未来・第224号


            未来第224号目次(2017年6月8日発行)

 1面  国会包囲し共謀罪廃案へ
     6月10日 首都・全国で総決起を

     市民生活の監視を許すな
     弁護士会が呼びかけデモ
     5月21日 大阪

     成田空港反対闘争
     農地取り上げやめよ
     千葉地裁に署名を提出

 2面  寄稿
     憲法施行70年の「現実」 関西大学教授 高作正博
     内側から破壊される憲法秩序(下)

     安倍の改憲暴走を止めろ
     共謀罪廃案へ4200人
     5月16日 東京

     共謀罪“沖縄つぶしが狙い”
     5月21日 大阪で山城博治さんを激励

     強行採決を弾劾しデモ
     5月19日 京都で総がかり行動

     現代の治安維持法許すな
     5月20日 神戸市の繁華街をデモ

 3面  安倍政権の「働き方」改革を斬る 第2回
     若年自殺が突出するニッポン
     森川 数馬      

     松井は『森友』の責任をとれ
     市民が大阪府庁を包囲
     5月19日     

     維新政治で劣化する大阪
     5月17日 住民投票2周年を検証

 4面  投稿
     朝鮮学校を守る裁判支援
     Moreパレード 勝利の日まで
     大阪 佐野裕子

     “アジア諸国ぬきの戦後処理”
     内海愛子さんが大阪で講演
     5月14日

     投稿
     孤立、鎖国と違うイメージ
     ピョンヤン訪問記 4月29日〜5月4日
     兵庫 SK生

 5面  論考
     2017年朝鮮(韓国)情勢とわれわれの課題
     米日帝国主義による戦争挑発に日・韓・朝人民の連帯の力で反撃しよう(下)
     須磨 明

 6面  自見はなこ議員が差別暴言
     「監督されていると思うのは妄想だ」
     (5月11日 参院厚労委)

     ビルマに連れて行かれた日本軍「慰安婦」
     文玉珠さんの足跡をたどって

     石川一雄さんは無実です
     狭山再審を求め座り込み
     5月21日 神 戸

       

国会包囲し共謀罪廃案へ
6月10日 首都・全国で総決起を

「共謀罪NO!」のメッセージを一斉にかかげる参加者たち(5月31日都内)

安倍政権は5月23日、共謀罪法案を衆院通過させ、30日の参院法務委員会で実質審議に入った。その翌日31日、東京・日比谷野外音楽堂で「共謀罪の廃案を求める市民の集い」が開かれ4700人が参加した。主催は市民の集い実行委員会。集会は午後6時半から始まったが、開会とほぼ同時に会場は満席となり入場終了。共謀罪を強行しようとする安倍政権にたいする危機感が市民の間で高まっている。
集会の冒頭発言で、「たとえ環境保護等に取り組むだけの市民団体であろうとも、当局の判断次第で共謀罪の対象となる。構成員は一般市民ではない」という金田勝年法相の発言が弾劾された。グリーンピース・ジャパン事務局長の米田祐子さんは「環境を守るために権力に立ち向かう場合もある」「過激かどうかではなく必要なことをおこなうべきなのか否かという問題」「幅広い権利行使を可能とする民主主義の根幹が脅かされている」と、「テロ対策」という名目で市民運動を萎縮させようとする共謀罪法案の本質を徹底的に批判した。
他の発言者も「安倍は捜査機関の躊躇をなくすと言っているが、今でも警察は市民を監視して証拠の偽造・捏造までおこなっている。この上、共謀罪ができたらどうなるのか」「権力が好きなときに自由に相手を選んで犯罪者に仕立て上げるための法律だ」「市民が『見ざる聞かざる言わざる』という状態の独裁国家を取材したことがある。日本をそんな国にして良いのか」と口々に共謀罪が生みだす監視社会と独裁国家にたいして警鐘を鳴らした。
全体の発言を通して「表現の自由、思想の自由への侵害を許すな」「安倍政権の異常さにけっして慣らされてはならない」ことを参加者全員で確認した。集会後の銀座へのデモは沿道の市民の熱い注目を集めた。
安倍政権は参院においてもまともな審議をおこなわず、今国会中に共謀罪を強行成立させようとしている。そのようなことを断じて許してはならない。
10日に予定の国会大包囲行動に合わせて全国各地で共謀罪に反対する行動が取り組まれる。民衆の怒りの声で政府を包囲し、廃案へ追い込もう。

市民生活の監視を許すな
弁護士会が呼びかけデモ
5月21日 大阪

4000人の市民が「共謀罪反対」を訴えて御堂筋をデモ行進した(5月21日 大阪市内)

5月21日、共謀罪に反対する市民集会(主催:大阪弁護士会)が、大阪市内のうつぼ公園で開かれ4千人の市民が参加し、御堂筋をパレードした。
集会に先立って山口健一・大阪弁護士会前会長が記者会見し、「この法案は市民生活の監視を前提とするもので、市民の自由を大きく制約する。誰のどのような行為が処罰の対象になるのか、範囲も明確ではなく、重大な欠陥がある」と述べ、大阪弁護士会歴代17人の会長が連名で出した声明を読み上げた。
集会では小原正敏さん(大阪弁護士会会長)が主催者あいさつ。「人間の内心の自由が損なわれる。これまでの刑法の基本原則にもあいいれない。犯罪になるかどうかの要件は捜査機関が判断する。こんな悪法は廃案にする以外にない」と訴えた。
集会では、「共謀罪は政府に反対する市民運動や労働組合を弾圧するために使われる」(戦争をさせない1000人委員会・大阪)、「戦前、天理教は宗教弾圧をうけ、戦争に協力していった。共謀罪は現代版治安維持法だ」(大阪宗教者9条ネットワーク)、「今こそ、市民は自由のためにたたかわなければならない。安倍独裁政治を終わらせよう」(関西市民連合)、「今の政治にたいして、あきらめないことが重要だ。沈黙している人々、無関心な人々にたいして、我々はもっとアピールしていく必要がある」(戦争あかん!ロックアクション)などの訴えがあった。
山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)が登壇。山城さんは「共謀罪を作るために権力が共謀している。今こそ安倍を倒せ」と訴えた。照屋寛徳衆院議員は、沖縄のたたかいの真髄は「勝つまであきらめない」ことと強調した。
共謀罪法案は5月23日衆院を通過し、参院に送られた。あきらめることなく市民の行動で廃案に追い込もう。

成田空港反対闘争
農地取り上げやめよ
千葉地裁に署名を提出

三里塚空港反対同盟を先頭に千葉地裁に向けてデモ(5月25日 千葉市内)

5月25日、成田空港に反対する市東孝雄さんの農地の強制収用を止めさせるための請求異議裁判の第2回口頭弁論が千葉地裁で開かれた。裁判に先立ち千葉市中央公園で集会が開かれ、千葉地裁までデモ行進がおこなわれた。また市東さん、弁護団を先頭に、この日までに寄せられた「市東さんの農地取り上げを止めよ」の思いを込めた6395筆の署名が裁判所に提出された。
裁判では、「請求異議に該当しない」とするNAA(成田空港会社)の主張にたいし、弁護団が判例や学説なども引用しながら請求異議の理由を詳細・明確に論述。これにNAAはまともに反証することができなかった。

強制執行中止へ

弁護団の主張の核心は、@強制執行権放棄の社会的公約の遵守、A知事の許可処分の条件(離作補償料給付)は停止条件、B空港会社による強制執行の請求は権利の濫用であり許されない、の3点である。傍聴者も一体となったたたかいは、強制執行を中止に追いこむ展望を切り開きつつある。
裁判後の報告会では、市東さんが「忙しい中、デモ・傍聴にたくさん来ていただいてありがとうございました。また現地調査や天神峰カフェにたくさんの人が来ています。私も一人で気楽にやろうという気持ちですが、皆さん来てくれればくれるほどずいぶん力になります。裁判ではいつも向こう(NAA)が言わなきゃならないことを言わない。ああいうことは絶対に許さないでケチョンケチョンになるまで追及したいと思いますので、これからもよろしくお願いします」と話した。弁護団から裁判の現況などが報告された。

裁判の傍聴参加を

請求異議裁判は、農地取り上げを是とした最高裁判決を前提とした裁判であり、千葉地裁の強権的訴訟指揮の可能性もある。一回一回の裁判がまさに真剣勝負である。
次回第3回口頭弁論は、8月10日(木)午前10時30分から。裁判の傍聴参加とともに、請求異議裁判署名を集中しよう。

(次号の『未来』の発行日は6月22日です)

2面

寄稿
憲法施行70年の「現実」 関西大学教授 高作正博
内側から破壊される憲法秩序(下)

思想弾圧へ踏み込む共謀罪

共謀罪は必要ない

政府は今回の法案を「テロ対策のために必要」と言うが、テロ対策とは無縁だ。「国際組織犯罪防止条約」(パレルモ条約)は、マフィアなどの犯罪防止が目的で、テロとは関係ない。
過去3回廃案になったのは「一般の人々も対象」で、今回は「対象にならない」「共謀罪ではない」という。しかし金田法相は「もともと正当な活動をおこなっていた団体も、組合の目的が犯罪を実行する団体に一変したと認められる場合は、組織的犯罪集団に当たる」と答弁した(2月16日)。
対象犯罪は277と非常に多い。過去は「相談だけ」で、今回は「準備行為」で違うという。しかし準備行為とは、2人以上で計画した者の「いずれかによりその計画に基づき資金または物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは」処罰するとされ、「その他」は拡大解釈される。「思想の取締りや表現活動の規制にはならない」というのも疑問だ。
準備行為まで対象にすると警察は何をするか。限られた人員・予算で重大事件の捜査が優先され、「選別的執行・狙い撃ち的執行」がされる。現状でも日常的な監視、監視カメラやGPSを使った情報収集がされている(3月15日に令状のないGPS捜査は違法とする最高裁大法廷判決が出た)。さらに通信傍受法の改悪もあり、共謀罪の成立でさらなる捜査権限が拡大していく。
既に岐阜県大垣市の市民運動の個人情報が特定の民間企業に流れたことが判明している。
共謀罪ができると、「マンションの建設に反対している住民団体が、工事着工を間近に控えた会合で、当日は資材搬入阻止のため未明から現場に座り込むことを決定した〜これは 組織的威力業務妨害罪の共謀罪に該当するということになる(日本弁護士連合会『共謀罪ここが問題だ!』2006年)」

思想・活動の弾圧

辺野古新基地・高江ヘリパッド建設が強行されている。3月には「岩礁破砕許可」の期限が切れたが工事が続行されている。政府は「漁業権が放棄された」ため許可は不要とするが、「水産資源保護法」の委任を受けて規定されている「沖縄県漁業調整規則」第14条は、「漁業の許可又は起業の認可を受けた者が、漁業の許可又は起業の認可の内容を変更しようとするときは、第7号様式による申請書を提出して知事の許可を受けなければならない」と定めている。無許可のまま日本政府は工事を続行しているのだ。政府の確信犯的意図は、政府が負けても「元に戻せない」「できちゃったもん勝ち」という考えだ。 ゲート前や海上での警察・機動隊・海上保安庁による過剰警備・暴力や、抗議行動に参加する者に対して、警察官による「土人」発言など露骨な差別意識や嫌悪感・憎悪さえも表す者も出たことは許されない。背景には、沖縄県内41市町村の首長にたいする「売国奴」「非国民は出て行け」などの言葉に見られる県外の意識(2013年1月27日)があると思う。
県民投票という意見もあるが、そこに力を注ぐべきではないと思う。時期として遅すぎる。その間に工事は進められてしまう。ベトナム戦争時、飛鳥田横浜市長が米軍車両の通過を認めず、職員や自動車を派遣して実際に通行を阻止した例を見習うべきだろう。

秩序破壊の完成としての改憲論

昨年秋に再開された憲法審査会で、自民党が改憲草案をいったん凍結した。日本国憲法の基本原理が「国民の生活に定着したものになって」おり、「将来も継承していかなければならない」。これは自民党が変わったのではなく、改憲のテーブルに着かせるための手法だ。テーブルに着くことの危険性は、「独裁体制が強力であるのに、目障りな抵抗が存在する場合、独裁者は『和解』を装って反体制派と交渉し、相手を降参させたいと望むだろう。そんな交渉の呼びかけは魅力的かもしれないが、交渉の場には大きな危険が待ち伏せしている」。
それ故「どんな場合でも、民主化勢力は独裁者の目的達成のために手を貸すべきではないのだ」(ジーン・シャープ『独裁体制から民主主義へ』ちくま学芸文庫)。
改憲提案の中に教育無償化があるが、教育の無償化は憲法事項ではなく法律で対処すべきもの。修学旅行・給食は有償こそ変えるべき。大学の無償化後はテキストも検定合格・国家統制になる。
2020年の施行をめざすと、それ以前に国民投票がある。2018年末までの衆議院選挙と19年夏の参議院選挙、これと一括して国民投票の可能性もある。事態は切迫している。選挙で勝つことが強調されすぎる面もある。選挙のない今こそいろんな活動ができる。日常的な運動から争点化させていく必要がある。(おわり)

安倍の改憲暴走を止めろ
共謀罪廃案へ4200人
5月16日 東京

5月16日、日比谷野外音楽堂で「共謀罪廃案・安倍政権の改憲暴走止めよう! 5・16大集会」が開かれた。
週内にも衆院での採決強行がもくろまれるという緊迫した状況のなか、危機感をつのらせた多くの人々が続々と集まり、6時半の集会開始時には会場はいっぱいとなった。入りきれない人が周辺にあふれる状態となり、その数4200人(写真)
主催者あいさつで1000人委員会の福山真劫さんは「共謀罪は、テロ対策のためでも条約批准のためでもありません」「確実に、警察・捜査機関の権限を拡大し、憲法で保証された市民団体の権利を骨抜きにし、市民団体・平和団体・労働団体などを管理・抑圧するものです」「共謀罪反対署名は61万人を超えています。今週が衆議院での最大の山場です。がんばりましょう」と運動の拡大を訴えた。民進、自由、共産、社民、沖縄の風の国会議員がたたかう決意を述べた。
連帯のあいさつでは「私たちの子や孫たちに、立憲主義や民主主義をきちんと渡していくために、もっともっと声を大きくして、安倍政権を倒し、共謀罪を葬り去りましょう」(市民連合・中野晃一さん)。「共謀罪は治安維持法とよく似ている。団体規制のための刑事法であるということ、そして、非常に乱用されやすい。共謀罪もこのまま作ったら、治安維持法並みになることは確実です」(海渡雄一弁護士)。さらに、宗教者を代表して日蓮宗・小野文bさん、評論家の佐高信さんから発言があり、最後に、高田健さんが行動提起をおこなった。集会後、銀座をデモ行進、「共謀罪廃案」を訴えた。

共謀罪“沖縄つぶしが狙い”
5月21日 大阪で山城博治さんを激励

5月21日、大阪市内で沖縄平和運動センター議長の山城博治さんを招き、「山城博治さんと語る会」が開かれ200人が参加した(写真)。山城さんは、〈辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動〉を指して「そこに毎週土曜日共謀の人たちがいる」と場内の笑いを誘いながら、「共謀罪は何よりも沖縄の運動をつぶすのが狙いだ」と強調。稲嶺名護市長、翁長知事のたたかいと共に、われわれは現地の行動で基地建設を阻止すると語った。

強行採決を弾劾しデモ
5月19日 京都で総がかり行動

毎月19日におこなわれている京都総がかり行動。5月19日は京都1000人委員会が主催し、600人が参加した。この日は毎週金曜日、午後5時から関電京都支店前でおこなわれている「キンカン行動」の参加者も市役所前に合流した。
リレートークの冒頭、司会が福山哲郎参議院議員からの連帯のメッセージを読み上げた。主催者あいさつをきょうと教組委の小鍛治員長がおこない、次にこの日、自民、公明、維新の3党によって衆議院法務委員会で共謀罪法案が強行採決されたことにたいして、京都弁護士会の大杉弁護士と秋山弁護士が弾劾の発言をした。
使い捨て時代を考える会は、この17日に再稼働された高浜原発にたいして怒りの発言と現地での抗議行動の報告をおこなった。
集会後、四条河原町まで、繁華街をデモ行進した(写真)

現代の治安維持法許すな
5月20日 神戸市の繁華街をデモ

5月20日、神戸市内で「共謀罪はいらない! 兵庫県集会」が開かれ150人が参加した。主催は市民デモHYOGO(写真)
集会は前半にビデオ『横浜事件を生きて』が上映され、戦前、一般市民を弾圧した治安維持法の実態が描きだされた。
講演は〈明日の自由を守る若手弁護士の会〉の弘川欣絵さん。弘川さんは共謀罪法案が「テロ対策」とは無縁で、沖縄をはじめとする市民運動を監視し萎縮させるものであることを批判した。
また警察の捜査権限を全面的に拡大することの危険性を指摘。最後にたとえ法案が制定されても、市民が萎縮することなく自由と尊厳を求めるなら、この法案は効力を失うと強調した。参加者からは多くの質問があった。
集会終了後、勤労会館から元町まで繁華街のデモで、沿道の市民にアピールした。

3面

安倍政権の「働き方」改革を斬る 第2回
若年自殺が突出するニッポン
森川 数馬

最初に触れなければならない直近の政府統計がある。「2017年版自殺対策白書」(5月30日閣議決定)である。その内容を各マスコミは「深刻な事態」と報じている。日本の自殺者数は1998年以降、14年連続で年間3万人を超えていた。ピークは03年の3万4427人である。09年から減少しはじめ、12年以降は3万人を下回るようになった。とはいえ16年の自殺者数は2万1897人で、人口10万人あたりの自殺数で表す自殺死亡率は19・5人。これは世界でワースト6位、G7ではトップだ。女性の自殺率は11・7人で世界でワースト3位。
とくに15才から34才の若年層の自殺が深刻だ。この層の自殺率は14年で17・8人。これは同年の事故死亡率6・9人の約2・6倍だ。イギリス、アメリカ、フランス、ドイツなどのG7諸国は、いずれも事故死亡率が自殺死亡率を上まわっている。イギリス、イタリア、アメリカでは自殺が事故の半分以下である。この数字は日本社会がいかに異常な状態にあるのかをはっきりと示している。
15年の年齢層別死因調査を見ると15歳から39歳までの各年代の死因の第1位は自殺である。10歳から14歳、40歳から49歳では死因の2位に自殺が入っている。いわゆる生産年齢人口で死亡する人の中で自殺の比率が高い。これは若者たちを次々と死に追い込む社会が出現していることである。自殺の原因は健康や経済・生活が過半を占めている。さらに勤務の問題がある。亡くなった電通の高橋まつりさんは24歳だった。
これがグローバリゼーション下のニッポン社会の実相なのだ。それは「もう一つの戦争」であり、「資本による虐殺」といってもいいだろう。有効求人倍率の高い水準と完全失業率に改善がうたわれる裏側で、こうした事態が進行している。
「人口減少社会」や「人手不足」が喧伝され、「働き方改革」と「生産性向上運動」があたかもその「対策」であるかのようにいわれている。しかしこれらは、この深刻な現状を覆い隠すものでしかない。いやむしろ、さらに事態を深刻化させようとするのが「働き方改革実行計画」なのである。

労災基準を破壊

01年に改正された労災認定基準(過労死ライン)は、1カ月100時間、2〜6カ月で平均80時間を超える時間外労働を「過労死に直結する健康障害リスクが高まる」とした。その画期性は、期間を長くとることによって過労死の要因として蓄積疲労を考慮できるようになったことだ。電通の過労死事件で高橋まつりさんの労災認定で一番の決め手となったのは自殺前の1カ月の時間外労働を労基署が105時間と算定したことである(実際はもっと多かったろうが)。直近の15年の数字では脳・心臓疾患による死亡で労災申請246件のうち業務に起因すると認定されたのは96件(39%)。自殺では申請205件のうち認定93件(45・4%)となっている。過労死問題に取り組む弁護士によれば、これはまだ氷山の一角であって実際の過労死・過労自殺は年1千件を下らないとのことだ。
前回暴露したように、この現実と基準に照らしても「実行計画」は労働者を死に追いやる計画なのである。このことに大きな危機感と怒りをもって反対の大運動をまきおこさなくてはならない。

過労死の合法化

実行計画の問題点は、もっとも過労死が多く発生している業務・職種への対応がひどいことである。これにたいして現場労働者の怒りも高まっている。自動車運転業務、建設業務、医師においては、法の施行後5年間は現状のままとし、5年後に見直すとしている。しかし、建設業務に適用される5年後の案は、単月の時間外労働を100時間未満まで認めるというもので、過労死の合法化である。
自動車運転業務についての5年後案はさらにひどい。年間960時間まで時間外労働を認める。これに除外されている休日労働が加われば、年間1200時間もの長時間残業を合法化するものとなる。現行の自動車運転者の限度基準が年間1276時間であることを考えると、改善になっていないどころか過労死が続出する現状にお墨付きを与えるものであることは明らかだ。
医師については、「5年後の方向性については2年後に検討する」としているが、その内容はまったくのごまかしである。研究開発業務は、「新技術・新商品開発という業務の特殊性」を理由に規制の適用除外とした。いちおう「健康確保措置」として医師の面談などとしているが、それは死ぬほど働かされて健康を害したあとの話だ。それまでは全くの放置という扱いである。いかにこの計画が「労働者保護理念」をないがしろにし、破壊するものかは明らかだろう。

しくまれた“爆弾”

「働き方改革実行計画」を法制化するための会議が始まっている。4月7日、厚生労働省で開かれた労働政策審議会の分科会では、法案の早期成立をめざすことが確認されたが、上限規制の例外となっている自動車運輸や建設業の労働者代表からは早速規制の強化を求める強い批判の声が出された。厚生労働省は早ければ6月中に法案をまとめ、秋の臨時国会に提出をしようとしている。
ここで注意しておかなければならないのは、実行計画・工程表の「時間外労働の上限規制の導入」の項目に、昨年から継続審議中の高度プロフェッショナル制度の創設や企画業務型裁量制の拡大を定める労働基準法等「改正」案(いわゆる残業代ゼロ)の早期成立の文言が入っていることである。
また工程表では、17年度は「現在提出中の労働基準法改正案の早期成立を図る」、「実行計画に基づき労働基準法改正案を国会に提出」と2項目だけが書き込まれているのである。すなわち、「実行計画」の成案は残業代ゼロ法案と一体ということになっている。こっそりと懸案の法案の早期成立にむけた「合意」という“爆弾”がしくまれている。連合が公式には反対声明をだし、反対運動も起こしている労働基準法等「改正」案にたいして、「働き方改革実現会議」の場で実は連合会長が「OK」を出したということになっているのである。秋の臨時国会で「実行計画」の成案が提出されたとき、この“爆弾”が炸裂するというわけだ。まさに「時限爆弾」ではないだろうか。この点を危機感をもって指摘したり、批判する論評がまったくないのはどういうことだろうか。安倍官邸のやり方への批判の矛先が鈍っていると言わざる得ない。
次回は、この問題についてさらに突っ込んで論じていきたい。(つづく)

松井は『森友』の責任をとれ
市民が大阪府庁を包囲
5月19日

5月19日、大阪総がかり実行委員会が主催し、「松井知事は『森友』小学校認可の責任をとれ! 戦争する国づくりNO! 戦争する人づくりNO! 共謀罪はいらない!」大阪府庁前昼休みアクションがとりくまれ、平日昼間にもかかわらず250人が参加した(写真上)。  道路をはさんで府庁の向かい側にある大阪城公園で集会がひらかれ、参加者は「数の力にまかせてやりたい放題の安倍政権も、安倍政権の戦争推進政策に追随し大阪を私物化する維新も許さない。平成の大疑獄=森友問題をうやむやのままに終わらせてはいけない」と声を上げた。
 集会後、府庁前に移動しヒューマンチェーンで庁舎本館を包囲。「松井知事は、森友認可の責任をとれ」のシュプレヒコールやウエーブは、沿道の市民や外国人観光客などの注目を集めた。庁舎内では府庁の労働者らがかたずをのんで見守っていた。

維新政治で劣化する大阪
5月17日 住民投票2周年を検証

5月17日、「住民投票から2年。大阪のことを知ろう。市民集会パート2大阪問題」が開催され、大阪市中央公会堂大集会室に900人が参加した。
司会は平松邦夫元大阪市長と笑福亭竹林さん。はじめに神戸女学院大学名誉教授の内田樹さんが講演した。
内田さんは「ひとつの『正解』に集約するのは暮らしにくい社会だ」と指摘。「民主主義は51対49で勝った51が49%と共生することだ。51%だと言って49に強制するのは政治文化が劣化している」と安倍や維新を弾劾した。

「黒字」の実態は

続いて大阪自治体問題研究所&大阪教育大学教育学部教授高山新さんによる「大阪のサイフの話」。
維新のタウンミーティング、ダブル選挙で「大阪府は黒字になった、大阪市はどうなんだ」と言われ問われ始めた。そこには2つ問題がある。1つは、大阪府の黒字連続8年は事実だが、財政が大変な状況であることも事実だ。大阪府は借金が多く、財政が不健全だとして国から起債許可団体に指定されている。なぜ黒字なのに起債許可団体なのか。それは大阪府が借金をする上で、決められたルール通りに返済しておらず、5千億円が不足しているからだ。
2つめは、大阪府と大阪市は性格の違う自治体だということを忘れた議論がされていること。大阪府は広域団体として府下の市民の幸せを考え、大阪市は基礎自治体として、大阪市民の幸せを考える。それぞれ役割が違う。

命を軽視

「下がりっぱなしの公務員モチベーション」では、大阪府こども家庭センター児童福祉士前田さんと大阪府保健所精神保健福祉相談員後呂さん。前田さんは、普段児童相談所で働いている。受付は、大阪では1万件超え。100時間以上残業することもある。
大阪市は保健士の歴史が厚い。いまは人材育成もできない。職員の体制を整えることが必要。3人の仕事を1人にやらせている、と橋下市長(当時)が言った。それは自慢ではなく、本当は恥ずかしいこと。命を軽視していると感じている。
さらに笑福亭竹林さんの落語なども加わり、維新の府・市政のもとで危ない大阪の現状が浮き彫りにされた。

4面

投稿
朝鮮学校を守る裁判支援
Moreパレード 勝利の日まで
大阪 佐野裕子

5月18日、大阪市内で、〈オモニ連絡会・大阪〉と〈無償化連絡会・大阪〉が主催する集会とパレードがおこなわれました。
朝鮮学校に学ぶ子どもたちが「高校無償化制度」から除外されたまま7年目になります。補助金裁判も大阪高裁へと舞台を移しました。来る7月28日には、無償化裁判の判決が言い渡されます。子どもたちの笑顔と明るい未来のために、もっと(More)集めて、民族教育と子どもたちの学ぶ権利を守るために、あきらめずにたたかおうと多くの朝鮮学校関係者をはじめオモニ、アボジ、ハルモ二、ハラボジ、支援する人々が集まりました。

未来に渡すもの

冒頭、歌舞団の歌唱指導で「勝利のその日まで」を合唱して集会が始まりました。
はじめに無償化連絡会の伊地知紀子共同代表があいさつ。「多くの時間と労力をかけて、大阪府・市と日本国の不当な対応にたいして、たたかってきたにもかかわらず、最近の報道にある通り大阪府・市は一度否定された住民投票をまたしようとしている。安倍首相は憲法を変えるために850億と言われている国民投票をおこなおうとしている。これだけの予算があるのだったら朝鮮高級学校を無償化から排除した相当の支払いに充てるべき。大阪府・市も住民投票にかかる予算は補助金に回すべきだ。朝鮮学校無償化に賛同する人たちは、ここに集まってきている人はもちろん、日本人そのほか多くの国の人たちがいろんな形で関心を寄せ応援を寄せてくださっています。苦境に立たされても言葉と文化と歴史を受け継いで、未来に渡したいという思いが100年以上前から受け継がれてきて今に至っている。そういう思いを子どもたちに希望として渡したいのが一番の支えになっていると思う」と訴えました。

学ぶ権利のために

続いて3人の子どもをウリハッキョ(「私たちの学校」の意)に通わせているオモニから、「大阪府・市の補助金裁判の不当判決にたいして『ウリハッキョは私たちの未来』プロジェクトを立ち上げた。@千羽鶴を折って弁護団の先生たちを応援しよう。A裁判の本質をより多くの人に知らせて運動の輪を広げよう。Bワンコイン募金運動を広げて裁判費用を集めよう。全地域で取り組み、7月に(無償化裁判)判決を迎える弁護団にともにたたかう私たちの心を届けます。勝利の日まであきらめない」と力強く訴えました。
さらに大阪朝鮮高級学校の先生から、「教員生活5年になるが、こんなに月日が経ったのにウリハッキョを取り巻く環境に何ら変わりがないこと、こうして今も声をあげてたたかい続けていることを思うと心が痛む。勉強や部活動に、何の心配もなく没頭できるように、学ぶ権利を勝ち取るためにたたかわなくてもいいように、ともに頑張りましょう」と訴えました。

未来を担う仲間

辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動の代表から、「沖縄への差別も朝鮮学校への差別も同じ状況。未来の子どもたちに美しい海、美しい社会を残すために一生懸命頑張ろう」と。森友学園問題を考える会から、「まだまだ問題がいっぱいある。安倍と大阪維新の責任も追及していく。多様性のある社会、さまざまな人たちがともに理解しあって生きていける社会を共に作り上げていこう」と。
「子どもたちに希望を」という意味を込めて、ピンクのものを身に着けて、ピンクのバルーンを打ち鳴らし、「子どもたちの笑顔を奪うな」「朝鮮高校への無償化適用を」「行政は差別をするな」とオモニ会の心のこもったコールを響かせてJR大阪駅近くまで、元気にパレードしました(写真上)

“アジア諸国ぬきの戦後処理”
内海愛子さんが大阪で講演
5月14日

5月14日、「原発あかん・橋下いらん・弾圧やめて! 5・14内海愛子講演会」(主催 同実行委員会)が大阪市内でひらかれた。内海愛子さん(恵泉女学園大学名誉教授)が「戦後日本の平和主義と朝鮮〜置き去りにされた植民地支配」と題して講演した(写真)。 内海さんは次のような論点で語った。
@日本はどの国と戦争をし、どこを占領したのか。A戦後処理は欧米諸国との和解で、アジア諸国との和解ではなかった。Bこの問題が解決されていないために、アジアでの日本軍「慰安婦」問題、沖縄の辺野古の問題、歴史修正主義の問題という形で、問題は今日に引きずっている。
内海さんは、はじめに「日本国憲法は〈日本国民は、…〉で始まっている。この日本国民には在日朝鮮人や在日台湾人は含まれていない」と述べた。そもそも、憲法が外国人を排除しているのだ。

欧米との「和解」

アジア・太平洋戦争を知るうえで、内海さんは「アジアの被害者の証言を聞き、その視点から戦争にせまっていくことが大切だ」と述べた。また、戦後処理について「東京裁判は植民地支配責任を訴追していない。このことは不問にされた」と語った。天皇を含めて戦争責任があいまいにされ、アジア人民の視点で戦争犯罪者が裁かれることはなかった。
この戦後処理はアジアにたいする侵略・植民地支配の問題を抜きにした、欧米との「和解」であった。

アジアの視点

1948年、激動するアジア情勢のなかで、アメリカは「初期対日方針」を変更する。朝鮮戦争の勃発とともに警察予備隊が作られ、日本は再軍備していく。サンフランシスコ講和条約について、内海さんは「日米安保のために、講和条約が結ばれた」と喝破した。この講和会議に、中華人民共和国と中華民国、朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国は招聘されていない。
アメリカは日本に賠償を求めず、日本を軍事基地化していった。これが沖縄の辺野古新基地建設につながる。一方、アジア諸国に対しては、戦争責任をあいまいにしたまま、経済援助という形の「(国家)賠償」でごまかした。日本の経済発展のために、またしてもアジアを犠牲にしていった。
日本はすでにアジアに対して経済侵出をしている。このなかで、安倍政権の〈戦争をする国〉は、具体的にはアジアに対する侵略戦争になるだろう。こういう情勢だからこそ、われわれはアジアの視点にたって現代史(戦争)を捉えていく必要がある。(津田)

投稿
孤立、鎖国と違うイメージ
ピョンヤン訪問記 4月29日〜5月4日
兵庫 SK生

ここへ来るには時間と手間がかかる。日本政府が、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)と国交を持たない努力をしているので、煩わしいのだ。
日本の空港から3時間以上飛び、北京の朝鮮大使館でビザをもらう。翌日ピョンヤン行きに乗る。合計4千キロの旅だ。
さて中国のテレビは「米軍の空母がやって来る」というニュースで持ちきりかと思いきや、「朝鮮問題は対話と交渉が中国・ロシアの一致した意見」であることや「韓国に配備されるTHAADミサイルの危険性」をニュース解説のたびに説明していた。
「中国が朝鮮制裁に参加」とか「ミサイル発射で日本の鉄道がストップ」などのニュースは一切ない。こうして、もしかすると「戦争前夜」になるかもしれない4月29日、7人の訪朝団とともに快晴のピョンヤン空港へ降り立った。

なぜかホッとする国

高麗航空機は欧州人と中国人と帰国する朝鮮人と私たちで満席だった。朝鮮にたいする「孤立」「鎖国」のイメージは事実とちがう。世界162カ国と正式な国交を持ち、国連の加盟国である。
小生のとなりに座った朝鮮女性は話し好きで、片言と筆談でけっこう交流できた。飛行機を降りるとき、朝鮮語で「先生のご活動と日朝の反帝親善がいっそう発展しますように」と書かれた「ラブレター」をもらった。
ピョンヤン空港はテレビでおなじみの大きな軍帽をかぶった男性だらけだが、すらっとした女性職員も多い。力仕事でなければ職場には女性が大量に進出しているのだ。
厳重なイメージが持たれる荷物持ち込み検査はほぼフリーパスだった。荷物を没収されたり預かり処分になった経験は、同行の人を含めて意外に少ない。没収の常習犯は日本の空港だ。
中国から入ると印象的なのは空気がきれいなことだ。中国も朝鮮もスギがないらしく、花粉症が「治った」。
写真やビデオの撮影は「ご自由に。しかし軍人さんを写さないで」とのことであった。以前は携帯電話を空港に預けさせられたが、今は自由だ。
市内は至るところで建設工事。その主役は軍隊の青年。建設工事の敷地に大きな飯場があり、軍隊はそこに寝泊まりして集中的に工事をやり遂げる。農村の田植えや稲刈りも軍隊が一気にやる。

広場で結婚を祝う家族・友人たち

先軍政治の秘密

朝鮮にはゼネコンがない。農機具も少ない。だから軍隊が主役なのだ。これが先軍政治の「秘密」。ある意味合理的だ。軍隊が職住近接で計画的に怒涛のように計画を遂行する。自然災害のときも命がけで止水・治水、救助、復旧に当たる。
軍人の数は多いので街中でよく見かける。しかしテレビでおなじみの「行進」はない。男女の兵士が手をつないでいるのも普通の光景だ。
今回の訪朝は、「朝鮮半島へ出動」と見せかけて実は南洋で遊んでいた米空母カールビンソンが、ついに朝鮮の近海にやって来た時期だった。朝鮮国内が「どれだけ緊張しているだろうか」と思うのが自然だろう。
そうした「期待」を裏切って、町は連休ムード。大公園へ行けば何万人という人びとが宴会の真っ最中だ。楽器をたしなむ小生は、あちこちで呼び止められた。歌う人、踊る人、「まあ一杯飲んでいきなさい」と手招きをする人など、じつに人懐っこい朝鮮人民の姿を見ることができた。「インターナショナル」を演奏すれば、いっしょに口ずさむ人もいる。さすが中国語でいう「国際歌」だ。
メーデーは朝鮮では国家的休日。それを挟んで連休のピョンヤンはにぎやかで華やかであった。案内人が解説してくれた。「こうしてみんなが家族、職場、学校単位で休日を思い切り楽しみますが、いったんわが国に戦争が仕掛けられたら一人残らず侵略者に立ち向かいます!」

5面

論考
2017年朝鮮(韓国)情勢とわれわれの課題
米日帝国主義による戦争挑発に日・韓・朝人民の連帯の力で反撃しよう(下)
須磨 明

(3)朝鮮半島をめぐる政治・軍事(承前)

A 北朝鮮の瀬戸際政策

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は2016年に2回の核実験(1月と9月)、スカッド、ノドン、ムスダンなどの弾道ミサイルやSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の発射実験をおこなってきた。トランプ新政権下で、昨年(2016年)以上の規模で米韓演習がおこなわれており、北朝鮮は「戦争演習を中止しない限り、核武力を中枢とする自衛的国防力と先制攻撃能力を引き続き強化していく」(2017年2月)と発表し、南北の緊張が高まっている。
この間の日米帝国主義と韓国による軍事的包囲にたいして、北朝鮮は核武装で対抗しようとしているが、核戦争(核兵器・原発)は地球的規模で、現在・未来から人類の生きる条件を奪い、社会主義(人間解放)をめざす人々は選択してはならない。
ベトナムでもキューバでもアメリカ帝国主義の軍事介入にたいして、人民自身の力によって撃退してきた。とくにキューバでは、カストロ暗殺計画が繰り返され、米帝に支えられた亡命キューバ人1500人によるキューバ南部への武装上陸(1961年)が強行されたが、人民の蜂起で撃退した。
1962年にはソ連による核ミサイル基地の建設をめぐって、一触即発の「キューバ危機(核戦争)」に陥ったが、2003年にカストロが広島原爆資料館を訪問したあと、「子ども、女性、老人、そして罪のないあらゆる年代の市民への、あの恐ろしい殺戮(注:原爆投下)を弁解する余地はない」と反省的に語っている(『ヒロシマのグウエーラ』)。

B 日帝の対韓、対朝政策

日韓軍事情報保護協定

2016年11月23日に日韓軍事秘密情報包括保護協定(日韓GSOMIA)が締結された。締結直前の21日、〈日本軍「慰安婦」合意無効のための大学生対策委員会〉は24時間座り込みをおこない、「日韓GSOMIAの目的が北朝鮮の核とミサイルを防ぐための情報共有ではない」「北東アジアの新冷戦体制を構築し、軍備競争を拡張する…売国的な日韓GSOMIAの強行を中断せよ」と訴えた。
しかし、日韓GSOMIAは日帝による韓国にたいする軍事的包摂の端緒であり、日本での反対運動はまったく不十分だった。

少女像問題

日本軍性奴隷制被害者たちが提訴している「2015年日韓合意」の責任を問う裁判で、韓国政府は準備書面で「2015年日韓合意は条約のような法的拘束力のある合意には該当しない」と明言した。
文在寅新大統領は、選挙期間中「慰安婦」問題解決のために、「2015年日韓合意」の破棄または再協議を公約しており、5月11日の電話会談では安倍首相とは平行・対立した。日本でこそ、植民地支配と強制連行・強制労働、性奴隷強制を居直る安倍政権に謝罪させ、賠償させるたたかいを必要としている。

対北朝鮮「制裁」

2016年12月2日、国家安全保障会議(NSC)と北朝鮮による日本人拉致問題に関する関係閣僚会合を開催し、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射について「新たな段階の脅威である」として、北朝鮮訪問後の再入国禁止、北朝鮮に寄港した船舶の日本への入港禁止などの「独自制裁」を決定した。
この制裁は安倍政権の「利益線」論に基づいており、軍事的制裁へのとば口であり、さらには侵略的意図も孕まれている。

(4)韓国労働者階級のたたかい

@ 不屈の民主労総

昨年10月下旬から始まった朴槿恵弾劾キャンドルデモには前史がある。「レイバーネットニュース」の2016年以降の記事を見ると、そこには賃金未払い、不当解雇があり、それとたたかう民主労総がある。
すでに、労働者人民のなかに朴槿恵政権と財閥体制にたいする怨嗟の声が満ちあふれ、11月30日(平日)には民主労総はソウルに2万人を集め、全国で6万人が朴槿恵即刻退陣を要求するゼネスト大会を開きキャンドル行動と結びついた。
労働者のたたかいに、韓国経済界も「今年(2016年)は、鉄道労組、貨物連帯、現代自動車グループなどストが全方位に拡散し、ストによる損失が10年間で最高値を記録した。第3四半期にストによる労働損失日数が98万日に達する。現代自動車は今年24回にわたってストと12回の特別勤務拒否で14万台以上の生産支障をきたし、約3兆ウォン以上の損失を出した。起亜自動車も22回のストで9万台、約2兆ウォンを失った」と悲鳴をあげている(『韓国経済速報』)。

A キャンドルデモ

崔順実ゲートが発端となって、昨年10月27日にわずか400人で始まった朴槿恵弾劾キャンドルデモが10月29日には3万人になり、その後毎週土曜日ごとにたたかわれ、12月3日にはソウルで160万人が集まり、青瓦台まで100メートルに迫った。12月9日、ついに韓国国会は朴槿恵弾劾決議を可決した。12月31日、ソウル光化門広場で「送朴迎新・汎国民行動」が開かれ、延べ人数が1000万人を突破した。
それは崔順実ゲートだけが問題なのではない。4年前に朴槿恵は国民大統合(地域や世代間の対立を超える)、経済民主化(財閥などへの富の集中是正)を掲げて大統領に当選したが、まったく違う方向に進んだ。極右の尹昶重を大統領府報道官に据え、民主化陣営の人びとを遠ざけた(韓国アカデミー院長・金万欽談)。
朴槿恵が公約として掲げた高齢者へ月20万ウオン支給、大学授業料を半額、保育園無料化などが空手形となり、財閥が大手を振り、社会格差が拡大し、青年層の失業率が増加した。セウォル号事件、「慰安婦」合意、開城工業団地の閉鎖、機動隊による農民ペク・ナムギさん(70)虐殺などがあいつぎ、労働者人民の忍耐は限界に達していた。

B 非常国民行動結成

11月9日、朴槿恵退陣を要求する市民の国民的怒りを集めて、「朴槿恵政権退陣非常国民行動(退陣行動)」が結成された。
記者会見で民主労総のチェ・ジョンジン委員長職務代行は「新自由主義の中で積み重なった財閥構造を振り返らなければならない」「労働者・農民・貧民が死んでいく状況の中で、国民は新しい世の中を要求する熱気を作っている」「ゼネストをはじめ、財閥解体、非正規職撤廃、労働三権保障を」と、労働者の立場から決意を述べた。
「退陣行動」は新年のメッセージで「今は世界史に残る市民革命の1ページを再び書き込んでいる」「私たちが生きる世の中をこれ以上ヘル(地獄)朝鮮などとは書かないだろう。力がなくても分かち合える世の中を作るだろう。…2017年に私たちは世の中を変えるだろう。反則と覇権を壊し、正義と真実、民主主義が勝利する世の中、主権者が統治する共に生きる世の中を作るだろう」と宣言した。

C 韓国人民の決意

今年に入ってもキャンドルデモは収束せず、2月25日朴槿恵大統領就任5年目の民衆総決起大会には30万人が集まった。ついに3月10日憲法裁判所は全会一致で朴槿恵を罷免し、3月31日朴槿恵は13件の容疑で逮捕された。そして5月9日文在寅新大統領が誕生した。しかし1000万の人々が叫ぶスローガンには、財閥解体、非正規職撤廃、労働三権保障、南北統一など文在寅新大統領には担いきれない重い内容が連ねられている。
キャンドル大衆は、政局の主導権を既存政界に渡さない、自分たちの直接的な政治が憲法裁判所の判決よりも根本的だと考えている。そして「自己統治」は今始まったばかりだと表明し続けている。

(5)日本の労働者人民の課題

@ 過剰反応と自家中毒

アメリカ帝国主義が東アジアを軍事的緊張に突き落として、北朝鮮を孤立させ、挑発し、あわよくば戦争的手段で解体し、包摂しようとしている。日帝はその一翼にあって、その成果の一部を得んがために、特定秘密保護法、集団的自衛権の容認、共謀罪の強行そして改憲へと、戦時体制の構築に向かっている。また、海上自衛隊は朝鮮半島海域に向かう原子力空母カールビンソンとの共同訓練をおこない、安保法に基づいて「米軍補給艦防護」を実施した。まさに、安倍政権は朝鮮危機を奇貨として、人々に恐怖心をあおりたてて、戦争体制をつくりだしている。
政府の煽動に呼応して、北朝鮮のミサイル発射実験にたいして北陸新幹線を止め、地下鉄・東京メトロを止め、軽井沢町は防毒マスクを購入するという。マスコミ・民放のワイドショーは連日朝鮮排外主義をけたたましく煽っている。

A 国際連帯の試金石

革共同は創成以来、朝鮮情勢にたいする感性を研ぎ澄まし、日韓会談を日帝の朝鮮再侵略攻撃と認識し、朝鮮(韓国)人民と連帯する立場を鮮明にしてきた(『前進』123号。1963年)。それは1970年7・7を契機にしてより強固にし、党内外の信頼を獲得してきたのである。しかるに2007年「7月テーゼ」で後退させ、我々は党中央と決別し、差別・排外主義と対決する道を選択したのではなかったか。
戦争情勢のなかで、戦争と排外主義に真っ向反対するたたかいは、革命党の試金石となる。全世界で差別・排外主義が蔓延するなかで、またこれと対決するたたかいも始まっている。
いま、戦争に向かう「かわたれ時」にあって、たたかう朝鮮(韓国)人民と連帯し、「侵略戦争反対」のスクラムを固く組もうではないか。(おわり)

6面

自見はなこ議員が差別暴言
「監督されていると思うのは妄想だ」
(5月11日 参院厚労委)

精福法改悪案衆院へ

精神保健福祉法改悪案は5月16日参院厚労委員会で賛成多数で可決。17日の参院本会議で自公維新・無所属の賛成、民進・共産・社民(自由)の反対で可決し衆院に送られました。不可解な行動をとったのが民進党です。審議の内容とはまったく無関係な修正案を突然提出したのです。しかもその内容は、警察が入る「精神障害者支援地域協議会」を措置入院だけでなく医療保護入院に拡大するなどという実質改悪の内容なのです。措置入院は知事政令市市長の命令による強制入院で数千人が対象なのに比して、医療保護入院は親族や市町村長の同意による強制入院で対象者は十数万人になります。民進党は委員会採決では修正案に賛成、本案に反対、付帯決議に反対しました。本会議では修正された法案に民進も反対しました。かろうじて衆院の審議に繋がる投票でした。

差別暴言の撤回を

5月11日の審議の時、自民党・自見はなこ議員の発言は驚くべきものでした。「監督されていると思うのは妄想だ、病気の症状だ」という、多くの精神しょうがい者にとって頭をぶん殴られたかの思いがする暴言でした。
自見議員は、「議論に出ておりましたような、監督されているんじゃないかというような妄想もこれも一つの病気の症状でありますので、ここは一貫してみんなでサポートしているんだというメッセージを送っていただきたいと切に願っております」と発言しました。 「監督されているんじゃないかというような妄想」というのは「議論に出ていた」ことはなく、ここで初めて言われています。「議論に出ていた」のは「監視されている」ということだけです。だからこれは、「監督されていると思うのは妄想だ」という以外の意味には取れないのです。
精神しょうがい者が何を言おうが、何を叫ぼうが、みんな「妄想だ」と切って捨て、無効化することが精神保健福祉法改悪を推し進める側の論理なのです。精神しょうがいと妄想をことさらに結び付け、精神しょうがい者の言うことは妄想に基づいていると決めつけることは、精神しょうがい者の人権を否定し、人間ではないものと決めつける差別暴言です。「みんなでサポートしている」というのも精神しょうがい者は地域自立生活の主体ではなく、「してあげる」だけの客体だという決め付けですから、ダメです。
まったく差別的、「健常者」的上から目線の確信に満ちた偏見から出た差別発言というほかありません。塩崎厚労大臣をはじめ、政府自身が精神しょうがい者の主体性を認めず、患者本人抜きで作られる「退院後支援計画」案を精神しょうがい者の多くの反対の声を無視して推し進め、精神しょうがい者を管理と監督の対象としか考えていない答弁をくりかえす中で出たのがこの発言です。「善意」を振りかざして人間を否定するというこの法案の本質を最もよく表しているのです。

「してあげる福祉」

この発言、またこの発言が象徴する本法案は「してあげる福祉」の典型です。精神しょうがい者の立場、発言を無効化し、「世話してあげないと何もできないモノ」と決めつけているのです。これは精神しょうがい者、しょうがい者福祉をする人の中にもしばしばみられる傾向です。対象であるしょうがい者を一個の独立した自立した人格とはみなさずに、主体ではないものとみなす、あの「してあげる福祉」です。
この感覚をおわかりいただけるでしょうか。人間とは見ていないことが分かる言葉なのです。そういう言葉を投げかけて平気でいられる人に何といえば会話が成立するのだろうかと暗澹たる思いがします。糾弾の言葉さえ、「言葉とは聞こえない」のではないかと思えます。
よく、人の足を踏みつけている人には痛みは感じられないという例え話があります。それよりももっと絶望的な思いなのです。この例え話は少なくとも人間同士の間での差別を語っているからです。
「人間ではないモノ」とみなされているという感覚をどうしたら伝えられるのか。「医療を施してあげないと人間にはなれないモノ」「多職種で医療をしてあげているのだと理解させなければならないモノ」という風に精神しょうがい者を「モノ」化して見ていることが、私たちには分かるのです。この法案そのものが「してあげる福祉」の典型です。たまたま言ってしまった言葉ではなく法案の核心です。
私たちは言葉にならない言葉を発し続けるしかありません。
私たちは人間だ。たとえあなた方がそうは思わなくとも。

共同声明

直ちに、「自見はなこ議員の差別暴言の謝罪と撤回を求める共同声明」を呼びかけ、精神しょうがい者、しょうがい者、反差別団体、労働組合など、国内外の55以上の団体から賛同を得ています。私たちは差別をあいまいにすることなく徹底的に糾していくつもりです。(高見元博)

ビルマに連れて行かれた日本軍「慰安婦」
文玉珠さんの足跡をたどって

4月21日、大阪市内で日本軍「慰安婦」問題の集会がおこなわれ、会場は満席になった(主催:日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク)。集会は「ビルマに連れて行かれた日本軍『慰安婦』文玉珠さんの足跡をたどって」と題して森川万智子さんが報告した。

文玉珠さん

ムンさんは1923年大邸で生まれ、1997年72歳で亡くなった。金学順さんに続いて3番目に名乗りでた勇気ある人である。父は独立運動家だった。16歳のときの夕方、歩いて20分ほどの家に帰る途中、「ちょっとこい」と憲兵に呼び止められて憲兵詰所に連行され、そのまま大邸駅から汽車に乗せられ3日ほどかかって北部満州のトアンショウ(東安省)の慰安所に連れていかれた。
その後、ビルマに移動した。当時、日本軍は敗勢を挽回するために、ビルマで無謀なインパール作戦を強行したが惨敗。日本軍はおびただしい数の死者を出しながら敗走した。それは「白骨街道」といわれた。ムンさんはそういう過酷ななかを生き抜いた人である。
彼女に支払われたものは軍票だった。わずかな軍票を貯め、軍事郵便貯金をしていた。このことを日本の集会にきたときに「その貯金の本社は下関郵便局だった」と話した。当時集会を準備していた森川さんは思わず声を上げたという。なぜなら森川さんは下関郵便局で16年にわたって働き、元日本兵への軍事郵便貯金支払いにも携わった経験があったからである。以後、森川さんはムンさんの問題に取り組んでいく。

正確な記憶

ムンさんの記憶力はきわめて正確だった。森川さんが「防衛庁戦史室が編纂した『戦史叢書』のビルマ関連の数冊をめくってみると、彼女が話したのとまったく同じ楯師団が転戦した記述に出会い」(森川万智子『教科書に書かれなかった戦争part22』梨の木舎)驚いたという。
ムンさんは途中、軍事郵便貯金の通帳を失くし、亡失届を出したという。後にその貯金台帳が出てきたが、そこには記憶通り亡失届が出されていたことが記録されていた。ムンさんは記憶力だけでなく歌を覚えるのが早く上手だった。父方も母方も両班の家系で父方では600年前には有名な学者も出したという。

秦郁彦のデマ

森川さんは軍票の問題についても報告した。「慰安婦」を否定する反動学者の秦郁彦は開示されたムンさんの通帳に記載されていた額(表)をとらえて、「日本では考えられないほどの高級取りだった」とデマを流している。
しかし、通帳の数字をよくみてほしい。1945年4月から貯金額が急増するのだ。前年6月には800円しか貯金できなかったのに、翌年4月4日には5560円、4月26日には5000円、5月23日には1万円となっている。
実は1945年4月、日本軍はラングーンを放棄し、軍票は紙切れになっていたのだ。つまり、日本軍人は紙切れとなった軍票をつかませていたのだ。秦はムンさんに渡されたのが紙くずとなった軍票であることを隠し、「高級取り」だとデマを流しているのである。
ムンさんは3度も4度も来日し、貯金支払いを要求したが国は日韓条約を理由に支払いを拒否し続けた。森川さんはその「支払いを請求するときのきっぱりした態度や、ぽつりぽつりと語る慰安婦時代のあれこれに、強くひきこまれていった」(前掲書)という。
私たちは「慰安婦」とされたハルモニたち一人一人の思いを受け止めていくことが求められているのではないだろうか。(布施三郎)

石川一雄さんは無実です
狭山再審を求め座り込み
5月21日 神 戸

5月21日の午前10時から午後4時まで、JR神戸駅前で、狭山再審を求める市民の会・こうべが主催する座り込み行動がおこなわれた(写真下)。石川一雄さんが不当逮捕された5月23日を前におこなわれているもので、今回で5回目になる。
山本善偉さんや粟原富夫・神戸市議ら市民の会・こうべのよびかけ人など約40人が参加。狭山事件にかんする冊子やカレンダー、アイスコーヒーや手作りケーキの販売、おにぎりやお茶の差し入れなどでにぎわった。
参加者が交代でマイクアピールやビラまきをし、署名を呼びかけた。下山鑑定の事実調べや自白にかかわる証拠の開示を訴えたビラは好評で、多くの人が受け取った。
「えん罪は犯罪」「差別裁判やめろ」と大書きされたボード、下山鑑定や筆跡の違いなどを示すパネルが注目を集め、立ち止まった人たちはていねいな説明に耳を傾けていた。
午後からはミュージシャンも参加。熱演を披露し喝采が沸いた。
次回三者協議は7月下旬の予定。全国から声をあげ、下山鑑定の事実調べ、自白に関連する証拠をはじめ全証拠の開示をかちとり、狭山再審の扉を開いていこう。(深谷耕三)