集団的自衛権
海外での武力行使を解禁
閣議決定の強行許すな
集団的自衛権行使容認の閣議決定に反対し、大阪市内デモが呼びかけられ、400人が参加(6月17日) |
政府は6月24日、与党協議で武力行使の新3要件の修正案として「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」を示した。これを受けた公明党の山口代表は26日、「他国」が「密接な関係にある他国」へ、「おそれ」が「明白な危険」へと修正されたことをもって、集団的自衛権の行使を容認することを表明した。山口代表は、「個別的自衛権に匹敵するような集団的自衛権であれば一部、限定的に容認して国民の権利を守り、国の存立を全うすることは許される余地がある」と述べているが、これは世論を欺くためのペテンである。
集団的自衛権とは、自国が攻撃を受けていないにもかかわらず、他国に対して武力を行使する権利である。ベトナム戦争やアフガニスタン侵攻などの侵略戦争の口実として、米国や旧ソ連によって繰り返し使われてきた。集団的自衛権の行使を容認するということは、自衛隊の海外での武力行使を解禁するということである。これによって米軍が主導する多国籍軍に自衛隊が参加することも可能になる。また「国民の権利を守り、国の存立を全うする」という「大義名分」を政府がかかげれば、他国に武力侵攻することもできる。
集団的自衛権の行使容認に断固反対しよう。
辺野古新基地
ボーリング調査阻止!
海上抗議行動に全国から支援を
辺野古新基地建設のためのボーリング調査の実施に反対して県民集会が開かれ、大雨の中、那覇市内をデモ行進(6月13日) |
6月13日午後6時30分、那覇市沖縄県庁前の県民広場に500人の労働者、市民が集まり、「命育む美ら海を守る6・13県民集会」が開かれた。辺野古新基地建設ボーリング調査が7月上旬にも始まろうとする情勢に、大雨にもかかわらず、多くの労働者市民が怒りの声を上げた。
国会議員や県会議員の発言に続き、ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は「辺野古新基地建設を強行しようとする安倍政権は、住民・市民の抗議活動の排除を目的として、漁業制限区域をこれまでの沿岸50mから2qへと大幅に拡大することをもくろんでいる。そして、ボーリング調査区域にブイを設置し、住民らがその区域に入ったら刑事特別法により取り締まろうとしている。このような政府の暴挙を断じて許さず、これまでのように非暴力の闘いで、辺野古新基地建設を阻止しよう」と訴えた。
さらに「辺野古現地の闘いを強化するために、海上抗議行動などを予定しています。皆さんの参加をお願いします」と闘いの緊急性をアピールした。参加者は大きな拍手で応えた。
集会後、国際通りをデモ行進し、沿道から握手を求める人もあらわれ、大変な注目を集めた。
川内原発
広がる再稼働反対の声
鹿児島県庁に1000人が抗議
鹿児島県議会開会に合わせて県庁前で抗議集会 (6月13日鹿児島市内) |
鹿児島県薩摩川内市にある九州電力・川内原発の再稼働が、全国のトップを切ってねらわれている。原子力規制委員会は再稼働に向けて、「新規制基準適合性審査」を優先的におこなっており、当初は6月にも審査を終了させ7月県議会での同意が企まれていた。
県議会開会日の6月13日、「ストップ再稼働! 3・11鹿児島集会実行委員会」が主催する「6・13県議会『再稼働させない』行動集会」が鹿児島県庁前で開かれた。平日にもかかわらず地元鹿児島を先頭に、九州全域、全国から再稼働絶対許さないと1000人を越える人々が県庁前歩道を埋めつくした。
集会は3部構成でおこなわれた。
第1部では主催者あいさつ、実行員会の基調報告、県会議員からのあいさつがあり、参加者メッセージとして、東京から淵上さん、福島から木幡さん、地元川内の女性が発言した。基調報告は、川内原発の抱える問題性を突き出し、伊藤県知事が「要援護者の避難」を切り捨て、再稼働に向かってつき進んでいることを弾劾。保守的といわれる地元新聞も火山噴火と原発の危険性を大きく特集するなど再稼働反対のうねりが広がっていることを紹介し、何としても川内原発の再稼働を止めようと呼びかけた。県議会本会議へは、鹿児島の方々を中心に100人を越える傍聴者を送り出した。
第2部では、地元鹿児島、九州、全国からの参加者のリレースピーチがおこなわれた。大阪から長時間かけて多数参加した釜ケ崎日雇労働組合を先頭に、北海道(泊原発)、東京(柳田さん)、静岡(浜ネット)、伊方(斉間さん)、玄海など、各地で原発とたたかう人々や、九州各地、川内原発の地元で再稼働に反対して行動している人々が発言した。集会と並行して各会派要請行動と知事要請・署名提出行動が取り組まれた。
午後からおこなわれた第3部の集会では、午前中におこなわれた本会議傍聴・知事要請・各会派要請の報告があり、さらに鎌田慧さん、広瀬隆さんが発言した。
集会終了後、集会参加者は九州電力鹿児島支社に向けて行進、要請行動をおこなった。
6・14ゲート前行動
翌日、川内原発ゲート前行動が220人の参加でたたかわれた。九電は年中無休が売り物のPR館を臨時休業し、駐車場も閉鎖。地元川内の市議を先頭にした抗議で九電はトイレのみ開放という対応。また、ゲート前は集会できないように車止めで完全に封鎖。九電のガードマンではなく鹿児島県警の警官が直接警備するという異様な対応。不当な警備を弾劾し、ゲート前横の狭い空地で地元の方や参加者の代表が記者会見、福島の木田さんなどが、再稼働に突っ走る九電を徹底的に弾劾した。その後、地元や九州各地、全国からの参加者などが、川内原発の再稼働を絶対許さない決意を語った。九電に対する申し入れをおこない、集会参加者全員で再稼働反対のコールをたたきつけた。
7ー8月にも川内原発再稼働というプランはいったん頓挫している。しかし、安倍政権は規制委員会の審査をスピードアップし、川内原発を秋にも再稼働し、それを突破口に、高浜(福井県)、伊方(愛媛県)と次々再稼働をねらっている。川内で再稼働を止めることが、今後の反原発運動の行方を左右する。矛盾だらけ、ほころびだらけの再稼働を絶対許してはならない。
伊藤県知事は県議会後、記者から質問された要援護者の避難計画について、「10qまでの計画はきちんと作る。(10qー30q圏は)時間をかけたら空想的なものは作れるが、実際問題としては、なかなかワークしないでしょう」と発言した。
川内原発の再稼働は正式に決まったわけでもなく、まだたたかいの余地は十分に残されている。地元鹿児島を中心に全国で、再稼働を止めるためにあらゆる行動を強力に展開しよう。
2面
オール沖縄、知事選勝利へ
名護から岸本市議が訴え 京都
沖縄・名護市辺野古への新基地建設と京丹後市の 米軍レーダー基地反対を訴えて京都市内をデモ (6月15日) |
6月15日、「基地のない平和な沖縄・日本を!6・15京都集会」(主催:京都沖縄連帯集会実行委員会)が円山野外音楽堂で開かれた。
1960年日米安保条約改定に反対し、岸首相を打ち倒した闘いから54年。いま安倍政権のもとで集団的自衛権の容認が語られ、沖縄と京都では新たに米軍基地がつくられようとしている。こういう情勢に多くの人が危機感をもっている。会場には500人をこえる人々が集まった。
まず、集会実行委共同代表の大湾宗則さん(京都沖縄県人会)が主催者あいさつ。大湾さんは、沖縄における基地反対闘争の歩み、辺野古・新基地建設をめぐる現状を述べた。今後の方針として、@「11月沖縄知事選挙で、再びオール沖縄を取り戻そう」A「京丹後市に建設されようとしている米軍Xバンドレーダー基地建設に反対の闘いを、沖縄と連帯して勝ち抜いていこう」と提起した。
名護から、京丹後から
その後、集会のメインテーマ、米軍基地に反対している2人の講師からから講演があった。沖縄・辺野古の海に作られようとしている米軍基地に反対している岸本洋平さん(名護市議会議員)、京丹後市で米軍Xバンドレーダー基地建設に反対している永井友昭さん(米軍基地建設を憂う 宇川有志の会・事務局長)。
岸本洋平さんは名護市・稲嶺進市長を支える議員の立場から、「沖縄(名護市)の現状と今後の展望」について語った。「1月の市長選挙で名護市民が稲嶺さんを選択したのは、基地建設反対の主張だけではなく、市民目線の市政を評価したからだ」「いま繋がらなければ、いつ繋がるのか。オール沖縄の力で、11月の県知事選挙に勝利したい」「ウチナンチューの気概をもって、この時代を切り開いていきたい」と決意を語った。
永井友昭さんからは「京丹後現地から、闘いの報告」がおこなわれた。「闇討ち着工から16日がたち、現場では土木工事が進んでいる」「近畿防衛局、京都府知事、京丹後市長の対応にはまったくあきれはてる。彼らが住民を守るはずがない」「日米地位協定の実態がよくわかった」「私たちは黙りません。息の長い闘いになるが、できる事は何でもやる」と怒りをたたきつけた。
京都市内デモ
その後、3人から連帯のアピールがあり、「琉球国・祭り太鼓」のみなさんのエイサー演奏で集会を締めた。
集会後、四条通りから河原町通り、京都市役所までデモ行進。参加者は、「辺野古に米軍基地をつくらせないぞ」「京都に米軍基地はいらない」「集団的自衛権の容認、反対」「安倍政権の憲法破壊を許すな」と声を響かせ、街ゆく市民に安倍政権との闘いを訴えた。
やめてんか! 再稼働
川内原発の現状を報告 大阪
左から向原祥隆さん(鹿児島)、大野恭子さん(愛媛)、中嶌哲演さん、石地優さん(福井) |
6月21日、「やめてんか! 原発再稼働 緊急関西集会」が大阪市内でひらかれた。主催は、脱原発政策実現ネットワーク関西・福井ブロック。しないさせない戦争協力関西ネットワークが共催。
原子力規制委員会が7月にも審査終了を宣言するかもしれないという緊迫した状況にある鹿児島の川内原発再稼働を阻止するために、危機感をもった多くの市民が参加した。
地元鹿児島から訴え
反原発鹿児島ネットの向原祥隆さんが「川内原発の状況」と題し、報告をおこなった。
向原さんは、たとえ事故がなくても、原発周辺では大変なことが起こっているとして、海辺に海洋生物(サメ、エイ、ダツ)の死亡漂着が多発、海藻類が全滅、漁獲量が激減、住民の健康被害などを指摘した。
仮に川内原発が爆発すれば(偏西風に乗って、放射能が東北方向に流れ)日本列島は全滅する。これは、川内だけでなく、佐賀の玄海原発、四国の伊方原発、中国地方の島根原発であっても同様。
薩摩川内市の南側に隣接する「最大の被害自治体」であるいちき串木野市で署名活動を5月10日から始めた。この署名は、いちき串木野市議会で反対決議をあげ、行政手続き的に川内原発を身動き取れないようにしようとの作戦で、市内の全戸をまわっている。全人口の過半数となる15000筆をめざしているが、現在14000を超えた。
今後の見通しとしては、9月県議会が重要なポイントになる。9月には再稼働阻止にむけ大集会を予定しているとのこと。
愛媛・伊方原発からも
次に、原発さよなら四国ネットワークの大野恭子さんが「伊方原発の状況」を報告。
伊方原発をめぐる11の問題点を整理して紹介した。伊方原発沖6ー8qにある中央構造線系活断層。約100年周期で起きている南海トラフ地震。地震による電源喪失問題など。特に、火力発電所は四国の東側(徳島、香川)にあり、電気は四国山地に立てられた送電線により伊方原発に送られている。四国山地に沿って中央構造線が走っているため、地震により鉄塔が倒壊、伊方原発の電源喪失、メルトダウンの危険性が高いと指摘した。
10・26大集会へ
さらに、福井から中嶌哲演さん(原発反対福井県民会議)、石地優さん(同)が発言。関西からは、大阪、京都、滋賀での取り組みが報告された。福島県の前双葉町長・井戸川克隆さんからのメッセージを司会が読み上げた。
今後の取り組みとして、10・26再稼働反対関西集会(エルおおさか大ホール)がよびかけられた。
沖縄意見広告4 紙に掲載
新基地反対 東西で報告集会
6月14日、大阪の協同会館アソシエで、沖縄意見広告運動報告集会が開かれた。
辺野古新基地建設・海上ボーリング工事が迫る緊迫した情勢の中で、6月8日に毎日新聞・東京新聞・沖縄タイムス・琉球新報の1ページ全面に掲載された意見広告は効果的で大きな反響を呼び起こした。この意見広告運動の報告集会が東京・大阪で同日開催され、大阪では会場いっぱいの200人が集まった。
自民党改憲案批判
主催者あいさつは武建一全国代表世話人(連帯労組関西地区生コン支部委員長)がおこない、「沖縄基地の撤去のため、引き続き運動を強化していこう。私たちがやっている意見広告運動は、団体が号令一つで取り組む運動ではなく、一人一人の市民の力を結集する運動で、今年はさらに賛同者が増えた。そして運動は一つの課題だけでなく、多くの課題がつながることが重要で、それを安倍は恐れている」と、沖縄意見広告運動の意義を訴えた。
記念講演で、元国立市長の上原公子さんは、1時間にわたり自民党改憲草案批判を展開した。上原さんは「自民党改憲草案が礒崎陽輔という安倍首相の補佐官らの手によって作られ、それは立憲主義などまるで踏まえず、基本的人権を認めない前近代的なしろもので、改憲案と現憲法を対比すると彼らの反動性を示すだけでなく、私たちが改めてどのような権利を行使する必要があるのかがはっきりする。憲法で保障された権利を行使し、安倍と対決していこう」と訴えられた。
第6期運動へ
つづいて韓国から「反戦平和連帯(準)」の活動家が、朴槿恵政権や日本の歴史認識、日米韓軍事同盟との闘いの必要性を語った。
さらに意見広告運動の一環として展開している「オスプレイ配備反対全国キャラバン隊」の西山直洋さんが、キャラバンの報告と意見広告運動の意義、第6期へ向けての決意を表明した。
そのあと、キャラバン隊にも参加した「辺野古に基地を絶対作らせない大阪行動」の大森さんと、現地住民と連携して京丹後米軍Xバンドレーダー基地に反対している瀧川さんから、それぞれの闘いの報告があった。
年末、沖縄知事選へ
最後に服部良一前衆議院議員が、「沖縄の闘いも集団的自衛権の闘いも6月が正念場。沖縄では年末の知事選にオール沖縄の闘いとして勝利し、辺野古基地建設を阻止していこう。沖縄意見広告運動はそれを支える運動だ」と、まとめた。
こうして今期の意見広告運動も4紙への広告掲載、稲嶺名護市長のアメリカ訪問にあわせたワシントンポスト・電子版への掲載、オスプレイ配備反対全国キャラバン、半年以上にわたる意見広告賛同集め、そして発足集会・報告集会を開催し、本土における沖縄への社会的関心を高め、沖縄戦線を拡大していくために大きな役割を果たした。(大阪 M)
3面
集団的自衛権容認は論理破綻
関西大学教授 高作正博さんに聞く(上)
纐纈厚さん、高作正博さん、永嶋靖久さんをパネリストに、服部良一さんコーディネーターで「安倍政権とは何か、その意図、暴走をとめるには…」と題して「STOP! 安倍」6・1シンポジウムが開かれた(前号既報)。それぞれ報告、提起があったが、集団的自衛権と解釈改憲の論理破綻について高作正博さん(関西大学法学部教授)の話を要約、紹介する。(文責・見出し=本紙編集部)
立憲主義か独裁か
集団的自衛権を憲法の立場からどう考えるか。立憲主義か独裁か。いまの内閣に近い政治学者が「選挙から選挙までの間は、独裁を認めるべき。多数決とか国民の合意は不要。迅速に対応する方がいい」と言っていた。これでは憲法がどうあろうとも、独裁の方が重要だということになる。時代の局面は、立憲主義を守るのか独裁を認めるのかというところにきている。いま進行中の事態は、それくらい重大な問題である。
独裁に対し憲法の立場からは、どういうことがいえるのか。大問題になっている解釈改憲論。それは誤りである。解釈を変えたら、改憲できるのか。そもそも憲法は私たち主権者が決める。「変える」のも主権者である。それが憲法を制定する権力、と呼ばれる。主権という中味は、その権力ということである。
選挙は万能ではない
@ほんらい主権者が決める憲法を、時の政治権力が勝手に決めることになると、私たちが信託し委ねている政治権力が私たちの主権を奪ってしまうことになる。そういう構造が、解釈改憲論の問題点である。権限を勝手に奪うことは、通常「簒奪」という言葉でいわれる。
A選挙に勝ったら何でもできるのか。安倍晋三氏は、「最高責任者は私である」「政府答弁に責任を持っている。その上で国民の審判を受ける。審判を受けるのは内閣法制局長官ではない。私である」と言った。つまり「選挙で勝ったら何でもできる」ということである。そうなのか、あらためて考えてみなければならない。
立憲主義と民主主義はどう違うのか、はっきりさせたい。私たちは主権者である。それは憲法を制定する権力を持っている。つまりいちばん強い権力を持つ主権者である。ところが、主権者と、もう一つ有権者という二重の役割を私たちは持っている。理論上、民主主義も憲法によって統制を受ける。つまり有権者としての判断は、主権者としてよりも劣るというように捉えられる。
有権者の権限は「代表者を選ぶ役割」である。政治権力を選ぶ権利を有するのが有権者。その代表者、政治権力を縛るのは何か、それが主権である。代表者を選ぶ有権者よりも主権者がつくった憲法の方が、効力が上になる。したがって民主主義も憲法によって統制される。選挙に勝ったら何でもできるのか。そうではない。憲法上、そういう構造になっている。有権者は代表者を選ぶ。その代表者は政治権力として主権によって統制される。
ストップ!安倍6.1シンポジウム。左から2人目が高作さん(6月1日) |
安倍自身が危機の要因
「日本の安全保障政策、あるいは環境が変化した」というのが、現内閣が解釈改憲をすすめようとする理由の一つになっている。5月に安保法制懇が出した報告書(以下、報告書)では、「国際環境の変化」が非常に強調され、だから解釈見直しが必要という理屈になっている。本当にそうなのか。むしろ安倍政権自身が危機の要因ではないのか。変わったのは自民党内部の力関係ではないのか。自民党の暴走を抑える勢力が引退し劣勢になり、安倍政権が暴発している。そういう権力構造が読みとれる。国際環境が変わったというよりも、自民党が変わった。
国際関係の緊張を高める行動を安倍政権自身がとっている。自分で火をつけ、自分で「消そう」とするに等しい。自分で緊張を高めておいて「だから集団的自衛権が必要」という。こういう論法に安易に乗ってはいけない。
安倍政権がめざすものは何か。戦後体制がつくってきた平和主義を覆すということが進行している。すでに武器輸出3原則が完全に変更された。議論中なのが解釈改憲、集団的自衛権の行使容認、多国籍軍への参加などが報告書で述べられている。
報告書は、様々に憲法上の制約を突破する内容になっている。例えば「憲法上制限はない」「多国籍軍に参加する」としているが、安倍首相は「すぐに参加し戦闘に加わることはしない」などという。いったん無理難題を押しつけ、あとどれだけ譲歩するか、というやり方である。安倍政権は「一部譲歩する。だから集団的自衛権とグレーゾーンの問題は認めろ」という言い方をしている。こういう論法は最近よくある。某大阪市長は典型である。政権内部には法律家も大勢おり、安倍内閣は「学習」したのだろう。
しかし私たちが対抗しているのは、そういう問題ではない。もっと手前。そもそも政府が勝手に憲法解釈を変更するということが問題である。どんなに「譲歩」されても、飲める話ではない。(つづく)
たかさく・まさひろ
1967年生まれ。石川県出身。
1990年、明治大学政経学部卒。1999年、琉球大学法文学部助教授。2004年、琉球大学大学院法務研究科助教授
2008年より現職。憲法学の立場から、安倍政権を鋭く批判。現在最も積極的に発言する法学者である。
紹介 8・6ヒロシマ 平和の夕べ
落合、朴、水戸さんら女性が発言
―被爆69年、原水禁署名60年―(下)
今年は被爆69周年、女性たちが中心になった「核実験反対、核兵器廃絶」の署名運動が起こった1954年から60年。被爆70年を「核と原発廃絶の年」としようという決意を込める。今年の「8・6ヒロシマ 平和の夕べ」は落合恵子さん、朴南珠さん、水戸喜世子さん、日塔マキさん(福島)、三浦裕子さんの被爆ピアノ演奏と、発言はすべて女性。
落合恵子さん
作家。女性と子どもたちのためのクレヨンハウスや有機食材の店を開く。育児雑誌、オーガニック・マガジンなどの発行人。東京家政大学特任教授。「さようなら原発1000万人アクション」「戦争をさせない1000人委員会」呼びかけ人。自伝的エッセイ『「わたし」は「わたし」になっていく』(東京新聞)など反戦、反核、反差別などをテーマにした作品多数。
朴南珠さん
1930年代はじめころ、両親は日本植民地下の朝鮮半島から広島へ移り住んだ。その広島で生まれ、13歳の女学校1年生だった朴さんは8月6日、爆心から約1・8キロの路面電車内で被爆。戦後、どんなに生活に追われても、刻まれた記憶、被爆と差別の「二重の苦しみ」は忘れられない。在韓被爆者の被爆者手帳取得を手伝い、広島を訪れる修学旅行生たちに、その苦しみと核廃絶を語り続ける。
水戸喜世子さんM
1935年名古屋市生まれ。物理学を専攻。60年、水戸巌氏と結婚。67年10・8羽田闘争逮捕者を救援、69年に巌氏とともに救援連絡センターを設立。反基地、三井三池闘争、労働組合運動、ベトナム反戦運動などに参加。巌氏は早くから「核」に根源的に対立し、その研究と実践、反原発運動に邁進した。
「3・11」フクシマ後、喜世子さんは福島、大飯、関電前、全国をまわる傍ら、『原発は滅びゆく恐竜である 水戸巌著作・講演集』の出版に奔走。「電力業界、経産省にとどめを刺す武器として使ってほしい」と記した。
日塔マキさん
1983年福島県生まれ。福島原発事故後、広島で被爆した女性たちの生き方に共感。12年、恋愛、結婚や出産、子育ての不安におかれていた女性たちと、自分のくらしについて考え行動しようと「女子の暮らしの研究所」を設立。
コミュニティFM放送や、会津木綿染めを活用したピアスやグッズを制作販売、被災地のいまを伝える活動をおこなっている。
三浦裕美さん
エリザベト音楽大学器楽学科卒、ピアニスト。第38回全日本盲学生音楽コンクール2位入賞。ポーランド国立クラクフ室内管弦楽団と共演、世界音楽祭オーガストイン広島99サロンコンサート出演、日韓青少年ドリームコンサートなど、出演多数。被爆ピアノの演奏にかかわる。
8・6ヒロシマ 平和の夕べ
と き:8月6日(水)午後3時開場
午後3時半 開会
ところ:広島YMCA・国際文化ホール
〔路面電車「立町」下車、北へ7分〕
発 言:落合恵子、三浦裕美(被爆ピアノ)、 朴南 珠(在日 韓国人被爆者)、水戸喜世子、日塔マキ(福島から)
※参加費1000円 託児あり(有料)
連絡先:〒731―3161
広島市安佐南区沼田町伴309
電話 090―1338―1841
FAX 082―848―9533
メール heiwanoyuube@excite.co.jp
※賛同をお願いします 1口 千円
郵便振替 01330―7―47740
「反戦・平和研究集会実行委員会」
4面
ルポ 中間貯蔵施設・住民説明会
“東京に持って行って”(上)
請戸 耕一
いわき市・勿来市民会館大ホールで開かれた国による中間貯蔵施設に関する住民説明会(5月31日) |
中間貯蔵施設設置の問題について、国による住民説明会が、5月31日から6月15日まで16回(福島県内10回、県外6回)開催された。
中間貯蔵施設とは、福島県内の除染で出た汚染土、汚染の高い焼却灰などを保管する施設。国は、双葉町・大熊町にまたがる東京電力福島第一原発周辺に設置したいとしている。また、30年以内に、県外に最終処分場をつくり、そこに搬出することを法律に明記すると、国は説明している。
説明会の第一回、5月31日のいわき市・勿来会場、および第三回、6月1日の南相馬市・原町会場を取材した。
勿来会場には約700人、原町会場には約180人が参加。勿来の会場は、第一回ということに加え、近傍に双葉町民が多数避難している仮設住宅があることもあり、会場はほぼ満杯の状態だった。
説明会全体の時間は2時間、最初に国の側が約40分説明をおこない、その後、住民がマイクをもって発言、質疑がおこなわれた。
ため込んだ思い吐き出す
勿来会場の住民側の発言者は8人、原町会場では9人。単純に賛成・反対で割り切れるものではないが、中間貯蔵施設設置に賛成寄りの発言が4人、反対寄りの発言が13人という比率であった。
反対意見の住民からは、次のような言葉が吐き出された。
「できれば、東京に持って行ってもらいたい」
「双葉郡の人間だけで、この災難を背負うのはおかしい。電力消費地の住民と災難を分かち合うべき」
「みんながいらないものは、私たちもいらない」
「同じ国民として、人権を認められてないんじゃないか」
「全国の自治体で応分に受け入れるべき」
原子力は国策として推し進められてきたものだ。そして、国民の大多数がそれを承認し、その恩恵を享受してきた。
にもかかわらず、原発事故の被害は、特定の人びとに集中されている。さらに今、その災害の後始末が、またぞろ双葉町・大熊町の人びとに押し付けられようとしている。
犠牲だけが特定の人びとに繰り返し集中される構造―そういう犠牲の構造を、住民らは告発している。
その告発は、国に対してだけ向けられているのではない。
「汚染物はやはり一番汚染しているところに持って行くべき。汚染を福島から出すべきではない」という意見がある。合理的にいえば、その通りだと言うしかない。しかし、どうだろうか。そういう結論を出す前に、住民が告発している問題に向き合ってみる必要があるのではないか。
特定の人びとへの犠牲の集中、そしてそれを結局、容認してしまう大多数―この構造が原子力政策を成り立たせてきた。そういう問題から、私たちは誰も自由ではなかった。
こうしてみると、「東京へ持って行ってもらいたい」という住民の訴えは、厳しい言葉づかいだが、そこには、原子力政策を成り立たせてきた根幹にかかわる告発があり、日本社会全体に対する問題提起があるのではないか。私は、そう受けとめた。
以下、勿来会場と原町会場の発言の一部を掲載する。〔見出しは筆者〕
なお、国の説明や見解については、各種の報道や国・県・町のサイトなどで見ることができるので、ここでは割愛した。
いわき市・勿来会場の発言
電力消費地と分かち合うべき 大熊町・男性
パンフレットに「30年以内に福島県外で最終処分」とあります。この文言では実現はほど遠いと思います。
福島県は、47都道府県のひとつの県。他県の反対を受ければ、微塵もなく飛ばされてしまいます。他県の人たちは、みな反対します。だから、「福島県外で最終処分」というのは、間違った書き方だと思います。
ではどうすればいいのか。
この災難を双葉郡の人間だけで背負うという考えが、間違っていると思います。
東京電力の電力を利用した地域、企業、住民たちと、この災難を分かち合うという考え方で行かなければ、最終処分場は実現しません。
ですから、福島県外で最終処分するのではなく、東京電力の電気を利用した地域で最終処分をするという考え方です。これなら、日本国民の7、8割が賛成してくれるはずです。「福島県以外」では、それに賛成する人は福島県や双葉郡の人たちだけです。
市場価格では納得しない
土地の買い上げの方法について、市場価格と説明されていますが、市場価格では実現不可能だと思います。例えば八ッ場ダムの補償の10倍でも出ない限り、土地を手放さないと思います。今の市場価格では八ッ場ダムの10分の1以下ですから、地権者は納得いきません。
ふるさとがなくなる 大熊町・男性
はじめての説明会ということですが、中間貯蔵施設はもうできる、つくりたいんでしょ? つくることは決定していて、青写真とか諸々のことはできあがっている。ということはつくるんでしょ? みなさん(壇上の政府官僚)ね、生まれ育ったふるさとが、なくなっちゃうんですよ。前に座っているみなさん、真剣に考えて下さいね。
予定地とされているところは、NHKで朝やっているけど、里山、きれいな川が流れて、鳥がさえずり、野山に花が咲き乱れている。そういった四季折々のね、すごくこう穏やかな地域なんですよ。国の進めてきた原子力の災害で、今はこういった状態になってしまってますけど。
いま国が前に進めて下さっていることには信頼を寄せているところなんですが、ふるさとがなくなってしまうということは、私たちがいま住んでいるというだけではないんですよ。ふるさとを当てにしながら、地方に行って働いている方、いるでしょ。そういった方が心のよりどころにして、盆正月に帰ってきて、みんなと和やかに過ごす。そういった場所がなくなっちゃうんですよ。そういったことをみなさん、真剣に考えていらっしゃいますか?
お金で解決するしかない
説明会も大事ですけど、後は膝を交えた説明をしていただいて、じゃあ何をしてほしいんだと。結局はね、お金で解決するしかないと思うんです。正直な話。
そうしたら、国の施設を造るわけでしょ。原発災害で土地の価値が下がりましたとかという話もあるかもしれないけど、その土地は、あくまでも個人個人の所有物です。そんなありきたりの評価額で済むような話ではございません。プラスアルファとかを出さないと、前に進まない問題だと私は思います。
私たちには本当に迷惑 双葉町・女性
はっきり申し上げまして、私たちにとっては迷惑なんですよ(会場拍手)。頭を下げられてもね。
私たちが、どうして避難生活をしているのか、みなさん(壇上の政府官僚)、ご存知ですか?その上に、ふるさとがなくなるなんて。
この間も次から次へと問題(収束作業めぐるトラブル)が起こって、やっと終わりかなあと思っていたら、中間貯蔵施設の問題が出て来ましたよ。
それから、廃炉の問題なんか、私みたいなもんには、ぜんぜん分からないことばかりだけど、使用済燃料だとか、核のゴミだとか。これ、いつになったら解決して下さるんですか?
交付金という話も出ていましたけど、交付金で、全国にバラバラになってしまった町民をまとめることできますか? ひとつの町としてやっていけなくなってしまったと思います。
東京電力が来たときも、交付金が出ましたよ。でも、それで、最後はこの状態ですよ。
ですから、私たちにとって本当に迷惑なんですよ。
戻れないと言え
私たちの声を聞いていただければ嬉しいですけど、それも無駄だと思って来ました。
半減期で(セシウム137が)半分になるにも30年だから、住めるようになるまで100年はかかりますよ。私たちはもう生きてないですよ。東京電力さんは、私たちが戻れる前提で賠償されていますけれど、私たちは、生きていないですよ。だから私は、骨になっても、もうあそこに帰ることはないと申しました。
東電さんは、戻れるとか戻れないとかと中途半端な言葉で言わないで、戻れないならもどれないと、はっきりしていただかないといけないと思います。
町全体を買い上げて 大熊町・男性
今は福島県の汚染土だけという話だけど、全国の廃棄物を集めたら、この倍以上になるのではないかと思っているんです。
私どもは、国道6号線から西半分(6号線の東側が中間貯蔵施設の候補地)の方に住んでいます。道路一本で隔てて補償額が全然違うということになってしまいます。そうではなくて、大熊町と双葉町については、基本的に全部買い上げた方がいいのではと思います。私どもとしては西半分も買い上げてもらいたい。
住める状態ではない
どの程度、放射線量が下がるか、帰宅できるのか、ということなんです。
私の家の裏山は20−30マイクロシーベルト。これを2、3回除染しても、とても住めるような状況にはならないわけです。家の庭も7ー8マイクロシーベルト。これが半分になるのがいつのことか。
低線量被ばくということがあります。先だって井戸川前町長が鼻血の問題を発言して、双葉町はすぐさま反発していましたが、私は、低線量被ばくというのは実際にあると思うんですよ。鼻血が止まんなかったという子どもが私の回りにもいます。低線量被ばくについてどう対処するのかということを聞きたい。
なおかつ大熊町全体のプログラムをどういう風にするのか。大熊町の東半分が中間貯蔵施設で帰られないとすると、その人たちは一体どこに住むのか。さらに、西半分の人たちはどうなるのか。そういう全体像を示してほしい。
〔以上、勿来会場の発言〕 (つづく)
5面
投稿 非軍事都市の市街地を爆撃
重慶大爆撃連続院内集会
6月5日午後、衆議院第2議員会館で開かれた「重慶大爆撃の被害者の証言を聞く連続院内集会(第4回)」に行ってきました。前日の4日、日本政府に爆撃の賠償を求める裁判で、重慶の近くにある成都の爆撃被害者で原告の蘇良秀さんと、成都爆撃を研究している四川大学教授の劉世龍さんが来日して証言し、5日はそれを受けての学習会でした。全体は25人くらいだったでしょうか。
まず、原告側代理人の一ノ瀬敬一郎弁護士から口頭弁論の報告がありました。「昨日6月4日、東京地裁で証拠調べが行われた。成都市から原告・証人が来て証言した。残りの口頭弁論は6月30日で、午前中から証拠調べをおこなう。8月4日にも口頭弁論があり、判決は年末から年明けになる見通し」と話しました。
爆撃被害者原告から
1941年の成都爆撃の被害者の蘇良秀さんは次のように話されました。
皆様が関心を寄せ、支援してくださることに感謝します。私は今年84歳になります。爆撃前、私の家族は9人で、清真八寺巷(イスラム教の8つの寺院がある地区の意味)という回族地域(※編集部注)に住んでいて、比較的豊かな暮らしをしていました。
1941年7月27日、成都が最も大きな被害を出す爆撃を受けました。7・27惨案(虐殺事件)と呼ばれています。700人が亡くなり、1500人が負傷しました。
当日、牛を買いに行った父と、イスラムの聖職者だった祖父が出かけていて、たまたま親戚が家に来ていて、家には10人いました。空襲警報が鳴り、家の中にいては危ない(崩れて下敷きになる)ので、みんなで家の裏庭の胡桃(くるみ)の木の下に逃げました。爆発音が聞こえた時、胡桃の木の根元に爆弾が落ちていました。木は根こそぎ倒れて直径7ー8メートルの穴が開きました。居合わせた10人中6人が即死し、4人が重傷を負いました。
私は四肢に火傷を負って傷跡が残っています。爆風で叩きつけられて。左の股関節が倍以上に腫れ上がって、今でも歩きづらいです。爆撃直後の入院中、傷が痛むので診てほしいと言って、ガーゼを取ると蛆が湧いていました。心が痛かったです。処置の後、医者には「今後蝿を近づけなければ大丈夫」と言われましたが、追い払える状態ではありませんでした。
裁判に訴えることが出来てうれしいです。この運動が広がることで、公正な裁判ができると思います。
学者証人から
劉世龍さんも次のように話されました。
今回は学者証人として出廷し、成都爆撃の鑑定書を出した。作成の根拠資料として当時の公文書、関係者の回想、当時の新聞・雑誌をあたった。成都は37年11月から41年12月まで合わせて21回爆撃されている。
日本軍が破壊したのは成都の市街地。当時は非軍事都市で、軍事施設は一切なかった。皆さんご存知の通り古い街で、周辺地域の政治・経済・文化の中心。商業地区・繁華街・一般居住区・四川大学・小学校も破壊され、キリスト教・仏教・イスラム教の施設や病院関係も被災し、成都市民の生命・財産が奪われた。死者は1388人まで確認し、負傷者は1988人確認した。歴史家・全ての成都市民がこの被害を伝えるために頑張っていかなければならない。
日本の皆さん、とりわけ一ノ瀬弁護士の助けがなければ鑑定書は作れなかった。この数年間、日本の皆さんと接触し交流を深める中で、日本にも平和を求める人がいることを知ることが出来た。今日の午前中、東京空襲の被害者遺族と会った。被害者同士が連帯することがいかに重要かわかった。
事実の理解が深まる
会場には前衆議院議員の服部良一氏や、民主党・共産党の国会議員の秘書が来ていました。
社民党国際局長を務める服部氏は「大阪でも民間人が爆撃の補償を求めて裁判で闘っている。重慶爆撃は国際法的にも許されない。原告の皆さんと手を取り合って頑張っていきたい」「社民党は吉田党首を団長として訪中団を派遣する。安倍内閣の中国敵視政策の中、相互理解を深めるために頑張っていきたい」と発言しました。
共産党の山下芳生参議院議員の秘書・加藤さんは「(侵略による加害について)まず事実を認めることが大切。受け止めて認めるところから始めないといけない」「大阪爆撃の時、私の父は政治犯として収監されていて出られなかった」「普通の生活をしているところになぜ爆撃するのか理解できない。若い人も(事実を知ったら)おかしいと言うと思う。パネル等(わかりやすく)知らせるものがあれば(理解を広げることが)出来ると思う。日本国内できな臭い動きがある。(侵略の事実が)恥ずかしいことではなく、乗り越えていくためにどうするか考えたい」と訴えました。
原告弁護団の田代博之弁護団長は大まかに前日の口頭弁論の報告をし、軍事ジャーナリストの前田哲男さんの証言について「軍事万能主義を天皇大権で進め、海軍が人民せん滅主義をとったことを明らかにした」と評価しました。 (東京 A)
(※注)回族(かいぞく、ホウェイ族あるいはフェイ族)は、中国の少数民族の一つで、中国最大のムスリム(イスラム教徒)民族集団である。回族とされる人々は、言語・形質等は漢民族(漢族)と同じだが、イスラム教(イスラーム)を信仰する。
医療費支援を命令
在韓被爆者医療裁判 高裁判決
在韓被爆者医療費裁判の控訴審判決が6月20日、大阪高裁で言い渡された。
一審(昨年10月24日、大阪地裁)に続いて、韓国在住の被爆者にも被爆者援護法を適用し、大阪府に医療費を支給するように命じる、勝利判決だ。控訴審は、今年3月の第1回口頭弁論(3月19日)で即結審したので、期待が持てたが、その数日後の長崎地裁(3月25日)で、同様の医療費裁判が敗訴したので、予断を許さない状況だった。
判決後の報告集会(写真)では、韓国で待つ原告らに、電話で判決が伝えられた直後の原告らのコメントが報告された。原告らは、日本の良心が表れた、被爆者援護法適用に差別があってはならない等、コメントしていた。傍聴と報告集会には、広島、長崎からも支援の仲間がかけつけた。
連載第1回 中年派遣労働者日記
昼食に出て戻らぬ青年
「おい、何しゃべってんねん!」元請会社の社員が突然怒鳴った。朝から2時間、学校の体育館の中で解体工事の補助をしている最中だった。同じ会社から派遣されている若い同僚に「暑い中、延々廃材を出し続けるのは疲れるけど、頭は使わんし、足元の釘さえ気をつけたら大丈夫。時間までがんばろう」と声をかけ、にいちゃんも「はいわかりました」と答えたのを聞いて、おしゃべりをしていると誤解したらしい。
「仕事せんかい!」と大声。言い分はあってもここは少々我慢・・・。大きい声で「すみませーん!」と答える。この手合いは逆らうと余計に興奮する。一瞬顔が曇ったにいちゃんに「我慢我慢」と目で合図を送った。
まもなくお昼休憩となった。私は持参のお弁当を埃っぽい事務所で食べるが、にいちゃんは「外へ食べに行きます」と言って出て行った。45分の休憩が過ぎ、現場に戻る。ところがにいちゃんの姿がない。1時間たっても、姿は無し。朝に怒鳴った社員が来て、「もう一人はどうしました?」と聞くが、答えようがなく、困った。そのまま夕方までついに帰って来なかった。
朝、怒鳴った社員は「おっちゃん、一人で大変やろうけど、倒れんように休み休みやって下さいよ」と態度豹変。口には出さないが、怒鳴ったので帰られてしもた、しまった、と後悔の様子がありあり。
昼からその社員は釘を見事に踏んで、足を突き抜ける寸前。「大丈夫ですか!」と声をかけてあげる私。派遣会社や現場仕事に従事している人は言葉も態度も荒く、自己抑制ができない人の率が高い。正面衝突はできるだけ避けつつ、何かのきっかけをつかまえて声かけをし、ヒーリングしてあげれば気持ちも落ち着くだろうというのが我が持論。
それでもダメなぶちきれ君には、ある段階で「自分は○○と申しますが、あなたのお名前を聞かせてください」と声かけをする。これで3分の1は黙る。3分の1は対応が柔らかくなる。あとの3分の1は変わらないがこちらは腹が据わるから損はない。
この場合は、夕方に帰るまでにはお話しできる仲になったからまあまあ成功。いちいち腹を立てたりしてはいけないが、顔色をうかがってばかりではストレスが溜まる。適度にコミュニケートしたり、柔らかくプレスすることを通じて、自分に都合の良い労働環境を作ることも必要なのだ。(次話に続く)
6面
視座 韓国民衆言論が見た
日韓米軍事同盟化の動き(上)
真野 巌
三角軍事同盟の登場
世界における覇権の維持と、中国包囲と朝鮮圧迫を目的にした、米国のアジア・リバランス政策の核心は、韓米同盟・日米同盟を一つに結びつける日韓米三国同盟であり、その軍事的プレゼンスとしての、三国間の三角軍事同盟を作る事にあるのは明らかだ。その中心に据えられたのがMD(ミサイル防衛体制)だ。
米国債の利子として、毎年、債権国家(中国、日本など)に対する、1兆ドルもの支払いに追われ、米国資本主義の危機的財政破綻を、軍事予算の削減、MDを含む高額兵器の売り込みで切り抜けるなどと言う、絶望的展望に苦悶する米帝国主義は、これらの政策を遂行するには、前に立ちはだかる二つの課題があると考えている。
一つは日本における「集団的自衛権行使」の環境整備を速やかに進めることであり、二つには、韓国世論の動向に制約された韓国政権の〈対日強硬政策の改善〉を強く求め、韓・日間の同盟関係を確立し、米国と共に、三者の軍事同盟(日韓米三角軍事同盟)を立ち上げる事である。
MDと言う「金を食うカバ」を、韓国と日本の資源と負担で遂行する事も狙った一石二鳥の政策と言うわけだ。オランダ・ハーグにおける、オバマ主宰の日韓米首脳会談の目的はここにあった。
しかし、オバマが、パク・クネに、“北朝鮮の脅威”を名分に、「MD体制、日・韓・米安全保障討議(DTT)再開、日韓軍事情報包括保護協定の早期締結」など、日・韓間の軍事情報の共有と、韓・日間の同盟関係を確立し、米国と共に、三者の軍事同盟(日韓米三角軍事同盟)を立ち上げる事を指示し、“過去より、現在の安保問題に焦点を合わすべき(過去の歴史にこだわるな)”として、〈対日強硬政策の改善〉を強く求めたと伝えられた事は、韓国民衆と言論界に大きな憤激を巻き起こした。
朝鮮に対する植民地支配とアジアへの侵略を正当化し、謝罪も清算も拒否するだけでなく、再び軍国主義国家へ歩み始めた日本帝国主義国家(安倍政権)との同盟は、朝鮮半島にまた、日本軍を引き入れる道筋を開くものであると言う批判と糾弾が渦巻いた。
すでに日米同盟間では、1997年の「新ガイドライン(日米防衛協力指針改定)」によって、日本自衛隊を「戦闘区域」に派遣する事と「戦闘行為」に投入する以外の、如何なる作戦にも参加する事が出来る道筋を開いた。2001年のアフガニスタン戦争におけるイージス艦派遣、2004年のイラク戦争への陸・海・空自衛隊の投入は、戦後初めての、海外における自衛隊(日本軍)の参戦である。
即ち「新ガイドライン」の核心的特長は、「周辺事態」時における米国との協力を中心に置き、従来のように、米軍に単に基地を提供することから、(兵員輸送を含む)米軍の戦闘行為に加担する、全面的な後方支援を約束した事にある。
「周辺事態」には、何の地理的制約もない。とりわけ「朝鮮有事」を中心に、中国を含む東北アジアを指すのは明らかだが、「日本の平和と安全に影響を及ぼす」事態の「性質を規定」するものであって、地理的制約もなく、世界中どこにでも、自衛隊を派遣する道筋を作ったものだ。それを支える法的整備が、「周辺事態法」(1999年)、「自衛隊法改正」(2001年)、「武力攻撃事態法」(2003年)、「国民保護法、米軍行動円滑法、日米行動円滑法、日米物品役務相互提供協定改正、特定公共施設利用法・・など」(2004年)と矢継ぎ早に遂行されたのだ。米軍の戦争のための、日本の国家総動員体制がすでに整備されつつあると言うことだ。
しかし現在、米国の目的は、「新ガイドライン」からさらに一歩踏み込んで、日本の自衛隊が持つ、全ての制約を取り除くことにある。アジアMD体制の確立は、日米軍事同盟(即ち集団的自衛権の行使)によって初めて機能するものだからだ。
安倍政権が、やみくもに強行しつつある「秘密保護法」、「集団的自衛権行使」の狙いは、まさにここにある。
韓国民衆の生存問題
韓国民衆言論『統一ニュース』(4月22日付)は、日本の集団的自衛権行使を強く求める米国の狙いを、次のように報じている。
「2014年3月4日(現地時間)米上院外交委員会に出席したダニエル・ラッセル米国務省東アジア太平洋担当次官補は、日本の集団的自衛権の行使が必要である理由として、MD(ミサイル防衛体制)を提示し、“日本が集団的自衛権を行使できない場合は、北朝鮮が米国に向けて弾道ミサイルを発射しても、日本が迎撃ミサイルを使い、これを破壊することが出来ない。今年中(2014年)に、日本の集団的自衛権を明示するなど、日米安保ガイドラインの改正を終える計画だ”と語った」
ラッセルは、同じこの日、(米上院外交委員会)で、「誰も歴史問題の負担が原因で、我々が安全な未来を構築する事を妨害する事は出来ない」と主張したと外電が報道した。米国は、中国包囲と朝鮮圧迫に血眼になって、韓国民衆が、日本政府の軍国主義化とアジアの植民地支配と侵略の正当化に反発して糾弾する行動を、自分たちの帝国主義的利害の妨害者と認識する姿が浮き彫りとなっている。
韓国民衆にとって、日本の集団的自衛権の行使(平和憲法の蹂躙)と、日本国家の軍国主義化は、単に日本の国内問題でなく、自らの生存の問題なのだ。
2004年から日本では、PAC―3、SM―3など、MD体制を既に実戦配備した。これに、朝鮮・中国に隣接する韓国を参加させなければ、アジア・太平洋地域に跨るMD構築は不完全であると考えている。そのために米国は、安倍の「歴史認識」であろうと、「右傾化」であろうと、どうでもよい事なのだ。韓国民衆の抵抗と、日本民衆の抵抗を排除して、米国主導の日・韓・米―三角軍事同盟をつくりあげることこそ急務なのだ。(つづく)
『展望』14号紹介
暴走安倍政権に挑む
安倍政権に反撃を
『展望』14号が発行された。全体構成は、集団的自衛権容認=憲法9条の死文化をはじめとする、「戦争をする国」へ社会を再編成する安倍政権との闘いである。
巻頭の落合論文は、改めて安倍政権を「新自由主義再稼動政権」ととらえ、改憲、経済政策、戦後レジームからの脱却、などに焦点を当て、それを倒す99%人民の怒りの決起を訴えている。
つづく金子論文は、原子力政策の再編=原発再稼働・輸出攻撃とのたたかいを34ページにわたり展開する労作。「第四次基本計画」を縦横に批判。その上で、川内・伊方・大飯・高浜などの再稼働との闘いが、これを突き破る道とする。
さらに安倍の教育再生・歴史認識問題について、井上論文と須磨論文が挑んでいる。井上論文は安倍教育再生に先行した橋下教育破壊との闘いを一連ととらえ、橋下の破産が安倍を直撃するとして、大阪の教育闘争の重大性を訴えている。また須磨論文は、河野談話の見直し攻撃など、「強制性はなかった」との一点で攻撃を強める勢力に対し、インドネシアでの軍関与の実例を事実に基づきながら論証している。
島袋論文・東江報告、高見論文は、沖縄独立論をめぐる論争の紹介、「精神病者」解放の40年の歩みという形で、それぞれ粘り強い闘いと今日的攻防を明らかにし、自己決定・自己解放の道を指し示そうとしている。
13年関西地方委報告
今一つの討論材料は、巻末の13年革共同関西地方委員会総会第二報告だ。総会から半年が経過していることから、その後の情勢も加味し加筆したものである。冒頭筆者も訴えているように、これまでの「主観的総括」が階級闘争を阻害してきたことの反省の上に、闘いの現状と展望、共産主義者とその党の役割を論じている。
特に「革共同をはじめとする左翼運動の検証と総括」をはじめとする項目は、07年の安田派との決別以降、われわれは自立した共産主義者として、自己の運動をさまざまの領域で検証・総括してきたが、活字にして対外的に公表するのは初めてである。内外から「暴力革命やプロレタリア独裁はどうなったのだ」という批判・疑問が当然にも出てこよう。しかしそれ以前の問題として、「路線を物資化する」といいながら特定のイデオロギー・理論を他者に押し付けてきた革共同のありかた総体を総括している。
夏期特別カンパにご協力お願いします
集団的自衛権閣議決定という、安倍政権による解釈改憲攻撃が切迫しています。昨年末の秘密保護法制定以来の、靖国参拝、沖縄、消費増税、労働法制、教育攻撃、集団的自衛権という一連の攻撃は、政治・経済・生活のあらゆる分野に及び、私たちの生活を破壊し、この国を本当に「戦争をする国」に作り変えようとしています。さらに攻撃は、TPP・農協解体、医療、原発再稼働・輸出などにも拡大し、格差・貧困と戦争国家化が一体で迫ってきます。
安倍政権は秘密保護法では大きく支持率を下げ、集団的自衛権容認・憲法改悪との闘いは歴史的階級決戦になろうとしています。この時に私たちは、旧来のままにとどまることは許されません。私たちも変わり、社会を変える、本当に大きな闘いが求められています。脱原発の世論も、改憲反対の世論も依然6割・7割を占めています。この声を本当に力ある政権を揺るがすに足りる運動にするためには、多くの資金が必要です。夏期一時金支給時にあたり、この運動の先頭に立つ革共同再建協に対し、同志・支持者・読者の皆さんに特別カンパをお願いします。
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