未来・第366号


            未来第366号目次(2023年5月18日発行)

 1面  軍拡・戦争につき進む岸田政権
     5〜6月 反戦・沖縄・原発闘争を

     G7広島サミット粉砕
     5・7大阪で闘争

 2面  第94回中之島メーデー
     戦争やめろ、あげろ賃金
     5月1日大阪

     尼崎メーデーに100人

     G7環境相会合
     放射能汚染水の海洋投棄に異論

 3面  沖縄日誌4月
     島々を戦場にするな 平和発信を      

     新たな沖縄戦を許すな!
     日本帝国主義の対中国戦争政治を打ち砕こう(上)
     島袋純二     

     新宿南口スタンディング

 4面  関電よ 老朽原発うごかすな!高浜全国集会
     老朽原発高浜1・2号機の再稼働反対

 5面  チェルノブイリ原発事故37年の集い
     汚染水海洋投棄許すな

     5・3兵庫憲法集会
     神戸で3000人が集会

 6面  長期・読み切り連載 大庭伸介
     先人たちの闘いの成功と失敗を学び現在に生かそう

     ストライキ時代が到来
     日本経済の心臓部に闘いの炎C

 7面  第5回大逆事件全国サミットin神戸
     人権弾圧のない世界を求めて

     (本の紹介)
     『神戸平民倶楽部と大逆事件』
     岡林寅松・小松丑治とその周辺
     上山 慧・著

 8面  6・25シンポジウム
     ウクライナ戦争と現代世界
     国労大阪会館で開催
     呼びかけ:岩田吾郎・西明良・松田耕典
     連絡mail: sphy4e29@view.ocn.ne.jp (岩田吾郎)

     ウクライナ「社会運動」との連帯を
     社会運動 (ウクライナ):2022年を振り返って 2023年1月7日土曜日、SOTSIALNYI RUKH

     ウクライナの抵抗を支持し
     2・23東京新宿でデモ

           

軍拡・戦争につき進む岸田政権
5〜6月 反戦・沖縄・原発闘争を

かがやけ憲法 大阪集会に5000人

5月3日、大阪市北区の扇町公園において「かがやけ憲法 平和といのちと人権と」と題する集会がひらかれた。主催はおおさか総がかり行動実行委員会。すっきりと晴れた青空に励まされ、5千人が集まった。様々な旗がたなびき、メインステージの周りに集まる者、周りの木陰でグループで座り込む者、それぞれ思い思いの場所で見つめるなか、集会が始まった。

とめよう大軍拡のポテッカーをかかげ力強く意思表示(5月3日、大阪市内)

全力で戦争回避を

メインスピーチは「新外交イニシアチブ(ND)」代表・弁護士の猿田佐世さん。「安保三文書で日本が敵基地攻撃できるようになるとか、軍事予算が二倍になるなど軍拡し、戦争を自ら呼び寄せ、より危険になった」と参加者と思いを同じくすることを確認したうえで、憲法記念日が自身の結婚記念日であることを明かした。
さらに「憲法集会によく呼ばれるが主催者は多くが70代。時には80代の時もある。あと20年もすると憲法集会そのものが開けなくなるかもしれない」と耳の痛いことを語った。確かに私たちの最大の課題は高齢化でどうすれば若いひとたちにつないでいけるかだ。
猿田さんは大学で教鞭も取っておられ昨年学生たちに「台湾有事についてどう思うか?」とディスカッションするように提起した。そのレポートを見てみると驚いたことに「台湾有事とは何かわからなかったので討論に参加できなかった」という回答が複数あったというのだ。漢字すらわからなかった。東京6大学と呼ばれる大学においてであるので、学力競争にうち勝ってきた学生たちだ。猿田さんは現在の学生の状況を把握していないことを詫び、あらためて「台湾有事」とは何かと問うと半数の学生が説明できなかった。今年の学生は三分の二の学生が説明できなかった。これは「戦争」を「有事」と言い換え、「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換えて「国民に考えられなくしてきた政策の結果だ」と語った。
また、「最近自治体で避難訓練が増えている。Jアラートもそうだ。第二次世界大戦のとき日本においてはバケツリレーと竹やりの訓練がおこなわれた。実戦においては何の役にも立たなかったが、『心の戦争準備』と『思考停止』の役にはたった。訓練よりも戦争回避が圧倒的に多くの命が助かる。軍拡を進めた2国間では8割が戦争になるが、軍拡を回避した2国間ではほぼ戦争にはならなかったというアメリカの学者による研究結果がある。全力で戦争を回避しよう。また日本から米軍が出撃できないようにすることが大切だ」と語った。

3コースで長蛇のデモ

民謡ユニット・アカリトバリの美しい歌声の後、市民グループからの発言があった。南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会、カジノ問題を考える大阪ネットワーク、生活保護基準引き下げは憲法違反だとして裁判闘争をしている全大阪生活と健康を守る会、核兵器製造企業に投融資するなと闘っている反核医師の会などが発言した。
政党からは立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組が発言した。最後に参加者全員でポテッカーを掲げ写真撮影。閉会あいさつを1000人委員会大阪の米田彰男さんがおこない、3コースにわかれてデモに出発した。(岡田恵子)

G7広島サミット粉砕
5・7大阪で闘争

降りしきる雨の中、G7サミットを弾劾するデモ行進(5月7日、大阪市内)

5月19〜21日に開催されるG7広島サミットが目前に迫った7日、大阪市内で広島サミット開催抗議集会がおこなわれ、土砂降りの雨の中70人が集まり怒りの声を上げ、梅田の繁華街までデモ行進した。沿道の人々の間近を歩き注目を浴びた。主催は、G7広島サミット反対現地デモ実行委員会。
司会は「私たちは、民衆の立場から広島サミットに反対する。広島で2回のデモをおこない、アジアからの参加者と共に国際連帯集会を開き、交流会をおこなう」とあいさつ。
実行委員会の賛同する7団体から発言があった。関西生コン支部は「そもそも先進7カ国に日本が入るのか? GDPは世界第3位だが民衆を弾圧している人権後進国。それが世界代表なんて許せない」。ピリカ全国実は「大国による植民地化・侵略の5百年だ。先住民族の怒りは超大国に向けられている」。アジア共同行動・京都や労闘は、世界の富を独占する大国が、戦争と分断の支配をおこなう会合だ。岸田は敵基地攻撃能力をもち先頭に。バイデンをはじめとする核保有国が原爆資料館に立ち入ることを許さないと弾劾。宮古島の要塞化に反対する会は「宮古島、琉球弧にミサイルを配備し、中国に対する戦争準備をしている。戦争をすれば、島民が犠牲になる。兵士も元は農民や労働者で、彼らも殺されている」。きょうとユニオンは「核の時計は、90秒前と言われ、今一番短くなっている。資本主義が行き詰まり、資源・市場を奪う戦争の危機が高まっている。貧困で殺されるだけではなく戦争でも殺される。世界でストライキ・デモがおこり、仏では年金支給年齢が64才に延ばされることに反対デモ。コロナで格差拡大。こんな社会は許してはならない」。ケアワーカーズユニオンは「われわれの税金を軍事目的に使うのは許せない、年寄りの介護の為に使うべき」。 
戦争と核武装を推進するG7が、被爆地広島に乗り込むことは許されない。G7広島サミット反対現地デモ実行委員会は、「19日、20日広島現地デモ」への参加をひろく呼びかけている。参加しよう。

入管法改悪反対で緊急行動(5月9日、大阪市内)

衆院通過を弾劾し300人でデモ。参院で絶対廃案にしよう
















2面

第94回中之島メーデー
戦争やめろ、あげろ賃金
5月1日大阪

戦争やめろ、あげろ賃金のポテッカーをかかげる(5月1日、大阪市内)

5月1日、ロシアによるウクライナ侵略戦争などによって物価があがり、電気・ガス・水道等の光熱費も激しくあがっている中、第94回中之島メーデーが大阪市内の中之島公園・剣先ひろばに450人が参加して開催された。
最初に全参加者によるシュプレヒコールと「戦争やめろ、あげろ賃金」「なんとかせえよ、この物価高」とかかれたポテッカーを掲示。

開会あいさつ

全日建連帯労組関西地区生コン支部・湯川裕司委員長が開会あいさつ。湯川委員長は激しい物価高によって家計が著しく圧迫されていることを指摘し、戦争に反対し、生活するための賃上げ闘争の大切さを訴えた。しかし、今、労働組合が団交を申し入れたら脅迫でつかまり、ストライキをすれば威力業務妨害といわれるように、労働組合にとって一番大切な労働組合法が形骸化されていると警鐘を乱打し、生活するための基礎となる労働組合法の大切さを訴えた。
また、かなり前から裁判官には労組法を知らない裁判官が現れている。こういう状況だからこそ団結権を保障する労働組合法を大切にし、反戦・反核・憲法9条改悪反対、ジェンダーをふくめたすべての差別と闘い、日本を平等な社会に変えていこう。意見の違いを認め一つの塊になって、多くの市民団体とともに一歩前進し大きなうねりをつくりだそうと訴えた。
ついで、友誼団体からシーサーネット垣沼陽輔共同代表、大阪労働者弁護団・平方代表幹事が発言した。

政党・議員のあいさつ

5回目の当選をかちとり維新を一人落選させた豊中市の木村真市議、高槻市の高木りゅうた市議、川口洋一市議(社民党)、尼崎市の迫田市議が連帯の発言。
次に、4月に参議院全国区の繰り上げ当選となった大椿ゆうこ参議院議員が「首を切られた非正規労働者がついに国会に行きました。心から感謝します」「この一議席は首を切られた私のような非正規労働者、すべての労働者のために使いたい」「外国人労働者、働く者のために使うことを約束したい」と発言、さらにスペイン・カタルーニャの詩人の「人民は持てる力に無自覚だが、1週間のゼネストで十分なのだ。経済を崩壊させ、国家をまひさせ、強制する法律を無用と示すのは1週間のゼネストで十分なのだ」という詩を紹介し、「今年はゼネストをやる気分で闘いましょう」と力強く訴えた。
れいわ新選組の大石あきこ衆議院議員は「生身の人間を抑圧するシステムがいつまでも続くわけがない」「怒りはかならず噴出する」と訴えた。
今回初当選したれいわ新選組の山田さほ豊中市議は「私は弱い立場の市民によりそう政策をかかげて当選させていただきました」「私がいたカナダでは教職員組合のストライキも当たり前のようにあった」「カナダではインフレやコロナなのだからストライキは当然だ。ストライキに文句を言う人などいない。日本もそうなればよいという思いで日本に帰ってきて政治に参加した」と話した。
最後にれいわ新選組のいとうゆうき政策委員が「大同団結してたたかっていきたい。小さな力ですが、東大阪の地で頑張ります」とあいさつした。

争議団アピール

月桃の花歌舞団の演奏と踊りのあと、争議団からのアピールがあった。偽装請負と闘い正社員として復帰をかちとったなかまユニオン、8時間働いたら生活できる社会を訴える郵政ユニオン、コロナで生死がかかった現場で資本と闘うケアワーカーズユニオン、反社会的勢力規定との闘いや大豊分会の闘いを紹介した関西合同労組、日々雇用の仲間への雇い止め解雇と激しく闘う関生支部の藤原生コン運送分会、大阪広域協による組合つぶしと激しく闘っている高槻生コン分会がアピールした。
全港湾大阪支部・小林委員長が閉会あいさつし、大阪駅近くの西梅田公園にむけてデモに出発した。

尼崎メーデーに100人

5月1日18時半から、尼崎地区労主催のメーデー集会が出屋敷駅北緑地でおこなわれた。この日は夕方から急に悪天候となり、雨を避けて近くのスーパー軒下に100人余りが集まった(写真)
まず司会の武庫川ユニオン副委員長・伊藤千絵さんあいさつの後、皆で韓国の労働歌「鉄の労働者ベンセレモス」を歌った。続いて実行委員長の尼崎地区労議長・酒井浩二さんが「岸田政権は賃上げと軽く言うが、大軍拡と増税ばかりに重点が移っている。我々労働者は自分たちの団結で賃上げを勝ちとる以外にない」と話した。
次に来賓連帯アピールとして大阪労働者弁護団が紹介された。闘いの報告ではJPネットひょうごの一ノ瀬さんが「いつもは少ないですが今日は10人ぐらい参加してる」と発言。武庫川ユニオン阪神クリエート分会も2人が登場。
次にメーデー宣言案をJPネットひょうごの組合員が読み上げた。その要旨は「ロシアの侵略と円安で物価が高騰している、その上30年間も賃金は上がらず、家計を直撃している。にもかかわらず岸田首相は防衛費を43兆円にするという。現状への不満はくすぶり続けている。4月の統一地方選挙で自民・公明党の現職が相次いで落選、女性と若者が躍進した。そう、社会は変えられるのだ」と宣言した。
最後に閉会あいさつを尼崎地区労副議長・池山弘志さんがおこない集会を終えた。雨のためデモは中止した。メーデー尼崎は何千人も集まる大きな集まりではないが、地元密着型の集会で、組合員以外も参加。デモのないぶん、近くのお店でにぎやかに交流会がもたれた。

G7環境相会合
放射能汚染水の海洋投棄に異論

4月15〜16日、G7気候・エネルギー・環境相会合が札幌で開催された。日本政府は原発推進とトリチウム汚染水の海洋投棄について、G7の共通認識にしようとたくらんだ。しかし、ドイツの反対によって、その思惑はつぶれた。
まず、原子力エネルギーについて。その共同声明は、「原子力エネルギーの使用を選択した国々は、化石燃料への依存を低減し得る低廉な低炭素エネルギーを提供し、気候危機に対処し、及びベースロード電源や系統の柔軟性の源泉として世界のエネルギー安全保障を確保する原子力エネルギーの潜在性を認識する」(太字は引用者)となっている。
日本政府は、この主語を「我々(G7)は」としていたが、ドイツの強い反対で「原子力エネルギーの使用を選択した国々は」に書き換えられた。
次に、福島第一原子力発電所の事故対応について。共同声明は次のとおり。
「われわれは、多核種除去システム(ALPS)処理水の放出が、IAEAの安全基準及び国際法に合致して実施され、人体や環境にいかなる害も及ぼさないこと(それは廃炉と福島の復興に不可欠である)を確実にするためのIAEAによる独立した審査を支持する。」
会議終了後、イタリアとドイツの環境相が同席した記者会見で、西村康稔経産相は「(福島原発の)処理水の海洋放出を含む廃炉の着実な進展、そして科学的根拠にもとづく我が国の透明性ある取り組みが歓迎された」と説明した。西村の発言内容は「処理水の海洋放出がG7で歓迎された」という意味だった。これにたいして、ドイツのレムケ環境相は「処理水の放出を歓迎するということはできない」と即座に反論した。
共同声明には「処理水放出を歓迎する」とは書いていない。西村は虚偽の説明をした。結局、西村は「わたしがちょっと言い間違えた」と釈明せざるをえなかった。

共同声明を改ざんした日本政府

日本政府が公表した共同声明日本語訳で重大な改ざんが2カ所おこなわれていることが判明し、大きな抗議が起こっている。
(1)共同声明「人間や環境に害を与えないことが、廃炉と福島の復興に不可欠」→日本語訳「他核種除去システム(ALPS)処理水の放出が、廃炉及び福島の復興に不可欠」

(2)共同声明「私たちは…(除去土壌の再生利用など)進行中の取組をオープンで透明性の高い方法で進めることを奨励する」→日本語訳「(除去土壌の再生利用などの)取組がオープンで透明性をもって…進められている」

地球規模での環境汚染に取り組む会合において、岸田政権は原発推進と放射能汚染水の海洋投棄を持ち出した。その感性にあきれる。原発は発電時にCO2を出さなくても、CO2よりもっと危険な放射性物質を放出する。汚染水の投棄はどんなに薄めても、海洋を放射能汚染する。岸田はそれを開き直っている。ドイツだけではなく、日本人民が声をあげることが重要だ。岸田政権にたいして、怒りの声をあげよう。

3面

沖縄日誌4月
島々を戦場にするな 平和発信を

4月1日 名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前で、毎月第1土曜日の「県民大行動」に650人が参加。高里鈴代共同代表は「新たな基地を造らせないという思いを強く訴えていこう」とあいさつ。市民は、南西諸島へのミサイル配備などに怒りの声を上げた。玉城デニー知事はメッセージを寄せた。
2日 陸上自衛隊石垣駐屯地で開設式典がおこなわれた。同駐屯地は3月16日に開設し、今回の式典を終え、軍事施設として本格的運用が始まった。市民は駐屯地前で抗議の声を上げた。
同日、沖縄市で〈自衛隊の弾薬庫等建設に反対する沖縄市民の会〉が結成された。380人が参加。市民の会は沖縄訓練場への補給拠点建設に反対し、沖縄を再び戦場にしないよう声を上げた。
6日 宮古島市北方の洋上で、陸上自衛隊第8飛行隊(熊本県)所属のUH60JAヘリが墜落。第8師団長ら10人が不明に。
定員5千人の第8師団は、熊本、宮崎、鹿児島3県の防衛・警備を担い、有事には沖縄県を含め南西諸島方面に緊急展開することを想定している。今回3月末に着任した師団長は、宮古島など地形の飛行確認に行ったと思われる。
同日、県の2022年度ジュゴン生息状況調査で、ジュゴンのふんが名護市久志沿岸で発見されたことが判明。基地建設が進む大浦湾では20年に鳴き声が確認された。市民は「今回は鳴き声より動かぬ証拠だ。ただちに工事を中止しろ」と声を上げた。
8日 宮古島の下地島空港に米軍幾が緊急着陸。韓国基地所属とみられ、エンジンに不具合をおこした。(16日に離陸。修理まで支援の飛行も相次ぎ8日間いすわった)
14日 嘉手納基地ゲート前で、第4次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団など180人が集会を開いた。嘉手納基地ではF15戦闘機の退役に伴いF35戦闘機が暫定配備され、住民は毎日爆音にさらされている。参加者は「F35配備を許さないぞ」「静かな日々を返せ」と抗議の声を上げた。
20日 米軍那覇軍港の浦添移設に向け、沖縄防衛局は浦添西海岸埋め立てで日米が合意したと発表。一方、埋め立てに反対する市民は、反対署名3万3千筆を集め抗議の意思を示した。
21日 「島々を戦場にするな! 沖縄を平和発信の場に!」実行委員会は2月に続き、5月21日に北谷公園で2回目の集会を開催すると発表。若い世代など幅広い参加を呼び掛けた。
22日 防衛省は、迎撃ミサイルなどの部隊を展開するため、PAC3を県内の宮古島、石垣島、与那国島に配備すると発表。(県内では現時点で、空自の那覇基地、知念分屯基地、恩納分屯基地にPAC3が常時配備されている。多良間村にも配備を検討)
25日 名護市辺野古の新基地建設で、護岸着工から6年目を迎えたこの日、海上抗議行動がおこなわれた。カヌー36艇、抗議船7隻に60人が参加。「美ら海を壊すな」などシュプレヒコールを上げた。キャンプ・シュワブゲート前でも抗議の声を上げた。
27日 ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会は2017年11月17日より陸自宮古島駐屯地前での抗議行動を始めて29日で2千日を迎える。この日も駐屯地前で「基地撤去、戦争反対」を訴えた。(杉山)

新たな沖縄戦を許すな!
日本帝国主義の対中国戦争政治を打ち砕こう(上)
島袋純二

現在、日本帝国主義の岸田政権は防衛省の「南西諸島の防衛力強化」路線の具体化として、琉球諸島にミサイル配備を基軸とした基地の建設と強化を急ピッチで推し進めている。その現状は左の通りである。

与那国島 与那国駐屯地 2016年に開設し、沿岸監視隊を設置。
防衛省は2022年12月の防衛3文書で、新たに地対空誘導弾(ミサイル)部隊を配置すると発表した。自衛隊誘致に賛成した住民は「聞いていない、寝耳に水だ」と動揺している。他に、電子部隊の配備も予定されている。隊員数は170人から210人に増加することになる。

石垣島 2023年3月16日に陸上自衛隊石垣駐屯地が開設。12式地対艦誘導弾、12式中距離地対空誘導弾を装備する。ミサイル部隊や警備部隊など約570人を配備する。現在のミサイルの射程距離は約200qだが、反撃能力(敵基地攻撃能力)をもつ長射程ミサイルの配備可能性も大である。
3月5日 ミサイル発射機をつけた自衛隊車両が港近くから車列を組み、公道を通って駐屯地予定地に移動した。陸自配備反対の市民デモは約200人で、「ミサイル基地はいらない」のシュプレヒコールで抗議した。
3月18日 駐屯地に弾薬を搬入。住民は抗議行動を展開。
3月22日 住民に対する説明会で、1000人の会場に参加者は約179人でスカスカの状態。駐屯地設営後の説明会に、住民は反発。

宮古島 2019年に陸自・宮古島駐屯地が開設され、宮古警備隊が発足した。2020年に第7高射特科群(地対空ミサイル部隊)、第302地対艦ミサイル中隊が併合して、現在約700人の自衛隊員が配備されている。2021年11月にミサイルなどの弾薬の搬入を強行した。弾薬庫は保良の集落からわずか200メートルほどしか離れておらず、極めて危険だ。宮古島には他に、海上保安庁の射撃訓練場、大型巡視艇が数隻停泊できる長山港、米海兵隊と陸自の水陸機動団が共同演習可能な渡口の浜、3000メートル級滑走路の下地島空港、空自の野原レーダー基地などがある。

沖縄島那覇市 陸自第15旅団の師団への改編 隊員数百人の普通科連隊を現在の1つから2つに増加する方針
沖縄市 沖縄市の陸自・沖縄訓練場の敷地内に弾薬や燃料などを集積する補給拠点の設置を検討。
うるま市 陸自・勝連分屯地
2023年度中に「第7地対艦ミサイル部隊」(仮称)の本部を新設し、指揮下にミサイル中隊を配備する。定員は90人から290人に増員となる。

奄美大島 陸自・奄美駐屯地&瀬戸内分屯地 2019年3月開設
奄美警備隊・ミサイル部隊・電子戦部隊・業務隊の610人に業務隊を加え、630人となる。
第3高射特科群(第344高射中隊) 03式地対空誘導弾を装備
第5地対艦ミサイル連隊(第301地対艦ミサイル中隊) 12式地対艦誘導弾を装備
現行の射程200qから反撃能力を持つ3000q超の長射程化にする開発が進行中(長射程ミサイルで敵の進出を阻止しつつ、開発で遅れをとる無人技術や領域横断能力の強化、部隊の機動展開、保管・補給などの持続力の強化の具体的方針) 
空自・奄美大島分屯基地(空自・那覇基地の分屯基地)奄美通信隊配備

馬毛島 全島基地化(住民を追い出して無人化)
FCLP(米空母艦載機の陸上離発着訓練)を硫黄島から移転する計画
FCLPの一環としてのNLP(夜間着陸訓練) タッチ・アンド・ゴーの夜間訓練で騒音問題が発生するのは不可避

左で見るように、琉球弧におけるミサイル配備を軸とする基地の建設と部隊の増強が現在急ピッチで進行している。日本帝国主義のこうした動向は冒頭で確認したように防衛省の「南西諸島の防衛力強化」路線に基づくものである。「南西諸島の防衛力強化」路線は故安倍元首相の戦争政治政策の下で打ち出されてきた。安倍が「防衛力強化」というとき、それは「攻撃力強化」ということである(同様に、「積極的平和」とは「積極的戦争」のことであり、「沖縄県民に寄り添って」は「沖縄県民を踏みにじって」を意味する)。安倍は「南西諸島の防衛力の強化」路線の具体化として、琉球弧をミサイル攻撃基地化の拠点として位置づけて推進した。そしてその必要性の根拠として「台湾有事は日本の有事だ」と喚き立て始めたのだ。安倍はアメリカと中国の戦略的競合関係の激化を背景にして中国包囲網の形成を「自由で開かれたインド太平洋構想」として打ち上げ、それと一体のものとして東中国海を巡って「台湾有事は日本有事だ」と煽り始めたのである。
日帝は米帝の「台湾海峡危機」をエスカレートさせて「台湾有事は日本有事」と煽り、対中国戦争に向けて積極攻撃用(迎撃防衛用ではない)のミサイル基地を軸として琉球弧の軍事力強化を推し進めているのである。これによって中国は挑発され、軍事攻撃に打って出ざるを得ないように追い詰められていく。こうした状況が生み出されることを念頭にして、岸田政権は安倍路線を継承し、具体的に実現するものとして防衛3文書を打ち出してきた。(つづく)

新宿南口スタンディング

沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが呼びかけ、毎月1回おこなわれる「辺野古新基地建設許さない新宿南口スタンディング」が5月6日おこなわれ、多数の市民が参加した。駅頭を行き交う人々に、オール沖縄会議が呼びかける辺野古新基地建設反対署名への協力を訴えた。

4面

関電よ 老朽原発うごかすな!高浜全国集会
老朽原発高浜1・2号機の再稼働反対

4月29日、「関電よ老朽原発うごかすな! 高浜全国集会」が福井県高浜町でひらかれ、全国から320人が集まった。主催は、老朽原発うごかすな! 実行委員会。

前段行動として高浜原発に抗議

集会にさきだち、関電高浜原発に対する抗議行動がおこなわれた。11時45分、高浜原発北ゲートの先にある音海展望台に集まり、短時間の集会。
同実行委員会の木原壯林さんが発言。「連休初日から駆けつけていただき、感謝に耐えません。岸田首相の原発束ね法案(5法案)が一昨日、衆院を通過して参院に、ということで、60年を超える原発稼働から、リプレースと称する改築から新増設まで、果ては、監督管理を環境省から経産省へ移管するとあって、とんでもない暴走をすすめる法案です。今回の集会のためのメッセージを井戸謙一弁護士が送ってくれましたが、『天災は忘れたころにやってくる、とは寺田虎彦のことばですが、人災は、だまされたころにやってくるのです』とあります。満腔の怒りをこめて、抗議行動に起ちたいと思います。臆面もなく、ひとをだまそうとする岸田を許すわけにはまいりません。さあ、まいりましょう!」

高浜原発ゲート前で抗議申し入れ(4月29日)

ゲート前で抗議行動

デモで北ゲート前に結集した一行は、「腐りきった関電は、救いようがないぞ!」などシュプレヒコール。
代表団が北門バリケードの内側に入り、関電に申し入れをおこなった。「(1)老朽原発・美浜3号機の運転中止。老朽原発高浜1・2号機の再稼働断念、3・4号機の40年超え運転を断念すること。(2)原発運転を続ければ行き場のない使用済核燃料が増える。関電の全原発をただちに停止し、廃炉にすること。(3)一刻も早く原発と決別すること。」
「なお、貴職らが、圧倒的な『老朽原発うごかすな』の民の声を蹂躙して老朽原発を稼働させ、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えます」。

高浜町文化会館で大集会

抗議行動終了後、全体は再び車に分乗し、町中心部の高浜町文化会館に移動。午後2時から集会が始まった。
集会では全国各地から、様々な団体が発言した。
主催者あいさつをおこなった中嶌哲演さん(原子力発電に反対する福井県民会議)は、ドイツの原発全廃に道をひらいた倫理委員会をあげて、「倫理委員会の日本版」をつくろうと呼びかけた。
若狭の原発で事故が起これば放射能が真っ先に流れていく風下にあたる名古屋、岐阜から〈老朽原発40年廃炉訴訟市民の会〉が大型バス1台でかけつけアピール。

町民に訴えるデモ。多くの町民が家から出て手をふってくれた(4月29日、高浜町内)

いまこそ目に見える行動を

つぎに木原壯林さんが発言し、「原子力推進を国の責務と明記し、運転期間の判断を利用推進の側にたつ経産省にゆだねるとはとんでもない。経済的利益や政治的思惑で科学技術が急に進歩することはない。原発の老朽化を防ぐ技術や安全性を高める技術が急に向上することはない。岸田首相の原発依存社会への暴走を許してはならない。いまこそ目に見える行動に立とう。本日の町内デモを皮切りに、原発立地のみなさんとともにトラブル続きの老朽原発美浜3号機の運転をやめさせ、高浜1・2号機の再稼働を阻止し、それを突破口に原発全廃の大きなうねりを作りだそう」と熱烈に訴えた。
ついで弁護士の井戸謙一さんの以下のメッセージを代読した。
「2月のトルコ地震は内陸地震の恐ろしさを告知。日本はトルコ以上の地震国。さらに、2機高浜の原発が稼働されれば、日本で12機中7機が関電。関電は不祥事ばかりの前のめり。40年超の差止訴訟は、大阪地裁で不当な決定故、即抗告。他にも、大津、福井、名古屋などで、訴訟継続中。裁判官の勇気を支える市民運動をよろしく頼みます」。
続いて、全国各地からとして青森から〈なくそう原発・核燃、あおもりネットワーク〉、首都圏から〈とめよう! 東海第二原発 首都圏連絡会〉、愛媛県から〈伊方から原発をなくす会〉が連帯のアピールをした。鹿児島からは〈ストップ川内原発! 3・11鹿児島実行委員会〉がメッセージを寄せた。

福島事故被害者からの訴え

福島第一原発事故被害者からの訴えとして原発賠償関西訴訟原告団副代表が発言した。「原発事故が起きたときに、どういうことが起きるのか。当時、テレビでは『原発に危険がある(迫っている)。避難した方がよい」という報道はまったくありませんでした。あまつさえ原発が爆発した直後、NHKが東京大学の教授を呼んで、あれは爆発ではないと解説させていました。あれは圧力が上がったのを下げるベント作業で、爆発したように見えるだけです。原発は爆発しない、爆発しても放射能は拡散しない、だから被曝はしない。避難する必要はない、だから屋内に入って、家のなかでおとなしくしていればいい。畑の野菜を食べない、井戸水は飲まない、そんな報道がずっと繰り返されていました。いま、国や東電が一番いやがることは被害者の顔が見えることです。私たちはあきらめず最後まで闘っていきます。みなさん一緒に闘いましょう。」

地元住民、労働組合も

地元・若狭湾沿岸、京都府北部から住民が発言。労働組合からは、ユニオンネットワーク・京都、フォーラム平和関西ブロック、福井県労連、京都総評が発言した。
集会決議を採択し、シュプレヒコールをあげて、デモに移った。町民が窓や玄関から顔を出し、手をふったり、会釈したり、かなりの反響があった。
今回のデモの特徴は、一方的にアピールするというよりは、地元の人々と再会し、交流する感触を得たところにある。
関西―福井で、全国とつながって大規模な行動に立とう。岸田首相の原発依存社会への暴走を阻止するうねりをまきおこそう。

〈全国からよせられたメッセージ〉

敬称略
(1)原発設置反対小浜市民の会 東山幸弘
(2)福井県おおい町町会議員 猿橋巧
(3)福井県美浜町在住 松下照幸
(4)福井県若狭町在住 石地優
(5)滋賀県高島市議会議員 是永宙
(6)原発ゼロ・舞鶴の会 事務局長 小西洋一
(7)原発ゼロをめざす宮津・与謝ネットワーク
(8)京都府福知山地方労働組合協議会・議長 奥井正美
(9)北海道泊原発現地から
  後志原発とエネルギーを考える会 佐藤英行
(10)なくそう原発・核燃、あおもりネットワーク事務局次長 中道雅史
(11)原発いらね! ふくしま 女と仲間たち 黒田節子
(12)みやぎ脱原発・風の会 舘脇章宏
(13)東海第二原発の現地・茨城県東海村村議会議員 阿部功志
(14)浜岡原発を考える静岡ネットワーク代表 鈴木卓馬
(15)新潟県刈羽村村議会議員 近藤容人
(16)志賀原発の地元から/命のネットワーク 藤岡彰弘
(17)さよなら原発・ぎふ 代表 伊藤久司
(18)さよなら島根原発ネットワーク 芦原康江
(19)上関の自然を守る会 共同代表 高島美登里
(20)伊方から原発をなくす会 名出真一
(21)玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会 石丸初美
(22)ストップ川内原発! 3・11鹿児島実行委員会 事務局長 杉原洋

5面

チェルノブイリ原発事故37年の集い
汚染水海洋投棄許すな

4月23日「チェルノブイリ原発事故37年の集い/チェルノブイリ・フクシマを経て、まだ原発?!」が大阪市内でひらかれた。主催は、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西。集会では、福島から佐藤龍彦さん(脱原発福島県民会議・事務局)が「事故後12年、福島の実情と取り組み」、福井から山崎隆敏さん(元・今立町議)が「これ以上増やすな! 使用済み核燃料」というテーマで、それぞれ講演した。
佐藤龍彦さんはトリチウム汚染水(ALPS処理水)の海洋投棄について、福島の現状を語った。紙面の関係から、汚染水の海洋投棄問題に関する部分に焦点をしぼって、佐藤さんの講演を紹介する。

■佐藤龍彦さんの講演要旨(汚染水の海洋放出にかかわる部分)

トリチウム汚染水海洋投棄をめぐる動向

東京電力は、トリチウム汚染水を希釈して海洋に放出する準備をすすめています。東京電力は「今年6月までに、海洋放出のための海底トンネル工事を終わらせる」と言っています。国際的な手続きを終えて、政府は「今年の夏頃までに海洋放出をおこなう」方針にしています。このため、広島サミットで、国際的な理解を求める算段をしているのです。
この政府方針は、「海洋放出をおこなっても、被害はおきない」という神話のうえに成り立っています。だから、政府の説明は風評被害に歪小化しています。あくまで風評被害なのであって、実害はおきないということです。このために政府は科学的知見を深めることによって、風評被害をなくす方針をとっているのです。いっぽうで風評被害だといいなし、他方で風評被害をなくそうとしているのです。これはまったく二律背反になっています。政府はマスメディアなどを使ってさかんにプロパガンダをおこなっています。学生などを対象に、千回を超えて説明会をおこなったと、政府は喧伝しています。しかし、住民にたいする説明会はいっさいおこなっていません。これが特徴です。

何を根拠に海洋放出に反対するのか

福島県漁連はトリチウム汚染水の海洋放出に反対をしています。それは次のような理由があるからです。福島第一原発では汚染水量の増加をへらすために、原発敷地内のドレン(井戸)で地下水をくみ上げています。2015年8月末、県漁連は政府との約束をもとに、東京電力の海洋放出を認めたのです。この水はトリチウムに汚染されており、1日に110×109ベクレル程度のトリチウムを海洋に放出しています。この時、国は「関係者の理解なしには、いかなる処分もおこないません」との約束をおこなっているのです。国はこの約束を守るべきです。
政府は、遠洋漁業に出かけるための燃料保障に3百億円、買い上げなどの漁業補償に5百億円の基金をたちあげて、漁師を金で懐柔しようとしています。漁民はこれに反発しています。金でほっぺたをたたく行為にたいして、漁業者は漁師としての誇りが傷つけられ、怒っているのです。
福島県知事はいいかげんで、「海洋放出に反対」を口にしません。国民的議論が必要で、国の責任で理解をふかめ、風評被害対策を求めているだけです。県議会も県知事と同様に風評被害問題に歪小化して、賛成も反対も言いません。大熊町、双葉町は「反対は復興の妨げになる」として、政府の海洋放出に賛成しています。これらを利用して、政府は海洋放出に持っていこうと誘導しています。こういう情況になっています。
福島県民の世論調査では、海洋放出に反対(41・0%)、賛成(38・9%)、わからない(20・1%)になっています。また、90・5%の人々は「風評被害がおきる」と答えています。これは政府の宣伝がいきわたっている結果でもありますが、いっぽうで政府は風評被害の扱いに困っているのです。風評であっても被害ですから、保障をしなければならない。これをどうするのか困っているのです。
太平洋フォーラム(40カ国)は海洋放出に反対しています。韓国の野党は反対を表明しています。政治的理由もあると思いますが、中国とロシアも反対しています。今後、この国際世論を味方につけて、海洋放出に反対していくことが重要です。

漁師・小野春雄さんの主張

地元で漁業をしている小野春雄さんは海洋放出に反対し、集会などで積極的に発言しています。小野さんは次のように声をあげています。
「安全なら大阪湾や東京湾へ持っていけ。農業用水に流せばよいのではないか。汚染物はフレコンバックと同じではないか。ALPS処理水ならば海に流してよいのか。これはおかしい。基準値以上の放射能を検出したクロソイやスズキはさまざまなプランクトンや小魚を食べて成長する。魚は住所がなく、太平洋を泳ぎ回っている。国は魚の動向を調査したことがあるのか。海のことをひとつもわからねーやつらに、海を汚させてはなんねぇ。海は漁師の仕事場だ。自分の仕事場を汚されたら、みんな怒るべぇ。国や東電に仕事場を汚す権利はない。俺には太古の時代から綿々と続く生業、そしてその母なる海を守る責任がある。海を汚すな」
小野さんの訴えは、脱原発社会の実現にむけて、わたしたちのとるべき使命と役割を指し示しています。

海洋放出反対にむけた行動について

アンケート結果でも、福島県内で海洋放出に反対している人が41%も存在しているのです。この数字は岩盤であり、何があっても絶対に減りません。漁業者も断固として反対しています。この人たちを基盤にして闘っていけば、政府方針を延期ないし凍結、撤回させることはじゅうぶんに可能なのです。この春から夏までの攻防が、最大の焦点になっています。海洋放出反対の大衆行動を作り出していきましょう。世論を味方につけるためには、全国的な反対集会をおこなうことが必要です。
具体的には、5月16日「汚染水を海に流すな! 5・16東京行動、6月3日「憲法をいかす県民集会」、6月23、24日「汚染水を海に流すな! 福島行動」、7月30日「原水禁世界大会福島大会」などが予定されています。脱原発県民会議は、全力をあげて汚染水の海洋放出を阻止します。ともに闘っていきましょう。(津田保夫)

5・3兵庫憲法集会
神戸で3000人が集会

戦争をさせない、9条を壊すな! 5・3兵庫憲法集会が神戸・みなとのもり公園で開かれ、3000人の労働者・市民が集まった。集会の前段で、カオリンズ、川口真由美さんが歌で会場を熱くした。午後2時からの集会では、主催者を代表して羽柴修弁護士が「3年ぶりの大集会を開くことができた。私たちは、戦争を許さなない、憲法9条を生かした外交を求め最後まで頑張っていく」と訴えた。メインスピーカーの松尾貴史さんは、神戸市に生まれ育ったことにふれた後「憲法は国の枠組みの元になるもので、権力者を縛るものだ。戦争は一部の人が潤う、多くの人に多大な被害を与え地獄を強制させる。憲法改悪は問題があり、許してはならない」と訴えた。憲法アピールを第25代高校生平和大使がおこない参加者の拍手で採択された。デモは3コースに分かれ、市民デモHYOGOの仲間は100人が参加し「大軍拡反対」の幟・横断幕を手に(写真上)「新たな戦争」に反対した。

6面

長期・読み切り連載 大庭伸介
先人たちの闘いの成功と失敗を学び現在に生かそう

ストライキ時代が到来
日本経済の心臓部に闘いの炎C

「工場管理宣言」が権力を脅かし
警官がデモ行進中の労働者を刺殺

前号に述べた1921年7月10日のデモ行進の大成功と、全市ゼネスト前夜のような状況を生み出したことによって、争議団幹部は自信を深めた。
しかし、川崎・三菱両資本とも、大阪の一連の争議で資本の側が譲歩を強いられた轍を踏むまいと、一切の妥協を排して対決する姿勢を固持し続けた。そして権力の側は軍艦を建造する工場の労働者の反乱に警戒心を強め、激しく反応した。
三菱3社(造船、内燃機、電機)は12日から10日間の一斉休業を決めた。12日早朝、警官・憲兵300人、水兵140人が厳重にガードするなかで各門を閉じた。以後、憲兵や警官が工場内に常駐した。
一方、川崎では11日、争議団の委員の半数が本社工場の1万2千人を指揮して市内デモを展開した。兵庫工場の2千人は神戸製鋼やダンロップゴムに圧力をかけた。葺合工場では警官隊の制止を尻目に工場に突入して、「われわれは工場を占領した」と気勢を上げた。この間、残りの半数の委員は工場管理の実施について協議していたのである。
12日夜、川崎争議団は翌日全工場連合の要求を提出し、拒絶されたら社長が帰国するまで工場管理権を掌握することを決定した。そのとき争議団が発した「工場管理宣言」は、当時北部イタリアでおこなわれていた労働者の工場管理にくらべて穏やかなものであった。管理は作業現場に限定され、会社の経営権・所有権には触れていない。争議団はそれまで国家権力と真正面から対決したことがなかったので、彼らの考え方はまだ楽天的であった。
工場管理宣言は支配権力に大きな衝撃を与えた。政府は軍機保護のために、川崎・三菱両資本にあらゆる援助を惜しまなかった。警官隊の警戒は一段と厳しくなり、神戸市内は県下各地から動員された警察官で埋められた。憲兵も姫路、金沢、広島、岡山、舞鶴、鳥取の各分隊から派遣され、既に9日から神戸に入っていた東京憲兵隊の甘粕中尉(2年後、関東大震災に際しアナーキスト大杉栄一家を虐殺)が総指揮をとった。
翌13日、兵庫県知事は姫路の第10師団に軍隊の派遣を要請した。これをうけて翌未明、完全武装の1個大隊669人が特別軍用列車で派遣され、神戸の和田岬の海港検疫所に駐屯した。
この間、三菱造船所は争議団の交渉委員12人を解雇。そして14日朝、歩兵1個中隊を加えて更にガードを強化して、24日まで工場閉鎖を延長した。川崎も14日早朝、警官130人、歩兵1個中隊、海軍陸戦隊2百人、憲兵60人の厳戒のもと、10日間の工場閉鎖を断行した。
県警察部は14日から示威運動と労働歌の高唱を禁じ、鳴物を制限し、労働者の集合場所を大倉山と会下山の2カ所に限定、張紙も集会予告程度のもの以外を禁止した。そして争議団の委員をつぎつぎと検挙し、過去にさかのぼって暴行容疑者を一斉に検挙した。
この頃、川崎の切り崩し隊と争議団の間で、連日深夜まで白熱的な攻防が展開された。そして17日夜、川崎では126人の争議団員を一斉に解雇した。そのうち平素社会主義を口にして警察の要視察人とされている労働者には解雇手当さえ支給しなかった。
三菱3社は休業明けの日を迎えて無期限休業を宣告し、川崎も平穏な就業ができなければ休業を続けると発表した。
19日は川崎造船所の賃金支払日であるが、会社は争議団委員が運動資金の徴収をしないように、賃金は注意書をそえて郵送した。注意書には「工場の秩序回復する見込みなきときは手当(日給の半額)を支給せざる・・」と記されていた。労働者の受け取った賃金は、平素の額より著しく少なかった。
三菱は20日が賃金支払日であるが、「今後怠業又ハ罷業ナシタルトキハ一切給与ヲナサズ」という注意書が賃金袋に同封されていた。
もともと争議資金のない争議がここまで持ちこたえられたのは、休業中の賃金が支払われていたからである。だから、それを打ち切るという会社側の通告は争議団にとって大きな打撃であった。なかでも検挙・勾留中の争議団員の家族の間に不安が広がっていったのは言うまでもない。
争議団は既に10日頃から行商活動を始め、5百人近い労働者が大阪や明石方面にまで足を伸ばした。しかし最初は市民の積極的な協力を得て順調であったが、争議が長びくにつれて売り上げが減少していった。
25日、川崎・三菱ともに警官隊の厳重な警戒のもとに工場を再開した。しかし、入場した労働者の数は会社の予想を大きく下回った。そこで両社は誠実な就業を誓約して入場する労働者には、特別賞与や割増賃金を支払うことにした。その一方で、あいまいな態度の労働者を解雇もしくは停職処分にした。
27日、万策尽きた争議団はデモ禁止令の裏をくぐって神社参拝デモを思いついた。明治以来国を挙げて神社参拝を奨励していたので、争議勝利を祈願するという名目でデモ行進をしようとしたのである。
川崎の争議団1万人は28日、長田神社に集合したあと2隊に分かれて、1隊は湊川神社へ、もう1隊は川崎本社工場に向かう態勢をとったが警官隊に阻止されたので湊川神社に合流した。三菱の争議団もこれに同調した。
警察は神社参拝行進を示威運動と断定し、1日1社のみに参拝を限定すると争議団に通告した。しかし争議団は友愛会の賀川豊彦らのズブズブの合法主義をしりぞけ、警官隊の阻止線を実力で突破して示威運動を強行する決意を固めた。
29日、川崎争議団の神社参拝の一団が生田神社から神戸随一の繁華街元町通りを経て七宮神社に向かう途中、警官隊と激突した。警官隊はサーベルの抜き身を林立させて襲いかかり、1人の労働者の背中を刺し、多数の負傷者を出した。
警察はこの事件に騒じょう罪を適用し、両争議団と友愛会兵庫連合会の幹部3百人余を根こそぎ検挙した。これによって争議団の中枢は壊滅的な打撃を受けた。この警察の暴挙には、市民からごうごうたる非難が集中した。幹部を失った争議団は一向にひるまず、気勢は衰えなかった。
警察に刺された労働者は6日後、「仇を討ってください」という遺書を残して絶命した。8月2日には2万人の労働者が参列して争議団葬が挙行され、見守る市民たちも警察の非道な仕打ちに憤り悔し涙を流した。なお、争議に起因する死者は、検挙された争議団員の妻の自死も含めて5人を超えた。
敗勢濃厚ななか、争議団は市内各所で昼夜を問わず演説会を開き、延べ数千人の聴衆に闘い続ける意志をアピールした。そして争議団員の赤貧の家庭には白米を分配して激励した。

解雇された活動家が「浪人会」を結成し
各地で組織者として活躍

8月8日、市長が調停に乗りだした。しかし争議団は骨抜きの案をのむより、潔くストライキを解除することを決定した。翌日「惨敗宣言」を発し、川崎7千人、三菱4千人の労働者は争議団本部の指示にしたがって整然と入場した。このとき川崎では解雇されていない労働者50人が入場を禁じられ、態度のあいまいな労働者127人も退場させられた。
なお、「惨敗宣言」には「吾等ハ益々社会改造ノ戦志ヲ強メタ」というフレーズが記され、資本主義打倒の固い意志が示されていた。
争議の終息に伴い、川崎・三菱とも労務管理が一段と強化され、かつ巧妙になった。争議団が要求した団体交渉権の確認について、三菱の場合は工場委員会制度を導入して所長の諮問機関とし、川崎では職員と役付労働者の意思疎通の場として、全く存在価値のない代物と化した。そして、両造船所の労働者は他企業に比し相対的に高い賃金を享受し、年功序列制の基礎が据えられたのである。
川崎・三菱両造船所大争議の敗北を契機に、大阪における一連の争議で獲得した団体交渉権は、争議の中心人物が解雇されていたこともあって、工場委員会という名の企業内労資協議機関にすりかえられ形骸化していった。そして企業側にまるめこまれてしまい、労働者は「こんなもん、くその役にもたたん」と嘆いた。
両造船所を解雇された1013人の労働者はほとんどが意識的活動家で、8月15日「浪人会」を結成した。メンバーは20代の青年が圧倒的に多く、自分の工場で積極的にオルグ活動に励んだ労働者たちであった。浪人会は会則を設け、会費を出し合って失業者救済活動に取組んだ。そしてやがて、資本主義への憎しみを胸に、反権力の立場から、各地で労働組合や農民組合、無産政党の組織者となっていったのである。
私はかつて『兵庫県労働運動史』(戦後)の編さんにたずさわったことがある。多くの組合幹部にヒアリングし、その都度この大争議についての感想を求めた。しかし、いずれも反応が鈍く、大変残念な思いをした記憶がある。(この項おわり/連載は続きます)

〈参考文献〉

浅原健三『熔鉱炉の火は消えたり』(静岡大学図書館に在庫。別に陶山健一の「解説」付き復刻版も)
大阪社会運動協会『大阪社会労働運動史 戦前編・上 第一巻』
大前朔朗・池田信『日本労働運動史論―大正10年の川崎・三菱神戸両造船所争議の研究』日本評論社
兵庫県『兵庫県労働運動史』
武田芳一『熱い港 大正十年・川崎三菱大争議』太陽出版

〈訂正とお詫び〉

本紙363号の「長期連載・先人たちの闘いに学び生かそう」の7段目、1行目と4行目に「国会」とあるが、「帝国議会」が正しい。「国会」は日本国憲法下で発足した議会であるという読者からのご指摘により、お詫びして訂正します(筆者)

7面

第5回大逆事件全国サミットin神戸
人権弾圧のない世界を求めて

大逆事件サミットの歴史

2018年10月、和歌山県新宮市で開催された第4回サミット。報告は山泉進さん。

大逆事件サミット開催のアイデアは、長年にわたり再審請求の支援活動と幸徳秋水の顕彰活動に携わってきた故森岡邦廣さんや故北澤保さんたちとの話し合いのなかで生まれました。
そして2010年、四万十市に結成された「幸徳秋水刑死百年記念事業実行委員会」(委員長・田中全四万十市長)の活動として実現しました。
第一回の「大逆事件サミット」は幸徳秋水の故郷であり、再審請求に人生をかけた坂本清馬の居住の地でもあった高知県四万十市において、2011年9月24日に開催されました。(採択された「中村宣言」は下段に)
第二回サミットは2014年10月12日、「大逆事件」の被告や遺家族の救済のために尽力した堺利彦の郷里、福岡県みやこ町で台風のなか挙行されました。「堺利彦・葉山嘉樹・鶴田知也の三人の偉業を顕彰する会」が中心になりフィールドワークも行われました。
第三回サミットは、2016年10月22日、大阪市北区天神西町の日本キリスト教団天満教会で開催され、140名の参加者がありました。「管野須賀子を顕彰し名誉回復を求める会」が企画しました。メイン企画のシンポジウム「管野須賀子と大逆事件」は、コーディネーター山泉進・明治大学教授のもと、3人からの報告、荒木伝(社会運動研究家)「明治期大阪の社会運動と管野須賀子」、井口智子(松原教会牧師)「クリスチャンとしての管野須賀子」、田中伸尚(ルポライター、元朝日記者)「飾らず、偽らず、欺かず」にもとづいておこなわれました。(田中氏のタイトルは近著『管野須賀子と伊藤野枝』からとったもの)
第四回サミットは2018年10月6日、和歌山県新宮市において、二河通夫会長のもとで大逆事件の犠牲者を顕彰する会が主催して250名ほどが集まりました。

神戸の大逆事件〜岡林寅松と小松丑次

神戸では、岡林寅松、小松丑治が起訴され、死刑判決の後減刑され無期懲役となった。2人は他の4人の無期懲役の仲間とともに長崎監獄(諫早)に移送され、1931年の仮出獄が認められるまで収監されている。岡林寅松、小松丑治等は週刊『平民新聞』の読者会である「神戸平民倶楽部」を組織し、社会主義についての研究や討議を目的(規約より)として活発に運動を展開していたが、他の大逆事件犠牲者と同じく天皇暗殺の企てとは無縁であった。
残された家族にたいしても厳しい生活が強いられている。小松丑治の妻はるは夢野(兵庫区)で養鶏場を営み生計を立てていた。彼女は毎日曜日には多聞教会に通っていたが、牧師今泉氏は夫の入獄後のはるを支え続けた。

夢野を訪ねた堺利彦

「神戸、夢野」という處書きが既に何か人に物を思はせる力を持つて居る。…神戸の町はづれから六七町、或は十町ばかりもあつたらうか。夢野村で小松といふ庭?を飼ふところ…東京へ歸って後、やはり折々「夢野、春子」とした手紙や葉書が来た。…(『堺利彦全集』第4巻116n「丸い顔」より)

中村宣言 第1回大逆事件サミット(2011年9月24日 四万十市)

大逆事件は第二世紀を迎える。この時にあたり、私達は幸徳秋水の生誕地である四万十市中村に集い、全国各地において展開されてきた、犠牲者達の名誉回復と顕彰活動の成果を継承し、新しい世紀の人権回復の運動を築き上げていくことを確認したい。
そのための連絡組織として、本日ここに、「大逆事件の犠牲者達の人権回復を求める全国連絡会議」(以下、「連絡会」と表記する)を結成する。
大逆事件においては、26被告ならず、その家族に対しても筆舌に尽くしがたい人権弾圧が行なわれた。それらの人々に対する人権回復を求めることは国民としての義務でもある。また、大逆事件は国家による犯罪であり、その年は韓国併合、アジア侵略の歴史と重なっていることを記憶に留めておく必要がある。
事件当時、日本国内においては、厳しい報道管制が行なわれ、事件の真実は語られることなく闇の中に葬られた。しかし、国外においては、ニューヨークをはじめとして、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマ等において、公正な裁判を求める声があげられ、思想弾圧に対する抗議運動が行なわれたことも忘れてはならない。
戦後、多くの人達により、大逆事件の解明がなされてきた。また、判決から50年を経て、再審請求の訴えもなされた。連絡会はこれらの先人たちの営為に敬意を払うと同時に、いまだ不十分な人権回復が行なわれていない現状を打破していきたいと考えている。人権弾圧のない世界を求めて、連絡会は国内各地における名誉回復と顕彰運動についての情報を共有し、協力関係を築いていきたい。
以上を宣言する。(よびかけチラシより転載)


PPPPPPPPPPPPPPPPP
SSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSS

第5回大逆事件サミットin神戸
とき:5月27日(土)午後2時〜
ところ:神戸・学校厚生会館(JR「元町」北)
講演@「大逆事件の真実」山泉進さん 大逆事件連絡会議事務局長
講演A「神戸の大逆事件の犠牲者―岡林寅松・小松丑治」上山 慧さん『神戸平民倶楽部と大逆事件』著者
主催:大逆事件の真実をあきらかにする会&大逆事件を明らかにする兵庫の会



(本の紹介)
『神戸平民倶楽部と大逆事件』
岡林寅松・小松丑治とその周辺
上山 慧・著

大逆事件に関心を持つ人々が四万十市の田中全前市長を招いて神戸で集会をしてから5年以上になるが、神戸の犠牲者=岡林寅松・小松丑治についてはほぼ誰も知らなかった。出身地の高知市でもその足跡は知られず、田中さんらが墓の掃除をし案内板を作り、2020年にはツアーを組み高知の2人の墓と、四万十市の幸徳秋水の墓を訪ねた。その間に研究会では、大阪で管野須賀子顕彰活動の若手研究者の上山慧さんが、岡林・小松の足跡をたどり、研究報告をしてくれた。
その上山慧さんが21年末に上梓した労作が本書だ。2人の足跡を、背景となる明治の初期社会主義運動=神戸平民倶楽部の活動から説き起こし、大逆事件に連座し無期懲役になり、1931年に減刑20年の懲役を終えて出所、さらにその後の足取りをたどっている。小松は神戸・平野橋あたりで鶏飼いをしていた連れあいのはるさんと再会しながら極貧のうちに生涯を終える。岡林の妻子はすでになく故郷・高知や大阪・港区でエスペラントの活動をしながら糊口をしのいでいく。
本来なら岡林・小松らの神戸平民倶楽部の運動は、第一次大戦(1914年勃発)とロシア革命(1917年)を経て本格的な労働者階級の闘いに繋がるのだが、それを恐れた権力者の1911年の大逆事件弾圧で運動はいったん「冬の時代」に追いやられる。『未来』紙連載の大庭さんの論稿も、いま「神戸川崎・三菱大争議」が熱く語られている。今次大逆事件サミットで、大争議の10年前、国家権力が恐れた少数だが岡林と小松らの不屈の運動があったことに繋げて考えて頂けたらと思う。(岸本耕志)

8面

6・25シンポジウム
ウクライナ戦争と現代世界
国労大阪会館で開催
呼びかけ:岩田吾郎・西明良・松田耕典
連絡mail: sphy4e29@view.ocn.ne.jp (岩田吾郎)

シンポジウムの主旨

@2022年2月、ロシア軍のウクライナ侵略が開始された。21世紀の「想定外」の事態とも言える。欧米日帝国主義は様々な「対抗」を開始して、他方「左翼」運動でも様々な批評が生まれた。 『情況』休刊号(2022年7月)は特集を組み、「特集解説」として「プーチンのウクライナ侵略戦争をどう考えるか? 真っ二つに割れた日本の新左翼・反戦運動」が掲載された。具体的に「新左翼」の機関紙から、「真っ二つに割れた」諸見解を紹介、批評している。その後のウクライナ戦争の経過と、ロシアと欧米日帝国主義の対立は世界的に波及し、米中対立も公然化した。

A日本の左翼運動は、何よりもウクライナ人民の反侵略闘争を支持、連帯する事が求められており、国際反戦闘争の構築とプロレタリア国際主義の復権でもあります。
東京では、ウクライナ「社会運動」と連帯した、先駆的な活動が行われている。又、全国で在日ウクライナ人の支援活動も活発に行われている。
問題は、このようなウクライナ戦争・現代世界の変化、転換に対する、「左翼」(学者、評論家、リベラル派、新旧左翼)内での論議、論争が起こっていない事である。不毛な対立・分裂を避けることは理解しても、論議・論争が書きっぱなし、言いっぱなしではよくありません。日本の左翼・個人の真摯な実践的な論議・論争が求められている。
この日本で、ウクライナ人民支援、連帯運動の大きなうねりをつくり出すために、「シンポジウム・ウクライナ戦争と現代世界」を開催する。広汎な人々の参加を期待する。

6月25日(日)12:30開場 13:00〜17:00

会場:国労大阪会館 3階大会議室(大阪市北区錦町2-2)
TEL06-6354-0631
参加費 ¥1000
スピーカー:
原隆(共産同 著書『反逆の序曲 蜂起する民主主義』)
橋本利昭(革共同再建協 『未来』『展望』に執筆)
高原浩之(元共産同赤軍派)
横山茂彦(元『情況』編集長)



ウクライナ「社会運動」との連帯を
社会運動 (ウクライナ):2022年を振り返って 2023年1月7日土曜日、SOTSIALNYI RUKH

プーチン・ロシアによるウクライナ侵略戦争開始から1年3カ月。2度目の「対ドイツ戦争記念日」(5月9日)の演説は前年以上に覇気のないものだった。ウクライナ人民の抵抗は激しく、プーチンには何の展望もない。ウクライナの抵抗闘争の先頭にたつ「社会運動」の主張を紹介する。 『未来』編集委員会

ウクライナと世界の歴史に新たな悲劇のページが開かれた。ロシア帝国主義に直面して、信じられないほどの英雄的行為と連帯の年でした。同時に、経済の新自由化のプロセスと労働者の権利の残りに対する攻撃がウクライナ国内で激化した。これらすべてが左派にとって真の挑戦でした。
しかし、それは闘争の想像を絶する機会も開いてきました。自由で公正なウクライナのための闘争における社会運動の2022年の成果のレビューに参加してください。

人道援助

戦争は、社会運動(ソーシャル・ムーブメント)の活動の主な方向性を決定しました。最優先事項は、ロシアの侵略の犠牲者と、祖国を守るために立ち上がった人々を助けることでした。散発的な人道支援活動に始まり、特に前線地域でウクライナ軍と戦争の影響を受けた人々を支援するための定期的かつ組織的な活動を確立しました。さらに、社会運動は、外国の労働組合と左翼組織の10以上の人道支援部隊の組織に参加しました。受け取った援助は、ザポリージャ、クリヴィー・リー、ミコラーイウ、その他の最前線の都市に送られました。ウクライナの最も効果的な支援と保護のために、ソーシャル・ムーブメント(社会運動)は、フェミニスト・ワークショップ、連帯コレクティブ、ビルキス、その他多くの進歩的なグループに参加しました。社会運動の活動家は、資金の調達に成功し、兵士向けの軍事装備、医療従事者向けの発電機の調達と提供、Starlinkなどへの資金の調達に成功しました。必要な支援を受けて定期的に地域に旅行することが定期的になりました。特に、社会運動は、多くの家族がミコラーイウで安定した水と電気の供給源を組織するのを助けました。SR活動家は、現在も勤務している TROと軍隊に加わり、軍のドローン用の革新的なナビゲーション システムを作成し、兵士に勝利を近づけるために必要なすべてのものを提供しました。

国際連帯

全面戦争により、ウクライナは国際的な注目の的となった。社会運動にとって、2022年は疑似平和主義のイデオロギーに対する闘争によって特徴付けられ、その支持者はウクライナの支持に反対した。我々は、ウクライナに対する完全な外交的支援、ロシア連邦に対する効果的かつ深刻な制裁、ウクライナの完全な勝利のために必要なすべての武器の提供を要求するために、左派と進歩派の運動を団結させるために最善を尽くしました。社会運動の活動家は、すべての大陸で影響力のある左翼および緑の政党のほとんどと接触を確立し、左翼のプラットフォーム (Jacobin、The Real News Network) とマスメディア (Guardian、 BBC、Business Insider、Elle、Mirror Weekly など)。3つの国際会議が開催されました。私たちの活動家は、英国、アイルランド、フィンランド、ブラジル、ドイツ、ポーランド、ジョージア、フランス、オランダ、スウェーデン、デンマーク、その他の国を訪れ、ウクライナへの支援の要求を促進しました。香港と韓国の住民を対象に、ウクライナに関するオンライン講義が開催されました。誇張することなく、社会運動は世界のウクライナの左翼運動の顔になっています。私たちは世界中の学生を組織してウクライナを支援し、ウクライナとの連帯の欧州ネットワーク (ENSU) と米国連帯ネットワークの形成に参加することができました。

国際債務帳消しキャンペーン (略)

「戦争新自由主義」への抵抗

戦争にもかかわらず、ウクライナ当局は経済の新自由化の過程を継続することを決定し、それは当然、一般市民の状況の悪化につながりました。社会運動は、反労働法の採択に反対し、最高議会の主要なロビイストである MP ガリーナ トレチャコワの辞任を求めて、強力なキャンペーンを実施しました。戦争のために労働者の脆弱な立場を乱用した人々を特定する「雇用主のブラックリスト」が作成されました。戦争中の労働者の権利に対する攻撃の原因と考えられる結果について、多くの分析資料が公開されました。社会運動は、戦争は有害な社会経済実験の時ではないことを強調し、強調しています。人口の最も裕福な部分に対する減税は、社会不安の一因となっています。責任の転嫁と、勝利へのさまざまな社会階層の不平等な貢献。的を絞った社会扶助がなかったため、市民社会は国家の役割を果たし、ほとんどすべての社会的機能を引き継ぐことを余儀なくされました。社会経済分野における国家政策は、衰退、社会的不平等、そして時には防衛能力の弱体化につながっています。社会運動は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの経済学者とアダム・トゥーズ氏のテーゼに連帯します。この戦争は、イデオロギーの実験や不平等政策の推進の場であってはなりません。社会的不平等、そして時には防衛能力の弱体化につながります。(つづく)

ソース:
https://rev.org.ua/pidsumki-2022/ Deepl を使用してウクライナ語から翻訳され、ウクライナとの連帯のための欧州ネットワークの AN によって校正されました。
このページは岩田吾郎さんのウェブ「リベラシオン社」に負っています。

ウクライナの抵抗を支持し
2・23東京新宿でデモ

ロシアによるウクライナ侵略から一周年の前日2023年2月23日、東京新宿でウクライナの抵抗に連帯する集会とデモがあった。
主催はウクライナ連帯ネットワーク。集会48人、デモ43人と小さなイベントだったが、大切な意義がある。一般的な平和やただ侵略に反対を表明するだけにとどまらず、ウクライナの人々の徹底抗戦に連帯するデモだったからだ。
全面侵攻以降、これまで反差別、反戦平和、人権などを訴えてきた左派やリベラル派の一部が、プーチン大統領の主張をそのままコピペしたり、帝国主義戦争、代理戦争などと言って、当事者であるウクライナ人を完全無視している。
こうした中で行なわれた2月23日のデモは、左派・リベラルの人が明確にウクライナの抵抗を支持したものだった。