未来・第389号


            未来第389号目次(2024年5月2日発行)

 1面  沖縄レポート
     民意山を動かす
     陸上自衛隊訓練場 整備計画断念

 2面  住宅地への自衛隊訓練場計画の断念を求める市民集会に1200人(下)

 3面  4・28補選から岸田打倒へ
     愛知15区で13日・21日と集会・デモ      

     うるま市と祝園  陸自基地に反対
     新たな安保・沖縄闘争を(下)
     島袋純二     

     岸本聡子杉並区長講演会
     280人が参加
     4月21日西宮

 4面  使用済み核燃料中間貯蔵施設 上関
     関西電力本店で抗議集会
     4月16日

     書評
     重信房子 『パレスチナ解放闘争史』
     作品社3600円+税

 5面  地震大国日本に原発はいらない
     柏崎刈羽原発反対運動を軸に

     投稿
     ヘイトデモを包囲弾劾
     警察に守られ退散
     4月14日  6面  万博中止・吉村やめろ
     メタンガスが爆発・遠足は危険

     シネマ案内
     『ほかげ』
     監督:塚本晋也 2023年

 7面  関生への不当弾圧許さない
     全国同時アクション・大阪に430人
     4月7日

     本の紹介
     稲村守
     『石の上にも半世紀〜総評オルグ50年〜』    

 8面  ガザで緊急行動 4月13日大阪全国同時アクション・大阪に430人
     イスラエルはラファ攻撃をするな!

                 

沖縄レポート
民意山を動かす 陸上自衛隊訓練場整備計画断念

当初4・6開催予定だったので横断幕はそのままの4・14県民集会
みんなでNOをかかげ大浦湾・瀬嵩浜に1800人(4月14日)

陸自訓練場整備計画を断念

2024年4月11日、木原稔防衛相は陸上自衛隊訓練場整備計画を断念しました。玉城デニー知事は「今回の訓練場整備計画が事前に自治体や関係団体などに丁寧な説明もせず、防衛省が計画を全て隠密裏に進めており非常に不信感が強い」「地元自治体や住民の頭ごなしに進めたもので住民の理解、合意を得られない計画だった」と政府、防衛省の対応を批判しました。
うるま市内63自治会は保革を超えた結束で「反対決議」を次々に上げました。この反対運動はうるま市のみならず、金武町、八重瀬町、中城村、南風原町の議会も「計画の白紙撤回や断念を求める意見書、決議」を可決しました。沖縄県議会も「白紙撤回」を求める意見書を全会一致で可決し、保革を超えた広範な運動になりました。
3月20日、うるま市民会館に住民1200人が集まり、「自衛隊訓練場計画の断念を求める決議」を採択。防衛省に断念を求める行動を起こしました。
このような住民パワーにより4月11日木原防衛相は「自衛隊訓練場の整備計画の断念」を余儀なくされたのです。しかし、政府は「安保関連3文書」の「防衛力整備計画」で陸上自衛隊第15旅団を2027年度までに「格上げ」し、2千人から6千人に増やし、那覇駐屯地の普通科連隊を1個から2個に増強する為に訓練場の確保が必要なのです。従って、防衛省がうるま市を断念したとしても代替施設として県内の他の場所が狙われる可能性がありますので無条件で「うるま市の自衛隊訓練場整備計画の白紙撤回」を喜ぶわけにはいきません。また、胡散臭いのは木原防衛相に「白紙撤回」を要請したのが整備計画に反対表明をしてこなかった中村市長であり、島尻安伊子衆院議員と島袋大沖縄自民党県連幹事長(公約辺野古反対から推進)から受け「断念」したことです。自民党本部が、反対する世論の力をかすめ取り、沖縄自民党が「断念」させたとする身内同士の手柄にしました。それは、6月沖縄県議選に向け岸田政権の自衛隊問題の争点隠しです。油断は許されません。

4・14 民意・自治・尊厳を守り抜く沖縄県民大集会

毎月第一土曜日には、キャンプ・シュワブゲート前で「辺野古埋め立て違法工事抗議」の県民大行動が800〜900人規模で闘われています。当初予定の4月6日は悪天候のために中止になりました。しかし、辺野古新基地を作らせないオール沖縄会議は県民大集会を急遽14日、国による「代執行」で埋め立て工事が強行されている大浦湾の瀬嵩浜で開催することに決定しました。
通常では県民大行動の延期はありませんが、4月11日、木原防衛相が「うるま市自衛隊訓練場整備計画」の断念を表明した事により、オール沖縄会議はこの勝利した民意の力を更に拡大させ沖縄の自治権を取りもどす為に瀬嵩の浜で「辺野古に基地を作らせないオール沖縄会議」主催の4月14日(断念3日後)に3千人規模の県民大集会を決定したのです。
沖縄では清明祭=(シ―ミー祭、墓の前で一族郎党が集まる)を大切にしています。またシーミー祭と天候不良とのために集会開催の条件としては最悪でしたが、1800人が結集しました。
私たちは前日からカヌーを瀬嵩の浜に運び込み準備を整え早朝辺野古第二テントに集合しました。そして、班編成し安全第一、怪我、事故の無いようにミーティングを終え瀬嵩の浜に向かいました。全員で浜の掃除をしてから平和丸、勝丸、不屈、ポセイドン等の船団と合流しました。
カヌー隊は15挺が横一列になり「代執行NO」の横幕や「新基地反対、埋め立て阻止、サンゴを守れ」等のプラカードを掲げ辺野古ブルーの旗を先頭に湾内をパレードし浜の仲間達とエールの交換をしました。雨の降る中、開会の挨拶を島袋恵佑県議がしました。次に主催者挨拶をオール沖縄会議共同代表の糸数慶子さんが、うるまの自衛隊訓練場断念について「私達がしっかりと抵抗していく大事さを示してくれた勝利だ」と高く評価し、辺野古代執行について「国が自治権を侵害することが可能になった今、国と地方を再び対等・平等の関係に戻そう」と沖縄の自治実現の観点から粘り強い闘いの継続を訴えました。
カヌー隊は玉城デニー知事の発言時に全員浜に上がり、壇上の横に並び「代執行NO」の横幕を上げ全員でカヌーのパドルを立て集会に参加しました。神の恵みか、玉城デニー知事が登壇すると雨は止みました。玉城知事は「辺野古の新基地建設は絶対認めない、沖縄を二度と戦場にさせないという願いは未来の子や孫に対する最大の責任だ」と述べ、自衛隊訓練場の断念については「紛れもなく皆さんの力で、市民の運動を全県から応援した結果です。県内に米軍基地の上にのしかかる様な新たな自衛隊の基地を作らせない取り組みをする」と述べ、自衛隊施設を含めた基地負担に反対していく姿勢を鮮明にしました。
カヌー隊を代表して、松川博之さん(小学校教員)は「沖縄は豊かな自然と文化があるだけではなく、沖縄戦を経験して戦争の悲惨さを知っている。沖縄を軍事拠点にするのではなく、平和を発信する地にしたい。新基地を止める為に自分が出来ることを考え、抗議は座り込みだけでなく、スタンディングなど様々な方法がある。自分の生活でできることをやるのが大事です」と穏やかに訴えました。私達は仲間の発言を共有する為に全員が壇上前に横一列に並びパドルを立て、「代執行NO」の横断幕を上げ参加者と一体になり集会は盛り上がりました。そして、参加者の温かい拍手を頂きました。
集会は佳境に入り、若者代表の桑江優稀乃さんの歌と三線を披露し「陸上自衛隊整備計画断念は老若男女が暮しを守る為に一致団結した事が、計画の断念につながった。これからも声をあげる上で前向きになれた」と述べました。
発言者として、屋良朝博衆議員、伊波洋一参議員、県議与党会派代表照屋大河、現闘部山城博治さんが訴えました。
登壇者の発言があまりにも熱が入り、時間がオーバーしたので「集会アピール」を短縮して司会が読み上げました。「わたしたちは決してあきらめてはいけない。屈してはいけない。民意と自治と尊厳を守り抜く運動の先に〈平和で誇りある新時代沖縄〉の実現がある。沖縄を犠牲にする司法判断を乗り越え、新基地断念と普天間基地の閉鎖・撤去・オスプレイの配備撤回をデニー知事と共に政府に求め〈沖縄を二度と戦場にさせない〉と声を上げ続けていこう」とする集会アピールが採択されました。
最後にオール沖縄会議の金城徹共同代表閉会のあいさつと団結ガンバローの三唱で集会を閉じました。参加者は仲間の結束の力を再確認し、新基地建設反対の決意を新たにしました。

6月県議選へ

防衛省は陸自第15旅団を増強する「師団化」計画は変えず、本年度予算に盛り込んだ土地取得費も維持する。一方で、地域の根強い反対を受けて断念に追い込まれた計画について、県内の候補地を選定したとしても、同様の反発は必至だ。玉城知事は11日午前、記者団の取材に「県内どこにも訓練施設はいらないという県民の声があるはずだ。引き続き、住民の声、民意を尊重する要望をしていく」と述べ、県内整備ありきの国の姿勢にくぎを刺しました。現在沖縄県議会はオール沖縄24対自公24議席です。辛うじて自公から議長が出ているので24対23で過半数を占めていますが、6月16日の県議選でオール沖縄が1議席でも落としたら玉城県政は厳しい県政を強いられます。そして対米従属の下、米軍の役割を担い朝鮮、中国の脅威を煽り「台湾有事」を口実に自衛隊基地強化拡大が一気に進んでしまいます。(4月19日、金城佳宏 記)

2面

住宅地への自衛隊訓練場計画の断念を求める市民集会に1200人(下)

3月20日うるま市民集会

前号の続き

島本勇人(金武町区長会長)
・問題になっている訓練場の予定地の現場のすぐ隣に農場がある。ゴルフ場だった時代にはボールが飛んできたこともある距離の近さだ。訓練場になれば騒音などが大変になる。私達も声をあげ、計画の断念を求める会に率先して参加すべきだとなった。長い闘いになると思うが、力を合わせてやって行こう。と呼びかけました。会場からは万雷の拍手が上がりました。

行動提起では、伊波洋正事務局長が
1、採択された決議文、断念を求める署名を来週にも木原防衛大臣、伊藤沖縄防衛局長に提出する。
2、断念を求める運動を、県外各地に広め拡大強化していく。
3、署名活動を広め政府には白紙撤回、断念を迫る。
の3点を提起し、確認されました。

集会も佳境に入り、決議文を重元宗子さんが読み上げ、参加者全員の万雷の拍手で採択されました。最後に石原正彦さんの音頭でガンバロウ三唱が会場いっぱいに響きわたり集会は閉じました。1200人の参加者は会場の903席に納まれず、立ち見の人たちがいました。また、会場に入れない人々はロビーに据えられたモニター画面に喰い入り参加者の緊張した一体感のある集会になり、その後の闘いの準備に入りました。

勝連ミサイル連隊本部発足

岸田政権は「住宅地への自衛隊訓練場計画の断念を求める市民集会」が成功した事をあざ笑うように翌日の21日にうるま市の陸上自衛隊勝連分屯地で第7地対艦誘導弾(ミサイル)連隊を発足させ、与那国駐屯地に電子部隊を配置しました。勝連分屯地に配属される部隊人数は90人から3倍以上の290人になりました。ミサイル連隊が装備する「12式地対艦誘導弾」とは、地上から艦艇を攻撃するミサイルです。発射台を車に乗せて撃っては逃げ、打っては逃げ、島中を走り回るので沖縄島全体が標的になります。これが、米軍による遠征前方基地作戦です。
因みに、沖縄本島への地対艦ミサイル部隊の配備はうるま市が初めてです。森下泰臣陸上幕僚長は「南西地域などの島しょ防衛に関する抑止力の強化を図るため」、勝連分屯地への地対艦ミサイル部隊の配備は「島しょ部に対する侵攻を洋上でより効果的に阻止できる抑止力・対処力を高める」とした。勝連分屯地の部隊は、鹿児島県・奄美大島、宮古島市、石垣市の地対艦ミサイルを束ねる連隊本部です。このように「台湾有事」に備えてのミサイル攻撃の機能強化拡大なのです。

「台湾有事」を口実に自衛隊配備強化

岸田政権は2022年12月16日安保三文書、「国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画」を閣議決定しました。岸田は安保法制による集団的自衛権の行使解禁や、安倍の「台湾有事」は「日本の有事」とマスコミと一緒になって騒ぎたて、その安倍の戦争扇動を引き継ぎ、中国「北朝鮮」脅威と差別排外主義を煽りアメリカの先兵になり対中戦争をしかけ、平和憲法を改悪し戦争をする国に邁進しています。
そもそも、「台湾有事」とは2021年3月9日(3年前)の米国上院公聴会で、インド太平洋軍フィリップ・デ―ビッドソン司令官が「今後6年以内に中国が台湾を侵攻する」と証言してからの話だ。それ以前は安倍晋三もマスコミも露骨に危機を煽ってはいませんでした。ましてや、同年6月17日、米国上院公聴会で米軍制服組トップのミリー統合参謀本部長が「中国が台湾全体を掌握する軍事作戦能力を持つ道のりはまだ長い、武力衝突の可能性は低く、中国には現時点で武力統一するという意図や動機もほとんど無いし理由もない」と発言しました。しかし、日本のマスコミはこの事実をまともに報道しませんでした。デービッドソンの「台湾有事」説は米国制服組トップのミリー参謀本部議長(当時)が「根拠がない」と否定した。

1972年、田中首相と周恩来首相が合意した「中華人民共和国が唯一の合法政権」とする。台湾は中国の領土とした日中共同声明を反故にするような中国の内政に岸田は干渉すべきではない。
1998年日中共同宣言では、@双方は主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵、平和共存の諸原則並びに国際連合憲章の原則が、国家間の関係を処理する基本準則である事を確認した。更に、アジア地域における覇権はこれを求めることなく、武力又は武力による威嚇に訴えず、全ての紛争は平和的手段により解決すると合意しています。
岸田政権は長年にわたり中国との友好条約、友好関係をありもしない「台湾有事」をでっち上げ二枚舌外交で再び中国への侵略戦争をアメリカの先兵になり沖縄全島を戦場に巻き込もうとしています。そして、沖縄を犠牲にしてアメリカの軍需産業の利権拡大の為に若者を戦場に駆り立てようとしているのです。その最前線が日米軍事植民地にされた沖縄なのです。
武力で平和は守れません。改めて、日中共同宣言の精神に立ち返り友好親善の絆を結ぶべきだはないだろうか。台湾の人たちも現状維持で戦争を望んではいません。

軍備増強の島

与那国島では2016年陸上自衛隊沿岸監視隊が駐屯し、島内2カ所のレーダー施設で外国の艦艇・航空機の活動を監視。与那国島は台湾まで約百数十キロです。その国境の島で岸田は軍備増強、ミサイル配備を急ピッチで進めています。更に、2023年に電子戦部隊が配属されミサイル部隊配備がされました。
2023年3月に石垣島陸上自衛隊駐屯地が開設し、ミサイル部隊が配置され「敵地反撃能力」として、中国本土を射程に入れるミサイル配備が計画されています。

第29回石垣島まつり2023(実行委員会主催)の市民大パレードに陸上自衛隊石垣駐屯地の隊員が迷彩服姿で行進。自衛隊が迷彩服で一般のイベントでパレードしたのは沖縄県内で初めてだ。沿道では日の丸の小旗を振る市民の姿もあった。同駐屯地の担当者は琉球新報の取材に対し、参加した目的について「住民との交流を図るため」と答えた。
当日は第15音楽隊(那覇市)がパレードを先導し、背のうを背負った隊員等が行進した。駐屯地によると、同音楽隊と合わせ約120人の隊員が参加。八重山防衛協会、八重山自衛隊家族会、隊友会八重山支部の3団体が沿道の市民らに日の丸の小旗を配布したという。駐屯地担当者は迷彩服での参加について「普段から着用しており、住民に自衛隊を理解してもらうためにパレードでも着用した」と述べた。来年も引き続き参加する意向だという(11月11日、琉球新報)。
岸田政権は石垣島自衛隊配備で島中を戦時体制一色にするために市民祭りに堂々と登場させ軍隊と市民を融和させようとしたのです。

2024年1月17日石垣市教委は市内9校の市立中学校校長宛に、職場体験学習実施に向け、自衛隊の資料を活用するよう依頼する文書を配布した。自衛隊が作成した「自衛隊職場体験のご案内」と題したカラー10ページの資料です。それは学校側が自衛隊での職場体験=中学生を自衛隊に入隊を勧める代物なのです。
石垣市教委は、職場体験はキャリア教育の一環で目的は「子どもたちの望ましい勤労観を育てる」事とし自衛隊教育を浸透させているのです。中山義隆市長は市教委を通して、昨年10月下旬から市民祭りが始まる前に用意周到に宣撫工作をしていたのです。

2024年3月30日、陸上自衛隊石垣駐屯地「創立1周年記念行事」計画に対して、石垣平和と自然を見守る連絡会は一般開放の中止を求める声明を発表しました。自衛隊側は、子どもを対象に高機動車への体験搭乗や装備品の装着体験を予定している。子どもたちに体験搭乗等させることは「将来、戦場に送ることにつながりかねない。自衛隊駐屯地は子どもの遊ぶ場所ではない」とし、一般開放は中止すべきだとした。自衛隊は記念行事で隊員の行進や音楽演奏の他、ヨーヨーで遊べる「ちびっこ広場」を設ける企画です。しかし、記念行事は住民の反対の声を無視して強行されました。

宮古島は「自衛隊基地創立5周年を迎え記念式典」を開きました。式典には平良敏夫市議会議長や自民党西銘恒三郎衆議員などの保守議員が参加しました。祭典に地域住民、隊員家族を招きミサイル発射車両、軍用車両が列をなして行進し、車両に試乗体験などもあった。また、空砲を用いて銃撃戦を想定し射撃訓練を一般公開しました。比嘉隼人司令官は「中国による尖閣周辺での領海侵入」や「北朝鮮」による弾道ミサイル発射などに触れ「宮古列島の守護神となるべく日々鍛練を積み重ね、沖縄、南西地域の抑止力の要としての役割を果たす」と訓示しました。
駐屯地の正門では、ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会など市民が式典開催抗議集会を開き「銃撃戦を子どもに見せるな」「5周年を祝えない」と声を上げました。このように岸田政権は中国を封じる為に沖縄を戦場に、その最前線に石垣、宮古、与那国、奄美諸島にミサイル基地を配置し要塞化しています。しかし、沖縄の平和勢力は本土人民と連帯して沖縄を反戦の砦として結びついています。2月20日「自衛隊訓練場設置計画の断念を求める」集会後、陸自訓練場設置反対闘争は2月22日八重瀬町、中城村議会では「計画の断念を求める意見書を全会一致で可決しました。この流れは更に広がっていきます。

3月26日沖縄県議会代表は木原稔防衛大臣に「うるま市陸上自衛隊訓練場整備計画」に対して全会一致で可決された白紙撤回要求の意見書を手渡し沖縄県民の総意を伝えました。玉城デニー知事は陸上自衛隊第15旅団(那覇市)松永浩二団長に「うるま市陸上自衛隊訓練場整備計画」の白紙撤回を求めました。オスプレイ飛行再開に対して沖縄県議会はオスプレイ配備撤回、飛行停止の決議を全会一致で上げ、玉城デニー知事は岸田政権に迫ります。

覇権回復を夢見るアメリカ没落帝国主義の世界単独支配は崩れ、G7(欧米帝国主義国)日本帝国主義を競合してこの危機を戦争で乗り切ろうと喘いでいます。
日本帝国主義は5年間で43兆円の軍事費をつぎ込み世界第3位の軍事国家にならんとするが、沖縄からこの日米帝国主義の野望を断ち切る闘いが開始され反転攻勢の炎は島ぐるみ飛び火しました。岸田自公政権は「金と政治」裏金問題で瀕死の状態です。早急にとどめを刺して楽にさせてあげましょう。
辺野古代執行弾劾、6月沖縄県議選勝利、衆議院選挙で政権交代を勝ち取り最大級の本土沖縄を貫く闘いを構築しましょう。正義は人民にあり!  
(2024年4月8日、金城佳宏記)

3面

4・28補選から岸田打倒へ
愛知15区で13日・21日と集会・デモ

硬派3論客との対談(4月13日 豊橋市)

自民党裏金問題で岸田政権への怒りが持続し内閣支持率は続落している。4月補選の3連敗もいわれ、岸田は延命のためには「6月やぶれかぶれ解散」に追い込まれている。
この中で昨年10月から選挙区を兵庫8区(尼崎)から愛知15区(豊橋市・田原市)に移したれいわ新選組のつじ恵元衆議院議員は、自民党裏金議員をふっとばし勝利をと、連日行動中。特に4月は13日に決起集会、21日は山本太郎代表を迎えての「おしゃべり会」・反増税デモと連日奮戦。
13日は、木村真豊中市議、白井聡京都精華大教員、西谷修東京外大名誉教授という硬派の論客3人を迎えて「政治を変えよう対談集会」に80人が参加。森友で安倍を追い詰めた木村さん、2012年体制の崩壊をつじさんとともに実現したい白井さんとの話は、結局政権交代が必要、しかし民主党の失敗を繰り返してはならない、そのためにはつじさんの勝利が必要と発展。
西谷さんは地元三河地方の生まれで、小中高と豊橋の学校。大学退官後は豊橋によく帰る。そこで学生運動の先輩のつじさんが衆議院選に出ることを知り応援に。長くフランスにいて新自由主義の破綻を見てきたが、三河地方には時の政権におもねらない生き方が戦国時代から続いてきたと説諭。参加者は地域を守る自分の闘いとしてつじ選挙を闘うことを胸にした。
選挙区を移って半年。連日の奮闘は少しずつ根付き始め、グループラインは前選挙区時代の4倍とか。4月21日の集会・デモでさらに広がる。民主党の誤りをのりこえる政権交代を実現しよう。(ばんせつ)

うるま市と祝園  陸自基地に反対
新たな安保・沖縄闘争を(下)
島袋純二

『未来』前号の続き

海上自衛隊は、イージス艦に搭載する米国製巡航ミサイル「トマホーク」最大400発や、多数の新型迎撃ミサイルを取得するため、弾薬庫不足が課題になっている。そのため、陸上自衛隊の施設管理の下、海上自衛隊の弾薬も保管することになった。イージス艦2隻が配備されている京都の舞鶴基地の弾薬は祝園弾薬庫に保管されることになる。
新弾薬庫にはミサイル保管の可能性が高い。弾薬の輸送には諸般の条件で鉄道輸送が適している。祝園に関して言えば、JR片町線(学研都市線)は、戦前もそうであったが、弾薬輸送を含む軍需物資の輸送の役割を果たす。
祝園分屯地は近畿圏の中央に位置し、交通アクセスにも恵まれている。面積は約470ヘクタールであり、東京ドームの約100個分、精華町の面積の約6分の1を占めている。
祝園分屯地がある精華町は、京都・大阪・奈良の3府県にまたがる関西文化学術研究都市の中心地で、町内には多くの企業の研究施設や国立国会図書館関西館が立地する。あってはならないことだが、仮に「台湾有事」や「朝鮮有事」が起こって相手国からの報復のミサイル攻撃があった場合、研究者の調べで半径約10キロ圏内(京都南部・大阪府・奈良県に連なる京阪奈地域)は焦土となることが予想されている。

うるま市の陸自訓練場建設反対運動と
祝園弾薬庫増設反対運動の全国的な大高揚を

琉球諸島の軍事要塞化と共に全国でも進む軍事化、戦時体制作りに反対の声を上げ、連帯して岸田政権による大軍拡路線、戦争国家体制づくりに反対し、二度と戦争を起こさない闘いが求められている。対中国戦争の最前線攻撃拠点化に反対する琉球の闘いと連帯して、全国最大の弾薬庫である祝園弾薬庫増設阻止の闘いを全国闘争の重要な環として位置付け、「京都・祝園ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワーク」と共に闘おう。

岸本聡子杉並区長講演会
280人が参加
4月21日西宮

4月21日、ミュニシパリズム (地域主権主義)で知られる岸本聡子杉並区長の講演会が兵庫県西宮市で開かれた(写真)。実は西宮市は一昨年3月市長選で維新を破り、昨年統一地方選では自民党をを7人落選させた地域。杉並の実践を関西にも広めようと連続市民講座のグループが企画し、55人の呼びかけ人という広範な実行委でリモート中継ながら集会実現となった。
主催者挨拶は昨年県議になったばかりの小西ひろのり代表呼びかけ人(元兵教組書記長)。最初の報告は19年参議院選兵庫で43万票を取りながら落選、21年10月衆議院選西宮・芦屋で苦杯をなめたが、23年統一地方選杉並でトップ当選した安田マリさんが「区議1年の奮闘」。つづいて岸本聡子区長は、急遽オランダから帰国してのわずか3か月の選挙戦の模様を報告。区長当選後も前区政が進めてきた公共施設統廃合との闘いや、小池東京都政の壁などを報告。質疑応答では次々の質問にエネルギッシュに答える様に、思わず杉並区民になった気分で聞き入った。
最後はJP労組役員で25年尼崎市議選立候補予定の一ノ瀬剛さんが、小泉郵政民営化の破綻を語り、伊丹市議高橋あこさんは総務省と直結し保育所や公共施設の統廃合を進める伊丹市政を弾劾。豊中の木村真市議は3月議会で水道料金値上げを阻止したが、これは水道民営化の始まりで傾斜的に力を集中して闘うと表明。
多くの参加者から「新たな運動の始まりを感じた」との声が寄せられた。
(岸本区長の講演内容は次号に掲載)

4面

使用済み核燃料中間貯蔵施設 上関
関西電力本店で抗議集会
4月16日

関西電力と中国電力が共同で、使用済み核燃料中間貯蔵施設を山口県上関に建設する計画をめぐり、4月16日、原発いらん! 山口ネットワークなど5団体の代表10数人が関西電力本店をおとずれ「建設中止」を求める26万筆を超える署名を提出した。当日は、兵庫、大阪、京都、滋賀、福井、愛知などからも支援者がかけつけた。
午後1時20分、台車に26万超の署名を積み上げ、関西電力本店に向かって行進(写真)、代表団が関西電力構内に入った。関西電力は代表団全員を入れず、5人に制限、会議室も用意せず立ったままで対応、時間も5分以内、写真撮影は禁止、質疑応答はしない、質問は文書でという常識はずれの傲慢な対応。
署名を提出した代表団が戻ってきて、外で待ち受けていた人たちと合流し、総勢50人が関西電力本店前で抗議集会をひらいた。

署名運動の経過

冒頭、司会の原水爆禁止山口県民会議事務局長・林さんが経過報告。昨年8月2日に中国電力が、中間貯蔵施設の建設計画を明らかにしたことを受けて、翌9月から中国電力あて、関西電力あて2種類の「建設中止を求める署名」をおこなってきた。
今年1月末まで5カ月間取り組んできた。結果としては中国電力あては27万5043筆、関西電力あては26万3230筆を集約した。集めた署名は、中国電力に対しては、2月7日に広島市の本社で提出した。関西電力に対しては本日提出した。
今後もさまざまな取り組みで中間貯蔵施設計画の白紙撤回を実現していく。

計画撤回までたたかう

原水爆禁止山口県民会議・森本議長が決意表明。私たちはこのかん5つの団体で40年間、上関に原発をたてるという計画にしっかりと反対してきた。
東日本大震災があり、もう原発の建設はないんじゃないかと思っていたら、今度は中間貯蔵施設の建設を関西電力と中国電力が共同で実施するという計画をぶちあげて、現在その建設にむけて調査をおこなっている状況。
上関町というところは、奇蹟の海と言われる自然豊かな森と海が、日本中、世界中どこを捜しても残されていないようなきれいな自然が残されているところ。そこに今、立木を伐採して、自然をこわしていく行動がおこなわれている。一刻もはやくこの行動をやめさせて貴重な自然を未来に残していくことが私たちの役目。ひきつづき、原発も中間貯蔵施設も「計画撤回」するまで、最後までしっかりと戦い抜いていきたい。
原発いらん! 山口ネットワーク代表の小中進さんは、上関原発の計画が出てから43年にもなる。祝島のみなさん、上関町のみなさんと一緒に戦い続けてきました。そのうえにまた、今回、中間貯蔵施設の問題が突然舞い降りてきました。これはすべて、お金と権力と圧力によって,私たちの自然豊かな地域をダメにする、そういう行動です。
山口県から、全国から、上関原発ストップ、そして原発のない社会へ、核のゴミをこれ以上増やさない、安全安心の地球を守っていく、その運動を進めていく。大阪周辺のみなさん、山口県の私たちと一緒に力をあわせてこれからもがんばろう。

使用済み核燃料プールに空きをつくりたい関西電力

かけつけた〈老朽原発うごかすな! 実行委員会〉木原壯林さん(京都市民)が発言。
私は山口県の中関[注]出身、ひとごととは思えない。1月1日に能登半島地震があり、(原発が林立する)福井県若狭地方では震度4。しかし関西電力は原発をすべて止めなかった。それどころか、老朽原発美浜3号機の再稼働を(地震後の)1月18日に実施した。高浜1号機は蒸気漏れを起こしたにもかかわらず、出力を40%に落としただけで運転をし続けました。原子力規制委員会はこれを容認した。関西電力というのはこういう会社なんです。ですから、今日の署名提出にもあのような対応をする。
関西電力は使用済み核燃料の持って行き場に困っている。なぜなら96年に六ヶ所村の再処理工場が完成するというので、「使用済み核燃料は福井には置きません、県外に出します」と(当時の)福井県知事に約束したわけです。ところが再処理工場は動く気配がまったくない。20数回も完成延期を繰り返している。その都度、県外の搬出先を捜すといった約束を反故にしてきた。
23年末までに捜せなければ関西電力のすべての老朽原発を止めると言った。ところが、上関に中間貯蔵施設をつくるとか、使用済み核燃料の一部をフランスに持って行くとか、詭弁と奇策を弄して、できるはずもないのにそうやって人々を騙す。さらに今年は、再処理工場が動くから、そこへの使用済み核燃料を搬出する作業を円滑にするために、乾式貯蔵を始めると言い出した。
何を狙っているのか。今、関西電力の使用済み核燃料プールはすべて一杯になりつつある。一杯になったら原発は動かせない。だからプールに隙間をつくりたい。そのためにありとあらゆる詭弁を弄してきた。
しかし上関は受け入れないし、六ヶ所村の再処理工場も動かない。むつ市にある中間貯蔵施設は、東電と日本原電のものだから、関西電力の使用済み核燃料を引き受けるはずもない。行き場はない。結局は使用済み核燃料プールに隙間をつくって原発の運転を継続しようとしている。
新たにできる使用済み核燃料というのは、どれほどの発熱か。どれほどの放射能を出しているのか。それが入った使用済み核燃料プールが、もし地震で倒壊したら、若狭どころか関西一円、日本中がとんでもないことになる。
上関をまきこんだこの関西電力の陰謀は、使用済み核燃料プールに空きをつくりたいというところから始まっている。われわれがやらなければならないことは、使用済み核燃料を生み出す原発の即時廃炉を実現する、特に危ない老朽原発を廃炉にすることが重要だ。
山口のみなさんや全国の原発立地のみなさんとともに、原発全廃までがんばりましょう。私たちは関西と福井とが一緒になって若狭の原発をすべて廃炉にするまでたたかいぬくことを誓います。

[注]中関
山口県には西から順に、下関、中関、上関があり、中関は現在の防府市の一部。

書評
重信房子 『パレスチナ解放闘争史』
作品社3600円+税

重信房子さんは、日本赤軍としてパレスチナ解放闘争と共闘し、2000年に逮捕され獄中22年を経て、2022年5月28日に出獄した。
本書はその獄中で執筆した約470ページの膨大な力作です。
昨年10月7日パレスチナ解放勢力のイスラエルへの反撃―アルアクサの氾濫作戦以降、膨大なパレスチナ(イスラエル)問題の書籍、雑誌、文書が書店、WEBに氾濫しています。多くは学者、評論家の歴史書、研究書、評論です。これはこれで意義はありますが、『パレスチナ解放闘争史』は「パレスチナ解放の担い手たちを辿って」、強いて言えば新左翼としてのスタンスから書かれています。パレスチナでも、我々と同時代の新左翼―PFLP等の苦闘があります。他国の事として考えず、我々の課題として、ぜひ読んで頂きたいです。
「本書の中では、パレスチナ解放闘争とアラブ諸国との関係を多く記しています。…国際情勢に連動する『アラブの中のパレスチナ解放闘争』というアングルから、パレスチナ解放の担い手たちを辿っています。アラブの政治と不可分のパレスチナ、それが私自身が活動し、暮らしてきた実感でもあるからです」
「第1章アラブ民族主義運動とパレスチナ―サイクス・ピコ密約、バルフォア宣言の中で」から始まり、1916年から2024年現在までの「パレスチナ解放闘争」が記されています。アラブ民族主義運動の結果として、現在アラブ―中東は、イギリス、フランス、イタリアの植民地支配を脱しサウジアラビア、エジプト、イラク、シリア、イラク、ヨルダン等々とイスラエル、パレスチナ(自治政府)を含めて29カ国で国家独立を勝ちとっている。「国家独立」は、王政、イスラム主義、アラブ社会主義にいったんは結果しました。その中で60年代末に、第3インター系の「共産党」では無く、ファタハ、PFLP、PLO等が登場しました(第4章パレスチナ解放勢力の登場)
その後、中東戦争、オスロ合意、東欧・ソ連の崩壊を経て、21世紀に入ってもPFLP等の苦闘は継続し、紆余曲折を経ます。『パレスチナ解放闘争史』は、パレスチナ解放勢力をただ支持・賛美するのではなく、PLO、パレスチナ自治政府(PA)の問題も記されています。ただし、「批判」に終始してはいないと思いますし、他方でイスラム主義勢力を支持一般では無いのです。これらは、日本赤軍―重信房子さんの闘いの総括でもあると思います。現在、ハマース等「民族解放・イスラム主義」が主要になっていますが、「民族解放・社会主義」を掲げるPFLP等の苦闘もあります。
最後の第28章反占領―パレスチナ統一を全人民と共に・・では、「国際連帯行動は、六〇年代から七〇年代『国際主義』の名において、世界が国境を越え変革のために相互に分かち合い助け合った時代の経験を継承している。・・・・国際連帯は重要である。シオニズムと帝国主義支配に抗した良心の闘いの砦であったパレスチナ解放と革命がジェノサイドの犠牲の中から世界の良心に呼びかけている」と記されています。
全28章、約470ページの膨大な量と活字の小ささは、読破に困難ですが、ぜひ若者・学生活動家に読んで欲しいです。
重信房子さん、故奥平さん、故安田さん、岡本さん、そして故和光晴生さん達は20歳代でパレスチナに飛翔しました。私と同年齢の西川純は、現在も熊本刑務所で無期懲役中です。
それぞれ「ここがロドスだ、ここで跳べ」です。
(投稿 岩田吾郎 WEBリベラシオン社)

5面

地震大国日本に原発はいらない
柏崎刈羽原発反対運動を軸に

4月21日、チェルノブイリ原発事故38年の集いが大阪市内でおこなわれた(写真)。主催は、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西。
振津かつみさんが「事務局報告」をおこなった。次に、柏崎刈羽原発運転差止訴訟弁護団の近藤正道さんが「地震大国日本に原発はいらない 〜柏崎刈羽原発反対運動を軸に〜」というテーマで講演した。近藤さんは地元住民として新潟県の反原発運動を闘ってきたが、この半世紀にわたる闘いを報告した。
若狭連帯行動ネットワーク・資料室長の長沢啓行さんは、能登半島地震の後、志賀原発内に入って現状調査をしてきたリアルな報告をおこなった。
民謡ユニット・アカリトバリが歌と演奏をおこない、福島とチェルノブイリにまつわる2曲を披露した。
以下、近藤正道さんの講演要旨を紹介する。(文責・小見出しとも本紙編集委員会)

〈近藤正道さんの講演要旨〉

私は柏崎市から北に10qほど離れたところで生まれた。高校は、柏崎市にある学校に通った。ちょうど原発にたいする反対運動が新潟でおきた時、わたしは新潟市内で弁護士をしていた。同級生や同窓生が反対運動をやっていたので、わたしもこの運動にさそわれた。こうして一住民として、50年ちかくにわたって、わたしは原発に反対してきた。

柏崎刈羽原発

柏崎刈羽原発は1〜4号機は柏崎市に、5〜7号機は刈羽村に造られており、原発が2市村にまたがっているため、このように呼ばれている。いずれも東京電力の原発で、関東地方に送電されている。1号機は1978年12月に着工し、85年9月に運転開始。すでに原発(7基)がたてられており、総電気出力は821万2千KWにたっしている。ここは世界最大の原子力発電所だ。原発は砂丘の上に造られており、地元では「豆腐の上にある原発」と言われている。
近代になって、この地域で石油が採掘されてきた。石油関係者は「ここは地盤が弱く、原発近傍に活断層がある」ことを認識しており、「こんなところに原発を造って大丈夫なのか」と言っていた。
ここに原発を誘致したのは、田中角栄だ。建設計画が明るみになる前に田中の経営する会社がすべての民有地を買い占め、東電に土地を売り4億円をもうけた。原発反対派は、土地を武器に闘えなかった。そこで住民は国に裁判をおこした。
1979年7月、われわれは「設置許可取り消し」を求めて、行政訴訟をおこした。裁判では「地盤論争」がおこなわれた。われわれは当時最新の理論であったプレートテクトニクスを学んで、地震の危険性を訴えた。日本海東縁地帯には「変動・ひずみ集中帯」があることもわかった。東京電力は断層を否定し、「地滑り」だと主張。裁判所は東電の主張をすべて認めた。こうして、裁判は負けた(2009年4月、最高裁判決)。われわれの主張は、事実をもって示されている。それが2007年におきた中越沖地震だった。地震が世界ではじめて原発をおそった。

07年、中越沖地震

中越沖地震はマグニチュード6・8規模で巨大地震ではない。しかし、地震が原発のすぐ近くの海底でおきたため、原発施設は甚大な被害をうけた。東電は海底地震を見落としていた。東電は海底地震を評価しないで、おこりえる地震は300ガルと言い、基準地震動を450ガルに設定していた。現実には、1699ガルの揺れがおきた。東電は過去のデータから平均的な地震を想定し、これに1・5倍程度かけて基準地震動を算出。電力会社は経営的に成り立つよう基準地震動をできるだけ低くおさえようとする。
東電は事実から真摯に学ぼうとするなら、この時に海底地震の調査をやり直すべきだった。反対運動の力も弱く、国にたいして「設置許可取り消し」ができなかった。東電は目先だけの利益を追求した。こうして、福島第一原発事故に結びついていく。いま東電は、柏崎刈羽7号機を再稼働させようとしている。柏崎刈羽原発は中越沖地震によって「傷だらけの原発」になっている。どんな事故がおきても不思議ではない。また、東電に原発を動かす適格性はない。国は東電の利益を増やすために、7号機を動かしたいのだ。

市民検証委員会

米山隆一・新潟県知事(当時)は、福島第一原発事故を徹底的に検証して、柏崎刈羽原発の再稼働を県民投票で判断しようとしていた。住民自身が原発の受け入れを判断できるようにしたのだ。その後、花角英世・県知事は中央に忖度して、これをつぶした。われわれは、市民の力で市民検証委員会を立ち上げ、花角知事に対抗していく。ここに市民運動の力を結集させる。できるならば、県民投票にもっていきたい。会社は経営的に成り立つよう基準地震動をできるだけ低くおさえようとする。
今年1月に、能登半島地震がおきた。この地震では、20q離れた活断層が連動し、いくつかの活断層が150qにわたって動いている。地震と原発の複合震災がおきた時、住民は避難できないこともわかった。今回の地震をふまえて、政府は「耐震指針」を全面的に見直すべきだ。
新潟県民は、原発の再稼働に同意していない。東京電力は地元住民に圧力をかけるために、4月15日に核燃料の装填(7号機)を強行した。今日(4月21日)、この集会が新潟市内でおこなわれている。あらゆる闘いを駆使して、地元住民は闘っていくだろう。

良寛の歌

最後に、良寛の辞世の歌をひとつ紹介する。
形見とて何か残さむ/春は花/夏ホトトギス/秋はもみじ葉
良寛は新潟の地に生きた人。良寛は死にさいして、〈私には何もこの世に残すことがない。春は花が咲き、夏にはホトトギスが鳴き、秋にはもみじが紅葉する。これをみて、私を思い出してほしい〉と言っている。原発ではなく、こういう豊かな自然を残したい。
古代から、この地域は「越の国」とよばれ、中央を支える地域として扱われてきた。私たちは、こんな言われ方に断固として反対している。このために、再稼働をもくろむ東京電力と国にたいして闘っている。ぜひとも、みなさんの協力をお願いしたい。

投稿
ヘイトデモを包囲弾劾
警察に守られ退散
4月14日

警官に守られ、すごすごと駅へ向かうヘイト集団(4月14日埼玉県川口市内)
ヘイト集団をとり囲むデモ隊(4月14日埼玉県川口市内)

4月14日、埼玉県川口市内(JR京浜東北線蕨駅近く)でクルド人を対象としたヘイトデモがおこなわれるとの情報があったので、矢も楯もたまらず抗議に行きました。
蕨駅東口に着くと、〈川口の未来を創る市民の会〉や〈ヘイトと戦う埼玉市民の会〉と書かれた横断幕・プラカードを掲げた人々が情宣をおこなっていました。大学キャンパスか三里塚でしか聴かれないタイプの演説をぶつ人もいました。
ヘイトデモ参加者集合・出発地点は住宅地の中の小さな公園。警察がその手前で阻止戦を張っていて、カウンターの人々が口々に抗議していました。
デモ出発時刻になると、沿道にカウンターの市民数十人が張り付いてヘイトデモに反対する旨の横断幕やプラカードを掲げて一般市民に示しながらヘイトデモを弾劾。数百の機動隊に守られたデモ隊は8人ほど。公園から蕨駅近くを通ってまた公園に戻る短いデモコースで、私たちはヘイトデモを徹底的に弾劾しました。
機動隊に守られながらヘイトデモ参加者が帰った後、カウンター行動呼びかけの関係者と思われる方が、集約の発言で「川崎市では差別禁止の条例ができてヘイトスピーチがやりにくくなっているから、条例のない埼玉県が彼らの新たな活動場所になっている」と指摘しました。(志木健三)

6面

万博中止・吉村やめろ
メタンガスが爆発・遠足は危険

夢洲でガス爆発事故

夢洲の万博予定地で3月28日、屋外イベント広場のトイレで溶接作業中に火花が可燃性ガスに引火して爆発が起き、コンクリートの床およそ100平方メートルが破損した。実施主体の万博協会は、地中から出ていたメタンガスが地下空間にたまっていたことが原因だったと明らかにした。
さらに「工事業者がガス検知を怠ったのが原因」と業者に責任を押し付けた。だがこの場所は有毒物質やメタンガスが発生し危険なので万博工事前は立ち入り禁止区域だった。こんなところを用地にしたことが根本原因である。
万博協会が発表した対策は「ガス検知器で計る場所や頻度を増やす」ことだけだ。このゾーンは、元々産業廃棄物の処分場だったことから、地中からメタンガスを主成分とする可燃性ガスが常に出ているという。ガスを放出する管が約80本埋められている。
今回は幸いにもけが人などはなかったが、爆発が起こるかもしれない現場で働く恐怖はいかばかりだろうか。労働者は検知器をにらみながらの労働を強いられる。万博協会、維新の会による人命軽視・人権侵害は許せない。夢洲では電気や上下水道が通っておらず、発電機などを使って作業が進む。一般の建築工事では、職人が休憩時間に自分の車の中で過ごすことが多いが、万博会場建設では、必要な物資を載せた運搬車や工事車両以外は、入ることができない。
ガスの危険は夢洲の他の場所にもある。たとえば、地下鉄の新駅を作るにあたり当初工事費を約250億円と見込んでいたが、地盤沈下への対応や、メタンガスの防爆対策などが必要となり、2022年の段階で約346億円まで膨らんだ。大阪市環境局の担当者は万博用地のどこでも爆発する可能性があると認めている。

万博への遠足は危険

去年8月、大阪府知事・吉村が、大阪府内の4歳から高校3年生まで、子どもたち百万人余を万博に無料で招待すると表明した。大阪府内の小中高校生(特別支援学校を含む)を対象に実施する無料招待プランだ。
府は23年度から25年度にかけ、計約14億円の予算を計上。 大阪府教育庁は、小学生・中学生・高校生について、学校ごとに遠足などの形で見学することを計画し、「強制ではない」とした上で、府内の学校に対して、希望する来場日などを5月末までに回答するよう、4月19日から求めることにしている。
半年間の万博期間中に見学を新たな行事として組み込むのは現実的でないと考え、代わって25年度の遠足や校外学習の行き先を夢洲に変えようとする学校が多いとみられている。
メタンガス爆発事故が発生。こんな危険な場所に子どもを安心して連れていけるのか。
駐車場の真下には有害物質が埋まっている。それでなくても夢洲1区にはダイオキシンやPCBなどの有害物質を含む焼却灰が860万トンも埋め立てられているとされ、立ち入り禁止区域になっていた。当初、夢洲1区は万博会場にはしない予定だった、子どもたちが使うのはここの駐車場だ。

他にも問題山積

◇パビリオンは選べない
◇行く日も選べない
◇万博駐車場から入口まで1キロ徒歩移動。
◇来場する児童・生徒は14000人/日なのに、昼食をとる団体休憩所は2千人しか入れない
◇いつ下見できるのか分からない
◇医療的ケアが必要な児童への対応は示されていない
◇避難計画もない
などなど指摘されている。
交通費はだれが負担するのか。小学校低学年は貸し切りバスを仕立てるしかない。チャーター費用は通常、保護者負担だが高額になりそうだ。
大阪教職員組合などが、吉村や府教委あてに要望書を提出するなど、教育関係者の批判も高まっている。「夢洲カジノを止める大阪府民の会」を中心に大阪府、市の全小中学校に「子どもたちの命と健康を守るため万博遠足について十分検討する」よう要望を伝える運動が展開されている。「学校の行事としてはおこなわない」と表明する学校も出てきた。

維新政治に終止符を

吉村府知事は決して不都合な事実に向き合おうとしない。経済効果など、何事もなかったかのように万博の宣伝に勤しむ。ガス爆発事故は無視する。万博の目玉だったはずの「空飛ぶ車」は、橋下徹(元府知事)に「反対する人がいるからドローンということに」と言われて即「あれはドローンです」。
あるテレビ番組で、橋下は大阪府と市の貯金にあたる「財政調整基金」が府に2262億円、市に2452億円あると吉村に助言し、「万博が赤字になれば、使ったらいいじゃないですか」と言ってのけた。 吉村は発言を受け、「もし赤字が出た場合には橋下さんがおっしゃるとおり、府・市で負担するという考え方はあると思う」と応じた。
財政調整基金は大規模災害の発生や大幅な税収減など不測の事態に備えるため、積み立てた税金。コロナ下でも他の自治体がコロナ対策のために財政調整基金を使ったが、大阪はカジノ万博に回すため財政調整基金の支出を渋った。その結果が全国1の死者数だった。
大阪府市の予算を、自分達の財布のように考え私物化している。これが維新だ。
市民は「万博・カジノ今すぐ中止」を求めて、4月10日から12日、大阪市役所前で座り込みをおこなった。17日には、大阪市北区のフェスティバルホールで開かれた「開幕1年前『いくぞ! 万博』フェスティバル」に対し抗議行動を突き付けた。(写真上) 「万博・カジノ中止」の市民の意気はますます盛んだ。(剛田力)

シネマ案内
『ほかげ』
監督:塚本晋也 2023年

火影

敗戦直後の焼け跡。小料理屋(居酒屋)を営む女性は戦争で連れ合いをなくし、生きる意味も見いだせなくなった。テキ屋の男は戦争中にうけた恨みをはらすために、上官に復讐を決意する。前半は、この女性を中心にして、演劇的な構成になっている。後半は、一転してロードムービーですすんでいく。
戦争が終わった。しかし、日本人民は加害者のままであり、解放されていない。ろうそくの火、その揺れにあわせて姿をかえていく影。その火影のなかに、戦争体験を背負いながら、ある人びとは無気力に、ある人びとは戦争を忘れるために、戦後を生きていく。

戦争のトラウマ

前半。ひとりの女性が小料理屋に住んでいる。まわりの家屋は空襲で焼けてしまった。女性は、もう飲み屋を経営していない。売春を斡旋してもらって、生計をたてている。女性はけっして部屋から出ていかない。やがて、からだが梅毒におかされ、生きる希望も失ってしまう。
この店に、戦災孤児の少年が盗みに入ってくる。以後、この少年は女性から「坊や」と呼ばれる。ある日、少年は闇市でピストルをもらってくる。このピストルがこの映画を解くカギになっている。
もう一人、戦場から帰ってきた青年兵。かれはこの店に買春客としてやってくる。徴兵されるまで、この青年は小学校の教師をしていた。戦争から復員したが、かれは仕事をする気力もなくなっている。戦場でPTSDに罹患して、精神的にまいっているのだ。
後半。テキ屋の男と少年の奇妙な関係が展開していく。この男が復讐する相手は、戦争中に属していた軍隊の上官だ。この上官は故郷に戻って平穏な生活を送っている。男は戦場で殺された仲間に代わって、上官をピストルで射殺する。この男性も戦争で傷を追い、それを背負って戦後を生きている。少年はこれに付き合わされるのだが、ふたりの奇妙な友情が芽ばえてくる。
最後は闇市シーン。これが圧巻だ。闇市では、生活のためにひとびとはカネを稼いでいる。商売に必死で、戦争の悪夢は忘れている。うどん屋の主人の意向を無視して、少年は自分勝手に食器洗いの仕事につき、これでカネをかせぐのだ。
一発の銃声が響いて、映画が終わる。これは小料理屋の女性がピストル自殺をしたことを暗示している。少年はそのことを知らない。

解放への道

闇市は生きるための物資をもとめて、人びとの活力で満ちていた。だが、戦争の傷跡がその心をおおっていた。この映画では、戦争によるPTSDをとりあげている。映画では、少年の目から見た戦後の風景が描かれている。火影のようではあるが、未来への希望を見出すことができるのだ。
塚本晋也監督は1960年生まれで、戦争体験はない。闇市も知らない。しかし、戦争の傷跡は、少年の体験として記憶している。このように、戦争によるPTSDがわかってきたのも、ごく最近のことだ。
日本人民は、戦争の体験をどのように継承してきたのだろうか。国の権力者が戦争をおこない、この戦争に引きずり込まれ、そのはてに戦争に加担していった。戦争の時代において、人民は何をすべきであったのか。映画「ほかげ」は、このような問いをわれわれに投げかけている。
日本人民は中国・アジア人民にたいして非人間的な暴力をおこない、軍隊内においては上官から暴力を受けてきた。侵略戦争に加担していくなかで、ふたつの暴力に苦しめられてきたのだ。
戦争を忌避するだけでは戦争を止めることはできない。中国アジアへの侵略戦争に突き進む政府を倒すこと、このために行動することが必要だった。同じ過ちを繰り返してはならない。岸田政権は、支配階級のために行動し、戦争に突き進んでいる。これに反対する行動が人民に求められている。(鹿田研三)

7面

関生への不当弾圧許さない
全国同時アクション・大阪に430人 4月7日

2グループに分かれ、大阪地裁前から大阪駅までデモ行進(4月7日)

4月7日、全日建連帯労組関西地区生コン支部(以下、関生)への弾圧をめぐり、不当弾圧許さない! 決起集会が、大阪、北海道、東京、沖縄で同時アクションとして闘われた。
大阪では、大阪地裁・高裁前の西天満若松浜公園に430人が集まり集会とデモをおこなった。主催は、労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会。 最初に実行委員会の小林勝彦さんがあいさつ。小林さんは2月に大津地裁で9人中7人が無罪をかちとる判決があったが、無罪になることは当たり前のことであって、そもそも労働組合の正当な活動が裁判で争われること自体に我々は怒りを持たなければならない、関生弾圧をすべての労働組合の力でなんとしても打ち破っていこうと訴えた。

逆転無罪の加茂生コン判決を最高裁が破棄

関生委員長の湯川裕司さんは、冒頭、大阪高裁で逆転無罪をかちとった加茂生コン事件について、最高裁が昨年秋、無罪判決を破棄し、大阪高裁に差し戻したことに触れ、振り出しに戻ったと指摘した。さらに湯川委員長と武建一前委員長の京都事件の論告求刑が6月にあり、9月に最終弁論があることも報告し、今後、最高裁まで争うことになるが、3〜4年はかかるとも述べ、さらなる闘いへの不動の決意を明らかにした。

産業別労働組合の大切さ

日本の労働者の賃金が低いのは産業別労働組合がないからだというインターネットテレビのコメンテーターの発言を紹介し、労働者が人らしく生きるための産業別労働組合の大切さを訴えた。

ギリギリの無罪論を批判

3月31日、MBS(毎日放送)が関西生コンを題材にした番組を放送したがそのなかで警察官僚が関生の種々の無罪判決について「ギリギリの無罪だ」と述べたことを湯川委員長は強く批判した。検察は、私たちを有罪だというなら100%立証しなければならない、立証できなければ原則無罪なのだと強く指摘した。この指摘に会場から「そうだ!」という強い声があがった。

権力の圧力に左右されない司法を

湯川委員長は最近の司法のあやうい状況に触れながらも、裁判官には自由権があるからしっかり事実をみて、まともな判断をしてほしい。団結権を否定する権力の圧力に左右される司法であってはならないと指摘した。最後に、私たちはこの弾圧をかならず乗り越えると力強く表明した。
東海の会などからの連帯アピールの後、大阪駅前の繁華街(梅田)にむけてデモをおこなった。

激しい攻防局面への突入

この間、大阪高裁で産業別労働運動の正当性を全面的に認めた無罪判決が連続していたが、逆転無罪となった加茂生コン事件に対し、最高裁が無罪判決を破棄し、大阪高裁に差し戻したことが今の局面を強く規定している。
湯川委員長が強調したように産業別労働運動の正当性と死活性を全面的に訴え、加茂生コン事件の大阪高裁での差戻審をはじめとするすべての裁判での勝利をなんとしてもかちとっていこう。(米村泰輔)

本の紹介
稲村守
『石の上にも半世紀〜総評オルグ50年〜』

「オルグって何ですか?」――私がかつて首都圏の労働学校で労働運動の歴史の話をしたとき、参加者からこんな質問が出された。「労働組合を作ったり、争議の支援をしたり、労働相談に応じたりする〈組織者〉のことです」と答えた。しかし具体的なイメージがわかないのか、質問者はピンとこなかったみたいだった。
1950年に結成されて以来一貫して日本の労働者人民大衆の闘いの中核をなしてきた日本労働組合総評議会(総評)は、1955年に中小企業の労働者対策のためオルグ制度を設けた。以来、運動の発展とともにオルグの数は増え、最盛期には約3百人のオルグが全国各地で労働運動の土台づくりに取組んだ。1989年に解散(連合に吸収)されるまで、総評の運動はオルグの活躍を抜きにしては語ることができない。
著者は1975年に立命館大学を除籍され、京都総評の地方オルグになり、定年後の2018年からは自ら中心になって開設した京都労働相談センター所長として、労働運動一筋に生きてきた。と同時に、自身が居住する滋賀県の反原発・基地反対・憲法改悪阻止など、さまざまな市民運動の中心を担って活躍している。
この本を読むと、オルグとは何か、労働運動を組織するということは何かが、手にとるようにわかる。著者は一貫して「上から目線」ではなく、労働者の仲間の1人として誠実に、かつエネルギッシュに活動している。彼の活動を支えているのは、社会主義を目指す強い信念である。今の時代に、労働者を1から組織するオルグの存在が求められているが、その必要性・重要性が事実をもって示されている。
著者は連合結成に伴う総評・地県評・地区労の解体に抗して、京都はもとより全国レベルでも、それを阻止するために、体を張って闘った。その結果、京都総評を存続させることに成功した。
当時私も、在籍する県評の書記として、県評および所在の地区労解体を阻止するために努め、お陰で県評をクビになった。私のささやかな活動にくらべて、著者の取組みはきわめてオーソドックスで、多くの仲間の支持を獲得して成功した稀有な実例である。
そのとき著者は、まず手もとから始めようと、朝1時間早く出勤し、事務所の掃除と学習を心がけたという。ここに、彼の全活動が象徴的に示されている。著者の属する党派や信奉する思想を問う前に、そのオルグとしての活動ぶりを率直な目でとらえることが必要である。
「共産主義者たらんとする者はすべて組織者でなければならない」という趣旨のことをレーニンは言っている。大衆運動を経験する機会に恵まれず、したがって成功体験を持たない若い人たちに薦めたい本である。(一読者)

◆私家版 2000円
〒520−0246 滋賀県大津市仰木の里5−5−4 稲村守
〈メール〉sinamu2002@yahoo.co.jp

8面

ガザで緊急行動 4月13日大阪
イスラエルはラファ攻撃をするな!

350人が御堂筋を力強くデモ行進(4月13日 大阪)

4月13日大阪市内で「イスラエルはラファ攻撃をするな! 日本企業は、イスラエルと取引をやめろ! ガザからの声にこころを傾けて」の集会がおこなわれ、集会後パレスチナの旗をなびかせて350人が御堂筋を難波まで「虐殺やめろ」「子どもを殺すな」「フリー・フリー・パレスタイン」とコールしてデモ行進した。沿道からは外国人の飛び入りデモが多数あった。主催は関西ガザ緊急アクション。

ジェノサイドを止めるアクションを

主催者あいさつを役重善洋さんがおこなった。「今までの歴史になかったような虐殺、ジェノサイドがおこなわれている。パレスチナの人々は、この半年間ずっと、あらゆる手段で抵抗運動をしている。イスラエル建国以降70数年間、イギリスが占領して以降100年間パレスチナ人の人々は抵抗し続けている。こうした中で、イスラエルに対する国際社会のあり方も少しずつ変わって来ている。国際司法裁判所が暫定措置命令という形で、イスラエルがおこなっていることはジェノサイドであると認めた。その後、伊藤忠がイスラエルとの軍事協力関係を絶った。ベルギー、カナダ、スペインなどがイスラエルに対する武器の輸出を停止した。ニカラグアは、ドイツがイスラエルに武器輸出を継続しているのはジェノサイドに対する幇助であると国際司法裁判所に訴え、4月8日裁判が始まった。日本の防衛省は、イスラエル製の攻撃用ドローンの購入を考えている。それに多くの日本企業が協力している。ファナックという産業用ロボットメーカーは、欧米やイスラエルに産業用ロボットを輸出し、イスラエルが虐殺に使う砲弾の製造に全面的に使われている。抗議を続けているがやめていない。私たちは半年間いろんなアクションを続けてきているが、より具体的にイスラエルのジェノサイドを止めるための工夫したアクションが求められている」
次に様々な形でパレスチナに連帯して闘う5人の方が発言。

主催者を代表して役重善洋さんがあいさつ

木戸衛一さん(日本平和学会・理事)

「ドイツはナチズムを反省するだけではなく、環境保護運動、脱原発などで道義性、倫理性があった。しかし、昨年の10・7以降ガラッと変わった。イスラエルとの無制限の連帯、『イスラエルの安全はドイツの国是』だという。昨日から明日にかけてベルリンでパレスチナ会議がおこなわれる予定だが、海外からの参加者が入国を阻止される。800人入れるところが250人しか入れない。ジェノサイド反対のプラカードを持っていた人が逮捕される。集会が始まって早々解散させられる。言論の自由と言ってるドイツがどうしたのか?
10月末ショルツ首相は『イスラエルは民主主義国なんだから国際法を必ず守ると確信している』と寝言を言った。私たちは民主主義だ。あいつらはテロリスト。自分たちは文明だ。あいつらは野蛮だとする。ドイツは、第一次世界大戦に負けて植民地を放棄したが、それでも植民地主義的心性をいまだに持っていることの証である」

ジェリー・ヨコタさん(ジェンダー平等研究者、ガザ停戦巡礼者)

「今年1月から3カ月間、世界各国に『ガザ停戦巡礼』という国際イベントがあり、19カ国170以上の都市で実施された。大阪では10人が3月23日に10時間かけて40km歩きパレスチナ人民との連帯を呼びかけた。70〜90年代、南アフリカの反アパルトヘイトに関わっていた。世界中のクリスチャン、キリスト教会が今まで植民地主義、シオニズムにどれだけ加担してきたのかについて悔い改めあがなうための巡礼でした」

島薗洋介さん(人類学者、UNRWA資金拠出停止に抗議、再開に向け行動する)

「過去6カ月間ガザでは、壮絶な生の破壊で約4万人の命が失われ、生活基盤も文化施設も破壊され、2百万人を超える住民は食料不足で死の瀬戸際にいる。この惨劇を目の当たりにして、NOジェノサイドが大きなうねりとなって来ている。アメリカやイギリスでも多くの人が立ち上り世論が変わりつつある。その先頭に立っているのはユダヤ系の人々の団体でもある。生の破壊はガザ地区だけでなくヨルダン川西岸でも長年に渡って続けられたきた。日本政府・日本企業に対して抗議の声を上げねばならない。防衛省がイスラエルの攻撃型ドローンの導入を検討している。川崎重工、日本エヤークラフトサプライ、住商エアロシステム、海外物産といった大企業がエルビット・システムズなどのドローンメーカーと代理販売契約を結んでいる。これらの企業は人権尊重に関する企業の責任をどのように考えているのか。国際規範に則った行動を取るよう求めなければいけない」

中野マリ子さん(わてらと釜が崎)

かつてパレスチナ難民キャンプで看護師として働いていたときの話をした。「パレスチナ解放機構(PLO)がヨルダンから追い出され、71年からレバノンでPLOをアラファト議長が大きくしていく。71年にレバノンのベイルート近くの難民キャンプに5年いた。何度もレバノン軍から包囲される。戦車が周りに来て銃撃され、その間脅えながら生活した。ゲリラは夜になったら武装して夜襲をかける。ガザで子どもたちが殺されているが、足とか手に名前を書いている。粉々になるから自分の子がわからない。ベイルートでも子どもが手榴弾で吹き飛び、壁に髪の毛、肉・皮膚のミンチが貼りつく。ホースで壁を流して肉をおにぎりにして『息子です』と母親に渡した。これが戦場です。パレスチナ解放闘争の思想がすごいのは、差別の廃絶です。顔の色とか人種とかの差別を廃絶しようというのが解放闘争のスローガン。レバノン軍によって百人くらいのキャンプが何十人か殺されて追い出された。そういうことはベイルートでも日常でした。それが今も続いている。これをずっと見過ごしてきている。私たちの存在、すでに恥です」

レベッカ・マリア・ゴールドシュミットさん(ユダヤ系米国人、広島ドーム前で連日虐殺抗議のスタンディングをおこなう)

参加予定だったが来れなくなりメッセージを司会が代読。「私は反シオニストのユダヤ人です。米国とイスラエルの両方の市民権を持っている。私のドイツ系ユダヤ人の曾祖父母もアウシュビッツで亡くなった。これはジェノサイドであり、ユダヤ人の名においてこのようなことを許さないことをお伝えしたい。ユダヤ人の立場から言って、反シオニズムは反ユダヤ主義ではありません。ファシスト国家イスラエルと殺人イスラエル軍を批判することは反ユダヤ主義ではありません。ユダヤ人は何千年もの間、多種多様な文化や共同体の中で暮らしてきた。シオニズムはわずか150年の歴史しかない政治思想です。ユダヤ教は3千年以上前から存在している。私はパレスチナ解放を支持し、日本で最も公的なユダヤ人の声であると訴えます。パレスチナは兵器の実験場。イスラエルは主要な兵器ディーラーです。日本はイスラエルやアメリカの兵器メーカーとの取引を通じて、この大量虐殺に深く関わっている。共に行動を起こしましょう」