辺野古に基地をつくるな
米でも沖縄支援広がる
11月29日 東京
「基地はいらない!」参加者がいっせいにメッセージをかかげた(11月29日 日比谷野外音楽堂) |
11月29日、東京・日比谷野外音楽堂で「11・29 辺野古に基地は造らせない大集会」がひらかれ、4500人が結集した。参加者は野音に入りきれず、会場周辺にも多くの人が集まった。
沖縄から基地をなくせ
ピースボート共同代表の野平晋作さんが主催者あいさつ。
沖縄から、ヘリ基地反対協議会共同代表・安次富浩さん、島ぐるみ会議共同代表・高里鈴代さん、連合沖縄副会長・大城紀夫さんが発言した。
安次富さんは次のように沖縄の現状を報告した。
「新基地反対の意見広告へのカンパが4600万円も集まった。地方紙を含めて、意見広告で訴えることができた。1年前、知事選で翁長雄志さんの当選を勝ち取った。3000億円で沖縄を売った仲井真知事を潰した。先の衆院選では県内の自民党候補を全員落とした。これが民意だ。」
「安保法制で、(学者らが)憲法違反と言うのを無視して制定を強行した。沖縄も(ルール無視・民意無視という点で)同じ。日本の民意を無視してアメリカに従うのはアベコベ政治=B7月の参院選で自公をやっつけよう。」
「現場でものすごいたたかいをやっている。先日も2人が肋骨を折られた。そういう連中(機動隊)と非暴力でたたかっている。たたかうほど怒りが広がっている」「連日、たたかいをやっていて、この前の水曜日の早朝行動が1200人。車が入れず、機動隊も手を出せない。京都府警・大阪府警からも機動隊が派遣されるという。そうした真っ向勝負をやっている。(この攻防に)勝ちぬいてやる。(基地建設を)潰してやる」「沖縄のたたかいと、(本土の皆さんの)戦争法制反対・原発反対・TPP反対のたたかいと結べば安倍政権を打倒できる。」
バークレー市が決議
続いて高里鈴代さんは座り込みや訪米の様子を報告した。
「昨日の朝、辺野古ゲート前に100人座った。私も座った。体重の重い人が座ったら、ごぼう抜きに時間がかかった。辺野古に来る時はダイエットしないでください。(初めての人が現地に来て何もできなくて)じっと見ているだけでも力になります。」
「島ぐるみ会議でアメリカに行った。この時期に何でアメリカに、という批判もあったが、知事が態度を明確にし、埋め立て承認取り消しを発表した(という事実を叩きつけに行った)」「米議会重鎮が『決定したものは覆せない』と言っていたので、(こちらの思いを)直に伝えたいと思った。『(日本国内の問題だという態度だが)あなた方も当事者』というメッセージを持って行った。バークレー市議会で9月15日にすごい決議が上がった(基地建設の再考を促す『沖縄の人々を支援する決議』)。米政府も当事者であり、自然遺産保護法に照らしてどうなのか、その是非について検査して、公聴会を開けと(連邦政府に要求するもの)。」
参院選で安倍を辞任へ
連合沖縄副会長の大城さんは、「私の訪米予定はなかったが、カリフォルニア州立大の先生の講演を聴きに行って、『ワシントンで訴えてほしい。労組代表を送ってほしい』と言われた。アジア太平洋系アメリカ人労働組合(APALA)の役員会をやっていて、行ったら拍手された。そこで新基地建設反対の決議が上がった。『(日米政府に)抗議書簡を送る』とのこと。アメリカにも新基地反対の声が広がりつつある。」「連合中央委員会で報告した。安倍政権との対決のたたかいの支援・連帯を呼びかけてきた。参院選で安倍を辞任に追い込むたたかいをしよう」と訴えた。
衝撃の沖縄体験
シールズの代表として立った女子学生は「なぜ辺野古新基地に反対なのか。政府は民意・ルールを無視して強行してきた。辺野古の現場に赴いたことが大きかった。滞在中はほとんどテントで寝泊まりし、朝は山城(博次)さんのスピーチで目覚め、機動隊にごぼう抜きされた。夜間の見張りも体験した。すべて沖縄が体験してきたこと。衝撃で震えた。第2の故郷=iとしての沖縄)を守りたい。金と権力でどうにかなると思ったら大間違い。私たちは大切なものを知っているから」と発言した。
東京沖縄県人会の代表は「東京県人会は60年前、基地撤去をめざして結成された。60年前の気持ちを持ち続けてたたかっていきたい」と訴えた。
最後に、次の決戦は12月2日に福岡高裁那覇支部(※支部長は三里塚の裁判で悪名高き多見谷寿郎!)でおこなわれる辺野古代執行訴訟の第1回口頭弁論であることが報告された。
集会後、数千人が日比谷野音から東京駅近くの鍛冶橋駐車場までのデモ行進をおこなった。
辺野古レポート
巨大ブロック投下を阻止
エスカレートする警察の暴力
15トン超のブロック
11月22日、沖縄防衛局は、埋め立て本体工事の海上作業が始まる前に、海中の濁りが広がるのを防ぐ汚濁防止膜(オイルフェンス)の固定のため、238個のコンクリートブロックを海中に投下すると発表。15トン以上の巨大ブロックを積んだ作業船が臨時制限水域内に入った。
県はブロックの投下でサンゴ礁が破壊される懸念があるとして、本体工事の「事前協議」の対象となり、投下には県の同意が必要と主張し、防衛局に中断を求めた。
工事車両を止める
24日、ゲート前の座り込みが早朝から続けられた。午前7時頃、重機を積んだトレーラーや砂利を積んだダンプカーなど15台の車両が基地に入った。市民は機動隊による排除に負けず座り込んだ。海上では抗議船4隻とカヌー15艇で抗議行動をおこなった。
25日、沖縄防衛局は県に対し、昨年8月、仲井真前知事から許可を得た工事の仕様書で「15トン以下なら事前協議は必要ない」と書いてあるとし、ブロックを投下できると回答。県は投下条件など精査するまで中止するよう再度求めた。
ゲート前では、議員総行動のこの日も、市民に総決起を呼びかけた。早朝より市民が第1ゲート前に結集しだした。その後も参加者が増え続け、工事車両が入る午前7時頃には700人になった。11日、18日に続き、車両は入れず、機動隊も手出しできなかった。しかし、市民の数が減ったころを見計らって、10時50分に工事車両8台が基地に入った。
けが人が続出
26日、ヘリ基地反対協は、沖縄防衛局のブロック投下に反対する記者会見をおこなった。安次富浩共同代表は「防衛局は、岩礁破砕許可申請と異なるコンクリートブロックを投下しようとしている」と指摘し、「実行行為を重ねて、沖縄の意思を打ち砕こうとしている」と批判した。
27日、28日とゲート前のたたかいは休むことなく続けられている。しかし、機動隊の暴力は止まらず、けが人が続出している。工事車両も連日10数台が基地に入る。
12月2日、辺野古代執行訴訟第1回口頭弁論がひらかれるこの日、議員総行動の日でもあり、呼びかけにこたえ、ゲート前には早朝より市民が結集。午前7時には500人に。第1ゲート前、国道を挟んだ歩道で市民が工事車両を待ち構える。
しかし、この日も車両は1台も来ず、機動隊もゲート内から見守るだけだ。市民は工事車両搬入を阻止したとの確信もかたく、午後の裁判の勝利に向け「翁長知事がんばれ」「国に屈服するな」とエールを送った(写真左上)。
午後の裁判の傍聴には、32枚の傍聴券に、611人が並ぶという関心の高さを示した。
その後、裁判所の向かいの公園で、翁長知事を支援する集会が開かれた。市民2千人が集まり、口頭弁論に向かう翁長知事に「翁長さんガンバレ」とエールを送った。
3人が不当逮捕
5日、ゲート前の攻防で3人が不当逮捕された。午前7時20分頃、車両搬入に抗議していた県統一連の瀬長和男事務局長と男性1人が公務執行妨害で不当逮捕。そして、午前9時40分頃、不当逮捕に抗議していた山城博治さんを、基地境界線を超えて基地に侵入したとして、刑特法で不当逮捕した(山城さんは6日に釈放)。
7日、ゲート前で1人がケガをし救急搬送。3針縫うケガで全治1週間。海上では仮設道路建設に抗議するため、カヌー隊が浜に上陸。ショベルカーの前に立ちはだかって抗議。瀬長さんともうひとりの男性に「7日間の勾留決定」。
8日、那覇簡易裁判所は「勾留決定」を取り消し、瀬長さんを釈放した。(杉山)
2面
米軍増強で緊迫する岩国
岩国行動2015(11・28〜29)に参加して
米軍岩国基地の正門前で抗議の声をあげる デモ隊 |
東アジア最大の航空基地へ急激に変貌していく岩国。工事が急ピッチで進められている。市民のために住宅地や学校を整備するとだまして建設する愛宕山の米軍施設は、住宅用地の区割りを終わり道路も完成した。軍用地内の東西エリアを結ぶ米軍専用道路が建設中で、来年3月完成予定。10月には米軍が管理する野球場の起工式もおこなわれた。
2006年日米両政府は、厚木からの空母艦載機59機を岩国に移駐することを含む「米軍再編」ロードマップを公表。2014年には艦載機移駐を完了することがめざされた。だが、反対が9割を占めた住民投票をはじめとする現地のたたかいや、辺野古新基地建設が沖縄民衆のたたかいで阻止され続け、当初のロードマップは完全に破綻した。2013年10月、日米両政府は「米軍再編」見直しを公表した。
2008年市長選で、容認派の福田良彦が当選。現在2期目の福田市長は、「受け入れの正式表明はしていない」とは言っているが、「基地との共存」を掲げており基地の強化が急ピッチで進められている。
岩国米軍再編完了計画
米軍再編計画のもとで、KCー130空中給油機12機が昨年8月までに普天間基地から移駐した。厚木の艦載機など59機は2017年移駐を強行しようとしている。さらに米軍は短距離離陸・垂直着陸機F35Bの2017年岩国配備を決定している。水深13メートル長さ360メートルの軍港も建設された。これは基地内に建設されたため港湾法など国内法の制限を受けず、無制限の輸送拠点となっている。この一方で海上自衛隊航空機の厚木への移駐は白紙撤回された。
普天間基地に配備が強行されたMV22オスプレイは岩国に陸揚げされ、日本各地で飛行訓練する場合は、岩国を中継拠点としている。韓国などでの訓練でも運用拠点となっている。厚木基地所属の戦闘機なども岩国に飛来し離発着訓練を繰り返している。
基地内外建設ラッシュ
2017年再編完了に向け岩国は住民生活を破壊するような建設工事のラッシュとなっている。米軍基地を中心に軍事道路の整備がすすめられ、米軍住宅の建設のために愛宕山にあるごみ焼却場も米軍住宅に煤煙がかかるなどの理由で移設させられたうえ、あたらしい焼却場も米軍増強にあわせて規模を拡大するものとなっている。愛宕山米軍用地の東西エリアにかかる橋は戦車は通るが市民は使えない。これが来年3月完成予定。267戸の米軍住宅用地は、道路や区割りを終えている。
米兵むけの民間賃貸住宅建設の動きも強まっている。昨年7、8月、空中給油機15機と米兵や軍属、その家族ら約780人が岩国基地に移転してきた。基地外の住宅地で、米兵、軍属、家族がやたら目につきはじめている。Yナンバーの車がわがもの顔で走っている。RENT HOUSE(貸家)の看板が立っている。
基地内では海上自衛隊地区、KC―130部隊地区や海兵隊部隊地区の工事は完成、空母艦載機部隊地区はほぼ完成し、残った司令部関連施設の工事が進んでいる。輸送ターミナル地区は格納庫が未完成。住宅などのコミュニティー地区は一部しか完成していない。
14年から15年にかけての20カ月の間にミキサー車は約10万回通過。ダンプも加わり道路は渋滞。橋は補修が必要になる。
多数の市民が参加
こうしたきわめて緊迫した状況の中で岩国行動2015はたたかわれた。主催は、アジア共同行動日本連絡会議と15岩国・労働者反戦交流集会実行委。私は1日目フィールドワークから参加した。まず岩国市議田村順玄さんの案内で基地を北側から見る。土曜日だがクレーンが林立している。滑走路が左手に見える。誘導路も滑走路として使えるように仕上げられ、旧滑走路も全部取り払ったわけではなく実質4本の滑走路となっている。
地元に秘密にしておきたい工事については思いやり予算ではなく、米軍の予算で進められている。誘導路のあたりに赤く目立つ一角がある。垂直離発着の高温に耐えるゾーンと言われる。少し沖には姫小島弾薬処理施設が。県知事にたいして公有水面埋立変更許可も申請せずに護岸工事などがおこなわれた。これらの詳細は米軍しか知らない。
反対側に目を向けると広島市街がくっきりと浮かびかなり近いことがわかる。川をはさんで「帝人」の敷地がある。戦後、そこに工場があったが、空港の滑走路の延長線上になり、煙突を切ることを求められ、また爆音被害を受けて、工場そのものが松山に移転してしまった。「観光と工場の町」岩国の発展を基地が妨げている。
続いて、「愛宕山を守る会」代表の岡村寛さんの案内で愛宕山開発跡地を見学、あまりの様変わりに驚く。移転した愛宕神社近くに消防署ができている。その横には医療センターの大きなビル。米軍住宅予定地はフェンスで囲まれており見えないと案内される。
4つの裁判
こうしたなかでも岩国市民は負けていない。抗議の座り込み集会を、毎月1日、11日、21日と「愛宕山見守りの集い」として続けている。陸・海・空・テーブルの4つの裁判闘争もたたかわれてきた。
空の裁判(岩国爆音訴訟)は、国を相手に飛行差し止め、損害賠償、厚木からの艦載機移駐差し止めを求めた。その後オスプレイの飛行禁止も求めている。10月15日差し止めを認めない不当な地裁判決があった。
海の裁判(沖合移設事業埋め立て承認処分取り消し請求訴訟)は審理を避けた広島地裁判決を広島高裁が破棄し、最高裁で今年1月確定した。
山の裁判(愛宕山開発事業許可取り消し処分取り消し請求訴訟)は広島地裁の不当判決に続き、10月7日住民側控訴が棄却された。
テーブルの裁判(愛宕山開発等に関わる市長協議報告書非開示決定取り消し請求訴訟)は、2010年10月一部開示の判決で確定した。相次ぐ不当判決にもくじけず、これからが本番と現地は前を向いている。
岩国市民200人
28日夕方5時半から去年からの新たな取り組みとして、「岩国☆希望の祭―風人の祭―」が開催された。「岩国を戦争のための基地ではなく平和の発信基地へ!」を合言葉に、地元の若者を中心に準備。出演者も地元のアーティストが中心。400人ほどの参加者も半分以上が岩国市民だ。
多彩なアーティストによる演奏の合間に、愛宕山を守る会など岩国市民約10人も登壇。来年1月の市長選挙に、基地がらみの交付金に頼る市政=基地容認派福田にたいし、姫野敦子さんが立候補することが紹介され、本人や元市長井原さんもあいさつ。最後は「まーちゃんバンド」による歌と踊りで会場は大変な熱気に包まれた。
国際連帯集会ーデモ
29日は、「アジアから全ての米軍基地撤去を!2017年岩国基地強化阻止・辺野古新基地建設阻止 国際連帯集会」に各地の反基地運動をたたかう人びとが参加。韓国、フィリピン、スコットランドから発言。続いて、岩国、沖縄、京丹後、神奈川、横田からの報告がおこなわれた。
2日間の行動の締めくくりは基地に向かってのデモ。正面ゲート前ではとりわけ激しく弾劾の声を上げた。
今回参加して、あらためて日米の軍事戦略の中で岩国の占めている大きさについて目の当たりにした。岩国市民のがんばりを見るにつけ、全国からの注目や支援があまりにも弱いことを痛切に感じた。岩国闘争こそ米軍再編、安保、戦争法の実体にたいするたたかいの中軸になるべきものであり、文字通り沖縄と連帯するたたかいである。(出雲 崇志)
ファシズム化する日本
森達也さん(映画監督)が講演
11月22日 大阪
11月22日、「原発あかん・橋下いらん・弾圧やめて! 森達也 講演会」が大阪市内で開かれた(写真)。主催は実行委員会。
「群れ」社会
森達也さんは「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」というテーマで、次のように講演した。(以下、講演要旨)
2001年「9・11」後のアメリカも同じだった。アメリカはイラク戦争をおこし、フセインを殺害し、この流れは今日のIS(イスラム国)につながっている。
この過程で日本は急速にファシズム化していった。社会が不安になり、人間が「群れ」はじめた。多様性を認めない「群れ」社会では、犯罪者にたいする罪を厳罰化することによって、犯罪者を見せしめにして犯罪をなくそうとする。日本の刑務所では、犯罪者を人間として扱っていない。
一方、ノルウェーではこの流れとは逆に、罪をますます軽くしている。データをみれば、このほうが犯罪は減っている。ノルウェーでは犯罪者を罰するのではなく、どうしたら社会復帰できるかを考えている。
一人称で語る
ここで私の印象に残ったのは、「ノルウェーでは、犯罪者が社会に復帰する際、住む家と仕事を国家の責任で与える」ということ、2011年にノルウェーでおきた排外主義者によるライフル乱射事件(69人が死亡)で「亡くなった子どもの母親は、犯人の母親とともに涙をながした」というエピソード。ここには人間を大切にする思想がうかがえるし、社会は犯罪者にたいして寛容であると思う。これが人間として本来の姿なのだろう。
森さんが語った「群れ」(組織)ということについて。個人で好きなことをやるだけでは、運動にはならない。しかし、個人で主体的にかかわらなければ、自立的な運動にはならないであろう。「主語を明確にし、一人称で語ることが重要だ」という指摘は示唆的であった。(相模健二)
3面
緊急インタビュー
辺野古の闘いと沖縄の未来(下)
ヘリ基地反対協共同代表 安次富浩さんに聞く
―国際社会への訴えかけにも取り組んでいます
翁長さんは国連の人権理事会で、日米両政府の沖縄政策が差別であり、人権侵害であるとはっきり訴えたわけですよね。アメリカ・バークレー市議会での「辺野古移設ダメ」という決議もあるし、オリバー・ストーン映画監督やノーム・チョムスキーさんなど109人もの著名人が沖縄の問題に関心を寄せてくれています(8月30日現在)。そういう声も背景に、国際世論をもっともっとつくっていかなければ、このたたかいは勝利できないと思ってます。
国際世論を引きつけるために、ホームページも作ろうと準備が始まっていますし、〈沖縄「建白書」を実現し未来を拓く島ぐるみ会議〉が国連などでシンポジウムを開いたりして、国際世論を喚起するための努力も重ねてきたので、太平洋のちっぽけな沖縄という島が、アメリカ政府にとっては泣くような痛さを持つとげになる、そういうたたかいをつくっていきたいと思っています。
―キャンプシュワブ・ゲート前の攻防が激しくなっています
今日(10月29日)、30分間くらい米軍車輌を止めたんですよ。沖縄の怒りがどんどんどんどんエスカレートしています。怒りが倍増していく。ウチナンチューは、意外と粘り強いし、したたかで、しなやかさをもっているので、そういう性格的な運動をしっかりと根付かせていく必要があると思います。
「ウチナンチューは暖かい気候でのんきだ」と言われているけど、そうじゃないでしょう。27年間米軍支配でひどい目にあってきた。その植民地支配を脱却したのは政府の力じゃなくてウチナンチューの力なんだよ。
今も全県的なオール沖縄のたたかい、各地区には辺野古への基地建設を許さない実行委員会もできあがってきています。そこの根の広さ・深さ、これが沖縄のたたかいの原点、源なんですよ。今、政府がたたみかけてきているけれど、私たちは絶対に負けない。さらにいっそう知恵をしぼって抵抗運動を示す必要があると思います。
私たちのスローガンはもうはっきりしているわけ。辺野古新基地建設ノーで、沖縄の未来は私たち沖縄の人間が決めることです。これは自己決定権です。
なぜ沖縄に在日米軍の74パーセントもの基地が集中するのか。憲法が沖縄には生かされてない、憲法がないというに等しいのです。であればこそ、私たちは憲法で保障されている平和的生存権と抵抗権をフルに使って、日本政府と対峙していくということです。
―来年は重要な選挙を控えています
私たちは来年7月の参議院選挙では、元宜野湾市長の伊波さんを統一候補としてオール沖縄でたたかいます。また1月宜野湾市長選挙も沖縄県の部長クラスだった志村さんをかついで、たたかう体制をつくっています。6月沖縄県議会議員選挙もあります。
ここでオール沖縄が団結してね、ふたつの選挙を勝ち抜いていけば、安倍政権はガタガタになっていくでしょう。大衆の怒りを選挙で引き出し、現場での大衆運動をしっかり打ち立てて、翁長知事と稲嶺名護市長を支えるということだと思います。
―工事はどこまで進んでいますか
政府・防衛省は「工事着工」と、公言してはばからないけど、実際には何もできないんですよ。例えば、考古学調査が完全に終わるまでは、手がつけられません。2月の終わりまでですね。基本的には陸上であり、辺野古だけが焦点じゃないということです。
それに、海上については具体的にこうやる、ああやるっていうことは今のところありません。状況に合わせてたたかいを展開するので、カヌーを増やしたり、船を増やしたりして抵抗の輪を広げていくようにしています。
翁長知事の裁判闘争もはじまりますし、国交省から代執行の問題も出てきており、沖縄県知事からすべての権限を奪おうとしているわけです。そりゃもう、地方自治の破壊ですから、それを許すようでは、もう沖縄の問題じゃありません。いずれ全国のみなさんの問題になり、戦争国家へとつながっていきます。
―「琉球独立」を唱える人たちもいます
今のように、政府が沖縄を植民地主義的な形で、問答無用に圧力をかけてくれば、沖縄の世論は沖縄のアイデンティティーの立場から、独立とか、自治州という形へと、どんどん進んでいくと思いますね。ヤマトの人には、沖縄のたたかいは存在をかけたたたかいであり、琉球民族として、ウチナンチューとしての存在をかけたたたかいであることを理解してもらいたいね。
日本は単一民族国家じゃないということを自覚してほしいですね。アイヌの人々もいれば我々もいる。そして在日の人々もいるじゃないですか。人口的には多数派のヤマトが実権をにぎって、支配する時代はもう終わりにしましょう。北海道であればアイヌモシリをつくり、沖縄では自治州をつくり、沖縄の独自の歴史文化を活かす地域社会をつくっていきたい。
―ヤマト(日本)の現状をどう思いますか
私があちこちから招かれ、JRの駅前にたつと、どの駅も、どこで降りても同じに見えます。再開発という名のもとで地域から地域文化が放逐されているように感じます。
こういうのも一種のファシズムではないでしょうか。地域のカラーを生かせる街づくりがあるはずじゃないですか。見たようなスーパーがあり、大量消費ストアーがあって、ほんとに味もそっけもないですよ。これが日本に求められている地域社会なんですかね。自分らの地域を大事にすることが民主的な社会の基礎をつくりあげていくものだと思います。
「私関係ありません」ということが今の大量消費社会における駅前通りの姿になっているわけですから、地域で自分らの地域文化を大事にするという運動も必要じゃないかと思いますね。画一的な社会はファシズムへとつながっていきます。そういうところからも、見直すべきだなと思いますね。
沖縄というのは、長年月をかけて沖縄文化が育まれてきた地域です。ヤマトの人たちが沖縄に来れば、沖縄の文化を理解し、共有すべきでしょう。あるいは享受すべきであり、ヤマトの発想で沖縄を見るべきではないと思います。また、そういう形で沖縄を指導するべきではないと思います。往々にして進歩的な人は、自分らの方が先進的で、より高度な文化をもっていると思い込んでいるようです。逆に、沖縄から見れば「なんなの」ということがたくさんあります。だから、もっともっと、地域に根ざすこの国の変革運動をつくりあげてほしいなと思いますね。
労働運動についても同じことが言えます。労働者としての権利を自覚し、獲得するたたかい、運動を作るべきだと思うんだよね。総評運動は三公社五現業とか、国労・動労あるいは電電公社(NTT)が主体でしたが、民営化と同時に、ものすごい大合理化の圧力に負けてしまいました。その過程で中小の労働者も崩されていったわけじゃないですか。
上からじゃなくて、中小の現場から労働者としての自覚をもつような運動に、それが地域と密着する運動に変えていくことだと思いますよ。地域から変えていくことに、労働者が取り組むことではないでしょうか。
―どうも、ありがとうございました。
米軍は沖縄を守らない
伊波洋一さん(元宜野湾市長)が訴え
12月5日 大阪
映像とカラーのレジュメで講演する伊波洋一さん |
12月5日午後6時から「辺野古基地工事強行糾弾・関西緊急集会」が、伊波洋一元宜野湾市長を迎えて、エルおおさかで開催された。この日昼間は、福井で「もんじゅ」闘争・高浜再稼働阻止闘争や、伊丹で日米共同指揮所演習反対闘争、神戸では野党5党討論会、神戸・大阪で辺野古行動など各地で闘争・集会・行動がおこなわれた。辺野古現地での山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)らの逮捕も伝わり、夜のこの集会にはそれぞれの行動を終えた人が続々とかけつけ、250席の会場に入りきれず、ロビーまで溢れた。
「抑止力」のウソ
集会は、主催者挨拶が沖縄意見広告運動全国世話人の服部良一(元衆議院議員)さんからなされた。主催4団体のあいさつにつづいてメインの伊波洋一(元宜野湾市長)さんによる「辺野古埋め立て承認取り消しと沖縄の自己決定権」と題しての講演。伊波さんは沖縄・日本・アジアでのアメリカの軍事・経済・政治戦略の実相について語り、米軍は決して日本や沖縄を守るためにあるのではないことや、「抑止力のウソ」について話した。
資料・映像を使い、12月2日に裁判所に乗り込む翁長知事への激励に集まった1000人が裁判所前を埋め尽くしている場面や、辺野古現地の攻防の写真、自衛隊PRビデオなどが次々と上映され、わかりやすく感動的だった。時間がなく、他の問題や沖縄の自己決定権については十分展開できなかったが、『世界』1月号に論文を寄せているとのこと。
また1月の宜野湾市長選の勝利をめざし、夏の参議院選挙は伊波さん自身が候補者となり、選挙前の公約=県外移設とは違う主張をしているウソツキの島尻安伊子参議院議員(沖縄担当大臣)に勝利し、辺野古新基地建設を最終的に葬り去る決意を述べた。
沖縄と戦争法は一体
東京から「沖縄のための日米ネットワーク(JUCON)」の花輪伸一さん、共謀罪の問題を永嶋靖久弁護士、毎月の戦争法に反対するロックアクション、戦争法違憲訴訟を闘おうとする人などから次々と訴えがあり、沖縄と戦争法廃止を一体でたたかい、安倍政権を打倒しようとの決意がみなぎった。閉会あいさつの山元一英さん(全港湾大阪支部)は、沖縄辺野古のたたかいに応えるために、ローテーションを作り、大阪から人を派遣しようとまとめ、熱気あふれる集会を終えた。
第7期意見広告へ
この日をもって第7期沖縄意見広告運動が始まった。この間の意見広告運動の積み上げは、辺野古基金による全国各地の地方紙への意見広告掲載へとつながり、「辺野古新基地建設反対・沖縄にこれ以上基地を押し付けるな」の声のすそ野を広げている。来夏、参議院選前の意見広告掲載に向け、賛同を募り仲間を広げていこう。(久保井)
4面
成田空港反対闘争
「国策」と「公共」を問う
市東さんの会 都内でシンポ
沖縄からヘリ基地反対協の安次富さんが発言 (21日 都内) |
11月21日、都内で「市東さんの農地取り上げに反対する会」主催の集会・シンポジウムが開かれた。昨年は、成田空港の激甚騒音問題に焦点をあて、空港周辺住民にアピールする集会として成田市内で開催されたが、今年は市東さんの農地問題、成田空港問題を様々な角度から検証し、安倍政権の「国策」に挑む企画として、東京都内で開催された。
最初に基調報告に立った小川正治さん(市東さんの会事務局)は、市東さんの農地法裁判(最高裁)は、いつ決定が出てもおかしくない緊迫した状況にあり、「土地収用」を阻む運動の正念場であり、今回のシンポジウムは、「国策」や「公共性」を振りかざした攻撃にいかに立ち向かうかを探ろうとするものだと訴えた。
土地は公共財
市東さんの農地問題、農業問題・農地問題について様々な立場で取り組んできた人々からの報告があった。農業経済の問題から石原健二さん(元立教大学教授)は「土地は公共財」と題して講演。経済学の立場から鎌倉孝夫さん(埼玉大学名誉教授)は「市東さんの耕作地は、人権・平和確立の根拠地」と論じた。憲法学の立場から内藤光博さん(専修大学教授)は「市東さん農地法裁判の憲法論」として「農地法の適用は憲法違反」と断じた。農業ジャーナリストの大野和興さんは「安倍政治を許すな―TPP、農政、憲法、地域からの反撃を」と訴えた。稲作農家の小川浩さんからは日本農業の置かれた現況が報告された。
また、「国策」「公共」を振りかざした攻撃と闘う沖縄の安次富浩さん、福島から國分富夫さん、経産省前テントの正清太一さんが、闘いの現場からの報告と共に闘う決意を表明した。
農業と土は私の命
当該の市東孝雄さんは講師・集会参加者への謝辞を述べ、「国策との闘いとしての沖縄、福島、三里塚の闘いを、私はひとつの闘いとしてこれからも闘っていく」、そして「農業と土は私の命であり、耕す者に権利ありということを私は当初から訴えてきた。有機野菜を消費者に送り届け、消費者に喜んでいただける、そのことに私は喜びと誇りを持っている」「天神峰の私だけでなく、東峰では40メートル上空を航空機が飛ぶなかで生活している。その人たちと共に頑張っていきたい」と語り、「騒音問題は拡大しない」などというデマ、右翼を使っての嫌がらせ、立ち退きを拒否する者に問題ありとする形で進められている第3滑走路は絶対認められないと決意を明らかにした。
最後に葉山岳夫弁護士はじめ弁護団からの報告と決意が表明された。
市東さんの農地取り上げの問題点・ポイントをはっきりと浮かび上がらせる集会であり、沖縄、福島はじめ「国策」と闘う全国の人々と共に闘いの輪を広げ、闘いの展望を切り開く集会であった。(岩谷)
マイノリティの人権のために
医療観察法の廃止をめざして
11月29日、心神喪失者等医療観察法をなくす会など4団体共催の「11・29心神喪失者等医療観察法廃止! 全国集会」が都内でひらかれ、106人が参加した(写真)。神戸学院大法科大学院教授の内田博文さんの講演をメインに、京都の「前進友の会」、東京の「医療扶助・人権ネットワーク」や私も報告した。
内田さんは、観察法は医療法としては破綻している。治安の観点から強化すべきという主張が現れている。「精神病者」差別を助長するものだ。
@保安処分は違憲だ。A医療法としての内実を有さない。B差別禁止、「病者」の権利の主張。以上3つの闘い方がある。そのためには被害実態調査が必要だ。当事者の権利主体性、下支えする市民運動、専門家の役割という多様な参加形態で、「マイノリティの人権を理解している人は10%しかいない」といういびつな日本の民主主義の内実を変える必要があると提起した。
私は、「差別禁止、『病者』の権利」というが、いま「病者」は生きていくこと自体が脅かされている。「病者」には福祉として生活保護、障害年金、障害者総合支援法による介助等があるが、3つとも切り捨ての攻撃がある。年金・生保扶助費の切り下げ、年金の認定を厳しくする年金ガイドライン問題、いわゆる「65歳問題」だ。対抗して具体的に闘っていこうと話した。(高見元博)
恐るべき警察の変質
シンポ「共謀罪を考える」
11.21 大阪 弁護士集会
11月21日、大阪弁護士会主催・近畿弁護士会連合会共催の京都・大阪・兵庫連続集会「共謀罪を考える〜共謀罪・通信傍受・司法取引で刑事司法はどう変わる?〜」シンポジウムが大阪弁護士会館2階ホールでおこなわれた。参加者は、ほぼ満席の125人であった。
基調報告は、元北海道警察の原田宏二さんがおこない、シンポジウムではパネリストとして、原田さん、日比野敏陽さん(前新聞労連委員長=京都新聞)、永嶋靖久弁護士(大阪弁護士会)、コーディネーターは太田健義弁護士(大阪弁護士会)がおこなった。
警察権の限界理論
原田さんは、「腐敗する警察の権力拡大を許してはならない」と題する講演で、戦後1948年にできた警察法は、自治体警察であったが、その直後の警察法改正(1954年)により、国家警察が復活したこと(人、モノ、金を政府が握っている)を指摘し、それでも警察権の限界理論(消極、公共、責任、比例の4原則)があったが、今では、事前捜査積極説と司法・行政区分不要説が台頭していること。これらの学説は、警察学校の現行の教科書に堂々と掲載され、新任の警察官が教育されていることを指摘して警鐘を鳴らした。この指摘は、参加者全員に衝撃を与えた。
捜査手法の「高度化」
捜査の可視化と引き換えにして、捜査手法の高度化の名の下で、@DNA型データベースの拡充、A通信傍受の拡大、B会話傍受…、F司法取引、G刑事免責…、K刑法その他の実体法(刑罰法令)の見直しなどが進められている。これらが法的根拠もなく押し進められていることに警鐘を鳴らした。
任意捜査の限界を超える事実上の強制捜査(捜査関係事項照会、インターネット監視、写真・指紋、任意同行)について、事例をあげながら警察権乱用の実態を暴露した。私戦予備陰謀を口実にジャーナリストの常岡浩介さんが、1年以上前に家宅捜索されたにもかかわらず、いまだ検察に送致していないことを指摘した。これは、捜査にかこつけて情報収集をおこなったものである。
法的根拠を欠く捜査(監視カメラ映像、GPS捜査、DNAデータなど)を常におこなっている。これらの詳細は、主催者がパンフ化するとのことなので、活用していきたい。(粟倉)
維新系首長が圧力
12・6大阪 「戦争教科書」いらん集会
12月6日、「戦争教科書」いらん! みんなで声をあげよう大阪集会が大阪市内でひらかれ120人が参加した(写真)。主催は、〈あぶない教科書はいらない! 2015大阪連絡会〉。
この夏、来年4月から全国の中学校で使用される教科書の採択がおこなわれたが、大阪府内では大阪市をはじめ5市で育鵬社の教科書が採択されてしまった。この集会は、10月9日の抗議集会に続き、今年度の教科書運動に関する総括集会としておこなわれた。
日本会議の動き
〈子どもたちに渡すな! あぶない教科書 大阪の会〉共同代表の上杉聰さんは、「なぜ、大阪府内で育鵬社が大量採択されたのか」というテーマで講演した。
上杉さんは「安倍政権による改憲攻撃はすでに始まっている。安倍は、改憲を『2016年選挙後にやる』と明言しており、『一億総活躍社会』はそのために位置づけている」「改憲策動には日本会議が積極的に動いている。育鵬社教科書は、戦争できる体制をつくるのに不可欠なものだ」と改憲攻撃と育鵬社教科書が一体であることを明らかにした。
そして、今年度の泉佐野市、大阪市、東大阪市で、育鵬社の教科書がどのようにして採択されたのかについて、具体的に暴露。維新系市長による教育委員への圧力と地域からの働きかけが、周到な計画のもとにおこなわれていたのだ。最後に今後の闘いに向けて、取り組みを提起した。
リレートーク
続いてリレートークでは7団体から具体的な報告があった。
李信惠さんから「反ヘイトスピーチ裁判」をおこした経過と決意表明。
四条畷市民から、育鵬社教科書が採択された経過と闘いの報告。
日本軍「慰安婦」問題・関西ネットから、大阪府教育委員会が作った「『慰安婦』に関する補助教材」について報告。
関西わだつみ会は「戦前、戦争のために死ぬことのできる思想は小学校の教育が決定的だった。子どもたちを再び戦場に送らないため、この体験を語っていく」と発言。
育鵬社教科書の撤回を
最後に、今後の闘いの方針提起が主催団体からあった。「大阪府内5市で育鵬社の教科書が採択されてしまったが、闘いはひろがった。〈あぶない教科書はいらない!2015大阪連絡会〉は、〈「戦争教科書」はいらない! 大阪連絡会〉として継続する。育鵬社の教科書を撤回させる闘い、次回、採用させない闘いを、今から作り出していこう」と提起した。 (酒井 正己)
5面
被害者が受け入れられる解決を
「慰安婦」問題 挺対協結成25年 大阪で集会
11月23日、大阪市内で「『慰安婦』問題の解決のために、扉をたたき続けよう! 〜被害者が受け入れられる解決を〜」が開かれ110人が参加した。主催は日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク。日本軍「慰安婦」問題解決全国行動が協賛。集会では1990年結成から25周年を迎えた韓国挺身隊問題対策協議会常任代表の尹美香さんが講演し、次のように語った。
被害者が主体となって
挺対協は韓国の民主化闘争と連動した女性運動の高まりの中で生まれた。91年8月、金学順さんが名乗り出たことで、沈黙を強いられてきた被害者たちが次々と立ち上がり、彼女たち自身が挺対協運動の主体となっていった(ハルモニたちの活動の様子がスライドで映し出された)。
挺対協の活動は@毎週の水曜デモ(今年10月28日で1200回)、A高齢になった生存者のための様々な福祉活動、B対政府活動(ハルモニたちへの償い金や生活安定支援、日本政府への解決を求める積極的努力を促すなど)。C南北連帯活動、D国際連帯活動(国連関係機関への提起、世界各国への訪問、アジア連帯会議など運動の国際的な連携)などなど多岐にわたっている。
安倍らの目の敵である「少女像」は「平和の碑」という。ハルモニたちの多くが被害当時13〜15歳なので少女の姿になっている。少女の横の空席は故人となったハルモニたちの席であり、ハルモニたちの思いを引き継ぎ叫ぶ私たちの席でもある。この像を「反日」と決めつける日本のマスメディアもあるが、そうではなくて、平和と正義と人権を待ち望んでいるハルモニたちの願いの表れである。子どもたち、学生、若者、労働者、市民がここに来て、戦争が人権を蹂躙するものであり、平和な世界を作ることがハルモニたちの願いだということを学ぶ場所となり、「街頭の博物館」とも言える。国内・米国にも平和の像は設置され、日本軍慰安婦について学ぶ「人権博物館」も各地につくられ、今年12月には大邱市でも開館する。
性暴力被害の根絶へ
ハルモニたちは、今、自分たちだけのことではなく、世界中の戦時性暴力被害を根絶すること、その被害者を支援し、紛争地域の子どもたちの「ナビ基金」を設立した。金福童ハルモニはとても体が弱っておられるが全財産を基金に寄付した。彼女は「私たちもつらい思いをしたが、(韓国軍が)ベトナムの女性に被害を与えたことに韓国人として申し訳ない。私たちは死ぬときが来たが、子どもたちには戦争の被害を味わわせてはならない」と訴えている。
私たちの運動は「反日」ではない。自国政府にも歴史を逆行させ、分断を促進する動きを止めるよう求めている。日本政府に求めているのは、消せない真実を自ら明らかにし、被害者の納得する解決のために努力することだ。
未来の門を開くために
集会は第2部で尹さんと佐藤大さん(東アジア青年交流プロジェクト事務局長)のクロストークがおこなわれた。韓国の教科書の国定化に反対する若者たちのたたかいも報告された。尹さんは25年の歴史を振り返り、「歴史を生きるということは、壁を門だと思って押して、開いていくことだ」という詩を紹介して、世界中で戦争と貧困に直面しているこんな時代だからこそ、力を振り絞って未来の門を開くために壁をたたき続けていこうという言葉で講演を終えた。今年も被害者の訃報が相次ぎ、韓国政府に登録された238名中、生存者は47名になってしまった。「70年」での解決をくりこしてしまった「慰安婦」問題の解決は来年こそ実現せねばならない。 (吉野)
追悼
ロマン・ロランを病床に
松田勲さんの思い出
教育労働者 宮川 謙二・中西 正克
松田勲さんが不治の病に侵されたと聞いた時、大きなショックを受けました。バイクに乗って職場まで何度も訪ねてくれたこと、「日の君」をめぐる処分反対の闘いや教育基本法改悪との闘いに精魂を傾けて全体をリードされたこと、緻密な論理を組み立てて行動原理を導き出し、しかし時々ウィットに富んだ話で小さく「ニヤッ」と笑いながら話されたことなど数々の場面を思い出します。
いくつかのエピソード
松田さんが普段使われているパソコンを借りて作業をしている時、待ち受け画面やスクリーンセーバーにフランス印象派や象徴派の絵画が現れてきます。よく覚えているのはルノアールやモネの絵画でした。リューマチの痛みに苦しむルノアールは指に絵筆を縛りつけてカンバスにむかっていたことや、ほとんど視力を失ってもなおモネが「睡蓮」を描き続けていたことなど、今思えば、松田さんの闘病生活と重なってしまいます。
病に臥されてから見舞いに行った時、松田さんはひらがなの文字板を使って、「オ・レ・ン・ジ・シ・ャ・ー・ベ・ッ・ト」とリクエストされました。そのあとで「な・い・し・ょ」と意思表示。ドクターやナースには内緒でだったのですが、松田さんは2さじぐらいで、手を振って「もういい」といわれました。
また、松田さんの病床には、ロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』全六巻が並んでいました。もう本を持つことはおろか、文字を読むこともままならない中で、一貫して戦争反対と反ファシズムを貫いてきたロマン・ロランを枕元に置いていることに松田さんの強い意志を感じるものがありました。言い方に語弊があるかも知れませんが、ゴリゴリ・ガチガチの活動家だと思っていたのは完全に偏見でした。
発症されてからも、東大阪でのぼくたちの集まりやそれぞれの「退職の会」や「還暦の会」にも杖をつきながら、あるいは車椅子で何度も参加していただきました。ありきたりですが松田さんの遺志を少しでも受け継いでいけたら、と思います。松田勲さん、本当にありがとうございました。
【松田勲さんの略歴】
1952年生れ。70年高槻高校を卒業。
高校時代から新聞部、生徒会で活動。72年京都大学文学部入学。卒業後大阪府教員に。85年10・20三里塚決戦で不当逮捕され不起訴にもかかわらず懲戒免職。関西労組交流センターの事務局長。92年PKO自衛隊派兵阻止闘争や、2006年教育基本法改悪反対運動、08年洞爺湖サミット闘争はじめ常にたたかいの先頭に立つ。09年、筋委縮性側索硬化症(ALS)を発症。2015年11月8日、逝去。享年63歳。
戦争反対で銀座大行進
12・6東京 4500人が参加
SEALDsと学者の会先頭に銀座をデモ |
12月6日、SEALDsと安全保障関連法に反対する学者の会主催で「KEEP CALM AND NO WAR」(「冷静さを保とう、そして戦争反対」の意)と名付けられた集会が都内で開かれた。サプライズゲストとして発言に立った石田純一さんをはじめ、発言者は口々に戦争法を強行採決した安倍政権を弾劾。「『聴取不能』となっていた議事録が正常に採決されたかのように改ざんされた」ことが暴露された。
この日は日比谷野音一杯の4500人の参加があり、「法案は通ったが社会は変わった」「敗北感・挫折感は見られない」と運動の到達点を確認。沖縄・原発・貧困などにも取り組む必要性を訴えた。
反原発戦線からも「安倍を倒さなければ原発は止まらない」と安部打倒に主体的に取り組む必然性が語られた。そして、2000万署名に取り組み、運動を継続させ、来年の選挙に備えることを提起。「(総がかり行動という形で)市民は団結した。プロの野党に出来ないはずがない」と野党共闘を要求。議員発言もこれに応えた。
また、若者からは「20歳になって(反安倍の)投票が出来るのが嬉しすぎる」という声も。公明党弾劾発言には会場後方から創価学会の三色旗が振られ、「自民党に天罰を、公明党に仏罰を」のプラカードが紹介される一幕もあった。集会終了を待たずにデモ隊は順次銀座を縦断するデモに向かった。(東京 横井)
19日行動 始まる 11・19神戸
中東空爆、安倍政権をとめよう
9月19日の戦争法強行採決から2カ月目の11月19日、〈アベ政治を許さない市民デモKOBE〉は、戦争法の廃止を求める19日行動をおこなった。10月は街頭宣伝行動、11月から集会とデモとして本格化し、当面来年7月参院選挙まで続ける。
この日は神戸市役所北の花時計前に、35団体ネットワークで150人が集まった。集会・デモには新たに作られた横断幕、大型のメッセージボードなどが並べられ、安倍打倒の勢いは衰えてないことを示した。
戦争法の廃止を
集会では主催者を代表して高橋秀典さんが「7月以降の〈アベ政治許さない市民デモKOBE〉を、法案成立以降もこの取り組みを強めるために、毎月1回19日に行動することになった。沖縄や原発のたたかいも一体で安倍政治をやめさせよう」と訴えた。つづいて参加団体からNHK問題を考える会や、3日後に迫った大阪ダブル選挙の訴え、大学の取り組みなどが報告された。
特に神戸子ども未来舎からは、「フランスでのテロの映像が放映されているが、その裏では空爆でムスリムの女性や子どもたちが殺されていることは報道されない。最も凶悪なテロである有志連合の空爆をやめさせよう。これに追随する安倍政治を終わらせよう」と発言があった。神戸辺野古行動から緊迫した現地情勢の報告と辺野古行動を強化しようとのアピールがなされデモに出た(写真上)。(兵庫M)
6面
破産のもんじゅは廃炉へ
20回目の全国集会
12月5日 福井
「もんじゅは廃炉へ」とシュプレヒコール |
5日、福井市内で、「'15もんじゅを廃炉へ!全国集会」がひらかれ、750人が参加した。主催は、全国集会実行委員会(原子力発電に反対する福井県民会議など5団体)。例年、もんじゅを望む敦賀市白木海岸でおこなわれ、原研機構へ申し入れ行動、そして敦賀市内に移動しての屋内集会&デモとなっているが、今年は、関電高浜原発の再稼働が迫るなかで、「再稼働を本気で止める! 全国集会」が福井市内でひらかれるのに合わせて、会場を福井市内に移しての開催となった。
福井市文化会館大ホールで正午からひらかれた集会は、冒頭、主催者を代表して中嶌哲演さん(原子力発電に反対する福井県民会議代表委員)があいさつ。つづいて、もんじゅの危険性を暴いたDVDを上映。
「核燃料サイクルの是非を問う!」と題して対談を、伴英幸さん(原子力資料情報室・共同代表)と鈴木達治郎さん(長崎大学核兵器廃絶研究センター長)がおこない、最後に集会アピールを採択、シュプレヒコールで締めくくった。
原爆製造のため
95年12月8日に高速増殖炉もんじゅが「ナトリウム噴出・火災事故」をおこした。その翌年から毎年12月には、白木海岸&敦賀市内で集会・デモが続けられてきた。今年で20回目となる。
もんじゅにはこれまでに1兆円を越える税金が投入されてきたが、まともに動いたことはなく、実用化のめどはたっていない。現在も、毎年223億円もの維持費が投入され、これは1日あたり6100万円となる。米・英・独・仏などは、ナトリウム(冷却剤)の制御に手を焼き、高速増殖炉から撤退した。
先月、11月13日には、原子力規制委が所管の文科大臣に対して「半年以内に原研機構に代わる運営主体を示さなければ『もんじゅ』のあり方の抜本的見直しも求める」という勧告を出した。
核兵器の材料となる高純度のプルトニウムを生み出す「もんじゅ」。これには経済的合理性などない。日本帝国主義にとっての軍事的必要性があるだけだ。いまこそ、「もんじゅ」を廃炉へ。
差し止め決定転ぷく許すな
高浜 「本気で止める」と1200人
12月5日 福井
5日、文化会館向かいの西公園で「高浜原発3・4号機の再稼働を本気で止める!全国集会」がひらかれ、地元福井をはじめ全国から1200人が集まった。
福井地裁による高浜原発3・4号機の運転差止め決定に対する関電の異議申立ての審尋が終結し、年明けにもその決定が出る。それにあわせたかのように動きが活発化している。関電は40年を越える美浜原発3号機の再稼働申請を提出。八木社長(電事連会長)は高浜1・2号機については40年を越え60年動かすと表明した。
12月3日、高浜町の野瀬豊町長が「司法と行政は別」と高浜原発3・4号機の再稼働に同意した。また福井県原子力安全専門委員会(福井県は県独自の同委員会での審議を経て再稼働に同意するかどうか決めるとしており、同委員会の占める位置は大きい)は「問題は概ねクリアーされた」と再稼働受け入れ決定を出そうとしている。
県議会は16日に全員協議会を開催し態度を表明、西川一誠知事は17日に「同意表明」すると報道されている。
異議審で福井地裁・樋口決定がくつがえされない限り高浜原発は動かすことはできないなかで、関電や原発推進勢力は司法に対して樋口決定を覆すことに向けての圧力を強めている。
「本気で止める! 全国集会」はこうした緊迫した状況の中で開催された。司会は講談師の神田香織さん。主催者あいさつは共同代表の中嶌哲演さん(写真上)。 武藤類子さん(福島原発告訴団原告団長)が福島の現状を訴え、「あきらめない、つながる、一人一人自分で考えることを大事にしていこう」と提起した。
高浜原発訴訟弁護団の鹿島啓一弁護士は、異議審のなかで、関西電力は、焦点になった基準地震動やその他の問題でも何一つまともな論証・反論もできず、弁護側が完勝したと報告。その上で、年明け早々にも予想される異議審の決定について、審理している福井地裁の3人の裁判官の名前をあげ、楽観は禁物であり、再稼働反対・樋口決定支持の声を大きくあげようと訴えた。(米山)
再稼働とめる闘いを
高浜・大飯の審理が終結
11月13日 福井地裁
福井地裁前に向かう申立人、弁護団 (11月13日) |
11月13日、関西電力高浜3・4号機の異議審、大飯3・4号機の仮処分審尋が終結した。昨年12月5日に福井地裁に申し立て、今年4月14日に高浜原発再稼働差し止め仮処分決定が出され、高浜原発は再稼働できず止まったままだ。福島原発事故の衝撃と全国のたたかいが司法を揺り動かし、今年11月に高浜原発再稼働を狙っていた関電の目論見は崩れ、再稼働を止めている。
大飯原発仮処分はそのまま審尋が継続され、高浜原発は関電による異議申し立てがあり、異議審がおこなわれ、今日を迎えた。
うすら寒いこの日、福井地裁前は熱い心の人々であふれていた。「再稼働を止めよう」のゼッケンをつけた人、「原発より命」「ストップ! 原発再稼働」のボードを持った人、「福島を忘れるな」ののぼりを掲げる人が生き生きとしている。グリーンピースの横断幕は「福井地裁の高浜決定を守って!」と訴えている。
午後3時少し前に、申立人と弁護団が到着し、「福島は警告する すべての原発を止めよ!」の横断幕を先頭に福井地裁に向かった。100人ちかくの支援者は拍手で見送った。
支援者は福井教育会館に移動し、長沢啓行さん(若狭連帯行動ネットワーク資料室長)による基準地震動についてのレクチャーがおこなわれ、申立人と弁護団の到着を待った。
申立人と弁護団が会場に到着し、記者会見が始まった。河合弘之弁護士から、高浜異議審、大飯仮処分審尋とも審査が終結したことが報告された。前回期日には11件、今回も11件の準備書面を提出し、3人の学者によるプレゼンテーションによって、全力で主張・立証した。裁判所はこれらの書証をていねいに読んでおり、弁護団としては手応えを感じている。脱原発の全戦線がたたかいぬき、なおかつ局地戦としての仮処分審尋に全力を尽くした結果は、「果報は寝て待て」の心境だと語った。
決定はいつ頃になるのかという記者団からの質問に、井戸弁護士は「裁判長は常識的な期間内に出す」といっており、準備書面の量から見て、これを読み終えるには2カ月ほどかかるだろう、1月中旬以降になるのではないかと推測していた。
裁判所からの告知は1週間前にある。「福井から原発を止める裁判の会」のホームページをチェックし、福井地裁前を埋めつくそう。(須磨)
冬期特別カンパのお願い
(冬期特別カンパにご協力をお願いします) 2015年安保闘争は、60年安保、70年安保・沖縄闘争以来の数十万の人々が立ち上がりました。あらゆる社会層の決起で安倍政権を追いつめました。「アベ政治を許さない」闘いの発展の中に民衆の未来があります。みなさんのカンパをお願いします。
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