自公補選は辛勝 自治体選は敗北
岸田と第二保守維新を倒そう
統一地方選で自公は大きく後退
4月23日投開票の衆参5補欠選挙と統一地方選後半戦で、自民党・公明党は、補選は辛勝ながら自治体選挙では大きく後退、実質敗北した。補選も「二階王国」の和歌山1区では二階の盟友・小池百合子まで投入したが維新に敗北。盤石基盤のはずの岸信介以来の山口2区でも世襲批判が広がり辛勝。千葉5区では国民か共産が候補をおろしていれば敗北だった。大分では僅差で逃げ切ったに過ぎない。絶対安泰のはずの山口4区でも票が伸びず安倍昭恵は不満顔だった。全体として勝利と言えるものではなかった。また自治体選では維新の進出の中で、自民・公明ともおしなべて後退した。維新が浸透の関西では、西宮のように自民現職8人が立候補し5人が落選し、当選はわずか3人という選挙区も出現。枚方は5人、豊中は4人、高槻は2人が落選という、政権政党とは言えない弱体ぶりをさらけだした。また各選挙区で2万から3万票規模で自民党を支えてきた公明党は、巧妙な区割りで上位で「全員当選」が恒例だったが、今回は全国で12人が落選。しかもどの選挙区でも得票率は10%程度減少し、中位・下位で当選するのがやっと。自公政権から確実に民心が離反している。
岸田政権は昨年来の「安倍の国葬」と統一教会問題と物価高騰無策で、断続的に支持率を下落させてきて、今春来わずかに支持率回復に見えたが、労働者・市民は決して「閣議決定一本」で国会論議もなく、国葬、先制攻撃・大軍拡、原発全面回帰などを勝手に決める安倍政治以上の反動性を強める岸田政治を許しているわけではない。このことを示して余りある今次選挙結果だった。
左派・リベラルは自己変革を
この自民党の後退を左派・リベラルが突いて進出するのではなく、「改革」を自称する維新に保守・中間層の票が流れたのが今次選挙であった。立憲の泉・岡田執行部は、大軍拡に反対せず、維新との共闘を追求し、支持者が離れ、立憲から維新に転向する候補も出ている。これで選挙戦が闘えるわけがない。維新が過半数を占める大阪府議会ではわずかに1議席で消滅寸前だ。これでも維新と共闘を追求するのか。日本共産党も全般的後退が止まらず、選挙をするたびに得票は20%近く減り、議席は減少し、当選も共産党同士が最下位を争う始末だ。40歳代の左派・リベラルの無所属候補が自力で当選しているのに、党中央の主張を金太郎飴のごとく繰り返す共産党候補が人々を引き付ける訳がない。異論を公表すれば即除名という政党に未来はない。社民党も大きく後退し、れいわは府県議選では惨敗ながら、後半の市議・区議選では奮闘し50人近くの議席を獲得した。しかし地域実情を考慮しない「直前殴り込み的立候補」(大阪府守口市など、門真市では公認候補が立候補せず悪口を拡散)は慎むべきと思う。格差・貧困が広がり、30年にわたり賃金が上がらず苦吟する労働者・市民に対し、左派・リベラルは自己変革が必要だ。人々の中に分け入り、戦争反対・生活防衛を訴え、自公政権と第二保守党=維新にかわり、民営化でなく公共財=コモンを取り戻す選択肢を示す必要がある。
維新との対決を強めよう
関西圏では多くの都市でトップ当選と議席増を実現した維新だが、弱点がないわけではない。高位当選の多くは新人で、回を重ねた高位当選者は多くない。「身を切る改革」=定数減・歳費減などが何期も通用するわけがない。「大阪の改革を全国へ」も地域には特性があり、それに踏まえて4年間対決していけば、「改革」の化けの皮が剥がれる。何より大阪の実績=「高校授業料無償化」が「教育の市場開放、私企業化」であることを暴露し、社会的弱者の立場に立った現場からの子育て政策を実現するボトムアップの政治を実現していこう。現に大阪市近辺でも、宝塚・西宮・尼崎に続き、今次は高槻・吹田・寝屋川などの40万〜25万人規模の首長選で維新が敗北した。維新の「学校統廃合」「塾クーポン券配布」などと議会内で対決し、広範な市民運動・大衆運動を作り出し、6月堺市長選から維新政治を転覆していこう。
G7広島サミット・入管法改悪強行の岸田政権と対決を
補選と自治体選で実質敗北した岸田政権は、G7サミットと入管法改悪を強行しようとしている。G7サミットは核保有大国が広島を舞台に、中国包囲の世界戦略を実現しようとするものである。「同志国」などという言葉を使い、中国・朝鮮・ロシアを敵国として排外主義をあおり、侵略戦争への道を歩むことを許してはならない。サミット「成功」・解散総選挙は岸田政権退陣への道だ。
急速に反動化を強める岸田は一昨年廃案となった入管法の改悪・成立を強行しようとしている。4月末〜5月初の「修正協議」許さず、廃案一択で緊急行動を強めていこう(7面参照)。メーデー、憲法集会を戦闘的に闘い取り、維新との対決強め、人民決起で岸田政権打倒の道を切り開こう。
中国包囲の世界戦略狙う
G7広島サミット粉砕
岸田文雄首相は「力による一方的な現状変更の試みやロシアによるウクライナ侵略、核兵器による威嚇を断固として拒否し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くというG7の強い意志を世界に示す」と公言している。サミットをロシアと中国をたたく場にしようとしている。
「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)戦略のもと中国包囲網を形成する狙いがあからさまだ。4月18日発表されたG7外相会談の共同声明でも、再確認した。
先立つ4月5日には、国家安全保障会議(NSC)9大臣会合で「同志国」の軍などを支援する「政府安全保障能力強化支援」(OSA)という枠組みを創設するとともに、その実施方針を決めた。今年度はフィリピン、マレーシア、バングラデシュ、フィジーの4カ国の軍などに対し、レーダーや衛星通信システムなどを供与するとしている。
サミット解散は岸田打倒の好機
岸田は政府支持が不支持を上回ってきたとして、サミットを機に解散・総選挙で支配固めを狙っている。過去6回の日本開催のうち4回は前後に衆院解散があった。しかしサミットを契機に総選挙をおこなって自民党が勝利したのは1986年東京サミットの中曽根だけだ。今回も衆参補欠選挙では4勝1敗ながら、安倍の地元山口4区以外は辛勝で、自治体議員選挙では維新の進出と表裏一体で、現職自民党市議が各地で落選している。「外交の岸田」も嘘八百で、サミット解散・総選挙は岸田惨敗・退陣の道だ。核保有国の談合の場、広島サミットを粉砕しよう。(3面に2つの行動提起)
入管法改悪許すな
大阪大結集に200人(4月15日、中之島公園) |
岸田政権の入管法改悪強行の動きに、4月〜5月緊急抗議行動が連続的に取り組まれている。与党が4月28日にも衆議院法務委員会の採決強行狙っていることに抗議を集中しよう。大阪では5月9日にも行動がある。(7面に関連記事)
2面
統一地方選
豊中・阪神各市などで奮戦
維新との対決強めよう
首長選で維新敗北高槻・吹田・寝屋川 4月23日投開票の統一地方選後半で、関西各地で維新と闘った左派・リベラル候補は、各地で議席を維持・拡大した。れいわも2人が初当選。また大阪府下の首長では40万人規模の高槻市、吹田市、寝屋川市で維新候補に打ち勝った。さらに独特の市民自治を掲げた明石市では、県議選につづき市長選・市議選でも「明石市民の会」(泉房穂市長派)が圧勝した。
「森友の木村」 高位当選
豊中市では森友事件を発見し7年にわたり追及し続けてきた木村真さんが3737票で高位当選した。木村さんは今回の統一地方選に当たり、これは単なる地方選ではなく岸田政権の大軍拡・原発回帰の政治を承認するかをかけた闘いとも訴えた。また大阪維新の進めるカジノに反対し、維新は「今だけ、金だけ、自分だけ」の新自由主義政治集団であることを暴露し、徹底対決を呼びかけた。そのうえで親維新の豊中市政が、学校や図書館の統廃合を進め、市営住宅など市民の公共財(コモン)を売り渡そうとしていることを弾劾。木村を上位に押し上げることで、この3つにノーを突き付けようと訴えた。この訴えが多くの人に支持され7位当選となった。また森友事件で木村さんと終始共闘してきた山本いっとくさんも8位3566票で共産党の中では断トツの得票で当選。さらにれいわの新人・山田さほさんも当選。左派・リベラルの奮闘で自民党は4人が落選、参政党は3人とも落選、維新も1人が落選。こうして豊中は左派けん引で維新と対決していく新たな戦いの場となった。木村さんの今後の奮闘が大いに期待される。
阪神間では左派・リベラル奮闘
「あこ当選」のくす玉を割る高橋あこさん(4月23日、伊丹) |
統一地方選県議選で左派・リベラル(非共産)の4議席を確保した阪神間(兵庫県東部)では、伊丹・宝塚・西宮・芦屋で市議選がおこなわれたが、市民運動とも繋がる候補は誰一人落選することなく、各市で維新がトップを占める中でもそれぞれ高位当選者も出た。伊丹市では「フォーラムいたみ」(立憲2・社民1・無所属2)の5人が全員当選。その中で前回「子ども・子育て」をテーマにトップ当選した高橋あこさん(無所属・立憲推薦)は、「子どもにやさしい街はみんなにやさしい街」を掲げ2期目に挑戦。維新新人の無内容な演説(「身を切る改革」=議員定数の削減だけの候補、街頭演説のできない候補、元立憲有名議員の秘書など)をしり目に、市民に寄り添い、市民の要望をくみ上げ議会で質問し(4年間で最多質問)、それを政策としてまとめ、実現できなかったことを2期目に実現したいと、連日スーパー前・駅前で訴えた。大きな組織を背景に持たないがゆえ心配されたが、前回票をわずかに減らしたが目標の3000票を超え3位で当選、喜びに沸いた。フォーラムの他の候補も堅実に票を積み重ね、さらに労組系候補も復活した。ほぼ維新と変わらぬ5期目の藤原市政との対決が期待される。公明党・共産党は25%の得票減。既成政党の政治的影響力の減退が浮き彫りとなった。
西宮で6人のリベラル女性議員、宝塚は過半数が女性
41人の定数に66人の立候補で大激戦となった西宮市でも、維新が多数を獲得したぶん自民党現職5人が落選。それをしり目に昨年3月補欠選挙で維新を落とし当選した宮本恵子さんが2位、19年県議選で立憲県連幹事長・栗山県議の妨害で公認されなかった奥野尚美さんが4位で当選。また3人の市民派女性議員が再選、れいわ新人の佐野ひろみさんも当選と、左派・リベラル議員が躍進した。
また宝塚市では、左派・リベラル(社民2、立憲2)が順当に。議長職を務めた立憲の北野聡子さん(立憲県連副代表、元兵教組女性部長)は6選。過半数が女性市議となった宝塚市議会のリーダー役が求められる。そのまずの仕事は、元立憲県議候補(衆議院議員秘書)で、今回維新に転向しトップ当選した男を議会から追放することだろう。ここでも維新との対決が急務だ。
門真・吹田 届かず
門真市ではれいわ大石あきこ衆議院議員推薦の戸田ひさよしの復活、吹田市ではれいわ公認の堀口こうすけの当選が望まれたが、当選に届かなかった。門真では国道沿いに大型商業施設がオープン。他方で中心街のスーパーが寂れ、学校や公共施設のトイレは和式のまま。吹田ではニュータウンが急速に高齢化。いずれも新自由主義=維新型政治の悪弊が町を疲弊させているが、残念ながら主張は届かなかった。
明石は「市民の会」(泉派)圧勝
自民(西村経産相派)を下す
兵庫県下の後半戦の注目は、姫路市と明石市。姫路市長選では維新推薦の若手官僚を現職が撃退。大阪を拠点に、和歌山・奈良と姫路という関西圏の要衝を抑えるという戦略は破綻。
今一つの要衝=明石は泉房穂市長後継の丸谷聡子さんが、ダブルスコアで圧勝。西村経産大臣が直系の候補応援のため週末は明石に張り付いたが落選。市議選でも「明石市民の会」(泉市長派)5人が高位当選。自民、維新を蹴散らした。これで県議選断トツ当選、市長選・市議選圧勝で、泉市長の実績を何とか亡きものにしようとする魂胆は破産した。
泉市長は周知のとおり「子どもを核にした町づくり」を掲げ保育所や児童相談所を充実させ、自らも障害者の弟を抱えた家族として、社会的弱者に寄り添ってきた。強制不妊の告発者にも支援を実現。そのため近隣市から人口流入が相次ぎ、これを自民・維新ら反動派は誹謗中傷してきた。岸田政権の「異次元の少子化対策」や、維新の「教育無償化」のペテンが暴かれ、各地で「子どもにやさしい街」の実践が始まろうとしている。自治体現場レベルからの反撃を強めていこう。
東京各区でれいわが議席獲得
杉並では安田マリさん(立憲)トップ
首都圏・関東圏では、関西からの維新の進出と対決し、各地で左派・リベラルが健闘した。とりわけ東京・杉並区では昨年6月僅差で区長選を制した岸本聡子区長を支えるため立憲などが多数立候補した。激しい選挙選を制したのは、トップ当選の安田マリさん(立憲)と3位当選の山名かな子さん(れいわ)。安田さんは2019年参議院選兵庫で43万票を取りながら3万票差で落選。21年衆議院選では、西宮・芦屋選挙区で同じ立憲兵庫幹事長の妨害にあい落選。東京8区(杉並)で石原伸晃を落とした吉田晴美衆議院議員の秘書となっていたが、今回岸本区政を支えるため区議選に立候補、見事にトップ当選した。
またれいわ新選組は、統一地方選前半(府県議選)で苦戦したが、後半戦では東京・埼玉・愛知などで、区議・市議に公認・推薦で50人近くが当選。当初の「国政だけ」を超えて、「地域に根を張り天下国家を論じる党へ」(故石井一元自治相の激励の言葉)の一歩を踏み出したと言える。自公・維新と対決する共同戦線を各地で強化していこう。(岸本耕志)
維新政治に抗して
―高槻市長選で松浪落選
高槻市長選挙は、維新の松浪健太がダブルスコアの大差で現職に負けた。高槻市では70歳からの市バス無料制度が75歳からに改悪されたばかりで、維新の市長になれば市バスは民営化されてしまうとの危機感が広がっていた。市民たちに市バス存続の是非を問われて、松浪は「そんなデマが広がっていて困る」「当面はしません」と直前まで打ち消しにやっき。結果高槻市民は維新を選択せず。市民の財産である市バスの高齢者や障がい者、子どもへの無料制度をくずすだろう維新政治の核心を見抜いた勝利だった。市議選でも定数34人に44人が立候補し、「維新を第一党に」というポスターを貼りまくったが、一人が落選した。自民2人、共産1人も落選する中で、15位で無所属の高木りゅうたさんが、28位で社民党の川口洋一さんが前回を上回る支持をえて当選。「再開発」等と銘打って民営化をすすめ、市民の財産である「公共」をくずす政治の流れを止める足掛かりとなった。(雲南小萩)
3面
G7広島サミット反対 2つの行動の案内
G7サミット開催に抗議しよう! in広島
G7広島サミットに反対する!
G7は即時解散し、日本から去れ!
世界を血に染め分断したのは誰か
No War!
No Fascist!
No Pasaran! 奴らを通すな!
■広島(被爆地)でのG7サミット開催は、核武装と核抑止戦略を正当化するものです。
5月にG7首脳会談(以下、G7サミット)が広島で開かれますが、それは議長国である日本が広島を開催地に選んだからです。
その地で岸田首相は『唯一の戦争被爆国』を売り物にしながら、ロシア・中国・朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の「核の脅威」をことさらに強調し、またバイデンらG7首脳を原爆資料館に案内することで、核抑止戦略を正当化して市民の間に無自覚のうちに合意を浸透させようとしています。
そのために被爆地広島を政治利用し、そして原爆被害そのものをも過去のものにしようとしているのです。
■G7各国は、世界の10%の人口で44%の富を独占し、地球と未来を破壊してきました。
G7サミット開催の目的は、全ての加盟国の主権平等の原則に基礎をおく国連という場での決定を、自分たちに都合の悪い場合には拒否または無視する形で、世界の重要な出来事に影響力を及ぼし、恣意的に介入するために過ぎません。
その結果、気候変動、環境破壊、原油高騰、金融危機、食糧・農業危機、戦争と貧困、原発問題など、様々な危機を作り出し、また新自由主義を世界に席巻してきました。
そしてその被害を最も直接にこうむっているのがグローバルサウス諸国、とりわけ先住民族であり、その命と暮らしの破壊の上にG7各国は自らの富を築いてきたのです。
■G7各国は、米国を中心にNATOと日米軍事同盟を形成する軍事大国です。
5月のG7サミットは、ロシアに対抗する西側軍事同盟の強化を主要な狙いとしています。
わたしたちは、2022年2月以降のロシアによるウクライナ侵略を強く非難します。そしてまた戦火に苦しむウクライナの人々に連帯しつつ、同時に、米国とNATOによる東欧への軍備拡大がその誘因となっていることや、NATOの介入と軍事援助が戦争拡大を煽り、戦争の長期化と市民への犠牲の拡大をもたらしていることを非難します。
わたしたちはこうした事態の解決をG7各国に求めるのではなく、ウクライナ、ロシアを始めとする世界の民衆の戦争に抗する力で、停戦と対話、外交による平和の実現を目指します。
■日本政府は、米国と一体化して中国、朝鮮、ロシアへの軍事的威嚇を強めています。
自衛隊は、米国主導のもとG7各国およびNATOに参加する同盟諸国軍とともに、連日のように軍事演習を展開しています。
岸田政権が打ち出した「安保3文書改定」の目的は、日本が積極的に台湾有事を作り出し、敵基地攻撃能力を保有して、米軍の矛となって琉球弧を再び戦場とすることであり、そのために自衛隊をNATO(=米軍ならびにその同盟軍)との集団的軍事活動に主体的に参加させることにあります。
2014年の「集団的自衛権容認」の目的もまた、このように自衛隊を世界で戦わせることを可能にするための下準備でした。
■ともにG7広島サミットNO! の声を上げ行動しよう!
わたしたちは、G7を即時解散し、参加各国が国連の場での議論と決定に基づいて世界の安定と平和構築を目指すことを要求します。
日本政府は、日米軍事同盟を廃棄し、NATOへの加担を止めよ! 沖縄をはじめ日本各地に設置されている米軍基地を即刻撤去せよ! 自衛隊攻撃部隊の配備を直ちに中断せよ!
わたしたちは、さらなるアジアと世界の民衆との直接的な連帯を強化し、平和のために引き続き行動します。
5月G7広島サミット反対現地行動に、全国の皆さんの参加を心から呼びかけます。(G7広島サミット反対現地デモ実行委員会のチラシから転載)
G7サミット開催に抗議しよう!in広島
★G7抗議デモ
日時:5月19日(金)
11:00 集合
11:50 デモ出発
場所:舟入第一公園
広島市中区舟入町10
広電「舟入町駅」から徒歩約1分
地図→ https://tinyurl.com/2rhfn269
★国際連帯フォーラム
日時:5月19日(金)15:00開場 15:30開始
場所:広島東区民文化センター 小ホール
広島市東区東蟹屋町10-31
JR広島駅から東へ徒歩10分
地図→ https://tinyurl.com/yd2pvdhj
内容:韓国、台湾、フィリピン、アイヌ民族、沖縄島、宮古島などから発言
資料代:500円
★全国交流会
日時:5月19日(金)18:30〜20:00
場所:広島東区民文化センター 大会議室
参加費:1000円(軽食・飲み物あり)
★G7サミット開催反対広島現地デモ
日時:5月20日(土)
13:00 集合・アピール
14:10 デモ出発
集合:千田(せんだ)公園
広島市中区千田町3-8
広電「広電本社前駅」から徒歩約7分
広電「御幸橋駅」から徒歩約8分
地図→ https://loco.yahoo.co.jp/place/g-q5DEyAt0Hr-/map/
主催:G7広島サミット反対現地デモ実行委員会
核廃絶を求めるG7サミット直前の広島イベント
どんな声が今、 広島から世界に届けられるべきなのでしょう
5月19日から21日に、広島においてG7サミット(=主要先進国首脳会議)が開催されます。日本は議長国をつとめる役回りとなっています。歴史の皮肉なめぐりあわせでしょうか、世界を見渡せば、ウクライナでの戦争が長期化し、停戦・和平の見通しが見えないだけでなく、米中対立を背景に、東アジアでの安全保障環境の急変が声高に叫ばれるような局面で開催されるのが、今回のG7サミットです。 このような状況の下、G7サミットを直前に控えた広島の地で市民の平和への思いを再確認するとともに、G7サミットを単なる政治ショー、敢えて言えば「お祭り」にしてはならないという思いから、私たちはどのようなメッセージを世界に向けて発出すべきなのかを考えるG7直前広島イベントを開催したいと考えます。 と同時に、神田香織さんの講談『はだしのゲン』(ダイジェスト版)を公演し、平和教育の場における『はだしのゲン』削除問題の持つ意味をあらためて考えたいと思います。(核廃絶を求めるG7サミット直前広島イベントのチラシから転載)
核廃絶を求めるG7サミット直前広島イベント
と き:5月17日(水)18時〜20時半(開場17時半)
ところ:広島弁護士会館大ホール
広島県広島市中区上八丁堀2−73
【プログラム】
18:00〜講談/神田香織
「はだしのゲン」(ダイジェスト版)
18:30〜 パネルディスカッション&質疑
【パネリスト】
平岡敬さん(ジャーナリスト、元広島市長)
神田香織さん(講談師)
森滝春子さん(核兵器廃絶をめざすヒロシマの会)
高橋博子さん(奈良大学教授 歴史家)
進行:金平茂紀 (TBS報道特集特任キャスター)
【会場から】
宮崎園子さん(フリー記者 元朝日新聞記者)
田中美穂さん (核政策を知りたい広島 若者有権者の会(カクワカ広島)共同代表)
【参加方法】
弁護士会館来場申し込みフォーム(資料代1千円)
https://forms.gle/Qmv72Jhp6Fa68Q7j6
【呼びかけ人】 平岡敬 森滝春子 高橋博子 神田香織 沢田正 金平茂紀
【実行委員会事務局】金平茂紀(取材窓口) 岸直人 井上俊逸 青木美希 小武正教 石原希美
【後援】教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま JCJ広島 中国新聞労働組合(五十音順)
【お問い合わせ】kittyomu1711@gmail.com(事務局・岸直人)
4面
関生弾圧
無罪判決武器に反転攻勢へ
満杯の熱気
4月13日
4月13日、大阪市内で(関生弾圧)和歌山広域協事件無罪判決報告・反転攻勢総決起集会が開催され、会場のエルおおさか視聴覚室は満杯になった。
組合員が大結集した反転攻勢集会(4月13日、大阪市内) |
大阪高裁判決の意義
3月6日、大阪高裁での和歌山広域協事件無罪判決の意義は産業別労働組合である関生支部だけでなく全国の労働組合にとってもきわめて大きいものであることがあらためて確認された。
弁護団から久堀文弁護士、中島光孝弁護士が本件判決の意義を詳細に報告した。大阪高裁判決の核心は産業別労働組合の団結権を全面的に認めたことである。なお、検察側が最高裁への上告を断念したため、この画期的判決は確定した。
判決はいう。「産業別労働組合である関生支部は、業界企業の経営者・使用者あるいはその団体と、労働関係上の当事者に当たるというべきだから、憲法28条の団結権等の保障を受け、これを守るための正当な行為は、違法性が阻却されると解すべきである(労組法1条2項)」。
従来、ともすれば産業別労働組合の団結権は最大に認められても労使関係がある場合に限定されてきたのが実態である。
しかし、今回の大阪高裁判決は、労使関係の有無に関わりなく、産業別労働組合は、当該産業の経営者・使用者あるいはその団体と労働関係上の当事者として憲法28条の団結権の保障を受けるとして産業別労働組合の団結権を全面的に認めたことである。
生コン産業にひきすえていえば、生コン産業の産業別労働組合である関生支部は労使関係の有無に関わりなく、生コン産業の問題について生コン産業の経営者やその団体等と団体交渉その他の行動が正当なものとして認められるということである。つまり、今後、関生支部は団結権を背景にして、組合員を守り獲得し、経営側が不当に奪った権利を取り戻し、生コン産業の改革を推し進めていくことができるということである。これは反転攻勢に向けての大きな武器となる。
判決にあせる経営者
この判決の後、広域協組は個別の会社と結んでいる「反社会的組織を排除する」という契約に違反するとして関生支部の組合員に対して脱退勧奨や自宅待機を命じてきている。しかし、今回の大阪高裁判決に基づけば、このような経営側の行為は典型的な不当労働行為である。今後、仮に解雇のようなことを強行してきてもそれは必ず打ち破ることができるということである。
反転攻勢へ
関生支部・湯川委員長は「この判決以後、ずっと準備を重ねてきて、ようやく反撃の態勢ができてきました。遠くない時期に大々的に動いていきたいと思います。私たちは皆さまの支援でなんとか踏ん張ってきました。共闘するみんなが一つの目的で行動できれば違う形での運動ができるのではないか、ぜひ、私たちの反撃の活動に皆さまも参加していただきたいと思っています。こういう大きな意思統一をしたいと思い、今日の集会を開催しました」とあいさつした。
広域協の攻撃をはねかえす
自宅待機を命じられた組合員は「解雇された仲間もいる、高槻のTYK生コンのように工場をつぶされた仲間もいる、仲間と支部を信じて頑張る」と決意を表明した。
別の組合員は「自宅に帰ってつれあいに話したが、女性の方がいろんな面で段取りするのも早い。自宅待機の中でもこうやって仲間のみなさんの顔を見るとすごく元気がもらえる。最後まで闘う」と話した。
別の分会では、脱退勧奨に対して「関生支部を通してくれ」とはねかえし、副分会長は「解雇とかやってきたらええがな、吉田生コンを見てみい、必ず勝つんや」と熱い意思統一を分会員としていることも報告された。
大阪広域協の支配をうちやぶろう
関生支部は労働委員会での勝利命令を多数かちとっている。たとえば東大阪市の生コン製造企業(株)五一に対して中央労働委員会は2月2日、団交拒否と組合員の就労打ち切りを不当労働行為と認定した。さらに中労委は、同社に対して不当労働行為をおこなったことを認め今後同様の行為をくりかえさないことを誓約する文書の交付命令も確定させた。
関生支部は産業別労働組合の団結権に基づき、この中労委命令を足がかりに行動を展開して「五一闘争」に勝利するまで闘うことを決意している。この闘いは「五一闘争」にとどまらない。反転攻勢への戦略的前進が始まっていくのだ。
ピースフェスタに参加しよう
会場では全港湾大阪支部の小林委員長が大阪市北区の扇町公園で5月21日にひらかれるピースフェスタinおおさかへの参加を呼びかけた。
これは、資本や国家権力との闘いだけでなく、「まだまだ伝えきれない」現状、「若者への関心が拡がらない」現状を打破していくために企画されたものである。シンガーソングライターの川口真由美さんが実行委員長となり、10組のアーティストが無償で参加する。韓国からはモッチン・ソノンというグループが参加する。入場無料である。可能な人はフラッと立ち寄り、反転攻勢への闘いを共有していこう。(米村泰輔)
五一社抗議闘争
仲間を職場に戻せ
4月25日東大阪市
雨の中、力強くあいさつする七牟礼副委員長(4月25日、東大阪市内) |
4月25日、生コン製造企業の株式会社・五一社に対する抗議集会が東大阪市の布施・三ノ瀬公園でおこなわれ、降りしきる雨の中、50人を超える仲間が集まった。
最初に主催者を代表して全日建連帯労組関西地区生コン支部(以下、関生)・七牟礼副委員長があいさつ。連帯のあいさつが、新社会党・松平要東大阪市議、全港湾大阪支部、なかまユニオン、関西合同労働組合からあった。さらに不当解雇された当該から「勝利するまで闘う」と熱い決意表明がおこなわれた。
集会後、近くにある五一社にむけてデモがおこなわれた。同社の敷地は広く、高い塀で囲まれている。「仲間を職場に戻せ」「東大阪市は不当労働行為企業を放置するな」というシュプレヒコールに五一社の近くのマンションから住人が身を乗り出してデモに注目していた。
不当労働行為企業・五一社
五一社は関生支部に対する団交拒否や組合員の就労を打ち切るなど組合破壊の限りをおこなってきた企業だ。あまりにひどい不当労働行為に大阪府労委では当然、関生支部に勝利命令が出された。しかし、五一社は府労委命令を一切守ろうとせず、中労委に申立をおこなったが、中労委は本年2月2日、五一社を「不当労働行為企業」として認定した。五一社の不当労働行為は確定したのだ。
反転攻勢の第一弾
関生支部は3月6日、生コン産業の産業別労働組合としての団結権を全面的に認める大阪高裁判決をかちとっていることは周知のとおりである。なお、この判決は検察が上告を断念したので確定判決になっている。
関生支部と地域の仲間は、この確定判決と労働委員会命令を武器に4月13日、反転攻勢への総決起集会をおこなった。五一社への闘いはこの反転攻勢の第一弾でもある。当該を先頭に団結をさらに固め、地域の仲間とともに勝利していく道は切り開かれたのだ。
五一社闘争の勝利性
中労委が五一社を「不当労働行為企業」として認定した以上、五一社には初審の大阪府労委命令から逃げられなくなり、遵守する以外の道はなくなった。遵守を拒否すればするほど五一社は自分の首を絞めていく。遵守しない企業にはさらに団結権の行使がおこなわれていくのだ。
地域の団結の力で勝利を
今後、五一闘争は継続して闘われていく。このとき力になるのが地域の団結の力だ。不当労働行為企業に対する対処を東大阪市議会で追及していく陣形も始まった。当該を先頭とするこの粘り強い闘いは必ず五一社を追い詰めていく。五一闘争を反転攻勢の突破口にしよう。(米村泰輔)
5面
岸田政権によるカジノIR認定弾劾
府庁前で緊急抗議
4月14日
4月14日、正午から大阪府庁前で、岸田政権によるカジノIR区域整備計画の認定に抗議する緊急行動がおこなわれ百人を超える人が集まった。(写真)
この間の経緯
◇3月29日、「IR認定判断、統一地方選後に先送り」の報道。
◇4月9日、統一地方選挙(前半)があり、大阪府知事、大阪市長選挙がおこなわれ、史上最低の投票率の中、いずれも維新の知事、市長が当選した。
◇4月14日早朝、「岸田首相がカジノIR区域整備計画を認定」と報道。
◇同日9時半ころ、公明党の斎藤鉄夫国交相が正式に認定したと発表された。
大石あきこ衆議院議員が国会質疑
同日11時50分から大石あきこ衆議院議員が内閣委員会で、カジノに関する質疑をおこなった。
同議員は「選挙で勝てば民意」はダマし絵、今後公開される審査プロセスや契約書を徹底検証し、認定を撤回させよう、撤回させることはできるという立場から質問した。
同議員は概略、大阪府知事選挙、大阪市長選挙の出口調査ではIRの賛否は拮抗している。賛成35、反対38で反対が上回っている。しかし、カジノ反対の半数が維新の吉村知事に投票している。つまり、多くの有権者の投票行動はカジノ誘致の賛否とは別の視点でおこなわれたのだ。都構想を否決した2度の投票結果を見てもカジノIR反対の民意が大きいことは明らかである。したがって今回の統一地方選挙の結果はカジノ誘致賛成の民意ではない。
大阪府庁前で激しい抗議行動
大阪府下から駆けつけた人たちから激しい抗議の声があげられた。大阪市内だけでなく、枚方市や豊中市等々からも抗議の声があげられた。
認定を撤回させる行動を
カジノIR区域整備計画はいくら情報開示請求をしても真っ黒に塗られて出てくる。ほとんどが非開示になっている。
建設予定地の大阪市の夢洲は産業廃棄物や大量のゴミで埋め立てられた土地だ。地震による液状化や土壌対策は不当にも大阪市の負担となっているが、地盤沈下に対する経費はカジノ業者が負担するのか大阪市が負担するのか、これはまったく秘匿されている。こんな状況でカジノIR区域整備計画を認定した岸田政権は許されるものではない。審査プロセスやカジノ業者との契約書等を開示させ、徹底検証し、なんとしても撤回させよう。
あかんやろ!カジノ 女性パレード
カジノいらん、バクチは犯罪
赤いものを身につけアピール(3月30日、大阪市内) |
3月30日、大阪市内で「あかんやろ! カジノ 女性パレード」がおこなわれた。この日は、第4回目となり、〈女性にっとワーク@おおさか〉と〈「あかん! カジノ」女性アピール〉が主催。赤いものを身につけ50人が参加した。
本町の公園で集会後、御堂筋を難波まで元気にパレードした。「カジノがくれば、大阪破綻」、「愛はないのにIR(愛あーる)」、「カジノはいらん、バクチは犯罪」と、道行く人々にアピールした。
旅行中のイスラエル人が集会からデモ最後まで参加したり、デモでは若者が飛び入りするなど反響があった。
連載 ミャンマー情勢(5)三船二郎
相互絶滅戦への突入
民主派の支援を
ロイターなど世界のマスコミが3月28日、民主派の最大政党である国民民主連盟(NLD)を国軍が解党処分にしたことを報じた。これをどう考えるべきか試論として意見を述べたい。
国軍の破綻
2021年2月にクーデターを起こした国軍は短期間で抵抗を鎮圧できると考えていたが、逆にミャンマー民衆の国軍に対する激しい怒りが燃え上がった。国軍の思惑は完全に外れたのだ。クーデターから2カ月後の同年4月16日、ミャンマー民衆は国民民主連盟(NLD)を中心にして国民統一政府(NUG)を樹立し、さらに同年9月7日には国軍に対する防衛戦争を開始するに至った。ミャンマー全土333郡のうち250郡に郡単位の市民防衛隊が発足し、さらに400を超える都市ゲリラ隊が地下活動をおこなうに至っている。
ミャンマー民衆の激しい闘いによって「総選挙」を実施できない状況に追い込まれた国軍は2月2日、ザガイン管区やマグウェー管区等の37郡区に戒厳令を敷き、民衆の自治組織や市民防衛隊等を破壊するために絶望的な絶滅攻撃を開始した。国軍は村々を戦闘ヘリで空爆し、重火器で無差別襲撃をかけ、民家に放火し、逃げ遅れた村人たちを拷問にかけ、生きたまま焼き殺す残虐な行動に出ている。また、民主派のリーダーを斬首する恐怖政治をおこなっている。
4割を超える団体が政党登録を拒否
こうした恐怖政治と解党処分を背景に国軍は「総選挙」のための政党登録を強要したが、これまで政党登録されていた90団体のうち、国民民主連盟(NLD)を含む40団体が政党登録を拒否するに至っている。国民民主連盟はただちに「国民がいる限り国民民主連盟は存続する」と民衆とともに国軍を打倒する声明を発表した。
相互絶滅戦への突入
国民統一政府(NUG)は「国軍を支えるすべての組織を法に従い処罰する」と宣言し、同政府は3月27日、マグウェー管区で軍事訓練の修了式典を開催し、武器の引き渡しをおこなった。同政府は民主的な法に基づいて国軍と国軍を支える組織を処罰していく中で民主的な自治組織をさらに育てていこうとしている。
以下、民主派の闘いの一部を紹介する。
3月14日 マンダレー管区とザガイン管区で国軍への密告者6人を殺害。
3月20日 ヤンゴン郊外でオートバイの集団による銃撃で地区長3人が死亡。
3月25日 カイン州ミャワディ郡区でカレン民族解放軍(KNLA)および市民防衛隊(PDF)の合同軍と国軍の間で戦闘が発生し、国軍兵士50人以上が死亡。国軍にはロシア、中国、インドから武器や財政支援があるが、ミャンマーの民主派にはどこからも支援がない。
米英豪日の非難声明
米英豪日は3月29日、解党処分を強行した国軍に対する非難声明を出した。米国務省のパテル副報道官は「40政党が解党に追い込まれたことについて米国政府は断固抗議する。ミャンマー全土で軍評議会に反対する活動が活発になっている状況下で、国民民主連盟(NLD)などの民主化勢力が不在のまま総選挙をおこなえば、国内の治安はさらに不安定になる」と警告した。
日本の二枚舌
岸田政権は「アウンサンスーチ国家最高顧問を含むNLD幹部を即時解放し、全ての関係者を含む形での平和的な問題解決に向けた道筋を示すよう強く求めます」「政治プロセスからのNLDの排除が一層進むことにより、事態の改善が更に困難な状況になることを深刻に懸念します」(外務省HP)としているが、それならば国民統一政府(NUG)をミャンマーの正統な代表としてただちに認めるべきなのだ。英米豪やEU等はすでに国民統一政府(NUG)をミャンマーの正統な政府として認めているのに日本はいまだに認めることを拒否している。それだけではない。米英やEUなどは国軍に対する制裁に踏み切っているのに、日本は制裁どころか逆にODAという形で毎年1900億円もの巨額の資金を国軍に渡して国軍を支えているのだ。
在日ミャンマー人との連帯を
「技能実習制度」という劣悪な労働条件でミャンマーをはじめとするぼう大なアジアの民衆が日本で就労している。その就労先を維新などがあっせんしているともいわれている。
岸田政権は入管法改悪法案を今国会に提出するだけでなく、国軍をあくまでも支えていこうとしている。岸田政権への批判をさらに強めていかなくてはならない。
この闘いの中で国民統一政府(NUG)への財政支援を含め、さまざまな支援を日本の地で大きく、強く、広げていくことが求められている。国軍の絶望的攻撃を打ち破るために、この課題をなんとしてもやりぬこう。
6面
生活保護基準引き下げ違憲訴訟 4月14日
大阪高裁が国策不当判決
判決を弾劾する小寺アイ子共同代表(4月14日、大阪市内) |
不当判決弾劾 国策を打ち破ろう
4月14日、大阪高裁(第1民事部・山田明裁判長)は、原告が勝訴した1審の大阪地裁判決を全面否定する不当判決を出した。裁判長の判決理由読み上げが終わると、傍聴席から「不当判決!」という大きな抗議の声が上がった。
この間、生活保護基準引き下げ違憲訴訟は各地で原告勝訴判決が続いていたが、その勢いを断ち切ろうとするものでもあった。
生存権の否定
「2008年のリーマンショック」によって「一般労働者の世帯において賃金が下落し、失業率が上昇している一方、減額改定がなされていなかった生活保護受給世帯においては収入が変わらないため、物価の下落分だけ実質的な可処分所得が増加」したのだからその分を減額した厚生労働大臣の判断には「過誤、欠落等」があるとはいえないというのである。「一般労働者の世帯」の収入が減少したら生活保護受給者の保護基準は引き下げてもよいというのは生活保護受給者の生存権を根本から否定することである。
争点から逃げまくる
本件の最大の争点のひとつは、引き下げの国の計算が妥当かどうかである。原告勝訴の判決を出した東京地裁、大阪地裁など全国9つの各地裁はこの点に具体的にふみこみ、国の引き下げは違法と断じたのだ。しかし、大阪高裁はこの最大の争点について具体的にふみこまず、判断を避け、原告を敗訴させるために国の主張を丸のみしたのだ。
受給者は我慢しろ?
山田裁判長は保護基準の引き下げによる原告の苦痛は理解できるが、しかし、その苦痛は「リーマンショック後の経済状況の悪化の中で」「国民の多くが感じた苦痛と同質のもの」であると言う。つまり、みんな苦痛を受けているのだから生活保護受給者は文句を言わず我慢しろというのである。こんな高裁判決は弾劾あるのみである。
公約による引下げは違法ではない?
本件引き下げは、下野していた安倍晋三が2012年、保護基準の1割カットを公約に掲げて政権に復帰したことから始まっている。第二次安倍政権が発足すると翌2013年には保護基準が最大10%引き下げられた。
大阪高裁判決は、保護基準を引き下げるという自民党の選挙公約による「政治的判断が本件改定の契機の一部であったことが認められる」、しかし、それが「契機となったからといって、本件改定の動機が不正なものであることが推認されるものではない」、したがって違法ではないというのである。
原告の声
◇新垣敏夫さん
今日の結果は言葉にならないほどの一審判決を全否定された判決だった。非常に怒り、くやしさに満ちた判決だったと思います。私はこの控訴審において引き下げによる不利益を意見陳述等で訴えてきましたが、これを全否定され非常にショックを受けております。今はあまり言葉はありません。
◇小寺アイ子さん
ほんとうにありがとうございました。ほんとうに残念な結果となりました。この前、原告交流会があり、そこで小久保弁護士から高齢の84歳と82歳の姉妹が生活保護を受けるのはいやだとして妹が「お姉さん、ごめんなさい」といって姉を殺してしまったということを聞きました。
私はこの裁判で勝って本当にそういうことをなくし、みんなが幸せになれる、誰でも生活保護というのを受けられるんだよと、そして、みんな幸せになれるんだよということを願っていました。この裁判、本当にくやしいです。怒りがわきます。私たちはこれからも闘います。みなさんも今まで以上に大きなお力をいただけますように、本当にお願いいたします。
国策との闘い
保護基準引き下げは第二次安倍政権以来の国策である。小泉政権以後、顕著になってきた新自由主義にとって、生活保護制度の存在自体がじゃまなのだ。資本家階級と国家権力は憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を破壊し、返す刀で労働者へのさらなる賃下げや労働条件の破壊をやろうとしている。
リーマンショックのときのように社会保障の運動と労働運動がスクラムを組んで国策に立ち向かい、原告とともに弁護団、支援が一体となってこの不当判決をうちやぶっていこう。(三船二郎)
今こそ、生活保護をあたり前の権利に
ーー衆院会館で集会
大阪高裁の不当判決を許さない(4月14日) |
4月17日衆議院第1議員会館大会議室で「今こそ、生活保護をあたりまえの権利に!〜『いのちのとりで裁判』の成果と課題〜」という集会が開催された。全国各地の生活保護基準引き下げ違憲訴訟の原告団代表や弁護士、支援者、野党国会議員など190人とオンラインで600人以上が参加した。大阪高裁での逆転敗訴判決への怒りやショックがさめやらぬ中、熱気にあふれ、何を勝ちとっていくのかが明確になった良い集会だった。
大阪の小久保哲郎弁護士は、基調報告「裁判の現状、到達点と課題」をおこない、大阪高裁判決は名古屋地裁を初めとする不当判決群への「先祖返り判決」であり、理は私たちの側にあると提起。大阪・神奈川・東京・埼玉・熊本・青森・北海道・愛知・京都・静岡などの原告から決意と報告があった。共同代表リレートークで雨宮処凛さん(作家)と井上英夫さん(金沢大名誉教授)の話、尾藤廣喜弁護士の行動提起の内容を紹介します。
生活保護を利用しやすいものに
雨宮処凛さんは、この3年間新型コロナ緊急アクションには、2000件のSOSがきて10〜30代が6割で、7割以上が家がないと話し、諸外国の生活保護と比べ、日本はひどいことを示した。他の国は、使いやすくして、政府広報をして貧困をなくすことをしている。韓国は、生活保護から国民基礎生活保障に名前を変えた。また、医療費だけ、教育費だけ、住宅費だけとか給付がバラバラで使える。月給13万の人は家賃丸ごとただにするという使い方もできる。生活保護の補足率は日本は低いが、韓国では世論が動き補足率を上げるためにすごいキャンペーンをした。
ドイツでは、コロナ禍ですぐ労働社会大臣が、生活保護を利用する国民が120万世帯いるということを見込んで、生活保護の利用を呼びかけた。また20年3月に家賃を滞納しても最大2年間家を追い出せないと決めた。日本だと残金数万円にならないと、生活保護が利用できないが、ドイツではコロナ禍前は残金130万円で利用でき、コロナ禍では残金800万円以下で利用できるようにした。今考えるべきは引き下げではなくて、緊急に使えるものに、利用し易いものにすることだ。
生活保護は憲法が保障する人権
井上英夫さんは、「権利としての生活保護」とは、人権として保障されるべき生活保護、人権としての生活保護でなければならないと話した。日本政府、安倍元首相らが言っているのは、生活保護法によって与えられた権利、恩恵あるいは公助という古い考え方だ。
小川政亮先生が、人権としての社会保障という考え方を朝日訴訟の中で形成され、その訴えが大きな力になった。勝訴判決と敗訴判決の大きな違いは、生活保護を憲法25条の生存権保障を具体化したものであると捉えるか、生活保護法によって与えられた権利で、侵害するのも剥奪するのも、立法府の自由である―これが立法裁量とか、裁量論というものでこの2つの考え方が対立している。今回の大阪高裁の敗訴判決が典型。今後、生活保護引き下げを違法だけでなく憲法違反だというところまで認めさせていくことが大きな課題だ。
生活保障法制定へ
尾藤弁護士は、今の裁判の状況は9勝10敗。大阪高裁判決で負けたからといって、これで大勢が決まったと考えていない。初戦で負けても、その問題点を分析し、運動を盛り上げ、これから続く裁判で勝訴を続け、必ず勝ちきるまでたたかわねばならないと訴えた。
私たちは、何を求めてたたかっているのか。違法な引き下げの取り消しと被害の回復を求めているが、それだけではなく生活保護をつくりなおすたたかいだと提起した。「透明性が確保され当事者、弁護士、支援者が参加した上で、健康で文化的な生活が保障される基準の決定」と「生存権が保障される制度の確立」をめざしている。具体的には@生活保護基準の改定にあたっては、基準部会等の検証を経ることを制度化すること、A基準部会委員に当事者、弁護士、支援者を入れることなど。また、すべての人にとって利用しやすい生活保護制度にするために、@扶養照会の廃止、A自動車について生活用品としての保有の容認、 B大学生等の世帯分離をやめることなど。生活保護法ではなく「生活保障法」に名称を変え権利性を明確にすること、韓国のように単給を認めることなど求めていく。各地で運動を取り組み、24年4月か5月頃日比谷野外音楽堂で大規模な集会・パレードをおこなう予定。最後に「権利はたたかう者の手にある」(朝日茂・健二さんの言葉)で締めくくった。(花本香)
7面
入管法改悪反対キャラバン&デモ
「フィナーレ大阪大結集」に200人
4月15日
4月15日、入管法改悪反対キャラバン&デモin近畿のフィナーレ「大阪大結集」がおこなわれ、のべ2百人が参加した。
まず大阪駅近くの西梅田公園で集会、その後、中之島公園(市役所南側)まで、デモ行進。デモ終点の中之島公園で再び集会をおこなった(写真は1面)。雨の降る日だったが、それゆえに、この日のデモは、道端のギャラリーに、「寒い雨の中、なんなんや?」という注目、関心を引き付ける、まさに「デモ日和」と集会に集まった人々を激励する熱いメッセージがあった。
スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(33、女性)が、2021年、名古屋入管で亡くなって以来、「入管法」とその実態に関しては、大きな懐疑の渦が国のすみずみにまで巻き起こっている。同年、入管法改悪案は、全国的な猛反対で廃案となった。
それ以降も、サンダマリさんの死の真相究明と「入管」手続き(入国審査)から、強制送還、残される当該の家族、親族の人権保護まで、怪しい暗黒の処置が引き続いていることの本質的問題を巡って、この集会・デモの主催者〈入管法改悪に反対する近畿の弁護士有志の会〉は、近畿一円のキャラバンを提起し、成功させた。
雨中に廃案求める緊急行動(4月25日 大阪市内) |
15日「大阪大結集」集会
この日の集会には、参議院議員繰り上げ当選の社民党副党首・大椿ゆうこさんが、連れ合い(スペイン・バルセロナ出身のカタルーニャ人)と一緒に登壇しスピーチした。この「入管法改悪」問題は、ひとごとではない。日本の人々へも人権問題として強く影響することになると訴えた。
次に、衆議院議員れいわ新選組の大石あきこさんからの連帯・支援のメッセージ。戦前のムード作りをする国威発揚派、軍拡武器商人派に警戒するよう訴えた。
集会で、ほとんどの発言者の結論は、現「入管法」への改善処置では届かない本質的な問題があり、改悪案は先ず廃案にして、新しい根本的な議論をしようということ。(南方史郎)
入管法の改悪に反対する大集会 国会前
修正ではなく廃案へ
4月21日
4月21日、「入管法の改悪に反対する大集会」が国会正門前で開かれ、2000人が参加した。主催は入管法の改悪に反対する大集会実行委員会(反貧困ネットワーク、#FREEUSHIKU、Save Immigrants Osaka、Voice Up Japan、REBEL FOR THE FUTURE)。
国会前集会にあわせて同日、札幌、仙台、名古屋、大阪、高知、広島でもアクションが開催された。大阪でもJR大阪駅前(ヨドバシカメラ前)で抗議スタンディングがおこなわれ百人が集まった。
大阪駅前のヨドバシカメラ前で抗議スタンディング(4月21日) |
国会正門前
ウィシュマ・サンダマリさんの遺族側代理人の指宿昭一弁護士は、「名古屋入管で、ウィシュマさんに点滴治療をしていれば命は助かった。しかし入管は何も処置をせずに彼女の命を奪った。そんな入管に制度を変える資格はない。修正協議の話が出ているが、修正はありえない。廃案一択しかない。来週この2倍の人が集まり、ゴールデンウィーク明けに3倍が集まれば廃案に追い込むことはできる」と訴えた。
ウィシュマ・サンダマリさん遺族も登壇して、改悪反対を訴えた。
国会議員、市民、学生、著名人からのリレースピーチが続いた。ジャーナリストの安田菜津紀さんは「このような差別的、非人道的な法案に無関心でいられる人たちのことを政府が善良な市民と呼ぶならば、私はそのような善良な市民であることを拒否します」。
改悪案は大問題
国会正門前
そもそも現行入管法自体が問題だらけの法律であるが、その改悪はいっそう大問題である。
(1)現状では難民申請中は強制送還されないが、それを変更する。申請は2回を限度とし、それ以降は申請を認めず、難民申請者を強制送還する。ただでさえ低い、日本の難民認定率で、さらに申請回数を2回までとすることで、今まで以上に強制送還のハードルが下がる。
(2)自国に戻れば身の危険があるなど、さまざまな理由で帰国できない人に帰国を命じ、従わなければ刑罰(強制送還拒否罪)を科す。つまり、帰国できない人を、帰国できないという理由だけで、刑事犯罪者にしたてあげる。強制送還を拒否すれば刑事犯罪人とされ、刑期が終わると、また強制送還対象となり、拒否すれば再度、刑事罰を科され、刑務所送り。この無限ループに放り込まれる。
(3)在留資格のない外国人に対する無期限・長期収容する現行制度を維持する。この制度は司法の判断がまったく届かず、すべて入管の独裁でことが進められている。日本国憲法の届かない、無法地帯の世界だ。日本の入管体制・制度は、とても近代国家・民主国家といえるような代物ではない。国際的にも批判があがっている。
(4)監理措置制度を創設し、収容から解放された人について、原則として就労を処罰対象とし、監視を強める。いままで寄り添って支援していた支援者が、「監視する側」にまわらされる。
(5)在留資格が無い人への、在留特別許可による救済を狭める。
抗議の声で廃案へ
政府与党は4月28日の入管法改悪案採決を目指し、「修正協議」の調整に入っている。しかし修正で済むような改悪ではなく、多くの世論は「廃案一択」だ。人を人として扱わない入管法・入管体制。それをさらに改悪する今回の動きは、とても容認できない。いっそう抗議の声を強めて、廃案に追い込もう。
第五回大逆事件サミットin神戸
岡林寅松・小松丑治の足跡をたどる
5月27日(土)神戸・学校厚生会館
第4回サミットで講演する山泉進明治大学副学長(2018年、和歌山県新宮市) |
大逆事件(1911年)では、多くの社会主義者や無政府主義者が明治天皇の暗殺を企てたとして検挙、処刑された。
26人が検挙され、2人が有期刑、24人に死刑が求刑された。審理は完全非公開、証人申請はすべて却下、わずか1か月の審理で、幸徳秋水や大石誠之助等12名が死刑、12名が「天皇の恩命」と称する特赦で無期懲役の判決が下されている。そして判決後1週間足らずして死刑が執行されている。
起訴から刑の執行に至る異常な速さのうちに、この事件の異常な背景が浮き彫りにされている。
いうまでもなく、いまでは、完全なフレームアップであったことが明らかになっている。
日清、日露の両戦争、韓国併合へとアジアでの覇権を拡大、軍国主義的強国路線を進める支配層にとって、批判勢力であった社会主義者や民主主義者、非戦を唱える反軍国主義者は許せない弾圧の対象であった。おりしも、社会主義者たちに対して融和的だとして西園寺内閣を倒した桂内閣が誕生した。桂内閣が反動的政策への転換を鮮明にするために大逆事件は、いわば見せしめとしてでっち上げられた側面もある。
犠牲者を出している地域では、犠牲者たちの名誉回復を求める運動が進められ、四万十市や和歌山県新宮市では、市議会で顕彰決議や名誉市民決議が行われている。このような犠牲者を顕彰し、大逆事件の真実を明らかにする運動は各地で続けられ、隔年ごとに「大逆事件サミット」が開催されてきた。神戸では、岡林寅松、小松丑治が起訴され、死刑判決ののち減刑され無期懲役となった。
第5回大逆事件サミットの神戸開催を機に、一人でも多くの皆様に、非戦を貫き、そのために身をささげた人たちがいたことを知っていただけるなら幸いである。(よびかけチラシより)
第5回大逆事件サミットin神戸
とき:5月27日(土)午後2時〜
ところ:神戸・学校厚生会館(JR「元町」北)
講演@「大逆事件の真実」
山泉進さん 大逆事件連絡会議事務局長/明治大学名誉教授 著書『平民社の時代 非戦の源流』など多数
講演A「神戸の大逆事件の犠牲者―岡林寅松・小松丑治」
上山慧さん『神戸平民倶楽部と大逆事件』著者
各地からの活動報告と交流
フィールドワーク(5月28日9時〜12時)
小松はるの養鶏場跡
神戸多聞教会 夢野橋など
小松丑治・岡林寅松ゆかりの地を訪ねます
参加費:1000円
連絡先e-mail:kimioama@yahoo.co.jp
主催:大逆事件の真実をあきらかにする会&大逆事件を明らかにする兵庫の会
8面
長期読み切り 連載
先人たちの成功と失敗を学び現在に生かそう
ストライキの時代が到来
日本経済の心臓部に闘いの炎B
テレビで日本の近現代史を扱ったドキュメント番組には、必ずといっていい程、恐慌下の労働者の闘いのシーンに、1921年の神戸における川崎・三菱両造船所大争議のデモが登場する。これは京都の映画会社日活の撮影隊が映したもので、絵葉書にもなった。
当時、神戸は全国一の工業都市で、3万人余の労働者が45日間にわたって闘った戦前最大の争議であった。
大阪に燃え上がった闘いの波は神戸にも波及し、6月25日、三菱内燃機(以下、内燃機。現・三菱航空機株式会社/三菱重工業の子会社)の労働者によって火ぶたが切って落とされた。
戦後恐慌と高まる軍縮気運のなかで、造船業界は深刻な不況に陥っていた。経営者は労働強化や「不良分子」の解雇、実収賃金の削減などによって危機を乗り切ろうとした。
内燃機は2年前、三菱神戸造船所の内燃機工場が一企業として独立したものであった。しかし三菱電機神戸工場とともに、資本系統からいっても、場所的歴史的つながりからも三菱造船所(現・三菱重工業)と固く結びつき、同じ就業規則のもとに労務管理がおこなわれていた。
内燃機では工事量が著しく減少し、3月に入ると請負工事がゼロになった。労働者の収入は激減し、労働者数も5月末の1091人が1カ月後には886人になった。約20%の減少であり、労働者の間に解雇の不安が広がっていた。6月24日、百人程の労働者が集まって協議し、翌日、団体交渉権の確認をはじめとする要求書を提出した。
26日には神戸発動機工労働組合が発足し、犠牲者には1人・百円を付与することなどを決めた。
このような労働者の動きにたいして、三菱3社は重役会を開き、要求を拒絶することと、今後一切強硬な態度で臨む方針を決めた。
内燃機の労働者の動きとほとんど時を同じくして、川崎造船所(以下、川崎。現・川崎重工業)本社工場電気工作部の労働者も闘いの準備を始めた。彼らの決起に直接火を着けたのは、つぎの2つの問題であった。
6月末、会社は創業25周年記念の祝賀金を分配したが、一般労働者は最低わずか2円という涙金に過ぎなかった。あまりにも不公平な配分に、労働者の不満が募った。
また6月21日、電気工作部の1人が海上作業船に向かう途中、ランチから海中に墜落し、28日にいたるまで7日間も発見されなかった。
会社の度重なる不誠実な対応に、労働者の怒りは頂点に達した。28日、電気工作部の各工場では労働者が仕事につかず、歌をうたったり喚声を上げたりして怠業状態に入った。
同夜、青柿善一郎を中心に68人の有志が集まり、電気工組合・電正会を結成した。そして要求書の提出、交渉委員の選任、日給1日分を出し合って活動資金にすることなどを決めた。
会社は「外遊中の社長が帰国するまでは回答できない」と突っぱねた。会社は最後までこの頑迷な姿勢を崩さなかったのである。
7月7日、電正会の労働者たちは定時入場のあと、隊列を整え、旗を立てて石油缶をガンガンたたきながら行進した。そして普段どおり就業中の労働者に迫って仕事を中止させ、全工場の仕事をストップさせた。同日、会社は組合側交渉委員全員を解雇した。
その翌日、川崎本社工場で、既にすべての工場ごとに結成されていた労働組合がストライキ宣言を発した。そして川崎・三菱の両争議団が1本化され、共同歩調をとることを決議したのである。
「阪神赤化す!」最大の工業都市神戸で4万人が大デモ
7月10日、この日は日曜日で、友愛会を中心にした神戸労働組合連合団が主催して大示威行進がおこなわれた。
川崎・三菱の争議団3万人余に加え、既にスト突入中もしくは怠業中の神戸製鋼や台湾精糖、ダンロップゴムをはじめとする市内のほとんどの工場、さらに尼崎の久保田鉄工(現・クボタ)から多くの労働者が合流した。京都や大阪・和歌山などからも応援の労働者が馳せ参じた。総勢約4万人にのぼる労働者が、スローガンを大書した長い幟を数十本もなびかせつつ、神戸市内を歩武堂々と行進したのである。
デモ隊は会下山遊園地に結集したあと、各新聞社、川崎本社、兵庫分工場を訪問した。デモの長さは8キロ余りにも及んだ。沿道の市民はこぞって歓迎した。店先に氷水やラムネなどをおいて接待した商店は300軒を数えた。号外を発行した『毎日新聞』神戸支局のビルから、色とりどりの紙吹雪がデモ隊の頭上に降りそそいだ。
東京のメーデーでさえ2千人を超えないなかで、この労働者の大行進はまさに空前の快挙であった。デモが無事終えたとき、スクラムを組んで先頭を歩いてきた友愛会兵庫連合会の賀川豊彦ら幹部たちの眼は、感激の涙で潤んでいた。『大阪朝日新聞』はこの日の光景を「阪神赤化す!」という大見出しで報道した。
(基本は読み切り連載ですが、紙面の都合でこの項のみ、次回につづきます)
(シネマ案内)
ドキュメンタリー映画
『聖地には蜘蛛が巣を張る』
監督:アリ・アッバシ 2022年
監督のアリ・アッバシはイラン系のデンマーク人。この作品は、23年前にイランでおきた殺人事件を題材にしている。イラン第2の都市マシュハドはシーア派の聖地であり、年間2千万人の信者がイマーム・レザー廟に参詣する。この聖なる行為と裏腹に、夜の街には街娼があふれている。当局は見てみぬふりをしている。2000年から翌年にかけて、ここで16人の街娼が絞殺される連続殺人事件が起きた。犯人は殺人をおこなうたびに、「社会を浄化するためにおこなった」という犯行声明を発している。
映画では、次のようなストーリーになっている。女性ジャーナリストのラヒミは、この事件に関心をいだき、記事にするためにマシュハドにやってきた。彼女は取材しながら犯人を追い求める。ラヒミはみずから囮になることによって、ついに犯人は逮捕されるのだ。この映画は、連続殺人事件がもつサスペンスを強調するのではなく、売買春すなわち女性差別について社会的関心をなげかけている。
犯人のサイードは熱心に働き、家庭や友人にもめぐまれ、この点で平凡な小市民だ。彼は家庭生活に不満をいだいているわけではない。サイードは敬虔なイスラム教徒。だからこそ、「けがれた売春婦は社会の敵」という宗教的意識が極端につよく、夜になれば人が変わってしまう。サイードはイラン・イラク戦争で戦場に行っている。映画では、戦争におけるトラウマも示唆されている。
犯人に同情する世論
犯人が逮捕されたが、連続殺人事件はこれで終わらなかった。この事件が特異なのは、むしろ次の点である。サイードは「わたしは社会のために正しいことをおこなった」という主張をつらぬく。家族は彼の主張に同調する。また、一部の世論はサイードに同情的であり、無罪を要求している。
裁判においては、売春婦という問題がクローズアップされて、世論を巻き込んで展開されていく。犯人をどのように処罰するべきか。これが社会的な関心になっていった。
女性差別が根本に
イランで、売買春は法的に禁止されており、売る側も買う側も罰せられる。しかし、売買春は現実におこなわれている。イランでは、イスラム教による女性差別的な戒律と、社会的な女性の貧困問題がよこたわっている。
日本でも同じだ。売春禁止法があっても、売買春は公然とおこなわれている。買う側が罰せられることは少ない。
どこの国においても、女性差別が存在し、経済的に女性が貧困になっている。売買春問題をみるとき、ここを基盤にすえて考える必要がある。
映画のラスト
サイードは絞首刑になって、この事件は「解決」したことになる。しかし、犯人が死刑になっても、売春せざるえない女性の問題は解決してはいない。サイードの差別思想は、社会的に受け継がれていく。ラストのエピソードはこのことを物語っている。売買春は簡単に解決する問題ではないが、女性差別問題が根本にあることをしっかり押さえておきたい。(鹿田研三)