未来・第142号


            未来第142号目次(2013年12月17日発行)

 1面  警察国家化と戦争準備のための
     秘密保護法を廃止しよう

     共謀罪国会提出を許すな

     名護市長選
     辺野古新基地建設を阻もう
     稲嶺市長の必勝を

 2面  伊方原発を動かすな
     NO NUKES えひめ 8千人

      守れ!経産省テント シリーズI
     テントは世論の代弁役

     核燃料サイクルの破たん明らか
     危険な“もんじゅ”は廃炉へ

     オキュパイ大飯裁判
     控訴審が一回で結審

 3面  原発再稼働を阻止するために
     首長に“同意”させない闘いを

     差別・人権侵害で自殺36人
     医療観察法を撤廃しよう

 4面  エスカレートする“自爆営業”
     〜郵便局からのレポート〜

     最高裁判決
     「こころとからだの学習」裁判
     都教委の介入は違法

     第5期
     米軍基地撤去・オスプレイ反対
     沖縄意見広告がスタート

     明るい正月を!
     年越し電話相談

 5面  新防衛計画大綱の危険性
     集団的自衛権の行使と自衛隊の国軍化

     岩国行動2013
     岩国の軍事拠点化と闘う
     住民との連帯深めた2日間

      三里塚から野菜を直送
     団結野菜市 今年も開催

 6面  3年目に向かうフクシマ(上)
     左派運動の課題は何か
     請戸 耕一      

     カンパ要請

       

警察国家化と戦争準備のための
秘密保護法を廃止しよう

国会は連日抗議の人波に包囲された
(写真は12月4日)

6日深夜、安倍政権は参議院において自民党・公明党による採決を強行し、特定秘密保護法を成立させた。11月7日の審議入りからわずか1カ月足らずである。このような暴挙は断じて認められない。安倍政権による法律の早期施行を阻止しよう。労働組合、市民団体、弁護士会、学術団体などから次々と反対声明が上がっている。秘密保護法廃止に向けてたたかおう。

「デモはテロ」

特定秘密保護法が参院で審議されている最中、石破・自民党幹事長は自らのブログに国会周辺でおこなわれている反対デモをさして「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質において余り変らない」と書き込んだ。ここに秘密保護法の本質が言い表されている。政府に反対する民衆の行動は「テロ行為」として弾圧するということだ。
秘密保護法ではテロリズムを「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他を破壊するための活動」と規定している。この条文に基づいて石破は、主義主張を声高に叫ぶデモを「テロリズム」と言ったのだ。このような恐るべき「人権感覚」をもった連中が作ったのが秘密保護法だ。

報道を抑制

成立後も次々と重大な問題が明らかになっている。11日の記者会見で石破は、特定秘密を報道機関が報じることについて「何らかの方法で抑制されることになると思う」と発言した。さらに秘密を報道した場合には「最終的には司法の判断だ」と言って、報道が処罰の対象になり得るという見方を明らかにした。法案の審議中、安倍政権は「国民の知る権利」や「報道の自由」が尊重されるかのような答弁をおこなっていたが、法が成立するや早くもその本音をあからさまにしはじめた。なんという傲慢さであろうか。

秘密保護法に反対する御堂筋パレード

アジア諸国は警戒

安倍政権が秘密保護法成立を強行したことに対して、アジア諸国は警戒心を高めている。韓国の東亜日報は7日の朝刊でこの法律の性格を「戦争や軍隊の保有を禁じた戦後体制から脱し、戦争ができる国をつくること」と批判した。また7日朝の中国国営テレビは「軍事国家へ突き進むための強引な手法」と非難している。米国内からも批判の声があがっている。元米政府高官のモートン・ハルペリン氏が「21世紀に民主国家で検討されたもので最悪のレベルのもの」と強く批判した。

早期施行許すな

国内でも、秘密保護法に対する反対の声が成立後も広がっている。安倍政権の支持率は46%(朝日新聞)に急落した。
こうした反対の世論を恐れる安倍政権は、法律の早期施行をねらっている。秘密保護法は131日に公布、施行は1年以内とされている。この希代の悪法の施行を断じて許してはならない。秘密保護法廃止へさらなる運動の拡大と強化をはかろう。

共謀罪国会提出を許すな

安倍政権は「五輪テロ対策」を名目にして、来年の通常国会に「共謀罪」創設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を提出しようとしている。
共謀罪とは、犯罪の実行行為がなくても「謀議に加わった」と見なされただけで処罰の対象となるというもの。これまで政府が国会に提出してきた共謀罪関連法案では、対象となる犯罪は600以上にのぼる。処罰の対象をどこまでも拡大でき、警察権力による労働運動や市民運動など団体・組織に対する弾圧が強まる。また日常会話やメールのやりとりまで処罰される。秘密保護法に続く重大な人権侵害法だ。国会提出を阻止しよう。

名護市長選
辺野古新基地建設を阻もう
稲嶺市長の必勝を

来年1月19日投開票の名護市長選は、名護市辺野古への新基地建設をめぐる決戦となった。新基地建設反対をかかげる稲嶺進市長の当選を実現しよう。

移設容認を強制

11月25日、自民党幹事長の石破茂は自民党の沖縄選出国会議員5人を党本部に呼びつけ、「普天間基地移設問題」にかんして、「移設先について名護市辺野古沖を含むあらゆる可能性を排除しない」ことで合意させ、事実上の「辺野古移設容認」を強要した。
これを受けて、自民党沖縄県連は12月1日の総務会で県外移設を求める公約の変更を承認した。また佐喜真淳・宜野湾市長も、4日、「県内、県外、国外を問わずすべての可能性を含め、一日も早い閉鎖・返還を図るべきだ」と、「辺野古移設」を容認する発言をおこなった。

わき起る怒りの声

こうした動きに対して、県民から怒りの声がわき起っている。4日におこなわれた沖縄県議会の代表質問では、質問に立った自民党県議に対して、傍聴者から「140万県民を裏切るのか」と怒声が浴びせられた。
一方で仲井真弘多・沖縄県知事は、「県外移設」を求めるという立場を崩しておらず、新基地建設のための埋め立て申請の可否判断について、4日の県議会では「早くても月末以降になる」と答弁した。

政権が全面支援

こうした仲井真知事の態度に加えて、名護市長選で保守派が分裂して候補を立てていることに政府は焦りをつのらせている。安倍首相は6日、名護市長選に出馬表明している移設推進派の末松文信県議と首相官邸で会談。「全面的に支援する」と約束した。地方自治体首長候補に首相が全面支援を表明するのは異例のことである。また石破は8日のフジテレビ番組で、市長選前に知事の埋め立て申請の承認を得て、保守派候補の一本化をめざすと発言した。

住民の決意は固い

これに対して稲嶺市長は、5日、名護市内で政策を発表し、「名護市に新たな基地はいらない」ときっぱりと表明した。稲嶺必勝をめざす市民の闘いは、政府・自民党のすさまじい圧力をはねのけながら進んでいる。
10月27日、辺野古テント村に「名護市長選の勝利に向けて頑張っていこう」との位置づけのもと、県内の闘う仲間300人が集まった。午後1時からの集会を前に、台風対策で片づけていたテントを設営。大勢の参加でテントはすぐに完成。集会場に現れた嘉陽のおじぃは、テントからあふれる参加者を見て感激。思わず「バンザイ」を叫んだ。
集会の発言では、山内徳信さんや山城博治さんはじめ多くの仲間が「海にも陸にも基地を造らせない」という立場を貫く稲嶺進市長を称え、目の前に広がる豊かな海を埋めさせないと決意を述べた。来年の市長選勝利を勝ち取ることを誓い、基地に向けてシュプレヒコールをあげた。
11月18日には、名護市民が稲嶺市長を勝手に応援しようと市民の会をたちあげ、事務所開きをおこなった。「稲嶺ススムと共に歩む市民の会(通称『ススム会』)」の事務所を名護市のど真ん中に設置。事務所開きには名護市民はじめ50人が参加した。辺野古新基地案が出てから16年間反対を貫いてきた名護市民から力強い発言が相次いだ。また小学生から市長にお礼のメッセージが伝えられると、稲嶺市長は目に涙をためて熱心に聞きいった。最後に稲嶺市長が決意を表明し、参加者は一つになって勝利に向けた乾杯をおこなった。

全国から支援を

全国から名護市長選の応援に駆けつけ、稲嶺再選をかちとろう。安倍政権の辺野古新基地建設を阻止しよう。

2面

伊方原発を動かすな
NO NUKES えひめ 8千人

関東からの避難者が「子どもたちを被ばくからまもろう」とスピーチ(12月1日 松山市)

12月1日、再稼働の一番手として狙われている伊方原発に対し、愛媛県松山市に地元四国や関西・関東、九州・中国、さらには北海道と全国から8千人が集まり、大集会が開かれた。広大な松山城下の公園には、色とりどりの旗や幟や横断幕やプラカードが林立。また自然食品などの40のブースにも長い列ができ、降ってきた雨にも負けず、参加者は各スピーチに聞き入った。
ジャーナリストの鎌田慧さん、反原発運動一筋の作家・広瀬隆さん、元宇宙飛行士の秋山豊寛さんなどの、それぞれ思いを込めた力強いアピールに会場全体に共感がわいた。とりわけ参議院議員の山本太郎さんは、右翼が山本太郎攻撃で全国結集する中で、こんな奴らに負けてはならない、再稼働を止めよう、2015年統一地方選で全国に反原発議員を広げようと、脱原発の渾身のアピールをおこなった。三宅洋平さんの音楽も軽快で、参加者の心を揺さぶった。
最後に地元愛媛・八幡浜の斉間淳子さんは、松山にこんなに人が集まったのは初めて、絶対に阻止しようと訴えた。

デモに共感集まる

集会終了後、参加者は南北二つのコースに分かれてデモ行進。お城の堀のいたるところに、様々な団体が混然一体となった横10列の分厚い隊列が出来上がり、「再稼働反対!」の力強いコールがこだました。市内デモでは、時折降ってくる雨と右翼の罵声に負けず、伊方原発再稼働阻止を松山市民に訴えた。窓から覗く人や、塾の教室から1階まで降りてきて手をふる子どもたち。規制のきびしいデモだったが、市民の共感を呼んだ。
東京からの経産省前テントひろばや、たんぽぽ舎、バス3台で参加した関西の京都・大阪・兵庫の仲間は連なる隊列を作り、再稼働時には数倍の隊列で松山・伊方現地に駆けつける決意をこめてデモ行進をおこなった。最後に原発再稼働に突き進む中村知事の牙城=愛媛県庁に対して、力いっぱいのシュプレヒコールを叩き付けた。(O)

守れ!経産省テント シリーズI
テントは世論の代弁役

傍聴に集まった人たち(11月29日 東京地裁)

11月29日、脱原発テントといのちを守る裁判の第4回口頭弁論が、東京地裁103号法廷で開かれた。裁判所前では、狭山差別裁判の再審請求をたたかう石川一雄さんたちが抗議行動を展開していた。100弱の傍聴席に対して、傍聴希望者は2・5倍以上だった。
開廷後、福島県へ現地調査に赴いたという弁護団は、政府と東電に対して被告に勝るとも劣らぬ鋭い糾弾を連射した。まず大口弁護士が弁論の進行を説明し、青木弁護士が〈準備書面4〉の趣旨説明に入った。

スラップ訴訟

青木弁護士は「国民を年間被ばく量1ミリシーベルト以上被ばくさせてはならないという法律を、国は守ろうとしていない。それどころか、飲食禁止・立ち入り禁止である放射線管理区域(年間被ばく量5・2ミリシーベルト以上のところ)に子どもを住まわせている」と告発。厳密な数値データを元に、国家と東電の責任回避を追及し、国の訴権濫用、スラップ訴訟の違法性を立証した。
2番目の長谷川弁護士は、自民党本部が衆議院の土地を駐車場として無断使用していることをさらに暴露。司法はこの権力の犯罪を等閑に付しながら、民衆の緊急抗議としての脱原発テントにたいするスラップ訴訟を容認している。この不当性を自覚し、この訴えを却下すべきと訴えた。先の自民党による土地無断使用の見積金額は15億円に上るのだ。
この日の主題は正清さんの陳述書の受け渡しだったが、正清さんは国民の70%、女性の90%が脱原発テントを支持しているのは、霞ヶ関官僚の暴言(経産省官僚のツイッターによる「福島県民は死ねばいい」などの暴言)が停職2カ月の懲戒処分でお茶を濁されたことへの怒りと反感からであると語り、われわれには国民世論の代弁役という重要な使命があると力説。
シビア・アクシデント、レベル7に加えて、放射能汚染水の漏洩に関しても、レベル3の世界評価を受けている深刻さにもかかわらず、一国の首相が「完全に制御している」などという真っ赤な嘘をついていることに怒りをあらわにした。
淵上さんは、即刻、刑事事件として、東電捜査を開始すべきであって、それがされぬうちはテント撤去など言語道断だと陳述した。

肖像権侵害

上杉弁護士は、検察に対して、脱原発テント周辺にある監視カメラの現場検証をおこない、経産省が違法に収集したデータをすべて証拠として提出させ、肖像権侵害をやめさせるように訴えた。
参院議員会館で報告会が開かれ、河合弁護士、武藤類子さん、満田夏花さん、木村結さんがそれぞれ、裁判傍聴の意義を訴えた。
詳しくは、「脱原発テントといのちを守る裁判」のホームページを。次回は、来年2月10日。午後1時から集会。午後2時開廷。午後4時報告集会の予定。(Q)

核燃料サイクルの破たん明らか
危険な“もんじゅ”は廃炉へ

もんじゅを望む白木海岸で抗議集会(12月7日)

7日、「もんじゅを廃炉へ! 全国集会」が福井県敦賀市で開かれた。この集会は1995年12月8日に起きた「ナトリウム漏れ事故」を機に、毎年この時期に開かれてきた。今年は全国から1千人が参加した。
午前11時から、もんじゅを目の前に望む、敦賀半島の西北端・白木海岸で現地抗議集会がひらかれた。原発反対県民会議の森永常任幹事、国宝明通寺管主中嶌哲演さんの力強い檄が放たれた。そのあと1000人で「もんじゅ」ゲート前へ押しかけ、原子力機構に廃炉を求める要請文を手渡した。
午後1時からは、敦賀駅近くのプラザ万象・大ホールで「もんじゅを廃炉へ! 全国集会」がひらかれ、鎌田慧さんなどが講演。集会後、敦賀駅前までデモ行進した。

制御なきリサイクル

1995年12月の事故から18年となる。もんじゅが冷却剤に使っている液化ナトリウムは空気や水に触れると燃焼・爆発するしろものである。
原子力規制委員会が9700カ所の点検漏れを指摘し、もんじゅの運転を禁じたのは、なんと今年になってからのことだった。現在、その手抜き問題は1万4千点にのぼっている。使用される燃料は、青森県六ヶ所を経過して循環し、増殖される構想である。しかし、青森県の中間処理施設もまた完成の見込みが立たない。高速増殖炉計画は日々破産していながら、95年の大事故以降も、なんと20年近く存続している。

西村氏の「自殺」

事故隠蔽問題について調査を担当していた、動燃・西村成生(しげお)氏は「自殺」したとされるが、真相は闇である。動燃(原子力機構の前身)は調査をうやむやにしたまま、さらに設備の補修を怠ってきた。なぜこうした事態が起きるのか? まさしく制御できないしろものをでっちあげてしまったからではないか?福島事故を起こす原点に国策の無意味がある。 (大阪 M)

オキュパイ大飯裁判
控訴審が一回で結審

12月5日、名古屋高裁金沢支部で、大飯原発再稼働阻止(オキュパイ)行動弾圧の控訴審第1回公判が開かれた。小松基地爆音訴訟や志賀原発訴訟では見られなかった「超厳戒態勢」が裁判所に敷かれていた。それでも全国から30数人の傍聴者が集まった。 午後2時15分に開廷。被告人の人定確認がおこなわれた。
裁判長は検察官に意見を求め、検察官はひとことの理由も述べないで、「控訴は棄却されるべきである」と、結論だけを述べた。裁判長は「被告弁護人から書証4点が提出されているが」と言って、検察官の方に顔を向けると、検察官はたち上がって、「回答しない」とだけ答えた。更に裁判長は「被告弁護人から3人の証人が申請されているが」 と述べると、検察官は「いずれも必要なし」と、ひとことしか答えない。
裁判長は「証人申請を却下する。次回は2月13日、2時15分。判決」と述べて、さっさと退席した。傍聴席は、一瞬何が起こったのかわからず、静まりかえったが、「不当だ」「ちゃんと審議せよ」「裁判長、出てこい」の声が、次々と上がった。
開廷から閉廷までが数分しかない。これが裁判か。3審制が機能していない。被告人の意見を一言も聞かないで、判決を出すなんて、報復裁判以外の何ものでもない。
来年2月13日の判決公判に結集しよう。

3面

原発再稼働を阻止するために
首長に“同意”させない闘いを

1.原発推進に舵切り

とりわけ「原発再稼働問題」についてその詳細を見ると、「原発再稼働」のためにペテン的ロジックが駆使されている。
「素案」で「安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、独立した原子力規制委員会によって世界最高水準の新規制基準の下で安全性が確認された原子力発電所については、再稼働を進める」ともって回った言い方をしている。
本当に「安全性を全てに優先させる」と言うなら、「新規制基準適合=安全性確認」とは決して言えないはずだ。「新規制基準に適合すれば、原発事故ゼロを保障する」ものではないことは、原子力規制委員会自身が認めているではないか。

ゼロリスクはない

原子力規制委員会・田中委員長は「(原発には)ゼロリスクというものはないんだ、それを求められても無理ですと、要するに私どももはっきり万歳(お手上げ)しているんです。ですから、逆に言うと、どの程度のリスクまで社会が受け入れられるかということが、1つの基準になってくるんだと思います。」(4月3日記者会見)と「新規制基準」の性格について明確に発言している。

エネルギー基本法

安倍政権は、「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案」「特定秘密保護法案」の問答無用の強行採決に続き、1月、この「素案」を踏まえて「エネルギー政策基本法」に基づいて「エネルギー基本計画」の閣議決定を強行し、以降3年後の見直しまでに、「フクシマ」を切り捨て、原発再稼働、原発新増設、核燃料サイクル推進への道筋を確定させようとしているのである。
それは同時に、「特定秘密保護法」をもって反原発、脱原発運動の巨大なうねりをも圧殺しようとするものである。
「エネルギー基本計画」の閣議決定を許さず、「特定秘密保護法」の施行を許さず、廃案を目指してたたかおう。

2.地元住民を切り捨て

このかん、「原発再稼働の条件整備」と称して、国主催の「原発防災訓練」が鹿児島県・川内原発でおこなわれた(10月11〜12日)。原発立地自治体主催の「原発防災訓練」も各地でおこなわれている。「原子力防災訓練」は、原子力規制委員会で6月5日決定・施行された「新原子力災害対策指針」(「新指針」)に基づいて、各原発立地自治体によって策定された「原子力防災計画」にそっておこなわれているものである。

新指針の問題

しかしこの「新指針」には決定的な問題点がある。「新指針」での「原発事故想定」は「警戒事態」、「施設敷地緊急事態」、「全面緊急事態」の3段階に区分されている。そして、「原発事故」はこの3段階区分にそって、時系列的に「整然」と進行していくものとして想定され、この想定に基づいて「避難計画」に関する指針や基準が設定されているのだ。
しかし原発事故がこのような主観的願望にそって実際に進行するであろうか。福島原発事故は14時間たらずで「全面緊急事態(炉心溶融事故)」になったのであり、チェルノブイリ原発事故は一瞬で「全面緊急事態(核暴走事故)」となったのではないのか。このような「新指針」での「事故想定」とそれに基づく「避難計画」など全く意味がないではないか。
さらに「避難基準=避難開始の判断」の指針では、「即時避難の基準」として「空間線量率500マイクロシーベルト/時(2時間の積算線量で1ミリシーベルト!)」以上が実際に計測された段階で初めて当該住民の避難開始を指示する。また「一時移転の基準(なんたる言い草であろうか!)」は、「毎日20マイクロシーベルト/時の空間線量率が7日間連続(積算線量で3・36ミリシーベルト!)」したときに「一時移転」の開始を指示するという。
放射能は均質かつ同心円的に拡散することはない。福島原発事故が示したように、設置されていたモニタリングポストのほとんどが破壊され測定不能となったのであり、広範なホットスポットが生じたのではないか。
そもそもこの「避難開始判断」が、実際の放射線測定結果(モニタリング情報共有システム=ラミセスに基づく実測値)を根拠としていることに根本的問題がある。被ばくが強制される環境が生じていても、「避難基準」で定められた基準値が実際に測定されないかぎり、「避難開始」は指示されないという代物なのだ。
また「新規制基準」で、過酷事故時に「セシウム137換算で100兆ベクレル(福島事故の100分の1)」の放射能すら「安全目標(努力目標)」とされている。 このように原子力規制委員会で決定・施行された「新規制基準」「新原子力災害対策指針」とは「原発事故ゼロ」「被ばくゼロ」を保障するものでは決してない。
安倍政権による「新規制基準適合=原発は事故を起こさない」なる誤魔化しを明らかにし、「安全性が確認された原発の再稼働」など断じて許してはならない。

3.攻防点はどこか

現在、原子力規制委員会において「適合性審査」が5社7原発14原子炉でおこなわれている。また12月中には中国電力島根2号機、新設の島根3号機の「適合性審査申請書類」が提出されようとしている。
このかん「早く効率的に審査を進める」とのそれぞれの思惑にもかかわらず、「適合性審査」の大幅な遅れが明らかとなった。
その原因は、各電力会社が提出した「審査書類」の内容が、あまりにも「安全神話」を前提とした内容であり、原子力規制委員会としても、かっての「原子力安全・保安院」時代のように認めるわけにはいかなかったからである。
10月16日、原子力規制委員会が「適合性審査」の進捗状況を明らかにした。最も審査が進んでいる四国電力・伊方原発3号機について見てみると、主要審査項目27項目(核テロ対策項目をのぞく)のうち、「提出済み書類」は、10月16日時点で半分以下の10項目にとどまっている。
そして現在、伊方3号機の年内再稼働を目指していた四国電力は、原子力規制委員会に「未提出書類」を11月中に提出と回答したにもかかわらずそれも破産し、12月中の提出に修正せざるをえなくなっているのである。

同意か不同意か

この「適合性審査」の進捗状況から、原子力規制委員会による各原発の「審査終了」「基準合格」時期は年を越し、早くても来年1月末以降となることが確実となった。いよいよ来年1月以降、「原発再稼働」をめぐる攻防が、原発立地自治体首長の「同意か」「不同意か」をめぐるたたかいとして具体化する。
それは各行政の長として、各原発立地自治体首長(知事)に対して、「県民の命と生活を守るのか」それとも「県民の命と生活を売り渡すのか」を真っ向から鋭く問うたたかいとなる。
10・13東京をはじめ、10・5北海道(泊)、11・10福岡(玄海)、12・1松山(伊方)、12・7敦賀(もんじゅ)、12・15鹿児島(川内)での「原発再稼働反対」の大集会・大デモの成功に確信をもって、「再稼働反対」のさらなる大きなうねりを全国各地からつくりだしていこう。(川村哲一)

差別・人権侵害で自殺36人
医療観察法を撤廃しよう

「医療観察法廃止!11・24全国集会、精神医療を治安の道具にするな!」が都内で開かれ、各地から63人が参加した。集会ではフリージャーナリストの浅野詠子さんと岡山市こころの健康センター所長の太田順一郎さんがそれぞれ講演をおこなった。

新型の収容主義

浅野さんは「新型の収容主義を語る―心神喪失者等医療観察法」と題し、観察法の矛盾と人権を語った。「法ができて丸8年。『最先端の精神医療』『新しい協働の制度』などの美名のもと収容主義がおこなわれている。通院処遇で自殺が多い。通院28人、入院8人、計36人の自殺者。人権問題はいくらでもある」と、いくつもの実例を挙げて批判した。
自殺率は10万人単位で計算するので、換算すると800人となる。日本の自殺率は25人。一般の精神病院の通院者では100人、入院では150人なので、観察法の800人はとびぬけて多い。精神的虐待が原因だ。
太田さんは「精神保健福祉法改訂と観察法の調査の報告」をおこなった。保護者制度の廃止と医療保護入院(強制入院)の見直しが今回の法改訂の目玉だが、期待外れに終わった。役に立たない不服申立ての第三者機関をわずかに変えたが、本気でガラッと変える気はない。観察法の調査で、精神科医の本音が漏れてきたと語った。
集会の発言の中では、生活保護費引き下げの問題と、10・31大フォーラムを成功させたことが報告された。

年々新たな攻撃が

観察法制定後、毎年2回の集会を積み重ねてきた。マンネリ化することなく新しい企画でおこなわれるが、それだけ精神障がい者に対する差別が年々新たな攻撃として加えられている。集会で報告されたことだけでも、今年は新たに道交法改悪、刑法の危険運転致死傷罪、病棟丸ごとの居住施設転換など。
道交法では新たに精神障がい者の免許取得(更新)に制限が加えられた。精神障がいを危険視し不当に制限する。刑法改悪による危険運転致死傷罪は、てんかん、統合失調症の者が交通事故を起こすと懲役15年以下の刑罰を加えるというもの。
精神障がい者の事故率は一般より低い。事故は誰でも起こす可能性があるが、精神障がい者だけには重罰を加えるというものだ。てんかんの人が2件続けて重大事故を起こしたというキャンペーンそのものが虚偽だ。
病棟の居住施設への転換は入院患者が多すぎるという批判をかわしながら、病院経営には旨味を与えるよう配慮。精神障がい者が病院敷地外に出ることなく一生を終えることに変わりはない。(高見元博)

4面

エスカレートする“自爆営業”
〜郵便局からのレポート〜

11月1日から年賀はがきの販売が始まったことを機に、郵便局の「自爆営業」について朝日新聞などが大きく取り上げている。動画サイトyoutubeで「郵政自爆営業」と検索すると、テレビで報道された映像がいくつも出てくる。数年前から「自爆営業」という言葉はかなり一般的にも知られてきたが、「自爆営業」とは、年賀はがきやカタログ商品などの販売強要に耐えきれず、労働者が自腹を切って買い取ることである。郵便局に限らず、自社の商品を買い取らされることは、アパレル関係や飲食店など他業種でもあることだが、郵便局の実態が他に比べてもあまりにもひどいため「自爆」などという言葉が使われ、メディアにも大きく取り上げられているのだと思う。

販売目標

私の職場(集配)での年賀はがきの販売は次のような流れでおこなわれている。まだくそ暑い時期から局全体の販売目標がまず打ち出され、各部門や集配各班の目標が設定される。私の班には約20名の労働者がいるが、班の目標として約7万枚を課せられた。班にはセールスリーダーという役割を押しつけられている者が2名(内1人は期間雇用)おり、彼らが各班員に目標を聞いていく。各々、500枚とか、多くても3000枚としか答えないため、合計すると3万枚にも満たず、結局あとで目標が勝手に上積みされ、合計で7万枚になるように設定された。最初は一応自分なりの目標を立てて・・・という形式をとりながら、しかし、「そんな目標ではダメだ」となって数字があげられる。
いきなり1万枚のノルマを課せられるようなやり方よりはマシかも知れないが結果は同じこと。12月10日現在、実績0のものがまだ数人もいるような職場のため、報道されているような「自爆」に走らざるを得ない厳しい状況はあまり感じられないが、しかし、12月の一定の段階で「無茶やろ」と思われていたような販売目標も必ず達成される。誰かがやはり買って(自爆して)いるのだと思う。

立替払の禁止?

JP労組がこの間、「自爆営業」などへの対策として求め、会社と合意したのが「社員による『立替払』の禁止」である。「・・・立替払が実需のない買取営業の温床になっている可能性が高いことへの問題意識をもって、・・・立替払を禁止するよう求めた」(JP労組 中央交渉情報 日本郵便第42号)。
労働者が好きこのんでやっているわけではないことを会社が禁止するとは本末転倒である。これまでも、現在も、多くの労働者が配達区域での営業(勤務時間内での営業)では実績を上げることができず、友人、知人、家族への販売によって何とか数字をあげてきた実態がある。その際、労働者は自分で立て替えて買っていた。そんなことはもともとする必要ないが、ノルマの達成を厳しく迫られることでそうせざるを得なかったのである。労働者をそこまで追い込んでいることを問題にせず何かが改善されるはずもない。現実に立替払いの禁止などなんの効力もなく、これまで通り多くの労働者が立替払いで持って帰っている。過大な販売強要をやめさせることこそ求められている。
一方で、日本郵便は、年賀はがきが金券ショップにかなりの数が流れていることをもって「不適正営業の撲滅」「金券ショップへの持込みの防止」のためと称して、どこの在庫から金券ショップに流れたのかを追跡すると言っている。自ら追い詰めた労働者に「自爆営業」を強制し、今度はそのことでコンプライアンス違反の汚名を着せて責任まで取らせようというのである。これは使い道のない年賀はがきを抱えさせる文字通りの「自爆」の強要である。本当に許し難い。

郵便労働者の闘いは

営業成績をあげつらい人格を否定され、自死に追い込まれたり、病気になったりするような事態はどう考えても異常である。その異常なことが郵便局の現場ではこのところ頻発し、遺族による裁判も続出している。そうしたたたかいに連帯するとともに、しかし現場でのたたかいこそが最悪の事態を防ぐ。
郵便労働者は、年賀はがきを一枚も売らなくとも、郵便物を預かりちゃんと届けることが仕事である。その単純なところで徹底的にたたかうことがあらためて求められている。それが追い詰められ、悩んでいる労働者に響くたたかいだと思う。(浅田洋二)

最高裁判決
「こころとからだの学習」裁判
都教委の介入は違法

都立七生(ななお)養護学校での性教育に対して、3人の都議(土屋、古賀、田代)などが学校に乗り込んで妨害・侮辱した事件(03年7月)に対して、「教育に対する不当な介入」を糾弾して教員と保護者ら31人が、都教委と3都議(当時)を提訴した裁判。「こころとからだの学習」裁判を略して「ここから裁判」とよばれている。
この上告審で、最高裁第1小法廷は、原告の上告、上告受理申し立て、東京都の上告受理申し立て、都議らの上告、上告受理申し立てを11月28日付けで、いずれも棄却した。これで、〈都教委と3都議による教育への不当な介入を違法と認め、計210万円の賠償を命じた東京高裁判決〉が確定した。
高裁判決は、被告への違法性判断の不徹底さや、憲法判断を避けたことなど、問題は残るが、3都議や都教委が「過激性教育」ときめつけた根拠が誤っていることを明示し、「こころとからだの学習」が「望ましい取り組み方であった」と評価し、教育現場の自主性を広く認める内容となっている。

こころとからだの学習

都立七生養護学校(現都立七生特別支援学校)は、日野市にある知的障がい児の学校で、小中高等部がある。生徒のなかには、親の顔を知らない、虐待を受けてきた子どもも多く、集団生活のなかで、性的な行動にはしることも多々あり、こういう状況を打開すべく始められたのが「こころとからだの学習」であった。
校長会などでも高く評価されてきたこの学習を、上記3都議や石原都知事・都教育長(いずれも当時)は、都議会で不適切と決めつけ、都議と同行してきた産経新聞記者は「まるでアダルトショップのよう」という記事で、キャンペーンをはった。そして、都教委は教材を没収し、教職員にたいする一方的な聞き取り調査を開始した。
七生養護学校事件が起こった年の10月には、「日の丸・君が代」強制の「10・23通達」が出て、処分乱発が始まった。教育現場への政治介入の象徴する事件で最高裁が「教育への介入を違法」としたことの意義は大きい。

第5期
米軍基地撤去・オスプレイ反対
沖縄意見広告がスタート

今年掲載した沖縄意見広告

11月29日、「沖縄意見広告運動」第五期スタートの関西出発集会が大阪市内で開かれた。沖縄意見広告運動は、沖縄米軍基地の撤去・辺野古新基地建設に反対して、毎年5月に本土紙、沖縄2紙などに意見広告を出すとともに、全国キャラバンや訪米・議会要請活動などをおこなってきた。この日は、来年5月に向け全国の世話人が大阪に集まり、五期目の運動方針を協議するとともに、関西でのスタート集会として開催された。
集会では、全国世話人・服部良一さんが、あいさつ。山内徳信さん(前参議院議員)、安次富(あしとみ)浩さん(ヘリ基地反対協共同代表)、武建一さん(連帯労組関西地区生コン支部委員長)の3人によるパネルディスカッションがおこなわれた。

平和憲法の実現

山内徳信さんは、沖縄意見広告運動が訪米団を組織したり、多くの役割を果たし、今も辺野古に新基地を作らせていない、このことこそ平和憲法の実現だと話した。
安次富さんは、安倍政権をサタンにたとえ、これとの決戦が来年1月の名護市長選だ。自民党本部は沖縄自民党を屈服させようとしているが、これは保守・革新を超えたオール沖縄と安倍政権との闘いだと語った。
武さんは、徳之島出身の同じ島人として、沖縄米軍基地やTPPとの闘い、そして秘密保護法との闘いに言及。これらは立ち行かなくなった資本主義を倒す新しい運動の始まりと提起。 各地の闘いの報告として、京都府京丹後市の米軍Xバンドレーダー基地建設反対の闘いを大湾宗則さんが、大阪の辺野古基地建設反対運動から韓基大(ハン・キデ)さんが発言。さらにアメリカの反戦団体ANSWER(アンサー)の青年からもアピールがあった。
行動提起として関西地区生コン支部の西山さんが、沖縄2紙だけでなくオスプレイ配備と闘う地方紙への意見広告の掲載や、全国キャラバン、沖縄現地ツアーなどを提起。まとめの発言を全港湾大阪支部委員長の山元さんがおこなった。約200人の参加者は、第五期運動の成功を誓った。

明るい正月を!
年越し電話相談

12月25日(水)10時〜22時、全国一斉に電話相談(主催:年越し電話相談会実行委員会2013)がおこなわれます。
電話番号は、フリーダイヤル0120―757930です。
相談内容は、生活保護・労働・多重債務・住まいなど何でも受け付けています。読者のみなさん。みなさんの周囲にこの電話相談会を広めてください。
生活保護を申請しているのに役所が利用させてくれない、今の状況で生活保護を受けられるだろうか、派遣先からもう来なくてもよいと言われた、残業代の未払い、給料を一方的に下げられた、借金の返済ができなくなった、失業した、住んでいるアパートを追い出されそうだ等々さまざまな相談に全国の弁護士、司法書士その他の相談員が電話相談に応じます。対応可能な地域では「生活保護申請同行や債務整理手続きなどもお手伝いする」ことになっています。(生活保護基準引き下げ反対大阪連絡会参加者 Y)

5面

新防衛計画大綱の危険性
集団的自衛権の行使と自衛隊の国軍化

安倍自民党政権はすさまじい勢いで戦争国家に突き進んでいる。衆議院選挙直後の今年1月には、安倍首相は小野寺防衛相に防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画の見直しを指示。これを受けて、4月、自民党は他国の基地を攻撃する武器の保有、海兵隊機能の付与、オスプレイの導入、日本版国家安全保障会議の創設などを骨格とする新防衛大綱(今年12月)策定にかかわる提言をおこなった。
7月の新防衛大綱見直しの中間報告でも、離島に強襲上陸する海兵隊機能、敵基地攻撃能力の保有を確認し、10月3日の日米安保協議委員会は2014年末には日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を再改訂すると声明した。加えて安倍首相は解釈改憲で集団的自衛権を認めようとしており、まさに安倍自民党は自衛隊の国軍化、侵略の軍隊への改編に全力を挙げている。

作戦計画5055

10・3日米安保協議委員会の共同声明は、アメリカと日本が直面する5つの「危険要因」として、@北朝鮮の核及びミサイルプログラムと北朝鮮に対する人道主義的関心、A海洋領土における強制的で不安定な行動、B宇宙とサイバー空間で起きている破壊行動、C大量破壊兵器の拡散、D人為的にまたは自然に発生する災難を挙げている。
「北朝鮮に対する人道主義的関心」とは、日米が「北の崩壊」を想定し、日米軍による対北「作戦計画5055」〔※注 02年に作成された概念計画を07年に作戦計画に改定〕で、事態に当たるということだ。しかし当初の「作戦計画5055」では、自衛隊の役割を「米軍の後方支援と領土内での作戦」に限定していたが、2009年には「日本が敵国の基地を攻撃する能力を保有する決定をくだすならば、アメリカはすべての方面でその決定を支持する」(09年5月31日付朝日)とその拡大に期待している。

敵基地攻撃能力

また、この共同声明では、日本に@国家安保会議を創設、A集団的自衛権の行使、B防衛費の増加、C国家防衛プログラム指針の検討、D領土主権を守護する能力の強化、E域内活動の拡大、Fアジア諸国を相手の能力拡大などを約束させている。
日本はアメリカの期待に応えて、自衛隊が国境を越えて軍事作戦をおこなうために、今冬の新防衛大綱で海兵隊能力と敵基地攻撃能力を実現しようとしている。
さらに、10月2日の米韓安保協議会共同声明で、アメリカは「包括的な同盟のミサイル対応戦略」を打ち出した。米韓安保協議会で、日米韓の「包括的同盟」とした理由は、韓国軍も自衛隊もミサイル探知衛星を持っておらず、独自のミサイル防衛システムを構築できず、アメリカのミサイル防衛システムに編入される以外にないからだ。そしてその指揮権は米軍が握ることになる。
米軍はXバンドレーダーを青森県車力分屯基地に続いて、京丹後市の経ヶ岬分屯基地に配備し、九州、沖縄への配備も計画している。艦船に搭載されたXバンドレーダー、航空自衛隊のFPS5レーダー(11カ所)と連結して、中国・朝鮮半島包囲のレーダー網を完成させようとしている。

戦争政策を阻もう

米軍の対アジア戦争政策の改編にあわせて、安倍自民党は2013年12月の新防衛大綱と2014年12月の新ガイドラインで、戦前のような侵略国家へと変貌しようとしている。中国・朝鮮への侵略最前線基地化とたたかっている沖縄人民と連帯し、本土でこそ、安倍政権の戦争政策を阻止しなければならない。

※注 作戦計画5055
02年、日米両国は米韓共同作戦計画5027および5029と連動した日米共同作戦「概念計画5055」を策定した。作戦計画5027とは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の軍隊が韓国領内へ南進した場合を想定した作戦計画である。また5029は北朝鮮の政情不安を想定したもの。07年に日米当局は概念計画5055を実際の戦争を想定した詳細な「作戦計画5055」につくり直している。これは北朝鮮を敵国に想定した日米韓の戦争計画であり、戦争マニュアルである。

岩国行動2013
岩国の軍事拠点化と闘う
住民との連帯深めた2日間

岩国基地に向けてデモ行進(12月1日)

二日間にわたる「岩国行動2013」は、岩国がオスプレイの運用拠点として強化されるという重大事態に抗してたたかわれた。初日の国際集会から2日目の岩国基地に向けたデモの終わりまで、全国から集まった約150人は安倍政権による戦争国家化と対決する声を大にした。
昨年7月岩国に陸揚げされた12機のオスプレイが、10月以降沖縄・普天間基地に配備された。連日夜間を含めた訓練が繰り返され、民家の上を低空飛行している。今年3月、岩国を運用拠点にして、初めて「本土」での飛行訓練が強行された。その時は周辺自治体に事前通知があったが、以降は通知なしで頻繁に岩国に飛来、四国ルートなどでの訓練が重ねられている。7月にはさらに12機が岩国に陸揚げされ、沖縄に配備された。10月の滋賀県饗庭野演習場でおこなわれた日米共同訓練にも岩国を拠点として、オスプレイが投入された。

極東一の大軍事施設

岩国市民の「悲願」を逆手にとっておこなわれた滑走路沖合移設は滑走路一本の新設だけではなかった。水深13メートル、長さ360メートルの岸壁、港湾法の規制を受けない強襲揚陸艇なども接岸可能な港湾を建設した。新弾薬庫も建設された。愛宕山での座り込みをはじめとする住民のたたかいで、2014年までの艦載機移駐は頓挫した。しかし今年10月3日の日米安保協議委員会(2+2(ツー・プラス・ツー))で2017年中に移駐を完了させると合意、そこでは「2014年、KC130空中給油機部隊(15機)の岩国への移駐」も合意したとされる。ステルス性能を持ち、垂直離陸も可能な次世代戦闘機F35Bが2014年3月からローテーション派遣、2016年10月には16機の本格配備が予定されている。

裁判も重大局面に

11月13日、広島高裁で沖合移設事業取消裁判(海の裁判)控訴審の判決が出された。訴えそのものを「却下」という不当判決であり、原告団は27日に上告した。
昨年6月の山口地裁判決は、埋め立て工事の完了を理由に「訴えに利益がない」として請求を却下した。今回は「埋め立て承認の効力が消滅した場合、工事が完了しているかどうかにかかわらず、国は原状回復する義務を負う」として、一審判決を取り消しながら、「提訴は(行政処分の取消訴訟を起こせる)期間を過ぎた後で不適法」と門前払い。
11月28日には、山の裁判の一審判決が広島地裁であった。愛宕山開発事業で「新住宅市街地開発事業を投げ出した山口県住宅供給公社による事業認可取消し申請」を認可した、国土交通省の処分無効を求める裁判。跡地は2012年3月に国に売られ、艦載機移転に伴う米軍住宅建設予定地とされている。この判決も「原告適格が認められない」と門前払い。
爆音訴訟(空の裁判)は、航空機の飛行差し止めだけでなく、艦載機の移駐差し止めも求めている。さらに昨年夏からはオスプレイの飛行禁止も求めてたたかわれている。

岩国は負けない

2006年に実施された住民投票で、岩国市民は艦載機移駐に対し「米軍基地強化NO」の声をあげた(投票者の87%超)。政府・防衛省は卑劣なアメとムチでこれを叩き潰そうとしてきた。
建設中の市庁舎への国側負担費用の凍結、井原市長(当時)に対する議会による予算審議拒否、基地再編交付金による利益誘導。政府の総力を上げた反基地運動潰しにも岩国市民はくじけなかった。海、陸、空に加えテーブルの裁判という4つの行政訴訟を起こした。
2011年には沖縄・辺野古に学び、「見守りの集い」という座り込みが愛宕山神社前広場で開始された。繰り返されるオスプレイの陸揚げや飛来に対し弾劾するたたかいが続けられている。

全国のたたかいと連帯

岩国住民の粘り強いたたかいと結びつき、全力で支援しなければならない。2013岩国行動は、韓国、フィリピン、アメリカのたたかう仲間が参加した国際共同闘争としてたたかわれた。
沖縄―神奈川―岩国の反基地闘争に連帯する労働運動活動家を中心に、全国から集まった。特に京都・経ヶ岬の新たな米軍基地(Xバンドレーダー)建設反対が強く訴えられた。 また全国でたたかわれた秘密保護法反対闘争や伊方原発再稼働反対のたたかいと連帯する行動であることが確認された。12月1日のデモは福田岩国市長との密談にやってきた小野寺防衛相を迎え撃って、意気高く貫徹された。

三里塚から野菜を直送
団結野菜市 今年も開催

恒例の三里塚団結野菜市が今月27日、兵庫県明石市で開催されます。この取り組みは今回で37回目を迎え、場所は日本キリスト教団明石教会。今年も三里塚から新鮮な無農薬・有機野菜が直送されます。反対同盟農民が丹精込めてつくった野菜にふれる絶好の機会です。品目は左記の通り。
注文は予約制で今月15日から20日までの間、随時受け付けます。
当日は明石教会に午前8時に集合。みんなで野菜の仕分け作業をおこないます。
なお会場に駐車場はありません。車で来場する場合は会場付近の駐車場を利用して下さい。
〔6面闘争案内に要項〕

申込みは、三里塚決戦勝利関西実行委員会事務局まで。
電話・ファックス:0799―72―5242
メール:kanjitsu@yahoo.co.jp
※申込みの際は、団体名、責任者、予約の注文数量を明記して下さい。

6面

3年目に向かうフクシマ(上)
左派運動の課題は何か
請戸 耕一

1.山積する課題

震災関連死1539人

まず、山積する諸問題を列挙したい。
@収束作業の厳しい現状と見通し、A作業員の被ばくと労働条件の悪化、B除染の行きづまりと住民の不信の増大、C中間貯蔵施設の設置と双葉郡のゴミ捨て場化、D放射線防護基準の1ミリから20ミリへの変更、E仮設住宅の長期化と震災関連死、F区域再編から賠償の打ち切りへの動き、G小児甲状腺ガン・疑い59名をはじめとする健康被害、H子ども被災者支援法を骨抜きにする基本方針、I国・県・自治体の帰還方針と住民の抵抗、J衆院選・参院選・首長選の結果・・・など。

平常化と分断の圧力

住民の憤りは鬱積している。しかし、福島市、郡山市、いわき市、原町などの市街地の様子は、外見上、平穏・平常だ。が、少し内在的に見ると、上述のように問題が山積し、また構造化し、その象徴的な数字として、避難者総数約14万人(県内約9万人、県外約5万人)であり、応急仮設約3万人、借り上げ住宅5万5千人、震災関連死1539人(福島の震災直接死1599人に迫る)という実情がある。
にもかかわらず外見上、平穏・平常に見えるのは、国・自治体・メディア・諸団体を挙げて上から平常化を強制する圧力をかけているからだ。また、その下で住民間の分断によって、疑問や批判を封殺する空気がつくり出されているからだ。
双葉郡からの避難住民約2万4千人が暮らすいわき市での実情を住民が次のように話している。
「国民をバラバラにする政策が顕著ですね。例えば、東電の賠償をもらっている人ともらっていない人との分断です。たしかに新車が増えて、道が混む。病院も待ち時間が長くなった。ゴミの分別の仕方でも間違える。そういうことを巡って、賠償を受けていないいわき市民との間で、軋轢を生んでしまっている。文句を言うべき相手を見失い、身内で争ってしまっているのです」
さらに、放射能問題を問題にすること自体を抑え込む空気を指摘する。
「『復興に向かっているんだから、健康被害だとか、東電の責任とか、国の責任とか、そういうことは言うな』という空気があります。健康被害の問題で公に発言したりすると、『そんなこと言ってんじゃねえ』と、攻撃されたという話が実際にあります。いじめの構造と一緒で、とりあえず強い方に混ざっておくか、何も言わないでおくしかない。疑問や危機感をもっている人にものを言わせない力が働いていると思います。かつての戦争の時代と同じ状況じゃないでしょうか」。

福島県民は大人しい?

こういう福島の実情を知らない人から、よく、「こんなに被害を受けているのに、福島の人たちはどうしてそんなにおとなしいのですか」という言葉を聞く。それは、福島の人びとが大人しいのではない。原発事故の被災地であるがゆえに、叫びたくともそれを押しつぶす構造が重くのしかかっているということを見る必要がある。

静かな抵抗

しかしまた、そういう中でも、住民の静かな抵抗を見ることができる。
この間、住民を支配してきた除染の幻想による縛りが崩れつつある。
国は、「除染すれば線量が下がる」「故郷に戻れる」という触れ込みで、膨大な金額をつぎ込んで除染を推進している。それは、除染の幻想を煽って、住民の怒りを逸らし、放射能汚染の現実を過小に描き、国や東電の責任を曖昧にするためだった。
当初はほとんどの住民が、「除染してほしい」と答えていた。それは、「原因者の責任で、福島を事故以前の状態に戻してほしい」という切実で根底的な要求を含んだ言葉だったからだ。
国は、一面でその要求におののき、他面でその心理を巧みに利用し、「除染して復興」「除染して帰還」という方向にすべてを流し込んで行った。双葉町の井戸川町長(当時)を例外として、他のすべての自治体の首長が、国の路線に無批判に追随した。一時期は、除染に疑問を呈したり反対することが憚られるようなファシズム的な空気すらあった。
が、実際に除染が始まり、その実態が分かってくるにつれて、追加被ばく線量年間1ミリシーベルトという法定の公衆被ばく限度を国が約束していながら、結果はそれには程遠いものであるということが見えてきた。除染に対する期待がしぼみ、「除染して復興」「除染して帰還」という国・自治体の進める路線に、疑問と不信が高まっていった。

低い帰還率

その表れが、例えば、「戻らない」という住民の意志表示だ。除染して帰還路線の先頭に立ってきた遠藤町長の下での川内村では、住民の帰還率は1割台。同じく除染して帰還路線の先頭に立ってきた菅野村長の下での飯舘村でも、除染にたいする住民の同意率が3割前後で除染が進まず現在の進捗は6%、住民の意向調査でも帰還希望は2割程度。除染が終わりいち早く避難解除を決めようとしていた田村市都路地区では、住民多数が一致して帰還を延期―これが住民の答えだろう。
また、それは、別の形でも表れている。この間、各自治体の首長選挙がおこなわれたが、郡山市、福島市、二本松市、広野町と、現職が相次いで落選している。現職落選の理由は、〈原発事故対応への不信〉と〈除染の遅れ〉とされている。

続く自民党支配

もっとも、このような住民の動向をもって、住民総体が、国に反乱していると見るのは早計だ。
たしかに、除染への期待はしぼんでいるが、住民の多数は、依然として、「もっと除染を急いでほしい」あるいは「再除染をしてほしい」と、除染への幻想を引きずっている。それは、それ以外に何の方策も見いだせないという厳しい現実を示している。
そして、もっとも大きな事実として、衆院選、参院選と、福島でも自民党に投票が集中していることだ。特定秘密法案に対して疑問・反対はあっても、原発・復興問題に関しては、「民主党だからダメだった」という失望は大きく、その反動から、「やっぱり復興は自民党でないと無理だな」という気持ちは広く存在する。若い人ほどその傾向は強い。首長選で現職に対する批判票を入れる気持ちと、自民党の政権復帰で一安心する気持ちとは、現時点では矛盾していない。(つづく)

冬期特別カンパへのご協力をお願いします

多くの人びとが特定秘密保護法を強行成立させた安倍政権に対する危機感を強めています。
また、原発が一基も稼働していない中で、フクシマを切り捨て、四国電力の伊方原発などの再稼働をねらう動きを絶対に阻止しなければなりません。この闘いはまさに正念場です。
さらに沖縄の米軍基地強化をめぐって、安倍政権は自民党沖縄県連を恫喝して普天間基地の「辺野古移設」同意を強制しています。辺野古新基地建設を阻止するために来年1月の名護市長選挙に稲嶺市長の当選を勝ちとらなければなりません。この選挙は安倍政権との決戦です。
安倍政権の全面的な反動攻勢を押し返すためには強力な大衆運動が必要です。そのための闘争資金として冬期特別カンパ闘争へのご協力をお願いします。

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