高浜原発を動かすな
関電本店前で700人が抗議
4月27日
関西電力への申し入れに向かう代表団(4月27日 大阪市内) |
4月27日、大阪市の関西電力本店前で「高浜原発うごかすな! 関電包囲全国集会」がひらかれ、平日の昼間という悪条件にもかかわらず700人が集まった。「高浜原発うごかすな!」「高浜原発再稼働反対」の大きな声が関電本店を包囲し叩きつけられた。
午後4時半「高浜原発うごかすな!」コールで集会が始まった。冒頭、主催者を代表して〈原子力発電に反対する福井県民会議〉代表・中嶌哲演さんがあいさつ。関西電力への申し入れ書を参加者の拍手で確認し、代表団5人を送り出した。
福井原発訴訟(滋賀)弁護団の崔信義弁護士が「大阪高裁の決定はとんでもない決定だが、皆さんの高浜原発再稼働反対の声、行動が事態を決める。皆さんの声をバックに頑張る」と発言。
全国各地から
全国から、ストップ川内原発! 3・11鹿児島実行委員会、再稼働阻止全国ネットワーク、反原発自治体議員・市民連盟が発言。原発さよなら四国ネットワーク、柏崎刈羽原発絶対反対現地住民有志からメッセージが寄せられた。
フクシマ原発事故による被曝からの避難者で神戸に避難している菅野みずえさんが発言。菅野さんは「福島からの避難者と言わないでください。福島原発事故からの避難者と言ってください。県境で放射能はブロックできるのではない。私たちは、福島原発事故からの避難者である」と、全国の裁判闘争を再稼働反対と一体でたたかうと述べた。
途中、関電申し入れの報告があり、不誠実きわまりない関電側の対応を弾劾した。
5月中旬 再稼働阻止
関西から、さよなら原発なら県ネット、さよなら原発神戸アクション、釜ケ崎日雇い労働組合、脳性まひ者の生活と健康を考える会、京都脱原発訴訟原告団・事務局長、GoWest関東からの避難者たち、大阪全労協、フォーラム平和関西ブロックが発言。
閉会のあいさつで木原壯林さんは、「関電は4月28日から高浜4号機に核燃料装てんを始め、5月中旬にも再稼働を強行しようとしている。高浜原発うごかすなの大きな声をさらにあげていこう」と呼びかけた。当面5月7日の高浜現地集会、8日からの高浜〜福井のリレーデモ、5月12日福井集会への結集を呼びかけた。
集会後、デモ行進に出発。大阪市内のメインストリート・御堂筋をとおって難波まで、道行く人々に、「高浜原発再稼働反対」を訴えた。
福井県・西川知事、高浜町・野瀬町長の同意を受け、関西電力は5月中旬にも4号機を再稼働しようとしている。高浜現地闘争、高浜―福井リレーデモで、5月中旬といわれる4号機の再稼働を止めよう。
安倍首相の「5・3改憲メッセージ」
歯止めなき軍事大国への道
安倍首相は5月3日、都内で開かれた改憲派の集会に寄せたビデオメッセージで「2020年に新しい憲法を施行する」という意向を表明した。この集会は、日本会議のフロント団体である「美しい日本の憲法をつくる国民の会」と「民間憲法臨調」が共催した「第19回公開憲法フォーラム」である。
安倍はここで「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という改憲方針を明らかにした。これは重大な事態である。
9条は1項で「戦争の放棄」をうたい、2項で「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」と「戦力の不保持」を明記している。ここに戦力である自衛隊を書き込むということは、2項の規定と明らかに矛盾する。9条が法文としての整合性を失う。それは9条が死文と化すことを意味する。
これまで政府は、自衛隊の存在と9条との整合性を保つために、「9条は主権国家としての固有の自衛権を否定するものではないから、それを行使するための必要最小限度の実力を保持することは認められる」と解釈してきた。そしてこの「解釈」が自衛隊の活動に実質的な歯止めをかけてきた。自衛隊の海外派兵は1991年から始まったが、今日まで四半世紀にわたって、海外に派兵された自衛隊が戦闘に参加することはなかった。それは、この「歯止め」があったからである。
しかし、2015年、従来の憲法解釈では不可能とされてきた集団的自衛権の行使を容認する戦争法(安全保障関連法)が成立したことによって、自衛隊の海外における武力行使のハードルがいっきに下がっている。
昨年11月には自衛隊南スーダンPKO部隊にたいして、現地勢力との戦闘につながる「駆け付け警護」と「宿営地の共同防衛」の任務を付与した。そして今月1日、海上自衛隊の護衛艦が米艦防護の任務を初めて実施し、米軍との一体化を進めている。そして3年後の2020年には、自衛隊の活動を制限してきた憲法上の「歯止め」を取り払ってしまおうとしているのである。この点については、警鐘を乱打しなければならない。
3日の安倍のビデオメッセージが、トランプ政権の朝鮮民主主義人民共和国にたいする強硬姿勢を背景にしていることは明らかだ。東アジアの民衆が、朝鮮半島における「戦争の危機」におそれを抱き憂慮していることを逆手にとり、それを好機とばかりに改憲論を振り回し、率先して米軍への全面支持と協力を表明しているのである。韓国において大統領選の立候補者全員が「アメリカの先制攻撃反対」をいちはやく表明したのと比較しても、安倍の政治姿勢の下劣さは際立っている。
このようにして発せられた「5・3改憲メッセージ」は、安倍政権の命取りとなるであろう。いや必ずそうしなければならない。「自国民の生命と安全」すらもてあそぶ傲慢で軽薄な為政者を、日本の民衆は自らの手で葬り去ることをはっきりと言っておこう。
共謀罪は監視社会の道具
東京第二弁護士会が集会
4月17日
4月17日、東京・霞が関の弁護士会館で「新共謀罪法案 名前を変えても危険な本質は変わらない」と題する市民集会(主催:東京第二弁護士会刑事法制・刑事被拘禁者の権利に関する委員会)がひらかれた(写真)。
司会は、同委員会所属の小竹広子弁護士。1994年の早慶戦「天覧試合」国賠訴訟の原告でもある。
講演は、野田内閣で法務大臣を務め、現在は日弁連共謀罪法案対策本部委員に就いている平岡秀夫弁護士。
「共謀罪は監視社会の道具になると訴えてきた。監視社会の部分に熱を込めて訴える」と語った。
次に、共謀罪に関するクイズ。参加者全員が立ち上がり、司会の小竹弁護士が刑法犯罪を色々と挙げ、それについての事前の共謀が今回の法案で罪になるかどうかを○か×で答えるというもの。所得税法違反は適用されるが相続税法違反は対象外。このように対象犯罪が恣意的に選別されていることが明らかにされた。
共謀罪
日本政府が虚偽情報を宣伝
“マスコミに圧力”と国連が報告
4月16日、京都弁護士会主催の共謀罪制定を阻止する市民集会が円山野外音楽堂でおこなわれ、1700人が参加した(写真)。
講演は海渡雄一弁護士と高山佳奈子京大教授で、海渡弁護士は共謀罪の問題点を説明。
高山教授は、「日本では犯罪件数が戦後最低新記録を更新中で、この13年で犯罪件数は半減しているのに、警察官は2万人増えていて、共謀罪導入は犯罪(冤罪事件)を増やそうとしているとしか思えない。また政府や自民党は共謀罪の必要性を宣伝しているが、国連は『日本はマスコミが政治家からの圧力で嘘の情報を流している』と正式に報告している。スノーデン氏によれば、『米国は日本人の個人情報を集め日本に共謀罪を導入させようとしている』ということだ」と話し、共謀罪の危険性を明らかにした。集会後、京都市役所前までデモ行進をした。
(5〜6月の『未来』の発行日が変わります)
5月の次の発行日は25日(木)です。6月は8日(木)と22日(木)です。7月以降は第1・第3木曜日発行に戻ります。
2面
大飯原発差止訴訟
“関電は地震予測を過小評価”
島崎邦彦さん(元原子力規制委員)が証言
名古屋高裁金沢支部に向かう原告・弁護団(4月24日 金沢市内) |
4月24日、今日は元原子力規制委員会委員長代理・島崎邦彦さんの証人尋問の日だ。わずか60席の傍聴席に、229人の行列ができ、名古屋高裁金沢支部の廊下からはみ出し、屋外まで続いた。
傍聴券抽選の列に並んだが見事に外れて、原告、弁護団、傍聴団を送り出す側にまわり、金沢弁護士会館で学習会をしながら待機した。
主尋問がおわり休憩に入ったころ、友人から「体調が悪くて傍聴を継続できない」という連絡があり、反対尋問から傍聴席に座った。
島崎さんへの主尋問・反対尋問は2時間以上に及び、非常に難解なやりとりが続き、記者会見での長沢啓行さん(大阪府立大名誉教授)や弁護団の説明、翌日の新聞各紙を参考にして報告する。
(田端、永久)
島崎陳述書
法廷の左側には、3列30人余の原告と弁護団がひしめき、中央に島崎さんが裁判官に面と向かって着席した。裁判長から尋問開始を促され、甫守弁護人が起ち上がり、まずは島崎さんの経歴や業績、専門について尋ねた。
島崎さんは地震予知連絡会々長や日本活断層学会々長を歴任し、2012年から2年間原子力規制委員会・委員長代理を務め、大飯原発の地震対策の審査を指揮したと述べた。
このような経歴の島崎さんが証言台に立つことになったのは、昨年6月に、「(関西電力が)『詳細な調査等』を実施していたとしても、入倉・三宅(2001)の式を用いることによる過小評価の可能性は変わりません」という島崎陳述書を裁判所に提出したからだ。
裁判所はこの陳述書を無視できず、「最も重要な証人」として、島崎さんの証人尋問を決定した。
入倉・三宅式の問題
入倉孝次郎さんは有名な地震学者で、三宅弘恵さんはその弟子にあたる。入倉・三宅式とは「震源になる断層の面積と地震の規模(地震モーメント)との間の関係式」であり、文部科学省の地震調査委員会で採用されている。入倉・三宅式のほかに松田式、武村式などがある。
関西電力は入倉・三宅式を使って、大飯原発周辺の活断層を原因とする「将来の地震の規模」などを予測し、原発に重大な影響はないという結論を導いてきた。これに規制委も同調して、大飯原発再稼働にゴーサインを出してきた。
しかし、島崎さんは16年熊本地震のデータを分析して、「入倉・三宅式は間違いではないが、これをすべてに適用してはならない。規制委は入倉・三宅式をもって基準としているのは間違いだ」と明確に証言した。
16年の日本地球惑星科学連合大会でも、島崎さんは「断層面積の推定値から変形を推定する場合、入倉・三宅式では実測値の4分の1以下の過小評価」「高角の断層の地震モーメントの推定には入倉・三宅式を用いるべきでない」と断言している。
手抜きの海底調査
関電や規制委は、大飯原発に影響を与える地震について、当初は海底にあるFO―A断層とFO―B断層の連動としていたが、審査の過程で内陸の熊川断層を含めた三連動で評価をやり直し、揺れの強さを700ガルから856ガルに引き上げた経緯がある。 しかし、島崎さんによれば、基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)を求めるためには15キロの深さまで対象化すべきであり、関電の海底音波探査はたかだか1キロ以内であり問題にもならないという。関電は大飯原発周辺の活断層調査を手抜きしている。
改訂版レシピを使え
昨年12月に、地震調査研究推進本部が「震源断層を特定した地震の強震動予測手法」(レシピ)を改定した。長沢さんによれば、従来のレシピには「詳細な調査をやった場合」と書いてあったが、改訂版では「地震観測記録に基づいて、最新の知見をベースにして、設定する震源断層」と改められた。
従来のレシピには「詳細な調査」と書いてあったので、関電は「詳細な調査をやったから、いい」と主張してきたが、島崎さんは「詳細な調査をやっても、地震観測記録がなければダメだ」「入倉・三宅式を使っている原発の審査はダメだ」と明確に証言した。
新しい審査ガイド(レシピ)が出たのだから、これに基づいて根本的にやり直すべきだというのが島崎さんの主張である。
反対尋問の破産
関電側弁護人の執拗な質問にたいして、島崎さんは「事前に地表を調査して分かるのは均質なモデルです。ですからそれに入倉・三宅式を適用するのは根本的に間違っている」「地震動を評価する場合には、地震調査研究推進本部のレシピ(イ)松田式で求めないと、入倉・三宅式では、過小に評価される」と明確に反論した。
関西電力は島崎さんを攻めあぐね、反論は失敗したという印象を受けた。
原告の切実な訴え
島崎さんの証人尋問のあと、原告団長の中嶌哲演さんが発言を求め、「高浜町の海岸部に奈良時代の津波の痕跡があります。京都府宮津市の標高約40メートルのところに、災害記念碑・波せき地蔵があります。水没して頂上だけが海面上に顔を出している冠島の水没部分には人工的な階段の遺跡があります。関電はこれらの津波や地震の痕跡を調査すべきである」と、関電を追及した。
新ステージに突入
口頭弁論後、金沢弁護士会館でひらかれた記者会見で、原告弁護団新団長の島田広さんは「大飯原発周辺の地層調査はたかだか200メートル程度であり、調査がまったく不十分だ」「入倉・三宅式は大幅な過小評価に繋がることが明らかになった」「原発の安全性を立証できないところに関電を追い込んだ」「この裁判は新しいステージに入った」と自信をみなぎらせていた。
また、島崎証言は伊方、玄海、大間、島根、東海第2原発など、全国の原発差し止め訴訟に影響を与える成果をもたらした。
原告団・弁護団は大飯原発の息の根を止めるべく、水蒸気爆発に関して高島武雄さん、地質学の立石雅昭さん、原子力技術の佐藤敏さん、生産管理システムの長沢啓行さん、福島原発事故被害者の長谷川健一さんらの証人尋問を申請している。
次回口頭弁論(7月5日)は新ステージに突入するのか、結審に向かうのか、つばぜり合いの重要な期日になる。今回の裁判を超える結集で、傍聴席を埋めつくそう。
辺野古新基地
「護岸工事着工」に怒りの声
“反対つぶし”のセレモニーだ
キャンプ・シュワブゲート前で県民集会に参加する人たち(4月29日 名護市内) |
わずか15分の工事
4月25日 沖縄防衛局は、名護市辺野古の新基地建設に向け、米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる護岸工事に着手した。午前9時20分頃、シュワブ北側の「K9護岸」と呼ばれる埋め立て区域に、クレーンで袋入りの石材5個を波打ち際に置いた。海上行動隊は抗議船4隻とカヌー17艇で抗議。「海を壊すな」「工事をやめろ」と声を上げた。防衛局の作業はわずか15分で終わった。海上抗議の市民からは「県民に諦めさせるためのセレモニーだ」「政府は、着工したからもう引き返せないと思わせたいかもしれないが、思惑通りにはさせない」と怒りの声が上がった。
キャンプ・シュワブゲート前では、9時半ころ工事着手の連絡が入ると、市民100人が海上に向かって、「われわれは諦めないぞ」「サンゴの海をつぶすな」と拳を突き上げた。
翁長知事は「防衛局が事前協議に応じずに護岸工事を強行したことは許しがたい」と述べ、「辺野古に新たな基地を造らせないという県民との約束を実現するため全力でたたかう」と強い決意を語った。稲嶺進名護市長は「こんなにも県民を無視した形でのやり方は到底許されるものではない」と政府の強行姿勢を強く非難した。
国の強行に屈しない
29日 名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前で「辺野古新基地建設阻止! 共謀罪廃案! 4・28県民屈辱の日を忘れない県民集会」が開かれ、市民3000人が参加。辺野古への新基地建設阻止を訴え、国による工事強行に抗議の声を上げた。主催は沖縄平和運動センターや県議会与党会派などで構成する実行委員会。
集会は、冒頭、28日で1年となる元海兵隊員の米軍属による女性暴行殺人事件の犠牲者の冥福を祈り全員が黙とうした。参加者は手を合わせ、悲惨な事件を繰り返さないためにも新基地建設を阻止する決意を静かに誓った。
そして、ヘリ基地反対協共同代表安次富浩さんが「わたしたちは国の強行に屈しません。諦めずたたかおう」と力強く開催あいさつをおこなった。
主催者あいさつで高良鉄美さんは「沖縄の民意に背いた状態が現在も続いている。屈辱の日を忘れずに、辺野古に新基地を造らせないために頑張っていこう」と呼びかけた。稲嶺進名護市長、山城博治沖縄平和運動センター議長、県選出の国会議員や市民団体の代表も登壇した。
山城博治さんは「政府は県民の悲しみを顧みることなく、強権的なやり方で基地を造り、県民を抑えるために『共謀罪』をつくり、わたしたちの島を好き勝手につかう。絶対に許すわけにはいかない。今こそ立ち上がろう。今こそ奮い立とう」と拳をつきあげた。
全ての基地の撤去を
稲嶺市長は「(米軍属女性暴行殺人事件の)被害者は基地があるゆえに事件に巻き込まれた。だからわたしたちは新基地を造らせない。沖縄から全ての軍事基地を撤去しようという思いを共にしている」「日本政府の差別的な政策によって、われわれは基地の重圧にあえいでいる。わたしたちは静かな生活をしたいだけだ。辺野古に基地を造らせない。みんなで白紙撤回まで頑張ろう」と訴えた。(杉山)
3面
“勝つまであきらめない”
沖縄のネーネーたちが来阪
4月15日
4月15日、「辺野古に基地はつくらせない 勝つまであきらめない 沖縄のネーネーの話を聞く集い」に370人が集まった(写真)。大阪市北区民センターホールで開かれたこの集会は、大森正子さん、平石澄子さんなど、辺野古・高江にかかわってきた関西の女性4人がよびかけ人になって、辺野古にかようネーネー(おねーさんの意)たちの肉声を聞いてもらおうと企画された。
4人のネーネーは実にパワフルかつしなやか。この日も神戸空港に降りたってすぐに「辺野古の海に基地をつくらせない神戸行動」に参加。さらに大阪行動にも参加して歌やマイクアピール、多くの通行人の注目を集めた。休む間もなく夕方からの集会。
トップは屋富祖昌子さんのお話。屋富祖さんは、ショウジョウバエの分類をしている昆虫分類学の研究者。やんばるは低い山々が連なるところに、深い谷が刻まれているのが特徴であり、世界で唯一の「亜熱帯降雨林」だ。照葉樹林の厚い植物相だけでなく、生物多様性に富んでいる。これが、ヘリパッド、軍用道路建設工事で無残にも根こそぎこわされた。
続いて佐藤明美さん。大阪で40年暮らして沖縄に帰ったが、基地支配は変わっていなかった、と辺野古に通い始めた。トークの途中壇上に上がり、参加者と一緒に、ゲート前でやっている体操をはじめる。座り込みで機動隊に腕をつかまれるので、腕はしっかり伸ばしたりいろんな動きに対応できるようにしておく。山城さんが戻ってきたら、「ダンス」をしないといけないから足も動かします。
大城博子さん。1年半、月〜土曜日まで「島ぐるみ会議」のバスに乗って「バスガイド」をしていた。バスには沢山の人が乗ってくれた。辺野古「ミニ」総合大学となった。私がゆずれないのは、戦争は絶対ダメということ。子や孫に絶対に戦争を経験させたくない。
辺野古のテントに寝袋かついで何度も泊まり込んでいる名護市議会議員の翁長久美子さんは自腹で駆けつけた。自分も保守の立場でした。でもゲート前では、保守も革新もない。一度でいいから現地に来て、座り込みしなくてもいいから見学して欲しい。人は行動するなかで信頼しあい、変わる。そして翁長知事は必ず埋め立て承認撤回をやる。それまで現場を支えるのが私たちのやること。
これらの発言を受けて、福島県出身のあかりとばりさんによる福島の歌。特別ゲストの川口真由美さんが熱唱。最後に辺野古で歌われる替え歌などを合唱した。
全国から安倍政権ノーを
安次富浩さん 「辺野古は絶対止める」
4月23日
元町商店街をデモ行進 |
「辺野古はぜったいとめる。オール沖縄は20年の基盤がある。ヤマトでも、そういう闘いを」と安次富浩さん(ヘリ基地反対協・共同代表)が訴えた。
こわすな憲法! いのちと暮らし! 市民デモHYOGOは、4月23日、神戸市内で「辺野古の新基地ゼッタイ止める! 兵庫県集会」を開き、200人をこえる人たちが集まった。
安次富さんは、「当初は嘉手納周辺にヘリ基地を移すということだった。だから私たちもヘリ基地反対協という。それが東海岸、辺野古に巨大な新基地建設となった」と、オール沖縄へ発展してきた20年のたたかいをふり返った。「沖縄の民意は、はっきりしている。衆議院選、参議院選でも自民党候補を全部落とした。保守系も含め、すべて基地反対派が当選している。翁長さんも政府への建白書提出をまとめた。全国に、あれだけ政府と張り合う知事がいますか」
「私たちはあきらめない。山城さんらが逮捕された。そんなことで負けない。埋め立てたら、それを元に戻す。非暴力だが不服従だ。知事や行政、現場のたたかいが支えあっていく。沖縄はたたかいぬく。しかし沖縄だけでは安倍政権は倒せない」と結んだ。(兵庫 山本)
声明
精神医療を警察の手先にするのか
兵庫県精神障害者連絡会
私が所属する兵庫県精神障害者連絡会(ひょうせいれん)が、現在国会で審議中の精神保健福祉法改悪案に反対する声明を発表しました。声明全文を紹介するとともに、改悪案に反対する取り組みを呼びかけます。(高見元博)
前代未聞・法案概要から目的を削除
今国会に、精神医療を警察の手先に作り替える精神保健福祉法改悪案が出されています。国会では、4月7日の参議院本会議以来、「相模原事件の再発防止のために、精神保健福祉法を変えるとしたら、精神保健福祉法を治安の道具とすることではないか」との追及が行われてきました。
精神保健福祉法改悪案の審議3日目になって、政府はホームページにも出していた法案の趣旨概要文の中の「相模原市の障害者支援施設の事件では、犯罪予告通り実施され、多くの被害を出す惨事となった。二度と同様の事件が発生しないよう、以下のポイントに留意して法整備を行う」と書かれた部分などを削除したいと言ってきました。これは立法事実を説明したところであり、削除するとは法の目的がなくなったことを意味します。参院厚生委員会委員の反発にあい「追加資料」として配付するということになりました。精福法を犯罪防止のものに作り替えるのかという民衆の批判をかわすためでした。批判をかわすのが目的であることは、法案の本文は一切変えないことからも明らかです。
また、安倍首相施政方針演説(2017年1月20日/衆参本会議)の「昨年7月、障害者施設で何の罪もない多くの方々の命が奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかりと講じてまいります。」というのは一切、謝罪も変更もしないと言います。相模原事件の被告が「責任能力あり」とされた後でも、一切の謝罪も訂正もせず、事件の原因が精神しょうがいであるかのような印象付けをしています。そして、その後の法案審議の中でも、「防犯を目的としないが結果として事件を繰り返さないことになる」「立法事実は相模原事件である」と繰り返しており、本心ではなんら反省をしていないことは明らかです。
「個別ケース検討会議」に警察が入る
改悪案では、措置入院者の退院後支援計画にかかわる「精神障害者地域支援協議会」に警察を入れるのです。警察は「悪いことをした人を捕まえる」のが仕事でしょう。精神しょうがい者が何か悪いことをしましたか。措置解除した人が対象ですから「自傷他害」のおそれもなくなっています。当初、厚労省側は、「措置入院者の支援体制を協議する代表者会議に警察は入るが、個別のケースに対応する個別ケース検討会議には警察は原則として入らないから、監視にはならない」と答弁していました。しかし、さらなる追及によって、個別ケース検討会議にも警察が入る「例外がある」と厚労省は認めました。自殺の可能性のある人やたびたび救護措置が必要な人のケースなど、と例示を行いました。「例」であり本音は「他害」のケースなのです。「警察は防犯のためには入らないが、医療の目的なら入る」とし、既に個別ケースの検討会に警察が入っている兵庫方式も「医療のためだから問題ない」としています。また、警察との情報共有は、各地の「精神障害者地域支援協議会」の中で決めることである、と述べ、協議会がそう定めた場合には、個別の情報が警察にわたることも明らかになりました。さらに、この協議会とは関係なく警察との情報共有がありうるとも言っています。また、議員が「警察にわたった情報はいつ削除されるのか」と問うたのに対し、厚労省は警察が判断することだとし、一生つきまとわれる可能性を否定しませんでした。
法案に批判的に質問する者も、民進党、日本共産党、社民党だけでなく、維新の会、無所属クラブの野党全体に及びました。この中で前述の法案の概要の削除が行われました。しかし、法案審議の途中に、こんなことをするのは、前代未聞のことです。審議はいったん止まり、与党側は「塩崎大臣にしっかり説明させたい」と、審議を再開することで与野党が合意しました。塩崎厚労大臣は20日、「混乱させたこと」を詫びましたが、精神しょうがい者にひどいことをしたことを詫びたわけではありません。これで済むことではないと思います。
問われているのは精神科医療者と国会議員です
この中で、4月25日に院内集会が開かれました。集会ではひょうせいれん・フレンズも発言しましたが、法案の廃案を望む声が多数上がりました。集会には緊急の呼びかけにもかかわらず多くの精神しょうがい者をはじめ260人が全国各地から参加、議員や議員秘書も多数参加しました。同時に約90人が参院厚労委を傍聴しました。
同日行われた審議では、厚労大臣はじめ政府側は開き直りに終始しました。政府は「警察は防犯のためではなく医療のために入る」「自殺や入退院を繰り返している人などが対象」「ご近所トラブルで警察が出動するときにその人が精神しょうがい者とわかっていた方がいい」というのが警察を個別ケース検討会議に入れる目的だと、見え透いた嘘を重ねています。警察に医療の何ができるというのでしょうか。警察の存在理由が防犯以外のどこにあるというのでしょうか。本音が防犯と治安維持のための取り締まりであり、精神医療を治安維持の手段化することにあることは明らかです。
問われているのは精神科医療者であり民衆です。精神科医療者は警察の手先になることに甘んじるのか、今起って闘うのか。民衆は精神しょうがい者が犠牲になることを黙って見逃すのか。言い訳はできません。事実を見ないふりはできないのです。
そして、国会議員には議決権を持っているという重大な責任があります。国民から負託された議決権を、全ての国民、すなわち精神しょうがい者の利益になるように行使するのか否かが問われています。日精協など一部の者の利益のためにその行使を誤ってはなりません。
いますべての国民には精神しょうがい者を人間として見ない法律を作るのを許すのか否かが問われています。旧ソ連における政治的反対者を精神病院に収容して強制的に矯正したという、精神医学の政治的利用の再現を許すのか否か、ナチスのT4作戦の再現を許すのか否か、あいまいさなくその決断が求められているのです。(2017年5月1日)
4面
18年秋に「住民投票」ねらう
市民を愚弄『都構想』再提案
どないなる?大阪!「都構想」・民営化を考える市民集会が、4月26日エルおおさかで開かれ、会場を一杯にする100人が参加した。主催した「どないする大阪の未来ネット」(どないネット)は「大阪都構想」に反対する市民団体が集まり今年2月に発足した。この日の集会はネット結成後初めてもたれ、5月市議会に向けてのたたかいを確認した。
まず主催団体から、「3月27日に橋下前大阪市長がアメリカで講演し、トランプ現象を賛美するとともに、日本国民の意識を変えるため『米国に強力な外圧をかけてもらいたい』、日米が『お互いに血を流し合うという信頼関係』を構築する必要があると述べた。松井大阪府知事は、沖縄・高江での大阪府警機動隊員の『土人』発言を擁護した。吉村大阪市長は、サンフランシスコ市に『慰安婦』像設置にたいする書簡を送っている。このように、大阪が危険な方向に向かう政治の発信地になっている感がある。心を引き締めて、維新政治と対峙しなければならないと強く感じている」、としたうえで「大阪市会の動向と諸課題」について次のような報告と問題提起があった。
水道民営化は廃案
2〜3月の大阪市会2017年第1回定例会では「市営交通事業の民営化議案」が3月27日に委員会可決。翌28日本会議で可決された。18年4月に地下鉄新会社が発足。市バスは子会社「大阪シティバス」に全面移行する。
一方、「水道民営化」議案は審議未了で廃案となった。
「港湾管理の府市統合」議案は3月27日に議案を撤回。大阪府議会でも撤回された。
「住吉市民病院」の跡地に移転してくる民間病院への改修費用予算が削除され少なくとも2年間空白となる。
「各種研究所」の府市統合・独立行政法人化、「府・市立大学」の統合・再編などの議案は以前に可決済みで、予算措置・具体化に向けて進行している。
「大阪都構想」にかかわる「法定協設置」議案が継続審議となった。規約を修正して5月議会へ提出される。大阪府議会も継続審議となった。
再度の住民投票へ
「大阪維新の会」がめざす大阪都構想へのスケジュールは次にようなものだ。
5月市会・府議会で法定協議会の規約案を修正して再提出し、「公明党」を抱き込み可決を図る。可決後に「法定協議会」をスタートさせる。法定協議会で「総合区案」と「特別区案」の正反対の構想を並行して議論。
8月以降に「総合区案」の素案をつくり、大阪市会で議決する。おそらく、議決するだけで準備にかからず棚上げにする。9月24日の堺市長選挙で維新の候補を当選させて、18年中に、「大阪市廃止・特別区設置設計図」を府・市会で可決することを想定している。
18年11月の万博開催地の決定前に「大阪市廃止・特別区設置」の再度の住民投票に持ち込みたいのではないか。
市民を愚弄
「都構想」の再提案は2年前の住民投票での最終結果を「愚弄」「無視」するものだ。
朝日新聞が2月におこなった世論調査では、現状の行政区を支持する人が半数近い46%を占めている。総合区支持は12%。特別区支持は33%にすぎない。
ところが実際におこなわれる住民投票では「特別区」設置か「総合区」かの二者択一となろうとしている。これでは現状維持の多数意見がまったく反映されないことになってしまう。
「都市格」づくり
以上の問題提起を受けて、「都構想」や民営化に関わる様々な課題に取り組んでいる団体、個人から報告がおこなわれた。
NPO法人・都市創世ネットワーク@関西(KOALA)は交通事業の民営化について報告。
「公営交通について考えるとき、まずめざすべき都市の姿=高い都市格づくりを考えるべき。その際には、高齢社会の到来、環境モデル都市、ユニバーサルデザイン、来訪者へのおもてなしを視点に入れる必要がある。次に、総合的な都市交通政策の必要性がある。事業の一体性、サービスレベル、財政からの検討が必要。最後に、新会社は市民のものであることを忘れてはいけない。新会社の意思決定権は「大阪市」が保有すべき。論議の前提は市民協働である」。
再公営化のうごき
NPO法人・AMネットは市営水道事業の民営化について報告。
「大阪市が責任を持つと言っておきながら、大阪市をなくそうとしている。水道民営化と『大阪都構想』は矛盾している。水道民営化の議案は、この前の市会で審議未了で廃案となった。市会で議論になったのは、本当に公共性が担保できるのか、収支シミュレーションが本当に信頼できるのか、民営化することが目的化されて問題が矮小化されているのではないか、もっと公営のままでできることがあるのでそれを検討した方がいいのではないか、世界でも民営化されたが再公営化された例も多くあるではないかなどだった。
カジノ問題を考える大阪ネットワークは、50ページのパンフレットを作って、学習会の出前をやっているので、どんな小さな学習会でも呼んでいただきたい、と呼びかけた。
効果ゼロ、百億ムダ
各種研究所の統合・独立法人化について、環科研・公衛研まもれネットワークが報告。
「この4月には、大阪市立環境科学研究所と大阪府立公衆衛生研究所が統合され、地方独立行政法人の「大阪健康安全基盤研究所」にされてしまった。環境科学研究所の環境部門は切り離されて、大阪市立環境科学センターに移行された。二つある研究所を一つにしたわけではない。大阪市の研究所は衛生分野と環境分野を併せ持っていた。このうち、衛生分野を府の研究所と統合した。環境分野は「大阪市立環境科学センター」として残され、13人の人員で今も同じ建物の中にある。直前の3月30日まで新しい組織の課の名前も決まらず、配属人数も決まらず、収支計画もなかった。研究員のうち誰が直営に残り、誰が法人に行くのかという一番大事な問題も直前まで決まらず、31日に看板だけ変えられるというのが実態」。
「『二重行政のムダをなくす』ということだったが、効果額はゼロ、さらに不要な経費として、総務システム開発などで1億2千万円とか、必要でないのに新しい建物として約100億円とか、無駄なお金をかけようとしている。これが『都構想』の実態の一つと言える」。「イギリスでもアメリカでも失敗してきた道を、大阪が先頭になって進もうとしている。これを止めるために引き続き頑張りたい」。さらに住吉市民病院統合・移転問題について報告した。
平松邦夫元大阪市長が、5月17日に開催される「住民投票から2年・大阪問題市民大集会」をアピール。
最後に、司会から5月議会での「法定協議会」設置反対の署名と意見書を大阪市に送ろうなどの行動提起があり、集会を終えた。(剛田 力)
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宝塚市長選
中川ともこさんが3選
「オール宝塚」で自民を圧倒
兵庫県 久保井賢三
4月9日告示、16日投開票の宝塚市長選は、現職の中川ともこ候補が、自民推薦と無所属の候補を寄せ付けず、4万2222票、60%近くの得票で圧勝した。8年前、2代にわたる汚職市長を弾劾し、「クリーンな女性市長を」の声に押されて初当選。4年前は大阪維新の会が伊丹市と宝塚市で市長選に候補を立て、兵庫県に進出しようとした。当時大阪市長の橋下徹が何回も兵庫入りしたものの維新候補は惨敗。今回の選挙では維新は伊丹、宝塚ともに候補を立てられなかった。
中川市長は、病院改革、全小中学校で自校炊飯方式の実施、福祉の充実、園芸や農村地域の振興など2期8年の実績をかかげて出馬し、対立候補を圧倒した。
中川陣営は、市民運動、労働組合、自治体議員と政党ががっちりと手を組み、医師会、歯科医師会の推薦、さらに商工会の支持という「オール宝塚」ともいうべき態勢で勝利を手にした。
市民団体は早くから活発な活動を展開し、「宝塚をとり戻す」という自民系の候補にたいし、「改革を更に前へ」を掲げて連日街頭に出た。選挙告示日には宝塚市出身の山本太郎参院議員をはじめ民進、共産の国会議員や、秋葉忠利前広島市長が駆けつけ、阪急宝塚駅前は一千人の聴衆で埋まった(写真上)。
宝塚市は「おしゃれな観光都市」というイメージが強いが、昨今では開発業者が山を削って、マンション群を次々と造成し、大阪のベッドタウンとなっている。人口は急増し、兵庫県下では7番目の23万人にのぼる。初期に開発された地域では高齢者が多く、市街地への交通の便が悪く生活に不安を抱える。市内に産業はほとんどなく、道路も整備されていない。市域の3分の2は農村地帯で過疎が進んでいる。こうした多様な課題に2期8年しっかり取り組んできた実績が評価された。当選後の記者会見では、市民とともに「宝塚モデル」をかかげて、福祉が充実し、住んで良かったといえる街づくりを進めていくと語った。
今回の宝塚市長選は、盤石の一強体制を築いているかに見える「アベ政治」にたいして、地方都市においても市民団体、労働組合、地域団体、議員のしっかりとした連携を作り出せば、十分に勝利できることを示した。
(短信)
玄海原発3キロ圏内で放射能影響調査
住民をモルモット扱い
1973年、九州電力が地元医師会に委託し住民検診を実施。翌年からは玄海町、鎮西町が同医師会に委託。2010年まで38年間おこなわれてきた。
現玄海町長は、住民の健康増進のための調査であったかのように言うが、同医師会は「健康状態の推移について…調査研究を実施」と説明。結果データは住民には一切知らされず九電と医師会が独占。九電が開始したこと、医師会が調査研究のためと明言するなど、原発の影響調査であることは明らか。広島に原爆を投下した後、米国がつくったABCC(原爆傷害調査委員会)と同じやり方だ。
玄海原発1号機は71年着工、75年に稼働。つまり、放射能の影響がない時点からデータを取り始め、原発稼働以降の変化を追っていたわけである。2011年以降おこなわれていないのも、「3・11」があり、住民からの批判を恐れて中止した疑いがある。
5面
エム・ケイ運輸争議
無期限スト150日越える
奈良
4月22日、奈良県大和郡山市池沢町の会社敷地内で連帯ユニオン各支部、支援労組など約200人が集まり集会がひらかれた。主催は連帯ユニオン近畿トラック支部。車庫のトラックには連帯の組合旗が貼り付けられ、社内GSスタンドに「ストライキ143日」(写真)の赤旗。この取り組みはスト150日(当日で143日)を前に争議の早期解決をたたかいとるため、現地結集が呼びかけられたもので、大阪のたたかう労組が結集した。運輸倉庫業界労働者がおかれている生々しい実態と、安倍政権「働き方改革」の反動性と欺瞞性を突き出し、現場からたたかいの展望を示すものである。
本紙221号、「安倍政権の『働き方』改革を斬る」の現場報告版である。
分会長襲撃に反撃
集会では近畿トラック支部・広瀬委員長が次のように経過報告。
「13年に11人で組合を公然化し、長時間労働や未払い賃金に取り組んできた。15年から会社はヤクザを介入させて組合破壊をはじめ、悪質労務屋を使って全確認事項を反故にした。昨年11月30日に分会長が長距離勤務終了後、車庫で会社関与の何者かによって襲撃され、全身打撲と肋骨3本骨折で全治2カ月以上の重傷を負う傷害事件が発生した。翌日から、奈良と九州の職場において組合員全員の抗議の無期限ストに突入、職場に籠城してたたかっている」
過労死が発生
「会社は団交を拒否しており、経営陣は会社から逃亡し、連絡も拒否という状態。労働者が一週間も会社にも自宅にも帰れないという過酷労働に、奈良労基署が是正指導をくり返していた。2月2日、長距離運送業務の労働者が乗務終了後事業所で倒れ、心肺停止で死亡した。エム・ケイ運輸争議は運輸業界の問題を象徴する闘争だ。悪徳企業が撤退し、組合が勝利するか否かをかけたたたかいだ、負けるわけにはいかない。安倍の働き方改革では運輸業は100時間残業容認が5年間も猶予された。この国の姿勢は許されない」
決死のスト
連帯ユニオン中央本部から小谷野書記長があいさつ。中央として支援をつよく訴えた。分会から当該が決意を述べた。襲撃を受けた分会長は「病院のベッドで翌日からストに入った仲間、支援の力に涙した。悪質経営と運輸職場を変えたい。家族の協力も得て勝利までたたかう」と感動の発言。
その後、支援労組あいさつ。マイクロバスで大挙結集した全港湾大阪支部、港合同、大阪全労協、ケアワーカーズ、関西合同労組、奈良市従などの各発言はエム・ケイ運輸労働者の流血のたたかいに敬意を表明し、勝利までの支援を誓うものだった。デモは会社を一周し、運輸や工場街を回り周辺労働者・住民から「頑張れ」「すごいデモやね」の声があがり注目を集めた。(森川数馬)
尼崎事故12周年集会
企業裁く組織罰の実現を
4月22日
JR福知山線事故から12年。4月22日、「ノーモアJR尼崎事故、生命と安全を守る集会」が兵庫県尼崎市内でひらかれ、市民・労働者100人余が集まった。今年はJRとなってから30年となる。国労本部・坂口委員長、鉄道安全問題研究会・地脇さん、遺族の訴え、JR現場の労働者、JAL解雇撤回を闘う当該がそれぞれ発言した(写真左上)。
「日勤教育」
国労組合員は、次のように報告した。
「05年4月25日に起きたJR尼崎事故は、107人が死亡、562人が負傷した。今なお多くの遺族・被害者の心の傷は重い。なぜ事故は起きたのか。国鉄からJRへ。小さなミスでも個人責任を追及、会社への徹底した服従を強いる『日勤教育』がおこなわれた。私鉄から利用者を奪うために、30秒の遅れも許さない『回復運転』という、制限速度ギリギリの運転を強要。その結果が尼崎の大惨事だった。これらの根源が国鉄分割民営化にある。JAL不当解雇撤回争議団とも共闘し、事故の教訓を忘れず、首切り・民営化・規制緩和に反対する闘いとより強く連帯する」。
遺族は、「これだけの大事故に誰も責任を取らない。企業、法人を裁ける組織罰の実現にむけて取り組む」と。
国労本部・坂口委員長は「分割民営化から30年、徹底した合理化、効率化施策は大幅な要員削減、アウトソーシングを拡大した。公共サービスの低下、事故や輸送障害など重大な影響が出ている。国労の歴史は安全をめぐる闘いだった。当たり前のことが継承されていない。列車がどっちから来るかわからないでいる労働者がいる。北海道、四国、九州、貨物会社の赤字問題。JR会社の見直しが求められる。国労は1割勢力になったが、企業外にうって出て行く」。
安全問題研究会の地脇さんは、JR北海道問題を話した。昨年11月の社長記者会見で「北海道の営業キロ約2500キロのうち半分の1237キロが廃止、地元負担を求めなくては経営が成り立たないと発表した。JR北海道は赤字483億円。三島・貨物会社の赤字は合わせて741億円。JR東海の営業収益は5556億円、西日本は1242億円だ。JR体制の見直しが求められている」と訴えた。
JR現場の労働者は、ホーム要員の必要と、契約社員の正社員化を求めた。JAL不当解雇撤回を闘う当該から「組合や年齢、病気を理由に解雇することは許せない」と支援の要請があった。(国労組合員 T)
入管行政の変革めざして
はびこる″外国人への嫌悪”
4月16日 東京
4月16日、都内で「今こそ、排外主義にNO! 4・16ACTION 日本の難民・入管政策を撃つ!」がひらかれた。差別排外主義に反対する連絡会、APFS労働組合(移住労働者のための労働組合)、直接行動の3者主催。
トランプの大統領就任とその移民排斥を筆頭にした排外主義政策に、アメリカ内外から怒りの声が上がっている。日本ではどうなのか。はるか以前から続けられている移民受け入れの拒絶、人権無視の入管政策、搾取の対象としかしない外国人労働者の扱い。これらをあらためて見つめ直して変革の第一歩としようとひらかれたもの。
外国人労働者との壁
司会あいさつで、本来はAPFS労組所属の外国人労働者から生の声を聞きたいところだが、政治活動関与を理由にした不利益を蒙る可能性があり諦めざるを得ない、との話。弱い立場にある当該の人々に思いを馳せる必要性はもちろん、冒頭から日本人と外国人労働者の関係性を突きつけられる提起があった。
続いて集会趣旨説明。ヘイト解消法に「適法居住要件」が入れられてしまった問題があり、移民・難民反対デモは今もおこなわれている。国連勧告を踏みにじる条文を含んだ法律が通り、頻繁な大量強制送還、入管施設内での死亡事件も起こっている、と日本の政策が悪意に満ちたものであると弾劾した。
外国人嫌悪症候群
メインの講演は、山村淳平さんによる「入管にひそむ排外主義―現場からの報告」。山村さんは内科医として在日外国人の医療に携わり、難民・実習生問題に取り組みながら移住者支援をおこなっている。医師らしく難民移民を巡る社会問題を病気になぞらえ、診断・治療・予防という観点から話しをした。
日本の入管は外国人嫌悪症候群という病に侵されている。諸外国と比べて規制が厳しく、受け入れ態勢というものがない。要は不認定・排除のための法律となっていて、在日朝鮮人を追い出すために作られた法律の動機を今だに継承している。申請数が少なかった80年代初頭はそれなりの数値だった難民認定率は2016年は0・3%(28人)。
90年代からはオーバーステイも増えてきた。14年からこの件の取締りが強化され、労働相談の場所の前で待ち伏せるケースも。こうなると、医療を受ける権利さえ奪われる。
収容所には病人・子供・妊婦までもが収容されている。そもそも、認定されないと分かっている難民申請者を何年も収容することに何の意味があるのか。自殺未遂は毎年40件に及ぶ。頚椎症に至る権力による暴行事件も発生している。
日本人は単一民族という幻想(嘘)で、日本という国家を権力は維持しようとしている。メディアをも動員して排外主義を撒き散らして民衆を洗脳し民衆への統制支配の道具としていく。
法務省・入管の監視や申し入れが必要だし、民衆・マスコミ等への情報発信もおこなっていかなければならない。
強制送還
講演後の参加者との質疑では、強制送還について掘り下げられた。家財道具や貯金も放棄させられ生活基盤を失う、刑務所へ直行させられたスリランカ人2人のケース、日本人と結婚したイラン人の場合で日本人女性が移住した例、50年前ではあるが在日朝鮮人2人が処刑された例、が語られた。また、日本では民衆の権利が軽んじられているという土台の上に外国人への処遇がある、民衆が権力に疑いを持つ必要がある、等々が語られた。
6面
康宗憲さんの講座から C
「日朝関係―制裁と対立からの脱却」
非現実的な軍事オプション
連続講座C「非現実的な軍事オプション」を紹介する。連載中にも朝鮮、米日韓をめぐる情勢は緊張し、政府やメディアは危機キャンペーンを煽ったが、康さんが提起する平和への方途に揺るぎはないだろう。(文責・編集委員会)
東北アジア、朝鮮半島の緊張緩和と平和へ、どのような道筋があるのか。何度も言うように、敵対関係にある国がどういう価値観、体制にあるのか正しく知ること。大問題とされる「ミサイル、核開発」とは何か。
アメリカはずっと先制攻撃論に立ってきた。同様に強硬意見を通してきたペリー氏は、元国務長官としてクリントン時代に「軍事オプションは非現実的だ。制裁も成果を望めない」との対議会報告書を出し、対話と交渉という選択肢を提起した。彼が見た北の核開発動機は3つある。北は、米の攻撃によるイラクの体制崩壊を見て「体制保全への担保(抑止)」「国内の団結、政権維持」「対米交渉のカード」である。
根源的な原因は米朝敵対関係
94年に交わされた米朝枠組み(ジュネーブ)合意は、「朝鮮は核施設を放棄する。米は北の生存を保障する、エネルギーのための原子炉を提供する」と約束した。しかし、ブッシュ政権は対テロ戦争の流れのもと、合意を破棄した。ペリー氏は昨年、回顧録で「戦後最大の失策は、非核保有国だった北朝鮮との交渉を打ち切ったこと」と述べている。朝鮮の核・ミサイル開発は、米朝敵対関係の産物である。核の脅威というのは、病気でいえば症状。根源的な病因は米朝の敵対関係であり、それをもたらす休戦協定にある。
米から常に「先制攻撃の対象」とされれば、唯一の対抗(抑止)策は核・ミサイル開発になる。放棄させるには、明白な形で朝鮮の生存、体制の存続を保障することである。それは平和協定の締結であり、国交正常化である。開発の動機そのものを取り除くべきである。
日本は戦争被爆国であり広島、長崎は、原爆という核兵器が使用された唯一の場面だった。その後72年、核汚染兵器はともかく核爆弾は一度も使われていない。核保有国は増え、夥しい核兵器が存在し多くの戦争が起こされたが、核爆弾は一度も使用されなかった。なぜか。使えないからだ。1回の先制攻撃で相手を潰せない。かならず反撃をうける。先に核を使用した国も安全ではない。朝鮮は自滅するような先制攻撃はしないと、私は確信している。冷静な軍事専門家は、そう考えるだろう。そういう意味では「いつ北朝鮮のミサイルが日本に飛んでくるか」というのは、作られた脅威である。
合同演習中止、縮小へのメッセージ
朝鮮への認識を、今年の金正恩委員長の新年辞から見てみる。米日韓の分析、コメントは「目新しさはない。いつもの強硬な威嚇論」というものが多かった。私はいくつか注目した。「国防力強化において画期的な転換が達成された」という完了形。技術開発を終わり、運用する段階のレベルまで到達したということ。開発段階なら交渉によって中断、廃棄が可能だ。しかし運用段階に入れば、国際社会にとっては残念だが可能なのは凍結か縮小だけ。具体的には核軍縮交渉となる。それには見返り条件も必要になる。
もう一つは、「…我らの門前で戦争演習騒動を展開しないならば…核武力を中心とする自衛、先制攻撃能力の調整を…」とした部分。安倍首相は「例年にない強硬姿勢、北の核脅威がこれまでと違うレベルになった」とし、「日本も軍備増強で備えるべき」と衆院予算委員会で答弁した。しかし、朝鮮の新年辞を文字どおり読めば「戦争演習騒動を中止するなら交渉に応じる」ということ。合同演習の中止、縮小、あるいは「門前、目の前ではするな」という要求である。昨年10月にクアラルンプールでおこなわれた米朝実務協議でも、同様のメッセージがあった。
オバマ政権の制裁政策が失敗だったというのは、左派であれ右派であれ共通の認識になっている。では、どうするのか。トランプ大統領は、「世界のアメリカから、アメリカ・ファーストへ」と言った。本来アメリカは常にアメリカ第一主義だったが、もう軍事も政治も、そう言わなければならないほどの状況だ。米軍の駐留費用負担はドイツ約18%、日本50%、韓国は78%。しかも韓国は軍事上の最高権、戦時指揮権もすべて米軍に委ねたままという状態にある。パックス・アメリカーナの衰退は、世界にとって危機でもあるが、チャンスでもある。トランプ政権の対応も問われている。(つづく)
強制連行を記す説明板戻せ
柳本飛行場跡 天理市に再設置要求
奈良県天理市の「柳本飛行場跡説明板」が撤去されて3年がたった。4月7日、説明板再設置を求めて「再設置実現に向けた市民集会」が天理市内でおこなわれた。主催は天理・柳本飛行場跡の説明板撤去について考える会。
説明板は1995年に天理市と天理市教育委員会によって設置された。2014年、並河健・天理市長が市民に知らせることなく一方的に撤去した。その後、「考える会」が再設置を求めてきたが、市長はこの要求を聞き入れていない。
集会は、再設置をもとめる市民運動をどのようにつくり出していくか、パネルディスカッション形式でおこなわれた。高野眞幸さん(奈良県での朝鮮人強制連行等に関わる資料を発掘する会)、李明哲さん(在日コリアン青年連合)の発言を紹介する。
消された歴史
高野さんは、柳本飛行場の建設に関して「天理市史」には朝鮮人労働者の記述がないことの問題点を指摘した。奥野誠亮(元衆議院議員)は「ポツダム宣言に戦犯の処罰が盛り込まれており、日本から犯罪人を出さないために、証拠にされるような公文書をすべて焼却することを指示した」(「奈良日日新聞」16年1月)と述べているように、戦後の為政者は侵略戦争と朝鮮人強制連行をまったく反省していない。高野さんは「歴史修正主義はすでに戦後から出発している。天理市長の判断においても、歴史修正主義の問題が今日にも継続している」と述べた。
李さんは、歴史修正主義とヘイトスピーチの問題について「ヘイトスピーチの対策はある程度おこなわれているが、歴史修正主義についは放置されている。『日本会議』などの歴史修正主義にたいしてどのように対決していくか、これが重要な課題だ」と述べた。
説明板の文章
撤去された説明板には、次のように書かれている。
「強制連行された人たちは、次のように証言(1991年9月24日聞き取り)しています。
『寝ているときに急に人が入ってきて連れていかれた。1943年の秋だ。』
『トラックで運ばれたあと、貨物列車に乗せられて、着いたのが柳本だった。何百人といた。私の村からは4人いた。とにかく多かった。』
『朝5時に起きて、飛行場建設にあたった。沖縄戦が始まってからは、夜にも(山の斜面に)トンネルを掘らされた。』
また、「慰安所」が設置され、そこへ朝鮮人女性が、強制連行された事実もあります。その女性たちの過酷な半生は戦後一切わかっていません。
平和を希求する私たちは歴史の事実を明らかにし、二度とくりかえしてはならないこととして正しく後世に伝えるためにこの説明板を設置いたします。」
再設置は市民の手によっておこなわれる。説明板は天理市と韓国・瑞山市に作られる予定だ。歴史の事実をねじ曲げる歴史修正主義を許してはならない。(津田)
泥 憲和さん(どろ・のりかず)さん
本紙にも寄稿された元自衛官で反戦運動活動家の泥憲和さんが、憲法記念日の5月3日早朝、急性腎不全で亡くなりました。63歳でした。
泥さんは悪性リンパ腫で闘病中でした。1月には講演で元気な姿を拝見したばかりでした。心からお悔やみ申し上げます。