未来・第312号


            未来第312号目次(2020年2月18日発行)

 1面  末期症状を示す菅政権
女性蔑視の森会長はアウト

処罰規定の白紙撤回を
全原協が再度の意見表明

共謀罪・秘密保護法廃止
国会前で菅政権追及
8日

 2面  狭山再審 願いは届く
鑑定人尋問迫る春の行動を
1月31日 大阪

生活保護基準違憲訴訟 22日判決
大阪地裁 6318筆の署名提出

連載 介護労働の現場よりD  唐住日出男
大阪圏の民衆の生活と未来のために
都構想完全打破を

 3面   3・11福島原発事故から10年
傷は癒されず      

関西合同労組春闘討論集会
職場で生活第一・労働3権かかげる     

第37回世直し研
菅野みずえさん(原発関西訴訟・原告)
ふるさと奪った原発

 4面 連載 #MeToo運動に学ぼう
党内性暴力事件 真の謝罪のためにC
石川由子

開始されたいのちの選別・切り捨て(上)
関東障害者解放委員会

   5面 焦点 大阪維新追撃・打倒のために@
民意を蹂躙する広域一元化条例
剛田力

 6面  投稿 2つの「資本論」(上)

読者の声
総務省官僚を首相の息子が接待
民衆の納得のいく処分を

84歳の独り言ーー出会った人びとG
大資本に命を狙われても
大庭伸介

(冬期カンパのお願い)

       

末期症状示す菅政権
女性蔑視の森 会長はアウト

狭山再審求め大集会

1月31日 大阪(記事は2面)

腐敗・腐朽を深める菅政権の失速と兇暴化がとまらない。2020年9月の自民党総裁選に圧勝し、政権成立直後は70%近くの支持率を誇ったが、数か月で支持率は半減した。学術会議問題では強権政治への批判が噴出。コロナ対策ではGoToキャンペーンをやめず感染を拡大。緊急事態宣言を発令するも、医療はひっ迫のまま、補償はわずかで、罰則付きの法改悪で感染者の人権制限を狙い、まん延事態と称して無期限延長も可能だ。
「コロナを克服しての東京五輪」など絵空事だが、このような中、五輪絶対強行派の森喜朗東京オリ・パラ組織委員会会長が、オリンピック憲章にすら違反する確信犯的な女性蔑視発言をおこない、世界中から非難が集まっている。さらにマスコミ関連に勤める菅首相の息子が、監督官庁の総務省官僚を高級料亭で接待していたことも露見した。

アベ・スガ政治と森発言は一体

森暴言には菅首相も「あってはならない発言」と答弁したが、学術会議では人事に介入したのに、今回は責任を問わない。自民党の新自由主義的変質は、それまでの保守本流(吉田の系譜をひく経世会・宏池会)から、岸信介を始祖とする福田赳夫から2000年代の森・小泉・安倍と続く清和会支配が転機となった。特に森は2000年の「神の国発言」はじめ暴言連発。退任後も文教・スポーツ族として君臨し自民党の右傾化を推進した。「子どもをつくらない女性に税金=年金はおかしい」発言(03年)から、杉田水脈の「女性は平気でうそをつく」につながる差別・排外主義の本流だ。安倍政権8年はこれを加速させ、社会的差別を煽り、弱者を切り捨て、政治の私物化の満展開であった。コロナ禍の菅政治も〈自助〉を強調。これらの集大成の森にいま批判が集中している。
森暴言問題は、オリ・パラ組織委員会の人々が、森発言に同調し笑いで応え、自民党二階が公然と擁護したように、この国の同調圧力・批判者抹殺の社会支配の現実を示している。また世界的なジェンダー思想の普及の中で、日本が極めて遅れているのは、日本の労働者・人民がこの課題を放置してきた結果でもある。一昨年末、党内女性差別事件を起こした我々も問われている。森が居直れるパワハラ・セクハラ社会を変え、森を退場させよう。自民党強権政治を打倒するため、声を上げ行動していこう。

衆議院第二議員会館前での行動(8日)

森元首相の暴言の数々

 【首相就任前】

▼「言葉は悪いが、大阪はたんつぼだ」(1988年4月、京都市内で行われた懇談会で)

 【首相在任中】

▼「イット革命」(00年4月、IT戦略会議に出席した時に「IT=アイティー」という単語を読み間違え)
▼「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国」(00年5月、神道政治連盟国会議員懇談会の演説で国民主権、政教分離に反する発言として大問題に)
▼「(無党派層は)関心がないといって、寝てしまってくれればいい」(00年6月、新潟市内の講演で。投票率が下がれば与党に有利になる)
▼「私が(官邸に)行かないことで、何が遅れたのか」(01年2月、ハワイのえひめ丸沈没事故の発生時にゴルフ場にとどまった。支持率が急落し、4月に退陣)
 【首相退陣後】
▼「子どもを一人もつくらない女性を税金で面倒見なさいというのは、本当におかしい」(03年6月、鹿児島市内の講演で)
▼「あの子、大事な時には必ず転ぶんですね」(14年2月、福岡市内の講演でソチ五輪・フィギュア女子SPで浅田真央が転倒したことに触れ)
▼「国歌を歌わない選手は代表ではない」(16年7月、リオ五輪の結団式で)
▼「国民がどうしようかという時期に、なぜ世論調査するのか」(21年1月、8割が今夏の五輪開催に否定的な結果を、調査時期の問題にする)

処罰規定の白紙撤回を
全原協が再度の意見表明

政府がコロナ対策と称して、感染症法を改定し罰則規定を盛り込むことにたいし、ハンセン病違憲国家賠償訴訟全国原告団協議会(以下、全原協)は、1月22日付けで「感染症法改正により患者・感染者を処罰の対象とすることに反対」との意見を表明した。
その後、改定案から刑事罰が削除されたが、行政罰はそのまま残った。これに対して、全原協は『再度の意見表明(1月29日付)』を発表した。
『再度の意見表明』では、「わたしたちは、患者・感染者を過料の対象とすることに断固として反対します。入院の強制は、患者の自己決定権の制限であり、積極的疫学調査への協力義務はプライバシー権の制限です。この制限に服さないものに対して過料を科すことは、患者・感染者を、人権が制限されるべきものと社会的に位置づけることにほかなりません。長年にわたってハンセン病隔離政策による人権侵害に苦しんできたわたしたちは、このことを絶対に許すことができません」、「各団体の意見書、声明には、ほぼ共通して、『…我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に活かすことが必要である』という感染症法の前文が引用されています。政府は、ハンセン病問題から何を学んできたのでしょうか」、「患者・感染者を処罰の対象として、社会にいいことなどひとつもありません」とし、「改めて、患者・感染者に対する処罰規定の白紙撤回を強く求めます」 と結んでいる。

共謀罪・秘密保護法廃止
国会前で菅政権追及 8日

2月8日、「共謀罪法廃止! 秘密保護法廃止! 6日行動」が衆議院第二議員会館前でおこなわれた。主催は、共謀罪NO! 実行委員会と秘密保護法廃止! 実行委員会。
主催者を代表して、共謀罪NO! 実行委員会の宮崎俊郎さんが「『継続こそ力なり』と信じてやっていきたい。デジタル改革関連法案6本が一括審議で通されようとしている。個人情報保護のレベルが下げられる。全く性質の違うものを一括して審議・採決しようとしている。国民の一挙手一投足が権力に把握される。『採決するな』と訴えていきたい」
日本共産党の伊藤岳参議院議員は「(東京オリ・パラ組織委員会の森会長の差別暴言をめぐって)『わきまえない女』『わきまえない男』と言われているが、(おかしいことはおかしいと)声を上げていこう。世論調査でも菅内閣の支持率は30%台」「(政府が取り組むべきは)医療崩壊・病院経営崩壊をくいとめること。どんな病院も、どんな商店も潰してはならない。協力金は事業規模で。支給が一回はとんでもない。(改正コロナ特措法の)罰則はとんでもない。力を合わせて新しい政府を作りたい」
社会民主党・福島瑞穂参議院議員は「(デジタル改革関連法案は)自治体でやる『スーパーシティ』の国家版。マイナンバーを使うのが目的。コロナワクチン接種で使うと言っているが、大混乱になる」「『デジタル庁を進める菅政権には監視する目、盗聴する耳、切り捨てる手しかない』と浜矩子さんが言っていた」
立憲民主党・杉尾秀哉参議院議員は「特定秘密保護法案・共謀罪法案の時からたたかいを継続してきた皆さんに敬意を表したい」「(特定秘密保護法に定める)情報監視審査会の委員を2年半した。漏洩すれば罪に問われる。情報監視審査会に応じて政府機関が情報を出すことになっていたが、どんどん情報を開示しない方向に行った。安倍政権の体質を引き継ぐ菅政権がしたのが学術会議の任命拒否。失政に次ぐ失政の菅政権を私たちと市民の共同のたたかいで引きずりおろそう」「長野の補欠選挙、河井案里議員失職の広島補欠選挙、北海道2区の補欠選挙の3つとも勝利したい」
総がかり行動実行委員会共同代表・高田健さんは「国民が菅政権に嫌気がさしている。安倍路線を継承しているが、自分の特徴をマイナンバーで出すことで支持を狙っている。」共通番号いらないネット・柏木さんに続いて、国民救援会・鈴木猛さんは「『ショック・ドクトリン』(ナオミ・クライン)にあるように、権力者は大地震やパンデミックでやりたい放題。『コロナだから我慢』してはダメだ」と集会を締めくくった。

2面

狭山再審 願いは届く
鑑定人尋問迫る春の行動を
1月31日 大阪

1月31日大阪市内で「この願いきっと届く 第5回狭山事件の再審を実現しよう市民のつどい in関西」が開催された。主催は関西実行委員会。350席の会場は満杯となり、会場と全国からのリモート参加で熱気があふれた。

集会後、パレードへ

石川さん、袴田さんが映像メッセージ

石川一雄さん、早智子さんからビデオでメッセージ。2人は笑顔であいさつ。一雄さんは「昨年はコロナで集会に行くこともできず、10カ月間背広を着る機会がなかった。生きているうちに無罪を勝ちとるために、今年こそ私たちも精一杯活動します」「巌ちゃんの高裁への差し戻しがあり元気づけられた」。 早智子さんは「一雄さんは82才。今年こそ勝負の年、絶対に頑張ろうという信念で過ごしています」。
次に袴田巌さん、姉のひで子さんのビデオメッセージ。
巌さんは、インタビューに「歩くといい。ボクシングは好きだった」ことなど話した。 ひで子さんは「高裁への差し戻しで、再審開始に目鼻がついたと思っています。巌が元気なうちに再審開始を望みたい」と喜びの声。
浜松 袴田巌さんを救う市民の会共同代表・寺澤暢紘さんからはビデオで「袴田裁判は、最高裁が東京高裁への差し戻し決定をしたが、再審の扉を開けようとしない司法権力は許せません。一刻も早い再審開始を」。

えん罪被害者の青木惠子さん

大阪の東住吉事件えん罪被害者の青木惠子さんが登壇してアピール。95年に保険金目当てに娘を殺害したとして逮捕され、無実なのに無期懲役の判決を受け投獄された。20年間たたかって2016年に再審で無罪を勝ちとった。現在、警察の違法捜査に対して国家賠償を求める裁判をたたかっている。取り調べで、娘の亡くなった写真を壁に貼ってお前が殺しただろうと怒鳴られ、「共犯」として逮捕された人が自白したと言って混乱させられ、クイズ方式でストーリーが作られ自白調書を書かされた。「無実の人には無実を」の思いでたたかい、えん罪被害者の会共同代表として面会や手紙を書く活動をおこなっている。

狭山事件再審弁護団が報告

狭山事件再審弁護団の河村健夫弁護士がリモート中継で狭山事件の裁判の現状と課題について話した。再審が認められるためには、確定判決である東京高裁の寺尾判決を打破しなければならない。寺尾判決は3つの柱で有罪判決を組み立てている。@自白を離れて客観的に存在する7つの証拠(脅迫状の筆跡など)、A自白に基づいて捜査した結果発見された証拠(いわゆる「秘密の暴露」。鞄、万年筆、腕時計など)、B死体及びそれと前後して発見された証拠。この3つの柱を打ち壊していく。昔は裁判所は3つとも全部壊さないと再審はしないという立場をとっていたが、1つ打ち壊せば2つはもう1回検討するという考え方に変わり、再審は認められやすくなった。
しかし再審は請求しても認められない冬の時代が続いたが2000年くらいから再審の門戸を開いた。狭山事件についても今まで200件を超える証拠開示をかちとった。06年に第3次再審請求をして15年経ち、もう最終局面を迎えつつある。弁護団から提出した新証拠に対して、検察官側による反論、弁護側の再反論という「標準的なやりとり」が各論点で終了しつつある。「3回ルール」といって3回往復したら裁判所が判断する。従って裁判所に対して「どちらの主張が正しいか、鑑定人を呼んで証人尋問をしなければならない」と迫るタイミングがあらゆる論点で到来しつつある。最有力なのは鑑定人尋問。特に下山教授による「下山第2鑑定」関係の尋問である。万年筆のインクの補充はありえないという結論を出している。事実調べをせずに再審開始をするというのはほぼない。 今年、弁護団、支援に大事なことは、証拠調べを迫ること。新たに着任した大野勝則裁判長のもとで判断される可能性が高い。裁判所は世論を気にしている。証人尋問を含めた「事実調べ」を実現させることが急務であると、裁判所へのアピール行動を呼びかけた。

リモートでのトーク セッション

集会は、リモートで〈狭山事件の再審を求める東三河の会〉と〈くまもと狭山事件を考える住民の会〉から、狭山カフェや座り込みの報告や、東京のノジマミカさんは、東京高裁前での石川一雄さんのアピール活動の紹介。福岡県生まれの在日朝鮮人3世で、サンフランシスコ在住のキム・ミホさんは、アジア系難民支援の活動をし、狭山事件は日本だけのものではなく、難民や「ブラック ライブズ マター」に共通する問題であり、狭山を広めていると訴えた。歌やサックス演奏の後、梅田までパレードした。(花本 香)

生活保護基準違憲訴訟 22日判決
大阪地裁 6318筆の署名提出

大阪地裁前での宣伝行動(1月21日)

2月22日、全国で2番目となる生活保護基準引き下げ違憲訴訟の判決が大阪地裁大法廷で出る。それに先立って1月29日、大阪地裁に公正な審理を求める署名6318筆が提出された。
昨年6月の名古屋地裁判決は、不自由があっても食べていければよいとするもので、引き下げに自民党の政策の影響があることを認めたきわめて政治的な判決だった。しかし、池田勇人内閣の「国民所得倍増計画」(1960年12月27日)は、それまでの生活保護制度を批判・反省し、保護基準は、食べていければよいとするだけでなく一般社会生活慣習も考慮に入れて、人々が社会とのつながりをもって生活ができるものとする考え方を示した。以後、保護基準はこの考え方でおこなわれてきた。
今回の引き下げは、歴代内閣が引き継いできたこの考え方を全面的に否定するものである。そのうえ生活保護の基本実務であるケースワーカー業務を外部委託することが2019年12月に閣議決定されている。保護基準引き下げだけでなく、国の責任を投げ捨て、制度を民間にゆだねて変質させる危険がはらまれている。
大阪地裁判決で勝利をかちとるため地裁前での宣伝活動は2月18日にも予定。なんとしても押し返そう。22日の判決に集まろう。

連載 介護労働の現場よりD 唐住 日出男
大阪圏の民衆の生活と未来のために
都構想完全打破を

(1)
大阪市民は、再び、都構想を反対多数で阻止したが、完全に葬ることはできていない。
市長松井と知事吉村は、大阪市を8区にわける行政を模索し、コロナ感染をも利用して、「関西広域連合」施策を追求している。『府政だより』で吉村は言う。「コロナウイルス感染拡大防止と経済活動の維持の両立を」。「中小企業への融資や経営相談の充実、職を失った方にたいする民間人材サービス会社と連携した求人情報の発信や職場体験などの再就職支援を通じて、大阪経済を支え、雇用を守ります」。
コロナ後の大阪の未来として、「大阪・関西万博。地元パビリオンの具体化を進めるとともに、『SDGs先進都市』の取り組みを加速させます」。カジノ計画は隠蔽しているが、国連提唱のSDGs(持続可能な開発目標)にとびついている。今日までのすさまじい開発が自然と人間を破壊し荒廃させ、巨大災害をもたらしてきたというのに。コロナウイルス感染の世界的拡大も巨大開発と総資本による世界の蹂躙の結果ではないか。

(2)
都構想とは、大阪という地域を支配する関西財界の延命プランである。関西財界人たちは、資本の増殖を根本理念=エンジンとして明治期以来の近代大阪の都市計画に沿って街をつくり地域行政をなしてきた。その図面どおりに、労働者をかきあつめ、港湾・河川の改修、鉄道・道路の建設をやり、工場や住宅をつくってきた。
1938年発行のある地図帳。非売品とあり富裕層に配布されたものらしい。『市制発市五十周年記念 大大阪区勢地図』。巻頭に「概要」として、「東洋のマンチェスターといわれた・・・今は、紡績のみならず金属、機械、化学などの工業の中心地となり、工場数1万2千、生産額141億7千万円という世界的な一大商工業都市となった」。
そして、「今や支那事変(ママ)を契機として吾国は一大飛躍を試みんとする時、大阪の地位はますます重要性を加えつつあり・・・全市民諸氏は一層協力一致して・・・国運の隆昌に寄与すべき覚悟を要する」と結ぶ。
この大阪冊子の区分地図を拡げると、この地図の計画線どおりに道路がつくられ、大阪湾や河川が埋め立てられている。地図発行7年後のアメリカによる大規模空爆さえもテコにして、大阪は「一大飛躍」をなしとげ、「1938年の都市計画」はほぼ成しとげられた感がある。道路や巨大消費施設ということでは。

(3)
都構想市民投票結果について、私は、市中心部賛成多数、周辺部が反対多数と言うべきだと思う。また、「格差」という言葉でごまかしているが、「階級対立」というべきで、それは今日鮮明になりつつある。
アメリカのラストベルト(錆びた工場地帯)は、より安価な労働力をもとめて、海外へも資本が移動したが、より高い利潤率の産業に逃亡した結果の工場地帯の荒廃である。結果としての労働者の貧窮化、生活のひっ迫である。同じことが大阪市域で起こっている。「錆びたドーナッツ」である。

(4)
1955年頃の、高度成長期の大阪の町は私の記憶に生々しい。家の前の城東貨物線を蒸気機関車が二台で百両の貨車を牽引し、一台の機関車が最後尾で押す。その高架線に登れば、大阪港にむかって無数の煙突が林立し黒々と煤煙(スス)を吹きあげ、空も雀も灰色。10歳の私は、重症の喘息患者だった。
今はどうか。東成区のある鋼材屋の年老いた店主が嘆く、「当時一日で売っていた量を、今ひと月で売っている」と。商店街がシャッター通りとなる様はこわい。だが、工作機械店や工場地域がシャッター街となるのは、もっと恐ろしい。これが東成区。シャッターに「大阪の成長を止めるな」という大阪維新のポスターが貼られてある。これが東成区。私は、この地域で介護ヘルパーをしている。先週も、50時間オーバーの介護だった。(つづく)

3面

3・11福島原発事故から10年
傷は癒されず

「あれから10年 傷は癒されず」集会(主催:原発ゼロ・被災者支援奈良のつどい実行委員会)が、1月30日に奈良市内でひらかれ、千葉親子さん(あじさいの会事務局長)が講演した(写真)。千葉さんは福島県会津地方に住み、甲状腺がん支援活動をおこなっている。以下は、千葉親子さんの講演要旨。

千葉親子さんの講演

わたしは、甲状腺がんの支援グループ「あじさいの会」で活動をしています。今日は、小児甲状腺がんについて話します。
福島県民健康調査は、「将来にわたり県民の健康を守る」ことを目的にして、事故当時0歳から18歳まで約38万人(事故時、胎児であった1万人を含む)を対象におこなわれています。2011年11月から開始され、5順目に入っています。年齢が20歳を超えている人は、5年ごとに「節目検査」がおこなわれます。
今年1月15日に、第40回県民健康調査検討委員会が開かれました。悪性又は悪性の疑いは253人になり、このうち203人(うち1人は良性)が手術を受けています。小児甲状腺がんは、10万人に1〜2人見つかるくらいなのです。今回の発表で、重要なところをいくつか指摘しておきます。
ひとつは、0歳と2歳児(いずれも事故当時)に、がんが見つかった事です。これは非常に重要なことです。検討委員会の「中間報告」(2015年)では、「事故時5歳以下の子どもはいない」という理由で、「福島県の小児甲状腺がんは放射能によるものではない」と言ってきたのです。この根拠がくずれました。
0歳児の子どもについて、「震災前にうまれたのか、それとも震災後にうまれたのか」という記者の質問に、福島県は「個人情報に当たるから」という理由で答えないのです。わたしは、このとき「2010年」と、ちらっと言ったのを聞いています。
もうひとつ、学校診断の見直しを求めていることです。国と福島県は、「学校で強制的に診断がおこなわれている」という理由をつけて、学校での診断をなくそうとしています。これは甲状腺がんをこれ以上見つけられたくないからです。福島の代表2人は、これに反対していますが、これ以外の委員は、みんな賛成しています。
国立がん研究センターの津金昌一郎委員は、学校での集団検診をやめるよう求めました。津金は、次のように述べています。「陰性になった時に安心がえられるということを除いて、検査による利益はない。甲状腺がんの発見により、死亡やQOL(生活の質)低下を避けることができる利益はほとんどなく、特に甲状腺がんと診断される人たちにとっては、甚大な不利益をもたらすものと私は考えている。無症状で健康な人たちの集団での甲状腺検査は、望ましいものではない。」
また、昨年4月から、5年に1回の「節目検査」がおこなわれたのですが、すでに4人のがん患者が発見されています。それでも、福島県は「原発事故の影響ではない」と言い続けているのです。
甲状腺がんになった当事者は、「何でわたしが甲状腺がんになったのか、そのことがしりたい」と訴えています。あったことはなかったことにはできないのです。
甲状腺検査(県民健康調査)をやめさせてはいけません。支援者とともに、これからもがんばっていきたいと思います。(津田保夫)

関西合同労組春闘討論集会
職場で生活第一・労働3権かかげる

1月24日、関西合同労組の新年旗開き・春闘討論集会が兵庫県西宮市内でおこなわれた。佐々木伸良執行委員長から21春闘について、以下のメインスローガンを掲げてたたかうことが提起された(写真上)
◇コロナパンデミックから、いのちとくらしを守れ
◇コロナ解雇・賃下げ許さず、21春闘を地域から市民と共にたたかおう
◇コロナに苦しむ中小零細企業と働く労働者の生活・権利を守れ。8時間働いて生活できる賃金を ◇最低賃金(時給)を全国一律1500円に
◇連帯ユニオン関生支部への労働組合つぶしの大弾圧を許すな
佐々木委員長は「コロナ禍中だからこそ職場で『生活第一』『労働3権守れ』を高々と掲げて春闘をたたかうことが求められている」「一見地味で小さく見えるが、このたたかいなしに私たちの生活は守れない。そしてこのたたかいこそが、格差社会、新自由主義競争社会を是正し、労働組合大弾圧を打ち破る道へとつながっていく」と提起した。
次に1月13日、兵庫県警が関西合同労組本部を含む3カ所に「電子計算機使用詐欺」容疑で家宅捜索を強行したことに対する弾劾声明を石田勝啓副委員長が読み上げ、集会参加者全員で確認した。
さらに、「コロナ禍の労働相談」と題して全日建連帯労組ゼネラル支部の大橋直人書記長が提起。「新型コロナに関する労働相談チラシを1万枚配布し、ホットラインは3月15日=30件、3月27日〜29日=22件、6月7日=39件とおこなったが、生活に苦しむ労働者の相談は労働組合に向かわず、行政に集中している」、「これをどう考えるのかが実は今日の報告のテーマである」。
私はこの指摘を聞いて、今の労働組合が等しくぶつかっている大きな課題、悪戦苦闘しなければならない巨大な問題がそこにあるように感じた。また、大阪市立十三市民病院の派遣労働者のたたかいは聞いていて楽しく、たたかいはかくあらねばならないの方向性を示してくれたように思う。大橋書記長は、「いずれにしても、労働組合こそが前面に登場しないといけない」と締めくくった。
第2部は牧志徳さんの「島唄のむこうに見えてくるもの・・・」と題する歌とお話があった。16歳まで嘉手納村で育ち、パスポートで日本(ヤマトゥ)に来た牧さんは「芭蕉布」や「沖縄、今こそ立ち上がろう」を三線を弾きながら歌ってくれた。蝶が魂を意味するなどこれまでと違う島唄を聴いた。そこに込められている抵抗の思いが体に伝わってきた。(米村泰輔)

第37回世直し研
菅野みずえさん(原発賠償関西訴訟・原告)
ふるさと奪った原発労災申請、統計開始から最多

菅野みずえさん

1月25日、第37回世直し研究会が、大阪市内でひらかれた。菅野みずえさん(原発賠償関西訴訟・原告)が、「原発事故から10年」の思いを語った。原発事故で大地が汚染され、コミュニティが壊されてしまった。長い年月にわたってつくられてきた共同性は一度壊されたらもう取り戻せない。現在、避難した人たちは、新たな土地で新たなコミュニティをつくっている。これを再び壊して、もとの場所に戻れという国の「帰還」政策は、いかにむごいことか。菅野さんの報告は、この事を実感するものだった。以下、菅野さんのお話し。〔文責・見出しとも本紙編集委員会〕

失われたコミュニティ

私が住んでいた福島(浪江町下津島)というところは、人びとが支えあって生きている、暖かい町でした。ここでは、「子どもたちは宝」という考えが根づいており、おとなは子どもたちの通学のために、まず雪かきをするのが日課でした。
人は自分ひとりで生きていけるものではありません。ここでは人と人とのコミュニティのなかに、地域に定着した暮らしがあり、そのなかに文化がありました。原発事故で、この暮らしがすべてなくなってしまったのです。たとえここに戻ったとしても、もとの共同体を取り戻すことはできません。

事故当時のこと

わたしは福島第一原発から6qのところに住んでいましたが、原発が爆発したとき、県からも東電からも、まったく連絡がありませんでした。何も知らされないまま、わたしたちは初期被ばくをしています。福島県は、住民避難にSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報を使いませんでした。住民の安全は二の次だったからです。わたしが避難所でスクリーニング検査をした時、針がふりきれたのを、この目で見ています。しかし、そのデータが残っていないのです。役所は資料を開示しないだけだと思います。2016年に関西に避難しますが、このとき甲状腺がんがみつかり、手術をしました。

避難者が差別された

当時、避難者をとりまく環境はきびしく、避難者は差別を受けました。新しく建てた家は「原発御殿」といわれ、赤いペンキで×を書かれました。引越し先では、あいさつもされず、「村八分」でした。
「原発避難者は金をもらっている」、「補償で遊んでくらしている」と。津波被害は補償がないなかで、原発事故による「賠償金」がひとり歩きしていったのです。

仮設住宅のこと

2013年4月、道路(国道)封鎖され6月に仮設住宅に移りました。仮設のプレハブは、東北の気候を考慮したものではありませんでした。入り口に雪を払う風除室がついていませんでした。これでは、冬に出入りできません。また、お風呂には追い焚き機能がなくて、寒くて入っておれない。これらは交渉で付けさせました。
みんなで集まり、酒もよく飲みました。原発事故前に飲んでいた地元の日本酒「磐木壽」があります。この酒蔵も震災で宮城県に引っ越し。水も米も違いますから、同じ銘柄の酒でも味がまったく違うのです。こうして、原発事故は生活のなかの「味」も奪ってしまうのです。みんなせつなくて、涙を流しました。

現在を生きる

原発事故から10年がたち、現在の我が家は白い藤が巻きついています。庭では竹がすごいです。泥棒がはいり、壊れたままになっています。家は放射性廃棄物ですから、いずれ取り壊すことになります。人のふるさとを奪う原発はいらない。原発を許したのは私たちの世代です。わたしはその当事者として、原発に反対しています。若い世代に核のごみを残してはいけないのです。何としても原発を止めていきたい。

4面

連載 #Me Too運動に学ぼう
党内性暴力事件 真の謝罪のために C
石川由子

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と女性差別発言をし、世論は彼の辞任を要求し沸騰している。彼のような権力者が差別発言をしたのだから辞任要求することは当たり前であり、お払い箱にするべきだ(2月8日現在、辞任していない)。
女性はこれまで他者から意見を尋ねられることはほとんどないほど周辺に追いやられてきた。スポーツの世界でもたくさんの女性選手が活躍しているにもかかわらず、役員は男性が独占してきたため、セクハラ・パワハラが続出した。それを解決するために女性が役員に登用されたため、その発言時間が長くなるのは当然すぎるほど当然のことなのだ。

戦時性暴力

戦時性暴力は「武器としてのレイプ」とよばれている。他国、他民族を征服するためにレイプを利用するのだ。かつて日本帝国主義軍隊は、レイプしたのちに女性の体を割き内臓を引き出し、局部に木の枝を挿したりした。これは女性を傷つけることで、その夫や父である男たちに征服を誇示する目的もある。

インターネットによる差別拡大

インターネットの普及により、女性への差別は厳しくなっている。ネットを使えばポルノや買春などへのアクセスは簡単だ。女性の人権を踏みにじる暴力表現、差別表現が垂れ流しになっている。しかも青少年ですら簡単に見ることができる。未成熟な心がこのような女性差別にさらされれば、差別意識は知らず知らずのうちに積みかさなっていくだろう。現実の女性への認知は歪み、犯罪と性愛との境界線はあいまいになっていくだろう。ネット上の表現は現実の社会の意識の反映だ。歪んだ反映はさらに現実の社会の意識を歪ませる。この悪循環を断ち切る方法は、現実の社会の差別意識をなくす以外に方法はない。

処罰では解決にならない

性被害は「魂の殺人」と言われ、被害者は一生苦しむ。だから「一生刑務所に入っておけ」というネット上の意見は確かに「目には目を」の処罰意識だけなら当然のことだろう。
だが性加害者を刑務所に閉じ込めても次々に新たな加害がおこっているアメリカの例を見るまでもなく、処罰では男の差別意識はなくならず根本的な解決にはならない。

家庭における暴力

親密な女性との間で暴力をふるう男性たちはどうすれば解決するだろうか。そもそも暴力男は女性に精神的にも生活面でも依存しているので離婚すら容易ではない。女性が逃げ回っても全力で追いかけてくるのだ。さらに調停や裁判になると、どんなに妻や子どもを愛しているか滔々と語り、夫である自分が被害者であるとまで主張する。妻は経済的な苦痛だけではなく、夫からの逃亡の苦労まで背負わなければ離婚もままならない場合が多い。さらに自分に依存していた夫を思いやり、せっかく逃げ切れてももう一度夫の元に帰ってしまう人も少なくない。

性暴力加害者の孤立

性暴力の加害者は社会的に孤立している場合が多い。たとえ権力を持っていても何らかの不全感、劣等感、孤独感にさいなまれている。権力を持たない男であればなおさら男社会の中でストレスを感じている。彼らの頭の中のピラミッドに、自分よりも弱いものを見出し、攻撃することで自分の優位性を確認している。人と人との関係をこんな貧しい関係でしかとらえることができないのだから、当然の結果として人間関係は表面的で本人は孤立しており、孤独だ。社会的犯罪は社会的関係の中でしか解決できない。彼らが立ち直る契機は、人間関係の回復、互いに尊重しあい、与えあい、譲り合う関係、対立ではない、征服ではない、支配ではない関係だ。

男性諸君に問う

このシリーズを通して私が問いかけたいのは、男性はなぜ自らの人間性を破壊してまで女性に暴力をふるうのか男性自身に考えてほしいのだ。性暴力をふるう男はなぜ人間にとって喜びであるはずの性愛を、愛のないセックスに貶めてしまうのか考えてほしいのだ。性欲を制御できない、性欲の暴走を許してしまうその理由を突き詰める責任は男性にあるはずだ。

新自由主義

新自由主義は自己責任論が跳梁跋扈、その結果福祉の後退、社会的連帯の喪失などを現出させた。日本は欧米と比べ新自由主義への転換が周回遅れの80年代から始まった。
1975年の国際婦人年は新自由主義のたくらみであるという説があるほど、欧米においては新自由主義と一部フェミニズムは親和性を示した。欧米では一部の優秀な女性を労働市場において採用することで人材を確保したからである。しかし一方で資本は女性と移民労働者を非熟練労働に駆り出し、男性も含めた労働者階級全体の賃金、労働環境の引き下げを強行した。 遅れて出発した日本の新自由主義においては、エリート女性の採用はほとんどおこなわれず、女性を非熟練、非正規労働へと追いやった。女性への差別は厳しくなるばかりである。(つづく)

開始されたいのちの選別・切り捨て(上)
関東障害者解放委員会 松浦淳

新型コロナウイルスに感染した人が自宅待機させられて亡くなったことが話題になっているが、実は、多くの人が救命治療されないまま死んでいる。大阪府下では約8割がICU入室や人工呼吸器なども使用されないまま亡くなっている。これは、知人に教えてもらった情報だが、昨年10月10日から今年1月27日までの死亡者651名のうち、502名の方々がこうした形で亡くなっている。東京や神奈川などでも、同じような状況があるように思われる。
2月1日付の毎日新聞では、クラスターの起こった東京の特別養護老人ホームの職員を取材した記事を掲載している。そこでは次のような状況が語られた。新型コロナウイルスに感染していた入所者の状態が急変し、救急隊を呼んだ。駆け付けた救急隊はまず、「延命を希望しますか」と訊く。希望することを伝えると、受け入れ先を探し始めるがなかなか見つからない。救急隊は、「延命希望でなければ受け入れ先はあります」と言う。施設の職員は、この入所者の家族と相談し、家族は、ためらいながら搬送の優先を求めた。この入所者は搬送先で死亡した。こうしたことが全国各地で起こっていると思われる。
そして、自治体では、こうした状況を推進する通知が出されている。ここでは、私の知りえた川崎市と八王子市の例を示す。ここでキーワードとして、DNAR(do not attempt resuscitation)という言葉が用いられている。もともとは、心停止した場合に、心肺蘇生法をおこなわないという意味で使われていた。「癌の末期、老衰、救命の可能性がない患者など」(日本救急医学会HP)をその対象としてきた。しかし、医療現場では今や、救命治療を施さないという意味に使われている。1月22日に出された川崎市の通知では、「DNAR(延命処置・人工呼吸器装着希望の有無)」と記述し、死なせないための医療を施さないというように概念の拡大を図っている。
昨年12月18日、八王子市の医療機関と高齢者施設向けに出された通知では、医療ひっ迫が起こっているとして「病院、施設内で新型コロナ感染が判明し、その患者が DNARを希望されている場合、自院、自施設内で介護、看護し続けていただかざるを得ない」と述べた上で、そうした患者を受け入れる「二次救急、療養型、精神病院」を募集している。つまり、死なせるための体制を拡大しようということだ。
上述の川崎市の通知では、障害児者福祉施設や高齢者施設について、入所者が新型コロナウイルスに感染していることが判明した場合には、「DNAR(延命処置・人工呼吸器装着希望の有無)を必ず確認すること」とし、「DNAR 不明の場合、適切な医療機関の選定や入院調整が困難」としている。そして、施設側が入院を求めていい状態は、「呼吸状態の著しい悪化(酸素投与無しで Sp02 92%未満など)」、「意識状態の著しい低下」、「24 時間以上、食事水分摂取全く不可」とし、これ以外の状態での「入院調整については、極めて困難」と記載している。
血中酸素飽和度が93%を切れば、救急車で搬送すべき状態である。人工呼吸器を使わなければ、死亡することは明らかだ。そのほかの状態でも、積極的に治療しなければ死ぬだろう。
施設入所の際に、入所者や家族は、DNARにかかわる希望を書類に書かされる場合が多いようだ。その際の記述によって、機械的に死へと振り分けられているのではないか、と懸念される。このようないのちの切り捨てを許すことはできない。(つづく)

5面

焦点 大阪維新追撃・打倒のために @
民意を蹂躙する広域一元化条例
剛田 力

コロナ禍でも維新の策動は続いている。再び「都構想」が否決されたあとも、吉村は昨年11月6日に「約半数の賛成派の声を尊重することも大事だ」などと言い出し、「広域行政の一元化」条例の制定を目指すことを宣言。吉村、松井は、住民投票で否決された「特別区設置協定書」(「都構想」)の制度設計で府に移管するとしていた成長戦略、病院、港湾、大学、高校、水道、消防など約430におよぶ大阪市の事務を対象に、その権限と財源を大阪府に移管する条例案をつくり、21年2月議会に提出すると表明。さらに「都構想は、否決ではあるが、現在大阪市がやっている430の広域事務は大阪府が一本化してやっていくという整理ができている。それを大阪市を残したうえで具体的に実現する、そのような条例案を都構想の対案として提案したい」と述べた。
いわゆる「都構想」の行政文書である「特別区設置協定書」に明記された「大阪市廃止」の具体的な中身は、吉村が言った、大阪市が政令指定都市として持っている成長戦略、都市計画、港湾、交通基盤整備、公共上下水道、消防、大学、高校、公園、河川にいたる430の事務権限と財源約2000億円を府に移譲することが含まれている。住民投票は、「大阪市の存続」という市民の意思を示しており、その権限と財源を大阪市に留めるという意味以外のなにものでもない。その自治権の大幅な切り離しが市民にとって大きなリスクをともなうからこそ住民投票が義務づけられている。これを議会判断のみに委ねることができるのなら、住民投票を義務づけた大都市設置法はまったく意味をなさない。

大阪市役所前で都構想に反対する市民(20年6月)

(1)「広域一元化」+「総合区」 ≒「都構想」

松井、吉村は同時に総合区も進めるという。しかしその具体的な内容はまったく示されていない。「広域行政一元化」と総合区を口実にした合区を合わせれば、ほぼ「都構想」のようなものになる。 総合区は2014年の地方自治法の改正により、政令指定都市が新たに設置できるようになった。総合区のポイントは、区長を一般職から議会の承認が必要な特別職に格上げし、予算提案権や区職員への人事権を持たせる点だ。市役所の一部署にすぎない今の行政区に権限を移譲し、地域内分権をすすめるのが狙いとされた。区長は「一般市なみ」の権限を持つ。さらに区長を住民投票の結果などを参考に決める「準公選制」も可能だ。
議会が可決すれば政令市に導入できるようになったが、まだ導入した自治体はない。大阪にとっては市を残したまま区の権限を強める制度となり、本来「都構想」や「広域行政一元化」とは相反するものだ。元々は大阪維新の会が都構想案を出した時に、反対だった他の政党に対し、「反対だったら対案を出せ」となり、公明党が総合区制度を対案として提出したもの。2015年の前回の住民投票後、吉村の市長時代、現在の24行政区を8総合区に再編する案を取りまとめ、都構想と並行して協議されたが、公明が「都構想」推進に転じたため、取り下げた。
今回松井、吉村が取り上げたのは、8区に合区するということに主眼点がある。総合区は、合区しなくても1区だけでもできるし、いつでもやめることができる。8区にする必然性などない。府と市が同じ施設を持つのは「二重行政のムダ」だというのだから、合区によって現在24区ごとに置かれている施設(保健センター、図書館など)を統廃合し、行政サービスが低下するおそれも大きい。
維新は、緊急に必要な政策課題から、目をそらさせようとしている。優先するべきは、何よりもコロナ感染症対策ではないか。防災対策も待ったなしだ。「大阪都」で、特別区ごとに設置するとした4カ所の児童相談所は作らないのか。維新が問題にしてきた、「学力不足問題」はどうするのだ。

(2)追い詰められた維新

維新の狙いは、公明党を議論に引きずり込み、屈服させて「広域行政一元化条例」を大阪市議会で可決、成立させることだ。一方、維新が2月議会での決着を目指すと急いでいるのは、看板政策だった「都構想」が否決されたことに伴う党内の動揺を収めたいとの思いがあるからだ。「府市一体で成長を目指すという従来の姿勢を改めて示せる」と、住民投票の「敗北」で求心力を失った議員や、維新信者の市民に対するアドバルーンを上げているのだ。そもそも維新は大阪府知事、大阪市長を握っており、慌てて条例を制定する必要はないはずだ。なぜ、コロナ禍で大変なときに、こんな策動を始めたのか。「大阪都構想」が住民投票で2回連続否決され「改革政党」としてのイメージが大きく揺らいでいる。このままでは今年の総選挙どころではなくなる。そこで、「既成勢力に踏みつけられても改革し続ける維新」を演出する必要から、今回の条例を急ぐのだ。 維新は追い詰められている。2・3月議会で条例が制定されなければ、看板政策を打ち出すたびに市民から否定され、「改革政党」のイメージはますます崩れる。維新に投票している無党派層のかなりの部分が離れかねない。維新にいる多くの議員は「選挙に勝てるから」と維新に集まっている。維新で勝てないとなると、離散するものが出てくる。
2・3月市議会の攻防は今後の大阪のゆくえを決する大きな山場になる。現在示されている条例案(骨子)では、さすがに直ちに430事業の移管、2000億円の移譲はできず、当面7分野の権限の移管とされた。それも地方自治法との関係で、総務省との調整の必要や、公明党をさらに屈服させるなど、ハードルは高い。

(3)奪われる市の「主権」

大阪府・市は1月22日、大阪市がもつ都市計画の7分野の権限を府に移管する方針を正式に決めた。「大阪都構想」の代案として、条例案を2月の府・市議会に提出する。1月25日に、その「広域行政一元化」条例案の骨子が公表された。
案の骨子は大阪府のホームページでのみ公表され、大阪市はパブコメ(意見募集)もしない(大阪市は総合区もパブコメしない)。すでに大阪市の主権は奪われ、乗っ取りは半ば完了している。以下、骨子を検討する。

骨子は8項目

1項目は、条例の名称。「大阪府及び大阪市における一体的な行政運営に関する条例」 2項目は、趣旨。
3項目は、基本理念。ここでは「副首都・大阪を確立」と打ち出している。
4項目は、責務。「大阪府および大阪市は、この条例に定める事項を誠実に履行する責務を有する」
5項目は、副首都推進本部(大阪府市)会議。ここでは「本部長:知事 副本部長:市長」とある。
6項目は、会議で協議すべき事項。ここでは成長戦略、グランドデザイン・大阪、スマートシティー戦略を上げている。 7項目は、大阪府及び大阪市が一体的に取り組む手法。
8項目は、施行日で2021年4月1日。
4項目に、「条例に定める事項を誠実に履行する」とあるのは副首都推進本部会議を「決定機関」にしたかったのだが、そう書くと府市の議決を拘束するものとなり、自治権や議会の議決権を否定することがあからさまになり、違法性が露骨になるので、一般的な当たり前の表現にした。表現は変えても、副首都推進本部会議が事実上の決定機関となる。
しかも5項目で、本部長が知事に固定され、知事と市長は対等ではなく、あくまで知事が上位で、最終責任者となる。既にある、地方自治法が規定する「指定都市都道府県調整会議」は、協議に応じる義務はあるが、知事と市長は対等。「指定都市都道府県調整会議」は、介護施設の整備や、中小企業支援、治水対策など、住民に必要な公共事業を調整することになっているが、この骨子では次の6項目の「会議で協議すべき事項」でも、まったく触れていない。
7項目での事務委託によって市の権限が府に移譲されて、大阪市が関与できなくなる。7項目は、「市→府」への事務委託という、この条例の「ねらい」の具体的な部分になる。
市から府への事務の委託の対象は、かなり絞った形になっている。しかしここにも注意が必要だ。水道や消防は地方自治法の事務委託制度を見ても都道府県でその事務をおこなっていないものは事務委託できないと考えられている。水道、消防は、そもそも事務委託できないのだ。「都構想」の宣伝で「消防の到着時間の短縮」をメリットとして挙げ、現場から否定されたが、二重にでたらめだ。健康と保険も対象外となっている。だが松井は「バーチャル都構想」と言ってコロナ対策を府に丸投げしている。教育も対象外だが、すでに12月に市も府も条例を可決し、22年4月には市立高校が府に移管される。
残ったのは「住民の反対を押し切ってでもごり押ししたい開発」、万博、カジノ、高速道路の開発などになる。特に、都市再生特別地区の指定は、住居地域など「用途地域」に関わらず、開発の規制をとっぱらうもの。これらを大阪市議会の動向にかかわらず、維新が思い通りにできる府の決定だけで進めることができるようにするものだ。
たとえば大阪市がおこなう都市計画、通常の道路、大型公園、公営住宅などの整備、水道、消防などは、市内エリアに関するもので、これらは府全体に影響が及ぶという意味での「広域行政」では決してない。しかし、大阪市民は自らの都市計画に参画できなくなる。
松井は市長でありながら、1月22日の副首都推進本部会議後の会見で、「大阪市民は大阪府民。大阪市議会の権限など市民にとってはどうでもいい」と発言している。「広域一元化」条例は、大阪市における自治権をはく奪する、自治略奪条例だ。条例では、一元化された事業の実施主体はあくまでも府であり、委託という手法で、大阪市が持つ自治の根幹である権限のみならず財源も奪い取っていくところは、住民投票で2度も否決された「都構想」そのものだ。
計画実行事務は委託することになっていない。大阪市は府の決定に黙って金を出し実施する実行部隊に成り下がる。
3月府議会は2月25日に開会し、3月28日閉会する。府議会は維新が単独過半数のため、議会での勝負は市議会が焦点になる。現状では3月26日の市議会最終日に「広域行政一元化条例」を採択するとみられている。街頭行動や署名、議会工作など、住民投票をたたかった市民とともに行動し、議決を阻止しよう。(つづく)

大阪市の財産を吸い上げて、夢洲でカジノあかん! 大阪市役所ヒューマンチェーン

と き:2月25日(木) 午前11時〜午後1時
午前11時〜11時50分 街宣行動>
正午〜午後0時半 市役所包囲ヒューマンチェーン
午後0時半〜1時 集会
ところ:大阪市役所前
主催:大阪カジノに反対する団体懇談会
連絡先:カジノ問題を考える大阪ネットワーク

6面

投稿
2つの「資本論」本 (上)
白井聡著 武器としての「資本論」

最近話題になっている「資本論」を冠した二つの本を読んでみた。『武器としての「資本論」』(白井聡 東洋経済新報社 2020年4月)と、『人新世の「資本論」』(斎藤幸平 集英社新書 2020年9月)である。
『武器としての「資本論」』は、資本論解説、あるいは入門書としての体裁をとっている。「入門書」だからその後…資本論を読んでみる、あるいはマルクス主義を学習する…につながればいいので、そのへんは読者に委ねられる。入門・解説だから『資本論』第一巻の範囲で、第二巻、第三巻には触れない。また今日の資本主義の基軸である金融資本(G―G)についてはさわりしか触れられていない。
「商品」から始まる資本論〜なんでも商品化してしまうのが、資本主義社会である。資本制、資本主義的生産様式が主流の社会では、資本が「剰余価値」を求めるために動き、そのための手っ取り早い方法が「商品生産」なんですよ、ということなのだ。「剰余価値」についての説明は第7講「すべては資本の増殖のために」で展開されている。そこでは人は「賃金」以上に価値を生産しているというざっくりした話で説明されている。必要労働は4時間なのだが、実際は8時間働いていますよ、という方が分かりやすいだろう。
「本源的蓄積」〜資本主義の「始まり」が暴力的に、血塗られて始まっていること〜がちゃんと第11講「引きはがされる私たち」(実際はそれより前のページから)で展開されているのは良い。そして今の「新自由主義政策」は、ある意味「本源的蓄積」と同様の暴力性をもって進められていると説く。
第13講「はじまったものは必ず終わる」で、「共産党宣言」に始まるマルクスの階級闘争論が展開されているが「収奪者が収奪される」〜隣の資本家をぶん殴ればいいというわけではない(「収奪者を収奪」というのは、生産手段なんかを労働者階級が分捕ることなので、資本家を「ぶん殴る」ことではないのだが・・)構造を変えましょう、資本主義には必ず「終わり」があるのだから、と展開する。
最終の第14講「『こんなものが食えるか!』と言えますか」において、ソ連初期のマルクス主義法学者エフゲニー・バシュカーニスの話は興味深い。封建時代において領主・政治権力に年貢をおさめるという収奪方法は、政治的行為でもあるし、経済的行為でもあった。だが資本制社会では収奪がおこなわれても、それは「等価交換」であり、収奪はおこなわれていないとされる。国家権力や法がストレートに収奪をしているわけではなく、「等価交換」がおこなわれるよう規制しているだけである。バシュカーニスは「政治的社会と経済的社会が分離し、別物になることが、資本制社会の特徴である」と結論づけ、コミュニズムとは「等価交換の廃棄」が実現された社会であると結論づけたそうだ。(残念ながらバシュカーニスがスターリンに弾圧・処刑され、このようなラディカルな法学がソ連から消えてしまった。)
それはともかく、白井氏は『資本論』の中に等価交換を錯乱する契機がどこかにあるのではないか?と探す・・・「労働力の等価交換」と言っても、どこまでが必要な労働なのか、等価の価値は上下する、白井氏はそれは文化的に決定されると述べ、イギリス料理がまずい話(産業革命以降、まずくなったそうだ)、ニュージーランドでも20年前は羊ばかり食べていたのが、今は味のないブロイラーを食べている(羊肉や牛肉は輸出に回されて高くなったそうだ)ことを引きながら、「それはいやだ」と言えるかどうか、そこが階級闘争の原点になると説く。たんに「美味い物を食いたい」と言うところから階級闘争を始めよう、ということでなく(そうゆうところもあるのだろうが)、それゆえ、意思よりももっと基礎的な感性に遡る必要がある。どうしたらもう一度、人間の尊厳を取り戻すための闘争ができる主体を再建できるのか、そのためには、ベーシックな感性の部分からもう一度始めなければならない(P280)と説く。
この本を読んだら、『資本論』も読んで、感性を研ぎ澄まして、「階級闘争」やって人間の尊厳を取り戻そう、というアジテーション本なのである。(つづく/西川雄二)

読者の声
総務省官僚を首相の息子が接待
民衆の納得のいく処分を
熊野忠志

男は椅子で変わる、と言われる。社会的権力のバロメーターが、所属や身分の権力度、知名度、そして財力などでそれをカバーし、象徴する椅子。一貫して、自民党から動かず、派閥はいざ知らず、一強の安倍晋三のもとで、長期間、官房長官を務めた菅義偉は、安倍晋三など親の七光にあふれている存在と如何に異なるかを味わい尽くしていたろう。その彼が総理大臣になった時、どう変わるのだろうか?
麻生や河野などと違う一匹オオカミのような彼も、何かしら同一性を感じたろうか? 多分、ゴシップやスキャンダルや汚職やら責任のなすり合いやら、公職でありながら、最も生臭い権力の座に就いたものが、さらい、さらわれる脚のもろさをどうするか。経験上熟知し慣れ切っていて、今回の息子へのえこひいきや、総務省への権柄づくやらの批判を軽くやり過ごす予感がする。いずれ総理を忖度する官僚を処分するだろう。
しかし、座して人をあごで使う権力者との同一性に染まるだけならば、コロナ禍の犠牲者への対応、東電福島第一原発事故の被害者や被ばく者への対応、オリンピックにかけていたけなげな人々への対応、日本に出稼ぎに来て裏切られた外国のひとびとへの処遇においては、なすすべを知らないだろう。そうして、この国の黄昏は、否応なく長引くだろう。なぜなら、政治に絶望し、自死する人間をふやすにちがいないからだ。
はかなさを美学とする国の宰相として、世界に立ち向かうには、世界は手ごわすぎる。自民党総裁選以前に、総理の椅子をなくす可能性を今回のゴシップは、予感させる。
今や、農業も漁業もない。かれは、この国で相当強かった自民党の椅子の感触しか知らない。安倍晋三が拡大した軍事体制を満たす強力な兵士がいるだろうか。いたとして、かれはどのように、世界の人とたたかうだろうか? とりあえず、アメリカの兵隊とどうやりあうのだろうか?  沖縄の非暴力の人々も救えないならば、世界が納得する政治家には、程遠い。アメリカと一緒に、沖縄を利用して、沖縄の主体性・同一性を顧みないのならば、鬼畜日本人の代表にすぎない。総務省は、内弁慶。総理の息子は、親よりも世間知らず。
文春の記者よ、汚職天国の腐敗を餌にする者の椅子をさらに砕け!

84歳の独り言―出会った人びとG
大資本に命を狙われても(下)
大庭 伸介

第1次弾圧の翌年、武さんは静岡の集会でつぎのように語った。生コン企業との集団交渉で組合員の企業帰属意識を一掃した。不当労働行為を重ねる企業のヤリ得を許さないため裁判や労働委員会の結果とは別にペナルティーを課した。日経連と警察の組合つぶし、共産党の組織介入に勝利して自信を深めた。
1994年、関生支部と全港湾、連合傘下の生コン産労の3労組が生コン産業政策協議会を設立し、生コン経営者との集団交渉が復活。
生コン産業はセメントメーカーに原料を高値で買わされ、大手ゼネコンに低値で買い叩かれる谷間の産業≠ナある。この構造的矛盾を解決するためには、生コン企業が協同組合を強化して、共同受注・共同納入を徹底するしかない。
武さんたちの積極的協力で、1994年には大阪広域生コン協組が発足した。
その結果、現場で働く労働者たちの労働条件が向上した。逆にセメント独占と大手ゼネコンはボロもうけの旨味を失った。
2005年には、大資本の意を受けた第2次弾圧が関生支部を襲い、武さんは1年3か月も勾留された。釈放された武さんを静岡に招いて講演集会を開いた。武さんは勾留中に腕立て伏せを毎日数十回励行して、逮捕以前より健康になったと語っていた。
この弾圧の最中セメントメーカーは、「関生支部の時代は終わった。これからは建交労の時代だ」とうそぶいた。建交労とは運輸一般の後身で共産党系の組合である。当時、建交労は労使協定で規制してきた土曜稼働を実施し、賃上げゼロ回答をのんだ。セメント価格は3回も値上げされる一方、生コンの値段は値下げされた。
2010年7月から4カ月半、生コン価格の引き上げを求めてゼネストを決行し、勝利した。
しかし2015年、何と武さんは建交労も含む5つの組合で近畿生コン関連労組連合会を発足させた。産業政策推進のためには、過去の裏切りにこだわらない武さんの太っ腹である。
2017年には、大阪広域協組が協定を守らないため、運賃引き上げの協定実施と協組の民主化を求めてゼネストを敢行した。建交労は脱落し、関生支部と全港湾による無期限ストによって、大阪府下では8割の工事が中断した。2カ月以上もたたかわれた前代未聞の産業別ストライキは、歴史的な勝利に終わった。
その反動として2018年、第3次弾圧が襲ったことは、本紙の読者が既に承知していることである。
しかし武さんは、「いかなる恫喝も、暴力も、ブタ箱も私たちの運動を止めることはできない。あらゆる困難は句読点の1つにすぎない」と、にこやかに語っている。(つづく)

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