね。それを聞いて、なんでこんな証拠で有罪になっているのか、これはおかしい、と素朴に思いました。そこで、司法試験に受かったら、私も弁護団に入りますと宣言しました」と語っています。
この弁護団を軸として「支援8団体」と呼ばれる支援の緊密にして多様な闘いがマスコミ・裁判官を動かして「ボクサー崩れ」という差別と偏見を利用した権力犯罪を打ち破り、袴田巌さんの死刑台からの生還を勝ち取ることができたと言えます。
「拷問による自白に証拠価値なし」「5点の衣類の証拠は捜査機関による捏造」と認定した裁判の結論は限りなく重く、正しい。袴田事件と狭山事件は「ボクサー崩れ」と「部落差別」のちがいはあるが、犯人取り逃がしの失態回復のための権力犯罪と言う構図は変わらない。「拷問による自白」「証拠の捏造」も一緒。
黒川みどり氏の『被差別部落に生まれて』(岩波書店)は石川一雄さんの聞き書きをもとに部落差別による権力犯罪であることを100%明らかにしています。これを武器に「次は狭山」と誓い合い、自民裏金議員たちを不起訴にして出世を極めた畝本直美検事総長の悪あがき(逆流)を打ち砕き、石川一雄さんの「見えない手錠」を断ち切ろう。家令裁判長の定年逃亡画策を許さず、インク鑑定の証人調べを実現させよう。
この1月14日、86歳を迎えた石川一雄さんと共に我々の身も心も怒りの限界にきていることを検察と裁判所に思い知らせてやろう。2・24「第9回 狭山事件の再審を実現しよう市民のつどい」(大阪市・西成区民センターホール)をその幕開けとしよう。
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県議・市議らも参加した「2・24キャラバン」(1月26日 川西市) |
投稿
狭山と私D 小山俊一
岩窟の我 老いを生き抜く
初夢を見ました
石川さんの再審が決まった夢で、ネットを開きました。石川さんご夫妻の新年メッセージが力強く、明るく画面に登場しており、わたくしに「君が動いてこそ、初夢を実現してくれよ」と語っているようでした。
何度でも引用しますが、昨年10・31の石川さんのアピール全文と短歌こそ一雄さんの魂です。
一雄さんではなく、私たちこそ
再審に燃え 昭和 平成 令和の中 岩窟の我 老いを生き抜く
1970年代に、20歳代で狭山を知り、50年以上が経ち「自分がこのままでは狭山再審は人ごとになってしまう」とやっと重い腰を上げて1年半!
昨秋、狭山の地で石川さんご夫妻と間近に接し、その生きざま、闘魂を感じて、一層の力を入れなければらないと思いました。
世論をつくるために
とりわけても私の在住する町で、市で部落解放同盟の各支部の皆さんの日々の奮闘に敬意を表します。
日本社会の部落差別と貧富の格差による課題を解決するために、地域の日常活動は、連綿として続けられています。この活動と狭山再審の取り組みは、部落解放の大きな一体のテーマです。
どちらが欠けてもいけないのです。人権侵害のテーマさらに「部落の解放なくして労働者の解放なし、労働者の解放なくして部落の解放なし」という狭山、人間解放の不滅の理念につながっているのだと思います。
かつて同和対策審議会答申の精神「部落差別の解消は、国の責務であり、国民的課題」を改めて思い起こし、水平社宣言の自主解放の取り組みの中に多くの人々が参加する運動のイメージを一新させること。差別への怒り、冤罪への怒り、司法への怒り、自分の生きづらさへの憤りを解明するきっかけ、自己の命への感動など、老いも若きも感ずるほとばしりを出し合える場づくり、そこに喜びや楽しみを共有していける学びの場づくり!を通して、再審実現を果たしましょう。
狭山市民の会運動
幸いにもわが市は、リベラル派の市長が就任し、等距離外交で、私たち市民の会の取り組みにも複数回市長メッセージも頂きました。市行政や議会が62年目になる狭山事件の真の解決こそ、人権問題の要であることを、改めて2025年に表明すること。つまり、再審法の改正と直ちに狭山再審の開始をしなさいとの決議をあげること。
そのために解放同盟の皆さんと市民の会は共闘して取り組むこと。毎月の狭山デーを解放同盟の皆さんと一緒におこなう。さらに、2・24狭山関西の集いに参加していくこと。
交流会や裁判情勢の学習会(1月中旬におこなわれた三者協議の内容など)を解放同盟の皆さんと一緒になっておこなえるように努力することです。
「何よりも、日々の村の暮らしの課題の取り組みに学ぶこと、解放同盟の皆さんの献身性にふれ、差別の歴史を知り、ここで生きていく覚悟を改めて持つことによって、初夢を正夢にしていきましょう」と誓いました。
それが早智子さんが言われた「今年、狭山の山を動かすこと」だと思います。
尼崎市民の会は、この目標に向かって歩みます。今春、兵庫県知事問題や国政選挙の大きな動きがありますが、狭山再審の命運もかかっている中で、尼崎市民の会の正式な立ち上げをおこないますので、読者の皆様方のご協力ご参加をよろしくお願い申し上げます。
4面
2025年『未来』新年アピール(下)
A差別・排外主義との闘い
帝国主義の支配の危機が前面露見し、とりわけ世界的にも最弱の環をさらす日本帝国主義は、外に向かっての侵略戦争・排外主義の鼓吹、内に向かっての階級弾圧・差別主義の攻撃は戦後史の中でもある種最も激しいものがある。アジア侵略に向かって沖縄・琉球弧を戦場にする攻撃は一方で猛烈な勢いで自衛隊基地の建設が進み、他方で米軍基地の居座り・再編強化は基地被害、とりわけ女性への連続的な性暴力として襲いかかっている。
他方で女性差別を先端とする男女共生の否定は、高市早苗や宗教右派勢力が一体となって「選択的夫婦別姓」反対・女系天皇反対・移民反対・LGBTQ反対などを掲げ、維新や参政党・保守党・N国党などを巻き込みドイツのAfD(ドイツのための選択)のように各地で排外主義運動を繰り広げている。クルド人など外国人排斥と女性差別の横行と、中居−フジ女性差別事件は、民主主義や人権などをデマやフェイクや陰謀論で制圧する運動として「底が抜けた国」の惨状を示している。
私たちはこのような差別・排外主義の鼓吹に対して、国際主義的連帯と「民主主義の先進闘士」として、特に埼玉におけるクルド人排撃の問題と、大阪での女性検事に対する検事正の差別・暴行の居直りに対しては、体を張って激しい階級的怒りを組織して闘わねばならない。
B狭山闘争
についていえば、「袴田事件」の後にもいまだに裁判所・検察は証拠調べをおこなわず再審請求に答えず、高齢の石川一雄さんが死ぬのを待っている。家令裁判長のもとでの証拠調べを何としても行わせ、袴田さん一人の人権が社会を揺るがしたように、「一人は万人のために、万人は一人のために」の精神を、この腐敗した社会の「一筋の光」として照らす必要がある。2・24関西狭山集会(西成区民センター)の成功をかちとろう。
C三里塚闘争・農民の闘い
一昨年の市東孝雄さんの農地取り上げにもかかわらず、三里塚闘争は不屈の反権力闘争として闘い抜かれている。日本農業が壊滅的危機にある現在から60年以上前、三里塚・芝山農民は農地死守・軍事空港反対を掲げてきたが、その先見性と大地性は揺らぐことはない。首都圏に2空港しかなく国際競争から落後の危機のなか、またぞろ第3滑走路計画を強行しようとしてきているが、没落帝国主義にその未来などないことを確認しておきたい。
D儲ける大学と闘う学生運動
帝国主義の腐敗と不正の中、最も呻吟しているのは青年・学生である。階級社会の抑圧・差別・分断は、学生の闘いを解体し「儲ける大学」の従順な羊として教導してきた。しかし国立大学法人法の改悪以降、学生たちはキャンパスに立看を立て、戦闘的サークル・自治会活動を担い、ガザ反戦闘争に立ち、8・6ヒロシマにも決起した。私たちはこの学生の決起を喜び支えたい。一部特定党派の利害に帰属した学生運動ではなく困窮する学生の自治と生活防衛をベースに、反戦闘争、差別・排外主義と闘う学生たちに心からのエールを送りたい。
E国際連帯闘争 ウクライナ パレスチナ・中東 ミャンマー
全世界は2022年のロシアによるウクライナ侵略戦争を契機に、また23年10・7以降のイスラエルのパレスチナ人民虐殺により、新たな戦争と動乱の時代に突入した。ドイツのAfDの台頭やアメリカ・トランプの再登場はこの時代を極右から現状打破する動きである。国際主義的連帯の旗を掲げ、ウクライナ人民、パレスチナ人民、ミャンマー人民、被抑圧人民と連帯し、帝国主義の世界支配を打ち破る解放闘争に連帯し闘うとともに、帝国主義本国での支配階級打倒を闘いとろう。
F韓国・台湾・中国―東アジアの闘い
韓国・東アジアにおいても戦争・差別・抑圧に反対する闘いは粘り強く闘われている。韓国における闘いは、12月3日のユン・ソンニョル大統領の非常戒厳・クーデタを国会議員と労働者人民の手で阻止した。100万人規模の街頭行動とネット空間を埋め尽くした決起は、引き続く攻防の中、大統領を逮捕・起訴した。1年前からのクーデタの陰謀を「共に民主党」は阻止した。この闘いはさらに継続し、日米帝国主義と一体の軍事ブロック強化などと激しく闘い、韓国人民の闘いの新たな地平を開くだろう。また台湾民衆は、あらゆる戦争挑発と闘い、自主・民主の闘いを強めていく。闘うアジア人民と連帯し、日帝のインド太平洋戦略、日米間軍事同盟による対中国戦争挑発と闘おう。
G頻発する女性差別との闘い
25年階級闘争の一つの分岐点は頻発する女性差別との闘いである。沖縄における米兵による女性差別との闘いは本紙406号沖縄報告にゆずるが、大阪地検元検事正の女性検事への性加害とその居直りは、権力中枢の犯罪として徹底的に断罪されなくてはならない。また大阪維新による女性差別の横行は笹川大阪府議事件など数限りないが、昨年来の岸和田市長の差別犯罪とその開き直りは、この政党が人権とは無縁な政党であることを刻印した。岸和田市議選結果では反市長派が多数を占め改めて不信任が可決されるが、ここまで女性の尊厳を侮辱する政党が大阪の政治を壟断している現実をこれ以上許してはならない。
また3年前のジャニーズ問題にもかかわらず、松本人志事件、中居=フジテレビ事件と芸能界を舞台にした女性差別はやまない。これらの腐った男どもや芸能界の徹底断罪抜きに、この国に民主主義も人権もない。新たな#MeToo運動に連帯しよう。
H優生思想との闘い・障害者解放闘争
障害者差別も「底の抜けた国」では依然として激しい。障害者ゆえに強制不妊を強制され、それを司法権力が「除斥期間」などと称して居直ってきた現実が、昨年7月3日の最高裁判決によって、ついに覆された。本当に長きにわたる苦闘に心から敬意を表するとともに、引き続きの人間の尊厳をかけた障害者差別との闘いに共に連帯していこう。
I地方から主権を取り戻す地域主権運動
石破政権は「地方創生2・0」「令和の日本列島改造」などを呼号するが、これは限界集落化が激しい地方を再生させるものではない。没落帝国主義の「選択と集中」はますます東京・首都圏一極集中をきたし、また首都圏・関西圏でも都心一極集中を促進する。これに対する闘いは大阪維新のように「成長を止めるな」「身を切る改革」ではなく、その地域に応じた地域主権運動の拡張・連携である。
昨年来兵庫県で争われている「斎藤県政問題」とは、兵庫県という全国的縮図の地域を、兵庫5国(旧摂津・淡路・播磨・丹波・但馬)の特色を生かすのか、破産した大阪維新の補助ロケットとしての兵庫県にするのかという問題だ。そこでは地域主権はパワハラで解体され、関西州の州都=大阪の強権政治に吸収される。公益通報潰しと強権(パワハラ)政治か、民主・自治・人権政治かの分岐が争われているのだ。
J大阪・兵庫での反万博・維新粉砕闘争
元々安倍・菅の別動隊であった大阪維新は、橋下・松井引退後は混迷を重ねてきた。特に最後の頼みの綱=大阪・関西万博が昨年夏以降急失速するや、各地の選挙で敗北、兵庫でも斎藤パワハラ県政への不信で県政失陥の危機に陥った。これを突破の反動連合が、斎藤(維新)・西村(旧安倍派)・極右(N国、石丸、統一教会ら)の連合で、選挙違反・デマ拡散で斎藤は再選した。しかしデマと違反選挙に対し、人民の闘いが爆発する。斎藤退陣と大阪万博粉砕闘争の爆発は巨万人民決起の号砲となる。
Z 歴史的存在としての革共同〜本多延嘉書記長死後50年にあたり
2025年3月14日は、本多延嘉革共同書記長が、反革命カクマルに暗殺されてから50年になる。50年前の3月14日を我々は片時も忘れたことはない。残されたものとして日本革命の苦闘の道を全力で歩んできた。「政治主導の軍事の組織化」から離れた先制的内戦戦略の限界を総括し、「新たな戦前」における革命的共産主義運動を模索してきた。その中で清水丈夫に典型の黒田=カクマルへの屈伏(スターリン主義組織論・体制間矛盾論)からの決別は必然であった。日本階級闘争全体とは無関係に左翼カルト集団化する『前進』派を克服し、「失われた30年」から来る戦争・搾取、差別・排外主義に対し、戦闘的大衆闘争の再建をかけて闘い抜こう。
また帝国主義段階において1917年ロシア革命をもって社会主義への過渡期への時代認識を堅持し、スターリン主義の変質・崩壊の中で、「反帝・反スタ」を立脚点に、60年代・70年代を超える階級闘争の到来に対し、「歴史的存在としての革共同」として闘う。
[ 新しい社会主義・共産主義の旗を掲げて
今や全世界は帝国主義支配の終わりを告知している。アメリカ・トランプも、ドイツAfDも現状打破を掲げて登場する。世界支配の最弱の環=日本帝国主義は歴代最弱の石破政権ながら、軍事大国化をひた走る。国民生活が物価上昇(キャベツ1玉が1000円)で塗炭の苦しみにある中で、この世間感覚から乖離した「楽しい日本」を掲げる珍妙さだ。
強まる経済的困窮に対して生活防衛を掲げて闘うだけでなく、この困窮の原因が自公政権にありこれの打倒と、かつその根本原因が資本制生産様式にあることを明らかにし、搾取・収奪・戦争のない時代を切り開くことを訴えていこう。日本帝国主義の軍事大国化・アジア侵略の政治に対しては、安保・沖縄闘争=政治闘争、生活防衛=経済闘争、差別・排外主義との闘い=イデオロギー闘争という3つの領域で果敢に闘えば道は開ける。3全総以来の地区党建設と戦闘的共同闘争を全分野で繰り広げよう。
マルクスの思想とレーニンの実践を今日的に引き継ぐには、空論的論議ではなくたゆまない組織的実践が必要である。共産主義とは理想とされる現実ではなく、現状変革の永続的闘いなのである。この組織的実践のなかに、マルクスの思想の発展と共産主義の萌芽がある。小さな火花も荒野を焼き尽くす。未来は我々のものである。ともに闘わん。(了)
5面
女性差別と万博破産
断末魔の大阪維新を今こそ打倒(上)
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開幕まで3カ月を切った今でもイメージ図しか出せない協会HP |
(1) 女性差別は維新の体質
@「また維新か!」
東京都総支部「東京維新の会」所属の鈴木妃呂子・大田区議が2024年12月12日、維新現職の国会議員から「セクハラ」を、区議から「パワハラ」を受けたとして、告発会見を開いた。23年夏ごろには「東京維新の会のお祝いの席で、同会所属の現職国会議員に、一瞬ではなく長い時間、おしりを触られた」、さらに都内の地方議員からは「一昨年から、挨拶のように胸をトンと触られたり、街宣車の上でおしりをしつこく触られる」こともあったという。
A岸和田市長
「永野市長は十分な説明をおこなった」として、維新は除名ではなく離党勧告で、復党に含みを持たせていた。永野は性暴力を居直り議会を解散した。大きな非難の声に吉村は、岸和田市議選(1月26日告示、2月2日投開票)に党公認で擁立する立候補予定者に対し、改選後の市議会で不信任決議案に賛成する意思確認をしたと表明。昨年12月の不信任決議案には維新会派4人のうち3人が反対して、支持者からも「市長を擁護」と非難されていた。4人のうち1人が公認申請を出しておらず、維新は3人の公認候補を擁立。3人のうち不信任決議案には2人が反対していた。
Bこれまでに表面化した主なものだけでも以下のように度外れている。
2015年、飲み会で、大阪市議どうしの井戸正利が本田リエの胸を「触診」、田辺信広も本田の耳を舐め、足の臭いを嗅ぐ写真が報道された。23年の交野市議選で、選挙ポスターの掲示板の画像を加工し、維新以外の候補者を塗り潰してX(旧ツイッター)に投稿し交野市選管から「道義的に問題がある」と指摘されたのがこの本田だ。
2018年、樽谷彰人兵庫県議が、妻へのDVで現行犯逮捕。議会は、「議員としての品位を問われる問題を幾度となく起こし続け」と、全会一致で辞職勧告を決議したが、辞職しなかった。
2019年、木下章広富山市議が、市議会事務局女性職員の机を物色した建造物侵入罪で罰金の略式命令を受けた。半年にも及んで独りよがりなメールを送信していた。議会から8回の辞職勧告決議案を全会一致で可決されたが、辞職せず、2021年選挙に出馬し、最下位で落選した。
2022年、街頭演説で猪瀬直樹が、海老沢由紀(参院選候補予定者・大阪市議)の肩や背中など、さらには胸の付近を触れる。猪瀬氏は、これを「セクハラ」と報道した新聞を提訴したが、敗訴した。
2023年、藤間隆太飯塚市議が、市議会の委員会で女性議員を名指しし「セーラー服を着てしゃべれば(動画再生回数が)3千、5千回いくんじゃないか」と発言。
笹川理府議団代表が、宮脇希大阪市議に対して、2015年にセクハラやパワハラ、ストーカー行為をしたとして党から除名される。
市瀬健治千葉県習志野市議が、他市の元市議の女性に対し卑猥なショートメッセージを送信していたことが報道され、除名。女性からの訴えを受けて千葉維新の会は8月31日付で市瀬議員に辞職勧告をおこない、9月5日に除名処分にした。
2024年、椎木保・元衆院議員(大阪2区では落選、元公立学校教員)が、12歳の女子中学生に性的暴行を加えたと逮捕、起訴。
人権思想への嫌悪や排外主義は新自由主義の本質からくるものであり、女性差別は維新に体質化している。
(2) 万博カジノは泥沼
@「1400万枚は必達ではない」
日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長は、4月13日の万博開幕を控え、前売り入場券の売り上げが低迷する中、1400万枚としていた販売目標について「一つのめどで必達ではない」と居直った。主催者の万博協会は来場者延べ2820万人を想定し、全体で2300万枚の販売目標を掲げていた。前売りチケット販売は2023年11月30日に開始されたが、販売数は低調。大阪万博のチケット広報・プロモーション業務は、昨年6月「電通」が10億5160万円で受注。9月〜11月にかけて「勝負の期間」と位置付け、大阪万博の象徴である大屋根見学ツアーやパビリオン情報、開催半年前イベントなど、情報発信を実施した。それでも前売り券販売は約750万枚にとどまる。目標1400万枚のうち経済界に割り当てた700万枚を超えた途端、売り上げペースが急失速。関電は当初の20万枚から25万枚、大阪ガスは15万枚から20万枚にノルマが増えた。
押し付けられたチケットはすでに金券ショップに出回り始めた。運営費1160億円の約8割をチケット収入で賄う計画のため、販売不振は赤字に直結する。埋め合わせに税金が投入される。
A「パビリオン未完成でも影響ない」
海外パビリオンをめぐって、立地条件の悪さ、資材価格や人件費の高騰などで参加国とゼネコンの交渉が難航し、建設が遅れてきた。石毛は「全てのパビリオンが設備や展示を整えて開幕を迎えるかというと、そうではない可能性もある」が、「ほとんど影響ない。今までの万博でも、一つ二つそういうものがあったとしても全然影響を与えていない」という。会場運営の問題点については、開幕直前の4月6日、来場者を入れ、問題点を洗い出す「テストラン」を実施するとした。
もともと万博には158カ国・地域と9国際機関が参加を予定し、約2820万人が来場するとしていた。参加国が自前で建設する「タイプA」のパビリオンは、当初約60カ国が出展を希望していた。しかし、簡易型への移行や撤退が相次ぎ、最終的に47カ国へ約2割減少した。開幕1年前の段階で着工に至ったのは14カ国。万博協会は大型重機を使った工事の完了期限を当初想定から約3カ月遅らせ、10月中旬までに緩和したが遅れは取り戻せず、最後のマルタが着工したのは12月9日だった。想定では今年1月中旬には、全ての海外パビリオンで内装・展示を含めた工事が完了しているはずだったが、1月10日時点で、建物の完成を示す「完了検査」通過は、3カ国のみ。10カ国近くが間に合わない可能性がある。来場者の安全を考えれば、開幕後にできるのは建物内の工事だけだ。
タイプAから簡易型へ移行する予定のイランは、12月に国内事情による撤退を表明した。イランは完成した建物の引き渡しが済んでいなかったため建設費を回収できない。違約金も取れないという。費用負担はかさむばかりだ。
B赤字は誰が負担?
赤字ラインはどこなのか。経産省は「想定の約80%の来場でも収支相償」と説明した。つまり、損益分岐点はチケット1840万枚。赤字回避には残り1100万枚を売り切る必要がある。赤字の補填で負担するのは、国か大阪府・市か明らかにされていない。これ以上の税金による穴埋めは許されない。
会場建設費については「2350億円の中で実施する方針は変わらないし、そうできる」と強弁する。
伊東万博相は会場警備費について、「国負担分を55億円増やす」。警備費を含む会場内の安全確保に関する費用総額は約199億円と示していたが、約255億円になる。
万博宣伝費用も29億円増額し、補正予算案に盛り込んだ。昨年2月にはPR費用を約40億円としていた。
C後始末も泥縄
リングには約2万7千立方メートルの木材が使われている。当初は閉幕後に全て撤去する予定だったが、一時的な建物に344億円の建設費を投じることに批判が殺到した。一部を残すことも含め、利活用の検討が始まった。再利用について、博覧会協会は当初、市場調査の結果、全体の2割あまりの需要を見込んでいた。しかしリユースの木材価格は「有償」、木材の輸送費用は「譲渡先の負担」、これに解体費用が加わると、普通に木材を買って使うよりも高くなってしまう。さらに加工費が発生するので引き受け手が見つからない。再利用は、当初想定していた全体の「4分の1」から「8分の1」程度に半減する見通しだという。
万博跡地の約半分を占める夢洲第2期区域のマスタープランが発表された。跡地利用について、民間提案から選ばれた未来リゾート構想とサーキット建設構想が検討されているという。しかし、日本にはすでに大小合わせて10カ所以上のサーキットが存在する。
多数のサーキットが存在するなか、新たなサーキット建設構想など荒唐無稽だ。鈴鹿サーキットは205haある。今回の構想の50haでは鈴鹿の五分の一しかない。予定では、万博終了後、事業者を募集、2027年に土地の引き渡しになる。しかし夢洲の地盤条件は極めて悪く、商業地域として開発すればするほど土地改良費用が必要になる。1500億円といわれるが、土地所有者の大阪市の責任としての負担になると思われる。
複合応募の禁止規定があるにもかかわらず、2つの提案に両方に関電(関連会社)が参加している。(つづく)
以下
(3)破産した新自由主義―維新政治
(4)失敗した教育改革
(5)吉村の政治生命は風前の灯
6面
朝鮮学校無償化を求める火曜日行動
600回記念パレード
1月14日
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1月14日、朝鮮学校無償化を求める「火曜日行動」が600回を迎えるのを記念してパレードがおこなわれた。
大阪城公園教育塔前広場に350人が集まり、集会後は府庁周辺を1周するパレードをした(写真上)。主催は、朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪。
植民地主義丸出しの差別政策
2010年、当時の民主党政権は「高校無償化制度」を実施。しかし、朝鮮学校をその制度から排除。この政府の姿勢にならい大阪府・大阪市も「朝鮮学校への補助金」を停止した。朝鮮学校は学校教育法から排除され日本政府から「学校扱い」されていない。そのため国から一銭も出ていない。それに加えて、「高校無償化制度」からも排除、府市の補助金も停止という植民地主義丸出しの差別排外主義政策によって、在日朝鮮人民をいまだに苦しめ続けている。
火曜日行動は2012年4月に始まり、毎週火曜日の正午に大阪府庁前で開かれてきた。この1月14日で600回を迎えた。
無償化からの排除、補助金停止に抗議
正午から、朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪の長崎由美子さんが司会で、集会を開始。東大阪朝鮮初級学校オモニ(母親)会会長、朝鮮高級学校無償化を求める裁判をたたかった弁護士、朝鮮学校教員、日本人の支援団体、社民党参院議員・大椿ゆうこさんが発言した。
日本社会の責務
日本政府に朝鮮学校を法的に「学校」として認めさせることは、日本社会の責務である。
いつまでこのような状態を続けるのか、問われているのは日本人民である。
1・19全国一斉アクション
改悪入管法撤廃!
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1月19日、「改悪入管法撤廃! 人命、人権よりも送還優先の『送還一本やり方針』を許さない! 全国一斉アクション」が呼びかけられ、全国8カ所(仙台、東京、名古屋、大阪、岡山、広島、高知、福岡)で集会・デモ・スタンディング等が実施された。
入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合(略称:入管闘争市民連合)が主催し、以下3点を求めて全国から一斉に声をあげた。
@入管は人間の尊厳を踏みにじる、密告強制の監理措置制度を廃止せよ
A国際基準に基づいた難民認定と在留特別許可基準の大幅緩和を
Bウィシュマさんを死に追いやった入管は、責任を認め真の再発防止を徹底せよ
大阪で集会デモ
大阪では、〈TRY 外国人労働者・難民と共に歩む会〉が運営主体となり、中之島公園女神像前で午後1時から集会がおこなわれ、Save Immigrants Osaka、WITH旧・西日本入国管理センターを考える会、仮放免者の会、ジュリアスさんを守る会、TRY、上林惠理子弁護士、労組などが発言、大椿ゆうこ参院議員がメッセージを寄せた。集会後、大阪駅近くまでデモ行進をおこない、沿道の市民に改悪入管法の撤廃を訴えた(写真上)。
新設された監理措置制度
昨年6月、改悪入管法が施行された。この改悪入管法で新設された監理措置制度は、支援者や当事者の家族など民間人を入管の手先にし、非正規滞在外国人の動静監視、入管への報告を義務化するという非人道的な制度であり、改悪法施行後も反対の声は大きい。
また日本の難民認定は、国際基準から大きく外れており、在留特別許可の基準についても、法務大臣の裁量によるきわめて恣意的な運用がおこなわれている。
今年3月で、ウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入管で命を奪われて4年になるが、入管はその責任を未だ認めず、遺族への謝罪もおこなっていない。これらの根底にあるのが入管法・入管体制だ。これ以上、入管行政の犠牲者を生み出してはならない。入管法・入管体制解体! 改悪入管法撤廃をめざして闘おう。
入管法改悪反対アクション
1・25 新宿駅南口
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1月25日の夜、新宿駅南口で「入管法改悪反対アクション」(日本語教師の佐久間雅子さん呼びかけ)がおこなわれ、寒空の中で数十人の市民が集まって思い思いに入管法改悪と入管行政への怒りを訴えた(写真左)。
日本で暮らす外国人の方は「人権が守られていない」ことを強く訴えた。またある市民は、さいたま市教育委員会がクルド人の小学生を「居住意思が確認できない」として入管庁の言いなりになって学校から除籍したこと(※文科省の指針に違反したことが明らかになって謝罪・除籍撤回)について「難民認定申請の3回目をしていて、入管が居住希望の書類を渡さない。どうやってその書類を提出するのか」と弾劾した。
難民認定申請中で週明けにも可否の決定が出るという方もマイクをとって訴えた。大椿ゆうこ参院議員のメッセージを秘書が代読した。
(書評)
『ナチズム前夜 ワイマル共和国と政治的暴力』
原田昌博著 集英社新書2024
(1)著者の原田昌博によれば、本書の特徴は、ヴァイマル共和国(1918〜1933)からナチ体制への移行(1933)を民主主義から独裁への「暗転」であるとする従来の見解を維持しつつ、ヴァイマル共和国期が政治的暴力に貫かれた時代であることを主張する点にあるそうだ。以下本書を[原田]と略記する。
「従来の見解」に立つ時、この移行について、その暴力的側面が余り問題にされないのに対して、原田のこの主張はこの側面への考察を必須ものとする点で、彼の著作の重要な特徴をなすと評者も考える。(ちなみに原田は、第二の特徴としてベルリンでの出来事を中心にしていること、第三の特徴として政治的暴力の問題を「ふつうの人々」の視点から取り上げることを挙げている)
(2)このような特徴を持つ[原田]であるが、そこでの問題が大きく3つあると評者は思う。その第1は、従来の見解「ヴァイマル共和国からナチ体制への移行は、民主主義から独裁への『暗転』である」とヴァイマル共和国期が政治的暴力に貫かれた時代であったという主張とは整合的なのか、という問いである。
そもそもヴァイマル共和国には民主主義などなかったのであり、この共和国が大統領制・議会制の形をとった労働者・人民に対する暴力支配の機構で、しかも躊躇なく暴力を行使する主体だったとすれば、ヴァイマル共和国からナチ体制への移行は「暗転」ではなくなり、政治的暴力の一貫性という主張とも整合するからである。
この第1の問題は、このような理由付ではないが[原田]でも重要な問題として議論されている。その議論は、とりわけ「終章 二政治文化としての「暴力」」に見ることができる。興味がある方は読んでみてほしい。ヴァイマル共和国について若干でも知識をお持ちならば、この部分だけ読んでも理解いただけると思う。
(3)次の問題は、ヴァイマル共和国前期(1918〜1923)の政治的暴力を「体制転覆志向型暴力」とし、中・後期(1924〜1933)のそれを「党派対立型暴力」とする図式によって、[原田]では政治的暴力の一貫性が主張される点にある。具体的には、こうした図式を成立させるために歴史的事実が捻じ曲げられていないか、或は、そのような図式で特定の政治的暴力が説明できるのかという問題である。
この問題は二つに分かれる。第1は、「体制転覆志向型暴力」(これと対になっているのが、この暴力に対するリアクションとしての体制の側の暴力)が歴史的事実を歪めていないかという問題である。この問題については(4)で、この型の暴力の行使の一方の主体とされるDKP(ドイツ共産党)の歴史的事実の歪曲、そして体制の側の暴力が単なるリアクションではなかったことを明らかにしたいと思う(両者とも端緒的議論にとどまらざるを得なかった)。
第2は、「党派対立型暴力」(この型の暴力の属性として日常化、市中化、頻発化が挙げられている)によって、ナチス台頭期の彼らの暴力は説明できるのかという問題である。とりわけ、1932年7月にナチスが初めて第1党になった国会選挙の際のSAによる暴力(この暴力なしには、ナチスは第1党になれなかったとすら言われている)がこの型によって説明できるかがポイントになろう。確かに、それは党派闘争としての暴力ではあったが、日常化・市中化・頻発化した暴力として説明できるのだろうか。更には、この型の暴力は[原田]によれば体制に向かうものではないとされるが、この時のナチスの暴力がそう説明できるのか。これらの説明こそ[原田]の議論の中核をなしており、もし興味がおありでしたら、それが成功しているかどうか本書を取り検証していただきたい。
(4)「体制転覆型暴力」の行使主体としてのDKPをデッチあげるために、[原田]ではDKPについての様々な歴史的事実が恣意的に歪められている。DKPの出発点である創立大会について、[原田]は次のように記述している。「12月30日、スパルタクス団を中心にドイツ共産党が創設され、同時に目前に迫っていた国民議会選挙への不参加と街頭闘争による革命路線を選択した。」(36ページ)
創立大会当時の党指導部(ローザ・ルクセンブルク、レオ・ヨギヒェス、パウル・レーヴィら)は、労働者・兵士レーテが臨時政府の国民議会選挙路線を支持した(1918年12月16日の労働者・兵士レーテの全国会議)ことを受けて、国民議会選挙に参加する予定だった。しかし大会当日、レーニンによって派遣されたカール・ラデックが国民議会選挙ボイコット、レーテ共和国建設、第3インター参加を提起し、これに感銘を受けた大会代議員は指導部の国民議会選挙参加方針を拒否した。言うまでもなく、この事実は「街頭闘争による革命路線の選択」を意味しない。 だから[原田]では、国民議会選挙ボイコットとセットで「街頭闘争による革命路線」が選択されたことになっている。しかし、創立大会で選択された路線が「街頭闘争による革命路線」と言えるのか疑問が残るところである(これについては別の機会に議論したい)。[原田]では、DKPを「体制転覆型暴力」の主体にすべく、この路線の選択ということが持ち込まれたのではないかと評者は考える。そして、1919年1月の過程、同年3月の過程についての[原田]の記述にも、同様の意図からなされた箇所を指摘することができる。
「体制転覆型暴力」には、それに対するリアクションとして体制の側が行使する暴力がセットになっている。先にあげた2つの過程でなされた体制の側の暴力がリアクションであると言うのなら、そこで「スパルタキスト」として殺された人々のほとんどが唯の労働者・市民であったという事実を[原田]はどう考えるのか、最後に問いたい。(加納修)
7面
「子ども脱被ばく裁判」
最高裁が上告棄却 11月29日
11月29日、最高裁は「子ども脱被ばく裁判」において、上告棄却、上告不受理の決定をした。この不当決定に強く抗議する。
最高裁は、原告らの主張が「上告理由にはあたらず、上告を受理すべきものとは認められない」と言うだけで、内容には全く踏み込まず退けた。
原告は「国および福島県がおこなった『被ばく防護対策』は違法であり、それを追認した最高裁に強く抗議し、行政が住民の被ばく防護対策に真摯に向き合うよう今後も力を尽くす」とし、「子ども達は自らを護れない。子ども達を護るのは大人達の責任であり、義務である。私たちはあきれ果ててもあきらめない」と強調した。
子ども脱被ばく裁判とは
「3・11東電福島第一原発事故」当時、福島県内に居住していた親子が原告となって、国および県に対し、
◇子どもたちを被ばくから防護するためのまともな対策を取らなかった
◇SPEEDI等の被ばくに関する情報を市民にたいして隠ぺい
◇子どもたちに安定ヨウ素剤を服用させなかった
◇一般公衆の被ばくの限度として定められている年1ミリSvの20倍である20ミリSvを基準として学校を再開
◇子どもたちを集団疎開させなかった
◇県が山下俊一を委嘱して、根拠のない安全宣伝を繰り返した
等の責任を問うた裁判。21年3月1日、第1審・福島地裁は、原告の請求を棄却。第2審・仙台高裁も23年12月18日、控訴棄却の不当判決。
裁判経過
以下は、「子ども脱被ばく裁判」HPより引用。
2014年8月29日、福島に住む親子や県外に避難した福島県民が福島地方裁判所にふたつの裁判から成る「子ども脱被ばく裁判」を提訴しました。ひとつ目の「子ども人権裁判」は、原告の子どもが居住する自治体を被告とした「子どもたちに被ばくの心配のない環境で教育を受ける権利が保障されていることの確認」を求める裁判。二つ目の「親子裁判」は「原発事故後、子どもたちに被ばくを避ける措置を怠り、無用な被ばくをさせた責任」を国と福島県に認めさせる裁判でした。
6年半に亘り、弁護団は国策の誤り、国や福島県の不作為、内部被ばくや低線量被ばくの危険性、セシウム含有不溶性放射性微粒子の存在などに関する数々の証拠を提出し、山下俊一氏や鈴木眞一氏らの証人尋問を実現させ、全精力を本裁判に注いできました。原告も涙を堪え怒りに震えながら、子どもを無用な被ばくから守ってほしいと陳述に立ち、数え切れない支援の手が国内外から寄せられました。しかし、2021年3月1日、遠藤東路裁判長が下したのは、原告の訴えを全て退ける判決でした。
この不当判決を受け、同年3月15日、原告118名は仙台高等裁判所に控訴。子どもたちのいのちを守り、被ばくしない権利を求める裁判が、杜の都・仙台で始まりました。
[注](引用は23年12月18日、控訴棄却の不当判決)
通信KOSUGI(3)
石破政権・経産省の全面的な原発回帰を弾劾する
首都圏の老朽原発「東海第二」を廃炉へ
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本紙405号2ページ下段に、「W、全面的な原発回帰を弾劾する」とあるように、12月17日、経済産業省は第7次エネルギー基本計画の原案を発表し、国民的議論もないまま原発回帰へのアクセルを踏み込んだ。石破政権による原発依存社会への暴走、この流れを止めるのは私たちの行動にかかっていることを強く確認したい。
東日本では、再稼働を強行した女川原発、県民投票にむけてたたかいが強められている柏崎刈羽原発、そして首都圏唯一で超老朽の茨城県の東海第二原発の問題がある。
都心では、経産省前テントひろばでの毎日行動を始め、毎月第1水曜日の原電・東電前での抗議行動、第3金曜日の首相官邸前や各種の裁判闘争、各地それぞれの行動が取り組まれている。
首相官邸前での金曜行動(1月17日)
今年最初の「原発いらない金曜行動」が1月17日におこなわれ80人以上が集まった。国会議員あいさつの後、福島原発かながわ訴訟団長の村田さんが「福島事故に国の責任なし」の不当判決を出し、その後のすべての判決にもそれを強要している最高裁を弾劾した。東海第二や柏崎刈羽原発などの再稼働を許さないというそれぞれのアピールがあり、「脱原発歌い隊」の音楽での抗議、首相官邸に向かってのコールが続いていた。
「再稼働サギ」
午後5時から始まる秋葉原駅近くの日本原電本店前での行動。ビルに「日本原電」の表示はない。市民に顔をむけた「立派な」企業とはとても言えない。申し入れ行動にも最近まで、社員は出ても来なかった。度重なる抗議によって、やっと裏側の出入り口から社員が2人出て来て、こちらからの申し入れに対応するようになった。
原発卸売り会社の原電は、まったく電気を「生産」していないのに基本料金として年間900億円も他の電力会社から収益。「再稼働ヤル、ヤルで年間900億円」の再稼働サギ!
致命的な欠陥の防潮堤工事
敦賀2号機で再稼働が「不合格」となった原電、もうひとつの東海第二原発でもずさんさが極まりない。
再稼働のための安全対策としての防潮堤基礎工事において、コンクリートの未充填、鉄筋の変形、基礎の一部の鉄筋が所定の深さまで到達していないという重大な欠陥が内部から告発された。さらにその重大問題となった欠陥部分の設計変更について、12月3日に開かれた原子力規制委員会の審査で原電が説明したところ、規制の審査官から「これでは審査に入れない」とまで言われている。昨年9月に完了予定であったこの防潮堤工事、このような致命的欠陥があり、さらに規制委を納得させる変更案さえも示せない原電は、なおも「26年12月完了に延期」といまだ再稼働に固執している。
原電前での抗議行動では、「致命的な欠陥で防潮堤工事もできない日本原電。敦賀2号機に続いて、東海第二原発の再稼働をあきらめ、今すぐ廃炉を決めよ」とのアピールと抗議の申し入れが続いた。
首都圏各地での脱原発行動
昨年11月30日には、「東海第二原発を今こそ廃炉へ11・30集会」が開かれた。集会は主催の〈とめよう! 東海第二首都圏連絡会〉のあいさつで始まった。〈原発住民運動福井〉の山本雅彦さんと「東海第二原発差し止め訴訟」原告団の大石光伸さんの講演、首都圏連絡会からの行動提起が。その後首都圏各地からの活動報告として、原発いらない牛久の会、東葛デモ実行委員会、さようなら原発越谷連絡会、放射能汚染水海洋放出に反対する北区の会と脱原発かわさき市民の5団体が登壇して、それぞれ地域の活動を報告した。最後に、ガンとも闘う夫の祐也さんを支えながら避難者として裁判をたたかっている鴨下美和さんのアピールがあり満場の拍手が響いた。(写真)
市民の力で再稼働を止めよう
国会や主要選挙での原発論議の低調のなか、各地で市民の運動が署名やマイクリレー、そして音楽を入れて継続している。こうした取り組みをさらに大きくして、原発依存社会への暴走を止めていこう。(神奈川・深津利樹)
8面
関生弾圧・京都地裁ぐるぐるデモ
2・26京都3事件判決 全員無罪を
1月8日
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京都地裁とり囲み100人がデモ(1月8日) |
1月8日、京都地裁を包囲する「京都地裁ぐるぐるデモ」がおこなわれた。
きたる2月26日に関生弾圧・京都3事件判決があり、この判決に向かって、警察・検察、国家権力の好き勝手を許さない、民主主義と権利を守る闘いは行動あるのみ、として呼びかけられた。
京都のみならず大阪、滋賀、東海地方から100人がかけつけ、地裁前での集会とデモを繰り広げた。
地裁前で集会
集会は午後4時から始まった。冒頭、主催者あいさつで京滋実行委員会共同代表の服部恭子さんは「労働争議で、争議解決金を得ることは何ら犯罪ではない。関生支部・湯川裕司委員長への10年求刑は許せない、はねかえそう。憲法28条(労働3権を保障)と労組法を守ろう」と訴えた。
関生支部の労働者は「一連の関生弾圧で、いままで7人が無罪を勝ち取っている。今年は3つの裁判で判決がある。闘いは厳しいが頑張る」と決意表明。
東海の会、勝手連しが、反弾圧大阪実行委員会が連帯アピール。
最後に京滋実行委員会の稲村守さんが「一連の関生弾圧が始まった2018年、当時の大阪地検トップ=検事正が同僚部下女性検察官に強姦事件を引き起こし、昨年には京都府警本部長がパワハラで更迭された。こんな警察・検察の言うことを信じるのか、それとも憲法28条に基づくまともな労働組合運動をしてきた善良な労働者・労働組合員の訴えを聞いて無罪とするのか、それが目の前の京都地裁裁判長に課せられている。2・26を戦争に反対する民主主義の原点、労働組合運動再生の出発の日にしよう」とまとめ、集会を終了した。
弾圧粉砕・無罪を
4時半からデモに移り、まず地裁をデモで1周。その後、烏丸通り、御池通りを元気よく行進。官庁、弁護士事務所などが多い、このエリアを大きな声をひびかせ行進し、沿道の注目を浴びた。
2・26京都地裁へ
京都3事件判決公判は、2月26日、10時から京都地裁にて。判決前の朝8時半から地裁前でアピール行動がある。注目と参加を。
投稿
先住民族アイヌからのメッセージ
多原良子さん講演会(下)
南方史郎
2022年11月末、国会で杉田のSNS投稿が問題視された。そののちさらに、658件のヘイトスピーチが誘発された。翌年3月に、杉田発言に対する人権救済申し立てをおこない、9月に札幌法務局から人権侵犯審判の認定が通知され、大きく報道された。こうして国内人権機関の独立創設を求める声が高まった。「調査の結果、人権侵犯の事実があったと認められましたが、諸般の事情を考慮した結果、令和(ママ)5年9月5日、相手方に対して措置を猶予することとし、併せて同人に対し、啓発を行いました。啓発とは、アイヌ民族の歴史や文化を学び、今後、発言には留意すること、人権尊重を働きかける『啓発』をおこなった」。
アイヌ民族に対する差別への社会規範
2023年9月7日、札幌法務局が「人権侵犯」と認定! アイヌ民族に対するヘイトスピーチを規制する社会規範が初めて示された。
アイヌ新法第4条では「何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として差別すること、そのほかの行為をしてはならない」とある。
現状は、法律に明記されているが、国や自治体の責務、罰則規定がなく、事実上実効性がなく、アイヌ民族差別は放置されている。
2022年12月政府との話し合いにおいて、ヘイトスピーチの対応を求めた。内閣官房アイヌ政策室参事官補佐は「司法判断のない特定あるいは個別の言動に関して、政府が差別と認めることは控える」と杉田水脈政務官(当時)を擁護する驚くべき発言をした。アイヌは守られるべき法律も人権もなくいつまで差別され続けるのであろうか。
閣僚や国会議員、地方議員がヘイトスピーチを繰り返している。閣僚がヘイト団体と連携する深刻な状況。SNSやメディア等、雑誌による悪質で深刻な人権侵害、アイヌ民族否定論が増える一方である。以下は、私たちから国内への要請。
アイヌ民族差別禁止条項を!
1.差別撤廃を目的として国や自治体の責務を明確に! 2.教育・広報を 3.相談体制を 4.実態調査を 5.アイヌ差別への罰則規定を条文化する法改正を!
女性差別撤廃委員会(Convention on the elimination of Discrimination against Women) 日本政府第9回報告審査会
2024・10・17 ジュネーブ国連欧州本部へレポートを提出。
国連とは:世界平和と社会の発展 女性差別撤廃条約とは:男女の完全な平等。
2003年から20年以上必死で頑張って、ここまで来た。「先住民族アイヌ女性達の状況」を委員へのブリーフィング用に英語で配布した。
参加者:CEDAW委員約20人、日本政府代表約20人(内閣府、内閣官房、警察庁、こども家庭庁、法務省、外務省、文部科学省、厚生労働省、在ジュネーブ日本政府代表)、NGO参加者約100人(含む マイノリティ女性)。以下は委員会からの日本政府への懸念と勧告。
@ 女性差別の定義と差別的な法律:夫婦同姓制度に疑問を呈した。A 日本はジェンダー平等の点において、世界125位 (以下6行 割愛)B 不利な立場にある女性グループ(アイヌ、部落、在日、朝鮮、障害女性、LGBTQ、移住女性)の教育、雇用、健康へのアクセスを制限していることに懸念。平等なアクセスを確保するよう勧告。
こうした勧告などへの政府側の対応は、アイヌ民族に関しては、マイノリティをあげつらい、個人間の問題に対応はできないと遠ざけてきた。「各個で裁判すればいいでしょう」などと。「裁判だけでは済まないから、こうして出てきているのです」と訴えた。女性たちの意見を聞くにあたって、マイノリティ女性は一括りで50秒しかなかった。審査終了の記者会見では、在日の方が発言したが、NGOグループがひしめいていて、途中で切られてしまった。
皇族について問われた政府側の人間は「こういう場所には、なじまない話題なので」と黙ると、委員側から「そういう姿勢だから、差別が助長されるのですよ!」と叱られた。NGO参加者100人のうちには、通訳の方誰か頼みますと言って、日本語で語る人もあり、学ぶことができた。
日本はジェンダー平等125位というわけで、このことをしっかり認識しなければ、先住民族女性として参加した誇りはありながら、国内での差別の重さは変わらず、自分らしく生きることはできないと痛感した。みなさまも、よろしく、このことを世論に訴えてください。(おわり)