米兵による性暴力事件弾劾!
岸田政権が隠ぺい 8・10県民大集会
性的暴行・隠ぺいに抗議しキャンプ・シュワブをとり囲む(7月6日) |
少女誘拐暴行事件許すな
2023年12月24日沖縄島中部にて米空軍兵長ブレノン・ワシントン(25才)が16才未満の少女を車で自宅に連れ去り、性的暴行、わいせつ誘拐、不同意性交事件を起こしました。沖縄地検はワシントン被告(嘉手納基地所属)を事件発生後、身柄を警察に拘束せず、一夜明けた26日に保釈し米軍基地内に身柄を移したと県に伝えました。
24年3月11日に那覇地検に書類送致し、地検が3月27日に起訴したが報道されず6月25日地検が報道各社の要請で起訴状を交付し、6月26日報道され初めて公になり、玉城知事や県民は遡って、昨年12月に少女誘拐暴行事件が起きた事を知りました。
実は岸田は4月訪米、6月16日沖縄県議選、6月23日沖縄慰霊の日以前に外務省が暴行事件を把握し、首相官邸に報告していたことが最近判明しました。岸田はバイデンに少女誘拐暴行事件に対して抗議も賠償請求もせずに口先で「負担軽減」を約束。また、県議選前に5月辺野古キャンプ・シュワブ所属海兵隊員の婦女暴行事件も認知していましたが米兵による暴行事件をまるでなかったかのように「慰霊の日」に沖縄に来て「沖縄の基地による負担を軽減する」と発言した。そして一連の政治日程をこなした6月26日に小出しに、昨年12月と本年5月米兵による少女誘拐暴行事件、婦女暴行事件を報道させたのです。
岸田自公政権はこの少女誘拐暴行事件をなんと、6カ月間も隠し続けて来たのです。沖縄地検、県警は公表しなかった理由として「被害者のプライバシーの保護のため」と言い訳しています。そして、不可解にも少女暴行犯人ワシントンの身柄引き渡しを求めませんでした。いくら「プライバシーの保護」のためとはいえ直ぐに保釈し、拘束することなく在宅起訴という日本人一般刑事犯では考えられないほどの特別待遇です。日本人刑事犯の場合は23日間警察や拘置所に勾留され起訴、不起訴が決定後に保釈されることがあります。通常第1回公判終了後に「犯人の証拠隠滅、逃亡の恐れがなし」と裁判所が判断して保釈金を積んで出られます。ワシントン被告は特別待遇で保釈されていました。これが「日米地位協定」の米兵に対する優遇措置です。
一方、玉城県知事をはじめ県民はワシントンの保釈も犯行も、6カ月間知らされませんでした。
以下、「2024・7・2 琉球新報論壇 金城健一」から抜粋引用(見出しとも)
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■なぜ今ごろ公表なのか
■半年前の米兵少女誘拐暴行事件
政府が半年以上隠し続けて来た「米兵による少女誘拐と暴行」が事件直後に公表されていたら、沖縄の政局はどう変わっていただろう。県議選の結果は大きく変わったのではないだろうか。
裏金問題の発覚の直後、自民党は東京15区、島根、長崎の衆院補欠選挙で惨敗し、その後の首長選にもことごとく敗れている。東京都知事選にも自民党は独自候補を出せずにいるではないか。有権者は馬鹿ではない。あの1995年の「米兵3人による少女乱暴事件」が「普天間」を動かしたように、今度の事件が公になっていたら、反発の世論が沸騰し、政府与党が押す候補者は痛い目にあっていたのではないだろうか。
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7月2日に上記投稿が載せられました。しかし、この論稿が書かれた時期には24年5月26日、沖縄島中部で起きた海兵隊キャンプ・シュワブ所属ジャメル・クレイトン(21才)の成人女性への「不同意性交致傷」事件は報道もされていない時期でした。
起訴状では、「面識のない女性の背後から腕を廻し、首を締め付けるなど暴行を加え、女性に目の血管が出血するなど全治2週間の怪我をさせた」。女性が抵抗したため、米兵は逃走。被害者からの通報を受け県警は防犯カメラなどから米兵を特定し基地外で緊急逮捕した。
那覇地検は沖縄県議会選挙投票日の翌日、6月17日にジャメル・クレイトンを起訴しましたが、公判に支障をきたすとして認否を明らかにしない。
沖縄県警によると今年1月〜5月の米軍関係者による殺人や強盗、不同意性交等の凶悪犯の認知件数は5件あり前年の2件を既に上回っている。昨年12月の少女誘拐暴行事件では、政府と検察、県警が起訴から3カ月後に報道されるまでは事件を県に伝えていなかった。
女性団体や組合などが強く抗議
1月には、沖縄島内(事件発生地域報道なし)の住宅街の路上で、県内に住む女性に暴行を加えたとして、30代海兵隊員が不同意性交等の容疑で逮捕された。男は不起訴処分となった。県警はいずれの事件も発表していない。そして、何故不起訴になったのか説明もされていない。(24・6・29沖縄タイムス)
オール沖縄会議、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会や沖縄教職員組合などは、「昨年12月の少女誘拐暴行事件がもっと早く県民に報道されていたら、1月、5月に引き起こされた米兵による婦女暴行事件は防げたはずだ」と沖縄県警に強く抗議しました。
一連の米兵による性犯罪事件は沖縄県警、地検といった捜査当局と外務省は事件発生や起訴について把握していた一方、県には情報を知らせませんでした。
そもそも少女暴行犯のブレノン・ワシントンを逮捕したのは沖縄県警です。沖縄警察は県民の命と人権、財産を守り、平和な日常生活が送れることを目的に、県民、市民を凶悪犯罪に巻き込まれないようにするのが沖縄県民から託された仕事です。
沖縄警察は沖縄県が設置した警察組織であり、沖縄県公安委員会の管理を受け、警察官の給料の支払い者は玉城デニー知事です。なぜ、県警が県の最高責任者で警察官達の給与を支払っている玉城知事に対して、米兵による少女誘拐暴行事件を起こした犯人逮捕の事実を伝えなかったのか。その法律的な根拠は何だろうか。更に、玉城知事に報告もせずに頭越しに誰が首相官邸に御注進したのか明らかにすべきです。警察行政は「不偏不党の」はずです。岸田の使用人ではありません。岸田自公政権の沖縄差別、人権無視の「アメリカ擁護、日米安保最優先」の政治姿勢がこの事件を通じてまざまざと現れ大衆的に暴露されました。
岸田は「日米軍事安保体制」を守るために沖縄を踏みにじり、ウチナンチューに犠牲を強いて平然としているのです。その証拠が米兵による度重なる女性の人権蹂躙と婦女暴行事件を隠蔽してきたことです。その結果県議選において自公議員を当選させました。
隠ぺいの張本人岸田
岸田はなぜ6カ月以上も隠ぺいする必要があったのでしょうか。その理由はこの時期は後述するような政治日程が組まれ、もし公表されてしまえば沖縄人民の反戦・反基地、反安保・辺野古新基地反対運動の火に油を注ぐようなもので、沖縄の怒りのマグマが爆発して日米安保体制を揺り動かす大変な事態になりかねないと強く感じたからでしょう。これは岸田が12月辺野古「代執行」、4月日米首脳会議、6月沖縄県議会選挙、沖縄慰霊の日などの政治日程を平穏無事に乗りこなすことが出来なくなるからです。その予防策として少女誘拐暴行事件や婦女子レイプ事件を「被害者のプライバシー保護」と称して6カ月間隠ぺいしてきたのです。沖縄では記憶から消せない忌まわしい事件の記憶が強く残されています。
1995年に3人の海兵隊員により少女が集団暴行されました。ウチナンチューは政治信条を乗り越え10月21日「米軍人による少女暴行事件を糾弾し、日米地位協定の見直しを要求する県民大会」を開催し沖縄全島から10万人が結集し日米両政府に対して怒りを爆発させました。
沖縄の10万人集会は人口比率では首都圏にすると百万人以上の結集になります。モンデール駐日大使と橋本首相は「日米安保体制」の屋台骨が崩れることを恐れ、沖縄の怒りのマグマ鎮静化を図りました。それが「普天間基地の閉鎖、撤去」の約束でした。これが、辺野古問題の原点です。しかし、当初は撤去可能な「ヘリポート」基地でした。それが辺野古浅瀬案になり「普天間基地の移設問題」にすり替えられ現在に至っています。
日米政府の意思は紛れもなくウチナンチューの女性の人権や尊厳を守ることではなく「日米安保体制」の安定と維持、強化です。従って今もなお米兵による性犯罪は無くなりません。今回の政府の対応は極力報道を控え騒ぎを起こさず、長期間の隠ぺい工作をし、首相官邸主導の下に外務省、防衛省がイニシアチブを取り、計画的に言論統制をしてきたものです。
米兵による暴行事件の経過と沖縄関連の主な出来事
2023年
12月20日 辺野古新基地をめぐる代執行訴訟で県敗訴
24日 ブレノン・ワシントン空軍兵長が少女を自宅へ連れ去り性的暴行。
少女の関係者が110番通報。県警が身柄を拘束せず任意で聴取。
25日 玉城知事が工事設計変更の不承認を表明
27日 県が上告
28日 斉藤鉄夫(公明)国土交通相代執行
2024年
1月10日 国が「代執行」により大浦湾側工事着手
14日 うるま市の陸自訓練場建設で地元自治会が反対決議
米兵による婦女暴行事件発生、不起訴の理由不明
3月11日 沖縄県警ワシントン空軍兵長を那覇地検に書類送検
27日 沖縄地検がわいせつ目的誘拐と不同意性交罪でワシントンを起訴。外務省がエマニュエル駐日大使に抗議しましたが謝罪はありませんでした。
4月9〜11日 岸田首相が国賓待遇で訪米、バイデンと首脳会議。日米安保の更なる強化(1960年安保改定以来の64年ぶりの日米同盟の最大のグレードアップ)
11日 防衛省がうるま市の陸自訓練施設断念を発表
5月17日 エマニュエル駐日大使が与那国と石垣島を訪問
26日 キャンプ・シュワブ所属、ジャメル・クレイトン(21才)による成人女子に暴行傷害事件
6月7日〜16日まで沖縄県議会選挙。
16日投票日(結果・オール沖縄20対自公28)
17日 那覇地検がジャメル・クレイトンを起訴
23日 沖縄「慰霊の日」岸田首相、上川外相出席(米兵による暴行事件を知っていた)
25日 米兵による少女誘拐暴行事件を地元民放が初めて報じる。
(名護市在住 金城佳宏)(つづく)
沖縄県民大集会
とき:8月10日(土)午後4時
ところ:ユニオンですからドーム宜野湾
主催:辺野古新基地を造らせないオール
沖縄会議ほか
同日行動:大阪 午後6時
大阪中之島公園女性像前
梅田新道の米領事館にデモ
主催:沖縄を戦場にさせない実行委
祝園弾薬庫建設に反対
8・25 現地大学習会・デモへ
岸田文雄政権は、2022年12月に安保関連3文書を改定した。このなかで、「敵基地攻撃能力を保持」し「自衛隊の継戦能力を高める」、「南西シフトの変容と加速」をすることなどを明記している。
軍事大国化が強行されている。日本が主体的に他国の領土を攻撃するというのだ。政府関係者も「安全保障政策の大転換だ」と述べている。岸田政権は人民の声を聞かず、こんな重要なことを国会を無視して、閣議決定で決めた。独裁政治を許してはならない。
「ミサイル防衛態勢の構築」が、この大軍拡の中心にあげらている。岸田政権は2027年までの5年間で、軍事費に43兆円を使う方針だ。長射程ミサイル(スタンド・オフ・ミサイル)を独自に開発し、全国に配備しようとしている。また、弾薬を大量に備蓄し、いつでも戦争をできる準備を整える。こうして、自衛隊は「戦える自衛隊」に変貌を遂げつつあるのだ。
祝園にミサイル弾薬庫を8棟増設
長距離ミサイルの弾薬を保管するために、全国で弾薬庫の増設が計画されている。政府は、弾薬庫を2032年度までに約130棟増設するとしている。京都府精華町にある陸上自衛隊祝園分屯地では、大型弾薬庫8棟を増設する計画だ。24年度予算に102億円がつけられ、今年度中に工事をはじめる計画だ。しかし、現在にいたるも住民説明会は開かれていない。防衛省は住民にあきらかにしないで弾薬庫をつくろうとしているのではないか。
今年4月、祝園弾薬庫周辺は、土地利用規制法(2021年6月成立)による「注視区域」に指定された。政府が「機能を疎外する行為やその恐れ」があると判断したならば、住民にたいして罰則付きの命令をだすことができるようになった。
現在、防衛省は陸上自衛隊だけではなく、海上自衛隊の弾薬も保管する方針にしている。「12式地対艦誘導弾能力向上型」(射程を千q以上に延長)の弾薬を貯蔵する。海自は巡航ミサイル「トマホーク」の弾頭を保管する。こうして、祝園弾薬庫は敵基地を攻撃するための最前線基地に変わる。
「確認書」について
1958年、精華町の住民は元地主を中心にして「基地反対、土地を返せ」という運動をおこしている。このとき、反対運動を収束させるために、精華町と防衛庁(当時)の間で23項目にわたる「確認書」が交わされた。この確認書のなかで、「現在以上に貯蔵施設の拡張はしない」、「弾薬の貯蔵が増加する場合は町側と協議する」、「新たな問題等についての処理は両者により形成する機関を設け処理する」などが約束されている。「確認書」は、現在も効力は失っていない。
ところが、木原稔防衛相は国会の答弁で「この確認書は行政文書として保管はしているが、契約的な意味合いを持つものではない。この点では、精華町と一致している」と答弁した。防衛省は「確認書は効力を持っていない」と言っている。防衛省に都合がわるい内容だから、なかったことにする。こんなことは許されない。防衛省は住民との約束をないがしろにしている。早急に住民説明会をおこなうべきだ。
今年4月、沖縄県うるま市で、住民の力によって陸自訓練場建設計画を白紙撤回させた。大分県でも、敷戸弾薬庫の増設に反対して、住民が立ちあがっている。
岸田政権は「戦争する国」に変えようとしている。しかし、住民はこれをけっして望んでいない。黙っていたら、戦場に動員されるか、戦争で殺されるか、このいずれかなのだ。平和な生活をおくるためには、われわれはこの政府と闘う以外にはない。
この「確認書」を武器にして、怒りの声をおおきくし、反対行動をおこしていこう。ミサイル弾薬庫増設計画を白紙撤回させよう。8月25日、現地で学習会とデモがおこなわれる。ここで反対の声をあげていこう。
2面
なし3面
3人の弁護士6人の学者らがシンポ
関生弾圧に全面反撃
7月13日
9人のパネリストが並び、あらゆる角度から検察を論破(7月13日 大阪市内) |
連帯ユニオン関生支部・湯川委員長への懲役10年求刑を許さない「反弾圧シンポジウム」が7月13日、大阪市内でおこなわれた。主催は全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部。会場は満杯の220人が参加し熱気に包まれた。
国家権力による弾圧は、安倍政権末期2018年から19年にかけて強行された。このとき、安倍政権は闘う労働組合をつぶしてしまいたかったのだ。連帯ユニオン関生支部がその標的にされた。まず、この弾圧の概要をみておこう。
大津1次事件
大津1次事件は、@第1次フジタ事件(18年7〜8月、3回にわたって組合員4人が逮捕される)、Aセキスイハイム事件(18年11月に、組合員8人が逮捕される)、Bタイヨー生コン事件(19年4月に、組合員2人逮捕される)、C日本建設事件(19年6月に組合員6人が逮捕される)、D東横イン電建事件(19年7月に組合員4人逮捕される)で構成されている。2023年3月、大津地裁判決が出た。不当にも、湯川委員長に懲役4年の実刑判決が言い渡された。現在、控訴審がおこなわれている。
京都事件
京都事件は、@ベスト・ライナー事件(19年9月に、組合員2人が逮捕される)、A近畿生コン事件(19年7月、組合員2人が逮捕される)、B村田建材〈通称、加茂生コン〉事件(19年6月に、組合員5人が逮捕される)からなっている。6月17日の裁判では、湯川委員長に10年の求刑がおこなわれ、9月に結審する予定だ。
和歌山広域協組事件
和歌山広域協組事件(19年7月〜11月に、組合員5人が逮捕される)。2023年3月に、大阪高裁判決で3人全員が無罪をかちとった。検察は上告を断念し、無罪が確定している。
7・13集会は、京都事件にたいする反撃としておこなわれた。まず、湯川裕司(連帯労組関西生コン支部執行委員長)が主催者あいさつをおこなった。「日本では企業別組合がほとんどで、産業別組合が少ない。世界は、この逆だ。日本のなかに、産業別労働組合をどのように根付かせていくか。ここが課題になっている。関西生コン労組だけが弾圧されているのではない。じつは、すべての人びとが弾圧されているのだ。真の民主主義を実現するために、この日本を変えていこう」
次に、パネルディスカッションがおこなわれた。コーディネーターは連帯労組関西生コン支部書記長の細野直也さん。パネルディスカッションは、京都事件を中心にしておこなわれた。京都事件について、担当弁護士が事件の概要と、検察の論告内容とその批判を解説した。その後、パネリストが意見を述べた。大津第1次事件、和歌山広域協組事件について、担当弁護士が概要を解説した。パネリストがコメントした。最後に、今後の闘いについて、各パネリストが発言した。以下、各パネリストの発言要旨をまとめる。
〇吉田美喜夫(立命館大学名誉教授)
「経営者は関西生コン支部の存在を恐れていた。検察の論告は、労働組合にたいしてきわめて予断と偏見にみちている。経営者にたいする追及はきわめて弱い。労働組合は世論を味方につけていくことが重要だ。企業による不正事件がおきている。労働組合が企業を監視していく。世論を味方につけていくことが重要だ」
〇竹信三恵子(ジャーナリスト)
「企業別組合では、企業のなかのことになってしまう。産別ならば、産業全体を規制できる。資本は企業別労組ならば容認するという態度。女性の労働条件が悪いのは、産別労組ではないからだ。幅広い勢力と連帯して、社会的に反撃していくこと。労組が社会的影響力を持っていくこと。これが民主主義のために大切なことだ」
〇望月衣塑子(東京新聞記者)
「コンプライアンス活動を認めないような発言が、地裁裁判官から出てくるのは問題だ。関西生コン労組はあたりまえのことをやっている。権力は弾圧をみせしめにして、労働組合が委縮する空気をつくろうとしている。政権にたいして反対の声をあげさせない。労働者に団結させないようにする。権力はこれを狙っている」
〇大石あきこ(れいわ新選組、衆議院議員)
「産別労組だから、関西生コン支部によって生コン価格を安定化させることができた。こんなことができる労組であったから、権力は許すことができなかった。今後、これを取り戻していくことが重要だ」
〇木村真(豊中市議会議員)
「北大阪ユニオンの執行委員もやっている。労働者の立場は圧倒的によわい。びびってしまったら負けだ。相手をビビらせることから、闘いがはじまる。関西生コンの弾圧を許したら、労働組合はなくなってしまう。無罪判決を勝ち取っている。これをひろく伝えていくことが重要だ」
〇小林勝彦(全港湾大阪支部執行委員長)
「7〜8人の労働者が首をきられたら1億5000万円の解決金は当然のこと。仕事を失った労働者が生活するために必要だ。共謀は労働組合だから、おこなって当たりまえ。ストライキは営業を妨害するためにおこなっているのではない。権力は、関西生コン支部をつぶすことが目的なのだ」
最後に、島田弦季さん(今栖産業株式会社・代表取締役)が会社の現状について訴えた。今栖産業は連帯労組関西生コン支部とともに歩んだために、まわりの企業から排除され、生コン供給が停止させられた。これは仮処分で勝訴した。
このように、連帯労組関西生コン支部は産別労働組合として、労働者はより良い労働条件を勝ち取っている。中小企業の経営者とも手を組んで、大企業と闘っている。すべての労働者は、国家権力による関西生コン弾圧を許してはならない。自分自身の課題として、闘っていこう。
関西合同労組が定期大会
手ごたえ感じる一年
あいさつする佐々木委員長 |
7月14日、関西合同労働組合第31回定期大会が兵庫県西宮市内で開催された。
最初にあいさつにたった佐々木伸良執行委員長は、パレスチナ・ガザへのイスラエル軍によるジェノサイド(皆殺しの民族浄化)を弾劾し、震災から半年以上経過しながら復興が遅々として進まず被災者が置き去りにされている能登半島地震に怒りをもって触れ、万博・IRに湯水のごとく税金を投入し、「台湾有事」をあおり、南西諸島(琉球弧)のミサイル基地化等を進める岸田政権と根底から闘うことを訴えた。
佐々木委員長は、24春闘や争議分会の状況、組織拡大の取り組み、おおさかユニオンネットワークの闘い、連帯労組関生支部弾圧との闘い等を報告した。とりわけ、6月17日に京都地裁で関生支部の湯川裕司委員長に懲役10年が求刑されたことに対し「労働者の団結の力で完膚なきまでに粉砕しなければなりません」と訴えた。
最後にまとめとして、この1年間をふりかえって、昨年立てた目標はなかなか達成できていないところもあるが、手ごたえは感じていると報告した。委員長自身が2つの複数分会の組合員の生の声を聞かせてもらうなかでさまざまな課題を実感したことや労働相談テントでのビラの受取りがよくなってきており、増え始めているパワーハラスメントの相談も解決への手ごたえもあるとして、「組合員一人ひとりが『困ったことがあれば、ウチの組合に相談して』と胸を張って言い切れるような、そんな組合として関西合同労働組合を再建しなければならないと思います」と訴えた。
8月に拡大執行委員会
拡大執行委員会は執行委員以外の組合員で問題意識を持つ人たちにも参加してもらって、ともに今の関西合同労働組合がぶつかっている壁を乗り越えていくために開催されるもので、第1回は、昨年の第30回定期大会の直後に開催された。第2回目の拡大執行委員会は、8月に開催することが予定されている。
昨年の拡大執行委員会では、増加する一方の在日外国人労働者の組織化が提案された。1995年の阪神大震災当時、日経連は日本型雇用制度を破壊し非正規雇用の拡大による搾取に道を開いたが、非正規雇用拡大による搾取は今、限界に達しており、日本の支配階級と資本は激しくなる労働力不足を補う制度として「監理された移民」政策を強化していこうとしている。日本の支配階級と資本は、永住権はく奪を根幹にすえた「育成就労」という名の「奴隷制度」を強化していこうとしている。劣悪な労働条件におかれている外国人労働者の抵抗と反乱は不可避であり、これとの連帯が死活的に問われている。今回はこの問題についても議論される予定である。
4面〜5面
強制不妊 7月3日 最高裁判決 原告が全面勝訴
旧優生保護法は違憲 国に損害賠償命令
「立法自体が違憲」と国会を批判 国の障害者差別を断罪
「除斥期間」適用は権利の乱用と判断し、「89年最高裁判例」を変更
木々繁
7月3日の最高裁判決について、東京会場と同日同時刻に開かれた兵庫会場集会(神戸総合福祉センター、主催・「被害者とともに歩む兵庫の会」)の状況と現地から配信された映像、動画、実況解説および各種報道とをもとに、以下報告します。
旧優生保護法(以下、旧法。1948〜96年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、全国の被害者が国に損害賠償を求めた5件の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は7月3日、裁判官15人全員一致で旧法を違憲と判断(注1)し、原告全面勝訴の判決を言い渡した。
大法廷が判決を言い渡したのは札幌、仙台、東京、大阪、神戸の各地裁の5訴訟で、うち札幌、東京、大阪各高裁の原告勝訴判決4件について、「国を免責することは著しく正義・公平の理念に反する」として、国に賠償を命じた二審判決を確定させた。除斥期間が適用され原告が敗訴した仙台訴訟については、国の上告を棄却し、仙台高裁判決(23年6月)を破棄、損害額算定のため高裁に差し戻した。
旧法は当時の社会状況を考慮しても、自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由を保証した13条、法の下の平等を定めた14条1項に反すると断じた。国は訴訟で一貫して違憲性の認否を回避してきたが、これを一蹴した。「48年間の長きにわたり(注2)、国家の政策として特定の疾病や障害を持つ人らを差別し、不妊手術を積極的に推進し、その結果少なくとも約2万5千人が生殖能力を失う重大な被害が生じた」と国に責任の重大性を突きつけた。
事実上、国の所業を国家犯罪として断罪したと言える。
また、手術に同意した人が存在したことについて、「特定の個人に重大な犠牲を払わせようとするもので、手術に同意を求めること自体が、個人の尊厳と人格の尊重の精神に反する」と断じた。
さらに、旧法の立法自体が違憲であると指摘し、国会の責任を厳しく問うた。
被害救済に関する国の姿勢についても厳しく批判した。「旧法の廃止後に速やかな補償が期待されていたのに、補償しなかった」、(一時金支給法についても)「賠償責任を前提とせず、一時金320万円の支給にとどまった」。最高裁は、このように一時金支給法に関する5・29大法廷口頭弁論での国側の立派な補償法を立法した国会に対して司法は黙れ≠ニ言わんばかりの妄言(注3)を強くたしなめた。
(注1)法令を違憲と判断したのは今回の旧優生保護法で13例目。最高裁は法令が憲法違反かどうかを判断する「違憲立法審査権」を持ち、新たな憲法判断を示す場合は全15人の裁判官が参加する大法廷で審理する。
(注2)スウェーデンでは1932年、社会民主労働党が政権を握り、34年に強制的な不妊手術を認める法律を制定、1975年まで41年間にわたり強制不妊手術を続けた。日本は、スウェーデンが廃止した後も20年余も長く96年まで続けた。また、スウェーデン政府が法廃止直後に謝罪と補償をおこなったのに、日本政府は謝罪もせず被害を放置し続けた。
(注3)『未来』393号4面、上から6段目2行〔立法府の意思〕参照
不法行為から20年が過ぎると損害賠償請求権が自動的に消滅するという旧民法の「除斥期間」の解釈について、最高裁は国が主張すること自体を「信義則違反または権利の乱用で許されない」と断じ、20年の経過で一律に損害賠償請求権がなくなるとした「89年最高裁判例」を変更、「著しく正義・公平の理念に反する場合」に、裁判所が除斥期間を適用しない判断が可能になるとし、例外を認めた(注4)。
最高裁判決の補足意見で草野耕一裁判官は、今回の訴訟で「司法が取るべき対応」について、次のように述べた。「(前略)為政者が憲法の適用を誤ったとの確信を抱くに至った場合、その判断を歴史に刻印して立憲国家としての我が国のあり方を示すことだ。そうであれば、本件の規定が違憲である旨の判決をすべきだ。本件における除斥期間の主張は信義則に反し、権利の乱用に当たると判断しなければならない」
(注4)「89年最高裁判例」は、その後の訴訟を強く拘束し続けた。最高裁の判決で、例外はこれまでで2例だけだ。ひとつは、予防接種を生後5か月で受けて障害を負い寝たきりになった男性が、接種から20年以上過ぎて提訴した事案の98年判決。もうひとつは、殺人事件の加害者が遺体を隠し、26年後に遺族が被害を知ったケースに対する09年4月の判決。各地の強制不妊訴訟でも、19年5月の仙台地裁判決以降地裁レベルでは連続6回除斥期間が適用され敗訴した。
この日、傍聴券を求めて1000人近くが最高裁に集まり、うち140人が傍聴した。
「国が賠償責任を免れることは、著しく正義と公平の理念に反する」・・・。戸倉裁判長の判決文読み上げが終わり、15人の裁判官が立ち上がって一礼すると、約140の傍聴席から拍手がわきあがり、退廷する判事全員の背中が見えなくなるまで、鳴りやまなかった。
「勝った。やったね」 閉廷後、新里弁護士は隣の席に座る飯塚淳子さんの手を取り、力を込めた。深くうなずく飯塚さん。目にあふれる涙をハンカチで拭い、喜びをかみしめた。
各地の原告と弁護団もみんな笑顔で握手した。聴覚に障がいのある人たちも手をあげてひらひらさせる手話で喜びを表した。感極まって泣き出す人もいた。
仙台訴訟原告・飯塚淳子さんと佐藤路子さん(原告・由美さんの義姉)は固くハグしてあたりをはばからず涙しながら試練に耐えた戦友として互いをたたえ合った。私たちが(仙台地高裁で)連勝してその後の各地が負けるよりも、私たちが連敗しても各地が勝訴したことが大きな意味をもった。それで、敗訴した私たちが最高裁の勝利につながったんだよね
札幌訴訟の小島さん、東京訴訟の北さんも熱い抱擁、喜びあった。
判決を受けた記者会見の終了後、原告・弁護団、支援者たちは衆院第1議員会館前で互いに「おめでとう」「ありがとう」と抱き合い、握手し、喜びを分かち合った。
議員会館正面には 「優生保護法による不妊手術 被害者に今こそ救済を!」の大横断幕が掲げられ、原告や支援者たちが書いた垂れ幕が数多く並んだ。
勝訴
旧優生保護法は違憲 優生思想を打ち破る 障がい者の声が届いた
全ての被害者の救済を などなど。
東京訴訟原告・北三郎さんは「今までありがとうございます」と大書きした直筆の旗を掲げた。
除斥期間に関する今次判決とその意義について
今回の判決は、旧民法724条後段を「除斥期間」とする解釈は維持しつつ、「20年で画一的に権利を失わせる89年判例は「到底容認できない結果をもたらす」として変更した。
●旧民法724条の規定「不法行為の損害賠償請求権について「(被害者側が)損害および加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為から20年を経過したときも同様とする」(・・・傍線が後段)。
このように、除斥期間の考えは法律に明記されたものではない。他ならぬ最高裁が89年に右記傍線部分を除斥期間と解釈して確立したものだ。
最高裁判決は、そもそも加害者である国が除斥期間の経過による賠償請求権の消滅を主張すること自体が信義則に反すると断じて、「89年判例」を変更した。除斥期間の主張が信義則に反し、権利の乱用にあたる場合、除斥期間の経過による免責は認めないとした画期的判決だ。
これまでの地・高裁など下級審の判決では、除斥期間の適用を制限しつつも、被害者が賠償請求できる期間については一定の時間的制約があった。22年3月の東京高裁判決の「一時金支給法制定(19年4月)から5年以内」、23年3月の大阪高裁判決の「旧法の規定を国が違憲と認めた時か、最高裁判決が確定してから6カ月以内」などである。
ところで、国の統計では不妊手術をされた被害者は約2万5千人で、訴訟を起こした人はそのごく一部である。潜在的な被害者が今なお多数いると考えられる中で、請求期限を区切れば一律救済はきわめて困難である。そこで、最高裁は判例を変更し、被害者固有の事情を広く汲み取れるよう努力した。つまり、救済期間の制約をきれいさっぱり取り払ったのである。広く、将来にわたって被害者を救済できる論理を示したものだと言える。今後、被害者は手術を受けた事実を証明しさえすれば、救済されることになる。
今次判決で、司法は当事者がそのひとり一人に固有の事情を主張することで効力が生じる「消滅時効説」に事実上転換したと言える。すでに昨23年10・25仙台高裁判決で、小林久起裁判長は「89年最高裁判例」を明確に否定し、「20年」を時効期間と解釈し、国賠命令を出した。また、本年3月の名古屋地裁判決で、斉藤裁判長は、「優生手術にはもはや妥当性を有しない」と、除斥期間適用を正面から否定し、国賠命令を出した。
さらに、今次判決の補足意見で宇賀克也裁判官は「改正前の民法724条後段は除斥期間ではなく消滅時効を定めている。『除斥期間だと解さなければ賠償請求権が理論上永続することになる』という意見は現実性に乏しい。(以下略)」と述べている。こうした流れが、今次最高裁判決によって、司法の消滅時効説への転換をさらに加速すると思われる。
さらに、今回の判断は、幼少〜思春期に受けた性暴力・性的虐待(注5)、水俣病、塵肺などの公害、薬害といった訴訟にも大きな影響をもたらすと考えられる。被害者が「時の壁」に阻まれて泣き寝入りしてきたこれまでの状況が大きく変わるのは間違いない。
(注5)子どもの頃に実父から受けた姦淫などの性虐待でPTSD(心的外傷ストレス障害)を発症したとして、父親の損害賠償を求めた広島県の女性の事例。一審広島地裁は22年10月、二審広島高裁は23年11月、いずれも除斥期間を適用し、請求を棄却した。
声を上げ、筆舌に尽くせぬ苦闘の末、歴史的判決を闘いとった原告、弁護団・支援団体―喜びと差別なき社会実現の訴え
▼仙台訴訟・飯塚淳子さん(仮名。70代)、支援者から花束を贈られ、「じーんときました。泣きました。長い間苦しみながらようやくここまで来たけれど、今日は最高の日になりました。私に障がいはなかったのですが、手術されました。国が長年、いいかげんなことをしてきたことがはっきりしました。決して許せません。きちんと謝罪と補償をしてほしい。手術をされた皆さんが名乗り出て、謝罪と補償を受けてほしいです。障がい者差別のない社会であってほしいです。国は障がい者を不良と言ったけど、障がい者は不良ではありません」
飯塚さんは判決を目前に控えた6月、両親の墓参りをし、黙々と回りの草を取り、「守ってください」と語りかけた。病弱だった父を支え、懸命に働きながら育ててくれた母への感謝がいつも胸にあるという。
▼仙台訴訟・佐藤路子さん(仮名、60代。原告・佐藤由美さん〔仮名。 知的障がいをもつ60代女性〕の義姉)―(声をつまらせながら)「本当によかった。妹のために、障がいがあるというだけで邪険にされるような、そんな差別のある社会であってほしくなくて。だから、闘いつづけてきました・・・。」
▼東京訴訟・北三郎さん (仮名、81)(涙を浮かべ)「こんなにうれしいことはありません。私一人では勝てなかった。ご支援ありがとうございました。
妻と親の墓の前で『勝ちました』と言いたい。ここに来られなかった方、亡くなられた方にも勝ったことを知らせたい。2万5千人の被害者の人たちに、勝ちましたと伝えていきたい。全面解決がまだ残っています。それに向けて一緒にがんばっていきましょう」
▼関哉直人東京訴訟弁護団長(感極まって涙にむせびながら)「判決は被害者全体を救う理屈を裁判所が必死になって考えた結果だと思います。心から敬意を表したい。全員救済へ潮目が変わった。感無量です」。
▼札幌訴訟・小島喜久夫さん(83)(声をつまらせながら)「何も言うことはありません。感無量です。毎日が闘いでした。一生懸命支援してくれた人たち、ありがとうございました。提訴から6年、妻と二人で助け合って、今日も東京まで一緒に来てくれました。勝って本当にうれしい。昨晩は判決がどうなるか怖くて眠れなかった。私の体にメスを入れたんだから、国は謝罪してほしい」
▼大阪訴訟の野村花子さん(仮名、70代)と夫の太朗さん(仮名、80代)。(リモートで報告集会に参加、手話で)「長い間、この報せを待っていました。良い判決が聞けて喜んでいます。ありがとうございます。これからも皆さんと一緒に頑張っていきたいと思います」、花子さん「過去は変えられないけれど、これからは変えられる。このような人権侵害が二度と起きない社会になってほしい」
▼兵庫訴訟・鈴木由美さん(68、神戸市。脳性まひ者)「長かったなぁ。みんなが頑張ってくれて、ほんまにいろいろな思いが浮かんだ。本当によかった。国が悪いと裁判官が認めてくれた。苦しんでいる人がまだ多くいる。この判決を第一歩に私たち障がい者が当たり前に暮らせる社会へ一歩ずつ、原告や弁護団と一緒に歩んでいきたい」
▼兵庫訴訟・小林寶二さん(92、明石市。聴覚障がい者)、原告席で手話通訳による主文や理由の説明を受け、大きくうなずき、記者会見で「長かったです。この判決を待っていました。歴史的判断です。妻も天国で喜んでいると思います(注6)。国は間違っていた。裁判が引き延ばされ、私たちの苦しみは長くなった。今日で終わりにして安心したい」。
(注6)18年、寶二さんとともに神戸地裁に提訴し、闘ってこられた妻・喜美子さんは23年の大阪高裁控訴審勝訴を勝ち取りながら、国側の上告という暴挙によって、今次最高裁判決を知ることなく、22年6月無念にも病気で逝去された。
▼藤原精吾兵庫訴訟弁護団長「この判決をきっかけに優生思想を社会から取り除く取り組みを本格的にスタートさせていかなければなりません」
▼名古屋訴訟原告―ともにろう者の尾上敬子さん(74)一孝さん(77)夫妻は(勝訴に沸く最高裁前に駆けつけ、支援者たちの前に姿を見せた原告の方々に拍手を送り、「すごくうれしい」と喜び合った。二人は手話通訳を介して語った。敬子さん「まだまだ声を上げている人は少数です。被害を受けた人にはこれを機に沈黙を打ち破って声を上げてほしい」、一孝さん「最初は不安と期待が入り交じっていたけど、じわじわと喜びが湧き上がってきました」
二人の訴訟では今年3月、名古屋地裁が国に1650万円の賠償を命じたが、国側が控訴、裁判は継続中。敬子さん「被害者が高齢化し、訴訟中に亡くなった原告もいる。早く終わってほしい」、一孝さん「国は先延ばしせず、早期に謝罪し、被害者を救済すべきだ」
▼静岡訴訟・武藤千重子さん(75、浜松市。視覚障がい者として初めて提訴)「みんなが救われる判決で本当に良かった。10年前なら、この判決は出なかった。時代は変わってきている。いまさら国の偉い人に謝ってほしいなんて思いません。その代わり、差別が無い世の中をつくる姿勢を見せ続けてほしい」
大橋昭夫静岡訴訟弁護団長「顔と名前を出して訴訟に踏み切った武藤さんの勇気ある姿が、裁判官の心を動かす大きな力になったはずだ。(権利の乱用にあたるとして「除斥期間」を適用しなかった判決について)細かい条件がなく、県内の2人(注7)をはじめ多くの原告に当てはめられる良い判決だ」
(注7)武藤さん(20年静岡地裁浜松支部に提訴、本年5月勝訴)と、聴覚に障がいがある宮川辰子さん(仮名。19年静岡地裁に提訴、23年2月勝訴)の2原告。
▼佐野雅則静岡訴訟弁護団事務局長「全員救済となる判決だった。国には裁判を起こしていない被害者を含めた救済の宣言と謝罪を求めたい」
▼福岡訴訟・朝倉典子さん(仮名、82、聴覚障がいのある夫・彰さん〔21年83歳で死去〕が強制不妊手術され、夫妻で19年福岡地裁に提訴、本年5月に勝訴したろう者の女性)、最高裁の判決言い渡しに立ち会い、記者会見で「涙が出るほどうれしい。天国にいる夫も喜んでいることでしょう」。福岡弁護士会館では、支援者など80人が会見をオンラインで見守り、典子さんに手のひらをひらひらさせる手話の拍手を送った。福岡弁護団の久保井摂弁護士は「私たちみんなで獲得した判決です。これを宝として差別偏見をなくしていく活動に皆でとり組んでいきましょう」と呼びかけた。
▼熊本市で報告集会(判決と同日の7月3日)。弁護団や支援者たちは「渡邊さんが国に一矢報いた」、「勝訴の喜びを分かち合いたかった」と、今年2月に79歳で亡くなった原告の渡邊數美さんを偲び、口々に「墓前に全面勝訴を伝えたい」と語った。
熊本のもう一人の原告・川中ミキさん(仮名、78)も集会に駆けつけ、「弁護士や支援者の皆さんのおかげでここまで来ることができました。よかったです」と声を震わせた。二人は18〜19年に相次いで熊本地裁に提訴。一審判決は23年1月、旧法を違憲と判断、二人に対する計2200万円の賠償を国に命じた。国側が控訴し、福岡高裁で今年3月に判決が予定されていたが、渡邊さんは2月10日、自宅で倒れているのが見つかった。渡邊さんの訴訟は遺族の一人が引き継ぐことになり、手続きを進めている。
三角恒弁護団長「『除斥期間』を適用しなかった最高裁判断は旧法がいかに人権を侵害するものかを最高裁が自ら表明した点で重要だ。渡邊さんは『国は自分をひどい目に遭わせておいて、何が除斥期間だ』といつも怒っていた。今日の判決を聴く前に亡くなられてしまい、本当に無念です」
▼徳田靖之(注8)大分訴訟(注9)弁護団代表(80)「望みうる最高の判決が出た。今後、大分訴訟の原告が救済されるのは間違いない。このことを被害者の人びとに伝えて、救済を進めていかなければならない。県にも協力を求めていきたい」
(注8)ハンセン病訴訟と強制不妊訴訟の両方に尽力した弁護士。
(注9)大分地裁では23年3月と24年2月に、知的障がいのある70代女性2人がそれぞれ提訴した。原告・弁護団は、裁判で強制不妊手術を通して優生思想や障がい者差別を広めたとして、国の責任を追及している。弁護団は、今後は多くが高齢者とみられる被害者の実体・実態把握も重要なポイントとして取り組むという。県内の強制不妊は663人とされるが、「一時金支給法」による支給は28人にとどまっている。
▼ハンセン病と人権市民ネットワーク沖縄・宮古の亀浜玲子共同代表(70)「勇気を出して声を上げた原告の皆さんが『国でも間違ったことをする』ということを教えてくれた。被害を受けた方々に国は真摯に対応しなければならない」
県によれば、一時金支給法施行の19年以降、被害者からの申請件数は17件、認定も17件だった。
▼新里宏二全国優生保護法被害弁護団共同代表(および仙台訴訟弁護団長)「被害者が裁判という形で勇気をもって声を上げ、最高裁をも動かした。社会を変える素晴らしいたたかいだ」。
「最高裁大法廷の判決は、被害回復への道を大きく開くもので、私たちが求めていた中でも最高の内容だった。憲法の番人として、そして『人権の砦』としての矜持を示した結論だと受け止めている。19年5月の仙台地裁判決以降『除斥期間の壁』で全国各地裁での敗訴が続いた。それでも、私は『違憲判断の積み上げが勝利につながる』(注10)と信じて、各地の弁護団と議論を重ねた。努力が結実したのが22年2月の大阪高裁判決で、除斥期間の適用を認めず、初めて国に賠償を命じた。
今後、重要なのは漏れのない救済だ。国はだまして強制手術をおこなうことをも許していた。手術記録があるのに、訴えが起こされていないことを理由に無視するのは、被害者を『二度だます』ようなものだ。国は各地の高齢者施設を網羅的に調査するための予算をつけ、積極的に被害の掘り起こしに努めるべきだ」
(注10)全国12地裁・支部で起こされた強制不妊訴訟では、これまで地裁で13件、高裁で7件の判決が出た。計20件の判決のうち18件が違憲と判断した。
▼利光恵子さん(優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会〔優生連〕共同代表)「(手話で)全ての人の人権と尊厳を回復させ、二度と同じ過ちを繰り返さないようにしていきましょう」
▼藤井克徳さん(日本障害者協議会代表)「旧優生保護法が社会全体に蔓延させた『障がい者は弱い者、劣る者』という誤った『障害者観』を、正しい方向に変えていく力のある判決だ。司法の場では決着したが、勝ち負けが重視される競争社会で優生思想は影のようにつきまとう。判決が広く社会に生き渡り、優生思想を払拭する新たな出発点になってほしい」
仙台と大阪訴訟、原告の勝訴が確定
仙台訴訟第2次提訴の原告・千葉広和さん(75)とDさん(80代男性)の訴訟と、加山まい子・徹(いずれも仮名)夫妻が起こした大阪訴訟第3次提訴について、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は7月4日、裁判官5人全員一致の判断で、国の上告を受理しないことを決定した。
被害者1人当たり1100万〜1650万円(配偶者は220万円)の賠償を命じた仙台、大阪両高裁の判決が確定した。
先行して飯塚淳子さん・佐藤由美さんが提訴した仙台訴訟第1次提訴は、7月3日の最高裁判決で高裁への差し戻しが決まったため、宮城県内で勝訴判決が確定したのは初めて。5日、仙台市での記者会見で、千葉さんは「長い闘いが終わってほっとしています」と語った。
最高裁判決を受け、岸田と政権は早くも謝罪や救済を口にしてうごめきはじめた。新里弁護士は5日、仙台市での記者会見で語った。「今後の救済のあり方を国に仕切らせてはいけません。被害者目線で進めることが大事です。まだ手を抜いてはいけません」
障害者権利条約の原則を徹底的につらぬき、原告・被害者の要求を全面的に支持し、政府、官僚らのあらゆるゴマカシ、換骨奪胎、骨抜き、手抜きを許さず、最高裁判決の地平を守り、さらに発展させよう。
原告・被害者のたたかいに連帯し、最高裁判決の地平から優生保護法問題の全面解決要求書(注11)の完全実現に向かってともに前進しよう。
(注11)革共同再建協議会理論機関誌『展望』31号149〜150ページ参照)
6面
続発する米軍人による性暴力を促進する日本帝国主義の対中国戦争政治
日米地位協定の廃止を(上)
島袋純二
6月25日に沖縄で発覚した昨年。12月の米軍人による16歳未満の少女に対する性暴力事件後も、3件の米軍人による性暴力事件があり、それも隠蔽されていたことが明らかになった。
さらに5月に起きた米軍人による性暴力事件も6月28日に発覚した。このような米軍人による性暴力という重大犯罪が県当局や県民大衆に公表されなかったことに対して凄まじい怒りが巻き起こり広がっている。
玉城デニー知事は6月25日の発覚直後に、「事件については何よりも被害者とご家族の心情に配慮することが大切だ」と指摘した上で、「ましてや被害者は未成年で、被害者を責めることは絶対にあってはならない」とし、外務省の対応を「著しく不信を招くものでしかない」と怒りを露わにして激しく批判した。
オール沖縄会議は共同代表の糸数慶子さんが「怒りで体が震えている」と批判し、外務省が起訴を把握していながら約3カ月間も県側に伝えなかったことに対して「隠蔽だ」と指摘した。
浦添市議会は事件を糾弾し、日米地位協定の抜本的見直しなどを求める抗議決議を全会一致で可決した。
7月1日、県女団協は「女性の尊厳脅かす」と抗議声明を出し、2日には読谷村長が外務省に抗議、県の教育団体や市民団体も声明を発表した。さらに名護市議会も抗議決議と意見書を全会一致で可決した。ヘリ基地反対協は情報隠蔽を批判し、沖縄防衛局に抗議した。
3日には沖縄市議会が「軍人教育機能せず」として、全会一致で抗議決議を採択した。
嘉手納基地周辺の3市町でつくる「三連協」は抗議要請書を米軍に直接手渡した。宜野湾市長も外務省沖縄事務所と沖縄防衛局を訪れて抗議した。
おきなわ女性財団は「県への情報提供が遅れたことで、被害者の人権を守り適切なサポートがなされたかなどの懸念が拭えず、政府対応に怒りを禁じ得ない」との声明文を読み上げた。
「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」は4日に緊急抗議集会を開き、約600人が参加した。緊急抗議集会では「平和な暮らしを返せ」「いても立ってもいられない」「悔しさは全県民の思い」など参加者の声が上げられた。そして超党派による県民総決起大会の開催も求めた。
糸満市議会は相次ぐ事件に「県民の怒りと不安が広がっている」と指摘し、情報提供体制の再構築などを求めた。同時に、被害者への謝罪・補償とケア、再発防止策、容疑者の身柄の即時引き渡しと日米地位協定の抜本的改定、在沖米軍基地の整理・縮小も求めた。
6日、米軍キャンプシュワブ・ゲート前で新基地建設に抗議する座り込みを始めてから7日で満10年となるのを前に、オール沖縄会議は「第43回県民大行動」を開き、約1200人が参加した。相次ぐ米兵による性暴力事件や新基地建設の強行、同市安和の抗議活動の現場で起きた死傷事件などに怒りの声を上げた。10日、沖縄県議会は相次ぐ米兵による性暴力事件に対する抗議決議と意見書を全会一致で可決した。
このような怒りの行動がさらに琉球全域に拡大しつつある。
日米地位協定の犯罪性
米軍人・軍属・家族などの米軍関係者による性暴力が絶えないのは、日米地位協定によって彼らが手厚く保護されているからである。昨年12月に性暴力を起こした米兵は何と驚くべきことに裁判で「無罪」を主張したが、その背後には地位協定による保護が暗黙の前提としてあるからだ。地位協定は治外法権となっていて日本の法律は適用されず、これによって日米安保体制が維持されている。性暴力という重大犯罪が隠蔽されていたことに対しても、県当局をはじめとする各方面からの激しい怒りと公表を強く求める声に押されて、日本政府は捜査当局による事件処理の終了後「例外なく(地方自治体に)情報伝達する」と示したが、「被害者のプライバシー保護の観点から可能な範囲に限る」とし、「情報の不適切な取り扱いが生じた場合は、情報伝達を取りやめざるを得ない」と付け加えた。これだと隠蔽の歯止めには全くならないし、まやかしもいいところだ。あくまで地位協定の治外法権を維持し、米軍基地と米軍を守り、安保体制を維持するということに他ならない。
沖縄県の池田竹州副知事が嘉手納基地第18航空団司令官のニコラス・エバンス准将とマシュー・ドルボ駐沖縄米国総領事に対して「女性を蹂躙する悪質なもので、断じて許すことはできず、強い憤りを覚える」と抗議し、被害者への謝罪と補償、実効性のある再発防止策の実施などを求めたが、エバンス准将は「深い懸念を持っており、皆さまに心配をおかけしていることを遺憾に思っている」と述べたが、謝罪の言葉はなかった。これも米軍は米兵の性犯罪が日米関係を悪化させ安保体制を揺るがすことを遺憾に思っているということであって米兵の性犯罪そのものは何ら反省も謝罪もする必要はないと開き直っており、安保体制の安定的護持を表明している。
これまで米軍関係者による性暴力犯罪が発生するたびに米軍は「綱紀粛正」「再発防止策の強化」を表明してきたが、これでは全く功を奏しないことを現実が示している。基地と米軍が存在する限り、米軍関係者による性犯罪がなくなることはないことは明らかだ。安保体制と地位協定を廃止し、「基地撤去・米軍撤退」以外に米軍関係者による性犯罪を根本的・全面的に無くすことは出来ないことをはっきりと確認する必要がある。そして、性暴力犯罪をした米軍関係者を保護し、基地と軍隊を防衛する安保体制と地位協定を保証して日本の帝国主義体制を維持する日本政府と全面的に対決していかなければならない。
対中国戦争重圧
今日続発する米兵の性暴力犯罪について、今一つ注目しなければならないことがある。
今年上半期(1〜6月)に沖縄県内で発生した米軍人・軍属とその家族の刑法犯の摘発者数が39人で、昨年同月比で14人増加した。米軍関係者の摘発者数を巡っては、昨年1年間は60人で過去10年で最多だった。今年はそれを上回るペースで推移している。また、1995年から2024年までの29年間に沖縄県内で発生した米兵による性的暴行事件で県警が逮捕や書類送検した30件のうち、発表していない事件が少なくとも半数の15件に上る可能性がある。23年以降の全5件は逮捕や起訴後も公表しておらず、公表判断が変容している実態が浮かび上がった。(つづく)
7面
今すぐ停戦 パレスチナに自由を 7月14日大阪
7月14日、大阪市内で「今すぐ停戦! パレスチナに自由を!」の集会・デモがあり350人が参加した。主催は関西ガザ緊急アクション。(写真)
マクルーバから2人が発言
〈パレスチナとつながる写真展PROJECT マクルーバ〉のMさんは「一市民がとらえたパレスチナの写真を展示する活動をしている。マクルーバというのはひっくり返すという意味がある。共にこの社会をひっくり返していきたい」
Yさんは「私は、18年前ヨルダン川西岸の難民キャンプで難民1世のおばあちゃんから話を聞いた。いま同じことがガザでおこなわれている。ガザから発信される悲鳴そのもののSNSの映像には、ズタズタに引き裂かれた女の子の遺体…ガザの人たちの痛みはどれほどのものかと思う。自分が無力であることに苦しむ。でもガザの病院で長年働かれてきたマッズ・ギルバート医師はこう言っている。我々にできることはたくさんある。命の自由の側に立ちアパルトヘイトと人種差別に反対する我々こそ多数派だ。力を集結すれば決定的な集団となり、政権を動かして政策を変えさせられる。力を合わせ街頭に立とう。歴史をつくれ、歴史は今起きているのだ、あなたがそれを変えるのだ。…私は自分の命のある限り声を上げ続けたい」
パレスチナ人留学生メッセージ
パレスチナ人留学生からのメッセージをジェリー・ヨコタさんが代読。「パレスチナのために勇気と連帯を示してくれている皆さんに感謝します。私の最も古い記憶は、毎日毎日回りの人が殺され、虐殺されるのを見ていたことです。…しかし今日は共に抑圧と闘う者として、私たちの連帯を祝うことにしたい。…絶望を感じることが多いですが、皆さんの連帯は暗闇の中の光です。世界中の抗議活動の勇気は、ガザにも届きパレスチナ人に悪夢が終わる希望を与えてくれます。祖母とは違い私はパレスチナ人が自由になる未来を思い描けます」
パレスチナ平和連帯(BDS)コリアから
「韓国では2003年3月パレスチナ平和連帯が創られ、20年間活動。イスラエルに対するBDS(ボイコット、資本引き揚げ、制裁)を展開している。韓国の大企業・現代建設機械のブルドーザーがパレスチナ民衆の家屋を破壊するのに使われており、同社を糾弾している。昨年10・7以降はパレスチナと連帯する韓国市民社会緊急行動(180以上の市民団体)で活動」
在日の方から
「日本で生まれ育った朝鮮人です。長らく朝鮮半島の統一運動をやってきた。1つは朝鮮半島とパレスチナに歴史的共通点がある。朝鮮半島は1948年に南北に分断された。朝鮮半島の統一とパレスチナ民衆の自治権が取り戻されない限り76年前の歴史は終わっていないと言える。2つ目はパレスチナは構造的な暴力によってひどくなっている。朝鮮人に対する差別もその1つです。米国や韓国の軍拡、兵器輸出に反対行動すると共に、自分が構造的暴力に加担していないか検証し拒否していくことが大事」
パレスチナ人民と連帯する京都大有志の会
「全米各大学でおこなわれている連帯キャンプに呼応して京都大でも連帯キャンプを作っている。京都大はイスラエルのテルアビブ大学と大学間学術交流協定を結んでいて共同研究をやっている。大学当局に、@学術間交流協定の撤回、提携内容の開示、Aパレスチナ人学生への援助と支援を要請した。ガザの大学8校が全て破壊されてしまった。ガザで研究できない人たちを京大が受け入れ支援していかなければいけない。要求書への賛同をお願いしたい」
川崎重工へ抗議行動
「川崎重工は、イスラエルの攻撃型ドローンの輸入代理店になっている。イスラエルと提携をやめるようにという署名2万2千筆以上を、川崎重工・神戸本社に提出してきた。同社は、裏金をつくり税金で海自を接待してきたことも許せない。川崎重工に、イスラエルによる虐殺に加担するなと強く訴えた」
西岸地区訪問者から
「今年の4、5月久しぶりにヨルダン川西岸地区に行った。ガザの人たちは、40度もの高熱の中で冷蔵庫もエアコンもない、水もない、トイレもない。早く戦争を止め、普通の人間らしい生活を取り戻さないといけない」
「ファナックへ抗議行動」報告
役重善洋さん(BDS関西)は、「もう1つ日本の企業でガザでのジェノサイドに直接加担している企業に、ファナックというロボットメーカーがある。山梨県に本社があり、先月株主総会にあわせて現地及び大阪支店の前で抗議のアピールをしてきた。
いまガザでの破壊に一番寄与しているのは、150ミリ砲弾という地上から打ち込む砲弾。空から打ち込むミサイルに比べ安いので大量使用している。イスラエルだけでは確保できず、米国が大量にイスラエルに輸出し、ドイツも輸出。ウクライナでも同じ砲弾が必要なので、米国の砲弾製造工場は24時間フル稼働している。その量産体制を支えているのがファナックのロボット。エルビットシステムズというイスラエル最大の軍事企業もファナックのロボットを何台も使って武器を製造している。
ファナックは、輸出した先の企業が何をしているかは、うちの責任ではないという姿勢。近々ファナックに公開質問状を出して、自分たちがガザで起きている虐殺に直接加担している事実に対してどうするのか問いただしていく。共に圧力をかけていこう」
飛び入り参加、声援も
集会後、パレスチナの旗を林立させて「フリー・フリー・パレスタイン」とコールしながら御堂筋をデモ。若者の飛び入り参加や多くの声援があった。
(映画評)
『生きて、生きて、生きろ。』
監督:島田陽磨 2024年
福島で何がおきているのか
福島第一原発事故から13年4カ月。福島では、東日本大震災と原発事故によるPTSDがおきている。こころのストレスが原因なのだ。これには、原発事故による長い避難生活などが影響している。
精神科医の蟻塚亮二さん(メンタルクリニックなごみ)と看護師の米倉一磨さん(相馬広域こころのケアセンターなごみ)は、福島県相馬市で活動している。映画は、この2人の取り組みを追いながら、福島第一原発事故の後遺症をさぐる。
2012年に蟻塚さんは、ここで開業した。それ以前は、沖縄県で精神科医をし、「沖縄戦とPTSD」に取り組んだ。蟻塚さんは次のように語る。「沖縄戦を体験した人が40〜50年後に遅発性PTSDを発症している。おそらく福島でも、数十年後に遅発性PTSDが出てくるだろう」
福島の現在
福島原発事故によって、人びとは生業と生活の場を失った。自然が元どおりに戻るためには百年という歳月がかかる。政府は「復興」を叫ぶが、今でも人々の生活は取り戻せていない。映画に登場する男性は、長い県外避難生活の中で、子どもが自殺。このことが原因で、この男性は生きる希望を失い、アルコール依存症になり、自宅に引きこもる。米倉さんなどの援助によって、じょじょに生きる希望をみつけていく。
また、津波で連れ合いを失った女性は、PTSDに苦しんでいる。原発事故の避難指示によって、捜索が打ち切られてしまった。自分が何もできなかったことに、無念さがこみあげてくる。彼女は「がんばれ、がんばれといわれても、私は何をがんばればいいの」と語る。この女性は、蟻塚医師に「この病院にきて、わたしははじめて涙をながしました」と打ち明けている。
福島の過去
福島第一原発は、どうして福島につくられたのか。電力会社や行政は、表向きには「原発ができれば、出稼ぎせずすみ、原発によって町が繁栄する」とバラ色の夢を語り、住民を懐柔した。しかし、政府の本音は、内部文書では「この地に発展の見込みはない。原発をつくる以外にない」と書かれていた。経済成長の見込みのない福島「浜通り」が選ばれたのだ。その結果、原発事故がおきた。
福島の未来
映画はミクロとマクロの視点で、福島第一原発事故を追っていく。蟻塚さんは「沖縄と福島に共通しているのは、貧困ということだ」と語っている。
東北地方は戊辰戦争以降、中央政府にたいする資源供給地であった。電力開発で、東京に電気を送った。戦前は満蒙開拓団として移民を送り出した。敗戦後は、引揚者は開拓民として山林を開拓した。高度成長期には、東北は京浜工業地帯に労働力を供給した。原発事故はその帰結だ。
このように、福島には百年の怒りが蓄積されている。福島第一原発事故を忘れてはいけない。この映画をみて、あらためてこのことを決意した。(鹿田研三)
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8面
落日せまる万博・斎藤知事(兵庫)・維新政治
斎藤知事退陣求め200人
7月19日
県庁前に200人(7月19日 神戸市) |
維新政治の落日がまぢかだ。大阪万博批判の声はやまない。兵庫では知事のパワハラ・おねだりが露見し辞任寸前だ。
斎藤元彦兵庫県知事(21年に維新・自民の支援で当選)の「パワハラ・おねだり」問題は、7月19日の第3回百条委員会で、結集した200人を超える県民の前に真実が暴露され怒りが爆発した。
通常この種の議会の模様(国会や裁判も)は、マスコミを通じて知るのだが、こと維新に関しては在阪マスコミは彼らの提灯持ちで、直前まで「真実はまだよく判らない」とされていた。しかしこの日に知事の音声が流れ、ワインをおねだりし、宣伝用ではなく個人的に飲酒したことが確定した。「特産品の宣伝のため」と称して行く先々で、カニやロードバイクやスキーウエアや木工品などの「おねだり」も事実と思われた。
斎藤・片山ら4人組を決死告発
この知事の日ごろからの「おねだり」「パワハラ」など7項目の犯罪的事実を、渡瀬西播磨県民局長は3月末退職前に決死告発した。これに対し在阪マスコミは、斎藤知事の「事実無根、嘘八百」をそのまま報道。渡瀬局長は退職を認められず、3カ月休職の懲戒処分となった。そればかりか片山副知事らは渡瀬局長のパソコンを押収し、今後の証言に圧力をかけるためプライバシー部分を掌握した。21年に当選したものの、部下とのコミュニケーション力に欠ける斎藤知事は、机をたたいたり激怒とパワハラを連発。この知事と議会・職員の「間を取り持つ」と称して兵庫県庁中枢に食い込んだのが片山副知事ら4人組と、与党会派維新の岸口県議らだった。
橋下徹大阪府知事は府庁制圧のため職員基本条例や教育基本条例を制定し、「ルール」をつくり組合潰しの上に、文化・福祉予算や地域振興費を削った。しかし「未熟」な斎藤知事は県庁4人組らと組み、利権あさりと次期選挙に向け動きを加速した。
職員の不服従や内部告発を敵視し、その代表的人物であった渡瀬局長を懲戒処分にし、「嘘八百」などと斎藤自身が嘘八百を言った。維新県議=岸口が「プライベート」な部分も暴露すると脅したが、それを週刊誌が書くと逆切れし、百条委でその調査を求めたが一蹴された。
再選・県政全面掌握に向けてはすでに収賄まがいの手口を使っていた(信用金庫からのキックバック)ことも暴露されている。視察活動での不適切な行動は、20m歩かされ激怒や、伊丹洪水現場視察でヘルメット被らず、尼崎では授乳室を知事控室にし、出張先には3面鏡を用意させたなどのメモも信ぴょう性がある。さらに阪神・オリックス優勝パレードでは担当課長が自殺に追い込まれている。
真実確定し、斎藤知事を辞任に
19日の百条委員会配布資料には、●●の伏字が多かったが、はっきりと五百旗頭真(震災機構理事長、元兵庫県立大理事長、元防衛大学校長)の名前があった。五百旗頭さんは3月6日突然亡くなったが、その日に片山副知事らが五百旗頭理事長室を訪れ、副理事長2人の解任を通告したことが確認されている。それに激怒し憤死したと言われているが、この真実究明も百条委員会の課題だ。
19日の委員会は渡瀬局長と遺族の強い意志でメモ・音声が提出され証拠として扱われた。その他話し合われた議題は、実態解明のため9700人の職員を対象に「職員アンケート」を実施。この日も人事局は様々な制約・個人特定をおこなおうとしたが、維新以外の委員から一蹴された。
今後の「百条委員会」のスケジュール。
第4回:8月2日(金)。
5・6回:「パワハラ」問題―8月下旬。
7・8回:「贈答品」問題―9月下旬。
9回:「パレード」問題―10月下旬。
10回:「その他」問題―10月下旬。
11月:総括的証人尋問。
12月:調査報告。
「百条委員会・守秘義務免除の申請」文書については、竹内議員から県庁内において、総務課から 『百条委員会で、職務上の(知り得た)秘密について述べる場合は、事前申請して総務課長の許可が必要』との文書が職員に配付されたが、これは委員会での証言に関する恫喝であり妨害行為だ、と指摘。他の議員からも、怒りの声が上がった。
維新追及議員とともに県庁包囲を
4月に個人的にアンケートを取り、渡瀬局長の告発を真実と確信した丸尾まき県会議員(無所属・尼崎)はこの日も維新の動きを封殺した。百条委員会では維新包囲網ができている印象だった。
一方、県庁においては、県知事が依然として権力を握っており、アンケートや百条委員会での証言に対して、陰険な妨害・圧力を続ける体制が維持されていることを再認識させられた。真相解明をゆるぎないものにし、斎藤知事が辞職するまで、市民(県民)が、大きな声を上げていかなくてはならない。
6月28日 貝塚市議会が賛成10人:反対6人(維新)で可決した意見書
2025年大阪・関西万博の開催の不安要素を払拭することを求める意見書
2025年4月から10月まで大阪市の夢洲で開催が予定されている大阪・関西万博(以下「万博」という)は会場建設の遅れ、莫大な税金投入の妥当性、会場の危険性、能登半島地震復興への影響など様々な問題が指摘されている。
また、会場となる夢洲の土壌にはダイオキシンやヒ素、PCB、六価クロムが含まれ、地震等災害の際には汚染物質が染み出すおそれがあり、災害時に夢洲へのルートである夢舞大橋と夢咲トンネルが閉鎖されれば、1日の来場者とされる20万人から30万人が孤立してしまう危険性もある。さらに3月28日には夢洲の建設現場でガス爆発事故が発生した。このような場所に大規模集客施設を建設すること自体が危険である中、大阪府では府内在住の小学生から高校生までの子どもら約88万人を対象に、学校教育活動の一環として無料招待するとしている。3月に大阪府教育委員会が各学校向けの説明会を実施したが、その内容は「見学できるパビリオンの事前指定不可や教員の下見期間が未定」で、学校側は保護者へモデルコースを提示できず混乱している。
よって本市議会は、国及び大阪府に対して、以下の事項を要望する。
1.能登半島地震の被災地復興を最優先しつつ、2025年の大阪・関西万博の開催の不安要素を払拭すること。
2.大阪府が計画する「2025年日本国際博覧会児童・生徒招待事業」を中止も含め再検討し、実施する場合は、児童・生徒の安全確保に努め、引率する教員等の負担軽減を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月28日
貝塚市議会