安倍倒せ 一刻も早く
国会前行動に2万7千
6月10日
降りしきる雨の中、国会正門前で2万7千人が 「安倍政権は即時退陣せよ」と叫んだ(10日) |
6月10日、国会正門前で「9条改憲NO! 政治の腐敗と人権侵害を許さない! 安倍政権の即時退陣を要求する6・10国会前行動」がおこなわれ、2万7千人が集まった。
実行委員会を代表して福山真劫さんが「これ以上安倍政権を続けさせるわけにはいかない。私たちがもう一歩頑張れば安倍を退陣させることができる」とあいさつ。各政党から、立憲民主党・福山哲郎幹事長、日本共産党・小池晃書記局長、無所属の会・田嶋要衆院議員、社民党・吉川元幹事長が発言した。
〈安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合〉山口二郎さんは「権力者といえどもルールは守らねばならない。安倍政権は政治も経済も破壊している。民主主義とは腐った権力者をたたくためにある」と訴えた。
〈TPPプラスを許さない! 全国共同行動〉山田正彦さんは「TPP11の批准に伴う種苗法改悪で作物の原種・原々種がなくなると、外国の種子を買わざるをえない。自家採種が禁止となる。伝統的な品種が使えなくなる。安倍は日本を根底から壊そうとしている。一刻も早く安倍打倒を」と訴えた。〈一票で変える女たちの会〉坂元良江さんは「男の人は権力だけでなく腕力も持っている。実際のセクハラでは逃げられない。日本でもセクハラを罰するように法制化を」と発言。
日本労働弁護団の棗一郎弁護士は「働き方改革は毒入り法案。過労死家族の会の方が、やめてくれと言って座り込みまでやった。安倍内閣は家族の会と会おうともしないで委員会強行採決をやった。ジャーナリスト・鎌田慧さん、沖縄平和運動センターの山城博治さん、豊中市議の木村真さんなどが発言した。
主張
史上初の米朝首脳会談
民衆の力で朝鮮戦争終結へ
6月12日、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の金正恩国務委員会委員長とドナルド・トランプ米大統領との間で、歴史上はじめてとなる米朝首脳会談がシンガポールでおこなわれた。この会談で両首脳は共同声明に調印した。トランプ大統領は朝鮮の体制保証の提供を約束し、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化ついて断固として揺るがない決意を明らかにした。共同声明で確認されたのはつぎの4項目である。
1.平和と繁栄を望む両国人民の念願に沿って、新たな朝米関係を樹立していく。
2.朝鮮半島で恒久的で強固な平和体制を構築するために、共同で努力する。
3.板門店宣言を再確認し、朝鮮半島の完全な非核化に向けて努力する。
4.戦争捕虜および行方不明者の遺骨発掘を進め、すでに発掘確認された遺骨を即時送還する。
今回の首脳会談によって米朝両国は、朝鮮戦争の完全な終結と平和条約の締結に向けて重要な一歩を踏みだした。これは南北朝鮮人民の悲願であり、東アジアの平和を希求するすべての人々が待ち望んでいたものだ。
一方、「北朝鮮の脅威」をあおり、「圧力一辺倒」で平和への道を妨害し続けてきた安倍政権の責任をきびしく追及しなければならない。戦争法の強行や憲法9条改悪という政治的野心のために戦争危機を意図的に醸成してきたことの罪は重い。
また米朝共同声明の内容について、「非核化のプロセスがあいまい」などと言いたてるマスコミの態度も許されない。今なすべきことは、踏みだされた一歩を決して後戻りさせないことであって、不信感をあおることでは断じてない。米朝会談実現の最大の力となったのが朴槿恵を打倒し、文在寅大統領を生み出した韓国民衆のたたかいであったことは明らかだ。つぎは東アジアの平和にとって最大の敵である安倍政権を打倒することだ。それは日本人民の責務である。
オスプレイ飛ばすな
6月5日 東京で集会、デモ
日比谷野外音楽堂を埋めつくした首都圏行動 (5日) |
6月5日、東京・日比谷野外音楽堂で「オスプレイ飛ばすな! 6・5首都圏行動」がおこなわれ、3100人が参加した。参加した国会議員が次々と発言。横田基地や厚木基地の騒音問題に取り組む団体が報告した後、韓国の代表は「東アジアに不可逆的な平和をつくろう!」とアピール。LEDろうそくを掲げて参加者全員で「真実は沈まない」を合唱した。集会後、東京駅までの有楽町・銀座コースのデモがおこなわれた。
強制収用は許されない
請求異議裁判 小泉さん加瀬さんが証言
市東孝雄さん(一番手前)を先頭に千葉地裁へ デモ行進し、裁判に臨んだ(5月24日) |
5月24日、市東さんの農地をめぐる最高裁決定にたいする請求異議裁判が千葉地裁でおこなわれた。裁判は午後2時に開始。小泉英政さん、加瀬勉さんの二人が証言した。
小泉さんは、「よねさんと出会いその生活と人柄に感動して、養子となってたたかいを引き継いだ。成田シンポではボタンの掛け違いや強権的な空港建設で空港会社から謝罪があった。収用されたよねさんの土地は、24年もかかって耕作権を取り戻した。40年間、仮補償のままにされていた問題も、3年前にやっと千葉県の謝罪を受け入れ補償を決着させた」と証言。最後に「今、市東さんにも同じことをやろうとしている。成田の歴史を踏まえ、誠意が見えない形で土地を奪うのは、やめていただきたい。市東さんの畑を見てほしい、つぶせば畑はもどらない」と訴えた。
つづいて加瀬さんが証言。よねさんの代執行の局面で加瀬さんは、よねさんの離れに住んでいた。「代執行の前日に中止と聞いたので、71年9月20日、干してあった稲を脱穀しようと東峰の石井武から脱穀機を借りてきて、脱穀を始めた。その時の写真がある。このときのよねさんは何といい笑顔をしているか。一束脱穀したとき、収用係官が現れ、次に機動隊が襲ってきた。その時、よねさんの髪の毛はバラバラ、怨念の夜叉の形相の顔に変わっていた。代執行はすべてを奪い去った」「市東さんは小作契約で地代を払っていた。一方、地主の藤崎は市東さんに黙って公団に土地を売り、15年間地代を取り続けていた。この詐欺行為を成田市や千葉県の農業委員会が容認するのがおかしい。『耕すものに土地を』というのが戦後の農地改革、農地法だ。裁判長は守ってほしい」と証言した。
次回の裁判は6月28日、午後2時から千葉地裁で、萩原富夫さんの証言と、市東孝雄さんの本人尋問がおこなわれる。(奥山)
2面
辺野古に基地は作らせない
沖縄意見広告 賛同が過去最多に
「辺野古新基地建設反対」の意見広告が6月2日の朝日新聞、3日の琉球新報、沖縄タイムスに掲載された。1万5千人を超える賛同者を集めた第9期沖縄意見広告運動は、8日、稲嶺進前名護市長(写真下)を迎え、大阪市内で報告集会をおこなった。会場あふれる370人が参加した(写真上)。
集会の冒頭、意見広告運動全国世話人で連帯労組関西地区生コン支部委員長の武建一さんが、「今期はこれまで最高の賛同数。沖縄への関心をさらに高めることができた。沖縄のたたかいに連帯するには、本土で安倍をたおすストやデモ必要だ」と訴えた。
稲嶺前名護市長
つづいて前名護市長の稲嶺進さんは、「2月の名護市長選挙で自民党は、基地問題の争点外しを徹底し、自主投票の公明党をまきこんだ組織戦をおこなった。相手候補は街頭には出ず、企業回りで支持を固め、有権者をレンタカーで期日前投票に連れていった。身近な教育や保育や生活の問題で稲嶺市政の成果を否定するために、物量にまかせてデマ宣伝をおこなった。さらに街頭では選挙管理委員会が徹底した規制をおこない、それと一体で警察が動いた。選挙中も基地建設工事を進め、反対派にあきらめムードを植え付けた。また一連の裁判では、裁判所が完全に政府の下請けとして動いた」と市長選の実態を暴露。「沖縄には人権も三権分立も地方自治もない異常な状態が続いている」と訴えた。そして「『辺野古が唯一』というのは真赤なウソ。『政治的にベター』なだけだ。当初の計画にはない巨大軍事基地の押し付けは必ず破綻する。強権的な攻撃に負けず、あきらめずにたたかう」と決意を語った。
連帯あいさつでは〈辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動〉からグッズ「瞬時にわかる沖縄・辺野古の現状」が紹介された。学生企画ネットは、「沖縄のたたかいの本質を多くの人に知ってもらうために、創意工夫をこらして訴えていくことが必要だ」とアピール。意見広告運動・関西の西山直洋さんは「第10期では3万人の賛同で4面全面広告を出そう」と呼びかけた。
最後にヘリ基地反対協共同代表の安次富浩さんが、「11月知事選勝利に向け、座り込み行動を強化し、県民投票なども組み合わせてたたかう」と発言した。
投稿
5・15県民大会に参加して
阿波根さんの言葉 胸に刻む
兵庫県 江崎 順
辺野古からの平和行進は宜野湾市海浜公園に集まり3500人で県民大会(5月13日) |
5月12日から15日にかけて、沖縄に想いをよせる仲間とともに2018年5・15沖縄県民大会に参加しました。今年の県民大会が開かれたのは5月13日。その前後に沖縄の各地に行きました。
那覇空港に12日の昼到着。那覇市の沖縄県庁から徒歩で15分くらいのところにある不屈館へ。ここは、復帰運動をたたかった瀬長亀次郎さんが遺した膨大な資料を中心に、沖縄の民衆のたたかいを後世に伝えようと設立された資料館です。過去のたたかいを紹介するだけでなく、辺野古と高江の新基地建設反対闘争も取り上げられています。1972年日本復帰が「怒りの日」であることがよくわかります。全軍労・牧港青年部の白ヘルの巨大なデモ隊列の写真も展示されています。
不屈館をあとにして、辺野古へと向かいました。テント村で現地の仲間と合流し、話を聞きました。
「辺野古新基地工事は、海岸の浅瀬で護岸の埋め立てが進んでいるが、工事全体からいえば一部にすぎない」「政府は6月か7月に土砂を入れようとしているが、軟弱地盤や活断層、新基地の高さ制限などいろんな問題が残されている」「名護の市長選挙は新基地の是非を問うたものではない。多くの名護市民は新基地に反対している」など貴重な話でした。
東アジアの平和を
翌13日は、宜野湾海浜公園に向かい、「復帰46年 5・15平和とくらしを守る県民大会」に参加。3500人が集まりました。川口真由美さんとYASUさんのライブで会場が盛り上るなか、実行委員長の山城博治さんがあいさつ。「辺野古の海が護岸で囲われ、7月から土砂が入るかもしれないという緊迫したなか、辺野古から平和行進をはじめた。南西諸島が戦争の防波堤にされるのを止める。全国の仲間と共にたたかっていこう」と発言。
平和フォーラム共同代表の藤本さんや沖縄選出の国会議員のあいさつに続いてヘリ基地反対協共同代表の安次富浩さんが「辺野古の海では護岸工事が進められている。翁長県知事の岩礁破砕許可を受けていない違法工事だ。日本の平和運動が非常に弱くなっている。岩国基地のイベントに21万5千人が集まった。国会前に同じ人数が集まれば政権を打倒できる。東アジアの平和をつくるのは民衆だ」と訴えました。
海外ゲストの韓国・済州島海軍基地反対対策委員長コ・クォニルさんは「海軍基地に反対する闘争が始まって今年で11年となる。韓国ではキャンドルを持った民衆のデモによって、政権を変えた。不幸なイデオロギー対立は終わらせなければならない。民衆の意志を示さなければならない。辺野古基地反対、米軍はアメリカに帰れ」と発言。韓国の子どもたちがかわいい踊りを披露しました。
平和行進団からのあいさつでは、今年の平和行進は北部基地コースと南部戦跡コースで、3日間のべ5400人が参加と報告。最後に「辺野古の新基地建設、与那国島への自衛隊の監視部隊や宮古島、石垣島への地対空ミサイル部隊の配備は言語道断」とする大会宣言を採択。「沖縄をかえせ」の合唱で大会を終えました。
ヌチドゥタカラの家
翌14日は伊江島へ。伊江島は沖縄の縮図と言われ、地上戦を体験し、戦後は米軍基地が造られた。伊江島の反戦平和資料館には阿波根昌鴻さんが収集した資料が展示されています。20分程で一回りできますが、いくら時間があっても学びつくせません。「戦争は人を変えてしまう。そして基地は、その戦争を準備するためのものだ。土地を守るたたかいは、戦争をやめさせ平和をつくることにつながる、またつながらなければいけない」という阿波根さんの言葉を大切にし、本土と沖縄のたたかいを結び付けていきたいと思います。
辺野古
県民大行動で搬入を阻止
8月中旬にも土砂投入か
キャンプ・シュワブゲート前の座り込み(6月13日) |
6月2日 名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で、毎月第1土曜日の「県民大行動」がおこなわれ、600人が参加。国会議員、稲嶺進前名護市長や各地の島ぐるみ会議の代表があいさつ。新基地建設阻止へ抗議の声を上げた。海上では抗議船と18艇のカヌーチームが「海を壊すな」「違法工事止めろ」と訴えた。「護岸」工事はおこなわれたが、ゲート前からの資材搬入はなかった。
5日 シュワブゲート前で、早朝より座り込み。工事車両は3回に分け、計319台がゲートより入った。海上では「K4護岸」の工事が進められた。市民は抗議船2隻、カヌー14艇で抗議行動。
6日 「K4護岸」での工事は、2カ所で砕石の投下がおこなわれ、1カ所で被覆ブロックの積み上げが確認された。「K4護岸」上には3台のクレーン車が連日稼働している。海上行動隊は、抗議船3隻、カヌー12艇で3カ所で抗議行動。ゲート前からは344台の工事車両が入った。
7日 政府は7月に予定していた土砂投入を8月中旬にずらして埋め立て工事を本格化させる方向で調整に入った。沖縄防衛局は近く、赤土等流出防止条例に基づいて土砂投入の着手日を県に通知する。条例では事業実施の45日前までの通知が必要で、防衛局は来週にも通知する見込み。
7月中には「N3」「N5」「K4」護岸がつながり、土砂投入が可能になる。その後防砂シートなどを取り付け、8月中旬に土砂を投入する予定だ。
8日 台風の接近により、この日の護岸工事は急ピッチでおこなわれた。「N4護岸」上にはダンプカーが行列をつくり次々と砕石を投下した。防衛局は、台風の影響で工事が遅れることを懸念してあわてて工事を進めた。ゲート前からも工事車両352台が入った。
12日 沖縄防衛局は、県赤土等流出防止条例に基づき、8月17日から土砂を投下すると県に通知した。赤土等流出防止条例では国にたいしては協議が求められるものの、県に許認可権はなく、工事を止めることはできない。条例上7月27日から土砂投入が可能となる。
13日 キャンプ・シュワブゲート前では、早朝より市民が座り込み、8月17日からの土砂投入に「土砂を投入されたら後戻りできない」と怒りの声を上げた。(杉山)
3面
レイシストを封じ込めた
ヘイトデモにカウンター
神戸
「日の丸、旭日旗」のヘイト集団を取り囲むカウンター行動の市民(3日) |
6月3日、在特会や日本第一党など札付きのヘイトグループが神戸市内でデモをおこなおうとした。情報を察知した〈すべての人に尊厳と人権を! ヘイトクライムをなくそう! 神戸連絡会〉などがカウンター行動を呼びかけた。
3日は、長田区で毎年開かれる「統一マダン」の日。その隙をついて中央区で騒ごうという卑劣な行動だ。レイシストたちは予定の1時間以上前から三宮の繁華街に集まり、「日の丸、旭日旗」、宣伝車で「朝鮮人殺せ」などとがなり立てた。カウンターグループは100人以上で「ヘイトスピーチやめろ!」「デモはさせないぞ!」と取り囲んだ。
ヘイト集団は2時すぎに集会予定の東遊園地へ警察官200人に保護され移動。市民デモHYOGOも50人以上が合流し、カウンターは200人以上にふくれあがった。
彼らは公園に入れず、警察官に囲まれ「拉致、こわい」などのプラカードを持ち韓国領事館コースのデモに。歩道側に向けていた「暴れるな! 朝鮮人」という横断幕は、猛烈な抗議で途中から車道側に。沿道の市民には、「拉致問題にかこつけたヘイトスピーチをさせない!」というチラシを用意し、450枚を配布した。外国人には日、英、韓、中の4カ国語の「彼らは差別、ヘイト集団です」というカードを手渡すと、外国人も指を立てて抗議していた。
最後は、抗議の声にとり囲まれ「日の丸」を降ろし地下街へ逃走。大阪、京都などからのカウンターの若者たち、兵庫の市民運動がいっしょになり1年8カ月ぶりに神戸に登場した24人のヘイトデモを封じ込めた。
同じくこの日、川崎市ではヘイト集会を中止に追い込んだ。(武村志郎)
つづくイスラエルの暴虐
ロックアクションで報告
大阪
6日、戦争あかん!ロックアクションが大阪市内でおこなわれた(写真)。
集会では「ナクバから70年 パレスチナの現在」ということでパレスチナの平和を考える会・役重善洋さんが次にように報告した。
「3月30日から連日ガザ地区でデモ行進が。ガザの住民の大半はイスラエル建国時に土地を追われた人たち。故郷への帰還を求めて非暴力、超党派でたたかってきた。イスラエル軍はデモ隊を実弾で弾圧した。パレスチナでこのようなことが起きても国際社会は、なかなか反応しない。ガザの人々はこうした状況を変えようと今も行動を続けている。
私たちも彼らを支援しようと、日本の中でのイスラエルボイコット運動を呼びかけている。イスラエル入植地産ワインを販売しようとした大丸東京店に抗議して中止させた。国際政治ではパレスチナの人々は孤立しているが、草の根では支援が強まっている。世界中の女性運動や先住民族の運動が自分たちに重ね合わせて連帯する動きが強まっている。草の根の動きで国際的な大きな力関係を変えていくことができればと思う」。
最後に元衆院議員の服部良一さんが7月6日のロックアクションは、共謀罪が成立して1年目の取り組みとして、「7・6腐食する国家と共謀罪」集会に共催で参加すると発表。集会後、大阪市内をデモ行進した。(池内慶子)
社会権駆使する憲法闘争
世直し研で鈴田渉さんが講演
5月21日、大阪市内で第21回世直し研究会がひらかれ、大阪労働学校・アソシエ講師の鈴田渉さんが、「この国の『人権保障』の在り方を問う」というテーマで講演した。
鈴田さんの講演要旨は以下のとおり。
人権と社会権
今日、安倍政権は権力を濫用して、国家を私物化している。人民の力で安倍政権の独裁を倒すこと。これが今日の課題になっている。
近代立権主義(自由と平等の保障)は「権力者を縛る」という考え方。法の支配という考え方は、イギリスのマグナカルタ(1215年)で打ち出された。国王にたいして法の支配を要求し、これを認めさせたのだ。アメリカ独立宣言(1776年)、フランス人権宣言(1789年)にみられるように、人権は不断のたたかいのなかで確立されてきた。圧政に苦しめられる階級が、支配者にたいして人権を容認させたのだ。
いっぽう、ドイツのワイマール憲法(1919年)で、はじめて社会権が確立された。社会権は、人らしく生きていくための社会保障などを国の責務としており、「権力を縛る」ことだけが立憲主義ではないことに留意してもらいたい。憲法13条(生存権・幸福追求権)は11条の「基本的人権は、侵すことのできない永久の権利」であることを踏まえて理解する必要がある。
憲法を生きた法に
日本では、戦前の旧憲法体制下では社会権の規定はなかった。救貧対策は国の責務ではなく、天皇制国家の安寧秩序を維持するために、天皇の慈悲、国の恩恵としておこなわれた。現憲法では第25条に生存権として規定されており、生活保護法として立法化されている。
国家は何かあれば人民を抑えつけようとする。これにたいして、人民は主権者意識を持ち、政治権力に懐疑の目をもって臨んでいるのか。ここが問われている。今の社会で、すべての人は個人として尊重され、その人権は補償されているか。われわれは研ぎ澄まされた感性で世の中を見つめ、憲法を「生きた法」として活用し、あらたな人権法を獲得していかなければならない。(津田保夫)
Xバンドレーダー
ドクターヘリの運行妨害
京都府が米軍に抗議
住民の安全無視する米軍Xバンド基地に怒りがまきおこった(6月3日 京丹後市 九僧公民館) |
6月3日、「米軍X バンドレーダー基地撤去! 東アジアの平和を! 6・3京丹後総決起集会」が、京都府京丹後市内でひらかれ、地元のみならず関西各地から250人が参加した。〈米軍Xバンドレーダー基地反対近畿連絡会〉が主催し、地元の〈米軍基地建設を憂う宇川有志の会〉が協賛した。
集会は、米軍Xバンドレーダー基地近くの久僧公民館でおこなわれ、沖縄から山城博治さん、韓国からサードミサイル配備反対金泉市民対策委員会のクジャスクさんとパクビョンジュさんが参加し、米軍基地とたたかう沖縄と韓国のたたかいが報告された。
この間の京丹後現地の状況を〈宇川有志の会〉永井友昭事務局長が報告した。基地の二期工事が始まって以降、米軍は地元との約束(土日は工事をしない)を破り、土曜日に工事をしたり、基地の外の京丹後市が管理する里道を掘削したりして、京丹後市や京都府が抗議をしている。さらに緊急のドクターヘリが飛ぶときはレーダーを停波すると確認していた。にもかかわらず、5月15日に負傷した男性をドクターヘリで運ぶために地元消防本部がレーダーの停波を要請した際、米軍は停波せず、男性の搬送が遅れた。このことで京都府は抗議をしている。米軍は約束を平気で破り、近畿中部防衛局は米軍の立場に立っている。地元では、京丹後市や京都府が(近畿中部防衛局を介さずに)直接米軍と交渉できるように要求し、米軍と防衛省にたいする怒りが渦巻いている。
共同代表の服部良一さんは、「住民の安全のためには米軍も、安保条約も、日米地位協定もいらない」と提起。
集会後、久僧から中浜、尾和、米軍基地前を通って袖志まで1時間半のデモ行進をした。(多賀信介)
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パレスチナから日本を撃つ
フクシマと結ぶ 岡真理 講演会
13回目となる「原発あかん・橋下いらん・弾圧やめて! フクシマと結ぶ音の力いのちの言葉」が5月27日、大阪市内で開かれ300人が参加しました(写真)。
3・11から7年が経過した今も福島の現状はなんら変わらないどころか、ますます厳しい状態です。私たちは絶対に引かないという思いで、三里塚の野菜を福島へ、年2回の集会開催を全力でやってきました。その成果として、昨年は芸人9条の会福島を立ち上げ、福島県郡山市と三春町で公演できました。
今回の講演会は岡真理さん、ダニー・ネフセタイさん、小多基実夫さんをお呼びして、パレスチナから日本を撃つという副題でした。
岡さんは日本のアラブ文学者で京大教授、ダニーさんは『国のために死ぬのはすばらしい?』の著者で元イスラエル兵士、小多さんは精力的に活動を続けている反戦自衛官です。
岡さんの報告はプロジェクターを使って、パレスチナの人々の強いられている抑圧状況が迫力をもって伝わってきました。「シオニズム左派」ダニーさんの発言では、イスラエルのかかえる矛盾がどれだけ多いかがわかりやすく語られました。今回の講演集会は参加された方々から高く評価していただき、全員の発言内容を「5・27講演会発言集」として出版します。
次回の講演集会は12月9日午後1時、住之江区民ホール(舞昆ホール)です。メインの講演は真喜志好一さん。中村敦夫さんも参加予定です。
ちなみに、脚本・主演:中村敦夫で朗読劇「線量計が鳴る」大阪公演が12月7日、大阪市旭区民小ホールで開催されます。(『コラボTAMAZO』掛屋 昭)
4面
検証 事故から8年目 福島の現状
補償切り捨てと健康調査縮小
津田保夫
「帰還」の現状
福島では、政府による「帰還」キャンペーンがおこなわれている。避難者の声は、かき消され、「原発反対」を主張する住民の声は封殺されている。
浪江、富岡、飯舘、川俣の4市町村で避難指示が、昨年3月31日に解除された。それからすでに1年が経過したが、住民の帰還率は6%にすぎない(今年3月現在)。この地は安全・安心して生活できる環境にはない。地域のコミュニティーは崩壊してしまっている。住民は帰りたくても帰れないのだ。
東京電力は、政府の指示で避難した住民約5万5000人にたいして、精神的苦痛への慰謝料として月額10万円を支払ってきた。東電はこれを今年3月ですべて打ち切ってしまった。国と東電は避難者を経済的に追い詰め、帰還せざるを得ない状況に追いこもうとしている。加害者の東電が被害者の損害を算定して慰謝料を決めている。そもそも、このことがおかしい。
避難者の賠償請求
原発事故避難者は賠償を求めて、国と東電を相手に全国で裁判をおこなっている。その原告は1万2000人におよぶ。
現在までに、7地裁で判決が出された。それは17年3月前橋地裁、同年9月千葉地裁、同年10月福島地裁、18年2月東京地裁、同年3月京都、東京、いわきの各地裁判決だ。このなかで、国の責任を問う五つの裁判(表参照)のうち、千葉判決以外は国の責任を認めている。司法の判断は、国の責任を認める方向で集約されている。
京都地裁の判決(3月15日)では、福島県外の自主避難者にたいして賠償が認められた。これらの人たちは今まで賠償の対象にされてこなかった。
避難者は、原発事故によってさまざまな決断をせまられ、葛藤のなかで7年間を過ごしてきた。各自の選択肢がそれぞれに異なるなかで、「私の判断は正しかったのか」と不安にさいなまれてきた。今日において確実に言えることは、「かけがえのない家族の生活がずたずたにされてしまった」という事実である。
政府は旧来の原発推進政策を何ら反省することなく、原発事故に対応している。チェルノブイリでは、避難の権利を認められているが、福島原発事故では避難の権利は認められていない。森松明希子さんは日本国憲法で認められている平和的生存権を盾にして、避難の権利を訴えている(『未来』238号)。
小児甲状腺がん患者が増加
福島県の「県民健康調査」は、住民の健康診断をおこなっているのではない。子ども(事故当時18歳以下)をモルモットにして、研究データを集めているにすぎない。
第30回県民健康調査検討委員会(2018年3月5日実施)の発表によれば、「悪性ないし悪性の疑い」のある患者が197人(手術後に良性と診断された1人を含む)、そのうち手術した人は160人になっている。
実は、この人数に「検査もれ」があるのだ。2次検査で「経過観察」となった患者は一般保険診療になり、県民健康調査検討委員会で公表している人数には集約されない。今まで2次検査で「甲状腺に問題あり」と判定された3075人のうち、2722人(89%)が経過観察になっている(白石草さん講演資料による)。
「検査もれ」は、昨年6月に開かれた第27回検討委員会でも大問題になっていた。委員会の追及から逃れるために、福島県は第28回検討委員会(昨年10月23日開催)から甲状腺評価部会の委員を大幅に入れ替えた。新たな委員のなかには、県民健康調査縮小論を積極的に唱えている高野徹(大阪大学医学部講師)が入っている。
福島県は県民健康調査を縮小する方向に誘導している。そのことを示しているのが次に示す事実だ。本年度から実施する新たな「甲状腺検査実施計画」の目的が、こっそりと変更されているのだ。今までの実施計画では、その目的に「子どもたちの健康を長期に見守るために」と「現地点での甲状腺の状態を把握するために」、この二つの理由が書かれていた。新たな実施計画では、その目的が「チェルノブイリ原発事故後に明らかになった健康被害として、放射性ヨウ素の内部被ばくによる小児の甲状腺がんが報告されており、子どもたちの健康を長期に見守るために甲状腺検査を実施する」となっている。二つあった理由のうち、後者が削除されている。
県民健康調査検討委員会は、「県民健康調査における中間取りまとめ」を2016年3月に発表している。この「中間取りまとめ」では、@被ばく線量がチェルノブイリ事故と比べて総じて少ない、A被ばくからがん発見までの期間が1〜4年と短い、B事故当時5歳以下の子どもからの発見はない、C地域別の発見率に大きな差がない、この4点を理由に「放射線の影響とは考えにくい」と結論づけ、小児甲状腺がんの多発と福島原発事故は関係ないとしている。
これに対応するかのように、2016年頃から県民健康調査にたいする縮小論がおきてきた。主導しているのは山下俊一らのグループだ。縮小論者は、「今の検査は将来的に治療する必要のない“潜在がん”を見つけている(過剰診断論)→その“潜在がん”を見つけることで、患者に必要のない不安を与えており、これは人権侵害だ→検査を縮小するべき」だと強調している。しかし、実際にがんの手術をおこなっている鈴木眞一教授(福島県立医大)は、「過剰診断」論を強く否定している。
甲状腺検査推進室長をしている緑川早苗福島県立医大准教授は、小中学生への出前授業で「ガンが見つかったら嫌だと思う人は、受けない意思も尊重されます」と講演し、子どもたちに縮小論をキャンペーンしている。しかし、甲状腺がんと診断された当事者におこなったアンケート調査(2017年に実施)では、甲状腺検査の維持、拡充を望む人は92%、縮小を望む人は0%になっている。このように、福島県民健康調査をおこなう側が、当事者の意志を無視して縮小論を唱えている。
原発再稼働
原発再稼働が進められている。3月14日に大飯原発3号機、3月23日に玄海原発3号機が再稼働した。さらに5月9日、大飯4号機、6月16日、玄海4号機が再稼働した。原発事故後、新規制基準のもとでの再稼働は9基となった。
さらに、東京電力は柏崎刈羽原発6・7号機の再稼働を視野にいれている。中国電力は、建設中の島根原発3号機(松江市、出力137万3千キロワット)の運転開始に向けた手続きも始めている。
このように、住民の意思を無視し、国と電力会社の意向だけで原発再稼働を決めている。この再稼働の目的は日本社会を「3・11以前の状態」に戻すことにある。2011年以降の反原発運動の全蓄積をかけて、われわれはこの再稼働を阻止しなければならない。
原発建設は安全コストの増大で、世界的に採算が悪化している。これは東芝の経営危機の原因にもなった。このなかで、原発輸出の動きも新たに起きている。日立製作所はイギリスに原発建設を計画している。国は総額3兆円規模にのぼる債務保証を全面的に支援する方針だ。政府は「技術を絶やさないためにも、英国のプロジェクト獲得は必要」(経済産業省幹部)との立場で、全面支援の姿勢を示している。もし損失が発生した場合には、一私企業の投資行為にたいして、私たちは負担を強いられることになる。まさに、安倍政権による「国家の私物化」だ。
2011年から始まった新たな運動
3・11以降の事態は、「政府は住民の生活と安全を守らない」ことを鮮明に示している。原発事故の避難者は、自らの生存権をかけてたたかっている。だから、戦争法反対や9条改憲に反対の運動にも参加している。
労働組合(連合)が反原発闘争をたたかわないなかで、その社会的存在意義をうしなった。自分たちの力で政治を動かし、自分たちの力で世の中を変えていかなければならない。3・11の経験から、市民はこのことを学んだ。誰かにたのむのではなく、どこかの組織にたよるのでもなく、自らの力に確信をもち、直接行動をする。このような新たな運動が芽生えている。反核、反原発、反被ばくを一体にしてたたかっていこう。
5面
(直撃インタビュー)
(第34弾)
ろうそく革命から南北朝鮮の平和と統一へ(下)
新しい国づくりが始まった
中村 猛さん(日韓民主労働連帯)に聞
いま朝鮮半島で“新しい国づくりが始まっている≠ニ言えるのではないだろうか。日本人は、明治以来、ずっと“国づくり≠ノ失敗し、敗戦後も、自分たちで国をつくるという経験をしないまま来たけど、朝鮮半島では何度も邪魔されてきたが、ついに“新しい国づくりが始まっている=B
南で言えば、今回のろうそく革命で叫ばれたスローガンが、「大韓民国は民主共和国である。大韓民国の主権は国民にあり、全ての権力は国民より出る」だった。これは憲法(第6共和国憲法)の第1条の条文。それをろうそく革命の中で国民が実感したのだと思う。
ろうそく集会が始まりだした16年11月に僕も行った。11月12日の「民衆総決起」には100万人。そこで叫ばれたスローガンは「下野、下野」だった。ろうそく集会は何次にもわたっておこなわれたが、最初の頃は「朴槿恵、下野」で集まってきた。
しかし朴槿恵を弾劾するかどうかをめぐって国会議員が動揺する。「朴槿恵が自主的に早めにやめるといっているから、それでいいんじゃないか」とか。しかし国民は「何をいってんだ、弾劾だ」と押して押して弾劾に持って行った。そして大統領選挙があり、文在寅になった。
僕が次に行ったのは17年3月だけど、その頃、みんながスローガンにしたのが「この国のすべての権力は国民に由来する」。これを60万、70万人が歌うんだ。この歌自体は08年のろうそく集会のときにあったが、16年11月には「下野、下野」だったものが、17年3月になると「権力は国民に由来する」。もう完全に意識が変わっている。文在寅が大統領になる過程では、「文在寅がなるんだろ。とりあえず文在寅にやらせよう。だめだったら換えたらいい」。まさに、「この国のすべての権力は国民に由来する」。こういう風に歴史が変わるのか、という現場に立ち会っているという興奮がある。
これを日本と対比してみると、本当によくわかる。“国づくり≠どうするかは政局の問題ではない。政権交代の問題ではない。
つくりながら考える
“どんな国をつくるのか≠ニいうのはまさに“つくりながら≠セろう。
文在寅が大統領になって最初にやったのが、最低賃金の引き上げだった。17・4%引き上げて時間当たり7530ウォン。もちろん、反対する側の人はいろんなことを言う。中小商工者が立ち行かないとか、経済がひっくり返るとか。それにたいしてどうするか。
ここが日本と違う。日本だったら、最賃引き上げの前にいろいろシミュレーションして、大丈夫ということを確かめてからやる。これは日本人の非常に優れたところで、同時に、非常にダメなところ。韓国人は、やってみればいろんなことが起こるから、起こったらそれをたたきに行けばいいと考える。ケンチャナヨ精神、“なんとかなるさ=B結局、最賃を引き上げたけど、失業率は変わらず、貧富の差は小さくなるなど、いい影響はたくさんでている。問題は、中小商工者が給与を払えないとか、利益が圧迫されるとかということだが、そういうのは国が補填しようと。問題が起こったところに、それに対処する。法律がいるところは必要な法律を作る。そういう風なやり方で進んでいる。
いま中小商工者が言っているのは、「私たちの経営が苦しいのは、最賃が上がったからではない。大企業から搾取されているからだ」。要するに、重層下請けのピンハネだ。あるいは、「甲質」ということが問題になっている。契約上、優位な者がおこなういじめやパワハラ。それに対して、いま「職場の甲質119」(注1)というオープンチャットが開設されて、相談がおこなわれている。
このように、最低賃金を引き上げた途端に、さまざまな問題が噴出している。そして、それにどんどん対処していく。最賃をひとつあげるだけで、社会構造を変え、社会的な意識を変えるような大きな変革が始まっている。
だから、“国づくり≠焜Eリ流(われわれ流)でやるのだと思う。日本から見るとうまくいかないのではと思ってしまうが、それが違う。むしろある程度、混乱を起こしつつ、壊すものを壊しつつ、創造していく。これが朝鮮の人びとの国づくりにおける基本的なコンセプトだと思う。
だから僕はかなり楽観している。いろいろ、シビアな問題、多岐にわたる問題があるし、関係国の利害や思惑も交錯するけど、民衆のレベルでは大きく構えている。それから、もしこれに失敗したら、「地獄の朝鮮」に戻ってしまう。それはもう絶対に嫌だという思いが強くある。
問われる日本の民主主義・労働組合
日本人の中から、“この国は自分たちでつくるんだ≠ニいう気概が失われている。“誰かがやってくれる≠ニなっている。例えば、小泉が“自民党をぶっ壊す≠ニいうのを拍手喝采して、それがだめだと民主党政権になってまた拍手喝采して、でもやっぱりだめで…と。
日本の場合、国づくりにたいする民衆の責任感、自分たちが決める、どういう結果になろうと自分に責任があるという構えということが韓国と違うのではないか。
福田事務次官の問題で、韓国の新聞の見出しが―保守系だけど―、「セクハラであんなことまでやっても首も取れない日本」だった。すごい見出しだなと思って最後まで読んだら、「この国は、自分たちの力で政権を変えたり、国をつくったり、そうした体験のない国だから、こういうことが起こるのです」と。保守系の新聞に言われるのは悔しいけど、“国づくり≠ノついての国民意識にはかなり差があいているということを実感している。
それは、労働組合でいえば指導者の問題だ。特に企業別に労働組合を組織して、企業の利益によって自分の生活が支配されるという労働組合の作り方をすると、労働組合がその先頭に立つというのは不可能だ。“もうかっている会社と、もうかっていない会社との労働条件に差がつくのは当たり前≠ニ思っている人が差別にたいしてたたかえない。
僕たちの責任で言えば、労働組合づくりの仕方が間違っていたということだろう。差別を当たり前と思う労働組合をつくってしまったんだ。口では“団結、団結≠チていうけど、差別を当たり前と思うところに団結はありえない。
韓国に「学非労」(学校非正規職労働組合)というのがあるが、そのスローガンに「差別を当たり前と思う学校で、うちの子どもに何を教えるんだ」と書いてある。この精神だろう。
韓国に いまこそ学ぶ
問題は、この日本において、あれだけ敵が失策を重ねても、一つの首も取れない、この日本の社会が変わる契機をどういう風につかむか。日本人のなかに古くから韓国を差別する意識があるから、韓国の話など聞きたくないという人がたくさんいるけど、そうではなく、どこが問題でどの部分が日本でも生かせるのかということをちゃんと見る必要がある。その辺に僕の役割もありそうな気がするし、“こんなことを考えているんだよ、こんな運動をしているんだよ≠ニいったことを、日本の労働者に1人でも多く知ってもらいたい。“そんなことないだろう≠ニいう人には、“私がいっしょに行くから、見てください。そういうことが起こっているでしょ≠ニ。すごいいい鏡、モデルが韓国にできて、いま動いているわけだから、いま勉強するときだろう。(おわり)
(注1)「力強く走れ!『職場の甲質119』」〔レイバーネット 「韓国労働ニュース」 https://labornetjp.jimdo.com/koreanews〕
朝韓会談翌日にピョンヤンを訪問 A
明るく友好的な朝鮮の人々
S・K生
ピョンヤン市内の学生たち(5月撮影) |
インター斉唱
朝鮮では日本人への敵意が醸成されているのではないかと少々身構えていたのだが、入国審査から出国まで「笑顔の接待」が続いた。音楽交流を「武器」とする私たちにあらゆる場所で、盛大な拍手と合唱、そして踊りの輪が広がった。
メーデーの日の夕食会では「インターナショナル」のリクエスト。この歌は世界で一番多くの言語で歌われているはずだ。この曲になると朗々たる大合唱。
私のように高校生の時から社会主義青年同盟で、革共同とも共産同とも仲良く、時には争いながら活動し、プロレタリア統一戦線・国際主義を標榜する身にはとてもうれしかった。
わが団の一人のインタビューを受けたうら若き朝鮮の女性は、「これは日本に報道されるのですか。日本と良い関係になりたいです。安倍首相は民意をくみ取り、良い政治をして、わが国と平和な関係になるようされたらどうでしょう」と話していた。その映像は帰国後の日本の人気テレビ番組でそのまま放映されたのである!
経済発展
朝鮮では医療費、教育費、住居費は無料だ。平均的な労働者の賃金は月数千円程度だが、可処分所得ゼロあるいはマイナスになる日本やアメリカの労働者にくらべて、人々の気持ちは豊かだ。
いま朝鮮ではピョンヤンのような街作りを地方に広げようとしている。一朝一夕にはいかないだろうが、そのために朝鮮国民が「一心団結」で取り組んでいることを実感した。
これまで朝鮮の社会主義経済・国家建設の重しとなっていた米韓日との軍事対峙が、対話と軍縮の進展へと転換すれば、この国の経済発展は爆発的に進むだろう。朝鮮と日本との関係も見受けられる。たとえば北京の朝鮮大使館や南北会談で一躍有名になった冷麺の玉流館のトイレはTOTOの便器が使われている。北京朝鮮大使館の公用車は日産だ。日本から空輸で1時間、物資を大量に積める船便でも1日で行けるのが朝鮮だ。早期の国交樹立が望まれる。(おわり)
6面
プルトニウム利用はごめんだ
核燃サイクルの危険性明らか
ドキュメンタリー映画監督の渡辺謙一さんが、核燃料サイクルの嘘を暴いた(6月10日 大阪) |
6月10日、「プルトニウム利用はごめんだ 関西集会」が、大阪市内でひらかれた。主催は〈脱原発政策実現全国ネットワーク 関西・福井ブロック〉。フランス在住のドキュメンタリー映画監督・渡辺謙一さんが、「核燃料サイクルの嘘―アメリカ、フランス、日本」と題して講演した。その後、「核燃料サイクル政策を斬る」というテーマで、パネルトークがおこなわれた。
渡辺さんは、映画「核の大地・プルトニウムの話」(2015年制作)で取材した映像を用いて、米のハンフォード、仏のラ・アーグ、日本の六ヶ所村におけるプルトニウム再処理工場の現状と問題点を明らかにした。
パネルトークでは、4人が発言。核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団事務局長の山田清彦さんは、高レベル放射性廃棄物はすでに六ヶ所再処理工場に220立米、東海村再処理工場には360立米あるが、ガラス固化を含めてどうすることもできない現状だと指摘した。また、再処理工場ではトリチウム(3重水素)などの放射性物質が大量に放出されることをデータで示して、その危険性を指摘した。
ストップ・ザ・もんじゅ代表の池島芙紀子さんは、「高速炉計画では、半減期が非常に長い放射性廃棄物を短寿命の物質に変えると言っているが、こんなことは不可能」。
中嶌哲演さん(反原発福井県民会議代表委員)は、プルサーマル問題について「大間のフルMOX原発では、6・1トンのプルトニウムが使われる。MOX燃料の値段はウラン燃料の10倍くらい。経済性などは考えていない」と指摘した。また、中嶌さんは原発立地地域の住民と都市住民の連携を訴えた。
元衆議院議員の服部良一さんは、国会に提出されている原発ゼロ基本法案と日米原子力協定についてふれた。朝鮮半島の非核化について、日本の核(プルトニウム)保有こそが問題にされるべきだと述べた。
映画『核と大地』で、小出裕章さんは「日本が核武装したいと思っているかぎり、核燃料サイクルはあきらめない」と述べている。核と原発と被ばくを一体にとらえていく必要がある。(水野静夫)
渡辺謙一さんの講演要旨
六ヶ所村は再稼働できない
ハンフォードはマンハッタン計画でつくられた秘密基地のひとつ。プルトニウムをつくるために、原子炉3基と再処理工場を建設した。このプルトニウムで原爆をつくり、長崎に投下した。マンハッタン計画では、核兵器を作ることと同時に、もうひとつ重要なテーマがあった。それは放射線による人体への影響を調べることだ。放射線のしきい値を確定するために、さまざまな人体実験がおこなわれている。ヨウ素131を飲ませたり、プルトニウムを人間に注射したり。戦後では、ヨウ素131を大気中に放出して、農民にどのような健康被害が出るかを調べたりもしている。
ここには、高レベルの放射性廃棄物(約2億トン)が地下に貯蔵されている。金属製タンクに腐食がおき、廃液が漏れだしている。除染のために、企業は大もうけをしているが、労働者は被ばくを強制され続けている。
ラ・アーグに、フランスの再処理工場がある。ハンフォードで起きたことが、ラ・アーグでもおきようとしている。ハンフォードとの違いは、フランスでは軍事利用と民生利用が一体でおこなわれ、プルトニウムを軍事目的だけではなく、原発のために再利用しようとしたことだ。ここでも低レベル放射性廃棄物を入れたタンクが腐食をおこし、プルトニウムが地下水に混入している。最近、この事実が発覚した。フランスでは反原発運動は少数派で、ひとびとは核問題にあまり関心をもっていない。
六ヶ所再処理工場について、日本原燃は再稼働できないことをよく知っているはずだ。政府は勇気を持って、はやく決断すべきだ。また、大間原発、東通原発、むつ中間貯蔵施設を含めて、この地域を一体的につかむことが重要だ。日本の原子力ロビーは、中国にたいする対抗意識から核武装を考えている。中国とは面積は25倍、人口では10倍も違うのだから、変な対抗意識はすてるべきだ。日本は原発をやめて、日本独自のやり方を考えていくべきだ。
改憲阻止・安倍打倒を一体で
『展望』第21号の活用を
歴史的な4月南北会談、6月米朝会談のさ中に『展望』21号は発行された。核軍事力を背景とした米帝基軸の世界支配体制は、トランプの登場を期しての「世界の警察官の地位放棄」が、いま現実に進みつつある。東アジアを巡る情勢は大きく変化するであろう。しかしながらこのなかで、日米同盟に忠実に寄り添いながら米帝からさらなる経済的負担増を求められる安倍政権は、内外する危機の突破の道を、憲法を改悪し戦争可能な国づくりとして進める以外ない。
そのため『展望』21号は「特集=安倍改憲阻止のために」の3論文を軸に編集された。落合薫論文は1993年に登場して以降、一貫して新右派政治の推進者してあった安倍晋三と、その政権の「強さと弱さ」を分析し、改憲国民投票を政権不信任投票にし、独裁的・私物化政治打倒の道を探っている。
首都圏からの寄稿としての境野論文は、安倍三選下では必ずある改憲国民投票を見すえ、それとほぼ同じ構造を持つ国政選挙、とりわけ2017年解散・総選挙の具体的分析から野党共闘の強化・発展の道を探り、「国論二分+一票」の計の練り上げを訴えている。
福祉解体との最前線でたたかってきた土本均の論文は、日本国憲法の持つ国際主義と権利条項を改めて措定し、その全面活用が安倍改憲阻止の力となるとする。この3論文一体で活用すれば、改憲阻止と安倍打倒が一体でかち取れると確信する。
改憲プランが遅れ危機に立つ安倍政権の労働者階級への大攻撃が「働き方改革」関連法で、米田啓論文は「高プロ」阻止を呼びかけている。終盤国会でまたもデータ偽造が暴かれたこの法案を何としても粉砕しよう。この安倍政権が一貫して闘争圧殺のため全体重をかけてきたのが沖縄闘争つぶし=辺野古新基地建設である。地をはうたたかいをベースに、8月土砂搬入阻止、11月知事選勝利へ今一度全勢力の取り組みをおこなおう。
前号に続く、「ロシア革命100年、10・8羽田闘争50年」の企画として、ドイツ1917年の労働者のたたかい(八代秀一論文)と、10・8闘争を担った板倉元朝さんの証言と10・8山ア博昭プロジェクト本の書評を掲載している。1917年のロシア・ドイツなどのたたかいと、つづく世界の革命運動の教訓、また日本の1968年のたたかいなどは、現代世界を根底的に変革する立場から改めて検証・継承していく必要がある。
巻末は2017年度の革共同関西地方委員会の報告=「我々をとりまく情勢」である。おりしもの南北会談・米朝会談を前にしての「アメリカの覇権」の「終焉」を解き、またEUや習近平の中国を分析し、韓国ろうそく革命の意義を学ぶなかから、9条改憲阻止・安倍打倒を訴えている。学習・討論の材料として大いに活用してほしい。(倉田)