三里塚 天神峰現地闘争本部の破壊ゆるさない
全国から2・25千葉地裁包囲へ
成田市・NAA 団結街道廃道を通告
2月3日、成田市と成田空港会社(NAA)は、三里塚反対同盟・市東孝雄さんにたいし、第三誘導路建設のため、団結街道(市道・十余三天神峰線)を3月議会で廃道にすると通告してきた。
団結街道は市東さんの自宅(下図A)と畑(下図B)をつなぐ道で、営農に不可欠だ。これを封鎖し廃道にするというのだ。成田市が示した「迂回路」は、市東さんが自分の畑に行くのに現在の3倍も時間がかかる。何という卑劣なやり方か。
NAAは市東さん宅を包囲する第3誘導路建設を計画。その工事のためと称して市東さん宅(A)と畑(B)を結ぶ団結街道を廃道にする(白い×××印)というのだ。廃道にされれば、市東さんは図の点線のように、大きく迂回して畑(B)に行かなければならない。 |
成田市を徹底追及
反対同盟は翌4日、成田市役所前で弾劾の宣伝をおこない、10日に成田市の小泉市長にたいする抗議・追及をおこなった。
成田市は、「小泉市長は不在」を理由に、片山敏宏副市長以下8人の幹部が応対。最初に北原鉱治事務局長が市のやり方を弾劾、つづいて市東さんが「団結街道の廃道化を徹底弾劾し、計画中止を要求する」という文書を読みあげた。
成田市側の、「誘導路の整備・改良にあたって、市道の整理が必要になり、3月の議会にはかる予定で検討している」という回答にたいして、反対同盟は、成田市とNAAが、2月3日、車に同乗し、同じ地図をもって、市東さん宅を訪問した事実を指摘。「議会を通ってもいないのに、決まったといわんばかりではないか」と怒りを込めて弾劾した。
反対同盟は成田市にたいして「2月17日までに文書で回答せよ」と通告した。
現闘本部前に機動隊が常駐
2月25日の天神峰現闘本部裁判をまえに現地攻防は日々、緊迫の度を増している。
反対同盟は、千葉地裁・仲戸川裁判長の反動判決強行をゆるさないため、2・25千葉地裁包囲闘争への全力結集を呼びかけている。
1月21日から22日にかけて、天神峰現闘本部の周辺の竹やぶが、ユンボ2台ですべて撤去された。現闘本部をとりかこむフェンスには投光器を設置。隣接する市東さんの畑を監視するカメラが新たにとりつけられた。現在、現闘本部前には機動隊が常時警備し、強制撤去にむけて構えている。
左:機動隊を弾劾する市東さん 右:現闘本部前に機動隊が常駐(いずれも5日 反対同盟ブログより) |
2〜5月決戦を宣言
反対同盟は、「仮執行も含め、すぐにも現闘本部ぶち壊しをやる判決を予想して、われわれは闘争態勢をつくりあげていく。2月から5月が非常に大きなたたかいとなる。敵は今年前半に三里塚問題に決着をつけたいのだろうが、それをわれわれは打ち砕いていく」(萩原事務局次長 1月17日 関実旗開き)と、2〜5月決戦への突入を宣言した。
反対同盟は、農地を死守してたたかう限り、成田空港を廃港に追いこむことができると確信している。NAAが市東さんの農地明け渡しを求めて起こした3つの裁判(耕作権裁判、農地法裁判、行政訴訟)も、NAAの思惑とは逆に、反対同盟がNAAを徹底追及する場になっている。
反対同盟の檄に応え、万難を排して2・25千葉地裁闘争に決起しよう。国家権力による現闘本部強制撤去を阻止しよう。第三誘導路建設のための団結街道封鎖・廃道を許すな。市東さんがたたかう3つの裁判闘争に勝利し、農地強奪を阻止しよう。
6千人が基地撤去! 新基地NO!
1月30日、東京日比谷公園の野外音楽堂で「普天間基地はいらない、辺野古・新基地建設を許さない 全国集会」(1・30全国集会実行委員会主催)がひらかれた。会場は、6千の人で身動きできないほどだった。沖縄からも100人を超える上京団が参加し、演壇を埋めた。
2時から始まった集会は、主催者あいさつ、国会情勢報告(社民党、民主党)につづき、沖縄から3人の代表が発言。
まず、沖縄平和運動センター事務局長の山城博治さん、次にヘリ基地反対協共同代表の安次富浩さん、さらに「ヘリパッドいらない」住民の会共同代表の伊佐真次さん。
連帯のアピールは、神田公司さん(合志市会議員)、井原勝介さん(前岩国市長)から。集会決議を採択し、シュプレヒコールをあげて、銀座デモに出発した。
長いデモが延々とつづく。土曜日で混雑する銀座、有楽町。デモは沿道の注目を浴びつつ「沖縄米軍基地撤去」を訴えながら、東京駅の北側にある常盤橋公園までおこなわれた。
沖縄上京団。発言は安次富さん(1月30日 東京・日比谷野音) |
沖縄と連動し 社会かえる運動を
安次富浩さん(ヘリ基地反対協・共同代表)の発言から
今日の集会を大成功させ、各地域にもどって、本当に日本の現状を変えていこう。アメリカの軍隊をいつまでも日本に駐留させる今の社会を変えていく運動を、ぜひ沖縄のたたかいと連動してつくっていただきたい。
私たちは名護市長選挙に勝った。これ以上の民意はない。これにたいして平野官房長官は、私たちの怒りに水をかけるような発言をした。はっきりいってふざけるなと。
この1年のたたかいで絶対に決着をつけたい。 私たちの望みは、基地を県外につくることではない。アメリカに持って帰れ。元々アメリカの基地だ。アメリカが引きとらなければ太平洋の藻くずに消えればいい。他のところへ持っていく必要はない。こういうたたかいを全国津々浦々で、沖縄のたたかいと共同でつくりあげよう。
2面
10春闘へ旗開き
正規・非正規がともに生きる春闘
関西合同労組
1月24日、兵庫県尼崎市内で、関西合同労組の旗開き&春闘討論会が約40人の参加で開催された。
集会準備にも活気
開会前の会場では、新たに組合通告予定の分会、職場の非正規雇用労働者の待遇改善にとり組み組合員を拡大している分会、争議当該などがあつまり、執行委員を中心に集会を準備していた。常に闘争現場に掲げられている横断幕や分会旗が張られた。10春闘にかける思いがあふれていた。
司会は、非正規雇用の女性組合員と争議当該。
冒頭、石田委員長から「解雇や退職勧奨相談が次々もちこまれている。労働組合の出番だ。正規と非正規の団結で賃下げ攻撃をうちやぶり、賃上げを。各争議に勝利しよう。派遣法とのたたかい、沖縄の普天間基地撤去・辺野古新基地阻止へたたかおう」と、10春闘の基本方針が示された。
被災地雇用と生活要求者組合の長谷川さん、新空港反対東灘区住民の会、高槻医療福祉労組から連帯のあいさつが行なわれた。
非正規雇用の春闘方針を討議
蒲牟田書記長が春闘方針・スローガン案、分会方針案を提案、追加議論のもと承認された。
まず、情勢として、世界恐慌突入と新自由主義政策破綻、その軌道修正過程での国家間の争闘戦激化が、ジョブレス・リカバリー(雇用なき景気回復)の状態をつくりだしており、労働者の雇用と生活を危機に追い込んでいる。また、昨年の政権交代は、労働者人民の要求と反乱の結果だが、要求は未だ実現されず激しい攻防の中にあることが明らかにされた。
次に、当面の階級攻防のカギをなす派遣法問題について、12月18日、労政審で示された公益委員案を詳しく批判、@専門26業務、A常用雇用、B派遣先責任、C施行日問題(5年後)など、抜本改正攻防をたたかいながら、「労働者保護」実現をたたかいとる――法目的を変える――方向が示された。
労働者をとりまく状況では、失業者の最悪の状態、労働者の賃金が減りつづけ、年収200万円以下=1068万人、300万円以下=1820万人。97年比較で270万人増。4人に1人が貧困状態。1700万人の非正規雇用労働者は、正規雇用労働者の半分以下の賃金になり、さらに正規雇用労働者の労働条件の低下が進み、労働者の団結が壊されている現実が指摘された。
方針提起では、スローガンの提起、9分会の春闘要求、4争議分会の方針・要求作り、2・15〜16の春闘行動など、4月までの行動が提起され、統一要求書作りが確認された。
討議では、非正規雇用労働者問題をサブスローガンにする、ストライキ方針を明確にする、沖縄闘争へのとり組み強化するなどの意見が出され、修正が確認された。
各分会からの報告では、賃下げ攻撃とのたたかい、非正規雇用労働者の待遇改善、組織拡大の決意が表明された。
近江絹糸の闘いの映像
1954年、近江絹糸の女性労働者は、「格子なき牢獄」といわれた奴隷労働に終止符をうつべく、106日間の工場占拠・無期限ストにたち上がり勝利した。女性たちに呼応したたたかいは地域で一万人をこえ、産別をこえた全国の労働者の統一をつくり出した。当時、このたたかいは未組織労働者に大きな刺激を与え、資本をゆるがした。
上映された映像は、そのことを生き生きと映し出していた。労働者の統一の力強さは、参加した組合員に感動をあたえ、10春闘の糧となった。
近江絹糸の女性たちの闘い。記録映像に感動 (1月24日 尼崎市内) |
大和田さんの血のにじむ体験
第二部として、全国金属機械港合同・田中機械支部の大和田委員長を囲んで座談会がおこなわれた。血のにじむ体験にもとづく話に、初めて参加した組合員は感激した。
15歳で勤労動員以来の労働者・労働運動人生からはじまり、阪神大震災被災地への連帯、企業をこえた港合同運動の形成と職場闘争、職場支配権と地域闘争、その核をなす団結権論、本工主義脱皮と非正規雇用労働者の組織化、国鉄闘争へのかかわり、労働運動の現状への課題と、多岐にわたる豊かな内容。今もたたかいの現場に立つ大和田さんと港合同の歴史が詰まったものだった。
団結権と使用者概念拡大
大和田さんの話は、同盟傘下で、62人の臨時工全員を本工化、男女差別賃金をなくした先進的たたかい――これを運動の本質としてたたかいぬいた――ということからはじまった。
さまざまな雇用形態は差別に根源がある。それにたいし、手当てするだけではなく、その根源に迫るたたかいを、組織労働者こそ担うべきだ。それが、団結権を武器にした不当労働行為とのたたかい、使用者概念拡大のたたかいだ。
こうした内容が、田中機械、港合同のたたかいの経験にもとづきながら豊かに語られた。団結権を、生存権としての団結から、自覚的な団結として示した。そして団結権がいま食い荒らされていることに警鐘を乱打した。団結権をもう一度見直し、法に頼ることなく、「知恵とケンカ」で労働者の道をひらくことだと訴えた。団結権は、労働者が生き、たたかい、未来社会を担う武器である。こうしたたたかいの成果を、連合の中、権力の中に侵蝕させていく構えが必要だ。このように叱咤激励した。
春闘へ力強いスタート
集会は、10春闘の課題を明確にし、労働運動の再生へ内容を豊かにした。力強いスタートがきられた。
関西合同労組の10春闘メインスローガンは、「なくせ貧困! やめろ賃下げ・首切り! 生活できる賃金よこせ! 10春闘勝利!」「非正規労働者への差別をやめろ!」だ。正規・非正規がともに生きる春闘だ。(労働通信員・K)
派遣切りに被災地の経験生きる
震災から15年
「仕事がない。15年たった被災地で働きたくても働けない。この現実をつくりだしている行政を激しく糾弾し、失業を生存権の問題として、派遣切りされた労働者と被災地の労働者が結びつくことで、新たな運動を展望しよう。これだけ仲間がいるのだから、『孤独死』などしないで、皆でたたかって生きていこう」。開会のあいさつで、被災地雇用と生活要求者組合の長谷川正夫さんは、こう力強くのべた。
開会あいさつ・被災地雇用と生活要求者組合の長谷川さん(1月17日 神戸市内) |
『震災から15年』上映
1月17日、「生きる権利・働く権利を求めつづけて」をかかげ、被災地反失業総行動集会が神戸市長田区で行われ、145人が参加した。
神戸市会議員の粟原富夫さん、全国金属機械港合同の中村吉政副委員長、部落解放同盟全国連合会の中田潔書記長から連帯のあいさつ。
映像『震災から15年』が上映された。映像は、長谷川さんらのインタビューをもとに構成されている。長谷川さんにとって震災の経験は決して消えない、命に刻まれたものだ。震災は人災であり、それにたいしてたたかう中で、人と人の絆をつくりだした被災地の団結を、長谷川さんは語った。
集会提起を、被災地雇用と生活要求者組合の蒲牟田宏事務次長がおこなった。派遣切りには失業対策事業が必要だ。そのことに被災地の経験がかならず生きる。在特会のように「生活が苦しいのは在日のせい」とする排外主義に陥ってはならない――と述べた。
年越し派遣村の教訓
記念講演では、元・年越し派遣村実行委員の安部誠さんが、年越し派遣村の教訓を語った。
08年12月31日に派遣村を開設したとき、凄惨な感じだった。皆が疲れていて、1月2日に厚労省の講堂にうつることになって、ようやく落ち着きをとりもどした。
自分が体験した95年の阪神大震災のときも、1週間ぐらいたって、とくに親しい間でもない人びとが、声をかけあい励ましあっていたのを思いだした。
年越し派遣村はなぜ生まれたのか。それは、雇用破壊が頂点に達したから。08年暮、派遣切りにあった人たちが仕事を求めて、全国から東京へと集まってきた。しかし、仕事はない、家もない。その人たちの救援をすると同時に、雇用破壊のひどさがこういう人たちを生み出したということを、目に見えるかたちでつきつけなければならない。それで、厚労省前(日比谷)で派遣村を始めた。
今年の公設派遣村との違いは何か。日比谷の年越し派遣村では1人の村民にボランティアが3人いたが、今年は833人の村民にわずか20人の都職員、しかも企業に丸投げ。日比谷の派遣村が成功したのは、ホワイトカラーエグゼプションにたいして、労組の壁をこえたたたかいがあって、集まってみたらナショナルセンターをこえていた。そこに成功のポイントがあった。最後にこう述べて講演を締めくくった。
厳しいなかにも明るく
参加団体からの発言。
被災地の運動の拠点である被災地労働者企業組合からは、「失業対策事業の受け皿として、企業組合をつぶしてはならない」と決意表明。
しごと開発就労者組合を中心に行われている通所サービス事業の「ミニデイサービスつくし」からは、皆で力をあわせて頑張っていると報告。
神戸空港の中止を求める市民の会からは、神戸空港廃港を求める2・14集会への結集の訴え。
部落解放同盟全国連合会の芦原支部と番町支部準備会からは、住宅追い出し裁判への協力と、狭山差別裁判再審闘争での三者協議にむけた東京高裁・高検要請行動への参加や要請はがきへの協力が呼びかけられた。
他にパントマイムあり歌あり、厳しいなかにも明るくたたかっていこうという集会だった。(通信員・H)
3面
派遣法改正
資本の逆流を押し返せ 院内集会
1月27日11時半から参院議員会館第一会議室で、「政治主導で抜本改正を! 派遣法改正共同行動1・27院内集会」が、労働者派遣法の抜本改正をめざす共同行動の主催で行われ、155人が参加、会場は満杯になった。
菅野在・東京東部労組委員長の司会で、最初に、水口洋介・日本労働弁護団幹事長から労政審答申を批判する報告。次に、労働運動側からみた答申の問題点と題して関根秀一郎・派遣ユニオン書記長が答申を批判する詳細な報告を行った。最後に、井上久・全労連事務局次長がまとめと行動提起をおこなった。
3党協議の緊迫
3党協議に参加している社民党の近藤正道議員が、協議の実態をなまなましく報告。労政審の答申が大幅に後退したのは、「財界が、あの3党案ではまずいということで猛烈に巻き返しをしてきて」「それがいろんな形で影響を与えて」いるから。3党の間で、答申をベースにする考え方と、答申に縛られる必要はないという考え方が激しくぶつかっている。「どうやって折り合いをつけるか。そのせめぎ合いのど真ん中にいる。時間はもうそんなにない」。
社民党の福島瑞穂議員は、「みんなの力をバックにして3党の中できちんと議論したい」「議論の中身はオープンにし、どこまで獲得しどこまで獲得できなくて、どこでがんばっているのか、みんなで共有しながら、派遣法の抜本改正を実現したい」とのべた。
上程までの流れ
棗(なつめ)一郎弁護士は、法案上程までの流れについて、@2月10日頃までに3党で法案要綱を固め、Aそれを労政審に戻して答申を受け、Bその上で政府が法案作りに入り、C3月上旬に内閣が提案する閣法として国会上程する進行になると報告した。
現場からの激しい怒りの声
三菱ふそうの派遣労働者からは、「正社員と同じ仕事をしているのに正社員になれない」「自分たちの未来をつくるためには改正案は役に立たない」「くやしさをわかってほしい」と訴えた。
日産でデザインをしている女性の派遣労働者は、「6年余、3カ月契約を更新してきた。09年3月、契約満了で雇い止め解雇された。首になってから派遣法を勉強して自分がどれだけ危うい立場にあったのかということを初めて知った」「答申は現場で働いている者にとって、有期・短期の雇用がどれだけ不安定でどれだけ正社員よりも必死で働かなければいけない状況か、全く理解していない」「答申では事前面接まで解禁になっている。このままでは働く者に未来はない」と答申を弾劾した。
共同行動・大阪(準)の垣沼陽輔さんが、「80年代の労基法改革反対闘争のときは全国キャラバンをやれたが、派遣法抜本改正のたたかいはまだ全国に広がっていない。地域からたたかいを作り上げないと、簡単にとおり過ぎてしまう。東京の運動を全国に広げよう」と提起した。
日産から雇い止め解雇された女性が労政 審答申を弾劾(1月27日 参院議員会館) |
いまこそ正念場
派遣法をめぐって、資本との激しい攻防の渦中にある。
自公が資本の意をくんで提出した最悪の(平成)20年法案(08年11月4日上程)は、自公が多数をとれない参議院で廃案。他方、自公批判の大きな流れの中で、派遣労働者の譲れぬ要求をいれた3党案は、09年6月26日上程されるも、衆院解散で廃案。最悪の20年法案を廃案にした運動の力で、少なくとも一歩前進となる3党案をかちとる寸前まできた。それが、資本の激しい巻き返しに直面しているのだ。
事態は、きわめて流動的だ。参院選前に改正案を成立させるためには、3月上旬には上程する必要がある。
いかにたたかうか。
派遣労働者の譲れぬ要求をどれだけ法案に反映させられるかは、今からのたたかいにかかっている。資本の逆流をおし返し、3党案をこえる抜本改正をかちとっていく以外にない。労働者の激しい怒りをひとつにし、力関係を変えていくたたかいを全国でまきおこしていこう。派遣法抜本改正のたたかいをここまで押し上げてきたのは、現場の力であることに確信をもとう。
まもなく共同行動・大阪が誕生する。東京と大阪のよびかけで全国に共同行動をつくるよびかけを発しよう。派遣労働というあり方そのものをなくすために団結してたたかおう。(通信員・Y)
民主党の新たな教員免許制度に反対
都教委包囲ネット集会
壇上は学校現場からの報告をする4人の教育労働者(6日 都内) |
6日夜、都内で、「改悪教育基本法路線と対決し、『日の丸・君が代』の強制を許さない2・6総決起集会」がひらかれた。会場の中野ゼロ小ホールに220人が集まった。
司会あいさつの後、まず学校現場からの報告。小学校、特別支援学校、都立高校の現場の実態が4人から語られた。過労死させられた若い教員のこと、精神疾患の多発、データ管理と称して、覚えにくい意味のない記号の羅列(パスワード)を強制的に暗記させられたことなど、教育現場の異常さが怒りをこめて訴えられた。
民主党の危険な教育政策
講演は、フリージャーナリストの斎藤貴男さんが「民主党政権の教育政策と石原・都教委の教育行政を批判する」と題しておこなった。
斎藤さんは、「民主党は、小泉竹中路線と決別するとはひとことも言っていない」と指摘。消費税増税、安保防衛政策、改憲などの危うい動き。教育政策でも民主党版「日本国教育基本法」や新教員免許制度をかかげ、かつての三浦朱門が主張した「ゆとり教育」という名の「差別と選別の教育」「金持ちのためのエリート教育」と同じだと指弾した。
後半では、都政をとりあげた。石原都政は、そもそも小泉がやった悪政の露払いであったこと。自身も東京都内で教育を受けてきた者だとしたうえで、石原と都教委による教育破壊を具体例をあげながらきびしく批判した。03年の都教委「10・23通達」以降、東京での教育は最悪の状態になっている。現場でたたかう教職員の力が、大きな役割をはたしていると激励し、卒業式・入学式での抵抗をよびかけた。
被処分者が次々発言
講演の後、裁判闘争原告からの報告が、板橋高校弾圧事件の藤田勝久さんなど3人からあった。
つづいて、「君が代」不起立をつづける被処分者からの発言として、近藤順一さん、根津さん、河原井さんが決意と思いを語った。
最後に、全国からの参加者の発言として4人が登壇。まず、杉並区和田中の違法「夜スペ」裁判。次に、日教組全国教研(1月、山形)での千葉高教組「『日の丸・君が代』問題教育の実践」レポート却下問題。大阪からは門真三中「君が代」処分をただす会。福岡からは「君が代」不起立宣言のたたかいが報告された。
集会決議を採択し、集会アピール「民主党による新たな教員免許法に反対する」が読み上げられ、閉会あいさつで集会を終えた。
現場の闘いではね返す
大阪・門真三中「君が代」処分
7日、大阪・門真市ルミエールホールで「―門真三中『君が代』処分を考える― 戦争は昔? それとも今? 2・7集会」が90人の参加で開催された。
主催者あいさつは、前門真市議の戸田ひさよし共同代表。「今日の集会にたいして右翼が『反日左翼を許すな』と叫んで10数台街宣車で会場周辺を徘徊している。『日の丸・君が代』の背景にあるのはこうした右翼の暴力、国家権力の圧力。これが『日の丸・君が代』強制の背景、天皇制教育の実体。不当な処分にたいして現場のたたかいを通して変えていく。教育行政にたいしても『強制をするな』『処分を撤回しろ』とたたかいを突きあげていく運動、それが川口さんの提訴であり、私たちの支援運動だ。たたかえば必ず道が開ける」とあいさつがあった。
つづいて集会名称にもある「戦争は昔? それとも今?」と題するお話を、紙芝居師「スーちゃん」が、戦争中の紙芝居などを上演しながら、参加者に訴えた。
被処分当該の川口さんが決意 を語る(7日 大阪・門真市内) |
「必ず勝利する」
裁判原告である川口さんが「1月21日第一回の裁判があり、冒頭陳述で思っていることを全て言うことができた。裁判をやることで、多くの人たちのたたかいの地平があって自分のたたかいもあると知った。必ず勝利する」と決意を語った。
関西各地からの現場の報告。前日、東京で行なわれた「都教委包囲・首都圏ネット総決起集会」の報告。弁護士からの報告。最後に守口市議の三浦たけお共同代表がまとめをおこなった。
集会妨害をねらって、右翼が会場玄関前に侵入をはかり、規制線のある交差点に突入してきた。そのために30分ぐらい騒然となり、一般通行車両も動けないという状況もあった。右翼の妨害をはねのけ「日の丸・君が代」強制反対、処分撤回をかちとろう。(通信員・N)
4面
【翻訳資料】
韓国労働社会研究所機関誌『労働社会』09年6月号
民主労総の社会連帯運動 方向と課題(上)
キム・テヒョン(民主労総政策室長)/翻訳=中村猛
韓国労働社会研究所機関誌『労働社会』09年6月号掲載の論文「民主労総の社会連帯運動 方向と課題」の翻訳を、今号と次号に分けて掲載する。訳者は日韓民主労働者連帯代表の中村猛さん。〔編集委員会〕
〔民主労総は09年5月1日、第119回メーデーを迎えて「社会連帯憲章制定運動」など社会連帯戦略を発表した。〕
イム・ソンギュ民主労総委員長は委員長補欠選挙の遊説で、「正規職組合員中心の運動から脱皮して、組織、未組織労働者、非正規職、正規職労働者と、社会的弱者、疎外された市民と疎通し、共にする社会連帯運動に基づいた労働運動を作り出し」、「民主労総が社会連帯労総として新たに生まれ変わる」と明らかにした。続いて、社会連帯戦略を出し、民主労総の組織体系を社会連帯戦略実現の体系に転換すると明らかにしたことによって、「社会連帯運動」が一つのテーマとして浮び上がった。
また、イム・ソンギュ委員長は5月1日の世界メーデー119周年大会の大会挨拶で、再び「社会連帯憲章制定運動」と「社会連帯運動本部の建設」を強く主張し、社会連帯戦略をより具体化した。このような過程を経て、「社会連帯」が民主労総の再生と、新たに進むべき方向として論争的に提起されるようになった。この文章では、このような社会連帯運動提起の背景、方向性、今後の課題について整理してみようと思う。
なぜ今、社会連帯なのか
メキシコのサパティスタの原住民女性が話すように「連帯というのは助けるのではなく、同じ根っ子の問題を一緒に解決する」ことである。更に、社会運動で社会連帯というのは、互いに違う集団や階級、階層が、共同の目標の下に活動を展開することを意味する。すなわち、社会連帯というのは、互いに違う境遇にある労働者、庶民が、共同の目標を持って、共同の実践を行う活動を展開し、その過程で共同の意識と経験を作り出すことである。
そういう意味で、労働者階級が社会連帯運動を強化し大きくするということは、すなわち労働者が共同の意識と経験を積んで、社会・政治的な主体として成長していく階級形成の過程をも意味する。労働運動が産別労組運動をすることによって、職種別労組の熟練工中心の狭い代表性から脱皮して、半熟練と非熟練の労働者も一緒にすることになったのも、労働者だけでなく農民と都市貧民などの社会運動と連帯して発展したのも、やはりこのような社会連帯の過程だった。また1987年以降の韓国労働運動の民主労組建設と闘いも、やはり社会的連帯の発展過程であった。
そしてこのような古くからの課題が、いま新しく話題として登場しているのは、社会的連帯自体が敬遠され壊されているためである。民主労働運動が、企業別の賃金、団体協約闘争に集中している間に新自由主義が全世界を覆い、労働の柔軟化を一般化した企業たちは、正規職と非正規職、元請けと下請け、大工場と中小企業、男性と女性、国内労働者と移住労働者を分断するなど、労働市場における違いを、差別としてより一層深めてきた。外換危機以後、派遣法の制定によって触発された労働市場の柔軟化が急速に進められ、公共部門は大幅に人員を縮小し、代替の人員を非正規職に換えた。大企業の事業場も不法派遣であることを知りながら、社内下請けと派遣労働者を増やした。
また中小零細企業の労働者の労働条件は、非正規職の拡大とともに、正規職であるのに非正規職にも及ばない条件の労働者を増加させ、底に転落した。中小零細企業は、事実上最低賃金の事業場として固定化されている。これと反対に、公共部門と大企業の正規職労働者は、労働組合の力で徐々に労働条件を改善してきた。公共部門が市場化され、企業と投機資本に対する規制は撤廃され、資本の腹はより一層太っており、労働者と一般国民の暮らしは一層疲弊させられている。
医療、教育、保育・看病などの福祉サービスや、住宅、老後など、国が制度化して責任を負わなければならない社会サービス全般が、徐々に市場主導の領域に変質させられた。社会福祉が貧富の格差を縮める役割を全く果たせていないのが、現在の韓国社会の姿である。鉄道、発電、ガス、水道などの公共基幹産業もやはり例外なく民営化され、普遍的なサービスが縮小されている。社会保険の給付は雀の涙ほどで、基礎生活保護などの社会扶助の領域もレベルが低いことこの上ない。社会保険と社会扶助もやはり非正規職、自営業者などに広範囲な死角地帯が存在するため、社会的保護が最も必要なこの者たちにとって、社会安全網としての役割をキチンと果たせていない。
GDP対比の我が国の公的社会福祉の支出水準は5・7%で、OECD加盟国の中で最下位である。これはOECDの平均値である20・7%の4分の1の水準で、1位のスウェーデンは我が国の5・5倍で、メキシコ(6・8%)を除けばOECDのすべての会員国の公的社会福祉支出の水準は我が国の3倍以上も高い。
最近のOECDの発表によると、韓国の家計構成の中の社会賃金は7・9%で、これはやはりOECD平均の31・9%の4分の1の水準に過ぎない。韓国の家計の可処分所得対比の社会福祉、税金と社会保険料などの分配の効果比率は3・6%に過ぎず、OECD平均の21・4%に比べて何と6倍もの違いがある。結果的にこれらによる不平等の減少効果は0・011で、やはりOECD平均の0・078に比べて、7倍もの違いが生じている。
民主労総が社会変革運動の中心性を回復する道
結局、生活の問題の解決を市場の賃金だけに依存する韓国の労働者は、リストラや失業、病気などに特に弱くならざるを得ず、ここでも死角地帯に置かれている非正規職や自営業者層は社会保障制度からも疎外され、生存自体が脅かされるほかない。租税政策によって金持ちから税金をもっと集め、制度を通じて基本的な暮らしを保障しなければならないのに、韓国政府は社会的弱者の権利、労働の権利には見向きもしないのである。したがって大多数の民衆の暮らしは疲弊するしかないという条件に置かれている。
労働運動は、組織された労働者の賃金と雇用を中心とする闘いだけでは、これ以上の正当性と道徳性を獲得できず、階級性と変革性を持つことができない状況になった。すなわち、一部で指摘されるように、韓国労働運動の中心である民主労総が、過去の光栄にも拘わらず「労働者、民衆の階級的な利益を貫徹する運動において、80万正規職の雇用条件を確保する運動」に、「政治的変化と社会変革を追求する運動において、実利主義的な経済闘争に集中する運動」に、「社会変革運動の中心的な位置で責任を持つ運動から部門運動」に、転落しているということが、今再び社会連帯運動が提起されている背景である。
一方、民主労総は1995年の創立以後、真の教育実現、公企業民営化反対、社会保障の強化、医療公共性の実現など、様々な領域で社会連帯運動を実践した。時には「社会改革闘争」として、また時には「世の中を変える闘争」という名目で準備し、実践した。また民主労総は非正規職の活動を決議し、実践した。未組織非正規特別委員会と担当部署を作り、組織化と活動家養成のための50億基金募金運動を行い、数回にわたってゼネストも闘った。しかし今、民主労総は社会連帯が不充分だったことを反省している。非正規職の活動と、社会との連帯を疎かにしたことを認めている。
その理由は第1に、民主労総の社会連帯運動が上層部と一部の実践に終わり、第2に、連帯の方法と内容を巡る党派的な論議と葛藤を乗り越えることができず、第3に、社会連帯運動が議論とスローガンだけに終わって、現場と生活の問題に連結せず、第4に、社会連帯運動を持続的に展開することができなかったためである。今民主労総が新しく社会連帯運動を展開しようとするときに、今までの誤りを徹底的に反省して新しく飛躍できなければ、再び笑いものになってしまうことになる。社会連帯運動を、民主労総が活動計画書の上での実践を越えて、全体的な実践の中で担保していかなければならない理由である。
社会連帯運動の姿と実践内容
民主労総が推進しようとする社会連帯運動は、大きく階級的団結と社会的連帯を結合した概念だということができる。
より具体的に見よう。まず第1に、職場では、非正規、女性、移住労働者の労働基本権を保障し、差別を解消しなければならない。すなわちすべての労働者に良質の職場を作り出すことによって、雇用平等、差別解消、長時間労働の撤廃と仕事を分かち合う、などを実践することを目標に、前進しなければならない。合わせて、未組織、非正規、女性、移住労働者を組織することで、労働者全体の代表性を獲得し、民主労総の革新を成し遂げなければならない。
第2としては、社会的連帯としてすべての国民の普遍的な福祉制度を全面的に実現する活動を本格化し、このために民衆・市民社会陣営との連帯活動を強化することを目標とする。このためには社会公共性を毀損する新自由主義の市場化政策を阻止し、社会福祉目的税の導入など国の財源拡充によって、医療、教育、保育、住居、老後など、国民の基本生活を保障するようにする。加えて、正規職中心の企業福祉の限界を乗り越え、福祉制度が非正規職を含むぜい弱階層の労働者にまで全面的に拡大できるよう、組織的、制度的な実践を展開する。
一方、社会的連帯のもう一つの軸は生活連帯を実現することである。すなわち、すべての国民の基本的な生活単位である地域社会の重要性を認識し、平等な共同体的な暮らしをを指向する地域内の社会連帯を実践しようとすることである。職場内の懸案を越えて、生態、交通、文化、食べ物など、日常生活と触れ合っている地域の議題への関心を高め、地域的なレベルでの実践と連帯を強化しなければならない。
労働組合員すべてが地域社会で、生態、文化、食べ物について考え、市民団体など様々な地域運動と結合して実践する美しい姿を考えてみよう。厳しい日帝下でウォンサン・ゼネストが可能だったのも、ウォンサン労連が協同組合などの様々な活動によって、地域内に根をおろしていたからである。スウェーデンやイタリアの労働運動が地域組織の建物を自分たちの労働で直接作り、「民衆の家」と名付けて色々な社会団体と労働者政党が一緒に集まって、公開講座と音楽会、生活協同組合などを作り出した過程を考えてみれば、私たちが作らなければならない地域活動の姿が描かれるに違いない。最近の進歩陣営の活動領域は、女性、環境など様々な分野に拡がっている。韓国の労働運動もこのような新しいものを学び、共に肩を組んで進まなければならない。資本主義的な消費文化でなく、分かちあって共にする文化、地域共同体を作る活動を活発に展開するならば、これこそが連帯の真の姿であろう。
〔以下、次号に続く〕
本紙に掲載した韓国労働運動の翻訳資料
第43号(09/10/20発行)
第44号(09/11/3発行)
第46号(09/12/1発行)
5面
2・11 共同行動(大阪)で
5・16普天間包囲をよびかけ
雨のなか難波まで180人が元気にデモ(11日 大阪市内) |
渡辺豪さん(沖縄タイムス記者)は昨年12月、『週刊金曜日』に寄せた小論で、「(普天間移設問題は)結論を急ぐな」と《反論》した。2月11日、渡辺さんをゲストに「沖縄・辺野古新基地建設阻止! 改憲のための国民投票法廃止! 2・11共同行動」が大阪で開かれた。
渡辺さんは関西出身、毎日新聞から「沖縄タイムス」に転じたという経歴をもち、沖縄では「ナイチャー(内地人)」という立場に、否応なくおかれる。その渡辺さんは、昨年末から名護市長選にかけ、とくに本土のメディアの報道ぶりに強い違和感を感じたという。「問題はどこにあり、どう解決させるのか」。渡辺さんの報告を要約する。
「日米危機」とさわぐメディアを鋭く批判――渡辺さん講演
「結論を急げ」ということは、「辺野古現行案でいけ。日米同盟でいこう」ということ。「日米関係の危機だ」とまでメディア自身がさわぎたてている背後に、誰がいるのか。もし国益、防衛、外交という立場から考えるとしても、民意ぬきに国益はなりたたない。
抑止力と地理的優位
問題の一つ。つねに言われる「抑止力が大事」「沖縄の地理的優位」。これは中味をブラックボックスにしてくり出す「伝家の宝刀」のようなもの。
海兵隊は最前線突撃部隊で、防衛部隊ではない。イラク戦争で普天間の海兵隊5千人がヘリ部隊とともにイラクへ派兵された。それで抑止力に空白が生じたとは聞かない。私たちが米軍に取材しても「しかるべき対応をしている」というだけ。つまり何の支障もなかった。
地理的優位性も、おかしな話。米軍が戦争を始めるときに、まっさきに行くのは海兵隊ではない。イラクやアフガニスタンに最初に出ていったのは空母やミサイル艦隊。空爆やミサイルで攻撃したのちに海兵隊や陸上部隊が行く。一刻を争って海兵隊が出るための沖縄の地理的優位性というのは、事実と違う。
つまりは米軍の世界戦略、そのための基地がいかに米軍にとって自由に、ふんだんに日本の予算をつかって使えるのか、それが日米安保同盟下における沖縄。ということではないか。
アメとムチの崩壊
沖縄では自民党政権のもとで続いてきたあきらめ感が、いま「期待」に変わってきている。
名護市長選で「基地と振興策」という、アメとムチのモデルが崩れた。10年間で700億円以上投入された北部振興策は、ほとんど効果なし。もうそれは、沖縄の人たちにとって見えている。
稲嶺さんも「中央とのパイプ」ということは言ったが、より言っていたのは生活の問題。ただし「基地とのリンク、セットではない」ということ。そこが島袋さんとの違いだった。もう、いいかげんにしてくれ、という声が沖縄の現状だ。
沖縄問題は日本問題
「5月末まで」は難しい問題。現行案はもちろん無理だろう。時間的にというよりも、中味の問題だ。海兵隊の訓練は数カ月に及ぶことが多いから、訓練の移転などを視野に入れれば「危険性の低い普天間」が考えられているのかも知れない。しかし、中味の問題は、そのような(表層的)ことにとどまらない。
アメリカは、お金、プラス有事の集団的自衛権行使というような課題を持ち出してくるだろう。一方で鳩山首相は、1月の安保改定50年の談話で「日米同盟を深化させる」と言っている。
沖縄の基地、普天間問題はそうであれば、より本土の問題、安保・日米同盟の問題、憲法9条の問題として迫ってくる。いま沖縄で起きていることは、時間差で本土、日本にやってくる。〔発言要旨 文責・編集委員会〕
沖縄は私たちの問題
集会は小川登さん(9条改憲阻止の会・関西)、梶原義行さん(百万人署名運動・兵庫)ら8人が呼びかけた実行委員会の主催で開かれた。あいにくの雨天だったが開会前にはほぼ満席、180人が集まった。
主催者から辺野古新基地反対をめぐる情勢が報告され、1・28大阪、1・30東京・日比谷など全国各地のたたかいを引き継ぎ、「5月へむけ、5・3に再び米軍基地撤去、改憲阻止の共同行動を。5・16普天間包囲1万人集会が提起されている。ねばり強く大衆的行動をつくっていこう」と提案された。
「辺野古に基地を絶対につくらせない行動を、2004年から毎週、287回つづけてきた」(大阪行動の青年)、「きょうの2本のスローガン、辺野古新基地建設阻止、改憲のための国民投票法廃止に、当面の全力を尽くそう」(9条改憲阻止の会・小川登さん)、「改憲阻止は、あらゆるたたかいを結集させる。今年も京都行動を準備している」(共同行動in京都・小林圭二さん)、「在特会による差別排外主義の攻撃に屈せずたたかう」(風をおこす女の会)ほかの発言があり、藤原好雄さん(憲法を生かす会・奈良)から「沖縄、日米安保は根本的転換のとき。沖縄は私たちの問題だ。あえて連帯ではなく、自分たちの、人民の課題としてたたかいぬこう」と、まとめがおこなわれた。
集会後、雨のなか、元気なコールで難波までデモ行進をした。(み)
検証 小沢と検察
ねらいは「8・30情勢」の転覆
検察は小沢の失脚をねらって動いた。現職国会議員(小沢の元秘書)を、政治資金収支報告書の不備を口実に、国会開会直前に逮捕する異様な事態をひきおこしている。検察のリークをメディアが使い、執拗に小沢攻撃の世論操作をおこなっている。
他方、小沢の腐敗した実態も露見した。小沢は、公共事業の談合システムを利用し、建設資本から巨額の裏金を徴収、その資金力をもって権力基盤を強化してきた。
この検察と小沢の問題をどう見るか。これをめぐって様々な意見がかわされている。検察の暴走とメディアの追随を批判する意見。逆に検察批判は小沢擁護だとして小沢批判に力点をおく意見。さらに極反動同士の権力抗争に過ぎないとする意見――などである。
政治に介入する検察
検察は法務省の一組織に過ぎないのに、独立した権力機関であるかのように振舞っている。戦前には天皇制支配の実体を担いながら、戦争責任を問われることなく、戦後に基本的あり方を引き継いでいる。
しかも新自由主義政策が戦後的な階級関係を破壊し矛盾を激化させている中で、検察はそういう危機に能動的に介入し、法秩序=階級支配を貫徹し、新自由主義国家を支える装置として、動きだしている。
この脈絡で、検察は、小沢の失脚をねらって動いた。この動きは検察の独走ではない。昨年8・30総選挙での自民党大敗と政権交代で激しく打撃を受けた支配階級が、民主党を叩いて新自由主義政策に引き戻すか、だめなら政権を打倒し、もって8・30で切りひらかれた階級関係を転覆しようとしている中で起こっていることだ。
新自由主義のとん挫
支配階級は、この10年来、グローバリズム下の生き残りのため、《戦後発展を前提に利益誘導で階級協調を追求する戦後国家》から、《多国籍企業化した巨大独占資本の利害を、階級矛盾激化を辞さずに貫徹する新自由主義国家》への転換を追求している。
元来、戦後政治の中心にあった自民党の中から小泉が台頭してきたのも、こういう転換に沿ったものだ。
しかし新自由主義政策の推進は格差・貧困を激化させ、人民反乱を準備した。そして経済破綻と人民の怒りの爆発の中で、07年参院選と09年衆院選で自民党が大敗した。
政権交代と民主党
民主党はもともと自民党と競合・補完する保守政党として、支配階級が育成してきたものだ。
ところが自民党との対抗上、小泉改革で切り捨てられた地方などに照準を合わせる戦術転換を、小沢主導で図らざるをえなかった。こうした中で人民反乱が民主党を押し上げ、政権交代という事態が引きおこされた。
人民反乱に押しあげられた民主党は、本心はどうあれ、人民の要求にしばられざるを得ない。とくに新人議員や現場に接している議員はそうだ。今回の政権交代は支配階級にとって大打撃だったのだ。
支配階級にとっての小沢
「日本改造計画」を掲げて自民党を割ってでた小沢も、支配階級の一定の部分の意を体して、戦後国家の転換を追求してきたことは間違いない。
しかし小沢は、自己の権力基盤強化の意図から、利益誘導政治の復権を図り、新自由主義政策が切り捨ててきたものの一定の回復や修正をおこなおうとしている。
巨大独占資本の利害以外はすべて切り捨てることを追求する支配階級にとって、こういう小沢を選択はできない。
支配階級の巻き返し
支配階級は、自民党大敗と政権交代に、しばし茫然自失となったが、いま民主党に強烈な圧力をくわえている。
その下で民主党は、公約を反故にし、新自由主義政策を推進している。普天間問題でもおなじだ。
そして支配階級は、小沢の失脚と民主党ちょう落で、8・30の階級関係を転覆できると見て、攻め立てているのだ。
人民はどうたたかうか
検察の暴走を弾劾するのは当然だし、小沢批判ももちろんで、権力抗争と見るのも間違いではないが、支配階級の新自由主義政策推進と挫折と必死の巻き返しという大きな攻防の中で、8・30の階級関係の転覆がねらわれているものとして、問題をつかむことが重要だ。
そして支配階級が巻き返し、政府が公約を反故にしている事態を前にして、あらためて確認すべきことは、そもそも政権交代はどうしておこったのかだ。それは、人民の怒りの爆発、切実で具体的な要求の突きつけであり、問題の可視化だ。いまこそ、もっと怒りを爆発させ、目に見える行動を組織し、政府にぶつけて追いつめよう。それが政権交代から次の段階へすすむ道だ。br>
その際、「財源はどうするんだ」とか「日米同盟がこわれたらどうするんだ」という脅しがかかるが、それは、民主党には通用しても人民には通用しない理屈だということに確信を持とう。そもそも日米同盟をなくせば、財源はいくらでもある。
沖縄県民が、激しい攻撃にもかかわらず名護市長選に勝利し普天間基地撤去・新基地建設反対を貫いて、政府・支配階級を追いつめている。これに学び実践しよう。(HT)
6面
広島差別事件糾弾!
3・7東京真相報告集会へ
3月7日、「3・7広島差別事件東京真相報告集会」が開催される。
わたしたち革共同再建協議会は、革共同の中から広島差別事件を生みだしたことを痛苦にうけとめ、当事者たちと革共同(安田派)による差別的居直りを絶対にゆるさず、差別糾弾闘争を全国連とともにたたかいぬく立場から、この真相報告集会に参加していきたい。またこの過程を通じて、08年3月29日付けのわれわれの自己批判を深め、狭山闘争――部落解放闘争を自らの課題として担っていく決意である。
「7月テーゼ」と広島差別事件
広島差別事件とは、07年8月のマル学同(マルクス主義学生同盟)合宿における「7月テーゼ」の論議のなかで発生した部落差別事件である。「7月テーゼ」の差別性を指摘したAさんにたいし、広島大学の学生らが「Aさんは部落解放運動の事しか考えていない」「全国連は物取り主義」などの発言を浴びせた。中学の頃から部落解放運動をこころざし部落解放同盟全国連青年部で活動し、学生運動にも参加していたAさんのたたかいと人格をじゅうりんしたのだ。
さらに、この部落差別発言を告発し、事実確認会への出席をもとめたAさんと全国連広島支部にたいし、マル学同の学生とその指導部=革共同は、確認会への出席の約束を反故にして逃亡した。これは党中央の指導によるものにちがいない。
その後、革共同は、差別事件そのものを「でっち上げ」であると言い、差別であるかどうかは革命党である革共同が決めるとまで言っている。
われわれの自己批判の貫徹を
革共同関西地方委員会は、この事件がつたわってきて以降、事態を深刻にうけとめ、「7月テーゼ」のもっていた差別的本質について議論を開始したが、08年2月の関西真相報告集会でAさんの訴えを聞き、改めてこの事件が私たちを含む革共同がひきおこした部落差別事件であることを確認した。そして、3月29日に関西地方委員会としての自己批判を表明した。その中でわたしたちは、当事者の自己批判の実現と、指導した革共同政治局の解任を誓い、また狭山闘争や住宅闘争などへのとり組みを誓った。
しかしながら、安田派による組織分裂攻撃と差別糾弾にたいする徹底した組織ぐるみの居直りによって、党内闘争をとおした解決の道は閉ざされ、むしろ、安田派の差別者集団への純化と部落解放闘争へのあからさまな敵対が進んできたのである。
敵対ふかめる安田派
事件から2年半、革共同(安田派)は、各地での真相報告集会のとり組みにたいして無視とボイコットで対応しながら、三支部のとり込みという形で部落解放同盟全国連の分裂策動を推し進め、広島では全国連の拠点・福島町に押しかけるなど、敵対を決定的に深めてきた。
世界恐慌のもとで、今ほど差別と排外主義とのたたかいがもとめられているときはない。たたかう労働者人民は全国の街頭で在特会と激突し、部落大衆は激発する差別の嵐の中で住宅追い出し攻撃とたたかい、狭山第三次再審闘争が証拠開示請求をめぐって重大な局面をむかえている。
そのとき、「7月テーゼ」をかかげて、あらゆる社会的差別からの解放は「労働者階級の階級的解放に従属する」と公言してこのたたかいに背を向け、逆に、「血債主義」「糾弾主義」との決別を叫んでいるのが安田派なのだ。
社会的差別とたたかい、被差別人民との連帯の内実をつくりだすことぬきに、どうして自らの解放をかちとることができるというのか。
安田派を徹底糾弾する
3・7東京真相報告集会の開催が発表されるや、『前進』(2月1日付)は、自らの差別性が全人民に明らかになるのを恐れ、「国鉄・三里塚陣形」を守るために「反『革共同』集会」の「粉砕へ」とうち出した。この論文では、部落解放同盟全国連創立の意義すら否定して差別的・反動的言説を強めている。「逃亡・無視」から「粉砕へ」の転換は、決定的なふみ込みだ。
国鉄闘争や三里塚闘争をたたかってきた全国連が、たたかう陣形内外にひろく呼びかけ、安田派による差別事件の真相を訴えようとするのは当然のことだ。問題は、革共同対全国連の組織対立や、ましてや革共同内の路線対立という次元のものではない。日本の革命運動と部落解放闘争、労働運動の根幹にかかわる問題であり、戦争と失業が労働者人民におそいかかり、差別・排外主義があおられ、左翼党派や労働組合などの屈服・転向が迫られているとき、これとどうたたかうかという問題だ。
すべての労働者人民は、差別とたたかうAさんの声を聞こう。報告集会の大成功をかちとり、広島差別事件の真相を全国の仲間に伝えよう。すべての労働者人民に安田派の差別的本質を明らかにして差別糾弾闘争への総決起を訴えよう。
狭山 第3次再審闘争 裁判所と検察を徹底追及
全国連2・9狭山要請行動
高裁にむかって怒りの拳(9日 東京高裁前) |
9日、部落解放同盟全国連合会のよびかけで、狭山要請行動がおこなわれた。5日に、門野裁判長が退官、あらたに岡田雄一裁判官が狭山担当となってはじめての要請行動だ。
昨年12月にもたれた裁判所、検察、弁護団によるいわゆる三者協議で、門野裁判長が東京高検にたいして証拠開示勧告をおこなった。あたらしい裁判長のもとでどのように進められていくのか、また狭山勢力として5月に予定されている三者協議にむかって情勢をどのようにきりひらいていくのか。狭山闘争の帰趨を決するたたかいとして、全国連の並々ならぬ決意のもとに、終日たたかいぬかれた。
この日、全国連の本部を先頭に関西、関東、そして広島、九州の代表が霞ヶ関に結集し、わたしたち共闘もそれに加わり、約50人で要請行動をおこなった。
無実の人を「有罪」にした岡田裁判長
事前に弁護士会館でおこなわれた小集会で、全国連の村上副委員長、小森糾弾闘争本部長、井橋中央執行委員が、この日のたたかいと狭山闘争の方向性を提起。
そして岡田裁判長の人物像について、『それでも僕はやってない』という映画にもなった「痴漢冤罪裁判」で、無実の人を「有罪」にした人物で、強引で反動的な裁判を一貫しておこなってきたことが報告された。
5月にむかって、たたかいの一層の強化が訴えられた。
午前中の東京高裁にたいする要請行動では、まず、要請文や要請内容のメモが裁判長に届いているのかどうか、あらためて訟廷管理官に追及、返答を次回の宿題とした。
また、前回突きつけたルミノール反応調査報告書にかんする85年国会答弁について、いったんは「ある」と答弁したものが、翌年には「なかった」という答弁になったのはなぜか、検察官に調べさせさせること、そして、検察側には間違いなく証拠リストがあるからリストをださせることを要請した。
検事が「石川は犯人と認識」と暴言
午後から東京高検へ要請行動。前回まで担当していた加藤検事が異動になり、後任が決まっていないとのことだ。
「中継ぎ」ということで対応した杉本検事は、「ずっと主任検事を補佐してきており、事件の事は自分がもっとも知っている」「三者協議にも参加していた」といったうえで、なんと「石川一雄は犯人だと認識している」と言い放った。このような部落差別と権力犯罪を居直る暴言を、要請団は激しく怒り糾弾した。
このような検察官が、狭山担当検事の背後で主任検事を一貫して「補佐」しているのだ。
昨年の開示勧告は狭山闘争にとってたしかに第一歩をふみ出したかもしれない。しかし、油断のできない情勢にあることは今回の要請行動でもあきらかだ。5月の三者協議まで待ちの姿勢ではなく、裁判所、検察をぐいぐいとおいつめ、私たちが情勢をきりひらいていかなくてはいけない。3・7広島差別事件東京真相報告集会、3・8要請行動から4〜5月のたたかいへと、全国連とかたく連帯し、証拠開示勧告の実現と再審開始、狭山勝利にむかって全力でたたかおう。