11・23沖縄、12・3原発闘争へ
増税・支持率急降下の岸田倒せ
ガザ虐殺をやめろ!と500人がデモ(10月28日 大阪市内) |
パレスチナと沖縄に心をよせた憲法集会(11月3日 大阪市内) |
ガザ人民虐殺に抗議の声を
パレスチナ人民の新たな解放闘争への反革命としてイスラエルの空爆・地上攻撃が始まって1カ月余。パレスチナ・ガザ人民の死者は1万人を超えた。イスラエル・ネタニヤフ政権の虐殺・ジェノサイドは、全世界の人々の抗議を無視し連日続けられている。しかし10月27日の国連総会決議の採択にみられるように(日本は棄権)、イスラエル・アメリカに対する批判は拡大する一方だ。10月28日大阪では500人のデモがおこなわれ、11月4日東京・イスラエル大使館前には1600人が集まり、全国各地・全世界で「虐殺許すな、即時停戦」を求める行動が広がっている。追い詰められたイスラエル・ネタニヤフ政権のガザ全面破壊の攻撃許さず、「パレスチナに自由と平和を!」の声を拡大していこう。
岸田政権の支持率急降下
ガザ人民虐殺に抗議の声を
米帝の世界支配体制の危機、国連もG20もグローバルサウスもガザ人民の虐殺を止められず、「国際社会」の無力を示す中で、G7議長国=日本の岸田政権の情勢対応力欠如は酷いものがある。ガザへの和平提言をせず、異常な物価高への対応も無策。軍拡・大増税が指呼の間にありながら、減税・給付をおこなうという。大根1本260円、白菜4分の1カット140円、白ネギ1束(2本)260円という物価高騰に対し、来年6月に減税という。しかも次には大増税が待つ。政治無策・経済無策が不況と物価高を招いたのであり、最少でも「食料品の消費税廃止」以外にない。
人心離反は、各種マスコミ調査で、12年安倍政権成立以降最低の26%となり、不支持率は6割に。人心離反は急激で、若年世代が「増税メガネ」批判の先頭にたつ。しかし野党の体たらくも過去最大。もはやここは人民の直接反乱以外ない。
11・23沖縄闘争、12・3原発一万人決起へ
壇上に立つデニーさんら(11・5県民集会・北谷町) |
窮地の岸田は、G7サミットでの支持率アップの再現と、フィリピン訪問=対中国包囲網形成に全力を投入している。南西諸島(琉球弧)の島々をミサイル基地にし、九州から沖縄島、与那国島に至る地域を対中国前線基地にする計画だ。これに対し沖縄の人々は、「戦争になれば、逃げ場がない。島々を戦場にするな! 争いより平和を」と声をあげ、11月23日に1万人規模の大集会を開催する。この闘いに全国各地=国会前・大阪などで呼応しよう。パレスチナ・ガザ地区は種子島の面積。戦争になれば種子島の隣の馬毛島、奄美大島、沖縄島、宮古島、石垣島、与那国島が、逃げ場のない戦場=ガザのようになる。これを黙って見過ごしていいはずがない。
「安倍ができないことをやった」と言う岸田政権の原発依存・暴走を止めよう。電源法案を改悪し老朽原発推進につき進み、アジア・太平洋諸国の反対を押し切って放射能汚染水を海洋投棄し(皮肉なことにこのため物価高の中、魚介類だけが安い)、核のゴミの処分場を求めて電力資本と一体で札束攻勢をかける。戦争と生活苦を押し付ける岸田政権に、人民の怒りを行動で示す時だ。11・23沖縄闘争と、原発暴走をとめる12・3一万人集会(大阪・うつぼ公園)に総決起しよう。
ガザと沖縄に心よせて
大阪憲法集会に5000人
11月3日
11月3日、日本国憲法が公布されたその77年目にあたるこの日、おおさか総がかり集会「輝け! 憲法 平和といのちと人権を」が、北区の扇町公園で開催され、5000人が参加。主催は、おおさか総がかり行動実行委員会。多くの市民は昨今の物価高にたいして政権に怒っている。しかし、岸田政権は聞く耳もたず、増税と軍拡と改憲に走っている。「いいかげんにせよ!」と怒る市民がこの集会につめかけデモをおこなった。イスラエルによるガザ虐殺と沖縄の軍事基地化の現状について、二つのスピーチがあった。
ガザ封鎖、無差別攻撃
清末愛砂さん(室蘭工業大学大学院教授)が「人権に基づく平和な社会を」というテーマで、パレスチナのガザ情勢についてスピーチ。
清末さんは、ガザの難民キャンプで子どもたちを支援する活動をおこなってきた。清末さんはイスラエルによるガザの虐殺について次のように語った。「イスラエルは、残っていればハマスとみなすと言って、住民を家から追い出そうとしている。ガザではどこにも安全なところはない。これは、10月7日にはじまったことではない。2007年以降、ガザはフェンスに囲まれて封鎖されてきた」「私がなぜガザにこだわるのか。私は憲法研究者であり、日本国憲法にある平和的生存権を世界中の人々に実現するためだ」「イスラエルは自衛の名のもとに、ガザの人々を殺している。これは日本も同じだ。イスラエルはパレスチナ人民の尊厳を奪ってきた。無差別攻撃をやめさせること、それとともにガザの封鎖をなくす闘いが必要だ」。
軍事基地化の現状
清水早子さん(ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会代表)が、「南の島に自衛隊基地はいらない」と題して、沖縄の南西諸島(琉球弧)の軍事基地化の現状についてスピーチ。
清水早子さんは、沖縄県宮古島で自衛隊の軍事基地建設に反対している。「自衛隊は南西諸島で戦争の準備をしている。岸田政権は、昨年12月に安保関連3文書を改定した。南西諸島で具体的にリアルに進められている」「沖縄では憲法の平和的生存権がおかされ続けている。岸田政権の戦争政策を止めよう」と訴えた。
その後、野党共闘4政党(立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組)がそれぞれアピール。各政党の代表は「人民の声を聞かない岸田政権を打倒しよう」「大阪で万博・カジノをやらせてはならない。大阪維新を倒そう」と訴えた。集会終了後、2つのコースにわかれてデモをおこなった。
2面
沖縄も日本も戦場にさせるな!
11・23県民集会とつながろう
深津利樹
10月21日アルタ前を出発する新宿デモ 宮古島の下地茜さん(右から3人目)も |
10月21日、新宿アルタ前広場で開かれた「東アジアに平和を!琉球弧の島々を戦場にするな! 新宿アクション」には270人が集まっていた。
「11・23県民集会」を取り組む県民の会共同代表の瑞慶覧長敏さんは「今、この新宿駅付近を歩いているみなさん、日本は独立国なのでしょうか? 日米地位協定や日米合同委員会によって何でも決められ、2004年の沖縄国際大への米軍ヘリ墜落事故の時のように在日米軍の財産などには日本はタッチできないことを知っているでしょうか?」と語りかけ、今の沖縄の状況から11月23日県民平和大集会への取り組みを熱く語った。
争うよりも愛したい
11・23県民集会には若い人々が中心になって「争うよりも愛したい」をテーマに取り組んでいる。
「先輩らのたたかいには敬意を表するが、『怖い』というイメージでは近寄りがたい」として、「一部の人たちだけ」ではなく、取り組みの「分母」を大きくしていきたいということから、この集会には音楽コンサート、巨大なアートやブース、キッチンカーなどを投入して、親子みんなで入りやすい集会にとがんばっている。そして「世界と繋がっていきたい」と話した。
続いてアピールした下地茜宮古島市議は「ミサイルはトラックに積まれて撃ったらすぐ移動する。しかし島民はすぐそこに住んでいる。与那国島では、数年前には『自衛隊が来て島が安心だ』と言われていたが、今は『軍と民が混在していてはならない。有事の前に島民は島を離れよ』となってしまった」と現実を話した。集会後の新宿一周デモには、右翼の妨害もあったが、スマホで写真を撮る通行の人々も多かった。
4500人用のシェルター
11月23日に向けて宮古島でたたかう方は「私たち島々組は東京国会前に行き、万感の怒りを込めて訴えたい! 戦争準備をどう止めるのか?! ミサイルに挟まれて暮らしていること、実弾なら血を流しているだろうはずの戦争訓練を子どもたちに見せていること、遺体収容袋が備蓄されていること、戦車が家の横を走ること、を訴えたい。戦争をどうするの? 米軍が来て空港が封鎖されたら、それで終わり。逃げられない島々はどうすればいい? 4500人用のシェルターに島民5万5千人は入れない。花は枯れる、鳥も飛ばない、水も汚される、そんな私たちは声を限りに叫ぶだろう、『戦争やめろ』『帰れ、米軍』『自衛隊出ていけ。基地撤去しろ』・・・。『争うよりも愛したい』などと言ってる余裕はない」とアピールしている。
代執行を許すな!
岸田政権は、最高裁判決をもって玉城デニー沖縄県知事に「設計変更申請」を承認するよう「勧告」、「指示」をおこなったが、知事が毅然と拒否したので、10月5日に「代執行訴訟」を提訴、年内にも大浦湾側の埋め立て工事を強行しようとしている。辺野古に新基地ができれば、陸上自衛隊も常駐、海兵隊の演習場・弾薬庫とも一体となって沖縄の日米軍事要塞化の最大の拠点になる。
さらに沖縄島・宮古島・石垣島・与那国島・奄美大島にミサイル部隊を配備、軍事要塞化を進めている。
デタラメな「中国脅威」「台湾有事」によって琉球弧が戦場になり、そして日本全国も戦場になってしまう。
政府計画「公共インフラ(社会基盤)整備計画」原案
全国の空港・港湾を有事に備え整備
昨年12月に安保3文書を改定し「敵基地攻撃能力保有」とする岸田政権は、この8月には「公共インフラ整備計画(原案)」を発表、全国約40の空港・港湾を整備し、滑走路の延長や岸壁の延長などをおこない、艦船や軍用機を平時から有事まで切れ目なく使えるように建設整備をおこなうとともに、自衛隊や海保が空港や港湾の管理者である自治体と「円滑な利用に資する枠組み」を定めるという。
以前から、北海道から九州・沖縄まで全国の公共港湾や公道を使った自衛隊による輸送訓練などがおこなわれている。
全国で11月陸海空自衛隊統合演習
そして今年度の自衛隊統合演習(実働演習)が、11月10日から20日まで、陸海空の自衛隊3万8百人が統合し、一部では米軍1万2百人も参加して、全国において繰り広げられようとしている。訓練場所が「民間空港・港湾、我が国周辺海空域」となっていて、「川崎市、柏崎市、唐津市、東海村・・・与那国町」とされている。原発の防護訓練もおこなう。
横浜ノースドックに米揚陸艇部隊
「川崎みなと祭り」で公開された海自訓練支援艦(10月7日) |
そして、神奈川県内では観光でにぎわう横浜港内のノースドックに沖縄と直結する米軍揚陸部隊の配備が進められ、また「横浜開港祭」や「川崎みなと祭り」では、護衛艦、潜水艦、訓練支援艦や装甲車の展示があり、川崎市では自衛隊入隊のために名簿の提供がおこなわれ、市のゴルフ場開放日に自衛隊が展示されている。
沖縄・琉球弧の戦場化を許してはならない。そして私たちヤマトがさらに今、問われている。市民の生活の周辺に自衛隊が迫ってきている。琉球弧が戦場になれば全国もまた戦場なのだ。
従来は「防災のため」とか「災害救助の自衛隊」と唱えていたが、最近はそうではない。艦船には艦対空ミサイルなど攻撃兵器が取り付けられたまま、その説明文までついている。
私たち一人ひとりがこんな状況に慣らされてはならない。今こそ声をあげていこう。そして、地方自治体は、自らが「戦争国家化」を進める政府の思うとおりになって良いのかが問われている。「地方自治の本旨」が持つ意味をしっかりとかみしめなくてはならない。
沖縄日誌10月
政権・司法一体の攻撃
玉城デニー知事がんばれ
10月2日 名護市辺野古の新基地建設で、設計変更を巡る国交相の指示に対し、県政与党の県議24人全員が、玉城知事に対し「承認しないよう」求める要請書を手渡した。
4日 玉城デニー知事は、国交相の4日までの承認指示に対し「期限内に承認できない」と事実上の「不承認」の回答をした。国は県の対応を受け5日にも代執行訴訟の手続きに入る。
同日、名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前では30人の市民が座り込み、知事を支えようと一致団結した。知事が事実上の「不承認」の方針を固めたことを知ると「設計変更は不承認だ。防衛局はあきらめろ」とシュプレヒコールを上げた。
また、那覇市の県民広場では、沖縄平和運動センターの労働者など60人が「不承認」の知事に連帯を示し、エールを送った。ほかにも市町村議員の会は知事の判断を「支持する」との声明文を発表した。
5日 斉藤鉄夫国交相は、設計変更申請を巡る代執行訴訟を福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)に提訴した。代執行について定めた地方自治法によると提訴日から15日以内に口頭弁論期日が指定され、第1回の口頭弁論がおこなわれる。裁判は一度の審理で結審し、県が敗訴する可能性がある。
7日 オール沖縄会議は、名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前で「県民大行動」を開いた。市民9百人が参加。新基地建設の設計変更を承認しなかった玉城デニー知事を支持し、国の代執行訴訟を批判した。糸数慶子共同代表は「私たちが選んだ知事の対応を喜びたい。知事を孤立させない」と述べ、基地建設阻止へ声を上げようと訴えた。
11日 福岡高裁那覇支部で開かれる、代執行訴訟の第1回口頭弁論が30日に決まった。玉城デニー知事は「国交省の請求の趣旨には承服できない」と「不承認」の立場を明らかにした。そして、口頭弁論に自らが立つ意欲を示した。
14日から31日までおこなわれる日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン23」に各地で抗議の声が上がった。12日は本島中部を中心とした12団体でつくる実行委員会が沖縄市で集会とデモを開催。千人が参加した。14日は石垣市で、県内で初めて陸自のV22オスプレイが新石垣空港に飛来する計画に180人が抗議行動。17日はうるま市のホワイトビーチ前で、市民50人が共同訓練の公道使用に抗議。19日新石垣空港に陸自のオスプレイが飛来。市民は抗議の声を上げた。20日、日米共同訓練は、うるま市のホワイトビーチから公道を使いコンテナを輸送。市民40人が座りこみ抗議した。
21日 オール沖縄会議は、糸満市で「遺骨の眠る土砂を埋め立てに使わせない10・21県民集会」を開いた。市民650人が参加。軟弱地盤改良に使う土砂の採取候補に南部地域が挙がっていることに断固反対した。
28日 ヘリ基地反対協は、抗議船3隻とカヌー20艇で海上抗議行動をおこなった。代執行訴訟に抗議し、知事の決断にエールを送った。
30日 福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)で辺野古新基地建設の設計変更を巡る代執行訴訟の第1回口頭弁論が開かれた。玉城デニー知事が意見陳述。裁判所前の公園では市民5百人が「デニー知事がんばれ」と熱い声援を送った。裁判は即日結審し、判決日はおって指定となった。
3面
国家上げての玉城県政つぶしに反転攻勢
辺野古基地建設阻止闘争の現段階(上)
金城宏(沖縄在住)
玉城デニー知事の「不承認」を支持して集まった1800人の人々(11月5日 北谷町) |
1997年12月21日「辺野古新基地NO!」を沖縄県内外に強力に発信してから25年が過ぎました。名護市民の闘いが県内外の反戦平和勢力の仲間の共感を得、2018年にはイデオロギーよりアイデンティティがウチナンチューの心を捉え、翁長雄志知事を誕生させました。翁長知事は「辺野古新基地を造らせないオール沖縄」勢力を強固に作り上げました。しかし、2018年8月8日志半ばにして倒れてしまいました。
翁長知事死後に、圧倒的な票差で玉城デニーさんを後継者として、ウチナンチューは当選させました。2019年2月の県民投票では、デニー知事が獲得した票を上回る43万票(投票数の72%)で新基地反対の民意を示しました。しかし政府は沖縄の民意を顧みることなく、2017年4月25日以来、辺野古埋め立て工事を続けている。
2018年12月14日からは辺野古浅瀬沿岸部に埋め立て土砂を投入しました。しかし土砂埋め立ては、まだ全体の15%足らずでしかありません。大浦湾には「マヨネーズ状の軟弱地盤が発覚し、専門家は「技術的にも工事完成は不可能」と明言していますが、安倍、菅、岸田政権はコロナ禍でも工事を強行してきました。
さらに、人殺しの軍事基地建設に、事もあろうに、米軍との戦闘激戦地の死者の遺骨が混じる南部の土砂を辺野古埋め立てに使用しようとしています。岸田政権は戦没者を辺野古新基地建設で2度殺そうとしているのです。私達はこのような人道に反し、死者に対する冒涜を絶対許してはいけません。
軟弱地盤工事設計変更申請裁判、県敗訴
2023年9月4日、最高裁判所は県敗訴の不当判決を下しました。玉城知事の工事設計変更不承認を取り消した国土交通省大臣の裁決と知事承認を迫った国土交通相の「是正指示」について、最高裁は「合法か違法」かの審理もせず、内容に触れることなく門前払いの判決を下しました。
この判決は政府と地方自治体の平等の原則を破棄するもので「国の裁決に県は従え」と言う強権的なもので、三権分立を解体し、司法の死を意味するものです。このような判決がまかり通れば国民の権利も地方自治も守れないという重大な問題になります。全国民・全自治体は危機感を持って岸田政権と対峙しなければなりません。
沖縄人民は「辺野古新基地建設反対」の賛否で県知事選に3連勝し、県民投票でも75%が反対する民意が示されています。自公政権に忖度する最高裁判決が民主的か、沖縄の多数の民意が優先するか、民主主義の原点が鋭く問われています。
岸田政権は米国に追従し、新基地建設強行をするためにあらゆる違法・脱法行為を繰り返してきましたが、最高裁はこれらにお墨付きを与え、法の番人としての役割を放棄したのです。
玉城知事は最高裁判決に対して、埋め立て工事設計変更の承認を迫る岸田政権に「不承認」を沖縄人民の民意をバックに貫徹しています。
10月30日、岸田政権は強制代執行訴訟を起こし、玉城知事に代って「承認」をし、大浦湾の軟弱地盤工事を開始しようとしています。岸田政権は埋め立て土砂を先行的にキャンプ・シュワブ内に仮置きしています。更に悪質なことは埋め立て工事の入札を承認前に開始しました。相変わらず、入札業者は本土の大手ゼネコンが半数を占め利権を漁っている構図は変わりません。岸田政権は「代執行裁判」に臨み、即日結審、3日以内に判決を出すように要求しています。
沖縄民衆の反転攻勢
9月24日、沖縄を再び戦争にさせない県民の会・設立キックオフ集会が沖縄市民会館大ホールにて8百人の参加で開催されました。集会のメインスローガンは「争そうよりも愛しなさい! 島を戦場にしないで! 沖縄を平和発信の場にしよう」と県内の60団体余・個人が結集して成功裏に終了しました。
主催者あいさつは前南城市長・瑞慶覧長敏共同代表(元衆議院議員。民主党が辺野古移設賛成に変節した時に玉城デニーさんと共に離党)がしました。オール沖縄会議の金城徹共同代表が〈沖縄を再び戦場にさせない県民の会〉の設立歓迎を表明し、〈台湾有事を起こさせない沖縄対話プロジェクト〉の谷山博史氏が記念講演をしました。谷山氏は「政府が台湾有事を口実に軍備を増強するのは、中国への挑発だ。戦争を起させないために対話が必要」と訴えました。自衛隊基地強化が進む石垣島と宮古島、うるま市ミサイル配備から命を守る会、沖縄市自衛隊弾薬庫建設反対市民の会、与那国町の代表が闘いの報告をしました。
連帯の挨拶では、最高裁の不当判決を受け、辺野古新基地建設反対を貫く玉城デニー知事を支える事を目的にした〈辺野古新基地建設に反対し、沖縄の自治の底力を発揮する自治体議員有志の会〉が登壇。会場からは拍手と指笛が湧き上がりました。そして、11月23日県民集会を成功させようと訴えました。(つづく)
10・31狭山再審闘争 高揚
6mの横断幕かかげ<狭山大運動>と各地の市民の会が東京高裁前で行動(10月31日) |
無実を訴える石川一雄さん早智子さんと、日比谷野音一杯の参加者(10月31日) |
10・31狭山再審闘争は、大野裁判長の12月退官を前に、日比谷野外音楽堂集会・デモと、東京高裁要請行動として闘われた。日比谷では2000人の参加者を前に石川一雄さん早智子さんが訴え。弁護団、袴田秀子さん、福島みずほ参院議員、大石あきこ衆院議員などが再審を訴えた。
東京高裁前では6メートルの大横断幕を掲げ、〈狭山大運動〉と各地の市民の会・キャラバンの仲間などの、退官前の事実審理を求めるアピールがつづいた。(詳報・論稿次号)
4面
とめよう!原発依存社会への暴走
12・3一万人集会(うつぼ公園)へ
「12・3とめよう!原発依存社会への暴走 1万人集会」が目前に迫った。GX以降、堰をきったように、岸田の原発回帰が推し進められている。この流れを止める人民決起が求められている。12・3のたたかいはその突破口である。なんとしても大結集を勝ち取ろう。
使用済み核燃料の行方
このかん使用済み核燃料の問題がクローズアップされている。関西電力にとって、この問題は死活的だ。福井県若狭地方にある関電の原発の燃料プールが満杯に近づきつつあり、このままでは原発を稼働できない状況が迫っている。関電の原発は7機とも再稼働されており、使用済み核燃料はたまり続けている。
福井県は関電に県外持ち出しを要求している。老朽原発再稼働に当たって、このことをめぐって問題になり、福井県は再稼働同意の前提として、県外に中間貯蔵候補地を示すことを求めた。1原発25億円という金銭と「23年年末までに県外候補地を見つける。もしできなければ稼働中の老朽原発を止める」との関電社長の約束でやっと同意したのである。
そしてこの問題の前提に再処理工場(青森県六ヶ所村)が破綻していることがある。本来なら使用済み核燃料は再処理工場で処理する計画であった。それが、再処理工場が完成しないため燃料プールで保管しなければならず、プールに使用済み核燃料がたまり続けるのである。
関電『ロードマップ』
10月10日、関電は『使用済燃料対策ロードマップ』を発表した。その内容は、まったく空疎で、絵に描いたもちでしかない。今の時点で、中間貯蔵を引き受けるところはどこにもないということを示している。
@26年度から青森県六ケ所の再処理工場に搬入する。これは、24年度六ヶ所再処理工場が稼働するという根拠のない希望的願望に立ったプランである。六ケ所再処理工場は、膨大な国費を投入したにもかかわらず完成が26回も延期されてきたのである。稼働できる現実性はないのである。
A高浜原発については、27〜29年度にフランスに2百トン搬出する。唯一具体的なプランのように見えるがわずか5%にすぎない。
B県外に中間貯蔵施設を設置し、30年頃に運用するとしている。しかし具体的候補地は明らかにできず、これまでと何が変わったのかも言えない。
また30年頃から運用するといいながら、仮に引き受ける候補地が見つかったとしても建設期間から見て30年運用開始は無理である。
C関電は、搬出をスムーズにおこなうために敷地内で乾式貯蔵をおこなうといっている。しかしその先が何ひとつ決まっておらず、使用済み核燃料の永久貯蔵への道を開くものである。
高浜2号機再稼働阻止闘争(9月15日 福井県高浜町) |
原発依存社会
要は原発を稼働しつづけるために、核燃料プールを空けたいのである。23年末まで中間貯蔵地を見つけることができなければ、運転を止めるという約束の回答というには、あまりにもでたらめである。
にもかかわらず、福井県知事は「一歩前進」したといい、10月13日にロードマップ受け入れを表明した。
この背景にあるのは、原発依存社会への暴走という岸田の原発回帰政策である。未来永劫原発を動かし続けようという意図であり、むき出しのやり方である。
他方、各地の原発も再稼働を狙っている。運転開始からまもなく40年を迎える川内原発1、2号機について、住民が求めた県民投票が否決され、規制委員会が40年超運転を認可した。島根原発や女川原発の再稼働が狙われている。
このような原発回帰政策にたいして、「原発反対」の人民総決起をつくりだそう。原発反対のたたかいは、正義性、人民性、人間の誇りをかけたたたかいであり、勝利できるたたかいである。
12・3「1万人集会」へ
〈老朽原発〉、〈原発のアキレス腱=使用済み核燃料〉〈放射能汚染水海洋投棄〉を軸に大きなたたかいを作り出そう。再び過酷事故が引き起こされる前に「今なら間に合う」を合言葉に原発反対の巨大な渦をつくりだそう。
12・3大阪・うつぼ公園に集まろう。
上関町に原発も中間貯蔵施設もいらない
10・22上関町集会 末田一秀さん講演
「いのちを守れ! 上関町に原発も中間貯蔵施設もいらない! 10・22反原発デー県民集会」(上関町総合文化センター)での末田一秀さん(『はんげんぱつ新聞』編集長)の、「中間貯蔵施設の問題点」というテーマの講演要旨。(文責・本紙編集委員会)
破綻している核燃料サイクル
原子力発電はウラン235が核分裂したときのエネルギーで水蒸気を作り、これでタービンをまわして発電する。核燃料にはウラン235を3%に濃縮したものを用い、残りの97%はウラン238になっている。この時、ウラン238は中性子を吸収してウラン239になり、これがβ崩壊してプルトニウム239に変わる。
プルトニウム239は核分裂をおこす。高速増殖炉は、このプルトニウムの核分裂を利用して発電する特殊な原子炉だ。実証炉の「もんじゅ」は廃炉になり、高速増殖炉は21世紀末くらいまでは実現しない。この地点で核燃料サイクルは破綻している。しかし、日本政府は今も核燃料サイクル政策を維持している。
使用済み核燃料の再処理は、プルトニウムを取り出すために、再処理工場が六ヶ所村に建設されている。六ヶ所村の再処理工場では、フル稼働すれば1年間に約7トンのプルトニウムを取り出すことができる。
プルトニウムは原爆の材料になるため、国際的にきびしく管理されている。日本政府は
「現在の水準以上にプルトニウムは増やさない」ことを方針にしている(「プルトニウムの基本的考え方」2018年7月31日、日本原子力委員会)。
六ヶ所村の再処理工場が稼働すればプルトニウムがたまる。プルサーマル発電をおこなっても、プルトニウムの消費は追いつかない。プルトニウムの保有量を現在の水準にしようとすれば、再処理工場の稼働は止めなければならない。
中間貯蔵施設とは
六ヶ所再処理工場は、2006年3月からアクティブ運転に入ったが、それを中断して以降、停止したままだ。すでに、六ヶ所再処理工場にある使用済み核燃料の貯蔵プール(3000トン)は満杯に。貯蔵プールが満杯になれば、使用済み核燃料の行き場がなくなる。そのために、仮に貯蔵しておく施設が中間貯蔵施設だ。
中間貯蔵施設では、使用済み核燃料が乾式貯蔵される。自然循環の空冷で冷却する。その期間は、50年程度と言われている。もし火山が爆発して、火山灰が空冷施設に詰まったらどうするのか。放射性物質(放射能)はもれなくても、放射線は施設から漏れ出す。これも無視できない。
六ヶ所再処理工場は、約40年間稼働する計画。次の再処理工場を建設する計画もない。40年後はどうなるのか。だから、地域住民は中間ではなく、永久貯蔵施設になることを恐れている。
青森県むつ市に、すでに中間貯蔵施設が造られている。これは東京電力と日本原電の使用済み核燃料を貯蔵する施設だ。最終的に、5千トン貯蔵できる施設になる予定だ。
2020年12月、電気事業連合会は、青森県むつ市の中間貯蔵施設を関西電力と共同利用する案を出した。しかし、宮下宗一郎・むつ市長(当時)が猛反発して、実現できず。2021年2月、関西電力は2023年12月末までに計画場所を確定させる意向を表明した。「もし確定できなければ、40年超運転の原発3基を止める」と確約。
今年6月、高浜原発で保管している使用済み核燃料200トン(MOX燃料10トンとウラン燃料190トン)をフランスで再処理する意向を表明した。関電は「2千トン規模の中間貯蔵施設をつくる」と、福井県に約束していたから、福井県議会はこれに反発。こうして、8月に、中国電力は関西電力と共同で、上関に中間貯蔵施設をつくる方針を明らかにしたのだ。
上関町の財政事情
今年8月に、西哲夫・上関町長は住民に何も知らせないで独断で調査を受け入れた。そこには、上関町のきびしい財政事情がある。町は1984年から2019年までに、原発に関連する交付金を74億円も支給されている。現在、それが8千万円(年間)に。町長はこの交付金を増額させようとしている。中間貯蔵施設では、調査開始から知事決定までに1・4億円(年間)、知事が同意してから2年間9・8億円(年間)の交付金が上関町に支払われる。
上関町の人口は、1980年にくらべて4割(6割減)になっている。その減少率は、周辺地域にくらべて一番大きい。財政力指数も周辺地域で最低だ。原発の金にたよった結果、このようになってしまった。また、中間貯蔵施設は下請け産業などすそ野がひろがる産業ではない。いつまでも原子力の交付金にたよっているようでは、地域は豊かにならない。
わたしは京大原子炉実験所の2号炉の原子炉建設に反対する運動から、反原発運動に入った。地元住民が立ちあがって、この計画を完全に阻止した。ちゃんと反対すれば、絶対に勝てる。ともに闘っていこう。
5面
引き下げアカン!大阪の会 原告交流会
世論盛り上げ最高裁動かそう
多くの仲間が交流会に(10月22日) |
10月22日、生活保護基準引き下げ違憲訴訟の第7回原告交流会が大阪市内でおこなわれた。京都からも参加があり、50人の原告・支援者が集まった。主要なテーマは、大阪弁護団が最高裁に提出した長大な上告理由書の学習および今後のとりくみについて。
和田信也弁護士が、まず最高裁判所とはどんな所か分かりやすく説明した。最高裁は、事実認定はしないで、法律適用についてだけ審理する所。最高裁には、上告と上告受理申立という2通りしか申立が認められていない。上告は〈憲法違反〉〈訴訟手続きに重大な違反〉がある場合。上告受理申立は〈判例違反〉〈法令の解釈に関する重要な事項がある〉場合。
上告理由書の内容
われわれがどういう理由で上告と上告受理申立をしたのか。5つある。上告理由は、@需要充足原則違反(憲法25条違反)、 A平等原則違反(憲法14条違反)、B社会権規約違反(憲法98条違反)。上告受理申立の理由は、C審査方法の誤り(判例違反)、D処分理由の提示がない(行政手続法14条違反)であるとして、それぞれを説明した。
@は、生活保護法8条で、生活保護の受給は「要保護者の『需要』に基づくべき」と定めている。これを需要充足原則という。需要を考慮することなく国の財政事情といったもので生活保護基準を改定したことは違反。
A憲法14条で平等原則を定めている。生活保護利用者の年齢や世帯構成などを考慮し「実質的平等」でなければいけない。デフレ調整において4・78%もの需要が減少したとして一律に生活保護費を引き下げたことは平等原則に反する。
B憲法98条で、日本が国際社会と締結した条約の遵守義務を定める。社会権規約2条1項は、「権利の完全な実現を漸進的に達成するため・・・行動をとる」と後退禁止原則を定めている。生活保護基準を引き下げたことは、後退であり社会権規約違反。
C老齢加算最高裁判決は、減額や廃止に当たっては「需要充足原則」と「専門家による検証」が必要だとした。この2点に違反している。専門家による検証を経ることなく、デフレ調整やゆがみ調整について2分の1処理した。
D行政手続法14条1項は「不利益処分をする場合には、理由を示さなければいけない」と定めている。最高裁の判例などによれば、「理由」は、どういった理由で引き下げたのか書きなさいとなっている。皆さんが受け取った「基準改定による」という言葉だけで処分理由を示したことにはならない。
最後に有名な朝日訴訟を取り上げた。朝日茂さんは、生活保護について初めて裁判を起こし最高裁まで闘った。朝日さんは途中で亡くなった。最高裁は相続人の承継を認めず「上告人の死亡と同時に終了」とし裁判を終わっても良かったが、この後重要な判断をした。「なお念のために本件生活扶助基準の適否に関する当裁判所の意見を付加する」として憲法25条の見解を述べた。それは、その時の世論の盛り上がりや運動を見て、最高裁は判断をしなければいけないと思ったからだ。このように運動が非常に大事だと訴えた。
世論を喚起する運動を
大阪の会・事務局長の雨田信幸さんが、各地の裁判支援とともに最高裁での逆転勝訴を目指して、最高裁前での宣伝や大阪での宣伝活動を提起した。原告全員が発言し「最高裁のことが良くわかった」「最高裁で勝利をかちとるためには運動が大切だ」と決意を語った。
京都弁護団の尾藤廣喜弁護士は韓国調査の報告をした。韓国の「国民基礎生活保障法」は私たちの模範となる。韓国では「国の責任で生活保障をすべき」という声が高まり大方の合意となり生活保護法を改正した。世論の支持を広めていくことが大切だと話した。
投稿
消費税について一言
花山道夫
インボイス(適格請求書)制度により、今年の10月から年間売上高が1千万円未満でも消費税納入を事実上義務化された。この影響について検討していく。この場合いわゆるフリーランスと建設労働者を例にして解説していく。フリーランスとは、俳優やカメラマンなどの自由契約で働く人を指すが、若い人で将来大化けするかもしれない逸材が収入の減少で仕事を断念するかもしれない。
一方、建設労働者等の現場系については、昔は労災保険などには加入していなかったが、今は職人の自己負担が基本となっている。労災に加入していない人には仕事は出さない。ここは元々若い人が少ないのでフリーランスのような心配はないが、年齢的に限界が来て辞める人が多い。建設業は元々経費率が高い。車は必須だし、工具代がかかるし、材料は元請け支給でも副資材(例えば砂、セメント)は職人持ちという場合が多い。人手不足は必至である。
ここで、消費税の仕組みについて解説しておく。例えば年間1千万円の売り上げがある人は、相手先から百万円の消費税を加算した1100万円を受け取る。ただし、経費で支払った分の内、消費税分が30万円とすると差額の70万円を納税することになる。ただし、経費が3百万円でその10%で消費税が30万円とはならない。というのも軽減税率8%のものがあるので別計算しなければならない。それは、一般飲食料や週2回以上発行される新聞等で定期購読契約に基づくものという規定がある。さらにガソリンと軽油では課税方式が異なる。ガソリンの場合普通に10%なのだが、軽油の場合は軽油税があるのでそれを除いた軽油本体に10%の消費税がかかる。今まで課税業者でなかった者は、10月からは分かち書きをしないといけないので手間がかかる。それに加えて税理士も手間がかかるので顧問料も上がる。
インボイス制度は、消費税増税に加えて複雑な事務負担が増えコストもかかる。踏んだり蹴ったりだ。零細な個人事業者などは、廃業に追い込まれている。弱い者いじめのインボイス制度の結果責任はとっていただく。御覚悟の程よろしく。
スーパーに並ぶ1本258円の大根 |
岸田「減税」
その先に待つのは増税だ
10月1日、インボイスが始まった。一部事業者は税負担が増え、政府のお膳立てで電力会社は転嫁した一方、小規模事業者は自ら負担を受け入れざるを得ない人もいる。再生エネルギー電気の売り手はインボイスを発行できない免税業者も多いが、大手電力会社は経産省のバックアップで新たに生じた消費税負担分を難なく価格転嫁できた。一方で、これで苦しむ非正規雇用労働者・中小企業・フリーランスなどの声を聞いてない。
岸田首相は10月23日衆参両院本会議で所信表明演説をおこない、物価高対策の一環として、増えた税収の一部を所得税減税を念頭に一時的に国民に還元するとともに、低所得者むけの給付を拡充する方針を示した。
さらに10月25日、衆参本会議の代表質問で経済対策を巡る消費税減税の是非に関し「社会保障の財源として位置づけられており、税率の引き下げは考えていない」と明言した。
10月27日の衆院予算委員会では軍事力強化のための増税時期をめぐり「2024年度から実施できる環境になく、所得税の定額減税と同時実施とはならない」と表明した。
10月31日の衆院予算委員会では、所得税と住民税を1人当たり計4万円減税する政府方針について、「1回で終わるように経済を盛り上げていく」と。
政府は22年末に「軍事費5年間で43兆円=軍事費増」を決定した。防衛=軍事費増税とは、「防衛力の抜本的な強化」に必要な財源を捻出するための法人、所得、たばこ3税の増税。政府は2027年度に年1兆円強を確保する方針。法人税は4〜4・5%の新たな付加税を課す。所得税は税率を1%上乗せした上で、所得税に付加される復興所得税の税率は1%引き下げて課税期間を延長。たばこ税は1本あたり3円引き上げる。減税は1年だが増税は恒久だ。
岸田首相はかつては金融所得への課税強化を訴え、富裕層や大企業を優先して格差拡大を招いた「アベノミクス」を見直すかに見えたが、徐々に修正し、理念も成果も見えないままだ。
現在の税収の柱は所得税、法人税、消費税であり、2022年度の一般会計税収は71兆1374億円で、最多の消費税は23兆7923億円。また「消費税を10%に引き上げて得られた恒久財源13兆円のうち、5兆円分が政府債務の返済に充てられている」(東京新聞10月6日記事)。もともと歳出不足を埋めるために作りだされた消費税が税収の最大項目になっている。しかも、消費税導入とタイアップして法人税減税や所得税の累進課税の緩和が進められた。
現在の物価高、物価変動の影響を反映させた実質賃金は8月まで17カ月連続で前年同月水準を下回り、生活は苦しさを増している。物価高対策の所得税減税は、来年の通常国会の法改正のあとで、実施は早くとも来春以降で、効果は遅い。所得税を課税されてない低所得者には恩恵なし。増税と減税をともに掲げるというニセ減税だ。(大浦裕之)
6面
長期・読み切り連載
先人たちの闘いの成功と失敗を学び現在にいかそう
大庭伸介
「革命の子」をめぐる労資の対決
戦後労働運動の分水嶺・三池争議B
組合指導部のチグハグな分裂対策
学習活動の内実と階級意識の形成
三池労組の指導部は分裂工作に、どのように対応したのか。驚くべきことに、批判勢力の中心メンバーが公然と分裂工作を始めたとき、これを放置した。当然、組合員のなかから彼らを統制処分せよという声が上がった。宮浦支部執行委員会は59年10月、「対敵協力者」3人を除名した。
しかし本部は第2組合結成後にようやく主謀者19人を懲戒委員会にかけ、しかも争議終了後に審議するという対応に終始した。本部は周辺を固めれば批判分子の策動を封じ込めると、自分たちの組織の強さを過信していたのである。
その一方で、一般組合員には家を空けるときや3人以上集まる場合は、地域分会に届けることを義務付けたりした。その結果、拘束されることを嫌った若者の多くが第2組合に走った。
三池労組が「日本一強い」組合になったのは、職場闘争や地域活動とともに、1953年頃から学習活動に本格的に取組んだからである。
九州大学教授で社会主義協会代表の向坂逸郎は大牟田出身で、本所支部の塚元敦義(争議当時、支部長)に頼まれ、47年頃から地域の学習会で講師をしていた。組合が学習活動に取組みだすと、彼は九大の協会系の助教授たちを中心に講師団を編成して積極的に協力した。
すべての支部で毎月1回全員を対象に定期講座を開き、支部や分会によってはさらにキメ細かく学習会が持たれた。なかでも本所支部が最も熱心であった。テキストに『共産党宣言』や『空想から科学へ』『国家と革命』『資本論』などを使った。
脱落者が出ると、向坂や塚元は「意識の低い者が脱落する」と断言した。ところが向坂直系の塚元や灰原茂雄(争議当時、本部書記長)が所属する本所支部の脱落率が一番高かった。宮浦支部や三川支部は脱落者が少なかった。
争議後の雑誌の座談会で、宮浦支部の支部長は「職場活動の中核となる人が自分自身、身につけたことを、自分が媒介体となって職場常会などで実践とからませて教育した。これが本来の学習活動だろう」と語っている。
三川支部の支部長は「われわれの場合は組織活動として取り組んだ点が違っていた。モノシリをつくるためのものではなく、運動を自分のものにしていくための学習で、それをとおして意識変革をおこなっていった」と発言。
このことは、労働組合の学習活動の在り方にとどまらず、階級形成の主体的すすめ方についても示唆に富んだものといえよう。
久保さんの殺害を機に全国大動員
2万の武装労働者が警官隊と対峙
第2組合ができると、会社は彼らを就労させ生産を再開しようとした。警察や海上保安庁に頼んで、第2組合員の入構を押しすすめた。当然、三池労組はピケを張って阻止行動にでた。会社が雇った暴力団が3月29日、パトカーに先導されてピケ現場に現れ、警官隊が遠巻きに見守るなか、素手の労働者に日本刀を振り回して久保清さんを刺し殺した。
これを機に、総評・炭労が全国的大動員をかけ、部落解放同盟の仲間たちも大挙して支援に駆け付けた。連日、炭労の組合旗を張った列車が大牟田駅に到着し、炭住は支援の労働者であふれた。
一方、三井鉱山の職員組合は支援カンパを拒否して炭労を脱退した。三鉱連は4月の炭労大会で、争議の収拾をはかるべきだと主張し、会社の合理化提案を受け入れた。
孤立した三池労組を支えたのは、炭労とともに全国の先進的労働者たちの現地への結集であった。彼らは1950年代に日産自動車や尼崎製鋼、日鋼室蘭、国労新潟などの戦闘拠点が相次いでつぶされたことに危機感を抱き、三池だけは最後の砦として何としても守り抜こうと、率先して馳せ参じたのである。
しかし炭労や総評の支援には大きな問題があった。炭労は三池争議の期間中に4回も大会を開いたが、そのたびに長期柔軟路線と短期決戦ゼネスト路線の間でジグザグを繰り返した。そのあげく自分の職場では何も実力行動を起こさず、動員とカンパ(大手組合1人当たり毎月600円)に終わった。
総評は1人百円カンパを3回と、1人千円の労働金庫への預金運動をおこなった。だが総評も炭労と同じように、この争議の本質をつかめず、職場闘争の普遍化を最初から放棄した。総評も炭労も三池労組指導部も、職場闘争を統一闘争(賃上げ闘争)の前段闘争とみなしていたのである。
同じ福岡県内の筑豊地帯に中小炭鉱が密集していたが、1953〜4年以来の不況で閉山・クビ切りが相次ぎ、約7万人の失業者が存在した。彼らはドン底の貧窮生活のなかで、苦闘を強いられていた。筑豊の失業者の大群と三池争議を結合して闘えば、地域的な広がりを得て、より大きく社会問題化させ、状況を転換することは十分に可能であった。
しかし総評や炭労そして三池労組の指導部は、そのような視点を持ち合わせていなかった。企業内本工主義の枠を一歩も脱していなかったのである。
会社にとって本格的な生産再開の障害は、組合側にホッパーを押さえられてしまったことであった。ホッパーとは高さ25メートルの貯炭槽のことで、掘りだした石炭はここに運び入れてから出炭する。ホッパーのスイッチを切れば出炭できないと気付いたのは、三川支部の沖労働部長だった。彼は谷端支部長の同意を得て、ロックアウトの時刻に合わせて行動を起こし、10人の仲間が協力してホッパーを封鎖した。会社はやむなく構内に貯炭したが、それも限界があり操業は不可能に陥った。
三池労組と支援の労働者たちは、ホッパー周辺にピケ小屋を建て、3交替で宿泊りする態勢をとった。会社は4月11日、裁判所に立ち入り禁止の仮処分を申請した。しかし仮処分命令がでても、警察はピケ隊の強制排除に乗りださなかった。60年安保闘争が爆発的に高揚するなかで、強硬手段にでることをためらったのである。
5月19日に安保改定が強行採決され、それに憤激した労働者・学生・市民が、連日数万数十万のデモで国会を包囲した。まさに「安保と三池」が結合して、二つの闘いのエネルギーが相乗的に盛り上がり、人民大衆の闘いは最高潮に達した。
しかし6月19日、新安保条約が自然成立し、それを境に反安保の波は引いていった。7月7日には第2次のホッパー周辺立ち入り禁止の仮処分が決定された。7月21日までの期限付きで、情勢は一気に緊迫した。
ホッパー決戦を闘う労働者(実際のホッパーパイプはもう少し長かった。大庭伸介『レフト』より) |
ピケ隊はホッパーの周囲に幅1・3メートル、深さ2メートルの堀をめぐらし、土のうを積み上げて防衛態勢を固めた。警官隊の前に5寸クギを逆さに打ちつけた板を敷きつめ、竹槍訓練もおこなった。
それぞれ火炎ビンや木刀、鉄棒、空気銃などを用意し、作業用のダイナマイトを持ち出す労働者もいた。
近くの山から切り出した木の芯をくり抜いて、タバコを吸えるように工夫した長さ数10センチの棍棒(ホッパーパイプ)を全員が腰に下げた。剣道の胴衣や鎖帷子を着用した労働者もいた。
この萌芽的武装は労働者が自発的に工夫して、各支部長の了解のもとにおこなわれた。
7月17日には、ホッパー前広場で総評主催の10万人大集会が開かれた。21日の期限切れが迫るなかで、警察庁は常駐の1万人に加え、新たに2千人の武装警官を派遣した。19日には武装した労働者2万人が配備を完了した。
このピケに参加した三池の労働者は後に、「今夜でオレもしまいだと思ったとき度胸がすわった」と語り、青年行動隊長は百%死を覚悟した。家族は「ホッパーを死守する闘いだから、主人は帰って来ないかも知れない」と思ったと述べている。
20日未明、武装警官隊1万2千人がホッパーに向けて動き出した。三池の労働者たちは文字どおり決死の覚悟で、目の前に接近してくる武装警官隊と相対した。仮処分執行は午前5時という情報が伝えられ、まさに一触即発の瞬間を迎えたのである。
(この項つづく。このシリーズは次号が最終回)
7面
大破綻のマイナンバーカード(下)
荻原博子『マイナ保険証の罠』文春文庫
第3章 政府の目的は何か
前提として、政府の言うマイナカードの便宜性は全部ウソである。
第1に、公金受取口座の登録で給付金等の受け取りが簡単と言うが、紙の保険証の申告より遅くなったり対応できない自治体がある。
第2に、コロナのワクチン接種証明もできると言うが、現在は民間で簡単に証明書が取れる。第3に、確定申告にも使えると言うが、マイナンバーカードを使うまでもなく、マイナンバーで国税庁のページを通してより簡単に申告できる。
本当の目的
デジタル技術の面で日本は今や世界の後進国に転落している。そのため、日本帝国主義・岸田政権は、日本経済衰退を逆転させるカギをDX(デジタル・トランスフォーメーション)に見出している。政府が焦りに焦っている意味はそこにある。
ちなみに、次の2点のデータを見よう。
1つは、「世界デジタル競争力ランキング2022」である。
スイスの国際経営開発研究所(IMD)によると、63カ国中、日本29位、中国17位、韓国8位、台湾11位(10年ほど前は、日本は4位〜8位だった)
2つ目は、「世界競争力ランキング2023」である。
前掲の研究所によると、64カ国中、日本35位、台湾6位、中国21位、韓国28位(1989年には同ランキングで日本は1位だった)
このような 遅れ、衰退を取り戻すために、岸田政権は必死なのである。しかしその焦りは、国民皆保険制度や介護制度・医療体制を混乱させ、最終的には崩壊させるものとなる。
世界の番号制度
大きくは次の2通りのモデルに基づく。
◇セパレートモデル
独・仏など、個人情報の管理が厳しい国では、各行政分野で別々の異なる番号を使うようにしている。
◇フラットモデル
行政分野をまたいだ情報連携を可能にする番号制度。利便性が高い反面、1つの番号で芋づる式に個人情報が引き出せる弱点がある。アメリカ・韓国・シンガポールなどが採用し、日本の番号制度もこれにあたる。
フラットモデルを採用した米国ではなりすまし者が銀行預金を引き出したり、クレジットカードを使う詐欺が多発している。その被害は2006年から2008年の2年間で約1170万人、日本円で2兆円に及ぶ。シンガポールでも2018年に約150万人の医療情報が流出した。韓国も同様。そのため米国・韓国では共通番号の使用を制限し始めている。
第4章 体制打倒の闘いが必要だ
本書では、「マイナ保険証」にかける政府の思惑を暴露している。それは、DXとそれに群がるIT産業を中心とした大企業の利益に主眼がある。歴史的には、国民背番号制度→住基カード→マイナンバーカードと推移してきた。その経緯からして、人民管理と軍事治安国家化がもう一方の目的である。各人の健康状態から収入まで掌握し、完全管理することに執念を燃やす安倍→岸田政権の狙いがここにある。したがってこれとの闘いは体制打倒の闘いになる。軍事大国化・大増税路線をひた走る日本帝国主義・岸田の依拠する安倍=勝共体制を打倒しよう。マイナンバーカード・マイナンバー制度を解体しよう。
国民総背番号は不要
それを検討するうえで、台湾とフィンランドの例は参考になる。
台湾では2016年に35歳で入閣したオードリー・タン(唐鳳)がITを駆使してコロナを封じ込めた。その手法は、政府のデータをオープンに開放して、市民から意見を聞き、それらの意見に政府が回答・説明し、それを徹底していく方式だ。
フィンランドでは1960年代に個人識別番号を導入し、あらゆる個人情報を一元管理している。以来60年間、国民生活を便利にするという一点でシステムをつくってきた。とくにデジタルが苦手な高齢者のサポートに力を入れている。担当技術者によれば、「使う人が『便利でメリットがあるので、ぜひ使いたい』と思わないようなものは、つくる意味がない」という。
著者に従って比較的うまくいっている例を挙げた。いずれも使用者、国民の利便と利害に密着した形である。しかし両国とも人口的には小国・小地域である。台湾は人口2326万人、フィンランドは553万人である。アメリカなど人口が1億単位の「大国」では、統一番号制度は破産している。ドイツはナチス時代の記憶から統一番号を採用することに抵抗が大きい。しかし、ナチスに限らず、労働者人民に画一的番号をつけて管理するやり方が正しいとは思えない。ジョージ・オーウェルの『1984年』的世界と社会主義・共産主義の世界とは別ものであろう。落合薫(おわり)
カジノIR反対緊急行動
9月29日
大阪府は9月28日、午後5時の業務終了時に、大阪府民に内容を知らせることなく「大阪IR株式会社」との正式契約にあたる「実施協定」を結んだ。内容を隠した発表など許されるものではない。
翌29日、ただちに大阪府庁南側歩道での抗議行動が呼びかけられた。急な呼びかけにもかかわらず50人が参加して吉村大阪府知事に弾劾の声をたたきつけた。れいわ新選組も街宣カーでかけつけた。駆けつけた人たちから次々と、マイクを取り、吉村知事を弾劾した。
不当な解除権の設定
実施協定の最大の問題は、カジノ業者であるMGM側に違約金なしで契約を解除する権利を吉村知事が与えたことである。
本体工事が順調に進まないなど「大阪市による適切な土壌対策の実施など『事業の前提条件』が整っていないとカジノ事業者側が判断した場合、2026年9月までは違約金なしに撤退できる」(9/29毎日新聞)というものである。
発表された計画では、今年秋にも液状化対策工事に着手し、2025年春頃、本体の建設工事を始める計画である。解除権の期限である2026年9月というのは、本体工事が進むのかどうかをカジノ事業者が十分に判断できるようにするためである。
ふくれ上がる大阪府市の負担
吉村知事は、カジノ事業者をつなぎとめるために液状化対策や土壌対策などのためにさらにばく大な税金を投入する方向に舵を切った。「身を切る改革」とは真逆の行動だ。に撤退できる」(9/29毎日新聞)というものである。
大阪市はカジノ事業者とIR用地の賃貸契約を結んでいるが、大阪市の負担が底なしになるような契約であることは誰がみても明らかである。しかし、大阪市は契約内容の公開を一切拒んでいる。こんなカジノIR計画はみんなの力で打ち破ろう。
8面
イスラエルによるガザ人民虐殺許すな
ガザ地区停戦緊急行動
11・4イスラエル大使館
イスラエル大使館をとりまく人々(11月4日 東京) |
11月4日、東京・イスラエル大使館前で落合恵子氏・鎌田慧氏らが呼び掛ける「ガザ地区停戦緊急行動」(実行委主催)がおこなわれ、1600人の市民が集まった。
鎌田氏や雨宮処凛、神田香織氏らがアピールし、落合恵子氏がメッセージを寄せた。
予定されていた発言者が、自分の発言の前に、ヨルダン河西岸に知人がいるという市民の発言を確保して訴えた。
「ヨルダン川西岸の知人が営んでいる宿から、ガザでの虐殺を喜んで祝杯をあげているイスラエル市民の騒ぎが見える」「イスラエルの民間人がパレスチの子どもを撃ち殺した(罪に問われない)」
全体でシュプレヒコールを上げ、最後に黙とうをおこなった。
大阪で500人が行動 10月28日
新御堂下で土曜夜の人々に訴える(10月28日) |
発言するパレスチナ人(中之島公園) |
10月28日大阪市内で、パレスチナ人民の虐殺を許さない緊急行動が市民団体の呼びかけでおこなわれた。集会場の中之島公園には続々と人が集まり500人。主催者あいさつの後、社民党の大椿ゆうこ参議院議員、直接イスラエル大使館に抗議した大石あきこ衆議院議員などが発言。
デモは梅新のアメリカ領事館を経て、土曜日夜の梅田繁華街へ。パレスチナ国旗を掲げたデモ隊に市民が注目。
デモ後のJR大阪駅北でのアピール行動では次々とパレスチナの人が発言。「8・6ヒロシマと同じことが今ガザで起こっている」との発言は多くの人の心に響いた。
JR大阪駅北でアピールが続いた(10月28日) |
一致団結したイスラエルへの抵抗
重信房子さんは訴える(下)
重信房子さん |
4、(承前)京都市の40数パーセントにしかならない土地に230万人がおしこまれて暮らすガザ地区は「天井の無い牢獄」と言われてきました。イスラエル国防相は、パレスチナ人を「ヒト型動物」と非難しましたが、それはナチスがユダヤ人を非難した言葉であり、地上戦がこれから正当化されようとしています。パレスチナ人の命をどうでも良いと考えているイスラエルの指導者に、人質を大切にする考えはありません。米欧の政府がハマスを非難し、イスラエル支持の大合唱をしている限り、更に空爆、地上戦による戦争犯罪を繰り返すでしょう。
わたしは、パレスチナの友人たちと共に闘い、生と死の命を日々見つめる中で生きてきました。私たちは戦いの中で、無関係な民間人を巻き込み危険に晒し被害を与えた過ちも犯して来ました。だから自分たちの反省としても今こそ訴えたい。どんな戦時下でも武器を持たない人の命を奪うことは許されないと。
自らの反省としても、どの、誰の命も奪い合って欲しくないのです。イスラエルの音楽祭など、武器を持たない民間人を殺したり、人質とすることも、ガザの無辜の住民たち民間人をシステマチックに無差別に虐殺することも、唯憎悪を広げ解決を遠ざけるということを、私は自らの闘いの教訓として訴えたいのです。特に、イスラエルは、こうした戦争犯罪、国際法無視の占領政策が日々、パレスチナ人を解放勢力に育てていることを知らないのでしょうか。
私がPFLPにボランティアとして戦い始めた記録の一部は、去年出版した『戦士たちの記録』(幻冬舎刊)で記しています。(その中で述べているように、イスラエルや西側のメデイアは私がリッダ闘争を企画したり関与した様に印象操作をしていますが、私はリッダ闘争に具体的には何も関与していません。しかし占領に抵抗するPFLPのリッダ闘争を支持し、義勇兵として戦った仲間たちの、決然としたパレスチナ解放に命を捧げた献身を心から敬愛しています。又、日本赤軍は民間人を盾にしたり間違った戦い方をしましたが、人を殺したことはありません。これも印象操作されていますのでひと言付記します。)
5、 誰が占領者なのか? はっきりさせて停戦をもとめよう。
ハマスなどパレスチナ勢力を非難する前にまず考えてほしいのです。だれが占領者なのか? と。イスラエルが占領者であり、パレスチナ人が占領された土地に住む被占領者、被害者であるということ。この前提を抜きにした発言が横行してきたことが、平和解決をここまで損なってきました。ガザの「人道危機」ではなく、ガザのパレスチナ人に対するイスラエルの「戦争犯罪」なのです。まず占領者が裁かれ、占領をなによりも終わらせるべきなのです。占領者と被占領者の暴力を同列に置いてどっちもどっちと論じるのも欺瞞です。パレスチナ側は被害者なのです。占領に対して、人間の尊厳を掲げて戦うことは国際法、国連決議でも認められてきました。世界人権宣言に基づく権利を勝ち取る抵抗権は世界の人びとの奪われてはならない権利です。まず国際社会がこぞって占領をやめさせる方途を作るべきでしょう。
そしてあの京都市の40数パーセントの土地に230万人のパレスチナ人が押し込められ、出入りを許されない監獄と化したガザに対する停戦と包囲解除を訴えることが火急の問題なのです。ウクライナでロシアの侵略に抗議して戦っているウクライナ人が英雄なら、イスラエルの占領に対して70年以上戦っているパレスチナ人も英雄です。テロリストではありません。
6、略
7、今こそイスラエルの占領に制裁を! 国連決議の再構築を!
パレスチナ、中東情勢はこれからどうなるでしょうか。
今年9月はイスラエルとPLOアラファト議長の間で合意した「オスロ合意」から30年目に当たりました。合意したイスラエルのラビン首相は暗殺され、ネタニヤフ登場によって変わりました。パレスチナに不利なオスロ合意に基づく和平交渉さえも拒否し続けたのがネタニヤフ政権でした。そして臨界に達したパレスチナ人の怒りは、「アルアクサ洪水作戦」となって爆発しました。イスラエルは、敗北に衝撃を受けてパレスチナ人の生存を更に狭め、民族浄化の徹底的な暴力支配をこれまで以上に続けるでしょう。アラブ諸国も国際社会も目先だけのパレスチナ問題解決の見直しを問われるでしょう。アブラハム合意を結んだ国々を含めて、どの国のアラブ民衆もパレスチナの大義を支持し支援して共にある以上、アラブ諸国政府はイスラエルと足並みをそろえることが難しくなるでしょう。今、占領者の側にたって、平和や民主主義を語る米国の二重基準を、ウクライナと比べてみて欲しい。また「すべての当事者に最大限の自制を」という日本政府の呼びかけも、これまでそうであったようにイスラエルの占領と国際法無視を批判し抜くことなしに解決することが出来ません。
今こそ、この戦争を中東情勢の平和的解決への転換のチャンスとして、パレスチナ問題の解決を求めます。それは、イスラエルの占領地からの撤退、パレスチナ人の民族自決、難民問題の解決を目指す国際社会のイスラエルに対する包囲からはじまる公正なアプローチこそが問われています。世界が忘れている国連決議181号に立ち返ることが、公正な解決の道だと私は思います。あえて私は国連決議181号を訴えたい。
1947年の決議181号では、ユダヤの国とパレスチナアラブの国、2つの国を作ること、エルサレム地区は国連が管理することを決定しました。それを無視してイスラエルが占領を続けていること、それを米国が無条件に支援してきたことが戦後秩序を歪め破壊してきたといえるからです。ガザのパレスチナ人の命を護る戦い、人質を護る戦いは、ウクライナ、パレスチナ含む戦争を停止させ反戦平和を闘いとることと一つです。
イスラエルの戦争犯罪を告発する戦いは既に世界各地でパレスチナ人に連帯して広く行われています。こうした世界の動きに目を向け想像し世界とつながる日本を描いて欲しいのです。これから厳しいイスラエルのパレスチナ人への弾圧が続くでしょう。更にイスラエルはレバノン、イランヘの侵略を射程に入れています。でも私は悲観しないで連帯します。民衆のシオニスト・イスラエルヘの闘争心は更に深まるのを知っています。
パレスチナの友人が言っていました。「希望を持ち続ける限り希望は消えない」と。もう一人の友人が言いました。1990年代のことですが、「今世紀は負けても、次の世紀には必ず勝つ」と。世界は最早、米欧諸国の二重基準で壊れた国際秩序をあてにしていません。国家レベルですがBRICSでは、 サウジアラビア、UAE、イラン、エジプト、という中東の四カ国を含む6カ国が新たに来年から加わります。世界のエネルギーの6割を掌握し、脱ドル体制を目指すでしょう。8月キューバで開催されたG77プラスチャイナは既に34カ国が加盟しており、首脳が集まりました。議長国として登壇したキューバ大統領は、途上国は不平等な貿易や気候変動問題などで先進国の犠牲となってきたと批判し、「われわれグローバルサウスが、何世紀もの間続いてきたゲームのルールを変える必要がある」と主張しています。
世界は資本主義の一元的文明ではなく、自然な流れとして多極的な多文明の社会を求めています。50年、百年先を考えればよくわかります。
日本が今のままでは心配です。自民党の米国政府追随の戦争政策、立ち遅れた家父長的文化を変革して、アジアと善隣友好的に立つ日本を生き延びさせましょう。国内の暮らしの中からの反戦の行動とともに、国境を越え、二重基準を排した、より公正な世界秩序を求めるパレスチナを含む人民連帯の行動と結び合って、何としてでも日本の戦争への道を押しとどめたいと願っています。(おわり)