改憲絶対阻止 アベを倒せ
全国統一署名 1350万筆
5月3日 東京
6万人が参加した東京の憲法集会。安倍政権にたいする怒りの声があがった(5月 3日 有明防災公園) |
5月3日、東京・有明防災公園で「9条改憲NO! 平和といのちと人権を! 5・3憲法集会」が開かれ、6万人が参加した。同集会実行委員会が主催し、〈戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会〉と〈安倍9条改憲NO! 全国市民アクション〉が共催。
安倍政権は、森友・加計学園問題、防衛省のイラク日報隠し、財務省・福田事務次官によるセクハラ問題など、とどまるところを知らない腐敗とその隠蔽体質をあらわにしている。人民の怒りは頂点に達しており、政権基盤は大きく揺らいでいる。こうしたなかで、一部には「安倍の下での改憲はなくなった」とか「改憲スケジュールの遅れは必至」などの楽観論が出始めている。しかし、こうした予測には大きな危険がある。安倍が改憲にかける執念を決して軽視してはならない。政権が危機に陥れば陥るほど、これを打開するためにも、改憲の衝動は強まっている。そうしなければ政権への求心力を一気に失ってしまうからだ。そのような意味において、今年の憲法集会は、例年以上に重要な行動となった。
司会は、〈芸人9条の会〉古今亭菊千代さん。高田健さんの主催者あいさつに続いて、第1部・トークのコーナーでは、作家の落合恵子さん、ジャーナリスト・和光大学教授の竹信三恵子さん、室蘭工業大学准教授・清末愛砂さん、一橋大学名誉教授・山内敏弘さんの4人がアピール。
改憲は絶対止める
落合さんは「『おとなしく、従順な羊の国は狼の政治を生む』と言った人がいます。私たちは、醜悪で最悪で嘘ばっかりの狼(安倍政権)に自分たちを差し出すつもりは毛頭ないということを約束しましょう」。清末さん「軍隊は、私たちの命を奪うことこそすれ、決して民衆を守るものではありません。どんなことがあっても改憲を阻止しましょう」。
政党あいさつに続いて、沖縄平和運動センター議長・山城博治さん、高校生平和大使、福島原発告訴団・武藤類子さん、東京朝鮮学校の生徒、日本労働弁護団事務局長・岡田俊宏さんなど8組の人たちがアピール。
次に、全国統一署名の経過報告では4月末現在で1350万筆を超えたと報告された。連帯あいさつを、〈安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合〉諏訪原健さん。福山真劫さん(総がかり行動実行委員会共同代表)から行動提起を受け、参加者は2コースに分かれて、「9条改悪反対」「改憲絶対阻止」を訴えながらデモ行進をおこなった。(2、6面に関連記事)
安倍内閣は即時退陣!
大阪憲法集会に2万人
「民主主義の破壊許すな」「アジアの平和、沖縄基地反対」を訴えた(5月3日大阪 扇町公園) |
5月3日、扇町公園は雨上がりの青空のなか、大阪府下各地から続々と人の波が続いた。右翼グループの妨害をはね返す結集。安倍内閣の9条改憲攻撃、国政私物化・改ざん・隠蔽・セクハラのしたい放題に、「民主主義がつぶされている」という憤激の結集だ。その数は途中で2万人と発表された。参加者は広い扇町公園の後ろの芝生部分も埋めた。
「世界は平和に向う」
本日で全国統一署名が1350万人に達したことが報告された。立憲民主党、日本共産党など5野党からアピール。全国統一署名を呼びかけた全国市民アクション発起人で精神科医の香山リカさんが、南北首脳会談で朝鮮半島の緊張緩和が進んでいることに触れ「世界は平和にむかっている」とし、アジアの平和、沖縄基地反対、安倍退陣をきっぱり訴えた。
川口真由美さんとおもちゃ楽団の心をつなぐコンサート。各分野からは、〈森友学園問題を考える会〉木村真豊中市議、〈子どもの未来を考えるママの会〉コナミさん、〈大阪平和委員会青年学生部〉山本のり子さん、〈STOP! 辺野古新基地建設! 大阪アクション〉陣内恒治さんがスピーチ。「安倍政権の一日も早い退陣、いのちとくらしと人権実現」の集会宣言を採択して、3コースのデモに出発した。
主張
常用雇用原則の放棄許すな
雇用対策法改悪のねらい
安倍政権は働き方改革関連法案を4月6日閣議決定し、連休直前の4月27日に審議入りした。衆院厚生労働委員会では5月2日と9日、審議がおこなわれた。2日は日本維新の会を除く野党6党が欠席するなかで審議を強行。安倍首相はこの法案の成立に政権の命運をかけている。
過労死合法化に道を開く〈働かせ方改革〉を許してはならない。すべての就労者の命と健康を脅かす反動法案を安倍政権もろとも葬り去ろう。
当初、安倍政権はこの法案を2月中に閣議決定する方針だった。ところが法案の根拠となる労働時間にかんする資料がねつ造されていたことや、野村不動産の過労死問題が暴露され、「裁量労働制の拡大」が法案から削除されることになった。
重大なことはこのねつ造された資料で労政審の審議がおこなわれていたことである。この一点だけで、法案全体の正当性は崩れ去っている。直ちに廃案とする以外にない。
修正された法案では、残業時間の罰則付き上限規制、残業代ゼロの高度プロフェッショナル制度の新設が柱となっている。まさに8時間労働制の破壊であり、過労死の合法化である。勤務間インターバル規制も努力規定にとどまっている。「同一労働同一賃金」をうたっているが、実態は「合理性」があれば差別賃金を容認するもので、決して「規制強化」ではない。
働き方改革法案をめぐる議論を展開する上で、雇用対策法の改悪にたいする批判を重視しなければならない。
厚生労働省が発表した「働き方改革法案の概要」のなかで、「働き方改革の総合的かつ継続的な推進」を担うものとしてトップに位置づけられているのが雇用対策法の改悪なのである。働き方改革法案では法律の題名とその目的を変更しようとしている。現在は「雇用対策法」だが、それを「労働施策の総合的推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実に関する法律」に変える。また現行法の目的である「労働力需要の質量の均衡」を「労働者の多様な事情に応じた雇用」および「労働生産性の向上を促進」に変えるというのだ。
法律の名称が「雇用対策」から「労働施策」に変わるということは、法が「多様な労働」の名のもとに非正規雇用を積極的に認めるということである。それは法が正規雇用・常用雇用という原則を放棄するということである。これは戦後労働法の原則の大転換である。すでに日本では非正規雇用が40%に及んでいるが、これをさらに拡大することを法にうたうというのだ。
またここで言われている「労働生産性向上」が労働時間規制撤廃と一体化するとどうなるか。雇用責任を取らない資本による奴隷労働が許されるようになる。労働者の生活と健康を際限なくむしばむ社会に変えようとするのが働き方改革法案なのだ。絶対に廃案においこもう。(森川数馬)
2面
第89回中之島メーデー
はね返そう 労組つぶし
大阪
非正規差別の撤廃を訴える郵政産業ユニオンのなかまたち( 5月 1日 大阪市内) |
5・1中之島メーデー(事務局:全港湾大阪支部、大阪全労協、全日建連帯労組)が大阪のたたかう労働組合の結集で取り組まれ、晴天のなか「メーデー休日」を行使して結集した。午前中の争議行動をたたかって中之島公園・剣先ひろばに700人が集まり、午後1時から集会。その後メーデー旗、組合旗、各種横断幕を掲げ、大阪証券取引所や大企業本社が並ぶビジネス街〜関電前〜西梅田までのデモをおこなった。大阪各所、東京・全国のメーデーと連帯してのたたかいとなった。
労組つぶし許さない
集会は連帯労組関生太鼓で威勢のいい開幕。主催者あいさつで全港湾大阪支部・樋口委員長は「港湾労働者の働きやすい職場を。維新政治を許さない」「労組つぶし、産別つぶしをけちらすメーデー」と大資本、警察権力、ヘイト集団が一体となった弾圧とたたかうと訴えた。
その後特別アピールとして、森友学園問題を木村真・豊中市議、働き方改革問題を大阪労働者弁護団・中島光孝弁護士がおこなった。木村さんは「何をやってもいい政治、異常だ。国民の力で安倍を退陣に。民主主義を守れ」と言い、中島さんは「法案が強行的に27日審議入りした。同一労働同一賃金の実現」「非正規差別撤廃」を訴えた。
来賓あいさつを〈「しないさせない! 戦争協力」関西ネットワーク〉中北龍太郎さん、野党の地方議員からも。そして音楽パフォーマンスとして、川口真由美さんが沖縄辺野古の現場で日々歌う歌を会場をまきこんで披露。
必ず勝って見せる
郵政産業ユニオン、YMCA労組、教育合同、ケアワーカーズユニオン、なかまユニオン、連帯ユニオンエム・ケイ運輸分会、関西生コン支部の各労組から現場の報告がなされた。
郵政産業ユニオンは2月21日の労契法20条裁判勝利を報告、悪質経営とたたかうYMCA、なかまユニオンのたたかい、介護現場の劣悪環境と労組を中心に事業者とも連携する安心介護運動。そしてヘイト集団の攻撃(取締役にヘイト幹部を登用)とたたかい、ストライキに突入して517日目となるエム・ケイ運輸分会の分会長は「一人も欠けずここまできた、全員で必ず勝ってみせます」と結んだ。全日建関生支部副委員長は昨年12月ストライキに「日本最大の大阪広域協組の一部執行部がヘイト集団を使いついに労働組合つぶしに入った」「労働者の団結で跳ね返す」と決意を語った。
最後に大阪全労協議長が、「最高益をあげる財界を許すな。安倍を倒せ。来年のメーデーは天皇代替わり攻撃とのたたかい」と閉会のあいさつ。
たたかうメーデー
大阪市内では港合同の港地域メーデー、西成区の釜ケ崎メーデー、扇町公園、大阪城公園。府下各地域のメーデーに6万人以上の取り組みとなった。東京で開かれた7000人の日比谷メーデーでは非正規・外国人労働者の取り組りみがメインとなり、代々木公園では2万8千人で働き方改革反対が叫ばれた。新潟では統一メーデーが実現。韓国・ソウルの民主労総メーデーは「朝鮮半島の恒久平和、整理解雇反対・同一労働同一賃金・労働者三権保障」、#me too運動に呼応し「セクハラ一掃」も掲げ2万人が参集した。 「北東アジアの阻害物=安倍倒せ」(日比谷メーデー発言)、新自由主義とたたかう労働運動の再生陣形へのうねりと息吹を感じる18年メーデーとなった。
8時間働いて暮らせる社会に
はたらく仲間のメーデー
神戸
医療生協の仲間たちによる三線演奏(5月1日 神戸市内) |
4月29日、はたらく仲間のメーデーに参加した(神戸市内、鉄人28号の巨像のある若松公園)。前段には約150人が、元気よく長田の商店街を1周するデモに出た。会場の演壇横断幕には〈8時間は労働のために、8時間は休息のために、8時間はわたしのやりたいことのために!〉と今年のテーマが貼られていた。
宇野克巳神戸地区労議長が開会あいさつ。参加労働組合の紹介、小劇『私たちが職場と働き方を変える』があり、その後、屋台村が販売を開始した。
県職労神戸支部、全港湾神戸支部、神戸ワーカーズユニオン、あわはら富夫市議後援会、郵便労働者、国労兵庫保線分会、社保労連、清心ホーム、関西合同労組など15組合・団体がブースを開いた。
ステージは、歌(全港湾山陽バス分会、熟年者ユニオン、神戸ワーカーズユニオン)、三線演奏(医療生協)、舞踊(朝鮮高級学校)と多彩。関西合同労組もミニデイスタッフ、ワーカーズコープの仲間と奄美料理屋を出店し、サーターアンダギー、油ソーメンで大繁盛。組合員、知人・友人らが参加してくれた。手料理あり、お酒あり、ステージあり、歓談ありで楽しい1日だった。はたらく仲間の祭典は大成功した。(湯島孝史)
MAYDAY あまがさき
「働き方改革」を批判
1日夜、MAYDAYあまがさき2018が尼崎市内で開かれ180人が参加した(写真)。主催は尼崎地区労働組合人権平和センター。尼崎地区労は「市民と野党の共闘」の前進に踏まえて、労組や政党、市民運動に広く参加を呼びかけた。
主催者あいさつで酒井浩二地区労議長は、安倍政権が進める「働き方改革」を厳しく批判。県会議員などの発言に続いて、全港湾、兵庫土建、関西合同労組が職場報告。メーデー宣言を読み上げたのち、尼崎市内をデモ行進した。
JR尼崎事故13年
変わらぬ企業 声を現場から
4月21日、尼崎市内で「2018年 ノーモアJR尼崎事故 生命と安全を守る集会」が80人をこえる市民、労働者が集まって開かれた(写真)。
集会の基調を国労組合員がおこなった。「2005年4月25日に起きたJR尼崎事故は、107人の死者と562人の負傷者を出し、今なお多くの遺族・被害者の方々に心の傷をおわせています。裁判では、JR西日本の山崎正夫元社長をはじめ歴代三社長は『隠ぺい・虚偽』の証言に終始し、無罪判決を言い渡しました。あの大事故すら誰一人罪を問われなかったのです。昨年12月11日に起きたのぞみ34号の事故は、あと3センチで台車破断するところであり、JR西日本の無責任体制のもとで、まさに起きるべくして起きた事故だったのです。私たちはJAL労働者不当解雇撤回争議団など多くの争議団と共闘し、今日の集会を、事故の教訓を決して忘れず、首切り・民営化・規制緩和に反対する多くの労働者とより強く連帯し、共にたたかいに立ち上がる決意を持ち合う集会としていきましょう。」
組織罰の実現を
基調をうけて遺族の藤崎光子さんは、去年の新幹線のぞみ事故について「JR西日本は変わっていない、驚きと不信をつのらせている。これだけの大きな事故・尼崎事故が起きて誰も責任を取らないというのは納得できない。企業、法人を裁ける組織罰の実現にむけて取り組んでいる。いま署名運動を始めていますので協力を」と要請した。また、遺族はこの間韓国のセウォル号事故の被害者家族と交流していることを報告した。
『新聞うずみ火』代表の矢野宏さんは、「現場主義と日々の暮らしのなかで、反戦・反差別を貫いて新聞を作っている」と前置きしたうえで、JR西日本の企業体質について述べた。「のぞみ34号台車事故は、異常を知りながら、なぜ運行し続けたのか。JRでは、列車を止める権限は指令員にあり、その指示を待つ余裕がない時は現場判断で止めるとなっている。この事故は、お互いに相手が判断するだろうと責任を押し付け合い、うまく状況把握ができない現場と、希望的観測に基づく指令員のやりとりのなかで起こった。会社幹部は、『列車を現場判断で止めろ!』といっているが、これはある意味、現場に責任を転嫁することにつながる。今求められるのは、『おかしいことはおかしい』と声をあげていくことだ、森友問題の木村豊中市議、セクハラ問題のテレ朝の記者の勇気ある行動が社会を動かしていく、声を上げていこう」と訴えた。
鉄道安全問題研究会の地脇聖孝さんから、JR北海道問題と新幹線台車事故問題が提起された。「台車事故の教訓として、@現場の保守担当と指令員との権限は指令員が強い、A乗務員と指令員の交信状態を上司・他指令員は共有できない、B台車納入時にJR側が検査をしていないことなどについて検討していく必要がある。」
そのあと、JR現場労働者からホーム要員の必要性、リニア市民ネットからリニアの問題点が指摘された。JAL争議団の西岡ひとみさんは、「植木義晴会長は『自分の代で争議を解決したい』と発言。不当解雇撤回にむけ一層の支援を」と訴えた。集会後、JR尼崎事故現場にむかってデモをおこない、献花してこの日の行動を終えた。(国労 高崎庄二)
3面
各地で憲法集会
9条守り憲法生かそう
安倍政権はウソばかり
神戸
神戸市内でひらかれた「戦争させない、9条壊すな! 5・3兵庫憲法集会」は1昨年に続き9千人が集まった(主催者発表、神戸・東遊園地)。〈戦争させない9条壊すな!5・3総がかり行動兵庫県実行委員会〉が主催した(写真)。
司会は小山乃里子さん(ラジオ・パーソナリティ)で、高石ともやさんのミニコンサートのあと本集会。
主催者を代表して羽柴修さん(弁護士9条の会、9条の心ネット)は、「3月に自民党憲法改正推進本部のとりまとめ案が出された。9条2項をそのまま残し2項の2を設け自衛隊を明記するという。自衛の措置をとることを妨げない、従来の必要最小限の実力組織という表現を取ってしまう。3000万人署名運動は、9条とともに13条その他、憲法を生かすことを引き続き訴えていくという大きな意義を持っている」と話した。
桜井周・衆議院議員(兵庫6区・立憲民主党)が「安倍政権は疑惑とウソばかり。一方、憲法21条には、表現の自由が明記されている。それは知る権利を伴う。それをないがしろにし、9条は変える。とても容認できない」とあいさつ。
メインゲストは神田香織さん(講談師)。「私は福島県いわき市出身。地元では一応名前は知られていた。いま、同郷で有名人になったのが佐川宣寿前国税庁長官ですよ。それにしても森友、加計、イラク日報。はてはセクハラと出るわ出るわのウソばかり。安倍首相に憲法を変える資格はない。言わねばならない。止めましょう」と、声を張り上げた。
集会の後、3コースに分かれ三宮、元町までデモ。市民デモHYOGOは「安倍やめろ!」の大横断幕を広げて市民にアピールした。
戦争廃止へ世界に提起
9条の意義を強く確認
滋賀・大津
5月3日、安倍9条改憲NO! 滋賀県民集会が大津市内でひらかれ400人が参加した(写真)。主催は、安倍9条改憲NO! 市民アクション滋賀。集会では市民アクション滋賀の呼びかけ人のなかから4人が発言した。
元滋賀県知事の竹村正義さんは「私達は日本を大国にするのではなく、キラリと光る国にしよう、その光る中心が憲法9条です」。滋賀県立大学の河かおるさんは「日本が先の戦争と植民地支配で、その賠償責任をいまだに果たしてない国が一つあり、それが朝鮮です。ソ連参戦の8月9日以前にポツダム宣言を受け入れていれば朝鮮は分断されることはなかった。今年はいよいよ朝鮮戦争が終結しようとしていて日本の存立条件は大きく変わる」。弁護士の井戸謙一さんは「1928年のパリ不戦条約で戦争してはいけないと確認しても戦争は続いた。交戦権と武力を認めない憲法9条2項は決定的な戦争廃止の世界的な提起であり、これをなきものにしようとすることを絶対に阻止しなければならない」。
参加者は確信を持ってさらに3000万署名など改憲反対運動を進めようと決意。集会後、市内をデモ行進した。(多賀)
憲法の理想を追求しよう
沖縄県議 仲村未央さん
広島
憲法記念日の5月3日、広島市では「9条改憲NO! 平和といのちと人権を!ヒロシマ憲法集会2018」が開催され、1800人が参加した(中区ハノーバー庭園)。主催は〈戦争させない・9条壊すな! ヒロシマ総がかり行動実行委員会〉。
三宅太鼓による和太鼓演奏、開会あいさつの後、岩国市議会議員の田村順玄さんが「岩国からの報告」として横田から米軍艦載機の移駐、F35の配備など強化される岩国基地の現状と反対運動にふれ、支援の要請をおこなった。
講演は沖縄県議会議員で元琉球新報記者の仲村未央さん。仲村さんは、沖縄では「復帰っ子」と呼ばれる世代の立場から、沖縄の米軍基地問題の現状を報告し「戦争に反対し、憲法の理想を追求し続けましょう」と訴えた。
「ヒロシマ憲法集会アピール」を採択し「安倍やめろ!」のメッセージを全員が掲げた。その後、広島フラワーフェスティバルでにぎわう繁華街などを行進した。
続いて関連行事。広島憲法集会「マイライフ・マイ憲法」(実行委員会主催)が県民文化センターで開かれた。弁護士の石口俊一さんが「なぜ今憲法改悪なのか。もっと大事なことがあるのでは」と講演した。同時に憲法ミュージカルも上演された。
南北会談をどう見るか
孫崎享さん金光男さんが講演
大阪
会場いっぱいの参加者は、熱心に2人の講演に聞き入った |
元外務省国際情報局長で評論家の孫崎享さんと、在日韓国研究所の金光男さんの講演会が、6日大阪市内で開かれた。主催は戦争あかん! ロックアクションと日朝日韓連帯大阪連絡会議。韓国参与連帯・安珍傑さんのビデオメッセージも紹介された。
4月27日南北首脳会談当日、ソウルに滞在していた金光男さんは今回の南北首脳会談と板門店宣言を高く評価し、熱のこもった講演をおこなった。孫崎享さんは約1時間講演した。最後に「対話に水を差すのではなく、朝鮮半島・東アジアの平和体制の構築を志向する南北、朝米対話に日本政府として協力し、そのうえにたって日朝首脳会談を実現すること」という集会決議を参加者全員で採択した。(池内慶子)
平和協定締結で非核化へ
金光男さん
今回の南北首脳会談および板門店宣言に北朝鮮非核化についての具体的な内容がないという意見があるが、宣言では「完全な非核化によって、核のない朝鮮半島を実現する共同の目標を南北は確認した」とある。「アメリカとの間で信頼が築かれ、終戦と不可侵が約束されるならば、北朝鮮としても核を持つ理由がない」と金正恩は、首脳会談で発言した。北朝鮮が、韓国政府の求める完全かつ検証可能で不可逆的な非核化を受け入れる意思があると示したのだ。
北朝鮮は、文在寅大統領が就任した当初、「文在寅はアメリカの手先だ」とののしっていた。ではなぜ対話路線に踏み切ったのか。私は、昨年8月15日光復節で、文大統領が「韓国政府はすべてをかけて戦争だけは阻止する。朝鮮半島での軍事行動は大韓民国だけが決めることができ、誰も大韓民国の同意なしに軍事行動を決めることはできない」と発言したこと。平昌オリンピック期間中、韓米軍事演習を延期させたこと、この二つが理由だと思う。
板門店宣言は朝鮮半島の非核化について、具体的な記述はないが、それは、南北間だけで非核化を実現することはできないからだ。朝鮮半島の非核化、北朝鮮の核放棄は、アメリカと北朝鮮の重大な議題だ。朝鮮戦争の終結宣言、休戦協定を平和協定に転換し、最終的に北朝鮮とアメリカが国交を正常化することだ。これはボルトン補佐官に代表される、アメリカのタカ派たちのために直線的に進むことはないだろう。
非核化できる枠組みを
孫崎享さん
現在の朝鮮半島情勢は韓国大統領の危機感から始まっている。
米戦略国際問題研究所のビクター・チャが駐韓米国大使就任の内定を取り消された。彼が「北との武力衝突はよくない」と言ったためだ。トランプ政権の周辺は非常に危険な人が多い。ボルトンはイラク戦争の推進者の一人。査察制度を利用して、大量破壊兵器がないのに「ある」と言って攻撃した。そんな人間が国家安全保障の中心にいる。ソ連が崩壊して「脅威」がなくなった。なのになぜ「軍事が必要」と国民に説得できるのか。米国は軍事を継続させるためにイラン、イラクそして北朝鮮が必要だった。イラクはつぶされ、残りはイランと北朝鮮になった。
「北朝鮮に核兵器を持たせない」ということがほんとうの目的ならやれることはいっぱいある。核保有国は非核保有国にたいして絶対に核攻撃をしないことを約束する。実はこれは日本の外務省がおこなっていた政策だが今、それがなくなった。北朝鮮の非核化を望むのであれば、非核化できる枠組みを作ることだ。散々脅かして、「核兵器放棄を約束しろ」といっても無理だ。
4面
阪神教育闘争70周年・火曜日行動
民族教育を守る 連綿と
4月24日 大阪
雨の中、大阪城公園から600人が「民族教育を守れ」とデモに出発(4月24日) |
4月24日、「阪神教育闘争70周年・火曜日行動」が大阪府庁近くの大阪城公園教育塔前でひらかれ600人が参加した。1948年4月24日、強制閉鎖に追い込まれた民族学校を守るために大阪府庁前・公園に集まった在日朝鮮人の人々にたいして、占領軍(当時)や警察隊が武力弾圧を加え、重軽傷者は数百人、逮捕者は3千人にのぼった。そのなかで16歳の在日少年が凶弾に倒れた。70年目のこの日、毎週火曜日に府庁前でアピール行動をしている〈朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪(以下、無償化連絡会大阪)〉が主催して、集会とパレードがおこなわれた。
昼前から本格的に降り出した雨のなか、続々と人々が集まってくる。70年前の阪神教育闘争に思いをはせ、今も続く朝鮮学校差別を許さない、民族教育を守ろうと、291回目の火曜日行動として、朝鮮学校の生徒・教員、保護者はじめ、日本人支援者らが参加した。
無償化連絡会大阪事務局長・長崎由美子さんは開会宣言で「南北会談が間もなく始まり、東北アジアが大きく変わろうとしているとき、もう一度、平和と民主主義をとり戻すためにも、この朝鮮学校への差別をなくしていくために頑張ろう」と発言。
裁判弁護団の弁護士から、「70年経った今、法の厳格適用という形の民族弾圧がおこなわれている。根底に流れているのは朝鮮民族にたいする差別思想であり、同化思想だと思う。70年前、在日1世2世が民族教育を守ったように、声をあげ、後輩のためにも弁護団は知恵を絞ってがんばる」と決意を語った。
続いてオモニ会の代表は、「70年前、16歳で大切な命を奪われたキム・テイル君のオモニのことを思うと胸が張り裂けそうで、ウリハッキョ(私達の学校)は二度と奪われてはいけない大切な民族権利だ。子どもたちは朝鮮と日本の友好の懸け橋となるかけがえのない未来だ」と訴えた。
若者からは「70年前、人間の尊厳をかけて朝鮮学校を守りぬいた輝かしい歴史に学び、私たちも同じ覚悟でたたかえるか問われている。」「無知・無関心が差別を生む。子どもの学ぶ権利が奪われていることに気づいてほしい。すべての子どもたちが同じ温かい愛情に包まれることを願ってがんばる」と語った。日本人の立場から社民党大阪府連代表・服部良一さんが「民族の言葉・歴史・文化を学ぶことは当然の権利です。民族教育の保障は日本政府に責任と義務がある。今の東北アジアの平和への動きを後戻りさせるな」と訴えた。
大村和子さん(城北ハッキョを支える会)は、「第1回火曜行動からずっと夫と二人三脚でやってきた。初めての火曜日行動の時、初級1年生だった子どもたちは、この春中級生になりました。先日亡くなった夫は、朝鮮学校の様々な困難は日本社会・日本人のあり方が問われているのだ、民族教育を守るたたかいは日本人の問題だと言っていた。これからも心は二人三脚で、共に頑張ろう」と締めくくった。
キム・テイルさんの遺影を先頭に、「子どもたちの笑顔を奪うな! 民族教育を守ろう! 行政は朝鮮学校を差別するな! 最後まであきらめずにたたかうぞ」と声をあげ、府庁周辺をパレードして訴えた。すべての子どもたちが等しく学べる社会を築こう。(佐野裕子)
朝韓会談翌日にピョンヤンを訪問 @
高層住宅 建設は人民軍が
S・K生
4月28日、日本で言えば沖縄デー(今では知らない人も多数)に私たち9人の友好訪問団はピョンヤン空港に降り立った。労組員・市民団体会員そして女性も3人加わった。多くの日本人には謎の国、日本の報道によれば恐い国と言われている。とにかくナチュラルにニュートラルに見てみようという趣旨の団だ。
朝鮮って行けるの?
入国時には名物の荷物検査がある。朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の文化に悪影響を与えるわいせつ物、反朝鮮の画像データや書籍がないかどうか調べるのだ。携帯電話を昔は空港預かりだったが、今は持ち込める。われわれ持参の携帯は通話もネット送受信もできない。しかし電波もネットも国内向けには結構普及していて現地市民は使う姿が多く見られるようになった。また道路にはタクシーが多く走り、タクシー会社の種類も多い。大型タクシーも見られるし、最近信号と渋滞が目に見えて増えた。さらに増えているのが電動バイクと電動自転車だ。
脱原発の朝鮮
基礎電源は脱原発だ。アメリカや日本が関係改善と引き換えに軽水炉を提供することになっていたが、米日が供与をストップしたために、エコロジカルな新型石炭火力や水力、太陽光発電を増やしたために原子力発電は普及しなかった。良かった! 皮肉なものだ。このまま脱原発を続けてくれるよう望みたいが見通しは明るい。脱原発のままで、停電が減っていっているから。蛇足ながら中国も自然エネルギー重視に転換しているので、危険な原子力にしがみつき、輸出までたくらむのは日本だけと言える。
トロリーバス、路面電車の数は、エンジンのバスより多いのが見たらわかる。市民の足は公共交通か、足だ。それでピョンヤンの空は青空の日が多い。制裁の影響がないと言えばウソになるだろうが、制裁に強い国造りでガソリン以外はほぼ国産化のめどが立ち、食料自給率も100%近い。でないと全世界が経済制裁しているのだから国が倒れてしまっただろう。何事も称賛するつもりはない。独裁と言えば独裁だ。しかも金日成・金正日・金正恩氏の3人の指導は強力なものがあったため、経済建設に強力な影響が与えられた。
単息=一気に
例えば写真の高層住宅群は勤労者住宅であるが、あらゆる建築は人民軍が指導者と機関の指令のもとに一気にやる。土地と家は国有であるから用地買収の必要がない。ゼネコン・建設会社はないので受注合戦にエネルギーを使わない。今、ピョンヤンも地方都市も建築ラッシュだ。そのすべてに軍隊の巨大な飯場がある。飯場に若い兵士が寝泊まりし、朝から夕方まで無理なく目いっぱい8時間働き、数カ月から1年以内で完成させてしまうのだ。通勤に往復使う数時間の労力を統一した建設工事に使うし、食事も担当部隊が作って配膳するので食べに行く労力も不要。だから無駄が無く、日本でニュータウン建設に使う何分の一かでできてしまうのだ。これを朝鮮語で「単息(タンスメ)一気に」と言う。(つづく)
(短信)
労働契約法20条裁判
6月1日最高裁判決
正社員と非正規雇用労働者の待遇格差を禁じる「労働契約法20条」。この裁判で最高裁は、4月20日長澤運輸事件、4月23日ハマキョウレックス事件について口頭弁論を開いた。口頭弁論は、下級審の判決を変更する場合に開かれる。判決日は両事件とも6月1日。
長澤運輸事件は、定年後嘱託職員となったトラック運転手が、業務内容はまったく同じなのに賃金が3割引き下げられたことを不当として提訴。一審東京地裁判決で原告が全面勝利、二審の高裁で「定年後の賃下げは、社会的に容認されている」として逆転敗訴。ハマキョウレックス事件は、有期契約の労働者が、200万円近い年収格差は不当として提訴。一審の大津地裁では、「不合理な差別」として通勤手当が認められ、二審の大阪高裁では、その他の四つの手当だけが認められたが格差は是正されていない。
郵政などこれら20条裁判は非正規雇用労働者による「真実の同一労働同一賃金」を問い続けるものとしてたたかわれている。労働者の尊厳をかけた政府・司法とのたたかいである。6月1日の判決がどのようなものであろうと終わることはない。
5面
声明 73年間の分断を終息させよう
韓国・全国民主労働組合総連盟
韓国の民主労総は、南北首脳会談がおこなわれた4月27日、板門店宣言を「歴史的な共同宣言」と評価し、文在寅政権に「宣言」の確実な履行を強く求める声明を発表した。以下全文を掲載する。(翻訳 日韓民主労働者連帯・中村猛さん/見出しは本紙編集委員会)
歴史的な板門店宣言を73年間の分断体制を終息させる最終指針にしよう
2018年4月27日、南北首脳会談で「韓半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」が共同発表された。統一と朝鮮半島の平和のために、南と北の首脳が会って発表した3回目の歴史的な共同宣言だ。板門店宣言は、2回の共同宣言と今までの合意を徹底的に履行することを前提としたという点で、単に3度目の共同宣言ではなく、6・15と10・4共同宣言を継承し、一歩進める歴史的な共同宣言であり、民主労総は積極的に支持し、歓迎する。
板門店宣言は、10・4共同宣言に含まれた「 … 三者または四者の首脳が朝鮮半島で会い、終戦を宣言する問題を推進するために協力していくことにした」を、「南と北は停戦協定締結65年になる今年に終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的かつ強固な平和体制を構築するための韓朝米三カ国、または韓朝米中四カ国会談の開催を積極的に推進していくことにした」とすることにより、期間と同時に、終戦宣言と平和協定への転換を明らかな目標とし、既に予定されている朝米首脳会談に続く、三者、四者会談の開催という、具体的な行程表まで明らかにした。
朝鮮半島の非核化に関して、10・4共同宣言は「 … 南と北は朝鮮半島の核問題を解決するために、六者会談での『9・19共同声明』と『2・13合意』が順調に履行されるように共同で努力することにした」としていたが、板門店宣言は「南と北は、完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した」と宣言することにより、完全な非核化と核のない朝鮮半島が、南北共同の目標であることを明確にした。このような点で、今日の板門店宣言は朝鮮半島非核化のための北の主導的な措置を意味深く評価しつつ、10・4共同宣言の包括的・抽象的な宣言を、目標と実行計画が担保された宣言として具体化し、発展させた、一歩進んだ共同宣言である。
民主労総は創立以来、祖国の平和的な統一の実現という綱領に基づき、祖国統一運動、6・15共同宣言と10・4共同宣言履行のためのたたかい、6・15共同イベントの推進と南北労働者サッカー大会、金剛山観光といった自主的な交流運動の主体として、休むことなく活動してきた。そればかりか、平和協定締結と朝鮮半島の戦争の脅威に対抗する反戦平和闘争、戦争の危機を加速する軍事演習中止闘争、最近では星州のTHAAD設置を阻止するための闘争など、朝鮮半島の平和のための闘争も主導的にたたかってきた。
民主労総は板門店宣言が、繰り返される朝鮮半島での戦争の脅威を根本的に解消し、南北間の対決と緊張の激化を解消する政府と民間交流の活性化などの措置を推進することに合意したという点で、再度歓迎し、誰よりも主体的に板門店宣言を実質的に履行するための実践と活動をおこなう。先ず、民主労総は南北労働者代表者会議を積極的に推進する。板門店宣言が南北労働者の自主的な交流を積極的に保障する契機になると信じる。
しかし我々は、これまで2回の共同宣言が履行されなかったという、辛い歴史を忘れてはならない。
その理由は何よりも、統一と朝鮮半島の平和を望まない米国などの外勢の干渉と妨害、介入だった。このような意味で、5月末から6月初めに予定されている歴史的な朝米首脳会談は、板門店宣言によって確認された朝鮮半島の非核化と平和協定の締結という課題を履行することを担保する、決定的な会談になるものと思われる。文在寅政府は朝米首脳会談によって、65年目の終戦宣言と朝鮮半島の非核化、平和協定への転換という、不可逆的で歴史的な合意を実現させるように、民族自主と民族協調の原則で、その役割を果たさなければならない。
もう一つの理由は、分断体制に寄生する自由韓国党のような分断・積弊勢力だ。彼らは統一と平和がまさに彼らの墓場であることを誰よりもよく知っており、6・15、10・4共同宣言はもちろん、既に板門店宣言をも侮り、否定している。文在寅政府は板門店宣言にたいする全国民的な支持に基づいて、確実に履行しなければならず、分断・積弊勢力の抵抗にたいしては断固として拒否しなければならない。われわれはろうそく抗争を作ったのだ。同じ失敗を繰り返すはずがない。
板門店宣言において、朝鮮半島の平和と統一にたいする両首脳の意志を読んで、南と北だけでは終戦宣言と平和協定の締結を宣言し、決定することができないことも確認した。朝鮮半島の完全な非核化を共同の目標として宣言したが、その解決と履行の主体は南と北だけではないことも確認した。今日の板門店宣言が、米朝首脳会談と、続いて秋におこなわれる二回目の首脳会談、そして三者または四者会談を貫いて、73年間の分断体制を終息させる最終指針になるようにしなければならない。民主労総も朝鮮半島の平和と民族の統一のためのたたかいを続けていくだろう。
2018年4月27日
労働運動再生への挑戦(下)土田花子
労働の社会性回復めざして
3 介護切り捨て攻撃とのたたかい
介護保険制度の問題
2000年に発足した介護保険制度は公的介護の「民営化」と保険料収奪という性格を色濃くもつ法制度としてつくられ、介護報酬(公定価格)は極めて低く設定されてきた。投入する税金を法律で一定の率に決めているため給付(サービス利用)が増えれば保険料があがるという根本的問題がある。
保険料は65歳以上は倍、無収入でも課せられ、月1万5千円の年金があれば無慈悲に天引きされる。ちなみに本年度、大阪市の標準額は約8千円/月となった。保険料のために飢え死にしかねない。
12年8月「社会保障改革推進法」成立以降、国は「自助・互助」を前面に押し出し社会保障解体を加速させてきた。
「保険料あって 介護なし」
介護保険では15年改悪で大きく舵がきられた。「保険料あって介護なし」が進行している。要支援者の一部サービスが介護保険から切り離されて自治体へ移行、17年に全自治体で移行が完了した。全国各地で「要支援切り」がおこなわれている。「住民主体の介護」の名のもと、介護を奪い、リハビリを強制する最悪モデルの大阪府大東市では死者も出ている。同時におこなわれた介護報酬大幅引下げにより介護事業所倒産、閉鎖は増加の一途である。
17年5月には31本の法律を一括した「地域包括ケアシステム強化関連法」が成立、この4月から本格施行が始まる。最大の問題の一つが介護保険の目的を「介護度改善・自立支援」とし、飴と鞭で自治体を給付削減競争に駆り立てるシステムが法律に書きこまれたことだ。これは在宅介護の受け皿の消滅、介護職の処遇悪化と人手不足と虐待増の悪循環、介護度の重度化、病気の悪化、孤立死、介護心中・殺人の増加など、深刻で悲惨な現実をもたらす。ここで狙われているのがケアマネージャーだ。サービスを使わせない介護プランを作らせるための洗脳、支配が始まっている。
また3割自己負担の導入も利用者・家族に犠牲を転嫁するものであり、今後深刻な影響が心配される。生活支援、デイサービスなど在宅生活を支えるサービスの介護報酬の引き下げ、高齢者の保険料大幅値上げも4月実施された。
介護・福祉総がかり行動の立ち上げ
問題の多い介護保険ではあるが、制度発足の背景に女性たちの切実な叫びと運動が存在した事実も見落としてはならない。介護が「嫁の仕事」、家庭内の私的な無償労働、「非生産的」な労働とされてきた長い歴史。この「くびき」を断ち切り「介護の社会化」を求めて立ち上がった女性たちにとって、介護保険制度は不十分な面はあっても「社会化」の大きな一歩であり運動でかちとった成果であった。実際、介護は一定程度「社会の問題」となってきたし、家族、とりわけ女性の負担を軽減してきた。
しかし、この間の大改悪は法制度をつくった元厚生省高官さえ「国家的詐欺」と批判するほどだ。介護保険制度を「原則的に批判」してきた人々も、「たたかいとってきた」人々も危機感を募らせ「介護保険制度を守れ」の立場で連携や合流を開始した。
昨年5月、関西では介護・福祉総がかり行動が立ち上がった。「安心できる介護を! 懇談会」、介護・医療・福祉問題に長年取り組んできた市民団体・関係機関、労働組合、専門職、研究者、議員など多彩な人々の連携、協同が拡大し、他地域へも波及しつつある。介護を受ける当事者・高齢者の主体的な立ち上がりも始まっている。
労働運動の新たな姿
このように労働運動再生への挑戦―「安心できる介護を! 懇談会」の運動は「超高齢社会」へ向かう現実のなかで、直接的な〈労働者の利害〉のための労働組合運動をこえて、労働の社会性―人間の共同性を回復し実現していく課題を内包し、多様な人々と学びあい協力しながら実践していく社会的運動として進んでいる。労働運動の新たな姿がある意味「必然」として生まれつつある。これをどのように育てていくのか、この模索のなかから再生への道を拓いていきたい。(おわり)
6面
寄稿
オスプレイの横田基地配備(上)
「朝鮮半島情勢と中国に対処」で前倒し
小多 基実夫
4月3日午前、北関東防衛局は、「今夏頃に空軍のオスプレイ5機を横田基地(東京都)に配備する」との在日米軍からの発表を東京都に伝えた。当初の予定から1年以上の前倒し配備である。その背景には何があったのか。
まず、経過から見てみると。
@ 米軍は当初の2015年、「17年度後半に3機を配備する」と発表していた。
A 17年3月、「19年10月〜20年9月に延期」と発表。
B 今回、「今夏頃5機、数年以内に10機、要員450人配備体制にする」と1年以上もの前倒し配備を発表。
前倒し配備の理由
まずCV22オスプレイの配備が遅れた理由であるが、墜落事故などが続発し、いまだに実戦運用の水準に達していないのか、もしくは欠陥対応のため仕様の変更などの調整続きで生産ラインが本格稼働していないのではないかと考える。
しかし、朝鮮情勢の好転、平和外交などのニュースが流れるなか、逆になぜ今前倒し配備なのか? それは米トランプ政権がこの時期にむしろ戦争体制を強化し、この戦争外交によって朝鮮民主主義人民共和国をさらに追い詰める目的で臨戦態勢を強化しているとみるべきではないだろうか。
米政府は、前倒し配備の理由を「太平洋地域の安全保障上の懸念に対応するため」と説明し、日本の政府関係者も「朝鮮半島情勢、中国の動向に対処するためだ」と認めている。外交努力が活性化しているとしても決して楽観を許すものではない。
1941年の日米開戦に際して、春には戦争回避のための外交交渉が精力的になされていたが、半年後の12月8日、日本陸軍はマレー半島に上陸、海軍のハワイ爆撃による開戦へと突き進んだという歴史もある。
この朝鮮半島の平和外交は、米・朝および韓・中など関係諸国政府がそれだけ戦争の切迫を認識し危機感を高めているということの表現ではないだろうか。
抜き打ち配備の理由
今回の配備に関して、北関東防衛局が東京都に通告したのは4月3日の午前であったが、そしてまさにその日の夕方には横浜港の「横浜ノースドック」に5機のオスプレイを積載した貨物船が接岸した。
翌4日午前には陸揚げされて、5日朝には全機がドックを離陸して市街地・民家の上空を約30分飛行して横田基地に着陸するという素早さであった。
13日には、オスプレイは横田基地での訓練をいったん終えて、次の任務に向けて同基地を後にしたが、夏の本格配備までに何度もこういう形で横田基地が使われる可能性がある。まさに自由使用である。
横田基地の地元で反対運動を長年たたかっている立川自衛隊監視テント村は、「実は日本政府には3月中旬に通告がおこなわれていたのだが、ギリギリまで情報が伏せられていた」と報じた。さらに5日、CV22が横田基地に着陸した時に撮影されたマスコミ掲載の写真に特殊部隊が使用するコンバットタロンU(C130輸送機の改造型)が駐機しているのが写っていたことを指摘して、「むしろ特殊部隊はすでに横田基地に来て活動を始めていて、すべての要員がそろうのが夏頃という状態なのだ」(『テント村通信』483号)と分析する。
抜き打ちの部隊展開といえば、もともとこのCV22という特殊部隊の得意とするところではあるが、指摘にあるように少なくとも今回は、半月間も情報を隠して「不意打ち」の配備に仕立てたのは日本政府である。反対行動を封じ込めるためにと、姑息な安倍や麻生の考えそうなことであるが、こういう情報隠しは住民はもとより地元自治体からも対策をとる時間を奪うものである。
軍事のためには、住民、自治体、労働者、兵士の犠牲は全く気にかけない軍事優先が今日的に貫かれているのだ。この常態化を許してはならない。
横田配備でどうなる
このCV22の横田配備については以前にも寄稿したが、配備が決まった当初から日本政府は、「通常の飛行訓練に加え、低空飛行、夜間飛行を実施する」(中谷防衛大臣、15年当時)と公言してきた。
「低空飛行」「夜間飛行」と「450人の空軍特殊作戦部隊」の横田基地配備の狙いは何か? なぜこの欠陥だらけの航空機を実戦配備する必要があるのか? 米軍にとってどのような「利点」があるのか?
輸送機でありながら、これまでのヘリに比べて輸送力(量)が半減することはおそらく陸軍や海兵隊にとって最大のネックであるはずだ。しかし、航続距離の長さとそのスピードは秘密作戦を主任務とし国際法を無視して外国に潜入・奇襲作戦をおこなう特殊部隊にとってはうってつけの兵器でもある。
オスプレイ輸送機には、MV22とCV22の2種類がある。機体の構造は基本的に共通であるが最大の違いはミッション(任務)である。
海兵隊が装備するMV22(陸自も導入予定)は、強襲揚陸艦(ヘリ空母)などから海兵隊員を戦場へ輸送するのが主任務である。これにたいし空軍仕様のCV22は、訓練機以外の全機が特殊部隊の専用機である。1機あたり2個小隊(24人)のコマンドを乗せて秘密裏に敵地に送り込むのを唯一の任務とする謀略部隊だ。
特殊部隊は、非正規戦・対ゲリラ戦のスペシャリストであり、敵地に深く入って偵察、破壊、暗殺、拉致などをする。例えば11年5月パキスタンでオサマ・ビン・ラディン氏を暗殺し、負傷した妻を拉致したのは海軍特殊部隊「シールズ」で、輸送したのは陸軍特殊作戦部隊のヘリMH60ブッラックホークであった。また15年6月シリアでイスラム国幹部のアブ・サヤフ氏らを暗殺し、妻を拉致したのは陸軍特殊部隊の「デルタ・フォース」で空軍のCV22オスプレイが輸送したと言われている。
因みに、米軍は従来の「国対国」「正規軍対正規軍」という戦争から「非対称の戦争」と称する「民衆やゲリラ」を対象とする戦争に基軸を移している。そのために小回りの利く特殊作戦を重視し、陸軍「デルタ・フォース」・海軍「シールズ」をはじめ、空軍や海兵隊の特殊作戦関連部隊をまとめて指揮する「特殊作戦群」(計6万人)をすでに1987年に設立している。
この転換は何をもってなされたか? 設立の前年86年にソ連軍はアフガニスタンからの撤退を表明し、設立の翌年88年から撤退を開始している。米国は、ソ連の後退を埋めるために、アフガン―中東をはじめ世界中の民族自決・民主化をたたかう人々を容赦なく殺害する「戦争」を戦略の基軸に据えたのだ。それが特殊作戦部隊であり、「非対称の戦争」なのである。(つづく)
投稿
私たちは無力でも微力でもない
オール東大阪市民大集会
東大阪市 布施三郎
4月14日、「オール東大阪市民大集会 安倍9条改憲がダメなわけ」が開かれ160人が参加した(写真右)。主催は〈安倍9条改憲NO! 3000万署名オール東大阪連絡会〉。
戦争をさせない1000人委員会事務局次長の飯島滋明さん(名古屋学院大学准教授)が「安倍9条改憲の狙いとどう闘うか」と題して講演した。自衛隊が9条に書き込まれたらどうなるのかという観点から、自衛隊の現状が語られ、最後に国民投票の問題についても触れた。飯島さんは改憲を阻止するために「一人ひとりは微力でもけっして無力ではない」としてさらに運動をひろげようと熱く訴えた。
集会では、近鉄布施駅前や瓢箪山駅前で毎週街頭署名をおこなっている人たちにインタビューして、それぞれの人たちの思いを語ってもらった。
署名運動に工夫
ある人は初めての署名活動で不安でうまくできなかったが、一人署名してくれたら気持ちが落ち着き、次もできるようになった。ある人は選挙権がないのに大切な問題だとして署名してくれた在日中国人の話を。また、自転車に乗った40代の男性が署名してくれたとき、娘さんから「お父さんなにしているの」と聞かれ、「あなたにとって大事なことだよ」と答えた父親の話をした。
司会から、改憲攻撃に危機感を持つ人たちとつながりができ始めたことが報告された。街頭署名では、積極的に署名してくれた人に「ぜひ周りでも署名を集めてこの封筒に入れて送り返してください」と料金受取人払い封筒を手渡しているが、今回、そのうちの1通が返信されてきたと報告された。封筒の中には5筆の署名が入っていた。
市内の大規模府営住宅での署名まわりも始まっている。あらかじめ訴えの手紙と署名用紙をポストに入れ、数日後に回収に来ますと連絡しておくのだ。ある団地では回収予定日より前に団地の回収責任者のポストにすでに10世帯から署名用紙が入った封筒が入れられていた。さらに各部屋を回ったとき、海軍の予科練に志願したという90代の男性は「戦争はぜったいやってはダメだ」と封筒を用意して待っていてくれた。ある家では高校生がその場で署名してくれた。今回の集会はこういう地道な粘り強い署名活動の基礎の上に準備されたのである。
オール東大阪が企画した集会は全て黒字で、今回も黒字となり、6月10日に企画されている道徳教科書に反対する集会も自力の財政で十分にまかなえるようになってきている。財政は運動によってつくられるというが、こういう運動の基礎をつくっているのが、育鵬社の教科書採択をきっかけに開始された6年に及ぶ立場の違いを超えた運動である。この運動にはさまざまな人たちが集まり、それぞれの人たちが力を出し合って、運動をつくり、信頼をつくりだしてきている。この力強さを感じた集会だった。