未来・第320号


            未来第320号目次(2021年6月17日発行)

 1面  美浜3号機うごかすな 6・23緊急全国集会
     6・6大阪に全国から1300人
     沸きたつ市民運動の渦を

     重要土地法案など廃案へ
     5〜6月 国会・官邸前で連続行動

     6・23 美浜現地行動へのアピール
     原子力事業本部と原発前で抗議を

 2面  主張
     オリンピック災害いらない
     感染拡大招く五輪は中止に

 3面  〈投稿〉
     終盤国会の焦点 連日国会行動
     「重要土地調査規制法案」を廃案へ      

     6月4日 関電株主訴訟 第2回口頭弁論
     関西電力経営陣の責任を問う     

     (おわびと訂正)

 4面  連載
     #Me Too運動に学ぼう
     党内性暴力事件 真の謝罪のためにJ
     女性解放は男性自身の課題
     藤野かな子

     読者の声
     『展望』26号沖縄座談会を読んで
     コザ暴動と沖縄奪還論
     大阪 石毛 明

 5面  再生エネルギーを金儲けに
     奈良平群町のメガソーラー計画
     葛城 丈章

     映画『きみが死んだあとで』を見て
     決起の原点と、革共同の再構築

 6面  本の紹介
     『風の谷のナウシカ』コミック版
     『トルメキア戦記』バージョン 全7巻
     人間と自然の破壊と共産主義投稿 

     84歳の独り言―社会運動あれこれC
     街宣を待っていた女子高生たち
     大庭 伸介

     「核のない世界」の実現へ(下)
     核兵器禁止条約発効の意義
     津田保夫

     (カンパアピール)

       

美浜3号機うごかすな 6・23緊急全国集会

6・6大阪に全国から1300人
沸きたつ市民運動の渦を

道路いっぱいになり御堂筋デモをおこなう全国・大阪の第1梯団(6日、大阪市内)

6月6日「老朽原発動かすな! 大集会inおおさか」(主催:同実行委員会)が大阪市内うつぼ公園でおこなわれた。関西電力は、40年超え老朽原発の美浜3号機を、6月23日に再稼働する予定であることを発表している。これを認めてしまえば、世界中の原発が40年超え運転をおこなう口実にされてしまう。こういう危機感をいだいて、この集会には関西圏だけでなく全国各地から、老朽原発再稼働に反対する人びとが集まった。

今年最大のデモ

集会には、若狭をはじめ全国から代表が参加し発言した。また、北は北海道から南は鹿児島県までの各地からメッセージが寄せられた。集会最後には、木原壯林さんが集会実行委員会を代表して緊急の行動提起をおこなった。内容は、@6月11日と18日に関電本店にたいして抗議行動をおこなう。A6月23日に福井県美浜町で現地集会をおこなう。6月23日にむけて、全力で行動しようだった。
この集会と連帯して、この日、福井市をはじめ、仙台市、名古屋市、岐阜市、山口市など全国各地で、さまざまな抗議行動がとりくまれた。
集会後、難波までのデモには、子ども連れの家族も見受けられた。デモ参加者は、「老朽原発は危険」、「美浜3号機再稼働反対」と沿道の市民にアピールした。コロナ禍のなかで、今年になって集会が極端に少なくなったが、参加者は「今年初めてのデモだった」、「久しぶりなので、ちょっと疲れた」と語りつつ、関西で今年最大の集会・デモをやりぬいた。

避難計画など何の意味があるのか

この日、早朝には雨がぱらついたが、午後は太陽が射し込む夏日になった。菅政権は新型コロナによる緊急事態宣言を延長し、さらに東京オリンピックを強行しようとしている。この情況で、美浜3号機の再稼働を打ちだした。菅政権にたいする怒りは爆発寸前だ。集会では、再稼働を強行する関電と菅政権にたいして参加者から怒りが口々に発せられた。
最初に、中嶌哲演さん(オール福井反原発連絡会)が主催者あいさつ。中嶌さんは、「3・11直後の沸き立つような市民運動の渦を思い起こしていただきたい。これを再び作り出すことは可能なのだ。さらなる広範な動きと流れを作りあげていこう」と発言。
反原発自治体議員・市民連盟関西ブロックの山下けいきさんが、「避難計画」について問題点を提起した。
山下さんは、次のように語った。「飯舘村は原発から40〜50キロメートル離れているが、全村避難になった。原発事故は30キロ圏内でおさまらない」、「学校などで避難計画を造らせているが、何の意味があるのか」。

壇上に勢ぞろいした首都圏の人たち。発言は再稼働阻止全国ネットワーク(6日、うつぼ公園)

原発はこの世にあってはならない

老朽原発の廃炉訴訟を闘う2団体からアピールがよせられ、集会で代読された。東海第2原発では、3月に水戸地裁で「運転差止め判決」を勝ち取った。しかし、推進側は来年までに「地元同意」を取り付けて、再稼働をねらっている新たな動きが報告された。
また、老朽原発の地元2市(高浜原発のある福井県高浜町に隣接する京都府舞鶴市、美浜原発のある福井県美浜町に隣接する滋賀県高島市)住民からもメッセージが寄せられており、これが代読された。地元住民は老朽原発の再稼働を心配し、怒っている。
福島現地から、和田央子さん(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)が発言、「福島原発事故から10年あまりがたつが、まともな政策がなにもなされてこなかった10年だった」、「環境省は中間貯蔵施設に運ばれてきた汚染土壌を再生土壌と称して、全国で再利用することを画策している」と怒りをこめて訴えた。
避難者(千葉県のホットスポットから滋賀県に避難)は、「そもそも原発はこの世にあってはならないもの。関電経営陣は稼働中の原発を直ちに止めてほしい」と述べた。また、岐阜県に避難している川根眞也さん(内部被ばくを考える市民研究会)は、「今年4月に連れ合い(60歳)を癌でなくした。原発は理念の問題ではなく、現実の生き死に関する問題であることを考えてほしい」と訴えた。また、原発賠償京都訴訟原告団からのアピールが代読された。

デモの出発を待つ京都・奈良・兵庫の第2梯団のデモ隊(6日、うつぼ公園)

原発の60年超え運転も画策

全国で反原発を闘う団体の代表が登壇した。再稼働阻止全国ネットワークは「関電は企業倫理を持ち合わせていない。老朽原発の再稼働を容認する原子力規制委員会はひどい。経産省はもっとひどい。今年策定されるエネルギー基本計画のなかでは、既存の原発をすべて稼働させようとしている。原発の60年超え運転も画策している」と発言。
関西の4府県の各団体から報告があった。「2050年カーボンニュートラルは原発の再稼働とセットになっている。原発は二酸化炭素を出さないクリーンエネルギーという政府キャンペーンに注意しよう」。「われわれの闘いが関電を追いつめている。職場、地域で闘いを進めていこう」。
労働組合は、フォーラム平和・人権・環境、全労連近畿ブロック、おおさかユニオンネットワークの3団体が発言。「原発を動かさない事が一番の安全対策だ。核と人類は共存できない。原発廃炉にむけて、この思想を貫いていきたい」、「最近、夏や冬に電力が足りなくなるとキャンペーンしているが、原発を動かす口実にしている。コロナ禍のなかで労働者の生活が大変になっている。政権交代を実現しよう」。

6・23美浜現地へ

最後に、集会決議の提案と、本集会実行委から「緊急行動」の訴えがあった。 集会後、多くの人が行き交う御堂筋を難波までデモ行進した。

美浜現地緊急全国集会 〜老朽原発・美浜3号機をうごかすな〜
とき:6月23日(水) 正午集合
ところ:美浜町内(詳細はおって)
※正午に美浜町に集合、町内デモ、関電原 子力事業本部前で抗議行動の後、美浜原発先のシーパーク丹生に移動し、午後2時から抗議集会をおこない、美浜原発前を通ってデモ行進の予定
主催:老朽原発うごかすな! 実行委員会



重要土地法案など廃案へ
5〜6月 国会・官邸前で連続行動

首相官邸前で重要土地法案反対の行動(5月26日)

6月7日、衆院第2議員会館前で「秘密保護法廃止! 共謀罪法廃止! NO! デジタル庁 重要土地調査規制法案反対! 6・7『12・6、4・6を忘れない6日行動』」がおこなわれ、市民団体・労働団体を中心に約百人が集まった。主催は、戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会、共謀罪NO! 実行委員会など。集会では立憲民主党・吉田忠智参院議員、共産党・井上哲士参院議員、社民党・福島瑞穂参院議員が口々に重要土地調査規制法案を批判し、6月第2週のうちに狙われている参院での採決の阻止を訴えた。総がかり行動・藤本泰成共同代表、共謀罪NO! 実行委員会・角田富夫さん、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック・青木初子さん、NO! デジタル庁・宮崎俊郎さんがアピールをおこなった。

6・23 美浜現地行動へのアピール
原子力事業本部と原発前で抗議を

「6・6老朽原発うごかすな! 大集会inおおさか」は、大阪市内・うつぼ公園に1300人が集まり成功した。集会後、「老朽原発うごかすな」「美浜3号機再稼働反対」の大きな声を上げながら御堂筋を難波まで、多くの人々の注目を浴びながらデモ行進した。6・6の成功をバネに、美浜原発3号機の再稼働を許さないたたかいを実現しよう。
関西電力は6月23日にも、40年超え老朽原発・美浜3号機を再稼働させようとしている。許してはならない。44年を超えた老朽原発美浜3号機の再稼働を、もし大きな反対の行動や声もなく許すことがあれば、政府・電力会社・原発推進派はかさにかかって全国の原発で40年超え運転に走るであろう。また、韓国をはじめアジアでも40年超え運転を推し進めようとするだろう。われわれの責任は重大である。またわれわれのたたかい如何によっては原発全廃の展望を切り開くことができる。
美浜3号機は、今年10月25日に「特定重大事故等対処施設(特重施設)」完成期限を迎える。この日までに特重施設が完成していなければ、その原発は運転を停止しなければならない。美浜3号機の場合、特重施設の完成が1年半ぐらい遅れるとの報道もある。仮に6月23日に再稼働できたとしても、7月末の営業運転開始からわずか3カ月しか運転できない。それでも再稼働に闇雲に走るのは「40年超えの原発が動いた」という実績がほしいからである。
老朽原発美浜3号機、高浜1・2号機の再稼働は、このかんの反対運動の広がりによって、予定が大幅に後ろへずれてきている。当初、再稼働は21年1月美浜3号機、3月高浜1号機、高浜2号機は5月以降というプランであったが、高浜1・2号機は再稼働もできず、美浜3号機についても、1月の予定が6月にずれ込んでおり、「老朽原発うごかすな」のたたかいのおおきな勝利といえる。美浜3号機の再稼働を許さないたたかいを、関電、政府、推進派にたたきつけなければならない。
6月23日に向かって、関電本店前緊急抗議集会が、6月11日、18日にひらかれる。いずれも午後2時から3時半まで。大阪・中之島関電本店前に集まり、大きな声で関電に対して「美浜3号機をうごかすな」を訴えよう。6月23日、美浜現地緊急全国集会に集まろう。12時に美浜町内に集合し、関西電力原子力事業本部、美浜原発前で行動する予定。
老朽原発美浜3号機の再稼働を阻止するためにすべてのみなさんの総決起を訴えます。ともにたたかいましょう。(6月10日 記)

2面

主張
オリンピック災害いらない
感染拡大招く五輪は中止に

JOC前で抗議する市民(5月18日、東京)

IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は五輪実現には「犠牲を払わなければならない」と言い、コーツ副会長は、東京が緊急事態宣言下でも開催すると断言した。莫大なテレビ局からの放映権料を手にしたいのだろう。支持率低落の菅政権は、オリンピックによる祝祭ムード、国威発揚がなければ秋の総選挙に勝てないと、東京オリンピック・パラリンピック開催を強行しようとしている。いずれもコロナ感染の危険性やコロナ感染で苦しんでいる人たちのことは眼中にない。

尾身会長が批判

これに対して猛烈な批判が起こっている。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、6月2、3日、衆院・参院両厚生労働委員会で「(五輪・パラリンピックは)今の状況でやるというのは普通ないわけだ。このパンデミックで」「このオリンピックを開催すれば、それに伴って国内の感染、あるいは医療の状況に必ず何らかの影響を起こす」と答弁し警告を発した。そして「感染のリスクあるいは医療逼迫への影響について評価をするのは、われわれのプロフェッショナルとしての責任だ。…早い時期にわれわれの考えを正式に表明しようと思っている」と答弁した。

コロナ感染拡大の危険性

9都道府県が緊急事態宣言下にあり、新たに沖縄で感染が爆発している。コロナ感染が収束する見込みはなく7月23日に東京オリンピック開会はありえない。開催に踏み切れば、世界の変異株が持ち込まれコロナ感染の恐るべき拡大となり、世界中に拡散することは間違いない。だから世論調査で8割超の人が「中止」か「再延期」を求めている。
米国務省は5月24日、日本を米国民向けの海外渡航警戒レベルで最も高いレベル4に引き上げ、日本への渡航中止勧告を出した。オリンピックには、2百以上の国・地域から10万人(選手1万5千人+大会関係者7万8千人)もの人々が流入する。人員削減されなかったIOC委員など五輪貴族3千人や各国のオリンピック委員会関係者1万4800人などが、お祭り気分で乗り込んでくる。
会場は東京だけでなく8道県にある。それに加えて、大会ボランティア8万人、都市ボランティア東京3万人などが動く。すでに大会ボランティア1万人、都市ボランティア3800人以上(東京は未公表)が辞退した。政府は、海外からの観客は断念したが、 国内は「収容人数の50%を上限に最大五千人」の有観客を検討している。無観客の場合、大会組織委が900億円と見込むチケット収入は失われるからである。
五輪観戦のために、会場外で競技を大型スクリーンで中継するライブサイトが全国250会場余りで計画され、パブリックビューイング(大型スクリーンで観戦)の申請も始まった。感染症の専門家も指摘するように、人流が増え感染拡大につながることは明らかだ。都内の幼稚園から高校まで子ども90万人を動員する五輪観戦も計画されている。
予定されている海外選手の事前合宿や交流の受け入れを中止した自治体は、全国で少なくとも102に上る。その8割は日本国内の感染状況への不安などから、相手国側から中止を打診されていた。

医療体制は限界

オリンピックは医療体制にも負担をかける。組織委は医師や看護師が7千人程度必要だと試算している。1万5千人の選手や選手にじかに接するスタッフには毎日PCR検査をおこなう。
しかし、コロナ患者の治療拠点となっている東京都立駒込病院では、感染症科常勤医師が、月327時間や2百時間超の残業、36時間連続勤務など過労死ラインをはるかに超える時間外労働を強いられている(毎日新聞)。同病院では「医療は限界、五輪やめて」の声が上がっている。ツイッターで看護師たちが五輪開催に反対している。
病床は逼迫状態で、病院に受け入れてもらえず高齢者施設や自宅、療養先のホテルで亡くなる患者が相次いでいる。重症者用のベッドと人工呼吸器が限られているため、どの患者を優先するかというトリアージがおこなわれ、助かる命も失われている。政府は命よりカネ。病床削減推進法を成立させ(5月21日)、補助金を出して病床を削減するのだ。
菅政権は、オリンピック開催でインバウンド増加による経済効果を見込んでいたがそれもしぼんだ。「人類がコロナにうち勝った証」としてのオリンピックではなくなった。「福島の復興」を掲げるオリンピックは福島県民への棄民政策と一体であり、福島の復興を妨害するものだ。コロナ禍での開催は「オリンピック災害」以外の何ものでもない。東京オリンピック・パラリンピックを中止させよう。(花本 香)

3面

〈投稿〉
終盤国会の焦点 連日国会行動
「重要土地調査規制法案」を廃案へ

廃案求めて首相官邸前で行動(5月26日、東京)

入管法改悪をひとまず粉砕したところで、世間の注目が「東京汚輪ピック」をやるかやらないかに向けられているのだが、今国会では改憲のための国民投票法改正など、重要な法案審議がおこなわれている。なかでもきな臭い法案が、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案…略して「重要土地規制法案」「重要土地調査規制法案」と呼ばれているヤツである。
これは数年前から産経新聞などでキャンペーンされていた、離島や自衛隊基地周辺で中国資本、中国人が土地を購入している、国防上問題があるから対応しろということで今国会に提出されたものだ。なるほど、産経新聞とかのキャンペーンも一理ある、規制は必要なのでは、と思う人がいるかもしれないが、実はとんでもない法案なのだ。

住民を監視、弾圧

条文、および内閣官房がHPにあげている法案の概要を見てみよう。自衛隊基地や米軍基地、海上保安庁の施設そして国境離島などの土地を「注視区域」「特別注視区域」に指定して、土地の所有状況や利用状況を国が調査(特別注視区域においては届出が必要)、利用規制や土地の買い取りをおこなうというものだ。調査対象は「土地及び建物の所有者、賃借人、等」とある。
注視区域に指定されるのは、施設の周辺のおおむね1qの範囲である。沖縄や神奈川の米軍基地では、周辺に住宅が密集しているから、そこに住む多くの人が「調査対象」ということになる。基地の近くに住んでいるというだけで、国に個人情報が収集されてしまうのだ。基地周辺での反戦・反基地の抗議行動、監視行動に対する弾圧手段としても大いに使える法律なのである。
さらに法案の第二条2項三には「国民生活に関連を有する施設であって、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもので政令で定めるもの(第四項第三号及び第十四条第二項第一号において「生活関連施設」という。)」とある。「生活関連施設」といえば発電所や変電所、ダムや交通機関も含まれるから、例えば原発なんかを重要インフラとして政令で指定すれば、その周辺を「注視区域」にして、土地所有者のみならず賃借人等の住民の情報を集めることができる。反原発運動をはじめとする、ありとあらゆる住民運動への弾圧に利用できる法律である。

使用規制

そして「利用規制」については、どのような行為が規制・禁止されるのか何も書かれていない。基地を監視するための「小屋」のようなもの、それこそ辺野古新基地建設に反対するため、道路ののり面に設置されている丸太小屋なんかも利用規制の対象とされて、撤去される根拠になりかねない。成田空港を重要インフラとして指定したら、三里塚闘争における土地利用、農業そのものが「利用規制」されるかもしれない。
実際に自民党、杉田水脈議員が辺野古新基地建設反対運動への敵意もあらわに、つぎのような答弁をしている。

杉田水脈議員が発言

(参考/Y!ニュース神奈川新聞 弁当殻が基地襲う? 杉田水脈氏の発言発端、土地利用法案に逆風)
(前略)「反対運動の人たちが(隣接地で)食べた弁当の殻が基地内に舞い込むかもしれない」。21日、衆院内閣委員会で始まった重要土地利用規制法案審議の冒頭、自民党の杉田水脈氏の発言が審議の場を驚かせた。「鉄条網にリボンなどを巻く」といった具体的な表現で沖縄県名護市辺野古の新基地建設反対運動を示唆した上で、同法で取り締まるよう政府に促したのだ。
委員会に先立つ11日の本会議では、沖縄県出の共産党・赤嶺政賢氏が辺野古をはじめとした反基地運動への法適用の可能性をただした。小此木氏は座り込みや双眼鏡などを使った観察、プラカードを置くといった行為は『中止勧告・命令の対象外』と答弁。理解を得ようと努めてきた。
杉田氏はこの答弁を引用した上で「弁当の殻」などを持ち出し独自の立法事実を説いた。その日、沖縄弁護士会は畑知成会長名で『多くの基本的人権を侵害する恐れが極めて大きい』として廃案を求める声明を決定。同県を中心に反発が広がっている。」(後略)

川崎駅前(神奈川県)で繰り返されるヘイト街宣を、85任が取り囲み弾劾行動。更に55人が駅前でアピールとビラ播きに参加した(6月6日)
差別発言を繰り返すDHC会長・吉田を弾劾する行動が、6月3日に取り組まれた。110人が集まり、DHC本社前や歩道橋に、横断幕やプラカードが掲げられた(東京)

重罪規定

また土地利用規制の政府勧告に従わなかった時の罰則が二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金、「特別注視区域」における土地の所有権移転等の届出に関しては、最大、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金と、かなり重い刑罰がかけられている。重罪攻撃で地域を制圧しようとしているのだ。
(5月26日/たたかうあるみさん)

6月4日 関電株主訴訟 第2回口頭弁論
関西電力経営陣の責任を問う

裁判を終えて市民集会(4日、大阪市内)

6月4日、関電株主代表訴訟第2回口頭弁論が大阪地裁でひらかれた。大法廷にもかかわらず、コロナ禍を理由に定員が38人に制限され、法廷に入れない傍聴者が多数いた。  この裁判は一昨年の秋、明るみに出た「関電原発不正マネー問題」で、市民株主49人が関電の現旧役員に損害賠償を求めて提訴したもの。
 雨降るなかを、裁判所前の公園で裁判前集会がひらかれた。集会後、傍聴券配布に並び、午後2時、開廷した。

原子力部門のトップが平然と嘘をつく

 この日の法廷では、原告Aさんが意見陳述をした。
 「私は30年前に関西電力の株主になりました。きっかけは美浜原発2号機で蒸気発生器細管が破断し、日本で初めて緊急炉心冷却装置が作動したことでした。それからはほぼ毎年、株主総会に出席しています。少しでも原子力発電所がもたらす諸問題について、関西電力の経営陣に直接訴えたかったからです。
 株主総会に出席していて、忘れられない答弁があります。2011年福島事故が起こった年の株主総会のことです。このとき、私たちが訴えた一人の豊松副社長は『テポドンが飛んできても原発は大丈夫』と言われました。その当時、安全審査ではミサイルの直撃は審査の対象になっていません。福島原発の事故以降、新しい安全基準で航空機事故があっても対応できるように、工事が進んでいる状態です。ミサイルの着弾など、審査も受けていないのに、堂々と『大丈夫』と言われたことには本当に驚きました。私は『この人は非常に傲慢なひとだ』と感じたのです。そして、こういう確信的に嘘を株主総会で平然と語る関西電力という組織に対して、非常に懸念しました。あまりにもひどいので抗議をしましたが、修正はありませんでした。原子力部門のトップが平然と嘘をつき、そのままにしておく会社だということを痛感しました。私がこの例を出したのは、関西電力という会社の組織的な問題として、今回の不正マネー還流事件があると考えているからです。(後略)」
 次回口頭弁論は来年1月25日、午後2時、大阪地裁大法廷。

場所を移して市民集会

 裁判終了後、近くの別会場に移り、「起訴を求める! 怒りの市民集会」(関電の原発マネー不正還流を告発する会主催)がおこなわれた。
 はじめに、本日の株主代表訴訟の報告があり、続いて、刑事告発の現状について、報告があった。これは、上記裁判とは別に関電役員に刑事罰を求めるもので数千人の市民が刑事告発している。「不起訴処分の方針」などという報道が一部に流れているなかで、「大阪地検は、任意の事情聴取ではなく、強制捜査をおこなうなど捜査を尽くして起訴をおこなえ」と改めて訴えた。
 今後の闘いにむけて、目前に迫った「6・6老朽原発うごかすな! 大集会inおおさか」へのよびかけを〈老朽原発うごかすな! 実行委員会〉木原壯林さんがおこなった。つづいて、昨年12月に勝訴した「大飯原発3・4号運転停止行政訴訟」の控訴審にむけて参加の訴え、福井での取り組みの報告などがあった。

おわびと訂正

本紙前号の第3面、「パンフレット『国から子どもをつくってはいけないと言われた人たち』」藤野豊「意見書」を読んで」で、重大な用語上の誤りがありお詫び・訂正します。多数の箇所で、優生保護法を優性保護法になど、優生を優性に誤記してしまいました。すべて優生に訂正します。また、「ダーウィンの甥」は「ダーウィンのいとこ」の間違いで訂正します。なお、次号『未来』でこの課題を改めて論じ、「お詫びと訂正」を徹底いたします。本紙編集委員会

4面

連載
#Me Too運動に学ぼう
党内性暴力事件 真の謝罪のためにJ
女性解放は男性自身の課題
藤野かな子

H女性差別事件がなぜおこってしまったのか石川論文に触発されて、私も考えてみようと思った。ここ数年子どもの保育ボランティアをしていた。この無垢な男の子たちも今の社会では成長につれて女性差別に染められてゆくことは避けられないだろうと思うにつけ、#MeToo運動に応えるためには、男性自身の人間解放をかけた女性差別とのたたかいが切実に求められていると思った。
#MeToo運動の主張をマルクス主義の立場からとらえ返すと、原始共同体の崩壊と階級社会の成立によって失われた男女の性行為における共同性の回復の要求ということではないだろうか。「障害者」運動では、「障害者」が社会からの排除と施設への隔離に反対して、地域で共に生きるための介護活動を人間的共同性を回復するためのたたかいとして位置づけ取り組んできた。H事件について考える中で、女性解放闘争にも通じる問題なのではないかと思えてきた。

男女関係における共同性の喪失

階級社会の成立以降、家族制度のもとで女性への性暴力が生まれ、売春や非合法な暴力によるレイプ、ありとあらゆる痴漢行為がうまれたといえる。
原始的共同体の崩壊と社会の階級的分裂、それにもとづく男女関係における共同性の喪失と男系社会の誕生のなかで、男性による女性の支配とともに女性の意志はふみにじられ男性の意志だけが一方的に優先される社会となった。愛情といった精神的つながりにもとづく男女の対等な性関係は失われ、男性が性欲のはけ口として女性を道具とするものへと変貌してしまった。
そこには性行為における男女の共同性の喪失、男性における精神的愛情と肉体的欲求としての性欲への分裂という人間的疎外がある。女性にとっては一部の恋愛にもとづく幸福な性行為を除けば、性が喜びではなくなり家族制度のもとで犠牲的行為に変わっていった。公娼制度、レイプをふくめ性が「男の便所」ともいうべき性欲の排泄行為となり苦しみに変わってしまったのだと思う。
近代化のなかで封建的家族制度はなくなり女性は形式的な政治的自由を得るが、経済的束縛からも、愛情のような精神的つながりにもとづく幸福な性関係は回復しない。同時に性はいっそう商品化される。政治的な法制度上の差別は表面上は減ってゆくが性被害はなくならない。むしろ深刻化してゆく。帝国主義支配とその新自由主義化のもとで、労働者階級への搾取と抑圧が過酷なものになり耐えがたいものになればなるほど、その苦しみから逃れるために男性によるストレスのはけ口として女性や子どもへの性暴力は職場、家庭、地域で増えている。石川論文がその現実を暴露している。

人間的共同性の奪還

女性にとって合意のない性行為はレイプでしかない。死にまさる苦しみなのだ。男性にとっても女性にとっても性欲は本来、人間の本質である。それなのに性行為が女性にとっては人間的営為と呼べないものになっている。女性の人格をふみにじり、排泄手段としてモノのようにあつかう行為が人間的営為であるはずがない。
未来社会では女性にとっても幸福な性関係が回復されなくてはならない。それは男女の愛情という精神的結合、少なくとも「合意」と呼べる人間らしい対等な関係性ぬきには成立しない。問われているのは、男性が女性との人格的結合から逃避し性欲のみ分離して愛情関係、信頼ある人間関係の枠外で生理的快感を得ようとするあり方なのではないだろうか。
言いかえれば男性が女性との関係のすべて、とりわけ性関係や婚姻関係において対等で人格的にむすばれた人間関係を作り出すことは、「障害者」と「健常者」の関係と同じように人間的共同性を今日的に奪還する行為でありたたかいである。

今日的で意識的な闘い

革共同は70年7・7での在日中国人民の糾弾に対して、自らの民族差別を自己批判し差別排外主義とのたたかいをプロレタリア革命の綱領的課題として位置づけてきた。またあらゆる差別とのたたかいを差別する側にある労働者階級人民自身の解放にとって不可欠のたたかいとした。
そして差別に対する自らの無知や無自覚を克服するためには観念的学習だけでは限界があることを認識し、被差別人民の歴史と現実、その存在とたたかいに学ぶための生きた交通関係を日常的実践をとおしてつくりだし、反差別闘争を政治闘争と地域日常闘争を両輪として闘うというあり方を提起した。差別の廃絶は革命をとおしてしか根本的には実現できないが、差別分断をのりこえ共同性を奪還する今日的で意識的なたたかいがなければ共産主義社会の建設はおろか革命にさえたどりつけないことを確認してきたのである。
女性は男性にとってごく身近な存在だ。男性の女性差別とのたたかいにおける今日的で意識的なたたかいは、意識性さえ持てば日々の生活のなかでいつからでも実践することができる。(つづく)

読者の声
『展望』26号沖縄座談会を読んで
コザ暴動と沖縄奪還論
大阪 石毛 明

理論と実践の弁証法を沖縄座談会(『展望』26号 21年3月)と、その参加者の山田さんとの討論の中で学んだ。
闘争論は現実のたたかいのなかでうまれてくるのだ。1970年12月のコザ暴動とは沖縄の地でふつふつと沸いた怒りの爆発だった。これは自然発生的なものではなく、沖縄人民への米軍支配のなかで交通事故を契機にコザ暴動が爆発したものだ。
渡航制限撤廃闘争や嘉手納基地突入闘争に触発されて沖縄奪還綱領が生まれたという。闘争論とは生きた階級闘争のなかで生まれてくる。コザ暴動のなかに革命のヒドラが胚胎していたのだ。理論とは生きた階級闘争のなかで生まれ、検証される。この理論のなかで新しいたたかいが準備される。「ミネルヴァのふくろうは日暮れて飛び立つ」。理論だけが先行するのはただの空論で、頭デッカチの観念論だ。何度もいうが階級闘争のなかで生まれる理論、これこそがたたかう武器になる。
1968年当時の安保闘争の中では「安保粉砕・日帝打倒」はあったという。しかし「沖縄奪還」にはコザ暴動や、沖縄の地にあった米軍基地撤去、日本への復帰の民衆の思いがあった。「沖縄奪還という言葉は社民のなかでも言われていて、これを綱領として加えることには違和感があった」(山田さん)という。しかし、これは社民のものとは違う革共同の綱領として出された。69年当時の黒島善輝と清水丈夫が現実のたたかいの中で前衛的に提起したという。本土からの主体的連帯、血債をかけた米軍支配からの解放としての奪還のたたかいに取り組む必要性、これは今日的にも有効だ。また座談会のなかで「連帯という言葉のヤマトの側からの意味をつかんで欲しい」と山田さんはいう。
60年安保闘争に沖縄≠ヘなかった。しかし70年安保闘争のなかでは沖縄≠ェ組み入れられ「沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」として提起された。革共同はコザ暴動の前に嘉手納基地突入闘争を敢行したという。このたたかいは明確に基地撤去闘争を射程に入れたものだ。全国部落研の5人の青年による浦和地裁占拠闘争をもって突破口を開いた狭山闘争もそうだった。革共同は70年安保闘争のなかでひとつの前衛としてあったのだ。
たたかいのなかで理論が生まれ、この新しい理論のなかで新しい闘争が準備されるのだ。かつて私が学生の時「情勢の主体化、主体の情勢化」という言葉がさかんに言われた。情勢を主体化しその主体をもって情勢を切り開く、この弁証法を今こそつかみ取ろう。

階級闘争は終わらない

 

コザ暴動は組織されたものではなかった、しかし秩序はあった。米兵の車でも黒人の車は黒人を下ろしてから火をつけたという。同じように差別されている黒人には配慮はあった。またガソリンスタンドの労働者がガソリンを運ぶなど、秩序だったコミューンの萌芽としてあったのだ。類的存在としての人間には共同性的秩序はあるのだ。だから類的存在から疎外されている人間が、共同性を奪還しようとするとき、敵対するものには必然的に共同性に裏打ちされた革命的暴力を行使するのだ。そこにこそ、普遍的人間の解放を求める共産主義の現実性があるのだ。
階級矛盾があるかぎり、決して階級闘争は無くならないし、終わらない。共同性に裏打ちされた革命的暴力があるかぎり、そこには未来社会=共産主義的社会がすでに孕まれているのだ。
70年安保・沖縄闘争を投げ捨てた清水丈夫は、87年の沖縄国体の際に『共産主義者』(73号 1987年8月)に掲載された安里浩論文の沖縄的自己決定権に対して官僚的縛りをかけた。沖縄的自己決定権はあってしかるべきなのだ。ヤマトの側からの沖縄に対する無知・無理解を糾弾した安里論文を沖縄県委員会の基地の重圧への屈服≠ニした清水の変質は、今を見るカルトの親玉としての無様さからはさもありなんといえる。
革命はいかなる反動的人物によっても簒奪されないのだ。
(長文のため一部省略しました)

5面

再生エネルギーを金儲けに
奈良平群町のメガソーラー計画
葛城 丈章

奈良県平群町の山林で、メガソーラー(大規模太陽光発電所)が計画されている。現在、2年半後の完成をめざして櫟原地区の広大な山林が伐採されている。3月19日、「平群町メガソーラーを考える会」会員の案内で、その山林を見学してきた。櫟原川の上流部に重機がはいり、尾根筋の山林が伐採されている。このメガソーラー建設について、何が問題になっているのだろうか。

メガソーラー計画とは

計画されている場所は、生駒山系で信貴山の北、東大阪市と八尾市の境界付近の反対(東)側斜面にあたる地域だ。約48ヘクタール(甲子園球場12・5個分)の広大な山林を伐採して、ソーラーパネルをすえつける。すでに櫟原地区の上流に、工事事務所が作られている。今年2月15日から伐採工事がはじまっている。
この山の斜面に、5万3千枚のソーラーパネルが斜面に沿うように敷き詰められる。2019年11月、奈良県が山林開発と宅地造成の許可を出している。住民説明会は、2019年4月、12月、そして翌年8月、この3回しか開かれていない。くわしい内容はほとんど住民に知らされていないのだ。2020年1月に、「平群のメガソーラーを考える会」が発足した。これによって反対運動がはじまった。
30年ほど前、バブル経済でリゾート開発が盛んな頃に、この山林はゴルフ場予定地として民間企業に売却されていた。ゴルフ場に反対する住民運動がおき、そのうちバブル経済も崩壊したため、ゴルフ場は造られなかった。
2017年、この山林が協栄ソーラーステーション合同会社に転売されている。住民が計画を知った時、すでに予定地の山林はソーラー業者に転売されていた。町は住民に隠して、業者と交渉をしていた。行政も住民に計画を隠していたのだ。

何が問題なのか

平群町との協定では、協栄ソーラーステーション合同会社(東京都)が事業をおこなうことになっている。しかし、この企業は社員が2名、資本金が10万円というペーパー会社なのだ。メガソーラーにかんする技術は持ちあわせていない。資本金が10万円ならば、事故がおきても補償はできない。補償逃れのための会社だ。資金を提供するのは、エヴァーストリーム・キャピタルマネジメントというアメリカの投資会社。
このように、外資企業も参入して、事業者がFIT制度によって発電利益を得ようとしている。新自由主義のなかで、金融資本が再生可能エネルギーに投資をしている。メガソーラー事業者は、従来の電力資本に替わって、再生可能エネルギーを金儲けの手段にしているにすぎない。
われわれは、エネルギー消費において、二酸化炭素の削減だけを問題にしているのではない。資本主義に変わる新しい社会のあり方を問題にしている。だから、再生可能エネルギーは地産地消の地域分散エネルギーとして意味があるのだ。
平群町長と町議会は、町に入る税金を期待して、この事業に賛成している。行政にとっては、住民の命と暮らしよりも、メガソーラー会社のほうが重要なのだ。しかし、住民にとっては、何のメリットもない。また、発電事業者が得る利益は電気料金のなかに組み込まれており、電気消費者が支払わされている。

大雨が降ったとき鉄砲水が発生する

生駒山は花崗岩でできており、この地域の土砂は花崗岩が風化した「まさ土」でできている。地盤が軟弱で、土砂は流れやすい。降雨量の50パーセント程度は、森林で保水されている。木が伐採され、保水能力がなくなった山林は、土砂を流し、降水がそのまま下流の住宅地に流れていく。地図でもわかるように、下流の東斜面には約2000戸の新興住宅地が広がっている。
メガソーラーが設置される地域が広大だ。計画ではメガソーラー設置地域に、降水をコントロールするために、河川の上流に3つの調整池が造られる。しかし、伐採される山林が広大であるだけに住民は、こんなもので治水できるのかと疑問に思っている。休耕田にソーラーパネルを設置するのとは桁がちがうのだ。

高圧ケーブルが町道に埋設される

梨本地区に平群変電所がある。ここで発電した電力は3キロ離れたこの変電所まで、地下ケーブルで運ばれる。そのために、狭い町道を掘削して、高圧ケーブルの埋設工事がおこなわれる。地域住民は、この杜撰な計画にも反対している。また、電磁波による健康被害が生じる可能性についても心配している。メガソーラーのために、この変電所は新たに増設工事を進めている。

設置許可を取り消す裁判闘争

3月15日、奈良県民980人(うち、900人が平群町民)が原告になって、建設差し止めを求めて、奈良地裁に裁判をおこした。原発裁判とおなじように、運動の支えによって裁判に勝てるのだ。現地の住民運動を大きく盛り上げていく事がこれからの課題だ。
案内の会員女性は「30年ほど前に、ゴルフ場に反対した人たちも協力してくれているが、もう高齢になって、動きづらくなっている。むしろ、新しい世代が反対に立ち上がっている」と語っていた。なお、最新の動きについては、「平群のメガソーラーを考える会」のホームページを見ていただきたい。

[注]FIT制度とは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度のこと。電力会社は、定められた期間、単価を変えることなく、一般家庭や事業者が発電した電気を買い取る。メガソーラーの場合、調達期間は20年になっている。電力会社が買い取る費用は、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」として、電気使用者が支払うことになっており、月々の電気代に組み込まれている。

映画『きみが死んだあとで』を見て
決起の原点と、革共同の再構築

第七藝術劇場(大阪市淀川区)で、1967年10・8羽田闘争で亡くなった山ア博昭さんを描いた映画『きみが死んだあとで』を見た。延々200分。しかも闘争現場のカット写真と、家族・友人ら14人の証言を繋ぎ、ひとつのストーリーに創り上げていくのはさすがは映画監督だ。67年10・8からの歩みの総括の指標にとの思いの人を、あきさせない作品だ。
最初の場面は山ア博昭さんとその家族が大阪の下町のプロレタリアートとして存在する模様。高知県の四国山脈の山中に生まれ、父親が倉庫番の仕事を得て大阪の城東の下町で過ごす。下駄ばきで竹竿をバットにしてスイングを構え、路地裏・広場で遊ぶ姿は、敗戦後の日本のどこにもあった下町風景で、ここで労働者階級性を培っていく。
ついでシーンは反戦高協(戦争と植民地主義に反対し生活と権利を守る高校生協議会)人脈の大手前高校時代に。高2の時、佐々木幹郎と同じクラスになり、マルクス主義研究会に出入りする。3年では自治会祭のデモ行進の中心的役割りを担う。激動の時代のなかで岩脇正人、北本修二、山ア博昭らの人生を変える高校2年先輩の京大中核派の赤松英一との出会いと、京大文学部入学、67年10・8羽田闘争へと繋がっていく。佐藤首相のベトナム訪問=参戦国化への反対闘争として羽田・弁天橋に向かい、そこで警察官の警棒の乱打により命を落とす。
映画はそこから「死んだあと」の友人たちの証言で「生の一部としての死」として、山アさんがその後どう生きただろうかを語る。同級生たちは彼の死に向き合いながら、「仇をとろう」と学生運動に参加したり、死を想起させる暴力的闘争にたじろいだり、責任を長く引きずったりと様々だが、彼らもこの映画を通して50年の自己総括をしているのだろう。68年東大闘争のリーダーで高校先輩の山本義隆は、党派の果たす妨害性を「ロクなもんではない」と批判しながら党派と付き合ってきた。舞台は「内ゲバ」時代に入り「死者が夢の中で襲いかかてくる」が、なぜか映画は山アさんの属した中核派=革共同を全否定はしない。
後半は山アさんが生きていたら、今も運動を続けていたかを14人が語っていると思えた。映画の副主人公の佐々木と岩脇は10・8から1年を前に、「殴られることなく」運動から離脱する。当時革共同書記長の本多延嘉は「やめる自由」を公言し、元学対部長や政治局員の離脱を批判はしても除名はしなかったが、のちの新左翼運動は分裂・除名の繰り返しだ。また10・8前夜に3派全学連書記長の解放派幹部へ暴力を行使する。10・8の裏での「内ゲバ」があり、やがて「組織内での自由闊達な論議」の禁圧とも重なる。それでも革マル派の71年12・4関西大武装襲撃を、90年代に運動から離れた赤松は苦渋の表現ながら弾劾している。なぜならこの襲撃の容認は10・8以降のたたかいの全否定となるからだろう。
現在も「革共同・再建・協議会」を名乗る私は、幾多の破産を生起した革共同をそのまま再建しようとは思わないが、清算・全否定も拒否する。倫理的な意味でなく今後の共産主義運動にとって、10・8以降の運動は「革共同からの脱皮と再構築」の基礎なのだから。とりわけ路線的破産(どんな組織にもありうる)の暴力的突破や、未熟に見える主体的決起を尊重せず路線を教条的に強制するあり方からは、大手前高校の「戦争と植民地主義に反対し、生活と権利を守る高校生」の群像は決して生まれなかっただろうから。私にとっても68年高校3年生時、田舎の高校で自主体育祭を挙行し、『三里塚の夏』に出会った「出発点としての自分」を否定することになる。映画の最後はベトナム現地の記念行事で終わる。10・8羽田のたたかいは、ベトナムと繋がっていたのだ。
あらためて革命的共産主義運動の全面的総括と、打破・脱皮・再構築の必要性と、その内容の一端を考えさせられた映画であった。出演者、監督に感謝したい。(岸本耕志)

6面

本の紹介
『風の谷のナウシカ』コミック版
『トルメキア戦記』バージョン 全7巻
人間と自然の破壊と共産主義

『風の谷のナウシカ』コミック版全7巻を読んだ。アニメ版とは違う世界観が展開される。西欧文明が1000年の絶頂を迎え世界を滅ぼした「火の7日間」戦争からさらに1000年が経ち、文明は遠い過去に忘れ去られている。世界の大半を人の住めない毒素(腐海)が覆っている。世界の縁で人間達は残った辺境の支配を巡って殺しあっている。その中で辺境の小部族であるわずか500人の『風の谷』の長ナウシカは殺戮の中で人間の本質を考え、体現して行く。
ジョン・レノンはコミュニストではないがコミュニズムの理想を歌った『イマジン』を創った。宮崎駿もナウシカの中にコミュニズムの理想を投影している。宮崎駿がコミュニストであるというよりも、この戦禍の中でのヒューマニズム(人間主義)の理想を描けば自然とコミュニズムに至るということだろう。宮崎駿は60年安保が下火になったころに学生集会に参加していたが終始無党派だったという。映画会社に就職後は労働組合の書記長を務めている。スタジオ・ジブリの一貫したテーマはエコロジーと反戦だが、これはマルクスの思想そのものだ。
ナウシカは苦難の中を生き抜くが、理想を追って死ぬ人も描かれている。ナウシカが最後に言う言葉は「生きねば」。言うまでもなく、後のアニメ『風立ちぬ』のメインテーマになった言葉だ。コミックだから売れなくても困るのは本人だけ。売れなければ社員が困るアニメとは違い、宮崎駿の言いたいことが描けた作品だと思う。アニメ版は1984年公開だが、コミック版は1982年から1994年まで月刊『アニメージュ』に連載された。「豚」がファシストに抗う『紅の豚』が1992年公開だ。アニメ版はコミック版の初期のころを下書きにはしているが、世界観は全く違うものだ。アニメ版を観た人がコミック版を読んでも新しい世界観に惹かれることだろう。
いま僕たちは人間と自然を破壊し殺戮する資本主義の末期を生きている。その世界はナウシカが生きる時代と似ている。僕たちの世代の左派は革命のための殺し合いの時代も生き抜いて来た。生死を分ける局面を何度も経験して、たまたま幸運だったから生きてきたと思っている。
冥界に入った人との境目は「偶然」だ。資本家の政府とその警察は非武装の平和的デモンストレーションに対しても殺人テロルをおこなって来た。僕の入っていた非武装デモでも死者を出したし、境目はちょっと前にいたか後ろだったかだ。カクマルの刃を経験した人も少なくない。武装デモでは双方に多くの死者を出して来た。中核派(中央)の清水議長は、記者会見で武装デモで警官を殺した責任を記者に問われて、「自分に言われても知らない」と言い放った。清水らの指揮下で軍事作戦を担った人たちにはどう映っただろう。
党派間戦争を含めて、僕たちはブルジョワジーの陣営との間で多くの死者を出してきた。一人一人は人間であり、その人の人生があった。僕らはそのすべてを背負って生きねばならない。
僕たちが青春を送った時代の壮絶さは、ナウシカの生きる世界と通じるものがある。ナウシカは多くの人を殺し仲間を殺されるがヒューマニズムの理想を失わなかった。僕たちも人間としての理想を失ってはならない。僕たちとナウシカ、すなわち宮崎駿と分かつものがあるとすれば、それはヒューマニズム(人間主義)というものがコミュニズム革命によってこそ実現できることを自覚していることだけだ。
僕たちもやはり「生きねば」。(高見元博)

84歳の独り言―社会運動あれこれC
街宣を待っていた女子高生たち
大庭 伸介

前回にも記したが1990年代の後半は、治安立法反対のたたかいに明け暮れた。96年1月、元静大助教授の浅田光輝氏を招いて、オウム真理教に対する破防法適用阻止の講演会を開いた。ほとんどすべての潮流が参加して、大好評を博した。
それ以降、目白押しのように治安立法が国会に上程された。私たちは各法案の位置づけとかを議論することにあまり時間を費やさず、実践第一≠ナ阻止闘争に取り組んだ。
毎月1回『ニュース』を発行し、静岡市内で街宣を実施した。横断幕を何枚も張り巡らし、全員がゼッケンを着用してビラを配り、宣伝カーで市民にアピールした。
うなぎの寝床のように長い静岡県内の東海道沿線の各駅前でも、何回か地元の活動家たちと一緒に街宣を繰り広げた。合わせて200回近くも実施することで、確かな手応えを感じるようになった。
あるときビラに記した連絡先に、若い女性の声で「つぎの街宣はいつですか」と電話が入った。次回の街宣で所定の場所に行ったら、数人の女子高生たちが待っているではないか。おじさんたちのテンションが上がったのは言うまでもない。
共謀罪反対の街宣を始めたら、近くでウンコ座りしていたローティーンの女の子が、「おじさん、今の話マジ?」と声を掛けてきた。そこでマイクを渡して、掛け合いで即席の質疑応答≠やって通行人の眼を引いた。
またあるとき私がマイクでしゃべっていたら、少し離れてビラを配っている友人に、革ジャン姿でバイクにまたがった青年が近づいて来た。「ヤバイな!」と思った瞬間、青年はビラの束をひったくり、通行人に配り出した。演説を聞いていて、自分も行動しなければという衝動に駆りたてられたのであろう。
組織的犯罪対策法反対の演説をしていたら、すぐ後ろで男子高校生たちがしゃべっていた。うるさいので注意しようと振り向いた途端、「マイクを貸してください」という。マイクを手渡したところ、「ソタイホーハンターイ」と叫んで、笑い声をはずませながら立ち去った。
「今の若者は政治に無関心だ」と言われる。しかし分かりやすい言葉で、本当に理解してもらおうという気持ちを込めて呼びかければ、彼・彼女らの心を揺り動かすことができる。
街宣を重ねるなかで、私はそう確信した。(つづく)

「核のない世界」の実現へ(下)
核兵器禁止条約発効の意義
津田保夫

日本政府は、なぜ批准を拒否する?

核兵器による「核の抑止力」は失われているにもかかわらず、日本政府は依然として核武装に固執している。原発推進政策は、その一環だ。
2017年の国連総会で、日本政府代表の高見沢将林は次のように発言した。「核兵器国の参加なしにそのような条約を作成する努力は、核兵器国と非核兵器国の間のみならず、非核兵器国の間の分裂を深めるだけであり、国際社会をいっそう分裂させるものであり、…日本はこの会議に建設的かつ誠実に参加することは困難であると言わなければならない」。だから、日本は両者の橋渡しをするのだ、と屁理屈を述べている。
これが政府の態度なのだ。日本政府は、核保有国の仲間入りをしたい。だから、ヒバクシャは政府にとって都合の悪い存在なのだ。

核兵器禁止条約を政府に批准させる運動

アメリカのトランプ政権は、「中国の戦力増強」などを理由に中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱をロシアに通告し、この条約は2019年8月に失効している。また、イギリスは中国を念頭に核弾頭の上限を180発から2百発に引き上げた(2021年3月)。世界の動きは核軍縮に逆行している。この情況のなかで、核兵器禁止条約の発効は重要な意義をもっている。この条約は核保有国とその同調国にたいして核兵器禁止条約に参加することを求めている。
ヒバクシャの運動は、「核と人類は共存できない」という思想を勝ち取った。これを実現するためには、日本政府にお願いする運動ではなく、この日本政府を変える闘いが必要だ。日本人民はみずからの政府を変革するために、行動に立ち上がることだ。核兵器禁止条約の発効は、日本人民一人ひとりにこの課題をつきつけている。(おわり)

おわびと訂正
本紙前号で本稿の筆者名を松田忍と誤記しました。正しくは津田保夫で、ご迷惑をかけたお二人に謝罪します。 本紙編集委員会

事務所ビル修理と『未来』8ページ化へ、300万円の特別カンパを訴える
革命的共産主義者同盟再建協議会

改修中の事務所ビル

2021年夏、日本帝国主義政治委員会・菅政権は、コロナ感染症対策失政でかつてない危機にある。東京五輪の民族的高揚を使い解散・総選挙に勝利しようとしたが、今や五輪に対する忌避感は7割を超え、その目論見は完全に失敗した。格差・貧困、原発再稼働、沖縄圧殺に対する怒りは充満している。 この時にあたり、わが革命的共産主義運動は、小なりとはいえ自己の飛躍をかけて、今夏・今秋、新自由主義強行の菅政権打倒の先頭に立つ決意だ。そのためには膨大な資金が必要である。特に今回は、長年の懸案であった革共同再建協事務所ビル(前進社関西支社)の修理・修繕を現在進行させている。また機関紙『未来』の8ページ化に向け、パソコン機器の充実、資料収集も必要である。すでに事務所ビル修理には200万円を拠出した。今後のカンパは、パソコン機器・図書充実や、事務所内部の改装などに使われる。 今夏・今秋のたたかいの出撃拠点として、『未来』による情宣活動強化のため、通常の夏期カンパに合わせて、300万円の特別カンパをお願いします。菅政権打倒に向かいともにたたかいましょう。

郵便振替
  口座番号 00970―9―151298
加入者名 前進社関西支社
郵 送  〒532―0002
大阪市淀川区東三国 6―23―16

前進社関西支社