コロナ感染源は米軍基地
沖縄・岩国など基地を封鎖せよ
米軍基地が感染源
世界中で、新型コロナウイルスの変異株・デルタ株よりも感染力が強いオミクロン株が感染爆発している。日本でも、新規感染者が1月2日553人から8日には8480人と、1週間で15倍超に増大した。米軍基地が感染源となって基地周辺で感染が拡大し、基地が集中する沖縄では新規感染者がうなぎ登りに増加し8日には1759人で過去最多、医療も逼迫という深刻な事態になっている。沖縄・山口・広島の3県は、まん延防止等重点措置を要請し1月9日から31日まで適用となった。沖縄・玉城デニー知事は、「オミクロン株の感染拡大は米軍からの『染み出し』が大きな要因」と指摘し、米軍由来であることが明らかになった。
岸田政権は、オミクロン株阻止のため、全世界からの新規入国停止としたが、水際対策に大穴があった。米軍は、日米地位協定によって、出入国管理も検疫も受けず、基地から入国している。日本の国内法は適用されない。検疫は米軍まかせで、米軍は米出国前と日本入国直後のPCR検査をせず、入国後のPCR検査は5日目以降におこない、行動制限期間中でも基地内の移動は自由、というずさんさだった。
その結果、昨年12月17日、米国からキャンプ・ハンセンに入った部隊で100人を超えるクラスターが発生。基地従業員がオミクロン株に感染したり、米兵がマスクもせずに基地外に外出・飲食して市中感染が広がった。米軍のコロナ陽性者は、在沖米軍9基地で1150人、岩国基地529人、横須賀基地213人、三沢基地133人など全国の米軍基地で多数にのぼる(1月6日)。10日には全国で計3638人。
緊急事態宣言下の昨年9月3日から米軍が出国時検査を止めていたのも放置したことが、感染拡大を招いたのだ。
政府は、1月9日にやっと在日米軍関係者に対し10日から14日間、外出制限すると発表。玉城知事が12月21日に要請してから20日後という遅さだ。
玉城知事を支持する国会前行動(1月3日) |
日米地位協定の構造的問題
2013年日米合同委員会で、感染症患者について日米相互で「可能な限り早期に通報」という取り決めをしているがこれもずさんだ。米軍は沖縄県感染症対策課に、感染者数は伝えるが、陽性者がどこに住んでいるか、いつ発症したのか、一般市民に濃厚接触の恐れがあるのかなどの報告はしない。沖縄や山口では、民間住宅を借りて基地の外に住んでいる米軍人らが少なくない。外国人が3カ月以上国内に滞在するときは、居住地などを登録する必要があるが、米軍人らは、この対象からも外れており、居住の軍人・軍属の場所、数を自治体も把握できない。玉城知事は記者会見で「十分な感染予防の情報提供もままならない状況を作り出しているのは、日米地位協定の構造的な問題」と批判し地位協定の見直しを訴えた。
日米地位協定の最大の問題は、在日米軍関係者には国内法が一切適用されないことだ。日本は「憲法の上に日米地位協定がある」ともいわれる。世界に米軍基地は多数あるが、日本ほど米軍に特権を与えている国はない。韓国は、出国時・入国時・隔離終了時と3回も検査を実施。しかも隔離終了時は韓国側が検査している。ドイツやイタリアなどは基地内外に自国法を適用して規制している。欧州の米空軍の拠点・ラムシュタイン空軍基地は、コロナ感染者数を地元自治体と定期的に共有し、マスク着用や行動制限といった州の規制は、同基地にも適用されているという。タイやイラクは、米軍人などに対する自国の刑事裁判権を譲らず米軍を撤退させた。日本は、1960年1月新安保条約と同時に日米地位協定(旧行政協定)を締結し、それ以降一度も地位協定を改定していない。他国は不平等な協定を対等な関係に変えていっているのに、日本は不平等なまま。憲法改悪ではなく地位協定の改定・破棄こそが必要だ。米軍を入国禁止にし、米軍基地を封鎖・撤去しよう。
医療供給体制の充実を
コロナ禍で病床確保が必要なのに、病床を削減している。新型コロナウイルス感染症対応の中心となる急性期病床などが、全額国費で補助金を出して、2020年度分で約3400床削減された(厚労省調べ)。医療費削減を狙い、2025年度までに全国の急性期病床を約20万床減らす計画をコロナ禍でも進め、昨年5月には菅政権が病床削減推進法を強行成立させた。
岸田政権は、陽性者は全員入院、濃厚接触者は全員宿泊施設待機としてきたが、4日の記者会見では、「自宅療養も活用」と早くも方針を転換した。第5波で13万人も自宅放置し、家庭内感染を拡大し多くの助かる命を犠牲にした反省もない。軽症でも入れる医療機関・施設の整備や保健所機能の強化、医師・看護師不足の解消など医療供給体制の充実に税金を投じるべきだ。命や生活より、軍拡・デジタル改革優先の岸田反動政権を倒そう。
関生元旦行動に400人
全員無罪へ流れを変える
大阪府警本部を400人がとり囲んだ(1月1日、大阪市内) |
1月1日、「労働組合つぶしの大弾圧を許さない元旦行動」が取り組まれ、4百人が大阪府警本部前に集まった。主催は、〈労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会〉。
多くの旗が林立する様子は壮観だった。集会の冒頭、シュプレヒコールが。大阪府警は謝罪しろ! 吉村大阪府知事は謝罪しろ! 大阪府警本部長は謝罪しろ! 大阪府警は憲法を守れ! 大阪府警は法律を守れ! 大阪府警は労働問題に介入するな! 民事介入を許さないぞ! 労働者市民は連帯して闘うぞ! 労働者が主人公の社会をつくるぞ! と怒りの声が府警本部に響きわたった。
実行委員会代表の全港湾大阪支部・小林勝彦委員長は、今年を反転攻勢から流れを変える年にしようとあいさつ。「昨年末、加茂生コン事件は大阪高裁で逆転勝訴するなどいくつかの無罪判決をかちとってきているが、政治家や権力者の犯罪をみのがす警察が当たり前の労働運動を犯罪だとしてきている。こんな弾圧をみんなの力で変えていかなければ労働組合、市民運動におよぼす影響は限りなく大きい。一人が一人、さらに二人、三人と、この当たり前の労働運動への弾圧、関生つぶしの理不尽さを訴えていき、大きなうねりにしていこう」と訴えた。
司会の西山直洋関生支部執行委員は「私たち関生支部は、この約3年間、同じ組合の仲間と接触することができないという不当な保釈条件に耐えながら、昨年12月、保釈条件の大幅な緩和を勝ち取った」と報告し、こういう中での関生支部の新しい代表である湯川裕司委員長を紹介した。
関生支部を前進させる
発言する湯川新委員長(1月1日、大阪市内) |
湯川委員長は、加茂生コンの逆転無罪判決をかちとった仲間と一緒にアピールした。湯川委員長は「2018年からの弾圧以来、今ようやく無罪判決がパラパラと出始めています。しかし、来年、再来年まで私たちの運動の正当性を争わなくてはなりません。弾圧によって組合員が半年以上勾留されて社会的立場も失い、その間の時間は返ってきません。これでは無罪判決を勝ち取っても、申し訳ないけども、喜びではありません。これは怒りの始まりです。私たちはこの弾圧を打ち破る闘いの中で、組合員一人一人が、主体性をもって再度、関生支部を前進させていきます」と決意表明した。
湯川委員長はさらに今回の弾圧は警備課ではなく組織対策部、いわゆる組対が動いていることを指摘した。組対が動く前にレイシストが関生支部を反社会的勢力とか暴力労組などのキャンペーンを張り、それから組対が動くという連携・連動した弾圧であり、今までなりをひそめていても情勢が右傾化すると本性を明らかにしてくる警察の体質は戦前から変わっていないこと、こういう警察権力と闘う中で関生支部を前進させると決意表明した。
続いて加茂生コン事件で逆転無罪判決をかちとったY組合員が「自分は無罪になったがY執行委員が有罪というのはまったくおかしい。検察が12月24日に上告してきたことをクリスマスプレゼントとして受け止め、私とYの2人の無罪判決をかちとりたい」と怒りを込めて決意表明した。
シュプレヒコールの後、連帯アピールとして反弾圧京滋実行委、同じく兵庫の会から全港湾神戸支部、4人で結集した東海の仲間、大石あきこ衆議院議員、木村真豊中市議、若狭の原発を考える会・木原壯林さん、米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会、三里塚関西実行委員会・松原康彦さん、全国金属機械労働組合港合同、関西合同労組など各労組からアピールがあった。
維新打倒を
最後に大阪全労協の仲間がまとめの挨拶。この元旦行動は4百人が結集し、大成功した。昨年の無罪獲得など一連の勝利はけっして偶然ではなくここに結集した多くの人たち、さらには全国の闘う人たちの力でかちとったものである。しかし、権力は手を緩めることなく次の新しい弾圧を準備している。これを冷静に見すえていこう。参議院選挙等をふくめて私たちの代表をもっともっと国会に送り出していこう。カジノやIRなどを主張している維新を倒そう。維新を打倒する中で労働運動の未来もみえてくる。弾圧を打ち破る闘いをさらにやり抜こうと訴えた。
1・23名護市長選に勝利しよう
2面に記事
2面
カジノIR説明会
ウソとでたらめに終始
1月7日
1月7日、大阪市内でカジノIR計画=「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画(案)」の説明会がひらかれた。大阪府と大阪市が主催。会場前では多くの人たちが横断幕やのぼりを立てて反対の声をあげていた。
説明会場では約2時間にわたって大阪府市の担当者からカジノIR計画がいかにもバラ色であるかのような説明がおこなわれた。しかし会場からは拍手は一切なかった(写真)。
まともな回答できず
説明が終わって質疑応答の段階になると20人を超える人が発言を求めて挙手した。最初の発言は、カジノ建設に1200億円を投入し、さらに土壌改良で800億円も投入される、これらはすべて借金となり一般会計に回ってくる、こんな計画は間違っていると弾劾。府市の担当者は資金不足は生じないというのみだった。
次の質問は、コロナが開業時には収束していることを前提に3200万人もの人を受け入れる計画をすすめるというが、5年後に収束しているという根拠は何かの質問に、府市の担当者は答えず、収束すれば事業を展開するというのみだった。
次の人は、大阪では保健所が減らされ、大阪は10万人あたりの死者数は全国で最悪だ、カジノIRでクラスターが発生したらどうするのか、見切り発車は許されないと弾劾した。府市の担当者は近隣の医療施設に依頼するとした。
次は、松井市長が知事のときにカジノ建設には税金は一円も使わないと言ったのに市税を投入するのかと弾劾。
次に大石あきこ衆議院議員が質問に立った。大石議員はコロナ収束の見通しが立たなかった場合、カジノ事業者は撤退することがあるという認識かと質問すると、府市の担当者は厳しいコロナ情勢の中で「カジノ事業者の撤退」はあり得ると認めざるを得なかった。さらに吉村知事が存在を認めた業績が悪化したときのシミュレーションの数字はいつ出すのかという質問には一切答えないままだった。
次は、ギャンブル依存症対策をおこなうということはカジノによって依存症が増加するのではないか、依存症は完治できない、などとさまざまな領域にわたって激しい反対意見が繰り広げられた。しかし、府市の担当者は時間切れを理由に質疑を打ち切った。
カジノは維新の弱点
カジノはばくちであり、ばくちが「成長戦略」になるはずがない。維新の説明はウソとでたらめだ。横浜のカジノは大きな反対の声でつぶれたが、大阪は地元企業を巻き込んで強行しようとしている。新たにつくられる大阪IR株式会社は、オリックスやアメリカのカジノ資本MGMのほかに関西の地元企業20社が参加する。これには原発推進の関電などが参加。
カジノには大阪府民の6割が反対している(2017/3/1朝日新聞)。都構想のときは賛否拮抗している中で住民投票では2度とも維新を押し返した。人々の中にカジノ反対の声を広め、なんとしてもカジノを止めよう。
なお、説明会は会場を変えて、2月14日までに大阪市内や府内で合計11回開催の予定。
名護市長選勝利へ総決起
大阪・東京でも支援集会・行動
岸本ようへいさん(左) |
12月25日の大阪の支援集会 |
12月23日 名護市民会館大ホールで、岸本ようへい必勝総決起集会が開催された。名護市民はじめ1054人が参加。集会は名護市長選予定候補の岸本ようへい氏の入場から始まり、市民の圧倒的な拍手で迎えられた。壇上に登壇するとさらなる拍手が鳴り響いた。
最初、選対本部長の稲嶺進前名護市長の選挙戦必勝の訴えから始まった。稲嶺氏は、自らがおこなってきた名護市政を引き継ぐのは岸本ようへい氏しかいないことを訴えた。
公務で参加できなかった玉城デニー知事はビデオメッセージで激励した。副知事や国会議員の発言の後、南城市長の瑞慶覧長敏氏が登壇。南城市長選も1月23日に投開票される。瑞慶覧氏も2期目を目指し立候補を予定している。瑞慶覧氏は岸本ようへい氏とがっちりと肩を組み、お互いの必勝を期した。瑞慶覧氏のパフォーマンスに会場は一気に熱気につつまれた。
つづいて岸本ようへい氏が登壇し、市長選への熱弁をふるった。岸本氏は、基地問題では現市長の「国と県の裁判を見守る」の一点ばりを、名護市長としては無責任と批判。「わたしは辺野古新基地建設を認めない立場だ。名護のことは名護市民が決めよう」と態度を表明した。保育料の問題など、再編交付金なしでも稲嶺進前市長がやってきたことを踏襲し市政をやっていくと決意を語った。市民は圧倒的な拍手で支持を表明した。最後に必勝の「がんばろう」を三唱した。
1月9日 沖縄県は新型コロナウイルス感染拡大防止の「まん延防止等重点措置」の適用に入った。新年が明けたとたんにコロナウイルスが一挙に拡大し、これまでの感染最多を更新している。
キャンプ・シュワブゲート前での座り込みは7日から休止し、監視行動は続けている。浜テントも午前中の監視行動のみに限定。
名護市長選にも影響が甚大だ。感染拡大により両陣営とも集会や地域回りの制限を余儀なくされている。岸本陣営も対応に追われている。岸本陣営は新型コロナウイルス感染拡大の感染源が米軍基地であることをふまえ、米軍基地の危険性や基地の弊害の主張を強める構えだ。(杉山)
3面
「君が代不起立処分」再任用拒否
国賠訴訟 大阪高裁で逆転勝利
大阪府立高校の卒業式で「君が代」を起立斉唱せよとの職務命令を拒否し、戒告処分を2回受け、定年退職後の再任用を拒否された元教員の梅原聡さんが大阪府を相手に損害賠償を求めていた裁判で、12月9日、大阪高裁(本多久美子裁判長)は、1審・大阪地裁の判決(府教委の言い分を丸呑みした不当判決/梅原さん敗訴)を変更し、大阪府に315万円の賠償を命じた。
思想チェック
梅原さんは2017年3月の定年退職を目前に、再任用にむけて大阪府教委から「意向確認」なる不当な聞き取りを受けた。その内容は「卒業式または入学式における国家斉唱時の起立斉唱を含む上司の職務命令に従いますか」というもので、思想チェックともいうべき内容であった。梅原さんは「そのような(思想・良心に関わる)質問には答えられません」と述べた。その結果、再任用されなかった。
そもそも2013年に公的年金の支給開始年齢が引き上げられ、無収入期間が生じないように、希望者の再任用を国が自治体に要請していた。大阪府は、希望者をほぼ全員再任用してきており、梅原さんと同時期には体罰で減給1カ月処分を受けた人も再任用されている。ところが減給よりも軽い戒告処分歴のある梅原さんが再任用されなかったのは「合理性を欠く」とし、裁量権の逸脱または濫用を認定した。
差別を認定
判決について梅原さんは「意向確認をすること自体が違憲だと認められなかったのは残念だが、職務命令に従わなかったことを理由に再任用しないのは違法であると認め、府教委が不起立者を差別したことを認定した判決だ。この判決によって『君が代』不起立者を再任用から排除することがはっきり違法とされ、これまで府教委が不起立被処分者を差別的に取り扱ってきたことが明確になった」と語る。
新聞社説でも厳しく批判
朝日新聞は12月16日の社説で言う。「個人の内心に踏み込むようなことをし、従わない者には差別的な扱いをする。そんな大阪府の理不尽な振る舞いが、司法によって厳しく裁かれた。・・・再任用制度は、公的年金の支給開始が段階的に65歳に繰り延べられるなか、無報酬となる期間をなくすために設けられた。17年当時は社会に定着し、大阪府の職員も希望する者の99%超が再任用されていた。高裁はこうした事情をふまえて、『再任用への期待は法的保護に値するものになっていた』と指摘。体罰をくり返して減給処分を受けた者まで認容されていることにもふれ、原告に対する府の対応は『客観的合理性や社会的相当性を著しく欠く』と述べた。もっともな見解で、府は猛省する必要がある。」
現場でのたたかい
梅原さんを支援する〈「日の丸・君が代」強制反対・不起立処分を撤回させる大阪ネットワーク〉は、梅原さんとともに17年当時から府教委への抗議・交渉を繰り返し、その結果、意向確認における「卒業式または入学式における国歌斉唱時の起立斉唱を含む」の文言は削除され「上司の職務命令に従いますか」のみとなった。府教委は公式には誤りを認めなかったが、その文言を削除することにより、実質的にその誤りを認めた形になり、以降は「君が代不起立」被処分者も再任用が実現している。この判決はそれにだめ押ししたかたちになった。
新春各地で闘いスタート
1・3国会前
1月3日、国会正門前行動「アベ・スガ政治を許さない」が取り組まれ、正門前に140人が集まった(写真上)。
まずは辺野古の「埋め立て不承認支持」のプラカードを掲げた十数分間のサイレント・スタンディング。続いて、落合恵子さんらによるスピーチ。「森友問題の卑劣な幕引きを許さない。赤木さんの無念を共にしよう」「今年の参院選で流れを変えたい」「東京にも今だにホットスポットが残っているし、子供たちの体にも影響が現れている」等々。松本ヒロさんは、岸田首相の「国民の話を聞く」は「国民の話をキックだ」と初笑いを披露。今年一年を闘い抜く決意を各自が固める行動となった。
新宿スタンディング
1月8日 辺野古埋め立て不承認を支持しますキャンペーンとして、新宿スタンディングがおこなわれた。新宿駅南口には90人が集まり、政府はただちに工事をやめろ!辺野古「ブルーアクション」に呼応しよう!と道行く人に訴えた。
読売新聞へ抗議行動
1月3日、大阪市北区にある読売新聞大阪本社前に〈梅田解放区〉の呼びかけに答えて、30人近くの市民が集まった。年末に突如発表された「大阪府と読売新聞の包括連携協定」に反対する人々である。全国有数のコロナ感染率なのに、テレビに出まくる吉村知事と、府の広報紙になる読売幹部の得意顔を許すことはできないと怒りに燃える人々だ。
読売側は警備員と数人の社員らしい人物が、監視に励んでいた。
梅田解放区の若者を中心に10人ほどが交代でマイクを握る。「かつて読売は庶民に寄り添う記事を書く記者もいて尊敬を集めていたのに、今や悪政だらけの維新の手先になるのですか」「カジノ=博打場建設に巨額の税金を浪費しようとする維新と、何が連携ですか」「公共の新聞が、血税を使って一方的宣伝をして、利益を得るのはあかんでしょ」などの言葉が続いた。
参院選・首長選へ闘い始まる
自・公・維と対決するうねりを
12月19日、「衆議院選をふりかえり、日本政治の今後を考える」と題する集会が、つじ恵さんが総選挙を闘った尼崎市内で開催された(写真)。既につじ陣営では21年11月の「振り返り会」で「次につながった」と確認し、7月の参議院選の準備にはいることを確認している。
そのため今一度日本政治の今後の行方を探るため、丸尾牧兵庫県議(尼崎・みどり)、安井美沙子元参議院議員(愛知・れいわ)、やはた愛総選挙候補者(れいわ・比例近畿)と、つじ恵元衆議院議員のパネルディスカッションに80人が参加し、つじ選挙の熱気が継承された集会となった。
初めに丸尾さんは、1992年に尼崎市議会カラ出張事件で立候補し20歳代で当選した事をふりかえり、その時よりも今が政治の変革が求められていると、れいわへの期待を語った。
安井さんは東海で比例れいわ枠の議席を獲得しながら安井票が10%未満で比例復活できなかったと謝罪し、選挙を支えてくれたボランティアに感謝した。
やはたさんは大阪1区という大阪のど真ん中で1200枚のポスターを貼りながら比例区に回り、れいわの底あげに頑張ったと報告。大石さんは橋下に噛みついたが、私は山本太郎代表に噛みつきながら、そのもとで来年参議院選を大阪選挙区で頑張ると、関西人らしい笑いをとった。全発言者とも、ボランティアの献身的な活動は、労組や宗教の組織に頼るのではない市民の決起として、日本政治に大きな希望を与えたと総括した。
その上で、しかしながら現在のれいわなどの力は小選挙区2万から4万票弱、これでは小選挙区で勝てないと自省の弁。今回の選挙を通じて「れいわって何?」と言う人はほぼ無くなったが、それでも5万票、8万票への道には壁がある。地道な活動の上に、関西各地が連携し大きなうねりを作ろうとの発言も。またれいわの「奨学金チャラ」などの言葉遣いにある「判りやすいが、国民の過半数を獲得し地域社会全体に責任をとるあり方とは少し乖離がある」との反省もなされた。
最後に特別ゲストとして、40年以上国会議員を務めた石井一元自治大臣から「公明党は平和と汚職追放の党だったが、国土交通大臣を握り続け変質した。これが支える自公体制を崩さねば」「山本太郎は芯のあるええオトコ。これを盛り立て、地域に根ざし天下国家を語る政党をめざしてほしい」と、4人の発言者を激励。22年7月の参議院選、11月尼崎市長選、23年統一地方選を一体で闘う好集会であった。(丸山礼二)
4面〜5面
新春座談会
梅田解放区は未来への解放区
緊急事態宣言直前の、3・11十周年に大阪の繁華街で脱原発を訴える(2021年3月) |
始まりは共謀罪
多人数の前で社会問題訴え
あるみ:共謀罪衆議院委員会採決直後から、安倍政権が抱えている様々な問題についてみんなで声を上げるため、大阪梅田ヨドバシカメラ前で「梅田座り込み解放区」として街宣を始めました。現在は梅田HEP FIVE前に移って続けています。
当初は毎週土曜日18時〜21時でしたが、2019年ごろから毎月第2・4土曜日17時半〜19時でおこなっています。
森友学園・加計学園問題の追及、原発再稼働や避難者の切り捨て反対、辺野古新基地建設反対、労働問題、日本軍「慰安婦」問題など、オールテーマで訴えてきました。そのため、個々の問題に取り組む多様な参加者が結集しています。
朴東仁:福島原発の事故により放射能汚染された東京から大阪へ避難した園良太さんの呼びかけで始まりました。僕が参加したのは2年前からなので聞いた話ですが、初期は警察の介入も多く、共謀罪と弾圧に抗うせめぎ合いの実践の場にもなったそうです。
あるみ:ヨドバシ前だと人がいるけれど外国人旅行者が多く、その人たちに日本の問題を訴えても仕方ないのでHEP FIVEに移ってきたということです。HEP FIVE前は通行人が非常に多いため、曽根崎署が妨害してきましたが激しい攻防の末、確保しました。権力とのやりとりをやって活動してきたのは事実です。
朴:取り囲む警察に横断幕を柵にして抵抗したんですよね。
ミフィ:あの時は現在に比べて参加者が多かったし闘い慣れている人たちがいたので対抗できたんだと思います。歌手の川口真由美さんに歌ってもらったり、盛り上がりがすごかった。共謀罪通過時は徹夜行動にうって出ました。東京のグループと連帯しながらHEP FIVE前にスクリーンを出して国会中継を映しました。
朴:梅田解放区はオープンマイク形式で誰が何をアピールしてもかまいません。参加者はそれぞれ自分の問題意識に沿ってアピールしています。自分がこういうのをやりたいとかやってるっていうのを仲間に伝える場でもあります。
社会の矛盾を抱えるテーマ
コロナ・沖縄・狭山・朝鮮学校…
コールにあわせてリズムをとる若い人(21年12月) |
みかん:私の中心課題は、朝鮮学校の教育無償化や大阪府チャレンジテストの撤廃、夜間中学への待遇など、教育問題が中心です。教育予算が増えないなか学校側が必死でやりくりする一方で、万博や都構想にどれほどの税金が費やされたでしょうか。子どもたちの学ぶ権利を後回しにして進む「改革」の未来が明るいとは思えません。解放区では維新批判についてアピールすることが多いです。
原戸安明:僕はほとんどマイクを握ることはありません。若者へ向けたアピールには音楽が必要だと思うので、太鼓を叩いています。いろんなことが気になるので、テーマはどれか1つに絞れませんが、資本主義社会の政治体制に抵抗があります。
ミフィ:私は初期から参加していました。関電前での反原発行動にも参加していたから原発問題をテーマにアピールしていましたが、2019年の十三市民病院の闘いをきっかけに労働問題が中心になりました。私は十三市民病院で委託会社の非正規社員として働いていましたが、松井大阪市長が突然「コロナウイルス指定病院」に決めてしまいました。その上、雨合羽を医療用ガウンの代用品にしようとしました。
私たち委託会社の社員は、患者に直接触れないという理由で、医師と看護師が受け取る1日4000円の危険手当を受け取れず、感染しても使い捨て。滅菌、清掃、警備など病院には絶対に必要な職種にもかかわらず、重視されていないことに憤りを感じ労働組合に入りました。
「ブロークンレコードテクニック」と言って、同じことを繰り返し言ううちにそれが通るのです。私は団体交渉でそれを実践しています。私は市と交渉し、マスク・ガウン支給、感染予防研修、全労働者への危険手当支払いを勝ち取りました。時給1000円で働く人たちには1500円への賃上げ要求運動を提案したい。虐げられている他の労働者も私の成功例をみて起ちあがればいいのです。労働組合員として、労働者の意識を高めていきたいと思っています。
あるみ:私のテーマは辺野古新基地問題が中心で軍備拡大を批判しています。安倍から菅、岸田になりましたが、岸田の会見を見ていると軍備拡大を目論んでいるように感じました。
<辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動>のメンバーとして毎週土曜日、JR大阪駅で街宣をしています。沖縄防衛局が進めようとしている沖縄・辺野古崎への日本政府による新たな米軍基地の建設に対して、近畿中部防衛局へ署名を持って中止を訴えに行きます。日本に住む私たちが米軍基地をなくそうという声をあげない限り、米軍は沖縄にとどまりつづけるでしょう。
また、日本政府による沖縄に対する差別と米軍による暴力連鎖を断ち切ることもできません。大阪で、私たち一人一人が自分にできることを結び合せ、ともに辺野古新基地建設に反対する声をあげる責任は、現在ますます重くなってきています。大阪から、日本全体の問題として、これ以上新たに、沖縄に基地を絶対につくらせてはならないという声を広げ、そして全ての基地がなくなる日がくることを真摯に追求します。
朴:僕はテーマよりも、何を言ったらウケるかを重視しています。喋るネタは普段から考えていて、携帯電話に書き込んでいます。わかりやすいスピーチを心がけていて、「アベノマスクいらないでしょ、あんなゴミみたいなもの。僕たちの税金を無駄遣いしてるわけですよ、ふざけんな」と、できるだけ若い子たちが普段使っている言葉に寄せています。
梶原源三:学費の問題やコロナ禍での学生生活について当事者としてアピールしています。自分の活動をとりあえず喋ってみることで演説の練習になりました。梅田解放区で宣伝するために自分の活動も頑張ろうと意識しています。
11月23日、理不尽な就活の現状に抗議する「就活デモ」を主催し、20人以上の学生が集まりました。僕たちは内定をもらうために一体どれ程のしんどい思いをしないといけないのでしょうか。内定が得られぬまま心身をすり減らして病む者、将来への不安と絶望から自ら命を絶つ者などの犠牲者をこれ以上生みだしてはならないのです。就活市場は差別と人権侵害の上に成り立っています。就活競争で苦しむことは自己責任ではないのです。
昨年5月1日、学生・青年らによるメーデー集会として「 5・1学生メーデー(関西)」を呼び掛けました。今年は、一年のたたかいの集大成として位置づけられるような大規模かつより充実した集会を取り組めるように頑張っていきたいです。
後藤薫:私は狭山事件の再審を求めています。狭山事件は部落差別に基づく冤罪事件です。再審請求審では、2022年中に、弁護団は裁判所に対し鑑定人尋問の請求をおこなうと予想されています。石川一雄さんの無実を伝え、裁判所に鑑定人尋問を迫る世論を広げるために、2月20日にひらかれる第6回「狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西」を皆様と共に成功させたいと思います。
また、当事者として「コロナ禍と夜の街」についてアピールしています。権力は自らの失策を「夜の街」に押し付けているのです。2020年12月に大阪市全域に21時の時短要請が出た間、解放区の参加者に呼びかけてミナミの戎橋で街宣をおこないました。
一番の盛りあがり
コロナ・十三市民病院問題
大阪では維新との闘いが長く続くテーマ。2度目の住民投票でも勝った(2020年9月) |
朴:梅田解放区の参加者で始めた「コロナ生活補償を求める大阪市役所前行動」があります。市役所に交渉してPCR検査の拡充や生活補償を要求していました。そのとき偶然、松井が記者会見中でした。ミフィさんに「雨合羽で仕事させんといて」と詰め寄られて松井は「何もないよりマシです」と答えました。
ミフィ:市の正規職員はコロナ危険手当が支給されますが、同じ病院内でも業務委託されている清掃・警備・受付・リネン・滅菌業務などは支払われません。案の定、十三市民病院では、その「委託業者」の社員からコロナ陽性患者が発生。病院には海外からの応援物資も届いていますが、配られるのは市の職員や正社員だけです。
一方、委託会社の社員にはマスクの数を制限したり、渡さなかったり。職業差別・委託業者いじめに怒り、4カ月ぐらいほとんど寝ずに闘いました。組合と市民運動の両方の力で勝ち取れました。の応援物資も届いていますが、配られるのは市の職員や正社員だけです。
朴:ミフィさんが市役所交渉で「雨合羽で仕事させるって言うのは、しゃもじの代わりにシャベルを使うようなもんだ」と言った動画を投稿したら大きな話題になりました。
ずっと続く維新との闘い
吉本・池田市長・カジノ
朴:僕とみかんさんで企画し解放区で呼びかけて、維新の会と吉本興行の癒着に抗議する街宣を3回おこないました。
新喜劇に出演している宇都宮まきが「吉村さんかっこいい」と発言したり、吉村自身が新喜劇に出演しています。吉本の看板芸人・ダウンタウンが万博誘致アンバサダーを務めていたり、大阪市役所内でミルクボーイの手洗い動画を流すなど、吉本は維新から仕事をもらっています。
僕はお笑いが好きなので、権力と癒着する吉本興業を情けなく思って企画しました。10月17日は松井大阪市長を模した巨大パペットを持っていき、手足を動かしながら街頭演説をおこないました。終演後にお客さんが出て行く時には、抗議をしている正面出口ではなく別の出口へ誘導していました。負けじと私たちも移動すると、すぐに職員たちも正面出口へ切り替えました。そんな一騒動がありながらも、初回の抗議行動は無事終了しました。
道行く人の反応もよく、吉本抗議は可能性に満ちた企画だと感じました。
原戸:維新に関して気になることはマスコミ・芸能人利用で、吉本興行が大きいと思います。吉本前行動の拡大は必要です。抗議行動への反応が良く、前を通る人は吉本ファンばかりではないとわかりました。癒着問題を話題にしたら、共感してくれる人もいるのではと思います。
朴:冨田裕樹池田市長をはじめとする維新系候補者の落選運動を呼びかけました。池田市長選挙は冨田前市長が、家庭用サウナを市役所に持ち込んでいた問題などめぐり、辞職したことに伴っておこなわれました。前回の市長選挙で冨田を推した大阪維新の会は、市政を立て直し信頼の回復につなげたいとして、新人の瀧澤智子を擁立し、瀧澤は初めての当選を果たし、再び維新の市長が就くことになりました。
池田市民がアピールしている動画を「市民の声です」と冨田のツイッターに送るとブロックされました。また、投票日直前、プラカードを持って立ってたんですけど、冨田とすれ違いざまに「ボーナス230万円受け取ったんですね」と話しかけると「警察ってどこら辺にいたっけ」と脅されました。
僕は、れいわ新選組を応援していて選挙の手伝いもしています。選挙に関わりたいし、票を入れたいし、もし可能なら出たいです。候補者になった自分を想像しますけど、日本では外国人に参政権が認められていないので叶いません。外国人を怖い存在と考える人たちには、「あなたと同じ喜怒哀楽がある人間だよ」って言いたいし、冷静になってほしいです。
松井が強い口調で自民党を批判しているので、自民に不満をもつ人が対抗勢力として維新を支持する傾向にあります。野党は「批判ばかりしている」というネトウヨの言葉を真に受けず、維新以上に批判せねばなりません。「俺のために怒ってくれてるんだ」と思えるような毅然とした批判を市民は求めています。
あるみ:岸田は「新しい資本主義」を掲げ、新自由主義の路線修正を目論んでいます。それに対して維新は新自由主義的な「身を切る改革」を掲げました。しかし、保健所統合を筆頭に公的福祉を削減し、「改革だ」と言ってなぜか支持されています。維新の「何か変えてくれそう」という雰囲気を支持しているのでしょう。これは立憲野党が新自由主義批判をきちんとやってこなかったことが敗因ではないかと思います。「分配」を掲げたれいわ新選組は衆院選で大石あきこさんが勝ちました。
「暮らしや命を大切に」という野党のスローガンは無難すぎて何がしたいか伝わってきません。
みかん:維新に対抗する方法は、どれだけ情報をとるかだと思います。私はまず情報開示請求し、その事実をもって追及しています。維新は金のことしか考えていないから、まず資金源をたつしかないと思います。政党助成金を全額返金しろと言い続けます。吉本興業や産経新聞など維新を支援しているところを叩く。
市役所行動を通して弱者の救済をやろうと思っています。年末におこなう青空相談会では、食べ物を配ったり、福祉につながれるようお手伝いをします。
ミフィ:私は労働運動をします。労働者が「自分たちも声をあげていいんだ」と気づき、「おかしい」といえるような社会を作りたいです。「闘ってもどうせだめ」ではありません。私が加入した組合は闘って勝ってきています。
「自分もやってみようかな」と思えるよう、誘っていきたいです。そして全国に83000件ある派遣会社を潰したいです。
オールテーマのアピール広場
音楽まじえ訴え拡がる
梅田解放区には音楽があり、ぼうだいな通行人の足をひきとめている(2021年1月) |
あるみ:辺野古のこと。設計変更不承認を支持し、撤回させることです。「基地は沖縄に押し付ければいい」という風潮をひっくりかえしたい。変更不承認は裁判ではひっくり返るでしょうが、承認されたことにはならないので展望はあります。
コロナのクラスターが米軍基地で発生しています。日米地位協定は不平等条約です。この協定でアメリカとともに戦争に突入する体制になっています。それが米軍基地を沖縄に押し付けている根本問題です。
またコロナが沖縄でも広がる状況で米軍基地の問題は理解されやすくなっているのではないでしょうか。しかし、京都府には京丹後基地(米軍Xバンドレーダー基地)がありますが、大阪にはなく、また沖縄とも距離があるため、自分たちのこととして想像しにくいかもしれません。
維新にかんしては、カジノの為の法律を通そうとしているので対抗したい。カジノに反対する他団体の人ともつながりたい。
朴:「みてておもしろい運動」、ビジュアル的に判りやすい運動を作りたいです。自民党本部前で「岸田やめろ」を訴えるのではなく、HEP FIVE前なので何と闘っているかわかりづらいので。
例えば、なんばグランド花月前街宣がウケたのにはそういった理由があると思います。相応のリスクはありますが「こいつらと闘う」と、敵を指定して目の前でぶつける構造を模索したいと思います。
梶原:解放区は少し人が減っていますが、場所の意義があります。選挙の演説場所もヨドバシ前よりHEPFIVE前で見かけるようになりました。
娯楽を求めて繁華街に来た人に政治的街宣をぶつけることにやりがいを感じています。
その時は「うるさいな」と、反発するかもしれませんが、その人の記憶に残ることで、選挙の投票先や、首を切られたときに組合に入ることにつながるかもしれません。
後藤:梅田解放区の存在を知って「自分たちも場を勝ち取れるんだ」と気づいた人が、それぞれ、各地で街宣行動を起こしてくれたらなと思います。
園良太さんの訴え
私は東京出身で、福島原発事故の放射能被害から5年前に大阪へ避難してきた。国会や官邸前抗議を長年主催や参加したが、そこは悪法制定時の直接抗議対象で、即座に抗議や長時間座り込みで、政治問題を訴える場となった。しかし共謀罪の制定時、関西などには抗議対象がなく、繁華街宣伝以外の行動が難しい事を痛感。
そこでヨドバシ前の座り込みから始め、最も人通りが多いHEP FIVE前に移動。法制定後はトータルテーマで誰でもアピールの場として続けてきた。初期に警察の妨害を跳ね返し、4年半も続いているのは座談会の仲間たちの力だ。HEP FIVE前から茶屋町にかけて埋め尽くせれば、韓国ソウルのキャンドルデモのように政権や維新を倒す起爆剤になる。それは民主主義の原点だ。皆さん。梅田解放区に結集を。
朴:気候変動対策を求める活動をおこなっている団体が「自分たちも街宣をやりたいんですけど使用許可はどうしていますか」とツイッターで尋ねてきました。歩道なので使用許可は不要です。ここでやってるからこそ、「あの人たちがやってるんだから僕らもできるかな」となったのだと思います。
後藤:梅田解放区はオールテーマでの街宣なので誰でも言いたいことを喋れます。参加すると各テーマの最新情報を知ることができ、お互い勉強になっています。また、新しい課題の呼びかけの場にもなっています。ここで呼びかければ誰かは一緒に立ち上がってくれます。例えばミフィさんは派遣切りされたため会社と闘うことになりましたが、解放区でのアピールをうけて団交に参加するようになった人もいます。運動を広げる場として意味があります。(おわり)
本紙編集委員会から
2021年最後の梅田解放区のあと、主要メンバーに残ってもらい座談会をした。本紙を2面提供するので、解放区の意義や22年の抱負を自由に語ってください、と。
出来上がった中身は、本紙でも特筆すべきものと感謝したい。名前は、本名フルネームは避け、それぞれの人格がわかる通称などにした。また見出し・レイアウト・文章などの最終責任は本紙編集委員会にあります。
本紙を読み梅田解放区に関心を持たれた方は、毎月第2、第4土曜日、17時半から19時のHEP FIVE前へ。
6面
『左翼エス・エル戦闘史』読後感想あるいは「ロシア革命正史」(3)
高見元博
「左翼エス・エル」は労働者からも支持されており十月革命の主力をなしたペテログラード・ソビエトではボリシェヴィキに次ぐ第二党だった。ロシアでは工場労働者は農民の子であり兄弟だったから、「土地と自由」という「左翼エス・エル」の主張は労働者をも獲得していた。このころにはボリシェヴィキと「左翼エス・エル」の結びつきは緊密であり、10月蜂起を組織したペトログラード・ソビエトの「革命軍事委員会」はボリシェヴィキと「左翼エス・エル」とアナーキストの共同で組織された。この月の全ロシア労働者・兵士ソビエト第二回大会の構成はボリシェヴィキ250人、エス・エル159人、メンシェヴィキ60人だった。エス・エル内では左派が多数派を形成していた。(人数は同書による)エス・エル右派、穏健派(メンシェヴィキ)は大会を離脱し、そして革命そのものから離脱した。大会は2つの重要法案を通過させた。1つは即時停戦と講和に関するものであり、もう1つは土地の社会化などの法令であり、レーニンがエス・エルの綱領を借用した(一般には「盗んだ」と言われている)ということはよく知られている。これが十月革命だった。
1905年の革命が起き、スピリドーノワが最初に1906年の反動派将軍に対するテロルで逮捕されてから、長い獄中生活があり、それは多くの男性党員にとっては虐待とむち打ちと拷問の日々なのだが女性党員はそれほどの虐待は受けなかった。やっと1917年の二月革命によって釈放され陽の光を見ることができた。この時代は獄外では「ストルイピンのネクタイ」と言われた革命派に対する絞首刑の時代だった。この本ではスピリドーノワを中心に書かれているから、外のことにはあまりふれられていない。ツアーリの手先へのテロルがエス・エルの闘いだったようだ。長い獄中生活が書かれている。その間に革命を捨てるものも多かった。これは今日的な僕たちとも重なる。
ロシア革命史における1905年と言えば日本に例えれば1967年の羽田闘争から数年の学生と青年労働者による革命的激動が社会全体を揺るがし革命を支持するきわめて広範な民衆が生まれていた事実に相当するのではないだろうか。その後1971年にはじまったカクマル派による革命的左派にたいする反革命的武装襲撃と革命家個人への反革命テロルはこの大衆的気運を台なしにすることが目的だった。カクマル派の高度に組織された反革命軍事組織(彼らはそれをキング〈司令部〉、クイーン〈情報機関〉、ジャック〈テロ実行部隊〉と呼んだ)による反革命白色テロルはその目的を果たしてしまった。1980年〜1986年に反撃戦によって彼らが戦意を喪失するまでこの反革命テロルは続いた。ブルジョワジーはこれを「内ゲバ」とキャンペーンし左派の影響力を傷つけた。その間に革命的気運はすっかり影を潜めていた。左派にとっては永い雌伏期をむかえた。これはストルイピンの反動期に相当するだろう。
だから、いま必要なことはロシアの1905年に相当する日本の1967年からの激動を、国際的には1968年のパリ五月革命を、どう現在にひきつぎ発展させるのかということではなかろうか。そのために現在的に僕が必要だと思うのはマルクス主義のルネッサンスであり、無味乾燥な即物主義的唯物論の呪縛からマルクス主義を救い出すことだ。スターリンが綱領化した「マルクス=レーニン主義」の泥沼からマルクスを解放し、マルクス主義を再構築し学びつつ発展させることだと思う。若手マルクス研究者の佐々木隆治や斎藤幸平の仕事は勉強になる。
1905年から1917年までロシア革命が待たねばならなかったように、かかった年数は問題ではない。(つづく)
ケースワーク業務の外部委託
憲法第25条の責任放棄
人らしく生きる権利の解体を許すな
2019年12月、政府は閣議決定で生活保護制度のケースワーク業務の外部委託について「2021年度中に結論を得ることおよびその結果について必要な措置を講ずる」とした。21年度中とは今年3月までである。国は3月までに結論を得て、その後、生活保護法本体の改悪をするというのだ。
ケースワーク業務とは生活保護の申請者および利用者の保護開始決定や廃止等の生活保護制度における公権力の行使をおこなう重要な業務である。この業務はケースワーカーによって担われ、社会福祉士の資格を要する。保護開始や廃止決定は各福祉事務所のケースワーカーで構成されるケース会議で決定される。ケースワーカーはそれだけでなく生活保護利用者への定期的な訪問等をおこない、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を日常的に保障する大切な業務をおこなっている。
国はケースワーク業務の過重を理由に外部委託を合法化しようとしているが、過重ならばケースワーカーを必要なだけ増員すればよいのである。ケースワーカーの増員ではなく、民間に丸投げすることだけを考える国と資本はぜったい許すわけにはいかない。
国の責任の放棄
人らしく生きるための「健康で文化的な最低限度の生活保障」は憲法が第25条で国に直接課している義務である。これを外部委託、つまり民間に委託するということは憲法が国に課している義務を放棄することである。
自民党の改悪案が根源>
自民党は2012年4月、生活保護基準の10%削減をはじめとした種々の改悪案を発表した。これを公約に掲げて政権復帰した第2次安倍政権は翌2013年から保護基準を次々と引き下げ、これに対して全国各地で保護基準引き下げ違憲訴訟がたたかわれている。安倍政権が掲げた改悪案のもう一つの柱がケースワーク業務の外部委託である。
改悪案の2つの狙い
ひとつは、憲法によって直接国に課せられている「健康で文化的な最低限度の生活保障」義務から逃れるということである。戦後70年間、日本の社会保障の根幹をまがりなりにも支えてきたのが労働法制とあいまった生活保護制度である。日本の社会保障のもう一つの根幹をなしてきた労働法制の大改悪については別の機会に論ずるが、保護基準を厚生労働大臣の裁量で自由に引き下げられるようにし、かつ、生活保護制度の根幹をなすケースワーク業務を民間に丸投げにしていくことは、日本の社会保障の解体に手をつけることである。岸田政権はこれを引き継ぎ、強行しようとしている。
背後に竹中平蔵らの暗躍
大阪市では生活保護の「就労支援」事業がすでに、竹中平蔵のパソナ等に丸投げされていることはあまり知られていない。今回の改悪の狙いは大阪市だけでなく全国で、生活保護制度の中心業務のケースワーク業務にまでパソナ等が食い込み、社会保障を食い物にすることである。
日弁連シンポへ
日弁連は1月6日、ケースワーク業務の外務委託に反対する声明を出し、さらに27日、「生活保護ケースワーク業務の外部委託問題を考える」というオンラインシンポジウムを開催する。参加費は無料で、下記URLから事前に申し込めば誰でも参加できる。多くの人たちの参加を。
https://form.qooker.jp/Q/auto/ja/seikatuhogo/sympo/
〈担当事務局〉
日本弁護士連合会 人権部人権第一課
(03-3580-9500)
7面
廃炉へ正念場迎えた島根原発(上)
続く周辺住民の闘い
松上慎二
原子力規制委員会は昨年9月15日、中国電力の島根原発2号機について、安全対策の新規制基準に「適合」するとした審査書を正式決定した。中電は、あとは地元自治体の合意を取り付けるだけと再稼働への動きを強めている。現在、中電は22年度内に再稼働と発表している。しかしこれまで中電の計画は繰り返し変更を余儀なくされている。
島根原発2号機は2012年1月に定期検査で運転を停止した。2号機は、福島第一原発と同じ沸騰水型炉だ。再稼働についての審査の中で、同原発から2キロ南の宍道断層の評価をめぐり中電側は訂正を繰り返した。検査記録報告書の偽造などもあきらかになった。2013年には高さ15メートル、全長約1500メートルの鉄筋コンクリート製の強大な防波壁が完成したと発表した。しかし原子力規制委員会による審査の過程で、ひび割れの発生など海水が浸水する恐れを指摘され、追加で補強工事することになるなど、たびたび追加工事が必要となり、完了予定時期がそのつど遅くなっていった。9回後ずれしている。今回もさらに防波壁などの追加対策工事が必要だという。安全対策工事の総費用も増え続けている。廃炉しかない。
避難計画の実現性・有効性はまったくない
島根原発は全国で唯一、県庁所在地に立地、主要な行政機関は10キロ圏内にある。島根県庁は原発から南東にわずか8・5キロ。原発事故では機能不全に陥る恐れが強い。
そもそも、原発から30キロ圏内(緊急防護措置区域)の市町村に策定が義務付けられた避難計画の適否は規制委の審査対象になってはいない。30キロ圏は、島根、鳥取両県の6市にまたがり、約46万人が暮らしている。高齢者など避難時に支援の必要な人々は約5万2千人にのぼり、東海第二原発を上回る。
地震、津波、原発事故の複合災害が発生した場合、寸断された道路に多数の車両が殺到する。県外などに逃れることは困難だ。
周辺自治体を無視
2018年に東海第二原発(茨城県)の再稼働を巡る事前了解権が30キロ圏6市村に拡大したが、それ以外の地域は立地自治体や電力会社の反対で実現していない。島根原発の再稼働で事前了解権があるのは、原発が立地する松江市と島根県のみ。隣接する鳥取県を含めた30キロ圏内の6自治体も同様の権利を盛り込むよう協定の改定を求め続けている。中電は昨年8月、島根の出雲、雲南、安来3市に「事前了解権は困難」と拒否した。鳥取県と同県境港市、米子市の3自治体には、いまだ回答していない。(つづく)
検察審査会に申し立て
関西電力旧経営陣らがおこした原発マネー不正還流事件で、市民が2019年12月に関電の前会長や前社長ら9人を刑事告発したが、昨年11月9日、大阪地検は「嫌疑不十分」として告発を退け不起訴を決定した。この不当な「不起訴決定」をうけて、1月7日、市民1194人が「検察は必要な捜査をせず捜査が不十分だ」として検察審査会に審査を申し立てた(写真)。
記者会見で申し立て人のAさんは、「関電が設置した第三者委員会が不正を認定しているのに検察は任意捜査しかしなかった(強制捜査せず!)。検察審査会はしっかり判断してほしい」と訴えた。
代理人の河合弘之弁護士は「検察はあらゆるへ理屈を考え抜いて無理やり不起訴にした。これをくつがえすのは市民の力しかない。検察審査会において11人中8人による〈起訴相当〉決議を2回かちとり強制起訴に持ち込む」と語った。
原発いらない金曜行動
毎月第3金曜日におこなわれている「原発いらない金曜行動」は、12月17日首相官邸前に185人が参加。第7回行動としてかちとられた。
第10回さようなら原発1000人集会
江戸の循環型社会
田中優子さんが講演
12月26日、兵庫県伊丹市内で、第10回さようなら原発一千人集会が寒波とコロナ下に450人で開かれた。
まず集会実行委員会が「十年前の福島原発事故後、原発がなくなるまでこの集会を続けると決意した」と集会の意義を訴えた。
ついでこの日のメイン講師の田中優子法政大名誉教授が着物姿で登場し、「江戸時代は世界の動きと別に価値観の転換ができた時代」と講演を始めた(写真)。その頃世界は拡大主義で植民地争奪をくり返し戦争が絶えなかったが、日本は独自の対応で270年間戦争も内戦も回避した。また鎖国の中でも外国と交流を持ち、朝鮮とは、毎回約500人の朝鮮使節団が12回も来日し交流した。
庶民の暮しでは長屋の3点セットであるごみ箱・後架=共同便所・水道が整備されており、生ごみと糞尿は肥料として農民に売れる循環型社会だった。さらに着物も古着になるまで何度も着古し、最後の灰は畑に帰る循環システムが確立された持続可能な社会だった。当然だがプラスチックも電気もないのでCO2は少ししか出ない。また文化面では多くの職人を輩出し「物づくり日本」を創造し、沢山の書物・絵画工芸品が作られ、豊かな文化が生まれた。私たち現代人も柔軟な発想で新たな価値観を創造し、エネルギーも新しい発想が必要ではないか、と江戸時代の庶民の生活を示す多くの画面を用いて詳しく語った。
続いて、福井県美浜町議の松下照幸さんは原発現地の立場から、ほとんどの業種が原発に関わり、声を出せない中で、「自分一人でやる」と反原発運動をやってきた。しかし、反対だけでは止められないとも考え、「地消地産」システムを提唱。原発に代わるもの、仕組みを提案できる力量が必要だと、自身で〈(株)森と暮らすどんぐり倶楽部〉を設立し、地域の資源を生かした事業を展開している。「脱炭素の条件はローカルにあり、ローカルが中央をリードする気概を持とう」と述べた。
市民アピールでは、原発賠償ひょうご訴訟原告・まきなおみさん、関電株主代表訴訟原告・滝沢厚子さん、コープ自然派兵庫理事長・正橋裕美子さんらが力強くアピールした。最後に谷正充実行事務局長がまとめをした。
私は1回目からこの実行委員として関わってきたが、兵庫県内では500人規模の労組動員ではない集会はこれ以外はないのではないか。また最近は40代50代の世代が役割を担うようになった。この集会への期待は大きい。(大北健三)
聴覚障害児童交通事故裁判を傍聴して
草川けい子
12月16日、聴覚障害児童交通事故裁判(大阪地裁)を傍聴した。法廷の原告側は、父親・井出努氏、弁護団の坂戸孝行弁護士、中途失聴の久保陽奈弁護士、ろうの松田崚弁護士の3人で、被告側は2人(弁護士)。ろうの松田弁護士の前には手話通訳がつき、久保弁護士にはノートパソコンが備え付けられて、その文字を読み取る。
裁判は11時半から始まり、久保弁護士は、音声を文字に変換するUDトークのアプリを使えれば、聴覚障害者でも可能性が広がっていくのだと主張した。
被告側(損害保険会社「三井住友海上」)からは来年2月初めに書面を出すというので、2月21日に裁判をおこなうというのである。わずか10分間だったが、38人も入れる法廷には全員が入れた。
午後1時半から弁護士会館で報告集会がおこなわれた。久保弁護士の司会で、坂戸弁護士が報告。父親が感謝のあいさつ。ろうの松田弁護士からは平成生まれの若い弁護士との自己紹介があった。
大阪聴力障害者協会は、優生思想そのものが差別で、障害のある人が人間として扱われていないことは明白な差別であると怒りを込めて発言した。今年5月、聴覚障害者の逸失利益は一般女性の40%とする不当な判決を知り、「逸失利益40%は優生思想による差別で、すべての障害者の人権を守り、公正な判決を求める」と緊急署名を始め、12月8日に累計11万筆を超える署名を集めたと報告した。
弁護団は総数36人であることが報告され、ズームで視覚障害者弁護士を始め、何人かの弁護士からの発言も紹介された。最後に傍聴に参加したろう者が発言した。ろう者にとって重要なコミュニケーションは手話であると強く訴えた。
何よりもすべての障害者が人間として生きていける世の中へ変えていかなければならないと強く感じた一日であった。
8面
連載 住民の会 結成50周年を迎えて(1)
三里塚反対同盟と共にさらに前進を
東灘区住民の会事務局長 松原康彦
50年を振り返る
新空港反対東灘区住民の会が、1971年9月に甲南教会で結成されて丸50年が過ぎました。当初、神戸沖の関西新空港の建設に反対するということで会を結成しましたので、「関西新空港反対東灘区住民の会」と命名しましたが、神戸空港問題が神戸市議会の全会一致で決議されたことを受け、1990年秋、当時、三里塚・成田空港問題にも全力で取り組んでいたこともあり、現在の新空港反対東灘区住民の会と改名しました。
「50年」と一言で言っても、私たちのような住民団体が50年も活動を続け、ニュースを発行し続けることになるとは、その中心に常にいた私にしても予想もしなかったことです。あの1995年の阪神・淡路大震災の中で、活動の拠点であった魚崎の町が焼失し、多くの支持者が避難所などに移られるという厳しい現実の中で、当時200号まで出して、東灘の地域に戸別配布していた『東灘区住民の会ニュース』を、その秋に出した201号をもって廃刊にしました。避難所におられた会員のみなさんから「新聞を読みたい」という希望を受けて、新聞のコピーをお配りするとともに、神戸空港問題が焦点化する中で、その記事を中心にした『おしらせ』を、3、4カ月には1号を出すという形で、現在の123号(『ニュース』から数えれば、通算324号)まで発行し続けてこれました。
また、地域に戸別に配布しても意味がないという厳しい現実と、神戸空港が「震災復興の希望の星」と称して笹山市政による大規模土木工事の目玉として現実化したことに対し、私たちは、神戸の中心であるJR元町駅前での街頭宣伝を毎月1回以上行うことに全力を投入することに切り替えました。これは神戸市民救援会議のみなさんが一緒にやろうと声をかけてくださったことで可能となりました。それに先だって、1990年秋、結成の声が上がった「神戸空港を考える会」を中田作成さんと一緒にやるという決断をしました。ただ、この決断は、マスコミやある政党などから中田さんに「東灘は三里塚をやっている過激な連中」という「忠告」があり、中田さんの要請で、『ニュース』に三里塚を書かない、話さないという縛りをうけました。やむなく、私たちは三里塚関西実行委員会に了解を求め、1991年の1年間、三里塚に触れないということをやり抜き(もちろん、三里塚現地への行動には全力で住民の会として参加しましたが)、1992年冒頭に中田さんと話し合い、元の状態に復帰することが出来ました。このことに象徴されるように、色々なことがあった50年でした。
山本善偉さんが代表就任
発言に立つ山本善偉さん(右)と筆者(2016年3月) |
住民の会の発足は、当時の甲南教会の会員であった私たち、白石(旧姓本村)、山本(善偉さんの長男)と私に、当時の教会の牧師であったKが「関西新空港の反対をするべきだ」と提起したことから始まりました。結成集会には百人を超える皆さんが集まってくださり、Kを代表としてスタートしました。しかし、2年も経たずKは、教会内の家族問題を口実に逃亡。亡くなられるまでの43年間を代表として闘い抜かれた山本善偉さん(当時、関学高等部教師)が住民の会の代表に就いてくださるまで、代表のいない状態が続きました。東京の政府、国交省への上京抗議が繰り返し闘い抜かれたこの過程で、幾度となく私に代表に就いたらと言われましたが、「私は代表の器ではない」とお断りしつづけ、代表欠番の状態が3年あまりも続きました。
(新空港反対東灘区住民の会『おしらせ』21年11月18日号から転載/つづく)
三里塚反対同盟が団結旗開き
三里塚反対同盟が団結旗開き(1月9日、千葉県成田市) |
生活保護基準違憲訴訟 不当判決
国策による引き下げ
12月16日神戸地裁
神戸地裁(小池善明裁判長)は12月16日、生活保護基準違憲訴訟の原告たちに敗訴の判決を言い渡した。集まった原告たちから即座に怒りのシュプレヒコールがあがった。21年2月22日の大阪地裁での歴史的勝訴判決を除いて、名古屋、札幌、福岡、京都、金沢、神戸とすべて敗訴が続いている。神戸地裁判決は原告たちが主張した論点に一切応えない不誠実きわまりないものだった。
誤字まで同じ
神戸地裁ではないが、原告を敗訴させた5月の福岡、9月の京都、11月の金沢の各地裁の判決文には同じ趣旨の文章が記載されている。そこに記載されている「NHK受診料等」という文字が誤字まで同じことを信濃毎日新聞や各テレビが報道した。もちろん「NHK受診料等」は正しくは「NHK受信料等」である。
保護費引き下げの根拠として国がパソコンなどの値段が大幅に下がったことを根拠としていることに対し、食費も減らしてギリギリの生活をしている生活保護利用者が新品のパソコンなど買うはずがないという原告たちの主張に反論する判決文のところである。各判決文は、生活扶助費は最初から免除されている「NHK受信料等」と違って何を購入するか自由だから新品のパソコンを買うこともあり得るというのだ。パソコンは食料品などの日用品と違って毎日買うはずがない。強引なこじつけである。
国策との闘い
大阪地裁以外の地裁が同じ誤字までして強引に国の引き下げを容認したことは、これが国策だからだ。
2012年、第2次安倍政権登場時の公約が保護基準10%の引き下げだった。生活保護利用者の「健康で文化的な」人らしく生きる権利よりも自民党公約を優先する国の腐敗した姿勢を徹底弾劾し、押し返していかなくてはならない。
全国とつなぐズーム会議
判決を受け、場所を移動し報告集会が開催された。兵庫の原告団長は「こんな判決は許せない。勝利するまで命のあるかぎりがんばっていきたい」と決意を述べた。北海道、神奈川、福岡などから「許せない、これでいいのかと思わざるをえない」と怒りの声が続いた。
大阪高裁で勝利を
京都の仲間も、神戸の仲間も大阪高裁に控訴する。闘いの重心は大阪高裁に移った。国は人事異動の時期ではないのに今、大阪高裁の左右の陪席判事を交代させ、ブル弁上がりの判事を主任に任命した。こんな国に負けるわけにはいかない。大阪高裁での勝利をなんとしても勝ち取ろう。(三船二郎)
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