未来・第381号


            未来第381号目次(2024年1月4日発行)

 1面〜3面  岸田政権・自民党打倒の時が来た

2024年『未来』新年アピール
ガザ人民の虐殺許すな
沖縄・原発・反増税・国際連帯を

       4面  大阪万博は中止しかない
     維新・吉村知事の責任追及を
     剛田力

       5面  沖縄
     カヌーなど45隻が阻止行動
     12月14日 辺野古崎沖

     ガザ
     米国大使館前で緊急行動
     600人が平和求める
     12月16日東京  6面  再処理止めよう関西集会 11月25日
     ドイツに学び原発廃絶へ

     映画評
     『私はモーリーン・カーニー』
     監督:ジャン=ポール・サロメ 2022年

 7面  投稿
     ミャンマー国軍崩壊過程に
     中国は「国軍の援護者」
     山奥真

     パレスチナ人民との連帯のために(上)
     「消滅」めざすイスラエル国防省
     三船二郎

 8面  「パレスチナに自由を!」
     追悼アクション・リレースピーチ

     ストップ ジェノサイド
     おおさか総がかりが緊急集会

                 
1〜3面

岸田政権・自民党打倒の時が来た

2024年『未来』新年アピール
ガザ人民の虐殺許すな
沖縄・原発・反増税・国際連帯を

はじめに

2023年の階級的激動は、裏金疑惑という自民党長期支配体制の汚物を暴き出し、1990年代以降最大の政治危機へと発展しつつある。安倍一強支配(2012年体制)下で憲法改悪を目指した集団的自衛権容認・軍事大国化と人民生活破壊の政治が横行。他方でモリ・カケ・桜、河井案里買収事件などの金権腐敗政治と、官僚やマスコミの統制が進行した。しかし実はその裏で派閥裏金政治と世襲政治(政治資金を非課税相続)が横行していたことが暴露され、人民の怒りが澎湃と巻き起こっている。
世界ではパレスチナ人民の闘いに対する、イスラエル・ネタニヤフ政権とそれを支える米帝・バイデンによる2万人をこす人民虐殺・ジェノサイドに対して、反戦闘争が巻き起こっている。 この中でG7議長国日本の政治委員会の危機露見は、全世界人民が解放のため何を倒さなければを、改めて知らせた。東アジアにおいては軍事費2倍化=43兆円で「台湾有事」をあおり、対中国先制攻撃につき進む日本の岸田政権こそ戦争と専制政治の元凶だ。労働者階級・被抑圧人民には基本的人権を圧殺する日本と世界において、改めて戦争と抑圧からの解放を掲げ、帝国主義打倒へ体を張って闘う2024年の階級闘争が求められている。

イスラエルのガザ地上攻撃に反対して500人がたちあがった(11月18日 大阪市内)

T自民党長期支配体制打倒情勢の到来

@55年体制崩壊以降の 支配が総くずれ

通常国会の閉幕を待って12月19日から東京地検特捜部による自民党安倍派と二階派に対する強制捜査が始まった。自民党各派閥によるパーティ券キックバック=裏金問題は、当初「令和のリクルート事件」と言われていたが、単なる政治資金規正法違反などではなく、ここ30年の自民党支配・派閥復活・世襲政治のカラクリを暴くもので、政権崩壊・自民党解体を招来する事態が到来しつつある。
今回の大疑獄問題は、リクルート事件を契機とする55年体制の崩壊(他にも各種要因があるが、ひとまず置く)を、「政治改革」=小選挙区制導入=政治資金規正法で乗り切った支配体制が、新たな危機に逢着したことを示している。自民党内の権力構造は1990年代までの保守本流=竹下派・経世会支配(最後が小渕政権)から、森政権と小泉の「自民党(経世会支配)をぶっ壊す」を経て、清和会支配=新自由主義・新右派政治へ転換した。その過程の保守傍流=清和会の膨張には裏金づくり(違法)と世襲の横行があり、その後の歴代自民党首相は菅以外すべて世襲だ。とりわけ安倍の政権奪還以降は安倍一強支配(2012年体制)が強まり、反動政治とモリ・カケ・桜などを選挙勝利で突破した。
政治資金規制法は政治家個人への献金を禁止したが政党支部への献金は認め、政経パーティでの資金集めは容認し、金で人事を差配する派閥政治が復活した。岸田政権は首相になっても派閥の長(宏池会会長)をやめず、23年9月の内閣改造は、自己の延命のための派閥政治の満展開であった。
この中で安倍なき安倍派(清和政策研究会)の事務総長歴任の「5人衆」らの億単位の裏金や、幹部以外も4〜5千万円のキックバック、派閥ぐるみの裏金づくりが暴露された。この金は選挙資金に使われていたのは間違いない(出所は官房機密費1億5000万で、安倍が全面支援した河井案里買収事件は記憶に新しい)。岸田首相は松野官房長官、西村経産大臣、萩生田政調会長らを更迭したが、それで済む問題ではない。検察庁を傘下に置く法務大臣が二階派小泉であることは、いざとなれば指揮権発動(昭電疑獄の佐藤自民党幹事長に発動され不逮捕)も想定される。裏金問題は刑事訴追され、禁固刑・罰金で公民権停止・政界追放の犯罪行為だ。
中小企業経営者・市民の税金滞納・記載漏れは社会的制裁を受ける。「青汁王子」の三崎優太さんは「14億円納税して、1億8000万円の『訂正』をさせてもらえず逮捕された」「それなのに政治家は訂正で済む。目先の金に不正する政治家。この国に未来はない」と言っている。増税や高物価で苦しむ市民をよそに、政党交付金は315億が交付され(自民党は159億円)、国会議員は歳費(毎月129万円)と文書交通費(毎月100万円)と期末手当(年額628万円)が支給される。その上にパーティ収入で記載しない脱税行為をおこない(裏金)、金額不明の政策活動費を受給する。こんな不正・脱税が許されるはずはない。この種の議員は薗浦(千葉5区)のように政界追放しかない。岸田内閣は責任をとって総辞職すべきだ。それをしないなら人民の手で打倒するしかない。

A没落帝国主義の「失われた30年」

この政治支配の危機は、経済における「失われた30年」と完全に対をなし、戦後自民党支配の崩壊が政治、経済、安保・外交、社会の全分野(少子高齢化、気候危機なども含め)で進行している。経済における高度成長を前提の経世会支配(田中・竹下ら)から、新右派イデオロギー(軍備拡張、排外主義扇動)の清和会支配に転換した裏で、30年にわたる新自由主義の破綻が進行した。
ソ連崩壊以降の新自由主義・グローバル競争に敗北し、中国のGDPは日本の4倍になり、ごく将来「経済大国」の看板を失うだろう。「産業のコメ」と言われた半導体のシェアは1割に落ち込み、「将来的にほぼゼロ」になる。この危機は小泉時代の「聖域なき構造改革」「骨太方針」、安倍時代の「アベノミクス」でも突破できず、「失われた30年」となった。結果1人当たりGDPが21位になり、財政赤字は1000兆円を超え、幸福度・子どもの貧困率・大学の研究実績・報道の自由度・ジェンダー指数などはOECD諸国で最下位クラスを低迷している。もはや「G7議長国」「先進国」を放棄すべきだろう。
安保防衛政策でもソ連崩壊以降も帝国主義として独自の政策を持たず、アメリカ追随・武器爆買いを続け、その突破をかけて安倍が2016年に開始した「開かれたインド太平洋戦略」も、インドなどは独自の道を歩み、ミャンマーでは国軍クーデタから2年半で全土武装解放闘争が進み、日帝・岸田政権にはアジアの友好国は存在しない。
その政治的破産・孤立の度合いに応じて、「台湾有事」をあおり「対中国包囲網形成」にのめりこむ。しかし先制攻撃すれば沖縄・九州だけでなく、首都圏や原発立地が攻撃対象となることは、ウクライナ戦争を経験した今日誰でもわかる。中国の経済力、貿易・食糧での中国依存の現実すら見据えられずに、中国敵視をあおる岸田政権は、第二次大戦敗北以上の破産しかない。
労働者階級・人民は、安倍政治以降の安保関連法強行・軍事予算2倍化や、その裏でのモリ・カケ・桜といった汚職の続発、さらにインフレ=高物価・生活破壊の襲来と、野党の「体たらく」に苦吟してきたが、今やこの政治腐敗の大本=安倍派・二階派への怒りが爆発しつつあるのだ。
いまだこの政治支配全体を転覆できてはいないが、2023年階級闘争は前半の統一地方選で自民党支配の破産を衝き、後半は沖縄・原発・反増税・国際連帯の闘いが大きく爆発しはじめた。岸田政権の支持率続落・政治支配の危機は、政治・社会の再編を招来するとしてきたが、想定をはるかに上回る政治的・経済的・社会的危機と、大変動・大動乱の時代が到来したのだ。

1万人が結集した県民平和大集会(11月23日 那覇市)

U戦争と生活破壊を推し進める岸田政治

@新自由主義政治進める岸田と維新

2023年当初われわれは、22年末の安保3文書=先制攻撃・軍事大国化に十分な反撃ができなかった。22年の統一教会問題を何とかすり抜けた岸田は、G7広島サミット議長国として支持率回復に望みを託し、6月過程では「解散・総選挙」で脅し、容易に反動法案(GX電源法改悪など)を成立させた。この中で、琉球弧の前線基地化、原発全面回帰、生活破壊が激しく進んだ。
それでも4月統一地方選・補選に全力で決起。結果、自民は勝利せず、維新は伸長もこの時がピークであった。立憲野党の体たらくは絶望的に進んだが、都市部では兵庫県西宮市、東京杉並などで自民党市議・区議がバタバタと落選した。連立を組む公明党も13議席の落選で退潮にハドメがかからなくなった。新自由主義による生活破壊が隅々まで進む大阪府門真市では、パナソニック工場の跡に15万uのアウトレットモールができ、中小業者・住民生活破壊をさらに進めた。この中で関西財界と深く結合した維新は、カジノ・万博推進にのめりこんだ。これらの生活破壊との対決ぬきに「左派・リベラル」の再生はないことを鮮明にできなかった部分は、敗北せざるをえなかった。

A沖縄・原発・反増税・国際連帯の闘い

議会内多数を握る岸田政権は「黄金の3年間」と「解散・総選挙」恫喝で夏以降も反動政治の展開を狙った。福島第一原発事故の「デブリを冷やした汚染水」を「処理水」と称して8月末海洋投棄したのはその典型だ。「原発依存社会への暴走」を進める岸田政権と電力資本は、老朽原発再稼働を繰り返し、最終処分場・中間貯蔵施設の確保に全力をあげたが、対馬・上関など各地で反撃にあっている。沖縄に対しては玉城デニー知事への司法権力と一体となった反動判決と「代執行」攻撃は年末まで続き、南西諸島(琉球弧)への自衛隊配備の続行で、沖縄人民の「命ど宝」の思いをくじこうとしている。
しかしながら労働者階級・人民は、8月末の汚染水海洋投棄反対闘争から、老朽原発(高浜など)再稼働阻止闘争を連続的に闘い、11月23日には沖縄現地と全国13カ所を結ぶ「沖縄を再び戦場にするな」の闘いが爆発した。「県民平和大集会」は1万人の結集で、玉城デニー知事と一体を確認した。
このような労働者・人民の岸田政権との対決・決起は、10・7への「ハマスの奇襲」キャンペーンを打ち破り、パレスチナ解放闘争に学び連帯し、イスラエルによる一方的虐殺―ジェノサイドを許さない闘いが、全国各地で連続的に取り組まれた。そして12月3日には岸田政権の「原発全面回帰」に対する反撃として、「原発銀座」福井から大量の結集、全国各地の結集が大阪で1600人の決起となり、反原発闘争の新たな地平を刻印した。 また岸田政権の増税攻撃に対しては、れいわ新選組を先頭とする反増税闘争が秋の過程で各地でとりくまれた。この闘いは増税が具体化する段階で数千・数万の闘いとして発展するだろう。

B日本階級闘争の戦闘的転換のために

自民党一強支配の中で野党の「体たらく」が言われて久しい。議会主義政党ながら内閣不信任案を渋り、ここまで進んだ生活苦でも消費税廃止を言わない。さらに芳野連合会長は発言のたびに野党分断をあおる。しかしこれらの制約をはねのけ人民の闘いは進む。特に重要なのはこれまでの闘いの中の「民主主義」の不在(大政党・大労組の幹部主導、指示待ち)を、広範な実行委員会の大衆的論議の中で克服していることである。日本共産党は「松竹問題」で改めて「自由な論議の不在」を示した。また一部左翼は相変わらず「自己主張の同心円的拡大」のみを追求している。
今一つは我々にも存在する国際連帯の弱さである。新自由主義・グローバリズムの全世界を席巻する搾取・収奪・戦争攻撃に対し、全世界の労働者階級・被抑圧人民の「民族解放・革命戦争」と帝国主義国内の解放闘争の連帯の形成である。55年体制左派(総評・社会党)の崩壊以降の運動の困難さは、女性や雇用形態を超えた指導部の未創出にも原因がある。新自由主義打破・戦争反対の場で、異なる意見の止揚に向けた粘り強い共同闘争こそ必要だ。

V没落帝国主義・日本資本主義の全面破産

今日の岸田自民党の政治危機を招来したものは、80年代帝国主義間争闘戦と85年プラザ合意での屈伏、それ以降の資本家と政治委員会の戦略方針の欠如である。80年代後半からの争闘戦激化に対し資本家は95年日経連労問研報告で「新時代の日本的経営」を提起した。派遣業を自由化し、3つの雇用形態への転換を、竹中平蔵(パソナ)や宮内義彦(オリックス)などは無慈悲に進めたが、他方で松下・東芝などの戦後日本を代表する企業は没落した。政治委員会も清和会という新右派主義が制圧し、アベノミクスも結局3本目の矢=成長産業創出はできず失敗に帰した。この空隙をぬった新興政治勢力=維新や小池などとも組み、五輪やカジノ・万博で雇用創出という「ばくち」に手を出し、それもまた失敗に瀕している。
日帝政治委員会の国家戦略ナシは、半導体部門での全面敗北・IT産業の後進性だけでなく、旧民主党が目論んだ原発輸出(日立・東芝など)は3・11福島第一原発事故でとん挫し、安倍政権が主導した5兆円規模の豪州への潜水艦の輸出も失敗した。今後さらに武器輸出産業育成を狙うが展望はない。新幹線網の輸出もとん挫。失敗の連鎖である。
   「失われた30年」の中で、今や抜き差しならない危機に逢着したのが「少子高齢化」や、年金・財政危機である。「異次元の少子化対策」と称して「多子家庭の大学授業料無償化」を唱えたが、第1子が卒業するや、2・3子は有料になる。「無償化」を信じて誰が結婚し出産するというのか。30年間賃金が上がらなかったこの国、世襲がはびこるこの国に「希望」はなく、冷笑主義=シニシズムの充満だけだ。モラルハザード・セクハラ・パワハラの横行は、ビッグモーター・ダイハツ、ジャニーズ・宝塚歌劇・日大アメフトと進行し、「大谷、バスケ、サッカー」とスポーツだけが今の日本の希望だ。

反原発かかげうつぼ公園に大結集(12月3日 大阪市)

W新たな階級的激動(1)

@沖縄を先頭に反戦・反基地の闘いを

2023年後半、新たな階級闘争が確実に幕を開けた。沖縄においては辺野古新基地建設での国による強制代執行攻撃に対し、11・23県民平和大集会を軸に新たな闘いが始まった。辺野古では「代執行」しても大浦湾埋め立てが完成することはない。琉球弧の島々に対する自衛隊配備攻撃は、「台湾有事」をあおり馬毛島・奄美大島・沖縄島・宮古島・石垣島・与那国島と続くが、危険性もシェルターも避難も何ひとつ説明はされない。岸田政権はさらに九州全域で、佐賀オスプレイ基地、大分日出生台演習場強化などを進め、さらに鹿児島・九州、高知・四国、北海道など全土の港湾・空港を軍事使用のために整備=基地化しようとしている。沖縄に学び全土基地化を阻止しよう。
岸田政権と自衛隊幹部のみが前のめりの対中国包囲網の破産は必至だ。先制攻撃には「報復」攻撃が即座にあり、東京・原発が対象になる。シェルターで市民の命が守れるのか。43兆円にとどまらない軍事費は増税か国債発行しかなくなる。そもそも米帝は、ウクライナ=欧州、イスラエル=中東の上に、東アジア正面作戦が取れるのかは疑問だ。これらの虚妄性をついた、「島々を戦場にするな」「列島をアジア侵略の出撃基地にするな」の闘いは24年から全国で始まる。

A改憲阻止・社会の右翼的再編を許さない

絶望的窮地にある岸田政権のとる道は安倍政治の継承しかない。安倍政治は憲法改悪を柱に社会の右翼的再編を全分野で進めてきた。官僚機構は14年内閣人事局創設で掌握。マスコミ支配は安倍の本領で2005年NHK番組への介入以降執拗になされ、今やテレビ局を先頭とするマスコミ世界は、経営陣が先頭になり、報道統制と愚民化攻撃を進めている。
またグローバル競争に後れを取った学術・大学支配に必死である。2019年以来の日本学術会議支配と、23年国立大学法人法改悪はその頂点をなす。資本の下で「稼げる大学」「軍事研究」を目指して、巨大な予算をつける「卓越大学」を先頭に大学の再編・分断を強力に進めようとしている。この中で研究者・大学人・大学生は、大学・学術を自らのものに取り戻すため新たな闘いを開始している。

B原発全面再稼働・原発依存社会への回帰

23年5月GX電源法の成立をもって岸田政権は原発再稼働に全面的につき進んだ。政・財・官・学・マスコミの5角形(ペンタゴン)を改めて強化し、3・11福島第一原発事故をなかったかのように扱い、「原発依存社会」に舵を切った。汚染水の海洋投棄を続け、行き場のない核のゴミ最終処分場や使用済み核燃料貯蔵地を求めている。23年まで高浜、大飯、美浜、伊方、玄海、川内の各原発を再稼働させてきたが、24年は女川、島根、さらには東電の新潟県柏崎原発すら動かそうとしている。高浜一号機は50年目に突入し、いつ事故が起きてもおかしくない。福島第一原発事故をなかったことにするため、関連裁判の反動的訴訟指揮を繰り返している。避難者・被災者の闘いを支援し闘おう。改めて「核と人類は共存できない」ことを鮮明にし、ドイツ・台湾をはじめとする「原発廃棄」に進んだ人々と国際連帯を強め、24年反原発闘争を闘おう。

C労働運動再生の闘い

この国では賃金上昇を上回る物価上昇が続いており、労働者・人民の生活はかつてない困窮の中にある。政権が「賃上げ」を言ってもそれ以上の物価高が襲い、30年間賃金下落の国は日本だけだ。物価高・低賃金への怒りは充満している。年金・生活保護費の切り下げ攻撃も激しく、これとの闘いも裁判闘争で勝利をかちとりながら続いている。この中で労働代官としての連合中央の芳野友子会長の反動的言辞を弾劾し分断を乗り越え、労働組合運動の再生を求める闘いが持続している。戦後最大級の労組弾圧を打ち破る連帯労組・関生支部の闘いは、和歌山勝利などを受け継ぎ、反転攻勢に突入した。これまでの共闘陣形の上に、「国際人権」を掲げる人々の新たな支援も始まっている。
郵政や自治労、合同労組や地区労などの闘い、さらには退職組合員の闘いが、沖縄・狭山・ガザ反戦などで組合の旗・隊列が並び、現場組合員の闘いを支えている。全体の闘いをさらに強化しよう。
農業破壊との闘いは食糧自給率38%のこの国において極めて重要だ。農業を顧みない政権と対決し、農業再生に取り組む人々が増加している。60年にわたり国策=空港建設のための農業破壊と闘う三里塚農民の闘いに注目が集まっている。昨年2月強制執行後も農業を営む市東さん・萩原さんら三里塚闘争を支えていこう。保険証廃止を撤回させマイナンバーを廃止にしよう。

X新たな階級的激動(2)

@国際連帯

2024年はあらためて国際連帯が問われる年となる。今おこなわれているのはジェノサイドだ。これ以上ガザ人民の虐殺を許して、国連も国際世論も、平和的生存権も空無だ。「パレスチナ連帯、パレスチナに平和を」の旗を掲げ、イスラエル・ネタニヤフ政権とそれを支える米帝・バイデン政権、さらにそれに追随する岸田政権と闘い抜いていこう。
丸2年になるウクライナ戦争では、ロシアの侵略戦争を非難せず、「ウクライナの敗北」を期待する反動勢力を弾劾し、改めて「戦うウクライナ人民と連帯し、ロシアの侵略戦争をうち破ろう」。ミャンマー人民の闘いもクーデタから3年目、国軍は崩壊の危機にあり全土に解放戦争が広がっている。国軍を支える日本の渡辺秀央、麻生太郎らを許さず、岸田政権と闘おう。
解放の主体を想定せず、パワーポリティクス評論に堕する各種言動と対決し、闘うアジア・全世界人民と連帯し、帝国主義の世界支配をうち倒そう。

A差別・排外主義との闘い

国際連帯と一体で帝国主義日本における差別・排外主義との闘いは極めて重要だ。
(@)入管法改悪を弾劾し、ウイシュマさんの闘いを受け継ごう。「一人の人権・命」が人々の心をとらえ社会を揺るがす。
朝鮮・中国・アジア人民との連帯を強化しよう。朝鮮民主主義人民共和国への意図的な排外主義キャンペーンを許さず、日本軍「慰安婦」問題の解決や、朝鮮学校無償化除外などの差別と闘おう。
(A)狭山第3次再審請求闘争では、「動かせ狭山」の声を無視して大野裁判長は事実調べをしないまま12月に退官した。数多くの証拠の事実調べをやらせれば必ず勝利する。袴田さん再審に続こう。この国の検察・警察の冤罪ねつ造は2020年になっても大川原化工機冤罪事件として続いている。差別・冤罪を許さず、「垣根をこえて」つながる2・23狭山「市民の集い」の成功をかちとろう。
(B)強制不妊での国家責任追及の闘いは、仙台高裁判決勝利を受け継ぎ、国家責任を確定させるため粘り強く闘われている。この闘いに連帯し署名運動などを闘おう。毎年10・11月に取り組まれる「骨格提言」実現の闘いに繋がっていこう。神出病院など精神障害者を虐待する医療機関を弾劾しよう。
(C)女性差別との闘い 生活破壊がさらに進み、戦争に向かいあらゆる社会的力を動員しようとする攻撃が女性に集中されていく。安倍政権以来の「一億総活躍、女性活躍」は労働者女性の低賃金使用をベースに続き、それが改善されることはない。他方で安倍につながる右派勢力の「家族イデオロギー」強化も巧妙さを増し強化されている。
「左派・リベラル」の運動の中でも、その中心に多数の女性が座らない限り、政権の攻撃を跳ね返すことはできない。杉田水脈を先頭とする極右・排外主義者の跳梁を許してはならない。
(D)差別分断を打ち破る闘いへの反動・バックラッシュも激しい。被差別当該の訴えに耳を傾け、LGBTQ・ジェンダー平等の闘いの苦闘的前進と連帯し闘おう。
(E)帝国主義の危機の時代、人民分断・差別支配が帝国主義の最後の拠り所である。「1人の人権を守る」ことが世界を揺るがす。「人権後進国」日本で、「健康で文化的な生活」の破壊を許さず、平和的生存権を求める闘いは、「人間の人間的解放」を求める普遍的な闘いである。「7・7自己批判」を受け継ぎ、差別排外主義との闘いを強化しよう。

Y岸田政権打倒の人民総反乱を

@人民総反乱と地べたの民主主義の獲得

安倍一強下で苦吟を強いられた闘いが、24年にはその支配を打ち破る闘いとして発展していく。この国の社会機構があらゆる場面で壊れようとしている時、政治権力を奪い返し、市民自治を実現し、公共財(コモン)を奪還し、社会の再生を労働者・人民の手で実現しよう。そのためにもこの悪社会をつくった岸田政権を人民総反乱、沖縄・原発・反増税・国際連帯の行動で打倒していこう。政権奪還に向かうべき野党の体たらくと野党共闘の破産も激しい。これを打ち破る地べたから民主主義を取り戻す闘いが東京・杉並などで始まっている。これまでの枠を超えた政権打倒に向かう共同闘争の中から新しい政治勢力を作りだしていこう。「古き運動に弔鐘を、新しい自立・創意・連帯の運動に未来を」。異論を排除するのでなく、粘り強い討論の中から、「地域に根差し天下・国家を論ずる勢力」に飛躍していこう。

A万博危機が深まる維新を打倒しよう

今一つの打倒対象は安倍別動隊としてこの10数年跳梁・跋扈してきた大阪維新である。23年統一地方選で「躍進」した維新はその時が頂点で、今万博クライシスの中で、その反動性が浮き彫り(「身を切る改革」はウソの塊)になり、また党内ガバナンスの解体(不正議員の続出)が横行している。
「万博会場へ空中ロープウエイ」で敗北した22年11月尼崎市長選、阪神優勝と万博500日をセットにして人民的反撃を食らった「優勝パレード」。今ややることなすことケチばかりで、「万博は中止」が圧倒的世論になり始めた。「万博より、今日の飯」が大阪府民の共通スローガンだ。2008年橋下知事登場以降、大阪は良くなったのか。府民・市民負担がうなぎのぼりの金食い虫=大阪・関西万博は中止しかない。万博とともに維新を大阪から葬り去ろう。

B社会主義を目指す左翼戦線の再構築を

旧態依然とした「党中央絶対」を掲げる革共同・前進派はコロコロと路線を変え、昨秋は「職場からの労働運動でなく、直ちに帝国主義打倒」を叫び混迷を深め、東北はじめ全国各地に反乱・離脱が拡大している。社民主要打撃論ばりの「体制内派打倒」をおろし共同闘争の構築こそ求められている。
また党を否定するあまりサークル主義・分散主義では岸田政権・資本主義は倒せない。地域での共同闘争から運動全体の発展を担う中に「党」はある。「古き中核」から決別し新しい社会主義運動の創造のため全国で闘おう。『未来』をその共同の武器として発展させよう。革命的激動期が到来しつつある。階級的激動を喜びとして革共同は成長した。未来はわれわれのものである。共に闘おう。

4面

大阪万博は中止しかない
維新・吉村知事の責任追及を
剛田力

万博は「オワコン」

万博開催は時代錯誤

開催が決定した5年前、2018年11月23日の夜、くす玉が割られ、「オオサカ! オオサカ!」の大コールが演出された。しかし、大阪のライバルは、ロシアのエカテリンブルク、アゼルバイジャンのバクーだけだった。
開催には膨大なコストがかかる。国や都市の経済的リスクが大きい。デジタル化などで情報にアクセスする手段が増え、万博に足を運ぶ必要性が低くなっている。USJなど万博と競合するエンターテインメントや観光の選択肢が増えているのに万博独自の魅力あるテーマやコンセプトを示せない。
多くの国は、もはや万博が「オワコン(終わったコンテンツ)」であると自覚していた。

「目玉」消滅の危機

大阪・関西万博の「目玉」が次々と消滅する。「空飛ぶクルマ」の機体量産が、開幕に間に合わない。「大阪のベイエリアを、普通の人が自転車に乗るみたいに、空飛ぶ車に乗ってぐるぐる回っているのを、万博でやります。だからぜひ、若い世代の人も空飛ぶ車に乗ってもらいたい」と大阪府知事吉村は言い、万博では一般客を乗せた「商用運航」を目指すと宣言していた。
名前自体が詐称と言うべきものでラサール石井氏は「えー!『空飛ぶクルマ』ってこれ? 普通の車が空飛ぶんだと思ってた。これ公道走れないよね。クルマちゃうやん。大きいドローンやん。そんなに画期的?」とツイートしている。
運航する事業者JAL、ANA、丸紅、スカイドライブの4社のうち、丸紅は墜落事故を起こし、商用運航を断念。操縦士のみが乗る「デモ飛行」を目標にする。ほか3事業者も万博での商用運航は「検討中」。機体数もANAで数機、JALも1機の予定。商用運航に向けた機体量産が万博開幕に間に合わない。
コロナ対策のために国が交付した2021年度分の「地方創生臨時交付金」のうち、大阪府は約1358万円を「空飛ぶクルマ」に支出。全国最多のコロナ死亡者を出すほどの惨事を引き起こすなか、コロナ対策ではなく「空飛ぶクルマ」に国からの交付金を注ぎ込んでいたのだ。それがこの体たらくだ。
木造「リング」(大屋根)への批判が収まる様子はない。吉村は、「日本の木材建築技術ってすごくて、清水の舞台ってあるじゃないですか。あれは貫工法といって、釘を使わないのに耐震性がすごく強い芸術的な作り方。これと同じ工法で(リングは)作られています」と自慢したが、余計な金をかけて伝統工法の真似事をしているだけのこと。それを釘を使わないなどと嘘をついていた。無垢の大径木材は諦めて、構造用集成材を使うことになった、それだけでも伝統工法とは言い難い。

パビリオン建設は無理

パビリオンこそ万博の華だといわれる。着工時期については、協会の石毛博行事務総長が7月、「年末までに着工すれば間に合う」としていた。ところが「タイプA」はまだ着工した国はなく、建設予定地は更地のままとなっている。協会は、「タイプA」は24年5月、内部の展示工事は25年1月までに着工すれば間に合うと、さらに期限を後ろ倒しした。
建設資材の高騰や技術的な課題によって、1回目の入札が成立しなかった施設は10件もあった。資材の変更や設計の見直しなどをおこない、2回目以降の入札で成立に至ったものもあるが、現在も入札が成立していないものがある。
大阪市から「仮設建築物許可」が出ても、もし建設会社が決まっていなければ、その国のパビリオン建設は先に進むことができない。建設事業者は、建築コストが2倍の開きがあり採算に合わず、今の工期では受けられない。12月19日イタリアが着工と宣伝されたが、着工は2024年に入ってから。2025年1月の完成を目指す。
施工事業者を決定しているのは12月18日時点で32カ国にとどまっている。
パビリオンの種類は次の3パターンだった。
*「タイプA」 各国・地域が費用負担をして独自に建てるもの。(いわば注文住宅タイプ)
*「タイプB」 万博協会が建てた施設を国・地域ごとに借り受けるもの。(戸建て賃貸タイプ)施工事業者を決定しているのは12月18日時点で32カ国にとどまっている。
*「タイプC」 万博協会が建てた施設の一部を国・地域が共同でシェアするもの。(アパートタイプ)
タイプAの建設は、大幅に遅れている。そのため、8月半ばに協会は、協会自体が建設を代行するプレハブ(災害時の仮設住宅のようなもの)「タイプX」を参加国に提案した。日本側が業者を連れてきて、なんとか建てますから参加してくださいというのだ(戸建て分譲タイプ)。
「タイプA」から「タイプX」に移行すれば、独自のパビリオンはできないが、日本側が全部お膳立てしてくれる。ところが、打診してきた希望国は、12月で10カ国にも達していない。移行決定は1カ国にとどまるという。「タイプX」について協会は、25カ国分の建物の設計や資材の確保を依頼した。
計画されている「タイプA」パビリオンのうち、半数ほどしか建たなかったら、巨大な円形リングの内側の敷地が、空き地だらけになってしまう。
協会は、「タイプX」に移行する国が25カ国より下回った場合、「タイプX」のために建設した建物は、物販コーナーなどに転用する計画だという。回転寿司案まで出て「7500円で入場して100円寿司か」と揶揄されている。
一部の海外パビリオンは開幕に間に合わず歯抜け状態になる。

労働者の命を削る

労働基準法に定められた残業規制を緩和しろという圧力が高まっている。人手不足の中で工期を短縮するためにそんなことをすれば、労働者の健康を守り、人間的な暮らしを保障するために最低限の規制をするという労働基準法の目的に真っ向から反することになる。大阪・関西万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」だが、そのために労働者が「いのちを削る」ことになる。 
建設現場にはまだ、電気や下水道が通っていないため建設会社が自家発電の電力機や仮設トイレを持ち込んで作業を進めているほか、給水車で水を運搬する。
今後、工事がピークを迎えたときの道路の渋滞を懸念する声も関係者からは出ている。晴天時は粉じんが多く、雨天時は敷地全体がぬかるむ。現場労働者の健康被害が心配される。
現場環境が悪いため、人員確保が難しい。元請け・1次・2次・3次・4次といっぱいある中で、そこまでお金が回らない。予算を上げたところで、労働者に還元されない。万博工事の賃金は他の現場の平均より低いといわれている。資本は「一人親方」への労働基準法の適用を認めようとしない。「一人親方」が昼夜兼行で働くケースが増えている。結局立場の弱い労働者にしわ寄せが行く。
大阪市は万博の会場整備で夢洲周辺に集まる工事車両がピークの24年10月に1日最大3436台、場所によっては1時間あたりで通行できる交通量と比べて最大9割になると試算している。しかしそこには、夢洲に向かうルートの中で普段から渋滞しやすい弁天町や住之江公園前交差点などへの影響が考慮されていない。

安全無視、足りない電気、ガスはなし

万博予定地はカジノ予定地と隣接、軟弱地盤で地盤沈下も進行中の同じ夢洲のなかに位置している。パビリオンを建設するには50m〜80mほどの杭が必要、万博が終わると杭を回収する必要がある。パビリオンのメイン「A」タイプは本来杭が必要のはずだが、イタリアパビリオンは浮き基礎工法だという。建てる場所の土を取り除いてその土の重さよりも軽い建物を建てることで、土地の荷重ストレスは以前よりも軽くなる。
基礎も重いコンクリートではなく木や特殊な発泡スチロールのような軽いものが使用される。浮き基礎だと重い施設は建てられず人数も制限しないと重量的に耐えられない。結局杭を打つ基礎工事(地盤改良)はおこなわない。万博開催中に大地震が来るリスクなどまったく無視しているのだ。
万博会場はオール電化となっており、その電力量が机上の計算でも足りない。もともとガスの供給は予定されていない。
2区(万博建設地)と3区に投棄されてきた浚渫土砂からは、環境省が定める環境基準値の28倍ものPCBが検出された。夢洲1区内には、袋詰めされた泥が積まれているエリアがある。大阪市によると「中程度のPCBが含有されている土」で、今後は50cmの土で覆い、その上をコンクリートで固めて万博、IRの駐車場にする計画だ。
1区には、有毒な焼却灰や飛灰などが860万トンも埋まっている。有毒のメタンガスも放出されている。16万人が1日中、夢洲で活動するとなれば、トイレの問題も無視できない。トイレの数を確保すれば良いだけでなく、汚水の処理や手を洗う上水の確保も課題となる。環境問題に関しては、最大の問題である糞尿処理を夢洲でおこなわなければ、別の場所まで糞尿を運ぶ必要があり、それをどのように輸送するのかという問題が生じる。下水に関しては、近隣の既存の下水処理施設を使用する計画となっているが、もし1日当たり16万人が来訪した場合、その処理量を圧倒的に上回る。

アクセスも深刻

協会は、ピーク時には1日に最大で22万7千人、期間中に2820万人が来場と想定している。
万博会場には橋とトンネル、2本のアクセスしかない。車での乗り入れはできない。「パークアンドライド」の駐車場は、舞洲、尼崎、堺の3カ所で整備を予定している。このうち会場に最も近く、大きい「パークアンドライド」の駐車場が舞洲の駐車場になる。舞洲の駐車場と万博会場を結ぶシャトルバスのピーク時の便数は、朝8時から9時の80便、すなわち45秒ごとに1台の頻度を想定し、計画を立てている。
駅シャトルバスでは、JR桜島駅と会場を結ぶルートが主力となる。このルートで1日に最大290便を運行し、1万6千人を運ぶ計画をたてていて、府内のバス会社と連携して70台のEV=電気自動車のバスの確保を進めている。しかし運行に必要な運転手180人のうち、現時点では、少なくとも100人足りず、さらに不足する可能性もある。
新大阪駅など10カ所から1日に最大で計521便が運行し、2万6070人の来場者を運ぶという。

インフラ費用は9兆7千億円

万博協会は12月14日、万博の「運営費」について、当初の想定のおよそ1・4倍となる1160億円になることを明らかにした。 万博にかかる主な費用には、すでに最大2350億円かかると見込まれている会場建設費に加え、「運営費」がある。
建設費の計画予算は1250億円だった。それが20年12月の見直しで1850億円に引きあげられ、この9月にはまた増えて2300億円程度になると発表された。会場建設費用2350億円とは別に、日本のパビリオン建設などで837億円も必要で、当初の見込みから費用は青天井で膨れ上がるばかりだ。
運営費は入場料などでまかなうというが、想定より少ない2500万人でも東京ディズニーランドやUSJの年間来場者数の約2倍にあたる。運営費が足りない場合に誰が補填するのか、決められていない。
自見万博相は12月19日の記者会見で、2025年に開催される大阪・関西万博の費用の全体像を公表した。内訳は会場整備費の国負担分が最大で783億円、日本館の建設費用が最大360億円、途上国の出展支援が240億円、会場内の警備費が199億円、全国的な機運醸成に38億円などで計1620億円。万博誘致や登録申請にも27億円かかるとされ、これを加えた合計が1647億円となった。
これらの国費とは別に万博関連で国や自治体、民間がインフラ整備に投じる費用は約9兆7千億円に上るとしている。カジノ・IR建設もすべて万博関連費用に乗せようというのだ。内閣官房国際博覧会推進本部事務局は 「現時点で万博全体の総費用はお示しできない」という。政府の誰もが把握できない途方もない万博の総費用となっている。
万博開催は、カジノIRのインフラ開発に公費を注ぎ込むための隠れ蓑に過ぎない。本来の目的はカジノにあることがこの全体像からも明白になる。
同じ日に公表された府市負担分の総額は約1112・7億円で、会場建設費のほかに府・市などが万博に出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」の建設費などで約119億円、大阪メトロ中央線の輸送力増強などで約47億円、ボランティアの受け入れ準備などの「参加促進」と、大規模イベントなどによる「機運醸成」にそれぞれ約40億円などとしている。別に夢洲の利用に絡むインフラ整備費用として、1129億円かかるとの見通しも示されている。さらに準備の過程で新たに追加費用がかかる。
吉村は財源確保策として、70年大阪万博の収益で設立した基金の取り崩しを検討するという。基金残高は現在約190億円。毎年約3億円の運用益があり、国際文化交流事業などへの助成金に充てている。「未来を食い潰すだけでは飽き足らず過去も食い潰す無能」という非難の声が上がっている。

吉村・維新に責任取らそう

「7年経って『身を切る改革』のカット総額は6億4千万円に上っています」と維新の会の馬場代表は国会で「身を切る改革」の成果を誇った。その瞬間、こんなヤジが飛んだ。「万博3000億!」12月8日の衆議院予算委員会での一幕だ。
日本維新の会は「身を切る改革」を掲げ、国会議員の歳費や期末手当の2割削減、国家公務員の総人件費2割削減を主張している。その馬場代表の公設秘書が半年近く休み、その後現在まで休みがちでありながら、満額の給料を貰っている。
大阪で万博をやれば低迷する日本経済が復活すると触れ込み、万博とIR誘致で夢洲が国際観光の拠点となって、大阪の国際的な地名度が上がると宣伝し、維新が強引に万博を推進してきた。
松井は、自身の著書『政治家の喧嘩力』で、「(安倍)総理にお酒を注ぎながら、一生懸命、持論を展開した」ことで、大阪万博が動き出したと述べている。この安倍との酒席にいたのは、松井と橋下と、大阪市長に就任したばかりの吉村だ。この維新トリオは、この内幕話を「おちょこ事件」と表現し、これまで何度も自慢してきている。
しかし、万博の建設遅れが指摘されるようになってからは、一切口にしなくなった。成功したら維新万博、失敗しそうだから国のイベントと、責任をとらない態度が露骨だ。
「吉村ワクチン」は自慢して大々的にぶち上げて助成金をむしり取り、結局できず、ほとんど詐欺のような事件だった。その首謀者・森下竜一がこの万博の「大阪パビリオン総合プロデューサー」だ。これだけでも万博破産の行方が見える。

5面

沖縄
カヌーなど45隻が阻止行動
12月14日 辺野古崎沖

想定される12月20日の福岡高裁の「不承認」却下判決を前に、12月14日に海上大抗議行動がおこなわれた。カヌー39艇、抗議船4隻、ゴムボート2隻、70人が参加し、海上保安庁の拘束にひるまず、フロートを乗り越え闘われ、逮捕もケガ人もなくやりきった。

ガザ
米国大使館前で緊急行動 600人が平和求める 12月16日東京

パレスチナに平和を!を掲げた緊急行動が、東京・虎ノ門のアメリカ大使館近くで、600人近くが参加しておこなわれた。「公正で永続的な平和を求める」アメリカ・バイデン大統領あての親書を届けた。

6面

再処理止めよう関西集会 11月25日
ドイツに学び原発廃絶へ

11月25日、大阪市内で「再処理止めよう!!関西集会」がひらかれ80人が参加した。主催は脱原発政策実現ネットワーク関西・福井ブロック。共催が大阪平和人権センター、原発反対福井県民会議。

ドキュメンタリー映像

集会の前半は、映画の上映。1980年代、再処理工場建設とたたかい、最終的に建設中止に追い込んだドイツでのたたかいを描いたドキュメンタリー『核分裂過程』(95分)。
西ドイツ(当時)の南部、チェコスロバキアとの国境にある森と湖沼が広がる緑豊かなバイエルン州ヴァッカースドルフ村。バイエルン州は保守の牙城と言われる。1985年、再処理工場の立地がヴァッカースドルフに決定。建設が強引に進められた。ヴァッカースドルフ村の人々が立ち上がり、全国から多くの人々が駆けつけた。たたかいが高揚するなかで州政府は放水銃、催涙ガス弾を撃ちまくり、容赦ない弾圧を繰り広げた。
1986年にチェルノブイリ原発事故が起こると、闘いはいっそう燃え広がった。建設用地周辺はデモ禁止区域とされ、闘いを押し込めようとする州政府に対し、村人は日曜日ごとに「ミサ」と「散歩」というかたちで、抗議を繰り広げた。隣接する森の中に礼拝所を作り「ミサ」をおこない、その前後に「散歩」というかたちで建設用地に迫り、抗議の声を上げた。散歩は数十人の時もあれば、数万人の時もあった。
大規模なデモ、フェスティバル、訴訟などあらゆる方法で反対運動がくりひろげられるなかで、バイエルン行政裁判所が建設計画の無効を宣言(1988年)、同年、州首相のシュトラウス[注]が死去。
1989年、ついに事業者VEBAが建設を断念。州政府が建設中止を正式発表。

再処理は表看板、実態は廃棄物対策

つづいて、澤井正子さん(元原子力資料情報室)が「ドイツの歩みと日本の現状」と題して講演。澤井さんは、「六ヶ所再処理工場は、原発延命のための使用済み核燃料貯蔵施設である。だれもプルトニウムの生産は期待していない(そもそも完成しない)。(全国各地の原発から使用済み核燃料をひきとる)使用済み燃料プールにのみ使用価値がある。また、建前としてのプルトニウム利用も事実上破綻している。MOX燃料加工工場も世界のどこにもない」と語り、全国の原発を延命させるための使用済み核燃料引き取り所であると喝破した。

再処理工場の事故は原発の比ではない

主催者を代表して池島芙紀子さんが問題提起をした。再処理止めなきゃ明日がない、ときりだし、もし六ヶ所再処理工場で大事故がおこればその規模は原発どころではないと警鐘を鳴らした。 
六ヶ所村再処理工場の場合、3千トンの使用済核燃料、211立方メートルの高レベル放射性廃棄物があり、冷却不能になった場合、24時間で沸騰、35時間で爆発する。事故れば、福島第一原発事故の何十倍もの放射能がまき散らされる。 
ドイツでは、80年代に再処理工場計画を潰したことが、その後の原発全廃にとって、重要な位置を持っている。日本では、再処理工場との闘いがなかなか広まらないが、原発の背後にいる再処理工場に、もっと目を向ける運動を広げていこうと提起した。
[注]州首相のシュトラウスは、キリスト教社会同盟(CSU)の党首。再処理工場を強引に誘致した。彼は、西ドイツの初代原子力大臣(1955年)になり、核利用を強力に推進した。日本でいえば、中曽根康弘に匹敵するような人物。

映画評
『私はモーリーン・カーニー』
監督:ジャン=ポール・サロメ 2022年

フランス原子力企業アレバ(現・オラノ)社の企業犯罪をあばいていく。この映画は実際におきた事件にもとづいている。

フランスの原子力企業アレバ

1980年代後半から、フランスは国家をあげて3・5世代の欧州加圧水型原子炉(EPR)の開発をはじめた。2001年にアレバ社がつくられる。2004年、フィンランドのオルキルオト原発3号機にEPRが採用され、翌年から建設がはじまった。この建設に13年間も費やし、建設費用は予定の3倍近く、1兆1600億円になった。アレバは約5300億円という巨大な損失をこうむった。
こうして、アレバは再編・解体された。2017年、原子炉部門(アレバNP)はフランス電力(EDF)に売却され、2018年1月にフラマトム社になった。この時、核燃サイクル部門(アレバNC)はオラノに改称した。旧・アレバは日本とも関係が深い。六ケ所再処理工場はアレバNCから技術指導を受けている。
フランス電力は中国広核集団(CGN)と手をくみ、広東省の台山原発1号機(2009年)、2号機(2010年)、イギリスのヒンクリーポイントC原発(2017年)の建設をおこなっている。

モーリーン・カーニー事件

モーリーン・カーニー(女性)は、労働組合(フランス民主労働組合連盟)代表として、アレバ労組を指導していた。日本と違って、フランスの労働組合は経営参加をしている。モーリーンはアレバの経営会議に出席し、社長と意見をたたかわせる。
2012年、アレバは原発建設で巨大損失をだしていた。福島第一原発事故の影響もあって、原子力産業は危機におちいっていた。これを打開するために、フランス電力は国家ぐるみで中国と手を組み、技術輸出をたくらんでいた。モーリーンは内部情報をつかみ、この事実を内部告発した。
その後、モーリーンはおどしや嫌がらせを受けるようになる。2012年12月、モーリーンは自宅で襲われ、手足を縛られて性暴力をうけ、ナイフで腹にAの文字を刻まれる。指紋もDNAも、犯人の物証はいっさい残されていなかった。
警察(国家憲兵隊)は、この事件を「自作自演」という方向にねじ曲げていく。ついに、モーリーンは精神的苦痛に耐えられず、ウソの「自供」をさせられてしまう。さらに、モーリーンは犯罪を作り出した罪で、裁判にかけられる。裁判でも「自作自演」が認定されて、モーリーンは有罪判決を受ける。しかし、控訴審では、でっち上げのストーリーを粉砕して、無罪を勝ち取った。この時まで、モーリーンは6年間の歳月を要した。真犯人はわからないまま、裁判は終了した。

モーリーンのたたかい

映画はモーリーンに焦点をあてて、展開されていく。警察の取り調べは、当事者の尊厳を無視したもので、セカンド・レイプにひとしい。この彼女の心理についてもていねいに描かれている。
この事件は、世間からも「あなたはよき被害者≠ナはなかった」、つまり「あなたにも問題があった。仕方がない」というようにされていく。モーリーンはこのような風潮にたいして闘いをいどんでいく。この点で、この映画は、男性社会のなかでの女性差別を鋭く告発している。
もうひとつ、原子力産業のもつ暴力性について指摘しておきたい。同じような事件が世界中でおきている。原子力産業は国家権力を背景に、反対勢力を問答無用にたたきつぶす。これは核開発にかかわる共通の問題で、核のもつ非人間性を示している。これは「核と人類は共存できない」ことを示している。(鹿田研三)

7面

投稿
ミャンマー国軍崩壊過程に
中国は「国軍の援護者」
山奥真

情勢の主導権を、国民革命の側が奪取
アセアンと中国と日本が「国軍護持=存続政策」を、どうするのかが問われる事態に

ミャンマー情勢は、同朋団同盟による2023年「1027作戦」によって、国軍が「崩壊過程」に突入したことが浮き彫りになりました。1027作戦は、この2か月で、ミャンマー全土での国軍への攻撃として拡大し、12月22日現在で、シャン州北部の中国との国境地帯で、貿易と国境のハブを含めて、約300の国軍基地、前哨基地、警察を奪取し、8つの町を占領し、戦車、装甲車、などの軍用車両、武器、弾薬を大量に捕獲し、650人の兵士と警察官を集団投降させ、チンとラカイン州では、140の基地、前哨基地を占拠するという空前の戦果を挙げ、国軍創設以来の大敗北を強制した。2カ月たった現在、国軍は、どれ一つも奪回できないという異常事態に陥っている。
国軍は、ロシアと中国から手に入れた爆撃機と軍用ヘリを総動員して、空爆を無差別に展開し、多くの子どもたちをはじめ、数百人を殺し、60万以上の人々を地域から追放するという犯罪を積み重ねている。国民に地獄を強制することだけである。

軍崩壊過程に突入していることは明白

クーデターの最高指導機関である軍評議会(SAC)の二人が、10月、11月に「汚職」で逮捕、そして、投獄されていること。二人ともミンアウンフラインの側近と言われ、内務大臣、副首相であった人物。これに連動して、多くの軍将校と経済人が逮捕されている。完全に最高指導部内での権力闘争が始まっているのであり、戦争遂行体制―指導体制が崩壊している。兵士の増強が出来ない事態の中で、脱走した兵士に罪は問わないから兵舎に戻るようにと、獄中にいる脱走兵の執行を止めて、兵隊に動員し始めている。この間、各地の刑務所から、続々と兵舎に送り出されている。その数は数百人にも上る。
最高指導部から、末端の兵士に至るまで、「戦争はできない」という事態にある。
首都のネピドー防衛に、激戦地から14000人の兵士を引き抜き、ヤンゴンでは戦車に兵隊を満載して、市中を警戒する事態。ミンアウンフラインは、戦場の最前線よりも自己の安全を第一義にするという事態に追い詰められているのである。

1027作戦を担った同胞団同盟は、声明で、「軍事独裁政権を根絶し、国の人々の願望を満たし、軍事政権の毎日の恣意的な殺害から国民を保護することを目的」として、遂に巨大な戦列が形成された。中国との国境地帯の少数民族との共同戦列が形成されたことは決定的な事態である。歴史的に中国は、国境地帯の少数民族との関係を深めてきた。少数民族もそれを軍との対抗の武器にもしてきた。
クーデター後は、軍との和解を執拗に中国は進めてきた。軍が勝てない事態に入ってからは、何度も会合を持って迫ってきていた。それを拒否して、1027作戦に突入したのだ。
1027作戦によって、国境地帯で軍が敗北する中で、「国境地帯での安全確保」を理由として中国は、国軍と同胞団同盟との協議の場を設定した。12月11日「停戦協議中」と、一方的に発表。軍はこれに追随して、「中国政府の仲介」協議が実現したと認めた。さらに14日に中国外務省が、「一時停戦に合意」と一方的に発表して、ミャンマー情勢の仲介者=事態の解決者であるのだということを打ち出した。
同胞団同盟は、12日に、「人々の戦いを無視することなく、大義から決して引き返さない」と、軍事政権を打倒するとの決意をあらためて明らかにした。
「一時的停戦合意」と言われているが、戦闘はますます激しく燃え上がっている。事態は、一時合意というものがあったとしても、それは、戦闘の一時的休養、調整以上には絶対に出ないだろう。事態は、そんな余地が全くあり得ないのだ。
中国は、アセアンに代わっての「解決者の位置」にはなりえない。
中国は、この「停戦協議の仲介」を通して、「解決者」としての姿は、最も醜悪な「国軍の護持者」であることを自己暴露した。中国は、軍が崩壊過程に突入していることを正しく理解する力を持っていないのである。

2024年は、国軍崩壊情勢で、巨大な歴史的選択期に突入する。一日も早く、ミャンマー国民を地獄から解放し、革命勝利の実現へ、全力で支援を。

ワシントンポスト紙が、最近、北部における同胞団同盟の軍事的成功とNUGの政治的正統性を理由に「ミャンマーの軍事政権は「崩壊」の危機に瀕している可能性がある」と指摘したようだ。実物を見ていないのでそれ以上はわからない。政府国務省の意見・見解の代弁かも。世界は、国軍崩壊の現実を全く認識していない。1027作戦は驚きをもって迎えられた。
アセアンをはじめとして、中国、日本、アメリカもこの現実を認めていない。軍事政権存続の是非は別にして、当然政策判断の絶対的ともいえる条件だ。おそらく現実は、軍崩壊後に初めて対応策を検討するだろう。
1962年以来の権力者が、国民によって打倒されるという事態は、巨大な激震だ。
この激震を根底から喜び、歴史の創造者の一員となることに挑戦することを訴えます。

パレスチナ人民との連帯のために(上)
「消滅」めざすイスラエル国防省
三船二郎

ガザの解放なくして自己の解放なし

今、起きていることの本質はイスラエルによるガザ・パレスチナへの歴史的な皆殺し攻撃である。イスラエルの目的はパレスチナ国のガザ地区とヨルダン川西岸のパレスチナ人を皆殺しにし、同国を壊滅させ、地図上からも消すことである。
かつて政権を握ったナチスが1933年から1945年にかけてヨーロッパでおこなったホロコースト(ユダヤ人や障害者などへの大虐殺)と同じことが今、目の前で起きている。
ホロコーストの犠牲者は約600万人といわれているが、パレスチナ難民は2021年現在で約560万人といわれている。

ハマスはパレスチナ国の正統な政府

ガザ地区とヨルダン川西岸地区をあわせたパレスチナ国評議会選挙で2006年1月、ハマスは過半数を獲得し、3月にはハマス主導のパレスチナ国が成立した。
しかしその直後、イスラエルはパレスチナ国に攻撃を加え、パレスチナ国の正統な政権であるハマスをガザ地区に追い込み、巨大な壁をつくった。水、食糧等を断ち「生存不可能」な状況を今日まで17年間にわたって強制し、わずかに国連等による「人道援助」を命綱にした「最低限度」以下の生活を強要してきた。

パレスチナ民衆とハマスは一体

今から14年前の2009年7月に発行されたものであるが、『岩波ブックレット ガザの悲劇は終わっていない』(土井敏邦)には以下の記載がある。
「イスラエルはハマスを攻撃していると主張しているが、実際はパレスチナ人全体を標的にしています。この無差別爆撃の犠牲者や負傷者の大半は民間人なのです。このような現実を前に、民衆はハマスに対してではなく、イスラエル軍に激しい怒りを抱いています。無差別攻撃によって住民は、『ガザ住民全体の生命が同じ扱いをされている』、『どんなパレスチナ人もイスラエル軍の標的になる』と実感したんです。ラマラ(引用者注:右派のファタハが支配している)自治政府に対する怒り、沈黙するアラブ諸国の政府に対する憤り、国際社会の政府に対する怒りがさらに高まっています。いま住民はいっそう強くハマスを支持するようになっています」(同書36p 2009年1月10日 ガザ市にある「パレスチナ人権センター」のジャバール・ウィシャ副代表)。
大虐殺をイスラエルから受けながらもガザの民衆からハマス批判が生まれないのは、14年後の現在もパレスチナ民衆とハマスとの関係は変わっていないからだというべきだろう。

イスラエルを支援する岸田政権

イスラエルは意識的にガザで子どもたちを虐殺している。なぜか。今、8歳の子どもは10年経つと18歳になり、イスラエルに対する激しい敵意を持つパレスチナ人に成長することを強烈に自覚しているからだ。
このようなイスラエルを支援しているのが日本政府・岸田政権だ。われわれはパレスチナ民衆と連帯し、イスラエルを支えている日本政府・岸田政権を打倒するたたかいにさらに立ち上がっていかなければならない。

イスラエル国防省諜報局文書

10月7日のハマスによる奇襲攻撃の6日後、10月13日付イスラエル国防省諜報局の文書がインターネットに流されている。岡真理京都大学名誉教授のインターネット番組によるとそこには、ガザ地区を完全に「消滅」させることが記載されているという。

概略

@ガザ地区住民を北部から南部に排除する。
Aさらに南部からエジプト側へ「避難」させる。
というのである。(つづく)

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8面

「パレスチナに自由を!」
追悼アクション・リレースピーチ

年末大阪で侵攻中止の3つの集会・行動年末に大阪でパレスチナに連帯する3つの行動がおこなわれた。
12月16日午後は扇町公園に500人が集まり梅田までデモ(写真上右)。同時並行でJR大阪駅北で追悼アクションとリレースピーチ(写真上左)。19日はおおさか総がかり行動の集会・デモがおこなわれた(写真下)

12月16日、JR大阪駅北口で「パレスチナに自由を!」追悼アクション・リレースピーチがおこなわれ170人が集まった。主催は関西ガザ緊急アクション。路上には、ガザでの大量虐殺犠牲者を想って描かれた赤い涙のキャンバスが広げられた。
最初に、ガザの犠牲者への黙祷を全員でささげた。参加者からのスピーチは、小学生、高校生、大学生などの若い人が多く「今、声を上げなければ」と初めてデモに参加した若者もいた。ガザ出身のパレスチナ人2人のスピーチは私たちの心を揺さぶった。

人間性はどこに?

「私たちが直面している数字は単なる統計ではありません。目の前で展開される深刻な人間の悲劇を現しています。約2万5千人の命が奪われ、その中に1万人の子どもと、3500人の女性が含まれています。5万5千人以上が負傷し、85人のジャーナリストが殺害され、2百万人以上が避難。家屋、学校、モスク、教会、商店、医療施設の破壊…このような残忍な状況に直面して、私たちは自問しなければなりません。
人間性はどこにあるのか? 人権の擁護者はどこにいるのか? 自由を求め続ける者はどこにいるのか? 学校が軍事拠点に変わり、集団処刑や大量殺りく…。侵略的で野蛮な戦争を共に非難することが不可欠です。なぜ市民を標的にし、正当な理由もなく人々を拘束し、無垢な子どもたちの命を奪うのか。70日以上にわたる容赦ない虐殺が続き、世界はこの大量殺りくを止めたり、病気や避難民に援助の手をさしのべたりできなかった。心を痛めます。私たちは、この無意味な暴力に終止符を打つよう呼びかけ…訴えが行動に移されるまで叫び続けなければなりません」(パレスチナ人男性)。

10・7は始まりではない

「数日前ガザの南部に逃げた家族に何度か電話を試みた後、妹がでた。母も父も食べ物を探しに出たまま帰っていない。他の兄弟とは1カ月以上連絡がとれず案じている。 10・7は始まりではない。私たちは75年間もずっと苦しんできた。イスラエルは私たちの土地を奪い、追放した。いつでも好きな時に私たちの家を奪い、私たちを殺し、理由もなく破壊する。ガザに住むということは、大きな刑務所の中に住むようなものです。ガザに入る物は全てチェックされ、1日の半分は電気もない状況で過ごす。今、2百万人以上の人が食べ物、飲み物、薬、コミュニケーション手段、電気を失い、毎日何人も亡くなっています。
今世界は二重基準を作っています。子どもの権利、国際法はどこにあるのでしょうか。ガザに平和がなければパレスチナに平和はありません」(ガザの病院で働いていた女性)

イスラエルの占領をやめさせよう

最後に、外国人の女性が「パレスチナの人たちが、75年以上イスラエル政府による占領下で暮らしていることが見過ごされている。まずは停戦を実現する、そしてイスラエル政府の占領をやめさせ、植民地から自由になるまで闘い続けよう。イスラエル政府と同盟を結ぶ日本政府の政治を変えよう。パレスチナが解放されない限り誰も自由にならない」と締めくくった。

ストップ ジェノサイド
おおさか総がかりが緊急集会

12月19日、大阪市内で「STOP! GENOCIDE! パレスチナに平和を! 12・19おおさか総がかり緊急集会」が開かれ、小雨の中400人以上が参加。主催は、おおさか総がかり行動実行委員会。
はじめに全員でガザの犠牲者に黙祷を捧げた。丹羽徹さん(大阪憲法会議)が開会あいさつ。関西ガザ緊急アクション・車秀子さんが連帯スピーチ。車さんは「緊急の課題は虐殺を止めること、NO MORE GENOCIDEだが、占領という本質的な問題を解決しない限り、また同じことが数年後に続く。2023年この世界に残っている植民地主義というものを克服すること、そのために日本でも最大限の行動を広げアクションを起こしていくことが、日本社会に潜む差別や人権、歴史認識の問題など様々な問題を克服することに繋がっていく」と訴えた。
20年近くパレスチナ問題に取り組んできたサボテン企画・麻衣さんが市民スピーチ。麻衣さんは「シオニズムはユダヤ人至上主義、イスラエルは民族主義の国家です。過去には、パレスチナ人の女性は、お腹の中にまむしを飼っているという発言をし、女性や子どもを殺すことを肯定するような政治家もいた。このような発言を考えれば、人口の半分以上が女性と子どもだとわかっている人口密集地にイスラエルが無差別爆撃を繰り返す理由は明らか。イスラエルの攻撃対象はハマスではなく、はじめからパレスチナ全体に向けられている。このままではガザに暮らす200万人の人たちが地上から消されてしまうのではないか。それくらい危機的状況です。即時停戦と共に一時的な停戦ではなく、民主主義と占領政策の終結となるよう声を上げることが大切。西岸地区でおこなわれた世論調査では、パレスチナ自治政府ファタハの支持率は17%、ハマスは支持率を倍増させて43%となった」と訴えた。
次に、野党4党から力強い発言があった。米田彰男さん(1000人委員会大阪)が閉会あいさつし、デモは夜の大阪の繁華街にむけて出発した。