安倍顕彰の国葬を許さない
反共カルト集団=統一教会
自民党は絶縁を宣言せよ
国葬反対をかかげ3日間連続で行動(8月3〜5日 東京・国会前) |
国葬反対が多数
9月27日の安倍の国葬に批判が高まっている。何の法的根拠もなく、安倍政治の暗部を隠蔽する国葬は許されない。マスコミの調査でも、国論二分より反対の方が多く、今後も反対は増加する。
それは安倍支配下で隠蔽されてきた、反共テロ集団統一教会と、自民党(特に清和会=安倍派)との癒着が連日露呈しているからだ。統一教会の霊感商法の犯罪性(裁判で敗訴が多数)と、信者への1000万円単位の拠金強要と、それによる家庭崩壊が山上徹也を生み出した。さらに教義内容や合同結婚式のいかがわしさ。政治的影響力は自民党の大量の保守派議員、維新の会・国民民主・立憲民主党にまで及んだ。自民党の憲法改悪攻撃を右から牽引し、家族主義でジェンダー平等や選択的夫婦別姓に反対など、この国の政治を捻じ曲げる役割が白日の下に暴露されているからだ。
安倍反動政治の隠ぺい
強行される国葬の狙いは、何よりも10年近くの安倍政治の犯罪性を隠蔽し、追悼を通じて顕彰しようということだ。すでに各地で独自の追悼行事や、教育委員会が学校に弔旗掲揚の通達をおろすなど弔意の強要が始まっている。
安倍政治は2006年の教育基本法改悪、防衛庁の省への格上げから、第二次政権では、13年の生活保護基準大幅引き下げ、特定秘密保護法制定、15年の集団的自衛権容認の戦争法制定、15年の当事者ぬきの「慰安婦」問題日韓合意、17年の共謀罪法の制定など、戦争と国家統制・人権抑圧の連続だった。一貫して憲法改悪が企まれたが、果敢な人民の反撃で阻止されてきた。
縁故政治の満展開
他方、モリ・カケ・桜など政治的疑惑もオンパレードだった。森友問題では、国有地を日本会議系の人物に安く払い下げ、安倍の国会答弁に合わせ官僚が公文書を改ざんし、近畿財務局の赤木さんが自殺に追い込まれた。加計学園では「腹心の友」と「悪だくみ」し獣医学部を新設させた。縁故主義の最たるものである。また桜を見る会では、自分の支持者に招待状をばらまき、後援会会員を大量に招待し、前夜に不当な安料金で飲食を供応した。これらの疑惑は何一つ晴れておらず、当人が死亡したで済まされるものではない。
貧困と格差が拡大
アベノミクスは当初は「3本の矢」など注目を集めたが、結局株価だけが上がり、人民には利益が「滴り落ちてくる」ことはなかった。賃金は上がらず、デフレも脱却できず、消費税は上がり、生活苦は強まった。「雇用は改善された」と言うが、増えたのは非正規雇用だけで、その典型が山上であった。マスコミを統制し、言論を取り締まり、「あんな人に負けるわけにはいかない」と批判者を敵視し(秋葉原)、逮捕させ(札幌)、社会的分断を強めた。
「安倍外交」を誇るが、対米外交は従属を強め、F35戦闘機など高価な米兵器の爆買いを次々進め、自国の軍事産業が衰退したと指摘されるほどだ。ロシア大統領・プーチンとは27回会いながら、北方領土問題は何一つ前進しなかった。地球儀を俯瞰する外交も言葉だけで、対中国・対韓国の関係を悪化させた。さらに首相退陣後も、核共有化、敵基地攻撃、軍事費2倍化の急先鋒に立った。これらの悪行を清算する国葬は許されない。
統一教会は自民党政策にも影響
統一教会や日本会議と結託し、自民党を右旋回させたのも安倍晋三だ。この間暴露されている通り、統一教会の名前を「家庭連合」へ変更を許可したのは安倍派の下村博文元文科相だ。安倍はUPF大会にメッセージを送付し、統一教会への信認を与えた。また統一教会は、家族イデオロギーを憲法改悪案へさしこみ、自民党政策へも影響も与え、崩壊過程の自民党支配体制を右から再補強した。日本会議とならび自民党右傾化をすすめる二大勢力となり、その総帥が安倍晋三だったのだ。
内閣改造・国葬で幕引き狙う
岸田は安倍の銃撃死を利用し、岩盤保守派を取り込むための国葬を決断した。統一教会問題で支持率が落ち、「岸田の次は3度目の安倍」がなくなるや、岸防衛相(安倍の実弟)などを退任させ、統一教会系排除を装っている。
55年体制の崩壊と政権交代の可能性の時代(1993年〜2012年)を反動的に突破した安倍一強体制(2012年体制)は、安倍の突然死で中心が吹き飛んだ。バブルがはじけ、以降日本経済は沈みっぱなしで「失われた30年」が続いた。これを「新しい資本主義」で突破できるわけがない。
安倍・菅・岸田と首相が代わっても一強体制が持続できるか、それとも彼らを打倒する政治的分岐点にできるかは、安倍国葬反対勢力の飛躍にかかっている。国葬反対闘争で安倍一強=2012年体制と、岸田政治を終わらせよう。9・27に向かい全国各地で総決起を実現しよう。
安倍元首相の「国葬」に反対する兵庫県集会・デモ
とき:8月27日(土)午後5時半
ところ:神戸・東遊園地
主催:市民デモHYOGO/憲法共同センター
安倍元首相「国葬」反対!8・31国会正門前大行動
とき:8月31日(水)午後6時ところ:国会議事堂正門前
主催:安倍元首相の『国葬』に反対する実行委員会
呼びかけ:戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会
安倍元首相の国葬反対!大阪集会
とき:9月19日(月休)午後2時※集会後、デモあり
ところ:PLP会館・5F大集会室
主催:とめよう改憲! おおさかネットワーク/関西共同行動など5団体
核兵器廃絶へ誓いあらた
8・6ヒロシマ平和の夕べ
2022年の平和の夕べは、ペロシ訪台にともなう台湾をめぐる危機と、ウクライナに侵攻したロシア軍が、欧州最大出力のザポリージャ原発を占拠し、原発を盾として闘うウクライナ側を砲撃する中で開催された。
子ども脱被ばく裁判を訴える水戸水戸喜世子さん(8月6日 広島市内) |
小倉桂子さんの被爆証言
世界最多の核兵器を保有する国による核戦争の危機が世界を覆う中で、集会は司会の河野美代子さんのあいさつで始まった。
河野さんは、平和の夕べが、広島―沖縄―福島をつないで毎年開催されてきた意義を語り、2018年の8・6平和の夕べで、被爆証言をした李鐘根さんが先日(7月30日)93歳で亡くなったことへの追悼の言葉を述べた。
つづいて小倉桂子さんの被爆証言がおこなわれた。昨日85歳になったという小倉さんは、「あの光景。私たちが見たヒロシマを世界に」と被爆証言をしてきた。42歳の時、オフィシャルな被爆証言をしていたお連れ合いが亡くなって、以降英語の猛勉強をして被爆証言を世界に発信する「平和のためのヒロシマ通訳者グループ」を立ち上げ、その代表を務めている。8歳の時に家族全員が被爆し、差別を受けた体験に基づく証言は胸を打つ。海外での被爆体験の交流の場で、「世界で最初の被爆者」と名乗ると、アメリカの被爆者に抗議されたという。確かに、1945年7月16日のトリニティ核実験では米国の多くの兵士・住民が被曝している。
この日朝、「広島平和祈念式典」に出席した岸田文雄首相はあいさつで、核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を務めると自らの役割を押し出したが、核兵器禁止条約には参加せずオブザーバーすら送らなかったことには言及せず、米の核の「拡大抑止」の強化を主張し、「最大9基の原発を稼働させる」と宣言している。反核の思いをかえすがえす踏みにじる広島出身の首相など誰も認めない。
福島避難者・福島敦子さんの提起
福島敦子さんは、3・11フクイチ原発事故の被ばく者・避難者として、原発賠償京都訴訟原告団・共同代表をはじめ、伊方広島裁判原告など多くの原発裁判にかかわっている。彼女は、被ばく者・避難者の切り捨て、排除、差別を弾劾し、「被ばくから逃げる権利」を訴えている。自らも父を前立腺がんで亡くし、子ども2人を含め家族全員が被ばくしている。彼女は、行政がSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の記録を住民から隠したために、線量の高い方向に避難して余計に被ばくさせたことや、住民の被ばく限度を環境省の一般的基準が年間1mSv(ミリシーベルト)であるところ、福島県が住民が留まる基準を20mSvにまで引き上げている(原発作業員については2015年に原子力規制委員会が250mSvまで引き上げた)ことなどの不当性を訴えた。「黒い雨」裁判の2021年の勝利が大きな励みになっていると述べた。また今年6月17日の国の責任を否定した最高裁判決を激しく弾劾した。ただし彼女は、それでもって避難の権利の主張をあきらめるのではなく、国も東電も責任のとりようがない原発など廃止すべきという意味だと解釈して、反原発の運動に対する「エールと受け止めます」と述べ、参加者が逆に励まされた。
沖縄から、子ども脱被ばく裁判から
三番目の提起者の三宅俊司さんは広島生まれの被爆二世、弁護士となって今日まで38年間沖縄で活動し、一坪反戦地主会、「日の丸」焼き捨て事件、辺野古・高江の弾圧事件等多くの裁判にかかわってきた。講演の要旨は、「父を返せ、母を返せ」という被爆者の声と、「ヌチドゥ宝」という沖縄の声は同じものだと思っていたが、沖縄を犠牲にしてきた広島を含む日本の加害責任が問われているということであった。
最後の水戸喜世子さんは「子ども脱被ばく裁判から」と題して、熱く訴えた。チェルノブイリ(チョルノービリ)では(補償を)認めさせたが、日本では県の調査で甲状腺がんで手術した人が300人以上いるが、そのうち裁判に立ちあがった人が6人にとどまっていることを暴露した。そのうえで、現在は一体で争われている行政の責任を問う「子ども人権裁判」(行政訴訟)と「親子裁判」(国賠訴訟)は、原告の子どもが来年3月を過ぎると全員が原告資格を失うため、両裁判を切り離して闘う必要があることをとくに訴えた。
集会の最後に発表された集会の賛同者・団体は226、対面での参加者は134人、ズームでの参加者は48人であった。コロナ第7波の中で参加者を絞り細心の注意を払った集会として、大きな成功をおさめた。(落合薫)
2面
美浜3号機重大事故
老朽原発は危険
8月1日
7トンの封水が流出した老朽・美浜3号機(左) |
8月1日、再稼働強行にむけて準備中の老朽原発・美浜3号で重大な事故が発生した。1次冷却水ポンプにつながる封水(シール水)が7トンも流出したのである。放射能量は220万ベクレルと推定されている。
昨年6月23日に、老朽原発うごかすなという圧倒的民意を踏みにじって、再稼働を強行した美浜3号機は、わずか3カ月の営業運転で、特重施設が未完成のため同年10月に停止した。
美浜3号は、このわずか3カ月の営業運転期間中にも、トラブルを繰り返してきた。特重施設の完成をうけて、関電は、この8月12日に並列(発送電)開始を公表していた。通常は再稼働(原子炉起動)から並列までに2〜6日必要であり、再稼働(原子炉の起動)は、8月上旬と予想されていた。2004年8月9日美浜3号機で2次系復水系配管が大破断し、5人の労働者が命を落とすという大事故が起こった。
関電は毎年、この「8月9日」に追悼行事をおこなっているので、美浜3号機の再稼働は、追悼行事以降の8月10日の可能性が高かった。
老朽原発うごかすな! 実行委員会は、「8・10老朽原発・美浜3号再稼働阻止現地緊急行動」をよびかけていた。
そのさなか、美浜3号機で、重大事故が発生したのである。関電は、事故を軽微に装うために「漏水が発見された」などとごまかしているが、放射能を含む7トンものシール水が外部に流出したということは漏水のレベルを超えて、水が噴出したということを示している。この事故の原因については調査の段階であるとしているが、はっきりしていることは、老朽原発・美浜3号機には想像以上の、危険や機器の劣化が起こっているということである。
関電は今回の事故の原因特定と対策のため8月12日の並列は延期すると正式に発表した。運転開始以来46年になろうとする美浜3号機の再稼働を絶対に阻止しなければならない。そのたたかいは、今後の反原発闘争の帰趨を決するたたかいでもある。世界的に見ても1980年代に建設された多くの原発が40年を迎えようとしている。そのとき、「3・11」を経験した日本が40年超え運転に踏み切れば、世界的に大きな影響を与えることになる。
老朽原発・美浜3号の再稼働を絶対許すな。老朽原発・美浜3号再稼働阻止の行動と声を集中しよう。美浜3号はまだ動いたわけではない。ありとあらゆる創意工夫した行動を起こし、なんとしても美浜3号の再稼働を阻止しよう。全力で闘おう。
関電前会長らに「起訴相当」
「起訴相当」の議決書が出た(8月1日 大阪) |
関電役員(当時)による金品受領や、役員報酬の減額補填について、大阪第二検察審査会は8月1日、八木誠前会長、森詳介元会長、岩根茂樹元社長を「起訴相当」とする議決書を公表した。
一連の関電役員による金品受領などについて、「関電の原発マネー不正還流を告発する会」が、大阪地検に告発していたが、不起訴になった。この決定に対して、検察審査会に審査を求めていたもので、検察審査会は「起訴相当」を議決した。大阪地検は再捜査をおこない3カ月内に結論を出さねばならない。もし、大阪地検が再度不起訴としても、再び検察審査会で「起訴相当」が議決されれば、強制起訴となる。
今回の高浜町元助役による多額の金品が関電幹部に還流していた問題は、原発をめぐるヤミのカネの流れの一端をかいま見せたが、それも氷山の一角に過ぎない。原発というのは、そういうヤミのカネなしには存在できないのだ。原発にともなうヤミのカネの流れを白日の下にさらけ出さねばならない。
「関電の原発マネー不正還流を告発する会」は、新たな告発を準備している。関電のコンプライアンス委員会が公表した、元高浜町議Aの所有する土地を資材置き場として、破格の賃料で借りていたという件だ。ちなみにこの元町議は、高浜原発再稼働に当たって、議会で推進動議を出してきた人物である。
美浜3号機仮処分
大阪地裁で美浜3号機の運転差し止めを求める仮処分は、7月4日に第5回審尋がおこなわれ、審尋自体はこれで終結。関電側は7月末に最後の主張書面を提出すると約束。これで全ての審理が終了し、後は決定を待つのみである。なんとしても運転差止決定をもぎとりたい。
老朽原発美浜3号機再稼働反対の行動をたたきつけよう。再稼働を阻止するために全力で立ち上がろう。(仰木明)
3面
宮古島フィールドワークC
機関砲の誤射に恐怖
長山港には多数の巡視船が停泊 |
6月15日から17日までの2泊3日で、自衛隊基地の建設強化が進められている沖縄県宮古島のフィールドワークに参加しました。
5月15日、大阪で〈ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会〉事務局長の清水早子さんの講演集会があり、主催者から宮古島フィールドワークが呼びかけられました。3日間、清水早子さんの案内で、わかりやすいフィールドワークでした。飛行機の搭乗トラブルがあり、予定時刻より大幅に遅れて清水さんには大変迷惑をおかけしました。
陸自千代田宮古島駐屯地ゲート前での、〈ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会〉代表の仲里成繁さんや清水早子さんたちの、「住民軽視や敵視をやめることを再度求める」要請行動とスタンディングに参加しました。
仲里さんや清水さんは、@門衛隊員の銃の携行をやめてください、A軽装甲機動車やミサイル関連車両の基地外での訓練や公道の走行をやめてください、B宮古島市民、近隣住民への威圧的、敵対的、暴力的な対応をやめてください、C住民からの問い合わせには真摯に対応し、回答してくださいという要請をしています。
その他、野原レーダー基地、保良弾薬庫・射撃訓練場、準天頂衛星管制局、日本軍「慰安婦」祈念碑、南静園(ハンセン病資料館)、伊良部島・長山港の海上保安庁大型巡視船停泊地、渡口の浜、下地島空港等々を案内してもらいました。
陸自千代田宮古島駐屯地にはミサイル車両が展開訓練しているのが見えました。テレビのトーク番組で橋下徹は「台湾有事になったら、南西諸島の住民の避難の仕方を今から策定しておく必要がある」と発言していた。しかし、住民の避難ではなく、戦争にならないようにしていくのが政治ではないのか。避難するような事態になれば生活は破壊され、農業や観光産業もみな破壊されてしまう。
宮古島の自衛隊基地建設強化反対、南西諸島(琉球弧)の基地建設強化反対のたたかいを関西でも闘いぬかなければならない。世界一といわれる宮古島の美しい海と平和、人々の暮らしを守り闘わねばならない。
1944年〜45年の沖縄戦では制空権・制海権をアメリカにとられ、宮古島では、5万人の島民、3万人の日本軍が食料不足で飢餓に苦しめられ、多数の死者を出したとのことです。再度の沖縄戦を許さない。そのためには宮古島闘争、辺野古闘争、反戦闘争をくりかえし、くりかえし闘い抜くしかない。
私は現在、大阪に住んでいますが、沖縄出身で21歳まで沖縄で生活していました。沖縄には在日米軍基地の70%が集中し、沖縄県民の大反対にもかかわず辺野古に新基地を建造中です。嘉手納基地、普天間基地、伊江島の基地被害は甚大で、嘉手納爆音訴訟は数万人規模の裁判闘争がたたかわれています。高校生の頃、那覇市の米軍牧港住宅では沖縄が断水中にもかかわらず、米軍の住宅では芝生に散水しているのをみて怒り、米軍基地撤去の闘いに参加しました。宮古島の基地建設強化を許してはならないとの思いを強くしました。
宮古島から帰ったら、伊良部島の長山港に停泊している海上保安庁の巡視船しもじが、7月19日、停泊し訓練中に陸にある航空燃料の給油施設方向にむけて20ミリ機関砲から8発誤射したというニュースが伝わってきました。フィールドワークで巡視船を見ていた私は、一触即発の臨戦態勢にあることに恐怖し、怒りをあらたにしました。(西原義夫)
地方自治守る機関は公正・中立な審査を
7月26日総務省行動
7月26日夕方18時から、総務省前で、「国地方係争処理委員会」に対し、国土交通相による沖縄県の「辺野古新基地建設の設計変更不承認」の取り消しを許さない! 国地方係争処理委員会は地方自治を守る機関として公正・中立な審査を行え! と訴える行動が40人の参加で取り組まれた。
呼びかけは「止めよう! 辺野古埋立て」国会包囲実行委員会。設計変更承認を迫る「是正の指示」について、公正中立な審理をするよう係争処理委員会に要請する行動であった(写真上)。
この行動は国が地方自治体を無視して沖縄だけに基地をおしつけている現状への、元締である総務省に対する大衆的な抗議闘争であった。
県民大会と連帯
新宿で行動
7月30日東京
オンライン開催となった7月30日の沖縄県民大会に呼応し、東京・新宿駅南口で「キャンドル行動」が120人の参加で取り組まれた(写真上)。主催は、辺野古の海を土砂で埋めるな! 首都圏連絡会(埋めるな! 連)。
土曜日の夕方、人通りの多い新宿南口で、沖縄・辺野古新基地建設の問題を訴える行動として成功した。
沖縄と繋げるキャラバン
大阪で結成集会
7月22日
7月22日、大阪市内で「沖縄と繋げるキャラバン結成集会」がひらかれ、参加者は百人を超えた。会場に入ると、壁一杯に横断幕が飾られ、辺野古での座り込みの映像が映され三線の音楽が流れ、賑やかな雰囲気だった。
集会冒頭、共同代表の小林勝彦さん(全港湾大阪支部・執行委員長)が主催者あいさつ。「今年は沖縄復帰50年であり、私たちの運動を振り返り反省すべきとき。本土各地で辺野古新基地建設反対運動を中心に、様々な団体が集会や学習会・署名など活動を重ねているが、停滞化は否めない。これまで〈沖縄意見広告運動〉のもと、キャラバン隊として10年余り西日本を中心に各地域の仲間と共に、沖縄の現状を伝え広げる活動をしてきた。今後は、これまで以上に新しい工夫をこらした取り組みを取り入れ、広がりを意識した運動にスタートを切りたい。『若者への関心が広がらない』という課題にもアタックし、文化交流や楽しさを取り入れた集会を企画し、既存の団体ともコラボしていける集会づくりを。次世代に気づかせ繋げる運動として発展させるために、『関西から全国へ!』を合言葉にキャラバン活動を労組、市民団体、市民と作り上げたいと考え、発足に向けてスタートします」と提起した。
基地のない平和で豊かな沖縄を
つづいて、様々な団体から10人が賛同発言をした(写真)。うち具志堅和夫さん(沖縄県人会兵庫県本部会長・全港湾大阪支部出身)は、参加できずメッセージが代読された。「沖縄県の米軍占有面積の全国比率は、1972年の復帰時58・8%だったのが、2020年には70・3%。先人たちや私たちが願っている、基地のない平和な島=沖縄にまだなしえていない。諦めないで力をつなごう」と訴えた。台湾、韓国の若者とはテレビ電話でつないで発言を聞いた。参加者からの活発な発言の後、〈おもちゃ楽団〉の歌で盛り上がった。
集会まとめを共同代表・川口真由美さん(シンガーソングライター)がおこない「韓国では音楽を運動に取り入れている。日本でもやりたい」と意欲を語った。(花本香)
4面
安倍3代(岸信介・晋太郎・晋三)が暗躍
反共カルト集団が政界に浸透
反共産主義で結びつく
安倍銃撃死により、自民党と統一教会(世界平和統一家庭連合)との癒着が、岸信介以来今日まで長期に続き、統一教会が国会議員、地方議員にぼう大に食い込んでいることが明らかになった。
統一教会は1954年、韓国ソウルで文鮮明により設立された。1958年統一教会が初めて日本に宣教師を密入国させたとき、宣教師を庇護したのは右翼の笹川良一であった。笹川と懇意であった岸信介(安倍晋三元首相の祖父)が統一教会を支援するようになった。64年7月に宗教法人として認証。統一教会の本部教会は、岸信介元首相の自宅の隣りに移転。
笹川は、文鮮明、児玉誉士夫、久保木修己らと共に、1968年に、韓国と日本で「国際勝共連合」を設立し、同連合日本支部の名誉会長に就任した。会長には日本統一教会会長の久保木修己が就任。岸、笹川と統一協会は反共で結びついたのである。
岸は70年代、教団や関連団体の会合にたびたび出席した。文鮮明は74年に来日した際、岸を名誉実行委員長として開かれた「希望の日晩餐会」で講演した。福田赳夫蔵相(当時)が「アジアに偉大な指導者あらわる。その名は文鮮明」と絶賛する挨拶をしている。81年10月、文鮮明がアメリカで脱税で起訴され収監された時には、岸元首相らは米国大統領宛に裁判の不当性を訴える意見書を送った。92年に文鮮明が来日。文は脱税で米国で禁錮刑を受けており、入管法の規定では入国できないが、金丸信・自民党副総裁(当時)ら自民議員が働きかけ、「国会議員との意見交換」を目的に法相が特例として許可した。
霊感商法の一方で選挙支援
教団は信者を議員秘書や運動員として送り込み続ける。統一教会は、反共団体であることから保守である自民党・清和会(現安倍派)を重視してきた。清和会は岸元首相の系譜を受け継ぎ、福田元首相が創設した。87年岸が死去すると、教団の人脈は岸の女婿・安倍晋太郎(外相などを歴任)に継がれた。「教団の持つ組織票は、党ではなく清和会が差配していた」という。勝共連合は80年代、自民党・岸らがめざしていた国家秘密法(スパイ防止法)の制定を掲げて積極的に運動した。
80年代から不安をあおって高額商品を売りつける教団の霊感商法や高額献金が社会問題化し、国会でも度々とりあげられた。87年7月臨時国会では、共産党議員が「霊感商法の背後に統一教会、勝共連合がある」と追及するが、中曽根首相は「一部団体との関係について自民党は縁を切れとか言っておられるが、思想と行動の自由に対する重大な侵犯発言だ」と詭弁を使い反社会的団体と手を切ることを拒否した。霊感商法を巡って、特定商取引法違反などの容疑で警察の摘発、信者の逮捕が相次ぎ、訴訟もおこなわれた。統一教会は本来は宗教法人解散になるような団体だが、法人の本部に捜査は及ばなかった。それは政治の力が働いたからといわれる。
安倍政権下で名称変更
教団は、家族や性的「純潔」を重視する教えから、夫婦別姓や性教育、ジェンダーフリー、男女共同参画、同性婚、LGBTなどへの動きを新たな「共産主義」的価値観として敵視するようになった。2000年代から男女共同参画反対運動をおこない、行政に大きな影響を与えた。93年に衆院選に初当選した安倍晋三は同じ指向を持ち、「アンチ・リベラル」を訴え、性教育・ジェンダーフリー批判などの急先鋒となった。第一次安倍政権で06年に改悪された教育基本法では「家庭教育」の条項を入れた。
霊感商法でイメージが悪くなった統一教会は、1997年名称変更をもとめ文化庁に要請したが門前払いされ続けた。それが安倍第2次政権下、下村文科大臣の時「世界平和統一家庭連合」への名称変更が受理された。下村は異例の「事前報告があった」と認めるが「指示はしていない」と言う。前川喜平・元文科事務次官は「下村大臣が受理を指示している。そうでなければ前例踏襲となる」と指摘。統一教会は、12年の下村の文科相就任時から、パーティ券購入や教団のキーパーソンが後援会名簿に名を連ねるなどして接近し、16年には6万円の献金をしている。名称変更によって統一教会は別団体のように装うことで延命した。
統一教会との癒着を断ち切れ
2016年には勝共連合の学生団体「UNITE」(現・勝共UNITE)が結成され、安倍政権支持や共産党批判、改憲支持を訴えた。16年安倍・トランプ会談の実現には、統一教会の持っていたパイプが活用されたと見られている。
昨年9月安倍は、天宙平和連合(UPF)主催のイベントに基調講演(ビデオメッセージ)を送り「韓鶴子総裁をはじめ皆さまに敬意を表します。家庭の価値を強調する点を高く評価します」「偏った価値観を社会革命運動として展開する動きに警戒しましょう」などと呼びかけた。19年に全国霊感商法対策弁護士連絡会は、教団のイベントに出席したり祝電を送ったりする行為は「公的団体としてのお墨付きを与える効果を持つ」から止めるよう求める要望書を全国会議員に送っているが、それを無視する行為だ。
安倍は選挙の度に、10万票といわれる教団の票を振り分けていた。安倍の元秘書官・井上義行は、今年7月、参院選中の統一教会の集会で「すでに信徒」と自己紹介し教団の支援を受けて、19年参院選の2倍近い16万5千票で当選した。16年の参院選で初当選した宮島喜文、13年と19年の参院選では北村経夫が教団支援を受けた。
国家公安委員長・二之湯智は、2018年統一教会の関連団体が主催したイベントの京都府実行委員会で委員長を務めていた。二之湯は、会見で「統一教会がどういう活動をしているのか、さっぱりわかりません。統一教会の霊感商法に関する事件は、2010年を最後に被害届はない」と発言。発言後、警察庁が「被害届」ではなく「検挙」でしたと訂正するという顛末に。警察庁のトップである二之湯の発言に批判がおこっている。
6月13日には、衆議院会館で教団側と自民党の国会議員らでつくる世界平和議員連合懇談会(会員数80人超)の総会が開かれ、会長代行の奥野信亮衆院議員が挨拶し、顧問の梶栗正義(勝共連合会長・世界平和連合会長)が講演をし、7月参院選の地方区で世界平和連合の応援を希望する議員を募っていた。また教団が手がける日韓トンネルを政府レベルの事業に格上げするように提言した。
霊感商法被害は1237億円。聖書1冊3000万円で2冊も3冊も買わせたり、身ぐるみはがして1億円や数千万の高額献金をさせる。借金をしてでも献金させられる。山上徹也の家のように生活破綻に苦しむ被害者は多数いる。昨年までの5年間でも延べ564件の相談が全国霊感商法対策弁護士連絡会に寄せられ、被害の総額は約54億円でその6割が献金に関するものだ。
統一教会は詐欺的犯罪をおこなう反社会的団体だ。自民党がその団体を保護し密接な協力・依存関係を築いてきたことは断じて許されない。民主主義政治の根幹を揺るがす問題だ。徹底追及しよう。
統一教会と岸・安倍ら政治家の動き
1950年 朝鮮戦争
54年 文鮮明が韓国ソウルで統一教会を創立
55年 保守合同で自由民主党結成
57年 岸信介 首相に
58年 安倍晋太郎 国会議員に
1964年 日本で世界基督教統一神霊協会が宗教法人として認証 全国の大学に原理研究会設立
68年 文鮮明と岸信介・笹川良一らが結託し国際勝共連合創設(教団の政治部門)
1970年 日刊紙『世界日報』(教団の広報部門)創刊
74年 希望の日晩餐会で福田赳夫蔵相がスピーチ
79年 スパイ防止法制定促進国民会議結成
80年代 霊感商法が問題に
87年 霊感商法の対策弁護士連絡会結成 「霊感商法」を追及
1991年 文鮮明訪朝 金日成主席と会談
92年 金丸信(自民党副総裁)と文鮮明が会談 ソウルで合同結婚式。歌手や元五輪選手が参加。中曽根康弘が祝辞
93年 安倍晋三が国会議員に
97年 最高裁で教団による霊感商法の違法性認める判決確定 文化庁、名称変更申請を認めないと通知
2001年 精神的自由を奪われた元信者の訴えで、教団側敗訴が最高裁で確定
05年 天宙平和連合(UPF)創設 安倍晋三がUPFに祝電
09年 違法な印鑑販売をおこなった印鑑販売会社社長に有罪判決 教団が「コンプライアンス宣言」
12年 文鮮明死去 第二次安倍政権成立
15年 世界平和統一家庭連合(家庭連合)への名称変更を文科相が認証
16年 安倍・トランプ会談が実現
21年 天宙平和連合(UPF)希望前進大会に安倍晋三前首相がメッセージを送付
22年 安倍晋三前首相が、統一教会2世に銃撃され死亡
5面
統一教会とゆ着する自民党政治家
統一教会と政治家のゆ着がとどまる所を知らない。これまで与野党問わず数多くの議員が、旧統一教会と関与していたことが報じられている。ここでは、計121人にのぼる議員の名前・関与の形態について見ていく。現職議員については、自民党・安倍派議員の名前が多く挙がっているが、野党も含め多くの議員の名前が取り沙汰されている。
自民党では、首相・閣僚経験者をはじめとして、現職だけでも75人が旧統一教会や関連団体との関係が指摘されている。イベントや祝電の送付のみならず、議員から教会側への会費・寄付金の提供や、教会による選挙支援など、浅からぬ関係が示唆される議員が多い。(8月9日現在)
菅義偉(元首相)
2017年5月12日、官房長官(当時)を務めていた菅は、統一教会の金起勲(キム・ギフン)北米大陸会長らを、首相官邸に招待したことが報じられている。金会長は、同教会のネット番組の中で「最終日には菅義偉官房長官が首相官邸に私どもを招待してくれた」と発言している。
麻生太郎(元首相)
2011年5月11日、麻生は安倍晋三らとともに、旧統一教会系の米紙ワシントン・タイムズに全面意見広告を出稿している(広告内容は米軍のトモダチ作戦へのお礼)。同紙は読者も限られるため、事実上の寄付の面も否定できないとの指摘がある。
萩生田光一(現経済産業大臣)
現経済産業大臣の萩生田は、党総裁特別補佐を務めていた2014年10月に、都内で開催された日本統一教会会長・徳野英治の講演会で来賓挨拶をおこなっている。また、自身が関連する政治団体から「会費」などの名目で旧統一教会の関連団体に数万円を支出している。
岸信夫(現防衛大臣)
7月26日の会見で、旧統一教会関係者が自身の選挙を支援していたことを認めた。会見では「電話作戦など、ボランティアでお手伝いをいただいたケースはあると思う」などと説明した。岸は、7月8日に銃撃されて死去した安倍晋三の実弟でもある。
末松信介(現文部科学大臣)
7月22日の会見で、旧統一教会の関連団体との関係について「パーティー券購入の事実がある」と明らかにした。末松の事務所によると、2020〜2021年にかけて、教団側の関係者2人が政治資金パーティー券を1枚ずつ、計4万円分購入したという。
二之湯智(現国家公安委員長)
二之湯智は、2018年統一教会の関連団体が主催したイベントの京都府実行委員会で委員長を務めていた。二之湯は、会見で「統一教会がどういう活動をしているのか、さっぱりわかりません。統一教会の霊感商法に関する事件は、2010年を最後に被害届はない」と発言。発言後、警察庁が「被害届」ではなく「検挙」でしたと訂正するという顛末に。
野田聖子(現少子化担当大臣)
8月2日の会見で、2019年に岐阜県内で開かれた旧統一教会の関連団体が共催した会議に祝電を送ったり、野田の代理として秘書が出席したりしたことがあると明かした。
野田は「旧統一教会とは距離を置いていたが、共催だったので見過ごしてしまった」と説明している。
山際大志郎(現経済再生担当大臣)
2011年11月に開催された旧統一教会の関連団体である国際勝共連合などが後援した集会「アジアと日本の平和と安全を守る全国大会」に参加。2013年には、旧統一教会の関連団体である平和大使協議会に会費1万円を支払っている。
山口壮(現環境大臣)
8月5日、旧統一教会の関連イベントに「2、3回」祝電を送っていたと明らかにした。その上で「祝電を出してもらえるかと言われたら、どんな団体でも、祭りや慶弔ごとには全部出している。どの事務所もそうだと思う」と語った。
小林鷹之(現経済安全保障担当大臣)
8月5日、選挙の支援依頼や献金などを受けたことはないとしつつ、「祝電や地元の会合であいさつをした」と語った。その上で、今後は「この団体と関係を持つつもりはない」として、会合などの主催者を慎重に確認すると述べた。
細田博之(現衆議院議長)
自民党の重鎮として官房長官などの要職を歴任し、現在は衆議院議長を務める細田は、2019年10月5日に旧統一教会系の団体「天宙平和連合(UPF)」が名古屋市内で主催したイベントに出席している。同イベントには教会の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁も登壇しており、細田がスピーチをおこなう場面もあった。
共にイベントに出席した伊達忠一前参議院議長は、「自民党の宮島喜文候補を当選させるために旧統一教会から票の割り振りを受けた際のお礼として出席した」とコメントしている。
甘利明(前自民党幹事長)
自民党で初めて現職幹事長ながら2021年の衆院選で落選した甘利明は、今年春に経済安全保障に関連した講演を旧統一教会の関連団体でおこなった。甘利は「今回限りということでお受けしました」と述べている。
加藤勝信(元内閣官房長官)
菅政権下で官房長官を務めていた加藤は、2014年、2016年の2回、自身が代表の自由民主党岡山県第5選挙区支部から統一教会の関連団体に複数回にわたって会費を支払っていた。同支部は2014年3月13日と2016年3月27日に「会費」名目で、それぞれ1万5000円を旧統一教会系の関連団体である世界平和女性連合に支出している。世界平和女性連合は、1992年に旧統一教会総裁の文鮮明と韓鶴子によって創設された。
稲田朋美(元防衛大臣)
過去に防衛大臣などを務めた稲田は、2010年4月に統一教会の関連団体・世界平和女性連合のイベントに参加している。稲田は2006年4月および2009年11月にも同連合のイベントに参加している。
また今月5日には、稲田の地元である福井県で、稲田後援会を旧統一教会関係者が立ち上げていたことが報じられた。
中谷元(元防衛大臣)
防衛大臣を務めた中谷は、統一教会の機関紙「世界日報」で、2016年と2020年の2回に渡って、インタビューを受けている。
石破茂(元防衛大臣)
過去に防衛大臣などを務めた石破は、2017年に旧統一教会と関係が深い、世界日報元社長から選挙区支部に10万円の寄付を受けている。石破の事務所は、「政治資金規正法に従い適正に処理し、その収支を報告している」としたうえで、「旧統一教会や関連団体から選挙時の組織的支援はない」と回答した。
下村博文(元文部科学大臣)
下村は、文部科学大臣を務めていた2015年に旧統一教会の名称変更承認に圧力をかけた疑いがあることが、旧統一教会を批判してきた弁護士グループから指摘されている。
旧統一教会は1997年から文化庁に対して名称変更を申請していたが、霊感商法などへの批判をかわすための申請は認められないと拒否されてきた。しかし、下村が文部科学大臣を務めていた2015年にその方針が一転し、「世界平和統一家庭連合」への名称変更が認められている。同弁護士グループは会見で、「(下村について)2012年4月ごろから旧統一教会関連団体で講演をしたり、あるいは旧統一教会の関連誌にインタビュー記事を載せたり、そういう関係性があったことがわかっている」とコメントしている。また石破と同じく、世界日報から2016年に献金6万円を受け取ったことを明らかにしている。
武田良太(元総務大臣)
総務大臣を務めた武田は、2017年7月に国会議員団として統一教会及び関連団体の幹部らとアメリカ外遊へ出かけ、ワシントンDCの米下院議院会館で「韓日米の国会議員カンファレンス」に出席した。
また2017年2月には、韓国・ソウルの大韓民国国会会館とロッテホテルにおいて、UPFが主催する会合にも出席している。その際には、韓鶴子総裁から「それぞれ自分の国の氏族メシアになってください。皆さんの国の国民を救って生かす、実質的な真の父母様の教えを教育する、誇らしい国家メシアになることを祝願いたします」と直接ミッションも託されたことも報道されている。
山下貴司(元法務大臣)
法務大臣を務めた山下は、2018年7月に岡山県で開催された教団の集会「復興祈念・2018孝情文化ピースフェスティバル in OKAYAMA」に来賓出席し、祝辞を述べている。
井上信治(元内閣府特命担当大臣)
自身が関連する政治団体から「会費」などの名目で旧統一教会の関連団体に数万円を支出した。
古屋圭司(元国土強靭化担当大臣)
初代国土強靭化担当大臣を務めた古屋は、安倍晋三元官房副長官の紹介によって勝共推進議員などの活動に参加していたことが明らかになっている。
平井卓也(元デジタル大臣)
初代デジタル大臣を務めた平井は、2016、2017、2019年にUPFが主催するピースロードイベントに参加している。ピースロードとは、旧統一教会の青年信者たちが自転車リレー形式で日本を縦断するプロジェクトだ。旧統一教会にとっては新たな信者の獲得や資金を集める絶好の機会になっているとされる。
平井は、2022年にはピースロードの実行委員長に就いていたとも報じられている。
磯崎仁彦(現内閣官房副長官)
現官房副長官の磯崎も、平井と同様に2021年にピースロードのイベントに来賓として出席したことを明らかにしている。
柴山昌彦(元文部科学大臣)
文科大臣を努めた柴山昌彦は、2021年と2022年の計2回、関連団体の地元集会において挨拶をおこなっている。
衛藤晟一(元内閣府特命担当大臣)
内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)を努めた衛藤晟一は、1995年に都内ホテルでおこなわれた統一教会幹部・朴普煕が主催するイベントに招待された。衛藤の事務所は、参加の有無などを明らかにしていない。また2014年には、関連団体が参院議員会館内でおこなった会合において講演している。
山谷えり子(元国家公安委員長)
国家公安委員会委員長を努めた山谷えり子は、2001年に旧統一教会に関連が深い世界日報に登場している。同氏は統一教会との関係について「私は関係ありません」と述べているが、ジャーナリストの有田芳生は、2004年の参議院選挙で統一教会が山谷を西日本の組織のみで支援したこと、2010年には全国の組織で応援したことを指摘している。(つづく)
6面
セックスワーク論批判C
反セックスワーク論はかつての「廃娼論」とは全く違う
セックスワーク論に対して是か非かという論の立て方は、戦前からあった「廃娼論」か「公娼論」かという論争とは全く意味が違う。私は売買春はいずれ無くならなければならない仕事だと思っているが、それはまず何よりも性売買当事者たちの人権を擁護するためである。さらにはブルジョア的家族制度の下に閉じ込められた性を解放するためだ。
しかし、かつての「廃娼論」者たちはそうではなかった。古い話にはなるが、彼女らが守ろうとしたのは、日本においては近代的な天皇を頂点とする「家制度」であり、そのもとでの性規範であった。つまり性売買当事者を「ふしだらな女」と罰し、女性の純潔と貞操を守ろうとしたのだ。彼女らを「帝国のフェミニズム」と呼ぼう。この流れは当然にも帝国主義戦争賛美へとつながる。これらを主導したのはキリスト教矯風会や市川房江など 女権主義者だ。
一方で、別の流れの反売買春論者たちも現れた。それが青踏の伊藤野江や平塚らいてふらだ。伊藤は矯風会がしばしば使用する「醜業婦」という言葉に激しい嫌悪感を表現している。しかし、日本の左翼は長く性売買当事者の闘いと共闘することができなかった。
「娼婦たちを組織化しようという左翼の試みは例外的で風変わりなエピソードにとどまり、実践的にはキリスト教徒と市民的女性団体の廃娼運動に依存してきたといえる。これまで公娼制度・廃娼運動についての叙述を規定しているのは、そのように広く共有された娼婦を『私たち』の外の世界に生きる、特殊な『他者』とみなす見方である」(「性の歴史学」藤目ゆき 1998年 不二出版)私はこの藤目の考え方に賛同している。つまり階級の闘いとして、性売買当事者の闘いに連帯するという意味で、セックスワーク論に反対しているのである。
男性の歪められた性
セックスワーク論では「買う側」の問題は全く不問にふされてしまう。今回は「性の商品化」のもとでの男性の「性の歪み」をみる。
インターネットを駆使した性暴力のうち三つの事件、日本の三鷹女子高生殺害事件、アメリカのハンター・ムーア事件、韓国のn番部屋事件を紹介したい。後者の二事件についてはネットフリックスで現在紹介されている。(それぞれ「インターネットで最も嫌われた男」、「サイバー地獄 n番部屋ネット犯罪を暴く」
A 三鷹女子高生殺害事件
2013年、21歳の加害男性は、一年間交際した女子高生から別れ話を持ち出され、復讐のため交際中に撮影した性的な画像や動画をあるサイトに投稿した。さらにはそのサイトアドレスをツイッターや「2チャンネル」などに投稿し続けた。そして数日後に殺害に及んだのである。まさに自己中心的な支配欲が引き起こした事件だった。しかし問題はそればかりではない。投稿の事実が拡散し、動画を見ようとする人々で大騒ぎになったのだ。女子高生は数日間、自分の性的動画が拡散されているという生き地獄を味わったうえ、さらに殺害されるという最悪の結果となった。わずか21歳の加害者は、なぜここまで異常に女子高校生に執着したのか?それも大問題だが、生身の女子生徒が苦しむであろうことはわかっているにもかかわらず、いやわかっているからこそだろうが、必死でネットを検索した一般男性たちの腐敗ぶりも尋常ではない。その後日本では2014年リベンジポルノ防止法が新設された。
B アメリカ ハンター・ムーア事件
アメリカでは多くのリベンジポルノサイトが存在し、被害者が削除を要求すると法外な金額を請求するサイトが多数存在する。2014年、ハンター・ムーアいう男が、自分が運営するサイトで友人とハッキングしたパソコンの中の女性の画像を勝手にアップし、被害者の家や職業までさらしていた容疑で逮捕された。彼は逮捕されるまで堂々とテレビにも登場し、被害者の女性が涙ながらにも毅然となぜそんなことをするのかと問いただすと、「おもしろすぎるから」と笑いながら答えた。中には自ら投稿する女性もいたが、そういう人たちには全く興味を示さず、自らのサイトにアップしなかったという。彼は数えきれない女性たちの心と人生を壊すことを面白がり、何万というサイトに集まる男性たちから「神」とあがめられていた。この男と、集まってくる男たちの腐敗ぶりには虫唾が走る。
C 韓国 n番部屋事件
2020年に発覚した事件。これはおとりのメールやURLを女性に送り、うっかり返信してしまった女性の個人情報を次々と盗み、これをネット上にさらされたくなければ性的な画像や動画を送れと要求するチャットルームの事件だ。各チャットルームごとに運営者が異なり、入るための金額はそれぞれ違っていたが高額であることは同じだった。中には高校生の運営者もいた。チャット上では被害者を「奴隷」と呼び、彼女らに「私は○○様の奴隷です」とナイフで裸体に書くように要求するなど性的暴力を加え、これらの動画や画像をアップして共有していた。まさに参加して来る人間も共犯だった。運営者はやはり「神」と呼ばれて莫大な金額を得、参加者は30万人にも及ぶ規模だった。ここまでくると夫や息子、同僚が参加者だった可能性は十分にあることになる。女性差別が解決されることなくインターネットという凶器を与えられた男性たちは暴走に暴走を重ねている。究極の人間性の喪失。「性の商品化」の最大の問題点は男性の性が歪められていることだ。(つづく)
大阪府議会
カジノ住民投票条例制定要求を否決
終日200人が包囲・傍聴に決起
激しいヤジと怒号に悄然とする吉村知事(前列・左)(7月29日、大阪府庁) |
炎天下、7月29日午前10時から大阪府議会を包囲する街宣行動がおこなわれた。カジノの是非を大阪府民に問う住民投票条例案が13時から府議会で即日採決されるためだ。
法定署名数が得られた条例案は、当該自治体の知事が意見を付して議会に提出することを地方自治法は義務づけている。吉村大阪府知事は、住民投票条例は不要という意見を付けて府議会に出した。
しかし吉村知事は、条例請求者の意見表明を6人で30分しか認めない不当な議会運営をおこなった。20万を超える府民の声を聞かずして何ができるというのか。それだけではない。府議会では5人以上の会派にのみ許される代表質問という形式をわざと採用することによって、立憲民主党や共産党など少数会派の意見表明を圧殺した。
ヤジと怒号で悄然とする知事
吉村知事やIR推進局長の答弁に傍聴席から激しいヤジが飛んだ。議長は場合によっては退場を命ずると傍聴席に制動をかけるがヤジは止まらない。
長い休憩をはさんで18時30分から本会議再開。維新・公明による反対多数で条例案は否決された。傍聴席から「吉村逃げるな。恥ずかしくないのか」「維新のイヌ。公明党はそれでいいのか」「来年には統一地方選があるのをわかっているのか」等々とヤジがまきおこった。
議長が本会議の終了を告げると、傍聴席から「知事を辞めろ」「恥を知れ」等々とヤジと怒号が吉村知事に浴びせられ、知事は悄然とうつむいていた(写真)。おそらく吉村知事はこれほど激しいヤジと怒号を浴びたことはなかったのだろう。
「私たちは絶対ひきさがらない」
午前中の府議会包囲行動では、吉村知事に対する弾劾の声がはげしく上がっていた。今回の住民投票条例請求の闘いは大阪府では45年ぶりのものである。
以前の住民投票条例請求運動を闘った80歳を超える女性の発言には重いものがあった。総評のオルグだったその女性は1977年当時、大阪府内の各地にあった総評の地区労と多くの市民団体といっしょに運動の主体をつくっていったという。彼女は「地区労はなくなっているのに、それでも20万筆を超える署名を集めることができたということはどれほどすごいことか。カジノに反対する府民がどれほど多いことか。私たちは絶対ひきさがらない」と自らの体験にふまえて決意を表明した。
闘いはこれからだ。民衆の中にさらに深く入り、カジノを推進する銀行や企業等々への抗議行動なども構想していく。
むしろ旗を掲げて東京へ
地元の了解を得ていることが国の認可の要件になっている。地元の了解などまったくないことを国の機関で審議する人たちに訴え、認可に反対するように求めていかなくてはならない。
これをつくりだす力は民衆の中にこそある。民衆の中にさらに入っていけばそれは可能だという確信をこの間の闘いの中で我々は持つことができている。さらに闘おう。(布施透)
7面
連載 ミャンマー情勢(2)三船二郎
国軍の死刑執行に強く抗議する
死刑執行に抗議(8月1日 首相官邸前) |
国軍は7月23日、アウンサンスーチー国家顧問の最側近のピョーゼヤトー氏(41歳)と、同顧問の後のポストにもといわれていた民主化運動の第一世代のチョーミンユ氏(53歳)に対する死刑を執行した。これ以外に、国軍への密告者である女性を殺害したとして民間人2名に対しても死刑を執行した。
ピョーゼヤトー氏は2012年の総選挙で国民民主連盟(NLD)から出馬して当選した有名なヒップホップ歌手で、2015年にアウンサンスーチー氏が最高権力者となった後は、その海外歴訪にほぼ同行するなど最側近として活躍していた。チョーミンユ氏は「ジミー」という名前で知られており、1988年の民主化運動の頃から国民をリードしてきた小説家でもある。
ミャンマーでの政治犯の死刑執行は1976年以来46年間おこなわれてこなかった。政治犯以外の死刑執行も1990年以来途絶えていた。今回、民主派に死刑を執行したことは国軍支配の危機を示している。
死刑執行はミンアウンフライン国軍司令官の側近である内務大臣が監督しておこない、国軍は家族への遺体返還を拒否している。
国軍壊滅まで戦う
民主派は7月26日、死刑執行を「残虐な行為」と非難した。さらに同日、少数民族の最大勢力であるカレン民族同盟のカレンニー国民防衛隊(KNDF)は「国軍を壊滅するまで激しい反撃を実行する」と発表し、国民統一政府(NUG)など民主化勢力7組織が「不退転の決意で戦う」と共同声明を出した。国民統一政府(NUG)のドゥワ・ラシ・ラ大統領代行は7月29日、「ミャンマー全土はまもなく戦火に包まれる」と発表した。
在日ミャンマー人らが抗議集会
死刑執行の知らせが入った7月25日夕方、急きょ、国軍による死刑執行に対し在日ミャンマー人らが赤十字国際委員会の駐日代表部前で抗議集会をおこなった。
翌26日、国連大学前で在日ミャンマー人2百人以上が集まり、死刑執行に抗議した。
マレーシアのサイフディン・アブドラ外相は7月26日、今後開催されるすべてのアセアンの大臣級会議に国軍の代表者を参加させないと発表した。同外相は「今後すべてのアセアンの大臣級の会議に国軍の代表が出席することに反対する。死刑執行はアセアン合意5項目に違反するだけでなく、同合意の精神をないがしろにしている」と非難した。
7月27日、国連安保理はミャンマー国軍による民主活動家らに対する死刑執行を非難する声明を発表した。
7月27日、国際ペンクラブと日本ペンクラブが連名でミャンマーの作家で著名な民主活動家のチョーミンユ氏の死刑執行を「厳しく非難する」と声明を出した。
G7の米国、英国、カナダ、日本やEU上級代表のほか、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェー、韓国の外相は7月28日、「我々は軍政に対し、不当に拘束されているすべての人々を解放し、刑務所への完全かつ独立したアクセスを許可し、更なる暴力ではなく、対話を通じて、平和を追求するというASEANの5つのコンセンサスにおける義務を果たすよう強く求める。我々は、自由と民主主義を切望するミャンマーの人々を支持し、軍政に対し、暴力の行使をやめ、人々の意思を尊重し、ミャンマーの民主化への道を回復するよう求める」共同声明を発表した。
反撃はじまる
市民防衛隊は、死刑執行の報復として国軍の民間テロ組織であり、民衆を生きたまま焼き殺すなどの残虐なテロルをおこなっている「ピューソーティ」を襲撃した。
さらにマンダレー管区で7月28日、国軍関係の車両が市民防衛隊が敷設した地雷により爆発し、国軍兵士2名が死亡した。
8月1日、ヤンゴンで国軍への内通者が銃撃され、マンダレーでは地区管理委員会事務所に手りゅう弾が投げ込まれ、4人が負傷した。同じく8月1日、ザガイン管区では市民防衛隊の合同軍がドローンで国軍の地区管理委員会を攻撃し国軍兵士4人が死亡した。ヤンゴンでは8月2日、国軍の村長夫妻が殺害された。国民統一政府(NUG)は、8月2日から8月3日にミャンマー全土でおこなわれた戦闘で国軍兵士2百人以上が死亡したと発表した。
在ミャンマー米国大使館は7月27日、在留米国人に対しヤンゴンを中心にミャンマー全土で国軍に対する武力攻撃が激化する兆候があるとして危険勧告を発出した。
日本大使館も注意喚起
在ミャンマー日本大使館は7月30日、民主化を求める集会が全国各地で開催される動きが大規模におこなわれているとして、治安情報と安全確保について在留邦人に向けて領事メールを発出した。こういう中、フラッシュモブ(前触れなく突如としておこなわれるパフォーマンス。ゲリラパフォーマンスの1種)を南ダゴン地区で取材していた日本人男性が拘束された。
内戦はさらに激化
来年2月にはクーデター3年目をむかえる。今後、単発的なゲリラ戦闘だけでなく、国軍壊滅にむけた戦略的な攻撃が始まっていくだろう。民主派と少数民族は激戦地のザガイン管区等で支配地域を拡大しており、ミャンマー民衆の国軍絶滅への壮絶な戦いが開始されていくだろう。ミャンマー革命はこうして始まっていくのだ。
国軍を支える最大勢力が日本であることをみすえ、日本国内でのさまざまな闘いをわれわれは実行していかなくてはならない。
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恐るべし!岸田内閣の「新しい資本主義」
全ての個人情報を一元管理、企業にタレ流し
マイナンバー制度のキャンペーンが、売れ筋のタレントを動員してテレビで繰り広げられている。
過日、同制度についての学習会があったので連れ合いと一緒に参加して、トンデモナイ代物であることを改めて痛感した。
この制度が運用され、すでに使用されている各種のカードとリンクされれば、近い将来、病歴や資産状況はもとより、日々の行動半径、スーパーで何を購入したかなど、すべての個人情報が丸裸にされ、総務省が一元管理する仕組みである。
それらの情報が警察や公安当局に筒抜けになることは必至だ。すでに警察共通基盤システムなるものが完成し、警察はマイナンバ―制度で管理する個人情報の提供を求めることができることになっている。一方、警察には個人情報保護委員会の権限が及ばないのだ。
このカードは顔写真が必須の顔認証システムなので、すべての人間を犯人扱いできる。
またカードに内蔵される電子証明機能(個人識別機能を持つ)は法的規制がないので、カードの利用履歴を民間企業がフルに活用できる。
すでにこの国の政府は1兆8千億円もの巨費を投じて、マイナンバーカードの普及と健康保険証との紐付けや、公費受け取り口座登録の受付を開始している。
2万円の買い物に5千ポイントが付与されるという報道につられて、連日、申請窓口に行列ができているという。
公費受け取り口座の登録管理について、現時点では本人の同意を前提にしているが、おそらく3年以内には義務化の方向が打ち出されるだろう。
児童・生徒の学習履歴にいたっては、教室での発話回数や挙手回数・視線・脳波の管理(AI分析)まで、マイナンバーカードとの紐付けが検討されていて、すでに埼玉県でモデル実験がおこなわれている。
デジタル化政策を核とする岸田内閣の「新しい資本主義」なるものは、国家が一元的に管理する個人情報を民間企業に提供し、世界的に凋落しつつある日本資本主義が帝国主義間競争に打ち勝つための、とりわけ防衛産業を支援するためのシステムなのだ。
アメリカのIT大手による情報データの漏洩事件が多発し、日本企業でも情報ハッカー集団が暗躍し、au不具合事件などが発生している。このようななかで、この制度が導入されることがいかに危険な事態をもたらすか、想像しただけでゾッとする。
マイナンバーの健康保険証の利用には、医療機関にとって高額のカードリーダー(証明読み取り機)を備えなければならず、取り扱いのための人材も必要になる。そのため、全国保険医協会は負担が大きくメリットが少ないこの制度に反対を表明している。
マイナンバー制度が社会運動に携わる人たちの一挙手一投足を監視・掌握し、戦争準備のため人民統制する手段であることは、敢えて力説するまでもない。
急ピッチですすめられているマイナンバー制度の導入にたいして、私たちにできることは何か。学習会の講師によれば、この制度の意図と内容を、周囲の人たちに知ってもらうための努力を大前提にして、第1に、ポイント(餌)にだまされてカードを作らないこと。第2に、すでに作ってしまった人は電子証明の更新時期(5年毎)に更新しないこと。第3に、個人情報保護条例の骨抜きに反対し、それぞれが住んでいる市町村に独自の条例を作らせることである。(一読者)
〔参考文献〕
斉藤貴男『「マイナンバー」が日本を壊す』集英社、1100円+税
黒田充『あれからどうなった? マイナンバーとマイナンバーカード』日本機関紙出版センター、1600円+税。
8面
第45回世直し研究会
大滝ダムに反対した人びと
浅野詠子さんが講演
7月25日
7月25日、第45回世直し研究会がおこなわれた。浅野詠子さん(ジャーナリスト)に「大滝ダム建設に反対して闘った人びと」について語っていただいた。川上村源流の人びとに思いに馳せて、大滝ダム問題について報告する。
紀ノ川の上流、吉野川に造られた大滝ダムは、計画から50年の歳月を要して、2013年に運用がはじまっている。今日では、吉野川分水ができたことによって、奈良盆地に住む人びとの生活用水や農業用水が不足することはなくなっている。行政はこれを「奈良300年の悲願を達成した」といって、礼賛をはばからない。しかし、吉野川流域ダムが建設されていくなかで、湖底に沈んだ集落のことや、住民がいかなる犠牲をこうむったのか、これらの事実はすっかり忘れさられている。
2017年に『ダムとの五十年抗争』(風媒社)を浅野さんは出版している。まず、この本を書こうと思った動機について、浅野さんは次のように語った。「@ダム建設に50年をかけるとは、住民にとってどういうことなのか、そのことを検証したかった、A2013年に、地区で地すべりがおき、37世帯(77人)が集落を追われた。これを記録しておきたかった」。
大滝ダムは、治水を主にした多目的ダムとして計画された(1962年)。建設省(当時)が主導して建設をおこなっている。この時、川上村の住民はダム建設による地すべりをおそれて、「ダム建設絶対反対」にたちあがった。川上村は公害が専門の吉岡金市さん(元・金沢経済大学学長)に調査を依頼した。吉岡さんは現地調査をおこない、「白屋地区は大滝ダムの貯水に耐えない」という調査報告書をだしている。この報告書を受けて、建設省はボーリング調査をおこなった。この調査において、「すべり面」(粘土層)の存在がわかっていた。しかし、国はこの事実を隠したまま、ダム計画を変更することなく、建設を進めていった。同じ事が、今日では沖縄県の辺野古沿岸部の埋め立てにおいてもおこなわれている。
また、大滝ダムの建設で、339世帯がダムの湖底に水没している。この時、住民は代替地の補償交渉を集団でおこなうことを要望したが、国は個別におこなっていった。こうして、交渉は個別に切り裂かれていった。
2003年3月、大滝ダムの試験貯水がはじまった。その1ヶ月後、白屋地区の家が傾きはじめ、地面に亀裂がはいった。地すべりの兆候があらわれたのだ。白屋地区(37世帯77人)の住民は仮設住宅に移った。この生活が3年間もつづくのだ。住民はもうがまんできず、国を相手に国賠裁判に訴える。奈良地裁、大阪高裁ともに住民側が勝利した。ついに、国は控訴を断念する。裁判では、「すべり面」の存在が決定的だった。70年代におこなっていたボーリング調査結果が証拠になったのだ。浅野さんは「この闘いは奈良県を代表する住民運動なのだが、ほとんど知られていない。この闘いをしっかり伝えていきたい」と語った。
住民は裁判で賠償金を勝ちとったが、すでに完成しているダムを廃止することまではできなかった。裁判に勝利したが、住民に笑顔はなかった。移転地をめぐって対立がおきたのだ。仲がよかった人びとが二つに分裂してしまった。浅野さんは「地面だけではなく、人びとの心に亀裂が入っていった。ダムが人びとの心を分断した」と述べた。
こうして、大滝ダムは下流の人びとの生活を守るためという口実で、川上村民の大きな犠牲のもとに完成していった。その治水効果においても、専門家から疑問が指摘されている。
残念ながら、大滝ダムは運用がはじまり、白屋地区の人びとは去っていった。今でも、白屋地区に住居跡の石垣を見る事ができる。国策に勝つのは簡単なことではない。結果として負けてしまったが、住民の闘いは後世にしっかり語り継がれるべきなのだ。浅野さんのルポルタージュは、大滝ダム建設に関わる住民の闘いの記録として、今日では貴重な書物になっている。
原発建設においても、原発立地地域の住民は同じような体験をしている。どうしたら原発をなくすことができるのか。立地地域住民に同情をよせるのではなく、原発のない世の中をめざして、ともに闘っていくことがもとめられている。(津田保夫)
(本の紹介)
改めて安倍政治を問う@
中野晃一『右傾化する日本政治』
7月8日、安倍晋三元首相が銃撃され死亡した。中野晃一(上智大教授)ら何人かの政治学者は、民主党政権が崩壊して現出した安倍一強と言われる政治体制を2012年体制と名付けた。
コロナ禍や地方選挙の敗北で政治的窮地に陥った首相が、菅・岸田と変わっても、国政選挙には「圧勝」を続け、「岸田の次の3度目」を狙い、自民党最大派閥を支配し、核共有や敵基地攻撃を唱え元首相が権力をふるう体制は、後戻りができない55年体制と並ぶ一つの体制と呼ぶべきかもしれない。
しかしその当の本人が、突然他界した。
それでは政治学者の言う2012年体制は消滅するのか、それともすでに出来上がった体制として存続するのか。
そんな関心から改めて「アベ政治」を扱った中野晃一や白井聡(京都精華大教員)らの著作を再読している。第1回は2015年の戦争法闘争時に上梓された中野晃一著『右傾化する日本政治』(岩波新書)だ。タイトル通り戦後政治全体を、55年体制、冷戦の終わり・新自由主義の時代を検証・分析し、最後は小泉―安倍政治と対峙する。戦争法の成立以降、安倍一強が体制化していく。読者の皆さんも自分の闘いとしてともに検証してほしい。(つづく)
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