未来・第52号


            未来第52号目次(2010年3月2日発行)

 1面  三里塚現闘本部 強制撤去を阻止

 2面  政府は責任をとれ
     国鉄闘争勝利へ 関西連鎖キャラバン行動

     普天間飛行場の危険性除去と海兵隊のグアム移転(上)
     伊波洋一・宜野湾市長の講演要旨

 3面  派遣労働者が訴え 院内集会
     「派遣というだけで差別されるのは本当に悔しい」

     新勤評(評価・育成システム)裁判
     控訴棄却の不当判決 大阪高裁

 4面  年度内の運転再開ねらう
     核武装にふみだす鳩山 もんじゅ

     地に足のついた国際連帯
     ペシャワール会・福元さんが講演

     開港から4年 問題だらけの神戸空港

 5面  【翻訳資料】
     韓国労働社会研究所機関紙『労働社会』09年6月号
     民主労総の社会連帯運動 方向と課題(下)

 6面  本の紹介 『「格差」の戦後史』 橋本健二著
     階級と格差 データで実証

     辺野古への基地建設断念 普天間基地の無条件返還
     緊急署名をひろげよう
     第1次集約10日 第2次集約31日

     シネマ案内 南京映画祭

       

三里塚現闘本部 強制撤去を阻止

判決後の記者会見で「控訴してたたかう」と宣言する反対同盟と弁護団(写真 ともに2月25日 千葉市内)
「現闘本部撤去攻撃をうち砕いた。つぎは3・28だ。全国から同志をつのって三里塚現地へ」と総括集会で訴える萩原さん(車の後部)

明けわたし命令に怒号 2・25 千葉地裁

10時52分、裁判開始。すぐに葉山弁護士らすべての弁護士が口頭弁論再開をもとめて意見陳述。
「8・9坪も撤去の対象を拡大しながら弁論を拒否するのは不当。反論の保障がないままの結審は納得できない」。「裁判官が裁判を破壊している。空港反対闘争の破壊のために起こされた裁判だ。弁論再開の申し立てに応答せよ」。
つづいて北原事務局長。「なぜ現地調べをしないのか。一方的な裁判だ。これは裁判とはいえない。現地調べからやり直せ。真実はひとつだ。裁判をやり直せ」とせまる。

仮執行宣言を阻む
仲戸川ら裁判官は、暫時合議するといって後ろに消えた。が、すぐにもどってきた。合議の結果、弁論を再開しないという。10秒たらずの間に合議したというのか。
判決主文をよみあげる。怒号にかき消されてよく聞きとれない。「一切を明けわたせ」という判決だ。市東さんが仲戸川につかみかからんばかりに抗議。法廷ははげしい怒りにつつまれた。
そして全員が法廷にとどまった。仮執行宣言〔注〕があれば抗議するためだ。廷吏が「裁判はおわったからでてくれ」とくりかえす。弁護士から傍聴席に「仮執行宣言は無し」とつたえられた。ようやく法廷をあとにした。

敵のプランうち砕く

2月25日、千葉地裁で天神峰現闘本部裁判の判決公判がひらかれた。反対同盟と全国の支援者は早朝から千葉中央公園に結集、3百人をこえるデモ隊が千葉地裁を包囲した。裁判が始まるころには参加者は385人に。反対同盟と弁護団は、この日、裁判官忌避、弁論再開申立てをつきつけ、仲戸川裁判長を徹底弾劾してたたかいぬいた。

同盟の実力闘争宣言
仲戸川裁判長が「現闘本部の撤去と土地明け渡し」を命令する不当判決がよみあげたとき、法廷ははげしい怒号につつまれた。
しかし裁判所は、判決で最大の焦点であった現闘本部を強制撤去する「仮執行宣言」を、付けることができなかった。
これは重要な勝利だ。成田空港会社(NAA)がえがいてきた《現闘本部の即時強制撤去―第三誘導路建設―市東さんを空港敷地内から追い出す》というプランをその緒戦で粉砕したのだ。
この勝利を決定づけたのは、反対同盟の実力闘争宣言だ。いかなる反動判決が出ようとも、決着をつけるのは現地のたたかいであるという反対同盟の決意の前に、国家権力の側がひるんだ。
さらに決定的だったのは、敵が仕掛けた「明け渡し訴訟」を反対同盟が逆手にとり、「成田治安法によって封鎖された現闘本部を、ふたたび同盟の手に奪還する闘争」(萩原事務局次長)と位置づけてたたかいぬいたことだ。
この反対同盟の攻勢的な裁判闘争が、国家意志を体現した仲戸川による前代未聞の反動的訴訟指揮をはねかえし、強制執行を実力で阻止した。

農地死守こそ
反対同盟と、千葉地裁にかけつけた仲間たちは、この日の判決を受けて、「農地を死守するかぎり、必ず空港を廃港にできる」という確信をふかめた。
団結街道封鎖・廃道を許すな。第三誘導路建設を阻止しよう。全国各地で三里塚のたたかいをひろげ、3・28三里塚全国集会にあつまろう。

〔注〕 仮執行宣言とは、財産権上の請求権にかんする判決において、判決が確定する前であっても、一審判決にもとづいて、強制執行をすることができるという宣言のこと。今回の判決では、NAA側が裁判所に申立てていた「天神峰現闘本部を強制撤去する仮執行宣言」を、裁判所が付けるかどうかが焦点となっていた。

事実無視した判決

この裁判の争点は、現闘本部の土地を正当に使用する権利である「地上権」が反対同盟にあるのか否かであった。

地上権は同盟にある
裁判の中で反対同盟は、@1966年に現闘本部の建物が建設されたときに、土地の所有者である石橋政次氏(当時、反対同盟副委員長)は、同盟の実行役員会で「反対闘争が勝利するまで使ってくれ」と明言していたこと、A石橋氏が1982年に反対同盟から除名されたときも、北原事務局長に、「現闘本部の土地は反対同盟に残したものだ」とひきつづき反対同盟がその土地を現闘本部として使用する権利をみとめていたこと、B石橋氏が天神峰から移転した1988年以降は、毎年、地代を支払っていたことなどから、現闘本部の建物が現存しているかぎり、地上権は反対同盟にあることを明らかにした。

不当な訴訟指揮
今回の判決は、裁判所がこうした事実をすべて無視し、異例のビデオリンク方式(別室に証人を隔離しておこなう尋問)でおこなわれたNAA側の石橋恵美子証人(石橋氏の息子のつれあい)の「反対同盟から地代はうけとっていない」というウソの証言に依拠して、NAA側の主張を丸のみにしたものだ。
しかも仲戸川裁判長が不当な訴訟指揮をおこない、ウソの証言にたいする反対尋問はおこなわれていない。こうした証拠価値のない「証言」に依拠することによって下された判決は無効である。


2面

政府は責任をとれ
国鉄闘争勝利へ 関西連鎖キャラバン行動

国鉄清算事業西日本支社前で「解雇を撤回しろ」とうったえる闘争団と支援(2月26日 新大阪駅前)

国鉄分割・民営化強行いらい、23年間にわたってたたかわれてきた解雇撤回闘争が大きな山場をむかえた。
国労闘争団・鉄建公団訴訟原告団の大串さん、猪股さん(佐賀闘争団)、蓑田さん(熊本闘争団)の3人を中心に、1月28日から2月26日まで国鉄闘争勝利にむけ「関西連鎖キャラバン行動」がとり組まれた。与党3党と公明党による解決案が24日に新聞報道されるなか、26日の最終日の行動に参加した。
この日の行動は、雨の中、午後1時、大阪・なんば高島屋前をかわきりに、淀屋橋、梅田・ヨドバシカメラ前、鉄道運輸機構国鉄清算事業西日本支社前の順でおこなわれた。北海道・北見闘争団の中野さん(徳島常駐)も加わり、4人の闘争団員、現場の国労組合員と、支援の労組と労働者、総勢60人以上が参加。
街頭宣伝では、「政府は国鉄労働者1047名問題の解決決断を」「1047名の解雇を撤回し元の職場にもどせ」というビラを配布、闘争団がマイクを握った。 闘争団の仲間は、国鉄分割・民営化時の中曽根首相の「国労を崩壊させることを明確に意識して(国鉄改革を)やった」という発言、国鉄改革法のもとでおこなわれた国家的不当労働行為をあらためて怒りをもって弾劾した。JRの安全問題、非正規雇用、ワーキングプアをうち破ろうと訴えた。

与党3党と公明の解決案 2月24日

「もろ手をあげて賛成というわけではない」(闘争団の仲間)
2月24日に報道された与党3党と公明党の解決案は――

◇解決金として、1世帯当たり約1600万円、解雇で消滅した期間の年金相当分として約1300万円など計約270億円を組合員側に支払う。
◇闘争団が設立した18の事業体に各1億円の支援金を提供する。
◇55歳以下の組合員約230人の雇用もJR各社に要請する。

――という内容で、担当者が各党に持ち帰って検討し、3月上旬に国土交通省など政府に要請することになっている。
この解決案にたいして闘争団の仲間は、「与党案はたたき台」「あくまで納得できる内容で、政府に解決をせまる」という話であった。

50カ所以上 1万2千枚のビラ

4時すぎから国鉄清算事業西日本支社前において、支社にたいする抗議・申入れと社前集会がおこなわれた。現場国労組合員が司会をつとめ、闘争団を守る会から「国家的不当労働行為をゆるすわけにはいかない」「解決にむけてこれからが大事。一致団結して解決へ」と発言。
闘争団の仲間は、以下のように決意を述べた。2010年を解決の年にしようと闘争団で意思一致し、そのためにどう大衆運動をつくるか議論し、この行動をとり組んだ。約1カ月にわたって関西キャラバン行動をおこない、50カ所以上のJR駅頭で宣伝行動、1万2千枚のビラを配布。今年になって政治が大きく動きだし、解決の入口にはいった。たたかう体制を立てなおし解決へ。政府にお願いするのではなく、われわれの力で解決をせまる。
この社前集会には、「国鉄臨時雇用員和田さんの解雇を撤回させる会&おんな労働組合」の和田さんも参加した。沖縄からヘリ基地反対協・共同代表の安次富浩さんがかけつけた。(国労組合員T)

普天間飛行場の危険性除去と
海兵隊のグアム移転(上)
伊波洋一・宜野湾市長の講演要旨

「〜これからどうする日本!! 〜平和・靖国・憲法・教育・人権・貧困を考える2・11滋賀集会」(主催・同集会実行委)で、沖縄・宜野湾市長、伊波さんの講演がおこなわれた。講演の要旨を2回にわけ、今回は後半の「海兵隊のグアム移転」を先に掲載する。〔文責・見出しともに編集委員会〕

05年日米合意と06年日米ロードマップ

マスコミでは、06年5月の「再編実施のための日米のロードマップ」によって、普天間にいる米軍部隊の辺野古移転があるといわれている。アメリカも鳩山政権に、日米ロードマップをまもれと言ってる。
しかし、日米ロードマップの前に、05年10月の「日米同盟:未来のための変革と再編」という合意がある。私たちが日米ロードマップといって聞かされている中身は、実は、日米ロードマップではなく、この05年日米合意だ。日本政府も米国もマスコミも、日米ロードマップの説明はしていない。
多くの国民は、辺野古に新基地をつくるのは、「普天間飛行場のヘリ部隊をうつすため」と思っているだろう。
それは、05年日米合意までは正しい。しかし06年日米ロードマップではそうなっていない。05年日米合意では、海兵隊の基本は沖縄にのこり、沖縄からでていく方が部隊全体から抽出されていた。ところが06年日米ロードマップでは、海兵隊全体がグアムにいくことになり、沖縄にのこす必要があるものだけを抽出するとなった。05年日米合意と06年日米ロードマップで考え方が大きく逆転している。日米ロードマップでは、8千人の海兵隊が、部隊の一体性を維持して、2014年までに沖縄からグアムへ移転する。司令部もその他の部隊も一体でうつる。沖縄にのこるのは旅団ではなく、いくつかの部隊だけとなった。

06年グアム統合軍事開発計画

グアムは現在も事実上アメリカの植民地。淡路島とほぼ同面積、その約3割を米軍基地が占める。

米太平洋軍司令部が06年7月に策定した「グアム統合軍事開発計画」には、グアムに最大67機のヘリコプターがくると書いてある〔注:普天間基地に駐留する米軍ヘリは56機〕。つまり、普天間基地の海兵隊ヘリ部隊全部がグアムに移転するということになる。実際、グアムのアンダーセン空軍基地の中に、普天間基地のヘリ部隊が移転してくる場所がつくられている。
「グアム統合軍事開発計画」は06年9月に、米太平洋軍司令部のホームページで公開された。宜野湾市は、公開と同時にそれを入手・翻訳し、宜野湾市のホームページ上で公開した。
ところが、米太平洋軍司令部の方は一週間で公開をやめた。日本に関連する資料が消えていくのはよくある。日本政府や在日米軍関係者のクレームで消されたのだろう。こうしてマスコミにはこういう情報がなくなる。

07年グアム調査

07年7月、沖縄・中部の14市町村長が、グアム・アンダーセン空軍基地施設の調査に行った。基地の副司令官に、海兵隊のヘリ部隊がくるという場所にも案内された。
64〜70機の部隊がくる。沖縄からグアムに移転する8千人のうち、海兵航空戦闘部隊は1500人で、アンダーセン空軍基地にくる――などの説明をうけた。

米下院への報告書と09環境影響評価書

08年9月に米国防総省が米下院軍事委員会に提出した報告書には、沖縄からグアムにうつる部隊名のリストがある。ヘリ部隊の名前もある。
さらに、昨年11月20日、「海兵隊グアム移転環境影響評価書」が米海軍省からだされた。沖縄からの海兵隊移転の詳細がだされている。ヘリ部隊だけではなく、地上部隊や戦闘部隊のほとんどがグアムへ行くと書かれている。
「再編合意とロードマップのイニシアチブでは8千人の海兵隊とその家族9千人を沖縄からグアムへ2014年までに移転させるよう求めている。・・・沖縄と比較しても、活動の自由を最大限得られ、配備にかかる時間の増加を最小限に押えることができる」。
さらに、この評価書の資料には、演習場を全部、マリアナにうつすという計画もでている。

なぜグアム移転か

「01年9・11」の後から、アメリカは世界的な基地見直しをはじめた。アメリカ本土をまもるためだ。それがアメリカの防衛政策の一番の目的になった。予測不可能な状況がどこで発生しても柔軟迅速な対応を可能にする場所に基地をおくという考え方になった。
そして沖縄の海兵隊をどこにおくべきかと議論し、最終的に選ばれたのがグアムだった。グアムを、これからは米軍の全体的な戦力のハブ――車輪の軸――にするということだ。
日本では一般に、沖縄の海兵隊は日米安保のためにいるとおもわれているが、そうではない。
日米安保はアメリカが日本を防衛するという責任をもっている。そのかわり日本はアメリカに基地を提供する。しかし、その基地はアメリカの世界戦略上の基地であって、かならずしも日本を守るためではない。
アメリカは、西太平洋に5つの安全保障条約をもっている。日本、韓国、フィリピン、タイ、オーストラリア。この5つの安全保障条約の履行のため、海兵隊は1年を通して順次、実戦練習をやっている。だから沖縄の海兵隊の戦闘部隊は沖縄に常駐しているわけではない。

「移設先」は必要ない

「沖縄に海兵隊をおかないと有事のときにこまる」という言い方をマスコミがするが、まったく事実とかけはなれた議論だ。
また、日本政府は、違う場所(移設先)をつくって、そこに普天間の部隊をうつすつもりでいるが、決定的にちがう。
普天間のヘリ部隊のための移設先としての辺野古や、辺野古の代わりの基地というものは必要ないというのが私たちが主張だ。

3面

派遣労働者が訴え(院内集会)
「派遣というだけで差別されるのは本当に悔しい」

派遣添乗員の現状を報告する菅野さん(2月19日 参院議員会館)

「今日はお話をしなくちゃいけないというので、恥をしのんでまいりました。派遣会社に登録して派遣先で働いていても、仕事の調整弁にされ、必要がなくなったら解雇され、寮からもだされる。同じような仕事をしているのに、派遣社員というだけで差別をうけるのは本当にくやしい。こういうことがなくなるような社会にしてもらえたらと思います。全力でがんばります」(公設派遣村のAさん)
「派遣を7年やってきた。一番長かったのはヒューマントラストという会社。そこはサラ金のアコムと提携していて、アコムにいってお金をひきだす。限度額3万円まで。手数料120円取られる。グッドウィルやフルキャストでデータ装備費が問題になった。うちらでは安全管理費というのがもどってきたかわりに、交通費、皆勤手当などがカットされた。時給800円で交通費なし。遠いところの現場にいかされると本当にのこらない。そういう意味では時給もあげてほしい。派遣会社を調査する機関をもうけてほしい」(公設派遣村のBさん)
2月19日、緊急院内集会「政治主導で解決してほしい! 〜派遣法抜本改正の骨抜きは許せません〜」が参院議員会館でおこなわれた。派遣労働者の現場からの切実なうったえに、会場からあふれる数の参加者全体がつよくゆさぶられた。

名ばかり派遣会社の実態

派遣添乗員の労働条件改善をもとめてたたかっている東京東部労組の菅野委員長が、現状を報告した。
派遣添乗員は全国に1万2千人くらい。旅行会社が派遣会社を100%出資でつくって、そこから旅行会社に添乗員をおくりこむというやり方。
派遣労働者の労働条件を実質上決定しているのは派遣先。業務指示も派遣先がおこなっている。
派遣労働者が労働組合をつくって派遣先に団体交渉を申し入れても、「私たちは団体交渉に応じる立場にありません」、「私たちはあなたたちを雇用しているわけではありません」という一言ではねつけられている。
「休憩室がほしい」「労働時間を短くしてほしい」という当たり前の要求をするために、非常にステップの高いたたかいが必要になっている。
(派遣法改正)法案要綱は、名ばかり派遣会社を是認し、それを放置するどころか加速する。こういう現状を絶対に見過ごすことはできない――とうったえた。

規制緩和の法案要綱

集会では、2月17日にだされた派遣法改正・法案要綱にたいする批判が相次いだ。
「法案要綱は、大事なところが骨抜きにされているだけでなく、事前面接など自公政権時代の内容がいれられ、実質的には規制緩和になっている。法案要綱は労政審答申そのままで何一つ修正されていない。これでいいのか」と、司会の全日建連帯労組の小谷野書記長が集会の冒頭にうったえた。
派遣ユニオンの関根書記長は、事前面接の一部解禁の問題を批判。
事前面接が一部解禁されると、派遣先が派遣労働者の面接をおこない、採用するかどうかを決めることが可能になる。派遣先は派遣労働者の採用を決定する権限までもつが、雇用していないという不思議な構造になる。事前面接の解禁は雇用構造を根底からくつがえしていく。
(派遣会社のコーディネーターからきいた話として)すでに違法面接が横行しており、いかに仕事ができる派遣労働者であっても、「容姿」がよくなかったら事前面接でかならず落とされるのが実態。見た目、年齢、その他で選別されている――と指摘した。

沖縄闘争と一体で

集会には、山内徳信参院議員が特別に参加して発言した。
山内議員は沖縄問題や基地問題を専門にしているが、「派遣法の法案要綱に憤りを感じる。新しい政権になってもこういう状況が進んでいる。労働者、民衆、市民がたちあがって、きちっとたたかいをくんでいく必要がある」とうったえた。
沖縄闘争と派遣法とのたたかいは一体だ。

現場の怒りで

法案要綱をくつがえしていく力は現場にある。今回、公設派遣村から発言と、派遣労働者の労働条件をたたかっている現場からの報告がおこなわれたことは重要だ。
派遣労働者の組織化は困難だが、正規雇用労働者が非正規雇用労働者をつつみこみ、さらに正規雇用労働者が自ら血を流して非正規雇用労働者のためにたたかっていくことが、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の分断支配をうちやぶる力となるだろう。公設派遣村のたたかいや派遣添乗員の労働条件の改善のたたかいなどが典型だ。
もっともっと組織化の現場にでていこう。これらをやりぬいていけば、かならず派遣法の抜本改正はかちとれる。そういう新たなたたかいの出発を感じさせた集会だった。派遣労働をなくすためにたたかおう。

新勤評(評価・育成システム)裁判
控訴棄却の不当判決 大阪高裁
投稿 東大阪市教員・新勤評反対訴訟団原告 UY

大阪府教育委員会の答弁書を丸写ししたかのような一審判決(08年12月24日)から1年2カ月。2月19日、大阪高裁において、控訴棄却の不当判決が下された。
原告、そして支援の会の面々は、開廷4時30分に合わせ、時間を工面し、職場の仲間の支援をとりつけ府内各地それぞれの学校現場、それぞれの職場から駆けつけた。開廷30分前、既に1階フロアーはごった返していた。
一橋大・中田鑑定人の意見書は認否されなかったものの、以降、準備された証拠や証言、そして陳述などが圧倒していたため、ささやかではあるが期待は、それぞれの参加者の胸にあった。

たった1分

いよいよ開廷。202号法廷は最も広い大法廷だ。原告105人、そして支援者は200人を越える。さらに、被告である各地行政の「お抱え」弁護士や担当行政職員も詰め掛け、大法廷はまたたく間に埋め尽くされた。見回してみると、我が原告団・支援者たちの白髪が目立つ。初老の「たたかう先生」たちは、いまなお健在だ。
少しの間があり(判事の揺れ動く心情か?)、開廷。うつむき加減の一宮和夫裁判長から、少し鼻の詰まったような声で判決・主文が発せられた。よほど自信がないのか、マイクを下に向けたままなので聞き取れない。
映画やテレビなどで見聞きするそれとは違い、証拠、意見書などの文書番号だけが述べられ、数秒後「したがって、却下」「棄却」などが聴こえてきた。
主文から1分もたったであろうか、3人の判事たちは法廷内の余韻も確認することなく素早く踵を返し、壇上から姿を消してしまった。何とも味気ない、不誠実極まりない判事たちにあきれてしまった。誰のための裁判所なのか。あまりの事態に一瞬、抗議の声も上がったが、それより怒りを通り越し無力感だけが法廷内に広がっていた。

4・4 控訴審総括集会へ

総括集会が予定されていたが、急きょ緊急抗議集会に切り替えられた。場所を近くの別会場にうつし、法廷を上回る参加者で開催された。心配していた「意気消沈」など全くなく、怒りに満ちた決起集会として位置づけられ、素晴らしい集会になった。
弁護団長の冠木弁護士から分析がのべられ、質問・発言が相次いだ。「裁判は敵のものだ」「裁判だけでたたかうつもりはない」「一審二審で広がった陣形でたたかおう」などが多くだされた。そして、たたかいはこれからだ。支持者をさらに広げ、最高裁でたたかおうと集会はしめくくられた。
きたる4月4日、新勤評反対訴訟団・控訴審総括集会の開催が提起された。私たちは全力でこの集会を成功させねばならない。大阪の橋下府政との対決、そして彼のいう新自由主義に基づく「競争教育」とのたたかいだ。「君が代・日の丸」の攻撃は、さらに強まってきている。門真三中裁判とともに、負けることのできないたたかいだ。総力で結集していただきたい。

解説 新勤評反対訴訟とは

大阪府下で04年度からはじまった教職員にたいする新たな勤務評定=「教職員評価・育成システム」と、06年度からはじまった評価結果を給与に反映させる制度とが、憲法と教育基本法に反するとして提訴した裁判。被告は、大阪府および各教育委員会。
原告は105人の教育労働者で、おもに、@「自己申告票」提出義務不存在の確認、A勤勉手当および昇給額を「自己申告票」不提出を考慮せずに決定せよ、との判決を求めている。
この制度では、「自己申告票」に基づく業績評価と、校長による能力評価を総合して、教職員を5段階(S、A、B、C、D)にランク付けする。「自己申告票」不提出は、1年目はC相当、2年目以降はD相当になる。Dランクは、一生昇給なしとなる。
校長が定める教育目標の達成にむけて、各人の教育目標を自己申告させる教育破壊制度だ。


4面

年度内の運転再開ねらう
核武装にふみだす鳩山 もんじゅ

1月31日、日本原子力研究開発機構は、「もんじゅの起動前点検がすべて終了した」と発表した。
2月10日、国の総合資源エネルギー調査会の審議会がひらかれ、経産省原子力安全・保安院は、「事故後の改善策は適切で、設備の健全性も確認できた」という評価書を提出、運転再開を認めた。
2月16日、内閣府原子力安全委員会の作業部会は、経産省原子力安全・保安院の安全評価を妥当と判断、19日には正式な評価をまとめた。22日に開かれた内閣府原子力安全委員会の本委員会は、保安院の評価を妥当とした。
今後、保安院は耐震安全性の最終評価をまとめ、地元自治体(福井県と敦賀市)の同意をえて、年度内にも「もんじゅ」の運転を再開し、3年間の試運転(性能試験)を強行しようとねらっている。

「もんじゅ」と対峙する白木海岸でひらかれた反対集会(昨年12月5日 福井県敦賀市内)

核武装へ「高度な判断」

高速増殖炉「もんじゅ」には、いくつもの問題がある。
冷却剤に使用しているナトリウムは水や酸素に反応して激しく燃える性質がある。「もんじゅ」の近くに活断層が走っている。猛毒のプルトニウムを大量に生み出すなど。原発の中でも最も危険な原発である。
とくに「もんじゅ」を運転することによって、原爆の原料として、高純度のプルトニウムを生み出すことは重大な問題だ。
昨年の事業仕分けでは、「もんじゅは本当に必要なのか」「うまく動くかどうか判らない」など、早期運転再開への疑問がだされたが、「高度な判断が必要」として運転再開を認めた。
年間230億円もつぎこみ、核武装の道をつきすすむというのだ。

自衛隊強化と連動

「もんじゅ」運転再開は、自衛隊の強化と連動している。
北沢防衛大臣は武器輸出3原則の見直しを主張。岡田外務大臣はPKO参加5原則の見直しを主張、「紛争地域」への武力介入の道を探っている。米軍普天間基地問題では、「抑止力の維持」から問題をたて、沖縄県民の意志を踏みにじっている。
侵略と改憲につきすすんでいた麻生政権と、どこがちがうのか。
自公政権下で、日本帝国主義は、インド洋、イラク、ソマリア沖への派兵を強行してきたが、民主党政権は、ハイチへの派兵をおこなうとともに、2月18日、「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の初会合を開催、新「防衛計画大綱」の策定を開始、年内にも決定し、さらなる侵略拡大をねらっている。
それにくわえ、「もんじゅ」運転再開によって、プルトニウム原爆を手にいれようとしている。
民主党政権による侵略派兵と核武装をゆるしてはならない。「もんじゅ」の運転再開をやめさせよう。(竹内二郎)

地に足のついた国際連帯
ペシャワール会・福元さんが講演

映像をつかった福元さんの話に聞きいる参加者
(1月31日 大阪市内)

戦争と平和を考える集い実行委員会の主催する「アフガニスタンの今を考える集い」が百人以上の参加をえて成功した。(1月31日 大阪市立中央会館)
ペシャワール会事務局長の福元満治さんが講演「アフガニスタンに命の水を―ペシャワール会からの報告」をおこなった。

無欲と他人を思う気持ち

最初にDVD「アフガンに命の水を―ペシャワール会26年目の闘い」が上映さた。ペシャワール会の中村医師を中心に医療活動、井戸の掘削、アフガニスタン国内難民への緊急食糧配布、農村復興事業として24qにおよぶ灌漑用水路建設事業など、現地の人びとと力をあわせて活動をしている姿を生き生きと映しだしていた。
福元さんからは、スライドをつかったアフガニスタンの歴史、ソ連軍の侵攻、01年9・11以降のアメリカ軍の侵略戦争、そのもとでの医療活動、復興事業をおこなってきたと報告された。
ペシャワール会の活動が26年もの長期にわたって成功裏に活動してこれたのは、アフガニスタンの文化や宗教を時間をかけて理解して、現地の人が何を必要としているかを大切にかんがえ、無欲と他人のことをおもう気持ちでいっしょに活動したことだと報告された。

会場から多額のカンパ

医療活動では「人の行かないところに行く」といって、富士山より高い4千mの高地に診療所を開いて医療活動をしている。
灌漑用水路建設では02年から始めて09年に24qの灌漑用水路を完成させた。これにより、3千haの田畑を復活させ、2百haの砂漠を農地にかえた。ここに、6百人の子どもが学べる施設としてマドラサ(寺子屋式教育機関)を建設し、ここを中心にした町づくりをすすめている。
支援にいった若者は60数人をこえ、志高くいった人より、他人のことを思う人の方が長つづきすると話された。08年8月、伊藤和也さんが殺された事件以後、支援の若者は撤退を余儀なくされた。現在、中村医師が現地にのこり、陣頭指揮をとっている。
ペシャワール会の活動資金は、すべて寄付金でまかなわれている。福岡の事務局体制も無償ボランティアでおこなわれている。このうったえに会場から多額のカンパがよせられた。

アフガン侵略おわらせるために

インド洋上での海上自衛隊による米軍支援活動に代わり、新たなアフガニスタン侵略戦争への関与として、日本政府は昨年11月、今後5年間で最大約50億ドル(約4500億円)を拠出すると発表した。許してはならない。
地に足のついた国際連帯のこの一筋の水路を見守りながら、アフガニスタン侵略戦争をおわらせるために何をしていかなければならないのかを考え、たたかい続けていこうとおもう。(集い実行委員・A)

開港から4年 問題だらけの神戸空港

神戸空港開港から4年、「廃港を求める集い」が2月14日、神戸空港の中止を求める市民の会の主催で開かれ、約百人があつまった。

「神戸空港を廃港へ、市長は責任をとれ」と訴え繁華街をデモ行進(2月14日 神戸市・三宮)

破綻的な事態

神戸空港は、「空港建設は復興の希望」(95年、震災直後の市長発言)と、阪神大震災被災者を見殺しにしてつくられた。35万人もの住民投票請求を否決し、需要見通しがないなか強行し莫大な負債を抱え、埋め立てによる大阪湾の環境破壊を引きおこすなどさまざまの問題が凝縮している。
「神戸空港は成田・関西空港、日航の破綻とともに、航空政策のゆきづまりの象徴。決戦をむかえた3・28三里塚全国集会へ結集を」と、三里塚空港反対同盟からメッセージがよせられた。
空港経営の破綻的事態は、「4年間、需要は大幅に予測を下まわり、埋めたてた空港島の土地売却はわずか3%、46億円。償還がはじまる債務は2014年までに1982億円にのぼる。失敗を率直にみとめ、市民の判断にゆだねるべき」(粟原富夫・市議)との報告にもあきらかだ。

安保を見直すチャンス

ピース・デポ代表の湯浅一郎さんが以下のような講演をおこなった。
韓国併合百年、朝鮮戦争60年、そして安保改定50年という年を、民主党政権への評価は様々あるだろうが、政権を交代させてむかえた。戦後史をふり返り、新たなスタートを考える上で画期的な年になる。日米安保を見直すチャンスだ。
本来は自衛隊と日米安保が問われるべきだったが、自民党政権はこれらを明らかにせず、自衛隊の海外派兵などの既成事実を重ねてきた。
一方、民衆は9条の精神をもってさまざまな抵抗運動をしめしつづけてきた。神戸では1975年、入港する艦船に「核を積んでいない」という証明書提出をもとめる非核神戸方式という市議会決議があげられ、「核持ち込み」をとめてきた。以来、神戸港に米艦船は1隻も入港できていない。非核3原則を実質的に厳守させてきた。先駆的であるし、世界的にも価値がある。

神戸空港の廃港を

讃岐田訓・市民の会代表は「空港事業の財政破綻は明らか。大阪湾の海洋環境の破壊がすすむ。そして軍事利用の流れになる――ということを指摘して反対してきたが、そのとおりになっている。この3点をきびしく追及し、廃港・撤去させよう」とむすんだ。
集会後、神戸市内の繁華街をデモ行進した。(み)

5面

【翻訳資料】
韓国労働社会研究所機関誌『労働社会』09年6月号
民主労総の社会連帯運動 方向と課題(下)
キム・テヒョン(民主労総政策室長)/翻訳=中村猛

幅広い疎通を通じて全組織的に地域の中に

社会連帯運動は、ある執行部だけの特定の路線でない。それは宣言・綱領で確認できるように、労働運動と民主労総の本来の任務であり、役割である。今年だけやって終わる活動にならないように力強く展開して成果を出すためには、みんなが一緒に考えなければならない基本的な原則がある。このような原則をキチンと守らなければ、私たちが願う社会連帯運動を実現していくことはできない。具体的に見てみよう。
第1には、民主労総内部の意思疎通と合意である。社会連帯運動が執行部の特徴と任期による一時的な事業に終わらず、中・長期の課題として推進されるためには、民主労総と労働運動内部の認識の統一がなければならない。公の組織体系を形成しているナショナルセンターと各産別組織、地域本部、単位事業場までの自省と決意がなければならない。また各党派の意思疎通と合意もなくてはならない。
第2に、中心軸を正しく立てて、全組織的実践を担保しなければならない。社会連帯運動は上層や一部だけの活動に止まってはならない。現場までを貫いた全組織的な事業にならなければならない。しかし現場の組合員までが社会連帯運動に参加するようになるのは、長い時間のかかる問題である。その時まで社会連帯運動を遅らせることはできない。まず単位事業場までの幹部・活動家と、非正規の運動単位をその中心に立てなければならない。彼らが先に立って実践するようにしなければならない。社会連帯運動についての討論と学習、決意と実践がなければならない。分散している非正規の運動単位の求心力と凝集力を作らなければならない。加えて、「社会連帯運動本部」(仮称)を作り、民主労総だけでなく、農民、貧民、学生、知識人、進歩政党、労働団体、市民社会、ロウソク・ネット市民、文化芸術などを網羅した力量を、最大限に結集しなければならない。
第3に、非正規職活動に対する認識の転換である。社会連帯運動の核心として非正規活動を全体活動の中に溶かし込んで、全組織的に実践しなければならない。合わせて「非正規職撤廃」という中・長期的目標と、「差別解消」という当面の課題を総合的に結合することが要求される。更に、非正規職問題を解決するための様々な実験を尊重しなければならない。金属労組を中心にした1社1労組の実践、色々な一般労組の企業を越えた実践、貨物連帯と建設労組の実践などがある。そういう実験は非正規職が当面している条件と状況の違いから始まったのである。
第4に、共同体復元のための生活運動を展開することである。民主労総の闘いが、政治・政策的な闘いだけでなく、組合員と地域住民の暮らしに影響を及ぼす生活運動に集中しなければならない。
第5には、進歩政党、市民社会団体などの支持・援護と、世論形成などによる社会的雰囲気作りがある。

各組織は何をしなければならないか

社会連帯運動を実践するためには、ナショナルセンター、産別組織、地域組織、事業場組織に至るまで、一貫した原則の下に各自の役割を忠実に実践し、これを点検することが必要である。
まず、ナショナルセンターは、社会連帯運動の総括本部としての役割を受け持たなければならない。優先的に社会連帯の政治・政策的な段階の闘いを企画して推進する。更に進歩政党をはじめとする各界・各層と一緒に社会世論と雰囲気を喚起し、政府と国会を相手に闘う。このために、集会、文化祭、同時多発キャンペーン、ストライキ、運動本部結成、講演会、討論会、時局会議、組合員の教育宣伝など、様々な実践を企画し、執行する。加えて、未組織・非正規職活動を企画し、執行する。すべての産別と地域本部が責任を持って非正規職活動に進出できるように説得し、点検する。分散した非正規職運動の求心を形成する。また生活運動の実践対策と模範事例を研究し、地域と単位事業場に提供する。メディア対策と討論会、教育宣伝などによって社会の雰囲気を作り、現場に拡大する。
産別労組・連盟は、ナショナルセンターの段階で進められる政治・政策的な実践を一緒に進め、産別段階での実践を推進しなければならない。各産別組織の特性によって、全教組は市民と呼吸する教育運動で、保健医療労組は無償医療運動で、女性連盟は最低賃金の権利を実現する闘いで、といったやり方で「1産別1社会連帯運動」を力強く展開しなければならない。更に産別労組・連盟は、自分の領域にいる非正規職との連帯を基本方針に定めて、具体的な実行計画を用意し、実践する。特に未だに未組織・非正規職活動を準備したり推進していない産別連盟・労組は、必ず計画を樹立して担当部署を置かねばならない。単位事業場で非正規職活動を立案して推進できるように点検し、督励し、決議しなければならない。
地域組織は地方自治体を対象に、政治・政策的実践を行う。条例制定運動などの活動を進める。地域の非正規職運動単位の求心軸を立て、地域未組織・非正規職活動を進める。地域の労働者の権利確立の相談活動と組織化活動を具体化し、力を集中させられるようにする。一方、地域は現場組合員の要求と関心の対象であり、地域住民の利害と要求の対象でもある非正規職問題(正規職の組合員も、子供や親戚が非正規職や失業状態に置かれたり、そのような境遇に置かれ、体感の強さが変わっている)、職場と失業、生態、文化、交通、食べ物と消費、医療、教育、障碍者、低所得の疎外階層など、日常生活でぶつかっている生活運動を考え、推進するようにする。このような実践を通して、解体されていこうとしている地域共同体を復元しなければならない。例えば組合員と非正規職と低所得の子供たちのために、地域別の放課後の対案学校、地域子供キャンプ、生活協同組合、住民議員を出す運動、共済会、緑の村運動、文化の村運動など、地域単位別に、少なくとも5年の計画を立てて一つの活動を特化することである。
各単位現場は、社会連帯運動に対する幹部と活動家の討論と学習、教育、決議が優先されなければならない。幹部と活動家だけがする実践に縮小されないように、組合員の中に実践の主体を作っていかなければならない。このためには社会連帯運動の担当部署や担当者を置き、組合費を配分する対策を積極的に推進する必要がある。単位事業場の非正規職問題には、責任を持って連帯するという方針が立てられなければならない。地域運動に関心を持って参加できるようにする。組合員に対する教育、宣伝、地域運動の広報を強化し、組合員が地域団体の会員として加入し、活動できるように案内し、支援する。産別と地域本部の社会連帯運動を受けて共にし、単位労組段階の特化された活動を一つ決めて実践する必要もある。

社会連帯運動民主労総のまた力強い足取り

民主労総はすでに以前の中央執行委員会で社会連帯運動に対する討論草案を準備し、6月末までにこれを各組織別討論にかけることを決めている。各組織別の討論と、これを経た後の各級組織の意見、外部専門家の討論会、ワークショップなどを経て、確定した社会連帯運動の姿と方向が確立されるだろう。7〜8月には、このような確定した草案を基に、現場討論、産別と地域巡回懇談会(討論会)などを経て、草案の修正と補完の過程を経て、中央執行委員会、中央委員会などを通して、決議が成立する予定である。また各級組織は各産別、地域本部、単位事業場の社会連帯運動の内容と実践対策を作り出す。これを土台に社会連帯運動の姿と内容は豊かに発展し、進化して行くだろう。9月頃には代議員大会で社会連帯運動を確定し、10月からは政党、市民社会団体、戦線運動、部門運動など、領域別の主体との共同の要求と方向を土台に社会連帯憲章草案を作り、11月には進歩政党、市民社会団体などと一緒にする全国労働者大会を経て、全国的な社会連帯運動本部を結成する計画である。
以上の内容と計画は、今は第一歩に過ぎない。民主労総が本当に部門運動でなく、労働者階級全体を代弁し、社会運動の核心としての位置を確立することは、一回の宣言や計画で成されるものではない。以後の実践の過程で多くの困難を経験し、内部の論争があったとしても、確実な実践を行い、既存の古い慣行を革新し、新たに出発する道だけが正しい社会連帯を実現する道である。

119周年世界メーデー記念大会。3万人の前でイム・ソンギュ民主労総委員長(当時)が「社会連帯宣言文」を発表(09年5月1日 ソウル市内)

6面

本の紹介 『「格差」の戦後史』 橋本健二著
階級と格差 データで実証

本書は、朝日新聞12月20日付の書評で紹介されているので、読まれた方、興味をもたれた方も多いかとおもう。昨今、流行の観を呈している「格差本」の中でも出色の内容である。
本書の特色は大きく3点ある。@戦後50年というスパンの中で格差問題をとらえたこと、A「階級」の観点からとらえたこと、Bそしてそれらを一般書としてはきわめて豊富なデータにもとづいて客観的に分析していることである。

戦後の階級構造

著者は、「戦後50年間格差は拡大したり縮小したりしながらも常に存在した」と主張している。
読売新聞11月9日付書評はこの点について、「本書は『格差拡大による中流社会の崩壊は、〈小泉改革〉が原因である』、との主張を完全な誤りと退け」ていると評している。しかし著者は、読売新聞がよろこびそうな意味で、つまり「小泉改革」を擁護する立場でこうのべているわけではない。
「今日の格差拡大や貧困の増大を問題視するあまり、最近までの日本にはさほどの格差がなく、問題もなかったかのように漠然と考える傾向」を排しているのであり、「格差の背後には相対的にはゆっくりとしか変化しない階級構造があり、その現象面として格差の変化があった」ということを実証しているのである。
格差の中でもとくに重要な機会の平等について、著者は「この50年間、たとえ部分的にでも、機会の平等が実現されたことなど一度もないのである」と述べている。「小泉構造改革」や新自由主義を批判するあまりに、無意識のうちにそれ以前の日本社会を無罪化するような論調になる過ちをさけるため、この言葉は心にきざんでおかなければならないだろう。

現代の階級理論

階級について本書では、資本家階級・労働者階級に新中間階級・旧中間階級を加える4階級図式が、「現代の階級理論の最大公約数的見解である」として用いられている。
これについては再建協議会の人たちにはおそらく異論があるとおもう。しかし本書では階級カテゴリーについて、データを引きながら詳細で説得力のある論がなされている。
あくまで階級は資本家階級と労働者階級のふたつであると主張するのであれば、マルクスがそういったからという理由ではなく、現代のデータを用いて2階級図式が妥当であることを、4階級図式の論証より精緻に論証しなければならないだろう。2010年代において階級をどう認識するのか、マルクスの時代と同じでいいのか悪いのか、それをイデオロギーから演繹的に述べるのではなく、客観的事実から帰納的に実証することが必要である。
しかし4階級図式を用いながらも著者は、単純な「一億総中流」論も鋭く批判している。「このことが人々を格差に対して鈍感にし、その結果、格差拡大は取り返しがつかないほど深刻化するまで、放置され続け」たと。
著者は言う。「階級は存在するのかしないのか。存在するとした場合、どのような種類の階級が相互にどのような関係にあると考えるべきなのか。この問題は、社会構造を把握するという社会科学的な問題であると同時に、政治的立場を鋭く問うものでもある」。こうした視点をもって格差問題を分析している点が、本書を類書とくらべてきわだたせている大きな特色であるといえるだろう。
前記、読売の書評にこうある。「本書の結論は期待と不安を抱かせる。格差は政策によって縮小する。これが期待である。他方で階級構造が変動しない限り、格差は解消しない。これが不安である」。しかし階級構造を変動させることが可能であれば、政策だけでは解消できない格差も解消できるのである。(投稿・松浦 霰)

◎『「格差」の戦後史』
  橋本健二著 09年10月刊 河出ブックス

辺野古への基地建設断念 普天間基地の無条件返還
緊急署名をひろげよう
第1次集約10日 第2次集約31日

鳩山政権が「キャンプシュワブ陸上案」をアメリカ側に提示しようとしていると報道されているが(2月26日)、絶対に認められない。
「沖縄の民意に応えてください 辺野古への基地建設断念と普天間基地の無条件返還を求める 緊急署名」が、辺野古への基地建設を許さない実行委員会からよびかけられている。署名用紙は、辺野古への基地建設を許さない実行委員会のウェブサイト(URL下記)から印刷できる。第1次集約 は今月10日(水)、第2次集約は今月31日(水)。詳細を辺野古実ウェブサイトから転載する。

          ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

【呼びかけ】
1月24日に投票が行われました名護市長選挙は、辺野古への新基地建設反対を掲げた稲嶺進氏が当選しました。今回の選挙は、97年の名護市民投票で基地建設反対が過半数を占めたのに続いて、98年から日本政府による基地受け入れとリンクした経済振興策の下で12年間続いた基地受け入れの市長を打ち破り、民意のねじれ状態も解消した歴史的な勝利です。今回の選挙で辺野古への新基地建設に反対する名護市民の明確な民意が示されました。
しかし、この選挙結果について、鳩山首相は「民意の一つとして受け止める」と軽視しました。また平野官房長官は「選挙結果を斟酌する理由はない」との暴言をはきました。これらの発言に対して県民から怒りの声が沸きあがっています。政府は、辺野古も選択肢に含めて、普天間基地の移設先を5月までに決めるとしています。
政府の協議が進む3月から4月にかけてが最大の正念場になります。今こそ、政府に対して、今回の選挙で示された名護市民の明確な意思に応え、辺野古への新基地建設の断念を迫っていく大きな声をあげる時です。名護・沖縄の闘いにしっかりと呼応して、全国各地でも新基地建設反対の大きな世論を作り上げていくために、ぜひともご協力をよろしくお願いします。

【要請事項】
(要請先)鳩山由紀夫 内閣総理大臣
1.今こそ、沖縄の民意を最優先してください。
2.名護市辺野古への「移設計画」を断念してください。
3.普天間基地の無条件返還を実現してください。

【送り先】
〈郵送〉
  〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-13-502
  沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック気付
   辺野古への基地建設を許さない実行委員会
〈FAX〉
  03-5275-5989
〈メール〉
  henoko.jitu.2004@gmail.com
  henoko.no-hutenma.out@mbn.nifty.com(署名専用)

【締め切り】
 第1次集約 2010年3月10日(水)
 第2次集約 2010年3月31日(水)
※状況によっては、第1次集約後に1回目の提出をしますので、できるだけ第1次集約に間に合うように集めてください。

辺野古への基地建設を許さない実行委員会
 http://www.jca.apc.org/HHK/NoNewBases/NNBJ.html
 電話 090-3910-4140(一坪)
 Fax 03-5275-5989(市民のひろば)

6千人が基地撤去・新基地ノー(1月30日 都内)

シネマ案内 南京映画祭

とき   3月21日(日) 13:15開演
ところ  エルおおさか南館5Fホール
      〔大阪市中央区(京阪・地下鉄谷町線 天満橋駅より西へ300m)〕
      06-6942-0001
共通参加券  1作品 800円
入れ替え制(トークは参加券があれば可)
〔以下、主催者のチラシから〕

          ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

◇13:20 『南京 NANKING』
当時、南京に残留し国際安全区を組織して中国民衆をまもろうとした欧米人たちがいた。彼/彼女らがのこした手紙や日記の朗読劇を中心に、保存されている映像資料・中国生存者と元日本兵の証言によって、過去を蘇らせる。
〔ビル・グッテンタグ監督/07年〕

◇15:05 『南京〜引き裂かれた記憶』
心の奥底に封印されていた被害/加害体験を、松岡環は10年にわたって丹念にたずね、あつめ、記録した。同じ場所・同じ時を経験しながら、「被害側」「加害側」にひきさかれた彼女/彼らの記憶。その裂け目から「南京」の真実がうかびあがる。
〔製作:松岡環・林伯耀・武田倫和/07年〕

◇16:40 スペシャル・トーク「南京を撮る思いと意義」
2008年ベルリン国際に登場するや、大きな話題をよんだ日中合作ドキュメンタリー『靖国YASUKUNI』の李纓(リ・イン)監督をゲストにむかえ、『引き裂かれた記憶』の取材・企画・製作の松岡環と武田倫和が「南京」を撮る意義と作品にこめた思いをかたりあう。

◇17:35 『映像が語る真実 中国からの証言・南京1937』vol.4〜5
全5巻のドキュメンタリーから4巻「衝撃・十六枚の写真」と5巻「検証と平和への祈り」を上映。南京軍事裁判で証拠となった16枚の写真。証言。南京大虐殺記念館。靖国参拝問題にたいする中国の対応。犠牲者の死を心にきざみ平和をきずくための、中学生、生存者らがつどうキャンドルサービスなどを取材。
〔製作:中国中央電視台 江蘇電視台 日本語版編集:李纓〕

◇18:40 『アイリス・チャン〜THE RAPE OF NANKING』
博愛主義のジャーナリスト、アイリス・チャン。彼女が『THE RAPE OF NANKING』で追った南京大虐殺の真実と、伝説となった彼女の人生を、友人や仕事仲間のインタビューとともにドキュメンタリー仕立てでえがきだす。
〔ビル・スパヒック、アン・ピック監督/07年〕

主催:南京大虐殺60ヶ年大阪実行委員会
問合せ 090-9986-0972