未来・第69号


            未来第69号目次(2010年11月16日発行)

 1面  ぶれない信念 新基地反対 脱基地で新しい沖縄へ
     伊波洋一候補の必勝を 沖縄知事選 11月28日投開票

 2面  沖縄知事選 大接戦・大激戦
     全国から伊波候補支援を

 3面  横浜APEC 首脳会議場に迫るデモ
     11・13横浜 首脳会議

     現地闘争本部裁判 早期結審を阻止 三里塚

     「輸出で雇用創出」 オバマが言明

     投稿 天動説と地動説 釣魚台事件「流出映像」

 4面  本格運転の再開ゆるすな
     事故続発の「もんじゅ」

     自立支援法撤廃せよ 日比谷に1万人

     APEC弾圧を粉砕 不当逮捕の2人釈放

 5面  派遣法抜本改正 規制強化の第一歩へ

     「5・27 国労臨大闘争」弾圧裁判控訴審はじまる 東京高裁

     関西合同労組「暴処法」弾圧裁判
     「脅迫」の事実はない

 6面  10・31奈良 狭山集会
     石川さんの執念に感動

       

ぶれない信念 新基地反対 脱基地で 新しい沖縄へ
伊波洋一候補の必勝を
沖縄知事選 11月28日 投開票

11日午前8時半過ぎ、沖縄県庁前広場で、伊波洋一候補の出発式。後援会、政党や労組などが次々と応援の発言。伊波候補が大きな拍手を受けて第一声を発した。集まった支持者で県庁前広場が埋まった。出発式のあと、地元の宜野湾市嘉数、うるま市、沖縄市をめぐり、名護市辺野古の座り込みテントでは、おじい、おばあと固い握手をかわした(写真 ともに11日 那覇市内)

沖縄県知事選が11日に告示され、28日の投票日までの激闘に突入した。日米両政府に再選を期待されている現職・仲井真候補にたいして、伊波洋一候補が辺野古新基地建設反対を鮮明にかかげて、対決している。
伊波候補は、街頭演説や配布物などで、以下のような主張を展開している。本紙の責任でまとめて紹介する。〔2面に関連記事〕

新しい基地は認めない 基地問題に決着を

私は、普天間基地の県内移設に反対する沖縄県民の思いを受けて立候補しました。私は、ぶれることなく辺野古への新たな基地建設に反対します。埋め立てを認めることはありません。
今年1月、名護市で、「海にも陸にも新しい基地をつくらせない」という稲嶺進市長が誕生しました。2月、沖縄県議会において、全会一致で県内移設反対決議がおこなわれました。4月25日、すべての市町村長と市町村議会議長、沖縄県民9万人が参加する県民大会が開催され、県内移設反対の力強い意思を示しました。
にもかかわらず5月28日の日米共同声明では、再び辺野古移設に戻っています。
県民が求めていないのに、県内移設を押しつける日米両政府にたいして、知事選ではっきりとノーとつきつけようではありませんか。
ところが、仲井真候補は、日米両政府から、県内移設の余地ありと見られています。こんな人に、県民の思いを託すことはできません。
県内移設に翻弄された12年間をつくりだしてきたのは、県政がはっきりと県内移設に反対してこなかったからです。県政みずから県内移設に反対していれば、翻弄された12年間はとうの昔に終わっていたはずです。
今度こそ、基地問題に決着をつけようではありませんか。

基地依存から脱却し経済の転換を

仲井真県政の下では、全国最悪水準の失業率が改善されていません。ますます基地と引き替えの振興策に依存しています。あげくはカジノ賭博に手を出そうとしています。
これは、仲井真県政が、県民のための県政ではないからです。常に日本政府や米政府の顔色をうかがって、県政を運営していました。
沖縄の振興策も、日本政府に求めるだけです。その振興策は県民生活のためではありません。特定企業のため、あるいは北部への米軍基地の建設を容認させるためです。そういう振興策がこの12年間おこわれてきました。その結果は、県民生活の向上にほとんどつながっていません。
基地を押しつけるための振興策では、沖縄には本当の豊かさは生まれないのです。このことを、名護市民は見ぬきました。そして名護市の市長選や9月市議選で、その意志を示しました。
私は、政府の県内移設のための振興策ではなく、県民が求め、県民の生活を豊かにする振興策をしっかりと打ち出し、実行できる県政に転換させます。

脱基地で雇用創出 経済の活性化へ

私は、沖縄の可能性を信じています。沖縄には多くの誇れるものがあります。何よりも沖縄の若者に可能性があります。この可能性を最大限引き出していくことです。
普天間基地の現在と
返還後の経済効果(県試算)
現在
 ・従業員207人
 ・軍用地料65億8100円
返還後の発展で
 ・雇用3万2090人
 ・税収520億円増
 ・直接経済効果4522億円
 ・生産誘発額3716億円
 ・所得誘発額1024億円

生活密着型・自然再生型の公共事業や、生活、福祉、教育、農業・漁業の分野をふくめた雇用対策を推進します。鉄軌道の導入、県産品の販路拡大、伝統文化を生かした産業、地元がうるおう持続可能な観光などを目指します。
私は、脱基地を推し進めることで、経済も雇用も飛躍的に発展させることができると考えます。
普天間基地が返還され、跡地を利用して発展が実現すれば、大きな経済効果が期待できます。〔左表参照〕
沖縄県民の意志で基地をとり除き、平和で豊かな沖縄をつくりましょう。

弱者の視点が原点 県政に「福祉の心」を

私は、母1人子1人の母子家庭で、母の苦労を見ながら、周りの人びとの支えの中で育ちました。だから、弱者の視点が私の原点です。
仲井真県政は、社会福祉事業団を切り捨て、県立病院や看護学校まで切り捨てようとしています。こんな知事では県民のくらしは守れません。
私は、宜野湾市長のとき、西海岸開発で2千人の新規雇用を増やし、経済を元気にして、市の財政も77億円拡大、数多くの事業をおこしてきました。沖縄で初めて、中学校卒業まで入院費を無料にし、それがいま、全県に広がりつつあります。認可保育所を増やし、子育て支援にも力をいれてきました。
宜野湾市長の経験を生かし、県政に「福祉の心」を取り戻したい。

県民のための県政とり戻し 新しい沖縄へ

仲井真県政は、財政がないという理由で、福祉切り捨てをおこなっています。しかし、本当にお金がないのでしょうか。そうではありません。使い方に問題があるのです。
ひとつの例をあげましょう。政府は沖縄の振興のために政策調整費というのを出してます。公共50億円、非公共50億円、毎年100億円で10年。ところが、非公共50億円の約3分の1は、実は、沖縄振興の名目で、日本道路公団、今では西日本高速道路株式会社に、振り込まれているのです。
なぜこのお金が県民の医療や、県民の教育や、県民の産業振興に使われなかったのか。ここに、基地建設のための沖縄振興の本質があります。他の振興予算も、額

伊波洋一さんプロフィル

1952年1月生まれ。宜野湾市出身。琉球大理工学部卒。74年宜野湾市役所入り。市職労委員長、中部地区労事務局長を経て、96年に県議選に初当選。県議2期目の2003年に同市長選に立候補し当選、2期目途中の10月、知事選へ立候補のため退任。

は多くても、政府の意図のもとに使われています。
これを容認してきたのが、12年間の県政です。沖縄の予算を、沖縄が決めるのではなくて、東京で決めてきたのです。県政が、県民のための県政ではないのです。日米両政府の顔色をうかがう県政なのです。それが、12年間の混迷になっているのです。
私は、このお金を、沖縄県民の手にとりもどす必要があると考えています。
沖縄振興策を自ら考え、お金の使い道を自ら決めることができる制度をうち立てましょう。それを実行できる県政を実現しようではありませんか。県民のための県政をとり戻し、新しい沖縄を目指しましょう。

私の原点 「命どう宝」
私の母は、沖縄戦の生き残りです。母は、家族9人のうち7人を戦争で失いました。母は、沖縄戦に従軍看護婦としてかり出され、最後は手榴弾で自決をはかりました。米軍に助けられて一命をとりとめましたが、片目を失い、傷を負った体で戦後を生きぬき、私を育てて、62歳で亡くなりました。
「命どう宝」は、母の苦労を見て育った私の原点です。
県民のみなさん、基地問題に今度こそ決着をつけましょう。今度こそ、みんなが安心して暮らせる沖縄を、子や孫に誇れる新しい沖縄をつくろうではありませんか。


支持者と握手をかわす伊波候補。後方は連れ合いの成子さん(11日 那覇市内)

2面

沖縄知事選 大接戦・大激戦
全国から伊波候補支援を

沖縄県知事選(28日投開票)は、新基地容認の仲井真候補VS新基地反対の伊波候補との対決だが、その本質は、沖縄に基地を押しつける日米両政府にたいして、沖縄県民が拒否をたたきつけるたたかいだ。沖縄県民が自己決定をしようとしている。仲井真候補の後ろには日米政府がいる。だからこそ、全国の人民は、沖縄県民と連帯して、伊波候補支援にたとう。

伊波氏が猛追

告示直後の琉球新報の調査では、「仲井真氏先行 伊波氏が猛追」と出ている。
「地域別では、仲井真氏が大票田の那覇市で先行し、本島南部でも勢いがある。伊波氏は地元の宜野湾市でリードするなど、本島中部で浸透を見せる」。
「政党支持別では、自民党が支持率を23・9%に回復させてトップとなり、仲井真氏は自民支持者の8割超を固めていることが追い風になっている。伊波氏は社民、共産、社大支持層の7〜8割を固める。民主党の支持率は自民に次ぐ12・5%で、伊波氏が6割を取り込んでいる」。
ただ、「支持政党なしと答えた人が4割近くを占めており、無党派層の動向は今後の焦点となる」。「3割近くの有権者が投票する人をまだ決めていないことから、今後の情勢は流動的で、残り2週間の攻防が当落を左右する」。
現地の感触でもこの通りだ。予断を許さぬ大接戦・大激戦だ。これからが本当に勝負だ。

仲井真「県外」は選挙対策

相手候補の仲井真候補が、選挙選本番の直前になって、「県外移設をもとめる」(9月28日 県議会)と言い出した。これがペテンなのは、「県外」とはいっても、「県内移設反対」とは言わない点だ。この点をマスコミ記者に突っ込まれ、「イコールとはいえないが、ほとんど似ている」と、この人一流の曖昧模糊とした表現でこたえた。要するに、「県外だめなら県内に」という余地をしっかり残しているという意味だ。
仲井真候補は、今年4月25日の県民大会への参加を直前まで躊躇。態度表明をもとめられても、「県内移設は難しくなった」と客観表現でごまかした。9月名護市議選では、新基地推進派候補の応援に足を運んでいる。

争点ぼかし許さず

ただ仲井真「県外」発言の影響は一定あると見られている。
沖縄県民の8割が県内移設反対だが、その中の保守層の間では、「違いがわからない」「基地問題で今回は伊波さんと思っていたが、仲井真さんでもいいのでは」などの反応もある。
知事選に勝つには、有権者の過半を獲得しなければならない。そのためには、保守層の票を取りに行く必要がある。これは、大変な挑戦だ。
候補者や応援弁士の演説、配布ビラは、争点ぼかしを許さないという点を強く意識し、対立点を鋭角的に出している。

「新しい沖縄」を訴え

伊波候補の訴える《新しい沖縄》は重要だ。
伊波候補は、県政が県民のためではなく、日米政府の言いなりなっていると厳しく批判。予算も、沖縄ではなく、東京が決めている。沖縄振興といいながら、特定企業のため、基地建設を受け入れさせるため。県民生活のためには使われない。これが《基地建設のための沖縄振興の本質》だ。雇用、福祉、医療、教育の危機の原因もここにあるのだと問題を鋭く突きだしている。
さらに、「《沖縄振興を自ら考え、お金の使い道を自ら決める制度》を打ち立てよう」、「《県民のための県政》をとり戻そう」、「《新しい沖縄》を目指そう」と結んでいる。
これは単に政策の転換という次元ではない。ここには、日本帝国主義による構造的差別への怒り、そこからの解放をもとめる沖縄県民の自己決定の要求が、具体的な形で展開されている。
伊波候補の《新しい沖縄へ》の訴えは、沖縄県民の心そのもの。多くの共感を呼んでいる。

全国から支援を

現地の仲間が、全国から電話作戦をおこなってほしいと呼びかけている。政党や労組がカバーできる範囲は限られている。全国からの沖縄県内への電話が、予想以上の効果をもつ。そして誰でもできる。方法は左記のとおり。
また、選挙活動の支援にかけつけよう。派遣カンパもお願いします。

全国から電話作戦を
◎在本土の沖縄県民のみなさん。県内在住の親戚・友人・知人に電話をかけてください。
◎全国のみなさん。沖縄県内にいる友人・知人はいませんか?電話をかけて下さい。職場や地域に沖縄出身の友人・知人はいませんか?電話をかけるように勧めて下さい。


沖縄知事選勝利 派遣カンパを
選挙応援のため、現地に仲間を派遣しています。カンパをお願いします。
 《カンパ送り先》
  ◎郵便振替
   口座番号:00970-9-151298
   加入者名:前進社関西支社
  ◎郵送
   〒532-0002 大阪市淀川区東三国 6-23-16
   前進社関西支社

(1〜2面は、11月29日掲載)

3面

横浜APEC 首脳会議場に迫るデモ

11・13 横浜 首脳会議

先頭は、シチズンの責任追及で来日した韓国の労働者たち(13日)

首脳会議場に迫るデモ隊。あと500メートルの地点=新港町(13日)

会議場であるパシフィコ横浜を望むJR桜木町駅前広場に500人が集まり、午後1時半から「APECいらない! 街頭アピール」がおこなわれた。主催は、〈いらない! APEC 横浜民衆フォーラム〉実行委員会。
韓国から民主労総事務局長カン・スンチョルさん、偽装売却・撤収したシチズンの責任追及に韓国から来日した労働者グループ、フィリピンから世界女性行進のジーン・エンリケさんが発言。
アジア共同行動からは、台湾、インドネシア、韓国、フィリピン、アイヌの代表が自己紹介し、うち代表して2人が発言した。
つづいて、神奈川シティユニオン、すべての基地にNO!を・ファイト神奈川、最後に香港からグローバリゼーションモニター編集委員の區龍宇さんが発言し、デモに出発した。
デモは、日ノ出町、伊勢佐木モールを経て、多くの人民が注目するなかを首脳会議場であるパシフィコ横浜に向け進撃。国家権力は、全国から2万1千人の警察官を動員し、厳戒体制を敷いた。デモの最中には「静穏保持法による指定地域だから、静穏を害するような方法による拡声器の使用は禁止する」と警告し、音量計測器を持ち出して弾圧を狙うなか、会議場まであと400メートルに肉迫するデモをやりぬいた。
同日、午前中には、横浜情報文化センターで〈いらない! APEC 横浜民衆フォーラム〉の全体会がひらかれた。
翌14日は、午前と午後、かながわ県民センターで5つの分科会がひらかれ、夕方にはクロージング集会がおこなわれた。

11・6 京都 財務相会合

6日、京都市内で、「貧困と戦争をもたらす横浜APEC反対! 11・6京都財務相会合対抗行動」が140人でおこなわれた。
デモ前の集会は、二条城北側にある京都社会福祉会館でおこなわれた。主催者あいさつ、韓国からの連帯メッセージのあと、纐纈厚さん(山口大学教員)が講演「日米軍事経済同盟路線の新展開と日本資本主義」をおこなった。8つの団体・個人からアピール、横浜現地闘争へのよびかけ、最後に集会宣言を採択した。
多数の機動隊車両が配置され、多くの観光客が見守るなかをデモは出発し、メインストリート河原町通りを行進した。

現地闘争本部裁判
早期結審を阻止 三里塚

反対同盟を先頭に霞が関一帯をデモ(5日 都内)

5日、東京高裁で、天神峰現闘本部裁判控訴審の第2回公判がおこなわれた。井上裁判長による早期結審の策動を、反対同盟・弁護団・支援が一丸となった闘いで阻止した。
現地支援連は、この日まで連日、東京高裁で街頭宣伝、1万枚のビラをまいた。
5日当日は、反対同盟を先頭に、125人で東京高裁の早期結審策動を弾劾する霞が関デモ。
「石橋恵美子の陳述書は、空港会社に都合のいい証言だけをつなぎ合わせたもの。これを唯一の証拠として、反対同盟の所有物である現闘本部を強奪することは不当だ」。公判で弁護団が鋭い追及を展開、裁判所にこの日の結審を断念させた。

仮執行の策動

しかし、井上裁判長は、「原判決を維持した上で、仮執行(現闘本部撤去)宣言を付けるかどうかだけを判断する」という姿勢をはっきりと示した。緊迫した局面にある。
次回は、来年2月4日。反対同盟は、「これから1回1回が勝負だ」と決意を語り、再度の高裁包囲デモを呼びかけた。

「輸出で雇用創出」 オバマが言明

「他国は対米輸出で経済成長を図るな。米国は5年で輸出を倍増させる。これは米国の雇用創出戦略だ」
13日のオバマ演説は、経済情勢悪化と雇用危機、米中間選挙での大敗の中、この危機打開を狙い、アジアへの輸出攻勢に出るという宣言だ。
米国は、中国台頭や日中接近で、アジア全体が対米相対化に進むことを警戒している。
APECの過程でオバマは、@米主導のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への流れをつくり、A中国を包囲する軍事外交戦を展開、Bアジア政策の足場として日本を動員する政策を展開した。

@ TPPへ流れ

APEC首脳宣言で、FTAAP(環太平洋自由貿易協定)を法的拘束力あるものにすると明記。FTAAPへの道筋として、ASEAN+6などとの並記だが、TPPがうちだされた。APEC終了後には、TPP参加交渉国の首脳会合を開催。米国が議長国となる来年のAPECまでに、TPPを柱に、アジアへの攻勢をかけようとしている。
他方、米韓FTAや人民元問題で失点し、米報道では、オバマの経済外交は「アウト」。

A 中国包囲

オバマは、APEC前に、インド、インドネシア、韓国を歴訪した。対中包囲網に、各国を引き寄せるためだ。APEC閣僚会議声明に、レアアース問題で、中国牽制の文言を入れた。
米国は、中国に「国際基準の順守」を迫るとともに、同盟国を動員して包囲するという対中政策の方向を示した。

B 日本を動員

米国は、中国を包囲し、アジアで攻勢をかけるためにも、日本をその足場として確保する必要がある。そのために、米国は、日本の対米相対化傾向を粉砕し、日中を離間させることに、この1年、力をさいてきたといえる。その成果は次のようだ。

積極的に対米追随

菅政権は、APEC過程で対米追随路線をいっそう明確にした。
日米会談で菅は、「中国、ロシアの問題で、米国がサポートしてくれてうれしい。米国、米軍の存在が、より重要という認識を私自身も持った」と恥も外聞もない発言。 5・28日米合意の履行と、辺野古への新基地建設をオバマに約束。今回見送られた日米共同声明を来春発表することで合意。
TPPでも、参加協議開始を閣議決定し、参加交渉国会合にオブザーバー参加した。
しかし日本の政治体制は脆弱だ。農業・農民を犠牲にし、沖縄に基地を押しつけるやり方は、激しい反乱を不可避とする。米日帝国主義の戦略は、破綻に追いこまれるであろう。

投稿 天動説と地動説
釣魚台事件 「流出映像」

マスコミは、中国漁船が、海上保安庁巡視船に「衝突」してきたと報じているが、このビデオを見ると、嘘であることがわかる。
巡視船「よなくに」との衝突(1回目)は、「よなくに」が、漁船の前に船体を横向きにして進路を妨害し、直進していた漁船が「よなくに」の後尾に衝突した。
巡視船「みずき」との衝突(2回目)は、例えれば、大型トラックが小型車にいやがらせをする際に、併走しながら小型車に擦り寄っていって、そのまま接触したかたちと似ている。
ポイントは、漁船と巡視船がお互いに相対運動を行っていることであり、この相対運動の一方からの観測で、あたかも漁船がこちらに「向かってきている」ように見えているだけのことだ。いわゆる「天動説」と「地動説」の違いを理解しているかどうかという問題である。
まさにマスコミと政府は、この天動説の立場で、一大キャンペーンを張っているのである。(S)

4面

本格運転の再開ゆるすな
事故続発の「もんじゅ」

中継装置が落下

高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市白木)

高速増殖炉「もんじゅ」が、5月6日、14年6カ月ぶりに運転を再開した。しかし案の定、警報の続発と事故の連続だ。
8月には、3・3トンもある「炉内中継装置」が炉心内に落下した。3カ月近くたった今も、まだ引き上げることができていない。
来春に予定されていた40%出力の試運転は、、この中継装置落下事故のために、来年7月以降に延期すると発表せざるを得なかった。
10月13日、落下した中継装置を引き上げるために、4・8トンの力で、24回試したが、引き上げに失敗した。

とり出す術ない
原子力研究開発機構の向所長は「(落下した中継装置は)炉内や燃料にぶつからない」と強調した。しかし、落下した装置が変形しているのに、ぶつかった先の炉内に傷がつかないなどというのは、工学的にいって非常識な見解だ。
福井大学附属国際原子力工学研究所の竹田敏一所長は、「原子炉容器の上蓋を外さないと中継装置を取り出せないかも」と言っている。しかし上蓋を外すと、アルゴンガスがぬけ、液体ナトリウムと空気が反応して燃えてしまう。だからその前にナトリウムをぬかねばならないのだが、そのためには炉心からすべての燃料棒を引きぬく必要がある。
この燃料棒を炉外に出す装置が、中継装置なのだ。「もんじゅ」は、袋小路に入ってしまった。

重大事故の危険
この中継装置を壊すとういう方法で、とり出すことができるのか。
中継装置の下は原子炉内なので、大きな破片はもちろん、小さな切削片すら落とすことは許されない。炉心は不透明なナトリウム液で満たされている。目視はできない。破片などの回収は不可能だ。
1966年にアメリカの高速増殖実験炉「フェルミ」で起きた事故のように、「もんじゅ」を本格運転した際に、この破片で物理的な損傷などを引き起こしたらと考えると、中継装置を壊して引き上げるなど、危険すぎてできない。
もう一つ方法があると言われている。壊れているかもしれない中継装置を使って、すべての燃料棒を炉外に搬出してしまい、それからナトリウム液をぬき、中継装置を取り外すという方法。
しかし、この方法は、もしも、この作業中に燃料棒の搬出が止まったら、チェルノブィリ原発のようになってしまう。

人間と環境に破壊的

高速増殖炉「もんじゅ」は原発の中で、最も危険な原発だ。
炉心の冷却材として使っているナトリウムは空気に触れるだけで燃え、水とは爆発的に反応する。15年前の事故を思い出そう。
一旦事故が起き、プルトニウムが放出されると、放射能毒性が強く、いつまでも放射能が半減しないので、人体はもちろん自然界全体が長い間影響を受ける。
しかも「もんじゅ」の近くには震源となる活断層が何本も走っていて、いつ大地震が発生するかわからない。

核のゴミ捨場がない
原発を運転すると核物質のゴミ(使用済み核燃料)が大量に出る。原発の使用済み核燃料からプルトニウムを分離して取り出し、高速増殖炉の燃料にするための再処理工場が青森県六ケ所村にある。
残された高レベルの放射能廃棄物を高温でガラスに溶かして、ステンレスの容器に入れて水槽で冷やしながら保管する(30〜50年)。しかし、このガラス固化がうまくいかなくて、10月完成予定が2年延期された。もともとは1997年に完成稼働の予定だったが、17回も延期されいる。
しかも六ケ所村は最終処分地ではなく、一時保管場所。50年後に最終処分地(まだ決まっていない)に移動するとき、安全が保証されるのか。

「エコ」の大うそ
「原発などCO2排出ゼロのクリーンエネルギーの普及促進」(APECエネルギー担当大臣会合 6月、福井市内で開催)といっている。
しかし、「原発はCO2排出ゼロ」という宣伝は、真っ赤なウソだ。原発の運転は、電力調整用の火力発電―石炭、石油を使用―を必要としている。だから、原発を増やせば、火電も増え、CO2もどんどん増える。

巨額の税金投入
「もんじゅ」を維持運転するために、毎年200億円以上の税金が投入されている(一日あたり5500万円)。
「2025年には実証炉、2050年の実用化」をめざしているが、原型炉段階でこんな調子だから、延々と税金をつぎ込み続けることになる。再処理工場も着工から2兆円もの税金が投入されてきたが、試運転で立ち往生し、完成の見通しがたっていない。

新たに原発を14基も

政府は、上関原発(山口県)をはじめ14基の原発建設を進めている。
また、玄海原発(佐賀県)、伊方原発(愛媛県)で、ウランとプルトニウムの混合燃料(MOX燃料)を軽水炉で燃やすプルサーマルを実施している。12月からは浜岡原発(静岡県)、高浜原発(福井県)でも始めようとしている。
MOX燃料は温度が上昇しやすく、制御棒の利きが通常より落ちる。軽水炉は、本来ウラン燃料を使って発電するものだ。MOX燃料を用いて発電するのは非常に危険だ。

なぜ原発推進か
なぜ、政府は危険な高速増殖炉「もんじゅ」の運転にこだわるのか。
ひとつは、プルトニウム(核兵器用核物質)を取り出すためだ。菅首相は8月6日、広島で「核の抑止力は必要」と発言し、核武装の意欲をのぞかせた。10月には「1960年代に、政府は核兵器の保有を検討」との報道もあった。日本は一貫して核武装の意志を持ち続けてきたのだ。
もうひとつは、金儲けのため。「原発輸出」は民主党政権の経済政策の柱となっている。世界では140基の原発需要があるといわれ、これをビジネスチャンスと考え、国内外で原発政策を進めている。

米核実験弾劾
9月15日、オバマ政権は、米ネバダ州の核実験施設で、臨界前核実験を強行した。
すべての核実験に反対しよう。すべての原発をなくせ。12・4現地集会へ集まろう。(竹内二郎)

自立支援法撤廃せよ 日比谷に1万人

国会にむけデモ(10月29日 都内)

先月29日、日比谷公園で、「今こそ進めよう!障害者制度改革 自立支援法廃止と新法づくりを確かなものに 10・29全国大フォーラム」がひらかれた。「障害者」や関係施設職員など、全国から1万人が集まった。
この大フォーラムは、05年から毎年おこなわれ、毎回1万人規模が集まり、今年で6回目。昨年の集会は政権交代直後で、当時の長妻厚労相が参加、「自立支援法の撤廃」と、新制度にむけて当事者の声を反映させることを約束した。そして昨年末に政府のもと、「障害者」とその家族が委員の半数をしめる「障がい者制度改革推進会議」が発足し、現在も審議が進められている。
しかし今年の5〜6月、この「推進会議」の審議と無関係に自立支援法の「改正案」なるものがだされ、成立寸前までに至った(本紙59号4面参照)。その課程で、政府は撤廃の約束を反故にしようとしていることが見えてきた。

政府の裏切り許さない

今年の集会は、「政府の裏切りを絶対に許さない」という思いにあふれたものだった。
集会には厚労省の岡本政務官(民主党)が参加、あいさつしたが、主催者が集会アピールを直接手渡そうとしたときには、すでに退席していた。政府は「障害者」の声を聞こうとしない。
満杯になった日比谷野外音楽堂、そして第2会場である厚労省前で、全国から集まった「障害者」のアピールが続いた。
「障害者」の思いは、《地域自立生活を国は保障せよ。現行制度では保障されていない「谷間」の「障害者」も保障せよ。それらが保障される新しい制度をつくろう》ということだ。
集会後、国会コースと東京駅コースに分かれて、デモ行進した。

「改正案」ゆるすな

障害者自立支援法の「改正案」は、再び今国会に提出され、17日にも衆院厚労委で採決がねらわれている。絶対に阻止しよう。

APEC弾圧を粉砕  不当逮捕の2人釈放

1日、滋賀県警は、たたかう「障害者」Aさんと、友人であるBさんの2人を「詐欺」容疑をでっちあげて逮捕し、2人の自宅など4カ所を捜索した。
Aさんが、自分の携帯電話をBさんらに貸していたのが、《友人に貸すのを言わずに購入したから詐欺だ》というのだ。
この弾圧は、6日に京都市内でひらかれたAPEC財務相会合をひかえての政治弾圧だ。多くの仲間が反撃し、勾留中のAさんらに激励行動がおこなわれた。財務相会合の終了後、11日に2人は釈放された。

5面

派遣法抜本改正 規制強化の第一歩へ

院内集会に220人

衆院第一議員会館で集会(10月25日午後)

10月25日、午前中の国会前行動(派遣法共同行動主催)に続いて、日本労働弁護団の主催による「労働者保護の派遣法改正を目指そう!」集会が、13時から衆議院第一議員会館でひらかれ、全国から220人が集まった。

派遣法改正を突破口に
司会は棗一郎日本労働弁護団常任幹事。最初にあいさつに立った徳住賢治副会長は、こんにちの派遣労働者がおかれた劣悪な状態の原因は、1999年以来の激しい規制緩和にあると指摘。規制緩和から規制強化に歯車をチェンジさせることが必要。その第一歩が派遣法改正案を今国会で成立させることであり、これを突破口にさらなる規制強化をかちとっていこうと訴えた。
水口洋介幹事長は基調報告で、派遣法改正案は不十分なものであるが、派遣労働者の保護をかちとる大きな武器になる要素も含まれていると指摘、それらを国会審議の中でより明確にさせていく必要を訴えた。また、製造業への派遣業者団体である日本生産技能労務協会の依頼でおこなわれた東京大学社会科学研究所によるアンケート調査を怒りをもって弾劾した。このアンケートは、派遣労働者の55%が規制に反対しているとしている。派遣か安定雇用かという選択肢にすれば圧倒的に安定雇用が多数になることは明らかなのに、失業か派遣かという2つの選択肢しか示さないで行われたアンケートは恣意的なものである。今回の改正案は不十分な点があると考えている人たちも含めて、規制強化への流れを実現するために、この派遣法改正案をまず成立させ、規制強化の第一歩を多くの労働組合が一致団結して立場の違いを超えて共同してとり組んでいこうと訴えた。
これを受けて、ナショナルセンターとして中岡基明全労協事務局長、小田川義和全労連事務局長らが徹底審議と改正法案の今国会での成立をなんとしてもかちとっていこうと訴えた。
現場からの発言として松本地区労組会議、連合福岡ユニオン、グッドウィル労組、JMIU日産自動車支部、新聞労連、派遣ユニオンから報告があった。関西からは共同行動・大阪を代表して、なにわユニオンの中村研書記次長が大阪でのとり組みを報告した。

現場の闘いで壁突破へ
今回の派遣法改正案は規制緩和から規制強化への流れをつくり出すターニングポイントになるものだ。これと一体のものとして、今、資本や裁判所の厚い壁を突破して派遣労働者の権利を確立していく現場でのたたかいが全国でとり組まれている。さらに全力を投入し、労働者の力で抜本改正をかちとっていこう。

国会前で行動(10月25日午前)

大阪で街頭アクション

10日夕方、大阪市内で派遣法共同行動・大阪による街頭アクションが30人以上の参加でおこなわれた。
用意した500枚のビラはあっという間になくなった。日本で一番長いといわれる天神橋筋商店街アーケードに共同行動・大阪の横断幕を広げ、各労組がのぼり旗を林立させた。ハンドマイクで、法案審議の危機的状況を訴え、現場からの切実な声を次々と紹介した。

今回の改正案の位置
派遣労働者がおかれた劣悪な状態は、登録型や日雇い派遣、製造業派遣の自由化などに象徴されている。これは1999年と2004年の大幅な規制緩和によってつくられたものである。今求められているのは、規制緩和から規制強化への流れをしっかり作ることである。そのターニングポイントとなるものが今回の改正派遣法である。
今回の改正案は資本や自民党・公明党などの抵抗によって大きな穴があけられているが、登録型や日雇い派遣、製造業派遣の原則禁止等が明文化されているのはまぎれもない事実である。改正案にどれだけのものを盛り込むことができるかは力関係がそのまま反映する。さらに力を尽くし、今回の改正案をなんとしても成立させ、規制緩和から規制強化への第一歩をつくりだそう。

閉塞社会 変える闘い
派遣法と、それが生み出した派遣労働こそ、閉塞した社会をつくりだしてきた最大の要因のひとつ。「いいかげんに変えようよ! 希望の持てる社会へ」という変革のスローガンは10月16日の「反貧困世直し大集会」で打ち出されたが、今こそ、閉塞から希望へと大きな流れを作り出す必要がある。派遣法撤廃にむけ、その第一歩として派遣法改正をかちとろう。
10月25日に取り組まれた国会前行動や院内集会では、各労組やナショナルセンターがこぞって参加し、取り組みが強化されている。

現場の闘いで
今多くの現場で、資本や裁判所の厚い壁を突破するとり組みがおこなわれている。これが改正案を成立させる力だ。現場の怒りを組織しよう。職場、街頭宣伝、裁判闘争などさまざまなたたかいをやりぬこう。

「5・27 国労臨大闘争」弾圧裁判
控訴審はじまる 東京高裁

10月29日、控訴審第1回公判が東京高裁でひらかれ、傍聴には30人以上が集まった。
一審では、暴処法(暴力行為等処罰に関する法律)の適用を粉砕した。しかし、ビラまき・説得活動を「暴行」であるとして有罪(罰金刑)にした。控訴審では、暴行罪認定をうち砕き、完全無罪をかちとることだ。
この日の公判では、佐藤弁護団長をはじめ各弁護士が、労働運動における団結自治が憲法28条(団結権)によって保障されてきたことを、事例をあげて説得力を持ってあきらかにした。事件の発端は、ビラまき・説得活動を行なっていた被告らに国労本部派が三列縦隊の隊列を組んでぶつかってきたことにあり、それによって発生したもみ合いなどは労働運動のなかではよく起こること。こうした組合内部の意見対立に警察権力が介入し、それを処罰し暴行罪を適用することは、労働組合の団結自治に対する侵害であり、許されないことをあきらかにした。
さらに新証拠として、「国労本部への松崎さんの申入書」など6点を採用させた。
次回は、12月14日、午後1時半から。松崎さんへの被告人質問。(国労組員 T)

関西合同労組 「暴処法」弾圧裁判
「脅迫」の事実は ない

1日、第5回公判がひらかれた。この回から弁護側立証に入った。最初に新井弁護人が約20分間にわたって弁護側冒頭陳述を行った。次に、弁護人による被告人質問。続いて、検事による被告人質問がおこなわれた。
今回の法廷であきらかになったことは、以下のとおり。
T証人の部屋の異常さ(部屋の容積の8割がゴミで埋まっていた)を知った沼田さんは、T証人の破綻した生活を再建するために、多くの仲間に応援を求め、ゴミ処理作業を何度も手伝い、労基署にも相談に行き、Tのために会社との団交準備をしていた。ところが、最後のゴミ出し作業に向けて、沼田さんが車と人の手配を済ませたころから、Tは突然電話に出なくなった。ゴミ出し作業日の直前にやっとTが電話に応答した。沼田さんがTに、突然電話に出なくなった理由を聞いても、要領のえない、それまでの経過からは沼田さんが理解できないようないいわけ的説明に終始した。あげくに、予定していたゴミ出し作業は「友人にやってもらうからもういい」と一方的に通告してきた。信義にもとるTの対応に、沼田さんは「今後、もう相談に応じることはできない」と告げて電話を切った。このときの電話での会話が「脅迫」とされた会話である。
沼田さんがTを電話で脅迫したという事実はない。警察・検察が捏造した「脅迫」は存在しないことが明らかとなった。無罪獲得へさらに前進しよう。

6面

10・31 奈良狭山集会
石川さんの執念に感動

「10・31 石川一雄さんに対する無期懲役判決36カ年を許さない/狭山事件の再審を考える労働者のつどい」(自治労奈良市従業員労働組合・主催)が奈良市内でありました。子供から老人まで285人、会場はほぼ満席でした。労働組合が主催し、労働者が狭山闘争を闘う集会です。労働者の一員として、私も参加しました。

石川さんと会場が一体

石川一雄さん(10月31日 奈良市内)

この集会では、石川一雄さん本人からの訴えがありました。〔発言要旨別掲〕
《完全無罪を勝ち取るために、毎日5キロ走って体を鍛え、また国連で自らアピールするために英語を習っている》という石川さんの精神力と決意に、私は圧倒されました。ほかの参加者も同じ気持ちだったと思います。
自由発言では、狭山集団登校を闘った小学生、狭山闘争に取り組む青年、70年代の高裁闘争を闘った壮年の発言など、狭山闘争にかける思いが次々に出されました。一方通行の講演ではなく、石川さんと会場が一体となり、石川さんと互いに意志を交換しあえのはよかったと思います。

労働者こそ

集会のまとめで、主催者から「この狭山集会をもった理由は、第3次再審闘争が重要な局面にさしかかっているから。1974年、日比谷公園11万人決起の闘いも、その半数は労働組合がささえていた。部落解放闘争は部落民だけの問題ではない。労働者こそが担わなければならない」という提起がありました。
集会終了の際、石川さんと参加者全員は握手をかわして、共に闘うことを誓い合いました。
石川さんは人生をかけて、自分の無実をはらすために闘っています。私たち労働者こそが、石川さんと共に、石川さんの完全無罪を勝ち取っていかなければならない、とあらためて決意した集会でした。
最後に、石川さんが集会で詠まれた歌を紹介します。

陥穽に 地獄みてきた 我つよし 真実つらぬき 司法ただす

(通信員 T)

石川一雄さん 発言要旨
私は、まだまだ精神的にも肉体的にも元気だ。毎日5キロメートルを走っている。何のためかと言えば、私の完全無罪を勝ち取ること、そして皆さん方に恩返しをしなければならないから。これが私の使命だ。
私がなんと言っても嬉しいのは、(不当逮捕以来)47年たっても風化しないで、今でも支援してくれていることだ。
来年、スイスの国連でアピールするために、英会話をならっている。昨年もスイスに行ったが、通訳では限界がある。英語なら通じるというので、英語で世界の委員に自分の心情を訴えたい。

(逮捕された)当時の私は無知だったので、取り調べの警察官にだまされた。ほんとうに悔しい。この警察官を絶対に許さない。
私に文字を教えてくれたのは、看守さん。8年間教えてもらった。連れあいの方には、12年間もペンやノートを差し入れてもらった。私の無実を確信し、私のために一所懸命やってくれた。二人のおかげで、私は文字を獲得することができた。世界が広がり、心が豊かになり、こうして闘えるようになった。
三者協議にもちこんだ最大の要因は、地下足袋であった。この事に早く気がつけばよかったのだが、昨年9月に、同じ大きさの地下足袋を履いて、入るかどうかの実験をした。入らなかった。この事実が裁判所をうごかしたのだと思う。
無罪を勝ち取るためには、まだまだ皆さんの力を借りなければならない。勝利した後には、部落解放運動だけではなく、いろんな運動にかかわっていきたい。ご支援をよろしくお願いします。(10月31日 奈良市内)


石川一雄さんのメッセージ

〔石川さんが、11月5日に発したメッセージを掲載します。メールマガジン「狭山の風」より転載〕

全国の狭山支援者の皆さん、私、石川一雄は不屈の精神で連日闘いの日々を送っています。裁判所に、さらなる証拠開示の勧告と事実調べをおこなってもらいたく、11月からまた毎週、東京高裁の前でマイクをもって「公正・公平」裁判を訴えています。
元より弁護団や、皆さん方のご努力、闘いの結果、一筋の光も見え、先行きに期待感を懐かせる1年間でもありました。取り分け、裁判官の勧告もあって、検察庁も不十分ながらも、証拠を開示したので、努力の甲斐があったといえるでしょうけど、まだ勧告に応じていない3点の証拠もあり、「事実調べ」「再審開始決定」が実現したわけではありません。
でも翻ってみれば、それまでの裁判では、私の無実の叫びや、弁護団提出の諸鑑定等を無視し続けてきましたが、昨年12月、東京高裁が、「証拠が隠されたままではフェアーではない」と判断したからこそ、8項目の証拠開示勧告が出され、其れに基づいて検察庁は渋々ながらも5項目、36点の証拠開示に応じたのです。狭山の闘いが大きく前進しました。
其れまでの、狭山事件に関する証拠の存在を否定し、隠し続けてきた検察の姿勢が大きく変わらざるを得なかった現実を直視すれば、今が「再審開始」への扉を開かせる大きなチャンスのときであり、全精力を傾注して闘って参る所存です。
つぎの天王山は、5回目の三者協議が予定されている12月と思われますが、すでに賽は振られ、今度こそ司法権力を追い詰める打開策を見出すべく懸命の努力をいたしているところです。
最近の郵便不正事件で、大阪地検特捜部による虚偽自白の強要と証拠改ざん事件が表面化したことで、えん罪事件に対し、世論も高まり、取り調べの「可視化」への動きが加速しています。「可視化」は世界的な潮流であり、今も尚「取り調べに支障をきたす」等を理由に否定していることは論外であり、これこそ弾劾しなければなりません。
再審の理念、無辜の救済の観点からも検察の態度は断じて許せないので、全国の皆さんにもお力をお借りして、この点を厳しく追求し、なんとしても全証拠開示を実現していきます。
何卒私、石川一雄のえん罪が一刻も早く晴れますよう、私の決意の程をお伝えするとともに、今後とも可能な限りお力添えを賜りたくお願い申し上げてご挨拶に代えたいと思います。
                                2010年11月5日 石川 一雄