未来・第113号


            未来第113号目次(2012年9月18日発行)

 1面  オスプレイの沖縄配備阻止
     沖縄県民大会に10万人が参加

     福島原発告訴団 第二次告訴の成功を

 2面  経産省前テントひろば 開設一周年

 3面  “空にもどる”決意固く
     JAL解雇撤回へ大阪で集会

     石原教育行政を追及
     都教委包囲行動 8・31

     原発は差別の集大成

 4面  投稿 「橋下さん、なんで市長やってるの」
     大阪市 ガレキ住民説明会に参加して

     橋下大阪市長の暴言弾劾
     抗議の声を全国から突きつけよう

 5面  千葉県農政を追及
     市東(しとう)さんの農地裁判

     10・7三里塚全国集会へ

     投稿 関電京都支店で抗議闘争

     再稼働ストップ! 志賀(しか)原発を問う
     9・1「地元」住民集会

     安全が確認された原発?!

 6面  ロシア革命はなぜ商品・貨幣を廃絶できなかったのか
     『展望』11号所収 榎原均「資本論講義」

     福島支援弾圧裁判 不当判決弾劾
     支援運動の拡大こそ反撃

     本の紹介
     『税金は金持ちから取れ 〜富裕税を導入すれば、消費税はいらない〜』
     武田知弘著 株式会社金曜日

       

オスプレイの沖縄配備阻止
沖縄県民大会に10万人が参加

米海兵隊・垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄配備計画撤回を求める「オスプレイ配備に反対する県民大会」が、9日沖縄県宜野湾(ぎのわん)市で開かれ、10万1千人が参加した。同県内の八重山、宮古の地区大会を合わせると合計10万3千人が結集。米軍基地に抗議する県民大会としては1972年の「復帰」後最大の規模となった。この日、オスプレイが駐機している岩国市や国会前など、全国各地で沖縄県民に連帯するたたかいが繰りひろげられた。
超党派でオスプレイ配備絶対阻止の強固な意志を示した沖縄県民大会(9日 宜野湾海浜公園)

県民大会の会場となった宜野湾海浜公園は、開会前の午前10時半の段階で参加者は10万1千人に達した。主催者は、その後も続々と結集していると発表。会場はたちまち満員となり、周辺の公園などにも多くの人があふれだした。
オスプレイ配備を強行しようとする日本政府に対するに怒りの結集だ。こうした県民の総意にそむいて仲井真知事は大会に出席せず、メッセージだけ寄せた。知事の不参加に参加者は大ブーイングでこたえた。
大会には、同日の八重山と宮古の地区大会に参加している5市町村長を除く全36市町村長や代理が参加。壇上には県議、沖縄県選出・出身国会議員や市町村議会議長らが並び、党派を超えて配備を拒む強固な県民の意志を示した。実行委員会は12日に上京し、野田首相や森本防衛相らにオスプレイ配備撤回を申し入れた。

岩国で300人がオスプレイに抗議

9・9沖縄連帯“艦載機もオスプレイもいらない!”岩国集会には300人以上が参加した。会場は開始30分前には満員。会場の外にまで参加者があふれた。
艦載機もオスプレイもいらない!岩国基地にむけデモ(9日 岩国市内)

岩国では政府のだましうちに対する怒りが渦巻いている。岩国基地のジェームス・スチュワート司令官は、オスプレイを岩国に陸揚げしたことについて「水深の深い港湾施設があるからだ」と搬入理由を語っている。
オスプレイを運んだグリーン・リッジは約3万2千トン。岩国基地が沖合へ移設される前は水深8メートルで2万5千トンまでの船舶しか接岸できなかった。騒音や事故対策のためと称して基地沖合を埋め立て、滑走路を1キロ東に移し、基地内に水深13メートル、最大5万5千トンまで接岸できる港湾施設が作られた。「このための移設だったのか」。古い滑走路も残し、艦載機配備、海兵隊の増強などの発表、愛宕山米軍住宅建設計画に続くオスプレイ陸揚げ。
愛宕山を守る会、岩国爆音訴訟の会など5団体で構成された実行委員会による集会は7・23陸揚げ阻止行動の上映で始まった。主催者あいさつに立った大川清さんは「オスプレイを岩国の空で飛ばさせてしまったら沖縄配備への筋道になってしまう。絶対に飛ばさせない。欠陥品オスプレイはアメリカに持って帰らせよう」と呼びかけた。爆音訴訟原告団はオスプレイの飛行差し止めを追加提訴した。沖縄から山城博治沖縄平和運動センター事務局長の連帯メッセージが読み上げられた。
集会アピールでは、森本防衛大臣が沖縄での本格運用の前に岩国で体験搭乗の機会を設けるとしたことに対し、「体験飛行に名を借りた飛行訓練であり断じて許すことはできない」と厳しく弾劾。
集会終了後、基地沖・堤防道路までデモ。基地の中に向かって「オスプレイはいらない」、「艦載機はいらない」、「米軍基地はいらない」とシュプレヒコールを叩きつけた。

沖縄県民大会と連帯して国会を包囲

沖縄県民大会と連帯して1万5千人が国会を包囲した(9日 都内)

「9・9沖縄県民大会と同時アクション『国会包囲』」は、12時20分ついに国会を包囲した。「オスプレイはいらない」、「普天間基地撤去」、「辺野古に基地を作るな」、「オスプレイパッドを高江に作るな」のシュプレヒコールがとどろく。結集は1万4千人。主催は〈9・9沖縄県民大会と同時アクション〉で、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、沖縄意見広告運動、ピースボートなど多くの団体が呼びかけに名を連ねた。 国会包囲に先立つ集会では、主催者あいさつに続き、東京沖縄県人会・島袋徹さん、ジャーナリストの前田哲男さん、普天間基地前でハンストを闘った上原成信さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)、呼びかけ人の高橋哲也さんらが発言。沖縄を犠牲にしてきた安保体制を許さず、本土の市民の闘いが必要であることが語られた。
最後に主催者が、「政府のオスプレイ配備の動きに対して緊急行動を呼びかけることもあるので、ぜひ結集してほしい」と訴えた。

福島原発告訴団
第二次告訴の成功を

東京電力福島第一原子力発電所の事故によって被害を受けた住民で構成する福島原発告訴団は、原発事故を起こし被害を拡大した責任者たちの刑事裁判を求め、福島地方検察庁へ告訴をおこなっている。福島地検は8月1日、告訴状を受理し、東電経営陣らの刑事責任について捜査を始めた。
福島原発告訴団は、つづく11月の第二次告訴 に向かって、全国各地での取り組みを進めている。そして「これから適正な捜査と立件が行われるよう、全国の皆さんと、意識と運動の共有をはかりたい」として、9月22日いわき市内で全国集会を開催する。
告訴団は第二次告訴に向けて、次のように訴えている。
「告訴を受理されたということで、一歩前進したというふうに思っております。これから本当に適正な捜査がなされて、きちんと責任ある人たちの責任が問われていくことを願ってやみません。そのためには私たちが地検の行方を、きちんと見つめ続けていきたいと思っております。福島県民のみならず、今度は第二次告訴というものを考えておりまして、全国展開で、全国国民が、責任をきちんと取ってほしいということを思っているという世論を、また高めていきたいと思います」(8月1日の記者会見より)。このよびかけに応え、第二次告訴団の拡大に協力しよう
。 告訴申し込みの詳細については「福島原発告訴団」のホームページで。

2面

経産省前テントひろば 開設一周年
原発の全廃まで闘う

テントひろば1周年を記念して多彩なイベント(11日経産省前)

今月11日、〈経産省前テントひろば〉は、開設から1周年を記念して反原発・脱原発のさまざまなイベントを開催した。700人に上る参加者は福島第一原発事故の被災者救援と全原発の廃炉にむけて闘争を継続することを誓いあった。夕方には、再稼働反対!全国アクションと経産省前テントひろばの共催で、9・11経産省・規制委員会包囲アクションがおこなわれた。高速増殖炉もんじゅを推進した〈原子力ムラ〉の中心メンバー・田中俊一を委員長候補にするという「原子力規制委員会」人事に対して抗議の声をたたきつけた。
11日、経産省前で〈9・11テント1周年 イベント&アクション〉がひらかれた。テントの周りには、経産省の職員が真夜中に鎖で巻きつけていった看板プレートが仰々しい。しかし「国有地につき関係者以外の立ち入り禁止」の表示はだれも気にしない。 午後1時からプレイベントがあり、3時からは、「再稼働の是非で国会議員を糺す」アンケートの結果発表の記者会見がおこなわれた。

再稼働の是非を問う

発案者であるテントの正清さんが報告。8月20日、約20人のプロジェクトメンバーが議員会館の衆参全議員721人の宿舎を1人ひとり回った。9月5日を締切日として今日までに79人から返事をもらった。
設問は、2つの問いに、選択肢も2つずつという簡明なもの。第1問「原子力発電について」―A やめるべき、B つづけるべき。第2問「現在ある原発について」―A 稼働させない、B 稼働させる(何年まで)、である。
第1問の回答は、全回答がAであった。しかし、第2問については、条件によって稼働はある程度やむを得ないとか、党で検討中とか、理由を示さず答えない回答がかなりあったことが報告された。とくに閣僚や政府役員は、ほとんど回答しなかった。安倍晋三にいたっては、「来てもらっては困る」と端から受けつけない対応であったという。
記者からの質問に応えて正清さんは、政党別の回答者は、自民党1人、公明党1人、「みんなの党」「国民の生活第一」はかなりの議員が回答、社民党と共産党は全員が回答した、と報告。
そのうえでプロジェクト参加者全員から、「回答拒否は許せない。国民の70〜80%が原発反対を表明しているときに、国民の代表としての義務を果たしていない」と弾劾がなされた。とくに選挙が近づいているとき、「原発がある地域の議員に返事をもらうことが大事である」と強調された。当面アンケートア活動をつづけると同時に、テントのホームページに回答結果を公表していくという。

かんしょ踊り

午後4時から、100人を超える人々が、テントの江田さんの指揮でテントの周りをぐるりとまわる〈かんしょ踊り〉の輪をつくった。武藤類子さんの発案でひろがったこのかんしょ踊りは、「不穏で、異様な踊り」として、時の支配者から弾圧しつづけられてきたという。明治政府しかり、戦後の占領軍GHQしかりである。
そして、本日も警察から「踊ってならぬ」と禁止令が出たことが報告された。日本の警察は、いつのまに明治政府やGHQのような権限を手に入れたのか。だれもこの踊りを止めることはできない、許さない。大地を揺るがすかんしょ踊りの輪がいよいよ激しくまわった。

福島原発事故から半年後、経産省前にテントを張り泊まり込みの抗議が始まった(11年9月25日 経産省前)

1周年の誓い

4時20分、いよいよ本集会。 まず、経産省前テントひろば代表・淵上太郎さんが、1周年にあたっての提起をおこなった。昨年9月11日に始めたテントが1年を超えて存続するとは、彼自身もまったく思っていなかったと述べた。テントが続いた理由は、3・11の深刻な事故が何も解決していないこと、国民がまったく納得していないことであるとして、だからこそテントは存続しつづけると述べた。これは客観的事実であると同時に、淵上さんの決意として皆は聞いた。さらに報道によればとして、今日、原子力規制委員会の人事が閣議決定されたこと、田中俊一氏をはじめ、委員を政府の参与に任命し、9月19日には正式に委員会として発足させようとしていることに、激しい弾劾を浴びせた。天皇が認証することなどとうてい認められない。すでにあらゆる人々がこの人事に反対して、国会前、官邸前に押しかけている。このテントは「正義のテント」、「道理のあるテント」である。経産省や警察や右翼がなんと言おうとテントは維持する。自らの意志で撤収することはない。電気が足りない、安全だなどという虚偽で大飯原発を再稼働させた政府や電力会社など信頼に値しない。力がこもり、説得力ある提起に、万雷の拍手が応えた。

日本で稼働中の原発がゼロに。テントひろばリレーハンストで闘った(5月5日 経産省前)

未来を孕む
とつきとおか

つぎに福島から椎名千恵子さんが、「未来を孕むとつきとおかのテント村」の報告をおこなった。
昨年の12月1日からはじまった「とつきとおか」の闘いは、福島から、日本全体から、全世界から結集し、支えられて、ついに「とつきとおか」の満期にいたった。脱原発の解放区になり、自分の家族や学校では脱原発を話せない人にも結集の場となってきた。今年1月27日、枝野が撤去命令を出したときには千人以上の人びとがかけつけて守りぬいた。さらに中嶌哲演さん(福井県小浜市)が提唱しはじまったリレーハンストの闘いあり、大飯再稼働阻止の官邸前行動や国会行動、女たちの一票一揆など、ますます多様で豊かな闘いに引き継がれている。
椎名さんは最後に、今日で「とつきとおか」の闘いは終わるが、テントは継続すると宣言し、花束が贈られた。
つづいて、福島原発告訴団長の武藤類子さん。現在、「復興」という名のもとに、事故はなかったものとして多くの福島県民が低線量被曝を強制されていることを弾劾し、今年3月16日の告訴団結成以降の経過が報告された。第一次の告訴は1324人を結集し、6月11日に福島地検に告訴、8月1日に正式に受理された。
現在は、11月に1万人の結集をめざす第2次告訴を準備している。そのために、全国10カ所に告訴団の事務局をつくった。福島県外に避難している人も、福島県以外の人もどんどん参加してほしいと訴えた。
4番目の発言者は、大飯原発再稼働反対監視テントの臼田敦伸さん。彼は、経産省前テントでつながった3人の仲間が最初に大飯再稼働の動きに怒りをもってテントを張ったこと、それ以降の3カ月間に及ぶ直接行動をいきいきと振りかえった。とくに6月30日から7月2日の36時間におよぶ大飯原発正面ゲート封鎖行動の報告は圧巻であった。多くの仲間が逮捕覚悟で正面ゲートを乗りこえて闘った。現在の政府・国家の惨状にたいし、「私たちは選挙のために直接行動をやっているのではない。だれが政権をとろうと、原発は止めなければならない」「命よりも金が大事という利益至上主義、資本主義を打倒して、全原発を廃炉に」と訴えた。
テントの最初から防衛のために奮闘してくれた弁護団を代表して、むさん法律事務所の長谷川弁護士、「全原発の廃炉までテントが存続することを」というメッセージを寄せた服部良一・社民党衆院議員、1000万人アクションの呼びかけ人である鎌田慧さん、急きょかけつけた社民党党首・福島瑞穂さんなどが発言。
午後5時半から二つのライブがおこなわれ、6時過ぎから1分間アピールがはじまった。全国からテントを訪問し、テントを支え、テントを発信の場にしてきた30数人がエントリーして、発言した。
衝撃的だったのは、「福島で子どもが1人、小児ガンを発症しているのが分かった」という報告であった。
多くの福島の発言者が、福島県民にたいする棄民政策の現状と内部被ばくの強要を弾劾した。共通するのは、子どもたちを守りたい、避難させたいという切々とした訴えであった。兵庫からの発言者も、関西でがれき受け入れ反対の運動をしているのは、福島の子どもたちを呼びたいからだと発言した。
集会の最後は、ふたたびかんしょ踊りで締めくくられた。そのなかで、大飯のゲート前攻防で5時間にわたりドラムを叩きつづけ、座り込みの仲間を激励しつづけた、ピカチュウさん(28歳、女性)が、バンドと一緒に登場し、ドラムの力強い演奏をおこなった。

ニュース放送開始

今後、〈経産省前テントひろば〉がスタジオを設定して、毎週金曜日に「テントひろばから」というニュース放送をはじめることが発表された。金曜日の官邸行動がはじまる前、10分から15分間の放送時間を確保し、ユーストリームで配信する。

3面

“空にもどる”決意固く
JAL解雇撤回へ大阪で集会

一人ひとりが理不尽な解雇への怒りと”空にもどる”固い決意を表明した(8月31日 大阪市内)

8月31日、大阪市内でJAL大量不当解雇争議支援集会(私は変える with you〜JAL不当解雇撤回!仲間にエールを!怒るみんなの大集会)がひらかれた。900人をこえるかつてない大集会で、争議当該(原告団)が関西一円166カ所をオルグに回った闘いの成果である。
JAL「倒産」・解雇事件のあらましのビデオ、寸劇、諸争議当該のリレートーク、合唱、原告団の決意、行動提起など、JAL争議の闘いを広範な労働者の闘いと結びつけて、大きな運動にしていきたいという思いに満ちた集会となった。
リレートークでは、偽装請負・雇い止めとたたかうダイキン工業の争議当該、大阪青年ユニオンの青年、大阪市役所の闘う仲間、もうひとつのJAL解雇とたたかうCA(キャビンアテンダント。一人原告で日本航空を相手にパワハラと雇い止め撤回を求めて裁判中)、など7人が発言。
原告団は、山口原告団長はじめ12人が登壇(パイロット81名、客室乗務員84名、計165名解雇されたうち、146名が原告)。客室乗務員のKさんは、クモ膜下出血で倒れた仲間が、「客室乗務員は当初30歳定年で、結婚したら辞めねばならなかった。それを、組合の力で、結婚後もOK、40歳定年、子どもを産んでもOK、60歳定年までやっと権利を勝ち取りました。この火を絶やしてはいけない」とオルグしていたことを肝に銘じ闘いぬく決意を語った。
元機長のKさんは、「国が指導し、裁判所が承認した再建計画そのものが間違っている」と弾劾した。
航空労組連絡会議長をつとめる近村さんは、「私は御巣鷹山事故の年(1985年)からずっと日本航空で飛んできた。航空連の議長になったとたんに解雇された。働くものが生きがいをもって働ける社会にするために頑張る」と表明。
一人ひとりの当該の、理不尽な解雇への無念と怒り、そして必ず空にもどる”という決意みなぎる発言だった。
集会実行委員会を代表して梅田章二弁護士が、JAL倒産は「無理やり倒産させて、巨額の公的資金投入で濡れ手に粟」という財界と政府の悪巧みであり、本質は、闘う労働組合つぶしの不当労働行為であると弾劾し、100万人署名、物販への協力を訴え、「高裁で絶対に勝利しよう」とよびかけた。
JAL解雇撤回闘争は、〈整理解雇4要件〉(@人員整理の客観的必要性、A解雇回避努力義務、B対象選択の合理性、C労資協議の必要性)の破壊を許さず、利益優先のもと安全性を軽視する市場原理主義の航空政策との闘いであり、闘う労働組合破壊を許さない闘いであり、すべての労働者にとって絶対負けることのできない闘いだ。全力で支援しよう。

石原教育行政を追及
都教委包囲行動 8・31

8月31日、都教委包囲行動がおこなわれ、100人を超える人が参加した。主催は都教委包囲・首都圏ネット。
午後4時から、都庁第二庁舎前に集まり、主催者あいさつ、行動提起をうけた後、都教委に対する要請行動に移った。
都教委包囲・首都圏ネットや高嶋伸欣さんなど10団体・個人が要請をおこなった。内容は、〈10・23通達〉を撤回し、同通達に基づく処分の撤回、新たな処分をおこなわないことなど。高嶋さんは、「都教委が採択した扶桑社版歴史教科書に誤記があるのに、都教委が放置しつづけている」ことを追及した。
1時間以上にわたる要請行動の後、第二庁舎前にもどり、集会をおこなった。主催者から要請行動の報告を受け、高嶋さん、大阪の被処分者Sさん、東京の被処分者Tさん、根津さんなどが発言した。
最後に、都庁にむけてシュプレヒコール、「10・23通達撤回」「石原教育行政反対」「石原の戦争挑発をゆるさないぞ」の声をあげた。

都庁前で訴える根津公子さん(8月31日 都内)

原発は差別の集大成

「8・15平和のための市民の集い」(神戸市内)で小林圭二さん(元京大原子炉実験所講師)、照屋寛徳さん(衆院議員)が講演した。小林さんは「原発は差別を前提にしなければ成り立たない」と原発と差別の構造、人権を焦点に話した。照屋さんは「レバ刺しは危険だから法律で禁止。オスプレイは危険でも沖縄に配備するのか。沖縄県民を人間だと思っているのか」と激しい憤りを表明した。小林圭二さんの、原発と差別への怒り(発言要旨)を紹介する。〔見出し・文責とも編集委員会〕

小林圭二さん(11年8月6日撮影)
毎年8月は、日本の現代史の大きな転機を思い起こす。ヒロシマ・ナガサキであり、敗戦の日。いま、それに原発事故が加わった。
原子力が開発された目的は、エネルギー源を得るためではなく原爆をつくること。第二次大戦中、米国はあらゆる研究者、技術者、国家の総力を傾注して3個の原爆をつくった。1個はニューメキシコ州アラモゴルドの砂漠で爆発実験、他の2個を広島・長崎に投下、20万人近い人を一瞬に殺した。放射線被曝による白血病や癌、その影響は今日も続いている。
原子力発電は原爆製造のためのウラン濃縮、原爆製造技術である原子炉を転用したもの。先に原爆がつくられた。逆ではない。そういう意味からも安全性、経済性はない。戦後、原子力発電は「平和利用」と言われてきたが、まったくの欺瞞。軍事利用と平和利用に区別はない。はじめから「商業利用」として開発しようとすれば、とうてい安全性、経済性は問題にならない。たとえば使用済み燃料。解決策はなく、貯蔵プールは満杯寸前。それ一つとっても原発に将来性はない。今回明らかになった廃炉、賠償も巨額のレベルであり、一企業などにできることではない。6月に原子力規制委設置法が成立、付則に「安全保障に資する」とされた。日本は核武装するという重大条項を忍び込ませた。
原発の科学技術論よりも、今日は表題にしたように「命、差別、人権」と原発の関係ということを焦点に話したい。原子力発電は、あらゆる意味で差別を前提にしている。もともと原子力発電は大きな危険性をもっており、大量の放射性物質、死の灰を生み出し残す。そのため弱者を犠牲にし、差別を前提にしなければ成り立たない。
一つは、誰にでも分かる地域への差別。原発は過疎地の人びとのためにあるのか。100万キロワットという電力は過疎地には不要。危険だから過疎地に建設される。法律にも「人口密集地から離れていること」と明記している。推進する側も、危険であることを承知している。放射性廃棄物、死の灰も過疎地に持っていく。危険であるのはもちろん、交付金、札束攻勢による立地は地方の自主性や人間関係をも破壊してきた。大飯原発も建設のときは大きな反対運動が起こった。しかし、いったんがんじ搦めにされると、物を言えなくなる。
二つめ。差別は国外も同じ。廃棄物をどこへ捨てるか、当初から難題だった。太平洋の島嶼国へとか、深海に沈めようとか。その後、海洋投棄は禁止された。最近、アメリカと日本が密かにモンゴルへ持ち込もうとしていると暴露された。
三つめは、ウラン採掘から始まる差別。ウランは日本にはほとんどなく、世界でも限られた地域に産出する。山、岩山、そういうところは、ほとんどが先住民族の居住地と重なっている。オーストラリア、カザフスタン、カナダなどに埋蔵量が多い。多くの先住民族の人たちが危険な採掘労働に従事する。ウランは平均0・2%の含有率。大量の鉱石を掘り出し精錬、残り99・8%は捨てられる。大量の残滓が放置され、とくにトリウムは強い放射線を放つ。地域は強い放射線環境に置かれ、地域住民に肺癌などが非常に高率で発生している。放射線管理がズサンにされる背景には先住民差別があり、軍事関連事業として安全性、経済性は二の次だから。
四つめは、階層差別です。今回の事故はもとより、原子力施設はどうしても点検補修作業が必要になる。高い線量の場所は、作業時間を短くするしかない。場所によっては一人の作業時間が30秒とか、次々に交代しながらバルブの交換などをおこなう。労働の対価というよりも、被爆線量の対価。まさに命の切り売りであり、それは「労働」といえるのかと思う。そして、その労働は下請け労働者に集中される。線量計の偽装という報道があったが、それこそ原発の本質、暗部だ。
究極の差別が五つめです。ウラン鉱には限りがある。あと50年から70年分くらい、原子力は将来のエネルギーではない。わずか数10年の原子力使用で生まれた膨大な死の灰を何百年、何千年、100万年も、未来永劫に子孫に押しつける。
福島の事故によって様々な差別が起こったが、最悪は6月の「国民の生活を守るため…」という大飯再稼働への野田総理演説。本当に腹が立つ。そして関西電力と背後にいる財界。そこを撃たなければ。原発を推進してきた元凶の財界は、何の責任もなかったかのように「電力が足りなくなる」と脅し、再開、再開と後押しした。経団連会長が言うと、政府が動く。再稼働こそ、福島県民を切り捨てる最大の差別だ。

4面

投稿 「橋下さん、なんで市長やってるの」
大阪市 ガレキ住民説明会に参加して

8月30日におこなわれた「東日本大震災により生じた廃棄物の広域処理に関する説明会」(中之島公会堂)は本当に異様な警備体制だった。橋下市長は市民がよほど怖いらしい。
会場外の広場には整列のためを装って場所いっぱいにコーンと接続棒を使って通路が作られ、入り口には警備員が配置されていた。会場に市民が入ったあとも、それはそのままにされて、外で抗議する人たちを近づけないようにしていた。入場希望者には会場外のテントで受付がおこなわれ、持ち物検査のうえ、身分証明代わりに住所が書かれた物をチェックして、入場証が渡された。入場証はひも付きで、首に掛けろという指示である。
会場内では開始までの間3回くらい「プラカード、横断幕、傘の持込、勝手な発言は禁止です。一度会場から出ると再入場できません」というアナウンスが繰り返された。 いちばん前の列は、通路にあたる部分にパイプ椅子が置かれ、隣り合った椅子と紐で結ばれて客席から舞台へ近づけないようにしてある。ごていねいに、背もたれには「関係者以外立ち入り禁止」の札。そして説明会が始まると1列目には大阪市の職員が座った。舞台下には、そろいの背広を着た人間(警察官)が客席の方を向いて立った。要人警護ってやつか?

参加した市民の鋭い質問が橋下を追いつめる(8月30日 大阪市内〔写真 本紙読者提供〕

安全だから安全?

橋下市長は「大阪市が受け入れるがれきは、自然の放射線と比べても著しく低い放射線しか発しない」と安全を強調、松井府知事は岩手県からの要請に応えていきたいとあいさつし説明が始まった。説明資料は市、府、環境省それぞれA3版1枚、合計6ページという薄っぺらなものである。これを各担当者が順番に説明していくが、ほとんど資料を読み上げているだけなので「早く質問させろ!時間がなくなるやろ!」と後ろの席から声が飛ぶ。
環境省は「3年で処理を終わらせたい」。大阪市環境局は「焼却場についてはバグフィルター、埋立地はゼオライト敷設で安全」と言う。「うそつくなー」「信用できない!」と怒号が飛ぶ。司会が「静かに」というがそんなものは聞いてられない。
質問が始まった。最初の男性は埋め立て地について、護岸の高さが一定でないこと、30pくらいのすき間が10カ所くらい開いていることなどを指摘した。会場から驚きの声が上がる。さらに続けて焼却灰2000ベクレル/kgになっているのはおかしいと追及。
これについて環境省は「作業員の方が1ミリシーベルトを超えないようにというところからの基準」と回答。
質問者が代わって、「全量検査を約束してほしい。がれきは燃やしてはいけない物だから燃やさないでほしい」と発言。拍手が起こる。抗議の声で聞き取りにくいが、府の担当者は「岩手県宮古市の二次仮置き場の計測値は非常に低い検出限界のもので、測っても検出できないので大丈夫」と答える。
続いて橋下市長がマイクをとり、怒りの声でかき消されながらも「全量検査はしません。皆さんは全量測ってなくても食品を食べています。皆さんの意見を聞いて方針を決めるわけではありません。方針は市議会が決めます」と言い放った。
会場からはさらに反対意見が出る。「がれきの中には水に溶けやすいセシウムのほか、砒素、水銀、六価クロム、アスベストなどの有毒物質が含まれている。これらを燃やした場合その煙を吸うのは豊中市に住む橋下市長じゃない。大阪市民だ。」「あなたは国政を狙ってがれき受入を決めたかもしれないが、われわれをそれに巻き込まないでほしい」。橋下市長は「皆さんは大阪市だけで生きているわけではありません。皆さんが困っているときに他の地域の人が知らん顔をしていたらどうですか?東北の人が困っているときに助けるのは当然です」とこれまでの「助け合い」の理屈を持ち出す。会場からは「橋下やめろ」のコールが沸き起こり騒然とするなか、なおも「みなさんはこの場にいても放射線を浴びています。それらと比べても安全です」という橋下にさらに抗議の声があがる。何を言ってるのか聞き取れないほど声が重なり合う。会場いっぱい怒りが渦巻いている。1人の男性が前に詰め寄り、背広姿の警備が防御するように橋下の前に立つ。別の警備数人が舞台下で男性を取り囲む。男性は会場の後方に拉致されていった。
次に阿倍野区在住の女性が、「安全じゃない物を安全だといわれても信用できない。さっき橋下さんは私たちの声を聞かないって言われました。なんで市長をまだやってるんですか?そんなのもう務まらないと思います」と発言。それに応えて手拍子を打ちながら「辞めろ!」「辞めろ!」「辞めろ!」と声が一つになって会場に響きわたった。彼女は松井知事にたいして、関西の他府県でも説明会を行うべきと要求。
橋下はこの質問に「安全だから安全と言っている」と応じた。さらに「みなさんはがれき処理について反対されてますが、この会場の外には皆さんよりはるかに多くの方々が賛成しています」と根拠もなく言い放った。たぶん橋下の理屈ではこの会場に来ている人以外は皆賛成ということになるのだろう。
さらに環境省の担当者が「100ベクレル以下は安全。私も100ベクレル/s以下の金属で作ったベンチに毎日座ってる」と応答。それに対して、ある男性が猛烈に抗議した。

質疑打ち切り 橋下が逃亡

次に指名された質問者がマイクを譲りたいと発言。橋下が了承して先ほどの抗議した男性に渡された。会場から大きな拍手。時間がないので早口で理詰めで「説明」の矛盾点を突いていく。あわてて資料をくる環境省の担当者。「さっき安全だと言ったのは不燃物のリサイクルのことでしょう。可燃物はそんな基準はない。もともと原発が廃炉になったとき膨大にでる不燃物のことを考えて作られた基準だ。ごまかすな」。10分ほど鋭い質問が続いた。橋下は無表情。たぶん何を言われているか理解できなかったのだろう。 彼の質問に環境省がしどろもどろになりながら答えた後、橋下が唐突に終了の宣言をして出て行った。開始から1時間40分ほどしか経っていない。
橋下は翌日の記者会見で、反対意見が多かったですがと記者に聞かれ、「昨日は反対の人ばかり来られていたようですから当然です」と言っていたが、それは市がわざと広報を充分しなかったからだ。
市民は勉強をした上で反対している。橋下は自分に都合のよい意見しか取り入れない、そのことが良くわかった説明会だった。(N)

橋下大阪市長の暴言弾劾
抗議の声を全国から突きつけよう

橋下徹大阪市長は、8月21日と24日の記者会見において、「独島(竹島)問題をめぐる日韓関係」について問われ、「関係の悪化の背景には『慰安婦』問題がある」「『慰安婦』を強制した事実はない。あるなら韓国から出してほしい」、「河野談話(後記)は見直されなければならない」と述べた。さらに「『慰安婦』の存在そのものは、今から考えると倫理的に問題な制度なのか分からないけれども、当時の時代背景において、どうだったのか」と、戦時下なら「慰安婦」制度はあってもいいかのようなことも付け加えた。
この橋下暴言は、歴史を歪曲するばかりか、戦後67年たってもなお苦しむ被害女性を何重にも冒涜するものだ。「戦争状態なら仕方ない」という認識は、「戦時性犯罪」を容認し、女性の人権を踏みつけるものである。
日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワークは24日、大阪市役所で、市長に「公開質問状」を提出し、回答を求めた。
また、9月下旬に提出予定の橋下への抗議文に全国1万人の賛同をよびかけている。9月23日には韓国から「慰安婦」被害者女性が来日し、「橋下市長!日本軍『慰安婦』問題の真実はこれです」という集会が開かれる(詳細6面)。
橋下がやり玉にあげた「河野談話」とは、1993年、河野官房長官(当時)が「慰安婦」制度の存在を認め、「おわび」の言葉を述べたことをさす。その中で軍関係や国際的な資料、証言を調査した上で「強制性とは、だましたり、甘言も含まれ、本人の意に反してつれていかれ、自由を奪われることも含む」「当時、官憲等が直接荷担していたことは明らか」であり、今後国として解決に向かっての努力を約束した。
「河野談話」は、戦後一貫して抹殺されてきた「慰安婦」制度の真実を明らかにしようと苦闘してきた研究者、長い沈黙を破って告発に立ち上がった「慰安婦」被害者たち、それに呼応した各国の市民運動によって、日本政府に出させた公式見解である。 「慰安婦」制度が、国家が関与した史上最悪の女性への暴力であったことは、世界周知の事実である。日本国内の「慰安婦」関連の裁判でも、この事実は認定されている。国連の諸機関においても、日本政府が責任をとろうとしないことにたびたび指摘と勧告がなされている。
石原都知事は同じ24日、「慰安婦」問題について「強制したことはない。ああいう貧しい時代には日本人だろうと韓国人だろうと、売春は非常に利益のある商売で、貧しい人は決して嫌々でなしに、あの商売を選んだ」と記者会見で語った。
橋下の「突出」によって、差別排外主義者がうごめき始めている。しかし、あらゆるところで橋下・維新の会への怒りと批判は沸騰しつつある。大阪市役所は、連日、橋下を弾劾する人たちによって囲まれている。「慰安婦」問題の歪曲を許さず、真の解決のためのたたかいを今こそ強めよう。

抗議文への賛同は、下記まで

https://ssl.form-mailer.jp/fms/8241d9b4212692

5面

千葉県農政を追及
市東(しとう)さんの農地裁判

市東孝雄さん(10日 千葉市内)

10日、千葉地裁で三里塚芝山連合空港反対同盟の市東孝雄さんの農地取り上げをめぐる裁判がおこなわれた。
今回、証人として出廷した渡辺清一は、06年9月、千葉県知事が市東さんの農地の賃貸借契約解除を許可決定したときの千葉県農林水産部農地課長。証言台に立った渡辺は、尋問に対してか細い声で証言し、肝心なところがほとんど聞き取れない。傍聴席から「マイクを通して証言してほしい」との声が上がったが、多見谷裁判長はその要請を完全に無視。反対同盟の顧問弁護士である大口弁護士も「(証人の)そばにいる私でさえ聞き取りにくい、マイクをつけてほしい」と訴えたが、これも無視した。
これに対して、弁護団は渡辺証人に、06年当時、千葉県農地課が農地法の趣旨を踏み破り、市東さんの権利を保護すべき職責を放棄し、空港推進の立場で手続を進めたことを厳しく追及した。
尋問の途中で市東孝雄さんは挙手して、「私は農地を取り上げられたら生きていけません。あなたの言動に私の命がかかっていることがわかりますか」と語気鋭く渡辺に迫った。これに渡辺は「農地法に従って処理します」とこたえ、千葉県農政が農業と農民を守る立場を完全に投げ捨てていることを自己暴露した。
多見谷裁判長は次回の証人、06年当時国交省航空局成田空港課長・石指雅啓の尋問を、ビデオリンク方式でおこなおうとしている。反対同盟はこれに抗議し、公判闘争への全力結集を呼びかけている。次回、10月15日の公判に総結集しよう。

10・7三里塚全国集会へ

三里塚芝山連合空港反対同盟は、10月7日の全国総決起集会に向けて招請状を発した。以下、全文掲載。

招請状

全国の労働者、農民、闘う仲間のみなさん。時代は変革へと大きく動き出しました。「原発ゼロへ、今すぐに」の巨万の直接行動が堰(せき)を切り、消費大増税とTPP(環太平洋経済連携協定)、オスプレイに対する人々の怒りが、野田政権を倒壊寸前にまで追い込みました。民衆の行動にこそ時代を動かす力がある! この巨大なうねりとひとつになって、反対同盟は10月7日に「国策」=空港建設と対決し身体を張って農地を守る全国総決起集会を開催します。多くの皆さんの結集を強く呼びかけます。
3・11大震災と原発事故による被曝の脅威は、この社会に対して根本的な問題を突き出しました。競争原理のもとで利益だけを追求し、「国策」の名の下に人の命と尊厳までも踏みにじるこの社会のあり方を転換することが問われています。
野田内閣はこれに応えるどころか、政治主導の事故収束宣言やストレステストから原子力規制委人事に至るまやかしの政治で原発の再稼働を強行し、その存続に血道をあげています。民衆を裏切りあざむく政治の裏で、軍事利用を可能にする原子力基本法の改訂までも強行しました。
さらに、生活苦を追い打ちする消費大増税。生計がたたず次代に引き継ぐこともできない農業、非正規化・低賃金の労働政策、16分間に一人という自殺社会! TPPはまったく異常なこの現実をさらなる競争原理に叩き込み貧困と格差を促進する最悪の選択です。日米同盟の強化に向かう露骨な動きが、「尖閣」「竹島」北方領土の軍事的緊張と排外主義を激化させています。
反原発・脱原発の一点で行動する巨万の決起と官邸前抗議の底流には、変革を求める民衆の怒りが渦巻いています。
歴史が動くこのときに、三里塚は市東孝雄さんの農地をめぐる決戦を迎えました。
みなさん! 成田空港は実力抵抗の闘いによって、アジアハブ(基幹空港)から陥落し、羽田国際化へと政策転換を余儀なくされた未完の欠陥空港です。市東さんの農地強奪の動きは、このぶざまな現実に追いつめられたあげくの暴挙です。それゆえ攻撃は凶悪であり、現闘本部北側の農地だけにとどまらず自宅前の出荷場や農機具置き場など営農手段のすべてを奪う収用攻撃そのものです。市東さんの闘いは農業壊滅と闘う日本の農家の縮図です。この秋から来春、三里塚は拙速審理─不当判決と第3誘導路供用開始(3・31)に対決して闘う文字通りの決戦に入ります。
三里塚闘争は、「労農連帯」の旗の下、北富士─砂川の闘いを引き継ぎ「国策」=空港建設と46年間闘い続けてきました。反戦・反核・反基地闘争の砦です。脈々と受け継がれる民衆闘争の歴史、絶対反対の実力闘争、三里塚が堅持してきた真価が、巨大な変革へのうねりのただ中で、未来に向かって解き放たれるときがきました。10・7三里塚全国集会は、新たな歴史の扉をひらく決戦突入集会です。
反対同盟とともに車の両輪として闘い続ける動労千葉、動労水戸の組合員が10・1外注化阻止の決戦に入りました。労働組合の真価をかけた国鉄1047名解雇撤回、非正規職撤廃に向かうストライキに連帯して闘おう。
いまこそ大胆に、違いをこえて連帯し、巨万の力を生み出そう! 反対同盟はなによりも被災地・福島の闘いと連帯します。反原発・反TPPの全国農民会議に闘う農民を糾合しよう。オスプレイの普天間配備を許すな! 沖縄を始めとする反戦・反基地闘争、関西を始めとする住民運動、市民運動と連帯しさらにすそ野を広げよう。あらゆる差別・抑圧を粉砕し、排外主義を打ち破り、韓国やアメリカ、全世界の労働者・農民と連帯して闘おう。10・7全国集会総結集へ、青年・学生の力強い決起を訴えます。
2012年9月2日 三里塚芝山連合空港反対同盟


投稿 関電京都支店で抗議闘争

金曜日の関電京都支店前行動は、有志のよびかけで6月22日から毎週おこなわれてきました。午後5時から7時まで、毎回300人前後の人たちが集まります。
8月31日は、「バイバイ原発・京都」が呼びかけて、毎週行動の主催者と協力して、午後4時からのスタンデイング、6時からの関電京都支店を2周するデモをおこないました。この日は、ふだんの2倍の650人でデモをしました。
高槻医療福祉労組の吉岡執行委員長もやってきて、正門前でパフォーマンスをしていました。6月から呼びかけてきた人達は、9月7日の関西電力節電期間終了までの予定でしたので、9月7日で毎週行動も終了するかもしれなかったのですが、最初の呼びかけ人たちの思いを引き継いで、新たに呼びかける人たちによって、毎週金曜日の関電京都支店前行動(キンカン行動)は継続することになりました。すでに全国100カ所を超える金曜行動が行われています。毎週金曜日、午後5時、京都支店前に集まりましょう。(京都M)

関電京都支店前で思い思いのプラカードを掲げて抗議(8月31日 京都市内)

再稼働ストップ! 志賀(しか)原発を問う
9・1「地元」住民集会

9月1日、表題の集会が石川県羽咋(はくい)市でひらかれ、県内外から主催者の予想を上回る200人が参加した。主催は、命のネットワークと羽咋市勤労協。羽咋市は、志賀原発がある羽咋郡志賀町に隣接。北陸電力・志賀原発は、北海道・泊原発、四国・伊方原発、九州・川内原発とともに、次の再稼働候補として名前があがっているが、1号機の直下を通る「S―1断層」(長さ約300メートル)が活断層の疑いありと指摘されており、焦点になっている。
渡辺満久・東洋大学教授が講演をおこない、志賀原発直下の断層についての解析・説明をした。日本の原発審査が、都合の悪いものは無視し、調べなければならないことをやらず、都合のよい資料を寄せ集めてゴーサインを出してきたことを厳しく断罪。志賀原発はただちに廃炉にしなければいけないと強調した。
京都からかけつけたSTOP再稼働現地アクションの長谷川羽衣子さんが、6・30〜7・2大飯原発再稼働阻止のゲート前攻防、福井市、おおい町などでの取り組みを報告。 集会まとめと行動提起を〈命のネットワーク〉代表の多名賀哲也さんがおこなった。「志賀原発をただちに廃炉にすること、国が責任をもって活断層の調査をおこなうこと」など3項目を市に申し入れてきたが、市当局はのらりくらりとはぐらかしている。この集会の後、市役所前で座り込みに入る。9月19日の市議会終了日まで、3項目の決議を求めて座り込みを続けると訴えた。
集会後、市役所前にテントを張り、横断幕をかかげて、数十人が座り込みを始めた。〔12日、市議会総務委員会が上記3項目の請願を採択したため、同日、テントは撤収した〕

安全が確認された原発?!

政府は、14日、「革新的エネルギー・環境戦略」を発表した。そのなかで、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる資源を投入」としているが、30年代といえば、39年12月31日まである。1日足せば、40年だ。少なくとも、あと28年は原発を継続するという意味だ。しかも、これは「努力目標」であり、決定ではない。おまけに、「安全が確認された原発は、重要電源として活用する」と明記されている。 こんなものは認められない。全原発の即時廃炉へつきすすもう。

6面

ロシア革命はなぜ商品・貨幣を廃絶できなかったのか
『展望』11号所収 榎原均「資本論講義」

理論機関誌『展望』11号が8月下旬に発行された。中心テーマは「脱原発闘争の発展のために」で、今春の福井・おおい現地闘争を中心とする攻防の総括と、福島の現局面が報告されている。
巻頭アピールでは、5・5の稼働ゼロと再稼働をめぐって、なぜ闘争が爆発的に発展していったのか、また共同闘争の課題と政治党派のセクト主義の克服の必要性を明示の形で提起している。
「フクシマの現局面」は、双葉郡を中心とする原発被災者の言葉を通じて、国と東京電力の責任を鋭く問い続ける迫真の報告である。この福島の人々の存在とその闘いに肉迫し、責任追及と全原発の停止を、ともに迫っていかなくてはならない。
また「被ばく地・フクシマで出会った人びと」と、現地リポート「原発再稼働情勢とオキュパイテント」は、現下の階級攻防の対決軸と、その全人民的裾野の広大さを示している。 野田民主党政権と支配階級を決定的に追いつめている脱原発闘争を、カンパニア闘争に落としこめず、廃炉までつきすすむ武器として『展望』が活用されたらと思う。
今号の今ひとつの重要論文は、「日米安保の参戦安保常態化」(黒山一鉄)である。沖縄闘争の発展にむけて、日米安保の分析を深めている。東アジアをめぐる米軍新戦略と日米安保は、旧来的ドグマとしての「恐慌→争闘戦→ブロック化→戦争」という図式では説明がつかない段階にきている。この中で改めて米軍新戦略を実体にあわせて分析し、「オフショア・バランシング」を通じての「従属的同盟」に踏み込んだのが黒山論文である。そのなかで、野田政権の集団的自衛権容認への「平和のフロンティア部会報告書」を取りあげている。全面暴露という点では、さらに次号の続編を待たねばならないが、「従属」という言葉に単純に反発するのではなく、実体に応じた分析での議論をのぞみたい。
三つめのテーマとして、マルクス主義の改めてのとらえ返し・確立のために、「(ネグリの)『労働の廃絶』論をどう受けとめるか?」と、榎原均さんの寄稿=「資本論講義(第1回)」が掲載されている。
特に後者は、ソ連崩壊の原理的根拠として、ロシア革命にもかかわらず、なぜ商品・貨幣が廃絶できなかったのかという問題から出発している。それは、商品から貨幣の生成が、商品所有者たちの無意識のうちでの本能的行為にあるとし、その廃絶は人為的=プロレタリアートの独裁によってはなし遂げられない、という刺激的な提起である。そして筆者は『資本論』にそって、商品の分析から始め、「商品の価値形態を人格の物象化、物象の人格化、これが成される一つの形式として解明しよう」とする。『資本論』の3つの異文(初版本、付録、現行版)をとりあげ、価値形態論として進んでいく。次号はこの領域が展開されると思う。『展望』を通じて議論が起こることも含めて、榎原さんの続編を期待したい。(Q)

福島支援弾圧裁判 不当判決弾劾
支援運動の拡大こそ反撃

13日、福島支援弾圧裁判の判決公判が大阪地裁でおこなわれ、「懲役1年、執行猶予3年」の不当判決がだされた。 被災地・福島の支援、三里塚と福島のむすびつきにとりくんでいた古河さんにたいする政治弾圧であり、公安警察・公安検察の主張を丸呑みした判決で、許すことはできない。 公判には30人のなかまが集まった。公判後の集会では、福島支援・反原発の運動をさらにひろげていくことが最大の反撃であることを確認した。

本の紹介 『税金は金持ちから取れ 〜富裕税を導入すれば、消費税はいらない〜』

武田知弘著 株式会社金曜日 12年7月刊 1300円+税

著者は言う。
「断わっておくが、筆者はこれといった〈主義主張〉のある人間ではない。だから、そういうことを述べたくて本書を執筆したのではない。筆者は元大蔵官僚として、たまたま日本経済のデータの見方を知っていた。それらのデータを見る限りでは、現在の日本の経済はとんでもないことになっている。このままいけば、日本は〈暗黒の時代〉に突入するだろう。この事態を何とか世間に伝えたく、本書を執筆した次第である」。
本書の冒頭に結論が書いてある。「金持ちや大企業がまともに税金を払えば、日本の財政問題は簡単に解決する」と。

トヨタ自動車社長の実質税負担率は、労働者より低い

トヨタ自動車社長の年収(2010年)は、約3億4000万円。所得税の負担率が15・1%、住民税の負担率が4・7%、社会保険料の負担率は0・9%、合計20・7%。 他方で、平均的給与所得者を見ると、年収約430万円。所得税の負担率が4・3%、住民税の負担率が5・1%、社会保険料の負担率は25・2%、合計34・6%。
このように、年収3億4000万円の社長よりも、平均的給与所得者のほうが、負担する税率は高い。
さらに、「配当所得に対する優遇税制」。どんなに収入があっても、所得税・住民税、合わせて一律10%でよい。累進性になっていない。トヨタ自動車・豊田社長の収入のうち、三分の二は、持ち株の配当金である。この配当収入に対して、所得税・住民税はわずか10%ですんでいる。
社会保険の「掛け金上限制度」もある。上限は年収1000万円程度の人が最高額となり、それ以上の収入があっても、、それ以上は支払う必要がない。だから、年収1000万円を超え、収入が増えれば増えるほど社会保険料の負担率は下がっていく仕組みだ。おおまかにいえば、年収3億円の人の負担率は、年収400万円程度の人の30分の一となる。

取るべきところから取っていない

著者は「『金持ちには高い税率を課す』という考え方は、一人ひとりの生きる権利や社会的な権利の保障を目指す近代社会においては当然である。ほとんどの先進国において、金持ちがほかの人よりもより多くの社会的責任を負うための制度を用意している。」「こんな国(日本)は、先進国ではあまり例がない。アメリカの金持ちでさえ、日本の金持ちよりはるかに多くの税金を払っている」。今の日本社会は、「億万長者を潤すために、国民全体が我慢している」状態であり、「日本の政治がやらなければならないことは〈金持ちからまともに税金を取ること〉」「あり余る富や財産にもきちんと課税するべき」、そうすれば「消費税の増税どころか、消費税そのものも不要だ。筆者はそう断言できる」と言う。
取るべきところから取っていない日本の徴税のしくみがよくわかる。データもわかりやすくまとめられている。一読をすすめる。