未来・第403号


            未来第403号目次(2024年12月5日発行)

 1面  支配の危機さらす石破政権
     公選法違反の斎藤(兵庫県知事)倒せ

 2面  原発・核燃からの撤退を
     南海トラフ巨大地震が来る前に
     11月16日大阪

     いたみホール反原発集会 10月26日
     北野さん・飯田さんが講演

 3面  講演と音楽の集い 11月23日立教大学池袋キャンパス
     『ガザの子どもたちのために』

     米軍基地撤去求めて地元で大集会
     11月10日京丹後市     

     国境内植民地化とアイヌ民族の抵抗闘争
     世直し研究会に参加して(下)

 4面  (投稿)
     これがどうして犯罪に
     11・23関生京都事件名古屋シンポ

 5面  11・12関西生コン京都事件シンポジウム
     潮目を変え押し返すチャンス

     労働組合つぶしを許さない兵庫の会 第5回総会
     ドイツの闘いから学ぶ>
     11月8日

 6面  (投稿)
     狭山と私 C
     袴田さんの無罪勝利を、狭山へつなごう!
     兵庫 小山俊一

     (映画評)
     『私は憎まない』
     監督:タル・バルダ 2024年

 7面  あがく維新を倒せ
     混迷する吉村新代表
     剛田力

 8面  (投稿)
     兵庫県知事選挙 勝手連奮戦記 平 一平
     各地で果敢な反撃も惜敗

     冬期カンパの訴え
     マルクスと共産主義の闘いのため

           

支配の危機さらす石破政権
公選法違反の斎藤(兵庫県知事)倒せ

最終日サンキタ広場で稲村候補のマイク納め「ともにひょうご」とこぶしをあげる(11月16日 神戸市)

11月17日投開票の兵庫県知事選は、パワハラ・公益通報制度無視の斎藤元彦の再選という痛苦な敗北に終わった。元尼崎市長・稲村和美候補は連日の行動で、全県下を駆け巡り97万票を獲得しながらも111万票の斎藤に及ばなかった。NHK党立花孝志と一体となった街宣・百条委県議への襲撃や、後日明らかとなる選挙違反のSNS駆使の攻撃に対し、県下のリベラル・革新勢力だけでなく、中道勢力・良心的保守勢力や様々な市民団体が総決起したにもかかわらず、反動勢力の密集に勝ちきれなかったことは痛恨の極みである。

選挙違反の知事選弾劾!
斎藤知事の退陣は不可避

だが選挙終了後わずか5日で、斎藤陣営の選挙違反が全面的に明らかとなった。それは斎藤陣営のSNS戦略を会社として全面的に請け負ったPR会社merchu(メルチュ)の折田楓社長のNOTE(WEBサービスアプリの一つ)での全面告白である。折田は公職選挙法を知らず、会社と従業員一体で斎藤陣営の広報を担ったことを誇っている。これに対し選挙プランナー・元検事の弁護士・識者の多くが、「黒子に徹するべき人間がここまで(明白な公選法違反)事実を表明したことはありえない」、「事件である以上警察が動かないことはない」とまで表明している。
元々PR会社merchuは斎藤兵庫県政と深くかかわる会社で、以前から折田と斎藤(維新知事)は懇意であった。大阪・関西万博の空飛ぶ車の広報も請け負い、折田はしたこともないのに県のe−スポーツ推進事業の審議会委員をしている。ここにポスターデザインだけでなく、SNSのコンテンツ作りなど5項目にわたる宣伝・広報事業を発注したのである。
あらかじめ言っておくが、選挙はすべてボランティアが原則で、車乗務員、手話通訳者、届け出された事務員、ウグイスなど以外に金が流れると、それはすべて公職選挙法違反でも罪の重い買収となる。また無償労務の提供を会社としておこなうことは違法である。さらにその対価を選挙後に受け取る黙約があると事前贈賄となる。
公選法を知らない折田は選挙全般を取り仕切っており「広報全般を任せていただいた」「選挙は広報の総合格闘技」「種まき、育成、収穫」と堂々と公表した。
そこでは今回の選挙全体のイメージ戦略を、物語=ナラティブとして作成した。まずは1人ボッチの斎藤さん。一人で駅立ち、徐々に支援者が増える。高校生から手紙を貰い再立候補を決断した(くさい芝居)と語らせる。やがて10月中旬から連携して各種実働部隊が動き出す(NHK党立花、統一教会が渋谷で「兵庫県知事は斎藤」と演説、石丸グループ、右翼ヘイト集団、西宮の増山誠ら維新内斎藤派、明石の西村康稔前経産相など)。
折田は立花孝志と連携・分担してYouTube動画をそろえる(立花はデマ宣伝=文書問題はなく斎藤さんは悪くない。百条委員会は情報隠蔽〜全国から奥谷・竹内・丸尾県議らへのネット・電話攻撃。折田・斎藤派は、県庁1千億円建て替えに斎藤は反対した、高校が奇麗になった、県立大学無償化など斎藤の実績をアピール。公約着手率と達成率を意図的に混同して成果を誇る、など)。準備万端を整えて10月31日からの選挙本番に突入するのである。
折田は公示後も選挙現場に行き、ヘイト右翼大物の指導のもと選挙カーの上から「臨場感あふれる映像」を撮影し、直ちにネットにアップする。10月1日から開票後までつきっきりで、「人生で一番忙しい日々」と回顧する。事前運動(禁止。認められているのは政治活動)も、告示後の集票活動も何の区別なく、選挙運動を一貫してやっていたわけである。
告示後は選対の中心スタッフ・応援弁士ら以外に一般ボランティアが選挙カーの上に乗ることはないが、折田は応援弁士のつかない斎藤スタッフの中で、絶えず広報隊長として活動していたのだ。ここに金が回っていたのだ。
古典的な金銭バラマキは河井案里事件以外最近はないが、ネット使用では、柿沢未途衆院議員・木村弥生江東区長事件があったばかりだ。折田と斎藤の道は、柿沢・木村の道である。

三宮センター街入り口付近で最後の訴えをおこなう稲村候補。このあと斎藤候補が来た(11月16日午後5時)
















立花孝志ら密集した反動と、公選法違反で当選した斎藤

公選法違反・暴力的襲撃の数々

斎藤陣営の公選法違反は広報以外にも多数あり、暴力的襲撃は数限りない。その先頭に立ったのはNHK党の立花孝志である。立花は塾経営者から300万円の供託金を受領し、兵庫県に乗り込んだ。
まずしたのは「前知事は悪くない。自分には投票しないで、前知事に」という主張だ。この立候補は公選法違反である。なぜなら立候補者は選挙カー・マイク1台など各種規制がある。10人立候補すれば10台の選挙カーが使え、それぞれが自分の当選を目的にせずA候補のための演説をすれば、A候補は10倍の宣伝ができる。これでは選挙の公平性が保てない。実際公選法では2台スピーカーを使えば公選法違反で過料・懲役が規定されている。
また2候補が1人を当選させるため同じ場所で連続的に演説することも公選法違反である。これを無視し連日斎藤と立花の街宣がペアでおこなわれたのだ。

奥谷百条委委員長宅前で街宣・脅迫

次に立花孝志がしたのは、奥谷謙一県会議員(百条委員会委員長)の自宅に押しかけ街頭宣伝し、自死に言及する脅迫行為をおこなった。このため母親は自宅から避難せざるをえず、県議としての仕事もできなかった。
また姫路の竹内英明県議は、電話・ネットで家族が脅迫され、「県議の仕事ができない」と同僚の上野議員に報告し、議員辞職に追い込まれた。また尼崎の丸尾まき県議には「これから自宅に行く」と電話し、自宅近くのJR立花駅までおしかけ街頭宣伝をおこなっている。
要するに立花は斎藤の当選のためと、県議会百条委員会解体のため、委員長と中心的委員への脅迫のため立候補したのである。
今年4月の東京都議補選では「つばさの党」の立候補者が他陣営の選挙活動を妨害し、立件され裁判中だが、それ以上の悪行を働いた立花には当然の制裁が必要だ。

立花の選挙ポスター

西村・維新・統一教会・右翼の総連合

斎藤支援部隊も全国から総結集した。統一教会は渋谷演説で「斎藤支持」を呼びかけ、沖縄をはじめ全国からツアーを組んで来た。「慰安婦問題」に攻撃を加えてきたヘイト右翼や、石丸につながるグループも30人の兵庫入りを誇っている。地元では西村康稔元経産大臣とつながる明石自民党や、早くから斎藤支持で動いた維新の増山(西宮市議)らは自党候補を応援せず斎藤支持で動いた。
これらが一体となり稲村陣営のX(旧ツイッター)のアカウントが何者かによって停止に追い込まれた。また斎藤・立花陣営は選挙中に各所で威嚇・暴力事件を頻発させており、「暴力行為」「器物損壊」で10人以上が逮捕されている。
要するに全国のならず者たちが兵庫に総結集し、稲村当選を阻止し、新右派台頭のため群がったのだ。

内政・外交の行きづまり
人民の怒りで石破内閣倒せ

なぜこれだけのならず者たちが稲村当選阻止で兵庫県に集まったのか。それは自公政権(日本帝国主義政治委員会)の支配の危機が急速に進んでいるからだ。特に9月自民党総裁選で新たな右派の結集軸たる高市早苗が敗北したことが大きい。次いで自民党総裁となった石破茂はご祝儀相場・早期解散に失敗し、総選挙後少数与党政権となった。国民・維新の支えがなければ、予算案すら通らない。外交でも日米地位協定見直しなどの自説を封印してもトランプには相手にされず、G20会議でも失敗ばかりで、支配の危機が急速に強まっている。
この時期に540万人口を擁する兵庫県において維新・自民派知事が県議会から全会一致で不信任に追い込まれた。彼らからは稲村は元緑の党で「極左」だと見える。このままいけば左派県政が成立する(現在全国に「左派』系県政はない)。
この危機の突破のため、立花や維新や自民党西村に繋がる政治勢力・統一教会・右翼・ヘイト集団が群がってきたのだ。
通例ならこの陣営の正体は表に出ることはなかったが、新興ネット勢力の折田告白NOTEで、その一端が赤裸々に暴露されたのだ。その上でこのならず者たちは公選法も無視し、「つばさの党」以上にやりたい放題をやった。そして今、広報中枢が立件寸前にある。支配の危機を右から突破せんとする動きを許してはならない。
1930年代ドイツ階級闘争のような時代が始まったのだ。街頭とネット空間の制圧を許してはならない。斎藤・立花らを追い詰め、「やつらを通すな!」を合言葉にすべての闘う仲間は総決起しよう。
斎藤派最終日集会にプラカードをかかげる人々(11月16日 神戸市)
















2面

原発・核燃からの撤退を
南海トラフ巨大地震が来る前に
11月16日大阪

避難者2人がアピール(11月162日 大阪市)

11月16日、「原発・核燃からの撤退を! 南海トラフ巨大地震が来る前に 2024関西集会」が大阪市内でおこなわれた。主催は、脱原発政策実現全国ネットワーク関西・福井ブロック。
この集会では、@脱原発を阻むもの、A被ばく問題について、B核燃料サイクルの危険性、この3点を堀りさげた。

脱原発を阻むもの

ジャーナリストの青木美希さんが、「脱原発を阻むもの」というテーマで講演した。青木さんは、ジャーナリスト会議で取材した映像を用いて、東電福島第一原発の現状を説明した。現在でも、青森県や山梨県でキノコの出荷制限がおこなわれている。避難者が3万人も存在している。東電福島第一原発事故は終わっていない。そのうえで、政・官・業・学・メディアの「原子力ムラ」が原発にむらがり、カネを吸い上げている。この構造はなにも変わっていない。政府にたいして、市民が声を上げていくことの重要性を訴えた。

4千人の子どもの血液を検査して

三田茂さん(医師)が、「4千人の子どもの血液を調査して」と題して、医療現場から見た被ばくの実態を報告した。福島第一原発事故当時、三田さんは東京都小平市の個人医院で、たくさんの患者に接した。その経験から、三田さんは「定説を疑ってみる必要性」に気付いたという。三田さんは「小児甲状腺がん(だけ)が強調されているが、(それだけではなく)福島第一原発事故によって異形リンパ球が増加していた」と述べ、避難の重要性を訴えた。

避難者からの訴え

全国の避難者を代表して、森松明希子さん(原発賠償関西訴訟原告団・代表)と鴨下全生さん(福島原発被害東京訴訟・原告)がアピールした。森松さんは「避難の権利は基本的人権であり、避難者だけの問題ではない」ことを訴えた。鴨下さんは、いじめを受けた自身の体験を語った。これは分断の結果であり、分断を克服する必要性を訴えた。

核武装するため

また、核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団代表・浅石紘爾さんが「六ケ所再処理と憲法9条」と題してビデオ映像で講演した。浅石さんは「政府が再処理にこだわるのは、プルトニウムを取り出して、核武装するためだ」と述べた。高速増殖炉もんじゅが廃炉になったことによって、核燃料サイクルはすでに破綻している。浅石さんの講演は、このことを鮮明にした。

ふたたび「原発安全」論が語られている。女川原発2号機が再稼働し、島根原発2号機が再稼働しようとしている。福島原発事故は終わっていない。事故の原因はなにも明らかになっていない。核燃料廃棄物をこれ以上増やさないために、原発事故をおこさないために、われわれは反原発を訴えていこう。(寺田理)

いたみホール反原発集会 10月26日
北野さん・飯田さんが講演

10月26日、総選挙投票日の前日、いたみホールで「さようなら原発1000人集会」が開催された。10月石破首相の手前勝手な解散により、通例この集会に集う多くの議員・仲間も奔走中ながら、全力でこの集会を成功させた(写真上)
講師は珠洲原発を阻止し、今も志賀原発と再稼働に反対して闘う北野進さん。北野さんは50年近くにわたる能登半島・珠洲と志賀の闘いを縦横に語った。今一人の講師、飯田哲也さんは、改めてエネルギー問題で政府のエネルギー政策を全面批判。世界的流れとして「太陽光発電以外にない」と訴えた(写真)。参加者は例年より少ない300人であったが、石破の嘘つき解散への怒りと、原発再稼働への怒りも固く、次なる闘いに散っていった。
















3面

講演と音楽の集い 11月23日立教大学池袋キャンパス
『ガザの子どもたちのために』

11月23日、立教大学池袋キャンパスで「講演と音楽の集い『ガザの子どもたちのために』」(主催:科研費学術変革領域研究〈イスラーム信頼学〉/認定NPO法人パレスチナ子どものキャンペーン、共催:立教大学異文化コミュニケーション学部)がひらかれ、アラブ系と思われる若者も含め、多数の市民が参加した。
主催者を代表して、異文化コミュニケーション学部の石井正子教授(紛争研究、国際協力、地域研究)があいさつ。パレスチナ支援をしている人々の間で「無力感にとらわれてはならない」ということが言われていると報告した。
パレスチナこどものキャンペーン(以下CCP)スタッフの手島正之さんがヨルダンのアンマンから動画でガザ現地の情報を報告。あらゆる物資が足りていない中で、聴覚「障害者」の学校でスタッフが、あまり新鮮ではないものの何とか手に入る野菜で揚げナスの炊き込みご飯(本来はお祝いの料理で肉も入る)の炊き出しをしている様子が紹介された。
同じくCCPスタッフの田浦久美子さんからはレバノンでも9月から状況が悪化していることが報告された。

鈴木啓之さんが講演

東大大学院総合文化研究科特任准教授の鈴木啓之さん(中東地域研究、国際関係論)が「パレスチナ問題の現代」と題して講演。
「ガザで死者が4万人を超えたと報道されているが、それは集計できた数。破壊された建物の下に1万人埋まっていると言われている。実際の死者は6万人でも少ないかもしれない。20万人を超えている可能性もある」「ほとんどの子どもが栄養失調。病気についてはWHOが統計を取るのをやめた。7月にポリオウイルスが下水から検出され、8月に感染者が出た。ジャーナリストは137名、国連職員243名が死んでいる」「ハマス側が停戦交渉での揺さぶりを図っている旨の情報がイスラエル側から報じられ、イスラエルの首相府報道官が情報漏えいの疑いで逮捕された」「イスラエルは来年度の国家予算が1630億ドル、そのうち540億〜680億ドルがガザでの戦費にされようとしている」「ヨルダン川西岸でも昨年だけで504名亡くなっている。10月7日の時点で2022年の死者数を2023年の死者数は越えていた」

酒井啓子さんが講演

千葉大学グローバル関係融合研究センター長・特任教授(中東政治、イラク地域研究、国際関連論)の酒井啓子さんが講演。
「オスロ合意の、イスラエルとパレスチナを分けるというのがおかしいという批判は以前からあった。今でもその批判は有効。イスラエルによる民族差別が放置される、ということ」「ネタニヤフがここまで戦闘を引っぱったのはトランプ(政権成立)を待っていたのではないか、という推測もできる」「関係国でイスラエルだけが自制していない。イランは自国の革命防衛隊の司令官が米に殺されてもイスラエルに攻撃されても自重してきた」「意識調査でパレスチナ人の間に二国間休戦協定への絶望と、それでもそこにすがりつくしかない現実が見える」「トランプの前政権はイスラエルが『獲得』したものを次々に容認してきた。駐イスラエル大使になるハッカビーは入植推進派。中東特使になるウィトコフは不動産王。ガザにリゾート地を作るつもりではないかと言われている」「中東の王政諸国がより強くアブラハム合意(2020年のイスラエルとUAE(アラブ首長国連邦)の友好関係締結)の方にシフトする恐れがある」「世論調査で米有権者の6割以上が『停戦を求めるべき』とし、5割が『米はイスラエルに圧力をかけるべきだ』とし、44%が『米はイスラエル寄り過ぎる』としている。イスラエルへの軍事支援の是非は分かれる。米国内が分断されていることがよくわかる。パレスチナに同情する、というのは若者に多い」「フーシ派の闘いはイランがけしかけているわけではない。イランは自制してきた。大使館を攻撃されても我慢していた」「今年のイランのイスラエルへの攻撃は米にもUAEにも伝えていた。イスラエルに代わってヨルダンが迎撃していた」「好きな国を問うたら、パレスチナ人にはイエメンの人気が高い。日本は候補にすら挙がっていない。圧力すらかけられていない」「圧力がかからないようなことを日本でどんどんやろう」「ICC(国際刑事裁判所)の逮捕状は重要。ICJ(国際司法裁判所)がイスラエルのヨルダン川西岸の管理について国際法違反だと言っている。国連総会でもその決議が出た」「立山良司(防衛大学校名誉教授、中東現代政治)が『イスラエルの行動を合理性で捉えるのは無理』と言っている」「中国が中東政策でやっている(仲介などの)スタンスは20年前の日本と同じ。国力の違いがあって日本はできない」
ガザで亡くなった子どもたち(家族で逃げる途中で車ごと銃撃されて携帯で救急車に助けを求めながら亡くなったことが報じられた女児など、報じられて現地の人の記憶に残っている児童の格好をした子役が含まれている)が国際会議の場に入って、何もしない各国代表を糾弾する、という中東の携帯電話のCMの映像も流された。
最後に、ヴォーカル、ウード(リュートや琵琶のような中東の弦楽器)、パーカッション(太鼓・カホンなど)のトリオ「ラビィサリ」が現地の曲や日本語のオリジナル曲で平和を訴えた。

米軍基地撤去求めて地元で大集会
11月10日京丹後市

市内デモに出発する集会参加者(11月10日 京丹後市)

11月10日、近畿地方で唯一の米軍基地がある京都府京丹後市で、米軍基地撤去を求める集会が開かれた。同市内の丹後文化会館でひらかれた「米軍基地いらんちゃフェスタin丹後2024」には地元住民をはじめ関西一円から400人が集まり、「大軍拡をやめ、九条を生かした平和外交を!」の声をあげた。主催は、〈米軍基地反対丹後連絡会〉と〈米軍基地建設を憂う宇川有志の会〉。
この米軍基地は正式名を「米軍経ヶ岬通信所」といい、米陸軍第14ミサイル防衛中隊が駐屯している。ここにはXバンドレーダーが設置され、朝鮮半島からグァム島の米軍基地にむかう弾道ミサイルを探知・追尾するものとされる。2014年10月に発足し、この10月でちょうど10年が経った。

午後1時半から始まった集会は、冒頭、主催者あいさつを〈米軍基地反対丹後連絡会〉代表・藤原利昭さんがおこなった。
現地からの報告は〈米軍基地建設を憂う宇川有志の会〉永井友昭さん(京丹後市会議員)。「土地規制法と米軍Xバンドレーダー基地」「基地内発電機の騒音問題」「基地から出る排水、水質検査」「同基地でおこなわれた日米合同軍事訓練」など、最近の問題点について報告した。
京都府会議員の水谷修さんが、「敵基地攻撃能力・防空システムと一体での京都の基地強化」というテーマで記念講演した。
次いで、米軍Xバンドレーダー基地反対・近畿連絡会など協賛3団体があいさつした。
最後に行動提起・閉会あいさつがあり、市内デモに出発した。

基地ゲート前で抗議集会

本集会に先立って、正午から米軍基地ゲート前で〈米軍Xバンドレーダー基地反対・近畿連絡会〉が呼びかけた抗議集会がひらかれた。
永井友昭さんが基地をめぐる近況を説明。10月23日から11月1日まで強行された日米共同統合演習(実動演習)キーンソード25を弾劾した。
大阪全労協、南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会、京都・祝園ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワークなどが発言した。

国境内植民地化とアイヌ民族の抵抗闘争
世直し研究会に参加して(下)

アイヌの歴史を学ぶこと

アイヌ民族は日本政府に抵抗して闘った。砂沢市太郎、松井国三郎たちは「水平社宣言」に共感し、「解平社」を結成した。アイヌ解放運動に位置づけて、労農運動にも連帯した。この闘いにたいして、日本人民の連帯はきわめて弱かった。むしろ、日本政府の方針に協力し、これに動員されていった。日本人民は政府の植民政策に疑問を持たなかった。この「負の歴史」をしっかり見つめ、ふたたび繰り返してはならない。
新自由主義が破綻していくなかで、その「帝国」が世界で戦争を引き起こそうとしている。大戦後、「満洲国」は消滅したが、1948年に「イスラエル」が人為的につくられた。今日においても、イスラエルで入植植民地主義が貫かれている。侵略戦争がおきているなかで、植民地主義の克服が喫緊の課題になっている。(おわり 鹿田研三)

4面

(投稿)
これがどうして犯罪に
11・23関生京都事件名古屋シンポ

決意を述べる湯川裕司委員長(写真は11・12京都集会)

11月23日、名古屋市内の労働会館東館ホールに約50名が集い、関生京都3事件の公判報告&パネルディスカッションがおこなわれました。この事件で懲役10年を求刑され来2月26日に判決を迎える湯川裕司関西生コン支部委員長は裁判所や勾留の実体験、被害者とされた京都生コン協組理事長(当時)との関係を率直に語り、会場からは「どうしてこれが犯罪になるのか?」という質問が相次ぎました。
冒頭、〈関生弾圧を許さない東海の会〉石田共同代表があいさつ、続いて京都事件を担当している片田真志弁護士からパワーポイントを用いた公判報告がありました。
片田弁護士は「工場が乱立して過当競争によるダンピングに陥っていた生コン業界に通産省も製造設備の廃棄と集約化を提案、しかし、業者が主導する集約化事業は成功せず、連帯労組がセメントメーカーとゼネコンに対抗する産業政策運動として生コン協同組合と連携してこれを進めることになった」と事件の背景を説明、そして各事件の起訴内容を紹介、それに対して実際の紛争の実態と本質を明らかにし、批判しました。
◇ベストライナー事件は京都協組(当時F理事長)が組合のない会社として作った輸送会社に連帯ユニオンが結成され、この会社を解散したことに対して解決金1億5千万円を支払わせたことを恐喝とされた事件。金銭決着の提案は暴力団を使った京都協組からおこなわれ、組合はそれに加えて雇用確保を争ったもの。
◇近畿生コン事件は組合と協調路線を取る久貝氏の理事長を交代した際、近畿生コンが突然破産申請、連帯ユニオンは労働債権を担保に会社を占拠して工場がアウト業者に落札されることを阻止。京都協組が占拠費用など6千万円の清算金を支払ったことを恐喝とされたもの。京都協組は連帯ユニオンとの協調路線に転換して生コンの値戻しに成功、久貝理事長は「生コンが3000円上がると、年間30億円の利益が増える」と証言している。
◇加茂生コン事件は、組合結成があった加茂生コンが廃業する際、@組合が就労証明書の発行、Aプラント解体と洛南協組へのミキサー引き渡しを洛南協が要求した行為について強要未遂・恐喝未遂とされた事件で、@は現場の組合員に無罪判決も出ており、後者は洛南協の独自の利害に基づくものであった。
片田弁護士は「異様な捜査経過」として、京都協組理事長の久貝氏を最初は湯川氏と共謀した「被疑者」として立件しながら、後に久貝氏を「被害者」として立証の最重要証人とすることになった点を指摘した。また、どの事件も直接の「脅迫」行為がなく、また、実力を伴う闘争がおこなわれていないことには争いがない。検察側は「かねてから被害者が組合を恐怖し、要求に応じるしかなかった」と証言させている。労働法の無理解がある、と指摘しました。
パネルディスカッションに入り、『東海の会』共同代表の中谷雄二弁護士は、まず、自ら弁護士を勤めた9月13日の大垣警察市民監視違憲訴訟名古屋高裁判決を紹介し、「警察に対する法的統制がない国が法治国家と言えるのか」と問題提起しました。次にILO87号条約に照らして憲法28条と憲法21条の結社の自由とは一体であり、労働組合法2条の規定を待つことなく労働三権は使用者が受忍し、国家が介入してはならないものである、としました。そして関生事件はもっと注目されるべきで、そうなっていないのは労働組合のない社会を異常と思わない社会意識に支えられていると指摘しました。
同じく『東海の会』共同代表の熊沢誠名誉教授は、自身は大津1次事件の控訴審に注目しているといい、関生事件では4件の無罪判決がでているが、本丸である「直接労使関係にない企業へ介入する行為は認めない」とする司法権力の意志は固いのではないかと述べました。連帯ユニオンが組合排除を主導する大阪広域生コン協組に対して不当労働行為の損害賠償を請求した事件で大阪地裁がそれを早々と棄却したことにもそれは示されている、と述べました。このことは産別労組への攻撃にとどまらず、企業内組合も、非組合員・非正規労働者・下請け労働者の問題には関与できないとするものであるとも指摘しました。
続いて湯川委員長が発言、「労働者は一人一人では強くない。今回の弾圧は節度も常識もない。組合員は『自分は大丈夫だ』と思いたければ組合を脱退するしかないところに追い詰められた。闘い続けるためには自分を信じるしかなかった」とし、さらに「弾圧で学ばされることもあった。弾圧までは自分たちの評価など無頓着だった。弾圧を受けて、組織をどう拡大していこうかと考える時、弾圧を許さないために他の団体の労働運動や市民運動と連携を図らないといけないと思うようになった」としました。

裁判官は無知と偏見で成り立っている?

片田弁護士は「私は10年間ほど裁判官をやり、辞める前は刑事裁判官をしていた。刑事裁判官は労働運動をよく知らないし、知識もない。労働者を虐めよう、弾圧に加担しようと思ってはおらず、法に従って、と考えるが、無知に基づく偏見があり、実態を見てもらうのが大事と思う。刑事裁判の現状は事実認定が殆どで、考え方を問われるケースはほとんどない。ところが関生事件では、全部行為が録画されている加茂生コン事件や和歌山協事件で、ある裁判官たちはこれを有罪と考え、ある裁判官たちは無罪と判断した。主観的な受け止めがダイレクトに出ている。裁判官たちに自らが依拠しているものを立ち止まって見直して欲しく、京都事件は無罪と考え弁論をおこなっている」と述べました。
湯川委員長は、「何度も逮捕されて回数さえ覚えていない。勾留開示公判前に休憩所で待機があり、たばこをふかしているおっさんがいた。裁判が始まるとその人が裁判官だった。何度か開示公判で会い、一度、あなたは労働法を知っているのですか、と問うと、労働法は知らないと答えた。また、ある時は、何で勾留されなければならないのですかと言うと、私もつらいところだ、と言う。辛いのはあなたではないでしょ。次は新卒のような女性の裁判官に替わり、勾留理由開示公判で、勾留理由は何ですかと聞くと、答えられないと言った。裁判官は無知と偏見で成り立っているのか、と思った」と勾留の実体験を披歴しました。
熊沢さんは「団塊ジュニアの世代のインテリは成功者で能力主義の考えがある。恵まれない環境は自己責任だとする侮辱的な意識がある」と指摘しました。
中谷弁護士は、「裁判官は主観的にはまじめな人が多いが、裁判所が憲法の保障機関だという意識が低い。気の毒な人を助けようというようなことは時にあるが、現にある法律を正しく解釈するという意識が一般的だ。故奥平康弘氏はこれを、法解釈に終始して憲法を忘れていると批判していた」と述べました。

何でこれが犯罪?『被害者』にされた者も無罪を望む

会場から質問用紙が集められたが、「何でこれが犯罪になるのか?」という質問が複数寄せられた。
湯川委員長は「刑事裁判は検察のストーリーに事実が切り取られて当てはめられていく。暴力団を使って組合を脅してきた側が組合を恐れていたという。まるで事実とは違う。パワハラ・セクハラをやめない企業をストライキで止め、多大な損害を与えたこともあったが、そういうことは事件にもされていない。関生の運動が警察を支える勢力に不都合なものになったのだろう」と述べ、中谷弁護士は「記者会見の後、朝日新聞の記者が関生は『反社』だから記事にできませんよ、と言ってきた。検察のストーリーは関生が『反社』だという前提で作られ、裁判所も組合員を『組員』と何度も間違えていたという」と指摘、片田弁護士は「労組が解決金を支払わせても犯罪にならない、検察のストーリーは『反社』の関生が因縁をつけて金を撒き上げているとするもの」と述べました。
質問は京都事件の被害者とされた京都協組元理事長の久貝氏と湯川委員長の関係に及び、湯川委員長は「社長と社員の関係で、喧嘩もしたけどムチャクチャ仲が良かった。労使とも生コン業界を再建しなければ生きていけなかった。労使が協調することで生コンを値戻しし、春闘で5万円の昇給を勝ち取ったこともあった。久貝さんは魅力的な人で、自分を犠牲にしても他の業者が利益を得るようにした。権力の弾圧で『被害者』と『加害者』に別れてしまったが、自分の会社を守るために仕方なかったのだろう。事件が解決したらもう一回一緒にやっていこうと思っていたが、もう亡くなってしまった」と述べました。

労働組合にもう一度スポットライトが当たる時代に

最後に湯川委員長は「労働組合はよろず屋のようなもの、セクハラや心を患った人の相談が来る。社会を変えていくためには労働者が権利主張できることは不可欠であるはずだ。労働組合にもう一度スポットライトが当たる時代を作りだそう」と結び、主催者の柿山事務局長が「今日のパネルディスカッションは大正解、また、関生組合員との直の交流を続けていきたい」と結びました。
この日は故・高英男関生支部副委員長の11回目の命日、関生支部を体現した闘士であった高副委員長ならこの集会の発言をどう聞いただろうか。 愛知連帯ユニオン

5面

11・12関西生コン京都事件シンポジウム
潮目を変え押し返すチャンス

パネリストと司会者。左から金平さん、山田さん、海渡さん、竹信さん(11月12日)

11・12シンポジウムは190人の参加で京都市内で開かれた。集会は橋本麻由さん(平和フォーラム事務局次長)の司会で開会。染裕之さん(平和フォーラム共同代表)が「人間としての権利を主張することを犯罪視する警察・検察の暴挙を弾劾。その異常さは、最近の3件11名の無罪判決であきらかに。今後の運動の発展のため実りあるシンポジウムに」と主催者あいさつ。
まず関西生コン弁護団の片田真志弁護士が、京都事件のひとつ、ベスト・ライナー事件について報告した。次に中谷雄二弁護士が、大垣警察市民監視違憲訴訟で9月13日に名古屋高裁(長谷川恭弘裁判長)が出した勝訴判決の意義について報告した。
その後メインのパネルディスカッション。その内容を『関西生コン弾圧事件ニュース』108号に従って紹介する。パネリストに金平茂紀(ジャーナリスト)、山田省三(中央大学名誉教授)、海渡雄一(弁護士/関西生コンを支援する会共同代表)の3人が登壇。竹信三恵子さん(ジャーナリスト)の進行で「関西生コン事件」の問題点とその背景にある民主主義の危機を論じた。

憲法28条があるのになぜ関西生コン事件はおきたのか

まず憲法28条がある日本でなぜこんな異様な事件が起こるのか、京都事件の刑事裁判で鑑定意見書を執筆した山田省三さんが発言。「国家が労使関係に介入しないとするのが憲法28条。だが、裁判官は秩序と協調を好み、労使関係のダイナミクスを理解するのが苦手。企業別組合を前提に考えるから、刑法ではだれが何をやったかが問題なのに、関生支部がやったから犯罪とする判決を書いている。関生事件の帰趨が日本の労働基本権保障の試金石となる」と指摘した。
金平茂紀さんは、「現在のメディアは、団結して企業と対抗するのが労働組合だということを理解していない。西武百貨店のストのとき、お客様に迷惑をかけると口にする経済部の記者がいた。企業ジャーナリストの育てられ方はサツ回りから始まるので、強い権威、権力にすり寄っていくことが仕事だと勘違い。被疑者が逮捕されると『お疲れさま』などと声をかけるコバンザメのような記者が出てくる現状がある」と説明した。
海渡雄一さんは、大阪ストライキ事件の公判後の記者会見で、労働運動の問題として「事件の背景」を理解してほしいと説いたら、NHKの記者から「(関生を非難する)Youtubeの動画を観たのか」と食ってかかられた経験を話した。その後「日本の労働運動が1975年スト権ストの敗北後に劣化の一途を辿ったことが関生事件の背景にある。1974年はストライキは1万件だったが、昨年は100件以下。労働運動全体を活性化させなければ」と強調した。

民主主義のしくみの崩壊と、見えてきた潮目の変化

山田省三さんはまた、「労使関係の専門家が労働委員会の委員のはず。ところが、労働法の専門家ではあるかもしれないが、労使関係の専門家とはいえないような命令を最近は出している」と中労委の変質について厳しく批判した。
海渡雄一さんも、担当する中労委事件では「逆立ちしても理解できないおかしな命令が出されつづけている」としつつ、しかし、全日建と関生支部と組合員らが原告となって、一連の違法な捜査と長期勾留について、国(検察と裁判所)と3府県(警察)を被告として訴えた国賠訴訟では肯定的な変化もみえてきたとして、プレサンス事件で最高裁第二小法廷が取り調べ録画の全面開示を命ずる決定を出したことや袴田事件の無罪判決確定、朝ドラ「虎の翼」が話題になるなどの流れが影響しているのではないかと指摘した。
米大統領選挙の取材から帰国したばかりの金平茂紀さんは、勝利を手にしたトランプが自身が起訴された刑事裁判について自ら大統領として恩赦するだけでなく、一昨年の米議会襲撃事件ですでに有罪となった者たちも全員恩赦する見通しとされていると紹介しつつ、司法がいかに政治によってダメになるかと指摘した。しかし、その一方で、「世界の政治は不安定になってきている。日本の石破政権もあきらかに弱い。政治の力が弱くなっているいまは押し返すときだ」と強調した。

裁判に勝つ前兆

「潮目が変わってきた、押し返すチャンスだということだが、ではなにができるのだろうか」と竹信三恵子さんはパネリストたちに問いかけた。山田省三さんは、「事実を知らせることが大事だ。知れば変わっていく。運動の視える化と、労働運動以外の市民運動(消費者、教育、福祉など)との連携が必要だ」と提起した。金平茂紀さんは、「声を上げつづける、意識的に海外とつながる、メディアでいえば個人レベルの連帯。袴田再審無罪運動は、市民レベル、お姉さん、日弁連、ボクシング協会の活動はすごいなと思って学ぶところが多かった。そして、やはり事実の提示。真実は人を惹きつける」と強調した。
海渡雄一さんは、「今日ここに集まっているのは来年2月26日京都事件判決で無罪を勝ち取るため。裁判所で勝つときは前兆がある。お茶の間のひとたちが、こんなひどいことがあるのは軍事独裁政権じゃないかという認識が広がったときだ。がんばればくつがえせる」とよびかけた。
最後に、関生支部の湯川委員長が「やられたまま終わるわけにはいかない。今日は力強く感じられるシンポジウムだった」とお礼のあいさつと決意表明をした。
シンポジウムは終了予定時刻を30分も超過したが、席を立つ人はおらず、パネリストの縦横無尽な発言に、ときに共感の拍手を送り、ときに笑いがおきて、会場は最後までおおいに沸いた。

労働組合つぶしを許さない兵庫の会 第5回総会
ドイツの闘いから学ぶ
11月8日

去る11月8日神戸市内で、労働組合つぶしを許さない兵庫の会第5回総会が開かれ70人が参加した。
第1部は総会で、事務局から2023年度の活動報告案と会計報告案が提案され、拍手で承認された。
第2部は、今年3月にMBSで放映された「映像24 労組と弾圧、関西生コン事件を考える」が上映された。私は観ていたが良いドキュメンタリーなのでまだの人は是非観てほしい。
続いて「労使自治、デロゲーションと労基法改悪 ドイツとの比較をふまえて」と題して専修大学経済学部教授の岩佐卓也さんが講演(写真上)。岩佐さんはまず言葉の説明で、「デロゲーションとは国家法自体は原則的なシンプルな規制とし、それを企業の現場でそのまま適用するのが適切でない場合は、労働者と使用者の集団的な合意により、各社の実態に応じ、規制の例外を認めること」と説明した。ドイツではこのデロゲーションが拡大しており、現場の実態を無視した画一的、硬直的な規制に対して現場をよく知っている労使の自治によってデロゲーションするという論理だ。ドイツにおける横断的労働協約の役割では、協約当事者による労働条件の規制、企業間競争の圧力の排除、IGメタルの金属電機部門における週35時間制導入。2004年2月金属電機産業部門「プホルツハイム協定」を締結、「競争力の維持、改善」の場合でもデロゲーションを適用する。まとめでは、企業間競争の圧力を排除できないもとでの「労使自治」は使用者に好都合だ。「デロゲーション」の狙いは「現場の実態に合わせたカスタマイズ」ではなく、使用者から一旦呑まされた制約を第二ラウンドで押し返し無効化することとで、「使用者側が(自分に都合のよい現状にある)労使自治を賛美できる」状況をどう変えるか、と語られた。
私の感想は、デロゲーションは今の日本では無理があると思うのは、欧米と違いストライキもない日本で、デロゲーションすると使用者側に有利になる可能性が高いということだ。もっと労働組合が強くならないとだめだ。初めて聞いたデロゲーションという用語も理解できて勉強になった。 (大北健三)

6面

(投稿)
狭山と私 C
袴田さんの無罪勝利を、狭山へつなごう!
兵庫 小山俊一

10・31大阪駅行動

9・23狭山現地調査で石川さんご夫妻とお会いして、交流が出来て私の中に、大きな内なる声が聞こえるようになりました。狭山市民の会運動が全国に広がり、私の周りには素敵な面々がおられます。

JR大阪駅前人民広場で寺尾判決50年・狭山デーを闘い抜く!

大阪の青年の呼びかけで、学生や関西各地の市民の会約30人が人民広場に結集。
今まで、こんな感動的な10・31無期懲役判決許すな行動の体験はない。
JR尼崎や塚口駅とは違う人の波がドドッと帰りを急いでこちらにやってくる。ビラ撒き宣伝隊は次々に石川さんのメッセージカードを手渡す。マイク班の熱のこもった訴え、署名隊はバス待ちの市民に訴えると次々に応えてくれる。カンパは額こそ多くはないが、袴田さんの無罪を思い「次は石川さんやね」と戻ってきて入れてくれる。音楽隊はチリ・アジェンデ政権の圧政と闘った民衆の歌を伝えてくれた。大阪のど真ん中。映画『造花の判決』の永六輔さんのインタビューの場面を凌ぐ雰囲気を私は感じました。多くの人々の差別を許さない気持ちと真実、正義を望む声は決して小さくはないことを感じました。これから大きな節目の時には、市民の会の総力で梅田街宣をやり続けようと思いました。

いよいよ11・1日比谷野音の狭山全国集会が始まる

とりわけても袴田さんのお姉さんのひで子さんは、「皆さんのおかげで、無罪になった。巌は初めて選挙にも行きました。巌だけがではなく全ての冤罪者が無罪になるように。何よりも石川さんの再審を実現していきましょう」と訴えた。
青木惠子さん西山美香さんの石川さんへの心のこもったアピールが続く。
市民の会代表の鎌田慧さんは「石川さんと同じ年の私は一雄さんの無罪をかちとるまで闘う。何よりも警察の取り調べでっち上げの野蛮さは絶対に許されない。一雄さんの闘いを知り、最後までよろしくお願いします」と。

全国の仲間とともにデモ行進(11月1日 東京)

石川一雄さんは、「全国の皆さんが頼りです。下半身が弱く今日も2回こけました。しかし不撓不屈の精神で最後までやり遂げる。来年の5・23で決着させる」

早智子さんは、「多くの人達が寺尾判決50年を怒っている。来年86歳になる一雄さんの怒り悔しさを共にして生きている内に再審無罪を勝ち取りましょう。よろしくお願いします」
全国からの檄布をかざして闘志を漲らせる石川さん。
参加者はいつもより多かったと思います。袴田さんの無罪を石川さんの勝利に結びつけるラストスパートが始まった。一雄さんの闘いを知らせ、署名を増やして、自治体の狭山裁判の再審開始を決議させ、市民のうねりを、世論をつくりあげ、東京高裁を揺るがし、政府にも物申し、決着をつけさせる胸突き八丁だ。共に頑張りましょう。尼崎市民の会は尼崎の世論作りに邁進します。よろしくお願いいたします。

石川一雄さんの10・31アピール

アピールする石川さん夫妻(11月1日 東京)

寺尾不当判決50ヵ年糾弾集会にご参集下さり、ありがとうございます。
今年は袴田事件の証拠ねつ造を認めた再審無罪判決が出たこともあって、「次は狭山」との強い思いも加わり、私、石川一雄は、闘魂と希望に燃え、今日を迎えさせて頂いた次第であります。
袴田さんの再審無罪判決は当然の事乍ら、東京拘置所に居る頃のイワちゃんは「シャバに出たらまたリングに上がるんだ」と毎日のようにシャドウボクシングをしており筋骨隆々でありました。今は年齢の関係や、「死刑囚」という中での長い不当な拘禁生活によって、当時の面影はありませんが、とにかく何時いつまでも元気で長生きしてもらいたいと願わずにはいられません。
私が無罪になった暁には、誰にも干渉されることなく、自由に二人であちこちに行きたいものです。

50年前の不当判決を思うと怒りが込み上げてきますが、他方、取り調べ過程に於いて、長谷部警視は、目の前に在る4〜5個の湯飲み茶わんを私に触らせ、それを嗅いで当てるという手品まがいの芸当をし、それにまんまと騙され、感動した私自身の馬鹿さ加減が、今もなお腹立たしく、無念でなりません。「目は口ほどにものを言う」との諺通りであり、何もかも私の無知のなせるわざであり、それにつけ入った取り調べがあったわけです。
袴田事件の無罪判決は、「肉体的・精神的苦痛を与えて供述を強制した」として「自白調書をねつ造」と断じましたが、私の取り調べもまったく同じです。一方的に「脅迫状を書いたことは間違いない」と決めつけて、私が「書いてない」「書けない」と何度言っても聞き入れてくれないのです。
過去を振り返ると苦しいことばかりですが、今は、ただ只管(ひたすら) 前を向き、鑑定人尋問、再審開始を勝ち取ること、また、特に再審における証拠開示の保障や、検察官上訴の禁止等、再審法を変えさせていく闘いも急務です。
今は、体力は落ちていますが、私の闘魂は衰えることはありません。
「3次の次はない」との決意で闘い抜きます。
闘いの中でまた皆様と元気に出会えますことに心から感謝し、私の挨拶と決意に代えさせていただきます。

再審に燃え 昭和 平成 令和の中 
岩窟(がんくつ)の我(われ) 老(おい)を生き抜く

2024年10月31日 石川 一雄 
  狭山支援者各位

(映画評)
『私は憎まない』
監督:タル・バルダ 2024年

イゼルディン・アブラエーシュさんはガザ出身の産婦人科医だ。ガザに住みながら、1997年からイスラエルの病院で働いていた。2007年からガザは完全封鎖され、「天井のない牢獄」と呼ばれている。アブラエーシュさんは産婦人科医の使命にもとづき、アラブ人もユダヤ人も関係なく新生児をとりあげてきた。
09年1月、イスラエル軍によって自宅を砲撃され、アブラエーシュさんは8人の子どものうち3人と姪1人を失った。イスラエル軍はアブラエーシュさん宅であることを認識したうえで、狙い撃ちしたのだ。
現在、アブラエーシュさんはカナダのトロント市の大学で教えている。イスラエル国家の責任と謝罪を求めて裁判闘争をおこなってきた。同時に、「それでも、私は憎まない」と発言して、パレスチナ人とユダヤ人の平和的共存を訴えている。この映画はアブラエーシュさんの歩みと闘いを記録している。
アブラエーシュさんの訴えにたいして、イスラエル最高裁の判決は「戦闘行為は死者をともなう。したがって、イスラエル国家の責任はない」というものであった。この司法判断に、パレスチナ人の死者にむきあう姿勢はまったく見受けられない。
イスラエルの良心的なメディアは、アブラエーシュさんを取材している。映画のなかでも、ジャーナリストたちは「私は憎まない」について「勇気ある発言」といい、アブラエーシュさんを賞賛する。しかし、イスラエルがおこなっているパレスチナ人虐殺には反対の声をあげていない。このことによって、イスラエルのメディアは虐殺を容認しているのだ。この欺瞞的態度が、「10・7事件」以後のガザ虐殺を支えているといっても過言ではないだろう。
アブラエーシュさんは、ハマースの攻撃にたいしても批判している。日本に住む人民は、これをどのように受け止めればよいのだろうか。アブラエーシュさんの闘いに乗りかかって、イスラエルとパレスチナの双方に「闘いをやめろ」と言うべきなのだろうか。
わたしは次のように考える。アブラエーシュさんの「私は憎まない」は、イスラエル国家に向けて発せられている。侵略された側が「これ以上、虐殺を繰り返すのはやめてくれ」と訴えている。侵略された側には抵抗権がある。われわれはこれを断固として支持しつつ、イスラエル国にたいして「虐殺をやめろ」と訴えることではないか。
娘の死にたいして、アブラエーシュさんは1人でイスラエル国家と闘っている。イスラエルにたいして、われわれは抗議の声をあげていく必要がある。(鹿田研三)

7面

あがく維新を倒せ
混迷する吉村新代表
剛田力

三度目の都構想? 大阪維新の会は2024年11月19日、代表の任期満了に伴う選挙をおこない、吉村洋文が再選された。そこで吉村は、かつて2度も住民投票で否決された大阪都構想を「もう一度」と発言した。「民主的プロセス」で民意が得られれば(維新が過半数を占める府市の議会で決議すればということか?)、将来的に住民投票に踏み切る可能性を示した。
他に目玉政策がないのだ。先の衆院選は、維新が大阪中心の地域政党でしかないことを示した。維新は何か看板がないともたない。都構想は地域政党たる維新の「一丁目一番地」、万博・カジノの破産が目に見えてきた。今日、アピールできるものを他に思いつかないのだ。今さら都構想を引っ張り出せばますます、地域政党として生き残りを図るほかなくなる。「身を切る改革」といいながら都構想に何度も挑戦して税金を無駄づかいすることなど許してはならない。

離党ドミノ

日本維新の会は昨春の統一地方選で全国的に大きく躍進したが、その直後から党の方針や体質に疑問を呈し離党する者、党から処分される者などが続出し、この1年半だけで約40人が離党。前回の衆院選以降、公認候補となる選挙区支部長の辞退や解任は10人を超える。まともな政党とは呼べない異常な数だ。
数だけではない。6月28日には、世田谷区議会の稗島進区議が、離党届を提出した。稗島区議は日本維新の会から初めて東京の区議に当選した、東京の維新における先駆的な人物。これが「トップダウンが目に付く」と党執行部を批判しながら、「維新に未来はない」と離党した。
9月12日には、「衆議院東京都第15選挙区支部長」だった金沢結衣が離党届を提出。金沢は4月の衆院補選東京15区で日本維新の会から立候補していた。国政選挙で党の公認候補だった人物が5カ月足らずで離党するという異常な事態である。さらに10月7日、日本維新の会は広島3区支部長の瀬木寛親に「不適切な会計処理があった」として、衆院選では非公認にすると決定した。基幹から崩れている。

内紛激化

「全国政党」か「大阪回帰」かでも対立が激化している。「根本的な政治路線の選択」で対立しているのだ。
さらに、11月17日投開票の兵庫県知事選で再選した斎藤元彦を巡る対応の迷走も亀裂を大きくしている。維新は2021年知事選で斎藤を推薦したが、パワハラ疑惑が浮上すると、辞職を求める立場に転じた。しかし党側が出馬を要請した清水貴之参院議員(当時)は、幅広く支持を得るためとして党の公認も推薦も受けず、離党し無所属で立候補した。結果、得票数は斎藤の111万3911票に対し、清水は25万8388票。吉村は9月、斎藤に電話し辞職を促した。11月17日に斎藤の再選が確実になると「脱帽です。当選おめでとうございます」「リスペクト」と持ち上げた。
さすがに党内で「きちんとした検証が必要」との声が強まるのも当然だ。

「身を切る改革」が桎梏

最大のうたい文句だったはずの「身を切る改革」で対立が激化している。脱党した鈴木宗男は「『身を切る改革』と言うけれども、私から言わせれば何も切っていない。国会議員の歳費を2割天引きしているだけです。それを被災地に7億円寄付したと豪語しているけれども、そんなものは『身を切る改革』ではありません。では34億円もの政党助成金をどう使っているのかと、私は逆に尋ねたいですね。天引きした議員歳費にしても、これこれを寄付しましたというお知らせは来ます。しかし、その他の使途は明かさない。『身を切る改革』と言うが、議員から党に上納金を収めさせているだけで、国政で何一つ実績がない」と批判する。国会では、最後まで政策活動費の存続を主張し、その領収書の公開さえ10年後に先送りするよう改正案を書き換えてしまった。日本維新の会は2023年の11月と12月の2カ月間だけで約620万円の政策活動費を使っているが、その大半は幹部の飲食代で、しかも1回あたりの参加人数も支払先も黒塗りしている。
自治体議員などには寄付を強要し、馬場をはじめとした幹部は飲み食いに税金を使う。日本維新の会の代表選挙でも「身を切る改革」が論戦のテーマとなっている。「地方議員の数を増やすのに足かせとなる。大きく見直していくことが必要だ」「小さな市町村の議員は議員報酬自体が少なく生活ができない」と内部から否定する声が上がっているのだ。

全国展開は絶望

維新は先の衆院選では大阪の全19小選挙区で完勝したものの、東日本の小選挙区は全滅した。比例代表は約510万票にとどまり、前回から約300万票減らした。目標とした「野党第1党」や「全国政党化」は達成できず、吉村ですら「野党の中で一人負け」と認めざるを得なかった。
名前は「日本維新の会」だが、衆院選は、所詮大阪の地域政党でしかないことをあからさまにした。かつて鈴木宗男は「(日本維新の会の)お金が大阪に全部集中しちゃう」と嘆いていたが、日本維新の会の代表選での吉村への票の集中は、維新がますます大阪一辺倒にならざるを得ないことを示している。

万博とともに維新終焉

万博はすでに破産している。海外パビリオン「タイプA」は、当初60カ国が希望していたが最終的に47カ国となり、しかも2カ国は未着工だ。
パビリオン整備に関し、協会は大型重機が入る外観工事の完了の目安を「10月中旬」と設定したが、約半数の国は間に合わなかった。
前売券の販売状況は低調で、開幕約半年前の10月9日時点で約714万枚で、目標の1400万枚の51・0%だった。そのほとんどが企業向けで、個人向けの販売は少ない。ちなみに前回の国内万博、05年愛知万博では、開幕約半年前の時点で前売り券の目標800万枚の97・7%が売れていた。「空飛ぶ車」も破産し「目玉」がない。膨れ上がった建設費、赤字はだれも責任を取ろうとしない。会場の軟弱地盤、有害物質問題、ガス爆発まで起きた。万博はすでに破産している。とにかく開催したと格好つけることが目的になるほど悲惨だ。
一層地方政党に転落する維新。しかしその大阪でも比例票は減り、周辺都市では公認現職市長の落選が相次いでいる。カジノ万博串刺しで、民衆の力で維新を打倒しよう。

8面

(投稿)
兵庫県知事選挙 勝手連奮戦記 平 一平
各地で果敢な反撃も惜敗

JR尼崎駅北をうめた、いなむら派集会(11月15日 尼崎市)

日を追うごとに今回の知事選で、斎藤=立花が2候補一体で、いかに稲村候補に違法な攻撃をしてきたかが判明している。まずは2者一体の選挙運動であり、今一つは稲村陣営のXアカウント破壊であり、さらには奥谷百条委委員長や丸尾県会議員らへの、脅迫・テロ行為である。われわれはこの暴挙の数々を事実に基づいて暴露し、全面的な反撃を組織しよう。

@「当選を目的としない」立花孝志

異様な兵庫県知事選は、立花孝志が「当選を目的としない」で立候補し(公選法はそれを想定してない)、ポスター掲示板も含め、斎藤当選に全力をあげたことである。また「百条委員会報告はウソ」と言い、委員長=奥谷謙一(自民・神戸市)、丸尾まき(無所属・尼崎)、竹内英明(県民連合・姫路)らの家に押しかけ、奥谷自宅前では「自死」を求める演説をし、無言電話、サイバーテロ攻撃をおこなった。

A右派の総結集

全国のあらゆる類の右派論客(上山信一、高橋洋一など)・統一教会(沖縄からは玉城県政打倒の予備訓練としてツアーを組んで来た)・石丸陣営、ヘイト右翼などが集結した。
その全ストーリーを描いたのは上山信一(慶応大教授、橋下が大阪府知事時代のブレーン)で、上山に指示したのは安倍・菅×松井・橋下(維新初期年末会食4人組)につながる維新系・安倍系政治家ではないか。

立花孝志が貼ったポスター。立花の写真は右下に小さく、都市の一部だけで全県下に貼った訳ではない

B尼崎では10月6日の勝手連集会、10月13日の阪神勝手連など、稲村さんの立候補表明を前後し次々と行動が始まった。しかし27日投開票の衆議院選終了までは動けない。28日に集会をおこない31日の告示までチラシまき、ポスティングを各地でおこなった。告示後は証紙のついたビラだが、本人・選挙カーの来る日は不明で撒けない。で、3期12年尼崎市長・女性のシルエットのはいった大型ポスターと、確認団体チラシまきをするが、勝手連なのでなかなか系統的にはまけない。神戸でも確認団体チラシをまく人は増えたが、ネット戦略は弱く、おまけにアカウントが妨害勢力の手により凍結された。

C稲村陣営の問題点は、自民党の一部の合流の上に、多くの市長の支持が集まり、22年尼崎市長選型の市民派選挙方式で司令塔(政党・実務采配、実務のできる事務局)のないままだったことである。そのためボランティア登録しても何の要請も来なかったという声は多数聞く。
11月9日のJR尼崎に斎藤派2000人が来ても、「それは外人部隊」的な感想がその後も漏れてきた。このころ危機感を持った市民の決起は起こったが、横につながることはなかった。選対骨格の松本尼崎市長は、危機感を持ち、この段階で戦略的転換が必要と感じたようだが、遅くかつできなかった。
稲村選対は22市市長などの組織選挙と言われたが、実態は良心的市議などの個々の奮闘に任されていた。最終日のセンター街入り口1500人、マイク納めには1000人の聴衆を前に応援弁士も稲村候補も最高のスピーチをしたが、奮闘はそこまでだった。

Dプラカード隊などの奮戦

立花・斎藤一体の宣伝攻撃に、多くの市民が危機感を持ち、「究極のパワハラ=さいとう元彦」と書いたプラカードを立花・斎藤演説会に掲げるグループが出てきた。また市民団体は連続してマルイ前で「シール投票」・ビラまきで斎藤・立花の批判をおこなった。いくつか論争になったが、冷静な論議では負けることはなかった。最終行動では通例の2倍、700枚近くの斎藤批判のチラシがまかれた。
プラカ隊には斎藤派が随所で襲いかかり「器物損壊・暴力行為」で10人以上逮捕されているがマスコミは一切報じなかった。稲村側にもプラカ隊を一部批判する声もあるが、彼らは言論の自由の範囲での抗議行動で、演説後聴衆と冷静な論議も見られた。

E選挙後斎藤派は直ちに反動派の結集と、反対派の切り崩しをかけてきた。マスコミ・テレビ界では、斎藤批判だったMC(宮根など)やコメンテーター(泉房穂ら)が次々謝罪・転向していった。開票当日の伊丹市長・宝塚市長の斎藤事務所訪問の写真がアップされ、「手のひら返し」。25日には全国知事会より百条委員会が大事といった東国原元宮崎県知事も激しい攻撃に遭遇。21日関西広域連合では、吉村大阪府知事が「関西万博を一緒に盛り上げよう」と斎藤と握手をした。吉村―斎藤は万博つながりだ。奴らに負けるわけにはいかない。
斎藤支持者の暴行を弾劾するプラカ隊(11月16日 神戸市)
















冬期カンパの訴え
マルクスと共産主義の闘いのため

2024年の闘いでわれわれは新たな反戦闘争に着手し、原発依存社会への暴走と闘い、統一教会問題と裏金疑惑で自公を追い詰め、過半数割れに追い込んだ。さらに自公政権打倒へ打って出よう。石破政権の基盤は不安定で、人民は既成政党を見限り、新たな左右の激突は不可避です。
石破は、防衛相経験者を4人も入閣させ、アジア版NATOを唱え、「改憲して自衛隊明記」など安倍・岸田以上に危険な存在です。
ロシアのウクライナ侵略戦争は継続され、ガザでのジェノサイドはレバノン・中東へ拡大し、とどまるところを知らない。
アメリカ民主党は「労働者階級を見捨てた」(バーニー・サンダース)が、トランプもラストベルトの「労働者の味方」といいながら法人税を減税させ大資本の味方です。対中対立激化、関税戦争で世界経済を分断し、アメリカと世界の人民に犠牲を強いる。またイスラエルへの支援を強めて中東・世界に軍拡・戦争を招来するのは不可避です。
世界が軍拡に走り、帝国的ふるまいで地域住民の同意を得ずに武力で領土を拡大するプーチンのロシアや、帝国主義の前線国家・イスラエルの人民虐殺を許すかどうか全世界の人民に問われています。
こういう情勢こそ、反帝国主義・反スターリン主義 世界革命が問われるときはない。
プーチンのロシアにつながった破産したスターリン主義の問題は等閑視できない。「全体主義国家」という規定ではなく、資本主義から社会主義への過渡期において世界革命を放棄し、革命の孤立・遅延・困難に屈服し、「一国社会主義」を自己目的化して世界革命を裏切る疎外体として帝国主義とともに現代世界の反動的固定化をすすめてきた反革命です。今も帝とスタの問題は革命論の今日的テーマです。「マルクスへかえれ」という場合に、ロシア革命と世界革命運動の歴史・教訓の総括は不可欠であり、共産主義者の党の闘いが必要なのです。
新しい安保・沖縄闘争−反戦・反基地闘争を全国で巻き起こし、沖縄辺野古新基地建設阻止、原発依存社会への暴走と真っ向からたたかいぬく戦闘的大衆闘争の形成・爆発が問われています。2年以上の連続した実質賃金低下に対して生活防衛で社会を守らねばなりません。
石破政権打倒へ、私たちには、その闘いを沖縄・原発から拡大し、反基地闘争・戦争国家化阻止の闘いに大きく広げる取り組みが問われてます。闘争資金を準備することなしにこの決戦を闘うことはできません。来年2025年へ全国基地化反対、辺野古新基地阻止、原発稼働阻止・廃止へ大闘争のために、党と闘いへの資金カンパを訴えます。

冬期カンパにご協力をお願いします

郵便振替
  口座番号 00970―9―151298
加入者名 前進社関西支社
郵 送  〒532―0002
大阪市淀川区東三国 6―23―16
前進社関西支社