日米韓は戦争挑発やめよ
黄海演習を強行
先月23日午後、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が韓国領・大延坪島(テヨンピョンド)に対して砲撃を加えたことに対して、米韓両国は28日から今月1日まで4日間にわたって、朝鮮半島西側の黄海上で合同軍事演習(参加兵員約7千3百人)を強行した。これは「黄海上で実施された合同演習として史上最大規模」(韓国軍合同参謀本部)である。また今回の演習では、中国の猛反対を押し切って米原子力空母ジョージ・ワシントンが初めて、中国本土と目と鼻の先にある黄海上に進出した。この演習はもともと準備されていたものだが、あたかも今回、北朝鮮の砲撃があったからおこなわれることになったかのように演出された。
日米韓の大規模演習
さらに、今月3日から10日まで、日米共同統合演習(実働演習)「鋭い剣」が、日本各地と沖縄周辺海域で強行されている。日米で約4万5千人が参加、B52戦略爆撃機も投入、艦艇約60隻、航空機約400機という、日米演習としては史上最大規模だ。しかも、今回はじめて韓国軍もオブザーバーというかたちで参加している。実質上、日米韓3カ国の軍事行動だ。
すさまじい戦争挑発である。
北朝鮮への攻撃
大延坪島には、韓国軍の前線基地があり、約600人が常駐。民間人は約1600人が住んでいる。今回の北朝鮮による砲撃は、大半が韓国軍の基地に着弾したとされるが、流れ弾が民間居住地を直撃した。
韓国政府は北朝鮮の砲撃を「無差別攻撃」と非難し、またオバマ米大統領は米ABCテレビのインタビューに「国際社会を再結集して北朝鮮に圧力をかける」と述べ、黄海上での合同演習を正当化した。
しかし、韓国政府や米国政府に北朝鮮を一方的に非難する資格はない。今回の砲撃戦を引き起こした直接のきっかけになったのは、23日午前中に大延坪島周辺で韓国軍が行った北朝鮮の領海にたいする砲撃発射訓練だった。これは北朝鮮の警告を無視して、22日から韓国軍が韓国全土で開始した「護国」という大規模演習の一環として行われたものである。
領海争いのある海域で、北朝鮮の抗議を無視して、韓国軍による砲撃発射訓練が強行され、それに反撃するとして、北朝鮮が砲撃し、さらに韓国軍も応戦し、交戦状態となった。
くりかえし軍事演習
「朝鮮半島有事」を想定した米韓軍事演習は今年だけで計10回。7月の米韓軍事演習「不屈の意志」(米韓8千人参加)、8月には米韓合同演習「ウルチ・フリーダムガーディアン」(韓国5万6千人、米3万人参加)が韓国全土で実施された。こうした大規模な軍事演習が北朝鮮にとって〈深刻な脅威〉となっていることは明らかである。
こうした軍事演習にたいして北朝鮮は「重大な結果を招く」と警告を発していた。また韓国の情報機関である国家情報院が、今年8月の段階で北朝鮮が大延坪島を含む「北方限界線」付近で攻撃を行う兆候があることを把握していたことが、韓国の国会で明らかになっている。北朝鮮による反撃の危険性を十分に承知していながら、米韓政府は、北朝鮮を威嚇する軍事演習を繰り返してきたのである。
以上の経過をみれば、今回の砲撃戦を挑発したのが米韓両政府にあることは明らかだ。
瀬戸際外交
だからといって、北朝鮮による今回の砲撃は断じて正当化できるものではない。
今回の砲撃の背景には北朝鮮の国内体制の危機、とくに金正日(キムジョンイル)総書記から三男の正恩(ジョンウン)への権力委譲問題が存在している。金正日父子の権力を維持するために、南北朝鮮7千4百万の人民を戦火に追い込むような行為は断じて許されない。金正日政権がとっているいわゆる「瀬戸際外交政策」は、米韓政府が朝鮮半島をめぐる軍事的緊張を高めるための絶好の口実にされており、南北分断体制を固定化する役割しか果たしていない。それは民族の統一を求める朝鮮人民の悲願を踏みにじるものである。
排外主義あおる政府
日本政府は先月24日に、全閣僚をメンバーとする「北朝鮮による砲撃事件対策本部」を設置した。その初会合で菅首相は「許し難い蛮行。北朝鮮を強く非難する」と発言し、黄海上の米韓合同軍事演習による戦争挑発行為に同調している。さらに同日、仙谷官房長官は朝鮮学校への高校無償化制度の適用について、当面は適用対象外とするという考えを示した。朝鮮学校への制度適用について「政治・外交上の問題は配慮しない」という政府見解をいとも簡単に捨て去ったのである。こうした日本政府の対応が、国内における北朝鮮や中国にたいする排外主義を扇動していることを断じて軽視してはならない。10〜11月には元航空幕僚長・田母神ひきいる「頑張れ日本!全国行動委員会」などが東京・大阪で大規模な反中国デモを行った。これは日本における本格的なファシズム運動の登場である。日本の労働者人民は、南北統一求めてたたかう朝鮮人民、中国共産党による強権支配や民族抑圧に抗し、日系企業をはじめとするグローバル資本による搾取と収奪とたたかう中国人民との国際連帯の旗を高く掲げて、排外主義とファシズムに断固として対決しよう。
日米韓による戦争挑発、軍事行動、軍事外交と対決しよう。
伊波候補に29万7082票 沖縄知事選
支持者の声援にこたえる伊波洋一さん。左は連れ合いの成子さん。マイクは照屋寛徳衆院議員 |
「新しい沖縄へ」と大書したボード。集まった人びとの思いをあらわしていた。(写真上下とも、11月27日 那覇市内 打ち上げ集会) |
健闘およばず
11月28日投開票の沖縄知事選は、伊波洋一候補が、現職の仲井真候補に迫ったが、3万8千票差で及ばなかった。
28日午後10時過ぎ、那覇市内の事務所で伊波さんは、支持者を前にマイクを握り、感謝の言葉を述べるとともに、次のように語った。
「私たちを支持してくれている県民の思いは相当強かった。運動も進展した。私たちは、米国の召し使いではない。県民が誇りをもち、沖縄の問題を主体的に解決することが大事だ。基地がある限り、基地問題は厳然と存在する。基地をなくす運動は続く。みなさん、ともにがんばろう。いつか私たちが勝つ」。
仲井真 追い込む
伊波さんとともにたたかった稲嶺名護市長は、名護市内で、次のように述べた。
「(仲井真氏が)『日米合意を見直す』、『県外を求める』と県民に約束したからには、先頭に立ってもらわないといけない。名護から始まったうねりが、条件付き容認の現職の立場を変えさせた。変えざるを得ないところまで追い込んだ。これは一つの成果だ」。(関連記事 2〜3面)
2面
新しい基地いらない 沖縄の意志は不変
ルポ 伊波選挙を応援して
伊波さんと稲嶺名護市長(左)が揃って訴え(11月25日 那覇市内) |
那覇の事務所には、いままで本土での講演や集会にかけつけてくれた沖縄の人びとの顔が多数あった。ビラ配りや街頭演説、電話かけに奔走していた。東京や大阪からも仲間がかけつけていた。
無数の決起
毎朝7時すぎから朝立ち。幹線道路の交
打ち上げ集会に続々と集まる労働者の隊列(11月27日 那覇市内) |
ビラ配りは、まずはみんなでビラ折りから。万単位のビラも、大勢で一斉にやればはかどる。そして前日の情勢分析をもとに、地域が割り振られる。まとまった人数が車で移動、ビラをかかえて散開、団地やマンションにビラを配布。こういう活動に本当に
市民と気さくに握手をする伊波さん(11月27日 那覇市内) |
宣伝カー。路地という路地をぬうように走った。スピーカーから、ヒヤミカチ節を変えた伊波候補の応援歌。ヒヤミカチ節は沖縄の心の歌。たくさんの声援を受けた。
伊波陣営の黄色のノボリはよく目立つ。ノボリが敵対者にとられたりしたら、地域の支持者が翌朝には修復。何十本ものノボリを、ひとりで夜じゅう見回って守っている支持者もいた。
辺野古のオジイ・嘉陽さんから思いを託される稲嶺市長と安次富ヘリ基地反対協共同代表(右)(11月25日 キャンプシュワブ前) |
那覇市内の通りに、オバアが立っていた。通行人に伊波候補の名刺をわたしていた。それを何日もやっているという。思わず握手を交わした。こういう無数のたたかいがあるのだなと思った。
25日には、稲嶺名護市長や名護でたたかう仲間が大挙、那覇に。一行は名護を出発する前に、辺野古で座り込みをたたかうオジイ・嘉陽さんと固い握手をかわし、その思いを託されてきた。国際通りや県庁前で、伊波候補と稲嶺市長がそろって訴えた。辺野古で座り込みをたたかう青年たちも。名護からの訴えは、胸を打った。
握手、握手
27日夕方、那覇市内各所から市内をねり歩く道ジュネで、新都心に人びとが集まってきた。最後の打ち上げ集会だ。市民グループはギター演奏でにぎやか。労働者の隊列はそろいの鉢巻で力強く行進。午後6時、暗くなる頃、大きな交差点が人垣でいっぱいに。
伊波候補が宣伝カーの上でマイクを握った。いままでで一番力のこもった訴えだった。感動。
集会後、伊波候補が集まった支持者の渦の中に。握手、握手。交差点を全部回っ
沖縄知事選結果 |
伊波 297,082 (得票数/有権者数:27.81%)
棄権数 417,833
★宜野湾市長選 |
これからも
選挙応援にかけつけた仲間は、みな最後まで奮闘した。結果には悔し涙を流した。だが「これまでも、そしてこれからも」と、たたかいの決意を固めなおした。(O)
政府との対決にむかう沖縄
沖縄の意志示す
本当に悔しい。勝ちたかった。しかし、投票では負けたものの、この知事選の意義は大きい。
伊波さんは、辺野古のオジイ・オバアや宜野湾市民から負託をうけて、知事選に挑んだ。伊波さんの「ぶれない信念」の源はここにあった。この伊波さんが知事になるということは、日米同盟および日本政府との全面対決を意味した。日本帝国主義の差別支配をはねのけ、沖縄のことは沖縄が決めるという自決(自己決定)の道に進むということだ。伊波さんの「新しい沖縄」という主張には、そういう思いがこめられている。そういう知事が沖縄に誕生するかどうかという大きな攻防だった。沖縄と日本の国のあり方を左右するような大決戦だった。
その勝負で30万票近くを獲得し、仲井真候補に3万票差にまでせまった。このことは、実に大きな意味を持つ。
基地はいらないという意志が、沖縄全体の意志として改めてはっきりと示された。それは、仲井真に投じた人びとも含めた沖縄の意志だ。
その沖縄の意志が、日米両政府を激しく追いつめ、日米両政府を縛りつけるものとなっている。新基地容認の仲井真が、「県外」といわざるをえなかったこと自体が、そのことを示している。
沖縄県民の苦闘
指摘されているように、基地容認の仲井真が、告示1カ月前になって、「県外移設」と言い出したことの影響は大きかった。これは、もちろん、窮余の一策で、選挙対策の争点隠しだ。これがなければ確実に仲井真は落選しただろう。
仲井真陣営の方針は、無党派層を刺激しないで、基礎票・組織票ですり抜けるやり方だった。
この争点隠しの中で、棄権が42万人強、率にして4割近くになった。
棄権した人びとの気持ちの一端を、会社員Aさん(40代前半男性)が話してくれた。「政権交代したのに、結局、元に戻っている。中央を変えないといけないのに、沖縄の中で争っても・・・」。Aさんは基地押しつけに憤っている。しかし、投票には行かないという。
もし、争点が鮮明になっていたら、Aさんのような人の行動も違っていただろう。それを思うと悔しい。
そのうえで、ここには、沖縄の人びとの気持ち、沖縄のたたかいが直面している厳しさが語られている。
◇政権交代 期待と失望
「最低でも県外」と公約する政権が、昨年初めて登場したことにたいする沖縄県民の期待は大きかった。しかし、5・28日米合意を鳩山が受け入れ、菅政権のもとでの反動攻撃がさらに強まり、巻き返しが進んでいる。
沖縄県民にとって、政権交代への期待が大きかったがゆえに、それが裏切られたことへの失望も大きい。
◇沖縄に孤立強いる
沖縄のたたかいは、日米同盟・日本政府と全面対決する以外にない。そのことを、沖縄県民はみな感じている。
しかし、本土のたたかいがこれに呼応できていない。政権交代をもたらした階級関係の転覆を狙う大反動にたいして、それをつき破る反撃を組織しえていない。また、本土の労働者人民の多数が、日米同盟を是認しながら、基地はイヤだという態度を示している現実にある。
沖縄が、「基地は全部いらない」「基地も安保もいらない」と言い切れる状況を本土がつくっていない。このことが、沖縄を孤立させ、沖縄県民に葛藤を強いているのだ。
このように選挙結果に向き合ったとき、本土のわれわれにこそ問題が突きつけられている。
本土がどうたたかうか
沖縄県民の意志が、仲井真を、簡単には裏切れない状況に追い込んでいる。ただ、仲井真が政府と対決しない路線をとる以上は、「県外」のペテンが露呈するのは時間の問題だ。
そのとき、沖縄県民の怒りは臨界点をこえる。辺野古のオジイ・オバアのたたかいと、沖縄県民がひとつになり、稲嶺名護市長や伊波さんを押し立てて、政府との全面対決に突き進むだろう。
問題は、本土のわれわれがどうたたかうかだ。
日米安保同盟粉砕
本土において、多数が、日米同盟を是認しながら、基地はイヤだといっている現実をうち破ることだ。
この現実が、どれだけ沖縄県民を踏みつけにし、困難を強いているか。この現実と格闘もせずに、沖縄との連帯をいう左翼にたいして、不信と糾弾が突きつけられている。
われわれは、日本政府の日米同盟路線の下で、沖縄に基地を押しつけ、朝鮮人民・中国人民にたいする敵対関係を許してしまっている。日米同盟と日本政府の積極的な対米追随政治を粉砕するたたかいが、本土に課せられた最重要の課題だ。
新たな変革の潮流
本土の労働者人民の怒りのうねり、沖縄県民の〈基地〉と〈基地を押しつける沖縄差別〉にたいする怒りのうねりが、自民党政権を打倒するという点で結びつき、その中で、鳩山をして、「最低でも県外」と言わしめた。
この階級関係にたいして、全反動が襲いかっている。しかし、昨年の政権交代をもたらしたのは、人民の怒り・危機感によるうねりだ。それを超えるたたかいをまきおこそう。新たな変革の潮流をつくり出そう。そのたたかいをもって沖縄に連帯しよう。
日米共同声明・新基地建設阻止へ
来春、首相が訪米し、日米共同声明を出すという話がすすんでいる。辺野古問題を解決できないで、日米共同声明などだせるのか。この秋は破産した。沖縄県民のたたかいが破産させた。
沖縄とともに本土のたたかいで、来春、日米共同声明・辺野古新基地建設を絶対拒否しよう。
カンパのお礼
多くの皆さんに沖縄現地派遣カンパをいただきました。ありがとうございました。
3面
大阪で関空反対デモ
大阪・難波周辺を4キロにわたってデモ(11月21日) |
関西空港反対集会が11月21日、大阪市内でひらかれた。大阪の海と空を戦争に使わせない会(「海・空」)、淡路町空港反対同盟、新空港反対東灘区住民の会、関西新空港反対明石住民の会がよびかけた。住民・労組員ら65人が参加し、日本橋電気街を通る約4キロのデモをおこなった。
新たな一歩
開会あいさつで司会から「関空は大阪全体の問題なので、大阪市のど真ん中で集会デモをやっていきたい」と集会開催の位置づけが表明された。
主催者あいさつとして4団体を代表して発言に立った「海・空」の代表は、今まで関空に反対する取り組みを泉州でやってきたが、ここ2年間はできなかったという残念な状況があったと前置きした上で、二期島は滑走路が1本あるが不等沈下で水溜まりができたり全体が広大な荒れ地として放置されていると暴露し、ここに9千億円の予算が投入されていることを弾劾した。関空・二期島のために安全軽視の格安航空を導入しようとしたり、沖縄米軍基地の訓練代替場にと橋下大阪府知事が軍事利用発言をしている。住民の生活を無視し、国・大阪府・関空会社・関西財界など空港の利権に群がる連中のためにのみ、みんなの税金が投入され、関空が大きな顔をしてのさばっている。あらためて関空反対の声を上げていこうと訴え、その一歩としての本集会開催の意義を明らかにした。
三里塚からメッセージ
連帯あいさつの最初に神戸空港の中止を求める市民の会が発言。神戸空港の赤字のつけを市民に負担させてまで空港を維持しようとしていること、今年も海洋調査をしたが空港東側はヘドロで「死の海」になっていることを弾劾し、大阪湾を戦争に使わせないために共に闘っていきたいと訴えた。
続いて、風をおこす女の会、関西合同労組大阪支部から連帯の発言。
三里塚芝山連合空港反対同盟からの関空闘争連帯メッセージが読み上げられ、ギター演奏と歌に続いて、リレートークに移った。
橋下打倒へ
淡路町空港反対同盟からの発言は、今回の闘争を関空第3次闘争の始まりだと激を発し、小なりと言えど私たちは「頂門の一針」だと鼓舞した。
関西新空港反対明石住民の会、新空港反対東灘区住民の会、11・1不当逮捕をはねのけた闘う「障害者」の発言の後、橋下弾劾・打倒へ向けた集会決議が採択された。
最後に、淡路町空港反対同盟の永井代表からまとめの提起をうけ、デモに出た。
軍事空港化とめよう
関空や神戸空港の軍事空港化を本気で考え主張する輩が存在する事実に危機感をもち、闘いの手を緩めることなく廃港へ向けてたたかいぬこう。
12・14 狭山要請行動へ
全国連とともに闘おう
東京高裁前で訴える 石川一雄さん(11月5日) |
12月中旬に第5回目の三者協議が予定されている。石川一雄さんは、支援の仲間たちとともに、毎週火曜日と金曜日、朝昼2回にわたって、東京高裁前でアピールをおこなっている。
石川さんのたたかいにこたえ、私たちも、12月から来春にむかって、狭山第三次再審闘争に決起しよう。
正真正銘の正念場
部落解放同盟全国連合会は14日、東京高裁と東京高検にたいする要請行動を予定している。また、解放同盟と住民の会は16日、石川さんを迎えて、都内の東京教育会館で集会を予定している。狭山弁護団は、この第5回三者協議の場に提出する「新証拠」を準備しているという。
正真正銘の正念場だ。裁判所内外でのたたかいの結合と広がりが決定的だ。石川さんは、11月アピール(本紙前号掲載)にあるように、広く全国の支援団体に訴えている。
肝心の証拠はまだ
第5回目の三者協議をひかえているが、弁護団も訴えているように、三者協議の現在の状況は厳しいといえる。
たしかに5月の三者協議において検察側は、いくつかの証拠を開示してきた。しかし、よく見れば、勧告に応じていない3点の証拠もあり、石川さんの無罪を証明するはずの、一番肝心なものがいまだに明らかにされていない。犯行現場を特定すべきルミノール反応の報告書などが、「不見当」などというふざけきった返答をもって隠されているのだ。
私たちは、当然ながら晴天白日の無実を確信している。また石川さん本人も、乱暴に「何が何でも無罪判決を」と言っているわけではない。むしろ司法のルールに従って、証拠の開示と、事実調べ、証人尋問、本人尋問、そして再審というまったく当たり前の手続きを要求しているのだ。
当然の権利奪う差別
このような請求人としての当然の権利が石川さんにおいては奪われているということが問題なのだ。ここに部落差別という重大な問題が存在している。
布川事件や足利事件で認められた権利が、なぜ石川さんには認められないのか。私たちは狭山事件のいわば出発点についてのみでなく、今現在の狭山事件のありようについて、ここに部落差別があるのだということを強く訴えていかなくてはいけない。
石川さんは、「狭山のたたかいが大きく前進した」しかし「『事実調べ』『再審開始決定』が実現したわけではありません」「今が『再審開始』への扉を開かせる大きなチャンスのとき」「次の天王山は、5回目の三者協議」と檄を発している。なんとしても石川さんの訴えに応えよう。
4面
橋下独裁と大阪都構想
大阪府知事・橋下が、自らを代表とする地域政党「大阪維新の会」を4月に立ち上げた。大阪府議会、大阪市議会で、過半数の獲得を狙っている。現時点でも大阪維新の会が、大阪府議会の最大党派だ。先月17日、来春統一地方選の第二次公認候補を発表した。大阪維新の会の公認候補が、大阪府議選で定数109にたいして56人、大阪市議選で定数69にたいして31人、堺市でも14人だ。
橋下は、大阪府・大阪市の議会で過半数を獲得し、「大阪都構想」を実現すると標榜している。橋下が標榜する大阪都構想とは何か。大阪維新の会や橋下のブレーンの上山信一は、大阪都構想について、別掲抜粋のように述べている。これを批判する。
T すり替えの論理
まず、行論に沿いつつ、その論理展開を見ていく。
《住民サービスの向上こそ》と話をはじめながら、《競争力強化と経済成長》に力点が移動している。ここでは《住民サービスの向上》は建前に過ぎなくなっている。
《競争力強化と経済成長》が中心目的になっている。それを《現行の大都市自治制度》は阻害しているという。しかし何がどう阻害しているのかは判然としない。そして話が一気に、《「広域自治体が大都市圏域の成長を支え、基礎自治体がその果実を住民のために配分する」地域経営モデル》という結論に行く。
《中央集権体制の解体》とは威勢がいい。が、《中央集権体制》をどう批判するのか、そして何を対置するのか。ここには大きなすり替えがある。
《大阪は危機だ》ろう。しかしどういう危機なのか。人民が直面し実感している危機と、橋下らがいう危機とは意味がちがうが、そこをごまかしている。
さらに、《大阪の危機》が打開できないのは、《二重行政だから》としている。何がどう《二重行政》なのか、《二重行政》と《大阪の危機》がどう結びつくのかが判然としない。《二重行政》ということを大映しにすることで、《一つの強い司令塔》という結論に誘導している。
U グローバル企業に奉仕
次に、ポイントを絞って批判する。
《競争力強化と経済成長》
指摘したように、《競争力強化と経済成長》を中心目的として、大阪都構想は立論されている。パナソニックなどのグローバル企業が、日本に拠点を置きつつ、アジアおよび世界でビジネスを展開している。このグローバル企業の利害こそ、大阪都構想の中心目的だ。
上山は、「(パナソニックなどのグローバル企業を)繋ぎ止めつつ、大阪を新興国とのビジネス拠点にしていくためには何が必要でしょう」(別掲本)として、空港、港湾、道路、研究拠点など、グローバル企業が求めるインフラ整備や、グローバル企業への法人税減税、医療福祉への参入ための規制緩和の推進などを列挙する。
そして、橋下が、「アジアの各都市と競争するため、限られた財源を有効に投資できる広域行政体・・・を大阪からつくっていきたい」(今年4月)というように、グローバル企業に奉仕する大阪都への再編が狙いなのだ。
《大都市自治制度》
《現行の大都市自治制度》が問題なのは論を待たない。が、それは橋下が問題にするのと逆に、府や県に権限・財源が集中していることが問題なのだ。
府県は、政府と市町村の中間機関として、政府を代行し、市町村を監督し、費用を負担する存在だ。政府は、府県を通して、市町村を支配している。市町村は、府県によって首根っこを押さえられている。
市町村の自治を蝕んできたのは、中央政府の中央集権体制以上に、この府県による支配なのだ。
ただし、大阪市のような政令指定都市は、政府からの直轄統制にあることで、府県の支配から一定の距離がある。
橋下が問題にしているのはこの点にある。橋下の狙いは、大阪市を屈服させ、大阪府の傘下におさめ、大阪市が擁する財源・権限・事業を奪い取って大阪府に集中させ、グローバル企業の《競争力強化と経済成長》に投入したいからなのだ。
《中央集権体制の解体》
《中央集権体制の解体》とは、あたかも強大な国家権力にたたかいをいどんでいるかのように聞こえる。
しかし、とんでもないペテンがある。それは、中央政府の支配にたいして、人民の自治を要求するものではない。大阪府知事の権限を抜本的に強化し、府知事が独裁的に経営手腕をふるう体制にしたいということなのだ。そして、まがりなりも市町村にあった権限・財源を独裁知事の手中に取り上げるということに行きつく。
また、運動によってかち取られてきた地方自治や社会福祉、環境対策などの制度がある。それらは、国の基準として、自治体がかってにいじれないようになっている。これが、資本の飽くなき利潤追求をある程度規制してきた。こういう規制を《中央集権体制》と攻撃し、規制から自由になって、独裁知事とグローバル企業が好き勝手にやりたいということだ。
《広域自治体と基礎自治体》
大阪都構想と特別区 |
@府庁と大阪市役所を同時に廃止、新たに大阪都をつくる。 |
《広域自治体》とは、あらたに創設する大阪都を指している。
「アジアの各都市と競争するため、限られた財源を有効に投資できる広域行政体」と橋下が言うとおり、広域自治体に権限と財源を集中させ、グローバル企業の《競争力強化と経済成長》に専念する。
《基礎自治体》とは特別区のことで、社会保障など、人民の生活・生命に直結する行政が押しつけられる。
東京都の例を見ても、特別区は税収の4割を都に吸い上げられている。基礎自治体には財源が少ないのに、社会保障が押しつけられ、受益者負担・自己責任でやるしかなくなる。結局、社会保障の切り捨てだ。
◇トリクルダウン
しかも《大都市圏域の成長の果実が住民に配分》とは、新自由主義者がよく使う「トリクルダウン(おこぼれ効果)」という理屈だ。《金持ちが儲かれば貧乏人にもおこぼれが行く。だから福祉などやめて、金持ちの経済活動を活性化させるべき》というものだ。
しかしグローバリズムの進行がもたらしたものは、グローバル企業の空前の収益と、大多数の人民の貧困・生活苦の拡大だった。経済成長しても、その成果が配分されないことは、すでに証明済みだ。しかも成長に失敗したときのツケだけはしっかりと配分された。
◇自己責任
また、基礎自治体間での格差も、橋下は当然視している。曰く、「限られた財源のなかでどんなサービスを選択するかは、基礎自治体の首長や議会を通じて住民が選択していただく」(今年9月)と、福祉が低下する基礎自治体が出ても、それは、首長や議会を選んだ人民の自己責任だというのだ。
◇ビジネスの対象
さらに、社会保障は、切り捨てられるだけではない。資本のビジネスの対象にされる。「金持ち向けの高額サービスで稼ぐ」「人口が集積する大阪にとって有望な成長産業」(別掲本)というのだ。
《大阪の危機》
たしかに、大阪の人民の生活実態は、 深刻だ。失業率が全国ワースト3(09年度)、倒産や児童虐待は全国平均より増加率が高い。介護保険料の基準額や国民保険料、就学援助などの自治体間格差も拡大。
ところが、橋下が問題にしているのは、もっぱらグローバル企業の観点から見た大阪経済の低迷だ。
たしかに、大阪経済は東京以上に低迷している。それは、グローバリズムの進行で資本の中心が、金融・情報に移動し、東京に集中し、また、製造部門がアジアにシフトしたからだ。グローバリズムの必然的結果だ。
その解決があるとすれば、それは、グローバリズムから日本がまるごと離脱することだろう。
ところが、橋下に言わせれば、《グローバリズムに大阪がのりきれていない》、《行政がグローバル企業に貢献していない》《新自由主義が不徹底だ》ということなのだ。
グローバリズムの盟主アメリカを先頭に、その危機と破綻をあらわにしているとき、そこに突っ込めと叫んでいるのが橋下なのだ。
《二重行政の解消》
橋下は、《大阪府市を合体させると二重行政が解消される》《二重行政の解消で経費を7千億円節約》と述べている。これは、詐術で民意を誘導するものだ。
大阪府は、《二重行政解消》の具体例として、「地下鉄、公立大学、港湾などは、広域自治体が実施する方が望ましい。一方、上下水道や生活相談などは基礎的自治体が担うべき」という報告を出している(今年6月)。
しかし、大学、病院、文化ホールなどが、府立と市立施設があるからといって二重行政なのか。大阪府報告には、住民サービスにかかわる行政を切り捨てたいという狙いがにじみ出ている。
同時に、大阪市が有する港湾や交通事業を取り上げたいといっている。インフラの民
大阪維新の会「設立の趣旨」(抜粋) |
福祉、医療、教育、安心・安全等に係る住民サービスの向上こそが地方政府の存在理由であるが、その原資を拡大するには圏域の競争力の強化と成長が不可欠である。しかし、現行の大都市自治制度は大都市圏域が持つ潜在可能性を十全に発現させないような仕組みになっている。私たちは、来るべき「地方政府基本法(仮称)」の成立を見据え、それに先立つ形で「広域自治体が大都市圏域の成長を支え、基礎自治体がその果実を住民のために配分する」という新たな地域経営モデルを実現するため、本日、大阪府議会内に新会派「大阪維新
の会」を設立する。 |
《赤字解消》どころか、大規模インフラのために、より大きな負担を人民に強いようとしているのだ。
さらに、《府市合体》をしたら、特別区の事務事業が増える。しかし、特別区の財源は増えない。特別区には、地方交付税は交付されないからだ。よって、特別区が事務事業の委譲を受けるほど、貧窮する構造になっている。
◇ためにする議論
要するに、《二重行政》などというのは虚構の産物であり、ためにする議論だ。
そして本当の狙いは、大阪市を屈服させ、大阪府の傘下におさめ、大阪市が擁する財源・権限・事業を、《競争力強化と経済成長》に投入したいということだ。
この点で橋下は、大阪市・平松市長に攻撃を集中している。では平松は人民の利益を守る側にいるのかといえば、
「大阪再生マスタープラン」(抜粋) |
大阪維新の会
大阪の危機は官民を通じて認識され様々な取り組みがなされてきたが、それぞれの取り組みがバラバラなため「負のスパイラル」から抜け出せないでいる。 |
《1つの強い司令塔》
こうしてみてくると、大阪都構想とは、要するに、《大阪府市を合体させ、大阪都を創設す
上山信一『大阪維新 橋下改革が日本を変える』〔角川SSC新書〕(抜粋) |
向かうべき方向はとにかく「One大阪」です。今の市役所も府庁もなくすのです。両方同時に解体をする。とにかく二重行政、二重構造を止めるのです。そして、大阪全体を変えていく1つの強い司令塔をつくるのです。 |
V ポピュリズムとの対決
小泉改革の二番煎じ
橋下の大阪都構想は、小泉改革が強行し、とん挫した構造改革路線を、別の形で継承・推進しようとするものだ。橋下の独自性は、小泉改革が、東京・中央に一極集中させながら進行したのにたいして、見せかけであれ、大阪・地方という切り捨てられる側から、事態の突破を図ろうとしている点だ。
しかしグローバリズムの行き詰まりの中で、グローバリズムに突っ込むという点で、破産は必至だ。
しかも、対朝鮮・中国への侵略戦争外交と、日本の戦争国家への転換という情勢下で、橋下の大阪都構想は、破産すればするほど、戦争国家への転換と侵略戦争・排外主義の扇動にのめり込んでいくだろう。
なぜ人気
橋下は、いまだ80%以上の支持率とされる。大阪都構想も反対27%にたいして、賛成が43%だ。
これは、支持ではなく人気だ。そして人気の理由は、マスメディアを利用する手法、悪者を仕立ててぶったぎる手法、また、上述したように、 《中央集権制の解体》《二重行政解消》《大阪の危機》といった詐術が効果を生んでいるからだ。
しかしこれだけでは《橋下人気》の秘密は解けない。
人民の自己権力を
現在、経済も国家も行き詰まりと破産を露呈している。人民には、生活苦が襲いかかっている。しかしその打開の展望がまったく示されない。こういう危機の中に、人民は放り出されている。
議会や行政制度が、人民からどんどん疎遠なものとなり、この危機に無対応であることに人民は失望し、不信感を抱いている。また左翼的とされてきた政党や組合も、同類としか見えない。
同じことを翻っていえば、人民が、戦後的な支配の枠組みから大規模にはずれつつあるのだ。それが、09年衆院選のように、ともかくも政権交代という方向がみえたとき、強大なうねりとなって立ち上がってくる。
このような立ち上がりがはじまっている情勢だからこそ、既成の制度や政治を攻撃して登場してくるポピュリズムが一定吸引力をもってくるのだ。だから、この人民の立ち上がりを人民自身の自己権力の確立にむけて、徹底的に発展させていけるのかどう
本紙掲載の関連論文 |
・第37号 都議選結果と衆院解散 |
橋下の大阪都構想と対決し、その中で、人民の自己権力確立にむかう変革の潮流をつくり出そう。
5面
橋下による教育破壊と新勤評
12・19 全国集会へ
12・19全国集会のチラシより |
大阪府の新勤評攻撃
新勤評とは、大阪府教委が府下の全教職員にたいして、「評価・育成システム」の導入を強行し、勤務評定の結果を賃金に反映させる攻撃だ。かつての勤評闘争以来の日教組運動との力関係を転換させ、教育労働者の間に分断を持ちこみ、教育現場に競争原理を徹底させようとする攻撃だ。東京都教委の人事考課制度に次ぐもの。
関西労組交流センター教育労働者部会は、03年試行実施、04年本格実施の攻撃と対決する方針として「自己申告票提出拒否」を広範に訴えた。千人を超える教職員が提出を拒否し、システム破綻の危機を強制してきた。このたたかいは、00年以来の「日の丸・君が代」強制反対闘争と、06年末までの教育基本法改悪阻止闘争とも結びついて、教育現場攻防の焦点となってきた。
その後、全国に評価制度が広がってきているが、大阪府下のこの闘いが最も広範に強固に組織されて、全国的な焦点になっている。現在、橋下府政のもとで超エリート教育の推進と学力テスト対策の点取り競争が強制され、教育労働者にたいする締めつけ策として「評価・育成システム」と賃金反映が駆使されており、橋下知事打倒闘争の最大の攻防点となっている。
最高裁に圧力を
07年の賃金反映導入にたいする反撃として開始された新勤評反対訴訟は、教組の枠をこえた大統一戦線として呼びかけられ、原告団は105名に達し、毎回の公判で大法廷をあふれさせてきた。教育現場の危機感は大きく、怒りは深い。
大阪のシステムでは、C、D評価(注:評価はSABCDの5段階)への一時金 カットや賃金のマイナス査定に加えて、自己申告票の不提出者の「業績評価」がゼロ扱いされ、昇給がいっさい停止される。年功賃金制度のもとでの賃金としてまったく不合理なものであり、自己申告拒否者への懲罰に等しい制度だ。
しかし、08年12月の大阪地裁判決は、「システムに違法性はない」「不提出者に給与上の不利を与えることは裁量の範囲」と被告側(大阪府と各教育委員会)の主張を全面的に認め、その一方で、システムが教育への行政の不当な介入をもたらし、子どもの教育を受ける権利を侵害しているという原告らの訴えを完全に黙殺した。
今年2月の大阪高裁判決でも、このシステムによって学校の教育目標の設定からして「疑問を持たざるを得ないようなケース」が出てきていることをしぶしぶ認めながら、「検討改善すべき点があっても、いずれも運用の問題にすぎず」「制度そのものを否定するのは相当でない」として、一審判決を擁護した。
たたかいは最高裁に移っている。4月に上告理由書が提出され、現場からの怒りの声を広範に組織して棄却をゆるさないたたかいが求められている。全国からの結集と教育現場のさまざまな課題でのたたかいを糾合して集会を成功させ、最高裁に怒りを突きつけていこう。
システムは破産
昨年秋に訴訟団がとり組んだアンケートによれば、システム廃止を求める教職員が69%、否定的な評価は9割に達している。現行制度の支持者は1%にも満たず、賃金反映を含めて制度撤廃の要求が圧倒的なのだ。また、今夏に実施された大阪府によるアンケートの結果によれば、校長や各市教委側の評価者すら、圧倒的多数の74%強が賃金反映に効果なしと答えている。これは大阪市のアンケートでも同じだ。新聞取材にたいして、府教委の担当者は「給与差をさらに広げるなど意欲向上につながるような制度改善を検討したい」(11/12読売)などと、とんでもないことを答えている。
評価・育成システムの破産は明らかだ。教育労働者の反対の声を圧殺しようとすれば、ますます教育現場での矛盾は激成されるだろう。
「日の丸・君が代」と一体
新勤評による教職員支配の攻撃は、「日の丸・君が代」強制などの教育内容をめぐる攻撃と一体だ。「君が代」への不起立や反対の言動を理由にD評価を受けた事例が報告されている。自己申告票提出拒否者の多くは、「君が代」不起立者でもある。教基法改悪以後の最大の抵抗線がここに敷かれているのだ。
大阪府門真市での「君が代」処分と起立強制の職務命令攻撃は、橋下「教育改革」のもとで今年から府立学校に拡大され、府下全体に広げられようとしている。教育現場をめぐるたたかいは正念場にある。大阪府知事・橋下の平松大阪市長との確執や統一地方選にむけた動きともあわせて、すべての子どもたちと府民全体にとって重大な情勢をむかえているのだ。教育労働者を先頭に、父母、府民にもさらに訴えて、橋下府政を打倒しよう。
6面
障害者自立支援法 改定案を参院で強行
「障害者」が連日決起
かつて障害者自立支援法を撤廃すると約束していた民主党政権は、3日、撤廃と逆行する自立支援法改定案を強行成立させた。
同改定案は「障害者」団体と政府との約束を反故にして、事前に「障害者」との話し合いすらなく、政府の設けた専門部会の意見書に比しても実質的な改悪としか言いようのないものだ。
この改定案は、先月17日、衆院厚生労働委員会に提案されたが、審議なしで、即日採決された。翌日、18日には衆院本会議でわずか3分で採決されたものだ。
法撤廃でなく継続を狙うこの策動を知った「障害者」や介助者は、全国各地から国会前に何百人も集まり、衆院段階から連日たたかいぬいた。このたたかいで会期末ギリギリまで追い込んだ。
「私たち抜きに私たちのことを決めるな」「大企業と政治家の利益のために障害者を利用するな」「国民年金法改定案成立との取引を許さない」「障害者を政争の具にするな」「自民党の手先となった民主党を許さない」と、怒りの発言がわきあがっている。議員たちは法案さえろくに読んでいない。
民主的手続きさえ踏まないやり方の中に、民主党政権の不正義性と弱さが現れている。「障害者」の決起によって、民主党が「障害者」の敵であり、打倒対象だということが満天下に明らかになった。
たたかいを強め、障害者自立支援法を撤廃に追い込もう。
連日国会前に100〜500人の「障害者」が集まり抗議(11月30日) |
世界61万余の署名を提出
今年を「慰安婦」問題解決の元年に
被害者ハルモニたちが、国会前でスタンディング(11月25日) |
「女性に対する暴力撤廃国際デー」の11月25日、日本軍「慰安婦」問題にとりくむ日本と韓国の5団体の共催で、「慰安婦」問題の立法解決をもとめる国際署名提出行動が行われた。当日は正午から院内集会、署名提出、記者会見、集会参加者全員での国会前スタンディングと、国会周辺は終日熱気に包まれた。
正午からの集会に先だち、朝9時からスタンディングがおこなわれ、議会関係者や市民に行動を呼びかけた。
正午から始まった衆議院第1議員会館での院内集会は、300の定員を上回る370人の人々で埋まった。会場正面には、この1年、日本、韓国、台湾、フィリピン、欧米各国とネットを通じて集まった総計61万筆を超える署名用紙が積み上げられた。
はじめに、韓国国会議員のイ・ミギョン(李美卿)さんが、韓国国会議員299人のうち177人の署名を集めて持ってきたこと、韓国から日本政府への働きかけを強めたいと語った。(この段階で政府は受け取りを拒否していたが、翌日、外務副大臣との正式会談で手渡された。)
その後、被害者自身からの訴え、署名運動に取り組んだ日本側、韓国側それぞれの報告と決意、「女性への暴力撤廃デー」にあたっての講演など、集会は3時間に及んだ。
被害者ハルモニからの訴え
◎キル・ウォノク(吉元玉)さん(ソウル在住)
「65年前、朝鮮は日帝から解放されたが、私たちはいまだに解放されていない。私はずっと隠れて暮らしてきました。しかし皆さんのおかげでこうして活動するようになりました。外でうるさく騒いでいる若者(主権回復を目指す会らのこと)も自分が戦争に行ったらわかるでしょう」。
◎在日の被害者ソン・シンド(宋神道)さん(宮城県在住)
「金がほしいんじゃなく、もう2度と戦争をしないと言ってほしいんだ」。
◎イ・スサン(李秀山)さん(大邱市在住)
解放後、朝鮮族の中国共産党員だった人と結婚して55年間、中国の東北地方でくらし、夫の死後初めて韓国に帰国したとのこと。「夫は朝鮮が小さくて日本の植民地になったこと、日本軍は中国でも三光作戦、万人坑にみられる虐殺行為をやったことなどを話してくれ、自分の身の上の意味がわかり、そのたびに涙が止まらなかった。日本のみなさん、私の恨(ハン)をはらしてください」と声を詰まらせながら、でも堂々と語った。
署名を提出
午後1時過ぎ、被害者と韓国と日本の運動団体から8人が代表となって、署名用紙のつまった箱を3つの台車に乗せて内閣府へ向かうことになり、全員が拍手で送り出した。
問題解決の元年に
集会のなかで、チョン・ヘヨン(鄭暎恵)さん(性暴力禁止法ネットワーク・大妻女子大学教員)による「女性に対する暴力根絶と『慰安婦』問題」と題する講演があった。
当日、国会は本会議や各委員会などが開かれていたが、合間をぬって、民主、社民、共産党の議員計12人と多くの議員秘書が駆けつけ、立法のためにがんばると約束した。
署名提出から戻ってきた方たちの報告を受け、韓国挺身隊対策協議会代表のユン・ミヒャン(尹美香)さんが「女性に対する暴力撤廃国際デーにおいて、世界で日本軍『慰安婦』問題がとりくまれている。韓国強制併合100年、日本敗戦から65年、挺対協が活動をはじめて20年の今年こそ、問題解決の元年にしよう」と訴え、思いを一つにした参加者は、国会前スタンディングに移った。
世界にひろがった署名運動
日本人口の1%をめざす今回の「120万人署名運動」は、昨年末、地方議会での意見書可決運動と並行して、2010年を具体的な解決の年にしていきたいという強い思いで関西からよびかけが発せられ、街頭で、職場で、地域で、学校で、全国に広まった。
これに呼応して韓国でも人口の1%=50万人をめざす署名運動がはじまり、はがき運動などにもつながっていった。アジア、欧米でも広がった結果が、この日積み上げられた61万余という数字に結実した。(岡田恵子)
冬期カンパのお願い
戦争・貧困・排外主義が、人民に襲いかかっています。こういう時代だからこそ、新しい、そして本物の変革の潮流を、私たちの手でつくり出しましょう。
カンパをお願いします。
《カンパ送り先》
◎郵便振替
口座番号:00970-9-151298
加入者名:前進社関西支社
◎郵送:〒532-0002 大阪市淀川区東三国 6-23-16 前進社関西支社