未来・第333号


            未来第333号目次(2022年1月6日発行)

 1面  軍事大国化めざす岸田政権
     国際連帯と沖縄・原発闘争を

 2面  反撃が始まった関生弾圧
     一連の裁判闘争に勝利しよう

     国会前19日行動 12月
     原点にかえり大闘争を

 3面  沖縄レポート(12月7日〜23日)
     辺野古不屈の闘いと市長選      

     〈投稿〉
     朝鮮学校への補助求めて
     府庁前行動450回
     古賀 滋     

 4面  NHK日曜討論にデビュー 12月12日
     大石あきこ議員 維新を論破

     市民が主人公の政治を
     大阪・堺からアピール
     総選挙大阪16・17区

     読者の声
     立憲県連幹部がサボり落選 兵庫7区
     総括会議で批判続出 入川健二

 5面  大阪市立高校
     市民の財産1500億円を府に譲渡
     3月判決にむけ決起を

     カジノこそ維新の弱点
     3月議会へ大署名運動を
     大石議員訴える

     倒すという気概の無い者に維新は倒せない
     反維新統一戦線の形成を(下)

 6面  〈連合〉=帝国主義労働運動といかに闘うべきか
     猪瀬連太郎

 7面  〈寄稿〉
     2022年を老朽原発全廃の年に!
     原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現しよう!
     若狭の原発を考える会 木原壯林

 8面  10・31「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム(下)
     貧困許さず、「いのちの選別・切り捨て」と闘う
     関東「障害者」解放委員会 松浦 淳

     狭山キャラバンスタート集会
     布川事件 桜井さんが訴え
     12月11日神戸

     (カンパアピール)

             

軍事大国化めざす岸田政権
国際連帯と沖縄・原発闘争を

岸田政権と対決する21年12月国会行動

(1)就任3カ月弱でほころび始めた岸田政権

12月6日の岸田文雄首相の所信表明演説は、9月自民党総裁選時の公約は消え、熱量も具体性もなく長期政権をめざす意欲だけが配置されたものであった。中心には経済安定と敵基地攻撃論=軍事大国化が座っており、最終的には憲法改正を目指す反動的な所信表明である。
9月自民党総裁選は、安倍・菅政治の行き詰まりの突破をかけ、3A(安倍、麻生、甘利)が支援する岸田文雄が新総裁を制した。期日をおかずの解散・総選挙では立憲野党が競り負け、岸田自公政権が安定多数を確保した。しかし岸田政権は発足3カ月でその脆弱性を露呈した。新しい資本主義など提示できるわけではなく、コロナ給付金をめぐっての混乱や石原伸晃内閣官房参与の退任などだ。さらに、日米関係、対中国関係は不安定で、経済安保=軍事大国化にむけ「聞く耳」を装い支持率維持を図っているが、行き詰まれば安倍・菅路線の継承しかない事を国会論戦は示した。

(2)コロナ対策に右往左往

所信表明演説と国会答弁で、新しい資本主義の内実は何もなく、モリカケ・桜など「負の遺産」にも答えなかった。新型コロナ対応は、オミクロン株の水際対策は不備極まりなく、また18歳以下への10万円給付では右往左往した。医療・検査体制の充実も放棄されたままで、欧米のようにオミクロン株が爆発すれば一気に窮地に落ちることは明らかだ。
さらに医療・福祉の低賃金問題では「看護師・介護士・保育士の賃上げ」を段階的に3%、年間11〜14万円賃上げと言及したに過ぎない。この20年間に100万円以上の賃下げが進み、非正規職が増加している時、医療・介護・保育の最前線で働く人々に雀の涙ということだ。また安倍政権を受け継ぐ、わずか3000円ばかりの「官製春闘」は労組弱体化を狙ったものだ。全世代型社会保障構築会議は、全世代と言いながら世代間の分断を持ち込むものである事も明らかとなった。

(3)政商・竹中平蔵が仕切るデジタル田園都市構想

所信表明の目玉は「資本主義のもとでの成長」で、柱はデジタル田園都市構想である。しかしその発想自体が40年前の大平内閣の「田園都市構想」と、昨今のデジタル社会を結びつけたもので、実効性はない。デジタル庁は菅内閣下で社会的・個人的情報を内閣・総理府=デジタル庁に一元化を狙い創設され、給付金配布などでの失敗続き、また預貯金・プライバシーの一元掌握に市民の忌避感は強い。
デジタル臨調に答申し、規制撤廃や制度の一元化というが、実現会議の中心をなすのは、パソナ・竹中平蔵や日本郵政の増田寛也社長ら名うての新自由主義者で、彼らの草刈り場になることは必定だ。竹中平蔵こそ小泉内閣での郵政民営化以来、人材派遣業パソナの総帥=政商と学者の二役をになった人物だ。パソナは本社機能の一部を兵庫県淡路島に移転させ、大阪市の窓口業務などを一手に引き受け、この先も田園都市からデジタルを使い、列島での搾取の限りを尽くそうというのだ。

(4)原発推進・沖縄基地強化を許すな

所信表明では気候変動問題で2050年カーボンニュートラル、30年46%実現、クリーンエネルギーに言及するが、本気で気候変動問題に取り組むことは無く、最終的には原発以外ないことは目に見えている。そのため内閣と党の要所を高市政調会長、高木国対委員長、山際経済再生大臣ら原発推進派で固め、小型原子炉の開発などで幻惑するが、最後は40年超の危険な老朽原発を動かす意思は捨てていない。
また沖縄辺野古新基地建設では、大浦湾はマヨネーズ状の海底地盤で完成は不可能だ。玉城デニー知事から設計変更不承認が出されたが、これを無視して工事を続行している。1月の名護市長選勝利のため、菅前首相や茂木自民党幹事長が名護入りし、裏工作を進めている。さらに琉球弧への陸上自衛隊の地対艦ミサイル配備を強行している。

老朽原発との闘い(21月6日)

(5)中国敵視、敵基地攻撃論・憲法改悪止めよう

所信表明の最終部分は安保・外交政策だが岸田は安倍政権で4年7カ月外相を務めたが独自の外交政策があるわけではない。米帝・バイデンを先頭に没落する帝国主義が「台頭する中国」を相手に軍事・外交政策をアジア・太平洋・インド洋で展開している。日本でも安倍が先頭になり中国脅威論を唱えている。岸田と林外相は独自性を出せないまま、排外主義派に追随するしかない。所信表明の敵基地攻撃論容認がその証左である。それと一体で軍事費の大幅増強・軍事大国化が政権の柱になるのは間違いない。
実際補正予算では軍事費は過去最大の7738億円が組まれ、当初予算と合わせて初めて6兆円を突破した。岸田の「防衛費2倍化」の大軍拡が始まっている。南西諸島では、中国大陸・中国艦船をにらんだ地対艦ミサイルの配備が、200キロ射程から900キロ射程に強化され、射程1000キロのミサイルは中国本土に届く。
最後に憲法改悪に言及し、臨時国会での憲法審査会は、維新・国民民主が審議をリードし景色が一変した。

(6)国際連帯強め排外主義と対決を

新自由主義政治の破産と人民へのしわ寄せは全世界に及んでいる。国際帝国主義が世界の労働者階級と被抑圧人民を分断し、延命することを許してはならない。パレスチナ、アフガニスタン人民や、日本帝国主義が国軍を支えるミャンマー人民との連帯を実現していこう。東アジア諸国人民を分断する米帝バイデン、日帝岸田との対決を強めよう。この点では中国敵視・北京五輪外交ボイコットを煽る日本共産党の志位委員長らも許されない。
また国内における差別・排外主義との闘いを強め、入管・難民問題、狭山・部落解放闘争、「障害者」解放、女性解放、農業問題・三里塚闘争などを闘おう。関生弾圧を粉砕し、労働運動の再生を実現しよう。

(7)野党と野党共闘の停滞を打ち破ろう

立憲野党は総選挙で岸田=安倍・菅継承内閣を打ち出せず競り負けた。反動マスコミと連合会長が野党共闘を批判し、立憲新執行部は有効な反撃をおこなえていない。小選挙区選挙で、野党を1人に絞るのは当たり前で、そのうえで社会を変える展望を野党は示す必要がある。ボトムアップの政治や運動内部の民主主義の横溢なしに勝利はない。市民運動・社会運動でも、2015年の戦争法闘争を上回る闘いと、野党共闘運動の強化を。

(8)大阪カジノ粉砕で、松井維新と対決を

総選挙では「躍進」と言われた維新だが、真実は復調で、松井維新は国民民主と組んでの改憲国民投票攻撃など反動性を強めている。文通費問題での「改革派」ぶりは、吉村大阪府知事が1日百万円の先駆者であったことで「身を切る改革」のウソがバレた。コロナ死亡率も日本一で、各地で破産したカジノを大阪に誘致しようとしている。博打で経済浮揚などまともな政党の考えることではない。工事経費も土地総入れ替えなどで当初計算をはるかに上回る。今こそカジノ・万博粉砕で維新を追い詰めよう。

(9)22年を岸田政権打倒の年に

岸田政権は引き続くコロナ無策や、格差・貧困や政治腐敗に「聞く耳」を持たない事が露呈しつつある。この政権が長引けば人々の暮らしと民主主義は破壊されていく。原発・沖縄闘争の高揚を実現し、軍事大国化阻止の反戦闘争を再構築していこう。国際的連帯を強め、差別・排外主義を打ち砕いていこう。自民党極右派=高市的国家観と、自民党別働隊=維新を粉砕しよう。
新自由主義の終焉を刻印する新たな社会運動を提示していこう。野党共闘を強化し、7月参議院選に勝利しよう。この闘いの中に新しい社会主義・共産主義の旗を打ち立てよう。

2面

反撃が始まった関生弾圧
一連の裁判闘争に勝利しよう

(1)弾圧をはねのけろ12・12全国同時アクション

 12月12日午後2時から、大阪市内の公園で「弾圧をはねのけろ!12・12全国同時アクション」の一環として、全近畿集会・デモが「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会・大阪、京滋実行委員会、兵庫の会」の主催でおこなわれた。連帯ユニオン関西生コン支部(以下関生)への弾圧を跳ね返そうとする労働者・市民7百人が集まった。
 ひょうごユニオン岡崎進委員長の主催者あいさつに続き、新体制を構築した関生・湯川裕司委員長が立ち、「新体制でも関生の運動はいささかも変わらない。確かに組合員数は減ったが組合員一人ひとりが強い意志を持って団結している。これからも不当な弾圧を跳ね返すまで、皆さんと一緒に断固闘っていく」と力強い発言、参加者は大きな連帯の拍手で応えた。
 集会は川口真由美さんの歌、京滋実行委員会の発言に続き、大石あきこ衆議院議員からの連帯メッセージ(代読)があった。おおさかユニオンネットワーク・西山直洋代表の行動提起を受け、大阪実行委員会代表、全港湾大阪支部・小林勝彦委員長がまとめの発言、「明日の加茂生コン事件大阪高裁判決、正午から裁判所前座り込み、大阪府警本部前元旦行動への総決起を訴える」と呼びかけた。
 3時からデモ。アメリカ村を通り御堂筋を南下して難波へ、大阪の中心部を力強くデモした(写真上)。アメリカ村では若者たちがデモに入ってきたり、参加者と記念撮影したり、大きな注目を受けた。解散地点前では妨害に来た右翼の宣伝カーから誤って「関生弾圧反対」のコールが大音量で響きわたり、失笑を買っていた。

(2)加茂生コン事件逆転勝利

 12月13日、加茂生コン事件の控訴審判決(大阪高裁)があり、京都地裁判決を破棄し、主な争点で組合側の主張を認めた。Y執行委員罰金30万円、Y組合員無罪という一部勝利だが大きな勝利だった(写真)。判決は、保育園に通うための就労証明書の発行が社会的義務と認め、度重なる要求も、偽装閉鎖を監視する行為も容認されるとした。Y組合員は解雇撤回へさらに奮闘する決意を明らかにした。
 しかし裁判所は、別の組合役員(当時)が乱暴な言葉で社長代理を追及したことについて、Y執行委員がそれを止めなかったのは「脅迫」の「共謀共同正犯」だとして罰金30万円を命じた。「有罪」を維持するためにこじつけた不当判決だ。この点についてはY執行委員は「上告したい」と表明した。

(3)名誉毀損事件判決

 ネット右翼で「日本第一党最高顧問」の瀬戸弘幸を相手取り、関生の事実ではない記事や誹謗中傷した記事をブログに掲載し名誉を毀損したとし関生が提訴していた民事裁判の判決が12月16日、大阪地裁であった。判決は、関生・武元委員長に対し合計40万円を支払うこと、誹謗中傷した記事の削除を命じた。この裁判も完全勝利に近い。

(4)大詰めを迎えた

 和歌山広域協組事件

 2017年春、和歌山県の湯浅生コン社で働く労働者が、未払いとなっていた一時金や残業代の支払い、元暴力団関係者を介在させる暴力的労務支配などの是正を求め関生に加入した。これを知った和歌山広域生コン協同組合の理事長が元暴力団員らを関生組合事務所周辺で徘徊させ、 組合結成を妨害しようとした。関生はただちに抗議行動を組織し、2017年8月22日和歌山県の協組事務所周辺で宣伝活動をおこないつつ、理事長に抗議と事実検証、謝罪を要求した。この交渉を、「威力業務妨害、強要未遂」として3人が起訴された。
 2017年8月18日に、2人の元暴力団員らが関生の事務所前に高級車で乗り付け、「武谷おるか」などとどなり、湯浅生コン社の件で恫喝に来た。元暴力団員は警察に連行された。21日、関生が湯浅生コン社へ組合の結成通知と団体交渉の申し入れに行った際には、柳瀬社長が送検されることになる事件も引き起こした。平素から元暴力団を自称する人物を経営に関与させ、自身も有力暴力団と親交があることを吹聴している社長が「笑って帰れると思うなよ」と組合員を脅迫。それを注意する組合員を繰り返し殴りつけたのだ。
これらに対する22日の事実検証、抗議を「威力業務妨害、強要未遂」として、2年もたった2019年7月22日、武谷書記次長など3名を逮捕、起訴した。これまで10回の公判が開かれた。

でたらめな政治的弾圧

 この事件では、11月14日に現場にはいなかった西山執行委員など二人が逮捕されるなどでっち上げ弾圧があったが、跳ね返し不起訴となった。
 公判では、広域協組の丸山理事長が、「告訴しても当初は警察がまったく動かなかった。他府県の警察の(弾圧の)広がりで事件化した」ことを証言し、政治的な弾圧であることが明らかになった。「怖かった。業務を妨害された」「生コンの注文ができなかった」などの検察側の主張に対して、穏やかに話し合ったり、解決策を検討していたり、お茶やコーヒーが出されたり、「威力」とは程遠いことが映像で示された。業者は「生コンの発注は、電話・ファックスですることが主で、和歌山広域協組の事務所に行くのは、遊びに行く、顔を出すというとき」と証言し、業務妨害にならないことも鮮明になった。検察側証人の元暴力団員が「所在が不明」で公判が中止になることまで起きている。まともな刑事裁判なら無罪判決以外にはありえない 。

広域協組が傍聴妨害

------- 経営側は毎回大量動員をかけている。抽選に並び、当選しても法廷に入らないものが多い。ただただ組合側の傍聴を妨害するためだ。12月9日の第10回公判はとりわけひどくて、3分の2近くが空席になった。
 逆に脱退した元組合員が検察側証人として出廷したときは、朝9時には地裁駐車場が満車になるほど動員し、証人を監視、圧力をかけてきた。
 卑劣な妨害をはねのけ、3人の被告とともに法廷で無罪判決を聞こう。第11回公判、2月3日、10時〜11時45分、検察側論告・求刑と弁護側弁論・最終陳述。判決は3月10日、10時。

(5)

地裁段階では大津地裁の「大和ハウス・フジタ威力業務妨害事件」が残っているが、進行から見て今秋、もしくは年末ぐらいまでかかる見込みになっている。次回公判、1月17日10時。(田村 隆)

国会前19日行動 12月
原点にかえり大闘争を

12月19日、〈戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会〉と〈安倍9条改憲NO! 全国市民アクション〉の共催で「改憲発議反対! 敵基地攻撃能力保有反対!」 などをかかげ国会前行動がおこなわれ、衆院第二議員会館前を中心に約千人の市民が集まった(写真)。
戦争をさせない1000人委員会の勝島一博さんが司会で、憲法9条を壊すな! 実行委員会の菱山南帆子さんが主催者あいさつ。「この1年間はコロナの緊急事態宣言下だった。ホームレスの女性が撲殺され、所持金はわずか8円。ウィシュマ・サンダマリさんが入管で死亡。五輪が強行され、コロナの感染爆発と医療崩壊が起こり、中等症患者は自宅にいろと言われた」「今年、過去最多の女性のための相談会が開かれている。」「岸田政権は国会開会日に敵基地攻撃能力の発言。岸田改憲が始まろうとしている。『聴く力』と言うが、赤木さんの訴訟は『認諾』で幕引き。ふざけんな」「今こそ政治が救わなければいけない命がある。原点に立ち返り2015年戦争法制反対のような闘争をもう一度作ろう」
立憲民主党・吉田晴美衆院議員、日本共産党・山添拓参院議員、社会民主党党首・福島瑞穂参院議員が口々に改憲策動を弾劾した。「女性による女性のための相談会実行委員会」の柚木康子さん(元・全石油昭和シェル労組委員長)が発言。「日比谷の派遣村(08年)の相談で女性は1割だったが、去年・今年は割合が増えている。多くの女性が非正規雇用で、それが根本問題」。沖縄の闘いに連帯する関東の会・辻忠男会長(川口市・医師)は、反戦反核反基地の闘いのため、南部戦跡で遺骨収集のガマフヤーの具志堅隆松さんに話してもらった。(土砂を搬出しようとしている糸満市の)熊野鉱山から次々に遺骨が出ている。76年前の惨劇が存在している」
弁護士の方が政府の敵基地攻撃能力整備策動や際限のない軍拡の動きを弾劾するアピールを発し、最後に憲法共同センター共同代表が行動提起。「通常国会開会日の1月17日12時から国会前で開会日行動。19日行動は18時半から。1月20日18時から新宿駅西口で総がかり行動。1月23日13時45分より日本教育会館一ツ橋ホールで『とめよう改憲! 学習講演会』をひらく」。

3面

沖縄レポート(12月7日〜23日)
辺野古不屈の闘いと市長選

海上で抗議するカヌー隊(12月14日)

12月7日 県は11月25日沖縄防衛局が申請していた軟弱地盤の改良工事に伴う防衛局の設計変更を「不承認」とした。防衛局は県への対抗措置として、7日国交省に審査請求した。国はまたしても私人に偽装して不服審査請求をおこなったのだ。
14日 辺野古新基地建設で、政府が埋め立て区域への土砂投入を始めて3年となるこの日、キャンプ・シュワブゲート前と辺野古海上で抗議行動がおこなわれた。シュワブゲート前では早朝から座り込みが始まり抗議集会には220人が参加した。「移設を中止に追い込むまでがんばろう」「知事の不承認を支持しよう」などシュプレヒコールを上げた。
海上では、午前9時ころに辺野古の浜からカヌーチームが出発した。浜では、市民30人が激励に駆けつけカヌーチームにエールを送った。カヌーチームは拍手に送られ抗議行動に出発した。
海上抗議行動には、抗議船5隻、カヌー35艇に60人が参加。フロートに「辺野古の海を守ろう」などの横断幕を貼り、プラカードを掲げ抗議した。
15日 辺野古新基地建設を巡り、県による埋め立て承認を取り消した国土交通相の裁決は違法だとして、県が裁決取り消しを求めた抗告訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部(谷口豊裁判長)は県の訴えを却下した。判決では「県に原告としての資格はなく、訴えは不適当」とし、却下した1審判決を正当とした。これにより県は2審でも敗訴した。
これまで裁判は、大浦湾側の埋め立て予定区域に軟弱地盤が見つかったことなどを受け、県が2018年8月埋め立て承認を撤回。沖縄防衛局は行政不服審査制度を使い国交省に審査請求。国交相は19年4月県の承認撤回を取り消す採決。県は19年8月に国交相採決の取り消しを求める訴訟を起こした。2審判決に県は上告する見通しで年内にも判断の時期を見極めていく。

23日 名護市長選に立候補予定の岸本洋平必勝総決起集会が、名護市民会館大ホールで予定されている。名護市長選は来年1月16日告示、23日投開票。2期目を目指す現職の渡具知武豊氏(自民、公明推薦)と無所属新人で市議の岸本洋平氏(共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし推薦)が立候補を表明しており、一騎打ちの構図となる見通しだ。
選挙戦は、辺野古新基地建設問題が最大の争点になる。現職の渡具知武豊市長は「辺野古新基地建設は国と県が争っているので成りゆきを注視します」と賛成か反対かの態度をあいまいにしている。「オール沖縄」勢力が支える岸本洋平氏は、玉城デニー知事と連携した新基地建設阻止の姿勢が鮮明だ。岸本洋平氏必勝へ決起しよう。(写真右は、12月14日、辺野古の浜/抗議行動に出発するカヌーチームと支援の市民)

〈投稿〉
朝鮮学校への補助求めて
府庁前行動450回
古賀 滋

朝鮮学校は日本政府からも、大阪府・市をはじめとする自治体からも迫害を受けている。在日朝鮮人そのものを敵視する入管政策が根底にある。またその源流は150年にわたる日本による朝鮮への侵略と植民地支配にある。韓国(人)への差別も相当に強いが、朝鮮人となると、日本の支配に屈せず闘ってきた存在を許してたまるかと言う激しい敵意に縁どられている。
日本の教育政策は平等を旨としているように見せかけているものの、在日朝鮮人はどれだけ迫害しても良いと言うのが日本の文部科学省である。これに大阪や宮城などの反動的自治体が歩調を合わせている。
2008年、橋下徹が大阪府知事初当選。就任早々、橋下は朝鮮学校を電撃訪問した。厳しい差別行政に慣れっこの生徒たちは運動場で、やって来てくれた若き府知事を大歓声で迎え、橋下も満面の笑顔で答えた。ところがこれはただのパフォーマンスだった。朝鮮学校に難癖をつける口実を探しに行ったとしか思えない。直後に「暴力団と一緒」なる無根拠な暴言を吐いた。朝鮮学校と朝鮮総連の関係や、指導者の肖像画、生徒が祖国訪問したら独裁国家への賞賛、などと言いがかりをつけて、教育補助金を打ち切った。
それまで大阪府・市は補助金を出していた。日本の公立学校は全額公費、私立学校も相当な額が補助されているのに朝鮮学校への補助は極めて少ないのを数字で示し、是正してほしいと日本の団体も要求し、府・市の担当者が「財政厳しい中でございますが精一杯努力いたします」と毎年回答し、少しずつ増額され最盛期には1億円に達した。
それを、橋下府政になったとたんに打ち切りとなった。何か不正や不祥事があったわけでもない朝鮮学校への経済制裁は差別だ。文科省も各自治体に向けて「朝鮮学校への補助金は(悪いほうへ)見直すように」通達を出す悪辣ぶりだ。こういう事は国連が何度も「差別だ」「憂慮する」と日本政府に警告しているが完全無視。過去と現在を比較して、朝鮮学校も朝鮮総連も朝鮮民主主義人民共和国も姿勢は一貫している。補助金を支給する方の政策が変わっただけだ。他の外国人学校へは支給されている。
こんな民族差別を許してはならないと、多数の日本人が自主的に立ち上がったのが朝鮮学校支援・火曜日行動と火曜日バンド。動員がなくても毎週火曜日正午、府庁前に集まる事に。これが2021年11月ついに450回目を迎え、毎日新聞の紙面を飾ったのである。

4面

NHK日曜討論にデビュー 12月12日
大石あきこ議員 維新を論破

12月12日朝のNHK「日曜討論」に、れいわの大石あきこ衆議院議員が出演した。他の出演者は自民党・西村康稔、立憲民主党・長妻昭、公明党・伊藤渉、日本維新の会・足立康史、国民民主党・足立信也、日本共産党・田村智子。

失敗事例の検証を要求

司会が各政党にオミクロン株にどう対処していくかと質問。大石議員は第一に保健所の職員を増員すること、とくに市中感染を抑えるためには疫学調査や追跡調査ができる職員を大幅に増やすことが必要だと強調。さらに感染を抑えるために在宅や休業を余儀なくされる人たちに生きるための給付金や休業手当を保障し、雇用を安定させることが大事と述べた。大石議員は「しかし、これがずっとできてない。大阪に至っては保健所の職員に過労死レベルの残業が一年単位で続いている。12月3日には職員の労働組合が労働局に訴えるという事態まで起きている。なのに、吉村大阪府知事が持ち上げられているのは異常だと思う。大阪の人口当たりのコロナ死者数はワースト1になっています。ですから、岸田政権は今こそ、大阪を含めて各地の失敗事例の検証をして第6波にのぞんでいただきたいと思います」と堂々と意見を述べた。
これに維新の足立が「大石さんは大阪がとおっしゃいましたが印象操作が強い。吉村知事は説明責任を尽くしている。データに基づいた発言をお願いしたい」とかみついた。

理路整然と反論

大石議員は「そういうことではなく、できていないことを真摯に認めて次に進んでいくことが大事だと思う。大阪府でも私たちを使い捨てにしないでくださいって保健所の職員が人を増やしてと労働局にかけこんでいる状況です。西村さんが保健所の職員を増やすとおっしゃっていましたが、12月3日にはこんなことになっています。今、検査拡大が必要な時期なのに、大阪府は11月末で高齢者施設での定期PCR検査を中止し、病床が不足しているのにさらに229床も削減しました。大阪府は平時に人が余るといって職員をつけてないんですよ。こういうことをまず認めて人をつけていく、体制をとっていく、これが大事だと思います」と反論した。

維新、反論できず

維新の足立議員は「吉村知事は説明責任を果たしていると思いますので、ここでは以上です」と逃げた。
大石議員は初出演だったが堂々と自分の意見を述べる様子に高い評価が。『リテラ』は翌12月13日、以下のような記事を掲載。
「維新のネトウヨ・足立康史議員からスリカエ反論を受けても、大石議員は全く怯まず、鮮やかな切り返しを見せ、逆に足立議員にぐうの音も出ない状態に追い込んでしまったのである」「さらに、返す刀で、吉村・維新のコロナ禍で医療崩壊を起こした後も続いている検査の放棄や医療削減を、改めて批判した」「テレビで維新や吉村知事に本質的で踏み込んだ批判が聞けたのははじめてでは」「大石議員がメディアにこういう形で出るようになれば、維新のインチキで言いたい放題に歯止めをかけられるようになるかも」「なんとも頼もしい姿勢を見せてくれた」「今後の大石議員の闘いにぜひ期待したい」(12/13リテラ)(三船二郎)

市民が主人公の政治を
大阪・堺からアピール
総選挙大阪16・17区

全力でたたかった者は、「維新躍進」を嘆いている間もなく、次に歩み始めている。
堺市では6月5日の「市民が主人公の総選挙をつくるつどい」から選挙戦を開始した。16区(堺区、北区、東区)は立憲民主党の森山浩行氏、17区(中区、南区、西区)では共産党の森流星氏を統一候補とした。
この陣形の下で9月からは「堺アピール金曜チャンネル」と題するYouTube番組を配信、全7回のべ1700回配信した。「市民がつくるあたらしい未来 路上トークSAKAI」は「大阪の保健衛生の現実は?」をテーマに4回56人が、おこなった。10月23日「4野党揃い踏み・市民と野党の共同街頭宣伝」には堺東に150人が。森山候補を中心に、やはた愛さん(れいわ新選組比例区候補)や宮本たけしさん(共産党元衆議院議員・5区候補)なども参加、4野党弁士がグータッチを交わした。17区では10月9日に市民勝手連SAKAI☆17が結成され連日街頭宣伝などで奮闘した。結果は森山氏が立民で大阪唯一の当選(比例復活)、森氏落選となった。
結果を受けて、「堺からのアピール トークセッション」〔総選挙を振り返って、維新政治にどう立ち向かっていくか〕が、11月27日に。開催の問題意識は「大阪選出衆議院議員25人のうち立憲野党は公示前7人から3人に半減。堺市の比例区で得票率を26→40%にした維新が政権批判の受け皿になった。市民と野党の共闘は必須条件だが充分条件ではない。今回の問題点の克服は次回への課題」と提起された。
[第一部 市民が主人公の選挙をどう作り出したか]を16区、17区から報告。森山、森氏からも挨拶。
[第二部 維新政治にどう立ち向かっていくか]は、「維新政治に立ち向かうために私たちになにが必要か」と題して桜田照雄さん(阪南大学教授)が冒頭提起。「維新は沈下する大阪経済への危機感を持つ層に対して大阪の経済政策なるものを前面に打ち出して支持を引き寄せている。しかしそれは実は安倍政権が打ち出している都市再開発政策の焼き直しで、官僚が作った政策をそのまま言っているだけ。集客(インバウンド等)と中心部再開発などと万博・カジノ。都心部の学校等の公共施設を廃止し、跡地にタワマン誘致で若い世代を呼び込む。地域経済政策は維新の弱点だ。これに対する市民による地域経済政策、市民による連帯の確立と具体的な実践の着手が求められる。維新は劣情も含めて反知性的に感性を揺り動かしている。我々は、精緻な分析と知性による到達点を、人々の感性に響くように訴えられるのかが肝心。まずカジノ誘致とたたかおう」と提起した。
活発な討議の後、来夏参院選、再来年春クワトロ(府知事・府議・市長・市議)地方選に、大阪の全ての研究者、社会運動家、政党等の叡智と力を総結集し戦略を練り上げることを確認した。(剛田力)

読者の声
立憲県連幹部がサボり落選 兵庫7区
総括会議で批判続出 入川健二

12月18日、立憲民主党兵庫7区の選挙総括会議が開かれました。候補者安田真理さんは2019年の参議院選で43万票を獲得しながらも3万票差で落選。その後兵庫7区(西宮・芦屋)総選挙に挑戦。立憲野党の中でも有力な候補ながら、自民党・維新に3万票差で比例復活もできませんでした。このため失望は大きく総括会議も50日後に延びましたが、50人以上が参加しました。
冒頭安田さんからのお礼の挨拶。その後、立憲民主党兵庫県連幹事長で西宮選出の栗山雅史県議の挨拶がされましたが、安田さんの支援が不十分だったのは19年参議院選挙後に口論し、安田さんの謝罪が遅れ、直前に応援に入ったと弁明に終始。また支持者宅に安田ポスターを貼ってなかったことが弾劾されている事を知ってか、「自分のポスター掲示板の半分には安田ポスターを貼ってもらった」とも発言。この明白な選挙サボタージュに対して、選対の中軸を担った無所属市議から「それでも県連幹事長か!」と激しい抗議の声。ついで支援者から「人のことを言う前に、自分が何をしたかを話せ」。
実際、栗山幹事長は1年半にわたり安田選挙を意図的にサボタージュ。演説でも「候補者は美人」などとトンデモ発言。20年12月集会にも栗山は不参加で、全戸ポスティングも栗山の地元は空白のまま。さらに立憲県連は「コロナ下で感染者が出れば政党として批判される」と活動を制限し、市民選対の発足を遅らせました。
栗山幹事長退出後はさながら糾弾会。立憲民主党の自治体議員から「党の現況に問題がある」「私も県連役員として責任を感じる。」と謝罪と批判がされました。また無所属で候補との2連ポスターを地域に貼った西宮市議からも、立憲のサボタージュに非難が集中。組合OBからは選挙前の連合会長の発言で票が減ったとの発言も。また最も献身的に行動したグループからは、候補者は頑張ったがこの選対では勝てないと思ったと発言が。さらには候補者の財政難・窮状を知り、家族に秘密で百万円をカンパした市民のビラも配布されました。
選対総括にも、「無所属議員の活動は素晴らしかった」が、党中央・県連の指導力のなさが指摘され、「ボトムアップ型の党づくりを裏切った罪は極めて重い」、地方での「ひたむきな訴え」は絶対に必要、「選挙をサボった議員の責任追及」ともありました。
本紙331号(12月2日付)の1面でもこの事情が指摘されています。なお栗山幹事長は19年県議選でも自分が県連選対委員長として、兵教組役員を公認せず、自分だけを公認し当選しました。自民党は辻元清美を応援した山崎拓元副総裁を党員権停止処分にしましたが、ここまで選挙妨害をした幹事長が処分されないのでしょうか。処分が無ければ西宮・芦屋だけでなく、兵庫県下の立憲の支持は大きく後退するだろう。栗山を幹事長にした桜井周県連会長らの今後のあり方が注目されます。

5面

大阪市立高校
市民の財産1500億円を府に譲渡
3月判決にむけ決起を

大阪市を廃止する「大阪都構想」は2015年5月と2020年11月の2度の住民投票で否決された。しかしこの間大阪維新の会は、大阪市の財産、財源、権限などをパーツごとにバラバラに大阪府に移し替える「大阪都構想の分割実施」を強行してきた。大阪市立の支援学校を大阪府に無償譲渡したり、大阪市の都市計画権限を大阪府に事務委託する条例を作るなど矢継ぎ早だ。

廃校→売却

府に無償譲渡する市立高校は、まぎれもない巨額財産、市立高校22校の土地、建物は、大阪市公有財産台帳価格で計約1500億円に上る。市場価格では3千億円の価値がある。
移管に教育上のメリットはない。大阪市教委は、「効果的、効率的な学校運営を可能とする」という説明を繰り返す。「金のかからない高校にする」という意味で、市の予算レベルを超えて、教育環境の充実に予算をつぎ込むことはない。
府立学校条例で「3年連続で定員割れした高校は再編整備の対象とする」と規定され、移管後は廃校が既定路線となっている。廃校になった高校の跡地の売却代金は大阪府の収入になる。土地、建物、備品などすべて大阪府が大阪市から買い取るのが筋というものだ。府に「買い取る金がない」のなら、「無償貸与」という方法もある。

市長判断での譲与

10月7日、大阪市民の財産を守る会は、「大阪市長は大阪市立の高校の不動産を大阪府に譲与してはならないとの判決を求める」住民訴訟を提訴。訴訟の前に、大阪市の監査委員会に住民監査請求をおこない、9月24日の監査結果「棄却」を受けて住民訴訟に踏み切った。監査結果は棄却だったが、請求で求めた「大阪市財産条例16条違反」と「議会の議決が必要」については、これを認めた。無償譲渡の法的根拠は「大阪市財産条例」、この条例の第16条で「普通財産は、公用または公共用に供するために特に無償とする必要がある場合に限り、国または公法人にこれを譲与することができる」と規定している。これを盾に市長松井が決めた。市財産条例2条は、予定価格7千万円以上の市有地を売却する時は市議会の議決が必要と定めている。しかしこの件では市議会に諮っていない。監査は棄却だったが「市財産条例16条による市長の判断での譲与は許されず、議会の議決が必要」と条例適用を否定した。

3月末までの判決確約

住民訴訟では、今年4月1日の移譲と委譲契約の停止を求めている。昨年11月15日に第1回口頭弁論が開かれた。この中で原告は該当する高校の土地を特定するため登記書類の提出を市側に求めていたが、11月15日現在、まだ提出されておらず、被告側の弁護士から「大半が未登記で特定が難しい」という発言があった。移譲するにあたって土地詳細の確認、確定もせずに進めていたのだ。政治的思惑と杜撰な手続きで進められたことが明白になった。
「2022年4月に市から府への移管」は決まっており、原告は早期判決を求めていた。森鍵一裁判長は、本事件の目的である差し止め請求は、早期の決着が必要であることを認め、「裁判所の職責として、3月末までに判決を言い渡す」ことを明言した。
1月17日(月)15時 大阪地裁大法廷
1月28日(金)11時 大阪地裁1007法廷

カジノこそ維新の弱点
3月議会へ大署名運動を
大石議員訴える

12月20日、大石あきこ衆議院議員がカジノ反対の街頭演説を、カジノ建設予定地の「夢洲」がある地元此花でおこなった。イオン高見店前にはこの冬一番の厳寒の強風だったが約100人が集まり熱気があった。高層の大阪市営住宅が何棟も林立するなか、買い物に来た子ども連れの主婦も大石さんの話を聞いていた(写真)

カジノは止められる

大石あきこさんは開口一番、「カジノを止める最初の闘いを今日、ここから始めましょう」と熱く訴えた。
「カジノはバクチであり、バクチが『成長戦略』になるはずがない。カジノで大阪が成長するなんて根本的に間違っている」「カジノは横浜を含めてどんどん中止されている。維新の間違った政策を転換させましょう」「10月段階の大阪市民の有権者のアンケートではカジノを含むIR誘致賛成はわずかに37%、反対は57%。圧倒的に反対が多い。今ならカジノは止められる」と訴えると集まった人たちから大きな拍手がわき起こった。

緊急署名を

すでに発表されているカジノ建設に投入される公費は1240億円だが、さらに土壌改良や液状化対策として800億円の追加費用がかかることが12月19日判明。巨額の公費投入は22年冒頭の大阪府議会・市議会で大きな問題になっていくと各マスコミは報道している。カジノ反対の緊急署名に取り組もう。

倒すという気概の無い者に維新は倒せない
反維新統一戦線の形成を(下)

B他方で自民党以上に金銭的疑惑・問題のある人物が多くいる。新共同代表の馬場伸幸周辺には、政党助成金など個人収入とは違う資金がプールされており、絶えず金銭疑惑が付きまとっている。大阪維新の骨格をなした松井世代の大阪府議で前副代表今井豊は、21年8月に違法献金受け取り疑惑で離党したが、表に出せない重大な問題があると思われ維新は除名し火消しに走った。さらに政治資金で「ほら貝」を買ったり、公選法違反が目立つのも維新が一番だ。これまでも前池田市長の市役所サウナはじめ、丸山穂高、上西小百合など不祥事で名を売る人物も多く、「不祥事のデパート」は今後も続くだろう。

(4)ファシスト的集団・維新

改めて維新を解剖すると、彼らは新自由主義破産時代の遅れてきた新自由主義集団である。不況が長期化の中でも大阪自民党は横山ノック・太田房江知事らと一体で放漫財政をくり返した。これに危機感を持った松井ら数人の府議と橋下徹が結合し大阪維新を立ち上げた。サッチャー・レーガンに遅れること20年。徹底した労働組合敵視と社会的分断=差別・排外主義を心情とし、都市中間層や中小商工業者を基盤に大阪維新の躍進が続いた。また特殊に松井は政権喪失時の安倍・菅らと独特のパイプを持ち、都構想・カジノ・大阪万博を進めた。また安倍政権が即時にはできない、労働組合破壊・教育破壊、文化・芸術への助成打ち切り、医療・福祉の後退を進めてきた。
1930年代ナチスとの類似性を危惧する人も多い。ナチスも維新も没落の危機にあえぐ中間層を基盤に、零落する地方都市(ナチスはミュンヘン)から中央進出・全国制覇を目指す点や、議員はナチスと同様の「ならず者」が多い点、またマスコミを使ってのウソとデマゴギーの流布は、ナチス情報相ゲッペルスを見倣っている。またユダヤ人排撃などを使っての社会分断の手法は、慰安婦問題での橋下・吉村の対応に引き継がれている。
相違点は、維新は選挙で議員動員はするが大衆政党としては形成せず、ナチス突撃隊やヒトラーユーゲントのような組織は見当たらない。これはナチスが勢力を伸長させながらも党内反乱と粛清をくり返したことを、小心者の橋下や吉村が恐れているからだろう。特に橋下は首長時代よりはるかに高収入の評論家生活にはまり7年。大衆反乱・内部抗争、粛清やテロが伴うナチス型組織より議員党が好都合なのだ。

(5)選挙戦とカジノ・教育などで22年の攻防に打ち勝とう

21年総選挙で大阪は維新にほぼ制圧され、22年は兵庫・京都が焦点になる。兵庫は21年7月に県知事を自民とで掌握したが、各所で反撃もあり、即大阪維新型の県政運営ができるわけではない。基礎自治体掌握のため、22年の3月西宮、10月川西、11月尼崎の各市長選が焦点だ。京都では国民民主党の前原と組み、赤字続きの京都市政の転覆や、7月参議院選で立憲前幹事長の福山哲郎(泉新代表が元秘書)の落選を狙っている。
一方でカジノ推進には本格的反転攻勢が始まろうとしている。教育破壊には大衆的反撃が持続している。独特の伝統ある大阪市立の高等学校の土地・建物1500億円が無償で府に譲渡されようとして、裁判が起こされた。「日の丸・君が代」強制では、定年後の再任用拒否が逆転敗訴となった。小中学校でも松井大阪市長の過度の教育現場への介入に抵抗が続いている。
維新は7月参議院選にむけて国民民主党と連携し改憲国民投票を狙い、安倍・高市的国家観を右から主導しようとしている。「選挙に勝てば独裁」と言う維新に「選挙で社会は変わらない」だけでは維新に道を空けることになる。維新の弱点をあぶり出し、教育・芸術・文化破壊などと闘う隊列を拡大し、堺市政の奪還や、広範な反維新統一戦線の構築で維新の首長取りを阻止していこう。(おわり/岸本耕志)

6面

〈連合〉=帝国主義労働運動といかに闘うべきか
猪瀬連太郎

昨年秋の総選挙で、連合(日本労働組合総連合会)は野党共闘に介入して自公政権の継続に貢献した。そして連合初の女性会長・芳野友子は、「立憲民主党が共産党と閣外協力を約束したので、連合傘下の組合員は投票先の選択肢を見失った」と、立憲民主党(以下、立民)に共産党との絶縁を迫っている。
これにたいして、立民の泉代表は、共産党との共闘を見直す方針を打ち出している。
連合傘下の組合員のうち一体どれだけの人が、組合の推薦した立候補者に投票しただろうか。会社ベッタリで、職場の苦情に全く耳を傾けてくれない幹部の指示に忠実に従うほど、お人好しの労働者ばかりではないはずだ。
12月2日、連合中央委員会が2022年春闘の方針を決定した。基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合わせて、4%程度の賃上げをめざすという。(※1)
(※1)ここではベースアップや定期昇給が本質的に賃上げとは異なることを問わないでおく。
経済協力開発機構(OECD)によれば、日本の賃上げは過去30年間横ばいで、OECD平均の1・4倍にくらべて異常に低い。消費を喚起するのが日本経済の最大の課題であると、岸田内閣は3%超の賃上げを経済界に求めている。企業に賃上げを促すため大企業30%、中小企業40%の法人税優遇を打ち出している。日本商工会議所の三村会頭も「業績が良く原資を確保できる企業は賃上げしてほしい」と語っている。
これではまるで連合の存在など無視されているに等しい。
連合よ、立民の政権構想にイチャモンをつける前に、自分の頭の上のハエを追えと言いたい。

大企業の地球環境破壊に抗議しない「エコ・ユニオン」

連合は自分たちを「エコ・ユニオン」だとPRしている。賃上げなど自分たちの利益につながる活動だけでなく、環境保護とか社会に貢献することにも積極的に取組んでいると言いたいのだろう。なるほど連合の地方組織は毎年1回、海岸のゴミ拾いに組合員を駆り出したりしている。
ところで現在、地球上のオゾンの約4分の1を生み出しているアマゾン河流域では、乱開発がすすめられて森林が急速に減り深刻な事態に直面している。その最大の元凶はパナソニックをはじめとする日本の大企業である。こうした大企業にたいして、連合がブレーキをかけるアクションを起こしたという話を聞いたことがない。
総選挙の話にもどるが、連合が立民の政策に難癖をつける最大の理由は、電力資本の要請に従って脱原発の動きを封じるためである。連合は組合員や家族、否、日本に住むすべての人たちの命を犠牲に供しても、原発を推進する国策や電力資本の利益を優先する立場に立っているのだ。

国際労働財団をつうじて大資本の海外進出をサポート

連合の本質は、1989年の結成と同時に立ち上げた〈国際労働財団〉という組織がハッキリと示している。国際労働財団は「政府の外交政策と一致しなければならない」ことを大原則にしている。その財源はODA(政府開発援助)からの年間2億4300万円の交付金と、連合傘下の全組合員から徴収する毎月5円の「国際連帯基金」で成り立っている。(※2)
(※2)金額はいずれも1989年の設立当時のもの。
活動内容は、@発展途上国の労働運動をになう人材の育成、A発展途上国の労働組合に教育設備を提供、Bアジアにおける労働運動のセミナーへの資金援助、C日本の労組活動家を海外の労働組合や大学で学ばせる、等々。
運営に当たる36人の委員のうち、6人が政府の任命する元政府高官、3人が政府管理下の機関の最高幹部と決められ、その他は労組の役員やOB、学者である。
つまり国際労働財団は、日本の大資本が進出する国や地域に御用組合を作るための機関である。連合が日本帝国主義の先兵であることは明白だ。

組合員は上納金の使途を追及しよう

連合発足当時マスメディアは一様に、8百万人の労働者を結集した「壮大なロマン」と持ち上げた。労働組合の幹部のなかには、これで政権交代の受け皿づくりが可能になったと歓迎した者が少なくなかった。自治労の幹部で後に東京都労働委員会の労働者委員になった某氏は、自分もその1人であったと告白している。彼らの見込みがいかに甘かったか、敢えて説明するまでもない。
ここで一つ確認しておきたいことがある。連合に加盟している労働組合の組合員はすべて、本人が知っていようといまいと毎月5円、日本帝国主義の海外進出に協力する金を上納し続けているという事実である。僅か5円(現在はもっと上がっているかも知れない)と言えども、その犯罪性は否定できない。
本紙の読者のなかにも連合傘下の労働者がいると思う。さらに友人や知人のなかにも。
自分が上納した金が具体的にどのように使われているのかと組合幹部に問い質すことは、当然あってもおかしくない。職場の外で「日本帝国主義打倒!」と叫んで、実際には金を貢いでいるなどマンガにもならない。この行動をやり抜けば、連合が果たしている役割を満天下に明らかにせずにはおかないだろう。
ただ、相手が尻尾を出すまで粘り強く追及し続ける努力が求められる。1人で行動しないで、職場のより多くの仲間の同意を得て行動することが大切だ。こうしたささやかな活動を積み重ねて、連合の支配に風穴を開けていこうではないか。
前に述べたように、連合は政府や経営者団体に無視されるような無力な存在である。しかし同時に、日本の大企業や官公庁の正規労働者のほとんどを傘下に収めるマンモス組織でもある。その数の力をバックに、自公政権と対決すべき野党陣営に揺さぶりをかけているのだ。
「連合は労働運動の風上にもおけない! ケシカラン!」と犬の遠吠えみたいに叫んでいるばかりでは、あまりにも情けないではないか。連合そのものを労働者のための組織に変革するには、残念ながら現在のわれわれの力はあまりにも小さ過ぎる。しかし連合が今のように大きな顔をして野党共闘に水を差す行動にブレーキをかけるぐらいのことは、今のわれわれにもできると思うし、最低限やらなければいけない。

ホンネとタテマエの矛盾を粘り強く突こう

以上見てきたような連合の実態から「もはや連合は労働組合とは言えない、現代版産業報国会≠ナある」という見方がある。しかしこの見方は、産業報国会(以下、産報)についての無知と日和見主義以外の何物でもない。
産報は1940年、中国侵略戦争の泥沼化と太平洋戦争を目前にして、労働者の統制と労働争議の根絶を目的につくられた官製の労務統制機構である。各事業所毎に「労使一体・事業一家」の合言葉の下につくられ、その過程ですべての労働組合の存在が抹殺された。「日本主義労働組合」の旗を掲げた超右翼の組合も例外ではなかった。
産報中央本部の総裁は厚生大臣、道府県産報の会長は知事、地域別の支部産報の長は警察署長、事業所毎の単位産報の会長は社長などの事業主が就任した。警察主導のピラミッド型の機構で、労働者の利益を守る組織に変革する余地は全くゼロであった。
連合はどんなに右傾化して資本に奉仕しても、産報化することはありえない。なぜなら、連合は労働者の利益を守るという労働組合のタテマエを維持しているからこそ、労働者の不満とその爆発を未然に抑えることができるからである。そして逆に、連合は労働組合である以上、組合員の声を百%無視し続けることはできない。たとえポーズであっても組合員に寄り添う姿勢を全く示さなければ、幹部は自身の地位を危うくするからである。
さらに組合の役員は、たとえインチキな手口を駆使しても、とにかく組合員のなかから選ばれる。
この連合の労働組合としてのタテマエと資本の奉仕者としてのホンネ(実態)とは、絶対に解決することができない矛盾である。この矛盾こそ、われわれがつけ込むべき切り口なのだ。日常の職場における切実な要求や課題の解決を求めて、しつこく、あらゆる手段を講じて組合の役員に迫っていくことである。役員の選出についても、トコトン民主的な手続きを要求していこうではないか。
連合傘下の労働者は長い間の経験から、労働運動そのものに否定的なイメージしか抱いていない。そのような彼らにたいして、本来の労働運動のあるべき姿を目に見えるかたちで示すことが大切である。
不当解雇の撤回を求めて社長宅に宣伝カーを繰り出す姿を見た連合傘下の労働者が、地域ユニオンを頼って労働相談に駆け込んでくるケースは、決して珍しくない。
理不尽極まる弾圧にめげず産業別労働運動を守り抜こうと頑張っている関生の仲間たちの姿に接すれば、必ずや彼らも感銘を受けるに違いない。
連合傘下の正規労働者を「恵まれた労働者」として敵の側に追いやることは、分断を拡大する愚かな行為である。彼らも過労死の危険にさらされ、合理化の対象にされるかも知れないと脅えているのだ。今こそ連合傘下の労働者に働きかけ、味方に加えていくための活動を具体的に展開していこうではないか。取り組むべき課題は、われわれの身辺に無数に存在しているのだから。
最後に、私の知り得ている限りでは、革共同を僭称する江戸川グループをはじめとして、あらゆる党派が連合の本質規定を欠落している。まぎれもなく、連合は〈帝国主義労働運動〉である。
労働者と社会運動に敵対する連合を追い詰め、その組織の足元を揺さぶり屋台骨を無力化していこうではないか。連合傘下の労働者と共に力を合わせて。

7面

〈寄稿〉
2022年を老朽原発全廃の年に!
原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現しよう!
若狭の原発を考える会 木原壯林

発言する木原壯林さん(21年6月6日)

T危険すぎる老朽原発動かしてはならない

福島原発事故から11年近くになりますが、この事故は、原発が重大事故を起こせば、職場を奪い、農地を奪い、海を奪い、学校を奪い、生活基盤を根底から奪い去ることを、大きな犠牲の上に教えました。
原発が重大事故を起せば、放出された放射性物質が風や海流に乗って運ばれ、被害は広域におよびます。福島原発事故では、事故炉から50q離れた飯舘村も全村避難になり、200q以上離れた関東でも高放射線地域が見つかっています。
原発事故の被害は長期におよびます。福島原発事故で避難された方の多くは今でも、避難先で苦難の生活を送っておられます。事故を起した原子炉の内部の様子は、高放射線のため、ごく一部しか分からず、溶け落ちた核燃料の取り出しの目途も立っていません。汚染された土壌の除染法はなく、ごく表層をはぎ取ってフレコンバックに保存する他はありません。東電と政府は、この汚染土壌の全国での「再利用」を画策しています。トリチウムだけでなく、除去されなかった放射性物質を含む大量の汚染水が溜り続け、太平洋に垂れ流されようとしています。
原発は現在科学技術で制御できる装置でないことは明らかです。その原発が老朽化すれば、危険度が急増することは多くが指摘するところです。
それでも、関電と政府は、運転開始後45年を超える、危険極まりない老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の運転を画策しています。
私たちは、以下の理由により、老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機をはじめとする全原発の即時廃炉を訴えます。
@原発を動かせば、何万年もの保管を要する負の遺産・使用済み核燃料を生み出しますが、その処理・処分法はなく、中間貯蔵すら引き受ける場所もありません。
A政府や自治体は、私企業である電力会社が運転する原発の重大事故を想定した避難訓練に血税を費やしています。それは、原発は重大事故を起こしかねないことを政府や自治体が認めているからです。ただし、その「避難訓練」も、僅かの人数による僅かの期間だけの訓練で、「避難訓練を行った」とするアリバイ作りに過ぎません。原発過酷事故時の避難は、訓練ができないほど深刻で困難なのです。
B関電の原発に関して、各種のトラブルが頻繁に発生、発覚しています。昨年6月に再稼働した老朽原発・美浜3号機でも、7月2日に早速、緊急時に蒸気発生器に給水する補助給水ポンプのフィルターに鉄さびが詰まるトラブル、10月6日には、非常用ディーゼル発電機が緊急停止するトラブルが発生しています。7月に再稼働した大飯3号機でも、8月4日、復水器に海水を送る配管で、腐食による直径4pの穴が発見されました。
このような数々のトラブルは、若狭の原発は相当危険な状況にあることを示します。老朽原発の運転など、もってのほかです。
C若狭の原発の耐震性は疑問です。例えば、活断層の巣の中にある美浜3号機の耐震性の評価にあたって、震源が近くにあることの配慮はありません。また、地震が繰り返された場合の考慮が不十分です。さらに、美浜3号機の基準地震動の評価は、405ガルから993ガルへと増大していますが、それに見合って原発の耐震性が強化されているとは言えません。原発には、取り替えることのできない部分が多数あるからです。
D原発電力のコストは上限を試算できないほど高額です。去る7月に試算された2030年の1キロワット時あたりの発電コストは、原発では「11円台後半以上」で、太陽光や陸上風力などに比べて、原発の優位性は否定されています。なお、原発コストの試算額には上限がありません。「事故処理費用が見込みづらい」ためです。使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理・保管費を含めれば、原発の発電コストは膨大になります。
E関電は、老朽原発の再稼働を巡って、立地自治体に同意を要請し、苦悩の選択を迫りましたが、福井県知事が同意を表明した直後に、高浜1、2号機の再稼働断念を発表しました。このように、関電は、自社の都合のみで、人々を混乱に陥れています。このことと、一昨年来の原発マネー不祥事、使用済み核燃料中間貯蔵地探しに関わる再三の約束違反を考えあわせますと、関電は、企業倫理に欠け、何の成算もなく約束し、それを平気で反古にする企業と言わざるを得ません。
以上のように、原発は、使用済み核燃料の蓄積、重大事故時の避難の困難さ、トラブルの多さ、耐震性の低さ、発電コストの高さ、電力会社の企業倫理の低さ、いずれの面からも、稼働を容認できる装置ではありません。

U岸田・核依存内閣を打倒しよう!

安倍、菅両政権を引き継いだ岸田政権は、原発推進・核依存をますます強めようとしています。炭酸ガス排出削減を口実にして、原発の60年運転だけでなく、80年運転への道を開こうとしています。また、新型小型原子炉や核融合の開発を画策し、核燃料サイクルも推進しています。
岸田自民党は、小型新型原子炉の開発を掲げる高市早苗氏を政調会長に就任させ、国対委員長に、原発推進派で知られる高木毅氏を起用しています。また、原発推進の急先鋒・山際大志郎氏を経済再生担当大臣に、萩生田光一氏を経済産業大臣に就任させました。岸田政権は、まさに原発推進政権、核依存政権です。
岸田首相は、核燃料再処理と高速炉の運転を進めようとしていますが、1997年に完成を予定していた再処理工場は25回も運転延期を繰り返し、すでに15兆円近くを投じたにも拘らず、本格運転の見通しすら立っていません。高速増殖炉「もんじゅ」は、政府も技術的困難さを認めざるを得なくなり、廃炉に追い込まれています。
実現の可能性がない再処理工場や高速炉への税金の投入は、これらを進めてきた大企業や「原子力ムラ」を救済するためであり、税金の無駄遣いです。
政府が、原発に固執する意図は、2030年に原発電力を20〜22%にしようとするエネルギー基本計画を達成し、@使用済み核燃料、核廃棄物の保管・処理費や事故による損失を度外視すれば、安上がりな原発電力によって、電力会社や大企業を儲けさせ、A総括原価方式の下で集めた電気料金を、原発を介して、ゼネコンや原発関連大企業へ垂れ流すためです。さらに、この基本計画では、原発の他に、再生可能エネルギーを36〜38%にするだけでなく、炭酸ガス排出量の多い石炭火力を19%も残そうとしています。それは、B戦争になり、天然ガスや石油の輸入が途絶えたときの基盤電力を、国内で調達できる電源である原発、再生可能エネルギー、石炭火力で確保するためです。すなわち、老朽原発の再稼働は、「巨大資本に奉仕する国造り、戦争出来る国造り」のために行われているのです。なお、原発電力を20〜22%にするために、政府は、老朽原発の運転だけでなく、定期検査間の運転期間の長期化、原発を運転しながら保守する「運転中保全」など、原発過酷運転も認めようとしています。

V老朽原発廃炉に向けて「やれることは全てやろう!」「老朽原発うごかすな!」大行動を実現しよう!

関電が6月に再稼働させた美浜3号機は、特重施設の設置が間に合わず、僅か4カ月の運転で、10月23日、停止に追い込まれました。特重施設の完成には約1年を要するといわれています。一方、当面の再稼動を中止した高浜1、2号機の特重施設の完成は早くても2023年5、6月といわれています。ただし、これらの老朽原発は、特重施設の完成後に再稼働されたとしても、2023年末には停止に追い込まれる可能性が大です。それは、関電は「使用済み核燃料の県外中間貯蔵地を2023年末までに探せなければ、老朽原発を停止する」と明言していますが、中間貯蔵地探しは至難であるからです。老朽原発停止を突破口に原発全廃に向かって大きく前進する好機です。
「老朽原発うごかすな! 実行委員会」は、12月14日に開催した実行委員会で、衆院選で「脱原発を主要な争点にできなかったこと」を反省し、美浜3号機の再稼動(10月中旬?)、名古屋地裁でのBack Fit訴訟(3月10日判決)および大阪地裁での美浜3号機運転差し止め仮処分裁判の行方、7月参院選、コロナ情勢、などを念頭において、2022年には、今までを大きく上回る大行動を展開することを決定しました。
具体的には、20年9月6日、21年6月6日、12月5日(それぞれ1600人、1300人、1600人結集)の「老朽原発うごかすな!」を訴える大集会(大阪)を格段に上回る大集会を、大阪で5月下旬に開催する。また、それに向けて、1月22日(土)に、今までより大幅に拡大した 「老朽原発うごかすな!実行委員会」を開催することを決定しました。
1月22日の実行委員会では、5月大集会を頂点として、リレーデモ、リレー集会、ヒトリデモ、原発電気不買運動、一食を断食してあるいは節電して「脱原発」を訴え、節約できた分を脱原発運動にカンパする運動など、創意工夫を凝らした行動を検討することとしました。
皆様のご助言、ご支援、ご参加をお願いします。

8面

10・31「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム(下)
貧困許さず、「いのちの選別・切り捨て」と闘う
関東「障害者」解放委員会 松浦 淳

優生政策を許さない

優生保護法被害東京訴訟原告の北さんは、2日前に東京高裁で証言したばかりだ。東京地裁をはじめ、各地の地裁が、被害から20年の除斥期間を過ぎているとして、国の賠償を認めない判決を出している。国が与えたこのような被害について、こうした法的処理をしようとすること自体が許せない。さらに被害者の現実からして、この期間に訴えを起こすことなど、できようはずがない。
北さんは、児童養護施設にいた14歳の時に、断種手術を受けたが、何の手術かさえ説明されていない。周囲の仲間からその意味を知らされるが、国が推し進めたものであることを知る由もなかった。10代から76歳まで、現場労働者として働き続けた彼に、国の責任であることを直接伝えた者はいない。ただ、2018年1月30日に、仙台地裁に申し立てられた優生保護法被害訴訟の記事を新聞で読み、仙台の弁護士に相談して初めて、国が与えた被害であることを知ったのだ。 それまでは、親と施設を恨み、妻にもその死の直前まで打ち明けられずに苦しんできた。「私の人生を返してくれ、と言いたい」という北さんの言葉が全国に響いた。 神経筋疾患ネットワークの各地のメンバーが発言した。このネットワークは、出生前診断、着床前診断に反対し、活動し続けている。発言した方々は、いかに人生を楽しんでいるかを語った。それは、こうした診断によるいのちの廃棄によって、自分たちの生を否定するな、というメッセージだ。最後に発言者全員で、「私たちは、いのちを分ける出生前診断に反対します」と結んだ。  日本産婦人科学会が厚労省とも手を結びつつ、こうした診断対象を拡大しようとしていることへの危機感がある。

「障害者」が生き抜くために

千葉市で、行政の介護保険優先政策と闘う天海さんも発言した。今年5月、千葉地裁は許せない不当判決を下した。天海さんが65歳以降も介護保険制度に乗せられることなく、障害者総合支援法の制度を使い続けるため、介護保険の利用申請をおこなわなかったところ、千葉市はすべての介助保証を打ち切った。この千葉市のやり方を、千葉地裁は合法とした。「自助が優先され、それで不十分な場合に共助をおこない、それでも生活が難しい場合に公助をおこなう」との政府のプロパガンダを根拠に「介護保険は共助だから、それが優先適用される」という判決である。ここには何等の法的根拠もない。 東京高裁で闘う天海さんは、高裁あての署名を呼びかけている。 全国の介助者不足は深刻で、福島の〈あいえるの会〉では、介助者の平均年齢が65歳を超えていると言う。 群馬の相談支援事業をおこなっている方は、政府が決めている報酬では、安い賃金しか支払えず、福祉労働者を集めることができない状況を語った。福祉の専門学校がおこなった生徒への「障害者」差別に対して、自治体や裁判所が問題にしようとしない状況も語った。 入院時の介助問題は、コロナ以前からも深刻だったが、コロナ感染の広がりの中で、法的に介助保証の対象になってきた重度の「身体障害者」の介助保証も、「感染防止」を建前に実施されなくなっている状況が報告された。コロナ感染しても入院を拒否される「障害者」が出ている。 福祉制度から取り残されてきた難病者として、ナルコレプシー(覚醒と睡眠のスイッチが安定しない状態)の当事者が発言した。制度を検討するときに、常に当事者が蚊帳の外に置かれてきた状況を弾劾。 在日無年金「障害者」問題に取り組む当事者は、日本が朝鮮を侵略した際に、日本人になることを強制し、戦後には外国人だとして社会保障を含むあらゆる権利を否定する日本のやり方への怒りが表明された。在日の当事者は、「障害者」団体の代表を中心に運営されてきた2010年当時の政府の障害者制度改革推進会議に、問題解決を申し入れていた。ところが、「骨格提言」をはじめとした文章に、このことへの対応は盛り込まれていない。このことを、私たち日本人「障害者」は、真剣に総括しなければならない。 JDからは、来年の通常国会に向けて、厚労省が検討している障害者総合支援法の改定の方向が、ますます「骨格提言」からかけ離れたものになって行こうとしていることが述べられた。そして、戦争のできる国へと改憲を進めようとする動きへの警戒も呼び掛けられた。病棟転換型居住系施設を考える会の代表は、政府によってずたずたにされた民主主義、コロナ感染の中でますます「障害者」のいのちが危険にさらされる不条理について、この社会のありようを根本から変革すべきと語った。 ここでは紹介しきれないものも含めて、重要な発言が続いた。その中で、参加者の共通の思いは、根本的な変革のために、協力し前進することだったと思う。(おわり)

狭山キャラバンスタート集会
布川事件 桜井さんが訴え
12月11日神戸

桜井昌司さんの訴えと歌に参加者は魅了された(12月11日、神戸)

昨年12月11日、「えん罪・布川事件 国家賠償請求裁判 勝利報告会――2021年度狭山再審を求める関西キャラバンスタート集会――」が、神戸市内で開かれた。狭山闘争勝利のために、桜井さんの講演から学ぼうと参加した。私自身、「犬の臭気選別」による政治的えん罪を、多くの人たちの協力で打ち破った経験から、えん罪を争う裁判の困難性や勝利の意義を確認したい思いがあった。

桜井昌司さんの生き方

コロナ禍にもかかわらず会場からあふれんばかりの参加者に対して、桜井さんは語りかけた。2019年9月にがんで余命1年と宣告された桜井さんはこの日も、自作の歌を30分以上歌うほど元気であった。29年間の刑務所生活と無罪を勝ち取るまで44年を闘った桜井さんは現在74歳、獄中と闘いの人生を振り返り、「有意義な時間を与えてくれた」と述べるほど、意気軒高としていた。 人生を要約する言葉が印象強かった。「大事なのは人であり、命だ」「誰かのえん罪は私のえん罪」「不運は不幸ではない」。そして、えん罪にうちかったのは「人に届ける心があった」からだと述べた。

権力への怒りを狭山差別裁判に

桜井さんは語る。半藤一利(近現代史家)が言うように、戦争になったのはマスコミのためで、それを国民が支持したからだ。しかし人間は社会を変えることができるし、そのために声を上げるべきだ。われわれが闘うべき「『国』とは、安倍・菅・岸田であり、検察・警察・裁判所だ」と言いきった。 桜井さんは、このような国に対する怒りのすべてを狭山闘争に向ける。万年筆、インクすべてでっち上げだ。「検察官は態度を改めよ、裁判官は勇気をもって証人尋問をせよ」。裁判に対する「中立」幻想を持たない桜井さんの激しい思い、石川一雄さんへの熱い連帯のメッセージに会場全体がうたれた。

すべてのえん罪、不当拘禁者の解放を

桜井さんはまた、天皇制があるから「賤しい人」がいる、しかしいまだに天皇をありがたがっている人がいる。そういう人に限って、朝鮮・中国を「バカ」にしているとして、部落差別こそ石川さんに対するえん罪の根源であることを弾劾した。そして東住吉事件の青木惠子さん、湖東記念病院事件の西山美香さん、高知白バイ事件の片岡晴彦さん、京都下京区事件の平野義幸さんなどえん罪被害者にたいする限りない連帯と救援のアピールをおこなった。 つづいて、兵庫県精神医療人権センターの吉田明彦さんが、えん罪被害者をはじめ、精神病院、障害者施設、入管施設などで不当に拘禁されている人々の解放と連帯を訴えた。最後に、石川一雄さんと石川早智子さんのビデオメッセージがあった。下山鑑定の鑑定人尋問を勝ち取ること、石川さんが85歳までに何としても勝利を勝ち取りたい、そのために来年こそ重要な山場になることが強調された。 主催者からは、第6回狭山集会を2月20日に木谷明さんの講演を軸に開催する案内がおこなわれた。木谷さんは東京高裁の裁判官時代30件以上の無罪判決を出している。「犬の臭気選別」のでっち上げで木谷さんの実践的刑訴法から多くを学んだ筆者として、多くの人に参加をのぞみたい。(橋本利昭)

(おことわり)

おことわり 本紙原稿が想定以上に集まったため、連載の『左翼エス・エル戦闘史』読後感想などは、次号に掲載します。『未来』編集委員会

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