未来・第167号


            未来第167号目次(2015年1月8日発行)

 1面  経済破綻から強権発動の安倍政権
     沖縄・原発、反貧困・改憲阻止の闘いを

     高浜原発の再稼働反対
     今春 現地と関西結ぶ大闘争へ

 2面  入れ墨処分は違法
     橋下の組合つぶしに反撃
     11・28 大阪

     大雪ついて敦賀で集会
     もんじゅは廃炉へ 12・6

     大阪で51人が提訴、全国で532人
     生存権裁判が始まる

 3面  2015年 新年のあいさつ (上)
     民衆の力で政治を変えよう
     ヘリ基地反対協共同代表 安次富浩さん      

     講談師 神田香織さん

     産婦人科医・広島被爆二世 河野美代子さん

     広島電車内被爆者 米澤鐡志さん

 4面  ※各界からの挨拶A
     三里塚芝山連合空港反対同盟  萩原富夫さん

     三里塚芝山連合空港反対同盟 市東孝雄さん

     三里塚決戦勝利関西実行委員会代表 永井満さん

     被災地雇用と生活要求者組合代表 長谷川正夫さん

     関西合同労働組合執行委員長 石田勝啓さん

 5面  ※各界からの挨拶B
     経産省前テントひろば代表  淵上太郎さん      

     門真市議・「革命21」 戸田ひさよしさん

     KCM(関西共産主義運動)代表 八木沢二郎さん

     『情況』編集長 大下敦史さん

 6面  ルポ・原発事故被害者集会
     「放射能のない元の環境に戻せ」
     立ちあがる原発事故の被害者(下)
     請戸 耕一      

     展望 15号 紹介

     冬期カンパのお願い

       

経済破綻から強権発動の安倍政権
沖縄・原発、反貧困・改憲阻止の闘いを

福島原発告訴団 東京地検前行動(12月12日)

川内原発再稼働反対!反原発☆渋谷大行進
主催:首都圏反原発連合(12月13日)

侵略の忘却も準備も許さない12・14デモ
主催:安倍のつくる未来はいらない!人々(12月14日 新宿)

世論の支持なき「圧勝」

12月14日投開票の総選挙結果は、マスコミの言う「自公圧勝」ではない。確かに議席的には3分の2を超えたが、投票率は戦後最低の52%であり、自公の比例得票数は前回参院選より105万票減である。「圧勝」は沖縄のように自民全敗ながら全員比例復活という選挙制度や、都市部の拮抗選挙区では2〜3万票の公明票の上積みによる薄氷勝利に支えられている。民主への期待なき消極的支持が自公に326議席を与えただけだ。
しかも安倍自民党を右へ引っ張る「次世代の党」は石原を先頭に落選・壊滅した。維新が現状維持で、民主・生活・社民の総数は微増、共産は倍増で、マスコミが事前からの「圧勝」報道を継続しただけだ。12月24日発足の第三次内閣も、スキャンダルをもつ大臣・副大臣を交代させただけで、何の新味もなく、政策的吸引力もない。

アベノミクス破綻下の強権政治

 もちろん総選挙勝利で9月自民党総裁選再選を確実にした安倍は、衆参3分の2の議席を背景に、「改憲」の姿勢を示した。これまで以上にマスコミと差別・排外主義勢力を動員して、強権政治をおこなうだろう。
しかしアベノミクスの破綻は拡大し、トリクルダウンどころか地方や中小企業や農業や雇用の疲弊・破壊はとどまることがない。さらに原発再稼働、沖縄新基地建設強行、格差・貧困の拡大、1年半後の消費増税と、支持率・支持基盤強化の展望は何一つない。
要するに安倍政治は、「景気回復」を人為的に捏造し続けない限り破綻必至の自転車操業政権なのだ。しかもこの経済政策下では、輸出産業・富裕層のみがうるおい、「分厚い中間層の形成」どころか非正規雇用労働者が増え、格差・貧困が拡大し、1%の富裕層に極限的な富が集中していく。
このため没落する中間層を1930年代のナチスのように、独特の経済政策と差別・排外主義で組織化し、「強い日本を取り戻す」というのが、安倍の本質=「戦後レジームからの脱却」攻撃なのだ。

沖縄・原発、反貧困・改憲阻止の階級的共同闘争の発展を

こうして安倍は労働者や地方の反乱、脱原発・沖縄基地建設反対の闘いを恐れ、闘いの圧殺と短期決戦の強権政治を発動してくる。問題は労働者人民が、あらゆる類の攻撃に対し、これを打ち破る闘いに決起できるかどうかだ。
原発再稼働(川内・高浜など)と沖縄辺野古新基地建設攻撃が切迫している。現地闘争と都市部・ヤマトの闘いが問われている。また運動の基盤に反貧困の労働運動・社会運動がないかぎり安倍を追いつめることはできない。
さらに安倍打倒を牽引する政治勢力の形成も急務だ。集団的自衛権容認に飽き足らず、最終的には自民党改憲草案での改憲まで狙う安倍に対し、改憲阻止の全国的運動を形成していこう。そしてヘイトクライムとの闘いや、福祉切り捨てとの闘い、福島―三里塚―沖縄を結ぶ反乱を重層的につくりだそう。
この階級的共同闘争と4月統一地方選で地域・地方からの反撃を叩きつけ、安倍強権政治を打倒しよう。

高浜原発の再稼働反対
今春 現地と関西結ぶ大闘争へ

昨年の12月17日、原子力規制委員会は、関西電力高浜原子力発電所3・4号機についての「審査書案」を了承した。商業紙は、これを再稼働のための「合格証」とキャンペーンを張っている。

福島の補償も、事故収束もなしの再稼働

福島第1原発事故の被害・避難者はいまだ筆舌に尽くしがたい悲惨と困難な状態にある。事故原因の究明は進まず、事故収束の目途さえ立っていない。
先行して「審査書」が承認された九州電力の川内原発もまだこの1月に補正申請をおこなうというのに、田中俊一・原子力規制委員長は、3番手の審査もそう時間はかからないと言っている。今後、高浜原発は、12月18日から1月16日までの間、意見募集をおこない、2月にも審査書を正式決定、その後に地元自治体が同意すれば、今春にも再稼働をするという。

プルサーマルの危険性・破壊性

高浜原発3・4号機はプルサーマル発電に対応している。2013年の6月にフランスからMOX燃料が搬入されたとき、核輸送に世界70か国が抗議した。プルサーマル発電は、燃料にプルトニウムとウランを混ぜたMOX(混合酸化物)燃料を使う。プルトニウムは核兵器に使われるうえに、「人類が遭遇した物質のうちで最高の毒性をもつ」(小出裕章)。近畿の人口密集地を巻き込む福島原発事故以上の危険をもたらすものである。

住民避難の困難性

避難計画を義務づけられている高浜原発から半径30q圏には、福井・京都・滋賀の3府県の計12市町が含まれ、計183、000人が住む。大飯原発の運転差止を決定した昨年5月21日の福井地裁判決は、原発事故の被害の及ぶ範囲を250q圏とした。また昨年11月6日の衆院原子力問題調査特別委員会で、東電の姉川尚史常務は、「30q圏の自治体に過酷事故の避難計画がなければ電力会社は原発を再稼働できない」と答弁した。しかし、福井県の西川一誠知事は地元同意の範囲を「福井県と高浜町」とする姿勢を変えない。原子力規制委は過酷事故時の避難計画を審査対象ともしないデタラメさである。
高浜原発に行く道は県道1本しかない。途中には、崖の崩壊や土石流の警戒地域がある。大雪や崖の崩落で寸断されれば、一帯は孤立する。その上、高浜原発の20q圏には大飯原発、50q圏には美浜原発、さらに東側には敦賀原発がある。ところが規制委の田中委員長は、「若狭の原発は、各自で事故は収束できるから、集中立地のリスクは検討する必要はない」と言い切った(東京新聞12月17日夕刊)。福島の経験を無視するものである。

原子力規制委員会の無責任を弾劾する

福島の原発事故を招いたのは、安全神話をつくり、利権に群がる原子力ムラである。彼らは、3・11以降、反省も謝罪もせずに、延命した。現在の原子力規制委は5人中4人が原子力ムラ出身者である。彼らが政府や電力会社の言いなりの結論を押しつけているのである。
自分たちが勝手につくった審査基準を当てはめて、審査書案=「合格証」として発表する。政府も電力会社も自治体も、安全性の審査を規制委に丸投げしているが、規制委自身は、田中委員長が言うように、審査書は「安全を担保したものではない」。新基準に謳う過酷事故対策は、IAEA基準からしても、「世界でもっとも厳しい」などとは真っ赤なウソである。

「安全審査」はデタラメ

基準地震動(予想される最大の揺れ)を当初の550ガルから700ガルに引き上げ、基準津波(想定される津波の高さ)も2・6メートルから6・2メートルに引き上げた。しかし福井地裁判決が示しているように、関電が、原発が損傷するとする1260ガルを超える地震がこの10年内に5回は起こっている。近年最大の2008年6月の岩手宮城内陸地震は4022ガルにも達した。日本で原発を稼働させること自体が暴挙と言うべきである。

高浜・川内原発の再稼働を許さない

経済的自由は生命などの人格権に比して「劣位にある」と断じた大飯原発差止訴訟の福井地裁判決を今こそ運動に生かそう。今春、関電を民衆の怒りで包囲し、高浜現地、若狭・福井現地の巨万の闘いで、高浜原発再稼働を阻もう。

2面

入れ墨処分は違法
橋下の組合つぶしに反撃
11・28 大阪


拒否を貫いた6人

2012年5月に大阪市職員3万4千人を対象に橋下市長が実施した入れ墨調査に、最後まで拒否を貫いた6人が一堂に会する集会がありました(写真)
山元一英さん(懲戒処分を許さない南大阪の会代表)の「業務命令をおかしいと思った人たちがこれまでそれぞれの立場でたたかってきました。そして、大阪労働者弁護団の援助で情報交換を積み重ね、今日の集会の運びになったことを弁護団に感謝します。」「強制的に調査をされて、会社や管理者の言いなりで、反対したら処分する。そんな職場でいいのか。そういう社会でいいのか。格差社会に反対し、原発に反対し、改憲に反対し、戦争のない社会をつくっていく。そのために官民が一緒になって同じ労働者として立ち上がってたたかっていきたい」という主催者あいさつで始まった集会は熱気あふれるものでした。

入れ墨は表現の自由

集会の基調報告は「懲戒処分を許さない南大阪の会」の事務局長を務める中村吉政さん。「橋下市長が衆院選に出ると聞いて心から喜んだ。選挙で落としたろと思っていたのに残念。定例の弁天町駅頭のビラまきで『また辞めるんか!』というビラを用意したのに無駄になった。やっぱり私たちの力で合法的に落とすしかない」と、いつもながらの中村さんの話には、あははは…と心も軽く力がわいてくる。
そして、「12月17日の安田さんの地裁判決(注)を目前に控えて本日、団結権侵害・組合潰しに対する反撃をおこなう契機として、橋下市長の好きにさせず、入れ墨調査拒否者への不当処分撤回を求めてたたかう本集会を開催することは、極めて意義深い。人が身体に入れ墨等を施すことは、個人の表現の自由であり、プライバシーであり、誰からもその存在を表明することを強制されるべきものではありません。私たちは地裁判決の勝利を確信しています。その勝利を梃子(てこ)にして、橋下市長がおこなった団結権侵害をはじめとする不当労働行為を法的な断罪にとどめることなく、政治的に断罪するまで運動を広げていかねばなりません。6人の懲戒処分を断じて許すことなく、処分撤回に向けてたたかいを強化していく」と提起しました。

考えない兵隊づくり

藤原航弁護士から大阪市における一連の権利侵害についての報告があり、「思想・良心の自由、政治活動の自由、プライバシー、『公務員』たる地位、団結権、政治活動の自由、名誉、表現の自由」と列挙し、これらのすべてを侵害していると説明してくれました。
「労組の弱体化、無力化を進める数々の権利侵害であり、裁判が終わった後、どのようにして権利侵害を取り戻していくかが重要」と訴えました。入れ墨調査裁判・誰もが入れ墨がないことを知っていた安田さん処分については、「決められた手順で文書で提出しないと処分」「あろうがなかろうが自分たちが下した命令に従いなさい!」というもので、その意図するものは何も考えない兵隊を作りたかった。哲学者ハンナ・アーレントの言葉「世界最大の悪は平凡な人間の悪」を引用し、ホロコースト・ユダヤ人大量虐殺の責任者アドルフ・アイヒマンの「自発的におこなったことはない。命令に従っただけ」という言葉の紹介には背筋が寒くなりました。

被処分者6人が発言

「橋下は入れ墨がある者は解雇できると言い、上司を説得に使い、孤立させ、絶滅をはかってきた。しかし、6人が残った。このままでは終われない。現場の外注化や民営化を阻止し、評価制度に絶対反対していく」と赤田由行さん。
「『いままでがんばってんから、もうええんちゃうん』と言われても、『何もがんばってない。がんばるんはこれから』と答えてきた。処分を受けてから2年間、楽しく生活できた。充実した日々を送ってきた。支援を実感し、力強さを感じる。大阪市の組織を見ていると檻の無い監獄で働かされているようなもの。大量の塩をかけられたナメクジのようなもの。塩かけられた時『つらい!』と言えた。いやなものはイヤと言うていく」と竹下大さん。
「6人残ったことで市長の不当性を明確にすることができている。いろんな所でチラシを配り、運動も拡がっていった。この拡がりで橋下市長を倒していける」と津々木勇さん。 「年明けには思想調査の判決がある。全部勝って、手をつないで、私たちの力で市長の座から引きずり下ろしたい」と矢野幸一さん。
「35年間大阪市で看護師をしてきた。人体図を示したアンケートに嫌悪感が走った。看護師としての思想に反する。どんな患者さんにも隔てなく、一緒に病気とたたかってきた。環境やHIVなど世間の差別観念に捉われないようにしてきた。人を外見や先入観で見てはいけない。あえて見せようとしないものをあぶり出したくはない。入れ墨調査はあぶり出しである。応じることはできない。どんな変な命令でも従わせ、職員を家来のように扱っている。看護師の適正を疑われたり、『入れ墨があるから市民と接する仕事をさせない』とも言われた。仕事を奪うことはその人から希望を奪うこと。橋下市長、病院局長を許すことはできない」と森厚子さん。
「ゴキブリよりも生命力が強いと定評がある。組合はたたかいを諦めたけど、私がイテコマシそうな情勢に労働局長は『腹くくる気あるんか!』とやくざな態度に出てくる。運転手仲間のいる職場に戻りたたかっていきたい。橋下・松井がふっかけ、組合がよう買わんかったけんかを買うた」と安田匡さん。

勝たねばならない

しかしまあ労働者というものはなんで自らを例えるのにナメクジやゴキブリが出てくるんだろう。傲慢で高慢な橋下市長には6人の被処分者のことを理解することはできないだろう。
改めて「この闘い、勝たねばならぬ」という思いを鮮明にさせる集会でした。    (大阪 T)

(注)12月17日に大阪地裁判決があり、「入れ墨の有無は、市の個人情報保護条例が収集を禁じている差別の原因となる情報に当たる。調査は違法」「(配置転換は)訴訟への対抗措置として、裁判を受ける権利を侵害する不当な目的でおこなわれ、裁量権の逸脱があった」と断じた。

大雪ついて敦賀で集会
もんじゅは廃炉へ 12・6


12月6日、敦賀市のプラザ萬象で「もんじゅを廃炉へ全国集会」がおこなわれた(写真)。大雪のため恒例の白木海岸での集会は中止となった。
主催者あいさつでは、中嶌哲演さんが、関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止め裁判の判決文を引用して、もんじゅの安全性に疑問を投げかけた。続いて元京都大学原子炉実験所講師の小林圭二さんが発言。「もんじゅは冷却にナトリウムを使用している。ナトリウムは水や空気に触れると激しく反応する。きわめて危険な原発である。1995年12月8日のナトリウム漏えい事故から19年経った今も運転のめどはたっていない。2012年11月には、約9700カ所もの点検漏れが発覚した。今年はナトリウム漏えい監視カメラの3割が故障していたのに放置されていたことが分かった」。「しかし政府は諦めていない。来年こそ廃炉にしなければならない」と訴えた。
反原発運動全国連絡会の末田一秀さんは、「今日のような大雪は想定されていない」とずさんな防災対策をスライドを使って説明した。川内原発の再稼働に反対している住民の山崎博さんは、「薩摩川内市と鹿児島県だけで再稼働を承認することはできない」と発言。福島原発告訴団事務局長の地脇美和さんは「原発事故の傷は重くのしかかり、逃れることはできない。再稼働して輸出するなど到底ゆるせない。同じ悲劇を二度と繰り返したくない」と訴え、東京地検が東京電力元幹部3人を再捜査していることが報告された。集会には600人が参加、駅前までのデモは大雪で中止した。

大阪で51人が提訴、全国で532人
生存権裁判が始まる

もうがまんならない

生活保護基準引き下げに対する裁判提訴が全国で続いている。12月19日、大阪でも51人が原告となって国と関係自治体に対し保護基準引き下げの取り消しと受けた苦痛に対する国家賠償を求めて大阪地裁に提訴した。
提訴は17都道府県に及んでおり、原告は全国で532人に上っている。今後、全国に拡大していこうとしている。
提訴後、原告・弁護団、支援者が弁護士会館に集まり、提訴報告集会が和田信也弁護士の司会でおこなわれた。弁護団長の丹羽雅雄弁護士のあいさつに続き、副団長の普門大輔弁護士から訴訟の概要の説明があり、あきらめてガマンするのではなく立ちあがり権利をたたかいとるという選択肢をとったことが報告された。その後、原告からの訴えがあった。

大阪の会 結成

つづいて、「生活保護基準引き下げ違憲訴訟を支える大阪の会」(略称:引き下げアカン! 大阪の会)の発足集会がひらかれた。共同代表には木下秀雄・大阪市立大学教授、森岡孝二・関西大学名誉教授。支援団体としては、大阪民主医療機関連合会、全大阪生活と健康を守る会連合会、怒っているぞ! 障害者切り捨てネットワーク関西、釜ヶ崎医療連絡会議、関西合同労組等が参加。

根底からの抵抗を

12月22日、安倍政権は経済財政諮問会議において、2015年度予算で、介護・医療等の社会保障をさらに切り捨てる基本方針を決定した。生活保護だけでなく、介護、医療等の社会保障、さらには労働法制のとてつもない改悪がおこなわれようとしている。人が人らしく生きるためのギリギリのところにわれわれは立っており、屈服か抵抗かが問われている。生活保護訴訟の原告団は屈するのではなく立ちあがることを選んだ。抵抗し闘うすべての人たちとともにこの攻撃を押し返していこう。

3面

2015年 新年のあいさつ (上)
民衆の力で政治を変えよう

いい年迎えたウチナンチュより
ヘリ基地反対協共同代表 安次富浩さん

昨年の沖縄は仲井眞前知事が13年の年末に安倍政権の意向に沿って、公約違反の「辺野古埋め立て」を承認したことにより、いい正月を迎えられなかった。
ワジワジしたうちなんちゅは1月の名護市長選で、「海にも、陸にも新しい基地はつくらせない」稲嶺ススム名護市長の再選を圧勝で勝ち取り、9月の名護市議選においては稲嶺与党が過半数を維持する成果を築き上げた。
沖縄防衛局は仲井眞県政の辺野古移設容認に向けた協力体制のもと、7月から海底ボーリング調査の開始宣言を行った。安倍政権は憲法違反の集団的自衛権の行使承認した同じ閣議で、キャンプ・シュワブ水域限定の臨時制限水域拡大を承認する弾圧体制をつくりあげた。この目的は浜から50m範囲内での船舶航行禁止水域を最大2qまで拡げて、刑特法弾圧をチラつかし、海上保安庁の庇護のもとで海底ボーリング調査を実施しようとした。
しかし、辺野古ブルーチームと虹の船団は大浦湾〜辺野古リーフ沿いに展開した海保の巡視船13隻、ゴムボート36隻の弾圧体制の中、海猿からの暴力と「確保」という身柄拘束に屈せず、浅い水域で調査中のスパッド台船に迫る闘いを展開した。
陸のシュワブ・ゲート前では年金者や若者たちが県警機動隊のごぼう抜きを受け、老婦人への暴力でけがを受けながらも果敢に資材の搬入に抵抗した。また、沖縄防衛局は大気汚染防止法違反を承知のうえで秘密裏にアスベスト使用の隊舎などの解体作業を行おうとしたが、情報公開で入手した資料を分析した仲間の指摘で作業を中断に追い込んだ。
そして、11月の県知事選挙で裏切り者仲井眞をタッピカラシ、翁長新知事を誕生させ、衆院選挙でも沖縄選挙区の4区全部を辺野古移設反対の議員を誕生させる快挙をもぎ取った。衆院選で勝利した安倍政権は粛々と埋め立て工事を進めると宣言しているが、我々は淡々と抵抗し、翁長知事、稲嶺市長を先頭に勝利するまで粘り強く闘う1年にしたい。

国民の命への冒涜、原発再稼働
講談師 神田香織さん

だまし討ちのような解散総選挙から半月でむかえたお正月。職業柄、元気に「おめでとうございます」と挨拶しながら、心のうちは「講釈師見てきたようなウソをつき」という「安倍首相、これ以上講釈師のお株を奪うなよ」(怒!)です。
講釈師は昔から聞く人を喜ばせるために、オーバーに表現します。安倍さんの場合、人を不幸にする嘘の連発。おなじみ「汚染水は湾内から出ていない」「日本の原発は安全で安心」から、最近は「秘密保護法で報道が抑圧されたら、私は辞める」など嘘八百。「冬は義士、夏はお化けで飯を食い」という師走の稼ぎ時だったのに、14日は投票日にあてられ…。
ま、芸人は苦労話をネタにもできますが、気の毒なのは子どもや若者。成長期の子どもたちの6人に1人が、3度の食事にもありつけない貧困。若者の就職先はブラックだったり非正規だったり。デパートのおせちコーナー、上は20万円、下は1万円。その1万円のおせちにさえ手が届かない庶民も大勢。その庶民が、政権続行を認めてしまった今度の選挙。大罪は安倍さんのお食事仲間「ママとも」ならぬ「アベとも」たち大マスコミにあり。まともな選挙報道をしないで自民圧勝などデマを流し棄権を誘う。戦争の時と同じ大本営発表です。
首相いわく「国民の信任を得た。原発再稼働を進めます」。「はあ?10%増税先送りを国民に問うとか、言ってなかった?」。私の耳がおかしいのか、はたまた首相の頭が? そんななか福島の仮設住宅で50代の女性が自死。仮設では毎年70人も自死しているという。汚染水放出はとどまるところを知らず、心疾患死亡率は全国の倍。子どもの健康被害も増え、いまだ10万人以上もの人々の避難生活が強いられています。福島県民の願いは一つ「自分たちのような辛い目には誰一人遭わせたくない」。
原発再稼働は、国民の命への冒涜。そして脱原発は世界の流れです。今年4月、釜山で「ふくしまの祈り」公演と古里原発視察ツアーを行ないます。今年も、「あきれ果ててもあきらめず」で参りましょう。

ヒロシマ・ナガサキ・フクシマから核廃絶の道へ
産婦人科医・広島被爆二世 河野美代子さん

今年は、人類が初めて原爆を投下された8月6日から70年という年をむかえました。昨年の「8・6ヒロシマ平和の夕べ」は、70年を見通した企画として落合恵子さん、広島の被爆者・朴南珠さんほかに参加していただきました。 あの日、何万もの被爆者は灼熱の太陽のもと、原子の熱線、放射線を浴び爆風に倒れ、水を求め川に流されました。被爆者にとって苦難の70年であり、その多くの被爆者がすでに命を終えられました。悲願である「核廃絶」を見届けないままの、無念の死であります。
また、1954年、第5福竜丸ほかビキニ環礁での水爆実験の死の灰を浴び、原水爆禁止署名運動が広がってから61年。いまだ世界に2万発をこえる核兵器が保有され、劣化ウラン弾が使われ、福島原発の大事故を忘れたかのように原発再稼働がすすめられようとしています。
1971年8月6日、時の佐藤首相が戦後初めてヒロシマを訪れました。「若き私たち」は「かえれ」と、とり囲みました。それから40年余。9条=戦争放棄をかかげる憲法がありながら世の中は、秘密保護法、集団的自衛権、原発再稼働、戦争への道を歩んでいるとしか思えません。
ヒロシマ・ナガサキの70年は、「鉄の暴風」といわれた地上戦で、20万人をこえる県民が犠牲になった沖縄戦70年でもあります。今年の「平和の夕べ」は、プレ企画として1月「被爆ピアノ・コンサート&平和を語る会in沖縄」からスタートします。「ヒロシマの継承と連帯」を、辺野古新基地に「ノー」をつきつける沖縄と結び、アジアの民衆の犠牲を思い、「核と戦争」を終わらせる道につないでいきましょう。
いま、昨年末の総選挙のもようを見るにつけ、「核と原発」廃絶への道筋をつけたい節目の年にという思いで準備に励んでおります。
みなさま、今年も「8・6ヒロシマ平和の夕べ」に、お集まりください。

落胆したが、あきらめない
広島電車内被爆者 米澤鐡志さん

さすがに、総選挙結果には落胆した。
古くからの知人から聞いた話。「1965年以来、選挙に行ったことがない」という人が、知人らの説得もあり「仕方ないからパルタイに入れた」ということだった。
京都1区から比例復活した共産党・穀田国対委員長がテレビで、「わが党の自共対決路線が、国民の大きな支持を得た」という発言していたが、率直にいって失望せざるを得なかった。倍増とはいえ自公の1割に満たない議員数で安倍暴走をストップするなど、夢想ではないだろうか。
京都3区と6区では「護憲と集団的自衛権反対」「TPPストップ」とアンケートに答えた候補者が反自公で闘ったのに、自党候補を立てた。3区は、野党候補が前回わずか400票の差で比例復活、今回も復活したものの選挙区で自公に負ける結果になった。6区では前々回、自公にダブルスコアで圧勝した民主党の元国対委員長・山井さんが当選したとはいえ深夜まで結果が出ない状況だった。3区、6区の共産候補の得票は各2万6千、3万3千票。この票の4分の1でもあれば、両区とも自民復活を減らし、野党復活ができたのにと思うと、先の穀田氏の発言は「ずっと変わっていない日本共産党の体質」といえるだろう。
沖縄では政府、自公が札束と卑劣な懐柔により翁長さんを落とそうとしたが、「島ぐるみ」の力で翁長氏を圧勝させ、今回の総選挙でも共産党候補を含め反自公候補を全4区で当選させることができた。沖縄は、徹底した実力行使と長年の非暴力抵抗により県民意識を変え、政治を変えさせた。「本土」では、自公に圧勝を許した。
京都では「護憲、集団的自衛権反対、反原発、反基地」など多くの課題で、市民運動の力もあり幅広い共同行動が進んでいる。しかし選挙になるとセクト主義が先行し、市民ぐるみの運動に発展しない。 
「きんかん(金曜、関電前)行動」や、京丹後市に設置されたXバンドレーダー反対、沖縄を自分の責任として連帯する運動など、新しい市民運動の波が始まっており、連帯して広範囲な運動が意識されつつある。
私は80歳になったが、昨年も反核・被爆体験講話を40回近く行なってきた。パルタイに近い団体からも依頼があり、さりげなく「市民運動に連帯し、セクト主義をなくそう」と訴えている。苦労しているが、あきらめず大衆運動を続けていけば、きっと反応は出ると思っている。

4面

※各界からの挨拶A

力をあわせ、新しいスタイル追求
三里塚芝山連合空港反対同盟  萩原富夫さん

昨年は父が亡くなってからスタートした一年でしたが、あっという間にすぎてしまいした。年が明けた頃は、どうやっていいのかわからないという感じでした。しかし、そういうことを自分一人で抱え込むことはできません。そこで反対同盟の事務局が集まって、話し合いをしながらやっていこうというスタイルを続けてきました。マスコミなんかからは「事務局次長は誰がやるんですか」なんて聞かれましたけど、自分としてもまだ何もわからない状態でした。それでも「自分が責任をとらなければならない」という形でやってきました。それは自分一人でやるということではなくて、反対同盟のみんなで力をあわせて、足りないところは補いあってやっていこうということです。つまり、一人一人が自覚的に、責任を持ってやっていこうと。
昨年3月に東京で全国集会をやったあとは、総括会議を開きました。これまでとは違ったスタイルの集会でしたが、みんなの反応はとてもよかったので、今後も新しいスタイルを追求していきたいと思います。
4月頃から第3滑走路の問題が出てきました。大変な問題なのですが、かえって「ここで新しい闘いをやろう」という気持ちで、7月に現地で集会とデモをやりました。これは成功しました。
また市東さんの農地取り上げに反対する署名活動を1年半以上続けてきましたが、これが地元にかなりの影響力があるということがわかってきました。地域に配布している反対同盟のニュースを通じて地域の人たちと反対同盟との関係ができつつあります。
昨年の裁判闘争は、完全にこちらの側が押して、早期結審を許さず勝利しました。ただ、今年の3月に結審になる可能性があると見て、「結審を許さない」という構えをつくって3月に向かっていきます。
昨年、1年間やってみて、「農民としてここで生きていく」ということを土台にすえれば、「悩むことはない、闘える」と思えるようになりました。その上で「同盟だけが闘っているわけではない」「まわりのみなさんがいるから三里塚闘争が成り立っている」ということをつくづく感じました。だからこそ、まわりの状況に左右されない反対同盟をしっかりと確立して、新しい大衆的な運動を目指していきたいと思います。

同盟の中で内容深め やっていける
三里塚芝山連合空港反対同盟 市東孝雄さん

昨年はとにかく忙しいというのが第一印象でした。一昨年の暮れに萩原進事務局次長が亡くなって、本当に大変な一年でした。ですから反対同盟としては、事務局のみんなで意見を出しあって、何とか乗り切った一年だったと思います。
反対同盟の中で話し合いながら内容を深めていけばやっていけるという実感を持っています。いろんな人の意見を取り入れながら、反対同盟として一緒にやっていくというのが、今年の課題になると思います。
「市東さんの農地取り上げに反対する会」も大きくなってきました。市民運動との交流を広げていくなかで、空港反対闘争も新たな局面を切り拓いていけるのではないでしょうか。昨年11月に成田市内でおこなったシンポジウムでは「騒音問題」を真正面から取り上げました。実は、これはこれまでの反対同盟の取り組みの中ではなかったことです。
昨年の総選挙で「圧勝」した安倍政権は、今年は集団自衛権行使に向けて、安保関連の法律を変えてくるでしょう。その影響は三里塚闘争にもあると思います。そういう中で、反対同盟は、地元住民に対する宣伝・署名活動などの一斉行動を2年近くやってきました。その成果は確実に出てきています。近隣の人たちの反対同盟に対する認識も変わってきたようです。成田のシンポジウムでは近隣の農家とか、市民運動に携わっている人などが参加しました。
農地法裁判も控訴審に入りましたが、これだけ長くなっているのは珍しいことです。高裁は「一発結審」なんて言われてましたから。そういう意味で裁判は勝利的に進んでいると思います。もちろん予断は許しません。
一斉行動でビラまきをやっていると「まだ空港反対やっているんですか」と言われることもあります。また地域を回ると「俺も農家だから気持ちはわかる」と言ってくれる人もいます。こういう人たちが一つになってくれば、状況は変わってくると思います。
全国のみなさん、まず、三里塚の現地を見に来て下さい。とくに若い人たちにはぜひ来て欲しい。また年配のみなさんも知識や経験を生かして、力を貸していただきたい。そうしていままで以上の広がりつくっていければよいと思います。

「関実」は三里塚とともに
三里塚決戦勝利関西実行委員会代表 永井満さん

わが「関実」―三里塚決戦勝利百万人動員全関西実行委員会が結成されたのは1977年2月であった。
この年の冒頭、反対同盟は迫り来る「鉄塔決戦」を前に全国に檄を発した。曰く「岩山鉄塔を人塔と化して闘わん。北総の大地を百万の人民で埋め尽くせ」と。そして「4・17全国総決起集会」結集を呼びかけた。
このアピールにこたえるべく、当時関西新空港反対闘争をたたかっていた市民・住民・労働者・学生団体に呼びかけ、結成されたのが「関実」―三里塚鉄塔決戦勝利百万人動員全関西実行委員会である。そして2月岩山小学校跡地で開催された第1回現地集会で結成が報告された。
以来38年、「関実」は、ほとんどすべての現地総決起集会はじめ様々な闘争また裁判闘争などに参加、反対同盟や共闘団体と共に闘ってきた。
2015年の年頭にあたり、私たちはこれからも反対同盟及び全国の闘う仲間と共に、三里塚闘争勝利をめざして、闘い続けることを決意する。

「生きる権利・働く権利」はこれから
被災地雇用と生活要求者組合代表 長谷川正夫さん

新年あけましておめでとうございます。 昨年は、アベノミクスのもと日本が大きく右旋回しました。集団的自衛権、秘密保護法、原発再稼働策動、まさに「積極的平和主義」をふりかざし、国民をあざむき、無視した政治運営でした。今回の選挙では、大義なき総選挙=意味のない選挙の結果、戦後最低の投票率。沖縄で自民が全敗したものの、私たちを含めて全野党の責任は非常に重い。今年こそ安倍、維新橋下打倒めざして全力でたたかっていきたい。
そういうなかで、阪神被災地は、震災20周年の集会を行います。「生きる権利・働く権利」「反失業」をかかげ、20年間力を合わせて助け合い、生きてきました。たたかう仲間に支えられた20年でした。課題はたくさん残ってますが、この集会を機にさらなる団結を深め頑張りたいと思います。阪神被災地の20年間の地域の助け合いを継続しながら、要求者組合・企業組合・ミニデイなどでの展開を地道にすすめ、宝塚保養キャンプの支援を通して、東日本大震災―福島原発被害とのたたかいを被災者とともに進めていきたいと思います。命を軽んじ、差別・排外主義がまかりとおるなか、私たちは何をすれば良いか、何をしてはいけないのかを見分けなければなりません。
このことが、安倍政権の進める右旋回に対して、日々の生活の次元では被災者切り捨て・国民無視の政治に反対して、生きる権利を奪い返す地域の団結を深めることになると思います。
阪神被災地のたたかいは20年で終わりではありません。これからさらに20年、助け合いと団結を深めて生き抜いていきます。沖縄・フクシマ・三里塚・狭山を全力でたたかう決意をもって、年頭の挨拶にかえさせていただきます。

沖縄の島ぐるみの闘いに学ぶ
関西合同労働組合執行委員長 石田勝啓さん

地域ユニオンとしても、年末衆院選挙の結果が、自公による3分の2の議席確保となったことに戦慄しています。他方で、沖縄全区での自民の敗北(比例で全員復活の珍事)、有権者(戦後最低の52%投票率の48%得票率)の4人に1人の支持しかないこと、前回参院選より自公合わせて比例で105万票減。まさに民意と全く乖離した内実だといえるでしょう。少し手前味噌な分析かもしれませんが、大変な政治状況であることに変わりありません。
戦争させない1000人委員会学習会で、若者の雇用・生活(6〜7割がダーティ・バイトを体験)と人権・平和・憲法問題をリンクさせて、人権意識を高めていく必要が議論されていました。伊丹の反原発集会成功の隙間で、捏造慰安婦展を画策する在特会などの動きもあります。安倍独裁による戦後労働法制の大改悪、原発再稼働、集団的自衛権の法整備、秘密保護法の具体化、日米新ガイドライン、沖縄辺野古新基地建設等々のとんでもない動きに対して、沖縄の島ぐるみの闘いに学び、安倍極右政権を瓦解させていく闘いを本気でつくっていかなくてはなりません。
「6割の労働者の賃金が上がっているでしょ」と言う安倍の眼中に、7割以上の中小零細企業で働く労働者は存在しません。安倍は、派遣労働者を生涯派遣に縛り付け、残業手当ゼロでただ働き、過労死に追い込み、首切り自由の特区から戦後労働法を破壊し、労働者の生活・権利をトコトン破壊し尽くそうとしています。そして戦争動員しようというのです。
2000万人の非正規雇用労働者はまさに沖縄と同じ構造におかれています。非正規雇用労働者が沖縄のように「島ぐるみ」の団結と闘いを作り上げるならば、安倍などひとたまりもありません。地域ユニオンがその闘いの最先頭に立たねばなりません。今年も新たな気持ちで闘っていきたいと思います。

5面

※各界からの挨拶B

「再稼働阻止」の具体性と脱原発テントの思想
経産省前テントひろば代表  淵上太郎さん

差し迫る九州電力川内原発の再稼働に対してどう闘うか。闘いの節々で、私たちは一所懸命闘ったが、結局の所、それほど旨い戦術があるわけではないが、原発再稼働阻止のリアリティーを論じられることが大事なことだ。
全体からすれば、わが「脱原発運動は負けていないどころか、勝っている」と断言できる。脱原発の世論は依然として6割をキープしている。有権者9000万として、5400万の人々が原発に反対している。東京では1085万人が有権者だ。この6割とすると650万人が脱原発である。このあたりの数字は、川内原発の地元でも高浜の地元でも殆ど変わりはない。もちろん、「しかし」という問題意識が続く。脱原発での集会やデモというレベルで言えば、2011年来、20万人が最大と見てよい。前の数字との落差は大きい。これも数字である。
何故、このような落差が生じるのであろうか。要するに、「脱原発」という見解や立場と具体的行動には、もともと大きな差異があるということである。
具体的な課題は、「川内原発再稼働を阻止する事」である。全く無力ではないが、極めて小さい力しか持たない普通の人々、「経済より命」とは確信を持って言えないが、やはり「脱原発」と感じている人々が沢山いる。しかもかく言う人々は「ウサンクサイノハキライ」だ。これらの人々の具体的な集まり、こういう力を一所懸命集めて、政治的、具体的な力として、目に見えるようにすることである。4回目の正月を迎えた経産省テントも川内の脱原発テントも、脱原発の人々の関心を集め行動を促す役割がある。
経産省テント裁判は、「結審」を迎えて、いよいよ大詰めにきているが、これは1つの局面、経産省テントもしぶとく断固として継続される。「脱原発テント」の思想が、多くの国民を捉えることが可能か。それが本年早々に改めて確かめられる。
明けましておめでとう。

たった1人の議員が闘えば…
門真市議・「革命21」 戸田ひさよしさん

謹賀新年。短い字数なのでメモ風に。
1、『未来』の論説には斬新で考えさせられるものが時々あって勉強になっている。より多くの人々に共有されていくことを期待する。

2、昨年は私に害をなしたザイトクや右翼の「個人実態」を暴き、自宅や職場、選挙現場を追及して追い込んで痛快に勝利した。20台もの右翼街宣車に立ち向かい、議会質問も活用して7カ月も続いた右翼の行政介入登場を止めて「右翼の来ない平穏なまち」を作った。
門真市の反ザイトク施策は揺るぎなく強固になり、職員が自発的にザイトク関連情報を収集したり、休日を潰して他市のザイトク企画やヘイトデモ対カウンターの現場を見に行ったりする程の熱心さを持つようになった。これは「たった1人の議員が断固闘えばどれ程の事ができるか」の見本でもある。連帯ユニオン議員ネットの議員も、茨木市や川西市、愛知県安城市でザイトク・ヘイト問題での施策改善を求める議会質問を開始した。
一方、大半の市民派議員・革新議員はザイトク右翼に萎縮して「もの言わぬ保身」に堕落している。だからザイトクの差別扇動企画が全国各地の公共施設でどんどん開催されていき、市民運動で抵抗しても阻止できない。さらに、「情報公開・市民自治」を掲げた「市民派」が「秘密保護法や自治体破壊の大阪都構想に賛成」の維新(=親ザイトク)に移行した例さえいくつかある!
問題は、そういう背信行為が何ら公開的に論議されずにナアナアになっている事だ。(革命に役立てるために)「自治体議員とは何か?」という論議がなされねばならない。なお、報酬面での「パリ・コミュン原則」の教条的適用は害悪でしかない。それは闘争資金無き清貧主義と労賃ダンピング政治の片棒担ぎにしかならないのが実状だ。
4月地方選に向けすべての議員候補者に反ヘイトの見解表明を迫ろう!大阪府内では維新殲滅最優先の自公民共左派の共同も必要だ!
※私も4月市議選(5期め)なのでご注目を。野次馬大歓迎!

安倍政権打倒に向けて闘争陣型の構築を
KCM(関西共産主義運動)代表 八木沢二郎さん

自民勝利の要因

選挙戦前の予想通り自民党が圧勝した。その要因の第一は民主党の統治能力に対する癒しがたい大衆の失望である。即ち自公に替わるものを見いだせない消極的選択。第二の要因はアベノミクスの過渡的状況である。それは遠からず破綻するであろうが大衆は第一の矢・第二の矢に続く成長戦略の第三の矢によるおこぼれが来ることに疑念を抱きながらも安倍に時間を与えた。第三の要因は、リーマンショック以降のアメリカの地位の後退と中国の抬頭、いわゆるGゼロの中でのナショナリズムの高まりと右傾化であり、危険な“強い政治”への欲求である。

アベノミクスの破綻

安倍は異次元の金融緩和によって円安に導き輸出産業の利益を増大させまたそれによって株価を上げて富裕層に利益をもたらした。また国土強靭化の名による財政出動によって経済のテコ入れをはかった。だが、いうところの第三の矢―成長戦略は回転せず、大企業や富裕層に続くおこぼれ=トリクルダウンもなくあまつさえ消費税アップによって経済は減速した。
こうして、安倍にとっての今回選挙は手詰まり状況の中で信任を得ることで、主観的には第三の矢へと点火せんとする節目にしようとするものであった。だが、客観的には、これは転落への第一歩である。この二年の実際が示しているように金融緩和による円安によって大企業の利益は改善された。従って賃上げによって個人消費がふえ、成長がなされ、それがまた賃上げとなり…という成長の循環が軌道に乗るというシナリオは嘘八百か、かつての高度成長時代を幻想する時代錯誤のものである。にもかかわらず金融や財政によって成長を“人為的に”しようとすれば必ず自家中毒を起こす。事実この間ほぼ十年の周期でバブルをつくり崩壊させ金融危機が生じた。それは偶然のことではない。
アベノミクスは単に時代錯誤のシナリオというだけでなくアメリカの出口戦略(金融緩和の解除)や、それにともなう途上国の成長鈍化と同軌して危機を招くだろう。経験則たる十年周期であるか否かは不明としても遠い将来のことではあるまい。

安倍打倒へ、三つの分野で陣形の構築を

しかしながら、安倍は信任を得たとして矢継ぎ早に原発の再稼働、辺野古基地建設の強行、集団的自衛権の関連法案、そして改憲の準備、TPP、労働規制緩和と次々と反動的攻勢を用意している。
安倍政権はアベノミクスという“亡国・亡民”の政権であるだけではなく政治的には自民党憲法草案に表現されているように立憲主義さえ否定する反動的政権である。また集団的自衛権に見られるように排外主義的戦争化の政権である。アベノミクスが破綻したとしてもそれを排外主義的に集約しようとする。これに対峙する陣形の構築を急がねばならない。
 第一に中核となるべき左派の結集。例えば東京九条改憲阻止の会の“総体性の回復”と強化が問われている。大阪―関西共同行動、京都―反戦共同等の強化と全国的連携が必要だ。
 第二に1000人委員会等のリベラルな結集。統一地方選挙等への参加も重要だ。
 第三にユニオン等の闘う労働運動の強化―ユニオンを“外から”支援するサポート体制を含めてが問われている。
貴同盟がその闘いの先頭に立たれることを期待する。

いま、時代が大きく変わりつつある―沖縄から何を学ぶのか
『情況』編集長 大下敦史さん

新年のご挨拶をさせていただきます。まずはお礼からです。
京都円山公園での10月反戦・反差別集会に毎年参加していただき、感謝しております。九条改憲阻止の会では故・吉岡さんとご一緒し、三派全学連時代のリアリズムを思い出しました。特に3年ほど前に経産省前テントを立てる折にあつい議論をしましたね。そして彼は再稼動阻止のために、何をなすべきかが問われたときに、三派世代の活動家の精神を、身を持って示してくれました。厳しい現場においてはいわゆる現場判断が極度に問われ、党派の確認を超えたもの、党派が試されることが問われるときがあります。彼の果たした役割は歴史に残るものです。また『情況』誌では、反原発・再稼動阻止に関する鋭い報告や論文をいただいております。これはいまや『情況』誌の柱の一つになっております。
 * * *
概して、中核派の人たちは、革共同という党の歴史の中で自分たちのことや世界を論じるのを特徴としています。党派というものはどこでも大なり小なりそうなんですが、冷戦期にそれなりに完成していた思想理論、路線も時代の大きな変化の中で新たな考察が問われているのではないでしょうか。新しい時代に合わせた再出発点は若い人が創造するしかない。新左翼系も老齢化しあと数年で死滅する可能性もあります。次世代の党となんら変わらないからです。どこがどう抜け出してくるのか。わたしはいつも注意して見守っています。
とりわけ今のところ関西派の皆さんは評判がいいです。われわれ世代、つまり老いたるモグラの大衆運動での頑張りだけではなく、50前後の若い世代の力というかエネルギーが党派の中心にあるからでしょうか。
ただ、老婆心ながら一つアドバイスをするとすれば沖縄に力を入れてください。中核派系は概して弱すぎます。昔、陶山さんは歴史に残る鋭い問題提起をしました。抑圧民族共産主義者の責務という考え方です。これも冷戦期のものでだいぶ古いですが、まだ生きてはいます。それはともかく、ぜひとも沖縄民衆の現在的地平を学んでほしいです。ここに新左翼の再出発点があるからです。
いま、時代は大きく変わりつつあります。今年もがんばって下さい。

6面

ルポ・原発事故被害者集会
「放射能のない元の環境に戻せ」
立ちあがる原発事故の被害者(下)
請戸 耕一

11月16日福島市内で、「もう我慢はしない! 立ち上がる」のスローガンを掲げ、被害者らでつくる30団体が共催・賛同し、「原発事故被害者集会」が開催された。被害を告発し賠償を求める動きが各地で強まる中で、それぞれの取り組みをおこなってきた住民らが、一堂に会し発言し交流が持たれた。前号に続き、集会発言の中から2人の発言(要旨)を紹介する。

被災者らが勇気をもって立ち上がった「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団
 服部弘幸さん

私たちの裁判は、震災から丸2年の節目となる2013年3月11日に、福島地裁に原告800人をもって提訴をおこなった民事裁判です。要求は単純にたったふたつです。まずは、「元に戻せ」「放射能のなかった元の環境に戻してくれ」。そして、もうひとつが、「戻るまでの間、原告1人当たり月5万円の慰謝料を払ってくれ」。
ただ、私たちは、民事裁判ですので慰謝料を要求する形で裁判を起こしましたけど、私たちが本当に狙うものは慰謝料の請求ではありません。あくまでも国と東電の今の無責任な対応にたいして、きちんと責任を求め、司法の場で白黒はっきりさせて、国と東電に責任を認めさせる。そういう思いで、私たちは原告に加わり、裁判をおこなってまいりました。 第1回目の口頭弁論からすでに1年以上を経過しています。その間、追加提訴を3回おこない、原告団は現在3865人と大きな原告団になることができました。さらに特筆すべきは、県内全市町村に原告の方がいらっしゃることです。手前味噌ですが、「オール福島」、福島県民を代表して、私たちは裁判をたたかっていると自負して裁判をおこなっています。
裁判は1年を過ぎ、折り返し点を回ったところと、私たちも判断しております。今まで主に責任論のやり取りをやってきましたが、今度は私たち一人ひとりの被害をしっかりと裁判所に伝えて被害の実情を見てもらって、みんなが苦しんでいる多様な被害を法廷の場で裁判所に認めてもらうという段階に入ってまいりました。

横のつながりで

本日、ここにお集まりいただいたさまざまな団体のみなさんと、私たちと、共通点は何かとえば、被災者が自ら勇気をもって立ち上がった、その一点に尽きるであろうという風に考えております。一人ひとりは小さな声しか出せないけれども、そこでうつむいて被害をそのままにして泣き寝入りするのではなくて、どんなに小さな声であっても、どんな小さな力であっても、声を挙げて、立ち上がって、行動していくことが何よりも大事だ。そういう強い使命感を持って行動をおこされたと思います。
全国20カ所にのぼる地裁に、こういった原発訴訟が起こされておりますけれども、そのもっとも大きな裁判として、みなさんを引っ張っていけるようなたたかいを是非していきたいと思っております。これを機会に全国の様々な原告団、弁護団、市民団体のみなさんとつながり、お互いを励まし、こういった行動をどんどん作って、いっしょに行動をしていきたいと思います。

被害を徹底的に語り合い訴える
原発さえなければ裁判・飯舘村民救済申立団・福島原発告訴団  弁護団・保田行雄弁護士

今回、「もう我慢をしない、立ち上がる」、こういうスローガンのもとに、被害者のみなんさんがこういう形で集まりを持たれたということは、大変画期的なことだと思っています。ょうか。そういうことがまかり通ろうとしています。
僕自身も東京に住んでいますから、被害者のみなさんが、この原発被害を受けて、どんな状態にあるのか、どんな気持ちにいるのか、そのことが正確に伝えられていないという思いに駆られてきました。東京にいますと、国や県や各自治体の長の話すことが、あたかも被害者の声のようにいわれています。しかし本当に苦しんでいる被害者一人ひとりの声は伝わってきません。

被害者の賠償基準で

いま被災地から避難をされた地域の人たちの、不動産賠償などが始まりました。不動産賠償の次に来るのは避難の解除の問題。そして避難慰謝料の打ち切りという問題です。しかしどうでしょう。避難慰謝料を打ち切られて、どうやって生活していけというんでしょうか。そういうことがまかり通ろうとしています。
いままで国は原賠審(原子力損害賠償紛争審査会)をつくり、中間指針をつくって、さまざまな賠償策をとってきました。東電もそれに従って賠償の提示をおこなってきました。これは実は加害者側のつくった賠償基準であり、賠償の提示であります。
これから皆さん方が本当に声を挙げて自分たちの被害を訴え、「こんな被害を受けたんだから、こういう賠償をすべきだ」という声を挙げていくべき時期に来たと思います。
その意味で今回の集会はとてもよかったと思います。いままで自分たちのたたかいに必死で、他がどんなたたかいをしているか、なかなか知る機会も見る機会も少なかったと思うんですが、この交流こそは、福島原発の被害者が、被害を徹底的に語り合いながら、それを全国に広げて行けば、必ず、皆さん方の願う完全賠償と本当の償いが実現できると思っています。
幸い、今回、飯舘村の村民の約半数が立ち上がりました。これは恐らく福島における被害者運動を変えていくものだと考えます。私たちは、飯舘村の村民の皆さんに寄り添いながら、そして、今回の福島原発全体の被害者の皆さんと共にたたかっていきたいと思います。今日はそのスタートにしたいと思います。

 * * *

〈どんどん復興している〉〈みんな笑顔で前を向いている〉―そういうアナウンスが、国、行政、メディアによって執拗に繰り返されている。それが、被ばくと健康被害に危惧を持つことや、原発事故の被害について声を挙げることに対して、〈復興の足を引っ張るな〉と抑圧する力として働いている。「我慢をする」とは、そういう仕組みの中で強いられているものだった。
それにたいして「もう我慢はしない」と声を挙げ、被災者が自らの言葉で被害を訴え始めた。そして、その被災者同士が互いにつながり始めた。これは、保田弁護士が言ったように、ひとつの転換点になるかもしれない。 (おわり)

展望 15号 紹介

今号は総選挙後の自公体制(安倍政権)とのたたかいの課題を基本的に提起している。
巻頭論文では、アベノミクス―新成長戦略の中身について具体的暴露・批判をおこなっている。また集団的自衛権容認や秘密保護法、イデオロギー攻撃、戦争国家化への諸攻撃など安倍政権の性格と政策の柱についてしっかりととらえきった。その中で沖縄基地問題や原発再稼働―福島切り捨てとのたたかいや格差・貧困―労働運動の課題も位置づけた。たたかい方について、〈安倍打倒の共同闘争と総がかり的対決〉という方向性を打ち出した。
沖縄では、現実の政治過程は沖縄知事選から衆院選挙過程でオール沖縄というかたちで進んでいる。沖縄の自立・自己決定権―独立にまでいきつくかもしれない怒りが充満している。この力を新基地建設阻止へ結集していかなくてはならない。
加藤哲郎「日本の社会主義運動」―なぜ日本の社会主義運動は『原子力の平和利用』をうけいれたのか―は、武谷技術論・三段階論をも水路にしてマルクス主義と階級闘争を担ってきたわれわれ自身への問題提起でもある。福島原発事故被災者・被曝者の切り捨てとたたかい、福井地裁判決を武器にして、再稼働阻止をたたかっていこう。
「第3次ガザ戦争について」は、ドイツの新聞記事などをベースにしてパレスチナ情勢をつかみとろうとするものである。戦後のパレスチナ分割以来のたたかいはあまりに多大な犠牲を払ってきた。その中でとくに3次にわたるガザ戦争―インティファーダ(民衆蜂起)でのパレスチナ人民の自己解放のたたかいが「民族蜂起指導部」を構成し、占領軍とたたかい抜いてきた経緯をたどり、何が問われているかに肉薄しようとしている。
「60―70年総括」は国内的視点からだけでなく、広く世界的な観点から運動・路線を見直すという新しい見地を提起している。(S)

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