泊原発が運転差止めに
5・29老朽原発廃炉闘争高揚
猛烈な暑さの中、木陰から出てきた人も全体でボテッカーかかげる。最前列には参院選を闘うやはた愛・つじ恵(れいわ)、福島みずほ・大椿ゆうこ(社民)さんらも)(5月29日、大阪市 記事は2面) |
北海道電力は、泊原発1〜3号機を運転してはならない。5月31日、札幌地裁の谷口哲也裁判長は運転差し止めの判決を言い渡した。判決文(骨子)は、「津波に対する安全性を欠いているから、他の争点について判断するまでもなく、その運転によって周辺住民の人格権(生命・身体)を侵害するおそれを有する」と断じた。
このように、津波対策の不備を理由に、運転差し止め判決がでるのは全国で初めて。福島第一原発事故以降で、裁判所が原発を止める判断をおこなった事例は、これで8件目となった。
2011年11月、泊原発の運転差し止めなどを求めて、住民が札幌地裁に提訴、原告数は最終的に1200人余。
泊原発(加圧水型原子炉)は、2011年4月〜12年5月にかけて、定期検査のために1号機、2号機、3号機が順次停止した。その後、新規制基準実施にともない、北海道電力は原子力規制委員会に再稼働を申請した(2013年7月)。申請からすでに9年近く過ぎている。審査が長引いている理由は、北海道電力のずさんな対応だ。@敷地内にある断層、A火山対策、B津波対策などが論議になっている。それだけ問題が多い原発なのだ。
泊原発は適合審査にパスしていない。このことを理由にして、北海道電力は裁判を長引かせてきた。裁判所が原子力規制委員会の判断に従うようにするために、このような策動をおこなってきたのだ。
すでに提訴から10年以上も経過していることから、裁判長は本年1月に審理を打ち切って、この日の判決をむかえた。原子力規制委員会の適合審査に依拠しないで、裁判所は独自の判断によって運転を差し止めた。こうして、司法の独立性が示されることにもなった。
泊原発(1〜3号機)はすでに10年以上も停止している。唯一の安全対策は、廃炉にすることだ。北海道電力は即時に控訴した。地裁での勝利をバネにして、このまま廃炉に追い込むために、さらに闘っていこう。
■関連資料■
福島第一原発事故後、運転差し止めなどの司法判断
福井地裁 (2014年5月) 大飯原発3,4号機
福井地裁※(2015年4月) 高浜原発3,4号機
大津地裁※(2016年3月) 高浜原発3,4号機
広島高裁※(2017年12月)←広島地裁 伊方原発3号機
広島高裁※(2020年1月)←山口地裁岩国支部 伊方原発3号機
大阪地裁 (2020年12月)大飯原発3,4号機
水戸地裁 (2021年3月) 東海第二原発
札幌地裁 (2022年5月) 泊原発1〜3号機
※は仮処分決定。他は判決。
軍事大国化阻止・生活防衛
参院選へ れいわ決起
6・4東京
山本太郎、つじ恵らが「れいわ総決起」で訴え(6月4日 東京池袋) |
6月22日の参議院選公示を前に、れいわ新選組は4日東京・池袋で、山本太郎代表を先頭に全国比例の予定候補者らが参加し「総決起しまくり大会!」を4時間にわたって開催した。そこには全国比例に挑戦する全予定候補と、東京(山本太郎)、埼玉(西みゆか)の予定候補はじめ、衆議院予算委で岸田首相を批判した大石あきこ衆議院議員や、木村英子参議院議員らが参加し、参議院選に向かうれいわの総決起大会となった。
当日朝まで沖縄現地で行動してきたつじ恵は、午後の神戸反原発集会を飛ばし参加。腐りきった自公政治とそれに屈服する既成野党を弾劾した。維新の松井一郎大阪市長からスラップ訴訟を起こされている水道橋博士も断固闘うことを表明。
伊丹で福島みずほら支援集会
5月28日、兵庫県伊丹市では、福島みずほ社民党党首らを支援する市民集会が開かれた。斎藤幸平さんとのリモート対談ののち市民からのアピールに続いて、福島みずほ、大椿ゆうこ、秋葉忠利(前広島市長)ら社民党全国比例を闘う予定候補が発言した。
6月に入り食料品の値上げラッシュが続く。生活破壊と軍備拡張の岸田政権を許してはならない。れいわ・社民・野党共闘の勝利で岸田政権に痛打を与えよう。
2面
老朽原発廃炉へ うつぼ公園に2100人
10月 美浜3号機運転とめよう
公園内で出発を待つ第2グループ(京都・兵庫・奈良・和歌山)のデモ隊 |
5月29日、「老朽原発このまま廃炉! 大集会 in おおさか」(主催:老朽原発うごかすな! 実行委員会)が大阪市うつぼ公園でおこなわれた。
ウクライナ戦争と円安の影響で、化石燃料が値上がりしている。岸田政権はこれを口実に、核に依存し原発を推進する政策をおこなっている。こんな情況のなかで、5・29集会は「老朽原発の再稼働に反対」を7月参議院選挙の争点にして、岸田政権を退陣に追い込むためにおこなわれた。全国から2100人が集まった。
集会前のオープニングライブでは川口真由美さんとその仲間、うたごえサークルなどによる演奏と歌があった。
集会は、中嶌哲演さんの主催者あいさつで始まった。中嶌さんは「ウクライナ戦争で、原発が攻撃目標になった。原発は簡単に核兵器に転化してしまう。戦争に反対、原発に反対する世論は過半数を超えている。この意志を示すのは、7月参議院選挙だ。ともに行動していこう」と訴えた。
中嶌哲演さんが主催者あいさつ |
老朽美浜3号機
「美浜3号機の仮処分裁判では、関西電力側がひき伸ばそうとしてきた。しかし、裁判所はこれを認めず、次回7月4日で審尋は終わる。おそらく再稼働(10月といわれる)前に裁判所の判断が出るだろう。活断層が存在することなどを立証しつくし、裁判所がまともに判断すれば、勝てるものと確信している。老朽原発の再稼働を許さなければ、原発からの脱却は見えてくる。原発をなくすために、この裁判はたいへん重要だ。」
311子ども甲状腺がん裁判
「311子ども甲状腺がん裁判について。5月26日に原告の女性(20代)の意見陳述がおこなわれた。この陳述はたいへん感動的なものだった。わたしたちは残りの原告(5人)についても、意見陳述をおこなえるよう裁判所に要請している。福島第一原発事故以降、住民の健康被害者が初めて公然と声をあげた。これは歴史的な事態だ。しかし、メディアはほとんど報道しなかった。これではメディアの役割をはたしていない。われわれが口コミで伝えるしかない。この裁判は何としても勝たなければならない」。
老朽原発うごかすな
全国各地の住民団体が訴え |
次に、草地妙子さん(老朽原発40年廃炉訴訟市民の会)が発言。草地さんは「老朽原発40年廃炉訴訟」を名古屋地裁で闘っている。草地さんは「裁判で関西電力からデータを開示させた。脆化試験のデータ数が非常に少ない。関西電力はずさんな試験をしている」と訴えた。
老朽原発の地元である福井と茨城から報告があった。山本雅彦さん(美浜3号機から10キロ地点に在住/敦賀市住民、元原発技術者)は、「福井県はエネルギー危機を口実にして原発推進政策を打ち出している。こんな策動を許してはならない。2004年8月の美浜3号機事故で、関西電力幹部は“安全対策にそんなにカネはかけられない”と言った。声をあげ続けなければ、事故はまた必ずおきる」と訴えた。
東海第二原発の再稼働を止める会・披田信一郎さんは「昨年、わたしたちは老朽原発(東海第二原発)の運転を禁止するという判決を勝ち得た。その控訴審がこの秋からはじまる。2〜3月に地震が続いているなかで、危険な老朽原発の再稼働はありえない」と述べた。
原発事故避難者が発言
福島原発事故避難者から、原発賠償関西訴訟原告団がアピールした。副代表の佐藤勝十志さんは「福島から関西に避難してきたのは、被ばくがこわかったからだ。原発は国策でつくられてきたので、事実がねじ曲げられている。国は私たちを守ってくれない」と述べた。
全国からアピール
青森から鹿児島・川内まで、原発に反対している住民団体の代表が登壇した。中道雅史さん(なくそう原発・核燃、あおもりネットワーク)は、再処理工場に反対する闘いについてアピールした。「核施設が核兵器に転じること、ウクライナ戦争でこのことを知った。六ヶ所村にある高レベル放射性廃棄物は核爆弾に転化してしまう。今こそ、再処理にとどめをさすべきだ。使用済み核燃料のことをしっかり考えていただきたい」と訴えた。次に、芦原康江さん(さよなら島根原発ネットワーク)が、島根原発2号機の再稼働に反対をアピールした。「知事は6月にもゴーサインを出そうとしている。住民の意向を無視している。わたしたちは住民投票をするために条例を作ろうとしたが、議会で否決されてしまった。しかし、けっしてあきらめていない。住民はこれからも闘っていく」と力強く語った。
関西5府県から住民団体のアピールが続いた。その後、参議院選挙で再稼働に反対を掲げる政党が登壇し、集会参加者に紹介された。さらに、労働組合3団体から発言があり、最後に、「集会アピール」が採択された。
広がってデモ行進 |
島根原発2号機再稼働に同意
周辺住民無視の暴挙
6月2日、島根県の丸山達也知事は島根原発2号機の再稼働に同意すると表明した。2号機(沸騰水型原子炉、電気出力82万キロワット)は、2012年1月に定期検査のために停止し、止まったままになっている。2021年9月、原子力規制委員会は2号機にたいして運転許可の「お墨付き」を出した。すでに県議会は再稼働に同意しており、今回の知事表明はその「筋書き」に従ったものだ。
2号機は、「3・11」で大事故を起こした福島第一原発と同じ沸騰水型原子炉だ。さらに、稼働すれば一定期間後にプルサーマル運転(MOX燃料)に切り替えるとしている。
島根原発(中国電力)は松江市中心部から北西に約10キロメートルの日本海沿岸にある。1〜3号機まで建てられており、1号機は廃炉作業中。県庁所在地に存在する唯一の原発で、30キロ圏内に46万人が生活している。
島根原発3号機(沸騰水型、電気出力137万キロワット)は、2012年3月に稼働する予定であったが、福島第一原発事故によって、工事が中断したままになっている。建屋はほぼ完成しているが、新規制基準に適合させるための工事が必要だ。
政府はCO2排出量削減にかこつけて、原発を推進してきた。さらに、ウクライナ戦争により化石燃料が高騰している。岸田政権は原発の「最大限活用」という言葉を使って、再稼働をさらに推し進めている。「新しい資本主義」の実行計画(原案)にも、再稼働が盛り込まれている。
東海第二原発(日本原電)においては、避難計画の不十分さを理由に、裁判所は運転差し止めを命じた。島根原発の再稼働をめぐっても、避難計画が実効性をもつのかどうか、ここが問題になっている。周辺住民は住民投票をめざして闘ってきたが、その条例づくりは議会でつぶされてしまった。しかし、住民はあきらめていない。
2号機の再稼働を認めてしまえば、中国電力はさらに3号機の新規運転もねらってくるだろう。2号機の再稼働は来年になる予定だ。まだ時間はある。できる事は何でもやり、何としても2号機の再稼働を阻止しよう。
3面
なめたらアカンで!労働運動
関生弾圧粉砕闘争に400人
5月28日
400人の大デモ隊が大阪府警本部までデモ行進(5月28日、大阪市内) |
5月28日、全日建関西地区生コン支部が主催する「なめたらアカンで! 労働運動! 関生総決起集会」が大阪市内(エルおおさか)で開かれ、主会場、予備の第2会場にも入りきれない4百人以上の仲間が全国から集まった。
主催者あいさつで関生支部・湯川委員長は、「徹底的に闘う」と淡々と腹のすわったあいさつをおこなった。
「2018年8月の弾圧から延べ80人以上が逮捕された。しかし、関生への攻撃はそれだけにとどまらない。あらゆる権利侵害がかけられている。逮捕・起訴された組合員以外にも多くの組合員が解雇され、働く場を失っている。働く場を失うということは労働者が社会的に抹殺されるということだ。関生をつぶすということは私たちの仲間を一人一人殺すという意味だ。だから、これは戦争なんだ。どれだけ時間がかかっても、どのような状況に追い込まれても私たち関生支部は徹底して闘います。私たちはこの弾圧を打ち破るために体制を一新した。ふりかえると弾圧が始まってから一度も関生主催の集会をおこなうことができなかったが、これからは定期的にやっていきたい。みなさんとともに弾圧を打ち破っていきたい」と述べると会場からは大きな拍手が沸き起こった。
永嶋弁護士が報告
つづいて、弁護団の永嶋靖久弁護士が『関生弾圧 組合つぶし攻撃の現段階と裁判の現状』と題して報告した。パワーポイントを使って、生コン業界で産業別労働運動が発展してきた経緯や産別労組としての関生の役割の重要性、さらには弾圧の構造が分かりやすく解説された。
関生弾圧の構造としては、@正当なストライキを業務妨害として弾圧し、A正当かつ重要な組合活動としてのコンプライアンス活動も業務妨害として弾圧し、B正社員化や就労証明発給等の正当な要求を強要未遂として弾圧し、Cすでに解決した事件を5年後に恐喝としてでっち上げて弾圧し、D本勤(ほんきん)と呼ばれる正社員や、労働者供給事業で就労する日々雇用労働者を同事業の打ち切りで解雇するというものである。
正当な組合活動をすべて弾圧の対象にして封じ込め、働く場を奪うことによって組合員一人一人の生存権を奪うのが今回の弾圧である。
永嶋弁護士は、弾圧は今も続いており、とくに昨年夏から関生の街宣活動を名誉棄損で訴えたり、今も多くの組合員に警察が執拗に呼び出しをかけていることも指摘した。
講演する永嶋弁護士 |
弾圧をうちやぶる各分会アピール
国家権力と大阪広域協の全体重をかけた攻撃に各分会、各組合員がいかにたたかっているのか、各分会から報告があり、会場から割れんばかりの拍手が起きていた。国家権力と大阪広域協の攻撃をはねのけて闘う生きた団結の姿がここにある。どんな困難があっても職場と仲間を取り戻す、この団結がある限り勝利することができる、そういう確信を与えてくれた各分会の発言だった。
集会終了後、周囲は暗くなっていたが、大阪府警本部までデモをおこなった。団結の力を基礎に土台をさらに大きくしてこの弾圧をなんとしても打ち破っていこう。
QUAD(クアッド)と日米会談
対中国包囲・戦争挑発狙う
5月24日、東京で日米豪印4カ国(QUAD クアッド)の首脳会合が開催された。日本で初めて開催されただけではなく、日本の軍事大国化・改憲の歴史的転換点となった。それとともに対中国戦争挑発のための演習・訓練、会議や多国間協議が集中しておこなわれた点でも画期をなす。
目的は中国をつぶすこと
対面での首脳会合は今回が2回目であるクアッドは、中国包囲の軍事同盟である。2014、15年から始まった日米印の合同海軍訓練「マラバール」は、主にベンガル湾と日本近海(沖縄沖)、フィリピン海などでおこなわれてきた。2020年からはオーストラリア海軍も参加し、毎年恒例化している。
バイデン米大統領は、クアッド首脳会合前日の5月23日に、インド太平洋経済的枠組み(IPEF)を13カ国で新たに発足させると正式に表明した。昨年、バイデンが構想を打ちあげ、日本がアジア諸国と調整して発足にこぎつけた。,br>
クアッドの共同声明は、(ロシアの)ウクライナへの侵略に対しては、「紛争」に懸念を表明し、(中国の)「東シナ海」「南シナ海」などの「一方的現状変更の試みに深刻な懸念」を表明した。
世界反動と戦争の元凶
クアッド首脳会合に先んじて開かれた日米首脳会談は、日米同盟こそ世界反動と戦争の元凶であり、それを日本帝国主義が延命と対中国対抗のために、利用していることを示した。
日米共同声明では、「岸田首相が日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意を表明」し、「バイデン大統領は、核を含む・・・拡大抑止」による日本防衛を改めて表明した。
しかも「辺野古への移設が普天間基地の継続使用を回避するための唯一の解決策」とし、「小型モジュール炉(SMR)など革新原子炉の開発と世界展開を加速する」ことで合意したとした。国内的に打ちだしにくい点を、米帝の要請またはそれとの合意の形をとって正面突破を図っているのである。
バイデンが5月23日の日米会談後の記者会見で「失言」したと言われるものについて、英語でのやり取りは次のようである。
(記者)
Are you willing to get involved militarily to defend Taiwan??
(Biden)
Yes.That's the commitment we made.
これはバイデンの失言でもなければ、米国の政策の変更でもない。ただし米軍を出動させるかのように見せたのは、考え抜いた挑発である。
改憲・軍事大国化に抗して
クアッド首脳会合に前後して日米帝国主義は、対中国包囲・戦争挑発の動きを一挙に強めた。バイデンは5月20日、韓国に到着するや恒例の南北非武装地帯(DMZ)視察などはせずに、その足で、サムスン電子の半導体工場に向かった。「サムスンの半導体を1つたりとも中国には渡さない」というメッセージである。しかも6月2日から4日にかけて、規模を拡大した米韓軍事演習を実施した。4年半ぶりに米原子力空母「ロナルド・レーガン」を参加させ、沖縄南東の公海上でおこなった。朝鮮民主主義人民共和国などではなく、中国を対象にした威嚇、想定戦闘である。
岸田首相は6月29、30日にはスペインで開かれるNATO首脳会議に、日本の首相として初めて出席する方向である。「日本がNATOのアジア太平洋化の先導役になることを警戒している」と中国が言っていた通りとなった。
政府・自民党による改憲・軍事大国化の動きが雪崩を打って進んでいる。「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)では、原案を修正して軍事力の抜本的強化について、「5年以内」と時期を明示することになった。注文を受け入れさせた当の安倍元首相は5月23日の新憲法制定議員同盟の会合で、「改憲の発議をするために衆参両院で必要な3分の2を形成する状況はある」と発言した。参院選挙を目前に、維新は公約に緊急事態条項制定や「核共有」に言及し、他の野党も総崩れとなった。
れいわ・社民を中心に、改憲・軍事大国化に抗して闘う野党を押し立て、沖縄の新基地建設、南西方面新戦略を阻み、新しい沖縄戦を何としても阻止し、老朽原発再稼働を許さず、被ばく補償・避難の権利を勝取ろう。全原発の廃炉を。(落合薫)
4面
岸田政権「骨太の方針」閣議決定
分配・所得倍増は消え軍拡へ
岸田政権は5月31日、「新しい資本主義」の実行計画案と経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の原案を公表した。いずれも6月7日に閣議決定した。
岸田首相は、「分配重視」「新自由主義からの転換」を唱えていたが、早くも変節し、官民一体の大規模投資をうたう成長重視の内容だ。「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「成長戦略」のアベノミクスの3本の矢を堅持し、「徹底して成長を追求していく」と強調している。
(1)消えた「分配」「所得倍増」
「新しい資本主義」の実行計画は、@人への投資、A科学技術、Bスタートアップ(新興企業)、C脱炭素・デジタルを重点投資の4本柱とする。
「令和版所得倍増」は消え、「資産所得倍増プラン」にすりかわった。岸田首相は5月5日、ロンドンで講演し「眠り続けてきた1000兆円単位の預貯金をたたき起こし、市場を活性化する」「貯蓄から投資へ」の転換を進めると「資産所得倍増プラン」をぶち上げた。NISA(少額投資非課税制度)の拡充などして、市民の預貯金を投資や投機に誘導するもの。お金を失うリスクもあり、高齢者の老後の資金を脅かすものになりかねない。9割の人たちは株に投資する資産を持たない。必要なのは勤労所得の倍増だ。富裕層に対する金融所得課税の強化についても消えた。
春闘における賃金引き上げの水準や最低賃金の引き上げ、介護職員や保育士らの今後の処遇改善についての具体的な額や時期は明示されていない。
OECDによると、加盟35カ国の平均賃金は2000〜2020年に約16%上がったが、日本は平均以下の水準で横這いが続き、順位は2000年の17位から22位に落ちた。日本の賃金は国際的に低い水準にとどまる。賃金が安く雇い止めしやすい非正規雇用労働者が1990年頃の2割から4割に増え、利益のほとんどを資本家・株主がとっているからだ。安倍政権下(2012年〜20年)で実質賃金は年22万円も減少し、大企業の内部留保は130兆円も増えている。円安と原油高で物価が2%も上がり暮らしを直撃している。賃上げや消費税廃止を勝ちとろう。
原発について、「脱炭素電源として最大限活用する」とし、2021年の骨太方針「可能な限り依存度を低減する」との表記はなくして推進を満展開。
10年間で官民協調でGX(グリーン・トランスフォーメーション)に150兆円規模の投資。そのために新たな国債を発行する。デジタル化や最先端技術の開発、サプライチェーン(供給網)の再構築などについて、官民一体となった大規模投資を進める。企業へのばらまき満載である。
(2)大軍拡狙い、財政健全化は後回し
「骨太の方針」は、軍事力を「5年以内に抜本的に強化する」と明記し、「NATO加盟国がGDP比2%以上の軍事予算を目指している」との記述を注釈から本文に格上げした。武器輸出の緩和も求めている。原案には「5年以内」はなかったが安倍元首相らが入れさせた。2%にすると日本は世界第3位の軍事大国になり「専守防衛」に反する。
財政健全化について、政府は、2018年に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標を「2025年度」に設定して記載してきたが、今回「2025年度」の年限を削った。安倍政権は、放漫財政で国債残高をGDPの2倍の991兆4千億円(21年度末)にまで膨らませた。財政健全化など無視して、軍拡や企業に税金を投じるために歯止めなき国債発行に進もうとしている。行きつく先は国家破綻だ。
健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードへの一本化を打ち出した。個人情報の国家権力による全面的一元的管理、顔認証や民間企業によるデータ利活用に反対しよう。
(花本香)
大軍拡とめろ!官邸前 連続行動
5月30日150人で
5月30日夕方、「大軍拡とめろ! 官邸前月曜連続行動」(呼びかけ/戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会)の第3回行動が首相官邸前でおこなわれ、議員・市民等150人が集まった(写真下)。
主催者を代表して、憲法共同センターの吉田健一弁護士(自由法曹団団長)があいさつ。「今年2月からロシアによるウクライナ侵攻が連日報じられている。戦争を機に、『武力には武力で』とばかりに大軍拡の動きに拍車がかけられている。自衛隊は『専守防衛』の建前で攻撃的な武器を持たない等の制限を持ってきた。自民党は安倍政権の時から『反撃能力』を打ち出してきた。ミサイル迎撃しようとしても撃ち落とせないから敵基地を攻撃するというもの。ロシアの先制攻撃と同じ。集団安保にも適用される。防衛費を対GDP比2%では年間6兆円の防衛費が12兆円になる。明文改憲と大軍拡が一体で進められようとしている。このような策動を許すわけにはいかない。改憲に反対する力で参院選に勝利しよう」
立憲民主党の吉田忠智参院議員(柚木道義衆院議員も参加)、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員、社会民主党の服部良一幹事長がスピーチ、口々に岸田政権の改憲策動を弾劾した。
市民団体からアピールのあと、戦争をさせない1000人委員会が行動提起をして解散した。
第3次再審請求で決着を
「狭山意見広告」報告集会
5月22日 東京
狭山事件から59年の前日5月22日、東京・日比谷図書文化館で狭山意見広告を実現させた全国からの参加者による報告と討論のつどいが持たれました。同時に、この集会において〈狭山事件の再審を実現する大運動〉の結成が呼びかけられた。
5月8日、毎日新聞見開き2面にカラーで掲載された意見広告。「無実を訴え59年! 差別裁判を許さない」「東京高裁に下山鑑定人の尋問と狭山事件の再審を求めます」の文字に囲まれマイクを持って訴える石川一雄さんの顔(額)には深く太いしわが幾本も刻まれています。83歳となった石川さんの全人生を貫く悔恨・苦悩・怒りが凝縮されていることが手に取るように伝わってきます。それは青年(逮捕前)の写真と比べれば息をのむほど歴然としています。石川さんの目の奥から発せられる静かにして鋭い眼光は、それを受け取るすべての人々の心に「狭山事件はなに一つ解決してはいないこと」「石川さんが今なお見えない手錠につながれ生きていること」の残酷さを思い起こさせるように突き刺さり「石川いのちわが命」と立ち上がった部落の人々を先頭に「熱と光を求め」て人間の解放を願う幾百万の人々の心を奮い立たせ、共に闘うことを呼び掛けています。
4月26日の第50回三者協議において、6月に弁護団が下山第2鑑定(万年筆・インク)と赤根鑑定(死体関係)にかかわる検察意見書に対する反論を提出すること、これを受けた検察が7月に総括的意見書を提出し、あとは弁護団が鑑定人尋問の請求をおこなうだけ(9月三者協議前後)となった。
早ければ年内にも第三次再審の決定を迎える可能性さえ出てきたこのタイミングでの意見広告は決定的なインパクトを与えています。
「冤罪は誰でも被害者になりうる怖いこと、真実により解決されることを願う」「遅れて今日新聞を見ました。涙が出て、悔しくて、電話しました」「はがきを出したけれどもっと欲しい」「再審開始を願っています。石川さんが生きているうちに、無実が証明されるよう祈ります」「第2次再審請求の際弁護団の依頼を受けて、佐野屋横の目撃証言に関する再現実験をおこない鑑定書を提出いたしました。このときも最高裁は鑑定人尋問・事実調べもせずに請求を棄却しております。最高裁は今度こそ、鑑定人尋問・事実調べをするべきだと思います」など、意見広告運動に寄せられた意見はその反響の大きさを物語っています。
「陥穽(注1)で闘う吾は59年 牽強(注2)司法に真相求む」「復讐に燃えた日もあり泣いた日も 今は黙して三次で決着」という石川さんの怒りと魂を全身で受け止めたい。部落解放同盟全国連合会をはじめ狭山事件の再審を実現する大運動の呼びかけ人・賛同人の心は一つ。
それは、@第3次再審請求で決着をつける、Aそのためにできることはすべてやりぬく、B事実調べ・鑑定人尋問抜きの決定(棄却)などという非道・無法は許さない(そんなものは裁判とは言えない)ということにつきます。道は示された。正義と真実を取り戻し、83年の石川さんの苦難の人生に終止符を。共に闘いましょう。
(注1)陥穽:人をだます計略、はかりごと、罠
(注2)牽強:道理に合わないことを無理やりこじつけること。
(泉 勇人)
5面
プーチンを擁護する『前進』(下)
民族問題否定の革共同全国委
岸本耕志
民族問題を捨象し、島崎光晴『帝国主義論』も裏切る
レーニン『帝国主義論』を裏切っているのはその序文だけであろうか。そんなことはない。かつての革共同は帝国主義論と民族植民地問題を不可欠の問題としてとらえていた。島崎光晴「レーニン『帝国主義論』」(マルクス主義基本文献学習シリーズbS 前進社新書 1998年刊)は、かなりのスペースを帝国主義と民族植民地問題に割いている。
島崎は、レーニン『帝国主義論』の解説を目次に沿い、「生産の集積と独占」、「金融資本と金融寡頭制」から始まり、「資本の輸出」「世界の分割」と進み、帝国主義を「特殊の段階」とし、その「寄生性と腐朽化」を論じる。最後に「帝国主義の批判」「帝国主義の歴史的地位」を論じ、「死滅しつつある資本主義」への革命を呼びかける。島崎は157ページで、「民族的抑圧については、まず「帝国主義は、資本が民族の枠を乗りこえて成長したことを意味する。帝国主義は、新しい歴史的基礎のうえで民族抑圧が拡大し、激化することを意味する」とレーニン全集から引用し、「社会民主党の綱領は、抑圧民族と被抑圧民族への諸民族の分裂を、帝国主義のもとでの基本的な、最も本質的な、不可避のものとして提出しなくてはならない」(全集、「社会主義と民族自決権(テーゼ)」)と紹介する。島崎はマルクスも引用し、『共産党宣言』で「一国(民族)による他国(民族)の搾取」「諸国民(民族)相互間の敵対的関係」と述べる。「それが帝国主義時代には、抑圧民族とさらに被抑圧民族との対立関係、そして被抑圧民族の支配をめぐる抑圧民族間の対立として現れるようになる」とまで述べている。
さらに島崎は、最終章で、結論的に「帝国主義論を基礎としたレーニン主義革命論」(174頁)として、その継承の道を唱え、「E帝国主義国における蜂起と、植民地・従属国における民族解放戦争との、両者の結合によって世界革命に向かうことができる」としている。
今日、ロシアを帝国主義と捉えるか、スターリン主義の系譜をひく専制国家ととらえるかは見解が異なっても、ウクライナは長きにわたってロシアに従属させられ、今回のロシア軍のウクライナ侵攻も併合・従属化の攻撃であることは何人も否定できないだろう。レーニンを継承するというなら、ウクライナの民族戦争・民族解放闘争と、ロシア内の反戦・反政府闘争の結合こそ目指すべきものではないのか。それと180度真逆の主張=米ロの代理戦争という『前進』の転倒ぶりは、単に25年前の自己の否定だけでなく、レーニンやマルクスからも背反するのではないか。
白井朗『20世紀の民族と革命』の抹殺
かかる転倒への契機に、1990年代の革共同政治局内の言論抑圧があった。白井朗(当時革共同政治局員)は、四半世紀前に革共同が民族問題から背反しかねないことに危機感を持ち、『20世紀の民族と革命』の元原稿を革共同政治局(責任者=清水丈夫)に提出した。この提起は理論外的強制で圧殺され、のちに除名され、著作は他の出版社から発刊された。
白井朗は同著131頁以降に、ウクライナ問題を展開している。核心ポイントは1917年ロシア革命後のウクライナでの赤軍・白軍・マフノ軍・ドイツ軍などの内戦でのボルシェビキの誤りの対象化である。
周知のとおり、スターリンのグルジア(ジョージア)問題での誤りは、スターリンの書記長解任を求める『レーニン「最後の闘争」』(1924年)として知られ、民族問題での大国主義的「粗暴」さがスターリン主義の一つの本質とされてきた。しかしウクライナでの民族問題は、ボルシェビキの指導部にウクライナ人=ジノビエフやウクライナ生まれのユダヤ人=トロツキーの存在もあり、それまであまり問題にされてこなかった。しかし豊かな穀倉地帯=ウクライナをどこが領有するかはロシア革命の帰趨を決める重大な問題であった。ウクライナの中にはコミンテルンに加盟を求める3つの共産党があった。白井朗は、ウクライナの民族形成の歴史、内戦とウクライナ民族の自決問題に接近し、3つのウクライナ共産党=ボルシェビキ、ポロチビスト、ウカピストについて言及している。特にレーニンとボルシェビキの大国主義的ふるまいに対し、ポロチビストからレーニンへの手紙を紹介し、レーニンの誤りをも鋭く指摘している。
それは「ウクライナにおいてソビエト権力の名のもとに行われた暴力を見て、多くの人はこれは何かの間違いであり、『中央』は実情を知らされていないと確信したことを伝えたい。特に貴兄の権威の力を、多くのものが信じていると。返事を待つ。多くのことが貴兄の返事次第である。真の革命家の声が今やぜひとも必要なのだ」というものだ。
この激しい弾劾のなかに、17年ロシア革命とウクライナの民族問題(分離の自由)が、今日に至るも同種の課題であることが平易に理解できる。分離の自由を「分離主義者」として批判し併合を求める。そうではなく「民族主義的主張」に向き合い、分離の自由を認め、革命の中に最終的な結合を求め、「人間の人間的解放」への道筋を示すのが共産主義者の任務ではないのか。
なお我々は、スターリン主義の規定を、1966年革共同第3回大会当時、「一国社会主義と平和共存を基調とする国際共産主義運動の反動的疎外形態」と規定したが、官僚制、民族抑圧、農民収奪などは掘り下げないまま来た。それが1991年ソ連崩壊とそれ以降の現代世界の解明にあたり桎梏となったのでは、という思いをウクライナ戦争への革共同全国委の言動を通じて痛感させられる。
経済的には資本主義化しながら、官僚制的統制機構で人民を支配し民族抑圧を強めている。そのために米帝などに介入の余地を与えているのが現在のロシア・中国などではないか、も併せて考える必要を感じる。(おわり)
6面
7・7自己批判を引き継いで闘う
革共同・大阪B地区委員会
今回、中間総括という形ですが、差別事件を起こした当該を自己批判と自己変革の立場に立たせ、一定の内容を実現するまでに2年5カ月という時間がかかりましたが、ようやくその第一歩を踏み出すことができました。しかし、その内容はまだまだ不十分であることは当該地区党である私たち自身痛感しています。だからこそ、さらに苦しい過程ですが、党の新たな飛躍と発展を切り開いていく闘いに挑戦していく決意です。
このような地平にまで私たちが到達できたのは結井達さんをはじめとする多くの女性同志からの厳しい批判と援助の賜物です。今回、結井達さんから手記が寄せられましたので私たちの糾弾と討論の一端を読者の皆さんにお伝えしたく本人の了解を得て掲載するものです。
一つの壁を突破したこと
それは鉄拳制裁や金銭解決や粛清や追放でごまかしてきた従来の党のあり方の誤りを明確にしたことだと考えています。
処刑や粛清の連続がスターリン主義でもあったことは歴史的事実です。革命的共産主義者同盟も女性差別問題ではスターリンがやったことと本質的に同じことをやってきたというべきです。
私たちはそれを峻拒し、懲罰願望を乗り越え、それとは別の道に歩を進める決断をしました。処刑や粛清や運動からの追放は何も生まないからです。
突きつけられている課題
女性差別との闘いは、人間の人間的解放を実現する共産主義者とその党にとって、そして男性にとって根源的なものだということを突きつけています。この点では私たちは党としてまだまだ不十分であり、結井達さんや多くの女性同志の批判と援助を受けながらさらに深めていかなければなりません。
党の飛躍と発展を実現する
二度と性暴力をおこさないという安心と確信をMさんに持ってもらうまで闘いぬくことが私たちの課題です。それはこれまでのゆがんだ非人間的な党を根本的に変えていくことです。今、私たちはその道半ばにいますが、7・7自己批判を導きの糸としてかならずやり抜いていく決意です。
八田(八代)氏の自己批判文を読んで
結井達
八田(八代)さんの自己批判と謝罪を拝読しました。
一生をかけて償いをしていく。
性暴力とは無縁な人間へと変えていく。
償いを貫徹する決意を受け取りました。それは人間解放を一歩一歩勝ち取ることなのですね。
2年5カ月足らずで、このような文章を自らで出せるにまでなったのは、素晴らしいです。山本潤さんの本を読み、そこから、我が身に引き寄せ生まれ育った家庭環境を振り返り、そこから、社会の構造やその中におかれた一人の人間として女性差別や障害者差別に気づけたことが素晴らしいと思えました。生まれ育った環境が辛いと自分の辛さだけで心身が充満し、自らを被害者にして、社会における様々な差別にまで想いを馳せ、己に宿る加害の意識を自覚することはなかなか難しいことです。
それなのに、あなたはこの文でできた。
心にせまるものがありました。
それは、ひとえに、ここに集う皆さんのあなたを決して排除しない、取りこぼさない、見捨てないという苦渋に満ちた強い思いがあったからです。
そして、あなたが逃げずに向き合ったからです。
自己批判するために家を出て会議にわざわざ向かいますか? 私なら逃げたほうが楽と安直に自らを堕落の道に導く方へと逃げたかもしれません。
般若のごとく恐ろしいIさんもいます。
でも、逃げなかった。向き合ったのです。
Iさんは時に本当におしっこチビリそうなほど怖いですが、それは・・・
それは、あなたと一緒に肩を組み合わせて真の解放を革命で成し遂げたいからです。それにはあなたを抜きにはできないからです。
今のあなたのままでは国家権力に負けるのです。
あなたが19・12・30の出来事に向き合い、あなたが気づき、考えて、変革してこそ、その時のあなたがいてこそ成し遂げられるのだとそこに集う人たちが信じているからです。
私は発達障害です。だから、私はあなたに会うことはできません。
自分の持つ元々の特性や経歴から、きっとあなたに会うと崩壊してしまうと予想がつくからです。
親からの無関心、成績が良いときだけ愛情を感じられました。
学校の先生にもよく気が利くねと、褒められ、私が学校にいると存在証明ができるのは、世間で言われる優しさ、気配りでした。
授業中、目を細めている先生がいる。光が指して眩しいのだなあとカーテンを閉めると、さすが、気が利くね。ありがたがられました。そのような気配りで、テストの成績で私は皆に私がそこにいると存在証明をはかっていました。
父との暮らしでも母との暮らしでも何かピリついていて、両親からの千本の針が実際にはないのですが、私にはそれが見えました。さらに私に向けられているのだと信じていました。いつか捨てられるという恐怖が思春期までは、日々つきまとっていました。常に交感神経が優位で熟睡した記憶がありません。
私は私の一部が批判、否定されると、全否定されたかのように悲しくなったり、反撃を加えてやろうという衝動が抑えられません。
私は、自分でこの特性や不意に訪れるフラッシュバックして苦しくなる生い立ちをうまく心におさめる方法を探してきました。
その時にIさん達に会うことができました。
私は私のままでいいのだと生まれて初めて思えました。
あなたにお会いできないのは、私が語学力基礎学力が足りないためです。それと注意欠陥多動衝動性が強いためです。感性が取り分け鋭いからです。
私の語句の使い間違い等を指摘されると泣いたり取り乱したり、逆ギレをおこしてしまうかもしれないからです。
私の特性であり、それは私が直していかなければならない課題ですが、現在クリアできておりません。
最後に2つ質問です。
1、なぜ逃げなかったのですか?
2、人間解放とは 心も体も満身創痍になり、ボロボロになるものです。それでも掴み取りたい、勝ち得たいのはなぜですか?
直接お会いすることはないかもしれませんが、共に闘っていきましょう。
難民申請認められず
入管体制に風穴を
クルド・イランの難民申請者2人(サファリさん&デニズさん)が不当な収容に対し賠償を求める訴えを起こし、5月31日に東京地裁で第1回口頭弁論が開かれた。
2人は難民申請をしたが認められず、オーバーステイとして長期間にわたって断続的に収容され、うつ状態等の変調をきたし、自傷行為や自殺未遂を繰り返すまでに至った。2人からの告発を受けた国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会は2020年に、そもそも収容に必要性が認められず期限を区切っていていないことや司法審査のないことを指摘し、国際法に違反しているとした。
この日の大法廷の傍聴席は満席となり、裁判後の報告集会には55人が参加。この裁判が日本の入管体制をひっくり返す意義を持つものであることが強調された(写真)。
周知のように、難民申請者を収容することで圧力をかけて、日本から追い払うというのが日本の入管体制の基本になっている。国連の拷問禁止委員会や人種差別撤廃委員会等の条約機関から10年以上にわたり繰り返し勧告を受けてきたにもかかわらず、一向にその姿勢を変えようとしていない。本名を名乗り素顔をさらして裁判を闘う原告とともに日本の入管体制に風穴をあけよう。
ミャンマー官邸前行動 日本は国軍と絶縁を
毎月1日に取り組まれている、ミャンマー国軍への協力を止めるよう要求する行動が6月も官邸前で取り組まれた(写真)。
この日は特に、最大都市ヤンゴンで建設中の複合不動産事業(Yコンプレックス)に焦点が当てられた。日本の大手企業が出資者として関わり、財務省・国交省所管の機関も融資等で関与している。国軍所有の土地に建てた豪華ホテルやオフィスビルの賃料を国軍の懐に入れようという目論見である。こんな事業の資金の8割を日本が出しているという。勿論それによって自分たちも肥え太ることができるのだ。諸外国が撤退の動きを見せる中で、日本にはその気配さえない。行動ではミャンマー軍人を研修の形で自衛隊が受け入れていることも併せて弾劾された。ネット上から参加しているミャンマーの人々に向けてミャンマー語のコールで行動を締めくくった。
7面
何百万人もの棄民政策が続く日本
原子力緊急事態宣言が意味するもの
6月4日、神戸市内で「未来を生きるあなたへ… 小出裕章氏講演会」がひらかれた。主催は「未来を生きるあなたへ」実行委員会。
楽器バンドゥーラとカテリーナさん(2019年3月大阪) |
カテリーナさんの話
冒頭、ウクライナ出身で現在は日本国内で活動しているバンドゥーラ奏者=カテリーナさんによる演奏と歌を交えて、カテリーナさんが話をした。
バンドゥーラという楽器はウクライナの民族楽器で弦が65本あり、半音階ごとに並んでいる。フレットのない弦を直接弾いていく。重さは8sもあり、ちょうどお米10sの袋くらいですと笑った。12世紀頃からウクライナでは目の不自由な男性が弾いていた。日本では「琵琶法師」の琵琶にあたる。
1800年代、ウクライナではロシアによってウクライナ語使用が禁止された時期がある。[注]1863年、ロシアのヴァルエフ内相によるウクライナ語抑圧政策。
1920年代、ウクライナには3百人から4百人のバンドゥーラ奏者がいた。スターリンが「全国ツアーをやる」と騙して全国から奏者を集め、その全員が殺され、バンドゥーラは全て燃やされてしまった。
私は1986年生まれで、チェルノブイリ原発事故の時は生後1カ月だった。生まれたのは原発から2・5qしかはなれていない町(プリチャピ/原発関係者の集住地域)。
その後、キエフ(キーウ)に避難して、そこで育ったが原発避難者ということでいじめられた。「放射能がうつる(から近寄るな)」「夜中に(放射能で)体が光っているだろう」などといわれ、友達はできなかった。
19歳で来日し、結婚もして、子どももできて、もう夢がかなったと思っていたら福島の事故がおこった。
母親はウクライナに残っていたが、今年ロシアの攻撃が始まったので、今日本に避難してきている。
小出裕章さんが講演
福島第一原発事故以降、原子力緊急事態宣言が出たまま。なぜか。日本の法律では一般人の年間被曝限度は1ミリシーベルトが上限。仮にこれを守ると、何百万人もの人が避難することになる。それはできないからと、緊急事態宣言で例外状態を作った。しかし、それを解除する展望はなく、何百万人ものひとたちが棄民されたままだ。本来人が住めない状態の地域に法律をねじまげてむりやり住まわせている状態だ。
原発の電気は安くない。安全でもない。熱効率も一番悪い。
地球温暖化対策と称して、石炭火力は止めて原子力に変えるという議論がある。二酸化炭素はダメで、原子力ならよいのか。とんでもない。二酸化炭素が原因の地球温暖化という事実はない。そもそも地球の歴史をひもとくと、寒冷期と温暖期は何度もくり返している。今の気温上昇はおおきくは1800年頃から始まっている。いわゆる温暖化といわれる現象と人類の産業活動との間に直接の関係は証明されていない。さらに、気温上昇と二酸化炭素の増減の相関関係を見ると、気温上昇が先で、その後、二酸化炭素濃度が上がっている。逆ではない。
まずなにより、放射能をまきちらす原発、事故が起きたら取り返しがつかない原発をなくすこと。それから、エネルギー浪費社会をやめることです。
質疑
@戦争と原発について。戦争の危機を叫ぶなら、まず原発を止めること。戦争をなくすことによってしか、原発と戦争の問題は解決しない。
A汚染水問題。まず汚染水発生量をおさえることが重要だが、政府と東電はまったく対策をとっていない。凍土壁など中途半端なものはやめて、本格的な遮水壁を作るよう私は提案してきたが無視された。今のままでは、いつまでも山側から流れてくる豊富な地下水が原発に入り込み、汚染水の発生は減らない。タンクはもうこれ以上増やせないと東電は言うが、それはウソ。7号機、8号機建設の広大な予定地が北側にある。ここにタンクを増設したらよい。とにかく、汚染水はタンクにため置くしかない。123年(トリチウムの半減期12・3年の10倍)経てばトリチウムの量は千分の1に減る。
政党あいさつ
宝塚すみれ発電所の井上保子さんの講演「再生可能エネルギーでまちづくり」の後、政党あいさつがあり、れいわ新選組参議院全国比例区第4総支部のつじ恵さん(ビデオメッセージ)、社民党・参院選全国比例区予定候補者・大椿ゆうこさん(代理:長崎由美子さん)が発言した。
生活保護引き下げは裁量権乱用
熊本地裁、原告勝訴
5月25日
熊本地裁は5月25日、厚生労働大臣による生活保護基準引き下げは「裁量権の乱用」として原告勝訴の判決を出した。大阪地裁に続く画期的判決だ。この間、札幌、福岡、京都、神戸、金沢、秋田、佐賀で原告敗訴が続いていたが、これを押し返していく重要な判決がかちとられたのだ。
判決は、専門部会に分析や検証をさせずに「官房副長官との間で協議し(政府の)内部で決定していた」ことや、専門部会の提言を勝手に2分の1にしたことも問題にし、引き下げの過程や手続きに過誤や欠落があると認めた。これらは大阪地裁判決より踏み込んだ内容だ。さらに原告らがほとんど新品を買う機会のないパソコンやテレビなどの大幅な物価下落を保護基準引き下げの根拠にしたことも適切ではないと指摘した。
自民党公約での引き下げを押し返そう
今回の引き下げは自民党・安倍政権が2012年に政権復帰するときに掲げた公約に基づく。厚労省は自民党の意を受けて根拠のない引き下げを強行してきたのだ。しかし、大阪地裁と熊本地裁の2つの勝訴判決は国の引き下げに根拠がないことを事実をもって暴いたのである。
コロナ禍で格差拡大はさらに激しくなっている。コロナ禍はとりわけ女性に対して生活の基盤を奪い続けていることはこの間の相談事例で明らかになってきている。ギリギリで生活してきた母子家庭等にコロナ禍は直撃している。解雇や雇い止め等という明確な形でなくても水面下での生活破壊が激しくなっている。こういう中、生活保護の大切さはますます明確になってきている。
第8回総会開催
5月28日、引き下げアカン大阪の会の第8回定期総会が大阪市内でひらかれ、百人が集まった。第一部で今年度の闘う体制が確認され、第二部では藤井克徳〈いのちのとりで裁判全国アクション共同代表〉の記念講演がおこなわれた。同氏は障害者の権利のために闘ってきた人で、今回はT4作戦といわれたナチスによる障害者虐殺について写真を交えて、戦争が如何に人権を奪うのかというテーマで報告した。
命を奪うことは人権の極限的否定である。保護基準の引き下げがどのような残酷な事態をもたらすかを国は承知の上で強行してきているのだ。第8回総会では原告の小寺アイ子さんが決意を述べた(写真上)。私たちの闘いは保護基準を元に戻させるまで続く生きるための闘いだ。
今後大都市での判決が続く。東京地裁判決は6月28日、仙台地裁は7月27日、横浜地裁は10月19日におこなわれる。大阪高裁は年内に結審し来年3月までに判決が予想されている。さらに運動を強め、勝訴判決をかちとっていこう。
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中国の現在についてのメモ(下)
D「カラー革命を阻止する」
『中国共産党100年の歴史決議』を読むと、中国共産党権力が既にこれまでの経済成長を実現してきた国際的条件が失われつつあることを自覚して危機感を募らせていることが解る。そして、その最大の問題意識が、米欧による「カラー革命」(米欧の民主化闘争への介入による体制転覆)の阻止にあることが解る。香港や台湾の問題も、中国国家権力の側はそのような観点でみている。
ところで、ソ連崩壊以降、米ソ冷戦が解消してからもなお、米帝が昨今まで「関与政策」として中国との対決に踏み切らなかった動機は何であろうか。おそらく米帝の側は、当初はさして経済的には大きな国でもない中国で、東欧諸国の様に親欧米的な勢力が育つことを期待したのではないだろうか。
しかし、中国では、国有持株会社が全ての企業に占める割合は1・3%に過ぎないが、従業員数の占める割合は15・7%に上り、依然として国民経済の発展を支える中核的役割を果たしている。中国の経済は国有化経済と民間企業の混合経済といえるが、依然、共産党の国家権力が経済の管制高地を握っており、国内の親欧米勢力の増長を許さなかったのであろう。
最近話題のデジタル人民元も、ドルにとって代わるという遠大な目標以前に、アリペイやWe?Chat?Payが普及し過ぎることへの統制だと言われている。いずれにせよ、米欧日との貿易で築いてきた中国の驚異的な経済成長の条件は急速に失われていく。強硬な「ゼロコロナ対策」がオミクロン株対策では自縄自縛に陥った様に、人民を強硬的に抑圧する中国スターリン主義権力は必ず行き詰るであろう。(4月7日 佐藤隆)
8面
(本の紹介)
『忘れられた思想家 山川菊栄 フェミニズムと戦時下の抵抗』
鈴木裕子 著/梨の木舎
大庭伸介
フェミニズムが論じられるようになって、既に久しい。しかし女性に対する性暴力は、一向にあとを絶たない。むしろ社会の閉塞状況を反映してか、エスカレートしているようだ。
この問題は人間の内面を問うものであり、天皇制支配の土台をなす家父長専制の意識と深くかかわっている。
山川菊栄は女性史研究の第1人者である鈴木裕子の出発点であり、本書はその集大成である。
私にとって菊栄は、1926年の「婦人部論争」が最も印象深い。日本最初の左翼労働運動の全国組織・日本労働組合評議会がその前年に結成され、菊栄は組織部長三田村四朗の依頼を受けて「婦人部テーゼ」の草案を執筆した。それにもとづいて翌26年の評議会第2回大会で、総本部に婦人部を設置する案が提出された。
ところが指導部のほとんどが反対して、激論の結果「保留」になってしまった。評議会の指導部はすべて男性で、共産党員かシンパであった。議論の中身は本書に詳しいので、それに譲る。左翼の指導者といえども女性蔑視が根強く、女性差別は社会主義革命によって自動的に解消されるという考え方がまかり通っていたのである。しかし各組合では、菊栄の提起にもとづいて婦人部がつくられた。
戦前女性は選挙権がなく、「子産み機械」、夫の従属物であり、独立した人格の持ち主と認められていなかった。貧困家庭の娘は公然と売買され、村役場の入口には「娘身売りの場合は相談されたし」というポスターが貼られていた。
そうした状態を克服するために、「女権拡張」を唱える運動が起こった。平塚らいてうや市川房枝などが代表的な指導者であった。しかし彼女たちは、全面的な中国侵略戦争が始まって国家総動員体制確立のために公的ポストが与えられると、女性の地位向上の好機ととらえて戦争に積極的に協力していった。
だが、菊栄は、夫の均(創立期の共産党、のち「労農派」の理論的指導者)が病床に伏し自身も病身でありながら、マルクス主義・社会主義フェミニストとして節を曲げずに活躍した。
『婦人公論』などで、女性労働者や高齢者・子どもをはじめとする社会的弱者に対する政府の無策を、慎重な表現で批判して国策への抵抗を続けた。だが太平洋戦争突入の半年前、菊栄は大手メディアから閉め出されてしまった。しかしその後も、大阪で発行されていた『女性と経済』(のち『女性日本』『現代女性』)に1943年12月まで、身近な問題にからめて時局批判の健筆をふるった。
敗戦後、菊栄は新設された労働省の婦人少年局長に就任した。彼女は旧内務省から移ってきた男性の高級官僚から猛烈な反発を受けながら、みずから各地に足を運び、全都道府県の婦人少年室の主任に、民間からの女性を登用した。女性の自主的活動を促す啓発活動を展開し、とりわけ年少労働者や人身売買・被爆者問題に力を入れて取組んだ。
一方、戦争に積極的に協力した市民的婦人活動家たちはどうであったか。
平塚らいてうは共産党系の新日本婦人の会が結成されると、代表委員におさまった。彼女たちが中心を担った母親大会は、「生命を生む母親は生命を守り育てます」という大衆受けするスローガンを掲げた。これは〈母性=平和主義〉という戦後婦人運動の欺まん性を象徴するものでしかなかった。
戦時中、全国に張り巡らされた地域婦人会は軍部の強制によってではなく、自発的に戦争に加担した。それにもかかわらず、戦後の婦人運動の主流は「女はみな被害者」幻想から出発して、責任を問われるべき女性を免罪し、本人たちもそれを自覚しない代物であった。
また敗戦のとき「戦いに敗けた悔しさ」に涙を流した市川房枝は、戦争協力への一片の反省も表明しないままに、「カネのかからない選挙」を看板に掲げて国会議員になった。
対照的に菊栄のフェミニズムは、一貫して労働者階級の女性を軸に、性と階級の二重の差別に苦しむ底辺層の女性や植民地民衆の解放をめざすものであった。
本書は多くの人たちからの聞き取りと膨大な資料にもとづき、時代背景や関連する人物の丁寧な解説も含めて、山川菊栄の全生涯を活写している。新たな戦争の危機が迫っている今、菊栄の抵抗と告発は私たちに限りない励ましと示唆を与えてくれる。
700ページを超える大作で定価が6800円と、一般の労働者や活動家にとってはなかなか手を出しにくい。しかしセクシャルハラスメントがはびこり、コロナ禍の影響で女性の自殺率が高まっている社会と自己変革のために、図書館にリクエストしてでも一読されることを薦める。
(シネマ案内)
ドキュメンタリー映画『教育と愛国』
監督:斉加尚代 2022年
2018年4月、小学校の「道徳」が教科に格上げされた。その前年、文科省による教科書検定で、その記述がパン屋から和菓子屋に変更された。「国や郷土を愛する態度」が不適切という理由からだ。「映像'17 教育と愛国〜教科書でいま何がおきているのか〜」(17年)が毎日放送(MBS)で放映された。その内容は、子どもに「国を愛する心」を押しつけようとしているなかで、「戦争をする国づくり」がおこなわれていることを明らかにするものだった。斉加尚代監督はこの点をさらに掘りさげ、その後に起きた事件も付け加えて、この劇場版ドキュメンタリー映画をつくった。
映画は、久保敬(大阪市立木川南小学校校長)による授業風景からはじまり、その授業風景でおわる。久保さんの授業は、上から「決まり事」を子どもに押しつけるのではなく、子どもといっしょに考える。子どもたちはわくわくしながら授業に参加している。
教科書をめぐる動き
1982年、教科書の記述で「侵略」が「進出」に書き換えられた。この時、アジア諸国から抗議が起こり、はじめて国際問題になった。
その後、日本軍「慰安婦」問題がほとんどの教科書に記述されていく。この動きに危機感を抱いて、「新しい歴史教科書をつくる会」(「つくる会」)がつくられた(96年)。こうして、「歴史修正主義」との攻防がはげしくなる。
99年に石原慎太郎が東京都知事に就任し、東京都の「教育改革」=教育破壊がおこなわれていく。教科書会社は自主規制をおこない、教科書から「慰安婦」にかんする記述がしだいに消えていく。日本書籍は編集者が良心を貫き、「慰安婦」に関する記述を変えなかった。このため、東京都でほとんど採用されなくなった。日本書籍は、04年に倒産に追い込まれる。
06年、第1次安倍晋三政権のとき、教育基本法が改悪され、教育基本法に「国と郷土を愛する心」が書きこまれる。この年、沖縄戦にかんする記述が高校教科書検定で問題にされる。日本軍の強制による「集団自決」がおこなわれた事実にたいして、「日本軍から強制された」とする記述が教科書から削除された。07年、沖縄県民はこれに抗議して県民大会を開き、11万人が参加している。
2011年から、大阪で橋下徹府知事(当時)による「教育改革」がはじまる。12年に大阪でのタウンミーティングで、安倍は「政治が教育に介入するのは当然」と放言した。15年、中学校教科書に育鵬社版が採択された。17年に、森友学園問題が発覚する。その核心は「愛国心を教育する小学校を建設する」ことだった。
維新教育をめぐっては、21年に久保敬・木川南小校長(当時)の「提言」で、教育現場からの批判がおこった。
このように、教育をめぐる問題は、「戦争をする国づくり」の一環であり、改憲にむけた攻撃なのだ。今日、「中国が攻めてくる」と危機感をあおり、「敵基地攻撃」論を正当化しようとしている。「台湾問題=日本問題」として、集団的自衛権を行使して、日本が積極的に侵略戦争に出ていこうとしている。国家(為政者)が「自衛」を叫ぶとき、戦争が始まる。戦争に反対する闘いはこれからが本番だ。(鹿田研三)
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