未来・第392号


            未来第392号目次(2024年6月20日発行)

 1面  能登半島地震無視 原発強行の岸田
     原発依存社会への暴走とめよう

       2面  核汚染水海洋投棄ストップ
     日韓市民が合流し世界市民行進
     6月8日

     祝園ミサイル弾薬庫問題
     直近の奈良市で会結成
     6月2日

 3面  沖縄日誌5月
     玉城知事とともに
     平和行進・県民大会      

     沖縄県議選応援ツアー
     再び戦場にさせない
     大北健三     

 4面  虐殺弾劾し全世界で学生が決起
     ガザ反戦キャンプが拡がる

     寄稿
     宝島裁判・控訴審判決について
     原告・村上薫

 5面  生活保護引き下げ違憲訴訟
     最高裁での勝利を
     6月9日 第10回総会

     永住権取消制度に反対する緊急集会に参加して(上)
     米村泰輔

 6面  強制不妊国賠訴訟 神戸地裁 5月23日
     弁護士が第1〜第5準備書面の意義を訴え
     (聴覚障害者の困難への理解求める

     福島イノベーション・コースト構想とは
     〜被害者置き去りの復興政策と軍民共用産業拠点化〜(下)

 7面  カクマルとの闘いを「内ゲバ」とする『ゲバルトの杜』
     動労松崎明、盗聴・テロ部隊抜きのカクマルは虚像(下)
     大久保一彦

 8面  爆発危機のメタンガス
     万博への子ども動員は中止に

     2024年5・23闘争 石川一雄さんのアピール

     夏期カンパのお願い
     革命的共産主義者同盟再建協議会

           

能登半島地震無視 原発強行の岸田
原発依存社会への暴走とめよう

小雨まじりの天候なか集まった1400人。力強くポテッカーをかかげる(6月9日 大阪市)

福島第一原発事故から13年、能登半島地震から6カ月。日本という地震列島で原発は動かしてはならない。
6月9日、時折小雨がぱらつくなか、「とめよう! 原発依存社会への暴走 大集会」が大阪市内うつぼ公園でひらかれ、全国各地から1400人が集まった。主催は老朽原発うごかすな! 実行委員会。オープニングライブの後、午後1時から集会は始まった。

原発全廃の大きなうねりを

実行委員会を代表して、木原壯林さんが基調の提起をおこなった。木原さんは「目先の経済的利益のために奔走し、能登半島地震を目のあたりにしても、原発を止めようとしない政府や電力会社を糾弾し、原発全廃の大きなうねりを作り出し、人が人間らしく生きていける社会を作り出していこう」と強調した。

6・30に金沢で全国集会

北野進さん

北野進さん(「志賀原発を廃炉に!」訴訟・原告団長)が、「能登半島地震が教えること」というテーマで講演した。北野さんは能登半島での珠洲原発建設を阻止した闘いと、石川県・志賀原発の現状について、次のように語った。
「珠洲原発建設計画は1975年に持ち上がった。3電力(関電、北陸電力、中部電力)共同開発で、能登半島に出力1000万kWの原発を造る構想をぶちあげた。もしこれが実現していたら、今回の地震でたいへんな事故がおきていただろう。反対運動によって、関電は2003年に珠洲原発から撤退した。全国にひろがる市民の力をかりて、これを阻止することができた」「今回の能登半島地震で、志賀原発は震度7にみまわれた。北陸電力は、今だに(事故の詳細な)事実を明らかにしていない。深刻な損傷が隠されている。2号機は停止していたにもかかわらず、タービンがボロボロになっている。それでも岸田政権は政策を変更することなく、原発を推進している。政治に頼るのではなく、私たちの力で原発をなくしていこう。6月30日、金沢市内で志賀原発を廃炉にする全国集会がおこなわれる。この集会にも駆けつけてください。」

核汚染水ストップ世界市民行進

李元栄さん

また、核汚染水ストップ世界市民行進団が登壇し、団長の李元栄さんがアピールをおこなった。この団体は、日本政府と東電による核汚染水の海洋投棄に反対して、韓国で行動している。6月5日にソウルを出発して、6日にプサン港を出て、7日に大阪南港に到着、8日に京都市内でデモ行進をおこなった。李さんは次のように述べた。
「昨年、核汚染水の海洋投棄に反対して、ソウルから東京まで1600qを歩いた。原発を動かすことは、子孫にたいして罪をおかすことになる。原発は、なくても市民は生活をやっていけるのだ。ドイツがこれを示してくれた。中国でも、再生可能エネルギーを大幅に増やしている。世界は、この方向に転換する時がきている。世界市民がこれで連帯できる。今後、世界市民行進団はニューヨークをはじめとして、世界のさまざまな都市で、核汚染水の海洋投棄反対、脱原発を要求する行進をおこなっていく。連帯して、いっしょに行動しよう。」

先頭を行く福井、滋賀、全国の人々
第2グループは京都、兵庫、奈良の人々
第4グループは大阪の労働者・市民

各地からアピール

集会ではさまざまな発言があった。老朽原発について、〈オール福井反原発連絡会〉と〈東海第二原発首都圏連絡会〉、名古屋の〈老朽原発40年廃炉訴訟市民の会〉。使用済み核燃料問題について、青森から〈核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会〉、福井から〈ふるさとを守る高浜・おおいの会〉。福島原発事故避難者から〈原発賠償京都訴訟原告団〉。
最後に、労働組合からは、大阪平和人権センター、全国労働組合総連合(全労連)近畿ブロック、おおさかユニオンネットワークが決意を述べた。
集会後、御堂筋を南下する難波までのデモ行進。途中十数人の高校生らが飛び入り参加し、デモはにぎわう繁華街を元気よく進み「岸田の原発暴走をとめよう」「老朽原発は廃炉に」と訴えた。

2面

核汚染水海洋投棄ストップ
日韓市民が合流し世界市民行進
6月8日

京都市役所前に200人が集まった(6月8日)

6月8日、京都市内で、核汚染水海洋投棄ストップ!!!世界市民行進がおこなわれた。 主催は、GLOMA JAPAN実行委員会。
[注]GLOMA (GLObal citizen MArch to stop nuclear wastewater)
前日、大阪に到着した韓国からの行進団はこの日、午後2時、京都市役所前にあつまり、連帯する日本市民、在日市民が多数合流した。

地球生命にたいする無限責任

デモ出発前のアピールで、GLOMA KOREA実行委員会代表のイウォニョンさんは、「世界の核汚染水をストップさせよう。日本政府は、核汚染水の海洋投棄という異常なことをしている。東京電力という会社に国家の責任をそのまま押しつけた。日本政府ははたして政府といえるのか。『政府』というのが恥ずかしくないのか。そしてこれを容認したアメリカの政府も同様だ。このような蛮行が横行している地球村の現状を私達の力で正さなければならない。私達は地球生命にたいして無限なる責任をとらなくてはならない。国境を越えて、私達の世代を超えて、私たちにすべての責任がある。核汚染水を捨てるな」。

原発事故への反省もなく、核汚染水を海洋投棄

李さんを先頭に京都市内をデモ(6月8日)

岡本早苗さん(福島県から愛知に避難。だまっちゃおれん原発事故人権侵害訴訟・愛知岐阜原告団長)は、「原発事故をおこさないための策を講じてこなかったこの国は、司法の場で責任を問われず、それがゆえに全く反省もなく、核汚染水の海洋放出というあり得ない行動をおこなっています。原発事故の後、責任をとらず、自己の加害行為(汚染水の海洋投棄)を(汚染水の)置き場がないとか、IAEAから『安全だ』とお墨付きをもらったなどと、さも正しいことだといわんばかりの言い訳。原発事故の責任もとらない人たちが、核汚染水によって発生する被害に責任を取るわけがない。30年たっても、今の状況では汚染水は無くなりません。この状況を本当に変えなければと思うならば、一緒に声をあげましょう」。

市内をデモ行進

京都市役所前を出発したデモ隊は、京都の大繁華街・河原町通りを南下し、京都駅前の東本願寺近くまで行進し、沿道から多くの注目、声援を浴びた。

バトンリレートーク

東本願寺前でGLOMA世界市民大会(6月8日 京都市)

デモの後、午後4時半から、東本願寺前市民緑地(お東さん広場)で、「GLOMA世界市民大会〜いのちをつなぐバトンリレートーク&LIVE」がひらかれた。
イウォニョンさんによる開会あいさつの後、福島からの訴え(ビデオメッセージ)があり、武藤類子さん(*東電福島原発告訴団団長)、小野春雄さん(*ALPS処理汚染水海洋放出差止訴訟原告、漁師)などが発言。
海外ゲストは、チュミエ(*韓国国会議員、元法務部長官)、キムミヌン(*韓国ろうそく行動常任代表)、キムヘチャン慶星大学教授が発言。[注]*印は、ビデオ発言。
各界から、宗教者、反核団体、福島事故避難者、昨年の1600q行進参加者(鍬野保雄、水戸喜世子、木原壯林、尾形慶子、河田昌東、黒田節子の各氏)が発言。

市民宣言を採択

最後に「核汚染水STOP! 世界市民宣言書」がよみあげられ、全体の拍手で採択された。宣言は言う「どうしてあえて海に捨てようとするのかわかりません。日本政府は、命を故意に破壊することをやめるべきです。人類自滅のテロは中止されなければなりません。
これ以上傍観することはできません。過ちを戒め正さなければなりません。今こそ行動が必要です」とし、「人類と地球生態系を意図的に危険に陥れる日本政府は、核汚染水の海洋投棄を直ちに中止し、地球村のすべての生命に謝罪すること」など5点を要求した。

7月、アメリカ

7月6日には、ニューヨークタイムズスクエア国連本部前で、「核汚染水STOP世界市民行進」をおこなう予定。

祝園ミサイル弾薬庫問題
直近の奈良市で会結成
6月2日

トマホークミサイルを模した大横断幕を造り100人を超す市民が参加(6月2日 奈良)

6月2日、〈祝園ミサイル弾薬庫問題を考える奈良の会〉が結成された。ミサイル弾薬庫問題への奈良県民の関心はたいへん強く、奈良市内で開かれた結成集会には百人を超える市民が参加した。

奈良隣接の精華町にミサイル弾薬庫

今、奈良県に隣接する京都府精華町にミサイル弾薬庫が増設されようとしている。精華町には陸上自衛隊祝園分屯地があり、ここにはすでに弾薬庫がある。岸田政権は新たに8棟のミサイル弾薬庫を増設すると言いだした。
これに反対して、近畿圏内で住民運動が生まれている。3月20日には〈京都・祝園ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワーク(祝園ネット)〉が結成された。
祝園分屯地は、近鉄・学研奈良登美ケ丘駅から2q、近鉄・高の原駅から4・2q、近鉄・奈良駅から9・6qの位置にある。

住民説明会を開け

奈良の会結成集会では、八木健彦さんが経過報告をおこなった。祝園弾薬庫問題について、祝園ネットから説明があった。また、〈大分敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会〉と〈ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会〉から連帯のメッセージが寄せられた。
会場からは、次のような発言があった。「このままでは、ミサイル弾薬庫は祝園へのミサイル配備につながっていくだろう。ここで住民が反対運動をおこさなければ、たいへんなことになる」「わたしは、今の国のやり方に不信感を持っている。究極的には、世の中を変えることが求められている。そのためにも、この運動を大きくしていくことが重要だ」。
集会で、共同代表3人、運営委員と会計6人が選出された。
祝園ネットと連携して、奈良県内で運動をおこなっていく。当面の目標は、防衛省に、説明会を開かせること。このために、署名活動をおこなう。また、奈良県民に祝園ミサイル弾薬庫問題をもっと知ってもらうために、学習会や宣伝活動をおこなっていく、などを確認した。

祝園ミサイル弾薬庫問題 夏の大学習会(仮称)

講演:小西誠さん
とき:8月25日(日)午後2時  
ところ:むくのきセンター4階
主催:京都・祝園ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワーク



3面

沖縄日誌5月
玉城知事とともに
平和行進・県民大会

5月4日 辺野古新基地建設で、防衛省は大浦湾側の軟弱地盤の工事で改良船を改造する方針で、その改造費用も政府が負担することが分かった。大浦湾の軟弱地盤は最も深い地点は水面下90メートルに達している。防衛省は70メートルまでの地盤改良にとどめる方針だが、国内で砂くいを70メートルまで打ち込む改良船は乏しく、改造を迫られている。工事費はさらに膨らむ。

11日 沖縄の日本復帰から52年を迎える「5・15平和行進」が宮古島市から始まった。平和運動センター宮古島主催の行進に80人が参加。参加者は、宮古島のミサイル基地化、南西諸島への軍事要塞化が強まる中「沖縄を戦場にするな」「安保3文書反対」などの声を上げながら行進した。

14日 与那国町の市民団体「与那国島の明るい未来を願うイソバの会」は、糸数健一町長に謝罪撤回を求める質問状を手渡し、書面での回答を求めた。糸数健一町長は5月3日に東京都内での憲法改正を求める集会で「全国民が一戦を交える覚悟が問われている」などの発言をした。

15日 石垣市で「八重山地区5・15平和行進」がおこなわれ、150人が参加。昨年石垣島にもミサイルが配備され、自衛隊が利用できる「特定利用空港・港湾」に石垣港が選ばれることに危機感を募らせた参加者は「八重山へのミサイル配備反対」などのシュプレヒコールを上げ行進した。
同日 福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)は、辺野古住民が訴えた抗告訴訟で、1審判決を破棄し、住民の「原告適格」を認める判決を下した。訴訟は2019年4月提起。住民16人が新基地完成後に騒音被害を受ける恐れがあるとして、国交相採決の取り消しと執行停止を求めた。那覇地裁では20年4月、原告のうち訴えを取り下げた1人を除く11人に原告適格がないとして訴えを却下。残る4人については22年4月の判決で訴えを却下した。住民は福岡高裁那覇支部に控訴し、今回4人の訴えが認められた。辺野古に関する一連の訴訟で、住民側の主張が認められるのは初めて。国側が上告しなければ判決が確定し、辺野古の埋め立てを巡る国交相の採決について1審で実質的な審理が初めておこなわれることになる。
原告の金城武政さんが、三浦隆志裁判長らに「ありがとうございます」と声をかけると、法廷は拍手に包まれた。法廷で判決を聞けなかった原告3人は喜びを語った。

16日 名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前の座り込みの市民は、「原告適格」の判決に「地道な座り込みが実を結んだ」と喜びの声を上げた。

18日 「第47回5・15平和行進」は宜野湾市役所から北と南の2コースに分かれ宜野湾市立グランドを目指し行進した。参加者は宜野湾市立グランドの「復帰52年 5・15平和とくらしを守る県民大会」(同実行委員会主催)に合流。県民大会には全国から2300人が結集した。玉城デニー知事も来賓として参加、「平和を希求する沖縄の心(肝心)を世界に発信しよう」と訴えた。

くる日もくる日も闘いは続く(6月3日)
27日 朝鮮民主主義人民共和国は人工衛星を沖縄上空を通過する太平洋上に打ち上げたが、空中で爆発し失敗したと明らかにした。沖縄県でもJアラートが発令されサイレンが鳴り響いた。

28日 国は辺野古住民が訴え、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)が「原告適格」を認めた判決を不服として、最高裁に上告した。最高裁が受理すれば二審判決が審理される。

沖縄県議選応援ツアー
再び戦場にさせない
大北健三

キャンプシュワブ前で

6月2日から5日まで沖縄県議選応援と辺野古ゲート前行動に行って来ました。何度もカヌー隊に参加しているOさんと二人でしたが、まずまずの活動ができて良かったです。
2日夕方、那覇空港からレンタカーで金武町の儀保ゆい選挙事務所に着くと、3地区合同選対会議の日で参加させてもらいました。沖縄らしいゆったりした会議で、町の長老が集まる町内会の感じがした。元金武町長の吉田勝廣さんや衆議院議員の屋良朝博さんも参加されていました。
国頭郡選挙区は定員2に3人が立候補していて、仲里全孝(自民党)と、オール沖縄は儀保ゆい、喜納政樹の2人と厳しい情勢との話でした。儀保ゆいさんはヘリパットに反対する高江住民の会の儀保昇さんの娘さんで弁護士です。辺野古、高江弁護団の一員でもあり、辺野古活動家の多くが応援してます。
会議を終えて辺野古で泊まる民宿クッションに向かった。ここは朝食付き1泊2000円と安くとても良い感じでした。全国から辺野古に来る人の交流の場所になっており、夕食後ビールを飲みながら語り合いました。
翌日朝は雨の中歩いて、キャンプシュワブゲート前の座り込みに。20人程で歌を歌っていると、9時前にダンプカーが次々とやって来た。しばらく粘ったが一人一人排除され、ゲートが開くとダンプカーが続々と米軍基地に入って行く。その数およそ100台ぐらいか。悔しいが私たちの抗議で1時間程、工事を遅らせているのだ。
昼からは金武町に行き、Oさんと交代で街宣車を運転した。小さい町なので同じ所を何度も回った。知らない町だけど4時間ぐらい回れて良かったと思う。
次の日朝もゲート前の座り込みに。この日は別の行動があり10人余りと少なかったが前日のように闘い抜いた。安次富さんも参加していた。最近は安和での行動もあり人集めに苦労しているとのことでした。
この日は数人が那覇市の裁判に行くというので、金武町で降りて一人で街宣車を運転した。少し慣れてきて順調に回れた。ママの会が作った歌がよくできていて、覚えやすいメロディでした。

こじんまりした事務所

県議選必勝を!

さて沖縄県議選の情勢ですが、現在、玉城デニー知事派24議席と野党自民・公明24議席で拮抗しています。知事与党会派を1議席も落とすわけにはいきません。私たち本土の者も電話かけなどできることは何でもやりましょう。
今、岸田政権は全国で敵基地攻撃のために5年で43兆円の予算を使って、軍事大国化を進めています。大分の敷戸、佐賀空港、京都の祝園などで基地が強化されている。とりわけ沖縄、琉球諸島では自衛隊基地が次々に建設され、再び戦場になる危険が増している。この様な状況に対して玉城デニー知事はじめ沖縄人民が立ちはだかっている。政府、防衛省、裁判所など国家権力に全力で攻撃されている玉城知事の苦悩は計り知れない、絶対に知事を孤立させてはならない。そのためには県議選で何としても知事派県議を過半数当選させなければならない、本土の私たちにできることは限られているが6月16日の投開票日まで最善を尽くそうと思いながら3泊4日の行程を終えた。
1人で街宣
















4面

虐殺弾劾し全世界で学生が決起
ガザ反戦キャンプが拡がる

イスラエルの極右ネタニヤフ政権は、ハマスが求める恒久的停戦を拒否し、ラファに地上侵攻し、5月24日国際司法裁判所のラファでの軍事作戦即時停止命令も無視して、病院や学校まで爆撃し子ども・住民の大虐殺を続行し、飢餓で子どもを餓死させている。ネタニヤフ政権は、パレスチナ国家の樹立を認めず、武力でパレスチナ人を追放しパレスチナ全土をシオニストが支配することを狙う極悪政権である。[注]イスラエルの最大の支援国米国で、大学生たちがパレスチナを支持し、イスラエルと米政権に抗議するデモが広がり、バイデン政権を揺るがしている。ガザ反戦デモは全世界の大学に広がっている。

全米各地の大学で「ガザ反戦キャンプ」

米国の大学で、学生たちは、学内にパレスチナの旗を掲げてテントを張り「即時停戦」「イスラエルの軍需産業と関わりのある企業への投資中止」「米国のイスラエルへの軍事援助の停止」などを求めている。
ニューヨーク市・コロンビア大学の学生が、4月17日学内で抗議キャンプを始め、パレスチナ人虐殺から利益を得る兵器産業やハイテク企業からの投資引き揚げを大学当局に要求した。翌18日警官隊が突入しテントを壊し108人を逮捕し停学処分にした。これが全米の学生や教員に影響を与え、全米各地の大学に一気に拡大した。
同大学では19日には教員が抗議テントを設営し、数百人の教員が抗議スト。学生たちは学内のハミルトン・ホールを占拠して闘い続け、30日にはテーザー銃や催涙ガスを使い112人を逮捕した。
4月23日ミネソタ大学とピッツバーグ大学の学生がキャンパス内に抗議のテント村を設営。ミネソタ大では、その日の午後警官隊がテント村を急襲して解散させた。それに対して学生と教員が数千人規模の集会を開いて、大学当局に兵器産業からの投資引き揚げを要求。イエール大(45人)、ニューヨーク大(170人)、カリフォルニア大ロサンゼルス校(210人)、ボストンのノースイースタン大(102人)、エマーソン大(118人)、マサチューセッツ大アマースト校(130人)、ハーバード大など、全米で2百校とも言われる大学に広がり、逮捕者は2800人にのぼる。( )内は逮捕者数。
話し合いに応じる大学もある。ブラウン大は、イスラエルを支援する企業との関係断絶の是非を問う投票の実施を決めた。ポートランド大は「軍需産業ボーイング社との関係を一時停止」と発表したが、闘いは続き学生数十人を逮捕。学生たちは、停学・退学・逮捕を覚悟で闘い、教員や労組も学生を支持して闘っている。大学が警察を導入して、強制退去や逮捕・停学の弾圧をおこなっていることに学内外から批判がおこっている。

米国で「第2の反戦世代」登場

全米の大学での学生の決起は、ベトナム反戦以来の「第2の反戦世代」の登場だといわれる(米ウォール・ストリート・ジャーナル)。昨年10月25日マサチューセッツ大学アマースト校の学生5百人余りが抗議行動を起こした。学生の要求は、@大学当局が、軍需産業との取引を放棄し関係を絶つこと、Aイスラエルによるガザ包囲の即時停止と米国のイスラエルへの資金提供の停止を求めること。この内、百人余りは総長室前で座り込み。大学が警察を導入し学生57人を暴力的に逮捕した。学生の1人エリン・マリンさんは「黙っていられなくて(ガザ戦争の)写真を見て立ち上がった」「ガザは両者の戦争ではない」「圧政者に対する抑圧された人々の抵抗だ」と言い、逮捕されたことを誇りに思うと話した。
大学のガザ戦争反対集会では、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸でユダヤ人が入植地を拡大していることなどは「入植者植民地主義」であり、イスラエルの対パレスチナ政策は過去の植民地主義の遺産だと批判する。
10月17日、イスラエルによるガザの病院爆破直後の米国の世論調査で、ハマスによるイスラエル市民殺害はパレスチナの不満によって正当化されると答えたのが18〜24才で51%、25〜34才は48%に上るが、55〜64才では、正当化されないが89%、65才以上は正当化されないが91%。
アメリカのZ世代(12〜28才)には、オサマ・ビンラディンの「アメリカへの手紙」(2002年「ガーディアン」に掲載)が、SNSを通じて広く読まれている。内容(一部)は「イスラエルはパレスチナを50年以上も占領し、その占領はパレスチナ人に対する弾圧、圧政、犯罪、殺害、追放、またパレスチナ社会の破壊、荒廃に満ちたものだ。イスラエル国家の創設と存続は世界最大の犯罪であり、アメリカは世界の犯罪者の指導者である。イスラエル国家自体が抹殺されねばならない犯罪だ。この犯罪に加担して手が汚れたすべての者はその代償を大きく払わなければならない」(宮田律著『ガザ紛争の正体』)。

南アのアパルトヘイト廃止運動

米国の学生は、南アフリカのアパルトヘイト廃止運動に貢献している。1985年3月カリフォルニア大学バークレー校の学生たちは、アパルトヘイトの南ア政府とビジネスをおこなう会社への投資を撤収するよう大学に要求して座り込みを開始し、158人が逮捕されたが、大学側は学生たちと話し合い86年7月南アと取引をおこなう企業への31億ドルの投資撤収を決定した。コロンビア大学でも、85年同様の要求を掲げて、約2百人の学生が3週間にわたってハミルトン・ホールを封鎖し、大学側に投資を停止させた。同様の措置は155の大学に広がった。そして90年ネルソン・マンデラ釈放、94年アパルトヘイト廃止となる。

世界の大学で「イスラエルとの関係を絶て」

米国の学生の闘いは全世界の大学に波及し、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、カナダ、オーストラリア、アイルランド、スペイン、北欧、中南米や日本などで学内にテントを設置して闘われている。
アイルランドのトリニティ・カレッジ・ダブリンでは、大学側が学生の要求を受け入れて占領地で活動するイスラエル企業への投資引き揚げに同意した。メキシコ市の経済研究教育センターなど2校、スペイン大学学長会議(公・私立大76校の学長)、ノルウェーの4大学、ポルトガルのポルト大学などは、学生の要求に応じイスラエルとの関係を絶つことを決めた。デンマークのコペンハーゲン大学の学生数百人は、5月上旬イスラエルによるガザへの軍事攻撃に反対する抗議行動を開始し、28日大学側はヨルダン川西岸で営業するイスラエル企業への投資中止を発表した。日本では、東大、京大、筑波大、青山学院大、早大などで学生たちがパレスチナ連帯デモをおこなっている。
日本は、イスラエル製ドローンの導入を検討し、川崎重工、日本エヤークラフトサプライ、住商エアロシステム、海外物産が協力している。ファナックはイスラエルや欧米に産業用ロボットを輸出し、砲弾の製造に使われている。私たちは、政府・企業のイスラエルとの取引を止めさせなければいけない。武器や資金源を断ち国際的圧力をかけイスラエルを孤立させよう。ジェノサイドを止め、占領地から撤退させパレスチナを解放しよう。
[注]極右政党はカハネ主義者=ナチスイデオロギーと言われている。(川上洋子)

寄稿
宝島裁判・控訴審判決について
原告・村上薫

最高裁の勝利めざしてこぶしをあげる(5月15日)

2024年5月15日、大阪高裁(森崎英二裁判長)は宝島社を擁護し、控訴を棄却する判決を下しました。裁判の中心となった書籍『大阪ミナミの貧困女子』は、私が筆頭著者とされていましたが、執筆部分は大きく改変され、差別的かつ偏見に満ちた内容となっていました。私は、書籍の絶版と謝罪を求めて訴訟を提起しましたが、一審判決で大阪地裁は訴えを退けました。これに対して控訴し、証人尋問が初めておこなわれました。
前回(控訴審第1回口頭弁論)の尋問で、宝島社側の不誠実さが明らかになったものの、裁判所は一審判決を踏襲し、出版の合意があったと見なしました。また、1千万円の「損害賠償請求」による脅迫は、脅迫と認められず、重大さを理解させるための方便とされました。「カラダを売るしかない女子たちの物語」と書かれた帯も原告を指しているわけではないとして、名誉毀損に当たらないとされました。
裁判官が退席した後、法廷は「不当判決だ!」という怒号に包まれ、支援者とともに法廷内で集会をおこない、シュプレヒコールを叩きつけました。廷吏たちは、嵐が過ぎ去るのを待つかのように立ちすくみ、我々を眺めていました。事実上、法廷内での市民集会を認めさせたのです。これは市民の団結の力です。
代理人弁護士からは、最高裁では憲法違反や法律解釈の問題に絞って上告文を作成する必要があることが述べられました。また、無名のライターが大手出版社・宝島社の編集長を尋問に引きずり出したことが快挙であり、さらに編集長の受け答えが不誠実であったことや、その内容が原告の主張を裏付けるものであったことから、原告側に正義があると示されました。宝島社の手口は「不当ではあるが違法ではないラインを攻めたもの」で法律では裁けませんでした。しかしそれはもはや「法律の不備」だと説明がありました。 裁判を始めた当初は少人数でしたが、回を重ねるごとに多くの支援者が集まってくれました。最高裁での勝利を目指して引き続き闘います。差別本の絶版と謝罪を求める運動をさらに大きくしていく決意です。

立ち見問題と市民の傍聴権についての抗議

今回の控訴審判決で、傍聴席が満席となり、立ち見を認めなかったことに対する抗議は重要です。法廷の傍聴は市民の権利であり、尊重されるべきです。202号法廷は91人の傍聴席が埋まり、中に入れない人が20人以上いました。私も一緒に、「満席です」と押し戻す職員に対し、「立ち見でもいいから入れろ」と抗議していましたが認められませんでした。
人民新聞との裁判の時から連帯してくれていた愛仁会裁判支援グループや、最後だからと忙しい中駆けつけた方々、県外から来た方々、そして毎回欠かさず傍聴に来てくれた人たちでした。
裁判は公開でおこなわれるべきであり、市民が自由に傍聴できる環境を提供することは、司法の透明性と公正さを保つために必要です。立ち見を認めないことは、これに反する行為です。支援者や連帯しているグループが一緒に裁判を見守ることは、被害者にとって大きな励みとなります。また、支援者同士の連帯感を強めるためにも、全員が傍聴できる環境が必要です。裁判の重要な場面を多くの市民が直接目撃することは、社会的な記録としても重要です。後に続く活動や訴訟において、具体的な事実に基づく支援や議論をおこなうためにも、多くの人々が傍聴することが必要です。

補足

同一人物が同一の事実関係と請求内容で新たに訴訟を提起することは、既判力により禁止されているため、私が原告となる宝島裁判は上告が最後の機会となります。しかし本の制作にかかわった他の方々にはまだ訴える権利が残されています。

5面

生活保護引き下げ違憲訴訟
最高裁での勝利を
6月9日 第10回総会

6月9日、〈生活保護基準引き下げアカン! 大阪の会〉第10回総会が大阪府保険医協同組合会館(大阪市内)で開催された。2014年に提訴してから早や10年、昨年4月14日の大阪高裁での逆転敗訴からすでに1年が経過した。
大阪の会は50人を超える全国有数の大原告団だがすでに何人かの原告が亡くなっている。最初にあいさつに立った木下秀雄代表も「元気で最高裁の闘いをやりぬきましょう」と一段と声を大きくして訴えた。

最高裁での争点と取組について

次に大阪弁護団事務局長の和田信也弁護士が、最高裁での争点と取組について報告した。
今、最高裁第三小法廷に、原告が敗訴した大阪高裁と、原告が全面勝訴した名古屋高裁の2つの上告審が係属されている。
第三小法廷の裁判長は来年夏に定年で退官する予定とされている。そのため早ければ今年中、遅くとも来年の早い段階で判決となる可能性がある。

悪質な大阪高裁判決

大阪高裁判決は、全国で初めて原告が勝訴した画期的な大阪地裁判決を国の意向を丸のみして原告敗訴にした悪質な判決である。

原告勝訴の名古屋高裁判決

名古屋高裁判決は、原告の声を聴くふりをして原告を敗訴にした最悪の名古屋地裁判決を全面的にくつがえし、「国民に対して説明することなく、あたかも専門家の検討に従った結果とうけとられるような発表や説明」によって大幅な引き下げをおこなったことは「厚生労働大臣の裁量権の範囲を逸脱していることは明らかで、生活保護法に違反し、違法だ」と断じた。それだけでなく「違法な改定をおこなった厚生労働大臣には重大な過失がある。過去に例のない大幅な生活扶助基準の引き下げの影響は生活保護受給者にとって非常に重大であり、原告らはもともと余裕のある生活ではなかったところを、支給額の引き下げ以降、9年以上にわたり、さらに余裕のない生活を強いられ、引き下げを取り消しても精神的苦痛はなお残る」として、引き下げを取り消すだけでなく原告13人全員に国家賠償を命じた画期的な判決だった。

争点は何か

争点は、国の意向を丸のみした大阪高裁判決が支持されるのか、それとも事実に基づき正当に判断し原告を勝訴させた名古屋高裁判決が支持されるのかである。

最高裁第三小法廷の構成と要請行動

裁判官は5人。宇賀克也裁判長(行政法を専門とする元東大教授)、長嶺安政裁判官(元外交官)、渡邊恵理子裁判官(弁護士)、林道晴裁判官(元東京高裁長官)、今崎幸彦裁判官(前東京高裁長官)である。
最高裁は、最高裁会議室で17人を限度に最高裁職員に対して要請の趣旨を30分を限度に述べることを認めている。原告らの声は同職員を通して裁判官に届けられる。要請行動はすでに2月におこなっているが、次は7月26日に予定されている。今回は名古屋の要請団といっしょになるので計1時間の面談を求めている。

予算や方針について

次いで大阪の会の活動報告、予算、方針が提案されたが、最高裁への要請行動の予算はもっと増やす必要があるのではないかとの質問に対し「一人5万円の予算で9月にも行動を予定している」という回答がなされ、予算と方針が全体の拍手で承認された。

要請行動の死活性

生活保護基準引き下げ違憲訴訟の最初の最高裁判断になるのは、この第三小法廷での判決である。
最高裁は分厚いコンクリートに囲まれた要塞のような建物である。しかし実際に判決を書くのは生身の人間である裁判官たちである。裁判官に突き刺さる筋の通った主張をおこない、署名集めと要請行動を重ね、原告の切実な声を届け、世論の声を大きくし、裁判官たちを揺り動かしていくことに最高裁要請行動の核心がある。

なんとしても最高裁で勝つ

これは原告たちの生の声である。原告たちは自分たちだけのために闘っているのではない。万一、この引き下げが最高裁第三小法廷で認められたならさらなる引き下げの泥沼にぼう大な人たちが沈んでいく。
原告、弁護団、支援はこういう方向をきっぱりと拒否し、すべての人たちが人らしく生きられる社会を目指して文字通り命を削って闘っている。生きるために、なんとしても最高裁での勝利をかちとろう。署名への協力をぜひともお願いしたい。(米村泰輔)

永住権取消制度に反対する緊急集会に参加して(上)
米村泰輔

入管法改悪反対を訴える在日外国人

5月23日、入管事件を闘う大阪弁護士有志の会(弘川欣絵・中井雅人・上林惠理子さんなど)の主催で永住権取消制度に反対する緊急集会が大阪弁護士会館で開催された。集会では永住権取消制度に反対する意見が多く出された。

永住権を取り消す法案が衆議院で可決

入管法の改定案と「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」案が衆議院で4月21日に可決され、参院は5月24日、審議入りした。

育成就労制度の悪質さ

岸田政権は、現代の奴隷制度と批判されている外国人労働者の技能実習制度を耳ざわりのよい育成就労制度という制度に転換しようとしている。
しかし、技能実習制度にとってかわり新たに創設される育成就労制度の本質は、外国人労働者に奴隷労働を強制する技能実習制度の本質を温存するだけでなく、さらに永住権を取り消す制度を新たに創設する悪質さにある。

永住権取消制度の創設

在日外国人にとって永住権は日本で生活するための生活基盤そのものである。しかし、岸田政権は育成就労制度を創設するにあたって、在日外国人の生活基盤である永住権を取り消す制度を創設するというのである。こんなことは絶対ゆるすわけにはいかない。

本会議で突然出された

集会にズーム参加していた大椿ゆうこ参議院議員によると「委員会で議論されていないのに永住権の取消要件が事務局から本会議に突然だされた」とのことである。永住権取消制度が創設されることを社会問題化させないようにしたいという意図が明白である。
以下の場合、永住権が取り消される
@入管法に規定する義務を遵守しない場合
入管法に規定する義務として在留カードの常時携帯義務違反(20万円以下の罰金)のような軽微なものも含まれている。常時携帯義務違反は職質でよく使われている。このような些細なことをも永住権取消要件にしているのである。
A故意に公租公課等の支払いをしない場合
 失業したり重い病気にかかったりして税金や社会保険料等を払えなくなるのは永住権保有外国人も日本国籍者も同じである。税金や社会保険料が未納でも日本国籍者は生活基盤を奪われることはないが、永住権保有者は生活基盤を根こそぎ奪われる。これは差別である。(つづく)

6面

強制不妊国賠訴訟 神戸地裁 5月23日
弁護士が第1〜第5準備書面の意義を訴え
(聴覚障害者の困難への理解求める)

旧優生保護法(以下、旧法。1948〜96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして川野正子さんと山川百恵さん(いずれも仮名、聴覚障がいのある60代女性)による兵庫訴訟第3次提訴(23年3月)の第4回口頭弁論が5月23日、神戸地裁(冨上智子裁判長)でおこなわれた。
裁判長の交代(前任の島岡大雄から冨上智子へ)、弁論の更新にあたり、野間裕加弁護士が、前回裁判の2月9日までに提出した第1〜第5の準備書面(*)について改めて説明し、今年3月に提出した第6準備書面の内容を陳述した。
(*)『未来』386号5面に要旨掲載。

野間弁護士の訴え

野間弁護士は陳述の最後に、ろう者の社会生活上の困難、とりわけ原告の方々のように、手話が禁じられた口話主義教育の時期に幼少〜成年期を送ったろう者の極めて大きな困難を具体的に知る事が裁判所が原告の訴えを理解する上でどれほど必須不可欠であるかを弁護団の経験に踏まえて懇切丁寧に説き、そのために2人の証人の証言を採用するよう次のように訴えた。
「原告らは聴覚障害者です。私たちは、耳の聞こえない人はただ、音声が聞き取れないだけと思っています。そうではないのです。人は言葉で考えます。そしてその言葉は、幼い時から母親や家族の音声を聞き続けることによって次第に脳内に音声と言葉の結びつきが生成され、言語中枢として発達してきます。最初は音声から入り、それにより脳に言語中枢が形成されるのです。一方、音声がなければどうなるか。言葉の形成が遅れます。早くから手話を習い、手話を通じた教育を受ければある程度可能です。しかし原告らは国が手話を禁止していた口話主義教育の時期に育った人です。
言葉による教育が遅れることによって、理解力の発達が遅れます。本件原告らを含む口話主義教育の中で育ったろう者の多くは、教育の弊害を発端として、社会生活を営む上で極めて多くの困難を抱えています。繰り返しになりますが、音声が聞こえないだけではないのです。その困難については、ろう者の社会内における状況や立場を改善しようと長年にわたって活動し続けてきた大矢暹さん(*社会福祉法人ひょうご聴覚障害者福祉事業協会)のお話を聞いていただくことによって、理解することが可能になります。原告らろう者が社会内において抱える困難を理解することなく、訴訟に関する情報の取得や弁護士へのアクセスや訴訟提起の困難について、正しく理解することはできません。大矢さんの証言は、必要不可欠です。
原告代理人は、2018年3月頃から現在に至るまで、先行する同種訴訟の原告であるろう者と関わってきました。(中略)裁判所に、法廷で原告らの話を聞いていただくに当たって、我々が6年間にわたって理解に努めてきたろう者のコミュニケーション特性や心理的な特徴、思考過程などを事前に理解していただく必要があります。そうでなければ、ろう者である原告らの声は、裁判所に正しく届きません。
原告らの声を正しく聴き取っていただく前提として、ろう者の思考過程等を理解するために、ろう者の心理とこころの発達の過程を研究されてきた河崎桂子先生(*神戸大の研究者)の証言を聞いていただくことは必要不可欠です。
裁判所が聴覚の障害のある人に耳を傾けて裁判に取り組んでいただくことを切にお願いします。 以上」   

裁判長は双方とやりとりの後、次回期日を7月18日(木)10時半、101号法廷と指定し、閉廷した。
その後、近くの会場で16〜18時、報告集会が開かれた。
司会を「被害者とともに歩む兵庫の会」の大矢暹さんがおこない、最初に、野間弁護士が自身の陳述をふり返る発言が。
それを受け、藤原精吾弁護団長がろう者の抱える社会生活上の困難、人生の大半を口話主義時代に過ごした原告の方々の特別の困難を裁判所が知る事の重要性を重ねて強調した。

2人の原告の挨拶

(小林寶二さん、高尾奈美恵さん〔仮名〕、鈴木由美さんの3原告は最高裁弁論参加の体力温存のため不参加)

 山川百恵さん
「私たち2人は不妊手術されたのに、今日の裁判で国側代理人からは何の意見も出されていない(*)。次の7月18日の裁判は頑張りたいのでよろしくお願いします。(5月)29日は最高裁に行ってきます」。

 川野正子さん
「不妊手術されたことなど、これまで努力して話してきたけど、国には理解してもらえてない状況で、差別されてきた(**)。国に勝つため、私たち2人は法廷に立って闘います。残念ながら、家の都合で(5月29日は)最高裁には行けないけれど、今後とも支援をお願いします」。
(*)(**)手術に関する書類や記録がない中で、お2人は医師の意見書や自身と家族の陳述書を提出しているが、国は手術の存在を争う態度である。

津田隆男弁護士
「次回期日は弁護人、国代理人に対する尋問です。尋問が終わると判決が迫ってくる段階です」「報道の通り、高いカベだった最高裁も手話通訳を用意するなど、バリアフリーに少しずつ変わってきている。神戸地裁は働きかけているのに動かないが、粘り強く交渉していく」

「歩む兵庫の会」から活動報告、最高裁宛て公正判決要求署名提出の報告を受け、最後に5・29最高裁大法廷弁論と兵庫会場集会参加の訴えを受け、報告集会を終えた。(木々繁)

福島イノベーション・コースト構想とは
〜被害者置き去りの復興政策と軍民共用産業拠点化〜(下)

(3)ハンフォードの廃炉産業

ハンフォード(アメリカ、ワシントン州)は、「マンハッタン計画」の中心拠点のひとつであった。ここで原発からプルトニウムがつくられた。戦後も、プルトニウムがここでつくられていた。
高レベル放射性廃液はドラム缶に詰められ、地中に廃棄されてきた。このドラム缶から廃液が漏れ出して、広範囲に土壌が汚染されていた。1986年になって、内部告発によってこの事実が判明した。87年から除染作業が始まっている。除染が終了するまでに、50年以上かかると言われている。このことによって、1987年にプルトニウム製造工場は操業を中止した。
こうして、ハンフォードでは廃炉ビジネス(年間3千6百億円)が生まれ、周辺都市は廃炉産業で「発展」してきた。ここでは廃炉技術だけではなく、核攻撃された場合の除染技術が開発されており、軍事技術の研究がおこなわれている。
パシフィック・ノースウエスト国立研究所(PNNL)が、ワシントン州リッチランドにある。ここが廃炉関連産業の司令塔になっている。PNNLは、1970年代には原子力(核技術)研究をおこなっていたが、現在は軍事安全保障関連の研究に移っている。
エフレイは、このPNNLをモデルにしている。今年4月に、日米首脳会談がおこなわれた。この共同声明のなかに、PNNLとの連携がしっかり書き込まれている。このように、福島イノベーション・コースト構想は、経済安全保障戦略の実践の場になっており、軍事研究と密接に関係している。

(4)軍事研究と一体に推進

国家官僚は、「福島復興」を次のように考えている。彼らは福島原発事故を失敗ではなく、成功例にしたい。そのために、ハンフォードの例を学んで、福島を核技術と、先端科学技術で「復興」させる。先端科学技術は必然的に軍事技術と関連しているが、これだけではない。官僚たちは、惨事に便乗して、これをチャンスとばかりに軍需産業を新たにつくりだそうとしている。
沖縄と南西諸島では、島嶼が軍事要塞化され、ミサイルがどんどん配備されている。全国で自衛隊基地が強靭化され、ミサイル弾薬庫がつくられようとしている。軍需産業が強化され、新兵器が開発されている。武器輸出がおこなえるようになった。このように、岸田政権のもとで、政治、経済、そして支配体制の軍事化がすすんでいる。
現在、民生技術と軍事技術の区別がつかなくなっている。経済安全保障の「特定重要技術」は、軍事技術そのものだ。国はこの分野を秘密にしようとしている。市民の目に見えないところで、軍事研究がこっそりと推し進められている。その一端が、福島イノベーション・コースト構想である。
市民は、この動きをしっかりと監視する必要がある。多くの人びとが、基地建設に反対し、軍事大国化に抗議の声をあげている。同時に、福島イノベーション・コースト構想にも反対する必要がある。これは福島だけの問題ではない。地元の福島県民といっしょに、闘っていこう。(おわり)

7面

カクマルとの闘いを「内ゲバ」とする『ゲバルトの杜』
動労松崎明、盗聴・テロ部隊抜きのカクマルは虚像(下)
大久保一彦

W 新左翼内の内ゲバについて

A三里塚闘争をめぐる第4インターへの革命軍発動の誤り

今一つは1978年以降の三里塚闘争の中で、敵権力・空港公団の攻撃と絡まり支援党派間の対立と反対同盟の分裂がもたらされ、さらに78年管制塔占拠の主力をなした第4インターに革共同は革命軍の暴力を発動し、新左翼内内ゲバと対カクマル戦争を同列視する致命的誤りを犯した。ここでは大衆運動の主導権奪還に暴力的党派闘争を発動する誤りの上に、反ファシズム解放戦争と言いながら人民内部に致命的亀裂を持ち込み、当然ながら革共同は孤立した。孤立を隠蔽するために暴力的威圧を加えた。
この件では2007年に革共同中央(『前進』)から分離・独立し自由をえたわが革共同再建協(『未来』)は謝罪と自己批判をしたが、本質まで踏み込んだ自己批判とは言えず、当事者に受け入れられなかったと認識している。その後明確な「抗争」的事態は無いとはいえ、それに甘んじることなく、戦闘的共同闘争を誠実に進めていくことで償っていきたいと考える。われわれの主張に誤りがあれば指摘し、理があれば採用し、共同の戦線が広がることを望みたい。
今一つは、80年代「三里塚基軸論」下で、主に学生戦線などで無党派のいくつかのグループに暴力的威嚇・恫喝をおこなったことが指摘されている。相対的多数や軍(の軍事力)を背景にしての威嚇など、社会主義をめざす運動としては腐敗の極みで、今後の克服課題として、この際表明しておきたい。

B革共同における党内民主主義の欠如

新左翼内の内ゲバについては、多数の潮流がある中で一定の論争や抗争の全面禁圧をすることは逆に不健全だろうが、党派闘争の暴力的展開の頻発は、「プロレタリア民主主義」を標榜する新左翼の「民主主義」の軽視に原因があるのではないかと考える。「人民内部の矛盾」を解決する手段は徹底的な民主主義以外ない。民主主義は「面倒くさい」ものだが粘り強く闘い取る中で「文化」となる。
また党派的困難を他党派批判で突破する傾向がわが革共同に存在した(緊張政策)と思う。革共同は「反スターリン主義」と言いながら、第3回大会第2報告(1966年)では、反スタを「一国社会主義と平和共存」に切り縮め、後に問題となるレーニン・トロツキー・スターリンに共通する「生産力至上主義」批判の欠落や、今一つは運動組織論における党内民主主義の欠如・官僚主義との闘いの不十分性があったと思う。特に後者は、既述のスターリンの社会ファシズム論=社民主要打撃論克服の不十分性と相まって、党内論議を抑圧し運動の困難局面を他党派批判で突破する傾向を増大させた。
党内民主主義の欠如は官僚制をはびこらせる。共産主義を目指すものとしての内部徹底討論と、大会の定期開催、決定の遵守と次大会での再討論、役員の選挙・一票投票(ほとんどの政党が形式化している)、必要な時には分派の自由などを「党内文化」として闘い取っておれば、67年10・8羽田闘争前夜のテロ、70年8・3問題の処理、84年第四インターへのテロなどは修正・自己批判ができたのではと思う。4回大会から5回大会までは10年以上、6回大会は20年も経て、それも一般党員には知らされないままということが、輝かしい67年10・8闘争以来の激動の裏で進行していた。
われわれ再建協は「自立した共産主義者」として2006年3・14に決起して以降初めてこの課題に取り組む自由を得て、今一度「民主主義を闘いとる」課題に直面・実践している。また右記各問題のその時々に、これまで隠蔽されてきたが「反対派」がいたことをも知り始めている。過去の歴史は変えられないが、史実を掘り起こし批判を受け入れての総括が進めば、必ず新しい未来を切り開くことができると確信する。

X 現在のカクマルをどうとらえるか

1971年12・4以降、90年代初めころまでのカクマルとの闘いは、反革命に対する戦争で、内ゲバではなく外ゲバである。映画『ゲバルトの杜』でも73年9月(中核派が報復戦に突入。解放派の9・15戦)で早大の自由を求める闘いとは次元が異なる段階に入ったと、自衛武装を実践した野崎さんは記している。学生戦線だけでなく、動労・国労・全逓などにも内戦は拡大し、77年2・11中原一氏虐殺報復戦での藤原隆義(杜学)せん滅、80年東工大5人せん滅でカクマルの骨格的軍事力は砕け、カクマルは中核派・解放派に負けているのではなく権力の謀略部隊による謀殺と悲鳴を上げる。
90年代には動労の転向と路線的混迷からカクマル本体(黒田寛一)VS動労カクマル(松崎明)の2度にわたる全面抗争が始まり(第1回は92年DI提起、第2回は2000年坂入ら致事件)、内部粛清・海外亡命が続き、混乱の責任で96年には黒田の議長辞任に至る。次いで98年豊玉アジト・浦安アジト摘発、2002年札幌アジト摘発で残存カクマルbR塩田逮捕・懲役5年でウラ部隊の骨格も崩れる。ゲバルトの杜で「革命に命をかけている」と発したSらは、その後動労書記となり、アジトで秘密活動をおこない、最後は「CIA長官・塩田」とともに壊滅した。
2006年の黒田死亡に続き、松崎も10年12月に死亡し、18年〜19年にはJR東労組から3万5千人の組合員が脱退した。70年安保・沖縄闘争の持続的爆発を「権力弾圧では潰せない中核の下の急所を蹴り上げ」大衆闘争爆発を抑え込む役割も、動労乗っ取りから国鉄分割民営化への全面協力・JR総連一時君臨も破産し、最後は「狡兎死して走狗煮らる」の諺を地でいき、早稲田からもJRからも放逐された。
時折カクマルが集会にビラまきに来る。70年代のカクマルの悪業を知る人は受け取らず、動労・学生・ウラ部隊なきカクマルを知る人は、目の前でビラを破るが文句ひとつ言えない。敵戦闘力消滅が久しいカクマルはもはや「相手にせず」だ。70年闘争を教訓とし、戦闘的大衆闘争の発展の中に自衛武装をはらませ、70年を超える闘いを創り出すのが、労働者・人民の共通の闘いではないか。

映画での内田樹・石田英敬の反動的役割

筆者は本映画を6月初めに見て、監督にもその場で意見・批判を言った。
最終場面に東大仏文卒の内田樹・石田英敬と高名な学者が出てくる。いずれも一時期カクマルに身を置いた人物だ。内田の昨今の天皇制賛美は、黒田の晩年のナショナリズム満展開の歌集『日本よ!』に倣ったものではないか。思想家としての階級的総括ではなく、「おでんただ食い(カクマルデモ隊がした)」や「内ゲバ陰惨」は三文評論家でしかない。早大の川口さんの友人は(藤野豊を除き)自己総括を深めているのに、最終場面で東大の2人を出し「鎮魂」を演出する監督の在り方は承服できない。
「誰でもあの時代は総括できない」とするなら、川口さん虐殺弾劾・早稲田解放を求める闘いは、73年9月をもって異次元の状態に入ったとすべきだ。フランス占領のナチスとの闘いは、非公然下で「ナチスを1人殺せば、レジスタンスは百人殺される」関係でも44年フランス解放までやむことはなかった。早稲田の闘いは地下に潜りながら、50年をへて自由を得た樋田氏の著作で克明な事実が再浮上した。1972年時、川口さんや早大生たちが求めた抑圧からの解放の闘いは今も続いているはずだ。川口さんが闘った狭山差別裁判糾弾の闘いは、第三次再審請求の正念場にある。川口さんの遺志を継ぐ者は、狭山闘争に限らず、この人間解放の闘いをこそそれぞれの場で進めるべきではないのか(71年〜70年代狭山闘争を闘った筆者も昨年、何年かぶりに石川一雄さんにお会いした)。

おわりに

2022年末に安保3文書が決定され、先制攻撃のため5年間43兆円の軍事予算を組んだ岸田政権に対する闘いは、70年安保・沖縄闘争を超えるものになることは間違いない。その際の闘争形態は、それを担う労働者階級・人民が選択するもので、かつて日大闘争はそのようにして発展した。今回の映画は、監督や評論家が人命の尊さや過去の総括と称して、結局は国家権力の人民武装解除=「暴力反対」で、闘いの未来に制約をかける役割をはたすのではと危惧する。今すべきことは、43兆円の軍事予算に群がる新たな支配層=政治家・軍人・死の商人どもとの闘いであり、貧困死しかもたらさない抑圧社会との闘いだ。監督や出演者らがすべきはそれへの見解と戦闘的論議ではないか。
最後に我々は、ナチスや戦後も一貫して侵略戦争を繰りかえす米帝、現在のプーチン・ロシアのウクライナ侵略・イスラエルのパレスチナへの暴虐に対して、また71年12・4以降〜90年代までのカクマル反革命が再来するなら、生死をかけて闘う。この映画に登場の佐藤・池上・内田氏らは「内ゲバ批判」よりも、腐敗を続ける自民党政権打倒から、新しい戦前を阻止し社会主義の希望をこそ語るべきではないか。
過去は変えられないが、誠実に総括を深めるなら未来は我々のものになる。
(なおこの過程で、樋田氏の著作以外でも、早稲田でカクマル支配と果敢に闘った人々の「顛末記」などを読ませていただいた。一方の当事者である私たちの検証も含め、さらに議論ができたらと思う。70年に早大第一文学部に合格しながらも他大学に進学した者としても)

8面

爆発危機のメタンガス
万博への子ども動員は中止に

一か所だけ破損とされる万博協会が当初公開した写真

ガス爆発事故の全容を隠蔽

3月28日の万博工事現場メタンガス爆発は、床の一部100平方メートルが壊れたと報じられたが、実はものすごい爆発音がして3カ所が破損する大事故だった。5月22日に天井のへこみ10カ所、5月27日にトイレ棟内の破損が公表された。2カ月もたって公表されたのは、現場労働者が1カ所しか公表されないのはおかしいと、国会議員に写真を送り告発したからだ。万博協会は事故の全容を隠し、消防への通報も4時間半後と、事業者としてあるまじき行為。
メタンガスは、爆発のあった夢洲1区だけではなく2区や3区の4カ所で発見されている。1区ではメタンガスを79本のパイプで排出しているが、昨年夏期には1日2トンものメタンガスが排出され、排出量は昨夏急増。夢洲のどこでもメタンガス爆発の危険性がある。「飲食店舗も火気厳禁で募集している」(万博協会4/19)というほどだ。

万博への子ども動員を強要

「府内の小中高校、支援学校生を万博へ無料招待」で学校への意向調査をおこない、約1900校の内73%(約1390校)が来場を「希望する」と答えたと、吉村知事は発表したが、調査方法が「参加を強要」するものだった。回答は、「希望する」「未定・検討中」しかなく「希望しない」という選択肢がなかった。しかも「未定・検討中」を選択した学校に対して、6月3日には事務局から訪問希望の場合は6月7日までにという催促のメールを送りつけている。
交野市の山本市長は、定例会見で「学校に踏み絵を踏ませるような行為」と批判し、同市には「行くという学校は1つもなかった」と述べた。また市内の公共施設から万博ポスターを全て撤去して抗議した。「希望」した学校は、送迎用貸し切りバスが確保できない、保護者負担が「通常の遠足の倍の値段になり、参加できない子どもがでる」、弁当を食べる休憩所が満員で使えない、ガス爆発の危険性などの問題に悩まされている。児童生徒は多い時は1日当たり1・4万人が来場するのに、府教委が学校向けに確保できたバスは1日当たり10〜50台であり、行くこともできないのが現実だ。
6月5日大阪府の教職員組合3団体は、校外学習の大前提となる安全が確保されないとして、学校単位での万博招待の中止を求める要望書を吉村知事らに提出した。

万博を顔認証とキャッシュレスの実験場に

5月23日万博協会は、店舗決済と入場管理にNECの顔認証システムを導入すると発表した。顔認証の対象は、万博に複数回入場する「通期パス」「夏パス」の購入者と、電子マネー決済サービス「ミャクペ!」の会員登録者。「ミャクペ!」の登録時に顔登録するかどうかを選択する(任意)。顔登録すると決済時に顔認証だけで引き落としが完了する。「通期パス」「夏パス」を利用する人は顔認証が必須で拒否できない。
「万博会場をキャッシュレス社会の実験場」にすると銘打ち、万博では現金は使えない。支払方法は「ミャクペ!」またはクレジットカードだけだ。
万博会場入り口にある51カ所の入場ゲートに顔認証システムを搭載し、入場者を監視する。会場内には、約1000台の顔認証できる決済端末機を設置しキャッシュレス決済をおこなう。電子マネーと顔認証がひもづく決済運用の事例としては国内最大規模だという。「顔をかざすだけで簡単に支払いできて便利」というふれこみで、私たちの顔情報・個人情報を国家や企業が簡単に入手し、人民監視や企業利益のために活用することが狙われている。現金支払いの人は排除し、電子マネーや顔認証を強要するというトンデモ万博だ。私たちの個人情報の自己決定権や自由が奪われる万博は中止しよう。

万博にイスラエルを参加させるな

万博協会はイスラエルを参加させようとしているが、国際司法裁判所によるラファへの軍事作戦即時停止命令にも従わず、ガザでの虐殺を止めないアパルトヘイト国家イスラエルに、「いのち輝く」をテーマとする万博に参加資格があるわけがない。

2024年5・23闘争 石川一雄さんのアピール

今年も、元気にこの壇上に立たせてもらいました。
いよいよ、狭山事件は最終段階です。皆さん方のお力添えで、元気な間に無罪を勝ち取っていただきたい。そのことを強く、強く望みます。皆さん方においては、全国各地で様々な活動をしてくださっております。なかなか足が不自由で動けません。ご理解いただきたいと思います。
仮出獄して30年になりました。30年にもなって、まだ解決していない。そのことを思うと、無念でなりません。今、私が手を上げても下ろすことができません。当時、私を犯人にした3人のお巡りさんは、今、この世にはおりません。おそらく、地獄にいるんでしょう。私は、自分の重い荷を下ろせれば、これでよしというつもりでおります。
みなさん!石川一雄の無実を勝ち取るために、一層のご支援を心から願っております。よろしくお願いします。

緊迫の 度合深まり 危急存亡 家令でも 緊張溶かず

各地で石川さんの無実を訴える闘いは続いている(2024年16月 伊丹市)

石川早智子さんのアピール

今回、一雄は「5・23メッセージは書けない」と、初めて言いました。驚きました。いつも早くからつくる短歌も、やっと絞り出すように書きました。
これまで、「新年メッセージ、5・23、10・31メッセージ」に、「今年こそ、今度こそ、最大限のご支援を!」と、書き続け、訴え続けてきました。しかし、その思いは叶わず、結果として、皆さんを裏切るようになった。だから、メッセージは書けない。そういう一雄の苦悩や哀しみを見ました。
 昨日は「袴田事件」が結審し、検察は、再び死刑を求刑しました。国家権力が無実の人を殺す、そのように言っています。しかし、9月26日の判決では、無罪判決が出されることは確実です。今度こそ、捜査機関による証拠の捏造が、満天下に明らかにされます。次は狭山です。
一雄は、何としても冤罪を晴らす、その一念で生きています。耳をはじめ、眼、様々に体調の変化、衰えはありますが、それでも、気力は衰えていません。この1年ほどは、あまり遠くに行くことが難しくなりました。すると、「石川一雄さんに会いに行こう」と、多くの個人・団体が狭山現調に来てくださっています。炎天下の日、雨の日、雪の日、狭山を闘う支援者、皆様方の闘いが、一雄の力となり、エネルギーとなり、希望になり、一雄の闘いを支えています。
一雄が生あるうちに、再審開始、無罪獲得を勝ち取りたい。皆様方の大きな、大きなご支援を心から願っています。

夏期カンパアピール

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