未来・第54号


            未来第54号目次(2010年4月6日発行)

 1面  沖縄と三里塚がひとつに
     三里塚 第三誘導路建設と団結街道廃道化ゆるさない
     4〜5月決戦に突入

     沖縄に行こう 派遣団を送ろう

 2面  派遣法抜本改正めざし 大阪で共同行動を結成

     JRは責任をとれ!

     3・28三里塚現地闘争での発言要旨

 3面  労働者の目線にたった運動を
     労組交流センターが春闘集会

     検証 トヨタ問題
     トヨティズムの要 労働者支配の破綻

 4〜5面
     非正規と正規の連携が春闘の課題
     格差と貧困の根本原因にいまこそメスを 森川数馬

 6面  朝鮮学校への攻撃をゆるさない
     各地で在日と連帯行動

     日常の運動が社会うごかす 7回目の3月行動

     「ピースウォークfrom沖縄」が関西にやってきた

       

沖縄と三里塚がひとつに
三里塚 第三誘導路建設と団結街道廃道化ゆるさない
4〜5月決戦に突入

反対同盟を先頭にデモに出発(左は北原事務局長、右端が市東さん。3月28日、成田市内)

「市東さんの農地を守る会・沖縄」から特別アピール(発言は知花盛康さん。3月28日)

三里塚全国集会が、3月28日、成田市天神峰の市東孝雄さんの畑で、1530人の参加でおこなわれた。
集会は、季節外れの寒波に見舞われたが、沖縄からの代表をむかえ、団結街道廃道化と第三誘導路建設をめぐって決戦に突入する熱気にあふれた。

徹底抗戦を宣言

三里塚芝山連合空港反対同盟は、2つの重要方針を提起した。ひとつは、第三誘導路建設と成田市による団結街道の閉鎖を実力で阻止する4〜5月決戦方針だ。
第三誘導路建設計画とは、反対同盟・市東孝雄さんの住居と農地を、暫定滑走路と誘導路によって取り囲み、空港の中に孤立させるというものだ。さらに、市東さんが営農するために不可欠の道路である団結街道の廃道を、成田市は3月議会で決定した。
空港会社と成田市による攻撃は、まさに「形を変えた強制代執行」(市東孝雄さん)だ。
国家暴力を背景にした非人道的なやり方にたいして、反対同盟は、人民の側の「正義の権利、抵抗の権利がうまれる」(北原鉱治事務局長)と、一歩も退かない決意を示した。そして敵の「穏便にものごとをすまそうというやり方を粉砕する。実力闘争こそが勝利の道だ」(萩原進事務局次長)と徹底抗戦を宣言、情勢いかんでは4〜5月に全国集会を開催することを明らかにした。

反対同盟が沖縄へ

もう一つの重要方針は、三里塚と沖縄が結びつき、全国の反戦反基地闘争の先頭に三里塚がたつと宣言したことだ。
反対同盟は、4・25沖縄県民大会に同盟旗をもって参加すると表明した。沖縄県民大会の会場となる読谷村から参加した知花盛康さんは、「市東さんの農地を守る会・沖縄として参加した」と自己紹介、「三里塚と沖縄が手をつないで平和のためにがんばろう」とよびかけた。〔2面に発言要旨〕

あらたな発展へ

3・28全国集会は、三里塚闘争の発展に向けた「新たなたたかいの出撃式」(北原事務局長)となった。
反対同盟は、2月天神峰現地闘争本部裁判で、強制撤去の仮執行宣言を阻止した。この勝利の上に、新たな三里塚闘争陣形を形成するとりくみにふみだした。このことが決定的だ。そしてその第一歩が、4・25沖縄県民大会への参加だ。
さらに反対同盟は、三里塚闘争を、日本の農民と農業を守るたたかいであると位置づけ、労働者階級に連帯をよびかけた。階級闘争全体の高揚をきりひく中で、三里塚闘争の勝利=成田空港廃港をかちとっていくという路線をうちだした。
4〜5月の現地攻防は、団結街道の廃道化と第三誘導路建設を実力で粉砕し、7月参院選から秋の千葉国体(9〜10月)、11月横浜APECへと決戦をおしこんでいく攻勢的な決戦だ。反対同盟とともに、全国のたたかう人民が「火の玉」となってたたかおう。
2日、空港会社は国土交通省に第三誘導路建設を申請した。暴挙をゆるすな。

沖縄に行こう 派遣団を送ろう

「移設先探し」に怒り
那覇市では、3月26日、立場の違いをこえて23の女性団体が一堂に会して集会を開催、「連日報道される移設先探しに、県民の怒りは沸騰している」と表明した。
宜野湾市では、20日、沖縄選出・出身の与党国会議員3人をよんで討論会を開催。約300人が参加。とくにシュワブ陸上案を主導する下地議員には厳しい追及と容赦のない罵声がとんだ。
宜野湾市当局が、普天間基地の危険性を放置している国の責任を問う訴訟を準備している。
うるま市では、19日に市議会が全会一致で反対意見書を可決、25日は5漁協が嘆願書を提出。同日、「与勝海上基地反対うるま市総決起集会」がひらかれ、約650人が参加。「怒りで体が震える」「絶対にこの案をうち負かそう」と気勢をあげた。
名護市軍用地等地主会の中で、シュワブ陸上案を決定した場合、「シュワブ内軍用地の賃貸契約更新を拒否しよう」との声があがっている。12年5月に契約期限切れ。
名護市の稲嶺市長は、新聞のインタビューで、名護市に決定されたら、「言葉だけでなく、体で行動を示す」とつよい決意を述べている。
徳之島で28日、郡民大会がひらかれ、人口2万6千人の島で4千200人が参加。「沖縄に負担してくれというのではない。基地はいらない世の中をつくる」と徳之島町長が訴えた。
グアムでも、海兵隊移転と基地建設計画に、「島の将来に島民がまったく関与できないのはおかしい」「植民地主義だ」と批判の声が。グアム議会は土地の強制収用に反対を決議、対象地域の住民は「土地はわたさない」と語気を強める。

県民大会 10万人めざす

今月25日、「普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、県外・国外移設を求める県民大会」が読谷村で開催される。大会の幹事会には県議会の全会派議員、経済団体も労組も参加、各市町村で地域実行委員会をつくって、10万人をめざす。宮古や八重山でも開催をよびかけている。
5月16日には、普天間基地を包囲する行動が呼びかけられている。
まさに新たな島ぐるみ闘争だ。国策の犠牲にされつづけた沖縄。その怒りのマグマが爆発する。それが日米同盟と国家体制をゆさぶり、侵略をつづける米軍を足下からおびやかす。4月25日と5月16日は、歴史を動かす日になる。
この沖縄とともに行動しよう。自民党支配をうちやぶった人民決起が、日本のあり方全体を変革する反乱へと大きく発展する展望もここにある。

沖縄に派遣団を一人でも多く送るために、カンパをお願いします。
 カンパ送り先:前進社関西支社
  郵送 大阪市淀川区東三国6-23-16
  振替 00970-9-151298

2面

派遣法抜本改正めざし 大阪で共同行動を結成

横断幕、ボードを使ったコールで、集会をしめくくった
(3月12日 大阪市内)

関西で、派遣労働者・非正規雇用労働者のたたかいを進めてきた労働組合が、立場をこえて大きなうねりをつくりだしたいと、昨年から論議と行動がつみかさねられてきた。それが共同行動体の結成となった。3月12日、「労働者派遣法の抜本改正をめざす共同行動・大阪」結成・決起集会が大阪市内で開催された。派遣法抜本改正をもとめる運動が大阪で本格的にスタートした。
この日は、派遣法改正案の閣議決定・国会上程の予定だったが、事前面接解禁導入にたいして批判が集中し、決定が見送りになった。そういう中、公表されたぬけ穴だらけの法案要綱を法案化させてはならないという危機感から、集会は200人の参加でほぼ満席という盛況だった。

問題解決の第一歩に

開会あいさつの後、西谷敏さん(近畿大学法科大学院教授)が「労働者派遣法改正の焦点」と題する講演をおこなった。
西谷さんは、直接雇用の原則から逸脱する派遣労働の問題点を批判した後、派遣法改正の法案要綱を5つの視点から批判した。
@「常用雇用」は安定雇用ではない、Aいわゆる「専門業務」の欺瞞性、B「みなし雇用」に設けられた「故意・過失」というハードルが高い問題や有期契約の問題、C「事前面接解禁」の問題、D改正法の施行期日(3年後、5年後)の問題などを指摘した。
労働運動の課題として、派遣労働の問題を非正規労働問題全体の中に位置づけ、派遣法改正問題を、有期雇用の廃止と非正規労働問題解決の第一歩にしなければならないと強調した。

共同行動のとり組み

政党からのアピールにつづき、主催者から上京・陳情行動のとりくみの報告がおこなわれた。
民主など各党大阪事務所と大阪労働局にたいする2月10日の要請行動。共同行動の各団体がおこなった政党・厚労省へのファックス要請などの紹介。社民、民主、共産の各党議員と国民新党・本部への面会や、日本労働弁護団主催の集会でのアピールなどをおこなった3月5日の上京・陳情行動などが報告された。

現代のタコ部屋

「北地域労組はらから」、「ユニオンおおさか」、「なにわユニオン」の当事者から発言がつづいた。
「高卒就職以降、解雇と派遣労働のくりかえしで、生活保護以下の月10万たらずの賃金。現代のタコ部屋だ。昨年4月には半年勤務でまた解雇された。派遣労働は貧困のあり地獄。労働者としての誇りや人権を無視した働き方を強いる派遣法はいらない。人間性をとりもどしたい。希望を」。
無権利状態が生々しく語られ、派遣先企業の無責任を強く非難、派遣法の抜本改正を求める発言がおこなわれた。
イラストムービー上映のあと、青年労働者が壇上に並び、派遣法改正コールをおこなって勢いをつけ、結成・決起集会をしめくくった。

街頭・職場で行動を

共同行動・大阪への賛同団体・組合は30をこえている。これまでにない運動のはじまりだ。改正案の国会提出がせまる中、結成・決起集会を節目に、街頭・職場行動がはじまった。
3月29日から4月11日、統一ビラをつくって関西全域で街頭宣伝。4月14日夕方には、大阪・梅田ヨドバシカメラ前で統一街宣をおこなう。
事前面接は撤回させたが、派遣法改正の攻防は待ったなしだ。改正の骨抜きにとどまらず、改悪がねらわれている。派遣労働の撤廃をめざし、当面の法改正を実現するために、共同行動を強めていこう。(労働者通信員 M)

JRは責任をとれ!

大阪駅北側をデモし、解雇撤回を訴える(3月24日 JR西日本本社前)

3月24日、関西国鉄闘争支援共闘会議(準)は、「JRは不当労働行為を謝罪し23年の争議の解決を! 国鉄1047名と家族が納得できる解決を!」集会を、大阪・上福島北公園でおこなった。
小雨の降る寒い天気の中、熊本闘争団・佐賀闘争団、国労組合員、全日建連帯労組関西生コン支部、港合同、関西合同労組、国鉄臨時雇用員和田さんの解雇を撤回させる会などが発言。
集会後、JR西日本本社にたいしてデモをおこなった。

3・28三里塚現地闘争での発言要旨

4〜5月が決戦火の玉になってたたかう 萩原進さん

三里塚の決戦がきた。団結街道の廃道化は、人も畑もあるのに、それを奪うものだ。団結街道の廃道化を阻止し、第三誘導路の建設をゆるさないたたかいで、民衆が目覚めるたたかいをしよう。
資本家が労働者を食べさせられなくなっている。農民にはばらまきで分断政策がやられている。三里塚をたたかう労働者が先頭に立ち、労働者と農民の連帯したたたかいが必要だ。
沖縄との連帯をとことん求めていきたい。反対同盟は沖縄におもむく。4・25沖縄県民大会のなかに反対同盟の旗をたてる。本土の人民の決起をよびかけたい。
一坪共有地裁判や現闘本部裁判をたたかい、第三誘導路建設や団結街道の廃道策動にたいして、実力闘争を展開する。7月の参院選、秋の千葉国体の過程においこんでいこう。
穏便にことをすまそうという権力のやり方を粉砕する。次の全国集会は10月だが、4〜5月が決戦だ。火の玉となってたたかう決意だ。

団結街道廃道ゆるさない 市東孝雄さん

私はここに住みつづける。なのにどうして団結街道を廃道にできるのか。
成田市長は、私のことを「交差点のなかに住むようなもの」と言うが、誰がそうしたのか。こうした傲慢な空港建設がつづけられてきたのだ。
あの美しい辺野古の海に基地をつくるなどもってのほか。沖縄の人たちと連帯してたたかおう。
私は絶対に負けない。みなさん、いざというときには必ずかけつけてください。

三里塚と沖縄が手をつないで 沖縄・知花盛康さん

普天間基地を沖縄におしつけようとしていることに、怒りでふるえている。沖縄戦から65年、いまも米軍が沖縄にいる。やっと普天間基地が沖縄からでると期待したが、元にもどそうとしている。沖縄はだれ一人ゆるさない。
4月25日に県民大会をおこなう。米軍基地を村民がおいはらった土地で県民大会をひらく。
4月6日から9日、40〜50人で官邸前ですわりこみをおこなう。ともにたたかおう。
今日は「市東さんの土地を守る会・沖縄」として来た。三里塚と沖縄が手をつなぎ、平和のためにがんばらないといけない。
反対同盟が県民大会に旗をもって、本土の先頭で決起する決意をあきらかにした。みなさん、共にたたかってほしい。
左から北原さん、(1人おいて)鈴木加代子さん、市東さん、萩原さん(3月28日 成田市内)
団結街道をすすむ関西実行委の隊列(うしろは封鎖中の現地闘争本部 3月28日)

3面

労働者の目線にたった運動を
労組交流センターが春闘集会

「生活できる金を出せ!たたかおう10春闘!」をスローガンに春闘集会がひらかれた。関西合同労組や高槻医療福祉労組の組合員など45人が参加した。(主催・関西労組交流センター協議会、3月21日、大阪市内)
今回の集会は、労組交流センターがこれまでやってきた、あらかじめ方針があってそれをおろすだけ、というものとはちがった。労働者の目線に立った内容を提起するとともに、産別や所属組合のちがいをこえて、春闘のなかで具体的な課題で交流し、闘争方針を論議することを目的とした。

3つの分科会で活発に討論(3月21日 協同会館アソシエ)

派遣法・派遣村・労災

「現場のたたかいに学んで、大いに議論しよう」と江渡績代表が開会のあいさつ。

◇派遣法―垣沼さん
特別アピールとして、「労働者派遣法の抜本改正をめざす共同行動・大阪」の垣沼陽輔さん(おおさかユニオンネットワーク)。垣沼さんは、「19日に派遣法が閣議決定された。原則禁止といいながらぬけ穴だらけだ。派遣法は廃止すべきだが、現在の状況で権利をどう確保するのかが問われている。4月から街頭にでてたたかおう」と呼びかけた。

◇派遣村―米村さん
「いま労働運動に何が求められているか―派遣村の体験から―」と題して米村泰輔さん(関西合同労組執行委員)が講演。一昨年末の年越し派遣村と今冬の公設派遣村について、参加した者ならではのエピソードをまじえた話だった。

◇労災―田島さん
関西労働者安全センターの田島陽子さんが労働災害について講演。プロジェクターをつかい、職場の安全チェックや精神的な病気からの職場復帰などを、わかりやすく話した。労災とのたたかいは、労働組合の団結形成にとって重要な課題だと強調した。

3つの分科会

その後、3つの分科会にわかれて議論した。

@職場要求
関西合同労組の運輸部会をはじめ、民間労働者の職場の実態と、それにもとずく要求が出された。

A非正規雇用
非正規雇用の各参加者からその実態が生々しく語られた。
まだ組織されていない非正規雇用労働者をいきなり労働組合とせずに、相談会や座談会などから団結を形成していくべきではという意見もあった。

B労働災害
講演者の田島陽子さんも参加。日々雇用の労働者の通勤災害、主治医がオーケーしたのに産業医が拒否した事例などの報告。田島さんがそれらにこたえた。

交流会

休憩のあと交流会。各分科会の座長が議論内容を紹介。労災分科会の座長は、資本の支配をくいやぶるたたかいとして、労働組合が労災にとり組みたいと発言した。
参加者からの発言では、国労の仲間から、国鉄1047名解雇撤回が重要局面をむかえるなか、3・24闘う闘争団国鉄闘争支援共闘会議(準)闘争へのよびかけがあった。
最後に3・27生活労働相談村や3・28三里塚闘争のよびかけをふくめたまとめの発言を、松田勲事務局長がおこなった。

もっと議論を

「分科会の時間がすくなく、議論が中途半端だったのが残念」(関西合同労組・組合員の感想)。「田島さんの職場の安全チェックの話を聞いて、自分のやってきたことが、実は組合活動なんだと確信をもてた。労災問題を組合づくりの核にしたい」(組合の役員)。
分科会は発言がしやすいし、少人数で集中できる。今後、もっと時間をとるべきだろう。批判的な意見がでるのは期待があったからだ。今後に生かしていかなければならない。(労働者通信員・H)

検証 トヨタ問題
トヨティズムの要 労働者支配の破綻

隠せない事故・欠陥

トヨタ叩きが、米多国籍企業の強力な巻き返しの意図のもとに行われているのは明らかだ。しかしトヨタが近年に事故を多発、品質管理が破綻しているのも事実だ。
トヨタは、昨年12月以降、リコールと自主回収をあわせて、米国で765万台、欧州で390万台、中国で7・5万台。2月以降のプリウスのリコールだけで世界で44万台。わずか2カ月半の間に世界で1000万台をこえるリコール・自主回収をおこなった。トヨタの世界での生産・販売が年間800万台超、それ以上が一気に吹っ飛んだことになる。
日本国内のリコールも、01年は6件4・6万台だったが、05年に11件193万台、06年に15件138万台。2000年から05年までのトヨタ車のリコールは500万台に急増。自動車メーカー全体の36%を占める。
全米の品質信頼度調査で、これまで14年間連続で首位だったトヨタ「レクサス」は、GM「ビュィック」、タタ自動車(インド)「ジャガー」に次いで3位。トヨタの製品保証引当金も04年度2000億円から、06年度は2800億円、08年度は3500億円程度に増大。急速に品質が劣化、事故・欠陥対策におわれている。

熟練工が疲弊・不足

トヨタは、奥田碩社長時代に、世界生産目標を400万台から1000万台に拡大した。90年は、国内421万台、海外67万台。08年は国内401万台、海外419万台。しかも増加のほとんどは北米。この年、トヨタはGMをぬいて世界最大の自動車会社となった。日本の自動車メーカー全体を見ても、07年に、海外生産1186万台、国内生産1160万台と、はじめて海外生産が国内を上回った。
トヨタは、国内モデルのデザイン決定から生産開発までの期間を、従来の平均18・9カ月から、06年には12カ月にまで短縮。テストもコンピューター上で、実証テストは極少に。他社も追随した。(なお車をゼロからつくると4年ぐらいかかるといわれる。)
09年度、日本で約238万台(2月末現在)に達した自動車全体のリコールの原因は、「設計段階のミス」が全体の7割になった。03年度までは「製造段階のミス」と半々だったという(国土交通省調べ)。
設計・開発から製造までの期間短縮によって、トヨタでは、車全体のシステムを見ることのできる熟練労働者(多能工)が、徹夜の連続でダウンしたり(労災・過労死)、海外生産拠点への派遣・出向、高齢化などで、絶対的に不足する事態になった。開発・設計と検査部門という生産の中枢現場で、期間工・社外工が半数近くになり、それでも対応できなくなって韓国に委託をはじめていた。プリウスの製造現場で酷使された期間工が「逆上」し、基幹部品を左右逆に取りつける事件などが起こっている。
トヨタが「生命」と称していた品質管理が破綻している。米ビッグスリーの破綻は、生産現場のカギを握る職長がほとんど不安定雇用労働者で構成されるようになったことが大きな原因のひとつと言われている。トヨタも、トヨタ生産方式の要をなす多能工の熟練とチームワークが疲弊・破綻している。
トヨタは、新自由主義攻撃の最先端をなす多国籍企業だ。その生産現場において、労働者支配が破綻している。ここに今回のトヨタ問題の本質がある。

北米移転がアダ

トヨタは80年代、多品種少量生産で低燃費の小型車を中心に北米市場を席巻。90年代、大型車やスポーツ用多目的車に進出、利益のあがる大型高級車で北米市場の席巻をねらった。
しかし大型高級車での北米市場の制圧戦略が逆にトヨタの品質管理を破綻させた。
トヨタの北米での現地生産拠点は、労働組合がないか弱いところに、日本の生産方式をそのままもちこもうとするものだった。しかし多能工は即席では養成できない。結局、硬直的生産体制におちいった。
しかもトヨタのカンバン方式は、膨大な下請け・孫請けの収奪の上に成り立つのに、それが北米では阻止された。トヨタ叩きの一環として系列部品製造会社3社が米独占法違反で追及されている。

新自由主義の生産方式

大量生産・大量消費の生産システムを代表するフォーディズムにたいし、トヨティズムは、会社レベルで品質管理にとり組み、タイムリーな製造開発、旺盛な技術・設備投資に象徴される。現場労働者の能力を極限まで引きだしつつ生産性を押しあげた。
トヨティズムこそ新自由主義の生産システムだ。高い生産性の上昇益の分配は大企業に限定。効率化やムダ排除の追求は、功利主義・拝金主義だ。労働者や下請け、消費者にとっては、強搾取・強収奪しか意味しない。
ジャスト・イン・タイム方式も、人間に適用すれば、期間工や派遣社員といった非正規雇用労働者を多く抱えた「流動的な」生産体制をとらないと実施できないシステムだ。
このトヨティズムがついに破綻したのだ。(お)

4〜5面

非正規と正規の連携が春闘の課題
格差と貧困の根本原因にいまこそメスを 森川 数馬

2010年春闘は、従来の春闘と決定的にちがう局面のなかでたたかわれている。
デフレが進行し、賃下げ攻撃が強まる中での春闘だ。各組合の要求額や内容にはばらつきがあるが、おおむね1万円以上の賃上げ要求、最低賃金(制)の引きあげおよびその抜本的な改善要求、非正規雇用労働者の待遇改善などをテーマとしたとり組みがはじまっている。また派遣法改正も重要なテーマとなっている。
これは399万人(厚労省調べ)といわれる派遣労働者の抜本的な待遇改善だけでなく、80年代以来の資本攻勢とそれを追認した自民党政権によって次々と奪われてきた労働者階級の権利をとりもどすたたかいだ。それは派遣労働をなくすまで続くたたかいのはじまりであると同時に、労働者階級の政治的反転攻勢をかけたたたかいだ。

春闘の構造変化
こうしたなかで最大の「ナショナルセンター」である連合の春闘は、賃上げ要求を放棄し、定期昇給と賃金改善を含んだ平均で5904円(2・02%アップ)要求というものだ。連合の主要単産にたいする3月17日の集中回答は軒並みの「賃金体系維持」、一時金についても減額というところさえでている。
当初かかげていた「非正規雇用労働者の待遇改善」は話題にもならず、消しとんでしまった。自動車・電機・鉄鋼などの先行労組が、中小・未組織の労働者の賃金水準を上げるという、かつての春闘の構造はいまや完全に崩れている。逆に、先行大労組の屈服が労働者全体の賃下げとなっている。この構造変化を逆転させるたたかい方が問われている。
中小などのこれから春闘本番を迎える現場ではストライキも含めた激しいたたかいとなるだろう。その要求を実現するための課題とは何かを提起したい。

何が労働運動を後退させたか

10春闘のテーマとは、日本帝国主義・資本家階級の労働者階級にたいする賃下げ攻勢にストップをかけ、賃上げをかちとることだ。
08年のリーマン・ショックに端を発した世界恐慌は、多くの日本の労働者に飢餓賃金を強制し、彼らから住宅と家族を奪った。日本の労働者階級は、恐慌の時代における賃金闘争の創造をかけて、10春闘に挑戦しなければならない。

労働運動の3つの課題
そのためには労働運動の側につきつけられている課題を明らかにする必要がある。
ひとつには、資本側がくりだす不況論や支払い能力論をうち破り、賃金闘争が本来もっている荒々しいたたかいをよみがえらせることだ。
ふたつには、昨年の「8・30政権交代」を実現した民衆の怒りを、労働運動の反転攻勢につなげることだ。
みっつには、08年末の派遣村のたたかいによってつきだされた非正規雇用労働者問題(その差別と貧困の実態)を、労働運動の正面テーマにすえて、その打開のための実践にふみだすことだ。
日帝・資本は、80年代の臨調行革・国鉄分割民営化と労働法制の改悪を皮切りとして、民営化と規制緩和の攻撃を開始した。そして日経連「新時代の日本型経営」路線(95年)で武装して他帝国主義国との争闘戦を構え、年功序列型賃金・終身雇用制・企業別組合を軸とする従来型の労働者支配からの脱皮に踏み込んでいった。
これにたいして日本の労働運動は、有効な階級的反撃を組織できず、ずるずると後退を余儀なくされてきた。とくに階級的ナショナルセンタ―であった総評の解散(89年)を許したことは労働者階級にとって大きな痛手であった。
それは総評によって維持されていた労働者の階級意識や階級的倫理の解体をもたらした。その結果、大規模な「派遣切り」を許してしまうところまで労働運動の力を低下させてしまった。
10春闘は、こうした歴史と現実を直視し、その反省と総括をかけて、前述した3つの課題に挑戦し、あらたな労働運動の思想と精神、運動・組織理念をつかみとるたたかいである。

日本の失業者は1千万人

総務省の発表による日本の完全失業率は、5%台周辺にはりついた状態が続いている。2月の完全失業率は4・9%だ。2月末の失業者数は324万人。〔図表1参照〕
しかしその数字は実態をあらわしてはいない。
◇隠された失業者
詳しくみるとこの数字の中には、雇用調整助成金を受給している労働者数160万人(2月現在)は含まれていない。また、失業者のうち雇用保険を受給しているのは30%程度といわれている。じっさいに昨年7〜9月調査で求職しなかった失業者のうち、就労を希望する労働者の数は483万人に上っている。
こうした「隠された失業者」を含めると900万〜1000万人の労働者が失業状態におかれているというのが日本の現状だ。
◇生活保護の急増
ここ10年間で生活保護受給世帯は、平均年6万世帯のペースで急増。昨年12月時点で130万世帯を突破、過去最悪の数字となった。大阪市の昨年12月の受給世帯は10万5千世帯、市民の20人に1人が生活保護を受給している。釜ケ崎地区だけで、この一年間で8千人が生活保護に移行したといわれる。
◇雇止めと住居喪失
昨年12月に厚生労働省が発表した非正規雇用労働者の雇止め状況によれば、雇止めされた労働者25万人のうち14万5千人(58%)が派遣労働者。そして判明している住居喪失者3488人のうち、派遣労働者が占める割合は半数を超える57%である。
雇止め解雇によっていきなり路上に放り出される派遣労働者の苛酷な現実が数字にはっきりとあらわれている。
◇非婚と自殺
デフレ不況は、若年労働者を直撃している。今年2月1日現在の大卒予定者の就職内定率は80%(前年同月比6・3ポイント減)、同じく高校新卒者では81・1%(同6・4ポイント減)と急激に悪化した。就職氷河期の再来である。
こうした中でおおくの労働者は、結婚して家庭を築くことが困難になっている。1980年の国勢調査によれば、35歳から44歳までの未婚者数は103万人であった。ところが05年にはこの数字が350万人、じつに3倍以上にはねあがっている。
日本の自殺者数は98年以来、年間3万人をこえ続けている。無縁死〔注〕が3万2千人(NHK調べ08年)、もはや労働者階級は資本主義の中に未来を見いだすことはできない。

〔注 無縁死とは、親族ではなく自治体が引き取り手となった死亡数。〕

労働者むしばむ貧困アリ地獄

この10年、労働者の賃金はさがりつづけている。国税庁によれば民間給与所得者の平均年収は08年で430万円、10年前の98年より35万円も減少した。月平均で3万円弱の減少だ。〔図表2参照〕
また厚労省が発表している毎月勤労統計調査によれば、2月の所定内給与は平均で24万4247円で、21カ月連続のマイナスである。

非正規雇用と成果主義
重要なことは、非正規雇用労働者と年収200万以下の低所得者数の増加が、労働者階級全体の賃金低下の大きな要因となってきたことだ。〔図表3と図表4を並べてみると、その傾向がはっきりとあらわれている。〕
おおくの企業は退職者の補充を新規採用ではなく、非正規雇用で対応してきた。正規雇用労働者には成果主義賃金などを導入して賃下げをおこない、50歳前に退職に追い込んでいった。そして低賃金で社会保険費や福利厚生費などがかからない非正規雇用労働者へと転換を図っていった。これが正規雇用労働者の賃下げを強制するテコとなったのである。

製造業で派遣解禁
そのことを象徴しているのが、膨大な期間工と派遣労働者(外国人労働者も含む)の登場であった。彼らはほとんどの日本の製造現場に導入されていった。労働法も憲法も及ばない現代の「タコ部屋」を無数に生み出し、この無法状態が日本の基幹産業を支えるという異様な構造をつくりだした。いまやこれは、公共機関をもまきこんで全産業にひろがっている。
おおくの派遣労働者たちは、所持金が底をついてくるとどんなに劣悪な条件でも目の前に仕事があれば飛びつかざるをえない状況においこまれている。このような派遣労働者の状況を彼らは「貧困アリ地獄」という。このアリ地獄を温床にして貧困ビジネスがはびこり、一度そこにはまった労働者は二度とぬけ出せなくなっている。事態はここまできている。
労働者の困窮化にともなって、賃下げや成果主義賃金の導入が進行し、退職勧奨や整理解雇がやりやすい状態がつくりだされてきた。年功序列型賃金と終身雇用制度を柱とした戦後日本の労働者支配とその搾取構造はこの10年間で激変した。
その結果、トヨタ、パナソニック、キヤノン、東芝などの日本の巨大グローバル資本は08年3月決算で史上最高益をたたき出した。08年末の全企業の内部留保は428・6兆円。98年の209・9兆円から10年間で倍増した。この途方もない格差構造こそ新自由主義とグローバリズムの実像だ。

派遣労働者のたたかいに動揺する資本

これまで12月に発表されてきた経労委報告(日本経団連の春闘方針)は、1カ月遅れの1月19日の発表となった。リーマン・ショックと8・30政権交代ショックによって2年連続で日帝・資本家階級はその土台をゆさぶられている。
とくに08年6月の秋葉原連続殺傷事件と08年末の年越し派遣村によって社会問題化した「派遣切り」と非正規雇用労働者の現状にかんする責任追及に、経営者側が動揺したことはまちがいない。

ねらいは賃下げ
そのことを示すように、経労委報告2章で、大きく「雇用の安定」や「若年雇用問題」をとりあげている。しかし、「派遣切り」については言及することができず、まったく迫力を欠いている。
そして「非正規雇用は人間の使い捨てではないか」との批判におびえながら、「企業の存続をかけて、望むと望まざるとに関わらず弾力的な生産体制の構築のために非正規労働者を活用せざるを得ない側面があった」と言いわけをし、「雇用の多様化」ということばでそれを正当化しようとしている。
こんな居直りを断じて許してならない。これが「賃金より雇用を重視」の正体だ。
資本家階級のねらいは、95年いらいの「総額人件費管理の徹底」(4章)を異常に強調しているところにある。その方針として賃金カーブの維持(定昇)について、「労使が実態に応じた話し合い」とすることを大きくうちだした。そして「自社支払い能力に即して判断する」として、賃下げの路線化をはかろうとしている。さらに雇用調整に名を借りた「賃金減額措置」の活用や「無給休日」などのさらなる賃下げ方針を打ち出している。
このように2010年経労委報告は、二つの大ショック(リーマン・ショックと政権交代)後の新自由主義政策の再編と巻き返しという性格をもちつつも、その背後にはマグマのようにうずまく労働者階級の怒りと決起に動揺する資本家階級の姿も垣間見えている。
連合中央は、「定昇凍結」の脅しに簡単に屈服し、一時金の減額までのまされているが、たたかう労働者はこの資本の危機と動揺をつかんでたたかう賃闘の復活をめざす戦闘的な構えが求められている。10春闘の勝利で敵を突き崩す好機をつかもう。

同一労働同一賃金を

最後に10春闘の方針を提起したい。

非正規雇用の待遇改善を
第一に、労働者の階級的団結の回復をかけてたたかうことだ。
それは資本のくり出す「支払い能力論」、「雇用の多様化・流動化論」に屈服せず、はたらくすべての人が「健康で文化的な生活ができる」賃金の獲得をめざしてたたかうことだ。非正規雇用労働者の要求を正規雇用労働者(組織労働者)の正面課題としてとり組むことだ。
そのために「同じ仕事してなぜ待遇がちがうのか」「同じ労働者を差別するのか」という非正規雇用労働者の怒りを共有して、大多数の労働者を獲得することで職場の力関係を転換させ、「同一労働同一賃金」を資本に実現させることだ。
このとき、「正規雇用労働者の労働条件の低下を容認してでも、非正規雇用労働者の待遇改善をはかるべし」という論議があるが、これをどう考えるべきだろうか。
まず、分断され、差別を許してきた労働運動についての反省が不可欠だ。同時に、非正規雇用労働者の待遇改善を逆手にとった資本の総額賃金の抑制や権利侵害を容認することはできない。正規・非正規の団結を再形成しながら、資本と対抗できる力を強化し、配分権をめぐる力関係を逆転させていくなかで、総額賃金の引き上げと差別・格差是正をめざしたたかうことではないだろうか。
労働者階級全体にたいする賃金低下を可能にしたのは、新規採用の中止と非正規雇用労働者への転換だ。団結の再形成のためには、この低賃金構造を内部からうち壊していかなければならない。そのためには、まず非正規雇用労働者の待遇改善のたたかいが必要なのだ。
第二に、一律大幅賃上げ要求をもって賃金の底上げと格差の是正をかちとろう。産別で、職種、職場で、地域で一律大幅賃上げ闘争を本気でとり組んでいこう。
第三に、ストライキを復権しよう。階級の団結はストライキぬきにはありえない。たたかう労働者は要求実現にむけてストライキを組織しよう。
第四に、失業した仲間や野宿の仲間を支え、失対事業の再開を要求してたたかおう。
第五に、派遣法の抜本改正をめざす共同行動に結集し、派遣労働者と共にたたかおう。

政権交代から反転攻勢へ

第六に、10春闘の課題として4〜5月沖縄普天間基地即時撤去・辺野古新基地建設阻止をかかげてたたかおう。8・30政権交代後の最大課題が沖縄基地問題だ。労働者はその先頭にたとう。それは労働運動の反転攻勢でもある。「在特会」などによる差別排外主義煽動を、労働者階級のたたかいで包囲し、解体しよう。
第七に、帝国主義の変貌と労働者支配、搾取構造の変化をその内部からつかみとり、これを突き崩すたたかいをとおして未来社会を準備する21世紀の労働運動のあり方を創造しよう。
韓国の民主労総は昨年のメーデーで「社会連帯労総として新たに生まれ変わる」「組織体系をその戦略実現の体系に転換する」として階級的団結と社会的連帯を結合した連帯戦略をうち出した。これを労働運動の再生をめざす活動家の共同作業として進めていこう。
戦闘的労働運動の孤立・分散化と階級的ナショナルセンターの不在という日本労働運動の現状を打ち破ろう。10春闘の勝利をめざして非正規・正規(未組織・組織)の連携したたたかいをつくりだそう。

6面

朝鮮学校への攻撃をゆるさない
各地で在日と連帯行動

命かけて民族教育まもる 在日が訴え 京都

「民族教育を命がけで守っていく」と語る紫松枝さん(3月28日 円山音楽堂)

朝鮮学校への攻撃を許さない集会が3月28日、ひらかれた。約900人の参加。
「朝鮮学校への攻撃を許さない共同アピール」運動呼びかけ人を代表して、「朝鮮学校を支える会・京滋」の仲尾宏さんがあいさつ。
フェイスプロジェクトの山根実紀さんからは、共同アピール運動の賛同人・賛同団体が、第一次集約で1312に達したことが報告され、5月20日の第二次集約にむかってさらにひろげようと訴えがなされた。

朝鮮学校攻撃ゆるさない宣言
京都民族教育対策委員会の紫松枝(シソンジ)さんは、在特会らによる京都朝鮮第一初級学校への襲撃(昨年12月4日)、高校無償化制度からの朝鮮学校の排除を許さないと訴え、「一世の同胞たちが命をかけて守ってきた民族教育を私たちも命がけで守っていく」と決意をのべた。
衆院議員の服部良一さんの紹介。東京造形大教授の前田朗さんの講演。各団体・個人から連帯のアピール。「民族差別・外国人排斥に反対し、他民族共生社会をつくりだそう。朝鮮学校への攻撃を許さない」という集会宣言を採択した。

妨害はねのけデモ
留学同京都のサムルノリを先頭に、京都の繁華街を、四条河原町から市役所前までデモ。
天皇の来京と重なり、約400人の機動隊が配備。約30人の在特会らは、機動隊に守られて歩道上からデモの妨害を試みるも、900人の隊列に圧倒されていた。デモ隊には多数の市民から拍手や声援があった。(通信員T)

震災のとき助けあった 神戸

高校無償化法案成立を前に、3月29日、「朝鮮学校への差別は許さない!―高校無償化を考える緊急兵庫県民集会」が、神戸市内で開かれた。
日朝友好兵庫県民の会、日朝関係を考える神戸ネットワークなど、23団体の共催。朝鮮高級学校の保護者、在日コリアン、支援者ら約500人が集まった。

民族教育の破壊ゆるさない
田中宏さん(一橋大名誉教授)が講演―教育をうける権利はひとしく保障されるべき。学校の同等性は、課程・修業年数など「外形」基準による。国連人種差別撤廃委員会も懸念を表明した。「各種学校としても認可できない」とした65年文部次官通達に逆行させてはならない―と訴えた。
各団体から、「阪神淡路大震災で、被災者は地域の朝鮮学校に避難、お互いに助け合った。多文化共生を被災地兵庫から率先してきた」「除外する考え方がおかしい」などの発言があった。

「なぜ除外か、まだ差別されるのか」
在日4世で17歳の朝鮮高級学校女子生徒は、「チマ・チョゴリで通学したいが第二制服のブレザーで通っている。同じように学び、友だちをつくり、クラブ活動をしている。なぜ除外か、まだ差別されるのか。腹が立ち悲しい」と訴えた。
決議文を採択、文科相に提出のため代表派遣を決めた。(通信員M)

日常の運動が社会うごかす 7回目の3月行動

雨のなかを大阪駅前までデモ(3月7日)

「3月行動をよびかける女たち」主催の「とめたいんや戦争! 守るんや命! 3・7行動」に参加した。毎年3月におこなわれるこの行動は、今年で7回目。(3月7日、大阪・北区民センター)

社会かえる決意

沖縄・辺野古からきた講師の坂井満さんのお話は、「普天間基地問題とは何か」を、沖縄の視点で伝える内容だった。
また今回は、日本軍「慰安婦」問題の解決を求めるアピール、在特会の襲撃をうけている京都朝鮮初級学校のオモニ会、卒業式をおえてかけつけた朝鮮学校の生徒たちのアピール、排外主義とたたかう集会決議―など在特会の動きや、高校無償化対象から朝鮮学校をはずす動きに、鋭く対決する内容でもあった。
音楽や寸劇。自然との対話から原発問題にとりくむようになった女性。派遣など非正規雇用の労働相談にとりくむ若者の発言。盛りだくさんだが、様々な人びとのねばり強いたたかいと、社会をかえる決意がひとつになった行動だった。

沖縄の視点から

坂井さんのお話から、心に残った点を紹介。
@沖縄の人は、基地について「移設」という言葉はつかったことがない。沖縄は基地をなくしてほしいと言ってきただけ。
A辺野古をはじめ沖縄の基地反対運動は、ウエーブではなく、さざ波。長く続く日常そのもの。
B名護に稲嶺市長が生まれ、多くの人がずっと言えなかった基地反対を言えるようになった。
Cここまでよくやったではなく、これからがはじまりだ。
D民主党政権に何を期待するかではなく、これまでもこれからも自分たちが行動していくことで変えていく。
フランクな語り口の中に、本土の私たちが、運動をかえりみてハッとさせられることの多いお話だった。

変えるのは私たち

集会をとおして、日常的なねばり強い運動がそこかしこでたたかわれていること、これらがつながりあうことの豊かさと力強さを感じた。「変えるのは私たち!」という集会のテーマのとおり、現場のたたかいこそが、社会を確実に動かしていることを実感した。(通信員TN)

「ピースウォークfrom沖縄」が関西にやってきた

京都市内ウォークにむけて出発前集会(3月26日 東本願寺前)

日本山妙法寺の石橋上人らの一行は、1月1日に沖縄久高島を出発、沖縄島から、西日本各地をまわり、4月27日の東京入りまで、核兵器廃絶と沖縄基地撤去を訴えて行脚している。関西地域に入ってからは6人が歩きつづけている。
3月25日は宇治、26日は京都市内、27日は真宗大谷派京都事務所で集会とライブ。詳しくは、「ピースウォークfrom沖縄実行委」サイトのブログを参照。
(http://peacewalk.xrea.jp/)