大軍拡・大増税の岸田自民党倒せ
「専守防衛」から先制攻撃に転換
沖縄最前線の全土基地化阻止
5月3日、全国で憲法集会が。大阪では扇町公園に5000人が集まった |
補選で自民党完敗
4月28日投開票の衆議院補欠選挙で、自民党は「保守王国」島根1区で午後8時に「落選確実」となった。東京15区も長崎3区も不戦敗で政権政党としては「見るも無残な3連敗」、「民意は岸田退陣」と判明した。すでに内閣支持率、党支持率とも20%台(時事通信などは17%)で、訪米外交での支持率微増にすがったが(5月1日からもフランス・ブラジルなどに外遊)、無様な敗北。1日も早い岸田退陣が望まれている。
そもそも岸田政権からの支持離反は裏金問題にあるが、それだけにとどまらない。裏金問題では、1月に検察が早々と退却すると岸田は唐突に自ら派閥(宏池会)を解散したが、それで怒りが収まる訳がない。3月には「裏金でないなら納税を」の声を無視し、確定申告とインボイス納税にあえぐ国民を愚弄した。4月自民党は裏金議員を「自主的に処分」したかと言えばそれも「大甘」で茶番だ。裏金の半年の間、食料品中心に2割規模の物価高騰には打つ手なし。
沖縄島では満杯の基地の上にさらに自衛隊訓練場計画が発覚。瞬く間に反対の声が保革を越えて広がり白紙撤回に。5年間に43兆円の予算に群がる武器共同開発・武器輸出解禁がどんどん進む。5月3日には改装なった空母「かが」「いずも」を先頭とする「新連合艦隊」がインド・太平洋に出港した。他方で能登半島地震救援では、「消滅する過疎地に救援などいらない」と、隣国台湾地震の復興策のはるか後塵を拝して何の手も打たない。泥棒が壊れた家の上に武器を増強し居座っている。これが今の自民党政治なのだ。
さらに言えば、日本帝国主義支配階級は1980年代後半から帝国主義間争闘戦で劣勢に追い込まれ、鉄鋼・電機・半導体・化学・薬品などの世界的シェアを大幅に喪失し、経済は長期停滞局面に突入した。それから30年、労働者階級の賃金は下落のままで、ここ数年は円安が進行し、物価騰貴・生活破壊は耐え難いものになりつつある。この過程で何度かの政治危機を小選挙区制の選挙勝利で乗り切ってきたが、官僚機構・実体経済などは積もりに積もった腐敗が骨がらみとなり、支配の崩壊に至ろうとしている。
今回の補選の敗北は、この15年ほどの間に、第2保守党ながら「改革」を装い進出した新自由主義政党=「大阪維新」や「都民ファースト」の本質も暴露した。彼らにはもはや急激な没落しかない。22年12月の安保3文書の閣議決定以降急速に進む「軍事大国化、大増税・貧困拡大」の自民党政治の全面打破が必要だ。国会審議もせず閣議決定だけの岸田政治はすべて無効だ。6月破れかぶれ解散か9月総裁選後の政権交代以外ない。
人民決起による政権交代
それでは補選に勝利した立憲民主党に任せればよいのかと言えばそれは違う。今回は自民党の敵失で野党第一党に投票が集中したが、この30年の自公政治への忌避感の一部を吸い上げただけで立憲野党の正しさが証明された訳ではない。特に都民ファと連携した国民民主党・玉木代表と連合・芳野会長は、岸田の軍拡・原発を批判せず、反共攻撃を拡大し労働者階級を分断した責任は重大だ。労働者階級と立憲民主党は、玉木と芳野を批判し退陣を求め、軍備拡張反対・原発不要・生活防衛を推進しなくてはならない。
今一つは2009年民主党による政権交代の失敗は、第二保守が主流をなす旧民主党(鳩山・小沢・野田・岡田ら、枝野は宏池会を自称)の中間的改革策「コンクリートから人へ」に政策委任した誤りである。政権交代の好機に、労働者階級=(09年政権交代を実現した)「普通の市民」が、戦闘的大衆闘争(09年〜12年は特に反原発、生活防衛=消費税廃止闘争)をトコトン発展させ、自民党政治を壊滅的に破壊する必要があった。にもかかわらず当時の民主党は原発ゼロを放棄し、最後は消費税値上げの裏切りをおこなった。今次は09年の政権交代の誤りを繰り返させず、脱原発・消費税廃止の政権交代から、資本家階級・資本主義の廃絶、社会主義への連続的変革への道へ進めなくてはならない。
この3年間の岸田政権は、22年末に安倍政権の敵基地先制攻撃を引き継ぎ、安保3文書で5年間43兆円の軍事費を予算化させ、軍事大国化と生活破壊攻撃を強めてきた。これに対し労働者階級・人民は当初は有効な反撃ができず、岸田は23年広島サミットの外交ショーで一定の成果を得て「黄金の3年間」を謳歌する勢いであった。
しかし2012年体制に内在する政治危機―小選挙区制は20%台の支持で過半数の議席獲得できるが、その裏で官僚機構を首相官邸が掌握し、議会審議の空疎化、政治腐敗が連続的に進行し、実体経済の長期にわたる停滞が進んだ―と、昨年夏以降の物価上昇=生活破壊・増税、原発再稼働への批判が拡大し、23年秋以降は裏金問題で毎月支持率を降下させ、4・28補欠選挙で3連敗を喫した。この15年の自公政治の停滞のすきをぬって伸長した維新は23年4月統一地方選が頂点で、その後は万博破産が全面化し、今やその存在そのものが風前の灯だ。
我々革共同再建協=未来派はある種党創成以来、2008年洞爺湖サミット闘争を初発とし、反原発闘争、安保法制反対闘争と、戦闘的大衆闘争の発展に政治生命をかけて闘い抜いてきた。しかし今や日本帝国主義政治委員会・自民党支配が末期的危機にある時、人民の闘いを原発・沖縄・生活防衛などの個別闘争の集合体にするのではなく、安保・沖縄闘争を軸に路線的に発展させ、政権打倒から新自由主義打倒・支配階級の打倒へ発展させるべき段階にきている。
新たな安保・沖縄闘争を確立しよう
夏を思わせる日差しの中、憲法集会に5000人。イスラエル弾劾の市民デモHYOGOの大横断幕が(5月3日 神戸市) |
@苦闘せる沖縄人民の闘い
この1年半の沖縄人民の闘いは、辺野古新基地建設をめぐり住民の粘り強い闘いを背景に、政府・国土交通省、防衛省、裁判所の一体となった攻撃に、歯を食いしばり闘ってきた。しかし政権の「飴と鞭」により自治体レベルでの後退を余儀なくされた。「南西シフト」により宮古・八重山・琉球弧に本格的な自衛隊基地が次々と建設され、住民生活を圧迫し、このままでは琉球弧は再び「逃げ場のない戦場」になるとの危機感が広がっていった。この攻撃に対し、23年6月23日=慰霊の日には期せずして「沖縄を再び戦場にするな!」の危機感が沖縄人民共通の機運として一気に広がった。この中で我々は22年11月から宮古島住民と連帯する闘いを開始し、辺野古新基地建設反対の闘いを現地と連帯し各地で闘い抜いてきた。この中から23年11・23の「全国連帯」をかかげた闘いが、沖縄・大阪・全国で高揚した。
この闘いの上に、沖縄島・うるま市(1959年、米軍機事故で児童11人ら17人が死亡した宮森小学校のある地域だ!)に新たな自衛隊の訓練場を作ろうとする攻撃には、これまでの闘いを凌駕する人民的決起が巻き起こった。単位自治会から始まった訓練場反対の闘いは、地域全体で保革を超えたうねりとして広がり、3月20日うるま市民会館あふれる1200人の集会の爆発で、4月11日に防衛省当局は計画断念に追い込まれた。4月14日の県民大集会には大浦湾瀬嵩浜に1800人が集まり勝利を確認した。
A開始された祝園弾薬庫反対の闘い
22年末の安保3文書の採択・閣議決定以降に強まった全土基地化攻撃は、琉球弧のあらゆる島々だけでなく、鹿児島県各地・大分(敷戸弾薬庫強化など)・佐賀(空港へのオスプレイ配備)をはじめとする九州全域の基地化・基地強化が狙われ、高知3港・高松港といった四国の補給基地化だけでなく、京阪奈丘陵にある祝園弾薬庫の大幅強化などに巨額の予算が組まれ、文字通り全土基地化攻撃が一気に強まった。
この中で甲子園球場100個分の広さをもつ祝園弾薬庫の全面強化に102億円の予算が計上されるや、近隣住民の危機感は一気に強まった。1月フィールドワークに60人、3月集会には200人が集まり沖縄からもメッセージが寄せられた。5月11日には大学習会を開催。戦前以来片町線(現学研都市線)周辺は、京橋・大阪城一体の砲兵工廠・第4師団司令部を要衝にして、枚方には香里製造所(現香里団地)、中宮製造所、禁野火薬庫(1939年に爆発事故で94人が死亡)、小松製作所が密集し、さらに京都南部の祝園弾薬庫、宇治自衛隊基地などが、関西圏の一大軍事網を形成していることが改めて知れわたり、足元での反戦闘争の必要性の認識が急速に拡大している。祝園弾薬庫に貯蔵されるトマホークミサイルは舞鶴のイージス艦にむけ、京都ルート(JR奈良線・山陰線など)か大阪・兵庫ルート(学研都市線・東西線・福知山線)で運ばれる。朝鮮戦争時に吹田から弾薬が大阪から下関に運ばれ、朝鮮半島を攻撃したように。
かくして22年末安保3文書制定、5年間で43兆円の予算を持つ一大軍事大国化攻撃に反撃が開始され始めたのだ。われわれは沖縄・九州・四国・関西を貫く新たな安保・沖縄闘争=反戦・反基地・改憲阻止闘争で、軍事大国化・戦争国家化を阻止していこう。
B安保防衛政策の全面転換〜専守防衛から敵基地攻撃へ
22年12月の安保3文書閣議決定以降、この国の安保・防衛政策は全面転換を迎えた。5年間43兆円の予算決定は、それまでの軍備増強を質・量ともに凌駕する変質を遂げていく。
一つはこれまで「自衛隊南西シフト」の名で強化されてきた琉球弧の軍事要塞化がさらに進むことである。宮古島、石垣島、与那国島は「台湾有事」の最前線基地として強化され、進駐する選挙権を持つ自衛隊員・家族が地域政治に決定権を行使する。中国を射程にいれる地対艦ミサイルの配備は戦争挑発以外の何物でもない。海上自衛隊に編入された宮古島などの海上保安庁艦船は旧来の海上自衛隊艦船以上の機能を持つ。また建設された弾薬庫は居住地域に隣接し、地域住民は爆発・炎上の危険に日常的にさらされる。沖縄島の基地はすでに飽和状態にもかかわらず、その上に陸上自衛隊は第15旅団の新師団化にむけて、新たな訓練場の建設などを狙っている。
鹿児島県馬毛島は旧地主から全島を買い取り、急速に全機能を持つ自衛隊基地建設が進んでいる。また九州各地の空港・港湾は自衛隊の自由使用用に整備され、大分の敷戸弾薬庫反対では住民の闘いが始まっている。四国の宿毛、須崎、高知、高松の港湾の整備も県が承認を出したが、各地で住民の反対運動が起こっている。
C5月3日、空母「かが」ら新連合艦隊がインド・太平洋に出撃
新基地建設とともに、自衛隊装備・艦船・航空機の強化も猛烈に進んでいる。特に海上自衛隊は、護衛艦ながら実質ヘリ空母であった「かが」「いずも」が、F35B戦闘機の離発着可能な本格空母化が完了した。戦後初めてその名も真珠湾攻撃の主力艦「加賀」と同じ名の航空母艦所有は、これまでの「専守防衛」概念を全面否定するものだ。この「かが」「いずも」、最新鋭イージス艦「はぐろ」(まや型2番艦、いずれ8隻体制に)らを先頭とする「新連合艦隊」が、わざわざ憲法記念日の5月3日インド・太平洋海域での半年作戦に出港した。
今一つはこれまでも24隻を保有しアジア最強と言われた潜水艦隊が、そうりゅう型に続き、「たいげい」が進水し、圧倒的強化が進んでいることだ。これらを軸とした対潜水艦作戦が、昨年4月陸自ヘリの墜落に続く4月、鳥島沖作戦での海自ヘリ(小松島、大村所属)の衝突・8人死亡となるなど、実戦訓練が激しく進んでいる。また陸上自衛隊装備も12式ミサイル長射程化など急速に改善され対中国包囲作戦をさらに強めようとしている。
D次期戦闘機の共同開発と武器輸出解禁
今一つの重大問題は、次期航空自衛隊戦闘機の英・日・伊共同開発(4:4:2の比率)が、英国の機体=ひさしを借りながらエンジンはIHI(旧石川島播磨重工)製という日本のヘゲモニーで急速に進められようとしていることだ。しかも三菱、川重、IHIなどの軍需産業には、元統幕議長・河野克俊が三菱・川重の顧問にすわるなど、自衛隊と軍需産業の一体化が進み、これらが自民党右派議員とつらなり軍事中枢となろうとしている。
4月、日米会談で日米共同作戦の実戦的遂行が合意されたが、そのうえで日本独自の軍備強化は、「かが」「いずも」の空母改造、次期戦闘機の英・日・伊の共同開発、さらに武器輸出の全面解禁が進む。これまでは防弾チョッキの輸出すら禁止されていたものが、戦争当事国への戦闘機輸出が可能とされるなら、「専守防衛」の留め金が一気に外れる。
沖縄での反基地闘争は軍事化大国化・出撃基地化阻止の闘いの最前線であり、九州・四国・関西での反戦・反基地・改憲阻止の闘いを新たな安保・沖縄闘争の自己課題として爆発させていくことが問われている。
E日米軍事一体化・日米首脳会談による指揮権統合問題、クワッド・日米比での対中国包囲網などは別途詳論する。
F憲法改悪・戦争国家化の道は、全社会の戦争国家に向け経済安保、秘密保護法の拡大などの上に、自衛隊員の全面増強・徴兵制復活にむけ、18才と22才の住民票名簿の自衛隊への提供が各地で進んでいる。これに対し神戸市では裁判が始まり、大阪府高槻市住民などがこれに続こうとしている。これらの住民と連帯し、各地の自衛隊基地に対する行動などとも連帯し、戦争国家化を阻む闘いを強めていこう。
2面
「5・3憲法大集会」に32000人
5月3日、「武力で平和はつくれない! とりもどそう憲法いかす政治を 2024憲法大集会」が晴天の中、東京・有明防災公園で開かれ、32000人が集まった。(写真上)
オープニングライブに続いて、午後1時から始まった集会では、総がかり行動の小田川義和さんの主催者挨拶に続いて、弁護士の伊藤真さん、新外交イニシアティブの猿田佐世弁護士からアピールが。
伊藤さんは「この国は、戦争法を制定し、一昨年の安保3文書で他国の領土も攻撃できる、そんな準備をどんどん推し進め、自衛隊は戦争のできる、戦争をする、そんな部隊に変えられています。…私たちは、憲法によって守られてきました。今度は、私たちが憲法を守る責任があると思います」と改憲反対の決意を語った。立憲民主党の代表らのあいさつを受けた。東京は連帯あいさつでは市民連合の長尾詩子さん、福島原発告訴団から武藤類子さん、移住者と連帯する全国ネットワーク事務局長の山口素子さん、オール沖縄会議から共同代表の高里鈴代さんなどがあいさつ。
「皆さん。福島原発事故を忘れないでください。いまだ事故が収束していない中で、過酷な被ばく労働、汚染水の海洋投棄、小児甲状腺がんの増加と次々と問題が起こり続け、理不尽な人権侵害が行われています。次の原発事故が起こる前にすべての原発を止めましょう」と武藤さん。「代執行を許さない!新たな基地建設をゆるさない! 沖縄を新たな戦争準備の基地にさせない!」と高里さん。
最後に、行動提起を受け、デモ行進に移った。
3面
ブルーアクション新宿 今こそ沖縄連帯
5月4日、毎月恒例の辺野古ブルーアクション新宿スタンディング(呼びかけ/沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)がおこなわれ、多くの市民が参加した。
マイクを取った人が口々に辺野古での工事強行や奄美大島での土砂採取策動、南西諸島の戦場化への怒りを表明した。(写真上)
ガザでの虐殺と、文科省掲示板への「FREE GAZA」メッセージ書き込みに対する弾圧(麹町署での1カ月を超える留置・勾留)への抗議に取り組む方のアピールもあった。
沖縄日誌4月 広がる怒り
全地域で戦場化攻撃
4月1日 名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は国頭村半地の採石場からキャンプ・シュワブゲートに石材搬入を始めた。国頭地域からの土砂搬入は初めて。防衛局は設計変更申請書で、埋め立て土砂の採取地を県内全域とした。国頭地区からは234万立方メートルとしている。
シュワブゲート前で座り込みの市民30人は石材搬入に「違法工事はやめろ」と抗議の声を上げた。
6日 宮古島沖で発生した陸上自衛隊のヘリコプター墜落事故から1年が経過した。県防衛協会(国場幸一会長)などで構成する建立委員会は宮古島市内2カ所に慰霊碑と献花台を設置した。献花台は事故現場近くの公園に、慰霊碑は陸自宮古島駐屯地の施設内に建立。同駐屯地で除幕式が開かれた。ゲート前では〈ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会〉が、慰霊碑場所付近には集落の御嶽があり建立したことに抗議の声を上げた。
8日 竹島町の波照間島の波照間空港が、自衛隊や海上保安庁の利用を円滑にする「特定利用空港・港湾」の候補にあがってることについて住民説明会が開かれた。人口462人の住民のうち50人が参加。賛成意見もある中、「この島は戦争マラリアがあった、戦争につながる動きだ」「自衛隊は反対だ、沖縄戦は何だったのか、軍隊は住民を守らない」などの反対意見が上がった。
11日 うるま市に陸自訓練場を新設する計画について、木原稔防衛相は土地取得を含めた整備を「取りやめる」と述べ計画断念を表明した。しかし、陸自第15旅団の師団化計画は堅持し、本島内で別の訓練場用地を探す見通し。市民からは安堵の声があがった。「安心感でいっぱい」「小さな力が大きく伝わった」「大人の頑張り、こどもたちに示せた」。一方「どこに行くのか心配」と懸念を示す声も。
14日 オール沖縄会議は名護市の瀬嵩の浜で「民意・自治・尊厳を守り抜く4・14県民大集会」を開催(写真右)。市民1800人が参加。玉城デニー知事も参加し「新たな自衛隊基地は造らせない」と訴えた。参加者は「うるま市の陸自訓練場の計画を撤回させた」との発言に大きな拍手と指笛で応えた。海上ではヘリ基地反対協海上チームが抗議船3隻、カヌー15艇でパレードした。
18日 辺野古新基地建設で防衛省が大浦湾側の埋め立てに鹿児島県・奄美大島で採取した土砂の使用を検討していることが分かった。
辺野古埋め立ては13年、当時の仲井真弘多知事が承認した。政府は当初、沖縄県内のほか6県から土砂を買い取る予定だったが、15年県議会で「特定外来生物の侵入防止を目的に県外からの土砂などの搬入を規制する」県条例が成立。沖縄防衛局は条例施行後、条例の適用回避を念頭に、埋め立て用土砂を県内で調達する方針を固めた。しかし、沖縄島南部からの土砂調達について、戦没者の遺骨が混じった土砂が使われる可能性があるとして強い反発が起こった。
政府は土砂を洗浄することで県外からも可能としたが「石材の洗浄は可能だが土砂の洗浄はありえない」との声が上がっている。
24日 石垣市で陸自石垣駐屯地の部隊が公道を使った軍事訓練を初めて実施した。災害物資輸送訓練と称し公道を16キロ行進。市民団体や野党市議などが抗議の声を上げた。
関西ガザ緊急アクション 4月27日大阪
ラファへの攻撃許すな
ゴールデン・ウィーク初日4月27日の夕刻5時、JR大阪駅東南側バスターミナル広場にて、関西ガザ緊急アクションがおこなわれた。
JR大阪駅前で訴え(4月27日) |
国際連帯の声を
冒頭、関西ガザ緊急アクションからアピール。「緊急なのは、イスラエル軍が、ネタ二ヤフ戦時内閣の要請にこたえて、いつでも出撃可能の好戦姿勢をしめしていること。ガザ南端のラファ検問所あたりには、エジプトに出国もありかというパレスチナの人々が150万人も。南しか避難しようがないと移動したが、食料、水などの国連からの支援物資はこの検問所ですでに供給されなくなっていた。
UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)に、ハマースサイドの人間がひそんで、あの抵抗闘争に参加していたという理由で、この事業活動が、イスラエル軍による攻撃の対象になった。欧米や日本が援助を停止した。幼い子どもたちが餓死する悲惨な事態になった。ここが攻撃されれば、文字通りのジェノサイドのさらなる惨劇となる。現在3万4千人が殺害され、負傷者が7万7千人。その多くは、子ども、女性、老人。
バイデン米大統領は、イスラエルが攻撃すれば大変なことになると忠告しつつ、イスラエルに1800発の爆弾を供与した。国際司法、国際刑事裁判所、安保理がジェノサイドを禁じている、が、アメリカとG7は、イスラエル支持。安保理決議は米国の拒否で成立しない。アメリカ国内では20大学において抗議のキャンプ・テントを張って構内占拠、戦争をとめろ、イスラエルへの投資をやめ、制裁しろと学生や教員が訴えているが、学長は警察を動員し、現在500人の逮捕者が出ている。学生は、子ども達が殺されているのに、逮捕ぐらいですめばなんのことはない、と屈しない。すべての人々が、平和に生きていけるよう国際連帯で声をあげていこう」。
私たちは、数字じゃない!
このあと、パレスチナ詩人の詩の翻訳「ママ、お名前を書いて! 私たちは、数字じゃない! 私たちが粉砕されても名前があれば、語りつたえてくれる・・・」
日本在住のパレスチナ人の英語での家族の流転の物語を伝え、ジェノサイドの危機を訴えた。
新宿円周ラッピングデモ
3月30日、東京・新宿駅で「攻撃の即時中止! イスラエルはガザへの軍事攻撃を止めろ! 国際法と国連決議違反の占領と入植をやめろ! 新宿円周ラッピングデモ」(呼びかけ:パレスチナに平和を! 緊急行動)がおこなわれ、おおぜいの在日パレスチナ人を含む多数の市民が参加した。
1976年3月30日、イスラエルが何百万平方メートルものパレスチナ人の土地を奪い、6人のパレスチナ人がイスラエル警察に殺害された。以来、毎年3月30日は「土地の日」とされ、パレスチナ難民帰還パレード等がおこなわれている。この日の新宿での行動は「3・30パレスチナ土地の日全国一斉行動」の一環としておこなわれた。午後2時に新宿駅の南口・東南口・東口・西口に市民が集合、それぞれでプラカードを掲げて新宿駅を囲むスタンディング。2メートル間隔で参加者が並んで、新宿駅は完全に囲まれた。3時、「Stop stop genocide」「Cease fire right now」等のコールをあげながら参加者が南口に集合。日本にいるパレスチナ人を中心に全体でコールとアピールをおこなった。
それぞれパレスチナで生まれてイスラエルの侵攻で追い出され、帰れなくなったパレスチナ人の夫婦と子どもが参加し、夫が体験談を語った。また、ガザ現地の若者の手記が英語で読み上げられ、日本人集会スタッフが涙ながらに日本語訳を読み上げた。
「かつてイスラエルの攻撃で負傷した母が癌を患っていて、(イスラエルの攻撃で病院が使えないため)外の病院で母の治療をするため金を貯め、やっとビザが取れた日に母が亡くなった。母は私の人生そのものだった。イスラエルの攻撃が無ければ死ぬことはなかった」。
4面
とめよう!原発依存社会への暴走
再稼働とめる6・9大闘争
3・31美浜全国集会で反撃
元日の能登半島地震で甚大な被害が発生している最中、原発の運転禁止を求める3つの仮処分申し立てについて、決定が出た。
大阪高裁での「美浜原発3号機運転差止仮処分・即時抗告審」は棄却。福井地裁に申し立てられていた「美浜3号機運転禁止仮処分」「高浜1〜4号機運転禁止仮処分」はいずれも却下された。
能登半島地震の現実に直面しても、「原発は止めなくてよい」と言いはる司法。人々の安全・安心に生きる権利、命を脅かされることなく生きる権利、生存権保障を放棄したともいえる裁判所の姿勢は断じて許されるものではない。
この間の司法の劣化は目に余るものがある。岸田政権による原発依存社会への暴走に迎合し、棹さす役割を果たしている。原発賠償裁判では、国の責任を否定した最高裁決定以降、各高裁で右へならえの「国の責任を否定する判決」が続いている。また、原発そのものをめぐる裁判でも、反動判決・決定が続いている。
もはや生きる権利、安全・安心に生きる権利は、私達の目に見える行動、たたかいによってしか実現できないことは明らかだ。3月31日、福井県美浜町でひらかれた「老朽原発ただちに廃炉! 美浜全国集会」は、集会とその後の町内デモ、関西電力原子力事業本部への抗議行動をとおして、そのことを示した。
女川・島根・柏崎刈羽再稼働
原子力規制委員会の審査に合格している原発について、新たな再稼働を狙っている。女川2号機、島根2号機、柏崎刈羽7号機である。島根2号機の再稼働については、すでに松江市、島根県は同意しているが、安全対策工事が遅れており、「24年12月再稼働」をうち出している。
女川2号機再稼働については、地元同意は済んでいる。柏崎刈羽7号機は、柏崎市・刈羽村の同意を得ているが、新潟県の同意がまだである。6月県議会での同意をめざすとしているがずれ込む可能性があり、新潟県知事による最終判断は見込みがたってない。
いずれにしても、24〜25年過程で、再稼働を狙っており、全国の力で再稼働をストップさせよう。
原発推進GX束ね法
23年に岸田政権が強行成立させた原発推進GX束ね法は、5本のうち3本はすでに施行されているが、「電気事業法」と「原子炉等規制法」の改定施行は25年6月である。束ね法の全面施行を阻止しよう。また、25年には第7次エネルギー基本計画が打ち出される。現行の第6次エネルギー基本計画では、原発の新増設やリプレース、次世代原子炉などに一切ふれていないが、原発依存社会への暴走下で、どう表現されるか。
6・9大集会へ
6月9日、大阪市内で開催される「とめよう! 原発依存社会への暴走 大集会」は、岸田の大軍拡、核武装政策、戦争国家化への大点転攻撃と鋭く対峙するたたかいである。
今なお人々の大多数が原発に反対しており、反原発の闘争陣形も強固に存在している。また、反原発・脱原発ということは、普遍的な現状変革を内包している。過疎地の犠牲の上に、都市住民の生活が維持されているというあり方、人間疎外の最たるものとしての被曝労働を前提にしてしか維持・存在できな原発、そういう深刻な問題を内包しており、きわめて根源的なたたかいである。
6月9日は、集会後、大阪御堂筋を難波に向かいデモをおこなう。各地で6・9に結集しようという大きな流れを作り出そう。(仰木明)
原発前で抗議行動
福井県高浜町 4月23日
4月23日、関西電力は高浜原発4号機の再稼働を強行した。関西電力が再稼働日を公式に発表したのが前日。23日は、地元福井をはじめ関西一円から抗議の人々が急を聞いて集まり、原発ゲート前で抗議の声をあげた。
正午、原発の北3百メートルにある音海展望台に集まり(写真)、12時30分、原発にむかってデモ行進。原発の北ゲート前に陣取り、抗議行動を展開した。
高浜4号機は、この6月で運転開始後満39年を迎え、40年目に突入する老朽原発だ。関西電力の原発のなかでも高浜3・4号機はトラブル多発で有名。特に、蒸気発生器伝熱管(1次系配管)の損傷多発は深刻だ。約320℃、160気圧の高温、高圧水が流れる電熱管が破断すれば、炉心溶融や水素爆発にいたる可能性も。
ゲート前は、再稼働強行にたいする怒りの声がこだまする。福井県警はいつになく抗議行動へのいやがらせ・妨害をくりかえし、原発推進をあおる右翼も妨害行動に登場。元日の能登半島地震の現状を見るとき、ただちに原発は停止、廃炉にせよの声がつぎつぎと上がった。
本の紹介
核開発の歴史を考える2冊の本
@『スリーパー・エージェント 潜伏工作員』
アン・ハーゲドーン著・布施由紀子訳
A『LA BOMBE 原爆 科学者たちは何を夢見たのか』
脚本・ディディエ・アルカント/ L-F.ボレ
絵・ドゥニ・ロディエ 訳・大西愛子
アメリカの国力という時に、先ず思い出すのが、原爆。原子力の時代は、悲惨なことばかりだが、まだ、終焉の見込みはない。新しいAI時代のチャンピオン、グーグルの代表ビルゲイツがSMRという原発システムを開発している。
ヒトラーナチスの時代に、原子力爆弾の開発競争をしていた国は、ドイツ以外に、日本だった。ドイツは、2011年「3・11」福島第一原発事故の後、原発を全てやめた。日本は、逆に、世界の原発推進派の先頭に立てとのアメリカの圧力に屈した。原発と原爆は、コインの裏表。そして、原爆を米国に次いで、猛追、配備したのは、ソヴィエトであり、米国以上の核ミサイルを保持しているという数字もある。
いま、二つの本を読み比べているが、アメリカの核に対して、冷戦構造を作り上げたソヴィエトの開発能力は、共産、社会主義、そして、科学技術の普遍主義(産業革命以来の)としての電力のエネルギー転換を国是としていたし、革命への希望と信念が米国の独占を許さないという第3インターの闘志がそれを支えていた。
『LA BOMBE 原爆 科学者たちは何を夢見たのか』には、マンハッタン・プロジェクトの途中で、抜け出す人物も描かれているし、ナチスドイツの研究者ハイゼンベルクは、意図的に、完成を遅らせていたという描写もある。ナチス・ドイツ、日本が敵であり、ソヴィエトは、友軍であった時代に、原爆開発のアメリカ本土の現場に、スパイが、一人とは言わず、潜入していた。
ソヴィエトの猛追を可能にしたのは、アメリカの原爆研究施設へのスパイの潜入によってではなかったか。上記2冊にはスパイの名前がはっきり明示されている。Aは、人間模様が具体的に描かれていて読み易いが、スパイが主題ではない。いわば、「戦争と平和」の主人公が原爆という物語。あっさり、スパイの存在が、原子力爆弾開発の成功を2年早めたと書いているだけ。マンハッタン・プロジェクトの中枢に入ったクラウス・フックスという名前は、@には、ない。
しかし、「潜伏工作員」からうかがえるのは、諜報活動の組織的活用が基本にあり、秘密保持のために、工作員は、組織を全体として認識することはできない、このとき、活動家は、一人で判断力を研ぎ澄ませて、スパイであることが露見しないように生きつつ、情報を渡さねばならないが、敵の組織の枢要な部分へは、入れなければならない。マンハッタンプロジェクトの敵は、イタリア、ドイツ、日本だったから、奇跡的に、国家の最高秘密に接触することが、ソヴィエト―アメリカ・ユダヤの人間にはできた。@の著者アンは、歴史的文献を精査して描く。問題は、原子力という専門的な物理・化学的な世界の基礎を習熟していなければ、そうした現在形のプロジェクトには近づくことはできない。NEW WORLD としての、ソヴィエトは、新しい民主主義(プロレタリアート社会)の形態を産み出すかもしれない可能性があった。このことは、スパイ自身の思想的エンジンだったし、ロシアでもありロシアでもなし、ソヴィエトでもありソヴィエトでもなしという過渡期のアメリカ入植人間が、科学の基礎を身に着けることによって、あらゆる壁を突破してゆくということが実証されている。
「スリーパーエージェント」は、暇さえできれば、学校に通い、資格やらなにやら、身に着けて、科学的教養を深めていたように見える。この危険な綱渡りの細部へは、化学・物理学・量子力学など知らなければ、深くは理解できないが、激しい時代の革命期はどのように生きられるかのだいご味は味わえる。学知は、特権階級のものだ、働けという次元はよくわかる。しかし、力の製造や応用は、機械がやる時代になったとき、その時代の教養を身に着けていなければ、機械に負けてしまうのではないかと、あらぬことを考える。
機械の奴隷になって楽ちんということもないわけでもないが、原子力はまちがいである。爆弾では、生態系と文化の持続力とは方向が反対。爆発的破壊的エネルギー転換ということを続けて、もはや人間のいない工場しかありえなくなる。爆発的力を持って、科学者は幸福になれたか。核兵器を主力とする国家には、未来はないという科学がしっかり浮上しなければならない。隠す日本の政権は、こうした民衆のあばく民主主義にもやはり負けるのではないか。(南方史郎)
5面
強制不妊訴訟 名古屋地裁が国に賠償命令 3月12日
「優生手術にはもはや妥当しない」
―除斥期間適用を正面から否定の判決
木々繁
旧優生保護法(以下、旧法。1948〜96年)下で不妊手術を強いられたのは違憲だとして、聴覚障がいのある尾上敬子さん(74)と夫の一孝さん(77)が国に計2970万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁(斎藤毅裁判長)は3月12日、旧法を違憲と判断し、国に1650万円の賠償を命じた。全国12の地裁・支部で起こされた強制不妊訴訟において、今回で地裁判決は11件目、高裁を含めると計19件の判決が出た。うち国賠命令は地裁レベルでは4件目、高裁判決を合わせると計10件目。
名古屋地裁前に「勝訴!」、「早期全面解決を?」と大書きされた垂れ幕が掲げられた。二人は駆けつけた多くの支援者に何度もガッツポーズ、抱き合って喜びを分かちあった。夫妻は判決に際し、「同じ苦しみを抱えているたくさんの人たちが、勇気をもって被害を打ち明けられるように」との思いで実名と顔を公表した。
敬子さんは母親から「手術しないなら今後世話をしない」と強く迫られ、家族に依存せざるをえない当時のろう者の状況からそれに抗えず、20代で結婚・入籍直後の75年5月ごろ不妊手術を受けさせられた。
二人は2022年9月26日、3地裁への計6人による全国一斉提訴の一翼を担って提訴した。
裁判で、敬子さんは「幸せな当たり前の暮らしがしたかった。私の人生を返して下さい。差別のない社会を目指して闘い続けます」、一孝さんは「私たちは自己決定権を奪われてきました。優生思想をなくしたい。この裁判に絶対に勝ちたい」と訴えてきた。
斉藤裁判長は判決理由で、旧法の規定は憲法13条が保障する子どもをもうける自由に「必要かつ合理的ではない制約を課すものだ」と違憲性を指摘し、手術の可否を疾患の有無で判断する点も不合理だとして、法の下の平等を定める憲法14条1項にも違反していると判断した。
違憲判決は地裁で計9件目、高裁の6件を合算すると計15件に積み上った。
昨年10・25仙台高裁判決に続き、「除斥期間」適用を正面から否定した画期的判決
裁判長は、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用を主張した国に対し、理由を次のように明示し退けた。国は旧法の国策的推進と学校教育などを通じ、「障がい者は劣った人であり、増加するべきではない」という認識を社会に浸透させてきたと指摘。その結果賠償請求の権利行使が極めて困難な状況をつくり出したのは国だと断じ、「除斥期間」の適用で賠償義務を免れるのは「著しく正義・公平の理念に反する」と述べた。さらに、極度の非人道性と甚大な人権侵害とに鑑み、「優生手術については『除斥期間』適用はもはや妥当性を有しない」と断言した。
仙台高裁は、「20年」を〈時効期間〉と解釈することで「除斥期間」適用を否定したが、名古屋地裁は酷い被害実態の重視から適用否定の結論を導いたと言える。半年足らずの間に、これまでの「適用制限」の流れをさらに進めて、適用自体を否定する判決が二つ登場したのである。
まさに、戦争と反動と暗黒の道にのめり込む日帝政治権力への人民の怒りを背に受けつつ、最初に声を上げた飯塚淳子さん(70代、活動名。仙台)から尾上夫妻にいたる原告の方々の不屈の障がい者自己解放闘争が切り開いた賜物に他ならない。連帯と支援の輪を着実に広げ、優生保護法問題の早期・全面解決に向かってともに前進しよう。
原告・弁護団の声
尾上敬子さん
「(手術を受けさせた)母を恨んだこともありましたが、国が悪いことがはっきりした。今の若い人たちに自分たちのような差別を受けさせたくない。幸せな社会になってほしい」
一孝さん
「今まで感じたことのない最高にうれしい気持ちです」
高森裕司弁護士
「被害者の個別事情のいかんにかかわらず除斥期間は適用されないとした点で画期的だ。被害者を分断しない判決で、幅広い救済につながる可能性がある」
紙面の都合で掲載が遅れたことをおわびします
兵庫生存権裁判 控訴棄却
国による生活保護費減額を追認
大阪高裁第8民事部(森崎英二裁判長)は4月26日、国による生活保護費減額を追認した神戸地裁判決を支持し、原告の控訴を棄却した。兵庫県在住の原告たちの生存権を否定し、国の言いなりの判決だ。生活保護利用者が貧しさゆえに、ほとんど買わないパソコンやデジタルカメラなどの物価下落を強く反映させた厚労省独自の指数について、多くの地裁判決が「厚生労働大臣の裁量の範囲を逸脱しており、違法である」と断じているのとは対照的に、森崎裁判長は「重大な過誤はなく裁量の範囲内」というとんでもない判決をくだした。
10年間にも及ぶ保護費引き下げにより、最低限度の生活以下の生活を強要されている生活保護利用者がパソコンなどを買う余力があるはずがない。だからこそ全国15の地裁が生活保護利用者のきびしい生活実態に着目し、国の違法を断罪してきたのだ。こんなでたらめな判決は断じて許すわけにはいかない。
激しい攻防
一審の地裁判決26のうち、原告勝訴は15と現在、大きく勝ち越している。しかし、控訴審判決では、原告全面勝訴判決を出し国家賠償責任まで認めた名古屋高裁判決以外の大阪高裁(民事1部)、仙台高裁秋田支部、大阪高裁(民事8部)では国の主張を丸のみして原告敗訴を言い渡している。今、高裁判決は4例目であり1勝3敗となっている。いずれも最高裁に上告している。
関西では、原告が勝訴した和歌山地裁判決、奈良地裁判決、原告が敗訴した大津地裁判決はいずれも大阪高裁に係属されている。これらの闘いに全力をあげていこう。
生存権を守る
戦後70年近くどの内閣も生活保護基準には一種の〈聖域〉として手をつけないできた。しかし2012年、第2次安倍政権は政権復帰の公約として保護基準の10%引き下げをかかげて政権復帰した。厚労省は10%引き下げのためにムチャクチャな計算をして引き下げを強行したが、全国の生活保護利用者千人が原告となって、自分たちだけでなく、他の人たちの生存権をも守るために立ち上がった。その結果、現時点では地裁では原告が大きく勝ち越し、高裁では名古屋高裁が国の違法だけでなく国家賠償まで認める画期的判決が出ている。
生活保護制度は私たちの最後のセーフティネットであるだけでなく、最低賃金や各種の社会保障の基準となっていることをみすえなければならない。この引き下げを許すなら、今後、保護基準はさらなる引き下げが強行されていき、社会は壊され、生活保護制度はないも同然にまでされていくだろう。
最高裁勝利を
大阪や名古屋での高裁判決はいずれも上告され最高裁に係属している。今、大阪からも最高裁への要請行動が取り組まれている。最高裁への署名をさらに集め、最高裁への要請行動を起こしていこう。この行動する力こそが事態を変える原動力である。(米村泰輔)
6面
生きる権利をうばう医療・介護報酬の改定を許さない
雪雲茜
この4月、診療報酬と介護報酬の同時改定がおこなわれました。今回の改定は、医療機関や介護事業所つぶしも通じて、私たちの医療を受ける権利、介護を受ける権利、総じて生きる権利を力づくで奪おうとする悪意に満ちています。
(T) 医療報酬改定
糖尿病、高血圧、脂質異常症への報酬大幅減
「特定疾患療養管理料」から糖尿病、高血圧、脂質異常症の3疾患が除外されました。これで1200億円の大幅な医療費削減がはかられました。一医療機関の減収額は、年間223万円平均になるといいます。「特定疾患療養管理料」と「特定疾患処方管理料」の対象疾患の9割が糖尿病、高血圧、脂質異常症なのだから特定疾患療養管理料等の実質廃止に等しいのです。「看護職員の賃上げ財源」としてわずかに初診60円、再診20円が新設されましたが、すでに地域の医療機関の25%は赤字経営であり、この改定は労働者の基本給さえぶっとぶほどの減収と困難をもたらします。
コロナ対策補助打切り
コロナは感染症法での位置づけが最も軽い5類に格下げされました。重症化は少なくなっていますが感染力の強さは変わらず、病院や施設でクラスターがおこっています。
しかし、政府はコロナ対策補助を基本的に全て打ち切りました。政府はコロナを含む「発熱患者等対応加算」を新設するといいますが、月に1回二百円のみというものにすぎません。
そして予防接種は自費になり、治療費は医療保険の自己負担分を支払わなければなりません。受診を控える患者が増えるでしょう。
医師の「働き方改革」
過酷な長時間労働の中で、とりわけ若い医師の労災死が続いています。政府は「医師の働き方改革」を言っていますが、救急医療機関等理由を申請すれば「27年まで上限1860時間を認める」というものです。年960時間の過労死ラインの2倍です。
根本的な解決は医師不足の解消ですが、それどころか、政府は、今後も医学部定員削減策によって医療供給体制を削減しようとしています。
急性期病床削減続ける
政府がコロナ下でも病床削減計画を強行していったのは記憶に新しいところです。この急性期病床削減計画は今も変わっていません。例えば大阪府の箕面市民病院(317床)と吹田の協和会病院(301床)は2028年に再編統合、228床が削減されることが計画されています。高齢者中心に急性期医療からしめ出し
高齢者を中心に「急性期入院医療」を大幅に絞りこみ、現役世代の患者よりも手薄な看護体制で高齢者を診るよう求めています。
7対1看護配置(患者7人に看護師1人)の病床において看護・介護の手間を測るB項目の廃止を決めました。つまり認知症や障がい者など「世話のやける」患者への手厚い看護は評価されなくなりました。
こんな救急患者を3日以内に転院させれば報酬が出ることになりました。集中治療室から高齢の患者が理不尽に追い出され、転院させられるのでしょうか。そして7対1看護ではなく10対1看護配置で高齢者の救急患者等を中心に引き受ける「地域包括医療病棟」の新設が決められました。
在宅医療の削減
在宅医療では、「効率化」と称して報酬評価が切り下げられます。みとりを除く訪問診療の算定回数が一定数を超えると「在宅医療総合管理料」等を減算するというのです。在宅療養支援診療所(病院)では、1人あたり平均訪問診療回数が多い場合、訪問診療料が引き下げされます。政府は病院から国にとって安上がりな在宅療養へと誘導したあげく、その在宅も診療訪問数を制限するのです。
先発薬の保険適用外し
後発薬品(ジェネリック)がある先発薬品を使う場合、その金額の差の25%は保険適用外となり全額10割が患者の自費負担となります。
先発薬品と後発薬品は全く同じものではなく、医療内容の制限まで踏み込むものとなります。
高齢者医療保険料は出産一時金を賄い上昇
後期高齢者医療保険制度の4月からの保険料の全国平均は7082円で、7・7%増、7000円を上回り過去最高です。2023年の法改正によって出産一時金の一部を高齢者が賄うことが決まったことも影響しています。
ちなみに東京都の基準保険料は9180円といいます。
マイナ保険証推進
マイナ保険証を推進する医療機関には「医療用法取得加算」(初診・再診)「医療DX推進体制整備加算」(初診)の報酬を上乗せするとしています。またマイナ保険証の使用が多い病院に20万円を支給するといっています。こうして破産しているマイナ保険証をあくまで推進するよう誘導しています。
(U) 介護の報酬改定
介護崩壊の危機
介護労働者の賃金は低いままであり、他産業に比べて7万円の差があります。
女性の無償の家事労働の延長線上に介護労働を位置づけ、その専門性を社会的に評価しない差別が介護労働者を苦しめています。
この構造的な差別と低賃金で、募集しても介護職員は来ず、介護現場は慢性的な人手不足が続いています。2022年にはついに離職者が入職者を上回る「離職超過」におちいり、ますます人手不足に拍車がかかろうとしています。
訪問介護の基本報酬引き下げを撤回せよ
そんな中、もっとも人手不足の激しい訪問介護の現場に対し、なんと厚労省は基本報酬の引き下げをおこなったのです。当然にも全国から怒りと撤回要求が集中しています。「ケア社会をつくる会」の世話人の小島美里さんは、「在宅介護の終わりのはじまり」と危機感を表明しています。
サービス付き高齢者住宅などの高齢者施設に併設されている大手の訪問介護事業所以外は、ほとんどの訪問介護事業所が赤字経営であり、倒産は過去最高の67件におよんでいます。移動時間が保障されない介護保険制度の中で、60代から80代の高齢ヘルパーが登録ヘルパーとして働いているのが現状です。
訪問介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応サービス、訪問リハビリ(予防)という4つについて報酬が引き下げられました。
訪問介護は、夏はクーラーをつけない高齢者の熱中症を心配したり、災害になれば高齢者の安否確認に危険をかえりみずに真っ先に駆けつけなくてはならない大変な仕事です。自らが在宅療養する高齢者の命綱になっていることを感じずにはおられないような現場なのです。先に述べたように、政府みずから入院から在宅療養へと誘導したあげく、在宅に不可欠な訪問介護の崩壊をもたらそうとしているのです。
老健多床室にも部屋代
老人保健施設などの個室ではない従来からの多床室からも部屋代をとることを、来年の8月に実施するとしています。
介護施設に入所するには、最近は月に最低15万円ほどが必要です。新しい施設のほとんどが個室になる中で、経済的に厳しい高齢者が多床室に入っています。しかも老健は終身施設ではなくずっと入っておられる施設ではありません。特養と同様に月に8000円ほどが新たな自己負担になれば施設に入ることができない高齢者が増えるでしょう。
介護利用料2割負担化
昨年10月から後期高齢者医療保険制度において、年200万円の収入があれば受診時の2割負担化が強行されました。
政府は、介護保険利用においても、2割負担を狙っています。
しかし、介護保険においては、医療保険のように障害者自立支援医療等もなく助成制度も乏しいのです。
個人的な例で恐縮ですが、私の夫は要介護3で、週に4日と半日デイケアに行っています。1日に昼食代750円と雑費100円の自費部分もいれて月に4万円近くの請求がきます。(非課税世帯であればそのうち数千円は還付されてきますが)その上に紙パンツ代の1万5千円ほどが必要です。施設入所であれば、こんな額ではすみません。
多くの高齢者が介護利用料を2割負担つまり2倍にすることに耐えられるのでしょうか。
高齢者の現状が簡単でないので今回は決められず、「2027年度前までに結論をだす」と先送りになりました。それでも政府はあきらめていません。「金融資産の保有状況の反映のあり方を検討する」「きめ細かい負担割合(1・5割化や2・5割化か?)を検討する」などと言っています。あくまで高齢者から絞り取るのです。
ケアプラン作成有料化
ケアプラン作成に自己負担が発生するようになれば、お金がない人は介護保険にアクセスすらできず、介護を受けられなくなります。市町村は民間のケアマネ事務所にプラン作成を丸投げしています。介護が措置制度(※)であった時代と違い、個人の申請主義となる中で、お金がなくては窓口そのものが閉ざされてしまうのです。
介護審議会での「認知症の人と家族の会」などの強い反対意見が続くなかで、今回は27年度前までの先送りとなりました。
(※)措置制度
憲法25条の生存権規定に基づき公的責任を定めた。この制度の下では、住民が医療・介護を受けられず亡くなったりした時は行政責任が問われた。介護保険制度の今は、申請し契約していない本人の責任とされる。
総合事業への移行拡大
すでに数年前から要支援1と要支援2の人は介護保険給付から外され、市町村の安上がりな総合事業に移行されています。そこでは介護福祉士などの専門職は必要なく、送迎もなくていいとされています。住民の有償ボランティアでの危険で安上がりな「介護」が「共助」として奨励されています。
政府は、今でさえボランティアの受け皿がなく、破たんしている市町村の総合事業を、要介護1と要介護2の人にまで広げようとしています。高い介護保険料を払っても介護はまともに受けられません。「保険あって介護なし」という国家の詐欺行為そのものです。
これも「27年度前までに検討」と先送りになりました。
高い高い介護保険料
2000年に始まった介護保険制度。その介護保険料は約2900円(半年間はその半分)でした。それが今や2倍以上にもなり、医療保険料と合わせて生活を圧迫しています。
もともと介護保険制度は、医療保険制度における国の支出を半分にするために作られました。2000年以前はなかった新たな保険料を人民から徴収するのです。今は患者のもとを看護師が訪問するのもほとんどが医療保険ではなく介護保険です。
そして、介護保険料は上がり続け、もはや高齢者が払えないほどになりました。2万人の高齢者が差し押さえを受けています。介護保険制度は破たんしているのです。ちなみに大阪市の介護保険料は月に9249円で全国一となりました。
戦争国家は民営化のもと弱者を犠牲に
政府は昨年から5年間で43兆円という軍事費を決め世界第3位(1位米、2位中国、4位ロシア)の戦争国家になりました。そのため社会保障費はとことん削りとられて、人間が天寿を全うして生きていくことそのものが困難を極めようとしています。
ある過疎の村では、夜になると、高齢者施設の利用者を外から鍵で閉じ込めて職員が帰ってしまうと言います。まるで動物扱いです。また民間の訪問介護事業所は山奥への移動時間が長く「商売」にならない田舎には来ません。国鉄民営化で田舎には鉄道がなくなったように、介護を民営化した結果、利益の薄い田舎にはヘルパーもいなくなりました。この村の現実はやがて都市の貧しい高齢者にも広がってくるでしょう。
政府が2000年の介護保険制度の開始をもって、民営化してはならないものを民営化して24年。その誤りは顕著です。病気になっても障がいを持っても、老いても、私たちに充分な蓄えなどありません。必要な医療や介護は全額国が無料で保障すべきです。
1960年に国民皆保険制度が出来た時、その運動の先頭に立った医療労働者たちは「敗北」の総括をしたそうです。彼らが要求していたのは、国による全面的な無料の医療制度だったからです。彼らは、保険制度となればその改悪は避けられず、医療を受けられない人が生まれて来ると考えました。
今、その危惧は現実のものとなりました。必要な人に必要な医療・介護を無料で公的に保障せよと、国につきつけていかねばなりません。
7面
投稿
遠山・司馬らの歴史観を批判
「明治維新の正体」講演会
5月6日、大阪市内で「明治維新の正体 ありえたかもしれない江戸の憲法ともうひとつの近代史」という興味深い講演会があり、参加した。戦争あかん! ロックアクションが主催。(写真上)
講演者は関良基さん(拓殖大学教授)で、本業は農学だが、独学で明治維新の研究をしている方。それが功を奏して「日本の歴史学会の主流にとらわれず自由な視点で研究ができた」と話している。井上清、遠山茂樹、丸山眞男、司馬遼太郎の歴史観を批判的に検討している。
日本近代史は明治維新が唯一の解だったとは言えず、多様な方向の近代化の可能性がありえたと言う。大正年間に江戸末期の議会論を評価し、武力倒幕を批判していた尾佐竹猛の研究を再評価している。しかるに、彼ら(上記4人)は、薩摩や長州は進歩勢力だったから、長州は民衆を組織し、階級戦争を組織化して展開したから、明治維新を生んだ国学は近代的だったから等、もっともらしい理屈づけをおこない、薩長の勝利を必然的であったかのように説明してきた。だから、戦前の皇国史観が生み出した王政復古の物語の主旋律を継承しつつ、唯物史観の衣をかぶせたものにすぎないと言う。
右翼は明治維新を絶賛するが、左派も明治維新を「外圧に対抗するべく近代的統一国家を実現するための暴力的な体制変革」として肯定する。歴史に必然などないし、法則性があるものでもない。私たちひとりひとりの決断の一つ一つが、歴史に影響を与え、その行為の積み重ねが歴史の発展方向を規定していく。こうした立場に立つことで、右派史観と左派史観に共通する「必然性」のドグマから解放され、開かれた未来を展望することが可能になることを願うという。
くわしくは、関さんの新刊『江戸の憲法構想 日本近代史のイフ』参照。公式史観で無視されてきた事実が沢山書いてあり、刺激的な内容だ。(N)
投稿 清水丈夫議長がエロ雑誌で得意顔 「過激派情報」を切り売りする革共同中央派
「地下生活50年」を誇る清水丈夫革共同議長が4月中旬発行のエロ写真雑誌『フラッシュ』に登場したことには驚いた人も多かったのでは。昔は『アサヒ芸能』などに新左翼記事が出ると顔をしかめたものだが、全編エログラビアの写真週刊誌に、「安倍は極悪人。維新はワル」などとおよそ階級的規定とは無縁の自説をのたまわる清水。一時は田原総一朗相手に放談をおこない一定の注目を浴びたが、落ち目になると地下生活の秘密の切り売り先がエロ写真週刊誌とは、「シミタケも落ちたもの」と慨嘆した人も多かったのでは。かつての師匠本多延嘉革共同書記長も島成郎共産同書記長も「不肖の弟子」にあの世から嘆いているのではないかと思う。
インタビューは何時もながら「地下生活の秘密の入り口」で話は終わる。エロ雑誌を手に取る恥ずかしさを押し切り購入する価値はない。わずかに安倍と維新への非階級的規定や、「ピストルで撃たれたら我々も撃つ」なる暴力団レベルの言辞と、「統一教会の問題は詳しくない」と統一教会=原理研と闘った・闘っている人が激怒するような言辞を平気で吐く。さらにおよそ社会運動とは無縁のライター・角田裕育(その正体は後述)が「革命が成功したらどうなる」と問うと、「株式市場は廃止される、政府はなくなり、それに代わるセンターを作る」なる珍説を披歴。革命権力の主体や連続的社会変革の道筋などについて語ることはない。
とここまでは通例の左翼趣味相手の売り込み記事なのだろうが、角田裕育なる人物は社会運動・労働運動・選挙事務所周辺に出没し、不正確な記事を集め三文雑誌に売り込むことを生業とする、関西では有名な自称「作家」である。極最近では、コロナ禍での「女性の貧困」を書けば売れると思い、『大阪ミナミの貧困女子』(宝島社)なる書物を女性たちをだまし取材し、女性名で書籍にでっち上げた。そのため取材対象・名前を使われた人から告発されている裁判の被告だ。
3月8日には各地で国際女性デー集会をする革共同全国委の女性・男性は角田という人物の悪業を知らないのだろうか。その種の団体が、有名な女性差別人物を「官憲の弾圧で緊張関係にある前進社」に招き入れ、その薄汚い生業に議長が直接「過激派情報」を提供する。過日は政治局員・石田真弓が得々としてフジテレビ(8チャンネル)に前進社内の情報を提供していた。これらのことをとがめる人物は革共同・中核派にはもはやいないのか。
戦争国家化と大増税に苦闘する労働者階級と無縁の所で、「革命」のカラ叫びや「過激派」を自称する集団は百害あって一利ない。清水丈夫と角田は階級闘争場裡から一日も早く消えさるべきである。(K)
8面
第95回中之島メーデー
争議団・闘う仲間が総結集
5月1日剣先ひろば
闘う争議団が壇上に勢ぞろい(5月1日中之島公園・剣崎ひろば) |
5月1日、小雨降る中、中之島公園・剣先ひろばで第95回中之島メーデーが開催された。最初に実行委員会を代表して全港湾大阪支部の小林勝彦委員長が開会あいさつ。
連帯のあいさつ
「しないさせない! 戦争協力」関西ネットワーク共同代表・坂田冬樹さんは、昨年10月のハマスによる武装蜂起以来、イスラエルはメチャクチャな理屈でパレスチナ・ガザへの大量殺戮をおこなっている。絶対許すことはできない。今こそパレスチナ人民の不可侵の権利の実現、祖国に戻る権利と自決権の回復を求めよう、たくさんの市民とともに社会を変えていくメーデーにしようと訴えた。
大阪労働者弁護団からのアピールに続き、各政党・議員からのあいさつがあった。大椿ゆうこ参議院議員からメッセージをあずかってきた社民党大阪府連・ながさき由美子代表が最初にあいさつし、続いて新社会党・山下けいき茨木市議、立憲民主党・ののうえ愛大阪府議、れいわ新選組の大石あきこ衆議院議員があいさつ。大石さんは、大阪城公園の連合メーデーには大阪府の副知事が来て万博推進のあいさつをしていると批判し、東京の連合メーデーは岸田総理が来てあいさつをしている最悪のメーデーであり、一人でもあきらめず力をあわせてその国の支配者をひっくりかえすのが労働運動だと思います、来年のメーデーも元気でお会いしましょうと決意を語った。
川口真由美さんの歌と演奏の後、争議団アピールがあった。
争議団アピール
今年のメーデーでは、横暴な資本にあらがい、押し返し、たたかっている多くの争議団がアピールをおこなった。発言予定の争議団の仲間が全員演壇にあがり、演壇からあふれそうになった。
なかまユニオンからは、ハンダの製造販売をしているニホンゲンマという会社で労災申請したことを理由に会社から解雇されたことに対する闘いが報告された。
関西合同労組からはパワハラ案件の争議の報告があった。大阪市内の不動産会社の女性労働者で4年にわたり、1分間に1件のアポを取れ等の理不尽なパワハラを受けたため体調を崩し組合に加入して団交をおこない、和解・退職となったが、パワハラは大きな人権侵害であり、兵庫労働局に持ち込まれるパワハラ案件は3倍化していることも報告された。
郵政ユニオンは民営化されて17年になる、各料金があげられ民営化が問われている、公共サービスをとりもどそうと訴えた。
教育合同は、非正規雇用公務員の団体交渉権を争っていること、府労委、中労委で争っていることを報告した。
ケアワーカーズユニオンの山紀会支部は激しい組合つぶしに対し11件を労働委員会で闘っていること、組合活動に対するスラップ訴訟は不当労働行為と認定されたこと等を報告した。
同じくケアワーカーズユニオンの社会福祉法人三篠会ベルデさかい分会からは内部通報・公益通報に対する報復としておこなわれた不当解雇・不当配転・自宅待機等と闘っている3人の看護師が発言し、会場から大きな拍手がまきおこった。
全港湾大阪支部から3つの分会が発言した。大阪南港にある大和運輸分会[注]では不誠実団交と粘り強く闘っていることが報告され、梅南鋼材分会では会社の不当労働行為に対して府労委で勝利し、さらに地裁、高裁と勝ち、最高裁でも勝つことが予想されており、長期の争議を闘っていることが報告された。大阪メトロ分会は、第一組合の交通労組には決定権のある執行役員が団交に出てくるのに、分会との団交には決定権のない課長クラスしか出てこないという不誠実団交と闘っていることを報告した。
全日建関生支部からは、大阪広域協組と熾烈に闘っている大浜資材分会から報告があり、府労委でも地裁でも結審していることが報告された。
連帯ユニオン関西ゼネラル支部の奏パートナーズ分会からは、パスワードやIDなどを不正に入手してログインしなければ不正アクセス禁止法違反とはならないのに、「上司のパソコンを見ていたことだけで同法違反になる」として警察に被害届を出す、刑事事件にする、懲戒解雇にする、親にも通知すると脅し、さらに労働組合にも連絡を取らせず、自己都合の退職届を書かせたことに対して、このような会社の行為は不当労働行為であるという認定を勝ち取ったことが報告されると会場から大きな拍手がわき起こった。社労士法人奏パートナーズの代表は〈首切り社労士〉といわれる悪質な社労士である。同分会の当該の女性は「私は勝つまで闘い続けます」と決意を述べるとさらに大きな拍手がわき起こった。
最後に司会が、民事再生を利用した組合つぶしが強行されている港合同昌一金属支部の闘いを報告した。新たなスポンサーとなった那須電機鉄工は執行部4人だけを選別して、面接すらしないという団結破壊をおこなっており、泊まり込みの闘いをおこなっている同支部への支援を訴えた。
降り続く小雨をものともせず、団結をさらに強める熱いデモに出発した。
[注]
クロネコヤマトとは無関係。
あかんやろ!カジノ
万博・カジノに高まる怒り
4月28日大阪
4月28日、大阪市内で「あかんやろ! カジノ 女性パレード 第12弾」がおこなわれ、赤い衣装を身につけて60人が集まり御堂筋をデモ(写真上)。主催は、女性にっとワーク@おおさか、「あかん! カジノ」女性アピール。
集会では、〈カジノに反対する大阪連絡会〉の中山さんが「カジノに反対する署名を、4月大阪府・市に2万4千人分提出した。うち全国の港湾労働者から集めた署名が1万4千筆で、全港湾の代表の方は『我々の職場の後ろに博打場なんていらん』と迫力ある声で提出した。水原一平氏のギャンブル問題で、カジノあかんの声は広がっている。大阪に来ようとしているMGMは、水原事件で出てきたのではなく、逆。MGMのからみで捜査していたら水原氏の名前が現れてきた。MGMの前社長は違法スポーツ賭博で捜査を受け刑事責任を認めて罰金を払った。そういうMGMが万博のアメリカ館のスポンサーになっている。万博はカジノのためということも広がりつつある。
さらに万博の会場は夢洲ではあかん。79本のパイプから総計1日1・2トン超のメタンガスが排出されている。そのパイプを通さずに自由にあちこち出ているメタンガスが存在し、それが今回のガス爆発の原因。他の場所でも起こる可能性が十分ある。そんな危険な所に子どもを連れて行くな」。
いのちを守れない万博は中止に
石川たえ大阪府議は「いのちを守れない万博は中止にしよう」と発言した。「飛び入り参加」という若い男性2人も紹介された。
集会後、御堂筋を「万博中止、カジノいらん」「ムダ金やめて被災地支援」とコールし、サックス演奏や歌などまじえてデモ行進した。沿道からはたくさんの人が手を振って声援し、若者2人がデモに飛び入り参加した。
メーデーあまがさき
5月1日、阪神出屋敷駅北ひろばで90人が集会。その後阪神尼崎駅まで元気にデモ行進をした。