未来・第123号


            未来第123号目次(2013年3月5日発行)

 1面  TPP交渉参加に反対しよう
    ねらいは究極の規制緩和      

     「傷害」でっちあげ強制捜査
    警察が在特会の妨害活動に加担

     東電を起訴せよ
    福島原発告訴団が東京地検を包囲
    2月22日

 2面  除染の現場から(下)
    −ある親方の証言      

     「原発再稼働」を明言
    安倍・施政方針演説      

 3面  私たちは黙らない!
    安倍・橋下の教育支配と闘う
    2月11日 大阪      

     教育反動に負けないぞ
    全国各地の活動を交流
    2月10日      

     再任用拒否に抗議
    大阪府教委を追及      

     「本名は自分のルーツ」
    金稔万(キム・インマン)さんの損賠請求裁判

 4面  農地は命 強奪は許さない
    農地法裁判で市東さんが怒りの証言
    2月18日 千葉地裁      

    市東さんの農地を守ろう     3・17三里塚関西集会に参加しよう

    (パンフ紹介)
    「市東さんの農地取り上げを、拒もう」と、
    反対同盟からパンフレットが発行された。

 5面  13年度 安倍・政府予算案を斬る
    大企業優遇、軍備増強 貧困は拡大

     投稿
    毎日燃やして大丈夫?
    汚染ガレキ焼却の危険性

    いじめ・体罰を生む教育改悪
    「10・23通達」撤回へ決起集会
    東京

 6面  原発再稼働・ガレキ焼却反対闘争への関西大弾圧を
    共同闘争で打ち破ろう
    松田 耕典(大阪拘置所在監)            

    関西大弾圧救援     即時釈放もとめ 院内集会

             

TPP交渉参加に反対しよう
ねらいは究極の規制緩和

安倍首相とオバマ米大統領は、2月22日、環太平洋経済連携協定(TPP)について「一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」とする共同声明を発表。25日に開かれた自民党役員会は、TPP交渉参加に向けた対応を安倍首相に一任した。
安倍政権は、あたかも「関税撤廃が前提条件ではなくなった」かのようなキャンペーンを張っているが、これはとんでもないまやかしである。

秘密交渉

交渉の最大の問題点は、それが徹底した秘密交渉であることだ。つまり、「関税撤廃が前提でない」といっても実際に自国や他国からどのような提案がなされているのかは、交渉国の国民には一切明らかにされない。
ところが、企業や業界団体には提案・交渉内容がリークされ、彼らに都合のいい様に交渉が進められているのである。

関税は原則撤廃

交渉内容で唯一明確になっていることは、「関税を原則的に撤廃する」ということだ。日米共同声明の文言では、関税撤廃の原則はいささかもゆるぐことはない。実際に日本に残された交渉の余地は、せいぜい関税撤廃までの期間を5年にするか10年にするかということでしかないのだ。

農業に壊滅的ダメージ

政府はTPP参加を「第3の開国」「アジアの成長をとりこむ」などと宣伝しているが、これもデタラメだ。
すでに日本の平均関税率は2・5%。世界中で最も低い。農産物でも平均12%にすぎず、EUの20%に比較すればはるかに低い。これ以上関税率を下げても経済効果は極めて限定的だ。
内閣府の試算では、TPP参加による日本のGDPの伸び率は10年後でわずか0・54%、2・7兆円(年平均0・27%、1・3兆円)だ。これと引きかえに日本農業を壊滅させてはならない。

米国ルールの押しつけ

問題は農業分野だけではない。米国は労働、郵政、金融、保険などの分野で全面的な市場開放をねらっている。
そのための「武器」が「投資家対国家の紛争解決メカニズム」(ISD)である。米韓FTAに導入され、「毒素条項」と呼ばれている。
これは他国企業が相手国の制度を訴えて変更させるというもの。日本の企業もこのISD条項を使ってアジア諸国に打って出ようとしている。
まさに貧困と格差を深刻化させる「究極の規制緩和」。これがTPPの正体だ。TPP交渉参加に断固反対しよう。

「傷害」でっちあげ強制捜査
警察が在特会の妨害活動に加担

不当な捜索に対し「慰安婦」問題関西ネットワークが記者会見(大阪市役所)

2月13日、早朝、大阪府警公安三課は、ありもしない「傷害事件」を口実に、6カ所もの家宅捜索を強行した。翌日、さらに1カ所。在特会メンバーの「被害届」なるものによって一方的に「傷害事件」被疑者とされた4人には、昨年の関西大弾圧で2回起訴され今も大阪拘置所に勾留されている韓基大(ハン・キデ)さんが含まれている。
韓さん以外の3人には「任意出頭」の呼び出しがかかり、2月28日時点で、呼び出し状は3回届いている。いずれも無視。
問題とされた「事件」は、昨年9月23日に大阪市内で開かれた集会でのこと。この集会は、8月の橋下大阪市長による「『慰安婦』を強制した事実はない。(証拠が)あるなら韓国から出してほしい」という暴言に対して、「慰安婦」とされた被害女性が、抗議と橋下市長の謝罪を求めて韓国からはるばる来日し開催された。
開会前から、この集会の妨害を狙って、在特会など排外主義グループが、会場外で妨害行動を繰り返し、その中の一人が、会場のある建物内に侵入した。その際、会場内での妨害行動を避けるために、集会参加者が外へ出るよううながした。
加害者である在特会の言い分を一方的にかつぎあげ、利用し、警察はあわよくば4人を逮捕・起訴しようとしている。
さらに、9・23集会の主催者連絡先にも家宅捜索をおこなったことは、安倍政権と連動して、日本軍「慰安婦」問題をなかったこととするために運動体をつぶす狙いがある。

東電を起訴せよ
福島原発告訴団が東京地検を包囲
2月22日

午後4時の寒空の中、福島原発告訴団の呼びかける東京地検包囲行動が開始された。全国から622人の人びとが駆けつけ、東京地検前を埋め尽くした。
冒頭、佐藤和良・副団長は、この1カ月で集めた「4万265名の署名を持って東京地検に起訴を迫る」と決意を語り、河合、海渡、保田の3弁護士と共に、地検への申し入れに入った。提出する上申書では、「地震や津波への備えを検討した議事録などを東電から押収する」、「原発事故の現場を検証し、後世に残る調書をつくる」「甲状腺がんを発症した被災者と原発事故の因果関係をよく調べる」などを求めている。
リレートークでは、福島の方々を初め、関西、甲信越、静岡、関東、東北など各地の告訴団事務局からの発言、弁護士や広瀬隆さんの発言もおこなわれた。

いつまで愚弄し侮辱し続けるのか

「私たちは福島県内から今日のために声を掛け合って署名を持ってやってきた。なんでこんなことをしないといけないのか! 福島県民をいつまで愚弄し侮辱し続けるのか。断じて許せない。
福島県民はおとなしいといわれているが、苦しみの中でどうしようもなく立ち上がっている。毎日毎晩どれだけ涙を流してきたことでしょうか。未来の子供を生もうとする女性たちの苦しみやもだえを本当に理解してほしい。
原発さえなければ、こんな悲惨な事故は起こらなかった。11年3月11日の前に、何度も福島県庁に通って、危険な原発を動かさないでと言ってきたが、結果的にこんな事故が起こってしまった。
笹子トンネル事故ではすぐに責任者を起訴したではないか。福島原発については一体何をやっているんだ。」(福島事務局)
「原発から3キロ圏で有機農業をおこなってきました。それが一瞬にして家も土地も墓も職業も奪われました。この悔しさを皆さんにわかってほしい」(大熊町の男性)
「栃木県の那須からきました。那須も被ばく地です。関東にはたくさんのホットスポットがあるが、報道などではなかったようにされている。
国策捜査、判検交流、裏金作りなどの状況がある中で、私は検察を信用していません。戦後日本社会は、利権社会で、そこに日米安保マフィア、財務省マフィア、原発マフィアなどの集団が横行してきました。
この中で、私たちの告訴運動は市民の主権を実現する運動です。これを成功させないと戦後民主主義はめちゃくちゃになってしまう」(関東事務局)
1時間にわたる地検前行動の最後は、「東電を起訴せよ。保安院を起訴せよ。安全委員会を起訴せよ。山下俊一を起訴せよ。」のシュプレヒコールを何度も繰り返した。

東電は自首しろ

告訴団は東電前に移動し、「進んで自首し刑罰に服するよう」要請行動をおこなった。故郷を追われた16万人の人々、避難の中で亡くなった多くの人々、自殺に追い込まれた多くの人々にどう向き合うのか迫った。
告訴団は、会長や社長が出てくるよう求めたが、対応したのは東電広報部の會田満男所長だった。大熊町の男性は、「社長宛に5回手紙を出したが一度も返事は返ってこなかった」と追及。「あなた達は逃げている。自分たちの発電所から出した放射能を無主物と言っているではないか。全部汚染されてしまった。百姓やりたくてもやれない。先祖から受け継いだ土地を、あなた達によって取り上げられたんだ」、「天災のせいにしていますよね。10メートルの津波が起こることを試算していながら、対策をとっていなかった。人災なんだ。自分の罪を認めなさいよ」、「国策でやったことだから、と逃げますよね。わたしたちはどうするんですか。貴方たちの家を私たちに提供して」。男性の追及が続くが東電の答えは「申し訳ありません」「申し入れを社内で検討してお答えします」という言葉を繰り返すのみであった。
富岡町の木田さんは、「あなたたち幹部は、一般社員にどれだけ土下座させれば気が済むのか。政治家、経団連、東電幹部は結託して儲けておいて、事故が起これば、私たち市民も一般社員も捨てているではないか」と発言。
最後に、「東電は自首しろ。責任を取れ」とのシュプレヒコールをあげ、首相官邸前行動に合流した。(J)

2面

除染の現場から(下)
ーある親方の証言

民家の玄関前コンクリートの洗浄。汚染水はそのまま流していた(昨年12月19日 飯舘村)


前回に続き、飯舘村で除染作業をおこなっている地元の建設会社社長の鈴木さん(仮名)へのインタビューを掲載する。鈴木さんたちの仕事は、職人の誇りにかけていっさい手を抜かない。むしろそうであるがゆえに、除染にたいする見方は厳しい。〔取材は昨年12月から今年1月にかけておこなった〕

――除染はいつから


一発めの国のモデル事業から。去年(2011年)の10月ぐらい。いまは飯舘村をやってる。

――実際にやってみてどうですか


やれば下がるのは下がるんだけど、まあ場所にもよる。ホットスポットというのはある程度決まってて、そこだけ集中的にやってけば、とりあえずは下がる。
コンクリートは、水で洗っても(線量は)落ちない。土は、表土を取れば全然違う。あと、木がダメ。切り倒すか、木の皮を剥くか。皮を剥くと違う。
屋根は、瓦をキムタオル(拭き取り作業用、パルプ製)で一枚一枚拭き取ってる。一回拭いたら、もう汚れてるからダメなんで、折り返して折り返して、みたいな感じ。「ああ、これはどうなのかなあ」と思うけどね。
それから、雨樋に放射性物質が溜まっているから、俺なんかは、「雨樋を新しいのに交換したらいいんじゃないか」と思うけど、それはお客さんのものだから勝手に交換ももちろんできないし。 一番、激しいのは、雨どいの下の土。桁違いの数字が出る。そこは、1m×1m×1mで土を取ってしまう。で、測って、まだ高ければ、もっと掘ってという感じ。で、そこを取ると(線量は)低くなる。まあ低いと言っても、震災前よりはずっと高いんだけどね。

――作業の雰囲気は


うちは、大成・熊谷・東急のJV(Joint Venture 共同企業体)の下にいる。 監督さんらも一所懸命なんだけど、みんな初めてのことだから、一所懸命すぎて空回りしてしまうような雰囲気はあるよね。 俺らとしては、言われたことさえやればいいわけだけど、監督としては、「(線量を)下げたぞ」という結果が、技術者としても欲しいんだろう。
だから、会議なんかで言い合いになる。「そんなやり方じゃ効率悪い」とか。「風が向こうから吹いてきてるから、向こうから攻めて、こういう風にやりたい」とか。「それはできません」とか。もうできないことはできないと言う。監督も、できないと分かってて言って来るから。
それに工程的にきついよ。プレッシャーもある。除染をして数値が下がらなければ、やり直し。でも工期も決められているから、詰まってくるわけ。
俺らが手を抜くわけにもいかないし、精神面で疲れるなあと思う。
それでも、監督さんに、「無理を言って悪いなあ」とか「ありがとうなあ」と言われれば、職人としてはうれしい。

寺の屋根の洗浄。この日の気温は−2〜−1度C。空間線量は0.8マイクロシーベルト/時(昨年12月19日飯舘村)

ここは住む町ではない

――実際のところの除染の成果は


直後は下がる。でも1週間後、1カ月後、どうかね。雨どいの下の強烈なところは取り除いた。でも家一軒まるまるだからね。一戸ずつやっていくしない。そうすると地域全体としては、変わんないと思う。とくに飯舘村なんかは田圃があり、畑があり、山があり、森がありだから。
ある意味、辛いよね。心の中で、「何やらされているんだ」みたいな。そういう気持ちもある。

――原発内の作業を経験した立場から今の除染はどうですか


原発内の除染と今の除染は、言葉は同じでも全く違う。原発の方は、建屋の中が汚染されていても、建屋の外に出れば、きれいな空間。それなりの理屈がある。原発では、汚染を封じ込めて、ここから持ち出さないという風にしている。中の方の気圧も低くしてあって、外には出ない。
でも、今の除染の場合、ここを除染しても、まだこっちが汚れているから、難しいというか、今やっている除染は矛盾しているところがある。ここを除染しても、風で飛んでくれば、元に戻ってしまう。辛えよねえ。
国が細かく基準とかマニュアルを作っているけど、その通りにやれば成果が上がるとは限らない。きつい思いをして、一所懸命やってる気持ちと、でも実際には「これは無駄だな」ということがある。みんな職人だから、そういう思いはあると思う。

――一番の無駄や矛盾は


家でも倉庫でも、拭き取ったり、洗浄したりするのにお金をかけるんだったら、それは壊して、新しいのを建ててあげた方がいいなと思う。で、出たものは汚れているから、集めて散らさない方がいいんじゃないかって思うんだけどね。
自分の感覚なんかじゃ、正直な話、正常なときの(原発)建屋の中でさえ除染しきれなかったのに、これだけ(放射能)ぶちまけて、できるわけがない。

―― つまり除染しても元には戻らないと


ここはもう住む町ではないと思うね。とくに子どもたちが。 実際、みんな単身こっちにいて、家族は避難という感じだね。

――ではどうしたらいいか、現場で見えてくるものは


たまに地図を見たりすると、福島県大きいし、飯舘も大きい。面積があって、高濃度で汚染されてて、ほとんど山。広すぎて、除染なんて意味がない。
だから何十年かは、人が入れないというところを作るしかないと思う。子どもたちは、できるだけ近づけないで。

危険手当

―― 除染作業は当然、危険手当がついているわけですが、その辺は


危険手当は一日1万円、普通の賃金プラス1万円。
福島県の最低賃金が5300円ぐらいだから、「最低1万6千円ぐらい払いなさい」という話だよね。
ただ、危険手当を除いたら6千円。6千円で働く職人なんていないよ。だから、最低で2万円は出してる。
でも、自分のところでも、上の段階で相当抜かれている。やっぱり、暗黙の了解みたいな。
それから、除染だからといって必ず危険手当が着くかというと、川俣町はつかない。
飯舘村は環境省だけど、川俣町は町でやっているから。被ばくするのは同じなのに。だから、その辺の矛盾もあるよね。ものすごい安いし、人、集まんないって言ってたよ。

手抜き除染

―― 「手抜き除染」という報道が大きくなされています


自分らは、地元の人間だからね。自分たちが住んでいるところだよ。そこで、ああいうことはやれない。気持ちとしてね。
地元の人間だったら、川に捨てたらどうなるかとか、わかるし。手抜きで問題になっている作業員というのは、たぶん大半が、地元の人間ではないだろう。建設業もやったことがないような。
俺らは、例えば、水で洗うときも「一滴も漏らすな」って、回収を厳しくやってるくらい。その辺、監督もシビアだから。

――一所懸命やってきた現場としては


この話を聞いて、正直、俺もびっくりした。 現場では、今はなんか雰囲気が重いよ。真面目にやっているのに、いっしょに見られて。そういうことを聞かれるし。なんか、やるせないね。

―― どこに問題が


国の人は、2〜3年で除染してとか考えているみたいだけど、現実には無理。やっぱり、除染なんてできないことを、無理にやろうとしているところに原因があるんじゃないか。
さっきも言ったように、原発の建屋の中でさえ除染しきれなかったのに、放射能をこれだけぶちまけて、除染なんてできるわけがない。そういう矛盾したことをやっているところに問題があると思うけどね。

「本来の生活」を取り戻す

――原発が事故を起こして、汚染した状態になって、しかもその処理作業に携わっている人間として、どんな気持ちですか


そうねえ、出口が見えないトンネルに入ってしまったという感じかな。ただ、いまさら後戻りもできないし、何とか抜けるまでは行くしかないなあ。自分が生きている間は無理かもしれないけど。

――原発という政策からの転換については


やっぱりもう「本来の生活」に戻るべきなんじゃないかな。例えば、太陽光にしたとして、その発電量が少ないと言うなら、それで暮らせる生活にするべきなんだよ。たとえ貧しくても。その方がいいと思う。これまでがおかしかったんだよ。(了)

「原発再稼働」を明言
安倍・施政方針演説

2月28日、衆院本会議での施政方針演説において、安倍首相は「安全が確認された原発は再稼働する」と言い切った。
現在、国内で唯一稼働している大飯原発(3号機、4号機)は、9月には定期点検のため、運転停止となる。ふたたび稼働原発ゼロになる前に安倍は、7月までに策定・施行を狙う「新安全基準」なるものをふりかざし、伊方原発を突破口に再稼働にふみきろうというのだ。世論への重大な挑戦だ。

3面

私たちは黙らない!
安倍・橋下の教育支配と闘う
2月11日 大阪

右翼の妨害はねのけ長いデモが続く(2月11日 大阪市内)

2月11日、「『日の丸・君が代』強制ええんかい!『競争』『強制』の教育でええんかい! 私たちは黙らない! 2・11全国集会」が大阪市内で開催された。全面的な教育支配の攻撃の中にある大阪の地で、全国集会を開催し、「私たちは黙らない」と宣言した集会となった。集会には36団体・241名からの賛同が寄せられ、659人が参加した。
集会冒頭、主催者代表の黒田伊彦(よしひろ)さんが「安倍総理・橋下大阪市長による戦争のための国づくりに反対する集会として、本日の集会を成功させましょう」と、あいさつ。
基調報告では、橋下・維新の会による教育「改革」の意図とその本質が明確にされ、安倍政権の教育政策と橋下・維新の会による教育「改革」の親和性・近似性も明確にされた。

絶望を希望へ

「絶望するには素敵な人が多すぎる―戦後史最大の曲がり角に立って―」というタイトルで田中伸尚さんの講演がおこなわれた。田中さんは、プロレタリア作家・小林多喜二の「絶望するにはいい人が多すぎる。希望をもつには悪い奴が多すぎる」という言葉を引用し講演のタイトルを決めたという。田中さんは、「小林多喜二のこの言葉が重なって聞こえる時代になってきた。絶望を希望につなぐ、大きな橋をつくっていかなくてはいけない」という問題意識から、たたかう仲間への激励を送った。
昨年、教育現場への「君が代」強制に反対し処分を受けた、大阪の被処分者が発言。
「昨年、『君が代』の強制に反対したという理由で36名もの教員が処分を受けた。いちばん恐ろしいのは、このあと子どもたちが犠牲になっていくこと。個人の思いを運動にしてがんばろう」
この処分に対して、人事委員会闘争が始まっている。弁護団を代表して、弁護士の中島光孝さんは、「これからのたたかいは、若い力が必要。今回不当処分をうけた先生たちを弁護し支援していく弁護団は、若い人たちが中心」とあいさつ。
前半の最後には、浪花の唄う巨人・趙博さんの歌やパフォーマンスがおこなわれた。

全国ネットワークを

後半の団体・個人アピールでは、まず、教育現場への反動化攻撃について、全国各地から発言。各地で教育の反動化にたいする取組やたたかいが粘り強くおこなわれていることが報告された。発言は、北海道教組、〈東京「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会〉、東京元「予防訴訟をすすめる会」、東京被処分者、宮城小学校教員、千葉高教組教員、神奈川、三重、福岡、〈憲法の理念を生かし、子どもと教育を守る愛知の会〉など。
北海道教組教育研究部長の川澄さんは、「『君が代』の斉唱時、座ることが厳しくなっている。子どもたちに正しいことを教えられなくなっている。ここで踏ん張らなくてはいけない。共にたたかいましょう」と力強い連帯のアピール。
橋下・維新の会とたたかうさまざまな団体・個人からも発言があった。子どもに寄りそう教育を求める―発言する保護者ネットワークfrom大阪、朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪、「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に! ネットワーク、日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク、近現代史研究者・横山篤夫さん、大阪市「入れ墨」調査拒否・被処分者、WTC住民訴訟の会、放射能から豊中の市民・子どもを守る会などが報告した。
集会の最後に、新たな全国ネットワークをつくり、たたかいの輪を広げていくことが提起された。集会のあと、大阪ミナミの繁華街を元気よくデモ行進した。

教育反動に負けないぞ
全国各地の活動を交流
2月10日

2・11集会の前日、全国交流会が、大阪市内でひらかれた。実行委あいさつに続き、まず大阪の現状が報告された。
橋下・維新の会による「日の丸・君が代強制条例」「教育行政基本条例」「学校条例」「職員条例」などの教育支配条例を成立させ、全面的な教育への介入・支配が進められようとしている現状。そして、それらの動きに対し、条例制定反対請願署名が大阪府議会に5359筆、大阪市議会に6888筆提出されたことなど様々なたたかいが報告された。
また、教育現場では、昨年の大阪の卒業式・入学式で「君が代」の強制に反対し処分を受けた教員たちのたたかいが紹介され、当事者が発言。
この日の集会の目的は、翌日の2・11集会で発言できない全国の多くの仲間の意見を聞き、連帯の絆を強くしていこうというもの。
宮城・千葉・東京・神奈川・愛知・三重・・・と全国から発言が続いた。宮城から参加した仲間は、被災地の現状とその中で一所懸命に生きている子どもたちの様子をスライドで紹介。「宮城に一度来てください」と訴えた。
大阪から、〈門真三中への「君が代」処分をただす会〉など4つの団体が発言。
集会の最後に、教育の反動化に対し今後どのようにたたかっていくのか、どのような共同ネットワークをつくっていくのかをめぐって活発な議論がおこなわれた。

再任用拒否に抗議
大阪府教委を追及

廊下を埋めて府教委を追及(2月19日大阪府庁別館5階)

2月19日、大阪府教委は、再任用希望者のうち8人を不採用、5人を保留とした。この不採用のうち、少なくとも2人は昨春の卒入学式での「君が代」不起立の教員だ。
さらに、豊中市教委も不起立教員1人を再任用不採用とした。
20日、不採用となった教員を先頭に、府教委への追及(不採用の理由説明を求める交渉)に50人が参加した。
午後5時、府庁別館5階にある府教委に全員でおもむき、府教委に説明を求めた。しかし、府教委は「本人以外には説明しない」と、交渉を拒否。
その後、場所を移して本人だけに説明するとし、8階会議室に当該が移った。支援の50人は、廊下で待機。
やがて、待機している支援者に退去命令が2回発出されたため、やむをえず玄関外に移動、そこで抗議集会を開いた。
8時に当該が戻り、報告をうけ、シュプレヒコールをあげて、この日の行動を終了した。
府教委は、合理的な説明をまったくできていない。追及行動は、継続となった。

「本名は自分のルーツ」
金稔万(キム・インマン)さんの損賠請求裁判

1月30日、大阪地裁で金稔万さんの本名(民族名)損害賠償請求裁判の判決があった。法廷は「原告の訴えは棄却、裁判費用は原告負担」とわずか10数秒で終わり。久留島裁判長は「職場での通名強制の事実はない」と金稔万さんの訴えを棄却した。

イルム(名前)裁判

金さんは日雇い労働者として建築現場で働いて生計を立てていた。2009年9月、以前本名で働いていた日雇い先の業者から、大林組が元請けの梅田阪急ビルの解体工事を紹介され、その際、「今回は通名で」と通名使用を求められた。今まで通り本名でという金さんに対して、その下請け業者は「通名でないと手続きに数日かかる」と言い、拒否し続けると仕事はなくなるのでやむを得ず通名で働くことになった。ヘルメットの名前も「きむ」から勝手に通名の「かねうみ」に貼り替えられた。
金さんは「本名は自分のルーツであり、それを当たり前に名乗れない日本社会の現実を訴えたい」と、2010年5月に大林組と下請けの2業者、国を相手取って裁判をおこした。初めは本人訴訟だったが、金さんの思いに応えて弁護団と支援の会が結成され、「イルム(韓国語で名前の意味)裁判」として支援も大きく広がっていった。

偏見で判決

判決の内容は裁判としての論理も全く成り立っていないものだった。
@「原告の証言はたやすく信用できないと」と何の論証もなく退ける一方で、被告側の「強制はしていない。金さんも合意の上だ」という主張を、これまた何の証明もなしに「信用できる」として「強制はなかった」と決めつけている。
A「日雇い労働とは、契約と解雇が1日の間に現場で行われる」という事実を全く理解していない。さらに原告側が、問題の本質は、日本が植民地時代に朝鮮人に対して「創氏改名」を強制し、在日朝鮮・韓国人が戦後日本で生きていくために通名を使わざるをえない差別的状況を放置してきたことにあると主張してきたことに対し、「国の不作為と原告の精神的苦痛に因果関係は認められない」と一言で片づけてしまうという、初めから偏見を持って書いたとしか思えない、「洞察力に欠けるとしかいいようがない」という空野佳弘弁護団長の言葉がピッタリのものだった。

本名を名乗る権利

判決後の記者会見で、金稔万さんと弁護団は判決の内容を批判し、直ちに控訴してたたかう決意を述べた。
金さんは、時に言葉に詰まりながら「この裁判は在日韓国人が本名を名のることがどれだけ大変なことか、それを明らかにしたくて始めた」、「在日として初めて本名を名乗る権利を主張して裁判をおこした故崔昌華(チェ・チャンホア)牧師は1930年9月生れ。自分のアボジも同年同月生まれ。崔牧師は亡くなられたが、現在アボジは83歳で健在です。アボジは私がこの裁判をすることに猛反対し、家族がこの問題で対立してしまった。そのアボジが自分の墓を建てたが、そこに刻まれた名前は本名になっている。かたくなに通名で生きてきたアボジが、墓は本名にする。死なないと本名を使えないのですか。私は在日の誰もが生きているあいだに本名が使える社会にしたい。これからもたたかい続けます」と語った。(M)

4面

農地は命 強奪は許さない
農地法裁判で市東さんが怒りの証言
2月18日 千葉地裁

トラクターを先頭に千葉市中心部をデモ(2月18日 千葉市内)

2月18日、三里塚農地法裁判。この日は、耕作者本人である市東孝雄さんに証人尋問がおこなわれた。
10時すぎから千葉中央公園で決起集会。冷たい雨をものともせず約300人が反対同盟、トラクターを先頭に千葉地裁へデモ。怒りのヒューマンチェーンで地裁を包囲。地裁周辺は終日、「農地を守れ」「農地はいのち」「第3誘導路阻止」など抗議の声に包まれた。

無農薬・有機農業

裁判では、まず野菜づくりや農作業の様子がDVD上映され、弁護士が市東さんに証言を求めた。〔以下、証言要旨〕
(写真を見ながら)これが明け渡し対象とされている土地。耕作地の6割に当たる。農機具置き場、育苗ハウスや出荷場所など農作業に必要なものを置く場所だ。年間60種類の野菜を作っている。
完全無農薬の有機栽培、農薬は一切使っていない。無農薬栽培の苦労は土壌づくり。乾燥豚糞や鶏糞を畑に入れ、土をつくる。何回も切り返しつくる。

――いつから有機農業に


87年に親父が産直に入ってからずっと。20年以上。落花生の殻の上にワラを載せ、ヌカ、水をかけ踏み込み何層にも混ぜ、土の水持ちがよくなるようにする。堆肥を発酵させるにはモミ殻で調整する。
育苗ハウスである程度大きくなったら、畑へ移す。害虫や草取りは手作業。空港会社が「どこの土でも、どこの土地でも農業ができる。どうしてもなら50センチぐらい土をはぎ取っていけば」というのは、まったくの暴論だ。土中の微生物によって何十年もかけ黒い土になる。
連作障害にも、前回何を作ったか、土壌づくりの試行錯誤を続けてきた。父の代からずっと。親父は苦労に苦労をし、千葉の川鉄(川崎製鉄)に出稼ぎに行き、私たちを育てながらつくった、思いの詰まった土地なんだ。空港に取られることは耐えられない。

――出荷はどうやって


三里塚産直の会でやっている。次の出荷は明日、ヤーコン、聖護院大根、人参、小松菜、ほうれん草、ネギ。毎週火曜、金曜に千葉、東京へ。三里塚産直の会は、私、萩原さんと協力関係の農家。三里塚有機農法の会、これは鈴木さん、それとワンパックの会、東峰の島村さんもやっている。

安全な野菜づくり

――消費者からの意見は


旬の物、子どもにも安全なもの。「アレルギーがあるが、産直の野菜は食べても出ない」というお礼の手紙がきている。秋の芋掘り大会は、そういう消費者にきてもらった。毎年5月にジャガイモ掘り、10月に芋掘り大会。福島の子どもたちがきてくれた。2月に消費者との交流会、総会を開き、昨年の野菜の実績を報告し、値段を決める。消費者と顔の見える信頼関係でやっている。
農業は人間にとって不可欠。「安全、ウソをつかない野菜」を丹精込めて作る。それが誇り、やりがいがある。

TPPに反対

―― 農業の本来的な姿は


本来無農薬であるべき。目が届く、近場で野菜の成長を見る、家族的な関係が本来の農業。大規模農業は日本にはそぐわない。九州から寒いところまで、四季があってこその日本。大規模になると草取りが間に合わないから農薬を使う。化学肥料やポストハーベストの問題も出てくる。米とか麦とかの単作よりも、畑はいろんなものを作るのが本来。
70年代からの日本の農業政策は、農業・農民切り捨てそのもの。企業が参入するのは資本の論理、利潤の追求のため。現在日本はTPPへ参入を目論んでいるが、(参入すると)農家はつぶれる。コメは1/3から1/4の値段になる。工業製品を輸出して売れればいい、農作物は安いものを輸入すればいいというのでは、農業はやっていけない。

福島、沖縄への思い

原発事故のあと福島に行った。飯舘村の酪農家、長谷川健一さんは子牛を買って牛舎を完成したとき震災にあった。牛もダメ、借金だけが残った。
成田の隣の多古町(たこまち)で、ほうれん草から放射能が出た。「調査しろ」と、成田市に再三要求したが、萩原さんのところを1回やっただけ。産直の会は、市役所支所の機械に野菜を持ち込んで調べている。行政は何かあれば隠そうと動く。「野菜から放射能が出たら困るでしょう」と。食べている人はどうでもいいのか! 基地のことで沖縄に4回行った。読谷村にも行った。平地、きれいなところに基地がある。畑は高台でサツマイモを植えていたが、石が多い。一番いいところは基地。こちらの土と比べ、よくやっているなと思った。

農地は農民の命

―― 小作権解約について


事業認定が失効し、土地収用も失効しているのに、農地法で取られることに怒りしかない。空港会社のやり方を認めるわけにはいかない。農地は命、生きる権利を取り上げるのは許せない。
裁判官に望む。二つの土地は農業をするには不可欠の場所であり、なければ農業はできない。農業をするなというに等しい。いつまでも農業ができるように、裁判長に考えてほしい。
03年12月25日、底地が公団に移ったという記事を新聞で知った。「未買収地1・4haを手に入れた」と。しかし、地主の岩沢、藤崎が自分に断りなしに売り払ったとは信じられなかった。
登記簿を調べると、88年に買収。15年前に売っていながら地主はずっと地代を取っていた。98年から03年の分は私が払いに行っていた。離れを直す建て替え了承も、岩沢さんからもらった。

――地主に説明を求めたか


藤崎は「あれは仮契約が98年で、03年に本契約」と言い張る。岩沢は「03年に契約した」と言い、帰り際に「農地法は大変だ」と言った。
88年転用目的で農地を取得ずみ。農地法では3カ月、8カ月・・・経過を報告すべきとなっている。取得日から1年以内の転用目的は認められない。法律違反だ。公団用地部長ら3人、チンピラみたいな人間が突然きた。話すこともないし、帰ってもらった。

騒音地獄

――誘導路の工事は


一日中騒音に苦しめられている。ひどい時は90デシベルを超える。島村さん宅は降りるとき、うちは北に飛ぶとき、飛んだあとがうるさい。
第3誘導路は3月31日予定が3月7日に供用開始するという。私の家は2つの誘導路に完全に挟まれる、騒音に攻められる。いまの倍のうるささになる。2番目に作った東側の誘導路は200億円かけた。第3は、いらない。2500mの滑走路に3つもいらない、何の公共性もない。
騒音は、「うるさい」というのが普段の状況。テレビはノイズが入り、電話はさえぎられる。周辺地域に迷惑をかけている。発着制限は90年代の一時期に7時から夜10時までだったが、一方的に拡大し6時〜夜11時にした。最近さらに5時〜夜12時に延長しようとしている。

空港廃港まで闘う

市東孝雄さん

本件土地は90年以上前から耕作してきた。成田空港とたたかいつつ、生きる権利をかちとりたい。沖縄の基地、福島の原発事故で憤る人はいっぱいいる。自分がここでたたかい、つながればという思いで農業をやっていく。
労農連帯、空港廃港まで闘っていく。判決の前に、裁判長、ぜひ天神峰の地に立ってほしい。
この後、一瀬弁護士が県の準備書面の27号と29号の相違について追及したが、裁判長はあいまいな訴訟指揮を繰り返し、県の肩を持つ姿勢をあらわにした。
法廷とは、双方の意見の違いを証拠等ではっきりさせ、判断をする場ではないのか。傍聴者から弾劾の声が湧き上がり、一人退廷させられた。午後6時5分閉廷。次回は3月27日(水)午後1時30分から、最終弁論。(N)

市東さんの農地を守ろう 3・17三里塚関西集会に参加しよう

3月17日、三里塚関西集会(主催/三里塚決戦勝利関西実行委員会・三里塚芝山連合空港反対同盟)へ賛同、参加しよう。
政府・国交省は、LCC(格安航空会社)導入で加速する航空機の乗り入れ自由化をすすめている。三里塚(成田)空港の発着回数を14年度に30万回まで引き上げ、24時間使用を「国策」として強行しようとしている。
成田空港は建設開始から47年、未だに完成を見ない。じつに47年間、まともな説明、民主的手続きはいっさいなく、機動隊の暴力で農地を強奪、地域を破壊するやり方が繰り返されてきた。78年、一期暫定開港にこぎつけたものの、反対運動を根絶やしにはできず、未買収地を数多く残したまま今日に至った。一方で「強制的手段はとりません」と言い、「和解」の虚構をつくり、マスコミを使い「成田・三里塚問題は終わった」と大宣伝。 しかし、一昨年8月、天神峰現闘本部建物を強制撤去し、昨年11月には人が住んでいる横堀団結小屋を強制破壊した。そしていま、市東孝雄さんの農地を奪おうと、農地法、裁判所を使って「強制収用」に打って出ようとしている。
三里塚、成田空港の拡張・完成は、農業と農民を根絶やしにし、周辺地域をとんでもない騒音被害と生活環境破壊に叩き込む。いま、市東さんの農地を守る闘いは、農業・農民の切り捨てを是とする「国策」と、TPP(環太平洋経済連携協定)反対と一体の闘い。
3月17日、三里塚関西集会へ集まろう。

(集会要項)

三里塚関西集会 〜市東さんの農地を守ろう 第3誘導路供用開始反対 三里塚・沖縄・福島を結んで闘いぬこう 弾圧を許すな〜
とき:3月17日(日) 午後2時〜4時半
ところ:大阪市中央会館ホール
主催:三里塚決戦勝利関西実行委員会/三里塚芝山連合空港反対同盟

(パンフ紹介)「農地は私たちの命」

「市東さんの農地取り上げを、拒もう」と、反対同盟からパンフレットが発行された。
「いま、成田で何が起きているのか?」「生活まるごと取り上げ・・・」「危険きわまりない欠陥空港」「福島―沖縄―三里塚」など、カラー12ページ。頒価100円。全国で配布、活用してほしい。
問い合わせ・注文は、前進社関西支社まで。〔連絡先は本紙1面題字横に記載〕

5面

13年度 安倍・政府予算案を斬る
大企業優遇、軍備増強 貧困は拡大

安倍内閣が1月29日に閣議決定した13年度予算案は92・6兆円で、過去最大規模になった。
1月に決めた12年度補正予算案13・1兆円と合わせると100兆円を超えるが、補正予算を大規模にして新年度予算を減らすという粉飾操作をおこなっている。

国債発行額が税収を上回る

税収見通しを43・1兆円、国債発行額を42・8兆円にして、「新たな国債発行額が税収を下回ったのは4年ぶり」と言っているが、全くのウソ。税収43・1兆円は、実質経済成長率を2・5%と過大に見通した皮算用だ。
他方、歳出や借金は少なく見せている。景気対策に備えて毎年積んでいる「経済危機対応・地域活性化予備費」の9100億円をやめたり、借金返済にあてる「国債費」で想定する利子も、近年の2%から1・8%に下げ、3千億円の削減。
さらに基礎年金負担分の2・6兆円は借金(つなぎ国債)なのに、消費税増税で返すからと言って別枠にしている。これを含めると、国債発行額は当初予算で過去最大規模の45・4兆円になり、税収を上回る。
公共事業は、12年度当初予算比16%増の5・3兆円に増大させ、12年度補正予算の公共事業関係費4・7兆円と合わせると10兆円に達する。「人からコンクリートへ」に舞い戻る、大手ゼネコンへのバラマキだ。

生活保護を削減

生活保護は、生活扶助基準額を、13年度から3年かけて670億円(約6・5%)削減する。13年度は、生活扶助150億円、期末一時扶助70億円、就労促進などで450億円の、合計670億円を削減。家族が多い子育て世帯で特に減額幅が大きくなる。
生活保護で支給される生活費を、「低所得世帯の消費支出を上回る」という口実で切り下げたが、話は逆だ。生活保護以下の低所得者層の賃金を引き上げるべきなのだ。
また「『過去の物価下落』を反映するという理屈で、削減額が一気に580億円上積みされた」(1・28付朝日)。消費税増税や物価上昇を勘案すべき時に、全く逆をやっている。生活保護水準の引き下げは、生活保護基準額を参考に決められている就学援助、住民税の非課税限度額、最低賃金にも影響を及ぼす。貧困層はますます貧困に追いやられる。

軍事費は増額

防衛費は、11年ぶりに400億円増額して4・7兆円。現在の防衛大綱を見直すとし、自衛官も287人増員し、兵器・装備を拡充する。釣魚台対策として、海上保安庁に前年度比37%増の予算をつけ、巡視船10隻を新造し、定員も119人増やす。
原発では、原発メーカーが海外で原発を建設するための調査や人材育成に12億円。廃炉にむけた技術開発に86億円など、原発輸出と電力資本援助の政策。また国の除染費用は1兆7千億円(今回の除染は6500億円)と巨額だが、大手ゼネコンに金がばらまかれているだけ。除染の効果は疑わしい。作業員は被曝労働にさらされ、危険手当や賃金未払いなど違法・無法状態におかれている。
文教予算では、民主党政権では配布を中止していた道徳教材『心のノート』を復活させ、4月から全小中学生に配布する(8億円)。「高校無償化」について、安倍政権が省令を変えて朝鮮学校への適用を不可能にした。これに対して1月24日、大阪朝鮮学園(法人)と愛知朝鮮中高級学校(生徒と卒業生)がそれぞれ、「無償化の対象にしないのは違法」と国を相手に訴えを起こした。

13年度税制改正大綱

1月29日、安倍内閣は13年度税制改正大綱を閣議決定した。消費税は14年4月に8%、15年10月に10%に引き上げられ、収入を必需品に使う割合が高い低所得者ほど負担が重くなる。それを緩和するための軽減税率(生活必需品の税率を低くする)の導入は、「15年10月に導入を目指す」として先送りされた。富裕層について、所得税の最高税率を40%から45%に引き上げ、相続税も引き上げると掲げているが、実施は15年1月。増税緩和策も織り込んでいる。
企業の法人税を減税するバラマキが満載されている。@賃上げ促進減税(給料を5%以上増やした場合、増えた人件費の1割を法人税から差し引く)、A中小企業の交際費の非課税枠拡大、B研究開発減税の拡充(研究開発費を法人税の2割まで差し引けるが、3割に引き上げる。09〜11年度も3割)、C設備投資減税、Dグリーン投資減税の適用緩和。 自動車重量税(今は年間約7千億円)は減税した上で残し、一部は「道路の維持管理・更新などのための財源」とする。道路特定財源の復活だ。
安倍政権による、生活保護削減、消費税増税、原発推進、朝鮮学校の「高校無償化」からの排除に反対しよう。(M)

投稿
毎日燃やして大丈夫?
汚染ガレキ焼却の危険性

大阪市では、2月1日から此花区にある舞洲(まいしま)で震災がれきの本焼却が始まっています。悔しさと怒りの中で、2月3日、「ちょっと待って! 放射能ガレキ 関西ネット」主催の集会が大阪市内で開かれました。集まった143名は、医療問題研究会・医師の講演と北九州市の市民の方の報告を聴きました。
講演では、@低線量地域と思われたウクライナの首都キエフ(福島市と同程度、土壌レベルの放射性セシウム137は福島より低い)に住んでいる人々の白血病が、1986年から15年間毎年1・5倍づつ増えたこと、Aドイツの小児がん発生率の調査では、事故をおこさなくとも稼働中の原発周辺5km以内で悪性腫瘍が1・6倍、白血病が2・2倍だった等を報告し、低線量被曝の危険性を訴えられました。
また、すでにガレキ焼却が始まっている北九州市の報告者は、「自分自身、頭を針でさされるような痛み」など激しい体調不良がおきていることを話され、会場からは、「そのような即座の激しい症状の原因は、特に焼却時に出ている化学物質ではないか?」などの意見や質問がでました。
集会の最後に、大阪市の震災ガレキ本焼却に対する抗議文が読み上げられ、ねばり強くたたかうことを確認しました。
そして、この集会の10日後、福島現地からは、浪江町や飯舘村の避難地域の子供たちの3人が甲状腺がんで手術したこと、さらに7人に甲状腺がんの疑いがあることが報道されました。はじめの患者につづいてまたしても、福島県は「被曝の影響は考えにくい」と言っている。「3・11」の翌日から24日までのヨウ素131の積算甲状腺内部被曝が100〜500ミリシーベルトという高線量被曝で、平均直径15ミリもの腫瘍が子供たちにできたという現実。全原発の廃絶と福島第一原発事故の徹底的な責任追及を誓わずにはいられません。(R)

いじめ・体罰を生む教育改悪
「10・23通達」撤回へ決起集会
東京

「10・23通達から10年! 10・23通達撤回!『君が代』処分撤回! 2・3総決起集会」が都内でひらかれ、首都圏から120人が集まった。
開会宣言の後、都教委包囲ネットの見城さんが主催者あいさつ。
「安倍政権の掲げる2%のインフレの実現のために、これまで自民党がやってきた公共事業・大企業優遇税制を推し進めようとしている。そのために赤字国債を乱発。生活保護がカットされることにより、民衆全体の生活が苦しくなる」
「(安倍政権が作った)教育再生実行会議には八木秀次・曽野綾子・加戸守行(元愛媛県知事。つくる会教科書の採択を強行)といった人達が入っている」
「体罰問題とは、いじめの社会問題化であり、教育基本法改悪の結果なのに、体制側はそう認識しない。さらなる教育改悪が目論まれている」
「体罰・暴力問題が論じられる中で、人権擁護の思想がない。我々自身がそれをどれだけ持ちえているのか」
「安倍内閣や橋下・石原は教育に介入、というより支配しようとしているという認識が必要。政治の動きと無関係に現場の闘いはできない。闘いの再構築が迫られている」と訴えた。

河原井純子さんは


「停職1カ月の時は、学校に行き続けた。その後の停職処分の時は、全国行脚を始めた」 「北海道は(現場の人は)みな元気だったが、『私たちは北教組の傘の下にいる。東京のように攻撃されたらわからない』と言っていた。今、北海道と大阪が厳しくなっている」
「若者と共闘を結べば怖くはない。『支援』ではなく『共闘』が大事」
「03年10・23通達をなぜ白紙にできなかったか。予防訴訟の06年9・24画期的判決を、なぜ具現化できなかったか。全体が盛り上がれば再発防止研修も怖くない」と発言。

根津公子さんは


「停職中、学校の門まで毎日通った。子どもたちとやりとりした」
「教員ゆえに、教育に反する職務命令には従うことはできないという『不作為』と、そういう選択をする権利を持っていることを示す『作為』、これを問い直す必要がある。『強制反対』と言う人ならたくさんいた」
「日の丸・君が代強制の実行者は教員。『反対』と言えば終わる問題ではない。現に日の丸掲揚・君が代斉唱は実施されている。教員がそうしている。子どもたちのことを考えたらどう係わるのか、考える必要がある。教員が外れたら闘いにならない」と訴えた。

橋下の手法

「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪の事務局が、大阪の闘いを報告。
「2000年に運動を立ち上げてから14年目。ここまでの事態になるとは考えなかった」
「橋下はこれまで『教育に強制はありうる』と言ってきたのを切り替えた。教育委員会や教員を『お前らが反省すべきだ』と敵に追いやり、世論を味方につける。体罰は否定するが『強制力は行使する』と明言している」
「卒業式の会場内の職務命令、口頭での『歌え』という命令、不起立者に対する生徒・保護者の前での『謝罪』の強制などがおこなわれている」
「新勤務評価制度での『授業評価アンケート』は『見もしないで評価するのか』と強い抗議が出ている」「東京・全国の皆さんと共に頑張っていきたい」
都内の特別支援学校の教員は、「07年の卒業式で不起立できなかった。次の四月入学式から不起立。09年は根津さんと同じ学校の中等部でやっていて、根津さんだけ現認されて、『私もだった』と言いに行ったが却下され、言い続けて11年に処分された。十数年のキャリアの教員の中では、処分が行き過ぎだと思っている人が少なくない。(なかなかそうなっていない)若い人たちとも一緒にやりたい。私たち教員は生徒たちに自分たちの行動を説明する責任がある」と訴えた。

6面

原発再稼働・ガレキ焼却反対闘争への関西大弾圧を共同闘争で打ち破ろう
松田 耕典(大阪拘置所在監)

昨年、関電前10・5弾圧Aさん逮捕に抗議した際に、警察車両のミラーを壊したとでっち上げられ、11月16日に事後逮捕され起訴、現在大阪拘置所に勾留中の松田耕典さんからアピールが寄せられた。〔2月22日付〕

不当逮捕された仲間の釈放をもとめ天満署を包囲(昨年10月19日 大阪市内

昨年夏以降の原発再稼働と放射能汚染ガレキ焼却に反対する運動の発展を押しとどめようと、大阪府警―検察―国家権力は、のべ11人を逮捕し、6人を起訴し、さらなる弾圧を策動している。しかも勾留中の4人には現在も接見禁止処分を続け、そのうちの一人に対しては十分な治療を受けさせないという人権じゅうりんをおこなっている。
関西における一連の弾圧に対して、今、全国で広汎な人びとが怒りの声をあげている。2月3日には「はねかえそう! 関西大弾圧 全国集会」が脱原発を闘う市民と労働組合員を先頭に1200人で開かれ、大阪府警本部―市役所までデモ行進が行なわれた。鵜飼哲さん(一橋大教員)のアピール「弾圧が分断された者をひとつにする。これまでになかったネットワークを作ろう」が大きく広がりはじめている。
19日には、6人の早期釈放を求める院内集会が、参院議員会館で開かれ、法務省、検察庁への行動もおこなわれた。これ以上の弾圧を許さず、6人を奪還しよう。

再稼働阻止闘争とガレキ焼却反対闘争の合流を恐れた大弾圧

事の始まりは昨年6〜7月の大飯原発再稼働阻止闘争―オキュパイ大飯の乱と、首相官邸―関電前―全国の闘いの上に、橋下大阪市長がおこなおうとした、放射能汚染ガレキ焼却反対の闘いの合流の圧殺にある。8月30日、橋下市長は中央公会堂で説明会をひらいたが、参加した400人の市民、外で抗議する人びとを誰ひとり説得できなかった。最後に発言した市民からダメ出し的批判がおこなわれると、顔色を失い、環境省職員に短い説明を行なわせ、脱兎の如く会場から去った。(ちなみに、この市民も後日、別件で逮捕された)
11月の試験焼却強行への怒りが広がり、毎週金曜日の関電前行動との合流を恐れた警察権力は、まず9月20日に大飯の件でKさんを逮捕した。

関電前公開空地には、警察の執行すべき公務は存在しない

続いて7月再稼働後も、数百人〜1000人規模で毎週おこなわれている関電前行動に、10月5日大阪府警公安三課が介入し、事件をつくりだし、Aさんを「公務執行妨害」「傷害」で逮捕した。しかし、そもそも、関電本店周辺(歩道に見える)一帯は高層ビル建設時に設置が義務づけられる公開空地(市民広場)で、警察の執行すべき公務(例えば、道路交通法違反とか)の存在しない場所なのだ。
この広場を使って、毎週金曜日、市民の自由な表現活動が、何のトラブルもなく行なわれていたのに、10月5日警察が介入してはじめて「事件」をつくりだし、仲間を連れ去ったのだ。また本来規制されるべきは、活断層の上で違法な原発を稼働させている関電経営陣ではないのか。

公共施設にいるだけで威力業務妨害

続いて、11月13日大阪市はこの説明会をもって試験焼却を始めるために、アリバイ説明会を此花(このはな)区民ホールで強行した。放射線がもれれば、大阪市民だけでなく、近隣市民にも被害が及ぶ。他市住民を排除して、地元民とひざづめの説得でないアリバイ作りに怒りが起こった。そして、会場前で抗議した人びとを、初めは「建造物侵入」で逮捕し、のちには「威力業務妨害」に罪名をかえて起訴した。この間の運動の先頭にたっていた人を狙いうちにして。

表現の自由を圧殺する「10・17大阪駅前街宣」逮捕

この一連の弾圧の最も反動的な正体を示したのが、10月17日の大阪駅前でのアピール行動に対する50日を経ての令状逮捕である。旧国鉄時代も含め、大阪駅の各所の広場では、ビラまき・署名・アピール行動や、音楽演奏などが長い間、逮捕事件もなくおこなわれ、慣行となっていた。17日もガレキ焼却反対のアピール・ビラまきがおこなわれ、終了後大阪駅コンコースを通って市役所に向かった。それに対し、突然50日後に威力業務妨害等で令状逮捕された。これでは、ビラまきをしていて、職員に警告されると、いつ逮捕されるか脅え続けねばならず、ビラまき一つできなくなる。
この憲法21条で保障された表現の自由を禁圧する暴挙には多くの憲法研究者らが抗議声明を出し、署名活動もおこなわれて、3人のうち2人は起訴できなかった。しかし11・13で逮捕・起訴されているHさんは追起訴。さらに別の件でも弾圧を狙うなど、闘いの先頭にたつ人を痛めつける見せしめ的弾圧だ。

この救援運動は、明日の私たちへの弾圧を許さない運動

10・5関電前、多数の市民の前での不当逮捕に抗議が起こった。数十人が警官や警察車輌をとり囲み、発車まで20分以上かかった。当日直ちに天満署への抗議行動が始まり、以降連日抗議行動がとりくまれた。その後の弾圧でも同様である。関電前やガレキ闘争で「名前は知らないが顔は知っている」人が次々と救援活動にたちあがった。「いつ誰が逮捕されるか判りません。この救援カンパは、明日の私たちへの弾圧を許さないカンパです」の訴えが心をとらえ、多くのカンパが集まっている。
10・17街宣への50日後の逮捕には、更に多くの人が声をあげ「組織・所属を問わない」救援運動が全国に広がっている。そして今も、名前も知らなかった人が面会・差し入れ・手紙で激励を続けている。

6人に一日も早い身柄の自由を!

今回の弾圧は、自民党改憲案の表現の自由規制の先取りでもある。改憲案は「公益及び公の秩序を害する」表現活動・結社は認めないという。脱原発の闘い、福島に連帯し、再稼働をとめる官邸前や全国の闘いを萎縮させ、「公の秩序を害する」として圧殺しようとしている。
排外主義をあおり、戦争を招こうとする安倍改憲政権の超反動攻撃に対する抗議の声を圧殺する「表現の自由」規制が始まったのだ。
脱原発―改憲阻止を願う全ての人びとは、関西大弾圧を自らの課題ととらえ、反弾圧共同闘争をつくりだしていこう。
逮捕・起訴された人は、最長ですでに5カ月も勾留されている。これ以上の不当な勾留を許してはならない。3・11二周年の闘いの中でこの不当弾圧を訴え、「分断された者を一つにする」ネットワークをつくりだそう。この力で6人を奪いかえそう!

〔注〕この手紙と前後して、2月13日には、在特会を利用した強制捜査があり、Hさんの3度目の起訴が狙われている。2月25日には、「11・13」で起訴勾留されていたPさんが保釈された。

関西大弾圧救援 即時釈放もとめ 院内集会

参院議員会館で開かれた緊急集会(2月19日)

2月19日午後6時から参院議員会館で、関西大弾圧救援会・東京の会主催による緊急集会が開かれた。鵜飼哲さん(一橋大教員)、福島みずほ議員の秘書、下地真樹さん(阪南大准教授)、桑山亜也さん(監獄人権センター)、石埼学さん(憲法学)、大口昭彦弁護士、渡利與一郎さん(関西大弾圧救援会・福井の会)が、勾留中の仲間の救援を呼びかけた。
昨年12月不当逮捕された下地さんは、「今度、勾留されたら、20年は出てこれない」と深い危惧をあらわした。石埼さんは、「今のご時世に拷問があろうとは」とPさんの勾留が憲法36条の「拷問及び残酷な刑罰の禁止」を侵していると批判。集会の最後に「関西大弾圧をはねかえそう」と決議文を採択した。(S・M)