米はシリアから手を引け
米仏の軍事介入を許すな
米オバマ政権によるシリアへの軍事介入をめぐって国際情勢が緊迫している。9日、ロシアがシリアに対して「化学兵器の国際管理」を提案し、これをシリアが受け入れる姿勢を示した。これを受けて、オバマ大統領は10日夜の演説で、シリア攻撃を当面見合わせることを明らかにした。しかし、これで米がシリアへの武力攻撃をあきらめたわけではない。
先月21日、シリアの反体制勢力が、「政権軍が首都ダマスカス近郊で毒ガスを使い、1350人が死亡した」と発表したことが一連の事態の発端である。しかし、この発表の直後から「本当に政権軍の攻撃によるものか」「そもそも化学兵器が使用されたのか」という疑問が出されていた。
なぜなら、今年6月米政府が「アサド政権がサリンを含む化学兵器を使用した」と発表したことなどを受けて、国連の調査団が事件の3日前からダマスカスに入っていたからだ。アサド政権があえてこの時期に化学兵器を使用した攻撃をおこなう合理的な理由はない。
「証拠」はない
オバマ政権は事件直後からイギリス、フランスに協力を求め、28日のテレビインタビューではシリアへの武力攻撃を強く示唆していた。ところがその翌日、英議会が武力攻撃にかんする政府動議を否決。英キャメロン首相は武力攻撃を断念せざるを得なくなった。
しかし、あくまで武力攻撃にこだわるオバマ政権は30日、「シリアの化学兵器使用に関する調査報告書」を発表した。ところが、この報告書の機密部分は非公開となっており、情報源はいずれも匿名。傍受した会話の具体的な内容もわかっていない。つまりこの報告書の中には、アサド政権が化学兵器使用に関与したという「証拠」は何一つないのである。
武力攻撃の正当性をえるためにオバマ政権は、上下両院の武力攻撃決議の可決をもって決定するとしていた。4日の米上院外交委員会は武力攻撃にかんする政府決議案を可決したが、その後の議会での承認が得られるメドはたっていない。とくに下院(定数435)では、過半数の238人が「反対」「反対に傾いている」と言われており、決議が否決される可能性が高かった。
米国内で反対の声
こうした中で当初から武力攻撃に反対してきたロシア政府は9日、シリアへの武力攻撃を回避する手段として、シリア政府に対して、保有する化学兵器を国際的な管理下に置くよう提案。シリア政府がこれを受け入れる姿勢を示したため事態は新たな展開を見せている。
安倍政権は当初、米のシリア武力攻撃を容認する方向で調整を続けてきたが、ここに来て一転、ロシア提案の支持を表明した(10日)。「武力攻撃反対」の内外の世論の高まりの中で窮地に陥りつつあるオバマ政権が「振り上げた拳を下ろす」ための露払い役を買って出たということに過ぎない。
実際に米国内では、日を追ってシリア反戦デモが拡大している。米ギャロップ社が6日発表した調査では武力行使賛成が36%に対し、反対は51%にのぼった。03年イラク戦争時には賛成が76%だったのに比して、半分以下に激減している。
米は内戦の当事者
米のシリア攻撃のねらいは、レバノンのシーア派政治組織ヒズボラと同盟関係にあり、イランとも友好関係にあるシリアのバース党政権(アサド政権)を打倒することにある。そのため、12年に内戦状態におちいったシリアに対して米国は反体制勢力を支援するかたちで関与を深めていた。シリア内戦による犠牲者は11万人以上とも言われているが、ここまで犠牲を拡大させた最大の責任者は米国だ。
オバマ政権は中東石油をめぐる帝国主義的権益の確保のために、次のシリア攻撃の機会をうかがっている。このような米国のシリア内戦への介入には一片の正義もない。全世界の民衆と連帯して、米のシリア軍事介入を阻止しよう。米国はシリア内戦への関与をただちにやめよ。
もう原発は動かすな
15日 国内の稼働原発ゼロに
15日、大飯原発4号機が停止した。これで国内の稼働原発はゼロになり、この状態が数カ月続く。この夏も、国内では大飯3・4号機しか稼働していなかった。今夏は百年に一度の猛暑であったにもかかわらず、節電キャンペーンはなされなかった。昨年の節電キャンペーンや3・11直後の関東での計画停電も全部必要なかったのだ。
まず汚染水対策を
東京五輪招致の過程で、安倍首相は極めて重大な発言をおこなった。
一つは「東京は福島から250キロ離れていて安全」という発言だ。これは「福島は安全ではない、福島の安全よりも五輪招致が大事」と言っているに等しい。
ふたつめは「汚染水は福島第一原発の0・3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされている」という東京電力も面食らった大ウソを言ったことである。
原発の港湾施設は孤立した湖ではない。外洋につながっている。「完全なブロック」などできるわけがない。
その上、汚染水貯蔵用のタンクの多くは耐用年数が5年で、漏出がとまらない。原子炉本体には毎日注水され、汚染水は増え続けている。
このこのように汚染水問題が深刻な危機に直面しているのにもかかわらず、安倍政権は年内にも伊方、川内、高浜、泊などの原発を再稼働させようとしている。9月〜11月、もう原発はいらない! の声を大きくして、12月伊方原発再稼働阻止へ、全国の力を結集させよう。
オスプレイ訓練反対
10月 滋賀と高知で予定
米軍のMV22オスプレイが初めて参加する自衛隊と米海兵隊の共同演習が10月、滋賀、高知両県で実施されようとしている。滋賀県高島市の陸上自衛隊饗庭野(あいばの)演習場では、10月上旬から中旬にかけて日米共同演習=フォレスト・ライトをおこなう。
「負担軽減」はウソ
10月下旬の高知県内での日米共同統合防災訓練は、南海トラフ巨大地震を想定したもの。米軍岩国基地(山口県岩国市)と陸自高知駐屯地(高知県香南市)、空自土佐清水分屯基地(同県土佐清水市)との間でオスプレイが物資を運ぶことになっている。自衛隊は2015年度に予定しているオスプレイ導入に向けて、「災害救難での利便性」を強調しようという魂胆である。
小野寺防衛相は6日の会見で「できる限り本土への訓練移転を検討したい」と語り沖縄の負担軽減を強調した。しかし、滋賀県や高知県で予定されている訓練は、沖縄でおこなわれているものとは内容がちがう。つまり沖縄の訓練を本土に移転するものではない。「負担軽減」とは名目で、実際には日本全国にオスプレイ訓練を拡大しようということだ。
同時に政府は、今回の訓練実施をてこに、米軍普天間基地の名護市辺野古沖への移設=新基地建設に必要な埋め立て申請について、仲井真県知事から承認を得ようと懸命だ。
3カ月で2機が大破
防衛省は6日、滋賀県や高知県に幹部を送って説明をおこなったが、その内容は「安全性はかなり高いレベルの航空機」というだけで、訓練に参加する機体の数、期間、装備など具体的なことは一切説明していない。地元では不安の声があがっている。
米ネバダ州で先月26日(現地時間)、MV22オスプレイが着陸に失敗した事故では、機体が大破している。この事故は、規模としてもっとも重大な「クラスA」に分類されている。また今年6月ノースカロライナ州で発生したオスプレイの事故も、当初は「機体の一部が焦げた」と説明されていたが、実際には「クラスA」に分類され、機体も大破していたことがわかっている。
3カ月間で機体が大破する事故を2件も起こしているような航空機をどうして「安全性はかなり高いレベル」などといえるのか。オスプレイが欠陥機であることはもはや隠しようがない。
沖縄県では県議会議長、市長会会長、町村会会長らが、オスプレイ全機の配備撤回などを求める共同声明を4日に発表した。沖縄県民、岩国市民のたたかいと連帯して、オスプレイの訓練中止、配備撤回にむけ、とりくみを強めよう。
今月29日、饗庭野演習場がある滋賀県高島市で開かれる「オスプレイ来るな! 日米合同軍事演習反対! 9・29あいば野集会」〔6面闘争案内参照〕に参加しよう。
2面
弾圧には屈しない
自由を取り戻す9・1全国集会
大阪
関西大弾圧の当該を先頭に大阪府警を取り囲むデモ(1日) |
9月1日、「警察・検察・裁判所にレッドカード!自由を取り戻す 9・1全国集会」(主催:ぐるぐるつながるネットワーク)が、大阪市内のエル・シアターで開催された。この集会には189名の個人賛同と55の団体賛同が寄せられ、700人が参加した。8月26日に関電前弾圧の無罪判決を勝ち取った直後でもあり、集会は大いに盛り上がった。
関東大震災からちょうど90年目の9月1日。「防災」という名の治安訓練が全国各地でおこなわれるなかで、本集会は市民的自由を奪おうとするこれらの攻撃に反対する闘いでもある。
集会は四部構成でおこなわれた。@メイン・スピーチは、放射能汚染ガレキ焼却反対を闘い、10・17大阪駅前街宣弾圧の当該でもある下地真樹さん(阪南大学准教授)、Aロックバンド〈はちようび〉のライブ演奏、B参加団体からのアピール、C参加者からの一分間アピール。集会前には、この間の弾圧現場を写したビデオが上映された。
権力を信用しないこと
下地真樹さんは、「自由を取り戻すために」と題して基調講演をおこなった。@我々は市民的自由をいかに奪われているか、A自由を奪っているしくみ、B自由を取り戻すための闘いについて、この間の弾圧や取り組みに則して具体的に論じた。
下地さんは次のように述べた。「国家権力は、運動が広がることを恐れて弾圧してくる。そのためには権力は何でもやる」「市民の側にも権力幻想がある。公安事件に関しては、まず権力を信用しないことが重要だ」「権力と市民の間には、その行使できる暴力については圧倒的な非対称性があり、市民は無防備だ。しかし、われわれには正義性がある。ここに依拠し、弾圧には屈しないで、反弾圧の運動を大衆的に広げていくことが重要だ。」
山本太郎さんが登壇
参加団体からのスピーチでは、弾圧と闘ってきた5団体(関西大弾圧、東京の弾圧、福岡の弾圧、釜ヶ崎住民に対する弾圧、労働組合に対する弾圧)の当該などから、取り組みの報告があった。反弾圧の闘いは「弾圧に対して屈することなく、反弾圧の運動で連帯し、つながっていく」ことだ。このことを確信させる報告だった。
参加者からの1分間アピールには11人の発言があった。「関西大弾圧は関西だけの問題ではない、反原発運動をつぶすのがねらいだ。全国に連帯の輪を広げていこう」「弾圧にたいして、さらなる反弾圧の運動を作りだしていけば、弾圧は粉砕される」など、各地の運動や取り組みが連携しながら弾圧と闘っていくことを確認した。
なお、この集会には、参議院議員に当選したばかりの山本太郎さんも駆けつけ、「行動する議員として、逮捕を恐れないで、その先頭に立つ」と決意を述べた。
集会後は、大阪府警察本部を取り囲む「ぐるぐるデモ」をおこなった。市民団体や労働組合の旗が力強くひるがえり、「弾圧反対」の声が大阪市中心部を席巻した。府警本部前では、参加者は怒りをこめて「弾圧反対」のシュプレヒコールを府警本部に向けてたたきつけた。
反動化進む刑事司法
「公判前整理」といかに闘うか
講演をおこなう弁護士の浅野さん(右)と遠藤さん(左)(8月31日 大阪市内) |
関西大弾圧との闘いは、「公判前整理手続」とのたたかいでもある。関西大弾圧救援会はこの制度を理解し、闘い方を学ぶため、8月31日、大阪市内で講演会を開いた。講師は弁護士の浅野史生さんと遠藤憲一さん。短い準備期間ながら、当日は63人が参加した。
講演会は、下地真樹さんの司会ではじまった。
まず遠藤弁護士が、小泉政権時代から始まった公判前整理手続を含む新自由主義的な司法改悪について講演。刑事司法改悪の実態が明らかにされた。
休憩をはさんで、浅野弁護士からは、公判前整理手続の問題点と闘い方について講演を受けた。
その後の質疑応答では、参加者から活発な意見や質問が出された。
「絶望的」な刑事司法
司法改悪とは、90年代後半から2009年ころにかけておこなわれた刑事司法改悪のことである。
「司法制度改革審議会(1999年7月設置)」はその最終意見書で、「刑事訴訟の目的は・・・的確に犯罪を認知・検挙し・・・適正かつ迅速に刑罰権の実現を図ることにより、社会秩序を維持すること」「ルール違反に対する的確なチェック、効果的な制裁を科すことが一層強く求められる」「刑事手続に一般の国民の健全な社会常識を直截に反映させる」とした。
これを受けた、@裁判迅速化法(03年)。A刑事訴訟法改悪(04年、施行は05年)によって、(1)非公開=密室での準備手続制度(公判前整理手続)の導入、(2)訴訟指揮権の強化、弁護人への処置請求制度の強化、(3)証拠の目的外使用禁止などが定められた。
さらにB裁判員法の成立(04年、施行は09年)。C国選弁護の国営化(司法支援センター設置06年)。D被害者の刑事裁判参加(00〜07年)。E監獄法廃止と刑事収容施設法制定(05年代用監獄の合法化=永続化)。F刑の重罰化、殺人罪などの時効の廃止(04〜10年)などの諸改悪が矢継ぎ早に行われた。
これらにより、ただでさえ「絶望的」といわれた日本の刑事司法は、さらに絶望的なものとされていった。
被告人の防御権破壊
公判前整理手続の問題点は@裁判公開の原則を破壊し、A裁判官の予断排除原則を実質的に侵害し、B被告人の黙秘権を侵害することなど、全体として被告人の防御権を破壊する制度である。
これとの闘い方は、被告人の完全黙秘を軸にした裁判支援運動の丁寧かつ大衆的な展開にある。
実際に刑事弾圧の現場でたたかう遠藤・浅野両弁護士の講演は、実践的な教訓に満ちており、今後の反弾圧闘争に貴重な指針を与えるものとなった。(黒石昌朗)
「大阪市がれき説明会弾圧」公判
市と警察の共謀明らかに
昨年11月13日、大阪市此花区民ホールで大阪市が強行した「がれき広域処理・試験焼却にむけた説明会」の開始前に抗議行動をしていた市民4人が「建造物侵入」などで逮捕、うち3人(ぱぉんさん、韓基大〔ハン・キデ〕さん、Uさん)が「威力業務妨害(罪名変更)」で起訴された。
この裁判の第1回、第2回公判が、9月3日、4日と連続して大阪地裁・大法廷でひらかれた。
●第1回公判
(10:00〜17:00)
起訴状朗読と罪状認否のなかで、ぱぉんさんは、「なぜここ(被告席)に立たされているのか、理解できません。罪に問われる様なことをした覚えはありません。」と反論。
韓さんは、「抗議行動をおこなうことが、威力をともなうのは当然。それを警察が逮捕するのは『表現の自由』への侵害である。」と反論。
位田弁護士は、「Uさんの行為は、正当行為であり、Uさんは無罪である。」と反論。
太田弁護士は、「デモは示威行進。威力を伴うのは当然。韓さんの主張は当然で、起訴自体が不当。」と反論した。
検察官冒頭陳述につづき、弁護人が冒頭陳述。つづいて、ぱぉんさん、韓さんが陳述(別掲)。
昼休みをはさんで、証拠調べがあり、証人尋問に移った。
検察側の証人として、「11・13説明会」当日に大阪市の「警備の総括担当」であったという大阪市建設局建設企画課・課長代理Aが登場。傍聴席とA証人との間には、遮蔽物が設置されAの姿を見ることができない。これで「公開法廷」と言えるのか。
証人Aへの尋問をとおして、説明会は市民の声を聞くためでなく、「がれき焼却が安全である」ことを(一方的に)説明するための会であったこと、事前に市と警察が打ち合わせをおこない、区民ホール3階第4会議室を警察のために確保したこと、この日の逮捕は、最初から最後まで警察主導でおこなわれ、市当局が、警察の言いなりになって、逮捕の機会をつくりだしたことなどがあきらかになった。
●第2回公判
(10:00〜17:20)
この日は、弁護側証人=下地真樹さんへの尋問がおこなわれた。下地さんは、主にがれき広域処理の問題の「おかしさ」について証言した。
午後からは検察官による反対尋問がおこなわれた。検察官は、昨年の「原発いらん! 被曝させるな! 11・11関電本店1万人大包囲」で、下地さんとぱぉんさんが司会をしたことをとりあげ、二日後に控えた「がれき説明会」の粉砕を扇動したとか、2人が「粉砕する決意」を表明したという証言をひきだそうとしたが、事実ではないため、失敗に終わった。
次回(第3回公判)は9月17日午前10時〜12時、大阪地裁102号法廷。
(コラム)
もしも逮捕されたら・・・
あわてずに弁護士を選任しましょう。
「03―3591―1301(サーゴクイリイミオーイ) 救援連絡センターの指定する弁護士を選任する。代表弁護士は葉山岳夫である」と言いましょう。
3面
守れ!経産省前テント シリーズF
力結集し閉塞打ち破れ
大阪で経産省前テントひろば応援団が結成された。発言は前衆院議員の服部良一さん(7日) |
9月15日、関電大飯原発4号機の稼動停止(定期点検入り)によって、国内原発の稼働ゼロが再び実現された。昨年の6/30〜7/2大飯再稼働阻止闘争は、「大飯の乱」と呼ばれた。そこには旧来の政治党派には知られざる青年・女性・母親たちのべ1000人が登場。闘争現場となった大飯原発のゲート前を車輌でバリケード封鎖し、解放区を創り出した。このたたかいは大きな話題となり、奇跡的現地闘争といわれている。
新たな出発の日
そして、今年の9月15日は日本全国における原発再稼働阻止闘争の新たな出発の日となった。
現在、伊方(愛媛)、玄海(佐賀)、川内(鹿児島)、泊(北海道)などが、再稼動の先陣を切る可能性が高まっている。最悪の場合は、年内の再稼動が実行されるともささやかれている。
さらに、東電・福島第一原発が、放射能汚染水の貯蔵・管理に失敗し、あらたにシビア・アクシデント・レベル3という国際評価をくだされた。「これは再稼動どころではない」という危機感がおおくの人びとのあいだで高まっている。
こうした東電・福島のカタストローフの危機感を打ち消すように、2020年の東京オリンピックが決定された。スポーツ業界が浮かれている「不謹慎な勝利感」は、福島原発事故の被災者のあいだに強い憤りをわき起こしている。
憲法改悪やTPPによる市場の海外明け渡しなどと同時進行で、国家の威信回復と軍事国家への民衆再統合をもくろむこのオリンピックは、ナチス・ヒトラー政権のベルリン・オリンピック(「民族の祭典」)を想起させる。
応援団・関西 結成!
こうした情勢下、大阪で、「福島事故は終わっていない 安倍政権の原発推進を許すな! 9・7経産省前テント応援の集い」が開催された。
橋下・維新の暗躍、大阪都構想、関電本店前抗議闘争弾圧、汚染がれき焼却反対運動弾圧など関西発と言ってもいい問題を見据えながら、脱原発の直接民主主義運動のシンボル、経産省前テントひろばの立ち退き請求訴訟の応援団を関西で結成した。
「東京にはようついてゆかん」関西のひとびとによって、もはや閉鎖的になったり、独善的になっていることを許さない現状を打破すべく、関西ならではともいうべき独立独歩の運動の基盤を整備・拡充する取り組みがはじまった。こうした各地方の取り組みが、経産省前テントひろばを守るために最も強力な援助になる。
7日の集会は、かつて国会議事堂の中から、テントひろばを支援し、ハンストにも参加した前衆院議員の服部良一さんが大阪から呼びかけ、京都の仲尾宏さん(京都造形芸術大客員教授)、兵庫の北上哲仁さん(川西市議)がこれに呼応した。
この日、東京からは、経産省前テントひろば代表の淵上太郎さん、経産省前テントひろば応援団事務局の八木健彦さん、弁護団から吉田哲也さんなどが参加。
関西応援団に、テント裁判の現状を説明し、それぞれの立場からの応援団への期待が述べられた。
滋賀県からは高瀬さんが木原さんをつれて駆けつけてくれた。専門家・木原さんに、東電福島第一原発の放射能汚染水問題にかんする見解を参加者が要請する一幕もあった。
さらに、浪花の歌う巨人「パギやん」こと趙博さんやロックバンド〈はちようび〉などが世話人になってくれた。
まずはこうして、経産省前テントひろば応援団・関西は、正式に発足した。11日のテント発足二周年集会、12日の第3回公判については、次号でレポートしたい。11日夜8時ころ、経済産業省包囲ヒューマン・チェインは成就した。福島の現在、福井の未来は、密接に関連している。地域の垣根を越えて、きずなを強くしてゆこう。(Q)
動かすな!島根3号機
9月2日、〈島根原発3号機の運転差し止めを求める訴訟〉の第一回口頭弁論が、松江地裁でひらかれた。原告側は「中国電力・島根原子力発電所3号機の運転をやめさせる訴訟の会」に結集した428名の原告、93名の弁護団、240名のサポーター。
県庁所在地に原発
島根原発は県庁所在地にある唯一の原発。県庁までわずか9q、オフサイトセンターも松江市役所も日赤などの大病院も10q圏内にある。建設中と言われる3号機は施設の工事も終わっており、3年前の10月には敷地内への燃料搬入も完了している。
しかし運転開始前の最終段階で、原発の心臓部ともいえる「制御棒駆動機構」の故障で、1年近く「原因究明」に費やした。運転予定を延期せざるを得なくなった間に3・11が起きた。そのため、未だ炉内に燃料棒は入れられていない。それでも国と中電は、福島第一原発事故後最初の新設原発として、稼働への動きを強めている。
設置許可は「失効」
3号機の設置許可は福島第一原発事故以前の古い安全指針などに基づいて出されている。許可は失効しているというべきだ。原告は、「国による原子炉設置許可の無効確認」や「中電に対する運転差し止めを求める」など三つの件で、今年4月24日に提訴。国、中電はいずれも答弁書で請求棄却を求めた。沖縄や北海道などからも原告団に参加していることを取り上げ「原告適格があるかないか特定できない」と門前払いを求めた。また「3号機は新規制基準に今後適合する」と強弁しようとしている。
完成している3号機の運転を阻止すれば全国の原発新設を食い止めることができる。「訴訟の会」では今後もサポーターの募集を続け、たたかいの拡大を図っている。
※詳細は「島根 訴訟の会」で検索、HP参照。
がれき説明会弾圧 冒頭陳述
抗議は正当、逮捕は不当
9月3日、大阪地裁で開かれた「がれき説明会弾圧」裁判の初公判で、ぱおんさんと韓基大さんがおこなった冒頭陳述の要約を掲載します。関西大弾圧救援会ブログに掲載された陳述を編集部の責任で要約しました。
人を傷つけているのは誰か
ぱぉんさん私は環境省が言い出した震災廃棄物の広域処理に対し、最初から反対運動に関わってきました。原発事故による避難者が西日本には大勢います。西日本の地域を汚染から守ることこそ、いまだ避難できない原発事故被害者や被災者のためになると反対してきました。
私にはアトピー・アレルギーや混合性うつ障害などの持病がありますので生命の危機を感じ、焼却など絶対に認められないと反対してきました。
大阪市はこれまで、此花区民や大阪市民に参加を限定した説明会を重ねてきました。どれも周知徹底がまったくなされず、反対する私たちが自作ビラを配ったり、ネット上で情報を拡散してきました。
11月13日は、試験焼却前の最後の住民説明会でした。当日、現場で会った職員はこれまでと同様、話しかけても逃げるばかりで話し合いに応じる気配などまったくありませんでした。そして、今この裁判にかけられている抗議行動をやりました。誰が言い出したわけでも扇動したわけでもありません。私がやっていたのは大阪市に対する正当な抗議です。
私たちは誰一人とも傷つけたりしてはいません。むしろ多くの人を今も傷つけているのは誰でしょうか? 日々空気を汚染し、多くの人を市外へと避難させたのは一体誰でしょうか? 暴力をふるっているのは一体誰でしょうか? あいつだと指をさされ、逮捕容疑も告げられず、1人に対し一体何人の警察官で暴力的な指名逮捕をしたのでしょうか?
私は105日間の勾留ののち、2月25日に保釈されました。勾留中は薬をもらえず、持病がひどく悪化しました。憲法研究者に「これ以上の勾留は憲法36条が絶対に禁じる拷問だ」という声明を発表してもらったことにより、ようやく保釈が認められました。あのまま勾留が続いていたら、私という人間は殺されていたんじゃないかと、今でもそう思っています。
表現活動否定する起訴は不当
韓基大(ハン・キデ)さん抗議行動としてなされる表現活動が威力を伴うのは自然なことである。抗議を受ける側が威力を感じないのなら、かれらが反省したり、間違いがなかったかもう一度考え直すということが起こらない。抗議行動を威力業務妨害とする警察、検察の判断は日本国憲法の21条表現の自由を侵害するものである。私の昨年11月13日の此花区民ホールロビーでの行動が正当な理由のある表現活動であったかどうかを判断に入れず、威力妨害罪で起訴したことは不当である。
ガレキ広域処理に反対する人の多くは環境省と大阪市がこの一部の資本家の利権を守る為に、安全性も必要性も無視してガレキの広域処理を強行していくのを見ていた。
環境省が設置した「災害廃棄物安全評価検討会」の議事録は、市民団体からの開示請求を受けて以降、作成することも止めてしまった。また大阪市は検討会会議録が無いことを一切問題にせず、環境省の判断を理由にガレキの焼却は安全であるとして橋下市長の旗振りのもとガレキの受け入れに邁進した。
被災地の復興の為に必要とされたガレキの焼却処理は、広域処理で放射能ガレキを拡散することが当面の目的であり、真の目的は原子力の推進の為に復興を人質にして人々を被曝に慣れ諦めさせること、抵抗の芽を摘むことが目的だったと私は確信している。
福島第一原発の状況を考えれば収束することなど絶望的である。原子力の利用継続のために全国に放射性物質を拡散させるなどもってのほかだ。
大阪市において、ガレキ広域処理を強引に受け入れの方向に持ち込んだのは橋下市長だった。関西広域連合が大飯の再稼働を容認したのも橋下市長が電力不足を理由に、「秋までの再稼働は仕方がない」と言い出したからだ。事実、電力は足りていて大飯原発を再稼働する必要性はどこにもなかった。
私には抗議する理由があった。大阪市には抗議される理由が充分にあった。
4面
橋下・維新を堺で倒せ
「都構想」の帰すう決する堺市長選
堀口 龍雄
堺市長選挙(15日告示、29日投開票)がいよいよ間近に迫った。現職の竹山修身氏を自民支持、民主が推薦、共産支持、社民党も推す。
維新の会は候補者がなかなか決まらず、読売テレビのアナウンサーに立候補を要請し断られ、東国原英夫の擁立を検討したり、右往左往の挙句、市議団幹事長の西林克敏氏に決定した。事実上の一騎打ちとなる。公明党は自主投票を決め、市民運動グループは竹山を応援する。
1.「ブタ対チンパンジー」
「あの市役所には税金をむしゃむしゃ食べまくった太ったブタがいます。この太ったブタを追い出し、自分たちのことは自分で考える堺をみなさまの手で作っていただきたい 」
西林の選対本部長馬場伸幸衆院議員が、8月26日に南海堺東駅前で行われた街頭演説で、竹山市長が税金を無駄遣いしていると主張、揶揄した(※注)。
大阪市議会選挙で維新の会から立候補し落選した村田たかおは「まあ、選挙突入後、橋下市長が堺東駅前あたりで3回くらい街頭演説すれば、どんなチンパンジー候補を立ててもWスコアで楽勝するでしょう」とツイッターで放言した。
橋下は竹山を「裏切り者」と罵倒する。確かに前回の市長選では、大阪府政策企画部長を辞めて出馬した竹山が、当時府知事だった橋下の支援を受け、現職に大勝した。だが、選挙の約4カ月後に橋下が「二重行政を解消する」などとして都構想を提唱。竹山は「大阪府と堺市に二重行政は存在しない」と反発し都構想の制度設計を行う法定協議会への参加を拒み、橋下とたもとを分かった。
しかし、「裏切り者」ということなら維新側も他人を非難できる筋合いではない。
前回の市長選で西林や選対本部長の馬場は、自民党市議として現職の木原敬介を推し、橋下陣営と対立していた。ところが、その半年後の10年4月、西林と馬場はそろって維新に寝返った。
何よりも橋下自身が自民党推薦で府知事になっておきながら、自民党から議員を引っこ抜いて「維新の会」を立ち上げた「大裏切り者」である。
まさに「天に唾する」とはこのことだ。こうした橋下・維新の会のなりふりかまわぬ「舌戦」の背景には維新の強い危機感がある。
2.瀬戸際の橋下・維新
4年前の堺市長選挙は、府知事の橋下が部下であった竹山を担ぎ、オール与党の現職を打倒した。
橋下は堺市長選の勝利で勢いを得て、府内の自治体首長に対し「自分の言いなりにならない首長には刺客を差し向ける」と脅して屈服を迫った。
同時に、橋下人気で選挙に圧勝できると「大阪維新の会」を立ち上げた。以降、維新の会はとにかく議員の椅子にしがみつきたい自民党の若手を中心に勢力を拡大。2011年一斉地方選挙で府議会過半数獲得、同年11月での大阪府市ダブル選挙で「圧勝」、さらに国政進出と、急膨張を遂げてきた。
総力戦体制
しかし、今年に入り宝塚、伊丹両市長選で敗北。橋下の「慰安婦」発言で国内外から弾劾され、参議院選挙では得票を大幅に減少させ、獲得議席が8議席と伸び悩んだ。橋下は再び「大阪都」実現で態勢の立て直しをはかっている。
竹山に勝てるかどうかが、橋下・維新の命運を決することになった。堺の参加しない大阪都などありえない。もし負けた場合には、大目標である「大阪都構想」の実現がほとんど不可能になる。大阪維新の会での橋下の求心力は低下するだろう。大阪での橋下人気も急落してしまうおそれがある。そうなれば、橋下の国政進出の野望もついえかねない。
橋下の政治生命がかかった「本丸」決戦。「大阪府議・市議団、堺市議団、国会議員団、大阪の経済人。『五位一体』の総力戦をやる」。維新の国会議員団幹部は、衆参の全議員に最低3回は堺市に応援に入るよう指示したという。
橋下が直接、市民に訴えるタウンミーティングを29日から9月8日まで開催した。東国原、アントニオ猪木らの応援も予定。「維新の命運を賭けた戦い。負けるわけにはいかない」と、まさに総力戦体制だ。
3.行き詰まる「都構想」
今年2月16日、痛ましく衝撃的な出来事が報道された。
2月14日午後4時25分ごろ、男子児童がJR片町線野崎駅で快速電車に飛び込み、はねられて死亡した。
大阪府大東市教委などによると、15日午前に男子児童の両親が遺書のコピーを持参して来校。メモには「どうか一つのちいさな命とひきかえに、とうはいごうを中止してください」などと学校の統廃合の撤回を求める内容が書かれていたという。
市教委によると、市内の小学校3校が4月から2校に再編され、男子児童の通う学校は閉校が決まっていた。
地域の意見も聞かず、児童の思いも踏みにじって闇雲に学校統廃合を強行する「橋下改革」がこの悲劇を生んだのだ。
水道統合が破産
大阪府内42市町村が運営する大阪広域水道企業団と大阪市が協議してきた水道統合について、大阪市は6月19日、統合を事実上断念した。
統合に関する議案が5月市議会で否決された上、企業団との統合条件に関する調整の見通しがたたない。橋下は「府域一水道」構想を、府市統合・大阪都構想の重要な柱と位置づけ取り組みを進めてきた。このダメージは大きい。
相次ぐ不祥事
大阪市は2013年度から全国公募で11人を市立小中学校長に採用したが、不祥事が相次いでいる。読売新聞が8月28日、4月に市立小に赴任した民間出身の男性校長(59)が、女性の保護者に私的なメールを送ったり、同じ女性の体を酒席で触るなどのセクハラ行為をしていたと報道した。この校長はこの女性を含む数人での飲食会を数回開いていて、そのたびに体を触ったという。6月には同じく公募で採用された市立小学校の校長(38)が、就任から3か月足らずで退職することになり物議を醸した。
公選制を謳っていた区長も公募にすり替えているが、こちらも不祥事が相次ぐ。民間出身の区長が昨年8月にツイッターで、自身に批判的な投稿者に対し「アホか」などと書き込み、橋下から口頭注意を受けた。
今年3月には当時の東住吉区長が重要な会議を欠席したとして更迭された。さらにその後、年金記録に関係する文書を改竄(かいざん)し、市に提出したとして分限免職処分になった。橋下は8月28日、「公募制度は見直さない」と強調したが、その直後に今度は男性区長(54)のセクハラ疑惑が明るみに出た。
大阪都は実現不可能
「橋下改革」は破産続きだ。本体の「都構想」も行き詰まっている。
「都構想」を巡り、府と市は、具体的な制度設計を議論する法定協議会に、都構想で節約できる「効果額」は976億〜736億円との試算を盛り込んだ事務局案を提示した。松井は就任直後、二重行政解消により府市の合計予算の5%に当たる年間4千億円削減できるとしていたが、今回の試算でそれがデマだったことが暴露された。
法定協では都構想の実現可能性に疑問の声が出た。しかし橋下は「一歩一歩進んできて都構想の姿形が見えてきた」と強弁している。
来年度初めには、法定協で区割りを確定。同6月までに最終的な制度設計である「協定書」を完成させ、来秋にも住民投票で是非を問うとしている。しかし法定協の日程は約2カ月遅れており、スケジュールがずれ込むことは避けられない。
今回の事務局案は、市を中核市並みの権限を持つ区に再編した場合、将来的に職員を約4200〜1200人削減できると試算。人件費圧縮効果として約270億〜30億円を計上した。
効果額を水増し
事務局案は 改革効果を、「制度の実現前から取り組んできた改革と実現後に発生する効果すべて」と幅広に定義。都構想とは別に取り組む市営地下鉄の民営化による効果約275億円や、市単独で実施している市民サービス削減などの効果237億円も含めたとしている。
効果とコストの金額だけを抜き出すと、効果額は年間976億〜736億円、コスト増は年間約130億〜60億円、初期費用が約640億〜300億円とされている。効果額は、「都構想と関連の薄い項目」で水増しされている。実質は、水増し分を差し引いた効果額からコスト増を引いた部分になる。「無駄を省く」というがほとんど実効はない。
4.「堺はひとつ」
竹山市長は「堺はひとつ」を合言葉に反都構想勢力の結集を呼びかけている。マニフェストでは「堺市と大阪府の間に無駄な二重行政はありません。大阪都構想により堺市が廃止・分割されると堺市の『自治』は奪われます」と訴える。
確かに堺市にとって都構想は百害あって一利なしだ。政令指定都市になったばかりだというのに権限のない2〜3の特別区に分割する。2011年度実績で1300億円の市税収入の内460億円を「大阪都」に吸い上げられる。
政令市の権限である教員採用や都市計画、国道・府道の一体管理なども取り上げられる。何よりも「自治都市堺」として歴史的に培ってきた誇りが奪われることに堺市民は怒っている。
日本のビジョン
しかし争点をそれだけにとどめておく訳にはいかない。9月7日、サンスクエア堺で行われた「なくさんとって、うちらの堺 堺大好き、堺っこ大集合」で 中島岳志さん(北海道大学准教授)が「市民にとっての『都構想』」と題した講演で提起したように単に「橋下か反橋下か」や「都構想賛成か反対か」ではなく、「グローバル競争に勝つことをめざし、人々がどんどん孤独になっていく競争社会」か「誰もが、自分の居場所や出番のある社会、生きていることに意味を実感できる社会の確立か」かという、これからの日本のビジョンを賭けた闘いにしなければならない。
橋下の府知事としての実績を見ても大阪が少しでも良くなったというものは何もない。
「大企業に金を集中し、大企業がもうかればやがて国民もうるおう」という路線はすでに破産し、格差と絶対的な貧困が拡大した。弱いものは去れ、強いものだけが生き残れというとんでもない弱肉強食の社会が「橋下改革」の帰結だ。
3・11でわれわれは経済成長を前提にしたような大量生産、大量消費という戦後日本のあり方の根本的破産を突きつけられた。その反省の中で「経済成長はなくとも人々が様々に結びつきあって生きていける社会をつくろう」と考えたのではなかっただろうか。それと都構想をかかげる橋下・維新の会はけっして相容れない。堺市長選は双方がまっこうからぶつかる。西林をたたき落し、維新を打倒しよう。
(※注)実は馬場こそ税金を食べていた。自民党に所属していた2009年、自身が代表だった自民党支部に221万円を寄付した上で、後援会に211万円を迂回(うかい)させていた。
5面
堺市長選 〜市民からのレポートA
「竹山vs維新」正面激突
「なくさんとって、うちらの堺」大阪都構想に反対する市民が集結(7日 堺市内) |
焦る橋下・維新
注目の堺市長選挙は、いよいよ激闘の様相を呈してきた。
竹山おさみ・現市長vs橋下・維新の正面激突となっている。各戸ビラ、街宣など竹山陣営「本隊」と、「維新はいらん」「維新よりマシ」など数々の勝手連が入り乱れている。市民の間では争点が明確に理解されだしている。
これに焦った維新は「堺がなくなるというのは嘘です」「財源もちゃんと渡します」と言い訳ビラを配布しはじめた。4月の宝塚市長選挙で戦況不利と読んだ橋下・維新が、「宝塚はなくしません。伊丹空港の存廃も論議しましょう」と終盤に言い出した。それと同じような展開だ。
橋下はサラ金・商工ローン業者の顧問弁護士。借金漬けのオヤジが「サラ金で借金できたら、ちゃんと生活費渡すがな。家庭も崩壊させへん」と言っているのと同じ言い訳である。橋下は「自民党から共産党まで支援するなんてありえない。市民不在の構造」と絶叫している。そんなことで「保革」をこえ、「もう、維新・橋下だけはけっこうだ」という堺市民の思いがゆらぐものではない。
「都構想」は幻想
維新こそ、「何か改革してくれる。大阪都で経済効果が4千億円も期待できる」と、根拠ゼロの荒唐無稽な幻想をふりまいているにすぎない。大阪市では、市民施設は次々に閉鎖。赤バスは廃止。各種補助金のカット、保育所民営化などの弊害が顕著に現れている。
「大阪都構想」のかけ声で、それを堺に押しつけようとしていることが明らかになってきた。大阪都で生じる「経済効果」があるとすれば(マイナスの可能性が強いが)、カジノやオスプレイ着陸空港や関空・南港利権につながる鉄道新線、公募と称する維新お手盛り採用の区長・校長・特別顧問への高額報酬に浪費すること。
「百害あって一利なし」「大阪都・維新の強権政治」の認識が市民に広がりつつある。とはいえ、維新礼賛のテレビ・マスコミの影響力も小さくはない。
激戦を制するのは
大変なたたかいになるのは間違いない。9月7日、堺市内で250人が集まり「なくさんとって、うちらの堺」という市民集会がおこなわれた。9月15日告示、29日の投開票に向け、熱い戦いの真っ最中。維新・橋下の強権暴力政治を粉砕する絶好の機会だ。支援に駆けつけてほしい。市内在住者への「電話」をかけてほしい。(道下 悟)
映画評
「こっそりと憲法改悪」なのか
重なる「少年Hが見た時代」
水谷豊は好きだ。蘭ちゃんもよかった。
少年Hが育った町は、阪神淡路大震災のとき関西合同労組がテントで生活労働相談をおこなった神戸市の長楽(ながら)公園付近。母親が編んでくれたセーターの胸に少年「肇」のHが大きく入っていたことから、「H」と呼ばれた。Hは、公園のすぐそばの長楽国民学校に通っていた。空襲から50年後、あの大震災の被害が重なった町だ。
空襲の場面は生々しいが、映画はHと家族や人と交わりを追いながら時代を描く。食料品の統制や父の仕事など暮らしにも、徐々に戦争がしのび込む。中国への戦争、侵略、日米開戦。だが国民は、日々の暮らしを生きる。Hの父親・盛夫は、神戸という土地で腕のいい洋服の仕立屋。外国人の顧客も多かった。妻の敏子はクリスチャン。自由で、伸び伸びした雰囲気の家庭が営まれていた。しかし、洋楽レコードを聴かせてくれた近所のウドン屋の兄ちゃんが思想犯の疑いで警察に逮捕され、Hの周りにもしだいに暗い、不安の陰が近づく。
映画とは別だが、その時代の少し前、普通の人たちをも治安弾圧が襲う。神戸の例。「戦争で儲けるのは資本家や。国防献金なんかせんでもええ」と喫茶店で話した市民、「ハガキ1本で命を捨てるのはつまらない」と便所に落書きした職工が検挙されている。禁固8月や謹慎、起訴猶予だったが、人々は無言の自粛を強いられたに違いない。
神戸大空襲
Hは素直に「なんで」「おかしいやないか」と見たこと、思ったことをいう。盛夫は「スパイ、非国民」といわれるのを恐れ、「考えたこと、信念を心のなかにしまっておくことも大事だよ」と諭さざるを得ない。妹の好子は学童疎開に。盛夫は兵隊に行くのを避けようと、消防隊に入った。そして3月17日、神戸大空襲。町は焼夷弾に焼き払われた。猛火のなか、Hは母親・敏子といっしょに2階から父の大事なミシンを運び出す。電信柱には「人生25年」という張り紙があった。
ようやく帰ってきた盛夫は、壊れたミシンを抱きしめる。戦後、Hは世間の変わり身の早さに不信を募らせた。そんなとき、盛夫がミシンを修理し始めた・・・。
平和の碑
『少年H』が公開されたこの夏8月15日、神戸・大倉山公園に〈神戸空襲を忘れない「いのちと平和の碑」〉が建てられた。8千人以上といわれる犠牲者のなかから、名前が探し出された1752人が刻まれた。姓だけの人、「大工の棟梁」「○○ちゃん」、金、李、サミュエルという名前もある。母の世代から調査を引き継ぎ、68年目にようやく建設の運びに。神戸空襲を記録する会による非戦の思いが込められている。
「集団的自衛権行使」「国防軍創設」「緊急事態(一切の権利停止)」という自民党憲法草案の時代。若い世代に、見てほしい。(R沙)
書評
『「シベリアに独立を!」〜諸民族の祖国(パトリ)を取り戻す〜』
田中克彦著・岩波現代全書 2013年6月初版 2100円+税
知られざるシベリア分離・独立運動
謎の「独立宣言文」
1865年、帝政ロシアのシベリアの陸軍幼年学校でロシアからの分離・独立を呼びかける(いまだに誰が書いたかわからない)宣言文が発見され、それをきっかけに多くの若者が逮捕され、長期投獄の上、シベリアに流刑された。ドストエフスキーが流刑されていた同じ時期だ。
首謀者としてコサック出身の若い将校グリゴリー・ニコラエヴィッチ・ポターニンは、ドストエフスキー、バクーニンがいたオムスク監獄に送られた。ポターニンはバクーニンに大きな影響を受けたといわれる。
シベリア自治主義者
この本では、ポターニンを中心に繰り広げられた仲間たちをはじめとしたシベリア・オブラストニキー(シベリア自治主義者)たちの人間模様が語られる。獄中での研究活動を許された彼らは、刑期を終えて(1871年)、シベリアの民族(多数ある)の遺跡、生活やことばを民俗学的に調査する探検に喜んで出ていく。
自治、独立を望んでいる自らの故郷(ふるさと)なのだから。中でもポターニンの研究は、ロシア帝国の地理学会で名声を得、世界的にも民俗誌の資料収集家として知られている。
ロシア革命の中でソ連からの分離・独立を願うポターニンは、1917年二月革命の報を聞いてエスエルに入党し反ボルシェビキの道をたどる。1918年成立した臨時シベリア政府によって「シベリア名誉国民」の称号を贈られる。
1919年12月、赤軍がトムスクの地を制圧する中で、翌年多くが反革命として秘密警察チェカーによって処刑され、ポターニンはトムスクの病院で肺炎と脳溢血を患い亡くなった。
アイヌとシベリア
じつは、この表題に惹きつけられて読んだ。その原因を作ったのは、テッサ・モーリス・鈴木が書いた『辺境から眺める〜アイヌが経験する近代〜』(みすず書房刊 2000年)だった。
その中に、1930年頃に帝国主義と共産主義というまったく正反対の思想を持つ日本とソ連が、アイヌとシベリア諸民族をともに同じような同化政策で滅亡への道を強制していたという指摘に、驚いた直後だったからだ。そこで彼女は「過去に対するマルクス主義者・非マルクス主義者双方のアプローチは、19世紀的な人類進化の発展段階論に広範な共通基盤をおいていた」(同書90頁)と指摘している。
シベリアについてまったく無知であった私にとって、アイヌの問題を追い求めていた時に出会ったこの指摘は非常に重要なものであろうと思う。
日本における現在の植民地問題として沖縄、アイヌの問題を考えていた私に、いきなり少数民族の問題、ジェンダーの問題総体が突きつけられたように思えた。
なお、著者の田中克彦さんが、「土人」「ドジン」という言葉をまったくこだわりなく使い、シベリアの「国内植民地」問題から日本の沖縄に触れながら、アイヌに触れないことには非常な違和感を覚えた。(M)
健康ひろば(1)
お酒は『百薬の長』?
お酒と肝臓
日本酒のおいしい季節になりました。お酒は血液の循環をよくし、全身を活性化させ、緊張をといてリラックスさせる力があり、『百薬の長』と言われます。しかしそれも、量しだい。お酒を分解して解毒する役割の肝臓は、病気になっても自覚症状の現れにくい「沈黙の臓器」。「大丈夫、大丈夫」と高をくくって飲み続けると、実は肝臓は悲鳴をあげているかもしれません。
「体の中の番人」
肝臓の働きは「解毒」だけではありません。食事でとった栄養はそのままでは利用することができないため、肝臓ではアミノ酸をタンパク質に、糖質をグリコーゲンのようなエネルギー源に、脂質をコレステロール等に、作り替える代謝をおこなっています。
お酒が『百薬の長』と言えるのは、日本酒で一日あたり一合(ビールで500ミリリットル)まで。それ以上の飲酒の場合は、知らず知らずのうちに肝臓を傷つけてしまいます。〔Y〕(つづく)
6面
京都に米軍基地はいらない
京丹後市にXバンドレーダー設置を計画
2月22日におこなわれた日米首脳会議の合意事項として、京丹後市の航空自衛隊経ヶ岬分屯基地へのXバンドレーダーの配備、すなわち日本で133番目の米軍基地の設置が決められた。同26日には防衛省幹部が京丹後市と京都府を訪れて配備方針を伝え、その後説明会や「説得」が続いている。
防衛省の説明では、法制度上米軍基地という位置づけになり、配置の人員は160人程度で、多くは軍属身分の企業の技術者や警備員で日米地位協定が適用される。米軍人、軍属は、日米地位協定により外交官並みの治外法権がある。
1.Xバンドレーダーとは
米のMDシステム
Xバンドレーダーは、米軍による米本土をはじめとした世界規模のミサイル防衛システムの一環である。米軍のミサイル防衛(MD)システムは、3段階でミサイルを撃ち落とそうとするものである。
第一段階はミサイルを打ち上げた段階(ブースト・フェイズ)で、ゆっくりと上昇しているミサイルをレーザーで撃ち落とそうというもの。これはまだ開発段階にあり実用化していない。日本にはまだレーザー兵器はない。
第二段階は大気圏外を飛ぶミサイルを撃ち落とそうとするもの(ミッドコース・フェイズ)である。これはイージス艦から発射されるスタンダードミサイルで撃ち落とす。横須賀の米軍イージス艦や舞鶴の自衛隊イージス艦には、その最新型であるSM3が配備されている。
第三段階は、 落下してくるミサイルを撃ち落とそうとするもの(ターミナル・フェイズ)で、これがパトリオットミサイルである。すでに米本土や日本にはその最新型のPAC3が配備されている。
人体への影響も
Xバンドレーダーは、元々はサードシステムという地域防空システムとして、現在開発中のサードミサイル(パトリオットミサイルより優秀とされ、より上空で敵ミサイルを撃ち落とすミサイル)と一体で開発されたものだ。レーダー本体と発電機、冷却装置などからなるユニットで構成され、車両による移動が可能である。
目標物の形状を明確に識別する能力を持ち、発射された弾道ミサイルを遠方から精緻に追尾できる高性能レーダーだ。日本配備の目的は、朝鮮民主主義人民共和国のミサイルを「最前線の目」としてキャッチするため。X帯の周波数の電磁波で、10ギガヘルツ前後の高周波を1000キロ以上先まで照射する。米軍がデータを公表しないため、はっきりしたことはわからないが、人体への影響が懸念される。
レーダーの半径200〜300m以内は、テレビやラジオの電波障害が起こる。携帯電話は使えない。電磁波照射方向の半径6q、高度6q以内は飛行禁止区域となる。
このレーダーの目的は打ち上げられるミサイルが本物かどうかを識別し、その発射角度を割り出すことにある。同様の周波数の電磁波は、速度違反取り締まりや野球のスピードガンなどに使われているが、ミサイルの補足を目的としたXバンドレーダーは、桁外れに強力な電磁波を照射する。
空自経ヶ岬分屯基地。この基地の中にXバンドレーダーが設置される。(京丹後市) |
傭兵部隊を配置
このXバンドレーダーは、米本土のテキサス州で開発されている。すでに2006年青森県つがる市の航空自衛隊車力(しゃりき)分屯基地に配備されている。車力には、約100人の部隊がいるが、ミサイル防衛システムの部隊である米陸軍の軍人はたったの3人。60〜70人は技術者で、このレーダーをつくったレイセオン社の社員である。
レイセオン社は、日本の三菱重工と一緒にスタンダードミサイルの開発もおこなっている。残りの30〜40人は傭兵で、Xe社というイラクで虐殺事件を起こして問題になった、旧名ブラックウォーターという米民間軍事会社の社員だ。彼らは軍属という身分になる。
ちなみに車力では、配備されて1年の間に7人が強制的に帰国させられた。また近隣の女性宅への不法侵入事件や、酒気帯び運転による逮捕事件が相次いでいる。ついには酒気帯びによる自損死亡事故まで起こし、地元では重大な社会問題になっている。
Xバンドレーダーは世界に7台しかない最高機密のレーダーである。米国外に配備されているのは、最初が青森県つがる市(車力)、2番目がイスラエル、3番目がトルコ。4番目を京丹後市に配備しようとしている。
宇宙からは早期警戒衛星がミサイルを捉え、赤外線を利用して発射を確認し、飛翔を追尾する。これと同時にXバンドレーダーが捉えた発射角度や弾頭の材質等をコンピューターに入力して直ちに分析し、ミサイルの着弾点等を確認して対応する。車力から約100キロの地点に米軍の三沢基地があるが、ここにJTAGS(総合戦術ステーション)と呼ばれるコンピュータシステムが配備された。06年に車力にXバンドレーダーが配備された翌07年のことである。
このJTAGSでXバンドレーダー等の捉えた情報が直ちに分析される。朝鮮民主主義人民共和国から発射されたミサイルは、日本に到着するまで7分もかからない。遅くとも2〜3分間でコンピュータが分析し、そのデータを米本土に送り、さらに横田基地に転送する。横田基地の中には、12年に設置された日米共同統合調整所がある。日本が独自に開発したFPS―5(通称ガメラレーダー)が捉えた情報もここに集中する。
ミサイル防衛に関しては日米の共同体制がすでにできている。Xバンドレーダーや、PAC3、イージス艦とSM3等がすべて配備されているのは米国以外では日本だけである。「集団的自衛権の行使」の是非を議論する以前に、すでに日本とアメリカは、ミサイル防衛にかんしては一体化しているのだ。
2.地元住民と連帯して
青森県の車力基地の場合、地元の集落と数キロ離れているが、京丹後市の場合、地元集落とは数百メートルしか離れていないし、九品寺(くほんじ)という寺は隣接している。地元の宇川地区は、650世帯、約1700人が住んでいるが、多くの人が不安を感じている。当然ながら米軍基地建設に賛成している人は一人もいない。京丹後市の東隣の伊根町でも、反対の行動がおこなわれている。
9月17日に開会する京都府議会で府は、基地受け入れを表明をしようとしている。10日には府庁に対する申し入れ行動がおこなわれた。20日には、キャンパスプラザ京都(JR京都駅北側すぐ)において、「止めよう経ヶ岬の米軍レーダー・危険な戦争準備を許さない」緊急府民の会・南部連絡会主催の「京都に米軍基地はいらない! 9・20緊急集会」がひらかれる。多数の参加を訴える。(京都 T)