未来・第72号


            未来第72号目次(2011年1月4日発行)

 1面  12・22 防衛局 ヘリパッド工事強行
     12・23 米軍ヘリ 住民テントを破壊 沖縄・高江

     年末恒例 三里塚・団結野菜市

 2面  橋下改革にノーの声
     「日の丸・君が代」強制 新勤評制度に反対
     全国の力がひとつに 12・19全国集会

     ぐらつく橋下知事 足下から火の手

 3面  「弾圧要請は労組の自殺行為」
     5・27国労臨大闘争弾圧 控訴審 第2回公判

     関西合同労組「暴処法」弾圧
     検察 懲役3年を求刑

     大阪府は補助金凍結やめよ 大阪で緊急集会

 4面  基盤的防衛力から動的防衛力へ 中国敵視で日米共同作戦
     自衛隊を南西諸島に配備 新防衛大綱

 5面  米艦船の入港反対
     大阪港の軍事利用の中止を求める実行委 大阪市に申し入れ

 6面  「答えられない」をくり返す検事 狭山要請行動

     在特会デモに抗議行動 京都

       

12・22 防衛局 ヘリパッド工事強行
12・23 米軍ヘリ 住民テントを破壊 沖縄・高江

12月22日 早朝

6:41  防衛局、100名くらい、暗くてよくわかりませんが、工事にきてます! 集まれる方お願いします! 広めてください!
6:45  ゲート2つともです。暗闇の中一杯阻止してならんでます。
6:49  フェンス設置が強行されてます!
7:04  ヘリパッドではない、フェンスの工事だ、などと意味不明な事を言って、ヘリパッド工事を進めています。
7:12  N1 50名ぐらい
7:21  重機が入ってます。
〔「やんばる東村 高江の現状」ブログより〕

東村・高江地区のヘリパッド建設計画

砂利や重機を搬入
22日午前6時半頃、沖縄県東村・高江で、米軍のヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)建設工事を防衛局が強行した。工事は、村や区への事前連絡もなく、早朝、突然始まった。
防衛局は、ヘリパッド建設予定地のN4地区などゲートの2カ所で、道路の片側を封鎖、職員や作業員約100人を動員し、一列に並んで阻止線を張った。
その後、砂利や重機を搬入。金属製のゲートも設置した。
住民が駆けつけた。「なぜ話し合わないんだ」「やり方がおかしいんじゃないか」「工事をやめろ」とつめよる。
住民が抗議する中、工事は約2時間行われた。

12月23日 夜

翌23日の夜、ヘリパッド建設に反対する座り込みテント。夕方まで、防衛局の動きを監視するため、住民らが出入りしていた。一人で残っていた山城さん(沖縄平和運動センター事務局長)は、テントの隣に止めた車の中にいた。
午後7時45分頃、ヘリが近づいてくる音。この日は昼から米軍ヘリが演習をくり返していたが、こんな時間にはおかしい。するとヘリがテントの真上約15mで静止、次の瞬間、「すごい風圧で車が横に揺れ、ハンドルにしがみついた。恐怖を感じた」(山城さん)。
約1分後、ヘリが去ってからテント内を見に行くと、折り重なる椅子やテーブル、地面に散らばる割れた茶わん。テントの鉄製の足が曲がり、ビニールシートのひもがちぎれて垂れ下がっている。約40mも先に吹き飛ばされた椅子。針金で固定した看板も割れて飛ばされていた。

威圧のため狙い撃ち
「テント内に人がいれば、けがをしていた。こんなものは訓練ではない。威圧するために狙い撃ちしたとしか思えない」と山城さんは、怒りを露わにする。
抗議し抵抗する運動を威圧するためなら、テントを破壊するし、人がいてけがをしてもかまわない―これが米軍のやり方なのだ。

防衛局で座り込み
工事強行と米軍ヘリによるテント破壊。連続する暴挙に住民らは、28日、嘉手納の沖縄防衛局へ抗議に立ち上がった。沖縄防衛局長が住民と会おうとしないため、住民らは局内で座り込んだ。座り込みがどんどんふくらんでいった。
たたかいの広がりに押されて局長が出てきたが、不誠実な態度に終始した。
抗議行動は約2時間にわたっておこなわれた。次の抗議行動は、7日だ。

本土で抗議の行動を

22日は日本政府による暴挙、23日は米軍による暴挙。日米両政府によるむき出しの沖縄差別と暴力にたいして、住民と沖縄県民は怒りに震えている。

基地に包囲される高江
ヘリパッド建設は、SACO最終報告(1996年)によるもの。米軍が、北部訓練場(注)の北側(ほとんど使っていない)を返還する代わりに、返還場所にあるヘリパッド6カ所を、訓練場南側の東村高江区に移す計画。つまり北部訓練場南側の機能を強化することが狙いだ。事故多発の新型機オスプレイの訓練も導入しようとしている。
高江は、約160人が住む小さな集落。既設のヘリパッドに加え、新たな6カ所のヘリパッドによって包囲される形になる。そうなれば、集落の上空にヘリが、訓練のために低空で長時間飛び交う。もはや高江に人が住めなくなる。
また、建設予定地には、環境省レッドリストに掲載されている絶滅危惧種が177種も生息している。
高江の住民が、「自分の家で普通に暮らすため」に、07年7月から工事現場の入り口で、座り込みを開始した。

民主主義を否定
日本政府は、座り込みという平和的な活動にたいして、昨年1月、高江住民2人を相手に、通行妨害禁止の訴訟をおこした。国の事業に反対する住民を、国が訴えるという前代未聞の行為。
この訴訟において、裁判所から主張の特定と立証の補充を求められたが、政府は、これを無視。また、裁判所から住民との対話を促されたが、これも無視。
一切を無視した上で、22日に工事を強行。あまつさえ米軍が運動つぶしに出てきた。
これが、民主主義か。法治国家の体すらなしていない。民主主義も、最低限の法の支配すらも、沖縄にはないということだ。あるのはむき出しの沖縄差別。暴力以外に言葉はないということか。
これが、日米同盟の下での日本の政治体制の姿なのだ。
沖縄の人びとによる島ぐるみの抵抗で、日本の本当の姿が露わにされている。この姿を容認することは絶対にできない。日米両政府の暴挙を、本土で暴露しよう。本土で抗議の行動を広げよう。辺野古への新基地建設と高江へのヘリパッド建設を阻止しよう。

(注) 米軍は、98年から「ジャングル訓練センター」と呼んでいる。ジャングル戦のための、世界で唯一の戦闘訓練施設。海兵隊が、侵略戦争を想定し、対ゲリラ訓練、ヘリコプター演習などを昼夜を問わずおこなっている。


「辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動」の人たちが、毎週土曜日に大阪駅前でビラ配りと署名集め。今回は334回目。署名に応じる高校生2人。(1日)

年末恒例 三里塚・団結野菜市

「大根、よいしょ」。猛暑で作柄が心配されたが、例年とかわらない立派な三浦大根。重くて大変そう。果物かと思うほど甘くておいしかった。
(12月27日 明石教会〔兵庫県明石市内〕)

2面

橋下改革にノーの声
「日の丸・君が代」強制 新勤評制度に反対
全国の力がひとつに 12・19全国集会

6人のパネルディスカッション(12月19日 大阪市内)

先月19日、「これでええんか橋下『教育改革』―あかんやろ! 新勤評を許さない全国集会」が大阪市中央公会堂大ホールでひらかれ、教育労働者のみならず、多くの労働者・学生・市民500人が集まった。
集会は12時からプレ企画、午後1時オープニング。「浪速の歌う巨人パギやん」こと趙博さんのミニ・ライブで始まった。趙さんは、韓国強制併合100年のこの年に、最もあくどい攻撃を続ける橋下の地元で全国集会が開催されることを喜び、「百年節」「グーチョキパーの歌」などを力強くしなやかに歌いあげた。

教員はもちろん校長も

ついでパネルディスカッションがおこなわれた。パネリストは、一橋大の中田康彦さん、弁護士の冠木克彦さん、東京都立三鷹高校元校長の土肥信雄さん、大阪府立支援学校教員、府立高校の保護者、府立高校卒業生の6人。コーディネーターは、新勤評反対訴訟団の吉田正弘さんがつとめた。
パネリストの発言では、教育はもともと短期間の数値評価などになじまないもので、数十人の教職員を一人の校長が評価することの愚かしさが、それぞれ自身の体験をもって語られた。そして大阪の新勤評こそ、教職員の評価を賃金に反映させるという恐るべきもので、ほとんどすべての教職員だけでなく、大半の校長も反対していることが語られた。

都教委の評価は全く逆

東京都教育委員会が出した「職員会議での挙手採決禁止の通知」を批判し、その撤回を訴えたために、見せしめとして定年後の非常勤職を不合格とされた土肥さんは、生徒から手づくりの「卒業証書」をもらったことを紹介。もし評価するというなら、当事者である生徒が評価すべきもの、教育委員会が評価すると全く逆になるという事実を、具体的例として語った。

新勤評撤廃へ

教育では協働性と同僚性こそ基本だ。石原都知事や橋下府知事のやろうとしているのは、教育ではなく思想統制だ。
大阪の新勤評反対訴訟は、最高裁の判決が2011年の早期に予想されている。たとえ反動判決がだされようとも、すでに現場で破産しているこの制度を撤廃させるまで闘おうとよびかけられた。

各地のたたかい

休憩の後、全国各地から「ひとこと発言」があった。宮城・千葉・東京・神奈川・愛知・三重・兵庫・福岡・大分などから、それぞれ地域の実情にあわせながらねばり強く創意工夫をこらしてたたかわれていることが語られた。
次に、「報告とアピール」にうつり、全国から15の報告とアピールがあった。
東京と大阪を先頭に、「日の丸・君が代」の強制・不当処分との闘い。業績評価や不提出をめぐる各地のたたかい。さらには不当な分限免職や再任用拒否との闘いなど、石原都政や橋下府政の強権的な攻撃のもとでも、教育をめぐる全分野にわたって教職員がねばり強くたたかいぬいていることが明らかとなった。
京都の朝鮮高校卒業生からは、朝鮮学校に対する「高校無償化」除外と「補助金保留」問題との闘いが訴えられた。4月に在特会らにより書記局を襲撃された徳島県教組の委員長は、日教組のカンパ活動と四国朝鮮学校へのカンパは正当な組合活動で、在特会らの攻撃は「等しく教育を受ける権利」を侵害するものであると訴えた。
今や全社会的問題となっている非正規雇用差別・偽装請負の代表的事例であるパナソニック・プラズマ・ディプレイ当該の吉岡力さんからもアピールが行われた。

新たな運動スタート

3時間半におよんだ集会の最後に、集会実行委員会から「まとめと行動提起」がおこなわれた。
大阪で新勤評反対運動が始まって以来の規模で本集会がひらかれたこと。前日おこなわれた全国交流会での5時間にわたる討論で全国の状況が報告され、今後、全国各地の共同行動を強め、新勤評を廃止におい込むことが可能であることが確認されたこと。本日の集会を新たな出発点として、「12・19集会実行委」を「新勤評制度はいらない! 全国交流会」として継続し、たたかいぬこうと呼びかけられた。
集会後、大阪駅の西側まで行進した。(M)

ぐらつく橋下知事 足下から火の手

「大阪都構想は困難」

先月23日の朝日新聞によれば、大阪府自治制度研究会(座長=新川達郎・同志社大大学院教授)が、橋下への提言をまとめる最終会合をひらき「大阪都構想の導入は困難」とする意見で一致したという。同研究会は橋下の肝いりで同年4月に発足したもの。委員からは「ポピュリズムにならないように」という意見も相次いだという。
足下から火のついた格好の橋下は、「有識者が政治的領域に踏み込むのは越権」と激しく反応している。

アドバルーン

橋下が、大阪市を政治的に支配するためにあげたアドバルーンが「大阪都構想」だ。とくに議会での政敵をたたき落とすために打ち出されている。
そのため内容はまったくない。構想自体が、《大阪都》→《分市》→《大阪都》と右往左往している。橋下は「大阪市議会で過半数を取る前に、中身の提示はできない」と居直っている。橋下がモデルとしている東京都の特別区23区長のアンケート(毎日新聞による)では、「大阪都構想」を評価する区長はゼロ。維新の会が言う「一人の首長(都知事)が都内全体の権限を握ることで、民意を一本化し、より迅速な政策実行が可能になる」という質問にも、「実現可」と回答した首長はゼロだった。

はがされた芝生

先月4日、岸和田市立春木中学校で、校庭の芝生約3千平方メートルがはがされた。「グランドが平らでなく、練習しにくいので、はがしてほしい」と訴えていた野球部やソフトボール部員の保護者らが、重機をもちこみはぎ取ったという。
鳴り物入りでもてはやされた校庭芝生化。だが元々野球の盛んな大阪では、反対も多かった。維持整備に莫大な費用をかけなければでこぼこになって、とても野球には使えない。せっかく芝生を使えるようにしても、試合は土のグランドで行われるため不利になる。府からの補助金は限られており、芝生化には寄付金や労力のボランティアが必要で負担が大きい。
春木中の場合、約8百万円の費用のうち府からの補助金は3百万円。苗の育成や植え付けは全校生徒や地域住民が行った。維持管理の人員、費用も大変。橋下のひとりよがりの政策が今回の事態を招いた。

橋下打倒の年に

橋下包囲網が広がってきているようにいわれている。
11月にひらかれた平松大阪市長の政治資金パーティーに、民主だけでなく自民、公明の市議なども参加するなど、既成政党も選挙への危機感から対決姿勢を強めている。橋下をもてはやす一方だったマスコミもさすがに賛成一辺倒とはいかなくなってきている。
いま必要なのは、橋下打倒を目指すための根本的な批判と、その運動だ。
小泉改革以降、安倍・福田と続いた自民党政権は格差と貧困を拡大させる一方で、教育基本法の改悪、国民投票法などの反動法案を次々と成立させ、憲法改悪に突進した。
この新自由主義改革にたいする民衆の怒りが自公政権を打倒した。しかし橋下は、中央政府の混迷・再編含みの状況をついて、大阪から新自由主義攻撃と改憲運動の大反動を生み出そうとしている。
マスコミをとことん利用するのが橋下のやり方だ。「悪者」を作り出し、それをぶった切ることで民意を操作し、反対するものには強権発動の恫喝を行う。「いじめ」の構造そのものだ。それが橋下である。
その橋下をいまだ80%近い府民が支持していると言われている。「大阪都構想」も反対27%に対し賛成は43%(10月の朝日新聞・ABC調査)。現時点で「大阪維新の会」は府議会の最大党派。
4月統一地方選は、重大な政治決戦となった。「大阪維新の会」の進出を阻止しよう。(H)

3面

「弾圧要請は労組の自殺行為」
5・27国労臨大闘争弾圧 控訴審 第2回公判

先月14日、第2回公判(東京高裁)が前回を上回る傍聴人参加のもとでひらかれた。この日は、元国労九州本部書記長の手嶋浩一さんの証言と、松崎さんにたいする被告人質問がおこなわれた。

手嶋浩一さんが証言

◇反対し書記長解任
私は、「国鉄分割・民営化」攻撃のとき、国労(国鉄労働組合)主流派が「分割・民営化」賛成に転じるなかで、あくまで反対を貫き、87年2月に国労九州本部の書記長になった。国労本部がストライキ権の放棄をもとめる「総合労働協約・労使共同宣言を結ぶように」と指示したことに反対し、書記長を解任され、退職した。
その後は、運動から一線を画しつつも、国鉄闘争に関心をもちつづけた。四党合意(2000年5月)等の話は被告人の松崎さんから聞いていた。
◇5・27臨大は異様
国労OBとして思うに、02年5月27日の国労臨時大会は異様だ。職場討議もせずに3与党の要請によって大会をひらき、国家権力・機動隊を導入、闘う闘争団にたいする統制処分、生活援助金の凍結を決めようとした。こうしたことに反対するのはあたりまえだ。
同年10月、この臨時大会をめぐる事後弾圧があり、衝撃を受けた。そこで、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の呼びかけ人になった。労働組合の日常活動であるビラまきや説得活動に、暴処法(暴力行為等処罰に関する法律)が適用され弾圧される、このようなことが許されていいのか。
1審の東京地裁で公判を傍聴し、そのなかで真実があきらかになってきた。国労本部は松崎さんらがおこなったビラまきや説得活動にたいして、三列縦隊を組み、突っ込んできた。おまけに、反対派を陥れるため、事前にビデオカメラを用意していた。酒田・国労東京地本委員長(当時)は公安警察に「逮捕できないか」などと弾圧要請した。これは国労という労働組合にとって自殺行為。このような弾圧は許してはならない。
◇次の展望が重要
最高裁での一括和解について。02年5・27臨時大会をはじめ、闘争団・家族のがんばりがつくりだしたものであり、もし当時の自民党の要請になすがままであったら今日の和解はない。和解については、労働組合である以上妥協や和解はあるが、次の闘いを展望していくことが重要である。23年におよぶ闘争団・家族の思い…(言葉につまる)…和解は苦渋の選択だと思う。和解には年金が含まれていないし不満はある。次の課題、JRへの雇用を認めさせるために全力をあげることが大切である。1047名闘争と5・27臨大闘争弾圧粉砕のたたかいが日本の労働者の未来をきりひらいていく。
◇悔しさにじむ
さらに手嶋さんに佐藤弁護団長から、「和解によって一部要求である和解金をとった。今後、この資金を使ってたたかっていくことに意義があると思うがどうか」という質問、手嶋さんは、「そうだと思う」とこたえた。
休憩後、手嶋さんは、国労を追われた経緯に再度ふれながら、「国労が分割民営化反対闘争をしっかりたたかっていれば…(言葉につまる)…くやしい」と結び、証言を終えた。

労働運動再生のため
次に松崎さんにたいする被告人質問。松崎さんは、なぜ控訴審をたたかうのか、語気を強めて語った。私一人のためにたたかっているのではない。労動運動において《ビラまき・団結権の行使》を有罪とすることや、労働組合への権力の介入は許してはならない。労働運動の再生に向けたたかうときっぱりと述べた。そして、02年5・27臨時大会当日、ホテル前での自分たちによる暴行はなかったと、きっぱり述べた。
最高裁での一括和解について、闘争団は闘うことによって展望をきりひらいてきた。今回の和解は鉄建公団との和解であってJRとの和解ではない。JRへの復帰にむけ全力で闘うと決意を語った。

証人申請を却下
弁護団が申請した証人(中曽根康弘元首相、葛西敬之JR東海会長)は不当にも却下された。
中曽根は、「憲法を変えるために社会党、総評、国労をつぶす」、それをめざして国鉄分割・民営化をおこなったと明言している。また。葛西は、国鉄官僚として、JR職員採用名簿に深くかかわった。大口弁護士は、「両証人を採用することによって、全体像と国家的不当労働行為があきらかになる」と理路整然と述べた。

次回は2月22日
公判終了後、弁護士会館で報告集会がひらかれ、2審無罪判決にむけ、たたかいを強めていくことが確認された。
次回は、2月22日13時30分から東京高裁429号法廷で最終弁論がおこなわれる。多数の仲間の結集を訴える。(国労組合員 T)

関西合同労組「暴処法」弾圧
検察 懲役3年を求刑

第6回公判(12月6日)、第7回公判(12月8日)で弁護側立証、裁判官からの被告人質問。12月22日の第8回公判で、論告求刑・最終弁論がおこなわれた。
検察官は、論告で、何の証明もなく、T証言を信用できると強弁。沼田さんが取り調べに完全黙秘したことをあげて、「被告人の法廷証言は信用できない」と決めつけた。いつものでっち上げ手法で、懲役3年を求刑した。

弁護側は無罪を論証

弁護側最終弁論では、大阪府警河内署・荻野の調書と、「被害者」とされるTの公判証言の食い違いに、警察・検察による誘導が示されていることを具体的に明らかにした。また、東大阪労働センター内の一室に置いてあったヘルメットの「中核」という文字を、Tが見えたはずもないのに見たものとし、それを暴処法弾圧の証拠にしようとしたこと、そのために、暴処法とは関係のない別件での不当捜索時に、立会人に隠れてヘルメットとクーラーボックスを動かし、「中核」という文字が見えるように近接撮影。これを「職務犯罪」「違法行為」と断罪した。最終弁論は、本事件のでっち上げ構造を全面的に暴露し、沼田さんは無罪であると論証した。
最後に沼田さんが、最終意見陳述をおこない、でっち上げ弾圧を弾劾し、無罪判決を要求した。
次回、判決公判は、2月2日15時から、大阪地裁503号法廷。傍聴にかけつけよう。

大阪府は補助金凍結やめよ 大阪で緊急集会

先月14日、「政府は『すべての子どもの高校無償化』方針をまげないで! 大阪府は『私立外国人学校振興補助金』の無条件、即時『支給』を! 12・14緊急集会」が大阪市内で開催された。緊急のよびかけであったが500人が集まった。

日本人自身の責任で

主催は本集会の実行委員会。呼びかけは、朝鮮学校を支える活動を日常的におこなっている個人・団体・労働組合など。
日本政府が朝鮮学校のみを「高校無償化」対象から外し、橋下知事が20年来支給されてきた朝鮮学校への大阪府補助金を凍結している問題について、日本人自身の責任で本年度予算内に解決することをめざし、この集会は開催された。
主催者あいさつで有元幹明さん(南大阪朝鮮初級学校アプロハムケ。「日朝市民連帯・大阪」)は「本年度内に予算が執行されないと来年度からの予算の回復が難しくなる」と本集会の重要性と緊急性を訴えた。同日おこなわれた大阪府私学課への要請行動の報告では、「私学課長は出すように努力したいというが、府知事の専決事項になっているため、橋下が首を縦に振らないと実施されない。ファシストのような橋下は許せないと府には強く抗議し、何としてもこの補助金を支給するように強く申し入れた」と話した。

教育権の保障を

集会報告は永久睦子さん(I<アイ>女性会議・大阪。「日朝市民連帯・大阪」)がおこない、これまでの「高校無償化」に関する活動経過をくわしく話した。
在日外国人の学ぶ権利を保障するものとして民主党の打ち出した「高校無償化」を高く評価していたのに、これを潰そうとする動きに屈してしまったと、民主党政権のふがいなさに怒りをあらわにした。保護者は税金を払い、朝鮮学校はすばらしい子どもたちを日本社会に送り出している。「無償化」はその子ども達への支援であり、政治とからめることではない。1948年4月の阪神教育闘争を再びくり返させてはならない。政治と子どもの教育権を混同しない、なんびとも差別されることなく教育権を保障する、この2つを共通項にして多数派を形成していこうと訴え、学び残した近現代史を取り返すことを私たち自身がやらなければならないのではないか、と発言を結んだ。
このあと、全国大会に出場を決め合宿中の朝鮮高校ラグビー部主将、城北朝鮮初級学校オモニ会、大阪府下各地の支える会(アプロハムケ ネットワーク)からアピールがあり、会場からの自由発言のあと、菅首相あてと橋下府知事あての2つの要請文を採択した。(N)

発言は、大阪朝鮮高校ラグビー部のキャプテン。この全国大会でベスト4まで進んだ(12月14日 大阪市内)

4面

基盤的防衛力から動的防衛力へ
中国敵視で日米共同作戦
自衛隊を南西諸島に配備 新防衛大綱

先月17日、政府は、新たな「防衛計画の大綱」(防衛大綱)を閣議決定。新防衛大綱と同時に、新「中期防衛力整備計画」(中期防)も決めた。新防衛大綱の特徴は、過去34年間かかげてきた「基盤的防衛力構想」を投げ捨て、「動的防衛力」をうち出したことだ。これは、安保防衛政策の基本方針の大転換だ。「専守防衛」の建前を取り払い、中国敵視を明確にし、対中国の日米共同作戦態勢に自衛隊の態勢をシフトするということ。その中心が南西諸島での自衛隊の配備増強だ。いまひとつは、海外派兵能力の強化だ。

T.「専守防衛」を放棄

基盤的防衛力構想
防衛大綱とは、日本政府の安保防衛政策の基本方針。1976年に初めて策定され、95年、04年に改定。今回は3回目の改定。
最初の76年防衛大綱以来、「基盤的防衛力構想」をかかげてきた。
基盤的防衛力構想とは、「限定的かつ小規模な侵略」に対応する「必要最小限の防衛力を保持する」というもの。
また、基盤的防衛力構想と「専守防衛」は一体だった。専守防衛とは、「相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その防衛力の行使は自衛のための必要最小限度にする」というもの。
基盤的防衛力構想と専守防衛とは、一面では、日本の軍事大国化にたいする内外の批判をかわす建前であり、他面では、日米同盟の下、アメリカの対ソ連戦略に対応した戦略だった。
しかし、自衛隊が侵略軍隊として復活することにたいする一定の制約となってきたことも事実だ。
基盤的防衛力構想の放棄とは、専守防衛という建前を最終的に放棄することを意味する。

日本版JASB構想
新たにうち出された「動的防衛力」とは何か。
「もはや陸上戦力が敵地上陸して旗を立てる時代ではない。日本の新しい防衛態勢は、米国のジョイント・エアー・シー・バトル構想に連動する」(防衛省幹部)。
ジョイント・エアー・シー・バトル(JASB海空戦闘)構想とは、「4年ごとの国防計画見直し(QDR)」報告で新たにうち出された軍事戦略。「空と海の兵力を一体的に運用し、海・空軍力を最大限に引き出す新安全保障戦略。中国を念頭においている」(米議会関係者)。
中国の体制的危機、中国・台湾間の緊張、中国による周辺での軍事活動などにたいし、アメリカは、軍事的に介入する作戦をもっている。
米軍の軍事介入に対して、中国が中距離巡航・弾道ミサイルや防空網・電子戦などで、防戦にでることを想定。その防衛態勢を突破するために米軍は、空軍・海軍の共同作戦能力を強化。空軍が早期警戒態勢をとり、中国からのミサイル反撃を抑え、さらに、米空母打撃群が中国近海に踏み込み、中国沿岸部の基地や都市にたいして、航空機による攻撃をおこなうというもの。
「動的防衛力」とは、対中国の軍事包囲に自衛隊の態勢をシフトし、自衛隊と米軍との共同作戦態勢を強化する日本版JASB構想だ。

U.対中国シフトと沖縄配備

中国敵視
新防衛大綱は、北東アジア情勢を「不安定・不確実」と描き、「北朝鮮は・・・喫緊かつ重大な不安定要因」、「中国は、・・・活動を拡大・活発化させており・・・地域・国際社会の懸念事項」と主張している。
防衛大綱においては、初となる、中国敵視を、公然とうち出した。

南西諸島への配備強化
これまで自衛隊の戦力は、北海道を重点に、全国に均等に配備されていた。アメリカの対ソ連戦略に対応したものだ。
これにたいして、新防衛大綱では、沖縄を中心とする南西諸島への自衛隊の配備強化をうち出した。
新防衛大綱の言う南西諸島とは、日本の九州以南、台湾本島以東の島嶼部を指す。そこには、日本が略奪を狙う釣魚台(=尖閣諸島)も含まれる。
対中国の軍事包囲の最前線として、沖縄を臨戦態勢に入れるということだ。

常時継続的な警戒監視
「各種兆候を早期に察知するため・・・常時継続的な情報収集・警戒監視・偵察活動による情報優越を確保するとともに、各種事態の展開に応じ迅速かつシームレスに対応する」
「警戒監視活動」が、臨戦態勢として攻撃的にうち出されている。
それは、直接の軍事的な衝突に至る以前の段階で、情報収集・警戒監視・偵察活動などによって、中国軍とのつばぜり合いを展開しながら、中国側の防衛態勢を破壊・突破していく軍事活動だ。中国側の軍事行動の兆候を察知したら、ただちに攻撃態勢に入っていくというもの。
「警戒監視活動」は、JASB構想の最重要の柱の一つであり、日米共同作戦態勢の下で、自衛隊がこれを積極的に担う。
◇無人機導入も
「無人機を含む・・・警戒監視態勢の在り方について検討」と新中期防で明記。朝鮮民主主義人民共和国東部の弾道ミサイル発射基地や中国沿岸部の偵察をおこない、ミサイル防衛システムの一環として運用することを狙う。
アフガニスタン・パキスタンでは、米軍の無人攻撃機プレデターと無人偵察機グローバルホークが戦闘に出撃している。
アフガニスタンから1万キロ以上も離れた米軍基地内で、コンピューター画面をみながら遠隔操縦し、ミサイルを発射する。TVゲーム感覚で、無差別に爆撃・殺戮を行っている。
警戒監視活動なるものは、このような攻撃を含む軍事活動そのものだ。

V.沖縄を侵略最前線に

新防衛大綱と新中期防でうち出された、南西諸島への自衛隊配備強化の実態について、主なものは右の図と表のとおり。

早期警戒能力の強化
空自については、早期警戒能力の強化をうたっている。
空自の移動警戒レーダーや早期警戒機(E2C)で、中国軍の動きを警戒監視し、米空母打撃群の展開を防衛。中国軍にミサイル発射などの兆候があれば、米空軍機と空自機が一体で、中国軍の発射基地や艦船を叩く。相手側から発射されたミサイルは、PAC3で撃ち落すというもの。
このように、早期警戒能力とは、中国のミサイル攻撃力を弱体化・無力化させるミサイル防衛体制そのもの。JASB構想において不可欠の一環なのだ。

潜水艦作戦を展開
過去30年間以上、16隻態勢で推移してきた潜水艦数を、22隻に増強。
その狙いは、「日本の潜水艦が中国の潜水艦を抑え、航空自衛隊が警戒・監視を強める。その結果、米空母が台湾や韓国を守る作戦を行える」。「琉球列島は、対潜水艦にとって地理的に有利」「日本が同盟国でなくなればJASB構想は成り立たなくなる」(米シンクタンク・クレシネビッチ所長)
これは、東中国海における中国潜水艦の活動を封じ込める対潜水艦戦だ。「島嶼防衛」なるものをこえた、中台問題への軍事介入そのものだ。

陸自 沖縄へ機動展開
◇沿岸監視部隊

日本の最西端・与那国島に、陸自の沿岸監視部隊を配備。与那国島から台湾まで110キロ、目と鼻の先だ。
これは、中国にたいする挑発だ。
◇初動を担任する部隊
加えて、宮古島・石垣島に、初動を担任する部隊を配備する。
陸自は、事態に対応して、北海道をはじめとする全国の部隊を、輸送機や輸送船で、南西諸島に緊急展開。沖縄本島・宮古島間、奄美大島・徳之島間など、中国海軍の行動ルートに面した島々に配置し、阻止行動をとる。
初動を担任する部隊とは、全国部隊を受け入れる基盤を整備する役割を持つ。
◇陸自の海兵隊化
「海兵隊化を研究している」(陸上幕僚監部研究本部)
「米海兵隊は地上兵力と海空の統合部隊だ。呉の輸送艦『おおすみ』が強襲揚陸艦のような役割を果たし、三沢のF2戦闘機が近接航空支援をやる。『海兵隊化』とは自衛隊の文化を根本から変えることだ」(元海自幹部)
陸自は、海外派兵を重ね、また、米海兵隊との共同演習を積み重ねることで、海兵隊化を進めている。
「文化を変える」とは、専守防衛の建前上、敵の着上陸侵攻への対処を想定した態勢をとってきたとされる自衛隊を、殴り込みをかけ、攻め込んでいく攻撃部隊に変えるという意味だ。
陸自の南西諸島への配備は、米軍と一体で中国に攻め込む部隊に、陸自が変身することになる。

W.海外派兵能力の強化

動的防衛力のひとつの柱は、上述したように、対中国シフトと南西諸島への自衛隊配備だ。今ひとつの柱が、海外派兵能力の強化だ。

中央即応集団
07年3月、陸自中央即応集団が、海外派兵専門部隊として創設された。翌年には主幹部隊として中央即応連隊が新たに編成された。
「配属されたら9種類の予防接種を受ける。地球上のすべての感染症に対応できる」(ハイチPKOを率いた前連隊長)
米軍は、兵士をいつでもどこでも派兵できるように、予防接種を多用しているが、中央即応連隊も、即応性という点で、米軍に近づいている。
ハイチPKOの派兵では、政府が派兵を表明してから約2週間で陸自部隊の本隊が現地に着いた。
新中期防では、海外派兵能力の強化として、「中央即応集団の機能充実を図る」と打ち出した。
装備面では、ヘリ空母、次期輸送機の整備をうたっている。
法制面では、武器使用制限緩和を狙っての「PKO・5原則見直し」。これは、アフガニスタンでISAF(国際治安支援部隊)への参加を狙うもの。民主党がいっかんして追求してきた陸自のアフガニスタン侵略参戦だ。

X.武器輸出の全面解禁へ

「防衛装備品をめぐる国際的な環境変化にたいする方策についての検討が盛り込まれたのは前進」(日本経団連・米倉会長)。
武器輸出三原則の見直しは見送ったような報道があるが、日本経団連会長の発言を見れば評価は明らか。
すでに、軍事技術の対米供与やミサイル防衛の日米共同開発などはおこなわれているが、これを事実上、全面解禁することになる。

アメリカの圧力
「09年9/17付 クリントン国務長官から東京を含む各国大使館あての公電」をウィキリークスが暴露した。それによれば、日米が共同開発中の弾道ミサイル迎撃用ミサイルSM3ブロックUAを、米政府は、NATO諸国に売り込みたいと考えており、そのためには、日本政府にたいして、武器輸出三原則の見直しを検討するように働きかけることを、クリントン長官が在日米大使館に指示を出している。

Y.日米同盟うちくだこう

昨年11月から12月、日・米・韓が、朝鮮半島周辺から黄海にまで踏み込んで、さらに、沖縄周辺から東中国海で、大規模な軍事演習をくり返した。新防衛大綱でうち出された軍事戦略の発動はすでにはじまっている。帝国主義による新たな侵略戦争の始まりだ。
アメリカ帝国主義は、グローバリズムの破綻の中であがき、全世界で破壊と殺戮をくり広げ、全世界人民の憎しみの的になっている。
他方、日本は、かつて朝鮮・中国・アジアを侵略し、2000万人を虐殺。今日なおその犯罪を一言も謝罪できないでいる糾弾の対象だ。
この米日両国が組んで、再び朝鮮・中国に戦禍をもたらそうとしている。とりわけ日本が、再びアジア人民に銃口をむけようとしている。
アメリカでは、恒常的な戦時体制の下、アフガニスタン・イラク・パレスチナ人民との連帯闘争がねばり強くたたかわれている。それが、アメリカの侵略戦争を足下から破綻させている。
われわれ日本人民もこのたたかいに学ぶ必要がある。日本人民の朝鮮・中国人民との連帯闘争はいまこそ真価が問われている。

沖縄を捨て石にするな
南西諸島への自衛隊配備は、再び沖縄を、日本防衛のための捨て石にしようとするものだ。
1945年の沖縄戦もこのようにして準備された。
もともと沖縄には、ほとんど軍隊はいなかった。しかし、日本の敗勢が濃厚となった44年、天皇と軍部は、国体護持・本土防衛のために、沖縄を捨て石にする作戦を計画。日本軍を沖縄へ集中させた。そして、沖縄を戦場に日米の軍隊が激突、住民の1/3を犠牲にした。
65年後の今日、「島嶼防衛」と称して、中国を敵視し、沖縄を最前線にした臨戦態勢を、日米が共同でつくろうとしている。
この事態を告発しているのが、沖縄県民の叫びだ。沖縄県民のたたかいにこたえよう。これを踏みにじったとき、再び侵略戦争を許すことになる。
普天間基地を即時撤去せよ。辺野古新基地建設と高江ヘリパッド建設を阻止しよう。今春の日米首脳会談と日米同盟の深化を粉砕しよう。

5面

米艦船の入港反対
大阪港の軍事利用の中止を求める実行委
大阪市に申し入れ

先月17日、「大阪港の軍事利用の中止を求める実行委員会(代表・英男全日建連帯労組関西地区生コン支部副執行委員長)」による、平松邦夫大阪市長にたいする「外国艦船入港時非核証明の実施を求める」申し入れが行われた。
大阪港への米艦船の入港は近年急増し、ほとんど毎年3、4月に行われている。同実行委員会は09年11月20日に大阪港の軍事利用の中止を求める陳情書を大阪市議会に提出し、同日250人で市内デモを行うなど広く市民に訴えてきた。

夜には「大阪港米艦船入港許すな」集会を開催(12月17日 大阪市内)

米日の朝鮮侵略と対決

この秋以降、朝鮮半島および周辺で、米韓合同軍事演習、日米統合演習、韓国軍演習などが連続的に実施され、米日韓が朝鮮民主主義人民共和国を追いつめている。11月23日の朝鮮西部海域における砲撃戦はその危機をわれわれに衝撃的につきつけた。日米、米韓の軍事演習は来春までほとんど連続して行われようとしている。
この演習の主力艦は横須賀を母港とする原子力空母ジョージ・ワシントンであり、近年大阪港に入港してきた巡洋艦カウペンス、駆逐艦ラッセン、ステザム、ジョン・マッケインなどがジョージ・ワシントンの指揮下で参加している。これらの艦船が近々大阪港に入港し出撃する事態が生まれかねない危機感で、今回の申し入れは行われた。
◇訴訟も辞さず
高代表は、以下のように申し入れた。
1.今後、軍籍を持つ外国艦船大阪港入港の際の入港・接岸許可にあたっては、その申請者に入港艦船に核兵器が搭載してないことを証明する文書の提出を求めること。
2.1文書の提出がない艦船の入港は許可しないこと。
3.1、2の申し入れ事項についての大阪港管理責任を持つ市長の誠意ある回答を求める。
回答は12月末日までに行うこと。
さらに、09年12月の市議会への陳情にたいして、12月市会で継続審議となり事実上棚上げされていることを追及、市長が誠実な回答をしない場合は訴訟も辞さず核艦船の入港を阻止すると、市当局に突きつけた。

大阪市内で集会

同日夜には、大阪市内で「大阪港米艦船入港許すな!」集会がひらかれた。司会は関生支部の西山さん。
訴訟を準備している弁護団から冠木克彦弁護士が、「イラクへの自衛隊派遣違憲訴訟」での名古屋高裁判決(08年4月17日)が、「個々の国民が具体的に有する権利」として明確に認めた「平和的生存権」や、戦後の平和主義が貫かれた港湾法をも武器にして争う準備をしていることを表明した。
原告団予定構成団体として全国金属機械労働組合港合同、管理職ユニオン・関西、関西合同労組、部落解放同盟全国連合会、大阪の海と空を戦争に使わせない会などからの決意表明を受けた。
大阪港の軍事利用の中止を求める実行委員会では、原告団を募集し裁判資金のカンパも訴えている。

6面

「答えられない」をくり返す検事 狭山要請行動

狭山事件の再審をめぐる三者協議(高裁、高検、弁護側)を翌日にひかえた先月14日、部落解放同盟全国連が狭山要請行動をおこなった。〔三者協議をめぐる状況については、本紙前号6面で既報〕
午前中は、東京高裁への要請行動。昼休みは、裁判所前での宣伝活動。午後から高検への要請行動がおこなわれた。

全国連と共闘の仲間が東京高裁前で宣伝中に、石川一雄さん(右から3人め)が到着。いっしょに東京高裁にむかって弾劾の声を上げた(12月14日)

裁判所の態度を弾劾

高裁では、殺害現場とされる雑木林でのルミノール反応検査報告など「すべての証拠の開示命令を出すこと、三者協議に石川さんを参加させること」などを要請した。
要請行動への対応を決める裁判所側の会議について、その会議の名称、構成員を明らかにすることはできないという訟廷管理官。
これを中田書記長が弾劾した。大阪高検の証拠捏造などにより、国民の司法にたいする信頼は地に落ちているとつきつけ、「その原因は、裁判所が検察の言いなりになってきたからだ。裁判所もなめられている。司法にたいする信頼も公正さも疑われているときに、なぜそのようなかたくなな態度をとるのか」と、秘密主義的な態度を改めるよう迫った。
訟廷管理官は、次回要請のときに、「できるかどうかも含めて回答する」と答えざるを得なかった。
各団体からの計11通にのぼる要請文を、岡田裁判長に必ず伝えるようにと手渡した。

石川さんと握手

「狭山差別裁判糾弾」、「石川さんは無実だ」、「石川さんとともにたたかうぞ」。昼休みの東京高裁前にシュプレヒコールがこだました。
部落解放同盟全国連の狭山要請団は、定期的に東京高裁前アピール行動を続けている石川一雄さんと、この日、合流した。石川さんに握手を求める人、一緒に写真をとる人。そこは感動的な交歓の場となった。

検事 30分沈黙

午後1時半から、検察庁にたいする要請行動がおこなわれた。
冒頭、明日15日が三者協議であることを上田担当検事も確認。直ちに追及・要請行動に入った。
上田検事は「事実関係にかかわる事は明日の三者協議まで一切こたえられない」と、決まり文句の答弁を繰り返すのみ。この間の検察の不正や不祥事に、どれだけ人権が侵されているか、その反省から三者協議に臨むべきではないか、その決意を明らかにするのが出発点ではないのかとの要請・追及にも、「答えられない」をくり返すのみ。
怒りに震えた要請団からは、村上副委員長・中田書記長を先頭に、「そもそも一審の内田判決を読んでいるのか、あの立場を踏襲するのか、あの判決は部落差別そのものではないか」と追及。検事は、30分にわたり沈黙。見かねた事務官が助け船をだそうとするが、ますます窮地に。ついに3時前になってやっと「このようなつるし上げでは答えられない」と、かぼそく応答。
要請行動を20人に限定しておきながら、何が「つるし上げ」だ。
検察は絶対的な権力を行使しながら、人民の追及には恐れおののく無様さ。全国連各支部・各団体からの要請文をよみあげ、1時間半の検察要請行動をおえた。

石川一雄さん 新年メッセージ
━犯人に作り上げたる全過程 今年こそは法廷の場で━

〔石川一雄さんの新年メッセージを掲載します。ブログ「冤罪 狭山事件」より転載〕
全国狭山支援者の皆さんへ謹んで新春のお喜び申し上げます。
例年の事乍ら旧年中も何かとお骨折りを賜り誠にありがとうございました。私も今年こそは絶対に事実調べの実現を通して「無罪を勝ち取るんだ」の気構えと不退転の決意を秘めて新しい年の第一歩を踏み出しました。
昨年を振り返ってみれば、仮出獄して16年の中で、一番充実感に満ちた年であったように思われました。
勿論、自分自身を奮い立たせた要因はなんといっても裁判官の勧告に基づいて、一部とはいうものの、47年間隠された証拠開示に因って、私をして心を掻き立てると共に、支援者の皆さんもその思いを共有し、再審闘争の中で、今度こそ「裁判が動くんじゃないか」と確信的にとらえた結果、各地で狭山集会等が開かれ、私自身も東西奔走駆け回りました。
今更言及する迄もなく、私自身が社会的立場を自覚して以来、一貫して、わが命は300万同胞の命でもあると感じ、32年の過酷なというよりも就縛な拘禁生活に耐え、司法の理不尽極まりない差別攻撃にも萎えることなく正面から立ち向かって来られたのは、外でもなく、被差別部落の兄弟姉妹をはじめ、労働者、宗教者、反差別運動に携わっておられる多くの方々に石川一雄を支援し続けて頂いたお陰で、私自身も自己変革を成し遂げることができたと思います。
振り返れば昨年は、多くのえん罪事件が表面化したことで、市民の中でも「えん罪」に対する関心も高まり、高裁前での情宣行動では多くの署名を頂いたり、弁護士さんや、見知らぬ方から「石川さんがんばって」「応援しています」の声をかけられ、感激したものでした。
そういう意味で、今年の狭山闘争は世論の声を背景に、なんとしても再審実現に漕ぎ着けなければならないと、闘う姿勢を強く持って取り組んで参る気概でいます。
私の狭山事件は一般的普遍的に存在する社会意識としての差別観念を土台とした司法当局の違法な別件逮捕、再逮捕、長期拘留に因る精神的、肉体的拷問にも等しい疲労困憊の極限状態の中で作られた「自白」であってみれば、本来なら証拠上認められないという結論以外はありえないと解すべき筈なんですが、こと、今日に至ってもいまだ司法当局が真相究明しようとしません。
何れにせよ、私を犯人にでっち上げた黒幕は警察に対する捜査指揮命令権を持つ検察であり、最高検を頂点とした検察機構こそ極悪の差別犯罪者集団なので、今後も徹底的に弾劾していかなければなりませんが、多少なりとも救われたのは別件逮捕当日に書かされた上申書が開示されたことであります。
今迄も国語学者の先生方の鑑定書が提出されておりますが、取調官の口述の基に書かされた物とはいえ、47年間も隠してきた私の自筆の上申書が開示されたことによって、ますます当時の私にはあの脅迫状は書き得なかったことが証明されたのです。
だが然し、前述の様に情勢は依然として厳しく、検察当局は頑なに証拠隠しの姿勢を崩していません。したがって当然の事乍ら、今後とも更に厳しく追求して参りますが、どうか皆さんも、今年こそ私、石川一雄の殺人犯のレッテルが剥がれるようご協力のほど強く強くお願い申し上げます。
年頭に当たり私の決意の一端とさせていただきましたが、本年も支援者の皆様方のご健勝とご活躍の程を念じつつ失礼いたします
                               2011年1月1日  石川 一雄

在特会デモに抗議行動 京都

四条烏丸交差点(12月4日)

12月4日、京都市内で在特会デモにたいする抗議行動がおこなわれた。
1年前の同日、在特会らは京都朝鮮第一初級学校へ集団で押しかけた。朝鮮学校が教育のために、隣接する公園を使用してきたことを、在特会は「不法占拠だ」と攻撃し、襲撃におよんだ。
その1年後にあたるこの日、在特会は「領土奪還一周年記念 京都朝鮮学校解体」をかかげ、全国動員で80人の京都市内デモをおこなった。
「排外主義とたたかうネットワーク関西」が抗議行動をよびかけ、60人がたちあがった。在特会デモが通過する2つの繁華街交差点(四条烏丸、四条河原町)で、ビラまき、マイクアピール、横断幕を拡げての抗議行動をくりひろげた。関心は高く、1500枚のビラは1時間もたたないうちにまき終えた。